JP2012184118A - ディスプレイ装置用ガラス板 - Google Patents
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- C03C3/085—Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing aluminium oxide or an iron compound containing an oxide of a divalent metal
- C03C3/087—Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing aluminium oxide or an iron compound containing an oxide of a divalent metal containing calcium oxide, e.g. common sheet or container glass
Abstract
【課題】ガラスそのものの脆さを改善し加工時に発生する不可避な残存クラックの伸展を防ぎつつ、また深い表面応力層を得やすくすることにより発生した残存クラックを表面圧縮応力層に容易に取り込むことが可能で、かつ外力による傷の発生がしにくい化学強化板ガラスの提供。
【解決手段】下記酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を75.5〜85.5%、MgOを1〜8%、CaOを0〜7%、Al2O3を0〜5%、Na2Oを10〜22.5%を含有し、MgOの含有量がCaOの含有量より多く、MgOおよびCaOの含有量の合計(MgO+CaO)が8%以下、MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計が24.5%以下、(MgO+CaO)をNa2O含有量で除して得られた比が0.45以下である化学強化用板ガラス。
【選択図】なし
【解決手段】下記酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を75.5〜85.5%、MgOを1〜8%、CaOを0〜7%、Al2O3を0〜5%、Na2Oを10〜22.5%を含有し、MgOの含有量がCaOの含有量より多く、MgOおよびCaOの含有量の合計(MgO+CaO)が8%以下、MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計が24.5%以下、(MgO+CaO)をNa2O含有量で除して得られた比が0.45以下である化学強化用板ガラス。
【選択図】なし
Description
本発明は、ディスプレイ装置、典型的には携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タッチパネルなど小型ディスプレイ装置のカバーガラス、基板ガラスなどに用いられるガラス板に関する。
近年、携帯電話、PDA等のモバイル機器に対しては、ディスプレイの保護ならびに美観を高めるためのカバーガラス(保護ガラス)が用いられることが多くなっている。
このようなカバーガラスとしてはソーダライムガラスを化学強化したものが広く用いられている(たとえば特許文献1参照)。
このようなカバーガラスとしてはソーダライムガラスを化学強化したものが広く用いられている(たとえば特許文献1参照)。
このようなカバーガラスに対しては、スピーカーなどの機能を有する孔を有していたり、また、意匠性の面で複雑な形状が好まれる傾向があり、そのため、加工時にドリルでの穴あけ加工や曲線のスクライビングなど複雑な加工を経て最終的な形状に仕上げられることが多い。そのため、使用時に発生するクラック以外にも、加工時のチッピングが起因となり、潜在的に大きなクラックが残りやすいという傾向がある。そのような加工時の残存クラックが残っているガラスを強化した場合、それがガラスの内部引っ張り応力まで到達するとかえって強度が低下してしまう。
また、カバーガラスという性質上、ガラス表面が石などの異物に接触する機会が多く、スクラッチ傷や欠けが生じる機会も多い。これらのことを踏まえた上で、モバイル機器のカバーガラスに適した、割れにくいガラスは知られていなかった。
一方、このような携帯情報機器に対しては、軽量・薄型化が要求されている。そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題があった。
上記問題を解決するためには、カバーガラスの強度を高めることが考えられ、その方法としてガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法が一般的に知られている。
ガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法としては、軟化点付近まで加熱したガラス板表面を風冷などにより急速に冷却する風冷強化法(物理強化法)と、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはKイオン)に交換する化学強化法が代表的である。
ガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法としては、軟化点付近まで加熱したガラス板表面を風冷などにより急速に冷却する風冷強化法(物理強化法)と、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはKイオン)に交換する化学強化法が代表的である。
