JP2012192329A - メタクリル酸製造用触媒の再生方法及びメタクリル酸の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒の再生方法及びメタクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒の触媒活性及び触媒寿命を良好に回復させることができるメタクリル酸製造用触媒の再生方法、およびこの方法により得られた再生触媒を用いて、良好な転化率及び選択率でメタクリル酸を製造する方法を提供する。
【解決手段】メタクリル酸製造用触媒の再生方法は、リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xとを含むヘテロポリ酸化合物からなる使用済触媒を含み、原子比(X/Mo)が所定割合である水性スラリーAを、乾燥し、250〜700℃の温度で加熱した後、乾式粉砕した微粉末A’’と、原子比(X/Mo)が所定割合である水性スラリーBとを混合した後、乾燥、焼成し、原子比(X/Mo)が所定割合である再生触媒を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含むヘテロポリ酸化合物からなる使用済みの触媒に再生処理を施し、メタクリル酸製造用触媒を再生する方法と、この方法により得られた再生触媒を用いてメタクリル酸を製造する方法とに関する。
リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含むヘテロポリ酸化合物からなるメタクリル酸製造用触媒は、例えばメタクロレイン等を原料とする気相接触酸化反応に長時間使用すると、熱負荷等により触媒活性が低下することが知られている。
かかる使用済触媒の再生方法として、これまでに、使用済触媒に硝酸根及びアンモニウム根を混合して得られる水性スラリーを乾燥した後、焼成する方法(特許文献1〜3参照)や、使用済触媒に硝酸根及びアンモニウム根を混合して、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xのモリブデンに対する原子比(X/Mo)を2/12〜4/12に調整した水性スラリーから得られる固形物と、X/Moを0/12〜0.5/12に調整した水性スラリーを混合し、得られたスラリーを乾燥・焼成する方法が提案されている(特許文献4参照)。
特開2008−80232号公報 特開2008−86928号公報 特開2008−93595号公報 特開2010−207695号公報
しかしながら、従来の再生方法で再生された再生触媒は、触媒活性及び触媒寿命の点で必ずしも満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒の触媒活性及び触媒寿命を良好に回復させることができるメタクリル酸製造用触媒の再生方法、およびこの方法により得られた再生触媒を用いて、良好な転化率及び選択率でメタクリル酸を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xとを含むヘテロポリ酸化合物からなるメタクリル酸製造用触媒の再生方法であって、下記工程(I)〜(V)を含み、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0.5/12〜2/12であることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
工程(I):メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒、硝酸根、アンモニウム根及び水を混合し、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が2/12〜4/12となるように調整した水性スラリーAを得る工程。
工程(II):工程(I)で得られた水性スラリーAを250〜700℃の温度で加熱、および乾燥して、固体状のヘテロポリ酸化合物A’を得る工程。
工程(III):工程(II)で得られた固体状のヘテロポリ酸化合物A’を乾式粉砕して微粉末A’’を得る工程。
工程(IV):前記ヘテロポリ酸化合物の構成元素のうち少なくともモリブデンを含む化合物と水とを混合し、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0/12〜0.5/12となるように調整した水性スラリーBを得る工程。
工程(V):工程(III)で得られた微粉末A’’と工程(IV)で得られた水性スラリーBとを混合した後、乾燥、焼成する工程。
(2)工程(III)で得られる微粉末A’’のBET比表面積が10m2/g以上である、前記(1)に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(3)工程(I)で得られる水性スラリーAは、硝酸根1モルに対し1.4〜3.0モルのアンモニウム根を含む前記(1)または(2)に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(4)工程(I)で得られる水性スラリーAの液相のpHが5以上である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(5)前記ヘテロポリ酸化合物が、さらに、バナジウムと、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の再生方法によりメタクリル酸製造用触媒を再生し、この再生された触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物を気相接触酸化反応に付すことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
本発明によれば、メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒の触媒活性及び触媒寿命を良好に回復させることができる。また、この方法により再生された再生触媒を用いれば、良好な転化率及び選択率で長時間にわたりメタクリル酸を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメタクリル酸製造用触媒の再生方法は、メタクリル酸の製造に使用された使用済のメタクリル酸製造用触媒に再生処理を施し、特定の再生触媒を得る方法である。
