JP2012224692A - 多孔質樹脂積層体 - Google Patents

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Tomoyuki Kasagi
智之 笠置
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剛 須藤
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Abstract


【課題】 本発明の目的は、耐熱性を有し、厚みがあり、低い誘電率を有する多孔質樹脂積層体を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを積層した多孔質樹脂積層体であって、厚みが1.0mm以上であり、1GHzにおける誘電率が2.50以下である多孔質樹脂積層体を提供する。特に本発明の多孔質樹脂積層体は、多孔質樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂が、ポリイミドまたはポリエーテルイミドから選ばれるいずれか1種であることが好適であり、多孔質樹脂積層体は、1GHzにおける誘電正接が、0.010以下であること、密度が1.000g/cm以下であることが好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性を有し、厚みがあり、低い誘電率を有する多孔質樹脂積層体に関する。この多孔質樹脂積層体は、回路用基板、携帯電話用アンテナなどの高周波回路に使用される低誘電率材料、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、断熱材等の広範囲な基板材料として利用可能である。
携帯電話用アンテナなどの高周波用回路基板として、信号伝送損失を低減するために低誘電材料を使用した回路基板が必要とされており、例えばセラミックスを用いた回路基板が使用されている。
セラミックス基板としてはアルミナを原料としたアルミナ基板が使われており、ハンダリフローに対する耐熱性を有しているが、重量が重く、割れやすいといった課題があり、樹脂による代替化が進んでいる。さらに、信号伝送の向上のため高周波領域での使用が望まれるが、その際、伝送損失低減のために低誘電材料を使用した回路基板が必要となる。一般に誘電損失は下式に示されるように誘電率、誘電正接が小さいほど小さくなり、伝送損失低減に効果がある。
Ad=27.3×f/C×tanδ×√ε
Ad:誘電損失
f :周波数(Hz)
ε :誘電率
C :光速度
tanδ:誘電正接
低誘電基板としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラスファイバーなどが一般的に用いられるが、セラミックス基板と比べ平面アンテナの小型化には不向きである。しかし、誘電損失が小さく利得の優れたアンテナが作製できる。また、現在は一つのアンテナでいくつかのアプリケーションを使用する多周波共用アンテナが必要となっている。多周波共用アンテナは周波数帯の帯域幅を広帯域化することで実現される。平面アンテナを広帯域化する手段としては、無給電放射パッチ素子をマイクロストリップアンテナ放射素子の上部に配置結合したり、給電線に広帯域化整合回路を付加したりする方法がある。しかし、これら広帯域化手段を用いると、アンテナ装置の構成が複雑となり、設計も煩雑となる欠点があった。そのための手法としてアンテナ基板の厚膜化が用いられてきた。
一方、低誘電性を保持するため、基板フィルムを多孔化することで誘電率を低下させることが知られている。空孔を有するフィルムとしてポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いた多孔質フィルムがあり、低誘電化とシート厚手化を達成しているが、耐熱性が十分でなく、強度も十分でない。また高耐熱ポリマーを用いた多孔フィルムが検討されているが、誘電率は十分に低いものの、シートの厚手化が困難であった(特許文献1、特許文献2参照)。すなわち特許文献1においては、耐熱性ポリマーに二酸化炭素などの非反応性ガスを超臨界状態で含浸させた後、圧力を減少させ、次いで120℃を超える温度で加熱して発泡させる耐熱性ポリマー発泡体の製造方法が開示されているが、含浸時の温度が低いため1mm以上の厚膜化を実現する程度の発泡は達成されていない。また特許文献2においては、湿式凝固法により連続気泡多孔質体を得ることが開示されているが、1mm以上の厚さの多孔質体を得るとの開示はない。
特開2001−55464号公報 特開2004−87638号公報
本発明の目的は、耐熱性を有し、厚みがあり、低い誘電率を有する多孔質樹脂積層体を提供することにある。
すなわち本発明は、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを積層した多孔質樹脂積層体であって、厚みが1.0mm以上であり、1GHzにおける誘電率が2.50以下である多孔質樹脂積層体を提供する。
本発明の多孔質樹脂積層体は、多孔質樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂が、ポリイミドまたはポリエーテルイミドから選ばれるいずれか1種であることが好適である。
また本発明の多孔質樹脂積層体は、1GHzにおける誘電正接が、0.010以下であることが好適であり、密度が1.000g/cm以下であることが好適である。
さらに本発明の多孔質樹脂積層体は、高周波用回路基板として用いることができる。
本発明の多孔質樹脂積層体は、耐熱性を有し、厚みがあり、低い誘電率を有するという特性を生かし、回路用基板、携帯電話用アンテナなどの高周波回路に使用される低誘電率材料、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、断熱材等の広範囲な基板材料として利用可能である。
