JP2012196198A - マイクロリアクターデバイス、マイクロリアクターデバイスの製造方法、細胞の活性評価方法および細胞の活性評価装置 - Google Patents

マイクロリアクターデバイス、マイクロリアクターデバイスの製造方法、細胞の活性評価方法および細胞の活性評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 より容易に製造することができるマイクロリアクターデバイスを提供する。
【解決手段】 マイクロリアクターデバイスは、第1層と、第2層と、プローブ部とを備える。第1層は、細胞を収容する凹部が一面側に形成され、計測対象の環境因子の透過を阻害する材料で形成される。第2層は、第1層の他面側に配置され、第1層の材料と異なる材料で形成される。プローブ部は、凹部の内面に形成され、環境因子に応じて光学的反応を生じさせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロリアクターデバイス、マイクロリアクターデバイスの製造方法、細胞の活性評価方法および細胞の活性評価装置に関する。
細胞の生物学的活性を計測する技術は、再生医療などの先端医療分野や医薬品のスクリーニングをはじめとする幅広い分野における基盤技術となっている。一例として、本発明の発明者は、計測対象の細胞の活性を非侵襲で計測するためのマイクロチャンバ(マイクロリアクター)を提案している。
国際公開WO2009/157211号公報
上記のマイクロリアクターの製造では、比較的困難な微細加工が必要となる一方、より容易に製造できることが求められる。
上記事情に鑑み、より容易に製造することができるマイクロリアクターデバイスを提供する。
本発明の一の態様であるマイクロリアクターデバイスは、第1層と、第2層と、プローブ部とを備える。第1層は、細胞を収容する凹部が一面側に形成され、計測対象の環境因子の透過を阻害する材料で形成される。第2層は、第1層の他面側に配置され、第1層の材料と異なる材料で形成される。プローブ部は、凹部の内面に形成され、環境因子に応じて光学的反応を生じさせる。
本発明の他の態様であるマイクロリアクターデバイスの製造方法は、計測対象の環境因子の透過を阻害する材料で形成された第1シートと、第1シートと異なる材料で形成された第2シートとを貼り合わせる工程と、第1シートに型材をプレスして、第1シートの表面に細胞を収容する凹部を形成するとともに、環境因子に応じて光学的反応を生じさせるプローブ層を凹部の内面に付着させる工程と、第1シートの凹部以外の部分からプローブ層を除去する工程と、を含む。
本発明のさらに他の態様である細胞の活性評価方法は、一の態様のマイクロリアクターデバイスを細胞にかぶせて、マイクロリアクターデバイスの凹部に細胞を収容する工程と、マイクロリアクターデバイスに形成されたプローブ部での光学的反応を観察する工程と、を含む。
本発明のさらに他の態様である細胞の活性評価装置は、培養容器内に存在する細胞の位置を特定する位置検出部と、一の態様のマイクロリアクターデバイスを、培養容器内に配置する制御部と、マイクロリアクターデバイスに形成されたプローブ部での光学的反応を観察する観察部と、を備える。
本発明によれば、より製造が容易なマイクロリアクターデバイスが提供される。
一実施形態のマイクロリアクターデバイスの構成例を示す断面図 一実施形態のマイクロリアクターデバイスの構成例を示す平面図 EVOHの分子構造の例を示す図 各種材料の酸素透過係数を示す図 PtOEPの分子構造の例を示す図 PtOEPの吸収/発光スペクトルを示す図 細胞の活性評価方法を示す概要図 一実施形態のマイクロリアクターデバイスの製造方法を示す概要図 (a):凹部を形成した積層シート(EVOH/PDMS)のSEM画像(平面方向)、(b):凹部を形成した積層シート(EVOH/PDMS)のSEM画像(断面方向) (a):凹部を形成した積層シート(EVOH/ガラス)のSEM画像(平面方向)、(b):凹部を形成した積層シート(EVOH/ガラス)のSEM画像(断面方向) (a):凹部を形成した積層シート(EVOH/EVOH)のSEM画像(平面方向)、(b):凹部を形成した積層シート(EVOH/EVOH)のSEM画像(断面方向) 実験例2の実験概要を示す図 実験例2での観察結果を示す図 マイクロリアクターデバイスの断面方向のSEM画像 (a):平面方向からマイクロリアクターデバイスを透過観察した画像、(b):平面方向からマイクロリアクターデバイスを蛍光観察した画像 実施例4でのリン光強度の計測結果を示すグラフ (a):溶存酸素濃度0.8mg/Lの水溶液を凹部に封入したときのリン光の観察画像、(b):溶存酸素濃度7.3mg/Lの水溶液を凹部に封入したときのリン光の観察画像 蛍光強度の逆数と溶存酸素濃度との関係を示すグラフ (a):実験例5でのマイクロリアクターデバイスを透過観察した画像の一例を示す図、(b):実験例5でのマイクロリアクターデバイスを蛍光観察した画像の一例を示す図 実施例5でのリン光強度の計測結果を示すグラフ 実施例5でのリン光強度の逆数と細胞を凹部に封入した時間との関係を示すグラフ 他の実施形態における活性評価装置の構成例を示す図 他の実施形態における活性評価装置の動作例を示す流れ図 複数のプローブ部を積層形成した例を示す図 凹部の底面部分に2種類のプローブ部を領域別に形成した例を示す図 プローブ部とケージド試薬の層とを積層して形成した例を示す図 マイクロリアクターデバイスの製造方法の変形例を示す図 マイクロリアクターデバイスの製造方法の変形例を示す図 落射照明の顕微鏡でプローブ部の光学的変化を観察する状態を示す図 マイクロリアクターデバイスの変形例の使用状態を示す図
<一実施形態でのマイクロリアクターデバイスの構成例>
