JP2012219294A - マスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に位置決めができ、位置決め精度が良いマスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置を提供する。
【解決手段】マスキング台22に固定された一対の第1位置決め治具3と、第2位置決め治具4とを備え、第1位置決め治具3はビーム12が載せられる凹部31が形成されており、第2位置決め治具4はビームの先端面が当接される板部材である。第1位置決め治具3にビーム12を載せるだけでビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができ、ビーム12の先端面を第2位置決め治具4に当接するだけでビーム軸方向の位置決めができるので、容易に位置決めができる。歪みが生じ難いビーム12で位置決めを行うので、位置決め精度が良い。
【選択図】図1
【解決手段】マスキング台22に固定された一対の第1位置決め治具3と、第2位置決め治具4とを備え、第1位置決め治具3はビーム12が載せられる凹部31が形成されており、第2位置決め治具4はビームの先端面が当接される板部材である。第1位置決め治具3にビーム12を載せるだけでビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができ、ビーム12の先端面を第2位置決め治具4に当接するだけでビーム軸方向の位置決めができるので、容易に位置決めができる。歪みが生じ難いビーム12で位置決めを行うので、位置決め精度が良い。
【選択図】図1
Description
本発明は、マスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置に関する。さらに詳しくは、電解採取に用いられるカソードとしての母板を絶縁物でマスキングするにあたり、母板をマスキング台に位置決めするためのマスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置に関する。
ニッケルをはじめとする金属の電解採取では、電解採取する金属とは別種の金属であって繰り返し使用できる材質の母板をカソードとして使用し、所定時間の電解を行った後、電着物を母板より引き剥がして回収する方法が一般的に行われている。このとき、母板を絶縁物でマスキングしておくことにより、任意の特殊形状の電着物を得ることができる。
例えば、メッキ用のアノードとして用いる電気ニッケルは、メッキ装置のアノードボックスへの充填性やハンドリング性などの観点から、角が立たない丸みのある小塊状の形状が好まれる。このような小塊状の電気ニッケルを電解採取により製造するために、表面に多数の円形の電着部(ニッケルが電着する部分)を有するように絶縁物をマスキングした母板を用いて電解することが行われる(例えば、特許文献1)。
図12に示すように、ニッケルの電解採取に用いられる母板1は、チタン製あるいはステンレス製の長方形の板部11と、銅製のビーム12と、それら板部11とビーム12とを接続するリボン13とからなる。リボン13と板部11およびビーム12とは溶接で固定されている。
このような母板1に絶縁物をマスキングするためには、図13に示すようなマスキング装置102が用いられる。マスキング装置102には、装置本体121から引き出したり、挿入したりできるマスキング台122が備えられており、このマスキング台122に母板1を載せ、装置本体121内に挿入して母板1に絶縁物である樹脂を塗布する。
マスキング装置102で母板1に樹脂14を塗布することにより、図14に示すような、多数の円形の電着部15を有するパターンで板部11がマスキングされる。この円形の電着部15のみにニッケルが電着するため、小塊状の電気ニッケルを得ることができる。
ここで、母板1をマスキング台122に載せるにあたり、母板1をマスキング台122に対して位置決めする必要がある。
図13に示すように、従来のマスキング台122には、第1位置決め段差123と第2位置決め段差124とが直行する様に形成されており、作業員が約20〜30kgある母板1を動かし、板部11の側面を第1位置決め段差123に当接させ、板部11の底面を第2位置決め段差124に当接させることで母板1の位置決めを行っていた。
図13に示すように、従来のマスキング台122には、第1位置決め段差123と第2位置決め段差124とが直行する様に形成されており、作業員が約20〜30kgある母板1を動かし、板部11の側面を第1位置決め段差123に当接させ、板部11の底面を第2位置決め段差124に当接させることで母板1の位置決めを行っていた。
しかるに、板部11は電着応力で変形や歪みが生じている場合があり、その場合には板部11の側面が第1位置決め段差123に合わなかったり、板部11の底面が第2位置決め段差124に合わなかったりする。そのため、位置決めに熟練を要し、何度も位置決めをし直すため作業者負荷が高いという問題があった。
また、マスキングする樹脂の厚みを厚くするためにマスキング作業を複数回行う場合があるが、位置決めの精度が悪いため、1回目と2回目とでマスキングパターンの位置がずれるという問題があった。
