JP2012197850A - ロック機構を有する無段変速機用プーリ - Google Patents

ロック機構を有する無段変速機用プーリ Download PDF

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Abstract

【課題】オイルポンプによるフリクションロスを減らし、無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させる。
【解決手段】無段変速機用プーリ1は、軸部31を有する固定シーブ3と、シーブ面を固定シーブ3のシーブ面に対向させた状態で軸部31に外嵌され、オイルポンプから供給される油圧によって軸方向に移動する可動シーブ4と、可動シーブ4を機械的に軸方向にロックするロック機構6と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構を備えた無段変速機用プーリに関する。
無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプーリの間に巻き掛けられる動力伝達部材(ベルト又はチェーン)を備える。各プーリは、固定シーブと、固定シーブに対して移動可能な可動シーブとを備える。変速比は、可動シーブを軸方向に移動させてプーリの溝幅を変更することによって変更される。
可動シーブの移動はオイルポンプから供給される油圧によって行われる。例えば、可動シーブの背面に油室を形成し、この油室に供給する油圧を変化させることで可動シーブを移動させる。
特開2002−327814号公報
上記構成の無段変速機において所望の変速比を維持するためには、可動シーブに油圧を常時供給し続ける必要がある。これは、油圧の供給を停止すると油室やコントロールバルブからのリークによって油圧が低下して、変速比を維持できなくなり、また、ベルト滑りが発生するからである。
しかしながら、可動シーブに油圧を常時供給するとなると、オイルポンプを常時駆動する必要があり、しかも、変速比を維持するのに必要な油圧は非常に高い油圧であるので、オイルポンプによるフリクションロスが無段変速機を搭載した車両の燃費を悪化させる原因となっていた。
特許文献1は、両プーリの可動シーブの油室を連通して両油室の圧を等しくし、油圧の給排を低減する技術を開示しているが、オイルポンプを常時駆動する必要があることには変わりがなく、なお改善の余地があった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、オイルポンプによるフリクションロスを減らし、無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させることを目的とする。
本発明のある態様によれば、無段変速機用プーリであって、軸部を有する固定シーブと、シーブ面を前記固定シーブのシーブ面に対向させた状態で前記軸部に外嵌され、オイルポンプから供給される油圧によって軸方向に移動する可動シーブと、前記可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構と、を備えたことを特徴とする無段変速機用プーリが提供される。
上記態様によれば、ロック機構によって可動シーブが機械的に軸方向にロックされる。ロック状態では、オイルポンプから可動シーブに供給する油圧をゼロにする、又は、油圧を下げることができるので、オイルポンプによるフリクションロスを減らし、無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るプーリの全体構成図である。 ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。 ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。 ロック機構によって可動シーブをロックし、その後ロックを解除する場合のプライマリ圧及びセカンダリ圧の変化を示したタイムチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る無段変速機用プーリ1の全体構成を示している。本実施形態におけるプーリ1はプライマリプーリであり、駆動源であるエンジン又はモータから回転が入力される。
変速機は、同様の構成を有するセカンダリプーリ(不図示)と、両プーリの間に巻き掛けられる動力伝達部材2とを備え、両プーリの溝幅を変更することで変速比を変更する。動力伝達部材2は、本実施形態では複数のリンクをピンで連結したチェーンであるが、後述するように他の構成であってもよい。
まず、プーリ1の構成について説明する。プーリ1は、固定シーブ3と、可動シーブ4と、シリンダ部5と、ロック機構6と、背面カバー7とを備える。
固定シーブ3は軸方向に延びる軸部31を有する。軸部31の内部には油圧供給通路32とドレーン通路33とが形成されている。油圧供給通路32には、図示しないオイルポンプから図示しない調圧機構を経て、プライマリ圧が供給される。
軸部31の外周面には、凹形状のロックキー収容部61が形成されている。ロックキー収容部61には、ロックキー62と、ロックキースプリング63とが収装されている。ロックキー62は内側がくり抜かれたボタン状の可動部材で、ロックキースプリング63によって可動シーブ4に向けて付勢されている。ロックキー収容部61は、ドレーン通路33と連通しており、これにより、ロックキー62の内側に油圧が作用しないようになっている。
また、軸部31の外周面には、軸方向に延びるキー溝34が形成されている。可動シーブ4から延出する回り止めピン41がキー溝34に係合することによって、固定シーブ3と可動シーブ4との軸方向の相対変位を許容しつつ、両者の相対回転が阻止される。
可動シーブ4は、回転軸方向に延びる筒形状のスリーブ部42を有し、スリーブ部42を介して軸部31に外嵌されている。可動シーブ4の背面の最外周部には、ドラム形状のシリンダ部5が固定されている。シリンダ部5は可動シーブ4と一体となって回転及び軸方向の移動を行う。
スリーブ部42の内周面には、ロックキー受け部64が形成されている。ロックキー受け部64はロックキー62の先端が嵌合しうる大きさの凹形状であり、底部にはロックキー受け部64とスリーブ部42の外側とを連通する連通孔65が形成されている。連通孔65には円柱形状のリリースピストン66が摺動自在に収容されている。連通孔65の外周側開口にはキャップ67が固定されている。キャップ67は、内外を連通する開口を有し、専らリリースピストン66が連通孔65から抜け落ちるのを防止するストッパとして機能する。
背面カバー7は、可動シーブ4に近づくにつれ径が段階的に大きくなる異形筒形状である。背面カバー7は、可動シーブ4と反対の側の端部が軸部31に固定されており、可動シーブ4側の最外周端はシリンダ部5に摺接している。背面カバー7の最外周端とシリンダ部5との間にはシール部材71が介装される。背面カバー7、可動シーブ4の背面及びシリンダ部5の間には、可動シーブ4が軸方向に変位することで容量が変化する可変容量の油室8が画成される。
また、スリーブ部42には内外を連通する油圧導入孔43が形成されている。軸部31とスリーブ部42との間には、軸部31とスリーブ部42との径の差によって、軸方向に延びる隙間9が形成されている。油圧供給通路32と油室8とは、隙間9及び油圧導入孔43を介して常時連通する。
油圧供給通路32にプライマリ圧を供給すると、油圧導入孔43を介して油室8にプライマリ圧が導入される。可動シーブ4は、油室8に導入されるプライマリ圧によって軸方向に移動し、これによってベルト2とプーリ1との接触半径が変化し、変速機の変速比が変化する。
ロック機構6は、可動シーブ4を機械的に軸方向にロックする機構である。本実施形態においては、ロック機構6が、ロックキー収容部61と、ロックキー62と、ロックキースプリング63と、ロックキー受け部64と、連通孔65と、リリースピストン66とによって構成される。
