JP2012232252A - 排気ガス浄化用触媒、その製造方法および排気ガス浄化装置 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒、その製造方法および排気ガス浄化装置 Download PDF

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由希子 澤田
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Abstract

【課題】カーボン燃焼開始温度の低い排気ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】セリウムとセリウムを除く希土類元素と酸素とを含有する複合酸化物と、銀および/または銀の酸化物と、を含有する排気ガス浄化用触媒粉末であって、該粉末を構成する粒子の表面および内部に平均直径が0.05μm〜10μmの多数の気孔を有し、粒子表面の気孔は外気に開口する開気孔であり、粒子内部の気孔は上記開気孔と直接に若しくは他の内部に存在する気孔を介して連通しており、かつ気孔と気孔とを区画する多数の壁により粒子の表層乃至内部に立体網状組織が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンなどから排出される排気ガスに含まれる浮遊粒子状物質を浄化するための排気ガス浄化用触媒、その製造方法および排気ガス浄化装置に関する。
ディーゼル燃料を用いる内燃機関は、ガソリン燃料を用いる内燃機関に比べて熱効率が高いことから省エネルギー型のエネルギー機関として注目されている。
ディーゼル機関は、熱効率が高いが、その排気ガスにカーボン、炭化水素、サルフェートなどからなる粒径が10μm以下であるような微小な浮遊粒子状物質(Particulate Matter(PM))を多く含んでいる。浮遊粒子状物質は、大気汚染の主要因と考えられており、また発ガン性や喘息などの疾病との因果関係も指摘されている人体にとって有害物質であって、大気中に放出する前に無害化する処理が必要である。
浮遊粒子状物質を浄化するために、一般的にDPF(Diesel Particulate Filter)と呼ばれるセラミックス製のフィルターなどの捕集装置が用いられている。捕集装置により捕集された浮遊粒子状物質は、捕集装置内で燃焼されることにより無害の気体に変化し浄化される。
浮遊粒子状物質中の主成分であるカーボンを燃焼させるには、低くとも600℃程度の高温状態にまで加熱することが必要である。このような高温状態を実現するためには、捕集装置に断熱機構を組み込む必要が生じ、捕集装置が大型になるために、自動車などの移動体に捕集装置を実装する点では不利である。加えて、そのような高温状態を作り出すためには大量のエネルギーを必要とするため、エネルギーの点からも不利である。そのため、より低い温度において、浮遊粒子状物質を燃焼することができる方法が求められている。
通常、DPFは、フィルター内部に、例えば白金その他の貴金属を含む酸化触媒を担持することにより形成し、比較的低温で、浮遊粒子状物質を燃焼させることができる構造になっている。
従来、このような酸化触媒に関しては、多くの提案がされ、例えば、セリアと銀からなる触媒を用いることが提案されている。(特許文献1および特許文献2参照)
銀と、サマリウムをドープした複合酸化物であるセリアとからなる排気ガス浄化用触媒は、セリア中のセリウムイオンCe4+の一部をセリウムイオンよりも価数の低いサマリウムイオンSm3+で置換したものである。この置換により酸素サイトに欠損が生じるために、セリアより高い酸素イオン伝導度を有する。この高い酸素イオン伝導度のために、サマリウムをドープしたセリアと銀とからなる排気ガス浄化用触媒のカーボン燃焼開始温度は低温化が期待される。
特許文献3には、少なくともセリウムを含む複合酸化物と、銀を含む金属または銀化合物とを含む排気ガスの浄化用触媒において、複合酸化物が、セリウムとLn(Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウムおよびスカンジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)からなる蛍石型結晶構造を有する複合酸化物であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒が記載されている。
特許文献3では、カーボンとAg/Ce0.8Sm0.22−δとを乳鉢を使用して、緊密に接触させた状態(以下、この状態をタイトコンタクトともいう。)でのDTA(示差熱分析)ピーク温度Tmが評価されている。しかし、実際に自動車の排気ガス処理に使用する際の排気ガス浄化用触媒とカーボン(スス)などの浮遊粒子状物質との接触は、排気ガス浄化用触媒とカーボンとを緩く混合させた状態(以下、この状態をルーズコンタクトともいう。)に近く、特許文献3に記載の上記タイトコンタクトと比較してかなり弱い。
特許文献3のAg/Ce0.8Sm0.22−δで表される排気ガス浄化用触媒は、タイトコンタクトでのカーボン燃焼特性の向上は観られたが、排気ガス浄化用触媒の実際の使用状態に近いルーズコンタクトでのカーボン燃焼特性は十分でなく、更なる改善が望まれていた。
特開2007−296518号公報 特開2007−315328号公報 特開2010−005580号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、排気ガス浄化用触媒に要求される、カーボンとルーズコンタクトした際に、カーボン燃焼開始温度の低い、セリウムとセリウムを除く希土類元素とを含有する複合酸化物と、銀および/または銀の酸化物とからなる排気ガス浄化用触媒、その製造方法およびその排気ガス浄化用触媒を使用した排気ガス浄化装置を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討したところ、以下の要旨を有する本発明を完成した。
