JP2012214866A - ステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法および水平型連続光輝焼鈍炉 - Google Patents
ステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法および水平型連続光輝焼鈍炉 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼ストリップの焼入れ熱処理を施す際に、温度不均一に伴うマルテンサイト変態の不均一によって引き起こされる板形状の崩れを極めて効果的に防止することができ、形状のよい焼入れステンレス鋼箔ストリップを安定して連続的にかつ大量に生産することが可能なステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法およびこの方法を行うことが出来る水平型連続光輝焼鈍炉を提供する。
【解決手段】
加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させ、板形状を矯正しつつ焼入れを行うことを特徴とする。
【選択図】 図3
冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼ストリップの焼入れ熱処理を施す際に、温度不均一に伴うマルテンサイト変態の不均一によって引き起こされる板形状の崩れを極めて効果的に防止することができ、形状のよい焼入れステンレス鋼箔ストリップを安定して連続的にかつ大量に生産することが可能なステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法およびこの方法を行うことが出来る水平型連続光輝焼鈍炉を提供する。
【解決手段】
加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させ、板形状を矯正しつつ焼入れを行うことを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
この発明は、水平型連続光輝焼鈍炉設備において、冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼ストリップの焼入れ熱処理を施す際に、安定的に形状を矯正する方法およびその装置に関するものである。即ち、ステンレス鋼箔の焼入れ熱処理において、マルテンサイト変態に伴う板形状の崩れを矯正するためのステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法、およびこれに用いるテンションアニーリング炉に関するものである。
本発明は、板厚0.015〜0.25mm程度の焼入れ熱処理により冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップを対象にしている。
連続光輝焼鈍炉として、水平型連続光輝焼鈍炉がある。
一般的な水平型連続光輝焼鈍炉の炉長方向概略図を図1に示すが、このような水平型光輝焼鈍炉で熱処理により冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔帯の焼入れ熱処理を施そうとすると、膨張を伴うマルテンサイト変態により板形状が崩れてしまい、板形状の整った良材をえることが出来なかった。
従来技術として、特許文献1には、冷却プロセスにおいて、強制的な冷却手段を用いずに徐冷を行うことが開示されており、特許文献2には、加熱炉内で弾性変形から塑性変形に変わる境界部に相当する温度に到達する位置を求め、これに隣接した弾性変形領域部分にサポートロールを設けることが開示してある。しかし、特許文献1では、冷却速度が遅いため、板幅方向および長手方向で鋼板温度の大きな違いが生じ、マルテンサイト変態する領域が不均一になるため、板形状を大きく崩してしまう。
特許文献2の方法は、加熱時の弾性変形と塑性変形を考慮しており、冷却時のα’変態の影響の方が、前者よりも大きく、板形状を良くすることには効果がない。
連続光輝焼鈍炉として、水平型連続光輝焼鈍炉がある。
一般的な水平型連続光輝焼鈍炉の炉長方向概略図を図1に示すが、このような水平型光輝焼鈍炉で熱処理により冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔帯の焼入れ熱処理を施そうとすると、膨張を伴うマルテンサイト変態により板形状が崩れてしまい、板形状の整った良材をえることが出来なかった。
従来技術として、特許文献1には、冷却プロセスにおいて、強制的な冷却手段を用いずに徐冷を行うことが開示されており、特許文献2には、加熱炉内で弾性変形から塑性変形に変わる境界部に相当する温度に到達する位置を求め、これに隣接した弾性変形領域部分にサポートロールを設けることが開示してある。しかし、特許文献1では、冷却速度が遅いため、板幅方向および長手方向で鋼板温度の大きな違いが生じ、マルテンサイト変態する領域が不均一になるため、板形状を大きく崩してしまう。
特許文献2の方法は、加熱時の弾性変形と塑性変形を考慮しており、冷却時のα’変態の影響の方が、前者よりも大きく、板形状を良くすることには効果がない。
本発明が目的としている、冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼ストリップの焼入れ熱処理を施す際に、安定的に形状を矯正することは、従来技術では困難である。