本発明の再生方法に適用できるメタクリル酸製造用触媒(以下「対象触媒」と称することもある)は、リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xとを含むヘテロポリ酸化合物からなるものであり、遊離のヘテロポリ酸からなるものであってもよいし、ヘテロポリ酸の塩からなるものであってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩(部分中和塩)からなるものが好ましく、さらに好ましくはケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものである。
前記ヘテロポリ酸化合物は、さらに、バナジウムと、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下「元素Y」と称することもある)とを含有することが望ましい。
前記メタクリル酸製造用触媒(対象触媒)を構成する前記ヘテロポリ酸化合物の組成は、メタクリル酸の製造に使用される前の新品触媒において、下記式(i)の通りであることが好ましい。
aMobcdex (i)
(式(i)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン、バナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xを示し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(元素Y)を示し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0<d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である。なお、X及びYのそれぞれが、2種以上の元素である場合には、2種以上の元素の合計比率が、b=12としたとき、0<d≦3、0<e≦3となればよい。)
特に、前記新品触媒を構成する前記ヘテロポリ酸化合物の組成は、メタクリル酸の収率および触媒寿命の観点から、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0.5/12〜2/12であることが好ましい。
前記新品触媒は、例えば、ヘテロポリ酸化合物を構成する上述した各元素を含む化合物(例えば、各元素のオキソ酸、オキソ酸塩、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等)を混合し、所望の形状に成形した後、焼成するなど、従来公知の方法で製造されたものであればよい。
前記各元素を含む化合物は、例えば、リンを含む化合物としては、リン酸、リン酸塩等が用いられ、モリブデンを含む化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウムなどのモリブデン酸塩、酸化モリブデン、塩化モリブデン等が用いられ、バナジウムを含む化合物としては、バナジン酸、バナジン酸アンモニウム(メタバナジン酸アンモニウム)などのバナジン酸塩(メタバナジン酸塩)、酸化バナジウム、塩化バナジウム等が用いられ、元素Xを含む化合物としては、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムなどの酸化物;硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸タリウムなどの硝酸塩;炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムなどの重炭酸塩;水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどの水酸化物;塩化カリウム、塩化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムなどのハロゲン化物等が用いられる。また、前記元素Yを含む化合物としては、オキソ酸、オキソ酸塩、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等が用いられる。
一般に、上述した好ましい触媒組成に設定された新品触媒は、メタクリル酸の製造に使用されると、熱負荷等により触媒活性が低下してしまうことがある。
本発明の再生方法では、このように触媒活性の低下した使用済触媒を再生処理の対象とし、使用済触媒由来の微粉末A’’とヘテロポリ酸化合物の原料化合物由来の水性スラリーBとを混合し、乾燥、焼成することにより、再生触媒を構成するヘテロポリ酸化合物におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0.5/12〜2/12である再生触媒を得る。再生触媒における原子比が上記範囲内であれば、良好な転化率及び選択率で長時間にわたりメタクリル酸を製造することができる。
本発明の再生方法は、下記工程(I)〜(V)を経て、上記した再生触媒を得るものである。
工程(I)においては、メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒、硝酸根、アンモニウム根及び水を混合し、さらに、得られるスラリー中のモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が2/12〜4/12、好ましくは2.5/12〜3.5/12となるように調整して、水性スラリーAを得る。
ここで、硝酸根及びアンモニウム根を混合することにより、得られる再生触媒における転化率や選択率は向上する。
硝酸根を混合するには、硝酸根供給源として、例えば、前記対象触媒を構成する元素を含む硝酸塩のほか、硝酸、硝酸アンモニウムなどの硝酸塩等を用いればよく、他方、アンモニウム根を混合するには、アンモニウム根供給源として、例えば、前記対象触媒を構成する元素を含むアンモニウム塩のほか、アンモニア;硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウムなどのアンモニウム塩等を用いればよい。好ましくは、硝酸根の供給源またはアンモニウム根の供給源として、前記対象触媒を構成する元素を含む硝酸塩やアンモニウム塩を用いるのがよく、さらに、硝酸根とアンモニウム根との比率を後述の範囲に調整するために、硝酸、アンモニア、硝酸アンモニウムを用いるのがよい。