図1は、実施例1の多孔質樹脂積層体の断面の電子顕微鏡(SEM)写真である。 図2は、実施例1の多孔質樹脂シートの電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の多孔質樹脂積層体は、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを積層した多孔質樹脂積層体であって、厚みが1.0mm以上であり、1GHzにおける誘電率が2.50以下であることを特徴とする。
(熱可塑性樹脂)
本発明において、多孔質樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂は、耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いることが必要であり、具体的にはガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂を用いる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上混合して使用できる。
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、温時の寸法安定性がよく長期での耐久性が高いことから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンが好適に使用することができ、特にポリイミド、ポリエーテルイミドが好ましい。
前記ポリイミドは公知乃至慣用の方法により得ることができる。例えば、ポリイミドは、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを反応させてポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を合成し、このポリイミド前駆体を脱水閉環することにより得ることができる。
上記有機テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。これらの有機テトラカルボン酸二無水物は単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
上記ジアミノ化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
なお本発明において用いられるポリイミドとしては、有機テトラカルボン酸二無水物として、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミノ化合物としてp−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体は、略等モルの有機テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物(ジアミン)とを、通常、有機溶媒中、0〜90℃で1〜24時間程度反応させることにより得られる。前記有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が挙げられる。
ポリイミド前駆体の脱水閉環反応は、例えば、300〜400℃程度に加熱したり、無水酢酸とピリジンの混合物などの脱水環化剤を作用させることにより行われる。一般に、ポリイミドは有機溶媒に不溶であり、成形困難なポリマーである。そのため、ポリイミドからなる多孔質体を製造する場合、前記ミクロ相分離構造を有するポリマー組成物の調製には、ポリマーとして上記のポリイミド前駆体を用いるのが一般である。
なお、ポリイミドは、上記方法のほか、有機テトラカルボン酸二無水物とN−シリル化ジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸シリルエステルを加熱閉環させる方法などよっても得ることができる。
前記ポリエーテルイミドは、前記ジアミノ化合物と、2,2,3,3−テトラカルボキシジュフェニレンエーテル二無水物のような芳香族ビスエーテル無水物との脱水閉環反応により得ることができるが、市販品、例えば、ウルテム樹脂(SABIC社製)、スペリオ樹脂(三菱樹脂社製)などを用いてもよい。
前記ポリエーテルスルホンは、ジクロロジフェニルスルホンとジヒドロキシジフェニルスルホンのカリウム塩との縮重合反応によりえることができるが、市販品、例えば、ウルトラゾーンEシリーズ(BASF社製)、レーデルAシリーズ(ソルベイ社製)などを用いてもよい。
(その他の成分)
本発明において、多孔質樹脂シートには、熱可塑性樹脂のほか、本発明の効果を損ねない範囲において、種々の添加剤を含んでいてもよい。この添加剤の種類は特に限定されず、粘着付与樹脂、難燃剤、酸化防止剤、無機フィラー、気泡核剤、結晶核剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤などの一般的なプラスチック用配合剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、多孔質樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物の全成分量100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部用いることができる。
(多孔質樹シートの製造方法)
本発明の多孔質樹脂積層体は、前記熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを積層して形成しており、多孔質樹脂シートは、前記熱可塑性樹脂およびその他の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を多孔質化することで得ることができる。多孔質化する方法は特に限定されず、従来周知の化学発泡、物理発泡などにより発泡させることで得ることが出来るが、本発明の低誘電率の多孔質樹脂積層体を得るためには、微細な気泡を高い空孔率で均一に形成することが好ましく、この点から、(1)非反応性ガスにより発泡させる方法、または(2)熱可塑性樹脂中に相分離させた相分離化剤を抽出する方法、のいずれかが好ましい。これらの方法では、化学発泡の場合に用いられる発泡剤に起因する反応残渣が残らず、また気泡が独立気泡構造となるため、吸湿などによる電気特性の変動が起こりにくい。
