JP2012200748A - 金属製パイプ接合体及びその製造方法 - Google Patents

金属製パイプ接合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱交換器として使用した場合に、流体の通路に凹凸がなく、微細で均一な断面形状を有し、流体抵抗が低減され、熱伝導性に優れるロータス(蓮根)型多孔性金属材料の提供。
【解決手段】複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する高圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることを特徴とする、金属製パイプ接合体の製造方法、並びに該製造方法により製造された金属製パイプ接合体及び該金属製パイプ接合体を含む熱交換器。
【選択図】図3

Description

金属製パイプ接合体及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する高圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることを特徴とする、金属製パイプ接合体の製造方法、並びに該方法により製造された金属製パイプ接合体及び熱交換器としてのその利用に関する。
近年、産業分野における製造プロセスは著しく高度化してきている。特に電子機器分野においては、効率化や特殊化のため、高温雰囲気での製造プロセスが多くなってきている。このような高温雰囲気にさらされる製造装置や材料には、効率を悪化させないため、多くの場合、放熱性や冷却性が求められる。放熱性が求められる場合は、放熱性の高い金属材料(アルミ、銀など)を、冷却させたい部材とするか、冷却したい場所に接合させるといった方法が採用される。また、冷却性が求められる場合は、熱交換構造になっている材料を使用する方法が採用される。後者の場合は、基本的に材料内部に冷媒を通す通路があり、その通路に各種冷媒を通すことで熱交換を行なっている。
このような熱交換器には、様々な大きさ、種類があり、それぞれ用途に応じた製造方法により、多種多様な熱交換器を製造している。
しかしながら、特に、小さな熱交換器を製造する場合、金属材料に細かな孔を多数ドリリングすることは技術的に非常に難しく、また製作コストもかかるため現実的に困難であり、また、プレート式熱交換器のように、通路ができるように予め成形プレスされた製品をロウ付けやHIPなどで多数重ね合わせて接合させることも可能であるが、通路空間のつぶれが発生しやすく、また製作コストが非常に高くなるため、現実的に困難である。
そのため、近年、ロータス型ポーラス金属という微細な多数の孔を有する金属材料が開発されたが、現在のところ、この金属は、金属を溶融させた状態から固体にする過程において、ガスをうまく利用することで連続した空間を形成しているため、孔断面は一方向に伸張されているものの直線的ではなく、またそれぞれの孔断面も一様ではなく、凹凸があり、材料内を流れる流体がかなりの抵抗をうけてしまい、熱交換性が必ずしも良好であるとはいえない。
例えば、以下の非特許文献1には、金属を1方向へ向かって鋳造する凝固過程で、ガスを注入することで、飽和ガスを放出し、連続した孔を形成する技術が記載されている。この技術は、前述したように、液体から固体への相変態過程で、ガスを利用し、連続的な空間を形成する方法であるため、孔断面は一方向に伸張されているものの直線的ではなく、また、それぞれの孔断面も不均一で、凹凸があり、材料内を流れる流体がかなりの抵抗をうけることが明らかである。
また、以下の特許文献1には、金属薄板を波型に加工したものと平板とを金属円柱心棒に重ねて巻くことで孔を形成する技術が記載されている。この方法では、隣接する金属板同士の接触面積が少なく、熱伝導性がかなり低いことが推測される。この接触部の熱伝導性を高めるためには、接触面を金属接合させ、かつ接触面積を広くすることが考えられる。その方法としては、ロウ材又はHIP処理が考えられるが、ロウ材の場合は、巻き上げ品のロール接触面にロウ材をうまくセットし、溶融させることが技術的に非常に困難で、かつ製作コストも現実的ではないと考える。またHIP処理の場合も、接合原理を考えると、高温・高圧力下で、空間容積の多い金属材料を空間を維持した状態で接合することは技術的に困難だと思われる。
また、以下の非特許文献2には、2種の金属線を多数束ねて圧縮静水圧を作用させることで、金属線を塑性加工によって固層接合させ、その後、一方の金属を化学的処理で除去し、ロータス金属を製造する方法が記載されている。この方法では、直線的な孔を有するロータス金属が製造できるが、この方法では、圧縮静水圧を作用させるため、金属材料のみしか使えず、また化学的処理によって一方の金属のみを除去するため、使用できる材料に制限があり、かつ長尺品においては、長い処理時間を必要とすることが考えられる。
