JP2012215433A - 修飾電極、並びに、フローセル、測定装置、及び測定方法 - Google Patents

修飾電極、並びに、フローセル、測定装置、及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、被験物質を高感度で検出できる修飾電極、並びに、フローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法の提供。
【解決手段】少なくとも被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液を通液させる流路と、導電性部材の表面に配される支持体と、該支持体に結合され、前記抗体を捕捉可能な抗体捕捉体と、を担持した修飾電極と、を有するフローセルである。
【選択図】図11

Description

本発明は、修飾電極、免疫反応を利用した被験物質の検出に供するフローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法に関する。
環境中の微量物質等の検出方法や測定方法としては、従来より、高分解能ガスクロマトグラフ−高分解能質量分析(HRGC−HRMS)や、電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ法(GC−ECD法)などが用いられてきた(例えば、非特許文献1参照)。これらの物理化学的な分析方法は、分解能が高く、また定量下限も低い。
しかしながら、分析に要する時間が長く、分析の妨害となる夾雑成分を除去する操作が煩雑であり、コスト負担が大きいという問題がある。
そこで、環境中の微量物質等を簡便かつ迅速に分析する方法として、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定法(イムノアッセイ)が提案されている。
環境中の微量物質を検出し、定量できるイムノアッセイとしては、農薬等の被験物質を含む試料液中に、該被験物質に対して特異的な抗体を添加し反応させた被測定試料液を調製した後、この被測定試料液を、前記抗体と結合する抗原を固定化した担体上に滴下し、該担体上の抗原と被測定試料液中のフリーの抗体とを反応させて、前記被測定試料液中のフリーの抗体の濃度を測定し、該未反応抗体の濃度から試料液中の被験物質の濃度を定量する、非フロー方式のイムノアッセイが提案されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、前記非フロー方式のイムノアッセイは、多検体の検出には不向きであり、また検出感度が低く、更に測定に時間がかかるという問題がある。
これに対し、被験物質を含む試料液中に該被験物質に対して特異的な抗体を添加し反応させた被測定試料液を調製した後、この被測定試料液を、前記抗体と結合する抗原を固定化した担体上に連続的に供給させるフロースルー方式のイムノアッセイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記フロースルー方式のイムノアッセイによれば、多検体を連続して測定することができる。
一方、前記イムノアッセイは、用いる抗体により一般的に大きく2つの方法に大別され、標識した抗体を用いる標識法と、非標識の抗体を用いる非標識法とがあり、一般的には標識法が多く利用されている。
前記標識法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA又はELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、金コロイド免疫測定法、蛍光免疫測定法(FIA)、電気化学発光免疫測定法(SIA)、化学発光免疫測定法(ECLIA)などが挙げられる。これらの標識法は、高感度である。
しかしながら、抗体の標識は、コストがかかることや、被験物質の検出に特殊な機器を必要としたり、試料の前処理や測定に長時間を要したりするなどの手間がかかることが問題である。更に抗体の標識は、抗体分子に対して不可逆な変化を与えるため、抗体が結合する被験物質である抗原に対して、親和性、特異性、保存性等が著しく低下することなどが懸念されている。
そのため、標識を必要としない非標識法が望まれている。前記非標識法としては、例えば、表面プラズモン共鳴の原理を利用したSPR法(非特許文献3及び4参照)、音波を利用したアコーステック法(非特許文献5及び6参照)、水晶振動子をセンサー基板として微小重量変化を測定するQCM法、基板上の電極表面に交流電位を印加することで、電極表面と分子の結合を、電荷移動抵抗値の変化として検出する電気化学インピーダンス測定法(非特許文献7及び8参照)などが挙げられる。
前記非標識法の中でも、SPR法、アコーステック法、QCM法などは、集積化が困難であり、多検体を同時に測定することを目的としたスクリーニングへの応用が困難である。
一方、前記電気化学インピーダンス測定法は、微細加工技術による集積化が容易であるため、多検体を同時に測定することを目的とした環境中の微量物質等の検出方法や測定方法への応用が期待されている。
しかし、前記電気化学インピーダンス測定法のイムノアッセイへの応用は、検出感度が十分なものではないという問題がある(非特許文献9参照)。
そこで、抗原、即ち被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できる修飾電極、並びに、フローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法が求められているのが現状である。
特開2004−138550号公報
「絶縁油中のポリ塩素化ビフェニル(PCB)の分析方法規定」、電気技術基準調査委員会編集、社団法人日本電気協会発行、平成3年9月30日発行 J.Ramon−Azcon et al., Biosensors and Bioelectronics, 2008, Vol.23, p.367−1373 H.J.Y.Sinclair S., G.Gauglitz, Sensors and Actuators B, Chemical, 1999, Vol.54, p.3−15 M.A.Cooper, Analytical and Bioanalytical Chemistry, 2003, Vol.377, p.834−842 S.T.Pathirana, J.Barbaree, B.A.Chin, M.G.Hartell, W.C.Neely, V.Vodyanoy, Biosensors and Bioelectronics, 2000, Vol.15, p.135−141 J.E.Roederer, G.J.Bastiaans, Analytical Chemistry, 1983, Vol.55, p.2333−2336 X.Cui, R.Pei, Z.Wang, F.Yang, Y.Ma, S.Dong, X.Yang, Biosensors and Bioelectronics, 2003, Vol.18, p.59−67 R.Maalouf, C.Fournier−Wirth, J.Coste, H.Chebib, Y.Saikali, O.Vittori, A.Errachid, J.P.Cloarec, C.Martelet, N.Jaffrezic−Renault, Analytical Chemistry, 2007, Vol.79, p.4879−4886 R.A.Javier et al., Biosensors and Bioelectronics, 2008, Vol.23, p.1367−1373
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できる修飾電極、並びに、フローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、少なくとも被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液を通液させる流路と、導電性部材の表面に配される支持体と、該支持体に結合され、前記抗体を捕捉可能な抗体捕捉体と、を担持した修飾電極と、を有するフローセルは、被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液を通液させる流路と、導電性部材の表面に配される支持体と、該支持体に結合され、前記抗体を捕捉可能な抗体捕捉体と、を担持した修飾電極と、を有することを特徴とするフローセルである。
<2> 抗体捕捉体が、スクシンイミド基を有する化合物である前記<1>に記載のフローセルである。
<3> 支持体が、アミノ基を有する多糖からなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のフローセルである。
<4> 修飾電極が、流路を形成する部材に固定して配置される前記<1>から<3>のいずれかに記載のフローセルである。
<5> 修飾電極が作用極であり、更に対極を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のフローセルである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のフローセルと、修飾電極に捕捉された抗体を電気化学的に測定する測定手段と、を有することを特徴とする測定装置である。
<7> 測定手段が、修飾電極及び対極に電位を印加する電位印加部と、前記修飾電極と前記対極との間に流れる電荷移動抵抗値を検出する検出部と、を有する前記<6>に記載の測定装置である。
<8> 測定手段で測定された測定値に基づき被測定試料液中の被験物質の濃度を求める演算手段を有する前記<6>から<7>のいずれかに記載の測定装置である。
<9> 前記<6>から<8>のいずれかに記載の測定装置を用い、被測定試料液中の被験物質を測定することを特徴とする測定方法である。
<10> 被験物質と該被験物質に対して特異的な抗体とを混合して反応させ、前記被験物質と前記抗体とが結合した被験物質−抗体複合体を含む被測定試料液を調製する被測定試料液調製工程と、前記被測定試料液を流路に導入して通液させ、該被験物質と結合していない未反応抗体を前記抗体捕捉体に捕捉させる抗体捕捉工程と、を含む前記<9>に記載の測定方法である。
<11> 抗体捕捉工程で未反応抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する未反応抗体測定工程を更に含む前記<10>に記載の測定方法である。
<12> 修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する修飾電極測定工程と、被験物質を含まず、該被験物質に対して特異的な抗体を含む抗体溶液を流路に導入し、前記抗体を抗体捕捉体に捕捉させ、該抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する抗体溶液測定工程と、を更に含む前記<10>から<11>のいずれかに記載の測定方法である。
<13> 未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値に基づいて、被測定試料液中の被験物質の濃度を演算する演算工程を更に含む前記<11>から<12>のいずれかに記載の測定方法である。
<14> 未反応抗体測定工程において通液させる被測定試料液の線速度が、800mm/分間以上である前記<11>から<13>のいずれかに記載の測定方法である。
<15> 被測定試料液中の被験物質と抗体とが反応する前の、前記被験物質の濃度(B)に対する前記抗体の濃度(A)の比(A/B)が、1/10以下である前記<10>から<14>のいずれかに記載の測定方法である。
<16> 修飾電極測定工程、抗体溶液測定工程、被測定試料液調製工程、抗体捕捉工程、及び未反応抗体測定工程の合計時間が10分間以内である前記<12>から<15>のいずれかに記載の測定方法である。
<17> 演算工程で算出されたIC50が、抗体の結合平衡定数Kdの1倍〜5倍である前記<13>から<16>のいずれかに記載の測定方法である。
<18> 被験物質が、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、重金属、タンパク質、及び細胞から選択される少なくとも1種である前記<9>から<17>のいずれかに記載の測定方法である。
<19> 導電性部材と、該導電性部材の表面に配される多糖類からなる支持体と、該支持体に結合され、抗体を捕捉可能な下記構造式(1)で表される化合物からなる抗体捕捉体と、を有することを特徴とする修飾電極である。
<20> 流路内に被測定試料液を導入するための被測定試料液導入手段を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のフローセルである。
<21> 被測定試料液導入手段が、被測定試料液を収容する被測定試料液収容部を有する前記<20>に記載のフローセルである。
<22> 被測定試料液導入手段が、被測定試料液を加圧して該被測定試料液を流路内に導入する前記<20>から<21>のいずれかに記載のフローセルである。
<23> 演算手段が、測定手段で測定された電荷移動抵抗値に基づき被測定試料液中の被験物質の濃度を求める前記<8>に記載の測定装置である。
<24> 演算工程が、下記式(1)〜(5)により被験物質の濃度xを演算する前記<13>から<18>のいずれかに記載の測定方法である。
ΔRctA=RctA−Rct0 ・・・式(1)
ΔRctS=RctS−Rct0 ・・・式(2)
ΔRctN=ΔRctA−ΔRctS ・・・式(3)
相対信号値y(%)=ΔRctN/ΔRctA×100 ・・・式(4)
x=(1−y)(a/y+b) ・・・式(5)
ただし、前記式(1)及び(2)において、Rct0は、修飾電極測定工程で測定された電荷移動抵抗値を表し、前記式(1)において、RctAは、抗体溶液測定工程で測定された電荷移動抵抗値を表し、前記式(2)において、RctSは、未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値を表し、前記式(5)において、a及びbは、近似パラメータを表す。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できる修飾電極、並びに、フローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法を提供することができる。
