JP2012224162A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】第2電動機MG2のトルクが急減した際に、第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合におけるエンジン12の回転速度NEaがエンジン12の最高回転速度NEmax未満である場合には、第1電動機MG1の最高回転速度NMG1maxに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定し、算出された回転速度NEaがエンジン12の最高回転速度NEmax以上である場合には、エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における第1電動機MG1の回転速度NMG1aに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定するものであることから、パワー変化率を減少させてサージを抑える一方、エンジン回転速度NEと第1電動機回転速度NMG1が何れも過回転とならないように設定することができる。
【選択図】図3
【解決手段】第2電動機MG2のトルクが急減した際に、第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合におけるエンジン12の回転速度NEaがエンジン12の最高回転速度NEmax未満である場合には、第1電動機MG1の最高回転速度NMG1maxに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定し、算出された回転速度NEaがエンジン12の最高回転速度NEmax以上である場合には、エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における第1電動機MG1の回転速度NMG1aに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定するものであることから、パワー変化率を減少させてサージを抑える一方、エンジン回転速度NEと第1電動機回転速度NMG1が何れも過回転とならないように設定することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、エンジン、第1電動機、及び第2電動機を備えたハイブリッド車両の制御装置に関し、特に、サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するための改良に関する。
第1回転要素、入力回転部材であってエンジンに連結された第2回転要素、及び出力回転部材である第3回転要素を備えた差動機構と、前記第1回転要素に連結された第1電動機と、前記第3回転要素から駆動輪までの動力伝達経路に動力伝達可能に接続された第2電動機とを、備えたハイブリッド車両が知られている。斯かるハイブリッド車両においては、電動機により消費されなくなった電力が行き場を失い、インバータ等に過度に流入(サージ)する所謂過電圧が問題となる。そこで、前記ハイブリッド車両において、スリップ発生時における過電圧を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された電動車両の制御装置がそれである。この技術によれば、車両の走行路面が低摩擦係数状態(低μ路面)であると判定された場合に、駆動装置の入力電圧を低減するように制御することで、スリップ発生時における過電圧の発生を抑制することができる。
しかし、前記従来の技術では、車両の走行路面が低摩擦係数状態であると判定された場合に前記電動機のトルクが制限されるため、ドライバビリティが悪化するおそれがあった。すなわち、駆動トルクが必要な状況においても電圧制限のために前記電動機により十分なトルクを出力させることができず、駆動トルクが不足するおそれがあった。すなわち、サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するハイブリッド車両の制御装置は、未だ開発されていないのが現状である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、第1回転要素、入力回転部材であってエンジンに連結された第2回転要素、及び出力回転部材である第3回転要素を備えた差動機構と、前記第1回転要素に連結された第1電動機と、前記第3回転要素から駆動輪までの動力伝達経路に動力伝達可能に接続された第2電動機とを、備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記第2電動機のトルクが急減した際に、前記第1電動機が予め定められたその第1電動機の最高回転速度である場合における前記エンジンの回転速度を算出し、算出された回転速度が前記エンジンの予め定められた最高回転速度未満である場合には、前記第1電動機の最高回転速度に基づいてその第1電動機の回転指令値を設定し、算出された回転速度が前記エンジンの最高回転速度以上である場合には、前記エンジンがその最高回転速度である場合における前記第1電動機の回転速度に基づいてその第1電動機の回転指令値を設定することを特徴とするものである。
