JP2012200739A - 鋳枠の検査方法及びその検査に用いられる検査ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造ラインにて搬送される鋳枠に及ぶ振動等を、直接的にかつ実際の鋳造過程と同条件で検査することが可能な検査方法を提供すること、及びその検査を実現するのに適した検査ユニットを提供すること。
【解決手段】鋳造ラインLにて搬送される鋳枠10の外周部に、加速度センサを有する検査ユニット40を設置し、鋳造ラインLに鋳枠10が設置されてから鋳物が成形されるまでの一連の鋳造工程にて検知された加速度センサの加速度データに基づいて、鋳枠10に及ぶ振動又は衝撃の検査を行う。この場合、鋳造工程において検査ユニット40が邪魔になりにくいため、鋳枠10に及ぶ振動等を、直接的にかつ実際の鋳造工程と同条件で検査することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鋳枠に及ぶ振動や衝撃を検査する検査方法、及びその検査に用いられる検査ユニットに関するものである。
鋳造ラインでは、搬送装置を用いて鋳枠が搬送される。そして、搬送される鋳枠に対して砂入れ等の各種工程を順次実行することにより、鋳型が造型され、鋳物が成形される。この場合、搬送されている鋳枠に対して振動や衝撃が及ぶと、鋳型に悪影響が及び、鋳物に不良が発生し易くなる。そこで、搬送装置にクッション装置を設け、そのクッション装置の制動力を調整することにより、鋳枠の搬送をスムーズに行うものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−296544号公報
ここで、搬送装置の劣化や故障等により鋳枠の搬送が正常に行われなくなると、鋳枠に及ぶ振動等が大きくなる場合がある。このため、鋳枠の搬送が正常に行われているか否かを把握するべく、搬送装置が正常に動作しているか否かを検査していた。しかしながら、このような検査方法にあっては、鋳枠に及ぶ振動等の許容値は推定に過ぎず、実際の振動等が正常範囲にあるか否かまで正確に判断することができない。
そこで、本発明者らは、鋳枠に検査ユニットを設置して鋳枠を直接検査することにより、鋳枠に及ぶ振動等を好適に把握することについて、新たに検討した。具体的には、既存の高精度な検査ユニットを用いてみた。この場合、検査ユニットが比較的大型であるため、これが搬送装置等に干渉しないよう鋳枠の内周部に設置した。これにより、鋳枠に及ぶ振動等を直接的に把握できるとの知見を得た。
しかしながら、鋳枠の内周部に検査ユニットを設置した場合には、鋳枠内において砂入れ等ができず、鋳型を造型することができない。そのため、試験的な検査はできても、実際に鋳型を造型する場合においてまで鋳枠に対して振動等が及ぶものであるかどうか、それが許容範囲内であるのか否かまでは正確には判断できない。したがって、単に既存の検査ユニットを鋳枠に設置するだけで、予期し得ない振動等にまで対応できるか否かは、判然としない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、鋳造ラインにて搬送される鋳枠に及ぶ振動等を、直接的にかつ実際の鋳造過程と同条件で検査することが可能な検査方法を提供することを目的とする。また、このような検査を実現するのに適した検査ユニットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段及び作用効果について以下に述べる。
請求項1に記載の発明は、鋳造ラインにて搬送される鋳枠の外周部に、加速度センサを有する検査ユニットを設置する第1工程と、前記鋳造ラインに前記鋳枠が設置されてから鋳物が成形されるまでの一連の鋳造過程のうち少なくとも一部の過程にて検知された前記加速度センサの加速度データに基づいて、前記鋳枠に及ぶ振動又は衝撃の検査を行う第2工程とを備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、加速度センサを有する検査ユニットを鋳枠に設置することにより、鋳枠に及ぶ振動等を直接的に把握することが可能となる。また、その検査ユニットを鋳枠の特に外周部に設置することにより、鋳型を造型する等の一連の鋳造過程において検査ユニットが邪魔になりにくい。これにより、検査ユニットを用いて振動等を検知しながら、鋳型の造型等を行うことが可能となる。よって、鋳型を造型する場合とそうでない場合とで全体の重量が異なることに起因する加速度データの相違をなくすことができ、鋳枠に及ぶ振動等を実際の鋳造過程と同条件で検査することができる。
なお、「一連の鋳造過程」とは鋳枠を用いて鋳物を成形するのに必要な各過程を含むものであり、当該鋳造過程には、例えば鋳枠を用いて鋳型を造型する過程、鋳型に溶湯(鋳鉄)を流し込む過程及び鋳物を鋳型から取り外す過程が含まれる。
請求項2に記載の発明は、前記第1工程において、前記検査ユニットを前記鋳枠の高さ範囲内に設置することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、例えば上鋳型の鋳枠と下鋳型の鋳枠とを高さ方向に重ね合わせる構成にあっても、上記重ね合わせにおいて検査ユニットが邪魔になりにくい利点がある。これにより、鋳枠を重ね合わせて使用する場面にあっても、実際の鋳造過程と同条件で検査することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、前記検査ユニットとして、筐体と、前記筐体に設けられ、当該筐体を前記鋳枠に対し磁力によって取り付ける磁石と、前記筐体に収容され、加速度センサが搭載された第1基板と、前記筐体に収容されるとともに、前記磁石と前記第1基板との間に配置され、前記加速度センサを制御するためのデジタル信号処理を実行する制御部が搭載された第2基板と、を備えている検査ユニットが用いられる。そして、前記第1工程において、前記磁石を用いて前記鋳枠に前記検査ユニットを取り付ける。