図1Aは、本発明のフローセルの一例を示す概略断面図である。 図1Bは、本発明のフローセルにおける修飾電極の一例を上から見た図である。 図2Aは、修飾電極の作製において、支持体が導電性部材に配される様子の一例を示す概念図である。 図2Bは、修飾電極の作製において、抗体捕捉体が支持体に結合する様子の一例を示す概念図である。 図2Cは、修飾電極の一例を示す概念図である。 図2Dは、修飾電極上の抗体捕捉体に抗体が捕捉される様子の一例を示す概略図である。 図3は、本発明のフローセルの製造工程の一例を示す概略断面図である。 図4Aは、本発明の測定方法の修飾電極測定工程における修飾電極表面を電気回路に模した等価回路の概略説明図である。 図4Bは、本発明の測定方法の抗体溶液測定工程における修飾電極表面を電気回路に模した等価回路の概略説明図である。 図4Cは、本発明の測定方法の未反応抗体測定工程における修飾電極表面を電気回路に模した等価回路の概略説明図である。 図5は、本発明の測定方法で修飾電極のインピーダンスを測定したときのインピーダンススペクトルの一例を示す図である。縦軸:抵抗値(虚数Z’’)[Ω]、横軸:抵抗値(実数Z’)[Ω] 図6は、本発明の測定方法における校正曲線の一例を示す図である。縦軸:相対信号値[%]、横軸:被測定物質濃度[ppb] 図7は、本発明の測定装置の手段又は部材の関係一例を示すブロック図である。 図8は、本発明の測定装置における測定手段の一例を示す概略断面図である。 図9は、試験例1の結果を示す図である。縦軸:抵抗値(虚数)[Ω]、横軸:抵抗値(実数)[Ω] 図10は、試験例2の結果を示す図である。縦軸:信号値[Ω]、横軸:電着時間[秒間] 図11は、実施例1の結果を示す図である。縦軸:相対信号値[%]、横軸:PCB濃度[ppb] 図12は、実施例2の結果を示す図である。縦軸:信号値[Ω]、横軸:抗体濃度[nM] 図13は、実施例3の結果を示す図である。縦軸:信号値[Ω]、横軸:合計通液量[mL] 図14は、実施例4の結果を示す図である。縦軸:信号値[Ω]、横軸:線速度[mm/分間] 図15は、比較例1の結果を示す図である。縦軸:相対信号値[%]、横軸:PCB濃度[ppb]
(フローセル)
本発明のフローセルは、流路と、修飾電極と、を少なくとも有し、好ましくは、対極、被測定試料液導入手段、被測定試料液排出手段を有し、必要に応じて、更にその他の部材を有する。
<修飾電極>
前記修飾電極は、導電性部材の表面に配される支持体と、該支持体に結合され、前記抗体を捕捉可能な抗体捕捉体と、を担持した電極である。前記修飾電極は、作用極(WE;working electrode)としての機能を有する。
<<導電性部材>>
前記導電性部材に用いる導電性材料としては、導電性を有する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、銅、銀、金、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼、あるいはこれらの合金又は混合物、カーボン、白金、タンタル、ITO(インジウム・チン・オキサイド)、亜鉛、カーボンナノチューブ、チオフェン、グラフェン、ピロール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記導電性材料は、金が、電気化学的に安定であり、安定した測定を実現することができる点で好ましい。
前記導電性部材は、ガラスや樹脂等の絶縁性材料を基材として、該基材上に前記導電性材料を製膜したものであってもよい。前記基材に導電性材料を製膜する場合は、適宜選択したバインダーを用いて、該基材と該導電性材料との密着性を高めることが好ましい。
<<支持体>>
前記支持体は、前記導電性部材の表面に配されうるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記導電性部材の表面への前記支持体の配され方としても、特に制限はなく、前記導電性部材の種類や前記支持体の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、電着法、電解重合法、自己組織化法、ゾルゲル法、物理的吸着法などが挙げられる。これらの中でも、電着法が好ましい。
前記支持体としては、前記導電性部材の表面に配されうるものの中でも、前記導電性部材に結合でき、かつ、後述する抗体捕捉体を担持することができるものが好ましい。このような支持体としては、例えば、多糖類;チオール化合物、シラン化合物等の化合物、抗体、抗原等のタンパク質;DNA、RNA等の核酸;ガラス;シリコン;金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記支持体は、多糖類が好ましい。
前記多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単糖の構造内にスルホン酸基(−SOH)やカルボキシル基(−COOH)等の酸性基を有する酸性多糖類、アミノ基等の塩基性基を有する塩基性多糖類、前記酸性多糖類と前記塩基性多糖類の会合体、中性多糖類などが挙げられる。前記多糖類は、モノマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
前記多糖類の具体例としては、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸等の酸性多糖;キトサン、アミノセルロース等の塩基性多糖;セルロース、デンプン、デキストラン、グアーガム等の中性多糖;これらの多糖類の誘導体;これらの多糖又はその誘導体の塩を架橋して得られるものなどが挙げられる。
前記多糖類の誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記多糖類が有する水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等の置換基の一部又は全部が、他の置換基で置換されたものなどが挙げられる。
前記多糖類の構成単糖残基あたりの置換度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、硫酸等との無機酸付加塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸等との有機酸付加塩;ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等とのアルカリ土類金属塩;メチルアミン、エチルアミン、ジエタノールアミン等との有機アミン塩;などが挙げられる。
前記支持体は、前記多糖類の中でも、アミノ基を有する多糖類がより好ましく、キトサンが特に好ましい。
前記支持体は、前記導電性部材の表面の一部に配されていてもよく、全体に配されていてもよい。前記支持体が前記導電性部材の表面に配される量を、例えば、被覆率として表す場合、該被覆率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性部材に対して、80%〜100%が好ましく、95%〜100%がより好ましい。前記被覆率が、80%未満であると、前記修飾電極に結合する抗体量が相対的に大きく減少することで、測定時に得られる信号値が小さくなる。これにより、信号値の精度が損なわれることがある。
前記被覆率を算出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性部材の電荷移動抵抗値の変化から算出する方法、前記支持体を配した導電性部材の露出表面を観察して算出する方法、導電性部材の表面に配された支持体の分子密度を測定する方法などが挙げられる。
電荷移動抵抗値の変化から被覆率を算出する場合は、例えば、電気化学アナライザー(例えば、ALS−600、BAS株式会社製)で、前記支持体を導電性部材に配する前と、配した後との電気化学インピーダンスを測定し、これらの電荷移動抵抗値を比較する。このとき、支持体を導電性部材に配する前の電荷移動抵抗値より、支持体が導電性部材に配された後の電荷移動抵抗値の方が増加していれば、該支持体が導電性部材に配されており、被覆されたと判断することができる。そのため、導電性部材に配するときの支持体の量を段階的に変化させ、電荷移動抵抗値が平衡状態に達したときの支持体の量を被覆率100%とし、これを基準として、ある量の支持体を配した場合の被覆率を相対的に求めることができる。
<<抗体捕捉体>>
前記抗体捕捉体は、前記支持体に結合され、被験物質に対する抗体を捕捉可能なものである。
前記抗体捕捉体としては、前記支持体との結合能を有し、かつ被験物質に対する抗体を補足可能であれば、特に制限はなく、被験物質の種類などに応じて適宜選択することができる。例えば、抗体における被験物質が結合する部位と同じ部位に対する結合能を有するものなどが挙げられ、被験物質そのものや、被験物質のアナログであることが好ましい。
前記抗体捕捉体の具体例としては、スクシンイミド基、マレイミド基、イソチオシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等の置換基を有する化合物;ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様PCB(DL−PCB)等のダイオキシン類;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類;各種農薬;多糖類;タンパク質;DNA、RNA等の核酸;ガラス;シリコン;金属や重金属;脂質;細胞などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、前記支持体がキトサンである場合、前記抗体捕捉体は、キトサンのアミノ基に結合するスクシンイミド基を有する化合物が好ましく、PCBや、2−ジクロロフェノール誘導体である下記構造式(1)で表される化合物(2,5−ジオキシピロリジン−1−イル 6−(3,4−ジクロロフェノキシ)ヘキサン酸)が特に好ましい。下記構造式(1)で表される化合物は、下記に示すスキームで合成することができる。
また、前記フローセルを用いてPCBの検出や測定を行う場合は、前記抗体捕捉体は、PCBや、前記構造式(1)で表される化合物が、抗PCB抗体に対する結合能を有する点で好ましい。
前記抗体捕捉体は、前記導電性部材の表面に配された支持体のうち、一部の支持体に結合していてもよく、全部の支持体に結合していてもよい。前記抗体捕捉体が前記支持体に結合する量を、例えば、被覆率として表す場合、該被覆率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、支持体に対して、80%〜100%が好ましく、95%〜100%がより好ましい。前記被覆率が、80%未満であると、前記修飾電極に結合する抗体量が相対的に大きく減少することで、測定時に得られる信号値が小さくなる。これにより、信号値の精度が損なわれることがある。
なお、前記支持体がキトサンであり、前記抗体捕捉体が、前記構造式(1)で表される化合物である場合は、キトサンの単量体当たりに1分子の前記構造式(1)で表される化合物が結合することができる。そのため、前記構造式(1)で表される化合物がキトサンに十分反応した場合は、前記構造式(1)で表される化合物の被覆率は、前記キトサンの被覆率と略同一となる。
前記被覆率を算出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性部材の電荷移動抵抗値の変化から算出する方法、前記抗体捕捉体が結合した支持体の露出表面を観察して算出する方法、支持体に結合された抗体捕捉体の分子密度を測定する方法などが挙げられる。
電荷移動抵抗値の変化から被覆率を算出する場合は、例えば、電気化学アナライザー(例えば、ALS−600、BAS株式会社製)で、前記抗体捕捉体を支持体に結合させる前と、結合させた後との電気化学インピーダンスを測定し、これらの電荷移動抵抗値を比較する。このとき、抗体捕捉体を支持体に結合させる前の電荷移動抵抗値より、抗体捕捉体が支持体に結合した後の電荷移動抵抗値の方が増加していれば、該抗体捕捉体が支持体に結合しており、被覆されたと判断することができる。そのため、支持体に結合させるときの抗体捕捉体の量を段階的に変化させ、電荷移動抵抗値が平衡状態に達したときの抗体捕捉体の量を被覆率100%とし、これを基準として、ある量の抗体捕捉体を配した場合の被覆率を相対的に求めることができる。
前記修飾電極において、前記支持体及び抗体捕捉体が担持される面としては、被測定試料液と接触する面に、該支持体及び抗体捕捉体が担持されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記導電性部材の全面であってもよく、一部の面であってもよい。
前記フローセルにおける前記修飾電極の配置としては、被測定試料液と接触することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する流路を形成する部材の一の面に固定して配置されることが好ましい。
前記流路を形成する部材に固定する位置としても、被測定試料液と接触することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記流路を形成する部材の一の面としては、被測定試料液の通液方向に対して前記修飾電極の厚み方向が垂直になる方向であり、かつ、前記修飾電極の支持体及び抗体捕捉体が担持された面が通液方向と平行になる方向の面が好ましい。
前記修飾電極の形状、大きさとしては、特に制限はなく、後述する流路の形状や大きさ等に応じて適宜選択することができる。
<対極>
前記フローセルは、前記修飾電極の他、対極(CE;counter electrode)を有することが好ましい。
前記フローセルが前記修飾電極のみを有する場合は、該修飾電極に被測定試料液を付与し、測定終了後にフローセルから修飾電極のみを取り出して、別途対極を利用しながら修飾電極の電気特性を測定することができる。
前記対極に用いる導電性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記修飾電極で例示したものと同じ導電性材料などが挙げられる。
前記対極の形状、大きさ、前記フローセルにおける配置などとしては、前記修飾電極の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<流路>