(1)非反応性ガスにより発泡させる方法による多孔質樹脂シートの製造方法においては、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物に非反応性ガスを加圧下で含浸させるガス含浸工程、ガス含浸工程後に圧力を減少させて熱可塑性樹脂組成物を発泡させる発泡工程、を含む。
ガス含浸工程は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物に非反応性ガスを加圧下に含浸させる工程であり、非反応性ガスとしては、例えば二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらのガスは、単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
これらの非反応性ガスのうち、多孔質樹脂シートの素材として用いる熱可塑性樹脂への含浸量が多く、含浸速度も速い二酸化炭素の使用が特に好ましい。
非反応性ガスを含浸させる際の圧力および温度は、非反応性ガスの種類、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の種類、および目的とする多孔質樹脂シートの平均気泡径や空孔率によって適宜調整する必要がある。例えば非反応性ガスとして二酸化炭素を用い、熱可塑性樹脂としてポリイミドを用いた場合において、平均気泡径を5.0μm以下、空孔率を30%以上の多孔質樹脂シートを製造するためには、圧力は7.4〜100MPa程度、好ましくは20〜50MPaであり、温度は120〜350℃程度、好ましくは120〜300℃程度である。また例えば非反応性ガスとして二酸化炭素を用い、熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミドを用いた場合において、平均気泡径を5.0μm以下、空孔率を30%以上の多孔質樹脂シートを製造するためには、圧力は7.4〜100MPa程度、好ましくは20〜50MPaであり、温度は120〜260℃程度、好ましくは120〜220℃程度である。
また、ポリマー中への含浸速度を速めるという観点から、前記非反応性ガスは超臨界状態であることが好ましい。例えば、二酸化炭素の場合、臨界温度が31℃、臨界圧力が7.4MPaであり、温度31℃以上、圧力7.4MPa以上の超臨界状態にすると、ポリマーへの二酸化炭素の溶解度が著しく増大し、高濃度の混入が可能となる。また、超臨界状態でガスを含浸させるとポリマー中のガス濃度が高いため、急激に圧力を降下させると、気泡核が多量に発生し、その気泡核が成長してできる気泡の密度が大きくなり、非常に微細な気泡を得ることができる。
本発明において発泡工程は、前記ガス含浸工程後に圧力を減少させて熱可塑性樹脂組成物を発泡させる工程である。圧力を減少させることにより、熱可塑性樹脂組成物中に気泡核が多量に発生する。圧力を減少させる程度(減圧速度)は特に制限されないが、5〜400MPa/秒程度である。
本発明においては、発泡工程により気泡核が形成された熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質樹脂シートを、150℃以上の温度で加熱する加熱工程を設けてもよい。気泡核が生じた多孔質樹脂シートを加熱することにより、気泡核が成長し、気泡が形成される。加熱温度は180℃以上であることが好ましく、より好ましくは200℃以上である。加熱温度が150℃未満では、空孔率の高い多孔質樹脂シートを得ることが困難な場合がある。なお加熱工程後には、多孔質樹脂シートを急冷して気泡の成長を防止したり、気泡形状を固定してもよい。
本発明において、少なくとも熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物に非反応性ガスを加圧下で含浸させるガス含浸工程と、ガス含浸工程後に圧力を減少させて熱可塑性樹脂組成物を発泡させる発泡工程は、バッチ方式、連続方式の何れの方式で行ってもよい。
バッチ方式によれば、例えば以下のようにして発泡体を製造できる。すなわち、少なくとも熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、熱可塑性樹脂を基材樹脂として含むシートが形成される。あるいは、少なくとも熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形することにより、熱可塑性樹脂を基材樹脂として含むシートが形成される。こうして得られる未発泡シートを高圧容器中に入れて、二酸化炭素、窒素、空気などからなる非反応性ガスを注入し、前記未発泡シート中に非反応性ガスを含浸させる。十分に非反応性ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、基材樹脂中に気泡核を発生させる。そして、この気泡核を加熱することによって気泡を成長させた後、冷水などで急激に冷却し、気泡の成長を防止したり、形状を固定することにより耐熱性ポリマー発泡体が得られる。
一方、連続方式によれば、例えば、少なくとも熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら非反応性ガスを注入し、十分に非反応性ガスを樹脂中に含浸させた後、押し出すことにより圧力を解放(通常、大気圧まで)して気泡核を発生させる。そして、加熱することによって気泡を成長させた後、冷水などで急激に冷却し、気泡の成長を防止したり、形状を固定化することにより耐熱性ポリマー発泡体を得ることができる。
(2)熱可塑性樹脂中に相分離させた相分離化剤を抽出する方法による多孔質樹脂シートの製造方法においては、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂の硬化体と相分離する相分離剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させてミクロ相分離構造を有する熱可塑性樹脂シートを作製する工程、熱可塑性樹脂シートから相分離化剤を除去する工程、により多孔質樹脂シートを製造することを含む。
