JP2012223394A - 無針注射器 - Google Patents

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Abstract

【課題】注射後に注射器内に残存する注射液量を可及的に抑制し得る無針注射器を提供する。
【解決手段】無針注射器において、注射前は、上流側栓部材と下流側栓部材に挟まれて形成される収容空間に注射目的物質が収容され、該上流側栓部材を介して注射目的物質に圧力が伝えられる。そして、加圧された注射目的物質が流れる流路部は、加圧により注射目的物質とともに移動した下流側栓部材を、その移動方向の下流側で収容する収容部と、加圧前の下流側栓部材の初期位置と収容部での収容位置とをつなぐ通路であって、該加圧により該下流側栓部材が移動する移動通路と、移動通路に連通するように開口した導入口を有するとともに注射目的物質の射出口を有する少なくとも一つのノズル流路であって、下流側栓部材が収容部に収容された状態において、該導入口を介して該ノズル流路と該移動通路を、該注射目的物質が流通するノズル流路と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、注射針を介することなく、注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器に関する。
注射針を介することなく注射を行う無針注射器では、加圧ガスやバネにより注射液に対して圧力を加えることで注射成分を射出する構成が採られることがある。例えば特許文献1は、加圧された注射液が、注射対象物に対して射出されるノズルの構成を具体的に開示している。特許文献1に開示のノズルには、注射液を射出する流路が、加圧された注射液が流れてくる中央孔の周りに形成されている。具体的には、中央孔から半径外側に座ぐることで形成された取り入れ口を介して、中央孔の軸方向に平行となるように射出用の流路が形成されている。なお、射出前に注射液を封入していた下流側の栓部材は、射出時には当該流路への注射液の流れを妨げないように、中央孔の下流側に設けられた凹部内に収容される。
特表2006−523484号公報
無針注射器の場合、注射液を注射対象物の内部に届けるために、注射液の移動に要するエネルギーおよび注射対象物の表層を貫通するためのエネルギーを注射液に的確に伝えなければならない。そのため、針を有する注射器とは異なり、注射液に対する瞬間的な加圧が行われる場合がある。このような瞬間的な加圧を行う場合、注射液の射出用に形成された注射器内の流路が複雑になればなるほど、その流路内に注射液が残存しやすくなる。
例えば、上記特許文献1に示す無針注射器では、注射液に対する加圧が行われると、収容室の軸方向に進んだ注射液が取り入れ口を介して流路に流れ込むことで、注射対象物への射出が行われることになる。この場合、注射液は、最終的には、その加圧方向(上記収容室の軸方向)と同じ方向に射出されることになるが、そこまでの過程において取り入れ口を経由し、当該取り入れ口で注射液の流れが複数回変更される複雑な構造となっているため、射出後に、注射器内に注射液が幾らか残存しやすくなっている。注射液の成分によっては、そのコストは残存量を無視し得るほど低くなく、また注射対象物に対する適切な量の注射液を注射する観点からも注射器内に注射液が残存することは好ましくない。
本発明では、上記した問題に鑑み、注射後に注射器内に残存する注射液量を可及的に抑制し得る無針注射器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、注射のために加圧される注射目的物質が流れる無針注射器の流路部の構成において、注射対象領域への射出流を形成するノズル流路の導入口を、加圧された注射目的物質が流れる通路に直接開口させるとともに、加圧前の注射目的物質を封入していた栓部を、そのノズル流路の導入口と干渉しないように配置することとした。この構成により、加圧による注射目的物質の良好な射出を従来通り維持しながら、ノズル流路を介した注射対象領域への射出を円滑に行い得、以て注射器内での注射目的物質の残存量を可及的に抑制することが可能となる。
具体的には、注射針を介することなく、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、前記注射目的物質を封入する封入部と、前記封入部に封入された前記注射目的物質に対して加圧する加圧部と、前記加圧部によって加圧された前記注射目的物質が前記注射対象領域に対して射出されるように流路を画定する流路部と、を備える。そして、前記封入部は、上流側栓部材と下流側栓部材に挟まれて形成される収容空間に前記注射目的物質を収容し、該上流側栓部材は前記加圧部によって加えられる圧力を該収容空間内の該注射目的物質に伝えるように配置される。また、前記流路部は、前記加圧部による加圧が行われたとき該加圧により前記注射目的物質とともに移動した前記下流側栓部材を、その移動方向の下流側で収容する収容部と、前記加圧部による加圧の前に前記下流側栓部材が位置する初期位置と前記収容部による該下流側栓部材の収容位置とをつなぐ通路であって、該加圧により該下流側栓部材が移動する移動通路と、前記移動通路に連通するように開口した導入口を有するとともに前記注射対象領域への前記注射目的物質の射出口を有する少なくとも一つのノズル流路であって、前記下流側栓部材が前記収容部に収容された状態において、該導入口を介して該ノズル流路と該移動通路を、該注射目的物質が流通するノズル流路と、を有するように、前記無針注射器が形成される。