前記流路は、少なくとも被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液を通液させる流路である。前記流路は、被測定試料液を通液できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記流路の形状としては、一定量の被測定試料液を通液させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通液方向に水平な方向が長手となるような長方形が好ましい。
前記流路の被測定試料液の通液方向に対して垂直な方向(修飾電極の厚み方向)の断面(以下、「流路の幅方向の断面」と称することがある。)の形状が、四角形である場合、該流路の幅方向の断面における、被測定試料液の通液方向に対して垂直な方向であり、修飾電極の厚み方向と平行な方向の長さ(以下、「流路の高さH」と称することがある。)と、被測定試料液の通液方向に対して垂直な方向であり、修飾電極の厚み方向に対して垂直な方向の長さ(以下、「流路の幅W」と称することがある。)との比(流路の高さH:流路の幅W)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:1〜1:100が好ましく、1:5〜1:10がより好ましい。
前記流路の形状が、四角形である場合、前記流路の高さHは、均一であることが、被測定試料液の通液速度を一定に制御でき、したがって、被測定試料液中の抗体と、前記修飾電極に担持された抗体捕捉体とを効率よく反応させることができ、測定の感度や定量性に優れる点で好ましい。
前記流路の高さHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜1,000μmが好ましく、100μm〜500μmがより好ましい。前記流路の高さHが、50μm未満であると、送液に圧力が必要であり送液が困難になることがあり、1,000μmを超えると、流路内の送液分布が不均一になってしまい、測定感度と測定感度が損なわれることがある。
前記流路の形状が、四角形である場合、前記流路の幅Wとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm〜5,000μmが好ましく、500μm〜3,000μmがより好ましい。前記流路の幅Wが、100μm未満であると、測定に用いる電極の正確な配置が困難になることがあり、5,000μmを超えると、流路内の送液分布が不均一になってしまい、測定感度と測定感度が損なわれることがある。
前記流路において、被測定試料液の通液方向と並行な方向であり、修飾電極の厚み方向に対して垂直な方向の長さ(以下、「流路の長さL」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm〜50mmが好ましく、20mm〜30mmがより好ましい。前記流路の長さLが、0.5mm未満であると、測定に用いる電極の正確な配置が困難になることがあり、50mmを超えると、測定に不要部位への被測定試料液の接触が増加することがある。
前記流路の幅方向の断面の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000μm〜5,000,000μmが好ましく、50,000μm〜1,500,000μmがより好ましい。前記断面積が、5,000μm未満であると、送液に圧力が必要であり送液が困難になることがあり、5,000,000μmを超えると、被測定試料液導入口よりも極度に大きくなることから、流路内の送液分布が不均一になることがある。
前記流路を形成する流路形成部材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記被測定試料液により腐食等の化学的変化を受けない材料や、劣化し難い材料が好ましく、例えば、ポリジメチルシロキサン等のシリコン類;ポリスチレン、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ナイロン、ポリオレフィン等の合成樹脂;ステンレス等の金属;ガラス、シリコン(結晶性のもの)、石英などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記流路形成部材は、ポリジメチルシロキサン、ガラスが好ましい。
また、前記流路形成部材には、硬化剤等の添加剤が含まれていてもよい。前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物、付加架橋剤(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)とヒドロシリル化触媒との組み合わせなどが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クミル−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子中に珪素原子に結合した水素原子を2個以上有するものなどが挙げられる。
前記ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金系化合物、ロジウム系化合物などが挙げられる。
前記硬化剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリジメチルシロキサン等の流路形成部材の主成分100質量部に対して、5質量部〜20質量部が好ましく、8質量部〜10質量部がより好ましい。
<被測定試料液導入手段>
前記フローセルは、前記流路内に被測定試料液を導入するための被測定試料液導入手段を有することが好ましい。前記被測定試料導入手段は、着脱可能な手段である。
前記被測定試料液導入手段としては、前記流路内に被測定試料液を導入することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被測定試料液導入口、被測定試料液収容部、加圧部を有することが好ましい。
<<被測定試料液導入口>>
前記被測定試料液導入口は、被測定試料液を流路に導入するための導入口であり、例えば、前記流路を形成する部材の一部に設けられた開口部などが挙げられる。前記被測定試料液導入口は、前記流路を形成する際に同時に形成することができる。
前記被測定試料液導入口の形状、大きさ(開口径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記流路を形成する部材における前記被測定試料液導入口の配置としては、被測定試料液を前記修飾電極に接触させることができる配置であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被測定試料液の通液方向において、修飾電極より上流の端部などが挙げられる。
前記被測定試料液導入口には、被測定試料液を移送させる導入管が連結され、被測定試料液収容部と連通していることが好ましい。
<<被測定試料液収容部>>
前記被測定試料液収容部は、被測定試料液を収容する部材である。
前記被測定試料液収容部の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被測定試料液により腐食等の化学的変化を受けない材料や、劣化し難い材料が好ましく、例えば、前記流路と同じ材料を例示することができる。
前記被測定試料液収容部の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被測定試料液収容部の配置としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記流路の外部であって、前記流路を形成する部材と着脱可能に配置されることが好ましく、前記導入管を介して、前記被測定試料液導入口と連通されるように設けられていることがより好ましい。
<<加圧部>>
前記加圧部は、前記修飾電極に対し、被測定試料液が均一に通液するよう、前記被測定試料液を加圧して前記流路内に導入する手段である。
前記加圧部としては、被測定試料液を加圧することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジ、ポンプ、遠心分離装置等を前記流路に接続し、被測定試料液を加圧して送液する手段などが挙げられる。
前記加圧部は、自動であってもよく、手動であってもよいが、自動であることが好ましく、被測定試料液の流量を制御する制御部により、加圧の動作が制御されていることが、被測定試料液を一定量で一定時間、流路内に導入することができる点でより好ましい。
なお、前記加圧部は、前記被測定試料液収容部と一体になっているものであってもよく、前記被測定試料液収容部が前記加圧部の機能を有していてもよい。
<被測定試料液排出手段>
前記フローセルは、前記流路内に導入された被測定試料液を排出するための被測定試料液排出手段を有することが好ましい。
前記被測定試料液導入手段としては、前記流路内から被測定試料液を排出することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被測定試料液排出口、被測定試料液回収部を有することが好ましい。
<<被測定試料液排出口>>
前記被測定試料液排出口は、被測定試料液を流路から排出するための排出口であり、例えば、前記流路を形成する部材の一部に設けられた、前記被測定試料液導入口とは異なる開口部などが挙げられる。前記被測定試料液排出口は、前記流路を形成する際に、同時に形成することができる。
前記被測定試料液排出口の形状、大きさ(開口径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記流路を形成する部材における前記被測定試料液排出口の配置としては、前記修飾電極に接触させた後の被測定試料液を排出することができる配置であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記被測定試料液の通液方向において、修飾電極より下流の端部などが挙げられる。
前記被測定試料液排出口には、前記修飾電極に接触させた後の被測定試料液を移送させる排出管が連結され、被測定試料液回収部と連通していることが好ましい。
<<被測定試料液回収部>>
前記被測定試料液回収部は、前記修飾電極に接触させた後の被測定試料液を回収し、収容する部材である。
前記被測定試料液回収部の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記流路と同じ材料を例示することができる。
前記被測定試料液回収部の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被測定試料液回収部の配置としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記流路の外部であって、前記流路を形成する部材と着脱可能に配置されることが好ましく、前記排出管を介して、前記被測定試料液排出口と連通されるように設けられていることがより好ましい。
前記修飾電極に接触させた後の被測定試料液は、前記被測定試料液導入手段により加圧された圧力を利用して被測定試料液回収部に回収されてもよく、排出管の毛細管現象を利用して被測定試料液回収部に回収されてもよく、排出管からポンプにより被測定試料液回収部に回収されてもよい。
なお、ポンプにより回収される場合は、測定時の被測定試料液の通液速度に影響を与えないようにすることが必要である。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、参照極、制御部などが挙げられる。
<<参照極>>
前記フローセルは、前記修飾電極(作用極)、前記対極の他、参照極(RE;reference electrode)を有していてもよい。前記参照極は、前記修飾電極の電位を決定する際の基準となる電極であり、該参照極で修飾電極を規制すると、測定のための電位が安定する点で好ましい。
前記参照極の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銀塩化銀電極(Ag/AgCl)、飽和カロメル電極(Hg/HgCl)、金、白金、銀等を用いた疑似参照極などが、電位が安定している点で好ましい。
<<制御部>>
前記制御部は、被測定試料液収容部の温度、被測定試料液の通液速度や通液時間などを制御する部材である。前記フローセルが前記制御部を有すると、一定量の被測定試料液を、一定時間、一定の通液速度で通液させることができ、測定の感度や定量性に優れる点で好ましい。
前記制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
<フローセルの製造方法>
前記フローセルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、修飾電極作製工程と、流路形成部材作製工程と、修飾電極固定工程とを含むことが好ましく、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<<修飾電極作製工程>>
前記修飾電極作製工程としては、例えば、フォトリソグラフィ法及びリフトオフ法などにより作製した導電性部材に、支持体を含む溶液を接触させ、該支持体を導電性部材上配した後、前記抗体捕捉体を含む溶液を接触させ、該支持体上に抗体捕捉体を結合させる方法などが挙げられる。
前記修飾電極作製工程は、少なくとも前記修飾電極を作製することができればよいが、同時に対極を作製してもよく、更に同時に参照極を作製した三電極系としてもよい。
−導電性部材の作製−
前記導電性部材は、具体的には、以下のように作製することができる。基板にポジ型フォトレジストをスピンコートし、所望の形状のフォトマスクを重ね、露光した後、現像し、露光部分を除去する。次いで、現像した基板に、金等の導電性材料をスパッタリングして製膜し、溶媒を用いて残存するレジスト及び該レジスト上の金属薄膜をリフトオフすることにより作製することができる。
−支持体被覆導電性部材の作製−
前記支持体を含む溶液(以下、「支持体含有液」と称することがある。)としては、前記支持体を溶解乃至分散した溶液である。前記支持体を溶解乃至分散するために用いる溶液としては、特に制限はなく、支持体の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、水;エタノール、メタノール等のアルコール;各種緩衝液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機化合物を含んでいてもよい。
