(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる電力使用量計算システムの構成を示すブロック図である。図1に示す電力使用量計算システムの例では、メータデータ管理システム(MDMS)101と、家庭システム102と、エネルギー管理システム(EMS)103と、課金サーバ104と、がネットワーク等を介して接続されている。なお、図面の簡略化のため、家庭システム102は1つしか図示していないが、電力使用量計算システムには、複数の家庭システム102が接続され得る。ネットワーク等とは、例えば、LAN(Local Area Network)、イントラネット、イーサネット(登録商標)又はインターネットなどとする。
MDMS101は、ネットワーク等を介して各家庭の電力使用量を収集して管理するシステムとする。
家庭システム102は、家庭に配設され、家庭で使用される電気機器の電力使用量を集計するシステムであり、スマートメータ(SM)102aと、ホームサーバ102bと、電気機器102cと、電気機器102dとを有する。電気機器102cは、ホームサーバ102bに有線又は無線で接続される。ホームサーバ102bは、配下の電気機器102cの電力使用量の管理や、配下の電気機器102cの制御を行う。電気機器102dは、SM102aに有線又は無線で接続される。SM102aは、ホームサーバ102bを介して電気機器102cの電力使用量を受信し、電気機器102dの電力使用量と併せて家庭システム102内の電力使用量を集計する。図の簡略化のため、スマートメータ102a及びホームサーバ102bにそれぞれ1個ずつ電気機器が接続された例とするが、スマートメータ102a及びホームサーバ102bには、実際には家庭内の使用電力量を計測するために様々な電気機器が接続されている。
まず、本実施形態にかかる電力使用量計算システムの概要について説明する。電力使用量計算システムは、図1に示すように、MDMS101が、家庭システム毎に設置されたSM102aと接続されている。MDMS101は、各家庭または各事業所について、所定の単位時間毎の電力使用量を配列として管理する。図2は、各家庭または各事業所の電力使用量を時系列で示した図である。図2に示すように、電力使用量が時系列で示されている場合、各家庭又は各事業所に人がいるのか否か、又はどのような電気機器を備えているのか把握される恐れがある。
そこで、本実施形態にかかるメータデータ管理システム(MDMS)101は、各家庭または各事業所の時系列順で示された、単位時間毎の電力使用量の配列(以下、データ系列と称す)に対して、配列の各要素を異ならせる所定の変換規則を用いて、各家庭または各事業所の電力使用量を保持すると共にプライバシーを保護する配列(以下、修正データ系列と称す)を算出し、当該修正データ系列を記憶することとした。図3は、図2で示したデータ系列から算出された修正データ系列をグラフ化した例を示した図である。図3に示すように、所定の変換規則で生成した修正データ系列では、各家庭または各事業所の電力使用量を把握するのが困難になるためプライバシーの保護を図ることができる。換言すれば、修正データ系列として管理することで、当該修正データ系列が不正に閲覧された場合でも、各家庭または各事業所に備えている電気機器や電気機器を利用する時間を把握することを抑止できる。さらには、これらの情報に基づいて、個人または団体の嗜好や行動の特定、個人または団体自体を特定することを抑止できる。
ただし、MDMS101が、単位時間毎の電気使用量を修正データ系列として記憶する際、他のアプリケーション(例えば課金サーバ104)等からの要求があった場合に、各家庭または各事業所の電力使用量の正確な合計値を送信する必要がある。そこで、本実施形態においてMDMS101が用いる変換規則は、修正データ系列から、元の単位時間毎の電力使用量の時系列順の配列に戻すことなく、単位時間毎の電力使用量の合計値(以下、電力使用総量とも称す)を導き出せるものとした。これにより、MDMS101は、アプリケーション等からの要求に応じて、電力使用総量を算出する際に、修正データ系列を、元の単位時間毎の電力使用量の時系列順の配列に戻す必要がないため、プライバシー情報の漏洩を抑止し、安全性を向上させることができる。
このように、MDMS101は、課金サーバ104等の要求に応じて、当該修正データ系列から導き出された電力使用総量等を出力する。なお、MDMS101が、修正データ系列から、元の単位時間毎の電力使用量の時系列順の配列に戻すことなく導き出す情報は、電力使用総量に制限するものではなく、アプリケーション等から要求される情報であれば、どのような情報であっても良い。
なお、家庭システム102を識別するために、家庭システム毎に識別情報(家庭識別情報という)が付与されている。そして、ホームサーバ102b及びSM102aは、当該家庭システム102に付与された家庭識別情報を記憶している。そして、MDMS101、EMS103及び課金サーバ104は、各々、電力使用量計算システムに接続される各家庭システム102全ての家庭識別情報を記憶している。
そして、MDMS101が、SM102aから、SM102aが集計した家庭システム毎の第1の単位時間における電力使用量を受信する。第1の単位時間は、MDMS101が各家庭又は各事務所の使用電力を管理するために適切な単位時間であり、EMS103が電力網を制御する時間間隔であってもよい。本実施形態では例として15分とする。
そして、MDMS101が、受信した第1の単位時間における電力使用量を時系列順に配置したデータ系列から、予め定められた変換規則に基づいて修正データ系列を算出して、記憶する。なお、MDMS101が、SM102aから受信した電力使用量は、家庭識別情報と対応付けられている。また、MDMS101が、SM102aから受信した情報は、第1の単位時間における電力使用量と家庭識別情報とが対応付けられた情報に制限するものではなく、他の情報が対応付けられていても良い。
そして、MDMS101は、記憶していた修正データ系列から、元の第1の単位時間における電力使用量を時系列順で配置したデータ系列を復元することなく、アプリケーションの目的に応じた情報を算出する。算出される情報は、例えば、個別の家庭あるいは事業所における電力使用総量など、アプリケーションが利用する、各家庭又は各事業所の電力使用量に関する情報とする。
また、MDMS101が算出に用いる修正データ系列は、異なるSM102aによりそれぞれ集計された電力使用量に基づく、複数の修正データ系列であってもよい。MDMS101に対して情報の提供を要求するアプリケーションは、例えば、課金サーバ104で実現される課金処理アプリケーションや、その他のアプリケーションサーバ105で実現される各種アプリケーションとする。
このように、MDMS101は、算出した情報をそれぞれのアプリケーションサーバ105に送信する。その後、アプリケーションサーバ105では、受信した情報を用いて、起動しているアプリケーションによる処理が行われる。
次に、MDMS101、SM102a、ホームサーバ102b、EMS103及び課金サーバ104のハードウェア構成について説明する。本実施形態では、課金サーバ104、EMS103及びMDMS101が、サーバの例とする。
本実施形態にかかるMDMS101、EMS103及び課金サーバ104は、装置全体の制御や基本演算を実行するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部と、CD(Compact Disk)ドライブ装置等の補助記憶部と、これらを接続するバスと、を備えている、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成とする。さらに、MDMS101及びEMS103は、ネットワーク等を介して通信を行う通信I/F(Interface)を備える。
SM102a及びホームサーバ102bは、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶する不揮発性メモリ等の補助記憶部と、これらを接続するバスと、を備えており、専用ハードウェアあるいは組み込み機器と同様の構成となっている。さらに、SM102a及びホームサーバ102bは、ネットワーク等を介して外部の機器と通信を行う通信I/F(Interface)を備える。その上、ホームサーバ102bは、電力使用量などの各種情報を表示する表示部と、ユーザの操作が入力される操作ボタンやキーボードなどの操作入力部と、が接続されている。
次に、このようなハードウェア構成において、MDMS101、SM102a、ホームサーバ102b、EMS103及び課金サーバ104のそれぞれにおいて実現される各種機能について説明する。
まず、SM102aで実現される各種機能について説明する。図4は、SM102aの機能の構成を例示した図である。図4に示すように、SM102aは、通信制御部102a1と、制御部102a2と、電力使用量記憶部102a3と、計測部102a4と、備える。これらの構成は、SM102aの有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行や、SM102aが有する(図示しない)通信I/Fの利用、さらにはSM102aの有する補助記憶部等に確保される記憶領域で実現される。
通信制御部102a1は、ホームサーバ102bやMDMS101などの他の機器との通信を制御する。
制御部102a2は、SM102a全体を制御する。
計測部102a4は、電気機器102c,102dの電力使用量z(i,j)を、第1の単位時間毎に集計する。変数iは、家庭システム102を識別するインデックスとする。そして、変数jは、第1の単位時間の順序(日付や時刻など)に対応するインデックスとする。
そして、計測部102a4は、集計した電力使用量を、電力使用量記憶部102a3に記憶させる。このとき、計測部102a4は、通信制御部102a1を介して電気機器102dに対する機器認証を行った後に、第1の単位時間に少なくとも1度、電気機器102dが使用した電力使用量を、電力使用量記憶部102a3に記憶させる。それと共に、計測部102a4は、後述するホームサーバ102bが管理する電気機器102cが使用した電力使用量を、電力使用量記憶部102a3に記憶させる。本実施形態は、このように、電気機器102c,120dの電力使用量を第1の単位時間毎に集計するが、集計手法を制限するものではない。
電力使用量記憶部102a3は、計測部102a4が集計した電力使用量を記憶する。
次に、ホームサーバ102bにおいて実現される各種機能について説明する。図5は、ホームサーバ102bの機能の構成を例示した図である。図5に示すように、ホームサーバ102bは、通信制御部102b1と、制御部102b2と、表示制御部102b7と、を備える。これらの構成は、ホームサーバ102bの有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行や、ホームサーバ102bが有する(図示しない)通信I/Fの利用、さらにはホームサーバ102bの有する(図示しない)表示部等で実現される。
