JP2012207135A - セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)セルロース系原料を水酸化物イオン濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で処理する工程、(B)前記工程Aで得たセルロース系原料を、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化する工程、ならびに(C)前記工程Bで得たセルロース系原料を含む分散液を調製し、当該酸化セルロース系原料を解繊して分散媒中に分散し、ナノファイバー化する工程、を含む方法にてセルロースナノファイバーを製造する。
【選択図】なし
Description
上記を鑑み、本発明は、高透明度かつ低粘度の分散液を与えるセルロースナノファイバーを効率良く製造する方法を提供することを課題とする。
(A)セルロース系原料を水酸化物イオン濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で処理する工程、
(B)前記工程Aで得たセルロース系原料を、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化する工程、ならびに
(C)前記工程Bで得た酸化されたセルロース系原料を含む分散液を調製し、当該酸化セルロース系原料を解繊して分散媒中に分散し、ナノファイバー化する工程、を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。
1.セルロースナノファイバーの製造方法
本発明の製造方法は、(A)セルロース系原料を水酸化物濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で処理する工程、(B)前記工程Aで得たセルロース系原料を、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化する工程、ならびに(C)前記工程Bで得たセルロース系原料を含む分散液を調製し、当該酸化セルロース系原料を解繊して分散媒中に分散し、ナノファイバー化する工程、を含む。
工程Aでは、セルロース系原料を水酸化物濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で処理する。
セルロース系原料とは、木材由来のクラフトパルプまたはサルファイトパルプ、それらを高圧ホモジナイザーやミル等で粉砕した粉末セルロース、あるいはそれらを酸加水分解などの化学処理により精製した微結晶セルロース粉末等である。またこの他に、ケナフ、麻、イネ、バカス、竹等の植物由来のセルロース系原料もできる。しかしながら、セルロース系原料中に広葉樹由来のリグニンが多く残留してしまうと当該原料の酸化反応を阻害する恐れがあるので、本発明においては、化学パルプの製造方法により得られたセルロース系原料が好ましい。リグニンをさらに除去するために、このようにして得られたセルロース系原料に公知の漂白処理を施すことがより好ましい。
工程Aでは、水酸化物イオン濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で前記セルロース原料を処理する。以下、当該処理を単に「アルカリ処理」ともいう。アルカリ処理は、前記セルロース原料を水に分散させ、当該水分散液にアルカリを添加して水中の水酸化物イオン濃度を前記範囲に調整し、反応系を撹拌して行なうことができる。あるいはアルカリ処理は、予め調製された水酸化物イオン濃度の水に前記セルロース原料を分散させて行なうことができる。
一般にセルロース系原料は、セルロース分子間およびセルロース繊維間が水素結合を介して比較的強固に結合している。セルロース系原料をアルカリで処理すると、セルロース系原料が膨潤して水素結合が弱まり、セルロース分子間およびセルロース繊維間にやや大きな空隙が形成される。この空隙を介して次の工程Bで使用する酸化剤が浸透しやすくなり、セルロース系原料の酸化が促進される。また、特にセルロース系原料として漂白済みクラフトパルプまたは漂白済みサルファイトパルプを用いた場合は、アルカリによってセルロースミクロフィブリル表面を被覆しているヘミセルロースが溶出される。このためミクロフィブリル表面が露出して次の工程Bにおける酸化が促進される。これらの結果、セルロース原料の酸化反応性が高まり、酸化反応が短時間で進行し、かつ多くのカルボキシル基が導入される。このようにカルボキシル基量が多くなると、酸化されたセルロース系原料の解繊および分散媒体中への分散が容易となりナノ分散性が向上する。この結果、セルロースナノファイバー分散液の透明性が高くなる。さらに、工程Bにおいて酸化反応性が高くなるため、カルボキシル基が生成して局所的にpHが低下する部分が生じる。するとその場所では反応液中の次亜塩素酸ナトリウムから次亜塩素酸が生成する。次亜塩素酸はセルロースを酸化分解するので重合度低下が促進される。この結果、セルロースナノファイバーの分散液の粘度が著しく低下する。
工程Bでは、前記工程Aで得たセルロース系原料を、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化する。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物である。本発明で用いるN−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、本発明で使用されるN−オキシル化合物としては、下記一般式(式1)で示される化合物が挙げられる。
式1で表される物質のうち、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−オキシラジカル(以下TEMPOと称する)が好ましい。また、下記式2〜4のいずれかで表されるN−オキシル化合物、すなわち、4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をアルコールでエーテル化、またはカルボン酸若しくはスルホン酸でエステル化し、適度な疎水性を付与した4−ヒドロキシTEMPO誘導体は、安価であり、かつ均一な酸化セルロースを得ることができるため、とりわけ好ましい。
さらに、下記式5で表されるN−オキシル化合物、すなわち、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルは、短時間で、重合度の高いセルロースナノファイバーを製造できるので好ましい。
N−オキシル化合物の使用量は、セルロース系原料をナノファイバー化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
セルロース系原料の酸化の際に用いる酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、コストの観点から、現在工業プロセスにおいて最も汎用されている安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、2.5〜25mmolがさらに好ましく、5〜20mmolが最も好ましい。