また、マスキングする樹脂の厚みを厚くするためにマスキング作業を複数回行う場合があるが、位置決めの精度が悪いため、1回目と2回目とでマスキングパターンの位置がずれるという問題があった。
一方、特許文献2には、マスキング位置精度を向上し得る技術が公開されている。
しかし、本従来技術は、紙や薄板等の基板にマスキングテープを貼付するのに用いられる技術であり、母板に樹脂を塗布する技術には適用できない。
また、本従来技術では、位置決めを行うために基板に位置決め用の基準穴が必要であるが、電解用の母板に基準穴を加工すると電流密度の集中が発生するなどの不都合が生じるという問題がある。
さらに、本従来技術では、位置決めローダーユニットにおいて、エアシリンダで作動するピンを基板にある位置決め用の基準穴へ挿入して位置決めを行っているが、そのような新規設備を導入することはコストがかかるという問題がある。
しかし、本従来技術は、紙や薄板等の基板にマスキングテープを貼付するのに用いられる技術であり、母板に樹脂を塗布する技術には適用できない。
また、本従来技術では、位置決めを行うために基板に位置決め用の基準穴が必要であるが、電解用の母板に基準穴を加工すると電流密度の集中が発生するなどの不都合が生じるという問題がある。
さらに、本従来技術では、位置決めローダーユニットにおいて、エアシリンダで作動するピンを基板にある位置決め用の基準穴へ挿入して位置決めを行っているが、そのような新規設備を導入することはコストがかかるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、容易に位置決めができ、位置決め精度が良いマスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置を提供することを目的とする。
第1発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、板部と、該板部に固定されたビームとを備える母板を、マスキング装置のマスキング台に位置決めする装置であって、前記マスキング台に固定された一対の第1位置決め治具と、第2位置決め治具とを備え、前記第1位置決め治具は、前記ビームが載せられる凹部が形成されており、前記第2位置決め治具は、前記ビームの先端面が当接される板部材であることを特徴とする。
第2発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1発明において、前記第1位置決め治具に形成された前記凹部は、V字型であることを特徴とする。
第3発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1または第2発明において、前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より高くなるように設けられていることを特徴とする。
第4発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第3発明において、前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より、前記板部の変形によって厚さが増加した分だけ高くなるように設けられていることを特徴とする。
第5発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記ビームを上から押さえつける押え部材を備えることを特徴とする。
第6発明のマスキング装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明のマスキング装置用母板位置決め装置が、マスキング台に固定されていることを特徴とする。
第2発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1発明において、前記第1位置決め治具に形成された前記凹部は、V字型であることを特徴とする。
第3発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1または第2発明において、前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より高くなるように設けられていることを特徴とする。
第4発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第3発明において、前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より、前記板部の変形によって厚さが増加した分だけ高くなるように設けられていることを特徴とする。
第5発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記ビームを上から押さえつける押え部材を備えることを特徴とする。
第6発明のマスキング装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明のマスキング装置用母板位置決め装置が、マスキング台に固定されていることを特徴とする。