前記支持体含有液における支持体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.2質量%〜1質量%がより好ましい。前記支持体の含有量が、0.01質量%未満であると、導電性部材に配される支持体の量(被覆率)が不十分となり、測定の感度や精度に劣ることがあり、5質量%を超えると、導電性部材表面に配される支持体の量を制御することが困難になり、結果的に測定の精度を損なうことがある。
前記支持体含有液のpHとしては、前記支持体を溶解し得るpHであれば、特に制限はなく、該支持体の種類などに応じて適宜選択することができる。
前記支持体がキトサンの場合、前記支持体含有液のpHとしては、1.0〜4.5が好ましく、3〜4がより好ましい。
前記導電性部材と、前記支持体含有液とを接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体含有液中に導電性部材を浸漬する方法、前記支持体含有液を導電性部材に塗布する方法、前記支持体含有液を導電性部材の支持体を結合させたい面に滴下する方法などが挙げられる。
前記支持体を電着法で導電性部材に配する場合、該電着法における電位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、参照電極が塩化銀電極である場合、該塩化銀電極に対して、−2.0V〜−0.2Vが好ましく、−1.5V〜−0.8Vがより好ましい。
例えば、支持体がキトサンの場合、キトサンの可溶性は、pHに依存的であることが知られている(J.Gong, X.Hu, K.Wong, Z.Zheng, L.Yang, W.Lau, R.Du, Advanced Materials, 2008, 20, p.2111−2115参照)。したがって、負電位に保持された導電性部材の表面近傍におけるpHの低下によって、キトサンは、導電性部材表面に電着される。
前記電着法における電着時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15秒間以上が好ましく、30秒間以上120秒間未満が好ましく、60秒間〜90秒間が特に好ましい。前記電着時間が、15秒間未満であると、導電性部材に十分量の支持体を結合することができないことがあり、120秒間以上であると、前記支持体の配設量が増加することにより該支持体の膜厚が増加し、前記修飾電極の抗体の捕捉効率が悪くなり、結果として測定感度が悪くなることがある。
−抗体捕捉体と支持体の結合−
前記抗体捕捉体を含む溶液(以下、「抗体捕捉体含有液」と称することがある。)としては、前記抗体捕捉体を溶解乃至分散した溶液である。前記抗体捕捉体を溶解乃至分散するために用いる溶液としては、特に制限はなく、抗体捕捉体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、水;エタノール、メタノール、アセトン、イソプロパノール、ヘキサン等の有機溶媒;各種緩衝液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機化合物を含んでいてもよい。
前記抗体捕捉体含有液における抗体捕捉体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mg/mL〜5mg/mLが好ましく、0.5mg/mL〜2mg/mLがより好ましい。前記抗体捕捉体の含有量が、0.1mg/mL未満であると、前記支持体に結合する抗体捕捉体の量(被覆率)が不十分となり、測定の感度や精度に劣ることがあり、5mg/mLを超えると、支持体に結合される抗体捕捉体の量(被覆率)が平衡状態となり、コスト的に不利になることがある。
前記抗体捕捉体含有液のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中性〜塩基性が好ましく、6.0〜10.0がより好ましく、7.0〜8.0が特に好ましい。
前記支持体と、前記抗体捕捉体含有液とを接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記抗体捕捉体含有液を含む溶液中に前記支持体を配した導電性部材を浸漬する方法;前記抗体捕捉体含有液を、前記支持体配した導電性部材に塗布する方法;前記抗体捕捉体含有液を、前記支持体配した導電性部材の、該支持体を結合させた面のみに滴下する方法などが挙げられる。
前記支持体に前記抗体捕捉体を結合させる方法としては、特に制限はなく、該抗体捕捉体の種類などに応じて適宜選択することができ、化学的相互作用であってもよく、物理的相互作用であってもよい。
例えば、前記支持体がキトサンであり、前記抗体捕捉体が前記構造式(1)で表される化合物の場合、前記2−ジクロロフェノール誘導体を含む溶液を、導電性部材上のキトサンに接触させ、室温(約25℃)で放置することにより、化学的相互作用により2−ジクロロフェノール誘導体のスクシンイミド基と、キトサンのアミノ基とを結合させることができる。
<<流路形成部材作製工程>>
前記流路形成部材作製工程としては、例えば、前記流路形成部材の鋳型を作製し、該鋳型を用いて、フォトリソグラフィ法により流路形成部材を形成する方法などが挙げられる。
−鋳型の作製−
前記鋳型は、具体的には、以下のように作製することができる。シリコン等のウェハ上に、ネガ型フィルムレジストを積層し、所望の形状のフォトマスクを重ね、露光した後、現像し、未露光部のレジストを除去することにより鋳型を作製することができる。前記鋳型は、更に公知の方法で、疎水化処理などが施されてもよい。
−流路形成部材の作製−
前記流路形成部材は、具体的には、以下のように作製することができる。
流路形成部材を前記鋳型に流し込み、流路形成部材を重合及び/又は硬化させた後、鋳型から剥離することにより流路形成部材を作製することができる。
前記重合させる方法としては、流路部材形成部材の種類や硬化剤の有無等によって、適宜選択することができる。例えば、流路形成部材がポリジメチルシロキサンである場合、該ポリジメチルシロキサンと硬化剤とを混合し、加熱して、重合及び硬化させる方法などが挙げられる。
重合及び硬化させる際の温度及び時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
これにより、前記流路が通液方向に水平な方向が長手となるような長方形である場合、該長方形の3面を形成することができる。残りの1面としては、例えば、ガラス基板やアルミ基板等の基板を用い、該基板に前記ポリジメチルシロキサンからなる流路形成部材の自己吸着性を利用して密着させることで、長方形の流路を形成することができる。
なお、前記流路形成部材は、これに限られるものではなく、全ての面がポリジメチルシロキサンからなっていてもよく、該流路形成部材の一部又は全部が、他の材料からなっていてもよい。
前記フローセルに、前記被測定試料液導入口や前記被測定試料液排出口を形成する場合は、前記形成した流路形成部材の所望の位置に、注射針あるいはステンレス管を用い、部材下面より穿孔することにより形成することができる。
<<修飾電極固定工程>>
前記修飾電極固定工程は、前記修飾電極、好ましくは、前記対極を、前記流路形成部材の底面部に固定させる工程である。このとき、参照極も共に固定してもよい。
前記固定させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流路形成部材に自己吸着性を利用して密着させる方法、流路形成部材の表面を酸素プラズマや深紫外光に暴露することで前記修飾基板と前記流路形成部材を永久接合する方法などが挙げられる。これらの中でも、流路形成部材に自己吸着性を利用して密着させる方法が簡便であり好ましい。
以下に、図面を用いて、本発明のフローセル及びその製造方法の一例について詳細に説明するが、本発明のフローセル及びその製造方法はこれに限られるものではない。
図1Aは、フローセル1の一例を示す概略図であり、フローセル1の通液方向に平行な面の断面図である。なお、図1Aにおいて、導入管10、流路13、及び排出管12内に示す矢印は、被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液14の通液方向を示す。また、図1Bは、フローセルの基板2及び電極系(修飾電極3、対極4、参照極23)の一例を上から見た図である。
フローセル1において、流路13は、絶縁性の基板2と、流路形成部材5に囲まれた空間からなる。基板2上には、修飾電極(作用極)3及び対極4が配されている。流路形成部材5の基板2に対向する面には、被測定試料液導入口6及び被測定試料液排出口7が設けられているが、この配置に限られるものではなく、被測定試料液導入口6及び被測定試料液排出口7は、基板2側に設けられていてもよく、流路形成部材5の高さHを形成する面に設けられていてもよい。フローセル1は、図1Bに示すように参照極23を有していてもよい。
被測定試料液収容部8内に収容された、被測定試料液14は、加圧部9により加圧され、導入管10を介して被測定試料液導入口6から流路13内に導入され、修飾電極(作用極)3及び対極4に接しながら流路13内を流通し、被測定試料液排出口7から排出管12を介して被測定試料液回収部11に回収される。
図2A〜図2Cは、修飾電極を作製する様子の一例を示す概念図である。図3は、流路を形成する様子の一例を示す概略図であり、フローセルの被測定試料液の通液方向に並行な方向の断面図である。
修飾電極3は、前記修飾電極作製工程により好適に作製することができる。図2Aに示すように、導電性部材15に、支持体16を含む支持体含有液を供給し、必要に応じて導電性部材15に電位を印加することにより、支持体16が導電性部材15に配されて、導電性部材15に支持体16が表面に被覆された支持体被覆導電性部材3aを作製することができる。ここで、支持体16は、抗体捕捉体17との結合部16aを有することが好ましい。次に、図2Bに示すように、支持体被覆導電性部材3aに抗体捕捉体17を含む抗体捕捉体含有液を供給すると、支持体16と抗体捕捉体17とが結合し、図2Cに示す修飾電極3を作製することができる。
次に、流路は、前記流路形成部材作製工程により好適に作製することができる。図3に示すように、基板2に修飾電極3及び対極4、更に必要に応じて図示しない参照電極を予め固定する。次に、流路形成部材5を所望の形状に加工し、被測定試料液導入口6及び被測定試料液排出口7を形成し、これを基板2に固定する。
次に、図1Aに示すように、被測定試料液導入口6に導入管10を、被測定試料液排出口7に排出管12を連結する。導入管10は、加圧体9及び被測定試料液収容部8に着脱可能に連通している。また、排出管12は、被測定試料液回収部11に着脱可能に連通している。
なお、フローセル1に抗体18を含む被測定用試料を通液させると、図2Dに示すように、修飾電極3上の抗体捕捉分子17によって被測定用試料中の抗体18が捕捉される。
<用途>
本発明のフローセルは、被験物質に対して特異的な抗体を、簡便に短時間で捕捉することができるため、多検体を同時に測定することができ、コストがかからず、高感度で検出できる。そのため、環境中の微量物質等の検出や定量、特に、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、金属などの検出や定量に好適に利用可能であり、後述する本発明の測定装置や測定方法に好適に用いられる。
(測定装置)
本発明の測定装置は、本発明の前記フローセルと、測定手段と、を少なくとも有し、演算手段を有することが好ましく、必要に応じて、更にその他の部材を有する。
<測定手段>
前記測定手段は、前記修飾電極に捕捉された抗体を電気化学的に測定する手段であり、電位印加部と、検出部と、を有することが好ましい。また、前記フローセルが参照極を有さない場合、前記測定手段が参照極を有していてもよい。
本発明において、前記測定手段により電気化学的に測定された電気特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抵抗、導電率、インピーダンス、入力された電流又は電圧、信号に対して出力される電流信号又は電圧信号、入力された交流信号の位相と出力される交流信号の位相と位相差などが挙げられる。
これらの中でも、前記電気特性は、インピーダンスが好ましい。前記電気特性がインピーダンスである場合、前記測定手段により測定された信号値は、電荷移動抵抗値として検出される。
<<電位印加部>>
前記電位印加部は、前記フローセルにおける前記修飾電極及び前記対極に電位を印加する部材である。電位の印加は、リードや、電気的に接続された端子を介して行われることが好ましい。
<<検出部>>
前記検出部は、前記修飾電極と前記対極との間に流れる電荷移動抵抗値を検出する部材である。
電荷移動抵抗値を検出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電気化学インピーダンス測定法により検出されることが好ましい。
<演算手段>
前記演算手段は、前記測定手段で測定された測定値に基づき被測定試料液中の被験物質の濃度を求める手段である。
前記演算手段としては、前記測定手段で測定された電荷移動抵抗値等の測定値を、被測定試料液中の被験物質の濃度に換算することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。
前記被験物質の濃度を換算する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の測定方法に記載の測定原理に基づいて換算されることが好ましい。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、測定開示ボタン、ディスプレイ、計時部、記憶部、記録部、制御部、各手段及び/又は各部材を電気的に接続するためのリード線及び端子などが挙げられる。
<<記憶部>>
前記記憶部は、前記被験物質の濃度と、前記検出部で検出された電荷移動抵抗値との相関を表す校正曲線に相当する相関データが格納されている。
前記記憶部としては、前記相関データを格納することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリなどが挙げられる。
<<制御部>>
前記制御部は、前記電位印加部、前記検出部、前記演算手段、前記ディスプレイ、前記計時部、前記記憶部、前記記録部などを制御する部材である。前記測定装置における制御部と、前記フローセルにおける制御部とは、同一の部材であってもよく、異なる部材であってもよい。
