JP2012230091A - セメント用色彩色差計およびそれを用いたセメント判別方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工場、サービスステーションおよび生コン工場等での現場での品質管理の精度向上を課題とした。特に、セメントの色調を測定して、セメントの種類の特定、異物混入の判定、混合物の濃度管理を簡便にできるセメント用色彩色差計およびその使用方法を実現することを課題とした。
【解決手段】そこで、波長域が400〜750nmを含む光源、波長域400〜750nmの光を検知できる検知部と、透光性の試料カバー部、を含み、試料カバーを通して試料に照射する光源からの光の照射方向と、試料からの反射光を検知する検知管の取付け方向のなす角度が30度から60度に設定されて配置されることを特徴とするセメント用色彩色差計、を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セメント用色彩色差計およびそれを用いたセメント判別方法に関する。
セメント材料の色調は重要な品質管理項目の一つである。特に、産業廃棄物である溶融スラグやフライアッシュなどのリサイクル、石灰石による原価低減を目的として、セメントへの各種材料の混合が実施されている現状では、セメント製品の概観や性能への影響から厳密な管理が求められている。
即ち、現場において発生した色調異常の原因を調査するためには、現場から試料を採取し分析機関に搬送した後、高価な白色度計を用いて色調測定や各種分析機器を用いてセメントの種別の特定、混合物量の測定等を実施している。分析機関では、色彩色差計、化学分析、蛍光X線分析、粉末X線回折等の数種類の試験を併せて実施し、その原因を判断している(特許文献1等)。
しかし、これには輸送と試験に多大な時間を要し、製品に対する適切な対応が取れないばかりでなく、試験日数や費用も要する。また、これらを解析できる分析機関は少なく、適当な分析機関を探すにも苦慮する。さらには、これら試験装置はいずれも高価であり、一般に販売されている色彩色差計は、規格に定義された厳密な測色値を得られるよう、高価な素子、構造を有しており大型であるため、現場で即応できるものではなかった。
特開平11−14458号公報
そこで、本発明は、工場、サービスステーションおよび生コン工場等での現場での品質管理の精度向上を課題とした。特に、セメントの色調を測定して、セメントの種類の特定、異物混入の判定、混合物の濃度管理を簡便にできるセメント用色彩色差計およびその使用方法を実現することを課題とした。
そこで、波長域が400〜750nmを含む光源、波長域400〜750nmの光を検知できる検知部と、透光性の試料カバー部、を含み、試料カバーを通して試料に照射する光源からの光の照射方向と、試料からの反射光を検知する検知管の取付け方向のなす角度が30度から60度に設定されて配置されることを特徴とするセメント用色彩色差計、を提供する。本願発明の色彩色差計を、従来の色差計に対して、「汎用型色差計」と略称することがある。
セメント粉末を入れタッピングして得た平滑面からの反射光強度を、前記セメント用色彩色差計で測定して、計算したL*値(測定値のうちの明るさ成分)を、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、エコセメントに対応させて、数値領域をあらかじめ決定しておき、その種別を判定することを特徴とするセメントの判別方法、を提供する。
また、例えば、試料セルにセメント粉末を入れ前記色彩色差計で測定したL*値を、製造管理に使用される標準装置(例えば、日本電色工業社製分光色差計SE2000)のL*値により校正して用いることもできる。
前記色彩色差計でセメント試料のL*値(明るさ)を測定して、あらかじめ所定の混合比率でセメントと、高炉スラグ若しくは石灰石を混ぜた試料によるL*値から作成した検量線を参照して、高炉スラグ若しくは石灰石の含有率を推定すること特徴とするセメント混合物量の計測方法、を提供する。
本色彩色差計、これを使用した方法を用いることで、現場でサンプリングした試料を分析機関へ送ることなく、迅速、高精度な測定ができるようになり、不良判定や解析がその場で対応可能となり、現場に即した品質管理が可能となった。セメント混合物は高炉スラグ、石灰石が好適である。
装置構成図を図1に示す。光源には 400〜750nmを発光する光源10を用いた。通常のタングステンランプ等と比べて消費電力が低く、かつ短時間で発光強度が安定するからである。この範囲の波長領域を有さないと測定が不正確となる。なお、この範囲の発光が可能なLED(白色ダイオード)を用いることが好ましい。可視光線の波長領域を1つの光源で賄うことが可能だからである。また、複数の単色LEDを組み合わせてこの範囲をカバーすることも可能であるが、センサー部の構造が複雑化するおそれがある。