第1発明によれば、第1位置決め治具にビームを載せるだけでビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができ、ビームの先端面を第2位置決め治具に当接するだけでビーム軸方向の位置決めができるので、容易に位置決めができ、位置決めに熟練を要さない。また、歪みが生じ難いビームで位置決めを行うので、位置決め精度が良く、マスキング作業を複数回行っても位置ズレが生じない。
第2発明によれば、V字型の凹部にビームを載せれば、ビーム中心軸を挟んだ2点でビーム支えることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めが即時にでき、かつ、ビームをグラつきなく固定できる。
第3発明によれば、板部に変形や歪みが生じてビームが持ち上がっていても、第1位置決め治具に重量をかけることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができる。
第4発明によれば、板部に変形や歪みが生じてビームが持ち上がっていても、第1位置決め治具に重量をかけることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができる。また、ビームが高くなりすぎないので、板部が大きく傾斜せず、塗布した絶縁体が傾斜の下方に垂れる恐れがない。
第5発明によれば、ビームが押え部材と凹部に挟まれるので、母板が強く固定される。そのため、絶縁体を塗布する際に母板に力が加わっても、その力によって母板が動かないので、位置決めされた状態のままでマスキングできる。
第6発明によれば、第1位置決め治具にビームを載せるだけでビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができ、ビームの先端面を第2位置決め治具に当接するだけでビーム軸方向の位置決めができるので、容易に位置決めができ、位置決めに熟練を要さない。また、歪みが生じ難いビームで位置決めを行うので、位置決め精度が良く、マスキング作業を複数回行っても位置ズレが生じない。
第2発明によれば、V字型の凹部にビームを載せれば、ビーム中心軸を挟んだ2点でビーム支えることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めが即時にでき、かつ、ビームをグラつきなく固定できる。
第3発明によれば、板部に変形や歪みが生じてビームが持ち上がっていても、第1位置決め治具に重量をかけることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができる。
第4発明によれば、板部に変形や歪みが生じてビームが持ち上がっていても、第1位置決め治具に重量をかけることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができる。また、ビームが高くなりすぎないので、板部が大きく傾斜せず、塗布した絶縁体が傾斜の下方に垂れる恐れがない。
第5発明によれば、ビームが押え部材と凹部に挟まれるので、母板が強く固定される。そのため、絶縁体を塗布する際に母板に力が加わっても、その力によって母板が動かないので、位置決めされた状態のままでマスキングできる。
第6発明によれば、第1位置決め治具にビームを載せるだけでビーム軸に対して垂直な方向の位置決めができ、ビームの先端面を第2位置決め治具に当接するだけでビーム軸方向の位置決めができるので、容易に位置決めができ、位置決めに熟練を要さない。また、歪みが生じ難いビームで位置決めを行うので、位置決め精度が良く、マスキング作業を複数回行っても位置ズレが生じない。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置における位置決めの対象である母板1について説明する。
図12に示すように、母板1は、長方形の板部11と、ビーム12と、それら板部11とビーム12とを接続するリボン13とからなる。リボン13と板部11およびビーム12とは溶接で固定されている。ビーム12は、電解採取のための電気接点であり、かつ、母板1を電解槽に懸垂させるための支持部材でもある。
例えば、ニッケルの電解採取に用いられる母板1は、板部11およびリボン13がチタン製あるいはステンレス製であり、ビーム12が銅製である。また、母板1全体の重量は約20〜30kgである。
まず、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置における位置決めの対象である母板1について説明する。
図12に示すように、母板1は、長方形の板部11と、ビーム12と、それら板部11とビーム12とを接続するリボン13とからなる。リボン13と板部11およびビーム12とは溶接で固定されている。ビーム12は、電解採取のための電気接点であり、かつ、母板1を電解槽に懸垂させるための支持部材でもある。
例えば、ニッケルの電解採取に用いられる母板1は、板部11およびリボン13がチタン製あるいはステンレス製であり、ビーム12が銅製である。また、母板1全体の重量は約20〜30kgである。
本発明のマスキング装置用母板位置決め装置は、図1に示すようなマスキング装置2に備えられる。