通信制御部102b1は、SM102aやMDMS101などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。
制御部102b2は、ホームサーバ102b全体を制御する。また、制御部102b2は、配下の電気機器102cの電力使用量をSM102aに書き込む場合、第1の単位時間に少なくとも1度、電気機器102cの電力使用量を計測して、通信制御部102b1を介してSM102aにアクセスし、計測した電力使用量をSM102aに記憶させる。
また、制御部102b2は、電力使用量の閲覧要求に伴う表示処理を制御する。例えば、制御部102b2は、電力使用量の閲覧を要求する操作を(図示しない)操作入力部が受け付けた場合に、電力使用量を表示する。表示処理の際、まず、制御部102b2は、電力使用量の閲覧を要求する閲覧要求コマンドを生成する。そして、通信制御部102b1が、生成した閲覧要求コマンドをMDMS101に送信する。なお、電力使用量の閲覧を希望する期間(閲覧希望期間という)は、予め決められていても良いし、操作入力部を介したユーザの操作入力によって指定されても良い。この閲覧希望期間と、家庭識別情報とは、制御部102b2が生成する閲覧要求コマンドに含まれる。
そして、通信制御部102b1が、MDMS101から、閲覧要求コマンドに含まれる閲覧希望期間に対応する一つ以上の第1の単位時間での電力使用量z(i,j)を受信する。そして、制御部102b2に制御に従って、表示制御部102b7が、受信した電力使用量電力使用量z(i,j)を表示部に表示する。なお、閲覧処理における電力使用量の表示は、ホームサーバ102bに接続されている表示部を利用するようにしたが、家庭内システムに接続される出力端末(図示しない)を利用しても良い。
次に、MDMS101において実現される各種機能について説明する。図6は、MDMS101の機能の構成を例示する図である。図6に示されるように、MDMS101は、通信制御部101aと、制御部101bと、補正部101cと、修正データ系列算出部101dと、変換規則記憶部101eと、電力使用合計値算出部101fと、修正データ系列記憶部101gと、取得部101iと、電力使用量記憶部101jと、を備える。これら構成は、MDMS101の有する通信I/F、MDMS101の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行、及びMDMS101の有するHDD等の記憶部等に確保される記憶領域により実現される。
制御部101bは、MDMS101全体を制御する。
通信制御部101aは、SM102aやEMS103や課金サーバ104やアプリケーションサーバ105などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。例えば、通信制御部101aは、第1の単位時間毎にSM102aにアクセスして、SM102aの電力使用量記憶部102a3に記憶されている電力使用量z(i,j)をSM102aから受信する。他の例としては、通信制御部101aは、ホームサーバ102bから閲覧要求コマンドを受信したり、当該閲覧要求コマンドに応じて、電力使用量z(i,j)をホームサーバ102bに送信する。さらには、通信制御部101aは、制御部101bにより算出された、複数の家庭の第1の単位時間毎の電力使用総量をEMS103に送信する。さらには、通信制御部101aは、課金システム処理の実行を指示する課金処理コマンドを課金サーバ104から受信する。当該課金処理コマンドに応じて、通信制御部101aは、電力使用合計値算出部101fが算出した第2の単位時間の各家庭における電力使用総量を課金サーバ104に送信する。
取得部101iは、通信制御部101aを介して、SM102aから受信した第1の単位時間毎の、様々な電気機器を備えた各家庭システム102で利用された電力使用量を取得する。
電力使用量記憶部101jは、取得部101iがSM102aから取得した第1の単位時間毎の複数の電力使用量を記憶する。
補正部101cは、電力使用量記憶部101jに記憶された電力使用量z(i,j)に誤りがあるか否かを検査し、必要に応じて電力使用量z(i,j)に対する補正量を算出し、当該補正量を用いて電力使用量z(i,j)を補正する。例えば、取得部101iは、同一のSM102aから第1の単位時間毎の電力使用量を取得した後、電力使用量記憶部101jに記憶させる。そして、補正部101cが、電力使用量記憶部101jに記憶させた電力使用量z(i,j)に誤りがあるか否かを検査し、誤りを検出した場合は当該電力使用量z(i,j)を修正した後、再び電力使用量記憶部101jに記憶させる。なお、補正した後の電力使用量についてもz(i,j)と示す。
また、制御部101bは、複数の家庭システム102について補正部101cが補正した後に、電力使用量記憶部101jに記憶させた電力使用量z(i,j)を、第1の単位時間毎に集計し、第1の単位時間(j)毎の複数の家庭の電力使用総量a(j)=Σi z(i,j)を算出する。
修正データ系列算出部101dは、所定の変換規則(A,b)を用いて、電力使用量記憶部101jに記憶させた第1の単位時間毎の電力使用量を示したデータ系列z(i,j)から、集計した電力使用量として修正データ系列記憶部101gに記憶する修正データ系列z'(i,j)を算出する。所定の変換規則(A,b)は、家庭識別情報毎に第1の単位時間毎の電力使用量を時系列順に示した電力使用量z(i,j)に含まれる任意の要素の値に基づいて他の要素の値を異ならせる変換規則であって、当該変換規則による演算で生成された修正データ系列から当該演算前の元の電力使用量z(i,j)の合計値を演算可能とする。
図7は、修正データ系列算出部101dの演算を示した説明図である。図7に示すように、修正データ系列算出部101dは、所定の変換規則(A,b)を用いて、データ系列z(i,j)から、修正データ系列z'(i,j)を算出し、修正データ系列記憶部101gに記憶する。
修正データ系列算出部101dは、各家庭の電力使用量z(i,j)のからなるデータ系列の全ての要素が揃った段階で修正データ系列を算出しても良いし、各家庭の電力使用量z(i,j)からなるデータ系列の一部要素(あるいは電力使用量z(i,j)を受信する毎に)が揃う毎に、修正データ系列を算出しても良い。
修正データ系列記憶部101gは、修正データ系列算出部101dにより算出された、修正データ系列を記憶する。図8は、修正データ系列記憶部101gが備えるテーブル構造の例を示した図である。図8に示すように、修正データ系列記憶部101gは、家庭識別情報毎に、修正データ系列を対応付けて記憶する。
家庭システム102毎(家庭識別情報i)のn個の第1の単位時間での電力使用量からなるデータ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))を、元のデータ系列とする。本実施形態にかかる修正データ系列算出部101dは、所定の変換規則(A,b)を用いて、データ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))から、修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を算出し、修正データ系列記憶部101gで要素毎に予め設定された記憶領域(S[i,1],S[i,2],…,S[i,m])に、修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を記憶する。このように、要素毎の記憶領域(S[i,1],S[i,2],…,S[i,m]を予め設定することで、データ系列の一部が揃う度に修正データ系列を算出できる。
修正データ系列算出部101dが修正データ系列を算出に用いる所定の変換規則(A,b)について説明する。本実施形態にかかる所定の変換規則(A,b)は、m行n列からなる行列Aと、m行からなる列ベクトルbと、で構成されている。そして、修正データ系列算出部101dは以下に示す式(1)で、修正データ系列を算出する。
(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))T=A(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))T+b … (1)
この変換規則(A,b)について説明する。変換規則(A,b)の行列Aは、全ての列において、各列の要素の総和がc[A]が成り立つよう設定されている。変換規則(A,b)の列ベクトルbの全ての要素の和はc[b]となる。この変換規則(A,b)は、SM102a又はMDMS101により設定されるものとする。なお、上付きのTは転置を表す。例えば、(z’(1),z’(2),…,z’(n))Tは、n行からなる列ベクトルをあらわす。
上述したように、修正データ系列の算出は、逐次的に算出しても良いし、複数あるいはすべてのz(i,j)が揃った後に算出しても良い。逐次的に行う場合、まず、(z’(i.1),z’(i,2),…,z’(i,n))を格納するための記憶領域(S[1],S[2],…,S[m])を、(0,0,…,0)で初期化する。そして、取得部101iがz(i,j)を取得する毎に、式(2)に示すように、修正データ系列算出部101dが、Aの第j列A(・:j)とz(i,j)の積を算出し、(S[1],S[2],…,S[m])に加算する。
(S[1],S[2],…,S[m])T=(S[1],z[2],…,S[m])T+A(・:j)*z(i,j) … (2)
そして、全てのz(i,j)を用いた加算が終了した後、修正データ系列算出部101dが、列ベクトルbの各要素を、(S[1],S[2],…,S[m])に加算する。
変換規則記憶部101eは、修正データ系列算出部101dで用いる変換規則(A,b)を記憶する。
電力使用合計値算出部101fは、修正データ系列記憶部101gに記憶された修正データ系列に対して、変換規則(A,b)に対応するものとして予め定められた演算手法で、第2の単位時間毎の元のデータ系列の各要素を合計した、家庭システム102で使用された電力の合計値(電力使用総量)を算出する。本実施形態にかかる電力使用合計値算出部101fは、課金サーバ104からの要求に応じて、第2の単位時間で使用された電力使用総量を算出する。第2の単位時間とは、課金サーバ104が課金処理を行う時間単位であり、例えば1ヶ月とする。このように第2の単位時間は、複数の第1の単位時間を含むものとして設定される。
なお、本実施形態では、各家庭での電力使用量を隠蔽する例について説明するが、隠蔽するのは、電力を使用するスマートメータの集計範囲(集計単位)での電力使用量を隠蔽できれば良く、各家庭の電力使用量に制限するものではない。