本発明において、前記ミクロ相分離構造の非連続相を構成する成分(以下、単に「相分離化剤」と称する場合がある)としては、上記熱可塑性樹脂と混合した場合に相溶性であり、かつ該樹脂成分の硬化体と相分離する化合物である。ただし熱可塑性樹脂成分と相分離する化合物であっても、適宜な媒体(例えば有機溶剤)を加えることで均一状態(均一溶液)となるものは使用可能である。
このような相分離化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;前記ポリアルキレングリコールの片末端もしくは両末端メチル封鎖物、又は片末端もしくは両末端(メタ)アクリレート封鎖物;ウレタンプレポリマー;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物などが例示される。これらの相分離化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用することも出来る。
本発明においては、前記相分離化剤を用いることで、微小なミクロ相分離構造を得ることができ、このため多孔質樹脂シートにおいて、平均気泡径を5μm以下とすることもできる。
上記相分離化剤の分子量は特に制限はないが、後の除去操作が容易になることから、重量平均分子量として10000以下、例えば100〜10000程度であるのが好ましく、より好ましくは100〜2000である。重量平均分子量が100未満の場合には、樹脂成分の硬化体と相分離し難くなり、一方重量平均分子量が10000を超えると、ミクロ相分離構造が大きくなりすぎたり、樹脂成型体中から除去し難くなったりする。
前記相分離剤の添加量は、該相分離剤と前記熱可塑性樹脂との組み合わせに応じて適宜選択出来るが、例えば多孔質樹脂シートの空孔率を30%以上にするためには、通常熱可塑性樹脂100重量部に対して25〜300重量部、より好ましくは30〜200重量部用いることができる。
以下、(2)熱可塑性樹脂中に相分離させた相分離化剤を抽出する方法による本発明の多孔質樹脂シートの製造方法について詳しく説明する。
まず、前記熱可塑性樹脂と相分離化剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を基板上に塗布する。
均一な熱可塑性樹脂組成物を調製するために、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、及びアセトンなどのケトン類;N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなどのアミド類などの有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒の使用量は、樹脂成分100重量部に対して通常100〜500重量部であり、好ましくは200〜500重量部である。
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限されず、例えば、PET、PE、及びPPなどのプラスチックフィルム;ガラス板;ステンレス、銅、及びアルミニウムなどの金属箔が挙げられる。連続して樹脂シートを製造するために、ベルト状の基材を用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物を基材上に塗布する方法は特に制限されず、連続的に塗布する方法としては、例えば、ワイヤーバー、キスコート、及びグラビアなどが挙げられ、バッチで塗布する方法としては、例えば、アプリケーター、ワイヤーバー、及びナイフコーターなどが挙げられる。
次に、基板上に塗布した熱可塑性樹脂組成物を硬化させて、相分離化剤がミクロ相分離した熱可塑性樹脂シートを作製する。ミクロ相分離構造は、通常、熱可塑性樹脂成分を海、相分離化剤を島とする海島構造となる。
熱可塑性樹脂組成物が溶媒を含まない場合には、塗布膜に熱硬化処理などの硬化処理を施し、塗布膜中の熱可塑性樹脂成分を硬化させて相分離化剤を不溶化する。
熱可塑性樹脂組成物が溶媒を含む場合には、塗布膜中の溶媒を蒸発(乾燥)させてミクロ相分離構造を形成した後に熱可塑性樹脂成分を硬化させてもよく、熱可塑性樹脂成分を硬化させた後に溶媒を蒸発(乾燥)させてミクロ相分離構造を形成してもよい。溶媒を蒸発(乾燥)させる際の温度は特に制限されず、用いた溶媒の種類により適宜調整すればよいが、通常10〜250℃であり、好ましくは60〜200℃である。
次に、熱可塑性樹脂シートからミクロ相分離した相分離化剤を除去して多孔質樹脂シートを作製する。なお、相分離化剤を除去する前に熱可塑性樹脂シートを基材から剥離しておいてもよい。
熱可塑性樹脂シートから相分離化剤を除去する方法は特に制限されないが、溶剤で抽出する方法が好ましい。溶剤は、相分離化剤に対して良溶媒であり、かつ熱可塑性樹脂成分の硬化体を溶解しないものを用いる必要があり、例えば、トルエン、エタノール、酢酸エチル、及びヘプタンなどの有機溶剤、液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素及び超臨界二酸化炭素は、樹脂シート内に浸透しやすいため相分離化剤を効率よく除去することができる。
溶剤として液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を用いる場合には、通常、圧力容器を用いる。圧力容器としては、例えば、バッチ式の圧力容器、耐圧性のシート繰り出し・巻き取り装置を有する圧力容器などを用いることができる。圧力容器には、通常、ポンプ、配管、及びバルブなどにより構成される二酸化炭素供給手段が設けられている。
液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素で相分離化剤を抽出する際の温度及び圧力は、二酸化炭素の臨界点以上であればよく、通常、32〜230℃、7.3〜100MPaであり、好ましくは40〜200℃、10〜50MPaである。
