JP2012202119A - 地盤改良用薬液注入管および地盤改良用薬液注入施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薬液注入管の外管体32は、外周面にストレーナ孔40を覆う弾性材からなる弁部材42を設け、内管体30の先端部のモニター34の側面に、先後に間隔を置いて外管体32の内面に摺動可能に密接する複数のシール部材44を設け、かつ、その間隔内位置に内管体30の内部から側面に連通する側方向きの側面吐出孔46を設け、薬液注入時に内管体30内に加圧された薬液を導入して、該薬液を前記側面吐出孔46から吐出してシール部材44,44間の外管体32内の内圧を上げ、ストレーナ孔40の前記弁部材42を開くことによって当該ストレーナ孔40から薬液を外管体32の外部の周囲の地盤内に注入する。
【選択図】図10
Description
その後にストレーナ管内にパッカー付きホース(ストレーナ孔の上下に高圧ガスで膨張収縮可能なダブルパッカーを設置したもの)を下端まで挿入して、下層の注入ステップでパッカーを利かせてシールを行なった後、ストレーナ孔から地盤中に注入グラウト(薬液)を吐出させながら、クラックを通して地盤に一次注入(粗詰注入)する。ステップ当りの注入終了後、パッカーを緩めて次のステップへ引き上げた後、前のステップと同様に、パッカー、注入、パッカー緩め、ステップアップを繰り返して最上段のステップまで注入を行なう。一次注入材が硬化した時点で、再度ダブルパッカー付き注入管をストレーナ管の先端第1ステップまで挿入し、二次注入(浸透注入)する。
このように、下層の注入ステップから上層の注入ステップまで注入管を順次段階的に引き上げながら、ステップ毎にパッカーを利かせてシールを行なって注入グラウト(薬液)を吐出させ、クラックを通して周辺地盤に注入する。
ダブルパッカー工法でもステップダウン方式の注入が可能としているが、実際には、注入管が剛性の弱いホースのため順次深部に挿入できず、その上、ダブルパッカーを開閉する毎に薬液が漏れるため注入作業が困難になる欠点を持っている。
前記外管体は、一方の外管部材の端部を他方の外管部材の端部内に挿入して結合させた構成の外管部材の結合体であって、
結合状態の一方の外管部材の端部および他方の外管部材の端部には、対応箇所に外管体内部から外部に連通するストレーナ孔を形成し、かつ、一方および他方の外管部材の端部同士の間に通常時はストレーナ孔を閉じ、外管体の内圧が外圧より高いときにストレーナ孔を開く弁部材を装着し、
内管体の先端部の側面には、先後に間隔を置いて外管体の内面に摺動可能に密接する複数のシール部材を設け、かつ、その間隔内位置に内管体の内部から外側面に連通する側方向きの側面吐出孔を設け、
薬液注入時に内管体内に加圧された薬液が導入されて、該薬液を前記側面吐出孔から吐出してシール部材間の外管体内の内圧を上げ、ストレーナ孔の前記弁部材を開くことによって当該ストレーナ孔から薬液が外管体の外部の周囲の地盤内に注入されるようにしたことを特徴とする地盤改良用薬液注入管である。
内管体の先端部に、先方向きに開口する第2の吐出孔と、当該第2の吐出孔を閉鎖可能な構造とを設けており、
外管体と内管体には削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造を設けたことが好適である。
前記雄ネジを前記雌ネジに螺合させて一方および他方の外管部材同士を連結して、これら一方および他方の外管部材の端部同士によって弁部材を挟む位置関係にしたことが好適である。
内管体の先端部のモニターでは、前記第1の通路および第2の通路を通して送液された主剤と硬化剤からなる薬液を内部空間で合流させて混合し、このモニター側面に設けられた複数のシール部材の間隔内位置の側方向きの吐出孔から外管体のストレーナ孔に向けて混合した薬液を吐出するようにしたことが好適である。
当該可動弁は先面および後面が閉鎖された中空体であって先部側面および後部側面に中空内への連通孔が形成され、かつ周面にモニター内とのシール部材が設けられて、可動弁全体が弾性体によって後方向きに弾発されており、先端部で前記第2の吐出孔を開閉可能で、かつ、後端部で第1の内管体の先端開口を開閉可能に構成され、
外管体を回転させてボーリングビットによる削孔時には、可動弁が第1の通路を閉鎖した状態で、前記の第2の通路内に削孔水を流し、その削孔水を可動弁における後部側面の連通孔から中空内さらには先部側面の連通孔を通って、削孔水を流してボーリングビットに供給し、
