JP2012220669A - トナー、現像剤、画像形成方法及びトナーの製造方法 - Google Patents

トナー、現像剤、画像形成方法及びトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写性、低温定着性及びクリーニング性を両立するトナーを提供すること。
【解決手段】記録媒体上の未定着トナーを加熱しながら回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して回転する加圧部材と、前記加圧部材の表面をクリーニングするクリーニングウェブとを有する定着装置にて定着されるトナーであって、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が115℃以下であり、高架式フローテスタにより測定される1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが30℃以上である、トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、現像剤、画像形成方法及びトナーの製造方法に関する。
電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を、トナーを含有する現像剤で現像してトナー像とし、形成されたトナー像を、紙等の記録媒体に転写した後、加熱、加圧により定着させて、画像を形成している。
近年、より高画質で画像を形成することが要求されており、高画質化へのトナー設計がなされている。高画質化の要求に対応するため、トナーを小粒径化し、潜像を忠実に再現することが検討されている。
しかしながら、小粒径トナーを用いる場合、トナー粒子と感光体又は中間転写体との非静電的付着力が増加し、転写効率が低下する。そのため、特許文献1では、トナー製造時に、水系媒体中で加熱処理することによりトナー母体粒子表面を平滑にする技術が開示されている。トナー母体粒子表面を平滑にすることにより、外添剤を添加する際に外添剤がトナー母体粒子表面に均一に付着する。それにより、静電的付着力を低減し、転写効率が向上する。
しかしながら、特許文献1では、加熱によりトナー内部に空隙が発生して熱伝導性が下がり、定着性が低下する。また、前記トナーはクリーニング性が悪く、画像形成後において、定着部材にトナーがクリーニングされずに残存し、粒状汚れが発生することがある。
そこで、本発明は、転写性、低温定着性及びクリーニング性を両立するトナーを提供することを課題とする。
本発明によれば、
記録媒体上の未定着トナーを加熱しながら回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して回転する加圧部材と、前記加圧部材の表面をクリーニングするクリーニングウェブとを有する定着装置にて定着されるトナーであって、
結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、
高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が115℃以下であり、
高架式フローテスタにより測定される1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが30℃以上である、トナー。
本発明によれば、転写性、低温定着性及びクリーニング性を両立するトナーを提供できる。
図1は、本発明のトナーにおける、高架式フローテスタにより測定されるフローカーブの一例である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[流出開始温度Tfb、1/2流出温度T1/2]
本発明のトナーは、記録媒体上の未定着トナーを加熱しながら回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して回転する加圧部材と、前記加圧部材の表面をクリーニングするクリーニングウェブとを有する定着装置にて使用することが好ましい。
本発明のトナーは、着色剤、炭化水素系離型剤及び結着樹脂を含むトナーであって、高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が115℃以下であることが好ましい。より好ましくは、Tfb(℃)の範囲が90℃以上115℃以下である。
流出開始温度Tfb(℃)を115℃以下とすることにより、定着部材及び加圧部材等にオフセットしたトナーをクリーニングウェブにより回収する際、クリーニングウェブへのトナーの染み込み性が良くなる。すなわち、オフセットトナーのクリーニング性が良好なトナーが得られる。一方、流出開始温度Tfb(℃)が115℃より大きい場合、トナーのクリーニングウェブへの染み込みが悪くなることがある。そのため、クリーニングウェブでオフセットトナーを保持できなくなり、クリーニングウェブ上で冷却固化したトナーが、クリーニングウェブをすり抜け、記録部材上にトナーが再付着(画像汚れ)することがある。
また、高架式フローテスタにより測定される前記トナーの1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが、30℃以上であるトナーであることが好ましい。より好ましくは、T1/2‐Tfbが40℃以上である。T1/2‐Tfbを30℃以上とすることにより、得られるトナーの耐オフセット性及び耐ブロッキング性が向上する。一方、T1/2‐Tfbが30℃未満の場合、得られるトナーの低温定着性は向上するが、高温における弾性が乏しく、ホットオフセットや定着器への転写材の巻きつき等が発生しやすくなることがある。また、得られるトナーの耐熱性が悪くなり、トナーブロッキングが発生しやすくなることがある。
ここで言う、トナーの流出開始温度Tfb及びトナーの1/2流出温度T1/2は、高架式フローテストを用いて測定されれば、特に限定されない。本実施例においては、フローテスタCFT‐500(株式会社島津製作所製)によって測定した。測定方法の一例を下記に示す。
フローテスタCFT−500(ダイ径0.5mm、ダイ長1.0mm)を50℃にセットする。トナーを1.0g秤量し、成型器にて加圧し成型する。常温常湿下(温度20〜24℃、相対湿度30〜70%RH(relative humidity))で、成型されたサンプルをフローテスタにセットし、昇温法により測定する。昇温法の条件は、例えば、予熱時間として200秒経過後、30kgf/cmの荷重をかけ、3℃/minの昇温速度で測定することができる。図1に、本発明のトナーの、フローテスタのフローカーブの一例を示す。図中、Tsはトナーの軟化点を、Tfbはトナーの流出開始温度を示す。また、Tendは測定終了温度を示す。T1/2温度はTfbからTendまでのストローク量の半分の時の温度で定義される。
次に、本発明のトナーを得るための材料について説明する。
[結着樹脂]
本発明のトナーにおいて、結着樹脂はポリエステル樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量、構成モノマー等は、限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。また、本発明のトナーは、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含有してもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等の単独重合体又は共重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらは、1種類単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