図1は、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11の構成例を示す断面図である。図2は、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11の構成例を示す平面図である。
一実施形態のマイクロリアクターデバイス11は、細胞にかぶせることで細胞の周囲に微少サイズの閉じた空間(被計測空間)を形成するとともに、被計測空間内での環境因子を光学的に計測するために用いられる。
ここで、本明細書での環境因子は、細胞の代謝で産生または消費される物質を意味する。例えば、環境因子には、グルコース、カルシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、水素イオン、酸素、活性酸素種、過酸化水素、二酸化炭素、細胞が産出するタンパクやヘプタイドなど(例えばサイトカイン、ホルモンなど)が含まれる。なお、一実施形態では、計測対象の環境因子が酸素である例を説明する。
一実施形態のマイクロリアクターデバイス11は、全体形状が3cm平方の矩形の透明なシートである。図1に示すように、マイクロリアクターデバイス11は、それぞれ材料の異なるシート(12、13)が積層された2層構造を有している。
マイクロリアクターデバイス11の第1層12は、図1の下側に位置する。第1層12は、計測対象の環境因子の透過を阻害するとともに透光性を有する材料で形成される。
一例として、一実施形態での第1層12は、生体適合性と高いガスバリア性とを有する親水性ポリマーであるエチレンビニルアルコール(EVOH)の透明フイルムで形成されている。ここで、図3にEVOHの分子構造の例を示す。また、図4は、各種材料の酸素透過係数を示す図である。図4に示すように、EVOHの酸素透過係数は1E-17(cm3(STP)cm/(cm2・s・Pa))よりも小さく、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコンゴムと比べて非常に低い値となる。よって、EVOHで形成された第1層12は、環境因子(酸素)をほとんど透過させないことが分かる。なお、一実施形態で用いたEVOHのフイルムの厚さは、例えば50μmである。
また、マイクロリアクターデバイス11の第1層12の一面側(図1における第1層12の下面)には、細胞を収容して上記の被計測空間の一部を構築する凹部12aが形成されている。図2に示すように、一実施形態での第1層12には、第1層12の平面方向へ格子状をなすように、それぞれ複数の凹部12aが配列されている(図2では、簡単のため、2×2の配列とする)。各々の凹部12aは円筒形であって、いずれも同形状である。各々の凹部12aのサイズは、細胞の種類や数、環境因子の種類、計測の所要時間などに応じて適宜調整される。一例として、凹部12aの円筒形の直径は50μmから100μm程度であり、凹部12aの深さは30μmから50μm程度である。なお、上記の凹部12aの形状は、例えば、後述のようにホットエンボス法で形成される。
一方、マイクロリアクターデバイス11の第2層13は、第1層12の他面側(図1における第1層12の上面)と貼り合わされている。第2層13は、透光性を有する弾性材料で形成されている。例えば、第2層13の材料は第1層12の材料よりも弾性が高い(ヤング率が低い)ものであってもよい。ここで、第1層12に用いられるEVOHのヤング率は約2500〜約2700MPaであり、第2層13に用いられるPDMSのヤング率は4MPa以上(推定値)である。また、一例として、一実施形態での第2層13は、厚さ0.3mmの透明なシリコンゴム(ポリジメチルシロキサン:PDMS)で形成されている。なお、一実施形態において、第1層12および第2層13を積層したシートは、可撓性を有している。
また、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11では、ホットエンボス法で凹部12aを形成することに伴って、第1層12の他面側における凹部12aの対応領域が第2層13の方向に突出し、第1層12と第2層13との境界に凹凸が生じる(図1参照)。
さらに、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11では、環境因子に応じて光学的反応を生じさせるプローブ部14が各々の凹部12aの内面に形成されている。一実施形態でのプローブ部14は、凹部12aの底面部分(凹部12a内で第1層12の一面に対して略平行となる面)において円形の薄膜をなすように形成されている。一実施形態では、後述のようにホットエンボス法による加工時にプローブ部14を凹部12aの底面部分に付着させるため、プローブ部14の材料の軟化点(ガラス転移点Tg)は、第1層12の材料の軟化点よりも高温である。ここで、第1層12に用いられるEVOHのガラス転移点は約55℃であり、プローブ部14に用いられる後述のポリスチレンのガラス転移点は約100℃である。なお、一実施形態において、プローブ部14の厚さは、例えば1μmである。
ここで、一実施形態のプローブ部14は、計測する環境因子に応じてその材料が適宜選択される。一例として、亜鉛、白金、パラジウム等を中心金属とするポルフィリンやフタロシアニン、ルテニウム錯体を含む材料でプローブ部14を形成してもよい。
例えば、被計測空間での酸素濃度を計測する場合、常温下で安定なリン光を発する白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)を含む材料でプローブ部14を形成してもよい。PtOEPを含むプローブ部14は、溶存酸素の増加に対して蛍光強度が低下する特性を有する。なお、図5に、PtOEPの分子構造の例を示す。図6は、PtOEPの吸収/発光スペクトルを示す図である。なお、上記のPtOEPを含むプローブ部14を形成する場合、一例として、酸素透過性の高いポリスチレン(PS)を用いたPtOEP−PSの薄膜を形成してもよい。