一方、薬液の注入時には、前記を第1の通路と第2の通路とに薬液の主剤と硬化剤を加圧して流すことによって可動弁を駆動して第1の通路を開弁させかつ第2の吐出孔を閉鎖し、前記主剤と硬化剤をモニター内で混合し、側面向きの側面吐出孔から混合した薬液を外管のストレーナ孔を経由して地盤内に供給するようにしたことが好適である。
モニター内周面に前記側方向きの側面吐出孔よりも先方位置に弁座を設け、前記弁体がモニター内で先方に位置するときにスプリングの付勢力によって前記弁体が弁座に密接して第2の吐出孔が閉鎖し、それと共に、外管体の先端部の逆止弁取り付け部の内側部に当接部を設け、前記弁体が当接部(クロス弁座)に当接して前記スプリングの付勢力に抗して前記弁体がモニター内で後方に移動したときに前記弁体が弁座から離れて前記密接が解除され、これによって、第2の吐出孔が開放する構造にし、
前記外管体の回転に連動してボーリングビットを回転させる削孔時には、前記内管体を先方に移動させて、前記外管体先端部内に前記モニターを位置させ、複数のシール部材と前記外管体の先端部の内周面との密接で前記モニターの側面吐出孔を閉鎖し、かつ、前記モニター内の弁体を前記当接部に当接させることによって前記弁体を弁座から後方に移動させて第2の吐出孔を開放した状態とし、前記内管体の第1の通路および第2の通路に削孔水を流し、その削孔水をモニター内の弁体と座面との間から第2の吐出孔に向けて流してボーリングビットに供給し、
一方、薬液の注入時には、前記内管体を外管体内で後方に移動させて前記モニターの側面吐出孔の先後に間隔を置いて設けられた複数のシール部材の間隔内位置にストレーナ孔が位置するようにし、かつ、モニター内でスプリングの付勢力で弁体が弁座に密接する状態として、第1の通路と第2の通路とに薬液の主剤と硬化剤を圧力を加えて流すことによって前記主剤と硬化剤をモニター内で混合し、側方向きの側面吐出孔から混合した薬液を外管体のストレーナ孔を経由して地盤内に供給するようにしたことが好適である。
前記外管体は、一方の外管部材の端部を他方の外管部材の端部内に挿入して結合させた構成の外管部材の結合体であって、
結合状態の一方の外管部材の端部および他方の外管部材の端部には、対応箇所に外管体内部から外部に連通するストレーナ孔を形成し、かつ、一方および他方の外管部材の端部同士の間に通常時はストレーナ孔を閉じ、外管体の内圧が外圧より高いときにストレーナ孔を開く弁部材を装着し、
それと共に、前記外管体の先端部に、先方向きに開口する先端吐出孔と、ボーリングビットとを設け、
前記内管体の先端部の側面には、先後に間隔を置いて外管体の内面に摺動可能に密接する複数のシール部材を設け、かつ、その間隔内位置に内管体の内部から外側面に連通する側方向きの側面吐出孔を設け、それと共に、内管体の先端部に、先方向きに開口する第2の吐出孔と、当該第2の吐出孔を閉鎖可能な構造とを設け、
前記外管体と前記内管体には削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造を設けたものであって、
前記内管体内を介して第2の吐出孔から削孔水をボーリングビットに圧送しながら、前記外管体および内管体を同時に回転させてボーリングビットにより地盤を削孔する工程と、
地盤の削孔深度が所定の深度に至るまで外管体および内管体を継ぎ足す工程と、
削孔深度が所定の深度に至った後に、前記外管体を削孔内に残置した状態で、薬液注入時に内管体内に加圧された薬液を導入して、該薬液を前記側面吐出孔から吐出してシール部材間の外管体内の内圧を上げ、ストレーナ孔の前記弁部材を開くことによって当該ストレーナ孔から薬液が外管体の外部の周囲の地盤内に注入する薬液工程とを有することを特徴とする地盤改良用薬液注入工法である。
本願発明の原理について説明する。
薬液注入工法においては、砂地盤中の土粒子の間隙や空洞等の固結材を注入することにより、土粒子同士を連結一体化して強化すると共に間隙をうめて地下水の流動を阻止して湧水を防止する。また、軟弱地盤に固結剤が楔を打ち込むように枝状に割って入って周辺地盤を圧密強化すると共に固結剤の強度発現による相乗効果で改善して地耐力を向上させるものである。
〔薬液の形態〕
薬液の形態として、砂質土のように比較的大きな間隙への注入に適した「溶液型」と、粘性土のように間隙がごく小さい土質に適した「懸濁型」がある。なお、間隙のさらに大きな礫層では「懸濁型」を先行注入してあら詰めした後「溶液型」を注入して止水性を高める複合注入的に使用することもある。