本発明に係る無針注射器では、注射前は、上流側と下流側の栓部材によって画定される収容空間内に注射目的物質が収容されており、注射に際しては、加圧部によって注射目的物質に対して圧力が加えられる。これにより、注射目的物質は、両栓部材とともに注射器内を移動し、流路部によって画定された流路を経て、注射対象領域へと射出されることになる。この注射目的物質は、注射対象領域の内部で効能が期待される成分を含むものであり、上記のように加えられる圧力がその射出時の駆動源である。そのため、加圧による射出が可能であれば、注射目的物質の無針注射器内の収容状態や、液体やゲル状等の流体、粉体、粒状の固体等の注射目的物質の具体的な物理的形態は問われない。
たとえば、注射目的物質は液体であり、また固体であっても射出を可能とする流動性が担保されればゲル状の固体であってもよい。そして、注射目的物質には、例えば生体の注射対象領域に送り込むべき成分が含まれ、当該成分は注射目的物質の内部に溶解した状態で存在してもよく、又は当該成分が溶解せずに単に混合された状態であってもよい。一例を挙げれば、送りこむべき成分として、抗体増強のためのワクチン、美容のためのタンパク質、毛髪再生用の培養細胞等があり、これらが射出可能となるように、液体、ゲル状等の流体に含まれることで注射目的物質が形成される。
また、注射目的物質への加圧源は加圧による射出が可能である限りにおいて、様々な加圧源を利用することができる。たとえば、バネ等による弾性力を利用したもの、加圧されたガスを利用したもの、火薬の燃焼を利用したもの、加圧のための電気的アクチュエータ(モータやピエゾ素子等)を利用したものが、加圧源として挙げられる。
このように加圧された注射目的物質は、流路部で画定された流路を経て、対象とする領域へと射出されるが、当該流路部について詳細には、上述した収容部と、移動通路と、ノズル流路が含まれる。収容部は、加圧により注射目的物質とともに注射器内を移動した下流側栓部材を収容するために、その移動方向の下流側に配置される。収容部は、下流側栓部材とともに移動する注射目的物質が、射出のためのノズル流路に流れ込むのを阻害しないように、加圧後に下流側栓部材を収容するものである。したがって、当該目的を達成する限りにおいては、収容部の形状や大きさは限定されないが、円滑な収容部への収容と、収容後の本発明の注射器の機能上への影響を考慮した形状や大きさであるのが好ましい。
ここで、本発明に係る無針注射器は、加圧前の下流側栓部材の初期位置と、収容部による収容位置との間に、移動通路が介在する構成となっている。すなわち、下流側栓部材は、加圧力によってこの移動通路を移動し、収容部へと収容されることになる。また、注射目的物質および下流側栓部材は、加圧部により直接加圧された上流側栓部材を介しての駆動力によって移動することから、当該上流側栓部材も移動通路を移動する。ここで、上記無針注射器では、ノズル流路の導入口が移動通路に連通するように、すなわち移動通路に直接導入口が開口する構成が採用される。そして、下流側栓部材が収容部に収容された状態においては、その導入口を介した移動通路からノズル流路への注射目的物質の流通は確保された状態となる。すなわち、上記ノズル流路の導入口は、下流側栓部材が収容部に収容されたとしても該下流側栓部材によって塞がれることはなく、注射目的物質が移動通路から直接ノズル流路に流れ込むことが可能となる。
なお、下流側栓部材が収容部に収容されると、さらにその上流側に位置する上流側栓部材が、加圧力によって下流側栓部材に接近する。このとき、両栓部材に挟まれた注射目的物質は、注射目的物質の流れ込みが確保されている導入口を介してノズル流路に流れ込むことで、下流側栓部材と上流側栓部材との間に存在する注射目的物質は減少し、何れ両栓部材が接触した状態に至る。ノズル流路に流れ込んだ注射目的物質は、ノズル流路の射出口から注射対象領域へと射出されることになる。
このように構成される無針注射器では、加圧部の加圧によって、下流側栓部材が収容部に速やかに収容されるとともに、その収容された状態において下流側栓部材が、移動通路に直接開口したノズル流路への注射目的物質の流れ込みを阻害しない構成が採用されている。そのため、加圧部による加圧力が効率的に注射目的物質に伝わり、その注射目的物質が円滑にノズル流路に流れ込むことが可能となる。また、ノズル流路が移動通路に直接開口しているため、収容部に収容された下流側栓部材に対して上流側栓部材が接触する状態に向かって、両栓部材の間に存在していた注射目的物質は、極めて円滑にノズル流路内に流れ込み、注射後に注射器内に残存する注射目的物質の量を可及的に抑制することができる。
ここで、上記無針注射器において、前記ノズル流路において前記導入口と前記射出口によって画定される、前記注射目的物質の射出方向は、前記加圧部の加圧により該注射目的物質が前記下流側栓部材とともに移動する前記移動方向に対して非平行となるように設定されてもよい。このように構成することで、ノズル流路における注射目的物質の射出方向を、フレキシブルに設定することができる。さらに好ましくは、前記導入口から前記射出口に掛けて注射目的物質が直線的に流れるようにする。その結果、移動通路から直接ノズル流路に流通させた注射目的物質を、効率的に注射対象領域へと射出することが可能となり、注射器内での注射目的物質の残存量抑制に貢献することができる。