請求項3に記載の発明によれば、磁石の磁力を用いて検査ユニットが鋳枠に取り付けられる。これにより、専用の治具等を用いることなく、比較的容易に検査ユニットを鋳枠に取り付けることができる。特に、専用の治具等を用いて検査ユニットを鋳枠に取り付ける構成とすると、当該治具により鋳枠に及ぶ振動等が吸収され、検査ユニットにより検知される加速度と、実際に鋳枠に及ぶ加速度とが異なることが生じ得る。これに対して、請求項3に記載の発明によれば、専用の治具等を用いることなく検査ユニットを直接鋳枠に取り付けることができるため、鋳枠に及ぶ振動等を正確に把握することができる。
ここで、加速度センサ及び制御部に対して磁石の磁力の影響が及ぶと、加速度センサの誤動作が発生して異常な加速度データが検知されたり、制御部が正常に動作しなかったりするおそれがある。特に、検査ユニットをコンパクトに構成しなければ鋳枠の外周部に設置することができないため、磁力の影響は無視できないものとなり得る。
この点、請求項3に記載の発明によれば、アナログ的な出力がなされて相対的に誤動作を把握しにくい加速度センサが搭載された第1基板を、デジタル信号処理によるものであって相対的に誤動作を把握し易い制御部が搭載された第2基板よりも、磁石から離れた位置に配置するようにした。これにより、検査において加速度センサの誤動作を抑制することができ、検査の信頼性の向上を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の検査方法を適用するための検査ユニットを特定したものであり、これを鋳枠の外周部に磁力によって取り付けた場合、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、鋳造ラインにて搬送される鋳枠に及ぶ振動等を、直接的にかつ実際の鋳造過程と同条件で検査することができる。また、本発明によれば、このような検査を実現するのに適した検査ユニットを提供することができる。
鋳枠の搬送の様子を説明するための説明図。 (a)鋳枠のA−A線断面図、(b)鋳枠のB−B線断面図。 鋳造工程を説明する説明図。 (a)検査ユニットの内部構造を示す縦断面図、(b)検査ユニットの斜視図。 解析装置を説明するためのブロック図。 モニタに表示される解析画像を示す説明図。 別形態の鋳枠及び検査ユニットを説明するための説明図。 別形態の鋳枠及び検査ユニットを説明するための説明図。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、鋳造ラインL及び鋳枠10について図1及び図2を用いて説明する。図1(a)は鋳造ラインLにて搬送される鋳枠10を示す平面図、図1(b)は鋳造ラインLにて搬送される鋳枠10の側面図、図2(a)は鋳枠10のA−A線断面図、図2(b)は鋳枠10のB−B線断面図である。なお、図1(b)は一部破断して示す。
図1に示すように、鋳造ラインLには、鋳型を収容可能な鋳枠10が一列に並んで複数設置されている。各鋳枠10は、強磁性体で形成されており、具体的には鉄製である。各鋳枠10は、全体として四角枠状をなした本体枠11を備えている。本体枠11は、その高さ方向に開放されている。本体枠11内に金型を設置し、開放口から砂を投入するとともに当該砂に圧力が付与されることにより本体枠11内にて鋳型が造型される。
各鋳枠10は、鋳造ラインLにて順次搬送される。具体的には、図1(b)に示すように、鋳枠10を設置可能な台車21を備え、各鋳枠10はそれぞれ台車21に設置されている。これにより、各鋳枠10はそれぞれ個別に移動可能となっている。
これらの鋳枠10を押し出すプッシャ装置22が設けられている。プッシャ装置22は、鋳造ラインLの一端に設けられている。プッシャ装置22は、鋳造ラインLの方向に移動可能なシリンダ22aを備えており、そのシリンダ22aを駆動させることにより、鋳造ラインLの一端に設置された鋳枠10を押し出す。これにより、各鋳枠10同士が衝突して、各鋳枠10が順次押し出し方向に移動することとなる。この場合、シリンダ22aの押し出し方向が鋳枠10の搬送方向となる。
ここで、鋳枠10は、各鋳枠10同士の衝突に起因して本体枠11の変形等が発生しないように形成されている。詳細には、鋳枠10は、本体枠11の外周部全周に亘って形成された補強枠30を備えている。補強枠30は、図2に示すように、鋳枠10の外周部の位置によらず、縦断面がT字状をなしており、本体枠11に一体形成されている。詳細には、補強枠30は、本体枠11の外周部における中央部から外周側(側方)に突出した第1補強枠部31と、第1補強枠部31の突出先端側に設けられ、鋳枠10の高さ範囲内(22cm)で当該高さ方向に延びた第2補強枠部32とを備えている。これにより、鋳枠10同士が衝突する場合には、補強枠30(第2補強枠部32)同士が衝突することとなる。よって、鋳枠10同士の衝突による本体枠11の変形を抑制することができる。
なお、図示は省略するが、鋳造ラインLの他端側には、クッション装置が設けられている。クッション装置は、プッシャ装置22により押し出された他端側の鋳枠10を、当該鋳枠10に及ぶ衝撃や振動を和らげながら停止させる。
