JP2012219153A - 粉体の製造方法、塗布膜構造、蛍光管および発光ダイオード - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の粒度分布を有する粉体材料を、再現性よく、かつ、正確に作製する。
【解決手段】通常は、ガウス分布に近い分布をしている原始粉を所定の範囲の粒径毎に分級し、分級された粉体粒子毎に保管する。所望の粒子分布に応じて、分級された粉体粒子を選定し、混合して粉体材料を製作する。分級された粉体粒子を用いるので、粉体の粒径分布を正確に設計することが出来る。これによって、輝度、色度、色度寿命等を向上させることが出来るとともに、粉体の生産性、歩留まりを向上させることが出来る。
【選択図】図4
【解決手段】通常は、ガウス分布に近い分布をしている原始粉を所定の範囲の粒径毎に分級し、分級された粉体粒子毎に保管する。所望の粒子分布に応じて、分級された粉体粒子を選定し、混合して粉体材料を製作する。分級された粉体粒子を用いるので、粉体の粒径分布を正確に設計することが出来る。これによって、輝度、色度、色度寿命等を向上させることが出来るとともに、粉体の生産性、歩留まりを向上させることが出来る。
【選択図】図4
Description
本発明は所望の粒度分布を有する粉体、特に、蛍光体粉体の製造方法に関する。
粉体塗料における粒度分布、および、これを用いた塗料についての公知例として次のようなものがある。「特許文献1」には、粉体塗料において、粒度分布が第1のピークを有する第1粉体と、第2のピークを有する第2粉体を用いて規定された粒径差にて塗布の高効率化および薄膜化を実現する技術が記載されている。しかし、「特許文献1」の内容は、大粒子と小粒子の粒径の異なる粉体の混合によって、薄膜でも高密度の塗布膜を得ようとしているため、大小粒度の選択範囲には限界がある。
「特許文献2」には、下地に単一な粉体層を形成し、その上層部に別の粉体(混合種または別な粒度分布を有するもの)を形成した塗布膜についての技術が記載されている。しかし、「特許文献2」では、下地に塗布される粉体の粒径が3μm以下と規定されており、明確に層状に膜形成されることを特徴としている。このため、簡便な成膜工程では実現しにくく、2回塗布などが必要なので、生産性が悪い。
粉体を扱った塗布膜形成において、使用される粉体は、所定の目標粒径や、粒度分布を持っているが、それらは、各単材料製作時の状況に応じたいわば出来高であり、本発明でいう粉体懸濁液や塗布膜等最終製品の特性に最適化されたものには必ずしもなっていない。粉体の粒径差によって、発現する特性や影響に違いが生ずる。
例えば、小粒子は大粒子に比べて比表面積が大きいために粉体粒子表面の影響が極めて出易い。また、一般に媒体または溶液中に分散させて塗布膜を形成する場合、成膜や乾燥などの工程の影響の大きさにより移動に差が生じ、膜むらがでてしまう。粉体懸濁液の特性や、塗布膜での最適化を図るべく、粉体自身の特性、例えば、平均粒径や粒度分布等を変えて再度懸濁液を調整し、塗膜を行っても、従属要因が複雑に絡んでいるために、安定した特性に収束させていくことが非常に難しい。
本発明の課題は、所定の特性をもった塗膜を形成するための、塗布膜を構成する粉体粒子の粒度分布を簡便かつ、自由度をもって設計可能とすることである。
本発明は上記問題点を克服するものであり、塗布膜を構成する粉体を粒径毎に分けた分級粉体の混合系とすることによって、塗布膜設計を簡便かつ高い自由度をもって実施できることを可能とするものである。具体的な手段は次のとおりである。
すなわち、製造された原始粉と称する粉体材料を粒径ごとに細分化して保管し、それらを取捨選択し、目的達成に最適な粉体の粒度分布を形成することである。ここで、粒径毎に細分化するとは、複数の粒径毎に数粒選別することである。この時の目的とは、例えば輝度などの性能でもよいし、歩留まりなどの生産安定性でもよい。
また、前記原始粉は小粒子が凝集して出来た2次粒子が少ないことが特徴であり、2次粒子は全体の10重量%以下であることが特徴である。これによって、粉体の分級効果をより上げることが出来る。
本発明を例えば、冷陰極蛍光管の蛍光体に適用した例における効果を述べれば、
(1)特性または性能面の向上効果については、初期輝度を向上させることが出来る、輝度寿命を向上させることが出来る、色度偏差を小さくすることが出来る、膜強度を向上させることが出来る等である。