より具体的には、上記無針注射器において、前記封入部と前記加圧部と前記流路部を含む注射器本体を、更に備え、前記移動方向は、前記注射器本体の後端側から先端側に向かう方向であって、前記ノズル流路の前記射出口は、前記注射器本体の側方に開口するように構成してもよい。すなわち、注射器本体の先端方向に加圧部による加圧を行うが、注射目的物質の射出方向は、その加圧方向とは異なり、注射器本体の側方となる構成も採用し得る。当該構成によれば、ノズル流路の長さを比較的短く形成することも可能となるため、より残存量の抑制に貢献し得る。
ここで、上述までの無針注射器において、前記流路部は、前記移動通路に連通するように開口した導入口を有するとともに前記注射対象領域への前記注射目的物質の射出口を有するノズル流路であって、前記加圧部の加圧により該注射目的物質が前記下流側栓部材とともに移動する前記移動方向に沿って、前記ノズル流路よりも上流側に、且つ前記ノズル流路とは別に設けられた他のノズル流路を、更に有してもよい。このように他のノズル流路を備えることで、移動通路からの注射目的物質の排出を円滑に行うことが可能となる。
また、上述までの無針注射器において、前記下流側栓部材が前記収容部に収容された状態における、該下流側栓部材の前記上流側栓部材との接触面の周縁部、該上流側栓部材の該下流側栓部材の接触面の周縁部、もしくは前記ノズル流路の導入口の周縁部のうち、少なくとも何れかの周縁部に設けられた面取り部によって、該ノズル流路と前記移動通路を、前記注射目的物質が流通できるように構成されてもよい。すなわち、これらの面取り部によって、ノズル流路の導入口を介した注射目的物質の流通が確保される。つまり前記下流側栓部材と前記上流側栓部材が当接した状態となったときでも、前記導入口に向けて注射目的物質が流れる空間を形成するものである。なお、これらの面取り部は、下流側栓部材、上流側栓部材、ノズル流路の導入口のうち複数の箇所に設けられても構わないが、面取り部が占める空間が大きくなると、そこに残存し得る注射目的物質量が増える可能性もあるため、残存量抑制の観点に立てば、面取り部の配置は可及的に少ない方が好ましい。
ここで、ノズル流路の形成については、流路部に対してノズル流路を有するノズル部材を脱着式に形成してもよい。すなわち、前記流路部が、前記ノズル流路を含むノズル部材を、更に有し、そして、前記移動通路側に前記ノズル流路の導入口が位置するように、該移動通路の内壁面に前記ノズル部材が嵌め込まれるように構成してもよい。この構成により、注射対象領域に接触し得る射出口を有するノズル部材のみを取り替え、その他の注射器の構成をそのままで、新たな注射の用途に注射器自体を供することが可能となる。
なお、移動通路の内壁面にノズル部材を嵌め込む場合、当該ノズル部材が移動通路内に突出した状態となると、下流側栓部材や上流側栓部材の移動を妨げるおそれがある。そこで、前記ノズル部材が前記移動通路の内壁面に嵌め込まれた状態において、前記ノズル流路の導入口は、該移動通路の内壁面より窪んだ凹部内に位置するように構成してもよい。これにより、ノズル部材の突出による下流側栓部材等への干渉を回避することが可能となる。
一方で、ノズル部材を移動通路に嵌め込む場合、ノズル部材が圧力で外に飛び出ない様に、注射器本体とノズル部材とに段部やテーパー部等を形成する。そのためノズル部材は流路部(移動通路)側から取り付けられる。移動通路の形状にも依存するが、例えば、移動通路が筒状に形成されると、その通路内にノズル部材を挿入する作業は容易ではない場合もある。移動通路は、下流側栓部材等が円滑に移動すべき場所でもあり、また、両栓部材に挟まれていた注射目的物質がノズル流路へと流れ込むときに経由する場所でもある。そのため、注射目的物質がいたずらに拡散しないような形状であることが好ましく、そうすると、ノズル部材の嵌め込みが容易でなくなる可能性も出てくる。そこで、上述までの無針注射器において、前記移動通路および前記収容部を含み且つ前記ノズル部材を着脱可能に保持する部材であって、該ノズル部材を保持した状態で前記注射器の本体に対して固定され、且つ前記加圧部によって加圧された前記注射目的物質が該移動通路を経て前記ノズル流路に導かれる保持部材を、更に備える構成を採用してもよい。そして、前記保持部材は、複数の分割された要素を組み合わせて形成され、該分割された一つの要素に含まれる前記移動通路の一部の内壁面に対して、前記ノズル部材が着脱可能となるように形成される。移動通路を分割要素の組み立てで形成することで、ノズル部材の嵌め込み自体は、当該組立前の分割された要素に対して行うことができるため、上述したような、ノズル部材の嵌め込みが容易でなくなる状況を排除し得る。
ここで、上述までの無針注射器において、前記流路部は、前記収容部と前記注射器の外部とを連通する連通孔を、更に有するように構成してもよい。このような連通孔を設けることで、収容部に下流側栓部材が収容されるときの収容部内の空気を注射器外に排出することができるため、下流側栓部材の円滑な収容部への収容、効率的な注射目的物質の射出が実現し得る。
また、上述までの無針注射器において、前記収容空間の内径と、記移動通路の内径は、略同一であって、また、前記収容空間、前記移動通路、前記収容部においてそれぞれの内径は前記移動方向にわたって略一定であってもよい。このように収容空間、移動通路、収容部を形成することで、それらの内部に残存し得る注射目的物質の量を抑制することができる。