1.セリウムとセリウムを除く希土類元素と酸素とを含有する複合酸化物と、銀および/または銀の酸化物と、を含有する排気ガス浄化用触媒粉末であって、該粉末を構成する粒子の表面および内部に平均直径が0.05μm〜10μmの多数の気孔を有し、粒子表面の気孔は外気に開口する開気孔であり、粒子内部の気孔は上記開気孔と直接に若しくは他の内部に存在する気孔を介して連通しており、かつ気孔と気孔とを区画する多数の壁により粒子の表層乃至内部に立体網状組織が形成されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒粉末。
2.BET比表面積と粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)と、が次の関係式(1)を満たす上記1に記載の排気ガス浄化用触媒粉末。
BET比表面積/CS≧700 ・・・(1)
3.前記複合酸化物が、LnCe1−x2−δ(但し、Lnは、セリウムを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0<x<0.5であり、δは、酸素欠損量を示し、0<δ<0.25である。)で表される上記1または2に記載の排気ガス浄化用触媒粉末。
4.(A)銀含有化合物と、セリウム含有化合物と、セリウムを除く希土類元素含有化合物とを、または(B)銀含有化合物と、セリウムおよびセリウムを除く希土類元素含有化合物とを、乳酸の水溶液で溶解して溶液とし、該水溶液と、ゼラチン、寒天およびPVAからなる群より選択された少なくとも1種のゲル化剤と、を混合した混合物を凍結乾燥し、次いで、300℃〜1000℃で焼成する上記1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒粉末の製造方法。
5.前記銀含有化合物、セリウム含有化合物、セリウムを除く希土類元素含有化合物、セリウムおよびセリウムを除く希土類元素含有化合物が、いずれも酢酸塩である上記4に記載の製造方法。
6.セリウムを除く希土類元素が、サマリウムまたはガドリニウムである上記4または5に記載の製造方法。
7.上記1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒粉末を、フィルター媒体に担持させた排気ガス浄化装置。
本発明によれば、後記する実施例と比較例により例証されるように、DPFフィルターに使用した場合、すなわち、排気ガス中に含有されるカーボンとルーズコンタクトした状態において、カーボン燃焼開始温度の低い排気ガス浄化用触媒が提供される。また、本発明の排気ガス浄化用触媒粉末をDPFに使用した場合に、排気ガス中の浮遊粒子状物質を捕集する能力の向上と圧力損失の低下も期待される。
本発明の排気ガス浄化用触媒により、何故に、上記の効果が達成されるかについては必ずしも明らかではないが、本発明の排気ガス浄化用触媒を構成する粒子は、多数の気孔を有し、粒子の表面に存在する気孔は、外気に対して開口する開気孔であり、粒子の内部に存在する気孔は、かかる開気孔と直接に若しくは他の内部に存在する気孔を介して連通しており、かつ該気孔と気孔とを区画する多数の壁により粒子の表層乃至内部に立体的網目状組織が形成されている構造を有することにより、排気ガス中のカーボンなどの浮遊粒子状物質は、触媒粒子の表面の開気孔より気孔内部に入り込み、粒子内部に多数存在する気孔中でも浮遊粒子状物質と触媒活物質との接触が起こり、両者の接触が飛躍的に向上するためと思われる。
カーボン燃焼触媒A粒子表面のSEM写真(倍率7000倍)を示した図である。 カーボン燃焼触媒A粒子断面のSEM写真(倍率5000倍)を示した図である。 カーボン燃焼触媒Aの粒度分布を示した図である。 実施例1および比較例1におけるTG曲線を示した図である。 カーボン燃焼触媒E粒子表面のSEM写真(倍率7000倍)を示した図である。
以下に、本発明に係る排気ガス浄化用触媒、その製造方法およびその排気ガス浄化用触媒を使用した排気ガス浄化装置について説明する。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、セリウムとセリウムを除く希土類元素と酸素とからなる複合酸化物と、銀および/または銀の酸化物と、を含有する排気ガス浄化用触媒粒子粉末であって、該触媒粉末を構成する粒子が上記した特有の気孔構造を有することを特徴とする。
本発明において、気孔とは、触媒粉末を構成する粒子の表面および内部に存在する微細な孔または空洞のことをいい、本発明の触媒を構成する粒子は、その表面および内部に多数の気孔を有する。粒子の表面に存在する気孔は、外気に対して開口する開気孔となっており、粒子の内部に存在する気孔は、かかる開気孔と直接に若しくは他の内部に存在する気孔を介して連通しており、その結果、粒子の有する気孔は外気と連通している。触媒粒子に存在する全ての気孔は開気孔に連通していることが好ましいが、必ずしも内部に存在する全ての気孔が開気孔に連通している必要はない。
上記粒子表面および内部に存在する気孔の平均直径は0.05μm〜10μmが好ましい。平均直径が0.05μm〜10μmであり、好ましくは0.1μm〜10μmである。なお、ここで、平均直径とは、粒子の表面SEM写真および断面SEM写真より測定できる気孔の大きさの平均値をいい、複雑な形状の気孔の場合は、気孔に描ける内接円の直径の最大値と定義される。
さらに、本発明の触媒粒子がその表面および内部に有する多数の気孔は、粒子を構成する材質からなる多数の壁によってそれぞれが区画され、かかる多数の気孔を形成する連続した壁は、触媒粒子の表層乃至内部において立体網目状組織或は構造体を形成する。本発明の触媒粒子は、この立体的網目状組織を有することにより、浮遊粒子状物質が排気ガス浄化用触媒粒子表面の開気孔より気孔内部に入り込むため、排気ガス浄化用触媒粒子表面でのみ接触する場合と比較して、排気ガス浄化用触媒粒子との接触性が良好である。