マスキング装置2には、装置本体21から引き出したり、挿入したりできるマスキング台22が備えられており、このマスキング台22に母板1を載せ、装置本体21内に挿入して母板1に絶縁物である樹脂を塗布できるようになっている。
マスキング装置2には、装置本体21から引き出したり、挿入したりできるマスキング台22が備えられており、このマスキング台22に母板1を載せ、装置本体21内に挿入して母板1に絶縁物である樹脂を塗布できるようになっている。
マスキング台22には、本発明の一実施形態に係るマスキング装置用母板位置決め装置Aが固定されている。
マスキング装置用母板位置決め装置Aは、一対の第1位置決め治具3,3と、第2位置決め治具4とを備えている。
マスキング装置用母板位置決め装置Aは、一対の第1位置決め治具3,3と、第2位置決め治具4とを備えている。
図2に示すように、第1位置決め治具3は、板部材であり、その上縁にV字型の凹部31が形成されている。この凹部31にビーム12を載せることができるようになっている。
また、第1位置決め治具3の一側面には一対のネジ孔32,32が形成されている。このネジ孔32,32に、ボルトを螺合することにより第1位置決め治具3をマスキング台22に固定できるようになっている。
さらに、第1位置決め治具3には、後述の押さえ部材5を軸支するための軸受孔33が穿設されている。
また、第1位置決め治具3の一側面には一対のネジ孔32,32が形成されている。このネジ孔32,32に、ボルトを螺合することにより第1位置決め治具3をマスキング台22に固定できるようになっている。
さらに、第1位置決め治具3には、後述の押さえ部材5を軸支するための軸受孔33が穿設されている。
図3に示すように、第2位置決め治具4は、板部材であり、その片面に補強板41がネジ等で固定されている。この補強板41にビーム12の先端面を当接することができるようになっている。
また、第2位置決め治具4の一側面には一対のネジ孔42,42が形成されている。このネジ孔42,42に、ボルトを螺合することにより第2位置決め治具4をマスキング台22に固定できるようになっている。
さらに、第2位置決め治具4にも、後述の押さえ部材5を軸支するための軸受孔43が穿設されている。
また、第2位置決め治具4の一側面には一対のネジ孔42,42が形成されている。このネジ孔42,42に、ボルトを螺合することにより第2位置決め治具4をマスキング台22に固定できるようになっている。
さらに、第2位置決め治具4にも、後述の押さえ部材5を軸支するための軸受孔43が穿設されている。
図4に示すように、マスキング台22の一側面には、一対の第1位置決め治具3,3と、1つの第2位置決め治具4が固定されている。さらに、マスキング台22の一側面には、押さえ部材支持板6も固定されている。この押さえ部材支持板6は軸受孔が穿設された板部材である。
これらは、第2位置決め治具4、一対の第1位置決め治具3,3、押さえ部材支持板6の順に並べられており、第2位置決め治具4とそれに隣接する第1位置決め治具3との間には押さえ部材5が設けられており、押さえ部材支持板6とそれに隣接する第1位置決め治具3との間には他の押さえ部材5が設けられている。なお、第2位置決め治具4の補強板41は、第2位置決め治具4に隣接する第1位置決め治具3に対向する面に設けられている。
これらは、第2位置決め治具4、一対の第1位置決め治具3,3、押さえ部材支持板6の順に並べられており、第2位置決め治具4とそれに隣接する第1位置決め治具3との間には押さえ部材5が設けられており、押さえ部材支持板6とそれに隣接する第1位置決め治具3との間には他の押さえ部材5が設けられている。なお、第2位置決め治具4の補強板41は、第2位置決め治具4に隣接する第1位置決め治具3に対向する面に設けられている。
図4および図5に示すように、押さえ部材5は、鉤爪形に屈折した押さえ爪51と、押さえ爪51を回動自在に軸支する支持軸52と、押さえ爪51の後端に接続されたリンク53とからなる。支持軸52は、第1位置決め治具3の軸受孔33と、第2位置決め治具4の軸受孔43あるいは押さえ部材支持板6の軸受孔との間に掛け渡されており、押さえ爪51を第1位置決め治具3に対して回動させることができるようになっている。
また、リンク53の他端にはエアシリンダ(図示せず)が接続されており、このエアシリンダを伸縮させることで押さえ爪51を回動させるとともに、押さえ爪51を所定位置で固定できるようになっている。
また、リンク53の他端にはエアシリンダ(図示せず)が接続されており、このエアシリンダを伸縮させることで押さえ爪51を回動させるとともに、押さえ爪51を所定位置で固定できるようになっている。
図6に示すように、第1位置決め治具3は、その凹部31にビーム12が載せられたときのビーム12の高さ位置O1が、板部11が平坦である母板1がマスキング台22に直接載せられたと仮定したときのビーム12´の高さ位置O2より、高さhだけ高くなるように設けられている。この理由は後に説明する。
なお、第1位置決め治具3や第2位置決め治具4の材質や取り付け強度には特に制限がない。後述の位置決め作業によって破損したり脱落したりしない材質や取り付け強度であればよく、例えばその材質としてステンレスが用いられる。
つぎに、マスキング装置用母板位置決め装置Aを用いた、母板1の位置決め方法について説明する。