(測定方法)
本発明の測定方法は、本発明の前記測定装置を用い、被測定試料液中の被験物質を測定する方法である。本発明において、測定とは、被測定試料液中に被験物質が存在するか否かを検出できればよく、好ましくは、被測定試料液中の被験物質の濃度を定量又は定性することを含む。
前記測定方法は、被測定試料液調製工程と、抗体捕捉工程とを含むことが好ましく、更に未反応抗体測定工程と、修飾電極測定工程と、抗体溶液測定工程と、演算工程と、を含むことがより好ましく、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記被測定試料液調製工程、前記抗体捕捉工程、前記未反応抗体測定工程、前記修飾電極測定工程、前記抗体溶液測定工程、及び前記演算工程の順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記被測定試料液調製工程と、前記抗体捕捉工程とはこの順で行われることが好ましく、前記演算工程は、最後に行われることが好ましい。
これらの工程は、連続して行ってもよく、適宜時間を空けて行ってもよいが、連続して行うことが、迅速に測定できるため好ましい。
また、前記未反応抗体測定工程、前記修飾電極測定工程、及び前記抗体溶液測定工程は、全て同じフローセルで行われてもよく、それぞれ別のフローセルで行われてもよい。更に、電荷移動抵抗値の測定は、修飾電極を取り出してフローセル外で行ってもよい。
<被測定試料液調製工程>
前記被測定試料液調製工程は、被験物質と該被験物質に対して特異的な抗体とを混合して反応させ、前記被験物質と前記抗体とが結合した被験物質−抗体複合体を含む被測定試料液を調製する工程である。
<<被測定試料液>>
前記被測定試料液は、被験物質と、該被験物質に結合する抗体と、前記被験物質と前記抗体とが結合した被験物質−抗体複合体と、を少なくとも含み、溶媒を含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
−被験物質−
前記被験物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種排水、下水、河川水、海水、地下水等の環境試料、飲料水、清涼飲料水、酒類、牛乳などに含まれる物質、生体材料などが挙げられる。
前記被験物質が液体ではなく、固体である場合は、適宜水等の溶液に溶解乃至分散させて、被測定試料液とすることができる。また、前記被測定試料液中の前記被験物質の含有量が多過ぎて、測定可能な範囲内に入らない場合は、適宜水等の溶液で希釈して用いることもできる。
前記被験物質の具体例としては、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、重金属、タンパク質、細胞(例えば、微生物、動物性細胞、植物性細胞)などが挙げられる。これらの中でも、前記測定方法は、被験物質として、PCBを好適に測定することができる。
本発明の測定装置及び測定方法は、検出感度に優れるため、前記被検物質の含有量が微量であり、前記被測定試料液中に低濃度に存在する場合であっても、濃縮等の処理を行うことなく測定することができる点で有利である。
−抗体−
前記抗体としては、特に制限はなく、目的とする被験物質の種類に応じて、公知の抗体の中から適宜選択することができる。
前記被験物質がPCBである場合、前記抗体としては、抗PCB抗体を用いることができ、例えば、K2A抗体(京都電子株式会社製)、特開2007−284392号公報、特開2007−186488号公報、特許第4651558号公報、特開2008−137902号公報、特開2008−231009号公報などに記載の抗PCB抗体、下記構造式(2)で表されるビフェニル誘導体の異性体混合物をハプテンとして用いて製造した抗PCBモノクローナル抗体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、前記構造式(2)中、X及びYは、それぞれ0〜3の整数を表し、XとYとの
和は、1〜6の整数を表す。
前記被験物質がダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬などである場合、前記抗体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販の抗体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記被験物質が重金属である場合、前記抗体としては、例えば、市販の抗体を用いることができる。また、特開2008−232766号公報に記載の抗カドミウムEDTA抗体(NX2C3:特許生物寄託センターの寄託番号 FERM P−19703のハイブリドーマが産生する抗カドミウムモノクローナル抗体)、特開2010−120891号公報に記載の抗クロムEDTA抗体(RD3G4:特許生物寄託センターの寄託番号FERM P−21618のハイブリドーマが産生する抗クロムEDTAモノクローナル抗体)、特開2007−277184号公報に記載の抗鉛DTPA抗体(Yj2H7:特許生物寄託センターの寄託番号 FERM P−20746のハイブリドーマが産生する抗鉛DTPAモノクローナル抗体)、特開2010−133949号公報に記載の抗カドミウム抗体(So26G8特許生物寄託センターの寄託番号 FERM P−19240のハイブリドーマが産生する抗カドミウムモノクローナル抗体)などを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−溶媒−
前記抗体溶液に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、緩衝剤、電解質、酸化還元プローブなどを含むことが好ましい。また、有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、燐酸系緩衝剤、クエン酸系緩衝剤、フタル酸系緩衝剤、酢酸系緩衝剤、MES緩衝剤、ホウ酸緩衝液などが挙げられる。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、メチル硫酸リチウム、メチル硫酸ナトリウム、メチル硫酸カリウムなどが挙げられる。
前記酸化還元プローブとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェロシアン/フェリシアンカリウム(Fe2+/Fe3+)、フェロセンメタノール、フェロセン類、キノン類、PAPP(パラアミノフェニルフォスフェート)などが挙げられる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタンなどが挙げられる。
−−抗体の濃度Aと、被験物質の濃度Bとの比(A/B)−−
前記被測定試料液中の被験物質と抗体とが反応する前の、該被測定試料液における抗体の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高い感度で測定するためには、抗体の濃度が被験物質の濃度よりも十分低いことが好ましく、被験物質の濃度(B)に対する抗体の濃度(A)の比(A/B)が、1/10以下がより好ましく、1/10〜1/1,000が特に好ましい。前記比(A/B)が1/10を超えると、抗体捕捉体による抗体の捕捉が平衡状態となり、測定の感度や精度が悪くなることや、コスト的に不利になることがある。前記比(A/B)が1/1,000未満であると、抗体が抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがあり、十分な抗体の捕捉量を得るためには多量の被験物質が必要となることがある。
−被験物質−抗体複合体−
前記被験物質−抗体複合体は、前記被験物質と前記抗体とが結合したものである。前記抗体と前記被験物質とが結合すると、前記抗体と抗体捕捉体とは結合することができなくなる。したがって、被験物質−抗体複合体は、後述する抗体捕捉工程において、前記抗体捕捉体に捕捉されることなく、前記測定装置から排出される。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Tween−20、Tween−40、Tween−60、Tween−80、Tween−85、Triton−Xなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被測定試料液のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜9が好ましく、6〜8がより好ましい。前記pHが、5未満又は9を超えると、前記被測定試料液中の、被験物質と抗体が十分に反応しない場合や、被験物質と結合しなかった未反応抗体が、抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがある。
前記被測定試料液を調製する際の温度としては、特に制限はなく、抗体の種類などに応じて適宜選択することができるが、10℃〜40℃が好ましく、20℃〜30℃がより好ましい。前記温度が、10℃未満であると、被験物質と抗体が十分に反応するまで時間を要することや、未反応抗体が、抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがあり、40℃を大きく超えると、抗体が変性してしまうことがある。
前記被測定試料液を調製する際、前記抗体と前記被験物質との反応時間、即ち、被験物質−抗体複合体を形成させる時間としては、特に制限はなく、抗体の種類などに応じて適宜選択することができるが、15分間以上が好ましく、30分間以上がより好ましい。前記反応時間が、15分間未満であると、抗体と被験物質とが十分に反応せず被験物質−抗体複合体を形成できないことがある。前記測定時間は長いほどよく、その上限値としては、特に制限はないが、測定効率の観点から、60分間以内が好ましい。
<抗体捕捉工程>
前記抗体捕捉工程は、前記被測定試料液を流路に導入して通液させ、該被験物質と結合していない未反応抗体を抗体捕捉体に捕捉させる工程である。
前記被測定試料液の前記測定装置の流路内への導入は、前記測定装置が有する前記フローセルの被測定試料液導入手段により好適に行われる。
前記修飾電極が担持する抗体捕捉体は、前記被測定試料液中の被験物質と結合していない未反応抗体を捕捉するため、前記被測定試料液を前記流路内に導入することで、未反応抗体が、該抗体捕捉体に捕捉される。
前記抗体捕捉工程における測定温度としては、制限はなく、抗体の種類などに応じて適宜選択することができるが、15℃〜40℃が好ましく、20℃〜30℃がより好ましい。前記温度が、15℃未満であると、未反応抗体が抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがあり、40℃を超えると、未反応抗体が変性してしまうことがある。
前記被測定試料液を通液させる通液量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、合計通液量が、3mL以下が好ましく、1mL〜3mLがより好ましい。前記合計通液量が、1mL未満であると、未反応抗体が抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがあり、3mLを超えると、時間がかかることや、コスト的に不利になることなどがある。
前記被測定試料液を通液させる通液速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、線速度で、800mm/分間以上が好ましく、800mm/分間〜1,000mm/分間がより好ましく、800mm/分間〜900mm/分間が特に好ましい。前記線速度が、800mm/分間未満であると、未反応抗体が抗体捕捉体に十分に捕捉されないことがある。
<未反応抗体測定工程>
前記未反応抗体測定工程は、前記抗体捕捉工程で未反応抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する工程である。前記未反応抗体測定工程は、前記抗体捕捉工程と同時に行われてもよく、前記抗体捕捉工程の後で行われてもよい。
前記フローセルが参照極及び対極を有している場合は、該フローセル内の参照極及び対極を利用してそのまま修飾電極の電位を測定することができるため、前記抗体捕捉工程と同時に測定することができる。一方、前記フローセルが参照極を有していない場合は、該フローセルから修飾電極を取り出し、別途用意した参照極及び対極を利用して、該修飾電極の電位を測定することができる。本願発明の測定方法は、これらのどちらの方法であってもよい。
本発明において、前記未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値をRctSとする。
前記電荷移動抵抗値の測定方法としては、電気化学インピーダンス測定法を用いた方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電気化学アナライザー(例えば、ALS−600、BAS株式会社製)を用いて測定する方法などが挙げられる。
前記抗体捕捉工程と前記未反応抗体測定工程とが同時に行われる場合、前記被測定試料液を前記流路に導入後、前記修飾電極における電荷移動抵抗値の測定を開始するまでの時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、導入開始時から測定を開始してもよく、一定時間経過後に測定を開始してもよい。
前記未反応抗体測定工程において、前記修飾電極及び前記対極に印加する電位の大きさとしては、特に制限はなく、測定溶液中の酸化還元プローブの種類などに応じて適宜選択することができるが、酸化還元プローブとしてフェロシアン/フェリシアンカリウム(Fe2+/Fe3+)を用い、かつ参照電極が塩化銀電極である場合、該塩化銀電極に対して、0.15V〜0.3Vが好ましく、0.2V〜0.25Vがより好ましい。
前記未反応抗体測定工程における、測定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ測定温度であることが好ましい。
フローセルから修飾電極を取り出して測定する場合は、測定溶液の存在下で測定されることが好ましい。