抽出は、熱可塑性樹脂シートを入れた圧力容器内に、液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を連続的に供給・排出して行ってもよく、圧力容器を閉鎖系(投入した樹脂シート、液化二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素が容器外に移動しない状態)にして行ってもよい。超臨界二酸化炭素および亜臨界二酸化炭素を用いた場合には、熱可塑性樹脂シートの膨潤が促進され、かつ不溶化した相分離化剤の拡散係数の向上によって効率的に熱可塑性樹脂シートから相分離化剤が除去される。液化二酸化炭素を用いた場合には、前記拡散係数は低下するが、熱可塑性樹脂シート内への浸透性が向上するため効率的に樹脂シートから相分離化剤が除去される。
抽出時間は、抽出時の温度、圧力、相分離化剤の配合量、及び熱可塑性樹脂シートの厚みなどにより適宜調整する必要があるが、通常、1〜10時間であり、好ましくは2〜10時間である。
一方、溶剤として有機溶剤を用いて抽出する場合、大気圧下で相分離化剤を除去できるため、液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を用いて抽出する場合に比べて多孔質樹脂シートの変形を抑制できる。また、抽出時間を短縮することもできる。さらに、有機溶剤中に順次熱可塑性樹脂シートを通すことにより、連続的に相分離化剤の抽出処理を行うことができる。
有機溶剤を用いた抽出方法としては、例えば、有機溶剤中に熱可塑性樹脂シートを浸漬する方法、熱可塑性樹脂シートに有機溶剤を吹き付ける方法などが挙げられる。相分離化剤の除去効率の観点から浸漬法が好ましい。また、数回に亘って有機溶剤を交換したり、撹拌しながら抽出することで効率的に相分離化剤を除去することができる。
相分離化剤を除去した後に多孔質樹脂シートを乾燥処理等してもよい。
本発明においては、相分離化剤として加熱により蒸発または分解できるものを用いた場合は、上記抽出の前に、相分離化剤を加熱して蒸発又は分解することで除去する方法と組み合わせることもできる。相分離化剤を加熱いより蒸発又は分解する場合の加熱温度は、相分離化剤の沸点、分解温度に応じて適宜選択できるが、一般に100℃以上、例えば100〜500℃、好ましくは250〜450℃程度である。蒸発、分解操作は、前記相分離化剤の除去効率を高めるため、減圧下(例えば、1mmHg以下)で行うことが好ましい。蒸発又は分解と抽出操作を組み合わせて行うので、一方の操作では除去出来ない添加剤の残渣を他の操作により完全に取り除くことが出来、誘電率の極めて低い多孔質樹脂シートを得ることが出来る。
(多孔質樹脂シート)
本発明において、多孔質樹脂シートの厚さは特に限定されないが10〜500μmであり、好ましくは30〜300μm、さらに好ましく50〜200μmであることが望ましい。多孔質樹脂シートの厚さが10〜500μmであれば、多孔質が形成されやすく、適度にフィルムの剛性があり積層しやすいという利点がある。一方、多孔質樹脂シートの厚さが10μm未満であると多孔したフィルムが脆くなる場合があり、500μmを超えると多孔化しにくい場合がある。
また本発明において、多孔質樹脂シートの1GHzにおける誘電率は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.90以下、さらに好ましくは1.85以下(通常1.40以上)であることが望ましい。多孔質樹脂シートの誘電率が2.00以下であれば、これを積層した多孔質樹脂積層体の1GHzにおける誘電率を2.50以下とすることができる。一方、1GHzにおける誘電率が2.00を超えると、多孔質樹脂積層体の1GHzにおける誘電率を2.50以下つすることが困難になる。なお誘電率は、多孔質樹脂シートに用いる熱可塑性樹脂固有の誘電率に依存するが、空孔率を高くすることで低誘電化することが可能である。
また本発明において、多孔質樹脂シートの誘電正接は、好ましくは0.007以下、より好ましくは0.006以下、さらに好ましくは0.005以下であることが望ましい。孔質樹脂シートの誘電正接が0.007以下であれば、これを積層した多孔質樹脂積層体の誘電正接を0.010以下とすることができる。一方、多孔質樹脂シートの誘電正接が0.007を超えると、多孔質樹脂積層体の誘電正接を0.010以下とすることが困難になる場合がある。
また本発明において、多孔質樹脂シートの弾性率は、好ましくは200MPa以上、より好ましくは220MPa以上、さらに好ましくは240MPa以上であることが望ましい(通常1500MPa以下)。多孔質樹脂シートの弾性率が200MPa以上であれば、これを積層した多孔質樹脂積層体の剛性を満足することができる。一方、多孔質樹脂シートの弾性率が200MPa未満であると多孔質樹脂積層体が変形しやすくなるだけでなく、接着剤との貼り合せが困難になる場合がある。
本発明において多孔質樹脂シートの弾性率は、IPC-TM-650、Number2.4.18.3に基づいて行い、引張速度50mm/minにおける応力曲線の傾きより算出する引張弾性率を用いる。
本発明において、多孔質樹脂シートに含まれる気泡の平均気泡径は、10.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは7.0μm以下であることが望ましい(通常0.01μm以上)。多孔質樹脂シートに含まれる気泡の平均気泡径が10.0μm以下であれば、絶縁性や機械強度を低下させることなく誘電率および誘電正接を低くすることができるという利点があり、10.0μmを超えると絶縁性や機械強度が低下する場合がある。
本発明の多孔質樹脂シートに含まれる気泡の平均気泡径は、多孔質樹脂シートの切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製「S−3400N」)で観察したのち、その画像を画像処理ソフト(三谷商事社製「WinROOF」)で二値化処理し、気泡部と樹脂部とに分離して気泡の最大垂直弦長を測定した。気泡径の大きいほうから50個の気泡について平均値をとり、平均気泡径とした。
また本発明において、多孔質樹脂シートの空孔率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上であることが望ましい(通常80%以下)。多孔質樹脂シートの空孔率が30%以上であればシート内に均等な空孔が存在する状態となり誘電特性のバラツキがなくなるという利点がある。一方、多孔質樹脂シートの空孔率が30%未満であると空孔形成状態が偏より誘電特性のバラツキが発生しやすくなる場合がある。