<一実施形態におけるマイクロリアクターデバイス11の使用方法>
次に、一実施形態におけるマイクロリアクターデバイス11の使用方法の一例として、上記のマイクロリアクターデバイス11を用いた細胞の活性評価方法を説明する。図7は、細胞の活性評価方法を示す概要図である。
第1の工程として、液体培地とともに細胞16を収容した培養容器15(ディッシュなど)に対して、マイクロリアクターデバイス11を細胞に上からかぶせる(図7(a)参照)。このとき、第1層12の一面側を下に向けて、凹部12aに細胞16が収容されるようにマイクロリアクターデバイス11を培養容器15に配置する。これにより、マイクロリアクターデバイス11の凹部12aと培養容器15の底面とによって、培養容器15の容積と比べて微少な被計測空間が細胞16の周囲に形成される。
なお、第1の工程において、熱の移動による培養環境への悪影響を抑制するために、マイクロリアクターデバイス11を予め培地と同じ温度に保温しておいてもよい。また、被計測空間に収容する細胞16の数は単数でも複数でもよい。
第2の工程として、被計測空間内に配置されているプローブ部14の光学的反応を観察する(図7(b)参照)。
一例として、プローブ部14に向けて励起光を照射するとともに、プローブ部14から生じるリン光の強度を顕微鏡で計測すればよい。プローブ部14の光学的反応(リン光の強度)は被計測空間の環境因子(酸素)の量と相関があるため、被計測空間に含まれる環境因子はリン光の強度によって計測できる。そして、上記の計測結果に基づいて、例えば、被計測空間に存在する細胞の活性、アポトーシスや分化の度合い、細胞の性質などを評価できる。なお、マイクロリアクターデバイス11の第1層12および第2層13はいずれも透光性を有するので、リン光の計測を妨げることはない。
ここで、マイクロリアクターデバイス11の第1層12は、環境因子(酸素)の透過を阻害する材料で形成されているので、被計測空間に含まれる環境因子は被計測空間に存在する細胞の代謝と密接に関連する。よって、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を用いることで、培養環境下において個別の細胞に注目した局所的な環境因子の計測が可能となる。
また、一実施形態では、細胞の周囲の空間に含まれる環境因子を計測として細胞の活性を評価する。そのため、細胞自体を計測対象とする場合と比べてほぼ非侵襲で細胞の活性を計測できる。また、一実施形態では培養容器15内で細胞をそのまま計測できるので、計測によって細胞や周囲の培養環境に与える影響を極めて少なくできる。このように、上記の方法によれば、計測による対象(細胞)の擾乱はほとんどない。
さらに、被計測空間は培養容器15の容積に対して微小であるので、被計測空間内では外側の環境と比べて代謝物などの濃度変化がより大きくなる。そのため、非常に高い感度で環境因子を検出できる。また、被計測空間内では環境因子の濃度変化が高くなるため、比較的短時間で計測を行うことができる。
第3の工程として、第2の工程による観察の後にマイクロリアクターデバイス11を除去する(図7(c)参照)。これにより、細胞の培養環境を計測前とほぼ同様の状態に復元できる。
以上で、一実施形態での細胞の活性評価方法の説明を終了する。なお、上記の第1の工程から第3の工程を繰り返すことで、培養環境下で培養される細胞の活性をほぼ非侵襲で周期的に判断することも可能である。
ここで、上記の細胞の活性評価方法は、例えば以下の用途に利用することができる。
(用途例1:幹細胞の培養管理プロセスでの利用)
再生医療分野では、幹細胞(iPS細胞、ES細胞)をインビトロで増殖、分化させて、所望の細胞組織を生成する培養管理プロセスが存在する。上記の培養管理プロセスでは、細胞の分化の成否、細胞の癌化や感染の有無を管理するために、培養細胞の生物学的活性を計測することが不可欠となる。
上記の培養管理プロセスでは、幹細胞から生成される細胞組織を人体に戻すことが前提となる。そのため、上記の培養管理プロセスでは、染色や遺伝子導入を必要とせず、かつ培養細胞に非侵襲である活性評価方法が要求されている。上記のマイクロリアクターデバイス11を用いた細胞の活性評価方法は、かかる幹細胞の培養管理プロセスにおいて極めて有用である。
(用途例2:卵細胞の選別での利用)
体外受精では、成功率を高めるために、より活性の高い受精卵を選別して子宮内に戻すことが行われている。上記の体外受精においても、染色や遺伝子導入を必要とせず、かつ卵細胞に非侵襲である活性評価方法が要求されている。
かかる受精卵の活性計測の一例として、酸素センサを受精卵近傍に近づけて酸素濃度を求める手法が検討されている。しかし、細胞の代謝物は培地全体に拡散されることから、精度のよい活性計測はなお困難であった。
上記のマイクロリアクターデバイス11を用いた細胞の活性評価方法は、かかる卵細胞の選別の工程で極めて有用である。
(用途例3:医薬品のスクリーニングでの利用)
医薬品のスクリーニングでは、医薬品が人体に及ぼす影響を確認するために、薬剤に感作された細胞の活性計測が行われる。一例として、新薬投与による心筋梗塞の有無を評価する場合、幹細胞から分化誘導した心筋細胞に薬剤を感作させて、その細胞の活性計測によって医薬品の安全性を評価することが想定される。
上記のマイクロリアクターデバイス11を用いた細胞の活性評価方法は、かかる医薬品のスクリーニングの工程で極めて有用である。
<一実施形態のマイクロリアクターデバイスの製造方法>