薬液注入には主剤と硬化剤が混合されて時間の経過に伴って粘性を高めながら次第に流動性を失い(ドロドロ状)やがて固結する。この混合から流動性を失うまでの経過時間を「ゲルタイム」という。
瞬結薬液:60秒以内に流動性を失う(固結)。
中結薬液:10分以内に流動性を失う。
緩結薬液(長結):流動性を失うまでに10分以上かかる。
(1)内管体のシール性の改善
前述の特許文献2記載の薬液注入工法では、シール注入後地盤上段から薬液を注入するため、注入した地盤自体がパッカー効果を発揮するシステムであり、高い注入効果を得ることができる。しかしながら、内管外面に焼き付けたシール材と外管(ストレーナ管)との内面が嵌合する装置にしたため、地下水圧で細粒土が管内に流入すると内管が抜き差ししにくい点が生じる。そこで、この点を解消するため本発明を開発したものである。
発明者は、薬液注入工法は薬液の形態やゲルタイムが注入効果に及ぼす影響が大きいことを考慮して薬液を開発するとともに混合するまでは粘性が高まらない工法を可能にするべく、本発明の地盤改良用薬液注入管を創案したものである。すなわち、地盤条件に応じて、「溶液型薬液、懸濁薬液」の使用やゲルタイムも「瞬結〜緩結」までの全域の薬液を使用可能にする方法として内管体を従来の単管に加えて二重管を開発し、しかも、特許文献2記載の技術のように内管にシール材を焼き付けずに抜き差しを容易にしている。
ストレーナ管先端が開放状態であると内管の上下動や着脱の際に土砂が管内に流入して作業を困難にするが、本発明ではこれを防止するため特殊な逆止弁を設けることが好ましい。
ボーリングや注入時に外管体に嵌合している内管体が注入圧力で抜け出し現象が生じて作業に支障をきたすことがあるため、スイベルと内管体の間に抜け出し防止金具を装着したスイベルサブを設ける。
外管体と内管体の嵌合状態のためボーリング中に微細砂が入り込むが、外管体の回転により内管体のネジが逆回転して抜ける現象が起きるのを防止する装置をスイベルサブの機能に加えることが好ましい。
また、前記削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造は、外管体および内管体の削孔時に対応する位置に、一方に回転止め突起を形成し、他方に回転止め溝を形成したものにできる。
この構成によって、内管体を下降・上昇させれば(先方に向けて進めれば)弁体の開閉を確実に行なうことができること等から、削孔・注入時の操作性や誤動作が改善され、メンテナンスも容易であり、モニター制作費のコストダウンに役立てることができる。
また、注入完了後は、内管体を押し下げるだけで削孔時の状態に復帰し、いつでも削孔、シール注入、硬化剤注入を合理的に繰り返し実行することが可能になる。
また、注入工事でのこの繰り返し作業を可能にすることが重要要素である。
・ミキサー:薬液は「主剤」と「硬化剤」が必要でそれぞれ個別のミキサーで清水と混合し、沈殿しないで液状状態に保持するために使用する。主剤と硬化剤の配合量を変えることで固結時間(ゲルタイム)を変化させることができる。固結時間は、地盤の浸透性の違いによって変える。
主剤と硬化剤は別々に送り、モニター34内で混合されて地中で固結する。
削孔水:ボーリング時にズリを地上に排出してロッドの冷却と摩耗防止を行なう。
外管体32の先端部に、先方向きに開口する先端吐出孔48と、先端が削孔刃先となるボーリングビット36を設け、内部に削孔水を通す流路の機能を設けている。
前記削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造54は、外管体32および内管体30の上端部における削孔時に対応する位置に、一方の外管体32内側に回転止め溝54aを形成し、他方に内管体30外側に回転止め突起54bを形成したものである。回転止めの係止構造54は、上記の他、外管体32の内側に突起を内管体30外側に溝を形成するなどでも良い。
受け棒60と吊り金具56aが無い場合の継ぎ足し作業は、内管体30,外管体32が別々に動くためワンタッチの作業ができないことから着脱時ともに外管体32を支える手間がかかり作業能率を低下させる。
この状況を改善する方法として、既にボーリング機28に装着されている内管体30に繋ぐ側の内管体30を載せて右回転させるが、この際、繋ぐ側の外管体32は吊り金具56aと一体になっており吊り棒60を右回転させるができ、内管体30も一体になっているため同方向に回転してボーリング機28側の内管体30にワンタッチでねじ込むことが可能になる。