また、検出器には400〜750nmを検出可能な検出器30を用いる。例えば、この範囲の検出が可能な半導体色センサーを用いた。個別のフォトダイオードに波長選択フィルターを組み合わせるよりも大幅な小型化が可能で、かつ光電流の増幅器を内蔵していて電子回路を簡略化できるからである。この色センサーでは赤、緑、青の各色に応答するフォトダイオードを内蔵しており、それぞれに対応する信号強度を出力できる。得られた信号をマイクロコントローラー40により取得し、各色の信号強度から測色値を演算する。
最初に白色の物体を反射率100%とみなして各色の信号強度を記憶し、続いて試料を測定しその反射率を記憶する。これを三刺激値であるX、Y、Zに変換した後、さらにL*、a*、b*の各測色値に変換し、このうちL*を測定に使用した。
具体的には、対照試料 (反射率100%と仮定する) を測定し、各色の信号強度R0、G0、B0を記憶する。続いて、試料を測定して、各色の信号強度RS、GS、BSを記憶する。これより、各色の反射率R、G、Bを求める。
R = RS/R0
G = GS/G0
B = BS/B0
これより、次式にて、三刺激値であるX、Y、Zを求める。
X = 0.3933R + 0.3651G + 0.1903B
Y = 0.2123R + 0.7010G + 0.0858B
Z = 0.0182R + 0.1117G + 0.9570B
さらに、次式にてL*、a*、b*を求めた。
L* = 116(Y/100)1/3 - 16
a* = 500[(X/98.072)1/3 - (Y/100)1/3]
b* = 200[(Y/100)1/3 - (Z/118.225)1/3]
このようにして得られた様々な色見本のL*、a*、b*値を、市販の光電色彩計 (コニカミノルタ、CR-200) の値と比較して、相関式の傾きが1、切片が0になるようさらに補正した。この簡易装置の測色値をL0、a0、b0、市販装置をLM、aM、bMとすると、
LM = 4.2573L0 + 3.6874
aM = 5.3946a0 + 2.2877
bM = 4.7656b0 + 2.8099
となる関係であった。
ここで、光源として日亜化学社NSPW510CSのLEDを用いたが、他の青色LEDと赤色蛍光体を組み合わせた白色LEDあるいは紫外線LEDと3原色蛍光体を組み合わせた白色LEDも使用できる。また、検出器には浜松ホトニクス製S9706センサーを用いたが、他の3原色フィルターを有する色センサー、例えばTAOS社製TCS230Dなども使用できる。光源および検出器は、図2に示すように半径15 mmのステンレス製半球状ケース70を用いて、光源を半球の天頂の配置とした。また、試料カバー部20に対して光源と検出部の角度を0〜90度の配置で測定可能である。この範囲を外れると反射強度が小さくなり、測定感度が十分でなくなる。30〜60度の範囲が好ましい。この角度で、反射光の強度が大であり、測定感度が高くなるからである。測定セル200は、図2の半球底面で、15mmの半球の直径部分に位置するガラス製試料カバー部20に接するように配置する。
なお、FTDIのUSBシリアル変換IC FT232RL50を用いて、パソコンに接続し、計算することもできる。さらに、発光ダイオード10は、LEDコントローラー11を使用し、検出器30は、コントローラー40から、発信回路31で制御した。
測定セル200には、大きさ35mm径×高さ10mmの円柱状ガラス製容器を用いた。セメント5.0gを測定セル200に取り、15回タッピングにより平滑面を得て、平滑面に、試料カバー部20を通して、セメント試料100に対して、前記光源10からの光を照射し、45度の角度に位置した検出器30で反射光を測定し、前記計算式にて、L*、a*、b*値を求めた。
(セメント種別の判定)
普通ポルトランドセメント(N)、中庸熱セメント(M)、高炉セメントB種(BB)およびエコセメント(EC)のそれぞれについて、本発明の装置により測定し、得られた測色値のうち明るさの成分であるL*の値を用いて、市販色彩計(日本電色工業社製分光色差計SE2000)の値と比較した。表1に、市販色彩計(日本電色工業社製分光色差計SE2000)の値を、表2に、本発明装置の測定結果を示した。両者の結果の相関を図3のグラフに示す。本装置と市販装置では、基準点が異なるため得られた数値自体は異なるが、相関係数が0.9775と、高い相関を示した。各種セメントの判別が可能であるかを検討した結果、表2に示す通り、明確な差が得られ、普通ポルトランドセメント、中庸熱セメント、高炉セメントB種およびエコセメントが迅速に判別できた。