注射後に注射器内に残存する注射液量を可及的に抑制し得る無針注射器を提供することが可能となる。
本発明に係る無針注射器において注射前の状態を概略的に示す図である。 本発明に係る無針注射器において注射完了時の状態を概略的に示す図である。 本発明に係る無針注射器においてノズル流路を有するノズル部材をノズルホルダーに装着する様子を示す図である。 図1Bに示す無針注射器のノズル流路近傍の構成の拡大図である。 図2においてノズル部材がノズルホルダーに装着された状態を示す第一の図である。 図2においてノズル部材がノズルホルダーに装着された状態を示す第二の図である。 本発明に係る無針注射器のノズルホルダーの第二の構成を示す図である。 本発明に係る無針注射器でのノズルホルダーの注射器本体側への取り付けの様子を示す第一の図である。 本発明に係る無針注射器でのノズルホルダーの注射器本体側への取り付けの様子を示す第二の図である。 本発明に係る無針注射器において、注射液に加圧した後の下流側栓部材近傍の状況を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る無針注射器20(以下、単に「注射器20」という)について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
ここで、図1Aおよび図1Bは注射器20の軸方向に沿った断面図であり、詳細には図1Aは注射前の注射器20内部の状態を示す図であり、図1Bは注射完了時の注射器20内部の状態を示す図である。したがって、図1Aに示す状態では、注射器20内に注射液が封入された状態となっており、一方で図1Bに示す状態では、その封入されていた注射液が注射器20の外部の注射対象物に対して射出された状態となっている。なお、本願の以降の記載においては、注射器20によって注射対象物に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質としては、例えば、生体の皮膚構造体に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することで後述するノズル流路3から皮膚構造体に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状等様々な形態が採用できる。
また、注射器20には、注射器本体1を有し、該注射器本体1の中央部には、その軸方向に延在し、軸方向に沿った径が一定である貫通孔9が設けられている。そして、貫通孔9の一端は、後述するように注射器20内に封入されている注射液に対して加圧を行う圧力発生部6(加圧部)側に至り、残りの一端は、注射対象物への注射液の射出経路となるノズル流路3が形成されたノズルホルダー2(保持部材:以下、単に「ホルダー2」という)側に至る。
ここで、貫通孔9における注射液の封入状態について説明する。図1Aに示すように、注射前の状態では、注射液は、貫通孔9内で上流側栓部材8と、別の下流側栓部材10に挟まれて形成される収容空間11(封入部)内に封入されている。なお、本願における「上流」、「下流」の定義は、注射時に加圧により生じる注射液の流れに基づいて決定されている。したがって、上流側栓部材8、下流側栓部材10および貫通孔9によって、本発明に係る注射器の封入部が形成されることになる。また、圧力発生部6で生じた注射液の射出のための駆動力を、このように封入されている注射液に伝達するために、上流側栓部材8の上流側の貫通孔9は、金属製のピストン7が配置されている。このピストン7は一端が上流側栓部材8に接触し、もう一端が圧力発生部6による駆動力(圧力)を受圧できるように貫通孔9内に配置されている。このようにピストン7を介することで、圧力発生部6からの駆動力を注射液に伝えることができ、その注射液は、上流側栓部材8、下流側栓部材10とともに、貫通孔9内を下流側へ流れ、後述するホルダー2側へと送られることになる。以上の構成を実現するために、上流側栓部材8、下流側栓部材10は、注射液の封入時に該注射液が漏れ出さないように、且つピストン7からの駆動力伝達に伴って注射液が円滑に貫通孔9内を移動できるように、フッ素系のゴム栓(特開2009-61343に開示されているもの)やゴム基材の表面にフッ素系樹脂をコーティングしたもの(特開H9-59396に開示されているもの)が好適に利用できる。
ここで、圧力発生部6について説明する。その具体的な一つの実施形態として、火薬の燃焼を利用した圧力発生形態が採用できる。例えば、電気的な通電により点火薬を燃焼させるイニシエータを利用できる。点火薬として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼生成物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。適切な注射が可能な限りにおいて、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