まず、図7に示すように、母板1をマスキング台22の上に載せる。このとき、ビーム12を一対の第1位置決め治具3,3の凹部31に載せるようにする。そうすると、ビーム12の軸に対して垂直な方向(図7における矢印方向)の位置決めができる。
より詳細には、図8に示すように、母板1をマスキング台22に降ろしたときにビーム12´がマスキング台22から遠ざかっていた場合には、ビーム12´は凹部31のマスキング台22から遠い方の面31aに押されて、マスキング台22に近づけられる。また、ビーム12´´がマスキング台22に近づいていた場合には、ビーム12´´は凹部31のマスキング台22に近い方の面31bに押されて、マスキング台22から遠ざけられる。最終的に、ビーム12は、その中心軸Oを挟んだ2点を2面31a、31bで支えられるので、ビーム軸Oに対して垂直な方向の位置決めが即時にでき、かつ、ビーム12をグラつきなく固定できる。
また、一対の第1位置決め治具3,3で、ビーム12の離れた2点における位置決めがなされるので、母板1の水平面内の回転も同時に位置決めできる。
まず、図7に示すように、母板1をマスキング台22の上に載せる。このとき、ビーム12を一対の第1位置決め治具3,3の凹部31に載せるようにする。そうすると、ビーム12の軸に対して垂直な方向(図7における矢印方向)の位置決めができる。
より詳細には、図8に示すように、母板1をマスキング台22に降ろしたときにビーム12´がマスキング台22から遠ざかっていた場合には、ビーム12´は凹部31のマスキング台22から遠い方の面31aに押されて、マスキング台22に近づけられる。また、ビーム12´´がマスキング台22に近づいていた場合には、ビーム12´´は凹部31のマスキング台22に近い方の面31bに押されて、マスキング台22から遠ざけられる。最終的に、ビーム12は、その中心軸Oを挟んだ2点を2面31a、31bで支えられるので、ビーム軸Oに対して垂直な方向の位置決めが即時にでき、かつ、ビーム12をグラつきなく固定できる。
また、一対の第1位置決め治具3,3で、ビーム12の離れた2点における位置決めがなされるので、母板1の水平面内の回転も同時に位置決めできる。
ここで、前述のごとく、ビーム12は高さhだけ高くなるように第1位置決め治具3に載せられる。そのため、電着応力等の原因により板部11に変形や歪みが生じており、板部11をマスキング台22に載せたときにビーム12が持ち上がってしまう母板1でも、ビーム12を第1位置決め治具3に確実に載せ、母板1の重量をかけることができる。そのため、変形や歪みが生じている母板1でも、ビーム軸Oに対して垂直な方向の位置決めができる。
なお、高さhは、板部11の変形によって増加する厚さ分より高く、かつ、板部11が傾斜することによりマスキング装置2で塗布した樹脂が傾斜の下方に垂れる恐れがない高さとすることが好ましい。高さhを板部11の変形によって増加する厚さ分より高くすれば、板部11に変形や歪みが生じてビーム12が持ち上がっていても、第1位置決め治具3に重量をかけることができるので、ビーム軸Oに対して垂直な方向の位置決めができるからである。なお、ここで、「板部の変形によって増加する厚さ」とは、板部11が変形したり歪んだりすることにより空間的に占める厚さが増加するという意味であって、電解採取などにより電着した金属によって板部11そのものの厚さが増加するという意味ではない。
つぎに、図9に示すように、ビーム12の先端面を第2位置決め治具4の補強板41に当接させるように、母板1をずらす。これにより、ビーム軸方向(図9における矢印方法)の位置決めができ、母板1の位置決めが完了する。
つぎに、図10に示すように、リンク53に接続されたエアシリンダ(図示せず)を伸長し、押さえ爪51を回動させ、押さえ爪51でビーム12を上から押さえつける。そうすると、ビーム12が押さえ爪51と凹部31に挟まれ固定される。このとき、エアシリンダの伸長力により母板1が強く固定される。
その後、母板1が載せられたマスキング台22が装置本体21内に挿入され、母板1に絶縁物である樹脂が塗布される。ここで、樹脂を塗布する際に母板1に力が加わっても、押さえ部材5の力によって母板1が動かないので、位置決めされた状態のままでマスキングできる。
図14に示すように、マスキング装置2で母板1に樹脂14を塗布することにより、多数の円形の電着部15を有するパターンで板部11がマスキングされる。この円形の電着部15のみにニッケルが電着するため、小塊状の電気ニッケルを得ることができる。
図14に示すように、マスキング装置2で母板1に樹脂14を塗布することにより、多数の円形の電着部15を有するパターンで板部11がマスキングされる。この円形の電着部15のみにニッケルが電着するため、小塊状の電気ニッケルを得ることができる。
以上のごとく、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置を用いれば、変形や歪みが生じる可能性のある板部11で位置決めを行わず、歪みが生じ難いビーム12で位置決めを行うので、変形や歪みの影響がなく、母板1を容易に位置決めができ、位置決めに熟練を要さない。