本発明のトナーで使用できるポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸を脱水縮合することにより得られる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを付加することにより得られる2価のアルコール等が挙げられる。本発明のトナーに含まれるポリエステル樹脂は、架橋しても良く、その場合、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3価以上のアルコールを併用して使用しても良い。
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラキス(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、これらの無水物、部分低級アルキルエステル等が挙げられる。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、ポリエステル樹脂の酸価は5〜40mgKOH/gであることが好ましく、10〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が5mgKOH/g未満の場合、主たる記録媒体である紙との親和性が低下し、低温定着性が低下することがある。また、トナーの帯電性が悪化し、形成される画像が劣化することがある。一方、酸価が40mgKOH/gを超える場合、高温高湿、低温低湿下等の環境下において、形成画像が劣化することがある。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、ポリエステル樹脂の水酸基価が5〜100mgKOH/gであることが好ましく、20〜60mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基価が5mgKOH/g未満の場合、主たる記録媒体である紙との親和性が低下し、低温定着性が低下することがある。また、トナーの帯電性が悪化し、形成される画像が劣化することがある。一方、水酸基価が100mgKOH/gを超える場合、高温高湿、低温低湿下等の環境下において、形成画像が劣化することがある。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、ポリエステル樹脂はTHF(テトラヒドロフラン)に可溶な成分の分子量分布において、分子量が3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましく、分子量5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークを有することがさらに好ましい。分子量が3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークを有することにより、得られるトナーの定着性、耐オフセット性が優れる。さらに、ポリエステル樹脂のTHFに可溶な成分は、分子量が100,000以下である成分の含有量が60〜100重量%であることが好ましい。ここで言う、ポリエステル樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
結着樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が55〜80℃であることが好ましく、60〜75℃であることがさらに好ましい。Tgが前記範囲にあることにより、高温保存化での安定性及び低温定着性に優れるトナーが得られる。
本発明において、ポリエステル樹脂として、以下に示すウレア変性ポリエステル系樹脂を使用しても良い。具体的には、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることが出来る。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後のウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
(架橋剤及び伸長剤)
本発明において、架橋剤及び/又は伸長剤として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により架橋及び/又伸長は停止剤を用いて反応終了後のウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1/1.5〜1.5/1さらに好ましくは1/1.2〜1.2/1である。[NCO]/[NHx]が2より大きい場合や、1/2未満の場合では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
[離型剤]
本発明のトナーで使用できる離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が60〜90℃の離型剤を使用することが好ましい。融点が60〜90℃の離型剤を使用することにより、前述の結着樹脂と併用することで、より効果的に離型機能を有する。具体的には、定着ローラがオイルレスの場合においても、ホットオフセット性が良好になる。近年、低エネルギー化の要求に伴い、より低温で定着する技術が求められる。より低温で離型性を発揮する必要がある。そのため、融点が90℃を超える離型剤は好ましくない。また、離型剤の融点が60℃未満の場合、トナーの高温保存性が悪化し、得られる画像が劣化させることがある。
離型剤の具体例としては、ロウ類及びワックス類として、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。これらの離型剤の中でも、本発明においては、パラフィン、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、ポリプロピレン等の炭化水素系ワックスを使用することが好ましい。炭化水素系ワックスは、後述する定着補助成分である脂肪酸アミド系化合物との相溶性が低く、十分な離型機能を発揮できるため好ましい。
[着色剤]
本発明で使用できる着色剤としては、限定されず、公知の染料及び顔料を使用することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
トナー中の着色剤の含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が1重量%未満の場合、トナーの着色力が低下することがある。一方、着色剤の含有量が15重量%を超える場合、トナー中で着色剤の分散が不十分になり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
本発明で使用する着色剤は、下記で示す樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
上記樹脂における、スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤に高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
[その他の成分]
本発明のトナーは、帯電制御剤、無機微粒子及びクリーニング性向上剤等の、その他の成分をさらに含有しても良い。
《帯電制御剤》