前述したようにカバーガラスの厚さは薄いことが要求されている。薄いガラス板に対して風冷強化法を適用すると、表面と内部の温度差がつきにくいために圧縮応力層を形成することが困難であり、目的の高強度という特性を得ることができない。そのため、後者の化学強化法によって強化されたカバーガラスが通常用いられている。
化学強化法は薄いガラス板の強化に適した方法ではあるが、より薄いガラス板に対して適用しようとすると、高い表面圧縮応力との釣り合いを取るために発生する内部引張応力も大きくなってしまうことが問題となる。すなわち、内部引張応力が大きいと表面圧縮応力層よりも深いクラックが入ったときにクラック先端を引張る力が大きいためにガラスが自発的に粉々に破壊してしまうという現象が発生する。このガラスの自発的な破壊を抑制するため、内部引張応力を小さくするには表面圧縮応力層深さを小さくすればよいが、それでは欠けやクラックに対して極めて弱くなってしまい、所望の強度を得ることができない。そのため、適度な応力分布を形成することが出来るガラスが望まれている。
現在モバイル機器カバーに用いられるガラスとして、先に述べたように、一般的なソーダライムガラスを化学強化したものがある。しかし、ソーダライムガラスは500〜700MPaの十分な表面圧縮応力を得ることができる一方で、20μm以上の表面圧縮応力層深さを得ることは困難である。また、ソーダライムガラスでは、後述する脆さ指標値Bが7100m−1/2という大きな値であり、加工時にクラックの発生が起こりやすく、さらには、一度発生したクラックの進展が早いという問題がある。
一方、アルミノシリケート系ガラスも従来用いられているが、アルミノシリケート系ガラスの場合圧縮応力が大きくなりすぎるため、深い応力層深さを得ようとすると内部引っ張り応力が大きくなりすぎ、自発的な爆発的な破壊が発生しやすくなるという問題がある。
本発明の目的は、ガラスそのものの脆さを改善し加工時に発生する不可避な残存クラックの進展を防ぎつつ、また深い表面応力層を得やすくすることにより発生した残存クラックを表面圧縮応力層に容易に取り込むことが可能で、かつ外力による傷の発生がしにくい化学強化用板ガラスを提供することにある。また、表面圧縮応力が過大に大きく入らないことにより、薄い板ガラスに圧縮応力層を付与した場合にも、内部引っ張り応力が大きくなりにくく、自発的な破壊がおきにくい化学強化用板ガラスを提供することにある。
本発明者は、下記酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を75.5〜85.5%、MgOを1〜8%、CaOを0〜7%、Al2O3を0〜5%、Na2Oを10〜22.5%を含有し、MgOの含有量がCaOの含有量より多く、MgOおよびCaOの含有量の合計(MgO+CaO)が8%以下、MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計が24.5%以下、(MgO+CaO)をNa2O含有量で除して得られた比が0.45以下である化学強化用板ガラスを提供する。
また、K2OまたはLi2Oを含有し、Na2O、K2OおよびLi2Oの含有量の合計(Na2O+K2O+Li2O)が23.5%以下、(MgO+CaO)+(Na2O+K2O+Li2O)が24.5%以下、(MgO+CaO)/(Na2O+K2O+Li2O)が0.45以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、ビッカース硬さHvを破壊靱性値Kcで除して得られた比である脆さ指標値Bが6000m−1/2以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、密度が2.41g/cm3以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、粘度が100ポアズ(100dPa・s)となる温度が1800℃以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、前記化学強化用板ガラスを化学強化して得られたディスプレイ装置用ガラス板を提供する。
また、密度が2.41g/cm3以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、粘度が100ポアズ(100dPa・s)となる温度が1800℃以下である前記化学強化用板ガラスを提供する。
また、前記化学強化用板ガラスを化学強化して得られたディスプレイ装置用ガラス板を提供する。
本発明者は、従来のソーダライムシリカガラスに比べてきわめて傷が付きにくく、典型的には密度が2.41g/cm3以下(通常のソーダライムシリカガラスの密度は2.49〜2.52g/cm3程度)の板ガラス組成において、そのガラスを化学強化することにより、30μm以上の深い応力層を得ることが可能で、300〜600MPaの表面圧縮応力を得ることが可能なガラス組成を見出し、本発明に至った。
加工時や使用時のクラックの進展を抑制し、化学強化による圧縮応力によってもクラックの進展を抑制することができるので、モバイル機器使用時のガラスの割れの危険性を低減することができる。
本発明のガラス板の厚みは典型的には0.2〜1.0mmである。0.2mm未満では化学強化しても実用強度の観点から満足できなくなるおそれがある。
本発明のガラス板の応力層深さは30μm超であることが好ましい。30μm以下ではマイクロクラックが引っ張り応力層に入る可能性が高くなり割れやすくなるおそれがある。