本工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを9〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
工程Cでは、前記工程Bで得た酸化セルロース系原料を含む分散液を調製し、当該酸化セルロース系原料を解繊して前記分散媒中に分散し、ナノファイバー化する。「ナノファイバー化する」とは、セルロース系原料を、幅2〜5nm、長さ1〜5μm程度のセルロースのシングルミクロフィブリルであるセルロースナノファイバーへと加工することを意味する。分散液とは前記酸化セルロース系原料が分散媒に分散している液である。取扱い容易性から、分散媒は水であることが好ましい。
1−4.低粘度化処理
本発明では、セルロースナノファイバー分散液としたときの粘度を低下させて取扱い性を高めるために、工程Cの前に、工程Bで得た酸化されたセルロース系原料(以下単に「セルロース原料」ともいう)を低粘度化処理することが好ましい。低粘度化処理とは、酸化されたセルロース系原料のセルロース鎖を適度に切断(セルロース鎖を短繊維化)することである。このように処理された原料は分散液としたときの粘度が低くなるので、低粘度化処理とは、低粘度の分散液を与えるセルロース系原料を得る処理ともいえる。低粘度化処理は、セルロース系原料の粘度が低下するような処理であればよく、例えば、酸化されたセルロース系原料に紫外線を照射する処理、酸化されたセルロース系原料を過酸化水素およびオゾンで酸化分解する処理、酸化されたセルロース系原料を酸で加水分解する処理、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
酸化されたセルロース系原料に紫外線を照射して低粘度化処理を行なう場合、紫外線の波長は、好ましくは100〜400nmであり、より好ましくは100〜300nmである。このうち、波長135〜260nmの紫外線は、直接セルロースやヘミセルロースに作用して低分子化を引き起こし、セルロース系原料を短繊維化することができるので特に好ましい。
当該処理で使用するオゾンは、空気あるいは酸素を原料としてオゾン発生装置にて公知の方法で発生させることができる。前述のとおり、酸化反応を効率よく行なうためにセルロース系原料を水等の分散媒に分散させて分散液として用いることが好ましい。本発明におけるオゾンの使用量(質量)は、セルロース系原料の絶乾質量の0.1〜3倍が好ましい。オゾンの使用量がセルロース系原料の絶乾質量の0.1倍以上であればセルロースの非晶部を十分に分解することができ、次の工程Cでの解繊・分散処理に要するエネルギーを大幅に削減できる。一方、オゾンの使用量が過度に多くなるとセルロースの過度の分解が起こりうるが、当該使用量がセルロース系原料の絶乾質量の3倍以下であると、過度の分解を抑制できる。よって、オゾン使用量は、セルロース系原料の絶乾質量の0.3〜2.5倍がより好ましく、0.5〜1.5倍がさらに好ましい。
本処理では、酸化されたセルロース系原料に酸を添加してセルロース鎖の加水分解(酸加水分解処理)を行なう。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、またはリン酸のような鉱酸を使用することが好ましい。前述のとおり、反応を効率よく行なうために、酸化されたセルロース系原料を水等の分散媒に分散させた分散液を用いることが好ましい。酸加水分解処理の条件としては、酸がセルロースの非晶部に作用するような条件であればよい。例えば、酸の添加量としては、セルロース系原料の絶乾質量に対して0.01〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。酸の添加量が0.01質量%以上であると、セルロースの加水分解が進行し、次の工程Cでの処理効率が向上するので好ましい。また、当該添加量が0.5質量%以下であるとセルロースの過度の加水分解を防ぐことができ、セルロースナノファイバーの収率の低下を防止することができる。酸加水分解時の系のpHは、2.0〜4.0が好ましく、2.0以上3.0未満がより好ましい。酸加水分解効率の観点から、温度70〜120℃で、1〜10時間反応を行なうことが好ましい。
本発明により製造されるセルロースナノファイバーは、幅2〜5nm、長さ1〜5μm程度のセルロースのシングルミクロフィブリルである。本発明により得られたセルロースナノファイバーの分散液は優れた透明度を有する。分散液における分散媒は、好ましくは水である。本発明において、透明度は660nmの光線透過率で評価され、具体的には、紫外・可視分光光度計を用いて、石英セル(光路10mm)に0.1%分散液を入れた試験体を透過する光の量を測定することで求められる。
本発明により得られたセルロースナノファイバーの水分散液は、濃度0.1%(w/v)において、660nmの光線透過率が、好ましくは94%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。前記透明度が95%以上であると、一般的なフィルム用途に問題なく使用することができ、透明度が99%以上である場合はディスプレイやタッチパネルのような高い光学特性(透明性)が要求されるフィルム用途等に問題なく使用できる。本発明により得られたセルロースナノファイバーは、繊維表面のカルボキシル基の量が多いため、繊維同士が凝集しにくく分散媒への分散が良好であるので、前記のとおり透明度の高い水分散液を与える。
[実施例1]
工程A:針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)20g(絶乾)を水酸化物イオン濃度が2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に装入し、パルプ濃度が10質量%となるように調整した。当該混合物を室温(20℃)にて1時間撹拌した後、酸で中和し、水洗した。
工程C:前記低粘度化処理した水分散液を、超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して、透明なゲル状分散液を得た。
原料を広葉樹クラフトパルプ(白色度85%)とした以外、実施例1と同様にして工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は65分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを実施しセルロースナノファイバー水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は97.1%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は209mPa・sであった。