(1)特性または性能面の向上効果については、初期輝度を向上させることが出来る、輝度寿命を向上させることが出来る、色度偏差を小さくすることが出来る、膜強度を向上させることが出来る等である。
(2)歩留まり、および、生産能力の向上効果については、作製規模、すなわち、調合量を拡大することが出来る、保管期間を延長することが出来る、塗膜の製作時間を短縮することが出来る等である。
(3)原価低減効果については、破棄処分する粉体懸濁液が減少する、余剰膜厚を不要とし、実質的に蛍光体量を節約することが出来る、粉体懸濁液の分散性が向上することにより、分散性向上のための溶剤や界面活性剤の量を低減することが出来る、等である。
実施例にしたがって、本発明の詳細な内容を開示する。以下の実施例では、主として蛍光体について説明するが、本発明は、蛍光体以外の粉体に対しても適用することが出来る。
蛍光体材料に関する量産導入業務では、まず、概略目標値より作製した蛍光体粉を用いて、粉体懸濁液の特性や塗布膜特性、または、光学特性などの試作確認を行い、その結果によりさらに粒径や粒度分布を目標値に近い方向に改善するという作業を繰り返し、最終的に収束させていく。
しかし、これまでの蛍光体製造技術では、蛍光体製品は必ずある程度の粒径分布を有するため、平均粒径などの微小修正を施すさい、これまでは大きな問題とされてこなかった「微小粒径域の増加」などの影響が顕著に現れ、改善後の蛍光体を用いて再度確認を行った場合、結果はかならずしも改善前確認した試作プロセス条件、例えば、配合比組成、攪拌条件、塗布条件等にマッチしないことが殆どであった。
この原因は、「平均粒径等の微少修正における影響」による粉体懸濁液特性や塗布膜特性、光学特性の変化が、一旦固定したプロセス条件からはずれてしまうため、プロセス条件の再調整をするが、再び、蛍光体自体の再改善も必要となってしまう。また、新たに、改善蛍光体を製作するまでには、複数回に及ぶ製造技術協議や長期にわたる製作期間を必要とすることや、それにより蛍光体以外の材料における特性変化や環境変化によるプロセス条件の調整が必要となる、等のためと考えられる。
本発明は、それらの問題を解決するために、蛍光体粒度分布全体から、各粒径毎に細分化、すなわち、複数粒径に選別することによって、蛍光体の再改善を実施する際、粉体懸濁液特性や塗布膜特性に影響を及ぼさない範囲にて調整することが可能である。また、概略目標値にて作製した初期蛍光体自体の仕様を、瞬時に複数仕様作製することが出来る。さらに、各条件調整後に生じる凝集などの個別の問題に対し、その問題あるいは原因となる部分の粒径を除去するなどの対処をすることが出来る。
図1A〜図2Gは、所定の分布を持つ原始粉の粒度分布、この原始粉を粒度毎に分級した状態、および、分級した粒子毎に保管容器に保管している状態における各分級された粒子の占有率を示している。図1Aから図2Gにおける左欄は、原始粉の粒度分布を示している。原始粉の粒度分布は、粒径4〜5μmの粒径を中心にほぼガウス分布となっている。
図1Aから図2Gにおける中欄は、分級された粒子が、原始粉に占める割合を示している。図1Aから図2Gにおける右欄は、分級した粒子を保管容器に保管されている状態における各粒子の粒度分布を示している。当然、各保管容器における、分級された各粒子の占有率は100%である。
図1Aから図2Gにおいて、原始粉の分布における下限に近い粒径〜2μm、および、2〜3μm、さらに上限に近い粒径10〜11μmの粒子は使用しない。但し、これは、所定の塗膜を形成するための例であって、他の塗膜を形成する場合は、このような下限に近い粒径〜2μm、および、2〜3μm、さらに上限に近い粒径10〜11μmの粒子を使用する場合もありうる。
原始粉からの分級方法は、次のようにして行う。すなわち、粉体の分級は、粒子径や密度、または、形状等を目的ごとに分別することを指すが、その方法には、液体中に粉体粒子を分散させ、それぞれの沈降速度の差を利用して粒子径や密度ごとに抽出する方法がある。あるいは、水の流れを利用した湿式分級、気体や空気の流れ、または、遠心力を利用した乾式分級が存在する。また、最も原始的な、篩を用いた分級方法もあるが、処理できる粒径が大きく、5μm以下の微粒子の分級には不向きである。したがって、本実施例では、湿式または乾式分級方法を用いて分級したものを対象とする。
