JP2012188957A - 軸流タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】動翼1枚当りの揚力を高めつつ、タービン段の反動度を高め、大きなタービン出力を得ることができる軸流タービンを提供する。
【解決手段】タービンステータとタービンロータ22とからなるタービン段と、タービン段内に作動流体が流通する環状流路10とを備えた軸流タービン1を、作動流体がタービンロータ22の動翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、作動流体がタービンロータ22の動翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも大きくなるように環状流路10を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静翼と動翼とからなるタービン段を単数又は複数段備える軸流タービンに関する。
従来技術に係る軸流タービンは、環状のタービンケースを具備しており、このタービンケースは、ジェットエンジンにおける環状のエンジンケースの一部を構成するものである。また、タービンケース内には、単数又は複数段のタービンロータが軸方向(タービンケースの軸方向)に沿って回転可能に設けられており、各段のタービンロータは、軸心(タービンケースの軸心)周りに回転可能なディスク、及びこのディスクの外周面に等間隔に設けられ、且つエンジンケース内に形成された環状流路に、環状流路を横切るように配置された複数の動翼からなる動翼列を備えている。更に、タービンケース内には、単数又は複数段のタービンステータが軸方向に沿って単数又は複数段のタービンロータと交互に設けられており、各段のタービンステータは、周方向に等間隔に配設され、且つ環状流路に位置する複数の静翼からなる静翼列を備えている。
そして、軸流タービンを設計する際に、作動流体の回転軸方向に沿った速度成分(軸流速度)を一定とすることが、従来から一般的に行なわれている。つまり、静翼入口軸流速度をVx1、静翼出口軸流速度(動翼入口軸流速度)をVx2、動翼出口軸流速度をVx3とすると、下記の数式1となる。
Vx1 = Vx2 = Vx3 = Vm …数式1
また、環状流路内を流通する作動流体の流量は、どの流路断面でも一定となるが、軸流タービンの場合、各翼列出口の密度は入口よりも小さくなるので、数式2から、
(流量)=(密度)×(軸流速度)×(環状流路断面積) …数式2
軸流速度を一定に保つ設計において、静翼入口環状流路断面積をA1、静翼出口環状流路断面積(動翼入口環状流路断面積)をA2、動翼出口環状流路断面積をA3とすると、数式3に示される大小関係となり、この場合の概念的な通路形状を、図13に示す。
A1 < A2 < A3 …数式3
特開平11−241601号公報
上記の軸流タービンを備えたジェットエンジンについて、小型化、軽量化を図るために様々な開発が従来から続けられている。軸流タービンを小型化、軽量化するための手段として、1段あたりのタービン出力を大きくして、段数を減らし、全体の構造を簡素化することが考えられる。このような場合、1段あたりのタービン出力を大きくするには、作動流体の動翼列出口での速度を高めて旋回速度成分を大きくし、各タービン段の負荷(=全エンタルピ降下)を高めることが必要になる。
また、ある決まった負荷の軸流タービンを軽量化するための手段として、翼1枚あたりの揚力(=翼の背側と腹側の圧力差)を大きくして、翼枚数を減らすことが考えられる。動翼の場合は、翼枚数を減らすと動翼を取り付けるディスクの厚みも薄くできるので、軽量化の効果が大きくなる。
以上の負荷を上げる場合も揚力を上げる場合も、負圧側の速度を全体的に高くすることに繋がり、さらにその結果として負圧側における最高速度から負圧側後縁速度までの減速も大きくなって、圧力損失の増大を招き効率を低下させることになる。この効率低下を防ぐために、翼列の入口相対流入速度に対する出口相対流出速度の比を高くした速度三角形を選択して、背側における減速を低く抑える方法がある。この速度三角形を動翼側に適用した場合は、反動度(=動翼の静エンタルピ変化/段の全エンタルピ変化)を高めた設計になり、これによって高負荷化、高揚力化すると効果的なタービン軽量化が可能になる。なお、図12のような従来の設計手法では、平均径での反動度は0.36程度であるが、反動度は0.5、又はそれよりやや高いところで効率が最大になるとされている。