鋳枠10の搬送(枠送り)は、鋳物を成形する鋳造工程(鋳造過程)にて適宜行われる。鋳造工程では、適宜搬送される鋳枠10を用いて鋳型を造型し、その鋳型を用いて鋳物を成形する。当該鋳造工程について図3を用いて説明する。図3は、鋳造工程を説明するための説明図である。なお、以下の鋳造工程では、鋳型は砂型であり、下鋳型Xと上鋳型Yとを重ね合わせる手法を示すが、これに限られない。
まず、図3(a)に示すように、下鋳型Xの形状を規定する金型と、鋳枠10とを所定の位置にセットする。その後、図3(b)に示すように、下鋳型Xを造型する(鋳型造型工程)。具体的には、鋳枠10の本体枠11に砂を入れるとともに、鋳造ラインLに設けられた加圧装置Aを用いてこれらの砂に対して圧力を付与し、砂を固める。そして、固めた砂から金型を抜く。これにより、下鋳型Xが造型される。この場合、鋳枠10には、砂入れ時及び加圧装置Aによる加圧時に振動や衝撃が及ぶ。なお、上鋳型Yについても同様の工程を実行する。
次に、図3(c)に示すように、鋳造ラインLに設けられた反転装置Bを用いて鋳枠10を上下反転させ、反転した鋳枠10をプッシャ装置22にて搬送する(反転工程)。この場合、鋳枠10には、反転工程における鋳枠10の反転に伴って、当該鋳枠10の高さ方向を含む振動等が及ぶ。
その後、図3(d)に示すように、各鋳型X,Yの上下面の平面度を高める砂切り工程、及び注湯のための湯口を形成する湯口掘り工程を実行する。これらの工程においても、鋳枠10に対して振動等が及ぶ。
上記工程が完了したら、図3(e)に示すように、鋳造ラインLに設けられた枠合せ装置Cを用いて上鋳型Yと下鋳型Xとを上下方向に重ね合わせ、重ね合わせられた鋳枠10を搬送する(枠合せ工程)。この場合、重ね合わせの際に鋳枠10に振動等が及ぶ。
枠合せ工程が完了したら、図3(f)に示すように、重ね合わせられた鋳型(上鋳型Y)に錘Dを乗せて、注湯装置に向けて搬送する。この場合、錘Dを乗せる際に鋳枠10に振動等が及ぶ。
そして、図3(g)に示すように、湯口から溶湯(溶かした鋳鉄)を流し込み(注湯工程)、図3(h)に示すように、注湯された鋳枠10を搬送する。その後、冷却工程を経て、溶湯の凝固したもの(鋳鉄)から各鋳型X,Yを外す(型ばらし工程)。これにより、鋳物が成形される。この場合、各鋳型X,Yを外す際に鋳枠10に振動等が及ぶ。
以上の通り、各工程が行われる場合に鋳枠10に振動等が及ぶ。また、鋳造工程において鋳枠10を搬送する場合には、鋳枠10に振動等が及ぶ。特に、シリンダ22aの動作に異常が発生すると、シリンダ22aによって過度な衝撃が鋳枠10(本体枠11)に対して及ぶ場合がある。この場合、鋳枠10に収容される鋳型及びそれを用いて成形される鋳物に異常が発生し、所謂不良が発生する。特に、シリンダ22aの押し出しにより鋳枠10同士が衝突するため、シリンダ22aの押し出しに異常が発生すると、各鋳枠10それぞれに異常が発生し得る。また、台車21が劣化や故障している場合には、鋳枠10の搬送において鋳枠10がガタつき、完成品である鋳物の不良が発生する。
以上のことから、鋳造工程における鋳枠10に及ぶ振動等は鋳物の歩留まりに影響を与える重要な要因となっている。そこで、鋳造ラインLの複数の鋳枠10のうち1つに検査ユニット40を設置し、その鋳枠10に及ぶ振動等を検査する。当該検査について図1及び図2に加え、図4を用いて詳細に説明する。図4(a)は検査ユニット40の内部構造を示す縦断面図、図4(b)は検査ユニット40の斜視図である。
検査を行う場合、図1に示すように、鋳枠10の外周部に、振動等を検知可能な検査ユニット40を設置する(第1工程)。
検査ユニット40は、図2(b)に示すように、鋳枠10の外周部において本体枠11、第1補強枠部31及び第2補強枠部32によって形成される溝部41に収容可能な大きさに形成されている。詳細には、検査ユニット40は、その外殻を形成する直方体形状のボックス42(筐体)を備えている。ボックス42の短手方向の長さ寸法は、本体枠11及び第2補強枠部32間の距離(例えば6.5cm)よりも小さく設定されている。そして、ボックス42の高さ寸法(検査ユニット40が設置された場合における鋳枠10の高さ寸法に対応する寸法)は、第2補強枠部32における第1補強枠部31からの突出寸法よりも小さく設定されている。検査を行う場合には、検査ユニット40を鋳枠10の外周部に形成された溝部41に収容した状態で設置する。
ボックス42は透明なアクリル樹脂で形成されており、内部を視認可能となっている。また、ボックス42は、図4(a)に示すように、その底部を形成する矩形状の板部材42aと、直方体形状に形成され下方が開放された箱部材42bとを備えている。板部材42aは箱部材42bの開放口と同一形状に形成されている。板部材42aが箱部材42bの開放口を塞ぐように両者が組み付けられ、その状態でネジ等の固定具(図示略)により両者が固定されることで、ボックス42が形成される。これにより、固定具による固定を解除することにより、ボックス42を開放することが可能となっている。
ボックス42には、各種電子部品が収容されている。この場合、ボックス42の小型化を図るべく、ボックス42には、ボックス42の内寸法に対応させて矩形状に形成され、上記各種電子部品が搭載された第1基板51及び第2基板52が収容されている。これら各基板51,52はボックス42の高さ方向に並んで配置され、積層構造となっている。
詳細には、図4(a)に示すように、ボックス42の底部には、第2基板52を支持する複数の第1スペーサ53が設けられている。各第1スペーサ53は円柱状をなしており、それぞれ同一の高さ寸法を有している。各第1スペーサ53は、第2基板52の隅角部にそれぞれ配置されるようにボックス42の底部の対応する箇所に固定されている。そして、第2基板52は各第1スペーサ53により水平(ボックス42の底部に対して平行)な状態で支持されている。