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、Hoechst AG製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲で用いられる。さらに好ましくは、0.2重量部〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎるため、主帯電制御剤の効果を減退させる。これにより、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
《外添剤》
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を使用することができる。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
上述の無機微粒子は、一次粒径が5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmであることがより好ましい。
また、トナー中の無機微粒子の含有量は、0.01〜5.0重量%であることが好ましく、0.01〜2.0重量%であることがより好ましい。
さらに、上述の無機微粒子は、流動性向上剤で表面処理しても良い。これにより、無機微粒子の疎水性が向上し、高湿度下においても流動性や帯電性の低下を抑制することができる。流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。本発明においては、シリカ、酸化チタンを流動性向上剤で表面処理した、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンが好ましい。
《クリーニング性向上剤》
本発明のトナーは、クリーニング性向上剤を添加しても良い。クリーニング性向上剤を添加することで、感光体及び一次転写媒体に転写後に残存するトナーを、効率よく除去できる。クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子等が挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
[トナーの製造方法]
以下、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーは、水系媒体中で、トナー材料を溶解/分散した有機溶媒を、分散/乳化することで得ることができる。
本発明のトナーの製造に用いる水系媒体には、予め樹脂微粒子を添加して使用しても良い。樹脂微粒子が粒径制御剤として機能することで、トナーの周囲に配置され、最終的にはトナー表面を覆いシェル層として機能することになる。樹脂微粒子の水系媒体中の添加量は、0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
次に、トナー材料を含有する液相を調製する。有機溶媒中に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物、着色剤、離型剤等のトナーを構成する材料を、分散剤を利用して溶解又は分散させる。なお、トナーを構成する材料の中で、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤、分散剤以外の成分は、樹脂粒子を水系媒体に分散させる際に水系媒体中に添加混合しても良い。また、トナーを構成する材料を含有する液相を水系媒体に添加する際に添加しても良い。
次に、トナー材料を含有する有機溶媒を、水系媒体中で分散させる。ウレア変性ポリエステル樹脂を含むトナーを製造する場合、分散時にアミン化合物とイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを伸長反応及び/又は架橋反応させる。また、予めアミン化合物を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させても良い。さらに、トナー材料を含む有機溶媒を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、アミン化合物を添加し、伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させても良い。
また、伸長反応及び/又は架橋反応を促進させるために、乳化又は分散後に得られたスラリーを加熱しても良い。伸長反応及び/又は架橋反応の反応時間は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン化合物の組み合わせに応じて適宜選択することができる。具体的には、10分間〜40時間であることが好ましく、2時間〜24時間であることがより好ましい。また、反応温度は、150℃以下であることが好ましく、40℃〜98℃であることがより好ましい。
水系媒体中において、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを含有する分散液を安定に形成する方法としては、有機溶媒を水系媒体に添加した後に、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。この時の分散機としては、限定されず、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられる。これらの中でも、分散体の粒子径を2〜20μmに制御することができることから、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、当業者が適宜選択できるものである。例えば、回転数は、通常1,000〜30,000rpmであり、5,000〜20,000rpmであることがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、0.1〜5分であることが好ましい。分散温度は、加圧下において、150℃以下であることが好ましく、40℃〜98℃であることがより好ましい。なお、一般的には、分散温度は高温である方が、分散が容易となる傾向がある。
水系媒体の使用量は、トナー材料100質量部に対して、50質量部〜2000質量部であることが好ましく、100質量部〜1000質量部であることがより好ましい。水系媒体の使用量が、50質量部未満の場合、トナー材料の分散状態が悪くなり、所定の粒子径のトナーが得られないことがある。一方、水系媒体の使用量が2000質量部を超える場合、生産コストが高くなり経済的でない。
乳化又は分散工程においては、分散体を安定化させ、所望の形状にする共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
分散剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられ、1種類単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。これらの分散液の中でも、界面活性剤を使用することが好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルポリオキシエチレン硫酸ナトリウム等があげられる。α−オレフィンスルホン酸塩としては、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩等が挙げられる。フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子株式会社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M株式会社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(以上、株式会社トーケムプロダクツ製)、フタージェント100、150(以上、株式会社ネオス製)、等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等を用いることが好ましい。