そこで、図12の従来の設計手法に対し、負荷及び環状流路形状を同じままに、高反動度化した例が、図14に示されている。この設計手法では、動翼の入口相対速度W2に対する出口相対速度W3の比が大きくなることが特徴であり、この場合、従来設計の1.66から2.06に大きくなっている。この結果、反動度が0.518に改善されるが、動翼に対する入口相対流入角が6.4°減少した一方出口相対流出角が2°増えており、スタッガ角(翼弦と回転軸とのなす角)が8°程度大きくなる。多段タービンで同じ設計の段が繰り返されていると仮定すると、静翼の入口流入角は動翼出口流れと同じ流れ角になり、従来の設計に比べて5.5°大きくなる。一方静翼出口流れ角は1.3°減少しているので、静翼の転向角は4.2°大きくなる。
ところが、ディスクに動翼を差し込む構造の場合、ハブ側の流路壁となるプラットフォームの形状には構造的また強度的に制限があるとともに、そのプラットフォーム上に設置可能な翼のスタッガ角の大きさには限度がある。図12の従来の設計の場合においても、スタッガ角の大きさにはこれ以上大きくする余裕が既に少なく、図14の高反動度設計のようにスタッガ角が8°も大きくなる場合は成り立たなくなる。
以上のことから、スタッガ角が大きくなると、動翼をディスクの外周に取付けることが強度的に、又は構造的に不可能になってしまうため、反動度を大きくすることは困難であった。
そこで、本発明は、動翼1枚当りの揚力を高めるつつ、タービン段の反動度を高め、大きなタービン出力を得ることができる軸流タービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の軸流タービンは、
タービンステータとタービンロータとからなるタービン段と、
該タービン段内に作動流体が流通する環状流路とを備えた軸流タービンであって、
前記作動流体が前記タービンロータの動翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、該作動流体が該タービンロータの動翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも大きくなるように、前記環状流路の断面形状が設定されたことを特徴とする。
請求項1に記載した本発明の軸流タービンによれば、作動流体が動翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、動翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも大きくなるように設定することで、タービンロータを構成する動翼のスタッガ角を大きくすることなく、タービンロータ出口での作動流体の速度を高めることができる。これにより、動翼1枚当りの揚力を高めることができるとともに、タービン段の反動度を高められるため、大きなタービン出力を得ることができる。
また、請求項2に記載した本発明の軸流タービンは、請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
環形状を有する外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内と、該外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内に配置される内周シュラウド、又は内周プラットフォームとの間で形成される環状の前記環状流路に、前記タービンロータの動翼列が配置され、
該タービンロータの動翼列出口における該環状流路の断面積が、該タービンロータの動翼列入口における該環状流路の断面積よりも小さく設定されたことを特徴とする。
請求項2に記載した本発明の軸流タービンによれば、動翼列出口における環状流路断面積が、動翼列入口における環状流路断面積よりも小さく設定されたことで、作動流体がタービンロータ出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、タービンロータ入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも大きくすることができる。
請求項3に記載した本発明の軸流タービンは、請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
前記作動流体が前記タービンステータの静翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、該作動流体が該タービンステータの静翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも小さくなるように、前記環状流路の断面形状が設定されたことを特徴とする。
請求項3に記載した本発明の軸流タービンによれば、作動流体がタービンステータの静翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、作動流体がタービンステータの静翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも小さくなるように、環状流路の断面形状を設定することで、軸流タービン内における作動流体の速度が過度に大きくなることを防止することができるため、高い効率で軸流タービンを稼働することができる。