さらに、第2基板52には、第1基板51を水平に支持するための複数の第2スペーサ54が設けられている。これにより、第1基板51が第2基板52に支持されている。当該支持の詳細については第1スペーサ53と同様であるため、説明を省略する。
以上により、各基板51,52は、所定の間隔(各スペーサ53,54の高さ寸法)を隔ててボックス42内にて水平に配置されている。この場合、ボックス42を溝部41に設置した場合には、自ずと各基板51,52が溝部41の底部(第1補強枠部31)と平行、すなわち水平に配置される。
第1基板51には、振動等を検知するものとしてセンサユニット60が搭載されている。センサユニット60は直方体形状をなしている。センサユニット60は、その短手方向をx軸、その長手方向をy軸、その高さ方向をz軸として加速度を検知する加速度センサ61を備えている。
第1基板51が水平に配置されているため、それに搭載されたセンサユニット60は水平に配置されている。そして、図4(b)に示すように、ボックス42の長手方向とセンサユニット60の短手方向とが一致し、ボックス42の短手方向とセンサユニット60の長手方向とが一致するように、センサユニット60とボックス42との相対位置関係が設定されている。これにより、ボックス42の長手方向と鋳枠10の搬送方向(鋳枠10の一辺方向)とを一致させて検査ユニット40を鋳枠10に設置することで、自ずと加速度センサ61の軸合せが行われることとなる。すなわち、x軸が鋳枠10の搬送方向、y軸が鋳枠10の他辺方向、z軸が鋳枠10の高さ方向となる。これにより、鋳枠10に及ぶ振動等を3次元的に把握することが可能となる。
また、検査ユニット40は、ボックス42の長手方向と鋳枠10の搬送方向とを一致させるためのガイド手段を備えている。具体的には、図4(b)に示すように、ボックス42には、長尺状のガイドシール62が十字に貼り付けられている。詳細には、ガイドシール62は、ボックス42の長手方向に延びた第1シール62aと、ボックス42の短手方向に延びた第2シール62bとを備えている。これにより、第1シール62aの方向と鋳枠10の搬送方向(鋳枠10の一辺方向)とを一致させ、第2シール62bの方向と鋳枠10の他辺方向とを一致させるように検査ユニット40を設置することにより、加速度センサ61の軸合せを容易に行うことができる。
なお、加速度センサ61により検知される加速度の正負を規定するべく、ボックス42には±X,±Y,±Zのマークが印されている。
なお、ガイドシール62に対応させて、第1補強枠部31に、検査ユニット40が予め定められた位置に設置された場合にガイドシール62と連続するシール部材を設けてもよい。これにより、鋳枠10に対するボックス42の位置が一義的に定まる。
検査ユニット40は、図4(a)に示すように、鉄製の鋳枠10に取り付けるための磁石71を備えている。磁石71は円盤状をなしており、ボックス42の底部(板部材42a)に埋め込まれている。詳細には、ボックス42の底部における内側には、磁石71を埋め込むための凹部72が設けられている。凹部72は、磁石71の形状に対応させて円柱状をなしており、その高さ寸法は磁石71の厚み寸法と同一に設定されている。凹部72に磁石71が埋め込まれることで、磁石71がボックス42の底部に固定され、その磁石71の磁力によって、検査ユニット40が第1補強枠部31に取り付けられる。
なお、磁石71は比較的磁力が強いネオジム磁石が用いられている。このため、鋳造工程において鋳枠10が上下反転した場合であっても位置ずれが発生しない。
第2基板52には、センサユニット60を制御する制御部としてCPU81が搭載されている。ここで、各基板51,52及び磁石71は積層構造となっており、詳細には磁石71、第2基板52、第1基板51の順に配置されている。これにより、センサユニット60が搭載された第1基板51の方が、CPU81が搭載された第2基板52よりも、磁石71との距離が大きい。よって、磁石71の磁力の影響が、CPU81よりも加速度センサ61の方が小さい。したがって、CPU81と比較して、磁石71の磁力に起因する加速度センサ61の誤動作が発生しにくい。
各基板51,52はコネクタ82を介して電気的に接続されており、加速度データ等の信号の伝送を行うようになっている。詳細には、センサユニット60は、加速度センサ61により検知されたx,y,z軸の各加速度の大きさに対応したアナログ信号をCPU81等に出力する。CPU81は、センサユニット60を制御するためのデジタル信号処理を実行し、各種コマンドをセンサユニット60に対して出力する。
図4(a)に示すように、第1基板51には、センサユニット60(加速度センサ61)により取得された加速度データを外部に出力する無線装置83が設けられている。無線装置83はセンサユニット60に接続されているとともに、コネクタ82を介してCPU81に接続されている。CPU81は、センサユニット60により加速度データが取得された場合に、その加速度データ(及び加速度データが取得された時間情報)を出力するよう無線装置83にコマンドを出力する。無線装置83は、当該コマンドを受信した場合に、アンテナ部83aを介して加速度データを外部に出力する。これにより、無線装置83により出力された加速度データを取得することで、リアルタイムでの検査が可能となる。
