JP2012189191A - Rolling bearing unit with encoder and method for manufacturing the same - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えば、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速度を検出可能とするエンコーダ付転がり軸受ユニットと、その製造方法との改良に関する。 The present invention relates to, for example, a rolling bearing unit with an encoder that supports a wheel of an automobile rotatably with respect to a suspension device and can detect the rotational speed of the wheel, and an improvement of the manufacturing method thereof.
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、転がり軸受ユニットを使用する。又、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)を制御する為には、前記車輪の回転速度を検出する必要がある。この為、前記転がり軸受ユニットに回転速度検出装置を構成するエンコーダを組み付けたエンコーダ付転がり軸受ユニットにより、前記車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速度を検出する事が、一般的に行われている。 A rolling bearing unit is used to rotatably support the wheels of the automobile with respect to the suspension system. In order to control the anti-lock brake system (ABS) and the traction control system (TCS), it is necessary to detect the rotational speed of the wheel. For this reason, the rolling bearing unit with an encoder in which the encoder constituting the rotational speed detecting device is assembled to the rolling bearing unit is supported rotatably with respect to the suspension device, and the rotational speed of the wheel is detected. Is generally done.
図4は、この様な目的で使用されるエンコーダ付転がり軸受ユニットの従来構造の1例を示している。このエンコーダ付転がり軸受ユニットは、軸部材であるハブ1と、内輪2と、外輪3と、複数個の転動体4、4と、エンコーダ5とを備える。このうちのハブ1の外周面の軸方向外端(軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、図1、4の左側。反対に、軸方向に関して「内」とは、車両の幅方向中央側を言い、図1、4の右側。)寄り部分には、車輪を支持する為の回転側フランジ6を、同じく軸方向中間部に第一の内輪軌道7aを、同じく軸方向内端部に、この第一の内輪軌道7aを形成した部分よりも外径寸法が小さくなった小径段部8を、それぞれ形成している。又、前記内輪2は、外周面に第二の内輪軌道7bを形成したもので、前記小径段部8に締り嵌めで外嵌している。
FIG. 4 shows an example of a conventional structure of a rolling bearing unit with an encoder used for such a purpose. This encoder-equipped rolling bearing unit includes a
又、前記外輪3は、外周面に懸架装置に結合固定する為の静止側フランジ9を、内周面に第一、第二の外輪軌道10a、10bを、それぞれ形成している。そして、これら第一、第二の両外輪軌道10a、10bと、前記第一、第二の両内輪軌道7a、7bとの間に、それぞれ複数個ずつの転動体4、4を設けている。又、この状態で、前記ハブ1の軸方向内端部に設けた円筒部11のうち、前記内輪2の軸方向内端面から突出した部分を径方向外方に向け塑性変形させる事で、かしめ部12を形成している。そして、このかしめ部12により、前記内輪2の軸方向内端面を抑え付ける事で、この内輪2を前記ハブ1に結合固定すると共に、前記各転動体4、4に適正な予圧を付与している。尚、図示の例では、これら各転動体4、4として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車用の車輪支持用軸受ユニットの場合には、円すいころを使用する場合もある。
The