例えば、図3の検量線用試料とは、別の試料で、普通ポルトランドセメント(N)、中庸熱セメント(M)のなかから無作為に任意に選んで測定すると、表2のL*の示す各数値範囲以内におさまった。−40.33近辺のものを、普通セメントと特定し、−45.00近辺のものを、中庸熱セメントと特定することができた。両者の差は明瞭であった。
(混合物量の定量、混合材添加における識別評価)
混合物として、高炉スラグ微粉末を0〜50質量%混合した試料を測定し、混合量に対してL*値を測定した(図4)。結果から明らかなように5質量%程度の差の定量が可能であった。
即ち、普通ポルトランドセメントをベースに、混合材として、高炉スラグ微粉末を所定量混合して、色調測定を行った。なお、混合材添加においては、試料調製の試料混合度が影響するため、所定量をポリ袋内でよく混合した後、SE2000での標準偏差が0.2未満であることを確認した。高炉スラグ微粉末を0〜50質量%添加した混合試料のL値測定結果を図3に示す.良好な直線関係が得られ、5質量%の違いを十分識別可能であった。
次いで、普通ポルトランドセメントをベースに、混合材として、石灰石粉を所定量混合して、色調測定を行った。なお、混合材添加においては、試料調製の試料混合度が影響するため、所定量をポリ袋内でよく混合した後、SE2000での標準偏差が0.2未満であることを確認した。石灰石粉を0〜10質量%添加した混合試料のL値の測定結果を図5に示す。相関関係は得られたがややばらつきのある結果となった、検討範囲が狭いこともあるが、わずかな添加量であるために、試料採取におけるかたよりが加わっていることも推測される。しかしながら、数質量%の混入があれば、識別は十分可能であった。
従来、セメントの特定あるいは異物混入の確認のためには、分析機関に試料を送付して判明までにある程度の日数が必要であったが、本法はわずか5分での測定で評価ができた。
本装置による測定時間は繰返し3回測定してもわずか5分程度であり、現場におけるセメント特定または異物混入等の評価試験法として活用できた。
装置のブロック構成図である。 装置測定部を示す図である。 市販装置及び本装置により測定した種々のセメントのL*(明るさ)値の関係図である。 高炉スラグ微粉末混合試料の検量線図である。 石灰石粉混合試料の検量線図である。
10 光源
11 LEDコントローラー
20 試料カバー部
30 検出器
31 発信回路
32 シグナル光強度データ
40 マイクロコントローラー
50 USBシリアル変換部品
60 液晶ディスプレイ
70 ステンレス製半球状ケース
100 セメント試料
200 試料セル

Claims (3)

  1. 波長域が400〜750nmを含む光源、波長域400〜750nmの光を検知できる検知部と、透光性の試料カバー部、を含み、試料カバーを通して試料に照射する光源からの光の照射方向と、試料からの反射光を検知する検知管の取付け方向のなす角度が30度から60度に設定されて配置されることを特徴とするセメント用色彩色差計。
  2. セメント粉末を入れタッピングして得た平滑面からの反射光強度を、請求項1のセメント用色彩色差計で測定して、計算したL*値を、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、エコセメントに対応させて、数値領域をあらかじめ決定しておき、その種別を判定することを特徴とするセメントの判別方法。
  3. 請求項1の色彩色差計でセメント試料のL*値(明るさ)を測定して、あらかじめ所定の混合比率でセメントと、高炉スラグ若しくは石灰石を混ぜた試料によるL*値から作成した検量線を参照して、高炉スラグ若しくは石灰石の含有率を推定すること特徴とするセメント混合物量の計測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015187556A (ja) * 2014-03-26 2015-10-29 住友大阪セメント株式会社 混合粉体の混合状態の確認方法
JP2016206134A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 太平洋セメント株式会社 セメント組成物の判定方法、およびセメント組成物の処理方法
CN112179902A (zh) * 2020-09-29 2021-01-05 中材海外工程有限公司 一种水泥质量检测方法及水泥质量检测系统

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