熱処理時に形状不良を生じさせる要因として、板幅方向および長手方向の温度不均一によりマルテンサイト変態の生じる場所が不均一となることがあげられる。
そこで、本発明では、マルテンサイト変態をさせる場所を均一にすることにより、形状不良を解決する手段を開発することを課題とした。
熱処理時に形状不良を生じさせる要因として、板幅方向および長手方向の温度不均一によりマルテンサイト変態の生じる場所が不均一となることがあげられる。
そこで、本発明では、マルテンサイト変態をさせる場所を均一にすることにより、形状不良を解決する手段を開発することを課題とした。
上記課題を解決するための本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)第一の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させ、板形状を矯正しつつ焼入れを行うことを特徴とする、ステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法である。
(2)第2の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉である。
(3)第3の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロール前に加熱ロールが配置してあり、加熱ロールにより幅方向の温度分布を均一にした後、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉である。
(1)第一の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させ、板形状を矯正しつつ焼入れを行うことを特徴とする、ステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法である。
(2)第2の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉である。
(3)第3の発明は、加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロール前に加熱ロールが配置してあり、加熱ロールにより幅方向の温度分布を均一にした後、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉である。
本発明によれば、冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼ストリップの焼入れ熱処理を施す際に、温度不均一に伴うマルテンサイト変態の不均一によって引き起こされる板形状の崩れを極めて効果的に防止することができ、形状のよい焼入れステンレス鋼箔ストリップを安定して連続的にかつ大量に生産することが可能である。
次に、本発明を図2に基づいて説明する。
図2は本発明の水平型連続光輝焼鈍炉の一例を示す炉長方向の概略断面図である。
同図において、1はステンレス鋼箔ストリップ、2は加熱帯、3は冷却帯、4は入側ブライドルロール、5は出側ブライドル、6はダンサーロール、7は入側シール室、8は出側シール室、9(a)(b)(c)(d)はサポートロール、10は冷却ロールである。
図2は本発明の水平型連続光輝焼鈍炉の一例を示す炉長方向の概略断面図である。
同図において、1はステンレス鋼箔ストリップ、2は加熱帯、3は冷却帯、4は入側ブライドルロール、5は出側ブライドル、6はダンサーロール、7は入側シール室、8は出側シール室、9(a)(b)(c)(d)はサポートロール、10は冷却ロールである。
ステンレス鋼箔ストリップは、焼鈍炉の入側と出側に配置されたブライドルロール4および5とダンサーロール6で所要の張力を負荷されつつ、入側シール室7より装入され、順次加熱帯2、冷却帯3、出側シール室8を経て排出される。
冷却帯にはサポートロール9が配置されストリップを支持している。
加熱帯で加熱されたステンレス鋼箔ストリップの金属組織はオーステナイト相が存在しており、冷却帯でオーステナイト相がマルテンサイト相へ変態する。
冷却帯にはサポートロール9が配置されストリップを支持している。
加熱帯で加熱されたステンレス鋼箔ストリップの金属組織はオーステナイト相が存在しており、冷却帯でオーステナイト相がマルテンサイト相へ変態する。
このマルテンサイト変態は膨張変形であり、マルテンサイト変態が不均一に生じる場合板形状を大きく悪化させる。
本発明の水平型連続光輝焼鈍炉には、冷却帯に冷却ロール10が設置してあり、ステンレス鋼箔ストリップは冷却ロールに接して冷却されている間に、マルテンサイト変態が実質的に完了する。
それにより幅方向でほぼ均一に変態が進行し、なおかつ、ロールへ巻きつけられているため、ストリップは拘束されるため、冷却ロールを通過したストリップの板形状は、マルテンサイト変態に伴う板形状の崩れがないほか、焼鈍炉投入前の板形状の矯正としても作用する。
本発明の水平型連続光輝焼鈍炉には、冷却帯に冷却ロール10が設置してあり、ステンレス鋼箔ストリップは冷却ロールに接して冷却されている間に、マルテンサイト変態が実質的に完了する。