ところで、電力使用合計値算出部101fが算出する、家庭システム102毎(i)のデータ系列の要素の総和Σz(i,j)(電力使用総量)と、修正データ系列の要素の総和Σz’(i,j)と、の間に以下に示す式(3)が成り立つ。なお、c[A]は、行列Aの各列の要素の総和であり、c[b]は、列ベクトルbの要素の総和とする。
つまり、データ系列の要素の総和Σz(i,j)(電力使用総量)は、以下に示す式(4)で導き出すことができる。
これにより、電力使用合計値算出部101fは、修正データ系列から、データ系列の要素の総和Σz(i,j)(電力使用総量)を求める際、c[A]及びc[b]を用いることで、電力使用総量を算出できる。換言すれば、本実施形態では、変換規則(A,b)に対応する演算手法において、c[A]及びc[b]を用いることとした。
例えば、m=n=3,c[A]=1,c[b]=0の場合に、以下に示す行列A及び列ベクトルbを用いて、修正データ系列算出部101dが、修正データ系列を算出する。
この場合、例えば、修正データ系列算出部101dは、データ系列(4,2,7)から、修正データ系列(5,2,6)を算出する。そして、電力使用合計値算出部101fは、式(5)から電力使用総量を算出する。
(Σz’(i,j)−c[b])/c[A]=((5+2+6)−0)/1=13 … (5)
この式(5)より算出された13は、Σd[i]=4+2+7=13と一致することが確認できる。
また、m<nの場合、例えばm=2,n=3,c[A]=2,c[b]=1の場合に、以下に示す行列A及び列ベクトルbを用いて、修正データ系列算出部101dが、修正データ系列を算出する。
この場合、例えば、修正データ系列算出部101dは、データ系列(4,2,7)から、修正データ系列(-8,35)を算出する。そして、電力使用合計値算出部101fは、式(6)から電力使用総量を算出する。
(Σz’(i,j)−c[b])/c[A]=((−8+35)−1)/2=13 … (6)
この式(6)より算出された13は、Σd[i]=4+2+7=13と一致することが確認できる。
さらには、m>nのときも同様であり、例えば、m=4,n=3,c[A]=3,c[b]=-1の場合、以下に示す行列A及び列ベクトルbを用いて、修正データ系列算出部101dが、修正データ系列を算出する。
この場合、例えば、修正データ系列算出部101dは、データ系列(4,2,7)から、修正データ系列(35,3,-5,5)を算出する。そして、電力使用合計値算出部101fは、式(7)から電力使用総量を算出する。
(Σz’(i)−c[b])/c[A]=((35+3+(−5)+5−(−1))/3=13 … (7)
この式(7)より算出された13は、Σd[i]=4+2+7=13と一致することが確認できる。
本実施形態にかかるMDMS101では、修正データ系列記憶部101gに修正データ系列として、各家庭の使用電力を記憶することで、第1の単位時間毎の各家庭での電力使用量を隠蔽することができる。
次に、EMS103において実現される各種機能について説明する。EMS103は、第1の単位時間毎の複数の家庭の電力使用量の総和を用いて電力制御を行う。
図9は、EMS103の機能の構成を例示する図である。図9に示すように、EMS103は、通信部103aと、制御部103bと、電力制御判定部103cと、を備える。これら構成は、EMS103の有する通信I/F、EMS103の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行により実現される。
制御部103bは、EMS103全体を制御する。
通信部103aは、MDMS101などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。通信部103aは、第1の単位時間(j)毎の電力使用総量a(j)をMDMS101から受信する。また、通信部103aは、制御部103bの制御の下、SM102aやホームサーバ102bに対して電力の使用を制御する電力制御コマンドを送信する。
電力制御判定部103cは、通信部103aが受信した第1の単位時間における電力使用総量に基づいて、電力制御を行うか否かを判定する。電力制御とは、例えば、電力使用総量が上限閾値を超えている場合には、各家庭での電力の使用を抑制させ、電力使用総量が下限閾値を下回っている場合には、蓄電池に充電することとする。電力制御判定部103cは、各家庭での電力の使用を抑制する制御を行なうと判定した場合、電力の使用の抑制を要求する電力制御コマンドを生成する。そして、通信部103aが、生成した電力制御コマンドをSM102aやホームサーバ102bに送信する。
次に、課金サーバ104において実現される各種機能について説明する。図10は、課金サーバ104の機能の構成を例示する図である。図10に示されるように、課金サーバ104は、通信制御部104aと、制御部104bと、課金処理部104gと、を備える。これら構成は、課金サーバ104の有する通信I/F、課金サーバ104の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行により実現される。
制御部104bは、課金サーバ104全体を制御する。
通信制御部104aは、MDMS101などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。制御部104bの制御に従って、通信制御部104aは、第2単位時間毎にMDMS101に対して、課金システム処理の実行を指示する課金処理コマンドを送信する。また、通信制御部104aは、第2の単位時間毎の各家庭の電力使用総量を、MDMS101から受信する。
課金処理部104gは、通信制御部104aが受信した第2の単位時間毎の、各家庭システム102の第2の電力使用総量に基づいて、課金処理を行う。
次に、本実施形態にかかる電力使用量計算システムの行う処理の手順について説明する。図11は、電力使用量計算システムにおける電力使用総量計算処理の手順を示したシーケンス図である。図11に示す例では、MDMS101は、予め変換規則(A,b)を生成し、変換規則記憶部101eに記憶しておく。変換規則(A,b)は家庭毎に異ならせても良いし、第2の単位時間ごとに異ならせても良い。変換規則(A,b)が家庭毎あるいは第2の単位時間毎に異なる場合、MDMS101の変換規則記憶部101eが、変換規則(A,b)を、家庭識別情報や第2の単位時間を示す情報と対応付けて記憶する。なお、MDMS101が変換規則(A,b)を生成することに制限するものではなく、他の装置から変換規則(A,b)を受信し、変換規則記憶部101eに記憶しても良い。
ホームサーバ102bは、接続されている電気機器102cの電力使用量を、第1の単位時間毎に少なくとも1度はSM102aに書き込み要求を行う(ステップS1101)。これにより、SM102aは、入力された電気機器102cの電力使用量を、(図示しない)補助記憶領域に記憶する。(ステップS1102)。さらに、SM102aは、電気機器102dからの要求に従って、電気機器102dの電力使用量を、第1の単位時間毎に少なくとも1度、(図示しない)補助記憶領域に記憶する(ステップS1103)。なお、ステップS1102及びステップS1103の制御は、SM102aが自発的行っても良い。
さらに、SM102aは、書き込まれた電気機器102c,102dの電力使用量を第1の単位時間毎に集計して、電力使用量記憶部102a3に記憶する(ステップS1104)。
MDMS101の通信制御部101aは、第1の単位時間に少なくとも一度、SM102aにアクセスし、電力使用量記憶部102a3に記憶された電力使用量z(i,j)を受信する(ステップS1105)。その際、通信制御部101aは、家庭システム102に付与された家庭識別情報も、SM102aから受信する。
制御部101bは、受信した電力使用量z(i,j)を、電力使用量記憶部101jに記憶する(ステップS1106)。その際、家庭識別情報も、電力使用量z(i,j)と対応付けて記憶される。
そして、補正部101cが、電力使用量記憶部101jに記憶された、家庭システム102毎の電力使用量z(i,j)に誤りがあるか否かを検査し、誤りを検出した場合には補正量を算出し、当該補正量を用いて電力使用量z(i,j)を補正する(ステップS1107)。そして、補正部101cが補正した電力使用量z(i,j)は、再び電力使用量記憶部101jに記憶される。MDMS101は、補正した値をSM102aに送信しても良い。
例えば、MDMS101の補正部101cは、同一家庭システム102の複数のj’についての電力使用量z(i,j’)を用いて、電力使用量z(i,j)の誤りを検出して補正する。なお、補正部101cは、電力使用量z(i,j)の誤り検出と、補正と、を行うために、「j’>j」となる電力使用量z(i,j’)を用いてもよい。例えば、補正部101cは、SM102aから受信した第1の単位時間「j-1」の電力使用量z(i,j-1)と、SM102aから受信した第1の単位時間「j+1」の電力使用量z(i,j+1)と、を用いて以下の手順で、第1の単位時間jの電力使用量z(i,j)の誤り検出と補正とを行う。
MDMS101の通信制御部101aは、第1の単位時間が経過する毎にSM102aからz(i,j-1),z(i,j),z(i,j+1)を受信する。その後、MDMS101の補正部101cは、予め定められた閾値thを用いて誤り検出を行う。例えば、補正部101cは、受信した電力使用量z(i,j)が、「((z(i,j-1)+z(i,j+1))/2)±th」の範囲に含まれているか否かを判定する。そして、補正部101cは、当該範囲に含まれている場合に正常値とみなし、含まれていない場合には誤りがあるとして電力使用量z(i,j)を「(z(i,j-1)+z(i,j+1))/2」に補正する。
また、電力使用量z(i,j)の誤り検出と補正を行うために「j’>j」となる電力使用量z(i,j’)を用いる場合、ステップS1108以降の処理は、SM102aから電力使用量z(i,j’)を読み出して、補正部101cにより電力使用量z(i,j)の誤り検出と補正とが行われた後に、実行されても良い。なお、EMS103による電力制御など即時性が求められる一部の処理は、電力使用量z(i,j)の誤り検出と補正と、を行わずに実行されても良い。
MDMS101の修正データ系列算出部101dは、家庭システム102の電力使用量z(i,j)と、変換規則記憶部101eに記憶された変換規則(A,b)と、に基づいて、修正データ系列を算出する(ステップS1108)。なお、上述したように、修正データ系列の算出のタイミングは制限されるものではなく、例えば、データ系列の一部(1つ以上の第1の単位時間における電力使用量)を受信した後に、修正データ系列を算出しても良い。なお、変換規則(A,b)が家庭毎又は第2の単位時間毎に異なる場合、修正データ系列算出部101dは、家庭識別情報又は第2の単位時間と対応付けられた変換規則(A,b)を利用する。