本発明の排気ガス浄化用触媒粉末を構成する粒子が上記のような構造を有することは、後に詳記するその製造方法によるところが大きい。すなわち、本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法には、原料粉末が溶解した乳酸水溶液のゾルを凍結乾燥する工程がある。この工程においてゾルの凍結により、凍結物中で水分が微細な氷になり、その後の減圧下での乾燥でその氷が昇華する。凍結物の内部に存在する微細な氷が昇華すると凍結物内部に気孔が生成するが、昇華した水蒸気が粒子外部に出ていく際に、気孔と気孔とを連通させ、粒子表面では開気孔を形成することになる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒粉末は、さらに、BET比表面積と粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)とが次の関係式(1)を満たすことが好ましい。
BET比表面積/CS≧700 ・・・(1)
かかる触媒粉末が、かかる関係式を満たす場合、排気ガス中の浮遊粒子状物質との接触性が向上し、浮遊粒子状物質の主成分であるカーボンが燃焼しやすくなり、また、触媒粉末をDPFフィルターに使用した際の排気ガス中の浮遊粒子状物質を捕集する能力の向上と圧力損失の低下が期待される。
なかでも、触媒粉末のBET比表面積と粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)は、関係式(2)を満たすことがより好ましく、関係式(3)を満たすことが更に好ましい。また、本発明に係る排気ガス浄化用触媒粉末のBET比表面積/CSの値は好ましくは、10000以下である。
BET比表面積/CS≧850 ・・・(2)
BET比表面積/CS≧900 ・・・(3)
BET比表面積と粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)とが関係式(2)、さらに、関係式(3)を満たすと、排気ガス中の浮遊粒子状物質との接触性が更に向上し、浮遊粒子状物質の主成分であるカーボンが燃焼しやすくなると同時に、捕集される浮遊粒子状物質の量がさらに増加し、また圧力損失の低下が期待できる。
なお、上記の式(1)〜式(3)におけるBET比表面積とは、窒素吸着による1点法により求めた比表面積の測定値をいう。また、粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)とは、粒度分布の測定結果をもとに粒子を球として仮定し、以下の計算式で求めた比表面積の計算値(Calculated Specific Surface Area)のことをいう。
すなわち、粒子の集合中に粒子径がdi(i=1、2、3・・・n)であり、表面積がai(i=1、2、3・・・n)である各粒子が体積分率vi(%)(i=1、2、3・・・n)の割合で存在する粒子群が存在するものとする。その粒子群の密度をρとすると、粒度分布より計算される比表面積(CS)は下記の式で計算できる。
CS=6/(MA・ρ)
ここで、MAは、面積で重み付けられた平均径、すなわち面積平均径であり、以下からもとめられる。
Figure 2012232252
本発明に係る排気ガス浄化用触媒に含有されるセリウムとセリウムを除く希土類元素とを含有する複合酸化物は、LnCe1−x2−δ(但し、Lnは、セリウムを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0<x<0.5であり、δは、酸素欠損量を示し、0<δ<0.25である。)の組成式で表されるものが好ましい。この複合酸化物は、蛍石構造をとっており、高い酸素イオン伝導度を有するからである。なかでも、LnがサマリウムまたはガドリニウムであるSmCe1−x2−δまたはGdCe1−x2−δは、酸素イオン伝導度が高いので好ましい。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒には、加えて、銀および/または銀の酸化物が含有されるが、上記複合酸化物と銀および/または銀の酸化物との合計量を基準とした場合、上記複合酸化物の含有量は、好ましくは10〜99.9モル%、より好ましくは、30〜90モル%の範囲である。一方、上記銀および/または銀の酸化物の含有量は、好ましくは0.1〜90モル%、より好ましくは、10〜70モル%の範囲である。
次いで、本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。本発明に係る排気ガス浄化用触媒に好適な製造方法は、乳酸とゲル化剤を使用した凍結乾燥法である。この製造方法を使用することで、上記した多数の特有の気孔からなる立体的網目状組織を有し、かつ上記BET比表面積と粒度分布測定の結果から求めた比表面積の計算値(CS)との間に特有の関係を有する構造を有する粒子からなる排気ガス浄化用触媒が良好に得られる。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法の原料は、好ましくは、以下に記載される銀化合物、セリウム化合物、セリウムを除く希土類元素化合物、セリウムおよびセリウム以外の希土類元素含有化合物である。
銀含有化合物は、銀を含む酸化物、硝酸塩、炭酸塩または酢酸塩などである。セリウム含有化合物は、セリウムを含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩またはアルコキシドなどである。セリウムを除く希土類元素含有化合物は、セリウムを除く希土類元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩またはアルコキシドなどである。セリウムおよびセリウム以外の希土類元素含有化合物は、セリウムと、セリウム以外の希土類元素とを含有する、酸化物、硝酸塩、炭酸塩または酢酸塩などの化合物である。ここで、セリウムを除く希土類元素とは、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、イットリウム(Y)、またはスカンジウム(Sc)をいう。
また、本発明に係る製造方法の原料は、銀と、セリウムと、セリウムを除く希土類元素と、の3元素をそれぞれ別々に含有する化合物でもよく、または、銀と、セリウムと、セリウムを除く希土類元素のうち、任意の2種類以上の元素を同時に含有する化合物であってもよい。