このように、従来技術の複数孔を有する金属材料は、プレート式熱交換品のように、予め空間のある金属板を巻く方法や、金属の状態変化(固液変化)とガスなどの気体を利用した方法や圧縮静水圧によって2種の金属細線を一体化し、化学的処理を行なうことで一方を除去する方法等によって製作されているが、金属板を巻く方法では、板同士の接触面積が少ないため、熱伝導性に問題があり、また金属の状態変化とガスを利用した方法では、形成された孔断面は一方向に伸張されているものの直線的ではなく、また、それぞれの孔断面も不均一で、凹凸があり、材料内を流れる流体がかなりの抵抗をうける構造のものしかできず、また、圧縮静水圧による方法では、限られた金属材料で、しかも長尺品の製造が困難なものである。
特開平2008−209063号公報
まてりあ 第47巻 第4号(2008)p. 196-202 塑性と加工(日本塑性加工工学学会誌) 第52巻 第601号 (2011年2月) p. 24-28
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器、反応器等として使用した場合に、流体の通路に凹凸がなく、微細で均一な断面形状を有し、流体抵抗が低減され、熱伝導性に優れる複数の貫通孔を有するロータス(蓮根)型金属材料を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する高圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることを特徴とする、金属製パイプ接合体の製造方法。
[2]前記金属製パイプの材料が、チタン、アルミ、銅、銀、及びステンレス鋼からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、前記[1]に記載の方法。
[3]前記圧力を作用させる際に、予め複数の金属製パイプ各々の内部に液体又は有機系固体の充填材を充填しておき、該金属製パイプの内部空間を維持する、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記充填材は、水又はパラフィンである、前記[3]に記載の方法。
[5]前記圧力を作用させる際に、前記複数の金属製パイプの束の周囲に金属製容器を配し、該金属製容器を含めて、該複数の金属製パイプを一体化又は接合させる、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記爆薬が、1,500〜3,000m/秒の爆速を発生する爆薬である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法により製造された金属製パイプ接合体。
[8]前記[7]に記載の金属製パイプ接合体を含む熱交換器。
本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法においては、爆薬によって発生する高圧力で複数の金属製パイプ同士を一体化又は接合させるため、該製造方法により製造された金属製パイプ接合体を熱交換器、反応器等として利用した場合に、伝熱性、導電性、管内断面温度分布の安定性、孔内流体の静電気発生防止、電気腐食防止に優れており、さらに各孔の内面に凹凸がなく、抵抗が低いといった特徴をもちつ。そのため、本発明は、工業的に利用価値の高い金属材料を提供することができる。
本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法に使用する円筒型爆発圧縮装置の模式図。 本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法に使用する方形爆発圧縮装置の模式図。 本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法により製造された金属製パイプ接合体の図面に代わる写真。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する高圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることを特徴とする、金属製パイプ接合体の製造方法である。該製造方法により製造された金属製パイプ接合体を熱交換器、反応器等として利用した場合、伝熱性、導電性、管内断面温度分布の安定性、孔内流体の静電気発生防止、電気腐食防止に優れており、さらに各孔の内面に凹凸がなく、抵抗が少ないといった特徴をもつ。
本発明に用いられる金属製パイプは、断面形状に制限は無く、円形でも方形でもよいが、入手性、経済性を考慮すると円形のものが好ましい。また、外径及び内径に制限はないが、充填材を充填するとき又は取り除くときの作業性の観点から、内径100μm以上、外径200μm以上であることが好ましい。金属製パイプの内径、外径の上限は、本発明に係る製造方法が適用しうる限り特に制限はない。