図1に示される状態は、可動シーブ4がロックされていない状態である。すなわち、ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しており、ロックキー受け部64に嵌合していないので、可動シーブ4は軸方向に自由に移動することができる。
この状態から可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動すると、ロックキー62とロックキー受け部64との距離が縮まる。そして、変速機の変速比がオーバードライブ用変速比(最High変速比、以下、「OD変速比」という。)に到達すると、ロックキー62とロックキー受け部64との軸方向位置が一致し、ロックキースプリング63の付勢力によってロックキー62が突出してロックキー受け部64に嵌合し、可動シーブ4が軸方向にロックされる。
可動シーブ4がロックされた状態では、トルク伝達に必要な動力伝達部材2を挟持する力が、可動シーブ4がロックキー62を押す時の反力によって確保される。そして、この状態では、プライマリ圧をゼロにしても、ロックキースプリング63による付勢力に加え、可動シーブ4からロックキー62にスラスト荷重が作用するので、ロックキー62がロックキー受け部64から抜けることはなく、ロック状態が維持される。
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油室8へのプライマリ圧の供給を再開し、ロックキー62に作用しているスラスト荷重を低減する。次いで、プライマリ圧を上昇させて、ロックキースプリング63による付勢力に抗してリリースピストン66によってロックキー62を押し、ロックキー受け部64から退出させる。これによって、可動シーブ4のロックが解除される。
次に、図2A〜2D、図4を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4をロックするときの動作について説明する。図4は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリの可動シーブに供給される油圧であるプライマリ圧及びセカンダリ圧が変化する様子を示したタイムチャートである。
図2Aは可動シーブ4が固定シーブ3から最も離れた位置にあり、変速機の変速比が最Lowの状態を示している。この状態では、可動シーブ4はロックされていない。
図2Aの状態から油圧供給通路32から油室8に供給されるプライマリ圧を、OD変速比を実現する圧まで上昇させると、図2Bに示すように、可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動する。これにより、変速機の変速比は最LowからOD変速比に向けて連続的に変化する。図4のタイムチャートでは時刻t1が対応する。
可動シーブ4がOD変速比に対応する位置まで移動すると、図2Cに示すように、ロックキー62が、ロックキースプリング63の付勢力によってリリースピストン66を押し除けて突出し、ロックキー受け部64に嵌合する。これにより、可動シーブ4がOD変速比に対応する位置にロックされる。図4のタイムチャートでは時刻t2が対応する。
可動シーブ4がロックされたら、プライマリ圧がゼロにされる。この状態では、ベルト2から可動シーブ4に作用するスラスト荷重が、図2Dに破線矢印で示すようにロックキー62に作用し、可動シーブ4はより強固にロックされる。図4のタイムチャートでは時刻t3が対応する。プライマリ圧がゼロであるので、オイルポンプを停止させることができ、オイルポンプによるフリクションロスを無くして無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
次に、図3A〜3D、図4を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4のロックを解除するときの動作について説明する。
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油圧供給通路32から油室8へのプライマリ圧の供給を再開する(図3A)。これにより、可動シーブ4からロックキー62に作用していたスラスト荷重が減少する。図4のタイムチャートでは時刻t4が対応する。
次いで、プライマリ圧を、OD変速比を実現する圧よりも上昇させ、リリースピストン66によってロックキー62を押し下げる(図3B)。これにより、ロックキー62はロックキー収容部61内に収容され、可動シーブ4のロックが解除される。図4のタイムチャートでは時刻t5が対応する。
そして、この状態からセカンダリ圧を上昇させると、セカンダリプーリの溝幅が狭まるのに併せてプライマリプーリの溝幅が狭まり、可動シーブ4が固定シーブ3から離れる方向に移動する(図3C)。図4のタイムチャートでは時刻t6が対応する。
その後は、油圧供給通路32から油室8へのプライマリ圧を目標とする変速比を実現する油圧まで下げる(図3D)。ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しているので、プライマリ圧を下げてもロックキー62はロックキー収容部61内に収容されたままであり、ロック解除状態が維持される。図4のタイムチャートでは時刻t7が対応する。
続いて、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、ロック機構6により可動シーブ4が機械的に軸方向にロック、すなわち、所定の軸方向位置に固定される。可動シーブ4がロックされた状態では、プライマリ圧をゼロにすることができるので、オイルポンプを停止させてオイルポンプによるフリクションロスを無くし、無段変速機を搭載した車両の燃費を向上させることができる。(請求項1に対応する作用効果)。
なお、本実施形態では、ロック状態でプライマリ圧をゼロにしているが、プライマリ圧をゼロにすることは必須ではなく、ロック前の油圧よりも低い油圧(>0)まで下げるだけでもよい。このような構成であっても、オイルポンプによるフリクションロスの低減、車両の燃費向上といった作用効果が奏され、加えて、ロック状態を解除する時にはプライマリ圧の供給遅れを小さくし、解除応答性を高めることができるという作用効果が奏される。
ロック機構6は、軸部31から可動シーブ4のスリーブ部42に向けてロックキースプリング63によって付勢されるロックキー62と、スリーブ部42に形成され、ロックキー62が嵌合するロックキー受け部64とによって構成することができ、この構成によれば、可動シーブ4を軸方向に確実にロックすることができる(請求項2、3に対応する作用効果)。ロックキー62とロックキー受け部64との位置関係は逆であってもよく、この場合、ロックキー62がスリーブ部42に設けられ、ロックキー受け部64が軸部31に形成される。
あるいは、ロック機構6は、可動シーブ4のシーブ面を除く部位(例えば、可動シーブ4の外周端)、又は、可動シーブ4と一体となって移動する部材(例えば、シリンダ部5)に可動ロック部材を係合させて可動シーブ4を軸方向にロックする構成であってもよい。この構成によれば、ロック機構6の設計自由度が向上する(請求項4に対応する作用効果)。
また、ロック機構6は、可動シーブ4をOD変速比に対応する位置に固定するように構成されるのが好適である。これにより、燃費の悪化となるOD時の高圧のプライマリ圧を下げ、最も高い燃費向上効果が期待できる(請求項5に対応する作用効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態は、可動シーブ4をOD変速比に対応する位置にロックする構成であるが、その他の変速比に対応する位置にロックする構成であってもよい。また、プライマリプーリではなくセカンダリプーリの可動シーブをロックする構成であってもよい。
また、動力伝達部材2は、プーリ間で動力を伝達することができればよく、チェーン以外の構成、例えば、複数のエレメントをリングで連結したベルトであってもよい。
1 プーリ
3 固定シーブ
32 油圧供給通路
4 可動シーブ
6 ロック機構
62 ロックキー(可動ロック部材)
63 ロックキースプリング(弾性部材)
64 ロックキー受け部
8 油室