上記の各元素の原料については、酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩およびアルコキシドなどから選ばれた任意の1種以上の化合物を元素源として選択することができる。なかでも水に対する溶解性が高いこと、焼成による有機成分の除去が容易であることから、各元素の原料は酢酸塩が特に好ましい。
本発明に係る触媒粒子を製造する場合、好ましくは、次のように実施される。まず、銀とセリウムとセリウムを除く希土類元素とを、目的の組成になるようにこれらの原料粉末を秤量する。
一方、乳酸を量り採り、水に溶解させる。乳酸の量は、銀とセリウムとセリウムを除く希土類元素の組成比にもよるが、上記の原料粉末を十分に溶解するのに足りる量であればよい。具体的には、通常、乳酸は、原料粉末中の金属元素のモル数の合計量、すなわち、銀のモル数と、セリウムのモル数と、セリウムを除く希土類元素のモル数との合計量に対して好ましくは0.1〜10倍のモル量を使用する。なかでも、0.5〜10倍のモル量が好ましく、2〜5倍のモル量が特に好ましい。0.1〜10倍のモル量であると、比較的短時間で原料粉末を完全に乳酸を含む水溶液に溶解することができる。
本発明では、必要に応じて、原料粉末の溶解性に悪影響を与えなく、かつ、焼成により消失する有機または無機の化合物、例えば他の酸やアルカリ、溶解性改善剤、粘性調整剤などを乳酸水溶液に加えてもよい。乳酸水溶液に使用する水は、純水でも、イオン交換水でもよいが、生成物中の不純物量を低減させるために、イオン交換水が特に好ましい。
次に、乳酸水溶液の入った反応容器に秤量した上記の原料粉末を加え、攪拌装置を用いて原料粉末が完全に溶解するまで攪拌する。攪拌装置には、マグネチックスターラー、攪拌翼による攪拌機などが使用できる。銀化合物、セリウム化合物およびセリウムを除く希土類元素化合物を混合してから、乳酸水溶液に加えてもよい。場合によっては、原料である銀化合物、セリウム化合物およびセリウムを除く希土類元素化合物のそれぞれを別々に乳酸水溶液に溶解させた後、その溶液を混ぜ合わせて、3成分が溶解した乳酸水溶液にしてもよい。
原料粉末の入った乳酸溶液の攪拌に際しては、原料粉末の入った乳酸溶液を加熱することが好ましい。その際の温度は好ましくは50℃〜90℃、より好ましくは60℃〜85℃である。温度が50℃〜90℃であると、比較的短時間で原料粉末が溶解し、溶媒である水が蒸発しにくいからである。
原料粉末が乳酸水溶液に完全に溶解するのは、原料粉末中の金属元素が、乳酸中のカルボキシル基や水酸基と錯体を形成するためであると考えられる。
次に、上記の原料粉末が溶解した乳酸水溶液に、ゲル化剤を加える。ゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、ポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。ゲル化剤は固体のまま乳酸水溶液に添加しても問題はないが、別途水に溶解させた後、ゲル化剤水溶液として添加することが好ましい。
ゲル化剤としてゼラチンを使用する場合には、原料粉末が溶解した乳酸水溶液に対して0.1重量%〜15重量%のゼラチン溶液とすることが好ましい。0.1重量%〜15重量%のゼラチン溶液であると、凍結前にゾルが均一な状態を保持しやすく、凍結時および凍結乾燥時に凍結物または凍結乾燥物が形態を保持しやすいためである。
ゲル化剤として寒天を使用する場合には、原料粉末が溶解した乳酸水溶液に対して0.01重量%〜5重量%の寒天溶液とすることが好ましい。0.01重量%〜5重量%の寒天溶液であると、凍結前にゾルが均一な状態を保持しやすく、凍結時および凍結乾燥時に凍結物または凍結乾燥物が形態を保持しやすいためである。
ゲル化剤としてPVAを使用する場合には、原料粉末が溶解した乳酸水溶液に対して0.05重量%〜10重量%のPVA溶液とすることが好ましい。0.05重量%〜10重量%のPVA溶液であると、凍結前にゾルが均一な状態を保持しやすく、凍結時および凍結乾燥時に凍結物または凍結乾燥物が形態を保持しやすいためである。また、使用するPVAの重合度は特に限定されないが、100〜10000の範囲が好ましい。重合度が100〜10000の範囲であると、後工程であるゾルの噴霧が容易となり、そのゾルを凍結乾燥させると所望の粒度を有する凍結乾燥物が得られるためである。
次に、前記原料粉末と前記のゲル化剤を加えた乳酸溶液の入った反応容器を加熱攪拌する。加熱により、PVA、寒天、ゼラチン分子中の水酸基またはカルボキシル基と乳酸中の水酸基またはカルボキシル基が脱水縮合反応を起こし、ゲル化が促進される。なお、加熱によりゲルはゾル化する。加熱温度は、特に限定されないが、溶媒である水が蒸発することから、100℃以下が好ましく、通常50℃〜80℃が特に好ましい。
その後、反応容器を加熱した状態で30分〜2時間撹拌することが好ましい。加熱によりゾルの粘性が低下し、銀を含有する原料と、セリウムを含有する原料と、セリウムを除く希土類元素を含有する原料とが、分子レベルで均一に混合される。この工程で、原料粉末中の金属元素と乳酸中やゲル化剤中のカルボキシル基や水酸基との錯体形成反応が十分に進行すると推測される。
次に、上記のゾルを凍結し、凍結した状態で減圧下にて乾燥される。ゾルを霧吹きなどの既知の噴霧(スプレー)機で、冷却媒体中に噴霧すると、ゾルは瞬時に凍結し凍結物となる。噴霧機のノズルの形態は特に限定されず、例えば1流体ノズルでも2流体ノズルでもよい。冷却媒体には、例えば液体窒素、ドライアイスメタノールなどを使用することができる。ゾルを瞬時に凍結させることで、凍結物中に多数の微細な氷粒子が生じ、その凍結物を凍結状態のまま減圧下に保持することで、凍結物中の氷が昇華し、凍結乾燥物となる。この過程で凍結乾燥物中に多数の連通した気孔が生成されることになる。
減圧時の圧力は、25Pa以下とすることが好ましい。圧力が25Pa以下であると、凍結物中の氷粒子が昇華しやすく、氷粒子が昇華する際に凍結物中に、粒子の表面および内部に上記した目的とする多数の気孔が効率よく形成される。