本発明のガラス板の表面圧縮応力は典型的には300MPa以上600MPaであるかそれ未満である。300MPa未満では必要な強度が得られず、曲げなどに対して割れやすくなるおそれがある。
本発明のガラス板の表面圧縮応力は典型的には300MPa以上600MPaであるかそれ未満である。300MPa未満では必要な強度が得られず、曲げなどに対して割れやすくなるおそれがある。
本発明の化学強化用ガラス板(以下、本発明のガラス板という。)の製造方法は特に限定されないが、たとえば種々の原料を適量調合し、約1400〜1800℃に加熱し溶融した後、脱泡し、撹拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法、プレス法などによって板状に成形し、徐冷後所望のサイズに切断、研磨加工を施して製造される。
化学強化の方法としてはガラス板表層のNaイオンと溶融塩中のNaイオンよりもイオン半径が大きいイオン(典型的にはKイオン)とをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、たとえば加熱溶融した硝酸カリウム溶融塩にガラス板を浸漬する方法が挙げられる。ガラス板に所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(表面圧縮応力層)を形成するための条件はガラス板の厚さによっても異なるが、350〜550℃の硝酸カリウム溶液に2〜10時間ガラス基板を浸漬させることが典型的である。
次に、本発明のガラス板の組成について、質量百分率表示含有量を用いて説明する。
SiO2はガラスの網目構造を形成する主成分である。SiO2が少なすぎると、相対的に非架橋酸素量が増えて、網目構造が弱くなるとともに、密度が上昇してクラック伝播が容易となるため、強度自体が低くなる。また、多すぎると、粘性が高くなりすぎるために熔融性が悪くなり、均質なガラスを製造することが困難となる。そのため、SiO2の含有量は、板ガラス全体に対して75.5〜85.5%とする。十分な耐擦傷性を確保する観点では、好ましくは76.5%以上である。また、82%以下、特に79%以下とすると、バーナー加熱などの大規模設備による溶融法での生産に好適であるため非常に好ましい。
SiO2はガラスの網目構造を形成する主成分である。SiO2が少なすぎると、相対的に非架橋酸素量が増えて、網目構造が弱くなるとともに、密度が上昇してクラック伝播が容易となるため、強度自体が低くなる。また、多すぎると、粘性が高くなりすぎるために熔融性が悪くなり、均質なガラスを製造することが困難となる。そのため、SiO2の含有量は、板ガラス全体に対して75.5〜85.5%とする。十分な耐擦傷性を確保する観点では、好ましくは76.5%以上である。また、82%以下、特に79%以下とすると、バーナー加熱などの大規模設備による溶融法での生産に好適であるため非常に好ましい。
耐擦傷性を高めるためには、元素番号の小さいものの含有量を大きくすることが好ましい。また、アルカリ土類金属酸化物にはイオン交換を阻害する作用があるが、その作用は元素番号の小さいものの含有量を多くしたほうが軽減できる。したがって、MgOおよびCaOは比較的その作用が小さく、さらにMgOの方がCaOよりもその作用が小さい。これらの観点から、CaOよりもMgOを多くすることが必要である。したがって、MgOを必須成分とし、具体的には、MgOを1〜8%とし、CaOは必須ではないが7%までの範囲で適切に含有してもよいとされる。MgOとCaOとの合量は8%以下とされるが、好ましくは1.5%以上であり7.5%以下である。典型的には、MgOは1〜7.5%、CaOは0〜6.5%である。なお、本発明においてある成分の含有量の範囲を「0〜」と記載されている場合、その成分が含まれない場合を含むことを意味している。
MgOおよびCaOは熔解性の改善および耐アルカリ性等化学的耐久性の改善に有用な成分であり、先に述べたように少なくともMgOを1%以上含有する。一方、CaOを含有する場合であっても十分な耐擦傷性を得るためにMgOおよびCaOの含有量の合計(以下、この合計をROと記す。)は8%以下とされる。
Na2Oはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させ、またガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須である。そのため、10〜22.5%含有する。好ましくは11.5%以上である。22.5%超では結晶化が起こりやすくなる、または耐化学薬品性が低下しやすくなる。
K2Oは必須ではないが化学強化におけるイオン交換速度を大きくして所望の表面圧縮応力と圧縮応力層深さを得るようにするために10%まで含有してもよい。
Li2Oは必須ではないがイオン交換速度を向上させる成分であり、10%まで含有してもよい。しかしながら、原料コストが高くなることからLi2Oを含有する場合は2%以下が好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
K2Oは必須ではないが化学強化におけるイオン交換速度を大きくして所望の表面圧縮応力と圧縮応力層深さを得るようにするために10%まで含有してもよい。
Li2Oは必須ではないがイオン交換速度を向上させる成分であり、10%まで含有してもよい。しかしながら、原料コストが高くなることからLi2Oを含有する場合は2%以下が好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