また、MDMS101の制御部101bは、複数の家庭システム102の電力使用量z(i,j)を集計して、第1の単位時間(j)毎の複数家庭の電力使用総量「a(j)=Σi z(i,j)」を算出し、通信制御部101aを介して、第1の単位時間毎の複数家庭の電力使用総量a(j)をEMS103に送信する(ステップS1109)。なお、以上のステップS1106〜S1109で示した処理は、いずれの順番で実行されても良い。
そして、MDMS101の修正データ系列算出部101dは、算出した修正データ系列を、修正データ系列記憶部101gに記憶する(ステップS1110)。当該記憶が終了した後、誤り検出及び補正、並びに修正データ系列の算出(更新)に電力使用量z(i,j)が用いられることがなければ、MDMS101の制御部101bは、電力使用量z(i,j)を、作業領域として一時的に記憶していたRAM(主記憶部)から削除しても良い。
EMS103の通信部103aは、MDMS101から、第1の単位時間毎に集計された複数の家庭の電力使用総量a(j)を受信し、例えば主記憶部に記憶する(ステップS1111。電力使用総量a(j)は、第1の単位時間が経過する毎にMDMS101から受信しても良いし、複数の第1の単位時間が経過した後に対応する複数の電力使用総量を受信しても良い。
その後、EMS103は、第1の単位時間毎の電力使用総量a(j)に基づいて電力制御を行う(ステップS1112)。ステップS1112の後、EMS103は、第1の単位時間毎の電力使用総量a(j)を主記憶部から削除しても良い。
次に、電力使用量計算システムの行う課金システム処理の手順について説明する。図11に示した電力使用総量計算処理が実行されると、第1の単位時間毎の使用電力量を格納した修正データ系列が、修正データ系列記憶部101gに記憶される。そして、第2の単位時間を経過する度に、課金サーバ104は、MDMS101から、各家庭の第2の単位時間で使用された電力使用総量を受信して、課金処理を行う。図12は、電力使用量計算システムにおける、課金処理を含む課金システム処理の手順を示したシーケンス図である。
まず、課金サーバ104は、第2の単位時間毎に、MDMS101に対して課金システム処理の実行を指示する課金処理コマンドを送信する(ステップS1201)。課金処理コマンドでは、課金処理の対象となる第2の単位時間と、家庭識別情報と、が指定されている。なお、課金処理コマンドの送信は、課金サーバ104からではなく、MDMS101から課金サーバ104に送信しても良い。
MDMS101の通信制御部101aが、課金処理コマンドを受信すると、電力使用合計値算出部101fが、指定された家庭識別情報および第2の単位時間に対応した電力使用量の修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…, z’(i,m))を、修正データ系列記憶部101gから読み出す(ステップS1202)。さらに、電力使用合計値算出部101fが、変換規則(A,b)に対応する変換手法のパラメータである総和c[A]と、bの要素の総和c[b]と、を読み出す(ステップS1203)。
MDMS101の電力使用合計値算出部101fは、総和c[A]と、総和c[b]と、修正データ系列と、を用いて、以下に示す式(8)で、第2の単位時間に使用された電力使用総量を算出(復元)する(ステップS1204)。
Σj z(i,j)=(Σ(j’) z’(i,j’)−c[b])/c[A] … (8)
インデックスiは、家庭識別情報に対応する。インデックスjは、第2の単位時間におけるデータ系列の各要素に対応し、1からnの値をとる。インデックスj’は、第2の単位時間における修正データ系列の各要素に対応し、1からmまでの値をとる。
そして、MDMS101の通信制御部101aは、算出した第2の単位時間の電力使用総量Σj z(i,j)を、課金サーバ104に送信する(ステップS1205)。なお、MDMS101は、電力使用総量Σj z(i,j)を、課金サーバ104に送信して所定の時間が経過した後、修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…, z’(i,m))を修正データ系列記憶部101gから削除しても良い。ここで、所定の時間とは、課金サーバ104から第2電力使用総量の再送を受け付ける可能性がある期間であり、例えば3ヶ月などである。
課金サーバ104は、受信した電力使用総量に基づいて、家庭毎に、第2の単位時間で利用された電力量に対応する課金処理を行う(ステップS1206)。
以上のように、本実施形態のMDMS101では、家庭毎の各第1の単位時間における電力使用量が、変換規則(A,b)を用いて修正データ系列に変換された後に、修正データ系列記憶部101gに記憶される。そして、修正データ系列記憶部101gに記憶された修正データ系列を参照するだけでは、第1の単位時間毎の各家庭の電力使用量を復元できない。すなわち、MDMS101の管理者の誤処理、アクセス制御の誤設定、不正侵入などにより修正データ系列が漏洩したとしても、家庭毎の各第1の単位時間毎の電力使用量を漏洩することを抑止できる。そのため、第三者が、漏洩した修正データ系列から、時間に応じて在宅しているか否かや活動の様子などを推測することができず、各家庭のプライバシーを保護できる。
また、本実施形態にかかるEMS103は、アプリケーションサーバとして第1の単位時間における複数の家庭での電力使用総量を用いて電力制御を行う。このため、本実施形態においては、MDMS101が家庭毎の第1の単位時間における電力使用量から、複数の家庭での第1の単位時間における電力使用量の総量を算出し、算出結果をEMS103に送信する。その結果、EMS103は、複数の家庭での第1の単位時間における電力使用総量を把握できるが、家庭毎の各第1の単位時間における電力使用量を把握できないため、各家庭のプライバシーを保護することができる。
また、本実施形態においては、アプリケーションサーバとして、第2の単位時間における家庭毎の電力使用総量で課金処理を行う課金サーバ104を用いた例について説明した。本実施形態においては、MDMS101が家庭毎の各第1の単位時間における電力使用量から、家庭毎の第2の単位時間毎の電力使用総量を算出し、算出結果を課金サーバ104に送信している。その結果、課金サーバ104は、家庭毎の第2の単位時間毎の電力使用総量を把握できるが、家庭毎の第1の単位時間毎の電力使用量を把握できないため、各家庭のプライバシーを保護できる。
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態では、変換規則に用いる行列Aは、各列の要素の総和がc[A]が成り立てば、どのような行列であっても良いものとした。これに対し、第1の実施形態の変形例1で変換規則として用いる行列Aは、各列の要素の総和がc[A]が成り立つ上、正則行列である場合について説明する。
図13は、第1の実施形態の変形例1にかかるMDMS101の機能の構成を例示する図である。図13に示す第1の実施形態の変形例1にかかるMDMS101は、第1の実施形態のMDMS101と比べて、データ系列再算出部101hが追加されている。なお、本変形例にかかる電力使用量計算システムのうち、他のシステム、及び機能構成は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
データ系列再算出部101hは、修正データ系列に対して、変換規則記憶部101eが記憶する変換規則(A,b)に含まれている正則行列Aの逆行列を用いて、元のデータ系列を算出する。このように、本変形例では、変換規則(A,b)に含まれている行列Aが正則行列のため、逆行列を導き出すことができる、換言すれば、逆行列を用いることで、修正データ系列から、元のデータ系列を算出できる。
このように、第1の実施形態の変形例1にかかるMDMS101は、家庭からの電力使用量閲覧要求に対して、当該家庭で第1の単位時間毎の電力使用量を示す、元のデータ系列を送信できる。
変換規則記憶部101eが記憶する変換規則(A,b)は、外部から参照できない領域に記憶される。または、変換規則記憶部101eは、暗号化した変換規則(A,b)を記憶する。これにより、不正な第三者が変換規則(A,b)を閲覧し、元のデータ系列を算出することを抑止する。
なお、電力使用総量計算処理、及び課金処理は第1の実施形態で示した手順と同様として説明を省略する。そして、第1の実施形態の図12で示した課金システム処理において、MDMS101は、所定の時間(課金サーバ104から電力使用総量の再送を受け付ける可能性がある期間)が経過した後、修正データ系列を修正データ系列記憶部101gから削除してもよいと説明した。これに対し、本変形例では、SM102aからの閲覧要求処理に回答するために、課金サーバ104から電力使用総量の再送を受け付ける可能性がある期間、あるいは家庭システム102から閲覧要求処理を受け付ける可能性がある期間だけ、当該修正データ系列を記憶することとした。この記憶期間としては例えば10年等とする。
次に、本変形例にかかる電力使用量計算システムが行う閲覧要求処理の手順について説明する。なお、閲覧要求処理が行われる前に、電力使用総量計算処理が実行されており、各家庭の第1の単位時間毎の電力使用量からなる修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,n))が、家庭識別情報と対応付けて修正データ系列記憶部101gに記憶されているものとする。図14は、電力使用量計算システムにおける閲覧要求処理の手順を示したシーケンス図である。
家庭システム102のホームサーバ102bは、電力使用量の閲覧を要求する閲覧要求コマンドReq_iをMDMS101に送信する(ステップS1401)。
そして、MDMS101の通信制御部101aが閲覧要求コマンドReq_iを受信した場合、データ系列再算出部101hが、閲覧要求コマンドReq_iによって指定された家庭識別情報と閲覧要求期間と対応付けて記憶されている修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を読み出す(ステップS1402)。さらに、データ系列再算出部101hが、変換規則(A,b)を、変換規則記憶部101eから読み出す(ステップS1403)。なお、閲覧要求期間が複数の第2の単位時間にわたる場合には、対応する複数の修正データ系列と変換規則と、を読み出す。
MDMS101のデータ系列再算出部101hは、変換規則(A,b)に含まれる正規行列Aの逆行列等を用いて、修正データ系列から、電力使用量を時系列順に示した元のデータ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))を算出する(ステップS1404)。算出に用いた式(9)を以下に示す。
(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))=A-1((z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))−b) …(9)