このようにすれば、前記第2電動機のトルクが急減した際に、前記第1電動機が予め定められたその第1電動機の最高回転速度である場合における前記エンジンの回転速度を算出し、算出された回転速度が前記エンジンの予め定められた最高回転速度未満である場合には、前記第1電動機の最高回転速度に基づいてその第1電動機の回転指令値を設定し、算出された回転速度が前記エンジンの最高回転速度以上である場合には、前記エンジンがその最高回転速度である場合における前記第1電動機の回転速度に基づいてその第1電動機の回転指令値を設定するものであることから、前記第1電動機の回転制御によりパワー変化率を減少させてサージを抑える一方、前記差動機構の構成によって定まるエンジン回転速度と第1電動機回転速度との関係から、それらエンジン回転速度及び第1電動機回転速度が何れも過回転とならないように設定することができる。すなわち、サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するハイブリッド車両の制御装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両10の駆動装置の構成を説明する骨子図である。このハイブリッド車両10の駆動装置は、例えば車両において横置きされるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、主動力源としてのエンジン12と、第1電動機MG1と、第2電動機MG2とを、備えた動力伝達機構(変速機構)である。
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射されるガソリン等の燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。また、上記第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、好適には、何れも駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する所謂モータジェネレータであるが、上記第1電動機MG1は少なくともジェネレータとしての機能を備えたものであり、上記第2電動機MG2は少なくともモータとしての機能を備えたものである。
図1に示すように、前記ハイブリッド車両10の駆動装置には、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスアクスルケース14(以下、ケース14という)内において、前記エンジン12側から順に、そのエンジン12の出力軸(例えばクランク軸)に作動的に連結されてエンジン12からのトルク変動等による脈動を吸収するダンパ16と、そのダンパ16を介して前記エンジン12によって回転駆動させられる入力軸18と、動力分配機構として機能する第1遊星歯車装置20と、その第1遊星歯車装置20を介して上記入力軸18及び出力歯車24に動力伝達可能に連結された前記第1電動機MG1と、減速装置として機能する第2遊星歯車装置22と、その第2遊星歯車装置22を介して上記出力歯車24等に動力伝達可能に連結された前記第2電動機MG2とが備えられている。
前記入力軸18は、両端がベアリング26及び28によって回転可能に支持されると共に、一端が前記ダンパ16を介して前記エンジン12に連結されることでそのエンジン12により回転駆動させられるように構成されている。また、前記入力軸18における他方の端部には、潤滑油供給装置としての機械式オイルポンプ30が連結されており、前記入力軸18が回転駆動されることによりそのオイルポンプ30が回転駆動させられて、前記ハイブリッド車両10の各部例えば前記第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装置22、ベアリング26及び28等に潤滑油が供給されるように構成されている。
前記第1遊星歯車装置20は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、第1サンギヤS1、第1ピニオンギヤP1、その第1ピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持する第1キャリアCA1、及び第1ピニオンギヤP1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を回転要素(要素)として備えている。斯かる構成により、前記第1遊星歯車装置20は、前記入力軸18に伝達された前記エンジン12の出力を機械的に分配する機械的機構として機能し、そのエンジン12の出力を前記第1電動機MG1及び出力歯車24に分配する。