そして、イニシエータでの点火薬の燃焼で生じた燃焼生成物を、別に設けられたガス発生剤に伝火させることで、圧力発生部6からピストン7へ伝える駆動力をより好適なものとすることができる。ガス発生剤の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。これらのガス発生剤は、上記点火薬と異なり、燃焼時に発生した所定のガスは常温においても気体成分を含むため、比較的長い時間の燃焼時間を確保でき、以て、注射液の射出に必要十分な駆動力を圧力発生部6として生成することが可能となる。
ここで、注射器20の先端側(図1Aの右側)には、注射液を射出するためのノズル流路3を有するホルダー2が設けられている。ノズル流路3は、図2に示すようにホルダー2とは別体で構成されるノズル部材31が、該ホルダー2に装着されることで注射器1内に形成され、注射液の注射後にはノズル部材31がホルダー2から取り外され、新たなノズル部材31に交換されることで、注射器自体は次の注射に供されることになる。すなわち、注射器20においては、ノズル流路3を有するノズル部材31はいわゆる使い捨てタイプのノズルであり、注射液の射出が行われるごとに新たなノズルに取り換えられるように、あるいは注射部位や用途に対してノズル部材31を取替え可能なように、ホルダー2に対して脱着可能に保持される構成となっている。また、このようなノズル部材31の脱着を可能とするために、注射器本体1に対してホルダー2も取り外し可能となるように構成され、その詳細については後述する。
次に、ホルダー2の詳細な構造について説明する。ホルダー2が注射器本体1に取り付けられ、圧力発生部6によって上流側栓部材8に加圧が行われることで、注射液とともに移動する下流側栓部材10が最終的に収容される凹部5が、ホルダー2内に設けられている。具体的には、ホルダー2が注射器本体1に取り付けられた状態において、圧力発生部6の加圧により下流側栓部材10が移動する方向の下流側に凹部(収容部)5が設けられ、凹部5は、下流側栓部材10とほぼ同じ径を有し、下流側栓部材10の長さとほぼ同等の深さを有する。そして、加圧が行われる前の、下流側栓部材10の初期位置、すなわち、図1Aに示す下流側栓部材10の位置と、凹部5との間は、移動通路4として形成される。以上より、移動通路4と凹部5とは、貫通孔9の軸線上に配置され、以て、下流側栓部材10が初期位置から、移動通路4を経て凹部5へと円滑に到達することが可能となっている。また、貫通孔9、移動通路4の内径は、注射器20の軸方向にわたって略同一であり、また、貫通孔9、移動通路4、凹部5の内径は略一定となるように形成されている。
このように構成されることで、圧力発生部6によってピストン7に圧力がかかり注射液が上流側栓部材8と下流側栓部材10とともに注射器20の先端側に移動したときに、下流側栓部材10が凹部5内に収容される。凹部5に下流側栓部材10が収容されると、封入されていた注射液が解放され、上流側栓部材8から注射液への加圧も伴って、注射液が移動通路4を経てノズル流路3から注射器外の注射対象物に射出されることになる。
ここで、本実施例に係るホルダー2には、図3に示すように、注射液の加圧方向、換言すれば圧力発生部6の加圧により注射液が最初に移動する移動方向であって、注射器20の先端に向かう方向に沿って、3つのノズル流路3が一列に形成されている。いずれのノズル流路3も、その導入口は移動通路4に直接開口し、その射出口は注射器20の側方に開口しているが、最下流側のノズル流路3(以下、「最下流ノズル流路3」という)は、その上流側の2つのノズル流路3(以下、「その他のノズル流路3」)とは異なる機能を有すように形成されている。
この最下流ノズル流路3の開口部は、凹部5に下流側栓部材10が収容された状態において、該下流側栓部材10によって閉塞されないように、該下流側栓部材10との相対位置が決定されている。また、下流側栓部材10の上流側栓部材8に対向する面の周縁部には面取り部10aが形成されている。この面取り部10aによって下流側栓部材10の周縁部と移動通路4で形成される略環状の空間への注射液の潜り込みを確保することで、下流側栓部材10が凹部5に収容された状態でも、最下流ノズル流路3の導入口を介した注射液の流通状態が保持される。また、下流側栓部材10が凹部5に収容されると、さらに加圧された上流側栓部材8が下流側栓部材10に近接し、最終的には接触する。この結果、下流側栓部材10と上流側栓部材8との間に封入されていた注射液は、移動通路4を経て、そこに開口している3つのノズル流路3へと流れ込んでいく。そして、上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触する直前には、最下流ノズル流路3を除いた、その他のノズル流路3の導入口は、上流側栓部材8によって閉塞されてしまう。しかし、上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触した状態であっても、上記面取り部10aにより、最下流ノズル流路3の開口部は、下流側栓部材10にも上流側栓部材8にも閉塞された状態とはならず、その導入口を介した、注射液の最下流ノズル流路内への流れ込みは可能な状態に保持されている。