金属製パイプの長さは、必要とする長さ以上であれば特に制限はないが、製作効率の観点から、好ましくは少なくとも100mm以上、より好ましくは300mm以上である。金属製パイプの長さの上限は、本発明に係る製造方法が適用しうる限り特に制限はない。尚、当然のことながら、製作した金属製パイプ接合体である金属材料を機械加工で短く切断して使用してもよい。
金属製パイプの材質に特に制限はなく、用途によって使用する材質を変えることが望ましいが、実用性の高い金属であるチタン、アルミ、銅、銀、ステンレス鋼が好ましく、熱伝導性の良いアルミ、銅、銀も好ましい。また、材質の異なる数種類の金属製パイプを混在させることも可能であり、さらに樹脂などの非金属製パイプを金属製パイプと混同して使用してもよい。
また、金属製パイプを予め束ねる場合、束ねたパイプ以上の大きさの容器の中に束ねたパイプを配置してもよいし、紙帯などでパイプを束ねてもよい。かかる容器の形状や材質に特に制限はなく、高圧力作用時に束ねた金属製パイプの表面を汚染・傷つけなければ問題ないが、ある程度の強さがあり、塑性変形しやすい金属材料であることが好ましい。
本明細書中、「圧力」とは、金属材料を塑性変形させ、爆発圧着させるために必要な圧力を意味し、好ましくは150MP以上である。圧力源としては、瞬間的に高い圧力を発生することができる爆薬であり、例えば、高エネルギー物質の爆薬が好ましい。
爆薬とは、爆轟波を発生する火薬類であり、火薬類取締法第1章第2条の2に定義される。本発明においては、通常爆発圧着等に使用される程度の爆速を有する爆薬が用いられ、爆速が1,000m毎秒以上の爆薬を用いることが好ましく、より好ましくは1,500m〜3,000m/秒の爆速の爆薬を用いる。爆薬組成としては、例えば、硝酸アンモニウムや硝酸エステル類のPETN(ペンタエリスリトールテトラナイトレート)やニトログリセリン、ニトロ化合物のTNT(トリニトロトルエン)、ニトラミンのシクロトリメチレントリニトラミンやシクロテトラメチレンテトラニトラミンなどが挙げられる。爆薬として、これらを単独で又は他の爆薬成分や爆薬以外の成分を混合した状態で用いてもよい。
高圧力を作用させる際に、予め複数の金属製パイプ各々の内部に液体又は有機系固体の充填材を充填しておき、金属製パイプの内部空間を維持することができる。これらの充填材としては、パイプ内部に充填可能であり、かつ充填後に液体又は有機系固体である物性のものであれば特に制限はないが、充填性や取扱い性を考慮すると室温〜100℃の範囲で液体であることが好ましく、さらに安全性、経済性の観点から、水又はパラフィンであることがより好ましい。尚、特に内径の小さな金属製パイプを使用する場合には、充填しやすい水又は液体であることが好ましい。
本願発明者らは、本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法において、金属製パイプ同士の良好な接合が得られる原因は、金属材料の超高速衝突において金属材料同士が接合される爆発圧着(爆薬が爆発する際の瞬間的な高エネルギーを利用して異種金属を冷間で冶金的に接合させる方法)の作用機序又はこれに類似する作用機序に因ると推定している。例えば、銅は比較的軟らかい金属であるため、比較的容易に金属材料が流動し、高速の大変形に伴って強固な結合状態を容易に実現できると考えられる。但し、銅よりも硬いステンレス鋼などの金属でも、作用させる圧力を高めることにより、同様の作用効果を発現することができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
以下の実施例1〜5では、図1に示す円筒型爆発圧縮装置を使用し、実施例6では、図2に示す方形爆発圧縮装置を使用した。
図1に示す装置においては、まず、金属製パイプ1に、後で除去可能な液体又は有機系固体2を充填し、該金属製パイプ1の上下を密栓3で封止した。複数の金属製パイプ1の束を容器(金属製パイプ)4内に挿入し、さらに該容器(金属製パイプ)4の上下を密栓5で封止した。容器(金属製パイプ)4を爆薬筒6内にセットし、容器(金属製パイプ)4の周囲に爆薬7を配置する。その後、爆薬筒6を封止し、上部の雷管8を起爆することによって上方から爆轟波が伝わり、容器(金属製パイプ)4は円周方向から内部に向かって強く圧縮されることで一体化又は接合された金属製パイプ接合体、すなわち、複数孔を有するロータス(蓮根)型金属材料が製造される。