図1Aから図2Gの左欄に示す原始粉から例えば、湿式もしくは乾式分級方法によって、図1Aから図2Gの中欄に示すように、抽出した分級粉を貯め、図1Aから図2Gの右欄に示す分級粒度分布1〜7の粒子群を作製する。
図1Aから図2Gで説明したような、分級粉1〜7を用いて、図3〜図5に示すような、種々の粒子分布を有する粉体を作製することが出来る。図3は、粒径4〜5μmの分級粉および粒径5〜6μmの粒径を有する分級粉を同量用いて粉体を設計する例である。図3に示す粒径分布は、分散の少ないシャープな分布となっており、このような分布は、本発明によって可能となる。
図4は、粒径4〜5μmの分級粉、粒径5〜6μmの粒径の分級粉、8〜9μmの分級粉、粒径9〜10μmの分級粉を用いて粉体を作製した例である。図4において、各分級粉を用いる量は、分級粉毎に異なっている。図4の分布は、異なるピークが2個あるような特殊な分布となっている。本発明によれば、このような特殊な粒径分布の粉体を形成することも可能である。
図5は、図1Aから図2Gに示す分級粉とは異なった分級粉を用いている。すなわち、図1Aから図2Gでは使用していない〜2μmの分級粉を使用している。図5におけるその他の分級粉は図1Aから図2Gで形成したのと同じである。図5においては、粒径〜2μmの分級粉、粒径4〜5μmの粒径の分級粉、6〜7μmの分級粉、粒径8〜9μmの分級粉を同量用いて粉体を作製している。このような分布を有する粉体も本発明の適用によって形成することができる。
本実施例は、粉体として蛍光粉を取り上げたものであり、冷陰極蛍光管(CCFL)の白色色度を実現するために、赤、緑、青色蛍光粉を混合した系である。本実施例の蛍光粉は次のようにして作製した。まず、所定の手法で製造された粉体である或る粒度分布を持つ原始粉を、個々の色別材料粉毎に篩や沈降法等によって分級した。
次に粉体の塗布膜形成に必要な懸濁液調整において、理論的観点からその粉体特性を最大限に発揮できる膜構造となるように粒度の配分を考え、前述の分級した粉体を混合し、目論んだ粒度分布を持つ粉体を得た。すなわち、輝度寿命の観点から、最も劣化しやすい青色蛍光粉は小粒子成分が少なく、高輝度実現のために支配的な緑蛍光粉は粒径がそろった単分散粒子であり、最も劣化しにくく、かつ、視感度の点で余裕のある赤色蛍光粉は小粒子主体で構成される混合蛍光粉の粒度分布を実現させた。
図6は各色それぞれの蛍光体粒度分布である。図6において、図6A、図6B、図6Cはそれぞれ青、赤、緑の蛍光体の粒度分布である。図6D、図6E、図6Fは、本発明によって粒度調整した後の青、赤、緑の蛍光体の粒度分布である。
図7は、個別に分級しない従来手法による調整懸濁液(比較例)と、本発明による手法によって作製した懸濁液について、粘度の経時変化を示したものである。比較例としては、比較例A、比較例Bの2種類を用いた。図8および図9も同様である。従来手法での調整懸濁液では、粘度の経時変化が顕著であるのに対し、本発明の懸濁液は、非常に安定した粘度を示している。これは、各粉体の分散が適正に確保されているために、凝集が生じにくくなっているためと考えられる。
この懸濁液を使用して、外形4mm、内径3mmの、図13に示すような40形の冷陰極蛍光管を作製した。図8は、蛍光膜塗布開始直後から時間を追って成膜した蛍光面が示す白色色度の変化である。図8に示すように、比較例である従来手法に比べて白色色度の変化が極めて小さく、量産上の品質安定化を実現することが出来る。
この蛍光粉懸濁液を3日間ほどローリング機で攪拌した後に、上記と同様に塗布した冷陰極蛍光管において、白色輝度を測定したところ、3日間のローリング前に塗布したものとほぼ同等の色度を示した。従来法による蛍光粉懸濁液は白色色度が大きく変化するのに対して、本発明での調整懸濁液は非常に安定している。
同様に調整した複数の蛍光体懸濁液について、上記40形の冷陰極蛍光管を作製し、白色色度を調べた。比較例として、従来手法による蛍光粉懸濁液を複数調整して同様に測定した。その結果を図9に示す。図9に示すように、比較例においては、白色色度が調整したロット間でばらつくのに対し、本発明における懸濁液使用品は調整ロット間でのばらつきが極めて小さい。上記のようにして作製した冷陰極蛍光管に対する、本発明の効果は次のとおりである。
I 特性面の向上としては、次のような効果がある。
I 特性面の向上としては、次のような効果がある。