ここで、A-1はAの逆行列とする。A-1は、Aを生成するときに予め算出してAとともに、変換規則記憶部101eに記憶してもよいし、閲覧要求に応じて正規行列Aから算出してもよい。
そして、MDMS101の通信制御部101aは、算出した元のデータ系列のうち、閲覧要求期間に対応するz(i,k),z(i,k+1),…,z(i,l)を、ホームサーバ102bに送信する(ステップS1405)。なお、1<k<l<nとする。
ホームサーバ102bは、MDMS101から受信したz(i,k),z(i,k+1),…,z(i,l)を表示部に表示処理する(ステップS1406)。これにより、閲覧要求処理を終了する。
第1の実施形態の変形例では、変換規則を参照できないように記憶しているため、第1の実施形態と同様に、修正データ系列を参照するだけでは、各家庭における、第1の単位時間毎の電力使用量を算出できない。これにより、各家庭のプライバシーを保護することができる。また、第1の実施形態と同様に、変形例においてもEMS103や課金サーバ104に対しても、各家庭のプライバシーを保護することができる。
(第1の実施形態の変形例2)
また、上述した実施形態及び変形例では、変換規則として、(変換)行列を用いた例について説明した。しかしながら、変換規則を、行列を用いることに制限するものではない。
そこで、第1の実施形態の変形例2では、行列を用いた変換を行わない場合について説明する。本変形例の修正データ系列算出部101dは、データ系列z(i,1),z(i,2),…,z(i,n)に対して、予め定められた規則で順番を入れ替えて、修正データ系列z'(i,1),z'(i,2),…,z'(i,n)を生成する。このようにして生成された修正データ系列z'(i,1),z'(i,2),…,z'(i,n)は、電力使用合計値算出部101fが、修正データ系列の各要素を合計することで、データ系列の合計値を算出できる。
このように、データ系列の各要素をシャッフルして生成した修正データ系列であっても、第三者が、各家庭の時系列に従った電力使用量を認識できないため、プライバシーを保護することができる。また、修正データ系列の生成する際の演算、及び電力使用総量を算出が容易になるため、MDMS101の処理負担を軽減できる。なお、このようなデータ系列の各要素のシャッフルは、変換規則(A,b)の行列Aが各行各列に‘1’が1つずつ存在する正則行列による演算と把握することもできる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、MDMSが1台のサーバである場合について説明した。しかしながら、MDMSが1台のサーバであることに制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、電力使用量計算システムのMDMSに複数台のサーバを適用した例について説明する。なお、上述の第1の実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
そこで、第2の実施形態にかかる電力使用量計算システムでは、修正データ系列の算出と、修正データ系列の記憶と、を異なるサーバで実行する例とする。
図15は、第2の実施形態にかかる電力使用量計算システムの構成を例示する図である。図15に示すように、電力使用量計算システムは、データ集計サーバ106、データ系列変換サーバ107と、修正データ系列管理サーバ108と、からなるメータデータ管理システム(MDMS)と、家庭システム102と、エネルギー管理システム(EMS)103と、課金サーバ104と、を備え、これらがネットワーク等を介して接続される構成とする。なお、図面の簡略化のため、家庭システム102は1つしか図示していないが、電力使用量計算システムには、複数の家庭システム102が接続され得る。
データ集計サーバ106は、ネットワーク等を介して各家庭の電力使用量を収集し、必要に応じて電力使用総量(電力使用量の合計値)を算出し、他のサーバ等に対して送信する。例えば、データ集計サーバ106は、複数の家庭の電力使用量に基づき、第1の単位時間毎の複数の家庭の電力使用総量を算出し、EMS103に送信する。他の例としては、データ集計サーバ106は、修正データ系列から、第2の単位時間毎の各家庭の電力使用総量を算出し、課金サーバ104に送信する。そして、データ集計サーバ106は、修正データ系列から、第2の単位時間毎の各家庭の電力使用総量を算出する際、元の第1の単位時間毎の電力使用量からなるデータ系列を復元せずとも、各家庭の電力使用総量を算出できるため、プライバシー情報が漏洩することを抑止できる。
データ系列変換サーバ107は、各家庭の第1の単位時間毎の電力使用量と、上述した変換規則(A,b)と、に基づき、修正データ系列を算出する。算出手法については、第1の実施形態で説明した手法と同様として説明を省略する。
修正データ系列管理サーバ108は、データ系列変換サーバ107により算出された修正データ系列を記憶して、管理する。
次に、データ集計サーバ106と、データ系列変換サーバ107と、修正データ系列管理サーバ108と、のハードウェア構成を説明する。データ集計サーバ106と、データ系列変換サーバ107と、修正データ系列管理サーバ108と、は装置全体の制御や基本演算を実行するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部と、CD(Compact Disk)ドライブ装置等の補助記憶部と、ネットワーク等を介して通信を行う通信I/F(Interface)と、これらを接続するバスと、を備えている、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成とする。
次に、このようなハードウェア構成において、データ集計サーバ106、データ系列変換サーバ107、修正データ系列管理サーバ108のそれぞれにおいて実現される各種機能について説明する。
まず、データ集計サーバ106において実現される各種機能について説明する。図16は、データ集計サーバ106の機能の構成を例示する図である。図16に示すように、データ集計サーバ106は、通信制御部106a、制御部106b、補正部106c、電力使用合計値算出部106fと、取得部106gと、電力使用量記憶部106iと、を備える。これらの構成は、データ集計サーバ106の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行、データ集計サーバ106が有する(図示しない)通信I/Fの利用、及びデータ集計サーバ106の有するHDD等の記憶部等に確保される記憶領域により実現される。
制御部106bは、データ集計サーバ106全体を制御する。
通信制御部106aは、SM102aやEMS103や課金サーバ104やアプリケーションサーバ105などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。例えば、通信制御部106aは、第1の単位時間毎にSM102aにアクセスして、SM102aの電力使用量記憶部102a3に記憶されている、第1の単位時間毎の電力使用量z(i,j)をSM102aから受信する。他の例としては、通信制御部101aは、ホームサーバ102bから閲覧要求コマンドを受信したり、当該閲覧要求コマンドに応じて、電力使用量z(i,j)をホームサーバ102bに送信する。さらには、通信制御部106aは、制御部106bにより算出された、複数の家庭の第1の単位時間毎の電力使用総量をEMS103に送信する。さらには、通信制御部101aは、課金システム処理の実行を指示する課金処理コマンドを課金サーバ104から受信する。当該課金処理コマンドに応じて、通信制御部101aは、電力使用合計値算出部101fが算出した第2単位時間毎の各家庭における電力使用総量を課金サーバ104に送信する。
取得部106gは、通信制御部106aを介して、SM102aから受信した第1の単位時間毎の、様々な電気機器を備えた各家庭システム102で利用された電力使用量を取得する。
電力使用量記憶部106iは、取得部106gがSM102aから取得した第1の単位時間毎の複数の電力使用量を記憶する。
補正部106cは、電力使用量記憶部106iに記憶された電力使用量z(i,j)に誤りがあるか否かを検査し、必要に応じて電力使用量z(i,j)に対する補正量を算出し、当該補正量を用いて電力使用量z(i,j)を補正する。具体的な補正の方法については第1の実施形態と同様とする。
また、制御部106bは、複数の家庭システム102について補正部106cが補正した後に、電力使用量記憶部106iに記憶させた電力使用量z(i,j)を、第1の単位時間毎に集計し、第1の単位時間毎の複数の家庭の電力使用総量a(j)=Σi z(i,j)を算出する。
電力使用合計値算出部106fは、修正データ系列管理サーバ108から受信した修正データ系列に対して、データ系列変換サーバ107が変換に用いる変換規則(A,b)に対応するものとして予め定められた演算手法で、第2の単位時間毎の元のデータ系列の各要素を合計した、家庭システム102で使用された電力の合計値(電力使用総量)を算出する。
次に、データ系列変換サーバ107において実現される各種機能について説明する。図17は、データ系列変換サーバ107の機能の構成を例示する図である。図17に示されるように、データ系列変換サーバ107は、通信制御部107a、制御部107b、修正データ系列算出部107dと、を有する。これら構成は、データ系列変換サーバ107の有する通信I/F、MDMS101の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行により実現される。
通信制御部107aは、データ集計サーバ106などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。
変換規則記憶部107eは、修正データ系列算出部107dで用いる変換規則(A,b)を記憶する。
修正データ系列算出部107dは、上述した変換規則(A,b)を用いて、通信制御部107aが受信した第1の単位時間毎の各家庭の電力使用量を示したデータ系列z(i,j)から、修正データ系列を算出する。前述したとおり、修正データ系列算出部107dは、各家庭の電力使用量を示すデータ系列z(i,j)がすべて揃った段階で修正データ系列を算出しても良いし、各家庭の電力使用量を示すデータ系列z(i,j)の一部(あるいは電力使用量z(i,j)を受信する毎に)が揃った後に修正データ系列を算出しても良い。
次に、修正データ系列管理サーバ108において実現される各種機能について説明する。図18は、修正データ系列管理サーバ108の機能の構成を例示する図である。図18に示されるように、修正データ系列管理サーバ108は、通信制御部108aと、制御部108bと、修正データ系列記憶部108cと、を有する。これら構成は、修正データ系列管理サーバ108の有する通信I/F、修正データ系列管理サーバ108の有するCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムの実行、及び修正データ系列管理サーバ108の有するHDD等の記憶部等に確保される記憶領域により実現される。