次に、上記の凍結乾燥物を焼成容器に移し、焼成炉にて焼成する。焼成容器の材質は、特に限定されず、例えばアルミナ、ムライト、コージェライトなどが挙げられる。焼成炉は電気式またはガス式のシャトルキルンでも、場合によってはローラーハースキルンでもロータリーキルンでもよく、特に限定されない。
焼成工程においては、焼成炉の温度を20℃/時〜500℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げることが好ましい。比較的短時間で、目的の焼成温度まで到達することができ、かつ昇温過程の各温度で反応物質の化学反応を十分に進行させることができるからである。
焼成温度は、300℃〜1000℃が好ましく、350℃〜600℃がより好ましい。300℃〜1000℃であると反応生成物中に未反応物が残留しにくく、焼成物の焼結が進行しにくいためである。
焼成時間は目的の触媒化合物が生成すればよく特に限定されない。通常は焼成温度範囲に到達した後に0.5時間〜72時間保持することが好ましく、1時間〜24時間保持することがより好ましい。反応生成物中の未反応物の残留がなく、生産性が低下することもないからである。焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、酸素含有雰囲気、特に空気中(大気中)であることが好ましい。
焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100℃/時〜800℃/時が好ましく、100℃/時〜500℃/時がより好ましい。生産性が落ちることなく、かつ焼成容器が熱衝撃により割れにくくなるからである。
本発明では、必要に応じて、上記の焼成工程の前に凍結物を電気炉または乾燥機などで乾燥し、凍結乾燥物中の水分を十分に除去した後にその乾燥物を焼成してもよい。乾燥温度は90℃〜250℃が好ましく、100℃〜200℃がより好ましい。90℃〜250℃であると、サンプル中に残留していた水分を十分に除外できるからである。なお、昇温速度は、比較的短時間で目的の乾燥温度まで到達することができるので20℃/時〜500℃/時とすることが好ましい。
本発明に係る製造方法で得られた排気ガス浄化用触媒の体積平均粒径(以下、D50とする。)は、好ましくは1.0μm〜150.0μmであり、より好ましくは10μm〜100μmである。また、比表面積は、好ましくは5m/g〜120m/gであり、より好ましくは10m/g〜50m/gである。D50が1.0μm〜150.0μmであり、比表面積が5m/g〜120m/gであると好ましいのは、排気ガス浄化用触媒としての触媒能が高いからである。体積平均粒径は湿式の粒度分布計で測定され、比表面積は窒素吸着法によるBET法により測定される。
本発明の製造方法で製造した排気ガス浄化用触媒は、内燃機関から排出される排気ガスに含まれるカーボンを含む浮遊粒子状物質を捕集可能なフィルター媒体に担持させ、排気ガス浄化装置として使用される。
ここで、排気ガス浄化装置は、本発明の排気ガス浄化用触媒を備えるものであればよく、実施形態は特に限定されず、通常の形態を適用することができる。好適な実施形態の1つとしては、ディーゼル機関の排出ガスの排出口に浮遊粒子状物質を捕集できるフィルターを設置した装置が例示される。このフィルターの形状は特に限定されないが、十分な浮遊粒子状物質捕集機能を有するものが好ましい。例えば、ハニカム状、モノリス状、ペレット状、フォーム状、ファイバー状、発泡状のセラミックスまたはワイヤメッシュなどの形状が使用できる。これらの中でも、ウォールスルー型ハニカム形状のフィルターがより好ましい。
フィルター媒体の材質は特に限定されないが、コージェライト、炭化ケイ素、ムライト、アルミナ、ジルコニアなどの多孔質状耐熱セラミックス、またはクロム、アルミニウムなどを含むステンレス鋼が好適に使用される。
例えば、これらのウォールスルー型ハニカム形状のフィルター上に、浸漬法や共沈法などの手段で本発明に係る排気ガス浄化用触媒を付着(担持)させ、これを焼成することにより、触媒層を形成することができる。
なお、フィルター媒体の材質として挙げた上記のセラミックスや金属材料は、酸化触媒の担体としても使用することができる。例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカなどの無機粉末である粒子状担体上に、浸漬法や共沈法などの手段により、本発明に係る触媒を担持させ、触媒を担持させた無機粉末を上記の耐熱性セラミックス、またはステンレス鋼上に設置し使用することも好ましい。
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、これらは単なる実施の態様の一例であり、本発明の技術的範囲がこれら実施例に限定されたり、また、これにより限定的に解釈されたりするものではない。
[実施例1]
200mL(リットル)のビーカー中で、Ce:Sm:Agがモル比で4:1:5となるように、酢酸セリウム(III)一水和物1.34g、酢酸サマリウム(III)四水和物0.40g、酢酸銀0.83gおよび乳酸1.80gを混合し、得られる混合物に75mLのイオン交換水を加えた。設定温度を80℃とし、完全に溶解するまでマグネチックスターラーを用いて撹拌し、原料粉末の溶解した乳酸水溶液を作製した。
次に、関東化学社製 のゼラチン6gにイオン交換水25mLを加え、80℃で1時間ほど加熱しながら撹拌することでゼラチンを完全に溶解させゼラチン水溶液を作製した。そのゼラチン水溶液を原料粉末の溶解した乳酸水溶液に80℃で撹拌しながらゆっくりと加え、80℃に保ちながら1時間攪拌し、ゼラチンのゾルを得た。このゼラチンのゾルを霧吹きに移し、液体窒素中に噴霧し凍結させた。得られた凍結物をあらかじめ−30℃に冷却しておいたEYELA社製の真空凍結乾燥機(FDU―2100型番)に入れ、25Pa以下の減圧下で下記の凍結乾燥条件に従って19時間凍結乾燥した。
