JP2012193844A - 管用ねじ継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピン3側のノーズ部外周面が外側に凸の曲面形状であり、ボックス1側のシール面がテーパ形状であり、ねじ結合の際にボックス側のシール面と最初に接触するピン側のノーズ部外周面上の部位であるシールポイントspにおけるピンの断面積S1が、ピン未加工部である素管部の断面積S0の35%以上であるものとした。
【選択図】図1
Description
図6の従来例では、シール部はピンノーズ8の先端部にあり、適正な締付けトルクを与えることにより、所望のシール性能を実現できる。
締付けトルクは潤滑条件、表面性状等に影響されるので、これに大きくは依存しない設計として、シール接触圧力の半径方向成分を相対的に強くした半径方向シール方式がある。例えば、特許文献1には、大きなピンシールR形状を持ち、シールテーパ角を小さくした半径方向シール方式の例が開示されている。しかし、このようにシールテーパ角を小さくした、半径方向シール方式の問題点は、締付け時にゴーリングが発生し易い点にあり、特にシール性能の確保およびシールの安定性を目的として、シール干渉量を大きくとる場合には、ゴーリングの発生のし易さは格段に大きくなる。
ともいう)のシール部には、必要十分な接触圧力が負荷されることで、リークやゴーリングの発生しない健全なシール部が形成される。
しかしながら、発明者らが検討したところによれば、ラジアルシール型の鋼管用ねじ継手において、シール性の確保にはピンノーズの剛性の点でまだ改善の余地があった。すなわち、ラジアルシール型でのシール性の確保のためには、ピンノーズ8の剛性が重要であり、シールポイントsp(図1参照;ねじ結合の際にピン3側のノーズ部外周面とこれに相対するボックス1側の内周面(以下、シール面という)とが最初に接触するピン3側のノーズ部外周面上の部位である)における断面積を十分に確保する必要があった。というのは、軸圧縮力が作用する際、シールポイントspにおけるピン断面積S1と未加工部(ねじ加工前の素管相当部)における断面積S0の比に応じた圧縮負荷が作用し、軸圧縮力の大部分をショルダ部で受けるねじ継手構造となっているが、前記断面積の比が適正でないと、シール部近傍にも軸圧縮力に伴う塑性変形が発生するのであり、この塑性変形により、ピンノーズ8には圧縮及び曲げ変形が生じ、シールポイントspにおけるピン3外径が縮小し、この縮小が著しい場合、シール部20の圧力が不十分となり、シール性が確保できなくなるからである。このような課題、更にはその解決策についての知見は過去に無かった。
更に発明者らは、ピンの管軸方向断面におけるシールポイントの位置とピンショルダ下端とを結ぶ直線が継手軸方向となす角度を特定範囲とすることにより、ピンのシールポイントにおける軸圧縮力負荷時の変形を減じて、シール性を確保することが可能となることを見出した。
すなわち本発明は次のとおりである。
(1)
雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピンと、
前記雄ねじ部とねじ結合されてねじ部をなす雌ねじ部と、前記ピンのノーズ部外周面に相対するシール面と、前記ピンのショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックスとを有し、前記ねじ結合により前記ピンとボックスとが結合されてピンの前記ノーズ部外周面とボックスの前記シール面とがメタル‐メタル接触しその接触部がシール部をなす管用ねじ継手であって、
ピン側のノーズ部外周面が外側に凸の曲面形状であり、ボックス側のシール面がテーパ形状であり、
前記ねじ結合の際にボックス側のシール面と最初に接触するピン側のノーズ部外周面上の部位であるシールポイントにおけるピンの断面積が、ピン未加工部である素管部の断面積の35%以上である
ことを特徴とする管用ねじ継手。
(2)
継手軸方向断面視で、前記ピンのショルダ部の内径側端部と前記シールポイントとを結ぶ直線が、継手軸に対して45°未満の角度をなすよう、前記シールポイントの位置が設定されてなることを特徴とする前記(1)に記載の鋼管用ねじ継手。
さらに、シールポイントを適正な位置に設定することにより、軸圧縮によりピン外径の縮小が生じたとしてもシール部への影響を抑制することにより優れたシール性を確保できる。
ロードフランク角度βは、ロードフランク面18がねじ継手軸との直交線に対してなす角度βであり、該直交線がロードフランク面の下端(ピン内径側の端)を通るとき、該直交線に対して前記ロードフランク面の上端(ピン外径側の端)が、ピン先端側に位置する場合は正、ピン後端側に位置する場合は負とされる。通常、β=−10度〜0度とされる。
本発明では、上記前提において、図2に示すとおり、ピン3側のノーズ部外周面が外側に凸の曲面形状であり、ボックス1側のシール面がテーパ形状である。該テーパ形状をなすテーパ面のテーパ角度θは、該テーパ面がねじ継手軸に対してなす角度θで定義される。又、シールポイントspは、ねじ結合の際にボックス1側のシール面と最初に接触するピン3側のノーズ部外周面上の部位のことである。
又、図2において、δはシール部20における干渉量であり、この干渉量δとは、ねじ結合の際にシールポイントspが、剛体とみなしたボックス1で縮径されたとしたときの該縮径量のことである。