陽イオン界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−132(株式会社ト−ケムプロダクツ製);フタージェントF−300(株式会社ネオス製)等を用いることが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えばリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
高分子系保護コロイドとしては、例えばカルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニル、アミドモノマー、酸塩化物のモノマー、窒素原子又はその複素環を有するモノマー等を重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマー、ポリオキシエチレン系樹脂、セルロース類等が挙げられる。なお、上記のモノマーを重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマーは、ビニルアルコール由来の構成単位を有するものも含む。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等が挙げられる。ビニルエーテルの具体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。カルボン酸ビニルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。アミドモノマーとしては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。酸塩化物のモノマーとしては、例えばアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等が挙げられる。窒素原子又はその複素環を有するモノマーとしては、例えばビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。ポリオキシエチレン系樹脂としては、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸フェニル、ポリオキシエチレンペラルゴン酸フェニル等が挙げられる。セルロース類としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
また、分散剤としては、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等も挙げられる。分散剤として、リン酸カルシウムを用いる場合、塩酸等でカルシウム塩を溶解させて、水洗する方法、酵素で分解する方法等を用いて、リン酸カルシウム塩を除去することができる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、反応系全体を徐々に昇温させて、有機溶媒を蒸発除去する方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧し、油滴中の有機溶媒を除去する方法、減圧して有機溶媒を蒸発させる方法、常温で長時間攪拌させて有機溶媒を蒸発させる方法等が挙げられる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去した後に、脱溶した乳化スラリーを寝かせる熟成工程を行っても良い。これにより、プレポリマーの伸長反応度合いを制御することができるが、熟成工程の温度及び時間などの条件は、トナーに含まれるプレポリマーの種類や含有量などによって当業者が適宜選択できるものである。
なお、分散剤を用いた場合は、熟成工程の後に、洗浄等を行うことにより分散剤を除去することが好ましい。
本発明のトナーは、トナーの母体粒子表面の凹凸を少なくする工程を有する製造方法にて製造されることが好ましい。凹凸を少なくする工程としては、分散剤を洗浄除去した後に、水を加えスラリー状態として加熱することなどが挙げられる。分散剤の洗浄工程後に加熱工程を行うことで、トナー母体粒子表面の凹凸が滑らかになる。そのため、外添剤がトナー母体粒子表面に均一に付着するため、トナーの転写性が改善される。この時の加熱時間は、1分以上2時間以下で行うことが好ましい。加熱温度は、結着樹脂のガラス転移温度以上前記ガラス転移温度+15℃以下、好ましくは+10℃以下、さらに好ましくは+5℃以下である。結着樹脂のガラス転移点以上に加熱することにより、結着樹脂が変形し、得られるトナーの母体粒子表面の凹凸が滑らかになる。そのため、外添剤を均一に付着させることができ、転写効率に優れたトナーを製造できる。
トナーの母体粒子の凹凸性は、BET比表面積で評価することが出来る。一般的に、凹凸性が大きいほどBET比表面積が大きくなり、凹凸が小さいほどBET比表面積が小さくなる。
加熱工程の後、乾燥工程を施し、トナー母体粒子が形成される。トナー母体粒子は、ざらに分級等を行うことができる。分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除いても良いし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
得られたトナー母体粒子に、外添剤を添加することでトナーを得ることができる。この時、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母体粒子の表面からワックス等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック工業株式会社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
[現像剤]
本発明のトナーは、キャリア等の他の成分をさらに有してもよく、トナーからなる一成分現像剤、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤等として用いることができる。本発明のトナーを一成分現像剤又は二成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少ない。そのため、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を抑制することができる。また、現像装置の長期の使用においても、良好で安定した現像性が得られる。これらの中でも、近年の情報処理速度の向上要求に対応した高速プリンタ等には、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。
[キャリア]
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合、二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98質量%であることが好ましく、93〜97重量%であることがさらに好ましい。キャリアは、公知のものであれば特に限定されないが、芯材及び芯材を被覆する樹脂層を有するキャリアを使用することが好ましい。
《芯材》