第2基板52には、センサユニット60により取得された加速度データを有線で出力するための出力ポート84が設けられている。出力ポート84は、第2基板52の端側、詳細には第2基板52においてボックス42の内壁部寄りに配置されている。出力ポート84は、CPU81と接続されている。CPU81は、出力ポート84を介して加速度データを出力することができる。
出力ポート84に対応させて、図4(a),(b)に示すように、ボックス42には、出力ポート84に接続されるコネクタを有するケーブルが挿入可能な開口部85が設けられている。開口部85を介してケーブルを出力ポート84に接続することにより、有線での加速度データの取得が可能となっている。
開口部85は、上記コネクタが通過可能な範囲内で小さく形成されている。詳細には、開口部85はケーブルのコネクタの外形と同一に形成されている。これにより、開口部85からボックス42内に鋳型を造型する場合に用いられる砂等の塵埃が侵入しにくい。
また、第2基板52には、SDカード等の記憶媒体91が挿入されるスロット92が搭載されている。スロット92はCPU81に接続されている。CPU81は、センサユニット60からの加速度データを、時系列データとして記憶媒体91に順次記憶させる。これにより、無線装置83により加速度データを出力しつつ、記憶媒体91に加速度データを記憶しておくことが可能となる。
ここで、記憶媒体91に加速度データを記憶するのに要する時間は、無線装置83にて加速度データを出力するのに要する時間よりも短い。このため、記憶媒体91への加速度データの記憶間隔(周期)を、無線装置83の出力間隔よりも短くすることができる。よって、鋳造工程中においては無線装置83にてリアルタイムで加速度データを出力することでリアルタイムの検査を実現しつつ、鋳造工程が終了した場合には、記憶媒体91を取り出し、その記憶媒体91に記憶されている高精度の加速度データを用いて、詳細な解析を行うことが可能となる。
スロット92に対応させて、図4(b)に示すように、ボックス42には記憶媒体91が通過可能な取出口93が設けられている。これにより、ボックス42を開放することなく記憶媒体91の取り出しが可能となっている。
取出口93は、記憶媒体91が通過可能な範囲内で小さくなるように形成されている。これにより、取出口93から上記砂等の塵埃がボックス42内に侵入しにくい。また、取出口93は開口部85に対して所定の間隔を隔てて配置されており、その間に第2シール62bが貼り付けられている。すなわち、開口部85及び取出口93と、第2シール62bとは、互いに干渉しないように配置されている。これにより、開口部85及び取出口93に起因するガイドシール62の視認性の低下が回避されている。
図4(a),(b)に示すように、第1基板51にはスイッチ94が設けられている。スイッチ94は、コネクタ82を介してCPU81に接続されている。CPU81は、スイッチ94のオンオフに基づいて電源のオンオフ切換を行う。
スイッチ94は、ボックス42に設けられた開口部95を介して外部から操作可能となっている。これにより、ボックス42の外側からスイッチ94を操作することができる。この場合、スイッチ94は、ボックス42から突出しないように形成されており、具体的には箱部材42bに没入している。これにより、鋳造工程においてスイッチ94が邪魔とならない。
開口部95は、当該開口部95とスイッチ94との間に隙間が生じないように、スイッチ94の形状に対応させて形成されている。これにより、上記隙間からボックス42内に砂等の塵埃が侵入しないようになっている。
第1基板51にはLED96が設けられている。LED96はスイッチ94がオンになることに同期して点灯する。これにより、検査中であるか否かを目視にて容易に確認することができる。
なお、各基板51,52の長手方向の寸法はボックス42の長手方向の内寸法よりも短く設定されており、ボックス42内には、ボックス42の底部から上部までを貫く領域が形成されている。当該領域には、各基板51,52に搭載されている各種電子部品に対して電力を供給するものであって、直方体形状をなした電池97(9V)が設置されている(図4(a)参照)。これにより、各基板51,52と電池97とが干渉することなく、第2基板52とボックス42の底部との距離等を電池97の幅寸法よりも短くすることが可能となる。よって、検査ユニット40の高さ方向の小型化を図ることができる。
次に、上記検査ユニット40を用いた検査及び解析について説明する。
鋳造工程における鋳枠10の設置が完了したタイミングで、鋳枠10に検査ユニット40を取り付け、スイッチ94をオンにし、検査(加速度データの取得)を開始する。そして、型ばらしが完了したタイミングでスイッチ94をオフにし、検査を終了する。この場合、検査が開始されてから検査が終了するまで、無線装置83により定期的に加速度データが出力されるとともに、記憶媒体91にその加速度データが記憶される。
これらの加速度データは解析装置100に入力される。解析装置100は、その加速度データを用いて解析を行う(第2工程)。そして、解析装置100は、その解析結果がモニタ101に表示されるようにモニタ101の表示制御を行う。解析装置100の構成及びモニタ101にて表示される解析画像について図5及び図6を用いて説明する。図5は解析装置100を説明するためのブロック図、図6はモニタ101に表示される解析画像を示す説明図である。
図5に示すように、解析装置100は、検査ユニット40の加速度データを取得するためのデータ取得部111を備えている。データ取得部111は、検査ユニット40の無線装置83から出力される加速度データを受信するためのアンテナ111aと、検査ユニット40の出力ポート84に接続されたケーブルが接続される入力ポート111bと、加速度データが記憶された記憶媒体91が挿入可能なスロット111cとを備えている。これにより、解析装置100は、無線、有線及び記憶媒体91を通じて、検査ユニット40から加速度データを取得することが可能となっている。