(1)初期輝度:これまで、最高輝度の出る最適膜厚域では、塗布むらなどの塗布膜欠点などの制約があり、輝度特性に最適な膜厚確保が困難であった。しかし、本発明の導入により、粉体懸濁液の凝集性が緩和される事により、塗布性が向上し、これまで困難であった輝度に関係する膜厚と塗布性の両立を可能とすることが出来る。
(2)輝度寿命:輝度寿命に対して悪影響を及ぼしていた粒径域を除去できる事により、輝度寿命を向上させることが出来る。同時に、蛍光体表面欠陥や表面処理条件においても、各粒径域ごとの最適処理を可能とすることが出来る為、所望の特性を得るための複雑な組み合わせも可能とすることが出来る。
(3)膜強度の向上:粉体懸濁液の分散性向上は、蛍光体塗布膜形成時の膜密度を緻密にすることを可能とした事により、従来比で、より平滑で、かつ、薄膜である蛍光膜を形成することが出来、膜強度を向上させることが出来る。
(4)塗布性:粉体懸濁液の分散性向上は、塗布工程における乾燥段階において、乾燥の経時変化が一定となる、すなわち、安定化することによって、塗布膜欠点や塗布むらに対する裕度を向上させることが出来る。
II 歩留まりおよび生産能力の向上に対する効果としては、次のような効果を挙げることが出来る。
II 歩留まりおよび生産能力の向上に対する効果としては、次のような効果を挙げることが出来る。
作製規模、すなわち、調合量の拡大が挙げることが出来る。1度に多量の粉体懸濁液を調合あるいは作製しようとした場合、これまでと同様の攪拌力では混合時の分散均一性が不足し、完成品内での特性のばらつき等が大きくなってしまう。これまでは、一旦、性能確認が終了した蛍光体を用いて作製規模を拡大する場合、攪拌条件や懸濁液組成といったプロセス条件の変更のみが、所要の粉体懸濁液特性を得る唯一の方法であったが、本発明を用いることにより、作製規模に最適な分散が得られる粒径、粒度分布での蛍光体を選択調整することが出来るため、プロセス裕度が向上するなどの効果を挙げることが出来る。
III 原価低減に対する効果を挙げることが出来る。
本発明の適用により、材料の適材適所での活用ができるため、原価低減に寄与できる。
本発明は、粉体の粒子分布を正確にコントロールできることが特徴である。したがって、例えば、蛍光体塗布膜の膜厚を設定すると、その場合の粉体の層数を設定することが出来る。図11は、膜における粉体の層数と輝度の強度の関係、および、膜における粉体の層数と透過率の関係を示す。
図11に示すように、粉体の平均層数が増えるとともに、蛍光体塗布膜の透過率は減少する。しかし、蛍光体の層数が増えると蛍光体からの発光強度が上昇する。したがって、蛍光管の輝度は、透過率と、蛍光体からの発光強度のトレードオフになる。図11から膜厚に対して平均粉体が3〜10層、より好ましくは、3〜5層であれば、比較的高い輝度の蛍光管を得ることが出来る。
また、本発明は、粉体の粒子分布を正確にコントロールできるので、形成した蛍光膜における蛍光体粉体の充填密度も正確にコントロールすることが出来る。蛍光管の輝度は、蛍光体粉体の充填密度が増えるほど高くなる。図12は、蛍光膜における蛍光体粉体の充填密度と蛍光管の輝度の関係を示すグラフである。
図12において、横軸は蛍光体粉体の充填密度(g/cm3)、縦軸は相対輝度を表す。図12において、充填密度が2.5g/cm3であれば、輝度は飽和する。したがって、充填密度を2.5g/cm3とすることは、蛍光体の使用量を増すだけで輝度には貢献しないことになるので、充填密度を2.5g/cm3を上限とすればよい。
一方充填密度が1.0g/cm3以下では、輝度の低下が著しい。また、一方充填密度が1.8g/cm3では、輝度はほぼ飽和する。したがって、蛍光管の輝度の観点からは、充填密度は、1.0g/cm3〜2.5g/cm3より好ましくは、1.8g/cm3〜2.5g/cm3とするのがよい。このように、本発明によれば、蛍光体粉体の粒度分布を正確に制御することが出来るので、蛍光膜における蛍光体粉体の層数、充填密度等を正確に設定することが出来る。
例えば、図10に示すように、ガラス管表面等の塗布対象物への粉体懸濁液を塗布する場合、塗布対象物内の表面には接着性の優れたB社製蛍光体の小粒子を配置し、2〜3層には、表面処理能力と発光輝度能力に優れるA社製の中・大粒子径蛍光粉を配置する。この手法により、特性の優れた蛍光体懸濁液を形成することが出来る。