又、前記エンコーダ5は、前記内輪2の軸方向内端部に外嵌固定している。このエンコーダ5は、芯金13と、エンコーダ本体14とから成る。このうちの芯金13は、軟鋼板、磁性ステンレス鋼板等の磁性金属板により、断面L字形で全体を円環状に形成したもので、前記内輪2の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌している。又、前記エンコーダ本体14は、円輪状の多極磁石であり、前記芯金13の軸方向内側面に全周に亙り添着固定されている。被検出面である、前記エンコーダ本体14の軸方向外側面には、S極とN極とが円周方向に関して交互に且つ等ピッチで配置されている。又、前記外輪3の軸方向内端開口部には、非磁性ステンレス鋼板、アルミニウム合金板等の非磁性金属板製、或いは、高機能樹脂等の非磁性材製で、全体をシャーレ状に形成したカバー15を装着する事により、前記開口部を塞いでいる。この状態で、前記エンコーダ5の被検出面は、前記カバー15の底板部に近接対向している。
The encoder 5 is externally fitted and fixed to the inner end of the
上述の様なエンコーダ付転がり軸受ユニットの使用時には、前記外輪3を構成する静止側フランジ9を懸架装置に結合固定すると共に、前記ハブ1を構成する回転側フランジ6に車輪を支持固定する。又、車体の一部に対して支持固定したセンサ16の検出部24を、前記エンコーダ5の被検出面に、前記カバー15の底板部を介して近接対向させる。尚、前記センサ16の検出部24は、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子により構成している。この状態で前記車輪が回転すると、前記センサ16の検出部24の近傍を、前記エンコーダ5の被検出面に設けたS極とN極とが交互に通過する。この結果、前記センサ16の検出部24内を通過する磁束の向きが交互に変化し、このセンサ16の出力が変化する。この様にしてセンサ16の出力が変化する周波数は、前記車輪の回転速度に比例する。従って、前記センサ16の出力を図示しない制御器に送れば、ABSやTCSを適切に制御できる。
When the rolling bearing unit with an encoder as described above is used, the
ところで、上述した様なエンコーダ付転がり軸受ユニットを構成する各軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2、前記外輪3)を造る場合、これら各軌道輪部材(1〜3)の表面のうち、前記各軌道7a、7b、10a、10b、前記小径段部8、前記カバー15の嵌合面等の所定箇所には、面精度や表面粗さを向上させる為の研削加工を施す。この際の研削加工は、通常、図5に示す様に行う。即ち、対象となる軌道輪部材(図示の例では、前記ハブ1)を、図示しない回転駆動軸の先端部に固定したバッキングプレート17の端面に磁気吸着させる。これと共に、前記軌道輪部材(1)の外周面にシュー18を摺接させる事により、この軌道輪部材(1)の径方向の位置決めを図る。そして、この状態で、前記回転駆動軸と共に前記軌道輪部材(1)を回転させつつ、この軌道輪部材(1)の表面の所定箇所を、回転する砥石19で研削する。対象となる軌道輪部材が、前記内輪2や前記外輪3である場合に就いても同様である。
By the way, when making each bearing ring member (the
上述した様な研削加工を行う際に、前記各軌道輪部材(1〜3)は、前記バッキングプレート17への磁気吸着に基づいて軸方向に着磁され、軸方向の残留磁気を帯びた状態となる。この為、特許文献1にも記載されている様に、これら各軌道輪部材(1〜3)をそのまま使用して、上述したエンコーダ付転がり軸受ユニットを組み立てると、前記各軌道輪部材(1〜3)の残留磁気によって周囲に発生した磁束が、前記エンコーダ5の被検出面から出入りして前記センサ16の検出部24を通過する磁束に悪影響(密度や分布を変化させる様な影響)を与え、回転速度検出の信頼性を低下させる可能性がある。尚、前記各軌道輪部材(1〜3)の研削後は、通常、これら各軌道輪部材(1〜3)を前記バッキングプレート17から取り外す前に、このバッキングプレート17から前記各軌道輪部材(1〜3)に逆励磁をかける事により、これら各軌道輪部材(1〜3)の減磁を行う。但し、この様な作業を行っても、前記各軌道輪部材(1〜3)の残留磁気を十分に減少させる事は難しい。
When the grinding process as described above is performed, each of the track ring members (1 to 3) is magnetized in the axial direction based on the magnetic attraction to the
この様な事情に鑑みて従来から、特許文献1にも記載されている様に、前記バッキングプレート17から取り外した前記各軌道輪部材(1〜3)に、脱磁処理を施す事が行われている。この脱磁処理は、通常、図6に示す様にして行う。即ち、対象となる軌道輪部材(図示の例では、前記ハブ1)を、連続走行する搬送コンベア20に載せて、脱磁ヨーク21の上方に発生させた交番磁界中を、水平方向に一定速度で通過させる。この際に、前記軌道輪部材(1)の軸方向と、前記交番磁界の振動方向とは、互いに同じ方向(図示の例では上下方向)としておく。これにより、前記通過に伴って、前記軌道輪部材(1)に前記交番磁界を軸方向に印加する事で、この軌道輪部材(1)の脱磁を行う。対象となる軌道輪部材が、前記内輪2や前記外輪3である場合に就いても同様である。
In view of such circumstances, conventionally, as described in