凍結乾燥条件は、−30℃で1時間保持した後に、−25℃まで昇温し−25℃で3時間保持し、続けて−20℃まで昇温し−20℃で4時間保持し、続けて−15℃まで昇温し−15℃で6時間保持し、さらに続けて+30℃まで昇温し+30℃で5時間保持する条件とした。その後、得られた凍結乾燥物を予め200℃に加熱しておいた乾燥機中に移し、2時間保持し、完全に乾燥させた。
その結果得られた乾燥物をアルミナ製の匣鉢に移し、空気中にて400℃で6時間保持して焼成した。なお、室温〜400℃までの昇温速度、および400℃〜室温までの降温速度は、共に120℃/時とした。その結果、Ce0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)の組成を有する複合酸化物と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒A」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物a」とする。
(走査型電子顕微鏡(SEM))
カーボン燃焼触媒AのSEM測定を行なった。測定装置としてJEOL社製のSEM(型番JSM−6380LV)を使用した。電子線の加速電圧は20kVとし、WD20mmで、二次電子像を撮影した。図1にカーボン燃焼触媒Aの粒子表面のSEM写真(倍率7000倍)を示す。図1によれば、粒子表面には多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できた。
次に、カーボン燃焼触媒Aの粒子の断面SEMを測定するために、カーボン燃焼触媒Aの粉末を樹脂の主剤と硬化剤との混合物に混ぜ込み、真空ポンプで気泡を取り除き乾燥することによって樹脂成形体を作製した。その樹脂成形体を鏡面研磨し測定試料とした。図2にカーボン燃焼触媒Aの粒子断面のSEM写真(倍率5000倍)を示す。粒子内部には相互に連通した多数の気孔が存在し、多数の気孔を区画する多数のひだ状の壁が全体的に網目模様を形成している様子が観察できた。また、図1と図2のSEM写真中には、気孔の内接円の直径が0.2μm〜1.8μmである多数の気孔が観察され、平均直径は0.5μmであった。なお、図2で観察された多数の気孔は相互に連通していることが確認できた。
(X線回折測定)
カーボン燃焼触媒AのX線回折測定を行った。X線回折測定には、Rigaku社製のXRD測定装置RINT2000を使用した。40kV×40mAの出力のCuKα線をX線源とし、2°/分のスキャン速度で測定した。その結果、複合酸化物aの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Aは、複合酸化物aと金属銀との混合物であることが確認された。
(粒度分布測定)
カーボン燃焼触媒Aの粒度分布を測定した。少量のカーボン燃焼触媒Aを以下のようにイオン交換水に分散させて試料を調製した。分散剤として和光純薬社製の二リン酸ナトリウム十水和物を使用した濃度0.24重量%の水溶液を用いた。約0.05gのカーボン燃焼触媒Aと分散剤とイオン交換水とから全体が10mlとなるように分散液を調製し、測定試料とした。測定には、HORIBA社製のレーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−920を用いた。図3にカーボン燃焼触媒Aの粒度分布を示す。D50は70.1μmであり、粒度分布から計算される比表面積の計算値CSは2.45×10−2/gであった。なお、CSの計算に際しては、密度ρとしてAg/Ce0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)の結晶密度である8.16g/cmを使用した。
(比表面積測定)
カーボン燃焼触媒Aの窒素吸着法によるBET比表面積を測定した。測定には、マウンテック(Mountech)社製のMacsorb HM−1208を使用した。その結果、カーボン燃焼触媒AのBET比表面積は24.4m/gであった。
以上の結果より、BET比表面積/CSの値は996となった。
(熱重量測定(TG))
東海カーボン社製のカーボンブラック(商品名:シーストFM)10mgとカーボン燃焼触媒A50mgを20mlのサンプル瓶に秤量し、5分間振り混ぜ測定試料とした。
測定には、パーキンエルマー社製の熱重量分析計PYRIS 1 TGAを使用し、SHEATHガス側流量20ml/分、PURGEガス側流量40ml/分の乾燥空気雰囲気中で測定した。測定は、10℃/分の昇温速度で、30℃〜700℃まで昇温する過程で行った。図4にカーボン燃焼触媒AのTG曲線を示す。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは310℃であった。
[実施例2]
実施例1の酢酸サマリウム(III)四水和物0.40gの代わりに、酢酸ガドリニウム(III)四水和物0.41gを使用した以外は、実施例1と同様にしてCe0.8Gd0.22−δ(δ=0.1)と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒B」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物b」とする。
カーボン燃焼触媒BのSEM測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒Bの粒子の表面には、カーボン燃焼触媒Aと類似した多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できた。また、SEM写真中には、気孔の内接円が直径0.1μm〜2.0μmである多数の気孔が観察され、平均直径は0.4μmであった。
次いで、カーボン燃焼触媒BのX線回折測定を実施例1と同様にして行った。その結果、複合酸化物bの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Bは、複合酸化物bと金属銀の混合物であることが確認された。