本発明の多孔質樹脂シートの空孔率は、発泡前の熱可塑性樹脂組成物、および発泡後の多孔質樹脂シートの比重を測定し、その比(発泡前の熱可塑性樹脂組成物の比重/発泡後の多孔質樹脂シートの比重)により算出する。
また本発明において、多孔質樹脂シートの引張強度(破断強度)は、8〜60MPa、好ましくは10〜50MPaであることが望ましい。多孔質樹脂シートの引張強度が8〜60MPaの範囲であれば、これを積層した多孔質樹脂積層体を回路用基板、帯電話用アンテナ、電磁波制御材、断熱材等に使用する場合に十分な強度を有し、また安定した誘電特性を得ることができる。一方、多孔質樹脂シートの引張強度が8MPa未満であると前記用途に用いる場合に十分な強度を得ることができない場合があり、また気泡径が大きくなるため誘電特性がばらつく場合がある。また多孔質樹脂シートの引張強度が60MPaを超えると、十分に空孔形成が出来ておらず、低い誘電率、誘電正接が得られない場合がある。
また本発明において、多孔質樹脂シートの引張伸び(破断伸度)は、好ましくは2.0〜20.0%、より好ましくは3.0〜15.0%であることが望ましい。多孔質樹脂シートの引張伸びが2.0〜20.0%の範囲であれば、これを積層した多孔質樹脂積層体を回路用基板、帯電話用アンテナ、電磁波制御材、断熱材等に使用する場合に、変形等のない十分な形状安定性を有し、また安定した誘電特性を得ることができる。多孔質樹脂シートの引張伸びが2.0%未満であると、十分に空孔形成が出来ておらず、低い誘電率、誘電正接が得られない場合がある。また多孔質樹脂シートの引張伸びが20.0%を超えると、前記用途に用いる場合に変形等の恐れがあり、また気泡径が大きくなるため誘電特性がばらつく場合がある。
本発明において多孔質樹脂シートの引張強度および引張伸びは、IPC-TM-650、Number
2.4.18.3に基づいておこない、引張速度50mm/minにおける破断点の強度および伸びより求められる。
(多孔質樹脂積層体)
本発明の多孔質樹脂積層体は、前記多孔質樹脂シートを積層し、その厚みが1.0mm以上とするものである。
前記多孔質樹脂シートを積層する方法は特に限定されず、熱融着や超音波融着により接合する方法、両面粘着シートにより接合する方法等であってもよいが、加工のしやすさや積層体とした時の接着強度を確保できると点から、接着剤層を介して貼り合わせる方法が好ましい。
本発明において、多孔質樹脂シートを貼り合わせる接着剤は特に限定されず、例えばエポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、オレフィン樹脂系接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤等を用いることができる。特に本発明においては、多孔質樹脂シートと良好な接着性を有するという点から、エポキシ系接着剤を用いることが好ましい。
本発明において用いる接着剤は、十分な接着力があり、かつ誘電率および誘電正接が小さいという特徴、機能、物性を有するものを用いることが有効である。すなわち、本発明の多孔質樹脂積層体の1GHzにおける誘電率を2.50以下とするためには、誘電率が3.0より小さく、かつ誘電正接が0.030より小さい接着剤を用いることが好ましく、その点からもエポキシ樹脂系接着剤が賞用される。
本発明において、多孔質樹脂シートを貼り合わせる接着剤は、多孔質樹脂シートに所定の厚さの接着剤層を形成することができる。接着剤層の厚さは特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。接着剤層の厚さが1μm未満であると多孔質樹脂シートを十分な接着強度で接着することが困難な場合があり、一方100μmを超えると多孔質樹脂積層体の誘電率および誘電正接が大きくなる場合がある。
本発明において接着剤は、液状のものを塗布して接着剤層としても良いが、作業性、厚さ精度の点から、固形状、半固形状の接着剤をシート状にした接着シートであることが好ましい。接着シートは、接着剤層のみの基材レスタイプであってもよいし、ポリエステルフィルムや、不織布といった基材を含む接着シートであっても構わない。
多孔質樹脂シートを接着剤層を介して貼り合わせた後、接着剤層の硬化を助けるために適宜エージングすることが望ましい。例えば、液状の接着剤(例えばエポキシ樹脂)を用いた場合、温度50〜200℃、好ましくは100〜150℃で、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間、エージングすることが望ましい。また前記接着シートを用いた場合、前記条件で加熱するだけでなく、加圧条件でエージングすることもでき、例えば圧力5〜30kgf/cm、好ましくは10〜20kgf/cmの条件で、温度50〜200℃、好ましくは100〜150℃で、30分〜5時間、好ましくは1〜3時間真空熱プレス機を使用して、エージングすることが望ましい。
本発明の多孔質樹脂積層体は、多孔質樹脂シートを2枚以上積層し、その厚みが1mm以上であればよいが、積層する枚数は、好ましくは2〜20枚、より好ましくは5〜15枚であることが望ましい。15枚以上積層すると、接着剤層が増し、誘電率が大きくなったり、接着ムラが発生するという不具合が生じる場合がある。
本発明の多孔質樹脂積層体は、その厚さが1.0mm以上であることを特徴とする。多孔質樹脂積層体の厚さは、好ましくは1.0〜10.0mmであり、より好ましくは1.0〜8.0mmであり、さらに好ましくは1.0〜5.0mmであることが望ましい。多孔質樹脂積層体の厚さが1.0mm以上であれば、十分な剛性を有するという利点がある。一方、1.0mm未満であると、剛性が不十分であり、形状を保持できないという不具合がある。
本発明において、多孔質樹脂シートおよび多孔質樹脂積層体の厚みは、50mm×50mmのサンプルにおいて、その面内を1cm毎に分けた25点について、ダイヤルゲージで膜厚を測定し、その平均値を厚さとする。