ところが、上述した様な脱磁処理によっても、前記各軌道輪部材(1〜3)の残留磁気を完全に除去する事はできない。即ち、これら各軌道輪部材(1〜3)の大きさや形状等の影響により、これら各軌道輪部材(1〜3)に或る程度の磁気が残った状態となる。又、図6に示した脱磁機のタクトタイム(処理時間/個)は、例えば図5に示した研削機のタクトタイムに比べて十分に短い為、実際の生産ラインに於いて、前記脱磁機は、前記各軌道輪部材(1〜3)に就いて共用される事が多い。即ち、これら各軌道輪部材(1〜3)の脱磁処理は、通常、体積が大きい前記ハブ1や前記外輪3も、体積が小さい前記内輪2も、総て同一の脱磁機により同一の条件で行われる。この為、脱磁処理後の残留磁気は、体積が大きい前記ハブ1や前記外輪3で、体積が小さい前記内輪2よりも大きくなる。何れにしても、前記各軌道輪部材(1〜3)の残留磁気のうち、前記外輪3の残留磁気は、使用時の状態で、前記エンコーダ5の被検出面から出入りして前記センサ16の検出部24を通過する磁束に悪影響を及ぼしにくい。この理由は、前記外輪3の残留磁気が、上述した脱磁処理により或る程度小さくなっている事に加えて、この外輪3が、前記エンコーダ5に直接接触しておらず、且つ、前記センサ16の検出部24から比較的離れた位置に存在する為である。これに対して、前記ハブ1と前記内輪2との結合体の残留磁気は、使用時の状態で、前記エンコーダ5の被検出面から出入りして前記センサ16の検出部24を通過する磁束に悪影響を及ぼし易い。この理由は、前記ハブ1及び前記内輪2の残留磁気が、上述した脱磁処理により或る程度小さくなってはいるものの、前記内輪2が、前記エンコーダ5に直接接触しており、且つ、前記センサ16の検出部24に近接した位置に存在する為である。即ち、この状態では、前記内輪2の軸方向内端部表面から出る(又はこの表面に入る)磁束が、前記センサ16の検出部24側を流れ易く、結果として、このセンサ16の検出部24を通過する磁束に悪影響を及ぼし易い。
However, the residual magnetism of each of the bearing ring members (1 to 3) cannot be completely removed even by the demagnetization process as described above. That is, due to the influence of the size and shape of each of the raceway members (1 to 3), some degree of magnetism remains in each of the raceway members (1 to 3). Further, since the takt time (processing time / piece) of the demagnetizer shown in FIG. 6 is sufficiently shorter than the takt time of the grinding machine shown in FIG. 5, for example, in the actual production line, The porcelain machine is often shared by the raceway members (1 to 3). That is, the demagnetization treatment of each of the bearing ring members (1 to 3) is usually performed by the same demagnetizer for the
従って、このセンサ16の検出部24を通過する磁束に悪影響が及びにくくして、回転速度検出の信頼性を向上させるべく、前記内輪2の軸方向内端部表面から出て前記センサ16の検出部24側に流れる(又は、このセンサ16の検出部24側から流れてきて前記内輪2の軸方向内端部表面に入る)磁束の量を抑えられる構造を実現する事が望まれる。
Therefore, the magnetic flux passing through the
本発明は、上述の様な事情に鑑み、軸部材及び内輪に或る程度の磁気が残留している場合でも、エンコーダの被検出面から出入りしてセンサの検出部を通過する磁束に悪影響が及びにくくする為、前記内輪の軸方向内端部表面から出てセンサの検出部側に流れる(又は、このセンサの検出部側から流れてきて前記内輪の軸方向内端部表面に入る)磁束の量を抑えられる構造を実現すべく発明したものである。 In view of the circumstances as described above, the present invention has an adverse effect on the magnetic flux that enters and exits the detection surface of the encoder and passes through the detection portion of the sensor even when a certain amount of magnetism remains in the shaft member and the inner ring. In order to make it difficult, the magnetic flux exits from the inner surface of the inner ring in the axial direction and flows to the sensor side of the sensor (or flows from the sensor side of the sensor and enters the inner surface of the inner ring in the axial direction). It was invented to realize a structure that can suppress the amount of the above.