このように、移動通路4に直接開口する導入口を有し、下流側栓部材10が凹部5内に収容されてから上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触するまでの間、常に、当該導入口を介して移動通路4からノズル流路内への注射液の流れ込みが可能となるように保持されている最下流ノズル流路3を有することで、注射器20内、特に移動通路4内での注射液の残存量を抑制することが可能となる。また、最下流ノズル流路3の導入口が移動通路4に直接開口し、その導入口と射出口とで画定される注射液の射出方向(本実施例の場合は、注射器内部から側方に向かう方向)が、加圧による注射液の当初の移動方向(本実施例の場合は、注射器20の先端に向かう方向)に対して非並行(図3では移動方向に対して射出方向が直角となる方向)であることから、換言すれば、当該射出方向と当該移動方向とは異なることから、導入口からノズル流路内に引き込まれた注射液は比較的短い経路を経て外部に射出される構成となる。そのため、注射器内部に、注射液が溜まりやすくなる空間(液溜り空間)が形成されるのを排除し得る。その結果、効率的な注射液の射出が実現できる。また、最下流ノズル流路3については、図3に示すように注射が完了した時点においても、その導入口を介した注射液の流れ込みは保持されるため、上記液溜り空間形成の抑制とともに移動通路4内での注射液の残存量を可及的に抑制することができる。
また、3つのノズル流路3のうち最下流ノズル流路3を除いた、その他のノズル流路3においても、それらの導入口は移動通路4に直接開口していることから、上記の通り、液溜り空間が形成されるのを排除しながら、注射対象物への注射液の射出が実現される。しかし、当該その他のノズル流路3の導入口は、図3に示すように、注射完了時には、上流側栓部材8によって直接閉塞されるか、もしくは上流側栓部材8よりも上流側に位置することになるため、最下流ノズル流路3のように注射完了の最後時点までは注射液の排出には寄与しないこととなる。しかし、上記の通り少なくとも一つの最下流ノズル流路3が備えられることで、注射器20内での注射液残存は抑制し得る。この観点から、注射器20は、最下流ノズル流路3と同様の排出機能を有するノズル流路を複数備える構成であってもよい。
また、上記の実施例では、注射液の最下流ノズル流路3内への流れ込みは、下流側栓部材10の面取り部10aによって保持されているが、これに代えて上流側栓部材8の下流側栓部材10に対向する面の周縁部に面取り部を設け、当該面取り部によって最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持してもよく、また、最下流ノズル流路3の導入口の周縁部に面取り部を設け、当該面取り部によって最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持してもよい。更には、これらの面取り部を適宜組み合わせて、最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持してもよい。
なお、上記の実施例では、ホルダー2には3つのノズル流路を、注射液の移動方向に沿って一列に並べたが、これに限られず複数列に並べても構わない。ただし、ノズル流路の数が増えると、その内部での注射液残存量が増加しうるため、ノズル流路の数は適切であるのが好ましい。
ここで、上記の通り、注射器20においては、3つのノズル流路3が形成されたノズル部材31が、移動通路4の内壁面21に嵌め込まれることで、注射器20に注射器を射出するための経路が画定される。ここで、ノズル部材31の上面32が移動通路4側に突出してしまうと、ノズル部材31が、移動通路を移動する下流側栓部材10や上流側移動部材8の移動を阻害することになる。そこで、図4A、図4Bに示すように、ノズル部材31の上面32が、移動通路4の内壁面21より窪んだ凹部33に収まるように、嵌め込まれるようにする。図4Aは、ホルダー2の断面(図4Bに示すAA断面)図であり、図4Bは、ホルダー2の斜視図である。なお、これらの図は、理解が容易となるように、ホルダー2の上半分の記載は省略している。これらの図に示すように、ノズル部材31の上面32が内壁面21より低い位置に配置されるため、ノズル流路3の開口が移動通路4に直接開口しながら、下流側栓部材10等の移動を阻害する可能性を排除し得る。
<ホルダー2の分割機構>
上記の通り、ホルダー2の移動通路4にノズル部材31を嵌め込む構成の場合、図2に示すように移動通路4が筒状に形成されると、移動通路4内にノズル部材31を入れ、所定の嵌め込み場所に位置決めする作業が容易に行なえるとは限らない。特に、ノズル部材31が比較的小さい場合や移動通路4の内径が小さい場合等には、その作業性は困難なものとなる。そこで、図5に示すようにホルダー2を下側ホルダー部材40と上側ホルダー部材41とに分割する構成を採用してもよい。この場合、ホルダー2内の移動通路4および凹部5も、ホルダー2の上下での分割に対応して分割され、各ホルダー部材にそれぞれの一部が形成される。
このように構成すると、下側ホルダー部材40側の移動通路4の一部の内壁面に、ノズル部材31を嵌め込む際に、上側ホルダー部材41と干渉しないため、当該嵌め込みが行いやすくなる。また、下側ホルダー部材40にノズル部材31を嵌め込んだ後は、下側ホルダー部材40に設けられたスライド部43と、上側ホルダー部材41に設けられたスライド部42とを係合させた状態でホルダー2の軸方向に両部材をスライドさせて、最終的に一つのホルダー2を形成することができる。なお、ノズル部材31を交換する場合には、上記とは逆の行程で、スライドにより上側ホルダー部材41と下側ホルダー部材40との係合を解除して、下側ホルダー部材40に嵌め込まれたノズル部材を取り外せばよい。