解析装置100は、データ取得部111により取得された加速度データを解析処理する解析部112と、取得された加速度データを含む各種データが記憶される記憶部113とを備えている。解析部112は、データ取得部111から取得された加速度データを、記憶部113に設けられた取得データ記憶部113aに、時系列データとして順次記憶する取得データ処理部112aを備えている。これにより、無線装置83から順次出力される加速度データは時系列データとして順次記憶される。
解析部112は、入出力ポート114を介してモニタ101に接続されており、取得された加速度データ及び解析部112の解析結果をモニタ101に表示させる。
詳細には、解析部112は、時系列データをモニタ101に表示させるための処理を実行する取得データ表示処理部112bを備えている。取得データ表示処理部112bは、入出力ポート114を介して、取得データ記憶部113aに記憶されている時系列データの描画コマンドを定期的にモニタ101に出力することで、モニタ101に時系列データを表示させる。詳細には、図6に示すように、モニタ101の左側にて各軸(x、y、z)の加速度データを時系列で表示させる。
また、取得データ表示処理部112bは一部拡大表示機能を有しており、図6に示すように、解析者により選択された領域(例えば領域Z)を、モニタ101の右側にて拡大して表示させる。なお、選択される領域は任意である。また、x,y,z軸について同時に拡大表示させる構成としてもよい。
解析部112は、鋳造工程の工程毎に加速度データを区分して表示させる工程別表示処理部112cを備えている(図5参照)。工程別表示処理部112cは、工程毎の所要時間に基づいて、取得データ記憶部113aに記憶されている時系列データを各工程に区分して表示させる。
記憶部113には、上述した鋳造工程における各工程の所要時間の情報が記憶された基準時間データ記憶部113bが設けられている。工程別表示処理部112cは、基準時間データ記憶部113bに記憶されている時間情報を参照することにより、時系列データを工程毎に区分する。そして、入出力ポート114を介してその区分に係る描画コマンドをモニタ101に出力し、モニタ101にてその区分結果を表示させる。
ここで、鋳造工程の各工程を行うのに要する時間は予め定められており、具体的には、16秒〜21秒となっている。そして、各工程は連続的に実行される。このため、検査開始タイミングからの経過時間(検査開始タイミングに対する加速度データの取得タイミング)を把握し、その経過時間と上記各工程の所要時間とを参照することにより、取得された加速度データがどの工程のものであるかを把握することができる。
表示態様について具体的に説明すると、図6に示すように、時系列データに対して重なるように各工程の区分を示す破線を表示し、時系列データ表示の下方に、対応する工程を表示する。これにより、時系列で示される加速度データが、どの工程で取得されたものであるかを容易に特定することができる。
解析部112は、取得データ記憶部113aに記憶されている時系列データと、予め定められた基準時系列データとを比較表示させる比較表示処理部112dを備えている(図5参照)。比較表示処理部112dは、記憶部113に設けられた基準時系列データ記憶部113cに記憶されている基準時系列データを読み出す。そして、比較表示処理部112dは、図6に示すように、検査ユニット40により取得されたx軸の時系列データに対して基準時系列データ(グラフS参照)を重ねて表示させる。これにより、今回取得された時系列データと基準時系列データとの相違を容易に把握することができる。
なお、基準時系列データ記憶部113cには、軸毎の基準時系列データが記憶されており、各軸の時系列データについて上記比較表示を行うことが可能となっている。また、基準時系列データとしては、成形された鋳物が正常であった場合の1の正常データを用いてもよく、又は上記正常データを複数取得し、その平均を用いてもよい。
解析部112は、取得データ記憶部113aに記憶されている加速度データが、予め定められた正常範囲内であるか否かを監視する異常表示処理部112eを備えている(図5参照)。異常表示処理部112eは、記憶部113の正常範囲記憶部113dに記憶されている正常範囲を読み出し、取得データ記憶部113aに記憶されている加速度データが正常範囲内か否かを判定する。そして、異常表示処理部112eは、正常範囲をモニタ101に表示させるとともに、上記加速度データが正常範囲外である場合には、モニタ101にてその旨を表示させる。
詳細には、図6に示すように、時系列データ及び拡大表示において、正常範囲として「−Gm〜+Gm」を設定し、その範囲を明示する。そして、加速度データが正常範囲外である場合には、「異常振動発生」と表示する。これにより、異常な振動等が発生した場合には、瞬時にその事実を把握することができる。
なお、正常範囲の上限値、下限値はそれぞれ異なっていてもよく、各軸に応じて異ならせてもよい。さらに、基準時間データ記憶部113bに記憶されている時間情報と関連付けて、各工程に応じて正常範囲を異ならせる構成としてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