次に、図8を参照しつつ、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11の製造方法を説明する。
第1の工程として、マイクロリアクターデバイス11の第1層12に対応する第1シート21と、第2層13に対応する第2シート22とを貼り合わせる(図8(a)参照)。なお、図8では、第1シート21が上側に位置し、第2シート22が下側に位置する。
ここで、第1シート21は、環境因子(一実施形態では酸素)の透過を阻害するとともに透光性を有する材料で形成される。第2シート22は、透光性を有する弾性材料で形成される。一例として、第1シート21は厚さ50μmのEVOHフイルムであり、第2シート22はPDMSの基板である。また、第1シート21および第2シート22は接着によって貼り合わされる。
第2の工程として、環境因子に応じて光学的反応を生じさせるプローブ層23を、第1シート21の一面(図8における第1シート21の上面)に形成する(図8(b)参照)。このプローブ層23の軟化点は、第1シート21の軟化点よりも高温である。
ここで、一実施形態でのプローブ層23は、厚さ1μm程度のPtOEP−PSの薄膜である。例えば、7重量%ポリスチレンおよび180μMPt錯体が溶解したトルエンを、第1シート21の上面側に滴下する。その後に1000rpmでスピンコートすることで、第1シート21の一面全体にPtOEP−PSを塗布する。その後、スピンコートされたPtOEP−PSを乾燥させることで上記のプローブ層23を得ることができる。
第3の工程として、ホットエンボス法によって、第1シート21の一面に細胞を収容するための円筒形の凹部12aを形成する。この第3の工程では、以下のようにして行われる。
まず、凹部12aの形状に対応した円柱体が格子状に配列された型材24を用意する(図8(c)参照)。上記の型材24は、例えばリソグラフィおよび等の公知の微細加工手段を用いて製造できる。なお、一実施形態での型材24はSiモールドである。
そして、第1シート21のガラス転移点Tg以上に型材24を加熱する。その後、第2の工程(図8(b))で得られた積層シートに対して、プローブ層23の形成されている一面側から加熱した型材24をプレスする(図8(d)参照)。例えば、一実施形態では、130℃に型材24を加熱し、3000Nの荷重で型材24を30分間プレスする。
ここで、第1シート21と比べてプローブ層23の軟化点の方が高温であるので、上記の積層シートに型材24をプレスすると、硬さを保ったままのプローブ層23は型材24の円柱体によって円形に打ち抜かれる。そして、円形に打ち抜かれたプローブ層23は、型材24によって凹部12aの底面部分に押し込まれる。これにより、第1シート21の凹部12aの内面(底面部分)にプローブ層23が付着して、プローブ部14が形成される。
また、一実施形態では、ホットエンボス加工で第1シート21の一面側から型材24を押し当てるので、凹部12aの部分の材料は第2シート22の方向に押圧されて、第1シート21の他面で凹部12aの対応領域が盛り上がる。これにより、第1シート21の他面側における凹部12aの対応領域が第2シート22の方向(図中下方向)に突出する。その一方で、弾性材料の第2シート22は、第1シート21における凹部12aの対応領域の突出に追従して変形する。これにより、ホットエンボス加工時に型材24に押し出された材料で第1シート21の加工面が歪むことを抑制できるので、第1シート21の加工面の形状を良好に保つことができる。したがって、高い加工精度を確保できる。
その後、型材24および積層シートを第1シート21のガラス転移点Tg以下まで冷却してから、型材24を離型する(図8(e)参照)。
第4の工程として、第1シート21の凹部12a以外の部分からプローブ層23を除去する(図8(f)参照)。これにより、凹部12aの底面部分のみプローブ部14が残る。
以上の工程で、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を得ることができる。上記の製造方法によれば、第1シート21(第1層12)の凹部12aの加工と、凹部12aの底面部分へのプローブ層23の付着とをホットエンボス加工で同時に行えるので、マイクロリアクターデバイス11を容易に製造できる。
また、上記の製造方法によれば、弾性材料の第2シート22(第2層13)を設けることによって第1シート21の加工面が歪むことを抑制できるので、マイクロリアクターデバイス11を比較的高い加工精度で製造できる。特に、被計測空間の容積は環境因子の計測精度に影響を与えうる要素となるので、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11では、環境因子の計測をより高精度に行うことができる。
<一実施形態に関する実験例>
(実験例1)
発明者は、それぞれ第2層の弾性が相違する3種類の積層シートに、ホットエンボス法で凹部を加工した。そして、これらの加工面の形状を比較した。
具体的には、積層シートの第2層を、PDMS基板、ガラス基板、厚さ100μmのEVOHのフイルムとした。各々の積層シートの第1層は、いずれも同じく厚さ50μmのEVOHのフイルムである。なお、PDMS基板はEVOHよりも高い弾性を有し、ガラス基板はほとんど弾性を有していない。
図9は、第1層がEVOH、第2層がPDMSの積層シート(EVOH/PDMS)に凹部を形成する場合のSEM画像である。図10は、第1層がEVOH、第2層がガラスの積層シート(EVOH/ガラス)に凹部を形成する場合のSEM画像である。図11は、第1層および第2層がEVOHの積層シート(EVOH/EVOH)に凹部を形成する場合のSEM画像である。