続いて、受け棒60から吊り金具56aを20°左回転させて受け棒60から外してボーリング機28側の外管体32に接続することが早くすることができる。
注入が完了して内管体30,外管体32を取り外す際は、外管体32を外して受け棒60に吊下げた状態で内管体30を容易に外すことができる。
ここで、図2〜図3に示すように、実施形態に係る薬液注入管の内管体30は、第1の内管体62の外側に第2の内管体64を設けた内外二重管構造である。内管体30では、第1の内管体62内の空間を第1の通路66とし、該第1の内管体62外周面と第2の内管体64内周面との間の空間を第2の通路68としており、これら第1の通路66および第2の通路68にそれぞれ液体をスイベル58から個別に送液可能としている。後述のように、スイベル58には、別のホースを介して主剤と硬化剤が流入するようになっている。なお、本発明においては、内管体30には削孔時や長いゲルタイムの薬液注入(単相注入)時には単管を用いて、異なるゲルタイムの薬液を使用する(複相注入)薬液注入時に二重管を用いても良い。また内管体30は、二重管の他、三重以上の多重管でも良い。
内管体30の先端部には、前記第1の通路66および第2の通路68を通して送液された液体を内部空間で合流させて混合するためのモニター34を設け、このモニター34に、先後に間隔を置いて設けられた複数のシール部材(間隔を置いた一対のOリング)44、44の間隔内位置にモニター34の内部から側面に連通する側方向きの側面吐出孔46を設けた構造としている。
前記モニター34において、第2の吐出孔50を閉鎖可能な構造は、第1の実施形態(第1の施工形態)では、第2の吐出孔50の内径よりも大径であって、下方に先方を向けた内管体30内を自重で落ちていって第2の吐出孔50に嵌り込む弁体52具体的にはスチールボールである。弁体52の装着時には、スイベル58を内管体30の後端から外し、上方に開口した後端から内管体30内に弁体52を落とし込んで簡単な手順で第2の吐出孔50を塞ぐことができる(図9の状態参照)。
また、外管体32の先端吐出孔48には逆止弁74を設けている(図2、図9参照)。外管体32を内管体30と共に回転させて地盤に突き立てたボーリングビット(メタルクラウン)36を回転させる削孔時(ボーリング時)に削孔水を供給する。この際、逆止弁74は、上記の削孔水の圧力で先端吐出孔48を開弁してボーリングビット36に削孔水を供給し、一方、削孔水を圧送していないときに、地盤内の浸透水がその圧力によって先端吐出孔48から外管体32や内管体30内に流入するのを遮断する機能を有している。
〔削孔〕
図7に示すように、外管体32の下端に外管モニター(外管部材38の接続用下端部)とボーリングビット(メタルクラウン)36を取り付け、内管体30の下端にモニター34を取り付けた当該内管体30を外管体32内に挿入する。
シール注入開始は、削孔完了状態のまま注入ポンプ20を削孔水からシール薬液に切り替えて開始することができ、シール状況に応じてストレーナ孔40から注入することができる。
そして、図9に示すように、弁体52を落とし込んで第2の吐出孔50を塞いだ状態とし、内管体30内の第1の通路66および第2の通路68からシール薬液の主剤と硬化剤を注入して(同一液で良い場合は通路66と68に同じ液を注入する)、シール部材44、44間の側面吐出孔46から外管体32内に吐出する。
この際、第2の吐出孔50から外管体32先端の逆止弁74に圧力が微小にしか加わらないため塞がっており、前記側面吐出孔46から外管体32内に吐出するシール剤の圧力が強いので前記外管体32のストレーナ孔40の弁部材42が開弁して、地盤内にシール薬液の注入ができる。内管体30の側面吐出孔46の位置を下方から順次ストレーナ孔40に合わせて内管体30を引き抜いていき、順次、各ストレーナ孔40の弁部材42を開いて、地盤中にシール剤を注入する。
シール注入は最下端から開始し、内管体30を改良範囲上端まで引き抜きながら注入し、外管体32の外側の間隔を充填する。
〔薬液注入手順〕
図10に示すように、弁体52を落とし込んで第2の吐出孔50を塞いだ状態で、内管体30内の第1の通路66および第2の通路68のそれぞれに地盤改良剤薬液の主剤と硬化剤を注入して(同一液で良い場合は通路66と68に同じ液を注入する)、モニター34内で混合して、シール部材44、44間の側面吐出孔46から外管体32内に吐出する。