原料を針葉樹サルファイトパルプ(白色度85%)とした以外、実施例1と同様にして工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は65分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを実施し、セルロースナノファイバー水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は96.4%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は926mPa・sであった。
原料を広葉樹サルファイトパルプ(白色度85%)とした以外、実施例1と同様にして工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は40分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを実施し、セルロースナノファイバー水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は96.0%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は665mPa・sであった。
水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオン濃度を1.25mol/Lとした以外、実施例1と同様に工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は100分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は96.0%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は412mPa・sであった。
水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオン濃度を3.25mol/Lとした以外、実施例1と同様にして工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は30分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は96.2%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は172mPa・sであった。
水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオンを0.8mol/Lとした以外、実施例1と同様にして工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は115分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は96.0%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は992mPa・sであった。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)をアルカリ処理せずに用いて、実施例1と同様に工程Bを実施した。酸化反応に要した時間は120分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は95.9%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は3486mPa・sであった。
広葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度86%)をアルカリ処理せずに用いて実施例1と同様に工程Bを実施した。酸化反応に要した時間は95分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は89.6%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は3218mPa・sであった。
針葉樹由来の漂白済み未叩解サルファイトパルプ(白色度86%)をアルカリ処理せずに用いて実施例1と同様に工程Bを実施した。酸化反応に要した時間は120分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は95.2%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は3508mPa・sであった。
広葉樹由来の漂白済み未叩解サルファイトパルプ(白色度87%)をアルカリ処理せずに用いて実施例1と同様に工程Bを実施した。酸化反応に要した時間は95分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は92.8%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は3528mPa・sであった。
水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオン濃度を0.5mol/Lとした以外、実施例1と同様に工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は120分であった。得られた酸化パルプを1%(w/v)含む水分散液を調製し、当該水分散液を超高圧ホモジナイザー(20℃、140Mpa)で10回処理して工程Cを行い、セルロースナノファイバーナ水分散液を得た。実施例1と同様にして当該分散液を評価した。濃度0.1%(w/w)水分散液の透明度は95.7%、濃度1%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)は3320mPa・sであった。
水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオン濃度を5.0mol/Lとした以外、実施例1と同様に工程AおよびBを実施した。酸化反応に要した時間は30分であったが、酸化が進むにつれて徐々にパルプが溶解し、洗浄・回収が不可能となり、酸化パルプおよびセルロースナノファイバーを得られなかった。
Claims (2)
- (A)セルロース系原料を水酸化物イオン濃度が0.75〜3.75mol/Lの水中で処理する工程、
(B)前記工程Aで得たセルロース系原料を、(a1)N−オキシル化合物、および(a2)臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、(a3)酸化剤を用いて酸化する工程、ならびに
(C)前記工程Bで得た酸化されたセルロース系原料を含む分散液を調製し、当該酸化セルロース系原料を解繊して分散媒中に分散し、ナノファイバー化する工程、
を含む、セルロースナノファイバーの製造方法。 - 前記セルロース系原料が、ISO 2470に規定する白色度が80%以上の漂白済みクラフトパルプまたは漂白済みサルファイトパルプである、請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
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