<ホルダー2の取り付け>
また、このように構成されたホルダー2の注射器本体1側への取り付けについては、図6Aおよび図6Bに基づいて説明する。上記の通りスライドにより上側ホルダー部材41と下側ホルダー部材40が組み立てられることで形成されたホルダー2において、その上側ホルダー部材41には、注射器本体1側に突出した爪部44が設けられており、さらに下側ホルダー部材40には、同じように注射器本体1側に張り出した板部に孔部45が設けられている。また、注射器本体1側においても、その上面には孔部13が設けられ、下面には突起部12が設けられている。そして、図6A、図6Bに示すように、先ず、ホルダー2側の孔部45を注射器本体1側の突起部12に引っ掛け、そこを回転軸としてホルダー2を注射器本体1に近接させる。そして、ホルダー2の端面が注射器本体1の端面と接触するとともに、爪部44が孔部13と係合することで、注射器本体1とホルダー2の取り付けが完了する。なお、図示はしていないが、注射器本体1の貫通孔9と、ホルダー2の移動通路4との間で加圧された注射液が流れることを考慮して、上記取り付けにより互いに接触する注射器本体1側の端面とホルダー2側の端面との間に、ガスケット等の液漏れ防止のシール部材が設けられている。
別法として、ホルダー2はガスケット等のシール部材を挟んで注射器本体1の端面に、ホルダー用キャップを介して固定されてもよい。ホルダー用キャップはホルダー2に対して引っ掛かるように断面が鍔状に形成され、且つ注射器本体1に対してネジ固定される。これにより、ホルダー2の強固な固定が可能となる。
<その他の実施例>
図7に示すように、ホルダー2に、凹部5からホルダー2の外部に連通する連通孔22が設けられてもよい。この連通孔22を介して、凹部5からホルダー2の外部へ空気を排出することが可能となる。そのため、圧力発生部6で生じた圧力により貫通孔9、移動通路4を移動してきた下流側栓部材10が凹部5内に収容されるとき、下流側栓部材10と凹部5の内壁とで囲まれた空間内の空気圧力が過度に高くなることを回避でき、以て円滑に凹部5に下流側栓部材10が収容され得る。ここで、上記の通り、注射器1内に残存する注射液の量を抑制するために、最下流ノズル流路3の導入口が、下流側栓部材10が凹部5に収容された状態において、該下流側栓部材10によって塞がれないように配置されている。上記連通孔22を設けることにより、下流側栓部材10が円滑に凹部5に収容されることになるため、最下流ノズル流路3の導入口と下流側栓部材10との相対位置は、良好に、すなわち、当該導入口を介して移動通路4から最下流ノズル流路3への注射液の流れ込みが可能となるように維持される。
上述までのように構成される注射器20は、圧力発生部6による圧力を調整することで、目的とする注射対象物に対して好適な注射が実現可能である。本発明に係る注射器20の注射対象物は、たとえば、ヒトや家畜等の生体の皮膚構造体である。ヒトの皮膚は、皮膚表面側から深さ方向に向かって、表皮、真皮、皮下組織・筋肉組織と層状に構成され、更に表皮は角層、皮内と層状に区別することができる。皮膚構造体の各層は、その組織を構成する主な細胞等や組織の特徴も異なる。このようにヒトの皮膚構造は、概ね層状に形成されており、各層に主に含まれる細胞・組織等によって固有の解剖学的機能が発揮されている。このことは、皮膚に対して医学的治療等を施術する場合には、その治療目的に応じた皮膚構造体の場所(深さ)に治療のための成分を注射することが望ましいことを意味する。たとえば、皮内には樹状細胞が存在することから、ここにワクチン注射を行うことでより効果的な抗原抗体反応が期待できる。
また、真皮には、繊維芽細胞やコラーゲン細胞が存在することから、皮膚のシワを除去するためのタンパク質、酵素、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖類、核酸、各種成長因子(上皮細胞や繊維芽細胞)等を真皮に注入すると、効果的な美容治療効果が期待される。また、毛髪再生治療においても、毛根が真皮に位置することから、毛髪再生治療のためには、毛乳頭細胞、表皮幹細胞等を自己培養し、それを頭皮に自家移植する幹細胞注入法や、幹細胞から抽出された数種類の成長因子や栄養成分(たとえば、毛乳頭細胞、毛根幹細胞、表皮幹細胞、HARGカクテル、移植用毛髪等)を真皮近傍に注入することが好ましいといわれている。
また、本発明に係る注射器20によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器20により注射することが可能である。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、本発明に係る注射器20を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本発明に係る注射器20を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本発明に係る注射器20は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器20は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器本体
2・・・・ホルダー(ノズルホルダー)
3・・・・ノズル流路(最下流ノズル流路、その他のノズル流路)