次いで、カーボン燃焼触媒Bの粒度分布測定、比表面積測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒BのD50は68.5μmであり、粒度分布から計算される比表面積CSの計算値は3.25×10−2/gであった。なお、CSの計算に際しては、密度ρとしてAg/Ce0.8Gd0.22−δ(δ=0.1)の結晶密度である8.23g/cmを使用した。また、BET比表面積は23.5m/gであった。以上の結果より、カーボン燃焼触媒BのBET比表面積/CSの値は723となった。
また、カーボン燃焼触媒BのTG測定を実施例1と同様にして行った。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは321℃であった。
[実施例3]
実施例1のゼラチン6gの代わりに、寒天0.56gを使用した以外は、実施例1と同様にしてCe0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒C」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物c」とする。
カーボン燃焼触媒CのSEM測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒Cの粒子の表面には、カーボン燃焼触媒Aと類似した多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できた。また、SEM写真中には、気孔の内接円の直径が0.03μm〜5μmである多数の気孔が観察され、平均直径は0.06μmであった。
次いで、カーボン燃焼触媒CのX線回折測定を実施例1と同様にして行った。その結果、複合酸化物cの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Cは、複合酸化物cと金属銀の混合物であることが確認された。
次いで、カーボン燃焼触媒Cの粒度分布測定、比表面積測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒CのD50は69.1μmであり、密度ρを8.16g/cmとして粒度分布から計算される比表面積CSの計算値は2.86×10−2/gであった。また、BET比表面積は27.1m/gであった。 以上の結果より、カーボン燃焼触媒CのBET比表面積/CSの値は948となった。
また、カーボン燃焼触媒BのTG測定を実施例1と同様にして行った。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは318℃あった。
[実施例4]
実施例1のゼラチン6gの代わりに、重合度が500である関東化学社製のPVA6gを使用した以外は、実施例1と同様にしてCe0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒D」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物d」とする。
カーボン燃焼触媒DのSEM測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒Dの粒子の表面には、カーボン燃焼触媒Aと類似した多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できた。SEM写真中には、気孔の内接円の直径が1μm〜32μmである多数の気孔が観察され、平均直径は10μmであった。
次いで、カーボン燃焼触媒DのX線回折測定を実施例1と同様にして行った。その結果、複合酸化物dの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Dは、複合酸化物dと金属銀の混合物であることが確認された。
次いで、カーボン燃焼触媒Dの粒度分布測定、比表面積測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒DのD50は72.3μmであり、密度ρを8.16g/cmとして粒度分布から計算される比表面積CSの計算値は2.31×10−2/gであった。また、BET比表面積は22.8m/gであった。 以上の結果より、カーボン燃焼触媒DのBET比表面積/CSの値は987となった。
また、カーボン燃焼触媒DのTG測定を実施例1と同様にして行った。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは312℃であった。
[比較例1]
撹拌機を備えた反応容器中で、酢酸セリウム(III)一水和物6.70gと酢酸サマリウム(III)四水和物1.99g、酢酸銀4.17g、および乳酸18.01gを混合し、得られる混合物に500mlのイオン交換水を加え、70〜80℃の温度で撹拌した。その結果、酢酸セリウム(III)一水和物と酢酸サマリウム(III)四水和物および酢酸銀は、完全に溶解し、溶液状態になった。溶解後、更に70〜80℃の温度で撹拌して1時間反応させた。
得られた原料粉末が溶解した乳酸水溶液を90℃に設定した乾燥機で乾燥し、見かけ上液体としての水分がなくなるまで水分を除去した。得られた乾燥物に500mLのイオン交換水を加え、常温で乾燥物を再溶解した後、その溶液を190℃に設定したマントルヒーターで6時間乾燥し、乾燥粉末を得た。その後、乾燥粉末をアルミナ製の匣鉢に移し、空気中にて400℃で6時間保持して焼成した。なお、室温〜400℃までの昇温速度、および400℃〜室温までの降温速度は、共に120℃/時とした。得られた焼成物を乳鉢で解砕し、Ce0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)の組成を有する複合酸化物と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒E」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物e」とする。
カーボン燃焼触媒EのSEM測定を実施例1と同様にして行った。その結果を図5に示す。カーボン燃焼触媒Eの二次粒子は多数の一次粒子から構成されており、はっきりとした一次粒子の粒界が観察できる。その一次粒子の表面は滑らかであり、図1で観察されたような多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できなかった。