図9に示すように、積層シート(EVOH/PDMS)にホットエンボス加工で凹部を形成する場合、第1層の凹部の断面形状はほぼコ字状となり、かつ第1層の一面側はほぼ均一となる(図9(b)参照)。よって、積層シート(EVOH/PDMS)を用いた場合には、第2層の弾性変形によって、第1層の加工面の形状が良好に保たれることが分かる。
一方、図10に示すように、積層シート(EVOH/ガラス)にホットエンボス加工で凹部を形成する場合、第2層が変形しないため第1層に凹部を形成することができない(図10(b)参照)。また、図11に示すように、積層シート(EVOH/EVOH)にホットエンボス加工で凹部を形成する場合、図9の場合と比べて第1層の加工面が丸みを帯びてしまい、型材の形状を精度よく転写できないことが分かる(図11(b)参照)。
(実験例2)
発明者は、マイクロリアクターデバイスの液体封入性能を以下の手法で評価した。図12は、実験例2の実験概要を示す図である。
まず、スライドガラス上に1mM fluorescein溶液を滴下した。そして、ホットエンボス加工で凹部12aを形成した積層シート(EVOH/PDMS)をスライドガラスに上側からかぶせて、蛍光顕微鏡で観察を行った。
図13に、実験例2での観察結果を示す。積層シートの平面方向からみた画像では、各凹部12aの対応位置(被計測空間)で円形の蛍光を観察でき、凹部12a以外の部分では蛍光が生じていない。よって、上記のマイクロリアクターデバイスに関し、凹部12aでの液体の密閉性が良好であることが確認できた。
(実験例3)
上述した一実施形態のマイクロリアクターデバイスの製造方法(図8)に従って、マイクロリアクターデバイス11を製造した。図14は、マイクロリアクターデバイス11の断面方向のSEM画像である。図15は、平面方向からマイクロリアクターデバイス11を透過観察した画像および蛍光観察した画像である。なお、実験例3の蛍光観察の条件として、励起光の波長は488nm、励起フィルタ(Ex)は465−495、ダイクロイックミラー(DM)は565、吸収フィルタ(BA)は605/55である。
図14から、製造されたマイクロリアクターデバイス11には、第1層12に円筒状の凹部12aが形成されていることと、凹部12aの底面部分に円形のプローブ部14が形成されていることとが分かる。また、図15から、蛍光観察時に凹部12aの底面部分のプローブ部14が蛍光を生じさせていることも確認できる。
(実験例4)
上述した一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を用いて、プローブ部14のリン光強度と溶存酸素濃度との相関を求めた。
具体的には、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11の凹部12a(被計測空間)に溶存酸素濃度の異なる水溶液を封入し、その被計測空間内のプローブ部14から生じるリン光の強度を計測した。なお、実験例4の蛍光観察の条件として、励起光の波長は488nm、励起フィルタ(Ex)は465−495、ダイクロイックミラー(DM)は565、吸収フィルタ(BA)は605/55である。
図16は、実施例4でのリン光強度の計測結果を示すグラフである。図16の縦軸はリン光の強度を示し、図16の横軸は凹部12aに封入した水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)を示す。また、図17(a)は、溶存酸素濃度0.8mg/Lの水溶液を凹部12aに封入したときのリン光の観察画像であり、図17(b)は、溶存酸素濃度7.3mg/Lの水溶液を凹部12aに封入したときのリン光の観察画像である。
図16に示すように、水溶液の溶存酸素濃度が高くなるほど、酸素による消光が起こるため蛍光強度は低くなる。そして、図17では、溶存酸素濃度0.8mg/Lの場合のリン光(図17(a))は、溶存酸素濃度7.3mg/Lの場合のリン光(図17(b))よりも明るいことが確認できる。
また、実験例4での実験データをもとに酸素センサの検量線を作成した。検量線のパラメータは、下式(1)で示される。
/I=1+KSV[O] …(1)
ここで、「I」は、溶存酸素濃度が0mg/Lであるときの蛍光強度を示す。「I」は、各溶存酸素濃度での蛍光強度を示す。「KSV」は、検量線の傾きを示す値である。「O」は溶存酸素濃度を示す。なお、溶存酸素濃度が0mg/Lであるときの蛍光強度は実験から得ることができないため、蛍光強度の逆数を直線で近似し、近似曲線のy切片から求まるI”をIとすればよい。
図18は、蛍光強度の逆数と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。図18の縦軸はリン光の強度の逆数(1/I)を示し、図18の横軸は凹部12aに封入した水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)を示す。また、図18中の直線は上記の検量線である。
図18に示すように、実験例4において溶存酸素濃度が少なくとも1mL−4mLの範囲で、リン光の強度の逆数が検量線に沿って比例する。よって、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を用いることで、被計測空間の溶存酸素濃度を計測できることが確認できる。
(実験例5)
上述した一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を、培養中のターゲットの細胞にかぶせて、プローブ部14のリン光強度の変化を2時間にわたって計測した。なお、実験例5では、ターゲットの細胞として、ヒト乳ガン由来細胞(MCF7)を用いた。