一方、図2に示す装置においては、まず、金属製パイプ10に、後で除去可能な液体又は有機系固体20を充填し、上下を蜜栓30で封止する。この複数の金属製パイプの束を方形容器40内に挿入し、フタ50をセットする。次に、方形容器40を爆薬箱60にセットし、その上部に爆薬70を充填し、爆薬箱60を封止し、最上部にセットした雷管80を起爆することによって上方から下方に爆轟波が伝わり、方形容器40は強く圧縮されることで一体化又は接合された金属製パイプ接合体、すなわち、複数孔を有するロータス(蓮根)型金属材料が製造される。
[実施例1]
パラフィンを内部に充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.6mmの銅パイプ74本を、長さ150mm、外径30mm、内径26mmの銅パイプ容器の中に配置し、その外側に厚紙でできた内径66mm、高さ200mmの筒状の爆薬容器を配置し、爆薬容器の中に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を404g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、銅パイプ容器ごと圧縮成形した。その後、回収したサンプルからパラフィンを抜き出した。
回収されたサンプルの断面形状の写真を図3に示す。金属製パイプ同士は良好に接合されており、一体の構造となっていることが判明した。
また、サンプルの孔断面を観察した結果、大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[実施例2]
パラフィンを内部に充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.4mmのアルミパイプ74本を、長さ150mm、外径30mm、内径26mmの銅パイプ容器の中に配置し、その外側に厚紙でできた内径62mm、高さ200mmの筒状の爆薬容器を配置し、爆薬容器の中に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を349g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、銅パイプ容器ごと圧縮成形した。その後、回収したサンプルからパラフィンを抜き出した。
回収されたサンプルの断面形状は、実施例1で得られたものと同様であり、金属製パイプ同士は良好な接合体されていた。また、サンプルの孔断面を観察した結果、大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[実施例3]
パラフィンを内部に充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.4mmのアルミパイプ74本を、長さ150mm、外径30mm、内径26mmのアルミパイプ容器の中に配置し、その外側に厚紙でできた内径58mm、高さ200mmの筒状の爆薬容器を配置し、爆薬容器の中に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を295g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、アルミパイプ容器ごと圧縮成形した。その後、回収したサンプルからパラフィンを抜き出した。
回収されたサンプルの断面形状は、実施例1,2で得られたものと同様であり、金属製パイプ同士は良好な接合されていた。また、サンプルの孔断面を観察した結果、大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[実施例4]
エポキシ系接着剤を密栓として内部に水を充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.6mmの銅パイプ74本を、長さ150mm、外径30mm、内径26mmの銅パイプ容器の中に配置し、その外側に厚紙でできた内径66mm、高さ200mmの筒状の爆薬容器を配置し、爆薬容器の中に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を404g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、銅パイプ容器ごと圧縮成形した。その後、回収したサンプルには水が見られなかった。これは圧力作用時に圧縮された水が噴出したためであった。しかし、回収したサンプルを評価した結果、サンプルの断面形状は実施例1,2,3と同様に大きなつぶれも無く、またパイプ同士も良好に接合体していることが分かった。また、サンプルの孔断面を観察した結果、大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[実施例5]