すなわち、前記第1遊星歯車装置20において、上記第1キャリアCA1は前記入力軸18すなわち前記エンジン12に連結され、上記第1サンギヤS1は前記第1電動機MG1に連結され、上記第1リングギヤR1は前記出力歯車24に連結されている。これにより、上記第1サンギヤS1、第1キャリアCA1、及び第1リングギヤR1は、それぞれ相互に相対回転可能となることから、前記エンジン12の出力が前記第1電動機MG1及び出力歯車24に分配されると共に、その第1電動機MG1に分配された前記エンジン12の出力によって前記第1電動機MG1において発電が行われ、その発電された電気エネルギが蓄電装置であるバッテリ46(図2を参照)に蓄電されたり、その電気エネルギにより前記第2電動機MG2が回転駆動される。この作動により、前記ハイブリッド車両10の駆動装置は、例えば無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、前記エンジン12の回転状態に拘わらず前記出力歯車24の回転が連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。すなわち、前記ハイブリッド車両10の駆動装置においては、前記第1遊星歯車装置20が、第1回転要素に対応する第1サンギヤS1と、入力回転部材であり第2回転要素に対応する第1キャリアCA1と、出力回転部材であり第3回転要素に対応する第1リングギヤR1とを、備えた差動機構に相当する。
前記第2遊星歯車装置22は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、第2サンギヤS2、第2ピニオンギヤP2、その第2ピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持する第2キャリアCA2、及び第2ピニオンギヤP2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を回転要素として備えている。なお、図1に示すように、前記第1遊星歯車装置20のリングギヤR1及び前記第2遊星歯車装置22のリングギヤR2は一体化された複合歯車となっており、その外周部に前記出力歯車24が設けられている。すなわち、前記第2電動機MG2は、前記第2遊星歯車装置22を介して前記第1遊星歯車装置20の第1リングギヤR1に動力伝達可能に連結されている。
前記第2遊星歯車装置22において、上記第2キャリアCA2は非回転部材である前記ケース14に連結されることで回転が阻止され、上記第2サンギヤS2は前記第2電動機MG2に連結され、上記第2リングギヤR2は前記出力歯車24に連結されている。これにより、例えば、車両発進時等においては前記第2電動機MG2が駆動源として用いられる。すなわち、その第2電動機MG2から出力される駆動力により上記第2サンギヤS2が回転させられ、前記第2遊星歯車装置22によって減速させられて前記出力歯車24に回転が伝達される。この出力歯車24は、カウンタギヤ対32の一方を構成するものであり、その出力歯車24に伝達された駆動力は、そのカウンタギヤ対32、ファイナルギヤ対34、差動歯車装置(終減速機)36、及び一対の車軸38等を順次介して一対の駆動輪40へ伝達される。
図2は、前記ハイブリッド車両10の駆動を制御するためにそのハイブリッド車両10に備えられた制御系統の要部を説明する図である。この図2に示す電子制御装置50は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、前記エンジン12の駆動制御や、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2に関するハイブリッド駆動制御をはじめとする前記ハイブリッド車両10の駆動に係る各種制御を実行する。なお、この電子制御装置50は、前記エンジン12の出力制御用や前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動制御用といったように、必要に応じて各制御毎に個別の制御装置として構成される。
図2に示すように、上記電子制御装置50には、前記ハイブリッド車両10の各部に設けられたセンサやスイッチ等から各種信号が供給されるように構成されている。すなわち、アクセル開度センサ52により運転者の出力要求量に対応する図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度ACCを表す信号、エンジン回転速度センサ54により前記エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、MG1回転速度センサ56により前記第1電動機MG1の回転速度NMG1を表す信号、MG2回転速度センサ58により前記第2電動機MG2の回転速度NMG2を表す信号、出力回転速度センサ60により車速Vに対応する前記出力歯車24の回転速度NOUTを表す信号、車輪速センサ62により前記ハイブリッド車両10における各車輪それぞれの速度NWを表す信号、及びバッテリSOCセンサ64により前記バッテリ46の充電容量(充電状態)SOCを表す信号等が、それぞれ上記電子制御装置50に供給される。