請求項4に記載した本発明の軸流タービンは、請求項3に記載の軸流タービンにおいて、
環形状を有する外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内と、該外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内に配置される内周シュラウド、又は内周プラットフォームとの間で形成される環状の前記環状流路に、前記タービンステータの静翼列が配置され、
該タービンステータの静翼列出口における該環状流路の断面積が、該タービンステータの静翼列入口における該環状流路の断面積よりも大きくなるように設定されたことを特徴とする。
請求項4に記載した本発明の軸流タービンによれば、静翼列出口における環状流路断面積が、静翼列入口における環状流路断面積よりも大きく設定されたことで、作動流体がタービンステータ出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、タービンステータ入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも小さくすることができる。
請求項5に記載した本発明の軸流タービンは、請求項1、または請求項3に記載の軸流タービンにおいて、
前記タ−ビン段を直列に複数段備え、
前記タービンステータの静翼列入口を通過する際の前記作動流体の回転軸方向に沿った速度成分が、隣接する該タービンステータの静翼列入口を通過する際の該作動流体の回転軸方向に沿った速度成分と同じ大きさになるように、前記環状流路が設定されたことを特徴とする。
請求項5に記載した本発明の軸流タービンによれば、タービンステータの静翼列入口を通過する際の作動流体の回転軸方向に沿った速度成分が、隣接するタービンステータの静翼列入口を通過する際の作動流体の回転軸方向に沿った速度成分と同じ大きさになるように、環状流路断面形状を設定することで、軸流タービン内における作動流体の速度が過度に大きくなることを防止することができるため、全段にわたって高い効率で軸流タービンを稼働することができる。
本発明の軸流タービンでは、動翼1枚当りの揚力を高めつつ、タービン段の反動度を高め、大きなタービン出力が得られる。
本発明の第1実施形態に係る軸流タービンを構成する動翼を示す概要図である。 本発明の第1実施形態と既存の動翼の翼面速度分布を比較した図である。 本発明の第1実施形態と既存の動翼の圧力損失係数を比較した図である。 本発明の第1実施形態に係る軸流タービンを具備するジェットエンジンの構成を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の別態様に係る動翼列入口と動翼列出口における速度三角形である。 本発明の第1実施形態の別態様に係る軸流タービンを構成する動翼を示す概要図である。 本発明の第2実施形態と既存の軸流タービンおける速度三角形で、(a)は静翼列入口、(b)は動翼列入口、(c)は動翼列出口における速度三角形である。 本発明の第2実施形態に係る概念的流路形状である。 本発明の第2実施形態と既存の動翼の翼面速度分布を比較した図である。 本発明の第2実施形態と既存の動翼の圧力損失係数を比較した図である。 本発明の第2実施形態と既存の静翼の圧力損失係数を比較した図である。 既存の軸流タービンおける速度三角形で、(a)は静翼列入口、(b)は動翼列入口、(c)は動翼列出口における速度三角形である。 既存の軸流タービンに係る概念的流路形状である。 従来の高反動化設計の軸流タービンおける速度三角形で、(a)は静翼列入口、(b)は動翼列入口、(c)は動翼列出口における速度三角形である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について図1から図4を参照して説明する。なお、図中、「F」は、前方向(上流方向)、「R」は、後方向(下流方向)を指している。
本発明の実施の形態に係る軸流タービン1は、航空機に搭載されるジェットエンジン50のタービン部を構成している。ジェットエンジン50は、環状の外周ケーシング51と、外周ケーシング51の環内に配置される内周ケーシング52とからなるエンジンケース53をベースとして具備しており、外周ケーシング51と内周ケーシング52との間に、環状の流路12が形成され、流路12内を作動流体が流通する。
また、ジェットエンジン50は、流路12内に取入れられた空気を圧縮するファン及び圧縮機54と、圧縮された空気中で燃料を燃焼する燃焼器55とを備え、燃焼器55内で発生した高温高圧の燃焼ガスが作動流体として、軸流タービン1内に導入される。