芯材の材料としては、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。なお、画像濃度を確保するためには、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、感光体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点においては、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料を用いることが好ましい。
芯材は、体積平均粒径(D50)が10〜150μmの範囲であることが好ましく、20〜80μmであることがさらに好ましい。D50が10μm未満の場合、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなる。つまり、1粒子当たりの磁化が低下し、キャリアの飛散が生じることがある。一方、D50が150μmを超える場合、キャリアの比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
《樹脂層》
樹脂層の材料としては、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、樹脂層は必要に応じて導電粉等を含有してもよい。導電粉の材料としては、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、含有する導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超える場合、電気抵抗の制御が困難になることがある。
樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布し、乾燥及び焼付により形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート等が挙げられる。さらに、焼付方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれでも良い。具体的には、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
キャリア中の樹脂層の含有量は、0.01〜5.0質量%であることが好ましい。樹脂層の含有量が0.01質量%未満の場合、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがある。一方、樹脂層の含有量が5.0質量%を超える場合、樹脂層が厚く、キャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリアが得られないことがある。
[画像形成方法]
本発明の現像剤は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程を有する画像形成装置により現像される。画像形成装置は、さらにウェブ方式のクリーニング工程を有することが好ましく、必要に応じて、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を有してもよい。
《静電潜像形成工程》
静電潜像形成工程は、光導電性絶縁体、感光体等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができる。静電潜像担持体の形状は、ドラム状であることが好ましい。また、感光体としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。これらの中でも、アモルファスシリコン感光体を使用することが、長寿命である点で好ましい。
静電潜像は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成される。即ち、静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器を有する。
帯電器としては、特に限定されないが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等を用いることができる。
露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に形成すべき像様に露光することができれば、特に限定されないが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器を用いることができる。なお、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用しても良い。
《現像工程》
静電潜像形成工程により形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程である。現像手段は、本発明の現像剤を用いて現像することができれば、特に限定されないが、例えば、本発明の現像剤を収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を有するものを用いることができる。また、本発明の現像剤収容容器を一体的に備えた現像器等が好ましい。
現像器は、乾式現像方式及び湿式現像方式のいずれの方式のものも使用することが出来る。また、単色用現像器及び多色用現像器のいずれであっても良い。例えば、本発明の現像剤を摩擦攪拌により帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラーを有するもの等が挙げられる。現像器内では、例えば、トナーとキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラーの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラーは、静電潜像担持体近傍に配置されており、マグネットローラーの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって、静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて、静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。なお、現像器に収容する現像剤は、一成分現像剤であっても良く、二成分現像剤であっても良い。
《転写工程》
転写工程は、例えば、転写帯電器を用いて、トナー像が形成された静電潜像担持体を帯電し、トナー像を記録媒体に転写する工程である。転写工程は、トナー像を中間転写体上に転写する一次転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することが好ましい。また、転写工程は、二色以上のトナー、好ましくは、フルカラートナーを用いて、各色のトナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写工程と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することがさらに好ましい。
転写手段としては、トナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写手段と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体としては、特に限定されないが、例えば、無端状の転写ベルト等が挙げられる。また、転写手段は、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体側に帯電剥離させる転写器を有することが好ましい。なお、転写手段は、1個又は2個以上の転写器を有することができる。
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラー、圧力転写ローラー、粘着転写器等が挙げられる。