次いで、カーボン燃焼触媒EのX線回折測定を実施例1と同様にして行った。その結果、複合酸化物eの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Eは、複合酸化物eと金属銀の混合物であることが確認された。
次いで、カーボン燃焼触媒Eの粒度分布測定、比表面積測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒EのD50は14.1μmであり、密度ρを8.16g/cmとして粒度分布から計算される比表面積CSの計算値は9.68×10−2/gであった。また、BET比表面積は22.8m/gであった。
以上の結果より、カーボン燃焼触媒EのBET比表面積/CSの値は236となった。
また、カーボン燃焼触媒EのTG測定を実施例1と同様にして行った。図4にカーボン燃焼触媒EのTG曲線を示す。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは346℃であった。
[比較例2]
撹拌機を備えた1Lビーカー中で、Ce:Smがモル比で4:1になるように、炭酸セリウム56.8gと炭酸サマリウム11.1gを100mLのイオン交換水に加えて得られた懸濁液に、炭酸アンモニウム99.0gとクエン酸131.5gを加え、設定温度を80℃とし2時間撹拌を継続した。この懸濁液の撹拌を続けながら、Ce:Sm:Agがモル比で4:1:5となるように、炭酸銀28.6gとクエン酸29.0gを懸濁液に投入し、さらに2時間撹拌を継続して、セリウムとサマリウムおよび銀を含むスラリーを得た。
得られたスラリーを105℃に設定した乾燥機で一昼夜乾燥し、水分を除去して得られた乾燥物をアルミナ製の匣鉢に移し、保持する焼成時間を10時間とした他は実施例1と同様にして焼成した。得られた焼成物を乳鉢で解砕し、Ce0.8Sm0.22−δ(δ=0.1)の組成を有する複合酸化物と銀とを含む灰色の粉末を得た。当該灰色の粉末を「カーボン燃焼触媒F」とし、粉末中の複合酸化物を「複合酸化物f」とする。
カーボン燃焼触媒FのSEM測定を実施例1と同様にして行った。カーボン燃焼触媒Fの粒子の表面には図1で観察されたような多数の開気孔があり、気孔と気孔とを区画する多数の凸状壁により網目状のひだ模様が形成されている様子が確認できなかった。
次いで、カーボン燃焼触媒FのX線回折測定を実施例1と同様にして行った。その結果、複合酸化物fの結晶構造は蛍石型構造であり、カーボン燃焼触媒Fは、複合酸化物fと金属銀の混合物であることが確認された。
次いで、カーボン燃焼触媒の粒度分布測定、比表面積測定を実施例1と同様にして行った。その結果、カーボン燃焼触媒FのD50は2.77μmであり、密度ρを8.16g/cmとして粒度分布から計算される比表面積CSの計算値は3.35×10−1/gであった。また、BET比表面積は61.6m/gであった。
以上の結果より、カーボン燃焼触媒のBET比表面積/CSの値は184となった。
また、カーボン燃焼触媒FのTG測定を実施例1と同様にして行った。TG曲線から接線法で求めたカーボン燃焼開始温度 Tigは342℃であった。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、カーボンとルーズコンタクトした状態で、カーボン燃焼開始温度が低く、排気ガス浄化用触媒として有用である。

Claims (7)

  1. セリウムとセリウムを除く希土類元素と酸素とを含有する複合酸化物と、銀および/または銀の酸化物と、を含有する排気ガス浄化用触媒粉末であって、該粉末を構成する粒子の表面および内部に平均直径が0.05μm〜10μmの多数の気孔を有し、粒子表面の気孔は外気に開口する開気孔であり、粒子内部の気孔は上記開気孔と直接に若しくは他の内部に存在する気孔を介して連通しており、かつ気孔と気孔とを区画する多数の壁により粒子の表層乃至内部に立体網状組織が形成されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒粉末。
  2. 粒子のBET比表面積と、粒度分布測定のから求めた比表面積の計算値(CS)と、が次の関係式(1)を満たす請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒粉末。
    BET比表面積/CS≧700 ・・・(1)
  3. 前記複合酸化物が、LnCe1−x2−δ(但し、Lnは、セリウムを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは、0<x<0.5であり、δは、酸素欠損量を示し、0<δ<0.25である。)で表される請求項1または2に記載の排気ガス浄化用触媒粉末。
  4. (A)銀含有化合物と、セリウム含有化合物と、セリウムを除く希土類元素含有化合物とを、または(B)銀含有化合物と、セリウムおよびセリウムを除く希土類元素含有化合物とを、乳酸の水溶液で溶解して溶液とし、該水溶液と、ゼラチン、寒天およびPVAからなる群より選択された少なくとも1種のゲル化剤と、を混合した混合物を凍結乾燥し、次いで、300℃〜1000℃で焼成する請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒粉末の製造方法。
  5. 前記銀含有化合物、セリウム含有化合物、セリウムを除く希土類元素含有化合物、セリウムおよびセリウムを除く希土類元素含有化合物が、いずれも酢酸塩である請求項4に記載の製造方法。
  6. セリウムを除く希土類元素が、サマリウムまたはガドリニウムである請求項4または請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒粉末を、フィルター媒体に担持させた排気ガス浄化装置。
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