軸流タービン1は、燃焼器55の下流側に配置され、タービンステータ21と、タービンステータ21の下流側にジェットエンジン50の中心軸周りに回転可能に設けられたタービンロータ22とからなるタービン段11を単数又は複数段(5段)備えている。
タービン段11を構成する各タービンステータ21は、外周ケーシング、又は外周シュラウド61内に周方向に沿って等間隔で1列に静翼35が配置された静翼列25を備えている。燃焼ガスが通過するタービンステータ21内の環状流路形状13は、外周ケーシング、又は外周シュラウド61、および内周ケーシング、又は内周シュラウド62とによって囲まれた空間によって形成される。タービンステータ21内の環状流路形状13は、タービンステータ21を通過した燃焼ガスを、適切な入射角度でタービンロータ22に供給するように設定されている。また、タービンステータ21内の環状流路形状13は、燃焼ガスが静翼列入口25iを通過する際の回転軸方向に沿った速度成分(軸流速度)は、直列する後段のタービン段11のタービンステータ21の静翼列入口25iを通過する際の軸流速度と、動翼列出口23oを通過する際の軸流速度と、同じ大きさになるように設定されている。つまり、隣接するタービンステータ21の各静翼列入口25iを通過する際の燃焼ガスの軸流速度が、皆同じ大きさになるように、環状流路形状13が設定されている。なお、隣接するタービンステータ21の各静翼列入口25iを通過する際の燃焼ガスの軸流速度が、皆同じ大きさになるように、環状流路形状13が設定されているが、実際の燃焼ガスの流れでは、ある程度ばらついてしまい、全く同じ大きさにはならないが、このばらつきは、平均すると同じほぼ大きさと言える程度である。
タービン段11を構成する各タービンロータ22は、ジェットエンジン50の中心軸周りに回転自在に軸支された円形のディスク26の円周上に、円周方向に沿って等間隔で1列に動翼33が配置された動翼列23を備えている。燃焼ガスが通過するタービンロータ22内の環状流路形状13は、外周ケーシング、又は外周シュラウド61、および内周プラットフォーム62とによって囲まれた空間によって形成される。タービンロータ22内の燃焼ガスは、隣接する動翼33間に形成される翼間流路10を通過する間に、流れの向きを変えつつ膨張して、動翼33の正圧面33pに対して仕事をし、タービンロータ22を回転させるように設定されているとともに、燃焼ガスが動翼列出口23oを通過する際の軸流速度が、動翼列入口23iを通過する際の軸流速度よりも大きくなるように設定されている。
なお、第2タービン段11b〜第4タービン段11dの各タービンステータ21内に形成される環状流路形状13は、静翼列入口25iから静翼列出口25oにかけて徐々に環状流路断面積を拡げ、燃焼ガスが静翼列出口25oを通過する際の軸流速度が、直前のタービンロータ22の動翼列入口23iを通過する際の軸流速度と、同じ大きさになるように、形成されている。
次に、従来からある既存のものに対して、タービン段負荷は同じままで、動翼1枚当りの揚力を変えることによって、動翼の翼枚数が変更された軸流タービン1について、翼間流路10の形状変更に伴うコード長に対するマッハ数の変化を示したものが、図2である。これは、従来からある既存のものと、これに対してタービン段負荷、およびスタッガ角等はそのままに、(動翼列出口の環状流路断面積A3)/(動翼列入口の環状流路断面積A2)を14%小さくした本実施形態とを、それぞれ準3次元定常粘性CFD(Computational Fluid Dynamics)解析により求め、比較している。解析条件として、本実施形態では、動翼列入口23iから動翼列出口23oに向かって環状流路断面積を徐々に狭めていき、既存のものと比べて(動翼列出口の環状流路断面積A3)/(動翼列入口の環状流路断面積A2)を14%小さくしている。14%小さくしたことによって、動翼列出口23oの流路断面積が動翼列入口23iの環状流路断面積A2よりも小さくなっている。
図3に示される解析結果は、実線で示されるものが既存のもので、翼の入口流入速度に対する出口流出速度の比が1.7程度であるが、一点鎖線と破線で示されるものが本実施形態で、翼の入口流入速度に対する出口流出速度の比を2.2程度に高くしている。一点鎖線で示されるものは翼枚数が既存のものと同じで、動翼1枚当りの揚力を変えないでいるが、破線で示されるものは翼枚数を既存のものより20%減らし、動翼1枚当りの揚力を大きくしている。これら各解析結果について、どれも動翼33の前縁33f(入口側端部)からスロート24(隣接する動翼33間で間隔が最も狭い部位)に向かって、負圧面33s側の流速が増加し、スロート24以降から後縁33e(出口側端部)に向かって、負圧面33s側の流速が減速する現象が確認できるが、翼枚数を変えない一点鎖線で示された本実施形態では、スロート24以降から後縁33eに向かって減速する領域が小さくなるとともに、減速する傾きも小さくなっている。また翼枚数を既存のものより20%減らした破線で示された本実施形態では、負圧側の速度が全体的に高くなっているが、スロート24以降から後縁33eに向かっての減速の傾きは既存のものと同程度に収まっている。