また本発明において、多孔質樹積層体の1GHzにおける誘電率は、2.50以下であることを特徴とする。多孔質樹積層体の1GHzにおける誘電率は、好ましくは2.20以下であり、より好ましくは2.00以下であることが望ましい(通常1.40以上)。多孔質樹脂積層体の誘電率が2.50以下であれば、誘電損失が小さくなるという利点がある。一方、1GHzにおける誘電率が2.50を超えると、誘電損失が大きくなるという不具合がある。
本発明の多孔質樹脂積層体の1GHzにおける誘電率を、2.50以下とするには、前述の多孔質樹脂シートとして1GHzにおける誘電率が2.00以下の物を用いること、多孔質樹脂シートを接着剤層を介して積層する場合、接着剤としてエポキシ系接着剤を用い、その厚さを100μm以下とすることにより実現することができる。
また本発明において、多孔質樹脂積層体の誘電正接は、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.009以下、さらに好ましくは0.008以下であることが望ましい。孔質樹脂積層体の誘電正接が0.010以下であれば、高周波領域での誘電損失が低減できるという利点がある。一方、誘電正接が0.010を超えると、誘電損失がおおきくなるという不具合が起こる場合がある。
本発明において多孔質樹脂シートおよび多孔質樹脂積層体の誘電率および誘電正接は、空洞共振器接動法により周波数1GHzにおいて測定される。
また本発明において、多孔質樹脂積層体の密度は、好ましくは1.000g/cm以下、より好ましくは0.020〜0.900g/cm、さらに好ましくは0.040〜0.700g/cmであることが望ましい。多孔質樹脂積層体の密度が1.000g/cm以下であれば、積層体が軽くできるという利点がある。一方、密度が1.000g/cmを超えると、積層体が重くなるという不具合が起こる場合がある。
本発明の多孔質樹脂積層体は、耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いることで、ハンダ耐熱性を有することができる。ハンダ耐熱性は260℃に加熱したハンダリフロー中に多孔質樹脂シートを30秒間浮かべて変化の有無を観察することにより評価される。
本発明の多孔質樹脂積層体は、その少なくとも一面に金属箔層を形成することにより、多孔体基板とすることができる。多孔体基板は、携帯電話用のアンテナまたはアンテナ用基板、高周波用の回路基板や電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材として使用される。
金属箔としては特に限定されるものではないが、通常、ステンレス箔、銅箔、アルミニウム箔、銅−ベリリウム箔、リン青銅箔、鉄−ニッケル合金箔等が用いられる。金属箔層を形成する方法としては特に限定されないが、(1)金属箔からなる基材の上に発泡させる樹脂層を形成しておき、これを発泡させる方法、(2)発泡樹脂層を先に作製し、これにスパッタリング、電解メッキ、無電解メッキ等の公知の方法でメタライズする方法等が挙げられる。また、2つ以上の手法を組み合わせて用いることもできる。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
〔測定及び評価方法〕
(誘電率、誘電正接)
多孔質樹脂シートおよび多孔質樹脂積層体の誘電率、誘電正接は、空洞共振器接動法により、周波数1GHzにおける誘電率、誘電正接を測定した。測定機器は、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製「ベクトルネットワークアナライザN5230C」、関東電子応用開発社製「空洞共振器1GHz」)によって、サンプルサイズφ2mm×70mm長さを用いて測定した。
(厚さ、厚さのばらつき)
多孔質樹脂シートおよび多孔質樹脂積層体から50mm×50mmのサンプルを採取し、その面内を1cm毎に分けた25点について、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製「R1−205」)で膜厚を測定し、その平均値を厚さとし、最大値と最小値の差をばらつきとした。
(密度)
多孔質樹脂積層体から約80mm×2mmのサンプルを採取し、該サンプルの寸法をノギスで測定した後、その重量を電子天秤で測定し、次式より密度を求めた。
密度(g/cm)=サンプルの重量(g)/サンプルの体積(cm
(平均気泡径)
多孔質樹脂シートを液体窒素で冷却し、刃物を用いてシート面に対して垂直に切断して評価サンプルを作製した。サンプルの切断面にAu蒸着処理を施し、該切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製「S−3400N」)で観察した。その画像を画像処理ソフト(三谷商事社製「WinROOF」)で二値化処理し、気泡部と樹脂部とに分離して気泡の最大垂直弦長を測定した。気泡径の大きいほうから50個の気泡について平均値をとり、平均気泡径とした。
(空孔率)
発泡前の熱可塑性樹脂組成物、および発泡後の多孔質樹脂シートの比重を比重計(Alfa Mirage社製「MD−300S」)により測定し、その比(発泡前の熱可塑性樹脂組成物の比重/多孔質樹脂シートの比重)により算出した。
(機械物性)
多孔質樹脂シートの機械物性(弾性率、引張強度、引張伸び)は、IPC-TM-650, 2.4.18.3に準じ、引張圧縮試験機(ミネベア社製「テクノグラフ TG‐100kN」)により、引張速度50mm/minで得られる応力曲線より算出した。
(剛性)
多孔質樹脂積層体に1kgの荷重をかけ、変形性を観察した。
○:変形しない ×:容易に変形する
(ハンダ耐熱性)
ハンダ耐熱性は260℃に加熱したハンダリフロー中に多孔質樹脂積層体を30秒間浮かべ、変化の有無を観察した。
○:変化なし、 ×:収縮や溶融などの外観・外形変化あり
実施例1
ポリエーテルイミド樹脂(SABIC社製、商品名「ウルテム1000」、Tg217℃ 比重1.27)と、相分離化剤としてポリプロピレングリコール(日油社製、商品名「ユニーオールTG330」、平均分子量330)を重量比100:75で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、固形分濃度20%の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、その後110℃で10分乾燥させてNMPを蒸発除去し、厚さ80μmの熱可塑性樹脂シートを得た。