鋳枠10の外周部に加速度センサ61を有する検査ユニット40を設置し、その検査ユニット40により取得される加速度データに基づいて、鋳枠10に及ぶ振動等を検査する構成とした。これにより、直接的にかつ実際の鋳造工程と同条件で鋳枠10に及ぶ振動等を検査することができる。
特に、鋳型を造型する場合としない場合とでは、全体の重量が大きく異なる。このため、鋳型を造型する場合としない場合とで、鋳枠10に及ぶ振動等が大きく異なることとなる。この点、本実施形態によれば、実際に鋳型を造型しながら検査を行うことができるため、検査の信頼性の向上を図ることができる。
ここで、検査ユニット40が鋳枠10に対してその高さ方向に突出していると、枠合せ工程の際に検査ユニット40が邪魔となり、上記枠合せ工程を実行することができない事態が発生する。これに対して、本実施形態では、積層構造を採用することによりボックス42の小型化を図るとともに、僅かなスペースでも検査ユニット40が取り付けられるように磁石71を用いる構成とした。これにより、鋳枠10の高さ範囲内、詳細には鋳枠10の外周部に形成された溝部41に検査ユニット40を設置することを実現した。これにより、枠合せ工程を行う場合であっても、検査ユニット40が邪魔とならず、実際の鋳造工程と同条件で検査することが可能となる。
さらに、磁石71を用いて鉄製の鋳枠10に取り付ける構成としたことにより、検査ユニット40を取り付けるための専用の治具が必要ないため、検査ユニット40を比較的容易に取り付けることができる。特に、専用の治具を設ける必要がないため、当該治具により振動が吸収されることに起因して、実際の加速度と検知される加速度とが異なる事態を回避することができる。
この場合、磁力の影響で検査ユニット40のCPU81及び加速度センサ61に誤動作が発生し得る。特に、加速度データは、加速度の大きさに対応したアナログ信号を出力する構成となっている。このため、加速度データは、磁力の影響を受け易く、更に磁力の影響を受けているのか否かを判断することが困難である。かといって、磁力の影響を軽減するために、これらと磁石71との距離を大きく設定すると、検査ユニット40の大型化を招き、検査ユニット40を鋳枠10の外周部に設置することができない。
これに対して、第1基板51と磁石71との間に第2基板52を配置することにより、相対的に磁力の影響を把握しにくい加速度センサ61を磁石71から遠ざけることができるとともに、第2基板52が磁力の緩衝材として機能する。これにより、磁石71に起因する加速度センサ61の誤動作を抑制することができ、検査ユニット40をコンパクトにしつつ、加速度データの信頼性を高めることができる。
この場合、CPU81の誤動作が発生し得るが、CPU81の誤動作は、無線装置83から加速度データが一時的に出力されない等といった比較的分かり易いものである。このため、磁力の影響を受けているのか否かを判断し易い。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
上記実施形態では、鋳造工程全体に亘って検査する(加速度データを取得する)構成としたが、これに限られず、例えば鋳造工程における特定の工程において検査する構成としてもよく、各工程にて行われる特定の処理(例えば枠送り)時において検査する構成としてもよい。この場合、常に無線装置83から加速度データが出力される構成と比較して、消費電力の低減を図ることができる。要は、鋳造ラインLに鋳枠10が設置されてから鋳物が成形されるまでの一連の鋳造工程における少なくとも一部の工程にて加速度データを取得し、その加速度データに基づいて解析を行う構成であればよい。
上記実施形態では、検査ユニット40が溝部41内に収容されていたが、これに限られず、例えば鋳造工程において邪魔にならない範囲内で、検査ユニット40が溝部41から一部突出してもよい。
上記実施形態とは異なる形状の補強枠が形成された鋳枠に対して検査ユニットを設置してもよい。別形態の鋳枠200,300及びそれらに対する検査ユニット220,320の取付態様について図7及び図8を用いて説明する。図7は別形態の鋳枠200及び検査ユニット220を説明するための説明図、図8(a)は別形態の鋳枠300及び検査ユニット320を説明するための説明図、図8(b)は拡大した検査ユニット320の一部破断図である。
図7に示す鋳枠200では、本体枠201の外周部に補強枠210が一体形成されている。補強枠210は、本体枠201の外周部においてその高さ方向の両端に形成され、側方に突出した第1補強枠部211及び第2補強枠部212と、各補強枠部211,212の間に形成された第3補強枠部213とを備えている。各補強枠部211〜213は所定の間隔(9cm)を隔てて配置されており、各突出寸法は同一(9cm)である。
検査ユニット220のボックス221は第1補強枠部211及び第3補強枠部213間の距離よりも小さくかつ各補強枠部211〜213の突出寸法よりも小さく形成される。
上記鋳枠200について検査を行う場合には、第1補強枠部211と第3補強枠部213との間に検査ユニット220を取り付ける。これにより、鋳造工程において検査ユニット220が邪魔になりにくく、実際の鋳造工程と同条件で検査を行うことができる。
図8(a)に示す鋳枠300では、本体枠301の外周部に、補強枠として鉤状部310が一体形成されている。鉤状部310には、鋳枠300の高さ方向に傾斜した傾斜面310aが形成されている。
上記鋳枠300について検査を行う場合には、検査ユニット320を鋳枠300の高さ範囲内に収まるように検査ユニット320を傾斜面310aに取り付ける。この場合、検査ユニット320のボックス321の底部が水平に配置されるように、検査ユニット320と傾斜面310aとの間に土台322を設ける。これにより、鋳枠300の軸と加速度センサ61の軸が一致することとなり、傾斜角度の補正処理等を行う必要がない。