パラフィンを内部に充填した長さ300mm、外径3mm、内径2mmのステンレスパイプ74本を、長さ350mm、外径32mm、内径26mmのステンレスパイプ容器の中に配置し、その外側に厚紙でできた内径82mm、高さ400mmの筒状の爆薬容器を配置し、爆薬容器の中に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を1281g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、ステンレスパイプ容器ごと圧縮成形した。その後、回収したサンプルからパラフィンを抜き出した。
回収されたサンプルの断面形状は実施例1〜4で得られたものと同様であり、金属製パイプ同士は良好に接合体していることが分かった。また、サンプルの孔断面を観察した結果、大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[実施例6]
パラフィン内部に充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.6mmの銅パイプ183本を、内部の幅100mm、奥行き100mm、高さ18mmのステンレス製方形容器(厚さ2mm)に配置したし、その上部に2mm厚みのステンレス製フタをしたものを、厚紙で製作した高さ92mmの薬箱にセットし、その上部に爆速約2400m/s、密度約0.6g/cm3の硝酸アンモニウムを主成分とする爆薬(火薬ジャパン(株)製)を530g充填した。その後、爆薬上部に雷管をセットし、爆轟させることで、ステンレス製容器ごと圧縮成形した。
圧縮成形後の外観は、フタの中心部が凹み、周囲がめくれていた。またステンレス容器の側面は大きく膨らんでいた。フタと銅パイプは部分的に接合していることを確認した。その後、回収したサンプルを切断し、評価した。
回収されたサンプルの断面形状は、中央付近のパイプが外周部のパイプに比べて変形が大きくなっていたが、実施例1〜5で得られたものと同様であり、金属製パイプ同士は良好に接合されていた。該パイプ内部の通路は確保されており、また、サンプルの孔断面を観察した結果、中央部付近の通路が若干狭くなること以外に大きな凹凸も無く、流体を流した場合でも低い抵抗となることを確認した。
[比較例1]
パラフィンを内部に充填した長さ100mm、外径3mm、内径2.6mmの銅パイプ74本を、長さ150mm、外径30mm、内径26mmの銅パイプ容器の中に配置したものを、円周方向に加圧させるようにプレス機にセットし、圧縮した。全方向からの圧縮荷重ではないものの、圧縮開始直後に銅パイプはつぶれてしまい、パラフィンが抜け出てしまった。そのため、サンプルが製作できず、評価ができなかった。
本発明に係る金属製パイプ接合体の製造方法においては、爆薬によって発生する高圧力で複数の金属製パイプ同士を一体化又は接合させるため、該製造方法により製造された金属製パイプ接合体を熱交換器、反応器等として利用した場合に、伝熱性、導電性、管内断面温度分布の安定性、孔内流体の静電気発生防止、電気腐食防止に優れており、さらに各孔の内面に凹凸がなく、抵抗が低いといった特徴をもつ。そのため、本発明は、工業的に利用価値の高い金属材料として好適に利用可能である。
1 金属製パイプ
2 液体又は有機系固体
3 密栓
4 容器(金属製パイプ)
5 密栓
6 爆薬筒
7 爆薬
8 雷管
10 金属製パイプ
20 液体又は有機系固体
30 蜜栓
40 方形容器
50 フタ
60 爆薬箱
70 爆薬
80 雷管

Claims (8)

  1. 複数の金属製パイプの束の周囲から爆薬によって発生する圧力を作用させることにより該複数の金属製パイプを一体化又は接合させることを特徴とする、金属製パイプ接合体の製造方法。
  2. 前記金属製パイプの材料が、チタン、アルミ、銅、銀、及びステンレス鋼からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記圧力を作用させる際に、予め複数の金属製パイプ各々の内部に液体又は有機系固体の充填材を充填しておき、該金属製パイプの内部空間を維持する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記充填材は、水又はパラフィンである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記圧力を作用させる際に、前記複数の金属製パイプの束の周囲に金属製容器を配し、該金属製容器を含めて、該複数の金属製パイプを一体化又は接合させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記爆薬が、1,500〜3,000m/秒の爆速を発生する爆薬である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により製造された金属製パイプ接合体。
  8. 請求項7に記載の金属製パイプ接合体を含む熱交換器。
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