以上のことは、図3に示される準3次元定常粘性CFD解析による圧力損失係数の計算結果にそれらの効果を確認することができる。図3は、横軸が翼枚数を表して既存のものの翼枚数で正規化されており、縦軸が圧力損失係数を表して既存のものの圧力損失係数で正規化されている。図中の既存のもの以外は本実施形態で、翼枚数を変えた翼形状で圧力損失係数を計算して、それらの結果を図3の中で比較している。本実施形態で翼枚数を変えないもの(図2の一点鎖線に相当)の圧力損失が既存のものに比べて6.5%低減できている。スロート24以降から後縁33eに向かって減速する領域を小さくするとともに、減速する傾きも小さくしたことにより、圧力損失が低減できている。
本実施形態で翼枚数を20%減らしたもの(図2の破線に相当)の圧力損失が既存のものに比べて15.6%低減できている。動翼1枚当りの揚力が増したことにより、負圧側の速度が全体的に高くなって動翼1枚当りの圧力損失は増しているが、圧力損失を生み出す翼そのものの数が20%減っているために、全体の圧力損失が低減する結果になっている。これは本実施形態においてスロート24以降から後縁33eに向かっての減速の傾きが既存のものと同程度に収めることができていることによって、動翼1枚当りの圧力損失の増加が小さく抑えられていることが効いている。
以上のことから、動翼列出口23oの環状流路断面積A3を動翼列入口23iの環状流路断面積A2よりも小さくすることで、燃焼ガスが動翼列出口23oを通過する際の軸流速度が、動翼列入口23iを通過する際の軸流速度よりも大きくなるため、スタッガ角等を変更することなく反動度が高められ、タービン段1段あたりの出力を高めることができ、また動翼1枚当りの揚力を高めることができ、小型化、軽量化した軸流タービンを実現することができる。また、圧力損失が低減することによって、より高効率な軸流タービンを実現することもできる。
さらに、燃焼ガスがロータ出口22oを通過する際の軸流速度が、動翼33と同一タービン段11のステータ入口22iを通過する際の軸流速度と、同じ大きさになるように、各タービン段の静翼列入口25iの環状流路断面積A1と静翼列出口25oの環状流路断面積A3を設定することで、軸流タービン内における作動流体の速度が過度に大きくなることを防止することができるため、軸流タービンを全段にわたって高効率に稼働することができる。
以上、本実施形態では、動翼列入口23iから動翼列出口23oまで環状流路断面積を徐々に狭めていくとしているが、下流方向に一律に狭める必要はなく、翼面速度分布が最適になるよう、下流方向に狭める度合いを変えてもよい。
次に、図5は、第1実施形態の別態様を示し、タービン段11の出力を高めた軸流タービン1と、従来からある既存のものとにおける、動翼列入口23iと、動翼列出口23oの速度三角形をそれぞれ比較したものである。速度三角形の形状は、隣接する動翼33間に形成される翼間流路10の形状によって決まる。タービンロータ22内の翼間流路形状は、動翼33の翼断面形状、動翼33の間隔、動翼33の翼高さ(外周ケーシング、又は外周シュラウド61と内周プラットフォーム62との間隔)等で決まり、流量が同じである場合、翼断面形状が同一であっても、翼高さが変わることで、翼間流路断面積が変わり、通過する燃焼ガスの速度が変化する。
既存のものの速度三角形は、図5上に破線で示されるように、燃焼ガスが動翼列23の出口を通過する際の軸流速度が、動翼列23の入口を通過する際の軸流速度と同じ大きさになるように、動翼列23が設定、配置されている。
これに対し、本実施形態の速度三角形は、図5上に実線で示されるように、翼断面形状はそのままに翼高さを出口で小さくし、翼間流路10の断面積が既存のものよりも出口で小さくなるように設定されている。これによって、燃焼ガスが動翼列出口23oを通過する際の軸流速度を、燃焼ガスが動翼列入口23iを通過する際の軸流速度よりも大きくしている。これによって動翼列出口流出角を変えずに動翼列出口速度の旋回速度成分を高めることができ、スタッガ角を変えずにタービン段の負荷を高めることができることを示している。