図19(a)は、実験例5でのマイクロリアクターデバイス11を位相差顕微鏡で観察した画像の一例であり、図19(b)は実験例5でのマイクロリアクターデバイス11を蛍光顕微鏡で観察した画像の一例である。
図20は、実施例5でのリン光強度の計測結果を示すグラフである。図20の縦軸はリン光の強度を示し、図20の横軸は細胞を凹部12aに封入した時間(分)を示す。また、図21は、実施例5でのリン光強度の逆数と細胞を凹部12aに封入した時間との関係を示すグラフである。図21の縦軸はリン光の強度(1/I)を示し、図21の横軸は細胞を凹部12aに封入した時間(分)を示す。
図20、図21から、細胞を凹部12aに封入した時間が長くなるにつれて、プローブ部14のリン光の強度が強くなることが分かる。よって、実験例5の計測では、細胞の酸素消費に伴って、被計測空間内の溶存酸素濃度が低下する現象を確認できた。
<他の実施形態の説明>
図22は、上述した一実施形態の細胞の活性評価方法を実行するための活性評価装置の構成例を示す図である。
活性評価装置は、恒温室31と、ロボットアーム32と、光学観察ユニット33と、モニタ34と、記憶部35と、CPU36と、ユーザから各種の操作を受け付ける操作部37とを有している。ここで、ロボットアーム32、光学観察ユニット33、モニタ34、記憶部35および操作部37は、それぞれCPU36に接続されている。
恒温室31には、ターゲットの細胞を培養する培養容器15が収納される。この恒温室31の内部は、細胞16の培養に適した環境(例えば温度37℃、湿度90%の雰囲気)に維持されるとともに、コンタミネーションを防止するために高い清浄度に保たれている。
ロボットアーム32は、一実施形態のマイクロリアクターデバイス11を先端に保持しており、マイクロリアクターデバイス11を三次元的に移動させる。そして、ロボットアーム32は、CPU36の指示に応じて、培養容器15の所定位置の細胞16にマイクロリアクターデバイス11を被せるとともに、計測終了後にマイクロリアクターデバイス11を除去する。
光学観察ユニット33は、培養細胞を照明する照明装置と、培養細胞を観察するための位相差顕微鏡および蛍光顕微鏡と、各顕微鏡を介して培養容器15内の像を撮像する撮像装置とを有している。この光学観察ユニット33は、ロボットアーム32が培養容器15内にマイクロリアクターデバイス11を位置決めするときの位置情報の取得や、マイクロリアクターデバイス11のプローブ部14で生じる光学的反応を示す画像情報の取得に用いられる。なお、光学観察ユニット33で撮像された画像は、CPU36の制御によってモニタ34に表示されてもよい。
記憶部35は、不揮発性の記憶媒体(ハードディスク、フラッシュメモリ等)である。この記憶部35には、環境因子の計測情報や、環境因子の計測時に光学観察ユニット33が生成した画像情報がそれぞれ記憶される。上記の画像情報や環境因子の計測情報は、ターゲットの細胞の識別情報および計測日時の情報とそれぞれ対応付けされた状態で記憶部35に記憶される。なお、記憶部35には、CPU36によって実行されるプログラムも記憶される。
CPU36は、活性評価装置の各部の動作を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU36は、ロボットアーム32を制御してマイクロリアクターデバイス11を移動させる。また、CPU36は、光学観察ユニット33の撮像装置を用いて、マイクロリアクターデバイス11で形成される被計測空間内の環境因子の計測を行う。
以下、図23の流れ図を参照しつつ、活性評価装置の動作例を説明する。
ステップS101:CPU36は、光学観察ユニット33を駆動させて培養容器15内の状態を位相差顕微鏡で撮像した観察画像を取得する。これにより、CPU36は、マイクロリアクターデバイス11を位置決めするときの位置情報を取得する。一例として、CPU36は、画像の基準点(例えば画面の中心)と培養容器15での位置とを予め対応付けておく。そして、CPU36は、光学観察ユニット33での撮影倍率やレンズ位置などを考慮して、画像内における細胞16と基準点との位置関係から、培養容器15での実際の細胞16の座標を幾何学的に求める。
その後、CPU36は、上記の観察画像をモニタ34に表示する。これにより、ユーザは観察画像に基づいて、ターゲットの細胞16を操作部37から指定することができる。
ステップS102:CPU36は、ユーザから細胞16の位置の指定を受け付けると、ロボットアーム32を駆動させて、ターゲットの細胞16の上に凹部12aが位置するように、マイクロリアクターデバイス11を配置する。これにより、ターゲットの細胞16の周囲に被計測空間が形成される。
ステップS103:CPU36は、光学観察ユニット33による蛍光顕微鏡での画像の撮像によって、被計測空間内の環境因子の計測を実行する。そして、CPU36は、必要に応じて環境因子の計測結果を統計解析した後に、記憶部35への計測結果の記録や、モニタ34での計測結果の表示を行う。
ステップS104:CPU36は、計測終了後に、ロボットアーム32を駆動させて培養容器15からマイクロリアクターデバイス11を除去し、培養容器15内の培養環境を復元する。
以上で、図23の流れ図の説明を終了する。他の実施形態での活性評価装置によれば、上述の一実施形態の活性評価方法を効率的に実行することが可能となる。
<実施形態の補足事項>
(補足事項1)上記した一実施形態では、各凹部12aに1種類の環境因子に反応を示すプローブ部14を形成したマイクロリアクターデバイス11の例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図24に示すように、異なる種類の環境因子にそれぞれ反応する複数のプローブ部14a,bを凹部12aに積層するように形成してもよい。この場合には、1つのマイクロリアクターデバイス11において、複数の環境因子の計測を行うことが可能となる。なお、プローブ部14a,bを積層する場合、図8に示す製造方法の第2の工程でプローブ層23を形成した後に、さらにプローブ層23を重ねて形成すればよい。