工程(I)で得られる水性スラリーAにおいて、前記硝酸根と前記アンモニウム根との比率は、転化率や選択率を効果的に回復させるうえで、硝酸根1モルに対してアンモニウム根が1.4〜3.0モルであることが好ましく、より好ましくは、硝酸根1モルに対してアンモニウム根が1.8〜2.5モルであるのがよい。
水性スラリーAを調製する際には、その中に存在するモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が前述した範囲(水性スラリーAにおけるX/Mo比)になるように調整することが必要である。具体的には、原子比の調整は、元素Xを含む化合物(元素X含有化合物)とモリブデン化合物の少なくとも一方を加えることにより行なえばよい。その混合量は、再生に供する前の使用済触媒の触媒組成(構成成分の種類や量)を、蛍光X線分析や誘導結合プラズマ(ICP)発光分析等により分析し、この分析した触媒組成に基づき、元素X含有化合物および/またはモリブデン化合物を加えた後の組成におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が前述した範囲になるように決定すればよい。通常は、使用済触媒のモリブデン量を考慮して元素X含有化合物を加えることになるが、メタクリル酸の製造に長時間使用することによる熱負荷等によってモリブデンが飛散、消失してしまう場合には、その減少量によっては、使用済触媒の触媒組成が前述した水性スラリーAにおけるX/Mo比になっている場合もあり、そのような場合には元素X含有化合物とモリブデン化合物の両方を加えないこともありえる。
水性スラリーAの調製において混合するモリブデン化合物や元素X含有化合物としては、上述した新品触媒の製造に用いることのできるモリブデンを含む化合物や元素X含有化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
なお、水性スラリーAを調製する際には、使用済触媒の触媒組成に基づき、必要に応じて、モリブデンや元素X以外の触媒構成元素を含む化合物を加えることもできる。モリブデンや元素X以外の触媒構成元素を含む化合物としては、上述した新品触媒の製造に用いることのできる各元素を含む化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
水性スラリーAの調製において混合する水としては、通常イオン交換水が用いられる。水の混合量は、得られる水性スラリーA中のモリブデン量(使用済触媒に含まれるモリブデンと添加するモリブデン化合物に含まれるモリブデンとの合計)1重量部に対し、通常1〜20重量部である。
水性スラリーAを調製する際には、上述した各成分の混合順序は特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
水性スラリーAを調製する際には、使用済触媒をそのまま混合に供してもよいし、これにあらかじめ前処理として熱処理を施してもよい。
使用済触媒の前処理として行う前記熱処理の処理温度は、特に制限されないが、好ましくは350〜600℃である。熱処理の処理時間は、特に制限されないが、通常0.1〜24時間であり、好ましくは0.5〜10時間である。また、使用済触媒の前処理として行う前記熱処理は、酸素含有ガス等の酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素等の非酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
また、水性スラリーAの調製に供する使用済触媒が成形体である場合、そのまま用いてもよいが、必要に応じて、あらかじめ従来公知の方法で粉砕処理を施すこともできる。
なお、水性スラリーAの調製に供する使用済触媒に、粉砕処理と前処理として行う前記熱処理との両方を施す場合、両処理の順序は特に制限されないが、通常は粉砕処理を行った後に熱処理が施される。
工程(I)で得られる水性スラリーAにおいて、その液相のpHは5以上であることが好ましく、より好ましくは5.0〜8.0であるのがよい。水性スラリーAの液相のpHが5未満であると、触媒活性が充分に回復しないおそれがある。
工程(II)においては、工程(I)で得られた水性スラリーAを、所定温度で加熱、および乾燥して、固体状のヘテロポリ酸化合物A’を得る。
水性スラリーAを乾燥する際の乾燥方法は、特に制限されるものではなく、例えば、静置乾燥法のほか、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法など、この分野で通常用いられる方法を採用することができる。また、乾燥条件については、得られる固体状のヘテロポリ酸化合物A’の水分含量が充分に低減されるよう乾燥方法等に応じて適宜設定すればよい。
前記固体状のヘテロポリ酸化合物A’は、後述する乾式粉砕の粉砕効率を高め、ひいては再生触媒の触媒活性および触媒寿命を効果的に回復させる点から、250〜700℃の温度で加熱して得られるものである。かかる加熱は、水性スラリーAの乾燥と同時に行う(具体的には、乾燥の際の加熱温度を250〜700℃に設定する)ようにしてもよいし、該乾燥とは別に加熱処理を施すようにしてもよいが、後述する乾式粉砕を良好に施す観点から、乾燥した後に、加熱処理をするのが好ましい。加熱温度が上記範囲内であると、硝酸アンモニウムなどを飛散させたヘテロポリ酸化合物A’とすることができ、後述する乾式粉砕の粉砕効率を高めることができる。
加熱時間は、特に制限されないが、通常0.5〜24時間程度、好ましくは1〜20時間程度とする。また、その際の雰囲気や圧力などについても、特に制限はない。
工程(II)で得られる固体状のヘテロポリ酸化合物A’は、遊離のヘテロポリ酸からなるものであってもよいし、ヘテロポリ酸の塩からなるものであってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものが好ましい。このヘテロポリ酸化合物A’におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)は、通常、水性スラリーAにおけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)と同様、2/12〜4/12となる。