本発明のエンコーダ付転がり軸受ユニットとその製造方法のうち、請求項1に記載したエンコーダ付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットと、エンコーダとを備える。
特に、請求項1に記載したエンコーダ付転がり軸受ユニットに於いては、それぞれが前記転がり軸受ユニットを構成する、比較的体積の大きい軸部材の軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、比較的体積の小さい内輪の軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを、互いに異ならせている。
Of the rolling bearing unit with an encoder according to the present invention and the manufacturing method thereof, the rolling bearing unit with an encoder according to
In particular, in the rolling bearing unit with an encoder according to
請求項1に記載したエンコーダ付転がり軸受ユニットを実施する場合に、前記転がり軸受ユニットは、例えば、前記軸部材の軸方向一端部に前記内輪を単に締り嵌めで外嵌固定したものであっても良いし、或いは、請求項2に記載した発明の様に、前記内輪を外嵌した軸部材の軸方向一端部を径方向外方に向け塑性変形させる事で形成したかしめ部により、前記内輪の軸方向一端面を抑え付けて、この内輪を前記軸部材に結合固定したものであっても良い。
When the rolling bearing unit with an encoder according to
又、請求項3に記載したエンコーダ付転がり軸受ユニットの製造方法は、上述の様なエンコーダ付転がり軸受ユニットを造る為、前記軸部材の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、前記内輪の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを、互いに異ならせる処理を行う。その後、これら軸部材と内輪とを互いに結合すると共に、この内輪に前記エンコーダを組み付ける。 According to a third aspect of the present invention, there is provided a method of manufacturing a rolling bearing unit with an encoder. Since the rolling bearing unit with an encoder as described above is manufactured, the polarity of residual magnetism on the surface of one axial end portion of the shaft member alone is obtained. And a process of making the polarities of the remanent magnetism on the surface of the one end portion in the axial direction in the state of the single inner ring different from each other. Thereafter, the shaft member and the inner ring are coupled to each other, and the encoder is assembled to the inner ring.
又、上述の様な請求項3に記載したエンコーダ付転がり軸受ユニットの製造方法を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、対象部材の静止状態で、この対象部材に対し、時間の経過と共に振幅が減少する交番磁界を軸方向に印加した後、この交番磁界の印加を所定の位相で停止する処理を、前記軸部材と前記内輪とのそれぞれを対象として実施する。これに基づき、この軸部材の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、前記内輪の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを、互いに異ならせる。
Further, when the manufacturing method of the rolling bearing unit with an encoder described in
上述の様に構成する本発明のエンコーダ付転がり軸受ユニットによれば、前記内輪の軸方向一端部表面から出て、前記エンコーダの被検出面に対向させるセンサの検出部側に流れる(又は、このセンサの検出部側から流れてきて、前記内輪の軸方向一端部表面に入る)磁束の量を抑えられる。即ち、本発明の場合には、前記内輪の軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、前記軸部材の軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを、互いに異ならせている。この為、前記内輪の軸方向一端部表面から出る(又はこの表面に入る)磁束を、前記軸部材の軸方向一端部表面側に誘導する事ができる。そして、その分だけ、前記内輪の軸方向一端部表面から出て、前記エンコーダの被検出面に対向させるセンサの検出部側に流れる(又は、このセンサの検出部側から流れてきて、前記内輪の軸方向一端部表面に入る)磁束の量を抑えられる(低減又は実質的に零にできる)。従って、前記エンコーダの被検出面から出入りして前記センサの検出部を通過する磁束に及ぶ悪影響(密度や分布を変化させる様な影響)を低減できる。この結果、前記エンコーダの被検出面から出入りする磁束を、前記センサの検出部により検出する事に基づいて行われる、回転速度等の物理量の測定に関する信頼性を向上させる事ができる。 According to the rolling bearing unit with an encoder of the present invention configured as described above, it flows out from the surface of one end of the inner ring in the axial direction and flows to the detection unit side of the sensor facing the detection surface of the encoder (or this The amount of magnetic flux that flows from the detection part side of the sensor and enters the surface of one end part in the axial direction of the inner ring can be suppressed. That is, in the case of the present invention, the polarity of the remanent magnetism on the surface of the one end portion in the axial direction of the inner ring is different from the polarity of the remanent magnetism on the surface of the one end portion in the axial direction of the shaft member. For this reason, the magnetic flux which comes out from the axial direction one end part surface of the said inner ring | wheel (or enters this surface) can be induced | guided | derived to the axial direction one end part surface side of the said shaft member. And by that amount, the inner ring exits from the surface of one end in the axial direction and flows to the detection unit side of the sensor facing the detection surface of the encoder (or the inner ring flows from the detection unit side of the sensor). The amount of magnetic flux (entering the surface of one end of the axis) can be suppressed (can be reduced or substantially zero). Accordingly, it is possible to reduce an adverse effect (an influence that changes the density and distribution) on the magnetic flux that enters and exits the detection surface of the encoder and passes through the detection unit of the sensor. As a result, it is possible to improve the reliability related to the measurement of the physical quantity such as the rotation speed, which is performed based on the detection of the magnetic flux entering and exiting the detection surface of the encoder by the detection unit of the sensor.