また、可動弁78の側面のシール部材78b〜78bは、後方部、中央部、先端部の3箇所設けられており、後部の連通孔78aに近接する前方位置に後方部のシール部材78bが設けられ、前部の連通孔78aの前後に間隔を置いて、中央部のシール部材78bと先端部のシール部材78bが設けられている。後方部、中央部のシール部材78b、78b外周がモニター34内面とのシールをし、先端部のシール部材78bが第2の吐出孔50をシールできる外径に形成されている。
このとき、前記可動弁78側面のシール部材78b〜78bの後方部、中央部のものは、第2の通路68と側面吐出孔46との間に位置してそれら間の連通を遮断する。シール部材78bの後方から第2の通路68が、後部の連通孔78aに連通し、可動弁78の内部中空を介して前部の連通孔78aから削孔液が先端部のシール部材78bの外周とモニター34内面との間を通って、前記第2の吐出孔50からボーリングビット36に向けて供給するようになっている。ボーリングビット36周囲の削孔水は外管体32と地盤孔の間を通って地盤面76に排出される。
図16が該第3の実施形態に係る地盤改良用薬液注入管の組み立て図であって同地盤改良用薬液注入管を用いた削孔手順の説明図である。また、図17は、その地盤改良用薬液注入管を用いたシール手順(シール注入・硬化剤注入)の説明図である。また、図18は地盤改良用薬液注入管を構成するモニターの組立図である。図19は同モニターの分解図である。また、図20は、モニター外管の説明図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)のA−A’線断面図である。また、図21は、逆止弁およびボーリングビットの縦断した説明図であり、(a)が削孔中、(b)が注入中の逆止弁作動状態を示し、(c)がボーリングビットの説明図である。
図18に示すように、モニター34は注入管の内管体30の先端に接続されるモニター内管34bと外管体32の先端に接続されるモニター外管34aとを有して構成される。このモニター外管34aの先端部(下端部)にクロス弁座34eを内蔵しており、内管34bは、モニター内部外管34cおよびモニター内部内管34dの他、モニター内部内管34d内に弁体52とこの弁体52を上下動させるスプリング84を装填して構成されている。
また、モニター外管34aは、図18、図20に示すように、その後部に雌ネジ部にストレーナ孔40が形成され、外管体32先端部の雄ネジに螺合してストレーナ孔40同士を一致させるようになっている。モニター外管34aは外管体32に固定され、モニター外管34aの先端部でクロス弁座34eより先方内部に雌ネジが形成されている。クロス弁座34eは、モニター外管34a内壁から互いに間隔を置いた複数の腕部が軸中央に延びた受け用の弁座であり、弁体52が当たっても弁体52から弁座34e間を通って液の流通ができるようになっている。
削孔からシール注入時については図16〜17によって説明する。
削孔時には、図16に示すように、前記内管体30を先方(下方)に移動させて、前記外管体32先端部に設けたモニター外管34a内にモニター内管34bを位置させる。複数のシール部材44と前記モニター外管34aの内周面との密接で前記側面吐出孔46を閉鎖し、かつ、前記モニター34内の弁体52を前記クロス弁座(当接部)34eに当接させる。これによって前記弁体52を押し上げてリング弁座82から後方に移動させて第2の吐出孔50を開放した状態とする。
前記内管体30の第1の通路66および第2の通路68に削孔水を圧送する。該通路66、68を流下したきた削孔水は、モニター34の第2の吐出孔50やクロス弁座34eに到達することができる。さらに、削孔水の圧力が高まると、逆止弁74を押し下げて、ボーリングビット36内を流下して地中に放出できる状態にある。すなわち、削孔可能状態にある。
この際、側面吐出孔46の先は、モニター外管34aの内壁とシール部材44,44で閉塞しているので、削孔水はストレーナ孔40方向に漏れることのない状態になっている。
削孔完了状態は、削孔完了と同時に引き続いてボーリングビット36先端からシール注入可能状態である。
シール注入を任意のストレーナ孔40から注入する必要が生じた場合は、図17に示すように、内管体30を引き上げてモニター34の側面吐出孔46をストレーナ孔40に合わせて、引き続きシール注入を続行可能な状態になる。この場合、モニター34内でスプリング84の付勢力で弁体52がリング弁座82に密接する状態として、内管体30の第1の通路66と第2の通路68とに薬液の主剤と硬化剤を圧力を加えて流すことによって前記主剤と硬化剤をモニター34内で混合し、側方向きの側面吐出孔46から混合した薬液を外管体32のストレーナ孔40を経由して地盤内に供給可能にする。