また、それぞれ異なる環境因子に光学的反応を示す複数種類のプローブ部14a,bを、凹部12aの底面の領域別に形成してもよい。図25は、2種類の半円形のプローブ部14a,bを凹部12aの底面部分に形成した例を示す。この場合にも、1つのマイクロリアクターデバイス11において、複数の環境因子の計測を行うことが可能となる。なお、凹部12aの底面部分の領域別に異なるプローブ部14を形成する場合、図8に示す製造方法の第2の工程において、例えばインクジェットによるパターニングでプローブ層23を形成すればよい。また、上記手法によれば、凹部12aごとにそれぞれ異なるプローブ部14が1つずつ形成されたマイクロリアクターデバイス11を得ることもできる。
また、各々が異なる環境因子に光学的反応を示す複数種類の分散質を含む材料を用いてプローブ部14を形成してもよい(この場合の図示は省略する)。この場合には、1層で異なる種類の環境因子に反応するプローブ部14を形成することができる。
(補足事項2)上記した一実施形態において、凹部12aの内面に光分解性試薬(ケージド試薬)を配置してもよい。図26は、プローブ部14とケージド試薬の層とを積層して形成した例を示している。ここで、ケージド試薬は、活性物質の活性部位をニトロベンジル基などでブロックすることで不活性化した物質であって、所定波長の開裂光が照射されると光分解によって活性を有するようになる。上記の構成によれば、培養容器15に存在する細胞のうちで、被計測空間に存在するターゲットの細胞に限定して薬剤を感作させることができる。
(補足事項3)上記実施形態のマイクロリアクターデバイス11は、使い捨て物品として設計されていてもよい。
(補足事項4)上記実施形態において、プローブ部13は凹部12aの内面であれば底面部分以外に形成されてもよい。例えば、マイクロリアクターデバイス11の凹部12aを釣鐘状に形成してもよい。
図27は、マイクロリアクターデバイスの製造方法の変形例を示す図であって、図27(a)〜(d)は、図8(c)〜(f)にそれぞれ対応する。また、図27の例では、釣鐘状の突起を有する型材24aを用いる以外は、図8の例とほぼ同じ工程でマイクロリアクターデバイス11が製造される。上記の場合には、マイクロリアクターデバイス11の凹部12aの側壁部分にプローブ部14を形成することができる。
(補足事項5)上記実施形態でのマイクロリアクターデバイスの製造方法において、型材24にプローブ層23の材料(溶液など)を付着させた上で、第1シート21にホットエンボスで凹部12aのパターニングを行うようにしてもよい。図28は、マイクロリアクターデバイスの製造方法の変形例を示す図であって、図28(a)〜(c)は、図8(c)〜(e)にそれぞれ対応する。この場合には、第1シート21の上にプローブ層23を形成しなくとも、凹部12aの内面にプローブ部14を形成することができる。
(補足事項6)上記実施形態の第2層13の材料は、ホットエンボス加工時において第1層12の材料よりも柔らかい材料であればよく、常温下では第1層12よりも剛性の高い材料であってもよい。一例として、第2層13の材料の軟化点が、第1層12の材料の軟化点よりも低温となるように材料を選択すればよい。この場合には、第1層12の材料にホットエンボス加工をするときには第2層13の材料も加熱で塑性変形するので、型材の形状を精度よく転写することができる。例えば、第1層12にEVOH(ガラス転移点約55℃)を用いる場合には、第2層13にナイロン6、ナイロン66を用いることができる。なお、ナイロン6のガラス転移点は約48℃であり、ナイロン66のガラス転移点は約50℃である。なお、常温下で第1層12よりも剛性が高く、50度付近のガラス転移点を有する第2層13の材料として、それぞれガラス転移点を下げるエチレンまたはアクリル酸エチルを含む共重合ポリマーを用いてもよい。
(補足事項7)上記実施形態のマイクロリアクターデバイス11は、第1層12または第2層13を透光性の低い材料で形成してもよい。上記の場合には、落射照明の顕微鏡を用いて、培養容器の下側からプローブ部14の光学的反応を観察すればよい。なお、図7(b)の変形例として、落射照明の顕微鏡でプローブ部14の光学的反応を観察する例を図29に示す。
(補足事項8)上記実施形態のマイクロリアクターデバイス11は可撓性を有するので、培養容器から除去するとき(細胞の活性評価方法の第3の工程:図7(c))に、培養容器の底面から撓ませて容易に剥離できる(図30参照)。なお、培養容器からの剥離をより容易にするために、シートの凹部形成面(下面)を除く部分に把手を形成してもよい。例えば、シートの側面部または上面部に把手17を形成すればよい。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
11…マイクロリアクターデバイス、12…第1層、12a…凹部、13…第2層、14,14a,14b…プローブ部、15…培養容器、16…細胞、17…把手、21…第1シート、22…第2シート、23…プローブ層、24…型材、31…恒温室、32…ロボットアーム、33…光学観察ユニット、34…モニタ、35…記憶部、36…CPU、37…操作部

Claims (22)

  1. 細胞を収容する凹部が一面側に形成され、計測対象の環境因子の透過を阻害する材料で形成された第1層と、
    前記第1層の他面側に配置され、前記第1層の材料と異なる材料で形成された第2層と、
    前記凹部の内面に形成され、前記環境因子に応じて光学的反応を生じさせるプローブ部と、