また、前記電子制御装置50からは、前記ハイブリッド車両10の各部に作動指令が出力されるように構成されている。すなわち、前記エンジン12の出力を制御するエンジン出力制御指令として、燃料噴射装置による吸気配管等への燃料供給量を制御する燃料噴射量信号、点火装置による前記エンジン12の点火時期(点火タイミング)を指令する点火信号、及び電子スロットル弁のスロットル弁開度θTHを操作するためにスロットルアクチュエータへ供給される電子スロットル弁駆動信号等が、そのエンジン12の出力を制御するエンジン出力制御装置42へ出力される。また、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動を指令する指令信号がインバータ44へ出力され、そのインバータ44を介して前記バッテリ46からその指令信号に応じた電気エネルギが前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2に供給されてそれら第1電動機MG1及び第2電動機MG2の出力(トルク)が制御される。また、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2により発電された電気エネルギが上記インバータ44を介して前記バッテリ46に供給され、そのバッテリ46に蓄積されるようになっている。
図3は、前記電子制御装置50に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図3に示すエンジン駆動制御手段66は、前記エンジン出力制御装置42を介して前記エンジン12の駆動(出力トルク)を制御する。例えば、予め定められた関係から前記アクセル開度センサ52により検出されるアクセル開度ACC及び出力回転速度センサ60により検出される車速V等に基づいて前記エンジン12の目標トルクを算出し、その目標トルクが前記エンジン12から出力されるように、上記燃料噴射量信号、点火信号、及び電子スロットル弁駆動信号等を前記エンジン出力制御装置42へ供給する。
第1電動機駆動制御手段68は、前記インバータ44等を介して前記第1電動機MG1の駆動を制御する。例えば、後述する第1電動機回転指令値設定手段74により設定される回転指令値に基づいて、前記インバータ44により前記バッテリ46からその第1電動機MG1へ電気エネルギを供給する。すなわち、前記MG1回転速度センサ56により実際に検出される前記第1電動機MG1の回転速度NMG1が、設定された回転指令値となるように制御が行われる。ここで、上記回転指令値は、その第1電動機MG1を逆転力行させるための指令である場合も考えられる。また、前記第1電動機MG1により回生が行われる場合において、上記第1電動機駆動制御手段68は、その第1電動機MG1による回生を制御する。
バッテリパワー変化率算出手段70は、前記バッテリ46のバッテリパワーすなわちそのバッテリ46に蓄積された電気エネルギの変化率(時間変化率)を算出する。好適には、予め定められた関係から、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2それぞれの回転速度NMG1、NMG2及びトルク等に基づいて、それら第1電動機MG1及び第2電動機MG2のパワーすなわち消費エネルギを推定し、その推定結果に基づいて前記バッテリ46のバッテリパワー変化率を算出する。また、好適には、前記バッテリSOCセンサ64により検出されるバッテリSOCの時間変化率を前記バッテリ46のバッテリパワー変化率として算出するものであってもよい。
過電圧判定手段72は、前記インバータ44及びバッテリ46等に係る過電圧の発生を判定する。すなわち、上記バッテリパワー変化率算出手段70により算出されるバッテリパワー変化率が、予め定められた閾値である過電圧発生変化率よりも大きいか否かを判定する。図4は、バッテリパワー変化率を横軸に、VHサージ量すなわち前記バッテリ46への電気エネルギの流入量を縦軸にとった座標において、上記閾値である過電圧発生率を説明する図である。この図4に示すように、好適には、バッテリパワー変化率(増加率)とVHサージ量とは比例関係となる。従って、予め実験的に求められた評価結果或いは理論的な検討により、過電圧となるバッテリパワー変化率の最小値であるMIN値を決定(算出)することができる。上記過電圧判定手段72は、好適には、上記バッテリパワー変化率算出手段70により算出されるバッテリパワー変化率が斯かるMIN値以上であるか否かを判定し、その判定が肯定される場合(バッテリパワー変化率がMIN値を上回る場合)には、前記インバータ44及びバッテリ46等に係る過電圧の発生を判定する。斯かる過電圧は、例えば、前記第2電動機MG2のトルクが急減した際等に発生する。すなわち、上記過電圧判定手段72は、換言すれば、前記第2電動機MG2トルクの急減を判定する第2電動機トルク急減判定手段に相当する。
第1電動機回転指令値設定手段74は、前記第1電動機MG1の回転指令値(トルク指令値)を設定する。基本的には、予め定められた関係から、前記アクセル開度センサ52により検出されるアクセル開度ACC、前記出力回転速度センサ60により検出される車速V、及び前記バッテリSOCセンサ64により検出されるバッテリSOC等に基づいて要求出力トルクを算出し、その要求出力トルクを実現する回転指令値を設定する。この回転指令値の設定に関して、前記エンジン12及び第2電動機MG2のトルクが考慮される。すなわち、前記エンジン12の出力トルク、第1電動機MG1の出力トルク、及び第2電動機MG2の出力トルクによって定まる前記ハイブリッド車両10の駆動装置全体としてのトータル出力トルクが上記要求出力トルクとなるように前記第1電動機MG1の駆動を制御する回転指令値が設定される。