Claims (5)

  1. 無段変速機用プーリであって、
    軸部を有する固定シーブと、
    シーブ面を前記固定シーブのシーブ面に対向させた状態で前記軸部に外嵌され、オイルポンプから供給される油圧によって軸方向に移動する可動シーブと、
    前記可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構と、
    を備えたことを特徴とする無段変速機用プーリ。
  2. 請求項1に記載の無段変速機用プーリであって、
    前記ロック機構は、前記軸部及び前記可動シーブのいずれか一方から他方に向けて弾性部材によって付勢される可動ロック部材と、前記他方に形成され、前記可動ロック部材に対応する形状の受け部とを備え、
    前記ロック機構は、前記可動ロック部材を前記受け部に嵌合させることで前記可動シーブを軸方向にロックする、
    ことを特徴とする無段変速機用プーリ。
  3. 請求項2に記載の無段変速機用プーリであって、
    前記ロック機構は、前記他方に形成される前記受け部に連通する連通孔と、該連通孔に挿入されるピストンとをさらに備え、
    前記ロック機構は、油圧によって前記ピストンを変位させ、前記受け部に嵌合した前記可動ロック部材を前記ピストンによって前記受け部から退出させることで前記可動シーブのロックを解除する、
    無段変速機用プーリ。
  4. 請求項1に記載の無段変速機用プーリであって、
    前記ロック機構は、可動ロック部材を備え、該可動ロック部材を前記可動シーブのシーブ面を除く部位又は前記可動シーブと一体となって移動する部材に係合させて前記可動シーブを軸方向にロックする、
    ことを特徴とする無段変速機用プーリ。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載の無段変速機用プーリであって、
    前記プーリは、駆動源から回転が入力されるプライマリプーリであり、
    前記ロック機構は、前記可動シーブをオーバードライブ用変速比に対応する位置にロックする、
    ことを特徴とする無段変速機用プーリ。
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