制御部108bは、修正データ系列管理サーバ108全体を制御する。
通信制御部108aは、データ集計サーバ106などの他の機器との通信を制御する。他の機器との通信においては、TLS/SSLやSIP(Session Initiation Protocol)などの暗号通信を行っても良い。
修正データ系列記憶部108cは、データ系列変換サーバ107で算出された修正データ系列を通信制御部108aが受信した場合に、当該修正データ系列を家庭識別情報と対応付けて記憶する。
次に、本実施形態にかかる電力使用量計算システムの行う処理の手順について説明する。まず、電力使用総量計算処理の手順について図19を用いて説明する。図19に示す例では、データ系列変換サーバ107は、予め変換規則(A,b)を生成し、変換規則記憶部101eに記憶しておく。変換規則(A,b)は家庭毎に異ならせても良いし、第2の単位時間ごとに異ならせても良い。変換規則(A,b)が家庭毎あるいは第2の単位時間毎に異なる場合、MDMS101の変換規則記憶部101eが、変換規則(A,b)を、家庭識別情報や第2の単位時間を示す情報と対応付けて記憶する。なお、MDMS101が変換規則(A,b)を生成することに制限するものではなく、他の装置から変換規則(A,b)を受信し、変換規則記憶部101eに記憶しても良い。
そして、第1の実施形態の図11のステップS1101〜S1104までと同様に、SM102aが、家庭システム102の電力使用量を第1の単位時間毎に集計して、電力使用量記憶部102a3に記憶するところまで行う(ステップS1901〜S1904)。
データ集計サーバ106の通信制御部106aは、第1の単位時間に少なくとも一度、SM102aにアクセスし、電力使用量記憶部102a3に記憶された電力使用量z(i,j)を受信する(ステップS1905)。その際、通信制御部106aは、家庭システム102に付与された家庭識別情報も、SM102aから受信する。
データ集計サーバ106の制御部106bは、受信した電力使用量z(i,j)を、電力使用量記憶部106iに記憶する(ステップS1906)。その際、家庭識別情報も、電力使用量z(i,j)と対応付けて記憶される。
そして、補正部106cが、電力使用量記憶部106iに記憶された、家庭システム102毎の電力使用量z(i,j)について補正し(ステップS1907)、補正した電力使用量z(i,j)を、再び電力使用量記憶部106iに記憶する。
そして、データ集計サーバ106の通信制御部106aが、電力使用量記憶部106iに記憶されていた電力使用量z(i,j)を、データ系列変換サーバ107に送信する(ステップS1908)。なお、家庭毎あるいは第2の単位時間毎に異なる変換規則を生成している場合には、データ集計サーバ106は、家庭識別情報あるいはz(i.j)の計測時間を電力使用量z(i,j)とともに送信しても良い。
また、データ集計サーバ106の制御部106bは、複数の家庭システム102の電力使用量z(i,j)を集計して、第1の単位時間毎の複数家庭の電力使用総量「a(j)=Σi z(i,j)」を算出し、通信制御部101aを介して、第1の単位時間毎の複数家庭の電力使用総量a(j)をEMS103に送信する(ステップS1909)。なお、以上のステップS1906〜S1909は、一連の処理である。S1906〜S1909は、いずれの順番で実行されても良い。さらに、S1906〜S1909はが実行され、以後の誤り検出及び補正に電力使用量z(i,j)が用いられることがなければ、データ集計サーバ106は電力使用量z(i,j)を、電力使用量記憶部106iから削除しても良い。
データ系列変換サーバ107の修正データ系列算出部107dは、データ集計サーバ106から電力使用量z(i,j)を受信した場合、受信したデータ系列z(i,j)と、変換規則記憶部107eに記憶されている変換規則変換規則(A,b)に基づいて、修正データ系列を算出する(ステップS1910)。そして、データ系列変換サーバ107の通信制御部107aが、算出した修正データ系列と、家庭識別情報と、を修正データ系列管理サーバ108に送信する(ステップS1911)。通信制御部107aは、データ集計サーバ106を介して修正データ系列を修正データ系列管理サーバ108に送信しても良いし、データ系列変換サーバ107と修正データ系列管理サーバ108がネットワークなどで接続されている場合には修正データ系列を修正データ系列管理サーバ108に直接送信しても良い。なお、通信制御部107aによる送信手法としては、第1の実施形態と同様に様々な手法を用いて良い。
修正データ系列管理サーバ108の通信制御部108aは、修正データ系列を受信した場合、受信した修正データ系列を修正データ系列記憶部108cに記憶する(ステップS1912)。その際、修正データ系列は、家庭識別情報と対応付けて記憶される。記憶するタイミングは第1の実施形態と同様とし、説明を省略する。
EMS103の通信部103aは、第1の単位時間(j)毎に集計された複数の家庭の電力使用総量a(j)を受信し、例えば主記憶部に記憶する(ステップS1913)。電力使用総量a(j)は、第1の単位時間(j)が経過する毎にデータ集計サーバ106から受信しても良いし、複数の第1の単位時間が経過した後に対応する複数の電力使用総量をデータ集計サーバ106から受信しても良い。
その後、EMS103は、第1の単位時間(j)毎の電力使用総量a(j)に基づいて電力制御を行う(ステップS1914)。ステップS1914の後、EMS103は、電力使用総量a(j)を主記憶部から削除しても良い。
次に、電力使用量計算システムの行う課金システム処理の手順について説明する。図19に示した電力使用総量計算処理が実行されると、第1の単位時間毎の使用電力量を格納した修正データ系列が、修正データ系列記憶部108cに、家庭識別情報と対応付けて記憶される。そして、第2の単位時間を経過する度に、課金サーバ104は、MDMS101から、各家庭の第2の単位時間で使用された電力使用総量を受信して、課金処理を行う。図20は、電力使用量計算システムにおける、課金処理を含む課金システム処理の手順を示したシーケンス図である。
まず、課金サーバ104は、第2の単位時間毎に、データ集計サーバ106に対して課金システム処理の実行を指示する課金処理コマンドを送信する(ステップS2001)。課金処理コマンドでは、課金処理の対象となる第2の単位時間と、家庭識別情報とが指定される。なお、課金処理コマンドの送信は、課金サーバ104からではなく、データ集計サーバ106から課金サーバ104に対して送信しても良い。
データ集計サーバ106の通信制御部106aは、データ系列変換サーバ107に対して、変換規則(A,b)に対応する変換手法として用いるパラメータの送信を、データ系列変換サーバ107に要求する(ステップS2002)。次に、通信制御部106aは、第2の単位時間分の修正データ系列の送信要求を、修正データ系列管理サーバ108に要求する(ステップS2003)。なお、送信要求には家庭識別情報が指定されているものとする。なお、ステップS2002及びステップS2003はいずれの順序で処理を行っても良い。
そして、修正データ系列管理サーバ108の制御部108bは、指定された家庭識別情報及び第2の単位時間で識別される修正データ系列を修正データ系列記憶部108cから読み出す(ステップS2004)。
一方、データ系列変換サーバ107の制御部107bは、パラメータの送信要求に従って、変換規則(A,b)を読み出す(ステップS2005)。その後、制御部107bは、読み出した変換規則(A,b)から、電力使用総量の算出に用いるパラメータである、Aの各列の要素の総和c[A]と、bの要素の総和c[b]と、を算出する(ステップS2006)。なお、変換規則(A,b)が家庭や第2の単位時間毎に異なる場合、データ系列変換サーバ107は、送信要求に適したc[A]とc[b]とを算出する。
そして、データ系列変換サーバ107の通信制御部107aが、算出した総和c[A]と、総和c[b]と、を送信する(ステップS2007)。なお、データ集計サーバ106は、データ系列変換サーバ107からc[A],c[b]を受信するのではなく、データ系列変換サーバ107から変換規則(A,b)を受信し、c[A],c[b]を算出しても良い。
その後、修正データ系列管理サーバ108の通信制御部108aが、読み出した修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を、データ集計サーバ106に送信する(ステップS2008)。なお、ステップS2007、S2008はいずれの順番で処理されても良い。
そして、データ集計サーバ106の電力使用合計値算出部106fは、第2の単位時間の各家庭の電力使用総量を、受信した総和c[A]及び総和c[b](パラメータ)と、修正データ系列と、を用いて、以下の式(10)で算出(復元)する(ステップS2009)。
Σj z(i,j)=(Σ(j’) z’(i,j’)−c[b])/c[A] … (10)
インデックスiは、家庭識別情報に対応する。インデックスjは、第2の単位時間におけるデータ系列の各要素に対応し、1からnの値をとる。インデックスj’は、第2の単位時間における修正データ系列の各要素に対応し、1からmまでの値をとる。
そして、データ集計サーバ106の通信制御部106aは、算出した第2の単位時間の電力使用総量Σj z(i,j)を、課金サーバ104に送信する(ステップS2010)。なお、修正データ系列管理サーバ108が、第2の単位時間の電力使用総量Σj z(i,j)を課金サーバ104に送信して所定の時間が経過した後、修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を修正データ系列記憶部108cから削除しても良い。ここで、所定の時間とは、課金サーバ104から電力使用総量の再送を受け付ける可能性がある期間であり、例えば3ヶ月等とする。
そして、課金サーバ104は、第2の単位時間の電力使用総量Σj z(i,j)に基づいて、各家庭に対する課金処理を行う(ステップS2011)。
以上のように、本実施形態にかかる電力使用量計算システムでは、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる他、機能毎にサーバを設けることにしたため、1台あたりの処理負担を軽減すると共に、変換規則や修正データ系列を異なるサーバで分散管理するため、安全性を向上させることができる。
(第2の実施形態の変形例1)