又、上述した様な本発明のエンコーダ付転がり軸受ユニットの製造方法によれば、上述した様な本発明のエンコーダ付転がり軸受ユニットを的確に製造する事ができる。
又、本発明の製造方法を実施する場合に、請求項4に記載した構成を採用すれば、前記軸部材の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、前記内輪の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを互いに異ならせる作業を、これら軸部材と内輪とに対する交番磁界の印加を所定の位相で停止する事により、容易且つ的確に行える。又、対象部材(前記軸部材、前記内輪)に交番磁界を印加する作業を、この対象部材の静止状態で行う為、この対象部材の単体の状態での軸方向一端部表面の残留磁気の極性を、全周に亙り等しくする事ができる。即ち、当該極性が、円周方向に関して異なった状態になる事を防止できる。
Moreover, according to the manufacturing method of the rolling bearing unit with an encoder of the present invention as described above, the rolling bearing unit with an encoder of the present invention as described above can be accurately manufactured.
In addition, when the manufacturing method of the present invention is carried out, if the configuration described in
図1〜2を参照しつつ、本発明の実施の形態の1例に就いて説明する。尚、本例の特徴は、エンコーダ付転がり軸受ユニットを構成する、軸部材であるハブ1と、内輪2との、それぞれの軸方向内端部表面の残留磁気の極性を調整した点、若しくは、調整する点にある。その他の部分の構造、作用、及び製造方法に就いては、前述の図4に示した従来構造の場合と同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
One example of an embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. The feature of this example is that the polarities of the residual magnetism of the axially inner end surfaces of the
本例のエンコーダ付転がり軸受ユニットは、図1に示す様に、前記ハブ1の軸方向内端部表面の残留磁気の極性をS極とし、前記内輪2の軸方向内端部表面の残留磁気の極性をN極としている。
この様な構成を有するエンコーダ付転がり軸受ユニットを製造する為に、本例の場合には、前記ハブ1と前記内輪2との製造工程で、前述した研削加工(図5参照)の終了後、これらハブ1と内輪2とをバッキングプレート17(図5参照)から取り外した後、これらハブ1と内輪2とに対して、それぞれ図2に示す様な脱磁処理を施す。
As shown in FIG. 1, the rolling bearing unit with an encoder of this example has a residual magnetic polarity on the surface of the inner end portion in the axial direction of the
In order to manufacture a rolling bearing unit with an encoder having such a configuration, in the case of this example, in the manufacturing process of the
即ち、対象となる軌道輪部材(図示の例では、前記ハブ1)を、間欠送りで走行する搬送コンベア20aに載せて、(a)の位置から(b)の位置(脱磁ヨーク21aの上方の位置)まで移動させ、その位置で静止させる。そして、この状態で、この脱磁ヨーク21aを構成するコイル22に、(b)の下方に例示する様な波形を持った、時間の経過と共に振幅が減少する交流電圧を印加する。これにより、前記脱磁ヨーク21aの上方に、この交流電圧と相似する波形を持った、時間の経過と共に振幅が減少する交番磁界を発生させる。そして、この交番磁界を前記軌道輪部材(1)に対し、軸方向に印加する。この為に、(b)の位置で、前記交番磁界の振動方向と、前記軌道輪部材(1)の軸方向とが、互いに同じ方向(図示の例では上下方向)になる様にしておく。そして、この様に前記交番磁界を前記軌道輪部材(1)に軸方向に印加するにより、この軌道輪部材(1)の残留磁気を減少させる。
That is, the target ring member (in the example shown, the hub 1) is placed on the