工程(II)で得られる固体状のヘテロポリ酸化合物A’を、工程(III)にて乾式粉砕を施し、微粉末A’’を得る。乾式粉砕することで、BET比表面積の大きい再生触媒が得られ、該再生触媒を用いることにより、良好な転化率および選択率で長時間にわたりメタクリル酸を製造することができる。
乾式粉砕は、例えば、ボールミル、振動ボールミル、ロッドミル、媒体撹拌型ミル、振動ロッドミル、ジェットミル等を用いて行われ、中でも、振動ボールミル、振動ロッドミルが好ましく用いられる。前記粉砕処理において、微粉末A’’のBET比表面積が、10m2/g以上まで粉砕されることが好ましく、13m2/g以上まで粉砕されることがさらに好ましい。
工程(IV)においては、対象触媒を構成するヘテロポリ酸化合物の原料化合物と水とを、得られるスラリー中のモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0/12〜0.5/12、好ましくは、0/12〜0.3/12となるように調整して混合し、水性スラリーBを得る。
水性スラリーBの調製においては、ヘテロポリ酸化合物の原料化合物として、少なくともモリブデンを含む化合物を用い、このモリブデンを含む化合物に対して、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が前述した範囲(水性スラリーBにおけるX/Mo比)になるように元素Xを含む化合物を用いる。よって、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)を0/12に設定する場合には、元素Xを含む化合物は必ずしも混合する必要はない。
水性スラリーBの調製において混合するモリブデン化合物や元素X含有化合物としては、上述した新品触媒の製造に用いることのできるモリブデンを含む化合物や元素X含有化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
なお、水性スラリーBを調製する際には、必要に応じて、モリブデンや元素X以外の触媒構成元素を含む化合物を加えることもできる。モリブデンや元素X以外の触媒構成元素を含む化合物としては、上述した新品触媒の製造に用いることのできる各元素を含む化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
水性スラリーBの調製において混合する水としては、通常イオン交換水が用いられる。水の混合量は、得られる水性スラリーB中のモリブデン量1重量部に対し、通常1〜20重量部である。
水性スラリーBを調製する際には、上述した各成分の混合順序は特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
工程(V)においては、まず、工程(III)で得られた微粉末A’’と工程(IV)で得られた水性スラリーBとを混合する。
微粉末A’’と水性スラリーBとの混合割合は、両者(微粉末A’’および水性スラリーB)に含まれるモリブデンおよび元素Xの量を考慮して、最終的に得られる再生触媒を構成するヘテロポリ酸化合物におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0.5/12〜2/12となるようにすればよい。
微粉末A’’と水性スラリーBとを混合する際の混合順序、温度、攪拌条件などは、特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
微粉末A’’と水性スラリーBとを混合する際や、後述する熟成処理の際、または該熟成処理後には、必要に応じて、対象触媒の触媒構成元素を含む化合物、中でも、前記元素Yを含む化合物を混合することもできる。その場合、通常、触媒構成元素を含む化合物(前記元素Yを含む化合物など)を水に懸濁させた状態で加えることが好ましい。それらの混合量は、最終的に得られる再生触媒を構成するヘテロポリ酸化合物の組成が、上述した使用前の新品触媒の好ましい組成(すなわち前記式(i)において、モリブデンに対する元素Xの原子比X/Moが0.5/12〜2/12である組成)となるよう適宜設定すればよい。
工程(V)において、微粉末A’’と水性スラリーBとを混合して得られた混合スラリーは、次いで乾燥に付される。
乾燥する際の乾燥方法は、特に制限されるものではなく、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法など、この分野で通常用いられる方法を採用することができる。また、乾燥条件については、混合スラリー中の水分含量が充分に低減されるよう適宜設定すればよく、特に制限されないが、その温度は、通常、300℃未満である。
微粉末A’’と水性スラリーBとを混合して得られた混合スラリーは、上述した乾燥に付す前に、密閉容器内で100℃以上にて加熱することにより熟成させる熟成処理を施すことが好ましい。前記混合スラリーにこのような熟成処理を施すことにより、使用済触媒の触媒活性を効果的に回復させることができる。
熟成処理における加熱温度の上限は、200℃以下であるのが好ましく、150℃以下であるのがより好ましい。熟成処理における加熱時間は、充分な活性回復効果を得るうえでは、通常0.1時間以上、好ましくは2時間以上であり、生産性の観点からは、20時間以内であるのがよい。
なお、前記乾燥後に得られた乾燥物には、後述する焼成に先立ち、前焼成として、酸化性ガス又は非酸化性ガスの雰囲気下に、180〜300℃程度の温度で保持する熱処理を行うことが好ましい。
前記乾燥後に得られた乾燥物には、後述する焼成もしくは上述した前焼成に付す前に、必要に応じて、所望の形状(リング状、ペレット状、球状、円柱状など)に成形する成形処理を施すことができる。成形処理は、例えば、打錠成形や押出成形など、この分野で通常用いられる方法により行えばよい。成形処理に際しては、必要に応じて、前記乾燥物に、水、成形助剤、気孔剤等を加えることができる。成形助剤としては、例えば、セラミックファイバーやグラスファイバーのほか、硝酸アンモニウム等が挙げられる。特に、硝酸アンモニウムは、成形助剤としての機能を有するほか、気孔剤としての機能も有する。