第2の実施形態の変形例1は、第2の実施形態と同様、MDMSを複数の装置で構成した上で、第1の実施形態の変形例1と同様に、データ系列変換サーバ107が変換規則(A,b)として正則行列Aを用いる例とする。このように、正則行列Aを用いることで、修正データ系列から元のデータ系列を算出できるので、家庭からの電力使用量閲覧要求に対して、元のデータ系列を送信できる。
図21は、第2の実施形態の変形例1にかかるデータ系列変換サーバ107の機能の構成を例示する図である。図21に示す第2の実施形態の変形例2にかかるデータ系列変換サーバ107は、第2の実施形態のデータ系列変換サーバ107と比べて、データ系列再算出部107fが追加されている。なお、本変形例にかかる電力使用量計算システムのうち、他のシステム及び機能構成は、第2の実施形態と同様なため説明を省略する。
データ系列再算出部107fは、修正データ系列に対して、変換規則記憶部107eが記憶する変換規則(A,b)に含まれている正則行列Aの逆行列を用いて、元のデータ系列を算出する。このように、本変形例では、正則行列Aを記憶することとしたため、正則行列Aの逆行列を導き出すことができる。この逆行列を用いることで、修正データ系列から、元のデータ系列を算出できる。
なお、電力使用総量計算処理、及び課金処理は第2の実施形態で示した手順と同様として説明を省略する。また、電力使用総量計算処理で用いる、変換規則(A,b)は家庭毎に異なっても良いし、第2の単位時間ごとに異なっていても良い。変換規則(A,b)が家庭毎あるいは第2の単位時間毎に異なる場合、データ系列変換サーバ107は、変換規則(A,b)を家庭識別情報や第2の単位時間を示す情報と対応付けて変換規則記憶部107eに記憶する。次に、本変形例にかかる電力使用量計算システムが行う閲覧処理の手順について説明する。
なお、閲覧要求処理が行われる前に、電力使用総量計算処理が実行されており、各家庭の第1の単位時間毎の電力使用量からなる修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,n))が、家庭識別情報と対応付けて修正データ系列記憶部101gに記憶されているものとする。また、変換規則記憶部107eは、正則行列Aを含む変換規則(A,b)を既に記憶している。図22は、電力使用量計算システムにおける閲覧要求処理の手順を示したシーケンス図である。
家庭システム102のホームサーバ102bは、電力使用量の閲覧を要求する閲覧要求コマンドReq_iをデータ集計サーバ106に送信する(ステップS2201)。
データ集計サーバ106の通信制御部106aが、閲覧要求コマンドReq_iを受信した場合閲覧要求コマンドReq_iによって指定された家庭識別情報と閲覧要求期間に対応する修正データ系列の送信要求を、修正データ系列管理サーバ108に送信する(ステップS2202)。
そして、修正データ系列管理サーバ108の通信制御部108aが修正データ系列の送信要求を受信した場合、送信要求に含まれている家庭識別情報と閲覧要求期間と対応付けて記憶されている修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))を読み出す(ステップS2203)。
修正データ系列管理サーバ108の通信制御部108aは、送信要求で指示した家庭識別情報と閲覧要求期間に対応する修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…, z’(i,m))をデータ集計サーバ106に送信する(ステップS2204)。なお、閲覧要求期間が複数の第2の単位時間にわたる場合には、対応する複数の修正データ系列を送信する。
データ集計サーバ106の通信制御部106aは、受信した修正データ系列(z’(i,1),z’(i,2),…,z’(i,m))と、家庭識別情報と、閲覧要求期間と、をデータ系列変換サーバ107に送信する(ステップS2205)。
データ系列変換サーバ107のデータ系列再算出部107fは、変換規則(A,b)を変換規則記憶部107eから読み出す(ステップS2206)。
データ系列変換サーバ107のデータ系列再算出部107fは、変換規則(A,b)に含まれる正規行列Aの逆行列等を用いて、修正データ系列から、電力使用量を時系列順に示した元のデータ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))を算出する(ステップS2207)。データ系列再算出部107fが算出に用いた式は、上述した式(9)と同様とする。
そして、データ系列変換サーバ107の通信制御部107aは、算出した元のデータ系列をデータ集計サーバ106に送信する(ステップS2208)。
その後、データ集計サーバ106の通信制御部106aは、受信した元のデータ系列のうち、閲覧要求期間に対応するz(i,k),z(i,k+1),…,z(i,l)を、ホームサーバ102bに送信する(ステップS2209)。なお、1<k<l<nとする。
ホームサーバ102bは、データ集計サーバ106から受信したz(i,k),z(i,k+1),…,z(i,l)を表示部に表示処理する(ステップS1405)。これにより、閲覧要求処理を終了する。
第2の実施形態の変形例1にかかる電力使用量計算システムでは、第2の実施形態で得られる効果の他に、第1の実施形態の変形例1で示された効果を得ることができる。
(第2の実施形態の変形例2)
上述した第2の実施形態及び当該実施形態の変形例1では、データ集計サーバ106と、データ系列変換サーバ107と、修正データ系列管理サーバ108と、が第1の実施形態のMDMS101の役割を果たした例について説明した。第2の実施形態及び当該実施形態の変形例1では、データ集計サーバ106と、データ系列変換サーバ107と、修正データ系列管理サーバ108と、が個別のサーバとして備える例について説明したがこのような構成に制限するものではない。例えば、データ集計サーバ106の機能を、データ系列変換サーバ107又は修正データ系列管理サーバ108に搭載しても良い。
例えば、データ系列変換サーバ107がデータ集計サーバ106の機能を持つ場合は、上述した第2の実施形態やその変形例におけるデータ集計サーバ106をデータ系列変換サーバ107と読み替える。また、修正データ系列管理サーバ108がデータ集計サーバ106の機能を持つ場合は、上述した第2の実施形態やその変形例におけるデータ集計サーバ106を修正データ系列管理サーバ108と読み替える。あるいは、データ系列変換サーバ107の機能をSM102aあるいはホームサーバ102bに持たせても良い。その場合には、データ系列変換サーバ107をSM102aあるいはホームサーバ102bと読み替える。
(変形例)
電力使用量計算システムは、上述した実施形態及び変形例に制限するものではなく、様々な形態が考えられる。
例えば、上述した各実施形態では、課金サーバ104は、第2の単位時間における各家庭の電力使用総量に基づいて課金処理を行うこととした。しかしながら、スマートグリッドでは、電力使用量の多い時間帯は課金単位が上がる(電力単価が高くなる)こともある。このような動的価格売買(ダイナミック・プライシング)を行う際には、以下に示す2つの変形例が考えられる。
第1の変形例として、MDMS101又はデータ集計サーバ106が、電力単価の異なる第1の単位時間ごと異なる変換行列を用意し、それぞれ第1の単位時間の電力使用量を時系列で示したデータ系列から、電力単価毎の修正データ系列を算出する。これにより、電力単価毎に第2の単位時間での電力使用総量を算出できる。なお、第2の単位時間に含まれるk個の電力単価をp(i,1),p(i,2),…,p(i,k)とする。kは、電力単価の種類の数とする。
例えば、第2の単位時間を通じて電力単価が10円で一定の場合、k=1となり、p(i,1)=10となる。また、日中のピーク時は電力単価が15円、深夜の電力単価が5円、その他が10円の場合、k=3であり、p(i,1)=5(深夜)、p(i,2)=10(平時)、p(i,3)=15(ピーク時)となる。なお、一日の時間帯毎に電力単価を異ならせるのではなく、日ごとに電力単価が異ならせてもよい。
そして、MDMS101は、第1の単位時間毎に電力単価p(i,j)を予め設定する。電力単価はMDMS101が自ら決定しても良いし、EMS103やその他サーバが決定した電力単価を受信して設定しても良い。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎に電力単価が異なる場合に、第1の単位時間毎の電力使用量からなるデータ系列から、修正データ系列を算出する処理を含んだ電力使用総量計算処理の手順を説明する。なお、当該処理手順は、図11と同様とし、図11を用いて説明する。
本変形例による電力使用総量計算処理では、ステップS1101〜S1107は、第1の実施形態の図11で示した説明と同様として省略する。
そして、本変形例にかかるMDMS101の修正データ系列算出部101dは、電力単価毎に複数の修正データ系列を算出する(ステップS1108)。例えば、データ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))のうち、電力単価p(i,l)に対応する、第1の単位時間における電力使用量が(z(i,x_1),z(i,x_2),…,z(i,x_l))である場合、(z(i,x_1),z(i,x_2),…,z(i,x_l))以外のデータを‘0’とするm個の要素からなるデータ系列(0,…,0,z(i,x_1),0,…,0,z(i,x_2),0,…,0,z(i,x_l),0,…,0)から、修正データ系列を算出する。この修正データ系列の算出を電力単価毎に行う。
そして、本変形例による電力使用総量計算処理では、ステップS1109〜S1112は、第1の実施形態の図11で示した説明と同様として省略する。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎に電力単価が異なる場合に、電力単価毎に算出された修正データ系列に基づく課金処理の手順を説明する。なお、当該処理手順は、図12と同様とし、図12を用いて説明する。
本変形例にかかるMDMS101は、ステップS1201〜S1205までの処理を行い、電力単価毎に算出された複数の修正データ系列のそれぞれから、第2の単位時間毎の各家庭の電力使用部分総量を電力単価毎に算出し、各家庭の電力使用部分総量の送信まで行う。その後、課金サーバ104が、ステップS1206で、電力単価毎に算出された第2の単位時間毎の各家庭の電力使用部分総量に対して電力単価を乗算し、それらの総和を求めることで、第2の単位時間毎の各家庭の電力使用総量を算出する。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎に電力単価が異なる場合に、電力単価毎に算出された修正データ系列を用いた閲覧要求処理の手順を説明する。
なお、当該処理手順は、図14と同様とし、図14を用いて説明する。
そして、本変形例による閲覧要求処理では、ステップS1401は、第1の実施形態の変形例1の図14で示した説明と同様として省略する。