断面積比S1/S0*100≧35(%)としたことより、シール部20の耐圧縮性が向上し、大きな軸圧縮力を受けてもピン外径縮小を生じにくくなって、優れたシール性を確保できる。ラジアルシール型のねじ継手において、断面積S1が素管部の断面積の35%未満であると、所要レベルの接触面積圧(面圧を接触長に亘って積分した指標)を確保することが不可能となる。又、より十分な耐圧縮性を得るためには、断面積比S1/S0*100≧40(%)とすることが好ましい。
さらに、図4に示すように、管軸方向断面視で、ピン3のショルダ部12の内径側端部12aとシールポイントspとを結ぶ直線(図4中の直線S)が、継手軸に対してなす角度αが45°未満をなすよう、前記シールポイントの位置が設定されていることが好ましい。軸圧縮力はショルダ部で受ける構造になっているため、大きな軸圧縮力が作用する場合にはピン先端に塑性変形が生じることは不可避である。塑性変形は剪断方向である45度方向に進展していくため、ショルダ部の内径側端部とシールポイントを結ぶ直線の継手軸(軸圧縮力が負荷される方向)に対する傾きを45度未満とすることによりショルダ部の塑性変形のシール部への影響を抑制でき、シール性を確保できる。ここで、上記角度αは実用的には15度以上となる。角度を極端に小さくするとピン先端の厚みが薄くなりすぎて、塑性変形や座屈が問題となる。先端の厚みの確保と前述のシールポイント位置の制約により15度未満での設計は成立しえない。
発明者らは、ISO試験(ISO13679:2002)に規定された複合荷重負荷試験後の相当塑性ひずみ分布を有限要素解析(FEA)に求めたところ、図5に示すように、ピン3についてはショルダ部の内径側端部12aと外径側端部12bの近傍に大きな塑性変形が発生し、内径側端部12aに生じた変形は、剪断方向である継手軸方向に対して45度の方向に進展し、内径側端部12aから継手軸に対して45度の角度をもつ直線とノーズ部8の外周面との交差する位置Qよりも先端側では、後端側(雄ねじ部7のある側)よりも相当塑性ひずみが大きいことが明らかとなった。
なお、図5の結果は、外径5-1/2インチ、肉厚0.415インチ、鋼種P110の鋼管の端部に加工してなるピンと、これに対応するボックスからなるねじ継手に対して、VME95%、圧縮率95%からなるシリーズAテストのロードスケジュール負荷したものとして求めたものである。
したがって、シールポイントspを内径側端部12aから継手軸に対して45度の角度をもつ直線とノーズ部8の外周面との交差する位置Qよりも後端側に配置することで、つまり、ピン3のショルダ部12の内径側端部12aとシールポイントspとを結ぶ直線が継手軸に対してなす角度α(図4参照)が45°未満となるようにシールポイントの位置を設定することで、軸圧縮力負荷時のシールポイントspでの変形を抑制し、圧縮力負荷後でもよりシール性の確保が可能となる。
このテストは、シリーズAテストでの引張力/圧縮力と内圧/外圧の複合荷重を負荷してシール性を評価するテストであり、ロードスケジュールはVME95%とAPI Collapse圧により定義される。ただし、最大圧縮率(降伏応力YSに対する負荷圧縮応力の比率)は製造者が任意に設定することになっており、ねじ継手の性能と顧客要求に応じて定めるものである。本テストでは、試験の最大圧縮率は80%とした。さらに、最大圧縮率80%の試験においてリークが発生しなかったねじ継手に対しては、80%を超える最大圧縮率を設定してシール試験を実施し、リークが発生しない最大圧縮率の上限を求めた。
表1に示されるとおり、本発明例は優れたシール性を有することが明らかである。
また、本発明例2と本発明例6とを比較すると、ピン3のショルダ部12の内径側端部12aとシールポイントspとを結ぶ直線が継手軸に対してなす角度αが45度未満となっている本発明例6のほうが、最大圧縮率が大きい値を示し、耐圧縮性能が優れていることがわかる。同様に、本発明例3と本発明例7とを比較しても、角度αが45度未満となっている本発明例7のほうが、耐圧縮性能が優れていることがわかる。
3 ピン
5 雌ねじ部
5a 雌ねじのねじ溝
7 雄ねじ部
7a 雄ねじのねじ山
8 ノーズ部(ピンノーズ)
11,13,20 シール部(詳しくはメタルタッチシール部)
12,14 ショルダ部(詳しくはトルクショルダ部)
18 ロードフランク面
19 スタビングフランク面
Claims (2)
- 雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピンと、
前記雄ねじ部とねじ結合されてねじ部をなす雌ねじ部と、前記ピンのノーズ部外周面に相対するシール面と、前記ピンのショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックスとを有し、前記ねじ結合により前記ピンとボックスとが結合されてピンの前記ノーズ部外周面とボックスのシール面とがメタル‐メタル接触しその接触部がシール部をなす管用ねじ継手であって、
ピン側のノーズ部外周面が外側に凸の曲面形状であり、ボックス側のシール面がテーパ形状であり、
前記ねじ結合の際にボックス側のシール面と最初に接触するピン側のノーズ部外周面上の部位であるシールポイントにおけるピンの断面積が、ピン未加工部である素管部の断面積の35%以上である
ことを特徴とする管用ねじ継手。 - 継手軸方向断面視で、前記ピンのショルダ部の内径側端部と前記シールポイントとを結ぶ直線が、継手軸に対して45°未満の角度をなすよう、前記シールポイントの位置が設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の管用ねじ継手。
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