また、変形や歪みの影響がなく、位置決め精度が良いため、マスキング作業を複数回行っても位置ズレが生じない。
また、変形や歪みの影響がなく、位置決め精度が良いため、マスキング作業を複数回行っても位置ズレが生じない。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、凹部31をV字型としたが、これに限られず、U字型等種々の形状とすることができる。しかし、凹部31をV字型とすれば、ビーム中心軸を挟んだ2点でビーム支えることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めが即時にできるため好ましい。
また、凹部31をV字型とする場合にも、図11(a)に示すように対称のV字型としてもよいし、図11(b)に示すように非対称のV字型としてもよい。ただし、ビーム12の断面が真円でない場合には、非対称のV字型とする方が好ましい。これは、図11(a)に示すように、真円でないビーム12を対称のV字型の凹部31に載せると、その一方の面31aとビーム12とが接する点p1と、他方の面31bとビーム12とが接する点p2との高さ位置が異なる。これに対して、図11(b)に示すように、真円でないビーム12を非対称のV字型の凹部31に載せると、一方の面31aとビーム12とが接する点p1と、他方の面31bとビーム12とが接する点p2との高さ位置が同一となる。そのため、非対称のV字型とした方が、ビーム12を安定して載せることができるからである。換言すれば、凹部31は、高さ位置が同一の2つの接点p1、p2のそれぞれにおけるビーム12の接線からなるように構成することが好ましい。
上記実施形態では、凹部31をV字型としたが、これに限られず、U字型等種々の形状とすることができる。しかし、凹部31をV字型とすれば、ビーム中心軸を挟んだ2点でビーム支えることができるので、ビーム軸に対して垂直な方向の位置決めが即時にできるため好ましい。
また、凹部31をV字型とする場合にも、図11(a)に示すように対称のV字型としてもよいし、図11(b)に示すように非対称のV字型としてもよい。ただし、ビーム12の断面が真円でない場合には、非対称のV字型とする方が好ましい。これは、図11(a)に示すように、真円でないビーム12を対称のV字型の凹部31に載せると、その一方の面31aとビーム12とが接する点p1と、他方の面31bとビーム12とが接する点p2との高さ位置が異なる。これに対して、図11(b)に示すように、真円でないビーム12を非対称のV字型の凹部31に載せると、一方の面31aとビーム12とが接する点p1と、他方の面31bとビーム12とが接する点p2との高さ位置が同一となる。そのため、非対称のV字型とした方が、ビーム12を安定して載せることができるからである。換言すれば、凹部31は、高さ位置が同一の2つの接点p1、p2のそれぞれにおけるビーム12の接線からなるように構成することが好ましい。
また、上記実施形態では、第1位置決め治具3と押さえ部材5をそれぞれ2つ設けるようにしたが、3つ以上設けるように構成してもよい。また、その配置も、上記実施形態に限られず、ビーム12の長さやリボン13の位置等を考慮して、最適な位置に配置にすればよい。
さらに、母板1の位置決めを作業員の手作業で行う場合に限られず、母板1を搬送するロボットパレタイザーや母板1を所定方向に押すプッシャー等を組合せて、自動化してもよい。
(試験)
つぎに、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置の効果を検証した試験について説明する。
つぎに、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置の効果を検証した試験について説明する。
(実施例1)
上記マスキング装置用母板位置決め装置Aを備えたマスキング装置を用いて、1枚の母板を10回位置決め作業を行った。
作業は、第1位置決め段差と第2位置決め段差とを備える従来のマスキング装置を用いた位置決め作業の経験があまりなく、熟練者ではない作業員が行った。
上記マスキング装置用母板位置決め装置Aを備えたマスキング装置を用いて、1枚の母板を10回位置決め作業を行った。
作業は、第1位置決め段差と第2位置決め段差とを備える従来のマスキング装置を用いた位置決め作業の経験があまりなく、熟練者ではない作業員が行った。
試験の結果、位置決め作業にかかった時間は、10回の平均で15.26秒/枚であった。ここで、位置決め作業にかかった時間は、母板を掴んでからマスキング装置のマスキング開始スイッチを押すまでの時間とした。
また、10回の位置決めの間の位置ずれは、板部の位置の標準偏差が、ビーム軸に対して垂直な方向は±0.18mm、ビーム軸方向は±0.33mmであった。この程度の位置ずれであれば、マスキングパターンにズレがあっても、電解採取作業に支障がないレベルである。
また、10回の位置決めの間の位置ずれは、板部の位置の標準偏差が、ビーム軸に対して垂直な方向は±0.18mm、ビーム軸方向は±0.33mmであった。この程度の位置ずれであれば、マスキングパターンにズレがあっても、電解採取作業に支障がないレベルである。
(比較例1)