そして、図5に示すような、速度三角形となるようにタービン段11を構成し、タービン段11の1段あたりの出力を高めることにより、図6に示すように、既存の条件では6段必要であったタービン段を3段に減らすことも可能になり、軸流タービン全体として構造が簡素化され、小型化、軽量化を図ることができる。なお、図6中、既存の軸流タービン101の構成が点線で示され、本実施形態の軸流タービン1の構成が実線で示されている。既存の軸流タービン101は、上流側から第1タービン段111a〜第6タービン段111fで構成されており、各タービン段111a〜111fはそれぞれタービンステータ121a〜121fとタービンロータ122a〜122fとで構成されている。また、本実施形態の軸流タービン1は、上流側から第1タービン段11a〜第3タービン段11cで構成されており、各タービン段11a〜11cはそれぞれタービンステータ21a〜21cとタービンロータ22aから22cとで構成されている。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図7から図11を参照して説明する。上記第1実施形態と同様に、本実施形態についても流路形状を適合して、動翼相対流入角及び相対流出角が既存のものと同じまま、すなわち動翼のスタッガ角を変えることなく、反動度を高めることを意図している。
動翼列の入口相対速度に対する動翼列の出口相対速度の比は、図7に示すように、従来設計の1.66から2.07と、上記従来の流路形状を変えない高反動度設計と同等である。また静翼の転向角も従来設計のものより4.6°大きくなっており、これも上述の流路形状を変えない高反動度設計と同等としている。
そして、このような設計を行なった場合、概念的な通路形状は、図8に示すようになる。つまり、従来の設計手法では、静翼列入口25iと静翼列出口25oの各軸流速度が同じになるように、静翼出口環状流路断面積A2が静翼入口環状流路断面積A1よりも大きく設定されているが、本実施形態では、静翼列入口25iの軸流速度が静翼列出口25oの軸流速度よりも遅くなるように、静翼出口環状流路断面積A2が静翼入口環状流路断面積A1よりも大きく設定されている。また、静翼列出口25oの軸流速度と動翼列入口23iの軸流速度が一定になるように、同一段のタービンステータ21とタービンロータ22とをつなぐ流路の断面積は一定に設定されている。
さらに、従来の設計手法では、動翼列入口23iと動翼列出口23oの各軸流速度が同じになるように、動翼出口環状流路断面積A3が動翼入口環状流路断面積(静翼出口環状流路断面積)A2よりも大きく設定されているが、本実施形態では、動翼列入口23iの軸流速度が動翼列出口23oの軸流速度よりも早くなるように、動翼出口環状流路断面積A3が動翼入口環状流路断面積A2よりも小さく設定されている。また、タービンロータ22と後段のタービンステータ21とをつなぐ流路の断面積は、徐々に拡大し、タービンロータ22と同一段の静翼列入口25iの軸流速度と、後段の静翼列入口25iの軸流速度が同じになるように後段の静翼入口環状流路断面積A4が設定されている。
そして、既存の従来の設計と本実施形態の高反動度設計における動翼について、準3次元定常粘性CFD(Computational Fluid Dynamics)解析を行なった結果、コード長に対する翼面速度分布は、図9のようになる。ここで、高反動度設計については、同じ負荷で翼枚数を10%減らした動翼の設計についても解析を行い比較している。実線で示されているものが反動度0.364の従来の設計のものである。また、一点鎖線で示されているものが、本実施形態のもので、反動度を0.503としつつ、動翼1枚当りの揚力が従来の設計と同様で、翼枚数も従来の設計と同じである。一点鎖線と破線で示されているものも本実施形態のもので、反動度を0.503としつつ、動翼1枚当りの揚力を大きくすることで、翼枚数を従来設計より10%減らしている。
従来設計の場合は、動翼33の前縁33f(入口側端部)から負圧面33s側の流速を増加させて、45%コード長あたりで速度を最大にし、その後徐々に減速させて減速率を小さくしている。
これに対して高反動度設計の場合は、動翼33の前縁33fから70%コード長あたりのスロート24(隣接する動翼33間で間隔が最も狭い部位)まで負圧面33s側の加速領域を伸ばすことができ、スロート24以降から後縁33e(出口側端部)までの減速率も小さくすることができている。翼枚数を変えない一点鎖線で示された本実施形態では、この減速率は従来設計のものより小さく、また翼枚数が10%少ない破線で示された本実施形態では、この減速率は従来設計のものに比べてやや大きい程度に収まっている。
以上の特徴については、図10に示される準3次元定常粘性CFD解析による圧力損失係数の計算結果にそれらの効果を確認することができる。図10の横軸は翼枚数を表して従来設計のものの翼枚数で正規化されており、縦軸は圧力損失係数を表して従来設計のものの圧力損失係数で正規化されている。図中の従来設計のものの翼枚数における圧力損失係数を基準として、本実施形態では、翼枚数を変えて設計した翼形状について圧力損失係数を計算し、それらの結果を図10の中で比較している。
本実施形態で翼枚数を変えないもの(図9の一点鎖線に相当)の圧力損失が、既存のものに比べて5.9%低減できている。スロート24以降から後縁33eに向かって減速する領域を狭くするとともに、減速率も小さくしたことにより圧力損失が低減できている。本実施形態で翼枚数を減らしていくと、10%減らした(図9の破線に相当)ところで圧力損失が最小になっており、従来設計のものに比べて12.4%低減できている。