前記成形処理で得られた成形体(以下、乾燥物という場合もある)には、引き続き、調温調湿処理を施すことが好ましい。焼成もしくは前焼成に付す前に調温調湿処理を施すことにより、均一で、より安定な再生触媒を得ることができる。調温調湿処理は、具体的には、40〜100℃、相対湿度10〜60%の雰囲気下に、成形体を0.5〜10時間程度曝すことにより行われる。該処理は、例えば、調温、調湿された槽内にて行ってもよいし、調温、調湿されたガスを成形体に吹き付けることにより行ってもよい。また、該処理を行う際の雰囲気ガスとしては、通常、空気が用いられるが、窒素等の不活性ガスを用いてもよい。
工程(V)においては、前記乾燥後に得られた乾燥物は、次いで焼成に付される。
焼成は、この分野で通常用いられる方法により行うことができ、特に制限はされない。例えば、酸素等の酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素等の非酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよく、焼成温度は通常300℃以上で行われる。中でも、触媒寿命を良好に回復させるうえでは、酸化性ガス又は非酸化性ガスの雰囲気下で多段焼成するのが好ましく、酸化性ガスの雰囲気下で第一段焼成を行い、次いで非酸化性ガスの雰囲気下で第二段焼成を行う、二段階の焼成方法を採用するのがより好ましい。
焼成に用いられる酸化性ガスは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスを用いる場合、その酸素濃度は、通常1〜30容量%程度とすればよく、酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。また、前記酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。酸化性ガスとしては、中でも、空気が好ましい。酸化性ガス雰囲気下で行う焼成は、通常、このような酸化性ガスの気流下で行われる。また、酸化性ガス雰囲気下で行う焼成の温度は、通常360〜410℃であり、好ましくは380〜400℃である。
焼成に用いられる非酸化性ガスは、実質的に酸素などの酸化性物質を含有しないガスであり、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。また、前記非酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。非酸化性ガスとしては、中でも、窒素が好ましい。非酸化性ガス雰囲気下で行う焼成は、通常、このような非酸化性ガスの気流下で行われる。また、非酸化性ガス雰囲気下で行う焼成の温度は、通常420〜500℃であり、好ましくは420〜450℃である。
かくして、触媒活性が良好に回復した再生触媒を得ることができる。この再生触媒は、対象触媒と同様、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、遊離のヘテロポリ酸からなるものであってもよいし、ヘテロポリ酸の塩からなるものであってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものが好ましく、さらにケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものがより好ましい。また、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)は0.5/12〜2/12であり、好ましくは、上述した新品触媒と同様の好ましい組成を有する。
なお、本発明のメタクリル酸製造用触媒の再生方法は、メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒を再生対象とするものであるが、例えば、新品触媒の製造過程で生じるロス粉や、所望の性能を有していない新品触媒など、メタクリル酸の製造に未使用の新品触媒を再生対象として本発明の再生方法を実施することもでき、そのような場合にも、使用済触媒を再生した場合と同様に、良好な効果が得られる。
本発明のメタクリル酸の製造方法は、前記した本発明の再生方法により再生されたメタクリル酸製造用触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物(以下「メタクリル酸原料」と称することもある)を気相接触酸化反応に付すものである。このように本発明の再生触媒を用いることにより、良好な転化率及び選択率でメタクリル酸を製造することができる。
メタクリル酸の製造は、通常、固定床多管式反応器にメタクリル酸製造用触媒を充填し、これに前記メタクリル酸原料と酸素とを含む原料ガスを供給することにより行われるが、これに限定されるものではなく、流動床や移動床などの反応形式を採用することもできる。
酸素源としては、通常、空気が用いられる。また、原料ガス中には、前記メタクリル酸原料及び酸素以外の成分として、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気等が含まれていてもよい。
前記原料ガスに含まれるメタクリル酸原料は、必ずしも高純度の精製品である必要はなく、例えば、メタクロレインとしては、イソブチレンやt−ブチルアルコールの気相接触酸化反応により得られたメタクロレインを含む反応生成ガスを用いることもできる。なお、前記原料ガスに含まれるメタクリル酸原料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
メタクリル酸の製造における反応条件は、原料ガスに含まれるメタクリル酸原料の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、前記メタクリル酸原料としてメタクロレインを用いる場合、通常、原料ガス中のメタクロレイン濃度は1〜10容量%、水蒸気濃度は1〜30容量%、メタクロレインに対する酸素のモル比は1〜5、空間速度は500〜5000h-1(標準状態基準)、反応温度は250〜350℃、反応圧力は0.1〜0.3MPa、である条件下で反応が行われる。他方、前記メタクリル酸原料としてイソブタンを用いる場合、通常、原料ガス中のイソブタン濃度は1〜85容量%、水蒸気濃度は3〜30容量%、イソブタンに対する酸素のモル比は0.05〜4、空間速度は400〜5000h-1(標準状態基準)、反応温度は250〜400℃、反応圧力は0.1〜1MPa、である条件下で反応が行われる。また、前記メタクリル酸原料としてイソブチルアルデヒドやイソ酪酸を用いる場合には、通常、メタクロレインを原料として用いる場合とほぼ同様の反応条件が採用される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、以下で使用した空気は3.5容量%の水分を含むもの(大気相当)であり、以下で使用した窒素は実質的に水分を含まないものである。