図13は、以上の実施例で説明した蛍光管の部分断面図である。蛍光管10の外径は例えば、4mm、ガラスの厚さは、例えば、0.5mmであり、ガラス管の内側に本発明によって形成した蛍光体8が塗布されている。本発明による蛍光膜を用いた蛍光管10は、輝度が高い、色度のばらつきが小さい、色度の変化が小さい、蛍光体の材料歩留まりが高い等、実施例1において述べた特徴を有している。
本発明による蛍光体は、蛍光管のみでなく、発光ダイオードにも使用することが出来る。図14は、蛍光体を用いた発光ダイオードの断面図である。図14において、台座7の上に発光ダイオードチップ1が載置されている。発光ダイオードチップ1には、リードフレーム3を介し、ワイヤ2によって電流が供給される。発光ダイオードチップ1は封止樹脂5によって封止され、封止樹脂5内には蛍光体8が分散している。封止樹脂5は、ハウジング4によって囲まれている。封止樹脂5の上には、レンズ6が形成されており、発光ダイオードからの光を所定の方向に集束する。
発光ダイオードチップ1からは、紫外線あるいは青色の光が放射され、この紫外線あるいは青色光によって蛍光体が励起され、蛍光体から、より波長の長い光が放射され、発光ダイオードからは、所定の色、あるいは、白色光が放射される。この場合、蛍光体は波長変換材料として機能する。このような構成の発光ダイオードにおいても、蛍光体の粒度分布を正確にコントロールすることは、出射光の強度の均一性、色度の均一性等を得るためには重要である。したがって、本発明を発光ダイオードに使用する蛍光体に適用することによって、輝度特性、色度特性等の優れた発光ダイオードを製作することが出来る。また、実施例1において述べた、本発明による、冷陰極蛍光管に適用する蛍光体粉体の効果は、発光ダイオードに使用する蛍光体粉体にも適用することが出来る。
以上では、本発明の蛍光体粉体を冷陰極蛍光管と発光ダイオードに適用する例を述べたが、本発明は、一般用蛍光管、液晶表示装置等に使用されるカラーフィルタ等にも適用することが出来る。
また、以上の例は、蛍光体粉体について主として述べたが、その他に、塗料、顔料、薬品等に使用される粉体にも適用することができる。
1…発光ダイオードチップ、 2…ワイヤ、 3…リードフレーム、 4…ハウジング、 5…封止樹脂、 6…レンズ、 7…台座、 8…蛍光体、 10…蛍光管。
Claims (8)
- 製造された粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する粉体を形成することを特徴とする粉体の製造方法。 - 前記原始粉には、小粒子が凝集して出来た2次粒子が全体の10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の粉体の製造方法。
- 製造された粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する粉体を形成し、
前記所定の粒度分布を有する粉体を用いた塗布膜において、膜厚に対する平均粉体が3〜10層であることを特徴とする塗布膜構造。 - 製造された粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する粉体を形成し、
前記所定の粒度分布を有する粉体を用いた塗布膜において、膜厚に対する平均粉体が3〜5層であることを特徴とする請求項3に記載の塗布膜構造。 - 製造された粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する粉体を形成し、
前記所定の粒度分布を有する粉体を用いた塗布膜において、膜密度が1.0〜2.5g/cm3であることを特徴とする塗布膜構造。 - 前記所定の粒度分布を有する粉体を用いた塗布膜において、膜厚に対する平均粉体が1.8〜2.5g/cm3であることを特徴とする請求項5に記載の塗布膜構造。
- 製造された蛍光体粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する蛍光体粉体を形成し、
前記所定の粒度分布を有する蛍光体粉体を用いた蛍光体塗布膜を有する蛍光管。 - 製造された蛍光体粉体材料である原始粉を所定の範囲の粒径毎に分けて、複数の分級粉を作製し、前記複数の分級粉毎に保管し、
前記複数の分級粉を用いて所定の粒度分布を有する蛍光体粉体を形成し、
前記所定の粒度分布を有する蛍光体粉体を波長変換材料として用いた発光ダイオード。
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