4・・・・移動通路
5・・・・凹部
6・・・・圧力発生部
7・・・・ピストン
8・・・・上流側栓部材
9・・・・貫通孔
10・・・・下流側栓部材
10a・・・・面取り部
11・・・・収容空間
12・・・・突起部
13・・・・孔部
20・・・・注射器
21・・・・内壁面
31・・・・ノズル部材
32・・・・ノズル部材の上面
33・・・・凹部
40・・・・下側ホルダー部材
41・・・・上側ホルダー部材
44・・・・爪部
45・・・・孔部

Claims (10)

  1. 注射針を介することなく、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、
    前記注射目的物質を封入する封入部と、
    前記封入部に封入された前記注射目的物質に対して加圧する加圧部と、
    前記加圧部によって加圧された前記注射目的物質が前記注射対象領域に対して射出されるように流路を画定する流路部と、を備え、
    前記封入部は、上流側栓部材と下流側栓部材に挟まれて形成される収容空間に前記注射目的物質を収容し、該上流側栓部材は前記加圧部によって加えられる圧力を該収容空間内の該注射目的物質に伝えるように配置され、
    前記流路部は、
    前記加圧部による加圧が行われたとき該加圧により前記注射目的物質とともに移動した前記下流側栓部材を、その移動方向の下流側で収容する収容部と、
    前記加圧部による加圧の前に前記下流側栓部材が位置する初期位置と前記収容部による該下流側栓部材の収容位置とをつなぐ通路であって、該加圧により該下流側栓部材が移動する移動通路と、
    前記移動通路に連通するように開口した導入口を有するとともに前記注射対象領域への前記注射目的物質の射出口を有する少なくとも一つのノズル流路であって、前記下流側栓部材が前記収容部に収容された状態において、該導入口を介して該ノズル流路と該移動通路を、該注射目的物質が流通するノズル流路と、
    を有する、無針注射器。
  2. 前記ノズル流路において前記導入口と前記射出口によって画定される、前記注射目的物質の射出方向は、前記加圧部の加圧により該注射目的物質が前記下流側栓部材とともに移動する前記移動方向に対して非平行となるように設定される、
    請求項1に記載の無針注射器。
  3. 前記流路部は、
    前記移動通路に連通するように開口した導入口を有するとともに前記注射対象領域への前記注射目的物質の射出口を有するノズル流路であって、前記加圧部の加圧により該注射目的物質が前記下流側栓部材とともに移動する前記移動方向に沿って、前記ノズル流路よりも上流側に、且つ前記ノズル流路とは別に設けられた他のノズル流路を、更に有する、
    請求項1又は請求項2に記載の無針注射器。
  4. 前記下流側栓部材が前記収容部に収容された状態における、該下流側栓部材の前記上流側栓部材との接触面の周縁部、該上流側栓部材の該下流側栓部材の接触面の周縁部、もしくは前記ノズル流路の導入口の周縁部のうち、少なくとも何れかの周縁部に設けられた面取り部によって、該ノズル流路と前記移動通路を、前記注射目的物質が流通する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の無針注射器。
  5. 前記流路部は、前記ノズル流路を含むノズル部材を、更に有し、
    前記移動通路側に前記ノズル流路の導入口が位置するように、該移動通路の内壁面に前記ノズル部材が嵌め込まれる、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の無針注射器。
  6. 前記ノズル部材が前記移動通路の内壁面に嵌め込まれた状態において、前記ノズル流路の導入口は、該移動通路の内壁面より窪んだ凹部内に位置する、
    請求項5に記載の無針注射器。
  7. 前記移動通路および前記収容部を含み且つ前記ノズル部材を着脱可能に保持する部材で
    あって、該ノズル部材を保持した状態で前記注射器の本体に対して固定され、且つ前記加圧部によって加圧された前記注射目的物質が該移動通路を経て前記ノズル流路に導かれる保持部材を、更に備え、
    前記保持部材は、複数の分割された要素を組み合わせて形成され、該分割された一つの要素に含まれる前記移動通路の一部の内壁面に対して、前記ノズル部材が着脱可能となるように形成される、
    請求項5又は請求項6に記載の無針注射器。
  8. 前記流路部は、
    前記収容部と前記注射器の外部とを連通する連通孔を、更に有する、
    請求項1から請求項7の何れか一項に記載の無針注射器。
  9. 前記封入部と前記加圧部と前記流路部を含む注射器本体を、更に備え、
    前記移動方向は、前記注射器本体の後端側から先端側に向かう方向であって、
    前記ノズル流路の前記射出口は、前記注射器本体の側方に開口する、
    請求項1から請求項8の何れか一項に記載の無針注射器。
  10. 前記収容空間の内径と、記移動通路の内径は、略同一であって、
    前記収容空間、前記移動通路、前記収容部においてそれぞれの内径は前記移動方向にわたって略一定である、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の無針注射器。
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