以下の各例において得られた触媒の組成分析、触媒性能の評価は、下記のようにして行った。
<触媒組成(構成元素比)>
蛍光X線分析装置((株)リガク製「ZSX Primus II」)を用い、触媒を蛍光X線分析することにより求めた。
<BET比表面積>
触媒約1gを真空脱気した後、200℃、0.5時間で脱水し、N2吸着させてBET比表面積を測定した。測定装置として、(株)マウンテック社製の「Macsorb Model-1208」を用いた。
<触媒の活性試験>
触媒9gを内径16mmのガラス製マイクロリアクターに充填し、この中に、メタクロレイン、空気、スチーム及び窒素を混合して調製した原料ガス(組成:メタクロレイン4容量%、分子状酸素12容量%、水蒸気17容量%、窒素67容量%)を空間速度670h-1で供給して、一旦、炉温(マイクロリアクターを加熱するための炉の温度)355℃にて1時間反応を行った後、上記と同じ組成の原料ガスを、上記と同じ空間速度で供給して、炉温280℃で反応を行った。この反応開始から(炉温を280℃としてから)1時間経過時の出口ガス(反応後のガス)をサンプリングし、ガスクロマログラフィーにより分析して、下記式に基づき、メタクロレイン転化率(%)、メタクリル酸選択率(%)及び収率(%)を求めた。
メタクロレイン転化率(%)=〔反応したメタクロレインのモル数÷供給したメタクロレインのモル数〕×100
メタクリル酸選択率(%)=〔生成したメタクリル酸のモル数÷反応したメタクロレインのモル数〕×100
収率(%)=〔転化率(%)×選択率(%)〕÷100
<触媒の寿命試験>
触媒4.5gを、内径16mmのガラス製マイクロリアクターに充填し、この中に、メタクロレイン、空気、スチーム及び窒素を混合して調整した原料ガス(メタクロレイン4容量%、分子状酸素12容量%、水蒸気17容量%、窒素67容量%)を空間速度1340h-1で供給して、炉温310℃にて50日以上反応を行い、この間、7〜10日おきにメタクロレイン転化率を求めた。反応時間を横軸、転化率を縦軸としてプロットし、最小二乗法により傾きを求め、転化率の低下速度(%/日)を算出した。
(参考例1−新品触媒の調製)
40℃に加熱したイオン交換水224kgに、硝酸セシウム[CsNO3]38.2kg、75重量%オルトリン酸27.4kg、及び70重量%硝酸25.2kgを溶解させ、これをα液とした。一方、40℃に加熱したイオン交換水330kgに、モリブデン酸アンモニウム4水和物[(NH46Mo724・4H2O]297kgを溶解させた後、メタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]8.19kgを懸濁させ、これをβ液とした。
α液とβ液の温度を40℃に保持しながら、攪拌下、β液にα液を滴下した後、密閉容器中で120℃にて5.8時間攪拌した。次いで、三酸化アンチモン[Sb23]10.2kg及び硝酸銅3水和物[Cu(NO32・3H2O]10.2kgを、イオン交換水23kg中に懸濁させた状態で添加し、その後、密閉容器中で120℃にて5時間攪拌した。こうして得られたスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、得られた乾燥粉末100重量部に対して、セラミックファイバー4重量部、硝酸アンモニウム13重量部、及びイオン交換水9.7重量部を加えて混練した後、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。得られた成形体を、温度90℃、相対湿度30%にて3時間乾燥させた後、窒素気流中にて435℃で3時間、続いて空気気流中にて390℃で3時間、保持することにより焼成し、その後、成形体を取り出して、これを新品触媒とした。
得られた新品触媒は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、12、0.50、0.5、0.3及び1.4の原子比で含むヘテロポリ酸化合物からなるものであった。BET比表面積は13m2/gであった。
この新品触媒の活性試験及び寿命試験の結果を表1に示す。
(参考例2−使用済触媒の調製)
参考例1で得た新品触媒を所定時間、メタクロレインの接触気相酸化反応に付して、使用済触媒を得た。
得られた使用済触媒を構成するヘテロポリ酸化合物の酸素を除く金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.3、9.6、0.48、0.5、0.3及び1.4であった。BET比表面積は7m2/gであった。
この使用済触媒の活性試験の結果を表1に示す。
(実施例1)
〔工程(I):水性スラリーAの調製〕
参考例2で得られた使用済触媒200gをイオン交換水400gに加え攪拌した。次に、新品触媒に対する使用済触媒の不足成分を補うため、モリブデン源として三酸化モリブデン[MoO3]31.5gと、リン源として75重量%オルトリン酸2.7gと、バナジウム源としてメタバナジン酸アンモニウム0.2gとを添加し、さらに、硝酸セシウム35.9g及び硝酸アンモニウム[NH4NO3]18.0gを加えた後、70℃に昇温して同温度で1時間保持した。次いで、25重量%アンモニア水47.3gを添加し、70℃にて1時間保持した後、密閉容器中120℃にて5時間攪拌して、水性スラリーA1を得た。得られた水性スラリーA1中の硝酸根に対するアンモニウム根のモル比は2.3であり、水性スラリーA1の液相のpHは6.8であった。また、水性スラリーA1に含まれる金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び3.2であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は3.2/12であった。