その後、前記軌道輪部材(1)に対する前記交番磁界の印加(前記コイル22に対する前記交流電圧の印加)を、所定の位相で停止する。これにより、前記軌道輪部材(1)の軸方向内端部表面の残留磁気の極性を、所望の極性(図示の例では、この軌道輪部材が前記ハブ1なのでS極。図示の例とは異なり、この軌道輪部材が前記内輪2であればN極。)とする。逆に言えば、この軌道輪部材(1)の軸方向内端部表面の残留磁気の極性が、所望の極性となる位相で、前記交番磁界の印加を停止する。この交番磁界の印加を停止した後は、前記搬送コンベア20aを間欠送りで走行させる事により、前記軌道輪部材(1)を、(b)の位置から(c)の位置(前記脱磁ヨーク21aの上方から水平方向に外れた位置)まで移動させる。これと同時に、次の軌道輪部材(1)を、(a)の位置から(b)の位置に移動させて、同様の脱磁処理を行う。尚、(c)の位置に移動させた脱磁処理後の軌道輪部材(1)に、(b)の位置で発生させる交番磁界の影響が及ばない様にする為に、(b)の位置と(c)の位置との間隔を十分に大きくしたり、(b)の位置と(c)の位置との間に磁気遮蔽板23を設けたりする等の措置を施す。対象となる軌道輪部材が、前記内輪2である場合に就いても同様である。
Thereafter, the application of the alternating magnetic field to the ring member (1) (the application of the AC voltage to the coil 22) is stopped at a predetermined phase. Thus, the polarity of the remanent magnetism on the surface of the inner end portion in the axial direction of the bearing ring member (1) is changed to a desired polarity (in the example shown in the figure, since the bearing ring member is the
そして、上述した様な脱磁処理を施したハブ1及び内輪2と、その他の構成部材とを互いに組み合わせるより、前記ハブ1の軸方向内端部表面の残留磁気の極性がS極となり、前記内輪2の軸方向内端部表面の残留磁気の極性がN極となる構成を備えた、本例のエンコーダ付転がり軸受ユニットを完成させる。
尚、前記ハブ1と前記内輪2との体積の比は、8〜10:1程度である事が多いが、特に、玉列間距離の長い転がり軸受ユニットの場合には、20:1程度になる事もある。即ち、それぞれが軸方向の残留磁気を帯びた、前記ハブ1と前記内輪2とは、大小の磁石であると見る事ができる。そして、一般に、大小の磁石を結合したとき、結合後の全体の磁気極性は、大きな磁石に倣う事が知られている。但し、前記ハブ1と前記内輪2との関係では、この内輪2の軸方向内端面の総てが前記ハブ1のかしめ部12で覆われる訳ではないし、この内輪2の軸方向内端面にこのかしめ部12が全面的に密着している訳でもない。この為、前記内輪2の軸方向内端面のうち、特に、前記かしめ部12に覆われていない径方向外半部(エンコーダ5を外嵌固定する内輪2の肩部近傍部分)の残留磁気の極性は、必ずしも、前記ハブ1の軸方向内端部表面の残留磁気の極性に倣う訳ではない。即ち、上述の様に、脱磁処理後のハブ1及び内輪2と、その他の構成部材とを互いに組み合わせて、エンコーダ付転がり軸受ユニットを完成させれば、前記ハブ1の軸方向内端部表面の残留磁気の極性がS極となり、前記内輪2の軸方向内端部表面の残留磁気の極性がN極となる構成を実現できる。
Then, by combining the
The volume ratio between the
上述した様な本例のエンコーダ付転がり軸受ユニット及びその製造方法によれば、前記内輪2の軸方向内端部表面(N極)から出た磁束が、エンコーダ5の被検出面に近接対向するセンサ16の検出部24側に流れる量を抑えられる。即ち、本例の場合には、前記内輪2の軸方向一端部表面の残留磁気の極性(N極)と、前記ハブ1の軸方向一端部表面の残留磁気の極性(S極)とを、互いに異ならせている。この為、前記内輪2の軸方向一端部表面(N極)から出た磁束を、前記ハブ1の軸方向一端部表面(S極)側に誘導する事ができる。そして、その分だけ、前記内輪2の軸方向一端部表面(N極)から出た磁束が、前記センサ16の検出部24側に流れる量を抑えられる(低減又は実質的に零にできる)。従って、前記エンコーダ5の被検出面から出入りして前記センサ16の検出部24を通過する磁束に及ぶ悪影響(密度や分布を変化させる様な影響)を低減できる。この結果、前記エンコーダ5の被検出面から出入りする磁束を、前記センサ16により検出する事に基づいて行われる、回転速度の測定に関する信頼性を向上させる事ができる。