上記第1電動機回転指令値設定手段74は、好適には、前記過電圧判定手段72により過電圧の発生が判定される場合であって、前記第1電動機MG1が回生を行っている場合には、過電圧を抑制するために前記第1電動機MG1の駆動を制御する。換言すれば、前記第1電動機MG1が逆転力行を行っている場合には、以下の制御を非実行とする。すなわち、上記第1電動機回転指令値設定手段74は、前記第2電動機MG2のトルクが急減した場合等において過電圧が発生した際に、前記第1電動機MG1が最高回転速度(予め定められた第1電動機MG1の過回転閾値)NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaを算出する。そして、算出された回転速度NEaが前記エンジン12の最高回転速度(予め定められたエンジン12の過回転閾値)NEmax未満である場合には、前記第1電動機MG1の最高回転速度NMG1maxに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定する一方、算出された回転速度NEaが前記エンジン12の最高回転速度NEmax以上である場合には、前記エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定する。
前記第1電動機回転指令値設定手段74による回転指令値の設定、及びその回転指令値に基づく前記第1電動機駆動制御手段68による前記第1電動機MG1の駆動制御は、好適には、前記過電圧判定手段72による判定(判定の肯定)と略同時に実行される。前記第2電動機MG2のトルク急減と略同時に前記第1電動機MG1のトルクを制限することで、回生量の減少によりパワー変化率を緩和することができ、サージを好適に抑制することができる。なお、前記第1電動機MG1のトルク制限と同時にエンジントルクが制限されるが、好適には、直接トルクを制限せず、例えば前記第1電動機MG1の回転指令値を一時的に増加させることでその第1電動機MG1のトルクを減少させる。前記電子制御装置50による制御指令に対する前記エンジン12の応答は、前記第1電動機MG1の応答に比べて一般的に遅れるが、上記制御を行うことで、前記第1電動機MG1のトルク減少より前記エンジン12及びその第1電動機MG1の過回転を抑制しつつ、過電圧の発生を抑えることができる。
図5及び図6は、差動機構としての前記第1遊星歯車装置20に関して、その遊星歯車装置20に備えられた3つの回転要素それぞれの回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図であり、前記第1電動機回転指令値設定手段74による第1電動機回転指令値の設定について説明する図である。前記ハイブリッド車両10の駆動装置において、前記エンジン12、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2は、差動機構としての前記第1遊星歯車装置20の各回転要素に連結されていることで、図5及び図6の共線図に示すように、左側の縦軸に対応する前記第1電動機MG1(第1サンギヤS1)の回転速度NMG1、中央の縦軸に対応する前記エンジン12(第1キャリアCA1)の回転速度NE、及び右側の縦軸に対応する前記第2電動機MG2(第1リングギヤR1)の回転速度NMG2が相対的に決定されるようになっている。すなわち、前記第2電動機MG2の回転速度NMG2を固定して考えた場合において、前記エンジン12の回転速度NE及び第1電動機MG1の回転速度NMG1は相対的なものとなる。斯かる関係に基づいて、前記エンジン12及び第1電動機MG1が何れも過回転とならない回転速度を決定することができる。
すなわち、前述のように、本実施例のハイブリッド車両10に備えられた電子制御装置50は、前記第2電動機MG2のトルクが急減した際に、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaを算出し、算出された回転速度NEaが前記エンジンの最高回転速度NEmax未満である場合には、前記第1電動機MG1の最高回転速度NMG1maxに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定する。好適には、その最高回転速度NMG1maxを実現するための回転指令値を設定する。図5は、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaが前記エンジンの最高回転速度NEmax未満である場合における前記第1電動機MG1の回転指令値の設定について説明する図である。前記第1電動機MG1の実回転を増加させた場合、その回生トルクは本来より低くなるため、その第1電動機MG1の回生パワーが減少する。また、前記第1電動機MG1の回転速度NMG1を増加させる間は、前記エンジン12のトルクをすべて受ける必要がないため、その第1電動機MG1のトルクを低く設定することができる。すなわち、図5に示すように、前記第2電動機MG2のトルクが急減する等して前記インバータ44やバッテリ46等へのサージが発生するおそれがある場合に、前記第1電動機MG1の回転速度NMG1を過回転領域の閾値まで増加させるようにその回転指令値を設定することで、駆動に必要なトルクを保証すると共に、回転速度変化中のパワー変化率を減少させて過電圧を抑制することができる。