また、上記構成においては、土台322に磁石71を収容する凹部323を設け、当該凹部323に磁石71を収容した状態で土台322を検査ユニット320に固定する。これにより、土台322により検査ユニット320と鉤状部310との距離が大きくなった場合であっても、検査ユニット320を鉤状部310に取り付けることができる。なお、土台322は別部材に限られず、ボックス321の底部に一体形成されてもよい。
また、鉤状部310によって形成された溝部330に検査ユニット320を設置する構成としてもよい。この場合、溝部330に収容可能なようにボックス321を形成する。詳細には、例えば積層構造に代えて、各基板51,52を溝部330の方向に横並びに配置し、磁石71をボックス321の上部に設ける構成が考えられる。
上記実施形態では、1の鋳枠10に対して設置する検査ユニット40は1つであったが、これに限られず、検査ユニット40を、鋳枠10の外周部に対角方向に離して2つ設け、両者のデータに基づいて、鋳枠10に及ぶねじれ力等を検知する構成としてもよい。
鋳枠10の外周部における検査ユニット40の設置箇所は任意であり、例えば鋳枠10の外周部における隅角部周辺や中央部周辺に設置してもよい。
上記実施形態では、複数の鋳枠10のうち1つに検査ユニット40を設置する構成としたが、これに限られず、各鋳枠10に検査ユニット40を設置してもよい。この場合、それぞれの加速度データを比較することにより、個体差を解析することが可能となる。
また、上鋳型Yを造型する鋳枠10及び下鋳型Xを造型する鋳枠10それぞれに検査ユニット40を設置する構成としてもよい。
上記実施形態では、鋳枠10の搬送方式として、プッシャ装置22を用いて順次押し出す方式を採用したが、これに限られず、鋳枠10を搬送することができれば、その搬送方式は任意である。
上記実施形態では、ボックス42に開口部85及び取出口93を設けたが、これに限られず、これらを設けなくてもよい。この場合、鋳型を造型するのに用いられる砂等の塵埃のボックス42内への侵入を抑制することができ、当該塵埃に起因する誤動作を抑制することができる。また、これらを設ける必要がない分だけボックス42内の断熱性を高めることができ、加速度データの信頼性の向上を図ることができる。なお、ボックス42を開放することなく加速度データを取得できる観点に着目すれば、開口部85及び取出口93を設ける構成の方がよい。
また、開口部85及び取出口93を設ける構成において、ボックス42内への塵埃の侵入を抑制するべく、検査中は、開口部85及び取出口93を覆う又は埋めるカバー部材を取り付けてもよい。この場合、温度変化に基づく加速度センサ61の検知誤差を抑制するべくカバー部材に断熱材を用いるとよい。
上記実施形態では、ボックス42を透明なアクリル樹脂で形成したが、これに限られず、不透明なもので形成してもよい。また、ボックス42を断熱材で形成してもよい。この場合、鋳造工程の温度変化に基づく加速度センサ61の誤動作及び加速度データの検査誤差を抑制することができる。
10…鋳枠、30…補強枠、40…検査ユニット、41…溝部、51…第1基板、52…第2基板、60…センサユニット、61…加速度センサ、71…磁石、81…CPU、83…無線装置、91…記憶媒体、94…スイッチ、100…解析装置、101…モニタ、111…データ取得部、112…解析部、113…記憶部、200,300…別形態の鋳枠、220,320…別形態の検査ユニット、L…鋳造ライン。

Claims (4)

  1. 鋳造ラインにて搬送される鋳枠の外周部に、加速度センサを有する検査ユニットを設置する第1工程と、
    前記鋳造ラインに前記鋳枠が設置されてから鋳物が成形されるまでの一連の鋳造過程のうち少なくとも一部の過程にて検知された前記加速度センサの加速度データに基づいて、前記鋳枠に及ぶ振動又は衝撃の検査を行う第2工程と、
    を備えることを特徴とする検査方法。
  2. 前記第1工程において、前記検査ユニットを前記鋳枠の高さ範囲内に設置することを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記検査ユニットとして、
    筐体と、
    前記筐体に設けられ、当該筐体を前記鋳枠に対し磁力によって取り付ける磁石と、
    前記筐体に収容され、加速度センサが搭載された第1基板と、
    前記筐体に収容されるとともに、前記磁石と前記第1基板との間に配置され、前記加速度センサを制御するためのデジタル信号処理を実行する制御部が搭載された第2基板と、
    を備えている検査ユニットが用いられ、
    前記第1工程において、前記磁石を用いて前記鋳枠に前記検査ユニットを取り付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
  4. 鋳造ラインにて搬送される鋳枠に及ぶ振動又は衝撃を検査するのに用いられる検査ユニットであって、
    筐体と、
    前記筐体に設けられ、当該筐体を前記鋳枠に対し磁力によって取り付ける磁石と、
    前記筐体に収容され、加速度センサが搭載された第1基板と、
    前記筐体に収容されるとともに、前記磁石と前記第1基板との間に配置され、前記加速度センサを制御するためのデジタル信号処理を実行する制御部が搭載された第2基板と、
    を備えていることを特徴とする検査ユニット。
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