また、注入完了後は、内管体30を押し下げるだけで削孔時の状態に復帰し、いつでも削孔、シール注入、硬化剤注入を合理的に繰り返し実行することが可能になる。
また、注入工事でのこの繰り返し作業を可能にすることが重要要素である。
図16の削孔時の状態でボーリング機28に薬液注入管をセットし、図1の注入設備までの配管を完了させ、注入ポンプ20を稼働させる。
この際、弁体52は押し下げられた状態のため、注入ポンプ20から押し出された削孔水が逆止弁74まで流下し、さらに削孔水を送水して水圧を上昇させると逆止弁74が開き、ボーリングビット36の先端まで送水してボーリング機28のスピンドルの回転と給圧をかけてボーリングを開始する。
さらに、削孔水を送水しながら、ボーリングを続行し、ストレーナ管(外管体32、必要に応じて内管体30)を順次接続しながら所定の深度まで削孔する。
シール注入は、削孔完了状態で削孔水をシール剤に切換えて注入を開始する。
必要に応じて任意の外管体32のストレーナ孔40からシール注入する場合には、内管体30とモニター34を引き上げて、モニター34の側面吐出孔46をストレーナ孔40の位置に合わせながら連続してシール注入を行なう。
シール剤が地表に流出してボーリング孔内がシール剤に充填されたことを確認して完了する。
モニター34の側面吐出孔46を注入範囲の上端のストレーナ孔40に合っているか確認した後に、注入ポンプ20をシール剤から硬化剤に切換えて注入を開始する。
ステップ毎の注入を完了させる毎に直下のストレーナ孔40にモニター34の側面吐出孔46をステップダウンさせて連続して注入を繰り返し、最下段の注入範囲の注入を完了させる。
最下段の注入が完了した後、内管体30を押し下げてモニター34をクロス弁座34eに押しつけて削孔時の状態に復帰させる。
すなわち、本発明では、ボーリング完了時からシール注入への切り替えが容易になったことに加えて、注入完了から穴埋め充填注入への切り替えが容易で時間短縮のメリットが大きい。
また、垂直下方向だけでなく360°いずれの方向のボーリング、薬液注入についても実施できる。
30 内管体
32 外管体
34 モニター
34a モニター外管(第3の施工形態に適用)
34b モニター内管(第3の施工形態に適用)
34c モニター内部外管(第3の施工形態に適用)
34d モニター内部内管(第3の施工形態に適用)
34e クロス弁座(第3の施工形態に適用)
36 ボーリングビット
38 外管部材
38a 外管部材の上・下端部
38b 外管部材の雄ネジ
38c 雌ネジ
38A 外管部材(スイベルサブの外管)
40 ストレーナ孔
42 弁部材
44 シール部材(モニター側面に配設)
44a シール体
46 側面吐出孔(モニター側壁に形成)
48 外管体先端の吐出孔
50 第2の吐出孔(モニター先端)
52 弁体(モニター先端閉鎖用:第1の施工形態に適用)
52a 弁体の天板(第3の施工形態に適用)
52b 弁体の弁棒(第3の施工形態に適用)
52c 弁体の下板(第3の施工形態に適用)
54 係止構造
54a 係止構造の溝
54b 係止構造の突起
56 スイベルサブ
56a 吊り金具
56b 切り欠き
58 スイベル
60 受け棒
62 第1の内管体(内側)
64 第2の内管体(外側)
66 第1の通路
68 第2の通路
74 逆止弁
74a 逆止弁の弁体
74b 逆止弁のスプリング部材
76 地盤面
78 可動弁(第2の施工形態に適用)
78a 可動弁の連通孔(第2の施工形態に適用)
78b 可動弁のシール部材(第2の施工形態に適用)
82 リング弁座(第3の施工形態に適用)
84 スプリング(第3の施工形態に適用)
Claims (11)
- 周囲に複数の周面吐出孔を設けた外管体と、該外管体の内部に挿入した、先端部に少なくとも側方向きに側面吐出孔を設けた内管体とを有する地盤改良用薬液注入管において、
前記外管体は、一方の外管部材の端部を他方の外管部材の端部内に挿入して結合させた構成の外管部材の結合体であって、
結合状態の一方の外管部材の端部および他方の外管部材の端部には、対応箇所に外管体内部から外部に連通するストレーナ孔を形成し、かつ、一方および他方の外管部材の端部同士の間に通常時はストレーナ孔を閉じ、外管体の内圧が外圧より高いときにストレーナ孔を開く弁部材を装着し、