また、前述のように、前記電子制御装置50は、前記第2電動機MG2のトルクが急減した際に、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaを算出し、算出された回転速度NEaが前記エンジンの最高回転速度NEmax以上である場合には、前記エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定する。好適には、前記エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aを実現するための回転指令値を設定する。図6は、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaが前記エンジンの最高回転速度NEmax以上である場合における前記第1電動機MG1の回転指令値の設定について説明する図である。前記ハイブリッド車両10の駆動装置においては、差動機構としての前記第1遊星歯車装置20のギヤ比の関係で、前記第1電動機MG1の回転速度NMG1よりも前記エンジン12の回転速度NEが低い場合であっても、そのエンジン12が過回転となる場合が考えられる。本実施例においては、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaを算出した場合に、前記エンジン12が過回転となることが判定される場合には、そのエンジン12が過回転とならないように前記第1電動機MG1の回転速度を指令する。すなわち、前記エンジン12の回転速度NEが過回転領域の閾値である場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aを実現するための回転指令値を設定することで、前記エンジン12及び第1電動機MG1の両方が過回転とならないように制御できると共に、駆動に必要なトルクを保証することができる。
また、前記エンジン駆動制御手段66は、好適には、前記過電圧判定手段72により過電圧の発生が判定される場合であって、前記第1電動機MG1が回生を行っている場合には、前記エンジン12のパワー(出力トルク)を低減させるように前記エンジン出力制御装置42を介してぞのエンジン12の駆動を制御する。前記ハイブリッド車両10の駆動装置において、前記過電圧判定手段72により過電圧の発生が判定された場合、前述のような制御を行うことでその過電圧の抑制を行うことができるが、前記第1電動機駆動制御手段68等により前記第1電動機MG1の回転速度NMG1を変化させている間はパワー変化率を低減させることができる一方、設定された回転指令値に追従後(目標値が達成された後)は前記エンジン12のトルクを支える必要があるため、回生状態に戻ってしまうおそれがある。従って、前記過電圧判定手段72により過電圧の発生が判定される場合には、前記エンジン12のトルクを低減させることで、前記第1電動機MG1の回生パワーを低減して過電圧を更に好適に抑制することができる。
図7は、前記電子制御装置50によるサージ抑制制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記バッテリ46のバッテリパワーすなわちそのバッテリ46に蓄積された電気エネルギの変化率が算出される。次に、S2において、S1にて算出されたバッテリパワー変化率が、予め定められた閾値である過電圧発生変化率よりも大きいか否かが判定される。このS2の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、前記第1電動機MG1の運転象限が回生であるか否か、すなわちその第1電動機MG1が回生を行っているか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が肯定される場合には、S4において、前記エンジン12のパワーを低減させる指令信号が前記エンジン出力制御装置42へ出力される。次に、S5において、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaが算出される。次に、S6において、S5にて算出された回転速度NEaが前記エンジンの最高回転速度NEmax未満であるか否かが判断される。このS6の判断が否定される場合には、S9以下の処理が実行されるが、S6の判断が肯定される場合には、S7において、前記第1電動機MG1の回転指令値が最高回転速度NMG1maxを実現するための値に設定される。次に、S8において、S7又はS10にて設定された回転指令値及び前記MG1回転速度センサ56により検出される前記第1電動機MG1の実回転速度から、その第1電動機MG1の出力トルクが制御された後、本ルーチンが終了させられる。S9においては、前記エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aが算出される。次に、S10において、前記第1電動機MG1の回転指令値がS9にて算出された回転速度NMG1aを実現するための値に設定された後、S8以下の処理が実行される。