なお、記録媒体としては、特に限定されず、例えば記録紙などの公知の記録媒体の中から適宜選択することができる。
《定着工程》
定着工程は、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程である。なお、二色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させても良く、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された後で定着させても良い。定着手段としては、特に限定されず、公知の加熱加圧手段を用いることができる。加熱加圧手段としては、加熱ローラーと加圧ローラーを組み合わせたもの、加熱ローラーと加圧ローラーと無端ベルトを組み合わせたもの等が挙げられる。このとき、加熱温度は、通常、80〜200℃である。
加熱ローラ定着装置において、定着ローラ、加圧ローラ周面にトナー等が付着、堆積すると、定着性能が低下し、更なるトナー付着の累積等が発生する。そのため、従来から定着ローラ、加圧ローラの周面を適宜クリーニングする方式が種々提案されている。クリーニング部材を定着ローラ、加圧ローラ周面に接触させるローラ方式、フェルトから成るクリーニング部材を定着ローラ、加圧ローラに摺接させるフェルト方式、更には送り出しローラに巻かれたウェブを巻き取りローラによって巻取る過程でウェブによって定着ローラ、加圧ローラ周面のクリーニングを行うウェブ方式等が知られている。
本発明では、クリーニング部材が加圧ローラにあり、かつウェブ方式を採用することが好ましい。
《除電工程》
除電工程は、静電潜像担持体に除電バイアスを印加して除電する工程である。除電手段としては、静電潜像担持体に除電バイアスを印加することができれば、特に限定されないが、例えば、除電ランプ等を用いることができる。
《クリーニング工程》
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程である。クリーニング手段としては、ウエブクリーナーを用いることができる。
《リサイクル工程》
リサイクル工程は、クリーニング工程で除去されたトナーを現像手段にリサイクルさせる工程である。リサイクル手段としては、特に限定されず、公知の搬送手段等を用いることができる。
《制御工程》
制御工程は、各工程を制御する工程である。制御手段としては、各手段の動作を制御することができれば、特に限定されないが、例えば、シークエンサー、コンピューター等を用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は質量部を示す。
(実施例1)
[ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物65部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物86部、テレフタル酸274部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で15時間反応させた。さらに、5〜10mmHgの減圧下、6時間反応させて、(ポリエステル樹脂A)を合成した。得られたポリエステル樹脂Aは、数平均分子量(Mn)2,300、重量平均分子量(Mw)8,000、ガラス転移温度(Tg)58℃、酸価25mgKOH/g、水酸基価35mgKOH/gであった。
[スチレンアクリル樹脂の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル300部、スチレン185部、アクリルモノマー115部及びアゾビスイソブチルニトリル5部を投入して、窒素雰囲気下、65℃(常圧)で8時間反応させた。次に、メタノール200部を加え、1時間攪拌した。その後、反応液の上澄みを除去し、減圧乾燥させて、(スチレン−アクリル樹脂A)を合成した。得られたスチレンアクリル樹脂Aは、重量平均分子量(Mw)20,000、ガラス転移温度(Tg)58℃であった。
[イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部、及びジブチルチンオキサイド2部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、(中間体ポリエステルA)を合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)2,100、重量平均分子量(Mw)9,600、ガラス転移温度(Tg)55℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価が49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、(中間体ポリエステルA)411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させた。得られたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを、(プレポリマーA)とした。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
[アミン化合物(ケチミン)の合成]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン30質量部及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、(ケチミンA)を合成した。
得られたケチミンAのアミン価は423であった。
[マスターバッチの作製]
水1,000部、DBP吸油量が42mL/100g、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デグサ社製)540部、及び1,200部のポリエステル樹脂Aを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。次に、二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、(マスターバッチA)を作製した。
[水系媒体の調製]
イオン交換水306部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を混合撹拌し、均一に溶解させて、(水系媒体A)を調製した。
[トナー材料の溶解乃至分散液の調製]
ビーカー内に、(ポリエステル樹脂A)を70部、(プレポリマーA)を10部及び酢酸エチル100部を入れ、攪拌して溶解させた。ここに離型剤としてパラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9 融点75℃)、MEK−ST(日産化学工業社製)2部、及びマスターバッチ10部を加えた。ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、(ケチミンA)2.7部を加えて溶解させ、(トナー材料の溶解乃至分散液A)を調製した。
[乳化スラリーの調製]
(水系媒体A)150部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、回転数12,000rpmで攪拌した。これに、(トナー材料の溶解乃至分散液A)100部を添加し、10分間混合し、(乳化スラリーA)を調製した。
[脱溶剤・熟成・洗浄]
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、(乳化スラリーA)100部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃、12時間脱溶剤を行った。さらに、脱溶剤したスラリーを50℃、12時間で熟成を行った。