内管体の先端部の側面には、先後に間隔を置いて外管体の内面に摺動可能に密接する複数のシール部材を設け、かつ、その間隔内位置に内管体の内部から外側面に連通する側方向きの側面吐出孔を設け、
薬液注入時に内管体内に加圧された薬液が導入されて、該薬液を前記側面吐出孔から吐出してシール部材間の外管体内の内圧を上げ、ストレーナ孔の前記弁部材を開くことによって当該ストレーナ孔から薬液が外管体の外部の周囲の地盤内に注入されるようにしたことを特徴とする地盤改良用薬液注入管。 - 外管体の先端部に、先方向きに開口する先端吐出孔と、ボーリングビットとを設け、
内管体の先端部に、先方向きに開口する第2の吐出孔と、当該第2の吐出孔を閉鎖可能な構造とを設けており、
外管体と内管体には削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造を設けたことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 前記外管体は、一方の外管部材の端部の外周面に雄ネジが形成され、かつ、この外周面にストレーナ孔を覆う弾性材からなる弁部材を設け、他方の外管部材の端部の内周面に雌ネジが形成されており、
前記雄ネジを前記雌ネジに螺合させて一方および他方の外管部材同士を連結して、これら一方および他方の外管部材の端部同士によって弁部材を挟む位置関係にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 前記削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造は、外管体および内管体の削孔時に対応する位置に、一方に回転止め突起を形成し、他方に回転止め溝を形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の地盤改良用薬液注入管。
- 前記第2の吐出孔を閉鎖可能な構造は、第2の吐出孔の内径よりも大径であって、下方に先方を向けた内管体内を自重で落ちていって第2の吐出孔に嵌り込む弁体であることを特徴とする請求項2または4に記載の地盤改良用薬液注入管。
- 内管体は、第1の内管体の外側に第2の内管体を設けた内外二重管構造であって、第1の内管体内の空間を第1の通路とし、該第1の内管体外周面と第2の内管体内周面との間の空間を第2の通路として、これら第1の通路および第2の通路にそれぞれ液体を送液可能とし、
内管体の先端部には、前記第1の通路および第2の通路を通して送液された液体を内部空間で合流させて混合するためのモニターを設け、このモニターに、先後に間隔を置いて設けられた複数のシール部材の間隔内位置にモニターの内部から外側面に連通する側方向きの側面吐出孔を設けた構造としたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 前記の第1の通路および第2の通路の一方に主剤を他方に硬化剤を送液するものとし、
内管体の先端部のモニターでは、前記第1の通路および第2の通路を通して送液された主剤と硬化剤からなる薬液を内部空間で合流させて混合し、このモニター側面に設けられた複数のシール部材の間隔内位置の側方向きの側面吐出孔から外管体のストレーナ孔に向けて混合した薬液を吐出するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 前記外管体の先端部にボーリングビットを設け、前記モニター先端部に先方向きに第2の吐出孔を開口し、モニター内に先・後移動して第1の内管体の先端開口および第2の吐出孔を開閉可能な可動弁を設け、
当該可動弁は先面および後面が閉鎖された中空体であって先部側面および後部側面に中空内への連通孔が形成され、かつ周面にモニター内とのシール部材が設けられて、可動弁全体が弾性体によって後方向きに弾発されており、先端部で前記第2の吐出孔を開閉可能で、かつ、後端部で第1の内管体の先端開口を開閉可能に構成され、
外管体を回転させてボーリングビットによる削孔時には、可動弁が第1の通路を閉鎖した状態で、前記の第2の通路内に削孔水を流し、その削孔水を可動弁における後部側面の連通孔から中空内さらには先部側面の連通孔を通って、削孔水を流してボーリングビットに供給し、
一方、薬液の注入時には、前記を第1の通路と第2の通路とに薬液の主剤と硬化剤を圧力を加えて流すことによって可動弁を駆動して第1の通路を開弁させかつ第2の吐出孔を閉鎖し、前記主剤と硬化剤をモニター内で混合し、側面向きの側面吐出孔から混合した薬液を外管体のストレーナ孔を経由して地盤内に供給するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 前記外管体の先端部にボーリングビットを設け、前記モニター内には先後移動して第2の吐出孔を開閉可能な弁体と、該弁体を先方に付勢するスプリングとを設け、