前記測定溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、緩衝剤、電解質、酸化還元プローブなどを含むことが好ましい。また、有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらは、前記被測定試料液と同様のものを使用することができる。
<修飾電極測定工程>
前記修飾電極測定工程は、修飾電極、即ち、被験物質に対して特異的な抗体が捕捉されていない状態の修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する工程であり、前記測定手段により好適に行われる。前記修飾電極測定工程は、測定溶液内で行われることが好ましい。
なお、本発明において、前記修飾電極測定工程で測定された電荷移動抵抗値をRct0とする。
前記修飾電極測定工程は、前記未反応抗体測定工程と同様に、前記フローセルが参照極及び対極を有している場合は、該フローセル内の参照極及び対極を利用して、前記測定溶液を通液させながら該フローセル内で修飾電極の電位を測定することができる。一方、前記フローセルが参照極を有していない場合は、前記フローセルに前記測定溶液を通液させた後、該フローセルから修飾電極を取り出し、別途用意した参照極及び対極を利用して、該修飾電極の電位を測定することができる。
前記修飾電極測定工程は、前記未反応抗体測定工程と同じ条件で測定されることが好ましい。
前記電荷移動抵抗値の測定は、前記未反応抗体測定工程と同様の方法で測定することができ、前記測定溶液としても同様のものを用いることができる。
前記修飾電極測定工程が前記フローセル内で行われる場合、前記測定溶液を前記流路に導入後、前記修飾電極における電荷移動抵抗値の測定を開始するまでの時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、導入開始時から測定を開始してもよく、一定時間経過後に測定を開始してもよい。
前記測定溶液を通液させる通液量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、合計通液量が、10mL以下が好ましく、5mL以下がより好ましい。
前記測定溶液を通液させる通液速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ通液速度であることが好ましい。
測定する際に前記修飾電極及び前記対極に印加する電位の大きさとしては、特に制限はなく、測定溶液中の酸化還元プローブの種類などに応じて適宜選択することができるが、前記未反応抗体測定工程と同じ電位であることが好ましい。
前記修飾電極測定工程における、測定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ測定温度であることが好ましい。
<抗体溶液測定工程>
前記抗体溶液測定工程は、被験物質を含まず、該被験物質に対して特異的な抗体を含む抗体溶液を流路に導入し、前記抗体を抗体捕捉体に捕捉させ、該抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する工程であり、前記測定手段により好適に行われる。
本発明において、前記修飾電極測定工程で測定された電荷移動抵抗値をRctAとする。
前記抗体溶液測定工程は、前記未反応抗体測定工程と同様に、前記フローセルが参照極及び対極を有している場合は、該フローセル内の参照極及び対極を利用して、前記抗体溶液を通液させながら該フローセル内で修飾電極の電位を測定することができる。一方、前記フローセルが参照極を有していない場合は、前記フローセルに前記抗体溶液を通液させ、修飾電極に抗体を捕捉させた後、該フローセルから修飾電極を取り出し、別途用意した参照極及び対極を利用して、該修飾電極の電位を測定することができる。
前記抗体溶液測定工程は、前記未反応抗体測定工程と同じ条件で測定されることが好ましい。したがって、前記抗体溶液測定工程が、フローセルから修飾電極を取り外して行われる場合には、前記未反応抗体測定工程と同じ測定溶液を用いることが好ましい。
<<抗体溶液>>
前記抗体溶液は、少なくとも被験物質に対して特異的な抗体を含み、該抗体を溶解させる溶媒を含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含む。ただし、前記抗体溶液は、被験物質は含まない。
前記抗体は、前記被測定試料液中の抗体と同じものであることが好ましい。また、前記溶媒も、前記被測定試料液中の溶媒と同様のものを用いることができる。したがって、前記抗体溶液は、前記被測定試料液において、被験物質のみを除いたものであることが好ましい。
なお、本発明の測定方法において、前記被測定試料液調製工程における被測定試料液中の抗体の濃度と、前記抗体溶液測定工程における抗体溶液中の抗体の濃度とは、一定にする必要がある。これらの抗体の濃度が一定であると、被験物質と抗体が反応して結合する前(抗体溶液測定工程)の電荷移動抵抗値と、結合した後(被測定試料液調製工程及び未反応抗体測定工程)の電荷移動抵抗値とを比較することで、未反応の抗体の量を電荷移動抵抗値として検出でき、これに基づいて該被験物質の濃度を定量することができる。
前記電荷移動抵抗値の測定は、前記未反応抗体測定工程と同様の方法で測定することができる。
前記未反応抗体測定工程が前記フローセル内で行われる場合、前記抗体溶液を前記流路に導入後、前記修飾電極における電荷移動抵抗値の測定を開始するまでの時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、導入開始時から測定を開始してもよく、一定時間経過後に測定を開始してもよいが、前記抗体捕捉工程と同じ時間であることが好ましい。
前記抗体溶液を通液させる通液量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ通液量であることが好ましい。
前記抗体溶液を通液させる通液速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ通液速度であることが好ましい。
測定する際に前記修飾電極及び前記対極に印加する電位の大きさとしては、特に制限はなく、抗体溶液中又は測定溶液中の酸化還元プローブの種類などに応じて適宜選択することができるが、前記未反応抗体測定工程と同じ電位であることが好ましい。
前記抗体溶液測定工程における、測定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗体捕捉工程と同じ測定温度であることが好ましい。
<演算工程>
前記演算工程は、前記未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値に基づいて、前記被測定試料液中の前記被験物質の濃度を演算する工程である。即ち、前記演算工程において、前記測定手段で測定された電荷移動抵抗値が、被測定試料液中の被験物質の濃度に換算される。
前記演算工程は、前記演算手段により、下記測定原理に基づいて換算されることが好ましい。
<<測定原理>>
以下に本発明の測定方法の測定原理について図面を用いて説明する。図4A〜図4Cは、修飾電極表面を電気回路に模した等価回路の概略説明図である。図5は、前記測定方法で前記修飾電極のインピーダンスを測定したときのインピーダンススペクトルの一例を示す図である。ここでは、通液しながら測定する方法を示すが、本発明は、修飾電極のみを取り出して、フローセル外で電荷移動抵抗値を測定してもよい。
図4Aに示すように、前記測定方法の前記修飾電極測定工程で、測定溶液40を用いて修飾電極のみを測定した場合の電荷移動抵抗値を「Rct0」とする。
なお、図4Aにおいて、Cdlは、電気二重層容量を表し、Zは、物質拡散を示すワルブルグインピーダンスを表し、Rsolは、測定溶液の抵抗値を表す。また、F’は、測定溶液の通液方向を表す。
次に、図4Bに示すように、前記測定方法の前記抗体溶液測定工程で、一定濃度の抗体溶液41を流路内に通液すると、抗体18が修飾電極3上の抗体捕捉体17に捕捉される。このときの電荷移動抵抗値を「RctA」とする。
抗体溶液測定工程では、修飾電極3に抗体18が捕捉された分、電荷移動抵抗値が増加するため、「RctA>Rct0」の関係を満たす。
なお、図4Bにおいて、fは、抗体溶液41の通液方向を表し、Cdl及びZは、前記修飾電極測定工程と同じ意味を表す。
solは、抗体溶液41の抵抗値を表すが、抗体溶液41は、抗体18を添加したこと以外は前記測定溶液と同じであるため、前記修飾電極測定工程のRsolと、前記抗体溶液測定工程のRsolとは実質同一である。
次に、図4Cに示すように、前記測定方法の前記未反応抗体測定工程では、抗体溶液41と同じ濃度の抗体18を含む被測定試料液42中に被験物質21が存在する場合、被験物質21と抗体18とが結合し、被験物質−抗体複合体22が形成される。この被測定試料液42を流路内に通液すると、被験物質21と結合しなかった未反応抗体18aのみが、修飾電極3上の抗体捕捉体17に捕捉され、被験物質−抗体複合体22は、抗体捕捉体17に捕捉されることなく通過し、排出される。未反応抗体測定工程において、被測定試料液42中に被験物質21が存在する場合の電荷移動抵抗値を「RctS」とする。
未反応抗体測定工程における被測定試料液42中の抗体濃度と、抗体溶液測定工程における抗体溶液41の抗体濃度は同じ濃度であるため、被測定試料液42で被験物質−抗体複合体22が形成されることにより、未反応抗体18aの量は減少し、したがって、修飾電極3に捕捉される未反応抗体18aの量が減少する。そのため、被測定試料液42中に被験物質21が存在する場合は、「RctS<RctA」の関係を満たす。
一方、被測定試料液42中に被験物質21が存在しなかった場合、抗体濃度は変化しないため、「RctS=RctA」の関係を満たす。
なお、図4Cにおいて、Fは、被測定試料液42の通液方向を表し、Cdl及びZは、前記修飾電極測定工程と同じ意味を表す。
solは、被測定試料液42の抵抗値を表すが、被測定試料液42は、抗体18及び被験物質21が添加されたこと以外は前記測定溶液と同じであるため、前記修飾電極測定工程のRsolと、前記未反応抗体測定工程のRsolとは実質同一である。
前記電荷移動抵抗値(Rct0、RctA、又はRctS)は、以下のようにして測定することができる。
図5は、前記未反応抗体測定工程、前記修飾電極測定工程、又は前記抗体溶液測定工程で測定された電荷移動抵抗値の関係を、インピーダンススペクトルの一種であるナイキストプロットとして、横軸に実数部分Z’を、縦軸に虚数部分Z’’をプロットした図である。
電気化学インピーダンス法で測定されたインピーダンスの測定値Zは、前記実数部分Z’と虚数部分Z’’の和であり、下記式(A)で表され、実数部分Z’は、下記式(B)で、虚数部分Z’’は、下記式(C)で表される。
前記式(B)及び前記式(C)において、Rsolは、測定溶液の抵抗値を表し、σは、物質拡散に関する定数を表し、ωは、角速度を表し、Cdlは、電気二重層容量を表し、RctTは、下記式(D)で表される。
ctT=R+Rct0 ・・・式(D)
前記式(D)において、Rは、RctA及びRctSのいずれかを表す。
sol、RctT、Cdl、及びZの各パラメータは、測定により得られたインピーダンススペクトルを、前記式(II)及び前記(III)、並びに最小二乗法による近似を行うことで決定する。
近似計算には、公知の表計算ソフトを用いることができ、例えば、Microsoft Excel 2007(マイクロソフト株式会社製)などを用いることができる。
本発明では、等価回路におけるパラメータのうち、修飾電極表面に抗体が捕捉されることにより大きく変化する電荷移動抵抗値RctTの変化量を信号値として用いた。
即ち、Rsolは一定であるため、下記式(1)で表されるΔRctAと、下記式(2)で表されるΔRctSとの変化量である下記式(3)で表されるΔRctN(図5において、半円で表されるスペクトルの直径の変化量)は、抗体が修飾電極に捕捉された量に依存する。
ΔRctA=RctA−Rct0 ・・・式(1)
ΔRctS=RctS−Rct0 ・・・式(2)
ΔRctN=ΔRctA−ΔRctS ・・・式(3)
ただし、前記式(1)及び(2)において、Rct0は、修飾電極測定工程で測定された電荷移動抵抗値を表し、前記式(1)において、RctAは、抗体溶液測定工程で測定された荷移動抵抗値を表し、前記式(2)において、RctSは、未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値を表す。
次に、演算工程において、下記式(4)によりΔRctNを、相対信号値y(%)に換算する。
相対信号値y(%)=ΔRctN/ΔRctA×100 ・・・式(4)
ここで、段階希釈した既知濃度xの被験物質を含む被測定試料液を用いて、前記未反応抗体測定工程、前記修飾電極測定工程、及び前記抗体溶液測定工程を行った後、それぞれ相対信号値y(%)に換算し、この相対信号値y(%)を用いてシグモイド状の曲線を表す下記近似式(5)と、最小二乗法とを用いて、図6に示すような校正曲線を作成することができる。
x=(1−y)(a/y+b) ・・・式(5)
ただし、前記式(5)において、a及びbは、近似パラメータを表す。
本発明において、式(5)において、y=50、即ち相対信号値が50%になるときの被測定試料液中の被験物質の濃度xの値をIC50とする。
IC50としては、特に制限はなく、使用する抗体の種類などに応じて適宜選択することができるが、抗体の結合平衡定数(Kd)の1倍〜5倍が好ましく、Kdと等しい値であることが特に好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被験物質の測定を行う前後に、被測定試料液に各種処理を施す前後処理工程などが挙げられる。
前記処理としては、例えば、被測定試料液の、分離、分画、ろ過、洗浄、抽出、精製、温度変化、分散、混合、沈殿、透析、蒸留、修飾(化学反応を含む)、脱酸素、脱泡、超音波処理、マイクロ波処理、磁場の印加を伴う処理、電解、電気泳動、クロマトグラムなどが挙げられる。また、これらの処理は、複数を組み合わせて行ってもよく、1つ又は2つ以上の処理を順序立てて行ってもよい。更に、これらの前後処理を自動化して前記測定装置の一部として組み込む方法も好ましく用いられる。また、前記フローセルにおける流路等の微小な空間をこの前後処理及び/又は測定に利用する方法も好ましく用いられる。
以下に、図面を用いて、本発明の前記測定装置及び本発明の前記測定方法の一例について詳細に説明するが、本発明の測定装置及び測定方法はこれに限られるものではない。