〔工程(II):固体状のヘテロポリ酸化合物A’の調製〕
上記水性スラリーA1を135℃にて18時間静置乾燥し、得られた乾燥物に、空気中500℃にて5時間、加熱処理を施して、固体状のヘテロポリ酸化合物A’1を得た。BET比表面積は3m2/gであった。
〔工程(III):微粉末A’’の調製〕
11gの上記ヘテロポリ酸化合物A’1を、タングステンカーバイド製のロッドの入った容器に入れ、高速振動粉砕機((株)シー・エム・ティー製「TI−100」)を使用して、振幅7mm、振動回転数1730rpmの条件で5分間振動させて乾式粉砕を行い、微粉末A’’1を取り出した。この一連の操作を10回繰り返し、乾式粉砕により得られた微粉末A’’1を10回分回収した。BET比表面積は17m2/gであった。
〔工程(IV):水性スラリーBの調製〕
40℃に加熱したイオン交換水150gに、75重量%オルトリン酸9.99g、67.5重量%硝酸9.52g、及び硝酸アンモニウム18.4gを溶解させ、これをa1液とした。一方、40℃に加熱したイオン交換水220gに、モリブデン酸アンモニウム4水和物108gを溶解させた後、メタバナジン酸アンモニウム2.98gを懸濁させ、これをb1液とした。a1液とb1液の温度を40℃に保持しながら、攪拌下、b1液にa1液を滴下して、水性スラリーB1を得た。この水性スラリーB1に含まれる金属元素の原子比は、リン、モリブデン及びバナジウムがそれぞれ1.5、12、0.5であり(アンチモン、銅、セシウムはいずれも0である)、モリブデンに対するセシウムの原子比は0/12であった。
〔工程(V):微粉末A’’と水性スラリーBとの混合〕
上記水性スラリーB1の全量に上記微粉末A’’1を99.8g混合した後、密閉容器中で120℃にて5時間攪拌し、次いで、三酸化アンチモン3.72g及び硝酸銅3水和物3.69gを、イオン交換水8.54gに懸濁させた状態で添加し、その後、密閉容器中で120℃にて5時間攪拌した。こうして得られた混合スラリーを135℃にて乾燥し、得られた乾燥物100重量部に対して、セラミックファイバー2重量部、硝酸アンモニウム18重量部、及びイオン交換水7.5重量部を加えて混練した後、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。得られた成形体を、温度90℃、相対湿度30%にて3時間乾燥させた後、空気気流中にて390℃で4時間、続いて窒素気流中にて435℃で4時間、保持することにより焼成し、その後、成形体を取り出して、これを再生触媒(1)とした。
得られた再生触媒(1)は、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、該ヘテロポリ酸化合物の酸素を除く金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は1.4/12であった。この再生触媒(1)の活性試験及び寿命試験の結果を表1に示す。BET比表面積は7m2/gであった。
(実施例2)
実施例1の工程(II)において、乾燥物に、空気中500℃にて5時間の加熱処理に代えて、空気中250℃にて1時間、加熱処理を施した以外は、実施例1と同様にして、再生触媒(2)を得た。
得られた再生触媒(2)は、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、該ヘテロポリ酸化合物の酸素を除く金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は1.4/12であった。BET比表面積は7m2/gであった。
この再生触媒(2)の活性試験及び寿命試験の結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の工程(V)において、微粉末A’’1に代えて、工程(II)で得られた固体状のヘテロポリ酸化合物A’1(BET比表面積3m2/g)を水性スラリーB1の全量に混合した以外は、実施例1と同様にして、再生触媒(C1)を得た。
得られた再生触媒(C1)は、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、該ヘテロポリ酸化合物の酸素を除く金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は1.4/12であった。BET比表面積は4m2/gであった。
この再生触媒(C1)の活性試験及び寿命試験の結果を表1に示す。
(実施例3)
〔工程(I):水性スラリーAの調製〕
参考例2で得られた使用済触媒4.5kgをイオン交換水9.0kgに加え攪拌した。次に、新品触媒に対する使用済触媒の不足成分を補うため、モリブデン源として三酸化モリブデン0.71kgと、リン源として75重量%オルトリン酸0.06kgと、バナジウム源としてメタバナジン酸アンモニウム0.004kgとを添加し、さらに、硝酸セシウム0.81kg及び硝酸アンモニウム0.41kgを加えた後、70℃に昇温して同温度で1時間保持した。次いで、25重量%アンモニア水1.06kgを添加し、70℃にて1時間保持した後、密閉容器中120℃にて5時間攪拌して、水性スラリーA2を得た。得られた水性スラリーA2中の硝酸根に対するアンモニウム根のモル比は2.3であり、水性スラリーA2の液相のpHは6.7であった。また、水性スラリーA2に含まれる金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び3.2であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は3.2/12であった。
〔工程(II):固体状のヘテロポリ酸化合物A’の調製〕
上記水性スラリーA2をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、得られた乾燥物に、空気中500℃にて5時間、加熱処理を施して、固体状のヘテロポリ酸化合物A’2を得た。BET比表面積は3m2/gであった。
〔工程(III):微粉末A’’の調製〕