モニター内周面に前記側方向きの側面吐出孔よりも先方位置に弁座を設け、前記弁体がモニター内で先方に位置するときにスプリングの付勢力によって前記弁体が弁座に密接して第2の吐出孔が閉鎖し、それと共に、外管体の先端部のボーリングビット取り付け部の内側部に当接部を設け、前記弁体が当接部に当接して前記スプリングの付勢力に抗して前記弁体がモニター内で後方に移動したときに前記弁体が弁座から離れて前記密接が解除され、これによって、第2の吐出孔が開放する構造にし、
前記外管体の回転に連動してボーリングビットを回転させる削孔時には、前記内管体を先方に移動させて、前記外管体先端部内に前記モニターを位置させ、複数のシール部材と前記外管体の先端部の内周面との密接で前記モニターの側面吐出孔を閉鎖し、かつ、前記モニター内の弁体を前記当接部に当接させることによって前記弁体を弁座から後方に移動させて第2の吐出孔を開放した状態とし、前記内管体の第1の通路および第2の通路に削孔水を流し、その削孔水をモニター内の弁体と座面との間から第2の吐出孔に向けて流してボーリングビットに供給し、
一方、薬液の注入時には、前記内管体を外管体内で後方に移動させて前記モニターの側面吐出孔の先後に間隔を置いて設けられた複数のシール部材の間隔内位置にストレーナ孔が位置するようにし、かつ、モニター内でスプリングの付勢力で弁体が弁座に密接する状態として、第1の通路と第2の通路とに薬液の主剤と硬化剤を圧力を加えて流すことによって前記主剤と硬化剤をモニター内で混合し、側方向きの側面吐出孔から混合した薬液を外管体のストレーナ孔を経由して地盤内に供給するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の地盤改良用薬液注入管。 - 外管体の先端の先端吐出孔にはボーリングビットによる削孔時に供給する削孔水の圧力で開弁し、外部から先端吐出孔への流入を遮断する逆止弁を設けたことを特徴とする請求項2から9のうちのいずれか1項に記載の地盤改良用薬液注入管。
- 周囲に複数の周面吐出孔を設けた外管体と、該外管体の内部に挿入した、先端部に少なくとも側方向きに側面吐出孔を設けた内管体とを有する地盤改良用薬液注入管において、
前記外管体は、一方の外管部材の端部を他方の外管部材の端部内に挿入して結合させた構成の外管部材の結合体であって、
結合状態の一方の外管部材の端部および他方の外管部材の端部には、対応箇所に外管体内部から外部に連通するストレーナ孔を形成し、かつ、一方および他方の外管部材の端部同士の間に通常時はストレーナ孔を閉じ、外管体の内圧が外圧より高いときにストレーナ孔を開く弁部材を装着し、
それと共に、前記外管体の先端部に、先方向きに開口する先端吐出孔と、ボーリングビットとを設け、
前記内管体の先端部の側面には、先後に間隔を置いて外管体の内面に摺動可能に密接する複数のシール部材を設け、かつ、その間隔内位置に内管体の内部から外側面に連通する側方向きの側面吐出孔を設け、それと共に、内管体の先端部に、先方向きに開口する第2の吐出孔と、当該第2の吐出孔を閉鎖可能な構造とを設け、
前記外管体と前記内管体には削孔時に相対的に回転方向に固定する係止構造を設けたものであって、
前記内管体内を介して第2の吐出孔から削孔水をボーリングビットに圧送しながら、前記外管体および内管体を同時に回転させてボーリングビットにより地盤を削孔する工程と、
地盤の削孔深度が所定の深度に至るまで外管体および内管体を継ぎ足す工程と、
削孔深度が所定の深度に至った後に、前記外管体を削孔内に残置した状態で、薬液注入時に内管体内に加圧された薬液を導入して、該薬液を前記側面吐出孔から吐出してシール部材間の外管体内の内圧を上げ、ストレーナ孔の前記弁部材を開くことによって当該ストレーナ孔から薬液が外管体の外部の周囲の地盤内に注入する薬液工程とを有することを特徴とする地盤改良用薬液注入工法。
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- 2011-03-25 JP JP2011067980A patent/JP5400083B2/ja active Active
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