図7は、本発明の測定装置100の各手段又は各部材の関係一例を示すブロック図であり、図8は、測定手段の一例を示す概略断面図である。
測定装置100は、内部に、フローセル1、測定手段28、演算手段31、リード50、51、及び52、制御部32、ディスプレイ33、計時部34、記憶部35、記録部36を有する。また、フローセル1は、修飾電極3、対極4、流路13、被測定試料液導入手段26、被測定試料液排出手段27を有する。測定手段28は、電位印加部29、検出部30、参照極23を有する。
フローセル1と、測定手段28とは、リード50、51、52によりそれぞれ電気的に接続される端子が設けられている。
制御部32から被測定試料液導入手段26に、被測定試料液の導入を開始するための信号が送られると、被測定試料液導入手段26の図示しない加圧部により被測定試料液収容部から被測定試料液が流路13内に導入される。被測定試料液は、修飾電極3に接しながら流路13内を通液し、被測定試料液排出手段27により排出され、図示しない被測定試料液回収部に回収される。なお、被測定試料液の導入の開始は、図示しない測定開始ボタンにより行われてもよい。
被測定試料液が通液される際の通液量は、制御部32により制御されることが好ましい。また、被測定試料液の通液時間は、測定開始から所定時間経過したことを知らせる信号を制御部に送るタイマー機能を有する計時部34により制御されることが好ましい。
なお、被測定試料液は、前記被測定試料液収容部で直接調製してもよく、予め被測定試料液を調製した後、前記被測定試料液収容部に収容してもよい。
被測定試料液が通液される間、所定のタイミングで、測定手段28の電位印加部29からリード51を介して修飾電極3が、リード52を介して対極4に電位が印加される。このとき、リード50を介して参照極23にも電位が印加されることが好ましい。修飾電極3、対極4、及び参照極23に印加された電位は、電荷移動抵抗値として検出部30で検出され、検出された電荷移動抵抗値は、演算手段31に伝達される。
測定開始及び測定終了のタイミングは、計時部34により制御されることが好ましい。
演算手段31では、測定手段28で測定された電荷移動抵抗値を被測定試料液中の被験物質の濃度に換算する。この換算は、記憶部35に格納された校正曲線に相当する相関データを利用して換算されることが好ましい。換算された測定値は、ディスプレイ33に表示される。また、記録部36に測定結果が記録されてもよい。記録部36としては、公知の記録媒体などを用いることができる。
なお、前記修飾電極測定工程、前記抗体溶液測定工程、前記被測定試料液調製工程、前記抗体捕捉工程、及び前記未反応抗体測定工程の合計時間は、10分間以内であることが好ましい。
<用途>
本発明の測定装置及び測定方法は、被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できるため、環境中の微量物質等の検出や定量、特に、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、金属などの検出や定量に好適に利用可能である。
(修飾電極)
本発明の修飾電極は、導電性部材と、支持体と、抗体捕捉体と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の部材を有する。
前記導電性部材の導電性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記フローセルに記載の導電性材料が好ましく用いられる。
前記支持体は多糖類からなる。前記多糖類としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記フローセルに記載の支持体としての多糖類などが好ましく用いられる。
前記抗体捕捉体は、前記構造式(1)で表される化合物からなるものであり、前記支持体に結合している。
前記修飾電極は、前記フローセルに記載の修飾電極作製工程により好適に製造される。
<用途>
本発明の修飾電極は、本発明の前記フローセル、本発明の前記測定装置、及び本発明の前記測定方法に好適に用いられるが、この用途に限られるものではない。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1:抗体捕捉体の合成)
以下の方法で、下記スキームに従い、抗体捕捉体としての下記構造式(1)で表される化合物(2,5−ジオキシピロリジン−1−イル 6−(3,4−ジクロロフェノキシ)ヘキサン酸)を合成した。
3,5−ジクロロフェノール(化合物1、和光純薬工業株式会社製)5.0g(30.7mmol)、6−ブロモヘキサン酸エチルエステル(化合物2、和光純薬工業株式会社製)7.60g(33.7mmol)をアセトン60mLに溶解させ、炭酸カリウム(KCO)14.0g(102mmol)を加え、バス温度60℃にて、34時間加熱還流した。室温(約25℃)まで放冷した後、不溶物を、セライトを通して濾別し、濾液から溶媒を減圧下で留去し、無色の液体を得た。この液体は、目的物である6−(3,4−ジクロロフェニルオキシ)ヘキサン酸エチル(化合物3)と化合物2との混合物であり、その混合比は、化合物3:化合物2=10:1.3(モル比)であった。この液体(混合物)は、更に精製することなく、加水分解に使用した。
この液体(混合物)に、水酸化ナトリウム水溶液(2.5g水酸化ナトリウムを水20mLの溶解した水溶液)と、エタノール50mLとを加え、バス温度60℃にて8時間加熱還流した。大部分のエタノールを減圧下で除去し、水を加え100mLとした。氷冷下で、この水溶液に酸性になるまで濃塩酸を滴下し、析出した6−(3,4−ジクロロフェニルオキシ)ヘキサン酸(化合物4)を濾集した。これをエタノール約50mLから再結晶し、6.55gの化合物4を得た。化合物4の収率は、化合物1の77モル%であった。
化合物4 2.77g(10mmol)と1−ヒドロキシピロリジン−2,5−ジオン(化合物5、シグマアルドリッチジャパン社製)1.15g(10mmol)をジメチルエーテル(DME)60mLに溶解し、p−ジクミルクロリド(DCC)2.06g(10mmol)を固体で加え、室温(約25℃)で16時間撹拌した。析出した固体を濾別し、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(クロロフォルムで展開)で精製した。
得られた固体をメタノールから再結晶し、2.42gの下記構造式(1)で表される化合物を無色の結晶として得た。構造式(1)で表される化合物の収率は、65モル%であった。
(製造例1:修飾電極1の作製)
<導電性部材の作製>
ガラス基板(28mm×76mm、松波ガラス株式会社製)をピラニア溶液(過酸化水素:硫酸=1:3(体積比))に15分間浸漬した。このガラス基板を蒸留水で洗浄した後、イソプロパノール中で超音波洗浄し、窒素ガスで乾燥させた。乾燥させたガラス基板に、フォトレジスト(ポジ型フォトレジストS1818、ロームアンドハース社製)をスピンコート(3,000rpm、30秒間)した。スピンコートした基板は、65℃で1分間、次いで95℃で6分間露光前ベイクした後、マスクアライナー(MA−20、ミカサ株式会社製)を用いて該基板にフォトマスクを重ね、波長365nmの高圧水銀ランプで露光した。露光後の基板を現像液(CD−26 Developer、ロームアンドハース社製)で現像し、露光部分を除去した。現像された基板を蒸留水で洗浄した後、イソプロパノール中で超音波洗浄し、窒素ガスで乾燥させた。次いで、スパッタリング装置(L−332S−FH、アネルバ株式会社製)を用いて金薄膜を製膜した。ここで、ガラスと金薄膜との密着性を向上させるよう、チタン及びパラジウムをバインダーとして用いた。スパッタにより金属薄膜を製膜した基板は、アセトンに浸漬し、残存するレジストと該レジスト上の金属薄膜をリフトオフした。
これにより、図1Bに示すような、直径2mmの円形の作用極3と、対極4とを有する金電極基板1を作製した。
<支持体被覆導電性部材の作製>
−キトサン溶液の調製−
支持体として用いるキトサン(Chitosan low molecular weight 95%、シグマアルドリッチジャパン製)を、純水で0.2質量%に調製した後、1M塩酸を添加し、pH2.0とすることで完全にキトサンを溶解した。次いで、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4.0に調整し、キトサン溶液を調製した。
−支持体と導電性部材の結合−
金電極基板の作用極を、研磨用アルミナ(0.05μm、BAS株式会社)及び研磨パッド(BAS株式会社)を用いて研磨した。研磨した作用極は、純水とエタノールの混合溶液(99質量%エタノール溶液)中で超音波洗浄した後、窒素ガスで乾燥させた。
乾燥させた作用極上に、前記調製した0.2質量%キトサン溶液(pH4.0)を滴下した。次いで、作用極に、参照極(銀塩化銀電極)に対して−1.0Vの電位を60秒間印加し、該作用極上にキトサンを電着させた。キトサンを電着させ、該キトサンで被覆された作用極は、純水で洗浄し、室温(約25℃)で乾燥させ、キトサン被覆電極1を作製した。
−抗体捕捉体と支持体の結合−
前記合成例1で合成した前記構造式(1)で表される化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、1mg/mLの(前記構造式(1)で表される化合物)を含む抗体捕捉体溶液を調製した。
キトサン被覆電極1上に、前記調製した抗体捕捉体溶液を10μL滴下し、1時間反応させた後、DMSO、次いで、99質量%エタノールで洗浄し、室温(約25℃)で乾燥させた。これにより、作用極上にキトサン分子を介して、抗体捕捉体(前記構造式(1)で表される化合物)を結合した修飾電極1を作製した。
(試験例1:修飾電極作製工程における電荷移動抵抗値の変化の検討)
製造例1で作製した、キトサン被覆電極1、修飾電極1、及び修飾電極1に下記に示す方法で抗体を捕捉させた後の修飾電極1を用い、それぞれの電荷移動抵抗値(以下、「信号値」と称することが)を下記に示す電気化学インピーダンス法で測定した。結果を下記表1及び図9に示す。
<修飾電極1と、抗PCB抗体との反応>
−抗体溶液1の調製−
抗PCB抗体(K2A抗体、Kd=0.8ppb、京都電子株式会社製)をPBSTで希釈し、5.0nMの抗体溶液1を調製した。
なお、PBST緩衝液の組成は、NaCl 8g、NaHPO・12HO 2.9g、KCl 0.2g、KHPO 0.2g、水 1L、0.1質量% Tween20(pH7.4)のものを用いた。以下、PBST緩衝液は、この組成のものを用いた。
−修飾電極と抗体との反応−
修飾電極1が配置されたガラス基板の修飾電極側に対して、修飾電極1の周囲を囲むようにポリジメチルシロキサン(PDMS)製のウェル(直径5.0mm)を、該PDMSの自己吸着性を利用して密着させた。ウェル内に、調製した5.0nMの抗体溶液1を滴下し、室温(約25℃)で2時間反応後、PBST緩衝液で2回、次いでPBS緩衝液で1回洗浄した。
前記PDMS製のウェル(直径5.0mm)は、予め作製した厚さ2mmのPDMS板を切り出し、外径5mmのステンレス管で打ち抜いて作製した。
なお、PBS緩衝液の組成は、NaCl 8g、NaHPO・12HO 2.9g、KCl 0.2g、KHPO 0.2g、水 1L(pH7.4)のものを用いた。以下、PBS緩衝液は、この組成のものを用いた。
−電気化学インピーダンス法による測定−
電気化学インピーダンスの測定は、ポテンショスタット/ガルバノスタット(電気化学アナライザーALS−600、BAS株式会社製)を用い、図8に示すような、作用極3、対極4、及び銀塩化銀参照極23(太さ2mm)を用いる三電極法で行った。なお、ここで、作用極は、修飾電極を意味する。
測定溶液としては、電解質としての100mM 塩化カリウムと、酸化還元プローブとしての4mM フェロシアン/フェリシアンカリウム(Fe2+/Fe3+)とを混合した溶液を用いた。
図8において、電気化学アナライザー24に電位を印加すると、リード50により参照極23が、リード51により修飾電極3が、リード52により対極4がそれぞれ印加され、測定溶液25を介して修飾電極3の電荷移動抵抗値が測定される。
[測定条件]
電極電位 :参照極(銀塩化銀電極)に対して0.23V
電位の振幅 :5mV
測定周波数 :10Hz〜10Hz
なお、電極電位は、測定溶液のフォーマル電位付近である。
結果を前記表1及び図9に示す。この結果より、抗体捕捉体である前記構造式(1)で表される化合物を結合させると、信号値(電荷移動抵抗値)が増加した。これは、電極が、キトサン分子及び抗体捕捉体(前記構造式(1)で表される化合物)に被覆され、電極表面における酸化還元プローブの電気化学反応速度が低下していくためである。また、修飾電極1に抗体捕捉体(前記構造式(1)で表される化合物)と結合しうる抗体を反応させると、信号値は更に増加することがわかった。
(試験例2:キトサンの電着時間の検討)
キトサンの電着時間が信号値に与える影響を、製造例1の修飾電極1と、下記に示す方法で作製した修飾電極2〜5を用いて検討した。
<修飾電極2の作製>
修飾電極1の作製において、キトサンの電着時間を、60秒間から15秒間に変えたこと以外は、修飾電極1の作製と同様の方法で、修飾電極2を作製した。
<修飾電極3の作製>
修飾電極1の作製において、キトサンの電着時間を、60秒間から30秒間に変えたこと以外は、修飾電極1の作製と同様の方法で、修飾電極3を作製した。
<修飾電極4の作製>
修飾電極1の作製において、キトサンの電着時間を、60秒間から90秒間に変えたこと以外は、修飾電極1の作製と同様の方法で、修飾電極4を作製した。
<修飾電極5の作製>
修飾電極1の作製において、キトサンの電着時間を、60秒間から120秒間に変えたこと以外は、修飾電極1の作製と同様の方法で、修飾電極5を作製した。
前記修飾電極1〜5を用い、試験例1と同様の条件で、それぞれ信号値を測定した。結果を図10に示す。図10において、この結果より、信号値は電着時間の増加に従って増加し、60秒間で最大値(142Ω)に達した後、120秒間では再び低下することがわかった。
(製造例2:フローセルの作製)
修飾電極の表面に対して抗体を含む被測定試料液を連続的に通液しうるフローセルを、D.C.Dufy, J.C.McDonald, O.J.A.Schueller, G.M.Whitesids, Anal.Chem., 1998, 70, p.4974−4984を参照し、以下の方法で作製した。