According to the rolling bearing unit with an encoder of this example and the manufacturing method thereof as described above, the magnetic flux generated from the axially inner end surface (N pole) of the
尚、本例の場合、前記エンコーダ5の被検出面から出入りして前記センサ16の検出部24を通過する磁束に対しては、前記内輪2の残留磁気により周囲に発生する磁束だけでなく、前記ハブ1の残留磁気により周囲に発生する磁束も、悪影響を及ぼす要因となる。即ち、前述した様に、前記ハブ1と前記内輪2との体積差は、比で表して8〜20:1程度と、かなり大きい。この為、前述した脱磁処理を互いに同じ条件で行うと、脱磁処理後の残留磁気は、体積が大きいハブ1の方が、体積が小さい内輪2よりも、かなり大きい状態となる。従って、この場合には、前記内輪2の軸方向一端部表面(N極)から出る磁束のほぼ総てが、前記ハブ1の軸方向一端部表面(S極)側に誘導される様になる。そして、前記内輪2の軸方向一端部表面(N極)から出て、前記センサ16の検出部24側に流れる磁束の量が、実質的に零となる。但し、この場合にも、前記ハブ1の軸方向内端部表面に入る磁束の一部は、前記センサ16の検出部24側から流れ込む状態となる。従って、回転速度の測定に関する信頼性をより十分に向上させる観点より、当該センサ16の検出部24側から流れ込む磁束を減らす事が好ましい。言い換えれば、本例を実施する場合には、前記ハブ1と前記内輪2との残留磁気によって周囲に発生する磁束の密度が、前記センサ16の検出部24で極力低くなる様に、前記ハブ1と前記内輪2との脱磁処理後の残留磁気の大きさを調整する事が好ましい。この為に、例えば、これらハブ1と内輪2との脱磁処理を行う際の、前記交番磁界の印加停止直前の振幅値を十分に小さくしたり、或いは、この交番磁界の印加停止直前の振幅値を、前記ハブ1で前記内輪2よりも小さく(逆に言えば、この内輪2でこのハブ1よりも大きく)したりする事が好ましい。
In the case of this example, not only the magnetic flux generated from the detected surface of the encoder 5 and passing through the
又、本例の場合、前記ハブ1の単体の状態での軸方向内端部表面の残留磁気の極性と、前記内輪2の単体の状態での軸方向内端部表面の残留磁気の極性とを互いに異ならせる作業は、これらハブ1と内輪2とに対する交番磁界の印加(前記コイル22に対する交流電圧の印加)を所定の位相で停止する事により、容易且つ的確に行える。又、対象部材(前記ハブ1、前記内輪2)に交番磁界を印加する作業を、この対象部材の静止状態で行う為、この対象部材の単体の状態での軸方向内端部表面の残留磁気の極性を、全周に亙り等しくする事ができる。即ち、当該極性が、円周方向に関して異なった状態になる事を防止できる。
In the case of this example, the polarity of the residual magnetism on the axial inner end surface of the
本発明の効果を確認する為に行った実験に就いて説明する。実験は、8種類の試料(実施例1〜4、比較例1〜4)に就いて行った。これら各試料は何れも、前述の図1、4に示した様な、ハブ1と内輪2とを互いに結合して成る結合体である。又、このうちの実施例1〜4は、本発明の特徴を備えた試料であり、前記ハブ1と前記内輪2との軸方向内端部表面の残留磁気の極性を、互いに異ならせている。これに対し、比較例1〜4は、本発明の特徴を備えていない試料であり、前記ハブ1と前記内輪2との軸方向内端部表面の残留磁気の極性を、互いに同じにしている。又、実施例と比較例とは双方とも、試料番号が異なるもの同士で、軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2)の残留磁気の絶対値を異ならせているが、試料番号が共通するものに関しては、実施例と比較例とで、軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2)の残留磁気の絶対値をほぼ同等としている。
An experiment conducted for confirming the effect of the present invention will be described. The experiment was conducted on eight types of samples (Examples 1 to 4 and Comparative Examples 1 to 4). Each of these samples is a combined body in which the
上述した様な各試料に就いて、前記ハブ1の残留磁気の指標となる、このハブ1の軸方向内端面での磁束密度と、前記内輪2の残留磁気の指標となる、この内輪2の軸方向内端面での磁束密度と、センサ16(図4参照)の検出部24を配置する位置{前記内輪2の軸方向内端面と同じ仮想平面内に配置されるエンコーダ5(図4参照)の被検出面の径方向中央部から軸方向内側に3mm離れた位置}である、検出位置での磁束密度とを、それぞれ測定した。測定結果を図3に示す。