この熱可塑性樹脂シートを500ccの耐圧容器に入れ、25℃の雰囲気中、25MPaに加圧した後、圧力を保ったままガス量にして約15リットル/分の流量で二酸化炭素を注入、排気してポリプロピレングリコールを抽出する操作を5時間行い、厚さ80μmのポリエーテルイミドからなる多孔質樹脂シートとした。得られた多孔質樹脂シートの平均気泡径は5.0μm、空孔率は72%、誘電率はε=1.62(1GHz)、誘電正接は0.005(1GHz)、弾性率は550MPa、引張強度は19MPa、引張伸びは13%であった。
得られた多孔質樹脂シート10枚を、エポキシ樹脂系接着シート(日東シンコー社製、商品名「B−EL10」、厚さ40μm)を介して積層し、15kgf/cm、150℃の加温加圧条件のオートクレーブ中で3時間エージングし、多孔質樹脂積層体を得た。図1に多孔質樹脂積層体の断面の電子顕微鏡(SEM)写真(200倍)を示した。また図2に、多孔質樹脂シートの電子顕微鏡(SEM)写真(2500倍)を示した。
実施例2
1000mlの4つ口フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)785.3重量部とp−フェニレンジアミン44.1重量部と4,4´−ジアミノジフェニルエーテル20.4重量部を仕込み、常温で攪拌させながら溶解した。次いで、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物150.2重量部を添加し、温度25℃で1時間反応させた後、75℃で25時間加熱することによりB型粘度計による溶液粘度が160Pa・sのポリアミド酸溶液(固形分濃度20wt%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液に、相分離化剤としてポリプロピレングリコール(日油社製、商品名「ユニーオールTG330」、平均分子量330)を重量比100:75で、溶解させ、固形分濃度20%の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、その後110℃で10分乾燥させてNMPを蒸発除去し、厚さ100μmの熱可塑性樹脂シートを得た。
この熱可塑性樹脂シートを500ccの耐圧容器に入れ、25℃の雰囲気中、25MPaに加圧した後、圧力を保ったままガス量にして約15リットル/分の流量で二酸化炭素を注入、排気してポリプロピレングリコールを抽出する操作を5時間行った。その後、多孔質樹脂シートを耐圧容器から取り出し、150℃のオーブンに入れ、60分かけて340℃まで昇温し、その状態のまま10分保持して加熱しポリアミド酸をポリイミドに変換して、ポリイミド(Tg250℃)からなる多孔質樹脂シートとした。得られた多孔質樹脂シートの厚さは、100μm、平均気泡径は3.0μm、空孔率は76%、誘電率はε=1.42(1GHz)、誘電正接は0.004(1GHz)、弾性率は1150MPa、引張強度は41MPa、引張伸びは5%であった。
その後は実施例1と同様にして、多孔質樹脂積層体を得た。
比較例1
ポリプロピレン[200℃のメルトフローレート(MFR):0.35g/10min] を、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混錬機にて、200℃の温度で混錬した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に切断して成形した。このペレットを、日本製鋼所社製の単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気中、13(注入後12)MPa/cmの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ポリマー全量に対して9.5重量%の割合で注入した。二酸化炭素ガスを十分に飽和させた後、発泡に適した温度170℃まで冷却後、ダイから押出して、多孔質樹脂発泡体を得た。
参考例1
市販のアルミナ多層基板(MARUWA社製、商品名「HA96−2」)をそのまま用いた。
実施例1、2は、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを接着剤層を介して積層した多孔質樹脂積層体であって、参考例のアルミナ基板と同等の剛性とハンダ耐熱性を有し、一方密度は低く軽量化が達成されている。さらには低い誘電率を有することが確認される。
一方、比較例1は、ポリプロピレンからなる単層の発泡シートであって、誘電率は小さいながらも、Tgが低い樹脂のため耐熱性が低く、収縮して形状を保持できず、かつ剛性に乏しく容易に変形してしまう。

Claims (5)

  1. ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂シートを積層した多孔質樹脂積層体であって、厚みが1.0mm以上であり、1GHzにおける誘電率が2.50以下である多孔質樹脂積層体。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリイミドまたはポリエーテルイミドから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質樹脂積層体。
  3. 1GHzにおける誘電正接が、0.010以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔質樹脂積層体。
  4. 密度が1.000g/cm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質樹脂積層体。
  5. 高周波用回路基板として用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質樹脂積層体。
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