<流路の形成>
<<鋳型の作製>>
予め45℃に加温したシリコンウェハ上に、フィルムレジスト(ネガ型フォトレジストSU−8 Film、50μm、化薬マイクロケム株式会社製)を積層した。マスクアライナー(MA−20、ミカサ株式会社)を用いてシリコンウェハにフォトマスクを重ね、波長365nmの高圧水銀ランプで露光した。露光したウェハを95℃で加熱した後、現像液(SU−8 Developer、化薬マイクロケム株式会社製)に浸漬し、未露光部のレジストを除去した。現像後のウェハは、2−プロパノールで数回洗浄し、鋳型を作製した。次いで、減圧下の気相でシランカップリング剤(3,3,4,4,5,5,6,6,6−nonafluorohexyl trichlorosilane、信越化学工業株式会社)と30分間反応させ、鋳型の表面を疎水化した。
<<流路形成部材の作製>>
ポリジメチルシロキサン(PDMS)のモノマー及び硬化剤の混合物(SILPOT184、東レダウコーニング株式会社製、PDMS:硬化剤=10:1(質量比))を減圧し、気泡を除去した。これを前記疎水化した鋳型上に流し込み、80℃で2時間加熱してPDMSを重合させ、硬化させた。硬化したPDMSを鋳型から剥離し、被測定試料液導入口及び被測定試料液排出口を作製し、フローセルの流路形成部材を作製した。
<<修飾電極固定工程>>
修飾電極1が配置されたガラス基板の修飾電極側に対して、流路形成部材内に修飾電極の全体が収まるように、該流路形成部材の素材であるPDMSの自己吸着性を利用して密着させた。このとき、修飾電極1は、キトサン及び抗体捕捉体(前記構造式(1)で表される化合物)を担持している部位が、前記流路形成部材に直接接触しないように、かつ、フローセルの被測定試料液の通液方向において、被測定試料液導入口及び被測定試料液排出口から等距離になる位置に配置した。
これにより、図1A及び図1Bに示すような、流路の高さHが225μm、流路の幅Wが2,000μm、流路の長さLが30,000μmのフローセルを作製した。
(実施例1)
<抗体溶液2の調製>
抗PCB抗体(K2A抗体、Kd=0.8ppb、京都電子株式会社製)をPBSTで希釈し、2.0nMの抗体溶液2を調製した。
<被測定試料液(抗原抗体溶液)の調製>
PCBの標準物質として、KC−300、KC−400、KC−500、及びKC−600をヘキサン溶液に等量混合物したKCMix(カネクロール混合液、GLサイエンス株式会社製)を0ppb、0.04ppb、0.2ppb、1ppb、4ppb、20ppb、100ppb、又は1,000ppbの濃度となるように段階希釈し、各濃度の希釈液30μLに対して、30μL DMSO及び1,440μL PBSTを添加した。次いで、抗PCB抗体(K2A抗体、京都電子株式会社製)が2.0nMとなるように、抗PCB抗体を含むPBSTを添加し、30分間穏やかに混和することで、測定に用いる抗原抗体溶液とした。
−信号値の測定−
製造例2で作製したフローセルを用い、試験例1で調製した測定溶液、前記抗体溶液2、又は各濃度のPCBを含む抗原抗体溶液を、下記通液条件でそれぞれ流路に通液した。各溶液を通液した後、流路にPBS緩衝液を通液し、修飾電極1を洗浄した。洗浄後の修飾電極1をフローセルから取り外し、試験例1と同様の図8に示すような測定系で信号値を測定した。
[通液条件]
抗PCB抗体濃度 :1.0nM
合計通液量 :3.0mL
線速度(通液速度) :889mm/分間
測定溶液を通液した場合の信号値をRct0、前記抗体溶液2を通液した場合の信号値をRctA、各濃度のPCBを含む抗原抗体溶液を通液した場合の信号値をRctSとし、下記式(1)〜(3)より、各PCB濃度のときのΔRctNを算出し、下記式(4)により相対信号値y(%)に換算した。次に、図11に示すように、相対信号値y(%)を縦軸に、被測定試料液中のPCB濃度x(ppb)を横軸にとり、相対信号値yとPCB濃度xとの関係をプロットし、校正曲線を作成した。この校正曲線は、シグモイド状の曲線で表され、下記近似式(5)と、最小二乗法とを用いて作成される。
ΔRctA=RctA−Rct0 ・・・式(1)
ΔRctS=RctS−Rct0 ・・・式(2)
ΔRctN=ΔRctA−ΔRctS ・・・式(3)
相対信号値y(%)=ΔRctN/ΔRctA×100 ・・・式(4)
x=(1−y)(a/y+b) ・・・式(5)
ただし、前記式(5)において、a及びbは、近似パラメータを表す。
図11より、10%〜90%に相当する校正曲線における濃度範囲を検出範囲とすると、それぞれの検出範囲は、0.4ppb〜11.1ppbであった。また、校正曲線から得られたIC50は、3.1ppbであった。
ここで、測定が、結合平衡除外に達しうる理想的な条件で行われた場合、校正曲線のIC50は抗体が有する結合解離定数とほぼ一致することが知られている(大村直也, Thomas R.Glass, 佐々木和裕, 城孝司, 妙見幸弘, 横堀尚之, 寺門真吾, 分析化学(Bunsekikagaku), 2006, 55, p.519−523参照)。報告されている抗PCB抗体(K2A)の結合解離定数は、Kd=0.8ppbであることから、フローセルと修飾電極を組合せたイムノアッセイは、結合解離定数に近い感度での測定が可能であることが示された。
(実施例2)
被験物質であるPCBの量を測定するためには、被測定試料液中に含まれるPCB濃度に応じて変化する未反応の抗PCB抗体(未反応抗体)の濃度を、修飾電極表面に捕捉される未反応抗体量から信号値として観測する必要がある。即ち、抗体溶液中の未反応抗体濃度と信号値が正の直線関係にあることが望ましい。そこで、抗PCB抗体の最適濃度について検討した。
実施例1において、通液条件を下記条件に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で信号値の測定を行った。結果を図12に示す。
[通液条件]
抗PCB抗体濃度 :5nM、2.5nM、1nM、0.5nM、又は0.25nM
合計通液量 :3.0mL
線速度(通液速度) :889mm/分間
図12の結果より、抗体濃度と、信号値との関係は、抗体濃度が1.0nMまでは、正の直線関係を示し、信号値から測定液中の未反応抗体の濃度を定量できることがわかった。
(実施例3)
次に、最適通液量の検討を行った。実施例1において、通液条件を下記条件に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で信号値の測定を行った。結果を図13に示す。
[通液条件]
抗PCB抗体濃度 :1.0nM
合計通液量 :1.0mL、1.5mL、2.0mL、3.0mL、4.0mL、又は5.0mL
線速度(通液速度) :889mm/分間
図13の結果より、通液量と、信号値との関係は、通液量が3.0mLまでは、正の直線関係を示した。即ち、修飾電極上の抗体捕捉体上に、接触時間に応じて一定の割合で測定溶液中の未反応抗体が捕捉され続け、捕捉量が増加することがわかった。
(実施例4)
次に、最適通液速度の検討を行った。実施例1において、通液条件を下記条件に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で信号値の測定を行い、相対信号値を算出した。結果を図14に示す。
[通液条件]
抗PCB抗体濃度 :1.0nM
合計通液量 :3.0mL
線速度(通液速度) :444mm/分間、667mm/分間、889mm/分間、1,333mm/分間、又は2,222mm/分間
PCB添加量 :5ppb
図14の結果より、相対信号値は、線速度が889mm/分間以上では、60%から70%の範囲を示し、通液速度が変化しても顕著な影響を受けなかった。
(比較例1)
比較例1は、被測定試料液を修飾電極上に連続的に通液させず、前記試験例1で作製したガラス基板上のPDMS製のウェルを用いた非フロー式で行った。
ここに、実施例1で調製した抗原抗体溶液を50μL滴下し、室温(約25℃)で2時間反応させた。反応後の修飾電極1は、PBSTで2回、PBSで1回洗浄し、試験例1と同様の方法で電気化学インピーダンスの測定を行い、実施例1と同様の方法で校正曲線を作成した。結果を図15に示す。
図15より、相対信号値が10%〜90%に相当する校正曲線における濃度範囲を検出範囲とすると、それぞれの検出範囲は、0.8ppb〜83.5ppbであった。また、校正曲線から得られたIC50は、9.2ppbであった。
実施例1及び比較例1の結果をまとめて下記表2に示す。
実施例1は、比較例1と比較して、測定感度、即ちIC50が3倍であり、測定時間が約10分の1に短縮できた。
本発明の修飾電極、並びに、フローセル、該フローセルを有する測定装置、及び該測定装置を用いた測定方法は、被験物質に対する親和性、特異性、及び保存性に優れる非標識抗体を用い、微細加工技術による集積化が容易で多検体を同時に測定することができ、分析時間が短く、操作が簡便であり、コストがかからず、高感度で検出できる、環境中の微量物質等の検出や定量、特に、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、金属などの検出や定量に好適に利用可能である。
1 フローセル
2 基板
3 修飾電極(作用極)
3a 支持体被覆導電性部材
4 対極
5 流路形成部材
6 被測定試料液導入口
7 被測定試料液排出口
8 被測定試料液収容部
9 加圧部
10 導入管
11 被測定試料液回収部
12 排出管
13 流路
14 被測定試料液
15 電極
16 支持体
16a 抗体捕捉体17との結合部位
17 抗体捕捉体
18 抗体(被験物質に対して特異的な抗体)
18a 未反応抗体
21 被験物質
22 被験物質−抗体複合体
23 参照極
24 電気化学アナライザー
25 測定溶液
26 被測定試料液導入手段
27 被測定試料排出手段
28 測定手段
29 電位印加部
30 検出部
31 演算手段
32 制御部
33 ディスプレイ
34 計時部
35 記憶部
36 記録部
40 測定溶液
41 抗体溶液
42 被測定試料溶液
50 リード
51 リード
52 リード
100 測定装置
H 流路の高さ
W 流路の幅
L 流路の長さ
f 抗体溶液の通液方向
F 被測定試料液の通液方向
F’ 測定溶液の通液方向
dl 電気二重層容量
物質拡散を示すワルブルグインピーダンス

Claims (19)

  1. 少なくとも被験物質及び該被験物質に対して特異的な抗体を含む被測定試料液を通液させる流路と、
    導電性部材の表面に配される支持体と、該支持体に結合され、前記抗体を捕捉可能な抗体捕捉体と、を担持した修飾電極と、
    を有することを特徴とするフローセル。
  2. 抗体捕捉体が、スクシンイミド基を有する化合物である請求項1に記載のフローセル。
  3. 支持体が、アミノ基を有する多糖からなる請求項1から2のいずれかに記載のフローセル。
  4. 修飾電極が、流路を形成する部材に固定して配置される請求項1から3のいずれかに記載のフローセル。
  5. 修飾電極が作用極であり、更に対極を有する請求項1から4のいずれかに記載のフローセル。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のフローセルと、修飾電極に捕捉された抗体を電気化学的に測定する測定手段と、を有することを特徴とする測定装置。
  7. 測定手段が、修飾電極及び対極に電位を印加する電位印加部と、前記修飾電極と前記対極との間に流れる電荷移動抵抗値を検出する検出部と、を有する請求項6に記載の測定装置。
  8. 測定手段で測定された測定値に基づき被測定試料液中の被験物質の濃度を求める演算手段を有する請求項6から7のいずれかに記載の測定装置。
  9. 請求項6から8のいずれかに記載の測定装置を用い、被測定試料液中の被験物質を測定することを特徴とする測定方法。
  10. 被験物質と該被験物質に対して特異的な抗体とを混合して反応させ、前記被験物質と前記抗体とが結合した被験物質−抗体複合体を含む被測定試料液を調製する被測定試料液調製工程と、
    前記被測定試料液を流路に導入して通液させ、該被験物質と結合していない未反応抗体を前記抗体捕捉体に捕捉させる抗体捕捉工程と、
    を含む請求項9に記載の測定方法。
  11. 抗体捕捉工程で未反応抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する未反応抗体測定工程を更に含む請求項10に記載の測定方法。
  12. 修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する修飾電極測定工程と、
    被験物質を含まず、該被験物質に対して特異的な抗体を含む抗体溶液を流路に導入し、前記抗体を抗体捕捉体に捕捉させ、該抗体が捕捉された修飾電極の電荷移動抵抗値を測定する抗体溶液測定工程と、を更に含む請求項10から11のいずれかに記載の測定方法。
  13. 未反応抗体測定工程で測定された電荷移動抵抗値に基づいて、被測定試料液中の被験物質の濃度を演算する演算工程を更に含む請求項11から12のいずれかに記載の測定方法。
  14. 未反応抗体測定工程において通液させる被測定試料液の線速度が、800mm/分間以上である請求項11から13のいずれかに記載の測定方法。
  15. 被測定試料液中の被験物質と抗体とが反応する前の、前記被験物質の濃度(B)に対する前記抗体の濃度(A)の比(A/B)が、1/10以下である請求項10から14のいずれかに記載の測定方法。
  16. 修飾電極測定工程、抗体溶液測定工程、被測定試料液調製工程、抗体捕捉工程、及び未反応抗体測定工程の合計時間が10分間以内である請求項12から15のいずれかに記載の測定方法。
  17. 演算工程で算出されたIC50が、抗体の結合平衡定数Kdの1倍〜5倍である請求項13から16のいずれかに記載の測定方法。
  18. 被験物質が、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、重金属、タンパク質、及び細胞から選択される少なくとも1種である請求項9から17のいずれかに記載の測定方法。
  19. 導電性部材と、該導電性部材の表面に配される多糖類からなる支持体と、該支持体に結合され、抗体を捕捉可能な下記構造式(1)で表される化合物からなる抗体捕捉体と、を有することを特徴とする修飾電極。
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