以上の制御において、S4が前記エンジン駆動制御手段66の動作に、S8が前記第1電動機駆動制御手段68の動作に、S1が前記バッテリパワー変化率算出手段70の動作に、S2が前記過電圧判定手段72の動作に、S5〜S7、S9、及びS10が前記第1電動機回転指令値設定手段74の動作に、それぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、前記第2電動機MG2のトルクが急減した際に、前記第1電動機MG1が最高回転速度NMG1maxである場合における前記エンジン12の回転速度NEaを算出し、算出された回転速度NEaが前記エンジン12の最高回転速度NEmax未満である場合には、前記第1電動機MG1の最高回転速度NMG1maxに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定し、算出された回転速度NEaが前記エンジン12の最高回転速度NEmax以上である場合には、前記エンジン12が最高回転速度NEmaxである場合における前記第1電動機MG1の回転速度NMG1aに基づいてその第1電動機MG1の回転指令値を設定するものであることから、前記第1電動機MG1の回転制御によりパワー変化率を減少させてサージを抑える一方、差動機構である前記第1遊星歯車装置20の構成によって定まるエンジン回転速度NEと第1電動機回転速度NMG1との関係から、それらエンジン回転速度NEと第1電動機回転速度NMG1が何れも過回転とならないように設定することができる。すなわち、サージを抑制しつつ必要十分な駆動トルクを確保するハイブリッド車両10の電子制御装置50を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
10:ハイブリッド車両、12:エンジン、20:第1遊星歯車装置(差動機構)、40:駆動輪、50:電子制御装置、MG1:第1電動機、MG2:第2電動機、CA1:第1キャリア(第2回転要素)、R1:第1リングギヤ(第3回転要素)、S1:第1サンギヤ(第1回転要素)
Claims (1)
- 第1回転要素、入力回転部材であってエンジンに連結された第2回転要素、及び出力回転部材である第3回転要素を備えた差動機構と、前記第1回転要素に連結された第1電動機と、前記第3回転要素から駆動輪までの動力伝達経路に動力伝達可能に接続された第2電動機とを、備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
前記第2電動機のトルクが急減した際に、前記第1電動機が予め定められた該第1電動機の最高回転速度である場合における前記エンジンの回転速度を算出し、算出された回転速度が前記エンジンの予め定められた最高回転速度未満である場合には、前記第1電動機の最高回転速度に基づいて該第1電動機の回転指令値を設定し、算出された回転速度が前記エンジンの最高回転速度以上である場合には、前記エンジンが該最高回転速度である場合における前記第1電動機の回転速度に基づいて該第1電動機の回転指令値を設定するものである
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011092391A JP2012224162A (ja) | 2011-04-18 | 2011-04-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011092391A JP2012224162A (ja) | 2011-04-18 | 2011-04-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012224162A true JP2012224162A (ja) | 2012-11-15 |
Family
ID=47274843
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011092391A Withdrawn JP2012224162A (ja) | 2011-04-18 | 2011-04-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012224162A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2557645C2 (ru) * | 2012-12-21 | 2015-07-27 | Мицубиси Дзидося Когио Кабусики Кайся | Контроллер переключения режима движения гибридного электрического транспортного средства |
-
2011
- 2011-04-18 JP JP2011092391A patent/JP2012224162A/ja not_active Withdrawn
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