熟成後のスラリー100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーで30分間混合(回転数12,000rpm)した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過する操作を2回行った。さらに、得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過した。
[乾燥]
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、(トナー母体粒子A)を得た。
[外添処理]
(トナー母体粒子A)100部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とを、ヘンシェルミキサーにて混合し、実施例1のトナーを得た。
(実施例2)
実施例1において、熟成後のスラリーに、以下の熱処理工程を追加した以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを得た。
[熱処理工程]
熟成工程後の濾過ケーキに、イオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで5,000rpmで混合しながら、ウォーターバスの温度50℃で10時間加熱を行った。
得られたトナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行った。得られた濾過ケーキに、イオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーで10分間混合(回転数12,000rpm)した後、濾過した。
(実施例3)
実施例2における、熟成時間を6時間に変更した以外は、実施例2と同様の工程で、実施例3のトナーを得た。
(実施例4)
実施例3における、熱処理工程の加熱温度を55℃に変更した以外は、実施例3と同様の工程で、実施例4のトナーを得た。
(比較例1)
実施例1中の熟成時間を15時間に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
実施例2中の熟成時間を15時間に変更した以外は、実施例2と同様にして比較例2のトナーを得た。
(比較例3)
実施例2中の熟成時間を4時間に変更した以外は、実施例2と同様にして比較例3のトナーを得た。
[評価]
得られたトナーを用いて、以下の評価を行った。表1に評価結果を示す。
Figure 2012220669
<転写性>
画像形成装置MF2800(株式会社リコー製)を用いて、マクベス反射濃度計で平均画像濃度が1.38以上となる、15cm×15cmの黒ベタ画像をマイリサクルペーパー100に形成した。転写率は下記式(1)により求めた。
転写率[%]=(記録紙上に転写されたトナー量/感光体上に現像されたトナー量)×100・・・(式(1))
転写性の判定基準は下記の通りである。
転写率が95%以上 ◎
転写率が90%以上95%未満 ○
転写率が80%以上90%未満 △
転写率が80%未満 ×
<粒状汚れ>
リコー製imagio MPC5000の定着加圧部材のクリーニング部材を、クリーニングウェブに変更した改造機を用いて、10000枚のハーフトーン画像出力後、さらにハーフトーン画像を100枚出力し、その用紙上の粒状汚れを目視により評価した。粒状汚れの判定基準は下記の通りである。
発生なし ○
微少な粒状汚れあり △
集団粒状汚れが発生 ×
<耐熱性>
トナーを10gずつ計量し、20mLのガラス容器に入れ、150回ガラス瓶をタッピングした。その後、温度55℃、湿度80%にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度計で針入度を測定した。また、低温低湿(10℃、15%)環境下に保存したトナーも同様に針入度を評価した。各々の環境下において、針入度が小さい方の値を採用して評価した。
判定基準は下記の通りである。
30以上 ○
20以上30未満 △
20未満 ×
<耐スミア性>
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF−200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)をセットし、定着ローラの温度を5℃刻みで変化させて、複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる、定着ローラの温度の最小値を定着下限温度とした。
定着下限温度は、消費電力が抑えられることから、低いことが好ましく、135℃以下であれば、実使用上問題の無いレベルである。
表1より明らかなように、実施例1〜4のトナーでは、定着オフセットトナーのクリーニング性を確保しつつ、耐熱保存性、転写性に優れたトナーが得られた。
特開2010−139912号公報

Claims (6)

  1. 記録媒体上の未定着トナーを加熱しながら回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して回転する加圧部材と、前記加圧部材の表面をクリーニングするクリーニングウェブとを有する定着装置にて定着されるトナーであって、
    結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、
    高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が115℃以下であり、
    高架式フローテスタにより測定される1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが30℃以上である、トナー。
  2. 高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が90℃以上105℃以下であり、
    高架式フローテスタにより測定される1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが40℃以上である、請求項1に記載のトナー。
  3. 請求項1又は2に記載のトナーを含む、現像剤。
  4. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    請求項3に記載の現像剤を用いて前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを含む、画像形成方法。
  5. 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む材料を有機溶媒中に分散させる工程、
    前記分散させる工程で得られた分散液を水系媒体中で乳化させる工程、
    前記乳化させる工程で得られた乳化液から前記有機溶媒を除去して乳化スラリーを得る工程、
    前記乳化スラリーを熟成させる工程、
    を含む、
    高架式フローテスタにより測定される流出開始温度Tfb(℃)が115℃以下であり、高架式フローテスタにより測定される1/2流出温度T1/2(℃)と、前記流出開始温度Tfb(℃)との差T1/2‐Tfbが30℃以上である、トナーの製造方法。
  6. 前記熟成させる工程の後に、熱処理する工程をさらに含む、請求項5に記載のトナーの製造方法。
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