それにより幅方向でほぼ均一に変態が進行し、なおかつ、ロールへ巻きつけられているため、ストリップは拘束されるため、冷却ロールを通過したストリップの板形状は、マルテンサイト変態に伴う板形状の崩れがないほか、焼鈍炉投入前の板形状の矯正としても作用する。
なお、実質的なマルテンサイト変態とは、冷却ロールに接している間に大部分のオーステナイト相がマルテンサイトに変態することを意味し、冷却ロールに接している間に変態しなかったオーステナイト相が冷却ロールから離れてマルテンサイト変態が進行しても、板形状には影響しないことを意味する。
冷却ロールの構造は、ロールが中空構造になっており、ロール内部に冷却水もしくは冷却ガスで冷却すればよい。
冷却ロールの材質は銅やカーボン等の熱伝導率が高い素材が好ましい。
冷却ロールとステンレス鋼箔ストリップの焼付き防止のため、冷却ロールに表面処理を施してもいい。
冷却ロールの直径はストリップの冷却領域を確保するため大径が望ましい。
冷却ロールの配置は、冷却ロール直前でMs点直上になるのが好ましい。
そのための制御として、炉出側からの冷却ロール位置と加熱帯温度とライン速度により調整される。
冷却ロールの構造は、ロールが中空構造になっており、ロール内部に冷却水もしくは冷却ガスで冷却すればよい。
冷却ロールの材質は銅やカーボン等の熱伝導率が高い素材が好ましい。
冷却ロールとステンレス鋼箔ストリップの焼付き防止のため、冷却ロールに表面処理を施してもいい。
冷却ロールの直径はストリップの冷却領域を確保するため大径が望ましい。
冷却ロールの配置は、冷却ロール直前でMs点直上になるのが好ましい。
そのための制御として、炉出側からの冷却ロール位置と加熱帯温度とライン速度により調整される。
次に、第3の発明を図3に基づいて説明する。
図3は本発明における水平型連続光輝焼鈍炉の一例を示す炉長方向の概略断面図である。
同図において、1はステンレス鋼箔ストリップ、2は加熱帯、3は冷却帯、4は入側ブライドルロール、5は出側ブライドル、6はダンサーロール、7は入側シール室、8は出側シール室、9(a)(b)(c)(d)はサポートロール、10は冷却ロール、11は加熱ロールである。
図3は本発明における水平型連続光輝焼鈍炉の一例を示す炉長方向の概略断面図である。
同図において、1はステンレス鋼箔ストリップ、2は加熱帯、3は冷却帯、4は入側ブライドルロール、5は出側ブライドル、6はダンサーロール、7は入側シール室、8は出側シール室、9(a)(b)(c)(d)はサポートロール、10は冷却ロール、11は加熱ロールである。
上記の焼鈍は、冷却ロール10の前に加熱ロール11が配置されている以外は、図2と同様である。冷却ロールの目的は、前述したように幅方向で均一にマルテンサイト変態を進行させることにある。しかし、加熱帯から出たストリップは、ストリップエッジがより冷却され、冷却ロールに到達するまでに幅方向で不均一な温度分布となっている。そのため、冷却ロールの前に加熱ロールを配置し、加熱ロールにストリップが接している間にストリップエッジを加熱し、続く冷却ロールでマルテンサイト変態を進行させることにより、より一層の均一なマルテンサイト変態が進行する。それにより、より形状の良い焼入れステンレス鋼箔ストリップが得られる。
加熱ロールは中空構造になっており、ロール内部に電熱線を配置し通電することによってストリップを加熱することが出来る。
加熱ロールとステンレス鋼箔ストリップの焼き付き防止のため、加熱ロールに表面処理を施しても良い。
加熱ロールは、ストリップの加熱領域を十分確保するため大径であることが望ましい。
加熱ロールとステンレス鋼箔ストリップの焼き付き防止のため、加熱ロールに表面処理を施しても良い。
加熱ロールは、ストリップの加熱領域を十分確保するため大径であることが望ましい。
加熱ロールの温度は、通板するストリップが冷却ロール直前でMs点直上になる温度が好ましい。具体的には(Ms点+10〜100)℃が望ましく、それを超える温度では冷却ロールでの冷却が不十分となり、望ましい量のマルテンサイトを生成させることができない。加熱ロールの温度がこれを下回る場合には冷却ロールに達する前にマルテンサイト変態が進行してしまい、幅方向での不均一なマルテンサイトの生成によって板形状が不良となる。
ストリップが冷却ロール直前でMs点直上になるような温度コントロールは、加熱ロール温度、加熱帯温度とライン速度の調整により可能である。
ストリップが冷却ロール直前でMs点直上になるような温度コントロールは、加熱ロール温度、加熱帯温度とライン速度の調整により可能である。
次に、この発明を実施例により説明する。
上述した実施の形態のロールをもちいて下記試験をおこなった。
図3に示した水平型連続光輝焼鈍炉を用い、対象材として板幅500mm、板厚0.10mmのマルテンサイト系ステンレス鋼の0.06C−12.5Cr鋼と、(フェライト+マルテンサイト)2相系ステンレス鋼の0.06C−2Ni−16.5Cr鋼を用いた。
上述した実施の形態のロールをもちいて下記試験をおこなった。
図3に示した水平型連続光輝焼鈍炉を用い、対象材として板幅500mm、板厚0.10mmのマルテンサイト系ステンレス鋼の0.06C−12.5Cr鋼と、(フェライト+マルテンサイト)2相系ステンレス鋼の0.06C−2Ni−16.5Cr鋼を用いた。
加熱帯の設定炉温は、1050℃で、ストリップの負荷張力は1.0kgf/mm2で、ライン速度は、2〜50m/minで、雰囲気は、75%水素+25%窒素混合ガス中で行った。