    を備えるマイクロリアクターデバイス。
  2. 請求項1に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記プローブ部は、前記凹部の底面部分に形成されるマイクロリアクターデバイス。
  3. 請求項1または請求項2に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記プローブ部の材料の軟化点は、前記第1層の材料の軟化点よりも高温であるマイクロリアクターデバイス。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第2層の材料は、前記第1層の材料よりもヤング率が低いマイクロリアクターデバイス。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第2層の材料の軟化点は、前記第1層の材料の軟化点よりも低温であるマイクロリアクターデバイス。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層および前記第2層は、透光性を有する材料で形成されるマイクロリアクターデバイス。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層の他面側における前記凹部の対応領域が前記第2層の方向に突出しているマイクロリアクターデバイス。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層および前記第2層がシート状であるマイクロリアクターデバイス。
  9. 請求項8に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層および前記第2層が可撓性を有するマイクロリアクターデバイス。
  10. 請求項8または請求項9に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    シートの凹部形成面を除く部分に把手が形成されたマイクロリアクターデバイス。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層の平面方向に前記凹部が複数配列されているマイクロリアクターデバイス。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記第1層は、酸素の透過を阻害する材料で形成され、
    前記プローブ部は、酸素の量に応じて光学的反応を生じさせるマイクロリアクターデバイス。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記凹部の内面に、異なる種類の前記環境因子にそれぞれ反応する複数のプローブ部が形成されているマイクロリアクターデバイス。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスにおいて、
    前記凹部の内面に光分解性試薬が配置されたマイクロリアクターデバイス。
  15. 計測対象の環境因子の透過を阻害する材料で形成された第1シートと、前記第1シートと異なる材料で形成された第2シートとを貼り合わせる工程と、
    前記第1シートに型材をプレスして、前記第1シートの表面に細胞を収容する凹部を形成するとともに、前記環境因子に応じて光学的反応を生じさせるプローブ層を前記凹部の内面に付着させる工程と、
    前記第1シートの前記凹部以外の部分から前記プローブ層を除去する工程と、
    を含むマイクロリアクターデバイスの製造方法。
  16. 請求項15に記載のマイクロリアクターデバイスの製造方法において、
    前記プローブ層を、前記第1シートの表面に形成し、
    前記第1シートおよび前記プローブ層に前記型材をプレスして、前記凹部の内面に前記プローブ層を付着させるマイクロリアクターデバイスの製造方法。
  17. 請求項15または請求項16に記載のマイクロリアクターデバイスの製造方法において、
    前記凹部の形成がホットエンボス法によって行われるマイクロリアクターデバイスの製造方法。
  18. 請求項17に記載のマイクロリアクターデバイスの製造方法において、
    前記プローブ層の軟化点は、前記第1シートの軟化点よりも高温であるマイクロリアクターデバイスの製造方法。
  19. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスを細胞にかぶせて、前記マイクロリアクターデバイスの凹部に前記細胞を収容する工程と、
    前記マイクロリアクターデバイスに形成されたプローブ部での光学的反応を観察する工程と、
    を含む細胞の活性評価方法。
  20. 請求項19に記載の細胞の活性評価方法において、
    前記観察の後に前記マイクロリアクターデバイスを除去して、前記細胞の培養環境を復元する工程をさらに含む細胞の活性評価方法。
  21. 請求項19または請求項20に記載の細胞の活性評価方法において、
    前記細胞は、幹細胞、卵細胞、薬剤に感作された細胞のいずれかである細胞の活性評価方法。
  22. 培養容器内に存在する細胞の位置を特定する位置検出部と、
    請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のマイクロリアクターデバイスを、前記培養容器内に配置する制御部と、
    前記マイクロリアクターデバイスに形成されたプローブ部での光学的反応を観察する観察部と、
    を備える細胞の活性評価装置。
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