300gの上記ヘテロポリ酸化合物A’2を、アルミナ製ボールの入った容器に入れ、振動ミル(ユーラステクノ(株)製、「バイブロポット(登録商標)、YAMP−6JND」)を使用して、振幅5.4mm、振動数29.2Hzの条件で15分間振動させて乾式粉砕を行い、一旦粉末を回収した。回収した粉末のうち210gを再度アルミナ製ボールの入った容器に入れ、振動ミル(ユーラステクノ(株)製、「バイブロポット(登録商標)、YAMP−6JND」)を使用して、振幅5.4mm、振動数29.2Hzの条件で8分間振動させて乾式粉砕を行い、微粉末A’’2を取り出した。以上の一連の操作を12回繰り返し、乾式粉砕により得られた微粉末A’’2を12回分回収した。BET比表面積は15m2/gであった。
〔工程(IV):水性スラリーBの調製〕
40℃に加熱したイオン交換水3.30kgに、75重量%オルトリン酸0.22kg、67.5重量%硝酸0.21kg、及び硝酸アンモニウム0.40kgを溶解させ、これをa2液とした。一方、40℃に加熱したイオン交換水4.84kgに、モリブデン酸アンモニウム4水和物2.38kgを溶解させた後、メタバナジン酸アンモニウム0.066kgを懸濁させ、これをb2液とした。a2液とb2液の温度を40℃に保持しながら、攪拌下、b2液にa2液を滴下して、水性スラリーB2を得た。この水性スラリーB2に含まれる金属元素の原子比は、リン、モリブデン及びバナジウムがそれぞれ1.5、12、0.5であり(アンチモン、銅、セシウムはいずれも0である)、モリブデンに対するセシウムの原子比は0/12であった。
〔工程(V):微粉末A’’と水性スラリーBとの混合〕
上記水性スラリーB2の全量に上記微粉末A’’2を2.20kg混合した後、密閉容器中で120℃にて5時間攪拌し、次いで、三酸化アンチモン0.082kg及び硝酸銅3水和物0.090kgを、イオン交換水0.18kgに懸濁させた状態で添加し、その後、密閉容器中で120℃にて5時間攪拌した。こうして得られた混合スラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、得られた乾燥物100重量部に対して、セラミックファイバー2重量部、硝酸アンモニウム19重量部、及びイオン交換水7重量部を加えて混練した後、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。得られた成形体を、温度90℃、相対湿度30%にて3時間乾燥させた後、空気気流中にて390℃で4時間、続いて窒素気流中にて435℃で4時間、保持することにより焼成し、その後、成形体を取り出して、これを再生触媒(3)とした。
得られた再生触媒(3)は、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、該ヘテロポリ酸化合物の酸素を除く金属元素の原子比は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムがそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4であり、モリブデンに対するセシウムの原子比は1.4/12であった。BET比表面積は7m2/gであった。
この再生触媒(3)の活性試験及び寿命試験の結果を表1に示す。
Figure 2012192329

Claims (6)

  1. リンと、モリブデンと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xとを含むヘテロポリ酸化合物からなるメタクリル酸製造用触媒の再生方法であって、
    下記工程(I)〜(V)を含み、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物におけるモリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0.5/12〜2/12であることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
    工程(I):メタクリル酸の製造に使用された使用済触媒、硝酸根、アンモニウム根及び水を混合し、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が2/12〜4/12となるように調整した水性スラリーAを得る工程。
    工程(II):工程(I)で得られた水性スラリーAを250〜700℃の温度で加熱、および乾燥して、固体状のヘテロポリ酸化合物A’を得る工程。
    工程(III):工程(II)で得られた固体状のヘテロポリ酸化合物A’を乾式粉砕して微粉末A’’を得る工程。
    工程(IV):前記ヘテロポリ酸化合物の構成元素のうち少なくともモリブデンを含む化合物と水とを混合し、モリブデンに対する元素Xの原子比(X/Mo)が0/12〜0.5/12となるように調整した水性スラリーBを得る工程。
    工程(V):工程(III)で得られた微粉末A’’と工程(IV)で得られた水性スラリーBとを混合した後、乾燥、焼成する工程。
  2. 工程(III)で得られる微粉末A’’のBET比表面積が10m2/g以上である、請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
  3. 工程(I)で得られる水性スラリーAは、硝酸根1モルに対し1.4〜3.0モルのアンモニウム根を含む請求項1または2に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
  4. 工程(I)で得られる水性スラリーAの液相のpHが5以上である請求項1〜3のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
  5. 前記ヘテロポリ酸化合物が、さらに、バナジウムと、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む請求項1〜4のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の再生方法によりメタクリル酸製造用触媒を再生し、この再生された触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物を気相接触酸化反応に付すことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
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