動翼1枚当りの揚力が増したことにより、負圧側の速度が全体的に高くなって動翼1枚当りの圧力損失は増しているが、圧力損失を生み出す翼そのものの数が10%減っているために、全体の圧力損失が低減する結果になっている。翼枚数を10%以上減らすと今度は圧力損失が増しているが、これはスロート24以降から後縁33eに向かっての減速率が大きくなることによる圧力損失の増加が効いてくるためである。
図11は、従来の設計と本特許実施の高反動度設計における静翼について、準3次元定常粘性CFD解析を実施して、圧力損失係数の計算結果を比較している。高反動度設計では、従来設計に比べて転向角が4.6°大きくなっているが、圧力損失は従来設計のものと同程度にできている。これは、静翼の入口速度に対する出口速度の比が、従来設計の2.33から2.09に小さくなっているものの、未だ動翼の速度比と同程度に保たれており、負圧面側における減速の影響が小さいためである。
以上により、本実施形態の高反動度設計を行なうことで、動翼のスタッガ角を変えることなく、反動度を0.503まで上げることができる。これにより、動翼の圧力損失を低減すると共に翼枚数が削減でき、段として高性能化、軽重量化が図れる。なおこの設計は、いかなる負荷レベルにおいても同様の効果が期待できる。
1…軸流タービン
10…流路
11…タービン段
21…タービンステータ
21i…ステータ入口
21o…ステータ出口
22…タービンロータ
22i…ロータ入口
22o…ロータ出口
23…動翼列
24…スロート
25…静翼列
33…動翼
33e…後縁
33f…前縁
33p…正圧面
33s…負圧面
35…静翼

Claims (5)

  1. タービンステータとタービンロータとからなるタービン段と、
    該タービン段内に作動流体が流通する環状流路とを備えた軸流タービンであって、
    前記作動流体が前記タービンロータの動翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、該作動流体が該タービンロータの動翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも大きくなるように、前記環状流路の断面形状が設定されたことを特徴とする軸流タービン。
  2. 請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
    環形状を有する外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内と、該外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内に配置される内周シュラウド、又は内周プラットフォームとの間で形成される環状の前記環状流路に、前記タービンロータの動翼列が配置され、
    該タービンロータの動翼列出口における該環状流路の断面積が、該タービンロータの動翼列入口における該環状流路の断面積よりも小さく設定されたことを特徴とする軸流タービン。
  3. 請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
    前記作動流体が前記タービンステータの静翼列出口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分が、該作動流体が該タービンステータの静翼列入口を通過する際の回転軸方向に沿った速度成分よりも小さくなるように、前記環状流路の断面形状が設定されたことを特徴とする軸流タービン。
  4. 請求項3に記載の軸流タービンにおいて、
    環形状を有する外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内と、該外周ケーシング、又は外周シュラウドの環内に配置される内周シュラウド、又は内周プラットフォームとの間で形成される環状の前記環状流路に、前記タービンステータの静翼列が配置され、
    該タービンステータの静翼列出口における該環状流路の断面積が、該タービンステータの静翼列入口における該環状流路の断面積よりも小さく設定されたことを特徴とする軸流タービン。
  5. 請求項1、または請求項3に記載の軸流タービンにおいて、
    前記タ−ビン段を直列に複数段備え、
    前記タービンステータの静翼列入口を通過する際の前記作動流体の回転軸方向に沿った速度成分が、隣接する該タービンステータの静翼列入口を通過する際の該作動流体の回転軸方向に沿った速度成分と同じ大きさになるように、前記環状流路が設定されたことを特徴とする軸流タービン。
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