投入ストリップの形状は、投入前のストリップから、長手方向に1mのサンプルを切り出し、定盤の上において、レーザー変位計で、10mm間隔で板形状を測定し、定盤より最も出っ張っている数値を、最大高さとした。
冷却ロールは、材質を銅の中空ロールであり、中に10℃の冷却水を通すことで冷却を行った。
加熱ロールは材質が鋼の中空ロールであり、中には電熱線が組み込まれている。加熱ロールの温度は、0.06C−12.5Cr鋼の通板では450℃、0.06C−2Ni−16.5Cr鋼では280℃とした。
焼鈍炉の加熱帯の長さは、7mであり、冷却帯の長さは10mである。
冷却ロールの位置は、炉出側から2.5mである。
冷却ロールの直前に、非接触式温度系を配置し、冷却ロール出側直後にも温度計を配置した。
なお、0.06C−12.5Cr鋼のMs点は、400℃、0.06C−2Ni−16.5Cr鋼のMs点は230℃である。
投入ストリップの形状は、投入前のストリップから、長手方向に1mのサンプルを切り出し、定盤の上において、レーザー変位計で、10mm間隔で板形状を測定し、定盤より最も出っ張っている数値を、最大高さとした。
冷却ロールは、材質を銅の中空ロールであり、中に10℃の冷却水を通すことで冷却を行った。
加熱ロールは材質が鋼の中空ロールであり、中には電熱線が組み込まれている。加熱ロールの温度は、0.06C−12.5Cr鋼の通板では450℃、0.06C−2Ni−16.5Cr鋼では280℃とした。
焼鈍炉の加熱帯の長さは、7mであり、冷却帯の長さは10mである。
冷却ロールの位置は、炉出側から2.5mである。
冷却ロールの直前に、非接触式温度系を配置し、冷却ロール出側直後にも温度計を配置した。
なお、0.06C−12.5Cr鋼のMs点は、400℃、0.06C−2Ni−16.5Cr鋼のMs点は230℃である。
また、熱処理前のストリップの最大高さは3mmであった。表1に焼鈍炉条件と通板後ストリップの最大高さを示す。A1、A5、B1およびB4は本発明例であり、冷却ロールにストリップが接している間で実質的にマルテンサイト変態が完了し、通板後のストリップ高さは、それぞれ2mmと通板前より形状修正がなされている。特に加熱ロールを加熱したA5およびB4では、通板後のストリップ高さが0.3mm以下と非常に良好な形状を示した。
A2、B3は冷却ロールに冷却水を流さなかった例であるが、これでは冷却ロールにストリップが接している間でマルテンサイト変態は少々生じるものの、冷却ロールから離れた後に、マルテンサイト変態する量が大きく、結果として形状を崩している。A3は冷却ロールを使用しなかった場合であるが、冷却に伴うマルテンサイト変態のため大きく形状を崩している。A4は、冷却ロールにストリップが到達する前にマルテンサイト変態が進行したため、大きく形状を崩している。B2は、冷却ロール前のストリップ温度が高すぎたために、冷却ロールに接している間のマルテンサイト変態量が少なく、その後変態したため形状がくずれていた。
A2、B3は冷却ロールに冷却水を流さなかった例であるが、これでは冷却ロールにストリップが接している間でマルテンサイト変態は少々生じるものの、冷却ロールから離れた後に、マルテンサイト変態する量が大きく、結果として形状を崩している。A3は冷却ロールを使用しなかった場合であるが、冷却に伴うマルテンサイト変態のため大きく形状を崩している。A4は、冷却ロールにストリップが到達する前にマルテンサイト変態が進行したため、大きく形状を崩している。B2は、冷却ロール前のストリップ温度が高すぎたために、冷却ロールに接している間のマルテンサイト変態量が少なく、その後変態したため形状がくずれていた。
本発明は、形状の優れたステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法および装置として有益である。
1 ステンレス鋼箔ストリップ
2 加熱帯
3 加熱帯
4 入側ブライドルロール
5 出側ブライドル
6 ダンサーロール
7 入側シール室
8 出側シール室
9(a)(b)(c)(d) サポートロール
10 冷却ロール
11 加熱ロール
2 加熱帯
3 加熱帯
4 入側ブライドルロール
5 出側ブライドル
6 ダンサーロール
7 入側シール室
8 出側シール室
9(a)(b)(c)(d) サポートロール
10 冷却ロール
11 加熱ロール
Claims (3)
- 加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させ、板形状を矯正しつつ焼入れを行うことを特徴とする、ステンレス鋼箔ストリップの連続式光輝熱処理方法。
- 加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉。
- 加熱帯および冷却帯を順次直列に備えた水平型連続光輝焼鈍炉を用いて行う冷却中にマルテンサイト変態を伴うステンレス鋼箔ストリップの焼入れ熱処理において、長手方向に張力を付与されつつ加熱帯を搬送され加熱されたストリップが、冷却対の冷却ロール前に加熱ロールが配置してあり、加熱ロールにより幅方向の温度分布を均一にした後、冷却帯の冷却ロールに接している間にマルテンサイト変態を実質的に完了させるように加熱ロールおよび冷却ロールが配置されていることを特徴とするステンレス鋼箔ストリップの水平型連続光輝焼鈍炉。
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