MDMS101のデータ系列再算出部101hは、電力単価毎に算出された複数の修正データ系列を、読み出す(ステップS1402)。そして、MDMS101のデータ系列再算出部101hは、電力単価毎に異なる変換規則を読み出す(ステップS1403)。
次に、MDMS101のデータ系列再算出部101hは、電力単価毎に算出された複数の修正データ系列のそれぞれ対応する、元のデータ系列(0,…,0,z(i,x_1),0,…,0,z(i,x_2),0,…,0,z(i,x_l),0,…,0)を、電力単価毎に異なる変換規則に対応する逆行列を用いて算出する(ステップS1404)。その後、MDMS101のデータ系列再算出部101hは、第1の単位時間毎の電力単価に対応する(z(i,x_1),z(i,x_2),…,z(i,x_l))を抽出し、これらを時系列に並べてデータ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))を復元する。
そして、本変形例による閲覧要求処理では、ステップS1405以降は、第1の実施形態の変形例1の図14で示した説明と同様として省略する。
第2の変形例として、MDMS101又はデータ集計サーバ106が、予め電力単価を乗じた電力使用量からなるデータ系列から、変換行列を用いて、修正データ系列を算出する。この修正データ系列には、すでに電力単価が含まれているため、第2の単位時間での電力料金を算出できる。
MDMS101が予め電力単価を乗じた電力使用量からなるデータ系列から修正データ系列を算出する変形例に係る電力使用総量計算処理の手順を説明する。この手順自体は図7に示されるものと同様であるためその図示を省略する。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎の電力使用量と電力単価とを乗じた要素からなるデータ系列から、修正データ系列を算出する処理を含んだ電力使用総量計算処理の手順を説明する。なお、当該処理手順は、図11と同様とし、図11を用いて説明する。
ステップS1101〜1107までは、第1の実施形態の図11で示した説明と同様であるため説明は省略する。ステップS1108において、MDMS101の修正データ係数算出部101dは、電力使用量に電力単価毎を乗じたデータ系列から、修正データ系列を算出する。例えば、データ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))の各単位時間での電力単価が(p(i,l_1),p(i,l_2),…,p(i,l_n))である場合、電力使用量と電力単価とを乗算した要素を有するデータ系列(z(i,1)p(i,l_1), z(i,2)p(i,l_2),…, z(i,n)p(i,l_n))から、修正データ系列を算出する。ステップS1109〜S1112までは、図11と同様であるため説明は省略する。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎の電力使用量と電力単価とを乗じた要素からなるデータ系列から算出された修正データ系列に基づく課金処理の手順を説明する。なお、当該処理手順は、図12と同様とし、図12を用いて説明する。
ステップS1201〜1203までは、第1の実施形態の図12で示した説明と同様であるため説明は省略する。ただし、読み出される修正データ系列は、電力使用量と電力単価とを乗算した要素を有するデータ系列から変換されたものとする。
そして、図12と異なる点としてステップS1204において、電力使用合計値算出部106fが、読み出した修正データ系列に対して、読み出した変換手法のパラメータを用いて算出することで、電力料金を算出する。つまり、第1の実施形態のステップS1204では電力使用総量を算出していたのに対し、本変形例では電力料金を算出する点で異なる。以降のステップS1205〜S1206は、第1の実施形態の図12で示した説明と同様の処理で、課金処理まで行われる。
本変形例にかかる電力使用量計算システムが、第1の単位時間毎の電力使用量と電力単価とを乗じた要素からなるデータ系列から算出された修正データ系列に基づく閲覧要求処理の手順を説明する。なお、当該処理手順は、図14と同様とし、図14を用いて説明する。
ステップS1401〜S1403は、第1の実施形態の変形例1の図14で示した説明と同様のため省略する。
そして、ステップS1404において、MDMS101のデータ系列再算出部101hは、変換規則(A,b)に含まれている行列Aの逆行列等を用いて、修正データ系列から、データ系列(z(i,1)p(i,l_1), z(i,2)p_(i,l_2),…, z(i,n)p(i,l_n))を算出する。その後、データ系列再算出部101hは、各第1の単位時間に対応する電力単価(p(i,l_1),p(i,l_2),…,p(i,l_n))で除算し、データ系列(z(i,1),z(i,2),…,z(i,n))を復元する。ステップS1405以降は、第1の実施形態の変形例1の図14で示した説明と同様として省略する。
なお、電力単価が異なる第1の単位時間ごとのデータ系列から、修正データ系列を算出する変形例、および予め電力単価を乗じた電力使用量からなるデータ系列から修正データ系列を算出する変形例であっても、データ集計サーバ106は同様に構成することができる。
さらに、動的価格売買に対応する変形例は、上述した2つ変形例に制限するものではなく様々な変形例が考えられる。
上述した実施形態及び変形例では、SM102aが電力使用量を集計するのは、第1の単位時間毎とした。このように定期的に集計することに制限するものではなく、任意のタイミングであっても良い。
上述した第1の実施形態及び変形例にかかる電力使用量計算システムにおいては、MDMS101と課金サーバ104との間の通信、MDMS101とEMS103との間の通信、SM102aとMDMS101との間の通信や、MDMS101とホームサーバ102bとの間の通信、を示した。さらに、第2の実施形態及び変形例にかかる電力使用量計算システムにおいては、データ集計サーバ106とデータ系列変換サーバ107との間の通信、データ集計サーバ106と修正データ系列管理サーバ108との間の通信、データ集計サーバ106と課金サーバ104との間の通信、データ集計サーバ106とEMS103との間の通信を示した。これらの通信では、送受信する情報を秘匿するためにOpenSSLなどの暗号通信を用いても良い。また、各通信時には、互いを認証するための機器認証を行っても良い。
例えば、SM102aとMDMS101との間の通信及びSM102aとデータ集計サーバ106との間の通信において、通信内容の秘匿や認証を行う場合には、SM102aは、第1の単位時間毎に集計した電力使用量を暗号化した暗号文や認証子を記憶する。一方、MDMS101あるいはデータ集計サーバ106は、SM102aから読み出した暗号文を復号して電力使用量z(i,j)を復元する。
上述した各実施形態においては、SM102aは、電気機器102d、ホームサーバ102b、MDMS101、データ集計サーバ106のうち少なくとも1つから情報の書き込みや読み出しが行われる記憶手段として機能すると共に、予め指定されたプログラムや他の機器の指示に従って情報を自発的に送信する機能を有しても良い。さらに、SM102aは、MDMS101あるいはデータ集計サーバ106との間の通信内容の秘匿や認証を行う場合には、第1の単位時間毎に集計した電力使用量を電力使用量記憶部102a3に記憶させ、MDMS101あるいはデータ集計サーバ106への送信時に電力使用量を電力使用量記憶部102a3から読み出してこれに対して暗号化を行ったり認証子を付加したりした後に送信しても良い。
上述した各実施形態においては、ホームサーバ102bはネットワーク等を介してMDMS101あるいはデータ集計サーバ106と直接通信するが、SM102aとネットワーク等を介してMDMS101あるいはデータ集計サーバ106と通信を行っても良い。
上述した各実施形態においては、アプリケーションサーバとして、EMS103及び課金サーバ104を用いたが、この他、電力流通を管理する電力取引サービスサーバを用いるようにしても良い。例えば、電力単価が、第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量で決定される場合、電力取引サービスサーバは、MDMS101から、第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量(当該電力使用総量は、暗号化処理が施されていても良い)を受信し、当該電力使用総量に基づいて電力単価を決定し、電力の取引を行っても良い。
また、アプリケーションサーバとして、省電力アプリケーションサーバを用いても良い。省電力アプリケーションサーバは、第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量や、決定された電力単価に従って、ホームサーバ102bと連携して各家庭の電力制御を行う。この省電力アプリケーションサーバは、第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量を用いて各家庭の電力制御を行う代わりに、MDMS101から第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量(当該電力使用総量は、暗号化処理が施されていても良い)を受信して、第1の単位時間における複数の家庭の電力使用総量に基づいて各家庭の電力制御を行っても良い。さらに、省電力アプリケーションサーバは、課金サーバ104と同様に、MDMS101から第2の単位時間(あるいは第2時間単位の一部の時間)毎の各家庭の電力使用量(当該電力使用量は、暗号化処理が施されていても良い)を受信して、第2の単位時間(あるいは第2時間単位の一部の時間)毎の各家庭の電力使用量を用いて各家庭の電力制御を行っても良い。
上述した各実施形態に係る構成は、電力使用量の算出の他、ガスや水道などの使用量の算出にも適用することが可能である。
電力使用量計算システムは、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
上述した各実施形態において、MDMS101、SM102a、ホームサーバ102b、EMS103、課金サーバ104、データ集計サーバ106、データ系列変換サーバ107及び修正データ系列管理サーバ108のうち少なくとも1つで実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成しても良い。
このように、上述した第1〜第2実施形態、及び変形例にかかる電力使用量計算システムの各装置によれば、各家庭又は各事業所の単位時間毎の電力使用量の推移を把握できない修正データ系列で管理し、必要に応じて、元のデータ系列を算出することなく、電力使用総量を導き出せるため、各家庭又は各事業所のプライバシー情報を保護できる。