For each sample as described above, the magnetic flux density at the inner end surface in the axial direction of the
この図3に示した測定結果のうち、互いに同じ番号の実施例と比較例との測定結果を見比べれば分かる様に、脱磁処理後に於ける軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2)の残留磁気の大きさが同等である場合には、実施例の方が比較例よりも、前記検出位置での磁束密度が十分に小さくなる。この為、本発明によれば、前記エンコーダ5の被検出面から出入りする磁束を、前記センサ16の検出部24により検出する事に基づいて行われる、回転速度等の物理量の測定に関する信頼性の向上を図れる事が分かる。又、この物理量の測定誤差を抑える為には、前記検出位置での磁束密度を、前記センサ16の検出閾値(スレッシュホールド)以下に抑えるのが好ましい。例えば、このスレッシュホールドが0.1mTである場合、図3の測定結果によれば、比較例の構造に関しては、比較例2、3の程度まで軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2)の残留磁気を下げる必要があるが、実施例の構造に関しては、実施例1の程度まで軌道輪部材(前記ハブ1、前記内輪2)の残留磁気を下げるだけで良い。従って、本発明によれば、前記検出位置での磁束密度を抑えるのが容易である事が分かる。
Among the measurement results shown in FIG. 3, the bearing ring members (the
1 ハブ
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 エンコーダ
6 回転側フランジ
7a、7b 内輪軌道
8 小径段部
9 静止側フランジ
10a、10b 外輪軌道
11 円筒部
12 かしめ部
13 芯金
14 エンコーダ本体
15 カバー
16 センサ
17 バッキングプレート
18 シュー
19 砥石
20、20a 搬送コンベア
21、21a 脱磁ヨーク
22 コイル
23 磁気遮蔽板
24 検出部
DESCRIPTION OF
Claims (4)
このうちの転がり軸受ユニットは、軸部材と、この軸部材よりも体積が小さい内輪とを備え、この軸部材の軸方向一端部にこの内輪を外嵌固定しており、
前記エンコーダは、円周方向に関してS極とN極とを交互に配置した円環状の多極磁石を備えており、この多極磁石を前記内輪と同心に配置した状態で、この内輪の軸方向一端部に支持固定されている
エンコーダ付転がり軸受ユニットに於いて、
前記軸部材の軸方向一端部表面の残留磁気の極性と、前記内輪の軸方向一端部表面の残留磁気の極性とを、互いに異ならせている事を特徴とするエンコーダ付転がり軸受ユニット。 A rolling bearing unit and an encoder;
Of these, the rolling bearing unit includes a shaft member and an inner ring having a volume smaller than that of the shaft member, and the inner ring is externally fitted and fixed to one axial end portion of the shaft member.
The encoder includes an annular multipolar magnet in which S poles and N poles are alternately arranged with respect to the circumferential direction, and the axial direction of the inner ring in a state where the multipolar magnet is arranged concentrically with the inner ring. In a rolling bearing unit with an encoder supported and fixed at one end,
A rolling bearing unit with an encoder, wherein the polarity of residual magnetism on one axial end surface of the shaft member is different from the polarity of residual magnetism on the axial end surface of the inner ring.
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