第1位置決め段差と第2位置決め段差とを備える従来のマスキング装置を用いて、1枚の母板を10回位置決め作業を行った。作業は、実施例1と同じ作業員が行った。
第1位置決め段差と第2位置決め段差とを備える従来のマスキング装置を用いて、1枚の母板を10回位置決め作業を行った。作業は、実施例1と同じ作業員が行った。
試験の結果、位置決め作業にかかった時間は、10回の平均で16.12秒/枚であった。そのため、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置Aを用いれば位置決め作業を約1秒短縮できることが分かった。
また、10回の位置決めの間の位置ずれは、板部の位置の標準偏差が、ビーム軸に対して垂直な方向は±0.54mm、ビーム軸方向は±0.48mmであった。そのため、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置Aを用いた方が位置決め精度が高くなることが分かった。
また、10回の位置決めの間の位置ずれは、板部の位置の標準偏差が、ビーム軸に対して垂直な方向は±0.54mm、ビーム軸方向は±0.48mmであった。そのため、本発明のマスキング装置用母板位置決め装置Aを用いた方が位置決め精度が高くなることが分かった。
1 母板
11 板部
12 ビーム
13 リボン
2 マスキング装置
21 装置本体
22 マスキング台
3 第1位置決め治具
31 凹部
4 第2位置決め治具
41 補強板
5 押さえ部材
51 押さえ爪
11 板部
12 ビーム
13 リボン
2 マスキング装置
21 装置本体
22 マスキング台
3 第1位置決め治具
31 凹部
4 第2位置決め治具
41 補強板
5 押さえ部材
51 押さえ爪
Claims (6)
- 板部と、該板部に固定されたビームとを備える母板を、マスキング装置のマスキング台に位置決めする装置であって、
前記マスキング台に固定された一対の第1位置決め治具と、第2位置決め治具とを備え、
前記第1位置決め治具は、
前記ビームが載せられる凹部が形成されており、
前記第2位置決め治具は、
前記ビームの先端面が当接される板部材である
ことを特徴とするマスキング装置用母板位置決め装置。 - 前記第1位置決め治具に形成された前記凹部は、V字型である
ことを特徴とする請求項1記載のマスキング装置用母板位置決め装置。 - 前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より高くなるように設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載のマスキング装置用母板位置決め装置。 - 前記第1位置決め治具は、該第1位置決め治具に前記ビームが載せられたときのビームの高さ位置が、前記板部が平坦である母板が前記マスキング台に載せられたと仮定したときのビームの高さ位置より、前記板部の変形によって厚さが増加した分だけ高くなるように設けられている
ことを特徴とする請求項3記載のマスキング装置用母板位置決め装置。 - 前記ビームを上から押さえつける押え部材を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のマスキング装置用母板位置決め装置。 - 請求項1、2、3、4または5記載のマスキング装置用母板位置決め装置が、マスキング台に固定されている
ことを特徴とするマスキング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011084153A JP2012219294A (ja) | 2011-04-06 | 2011-04-06 | マスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011084153A JP2012219294A (ja) | 2011-04-06 | 2011-04-06 | マスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012219294A true JP2012219294A (ja) | 2012-11-12 |
Family
ID=47271145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011084153A Withdrawn JP2012219294A (ja) | 2011-04-06 | 2011-04-06 | マスキング装置用母板位置決め装置およびマスキング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012219294A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017145464A (ja) * | 2016-02-18 | 2017-08-24 | 住友金属鉱山株式会社 | 電解製錬用カソードの製造方法 |
-
2011
- 2011-04-06 JP JP2011084153A patent/JP2012219294A/ja not_active Withdrawn
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