熔解性の改善などのためにK2OおよびLi2Oの少なくともいずれか一方を含有する場合、前記(Na2O+K2O+Li2O)は11.5〜23.5%であることが好ましい。11.5%未満では溶解性の改善が不十分になるおそれがある。22.5%超では結晶化が起こりやすくなる、または耐化学薬品性が低下しやすくなる。なお、(Na2O+K2O+Li2O)を以下ではR2Oと記す。
特に耐薬品性を要する場合にはR2Oは21.5%以下であることが好ましく、より好ましくはNa2Oが10〜21.5%、K2Oが0〜10%、Li2Oが0〜10%である。
MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計が24.5%超では十分な耐擦傷性が得られない、すなわち前記脆さ指標値Bが6000m−1/2以下となりにくい。好ましくは23.5%以下、より好ましくは22.5%以下である。
CaO、K2OおよびLi2Oのいずれか1種以上を含有する場合、RO+R2Oは24.5%以下であることが好ましい。24.5%超では十分な耐擦傷性が得られないおそれがある。より好ましくは23.5%以下、最も好ましくは22.5%以下である。
CaO、K2OおよびLi2Oのいずれか1種以上を含有する場合、RO+R2Oは24.5%以下であることが好ましい。24.5%超では十分な耐擦傷性が得られないおそれがある。より好ましくは23.5%以下、最も好ましくは22.5%以下である。
ROとNa2O含有量の比RO/Na2Oが0.45超では耐擦傷性が低下する。
ROとR2Oの比RO/R2Oは0.45以下であることが好ましい。0.45超では耐擦傷性が低下するおそれがある。なお、RO+R2Oを24.5%以下とし、RO/R2Oを0.45以下にすることが好ましい場合がある。
ROとR2Oの比RO/R2Oは0.45以下であることが好ましい。0.45超では耐擦傷性が低下するおそれがある。なお、RO+R2Oを24.5%以下とし、RO/R2Oを0.45以下にすることが好ましい場合がある。
Al2O3は必須ではないが、少量の添加により板ガラスの化学耐久性を著しく向上させる成分である。また、イオン交換速度を向上させ、相分離を抑えるための成分として有用である。Al2O3を含有する場合その含有量は好ましくは1%以上である。一方、過度の添加は、耐擦傷性の劣化を引き起こすため、その含有量は4%以下とすることが好ましい。
本発明のガラス板のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。なお、そのような場合であっても上記成分の含有量の合計は90%以上であることが好ましい。
上記成分以外の成分で本発明のガラス板が含有し得る成分としてはたとえば以下のようなものがある。
上記成分以外の成分で本発明のガラス板が含有し得る成分としてはたとえば以下のようなものがある。
板ガラス全体の均質化、着色、赤外線透過能および紫外線透過能の制御の目的で、Fe、Ni、Se、Co、Ceなどの酸化物を添加できる。
また、より均質な板ガラスをより容易に製造するために、公知の清澄剤も添加できる。かかる清澄剤としては、SO3、Cl、Sb2O3、SnO2などがある。ただし、環境への影響の面から、SO3による清澄が好ましい。
また、より均質な板ガラスをより容易に製造するために、公知の清澄剤も添加できる。かかる清澄剤としては、SO3、Cl、Sb2O3、SnO2などがある。ただし、環境への影響の面から、SO3による清澄が好ましい。
また、ZnOを適宜本発明の効果を損しない範囲で、添加することができる。
さらに、SrO、BaO、B2O3なども本発明の効果を損しない範囲で含有させることができるが、本発明の目的を達成するためには板ガラス全体に対して、それぞれ0.5%未満が典型的である。
さらに、SrO、BaO、B2O3なども本発明の効果を損しない範囲で含有させることができるが、本発明の目的を達成するためには板ガラス全体に対して、それぞれ0.5%未満が典型的である。
本発明の板ガラスの前記Bは6000m−1/2以下であることが好ましい。6000m−1/2超ではガラスの耐擦傷性が不十分となる。より好ましくは5800m−1/2以下である。
なお、本発明において、ガラスの脆さ(耐擦傷性)の指標としてはローンらによって提案された脆さ指標値Bを使用する(B.R.Lawn and D.B.Marshall,J.Am.Ceram.Soc.,62[7−8]347−350(1979))。ここで、脆さ指標値Bは材料のビッカース硬さHVと破壊靱性値KCから式(1)により定義される。
B=HV/KC (1)
ガラスの表面に打ち込んだビッカース圧痕の寸法と式(2)を用いれば、ガラスの脆さBを簡単に評価できる。ここで、Pはビッカース圧子の押し込み荷重であり、a、cはそれぞれ、ビッカース圧痕の対角長および四隅から発生するクラックの長さ(圧子の痕を含む対称な2つのクラックの全長)である。
c/a=0.0056B2/3 P1/6 (2)
本発明の板ガラスの密度ρは2.41g/cm3以下であることが好ましい。2.41g/cm3超では耐擦傷性が低下するおそれがある。なお、密度は典型的には23℃程度の室温で測定される。
なお、本発明において、ガラスの脆さ(耐擦傷性)の指標としてはローンらによって提案された脆さ指標値Bを使用する(B.R.Lawn and D.B.Marshall,J.Am.Ceram.Soc.,62[7−8]347−350(1979))。ここで、脆さ指標値Bは材料のビッカース硬さHVと破壊靱性値KCから式(1)により定義される。
B=HV/KC (1)
ガラスの表面に打ち込んだビッカース圧痕の寸法と式(2)を用いれば、ガラスの脆さBを簡単に評価できる。ここで、Pはビッカース圧子の押し込み荷重であり、a、cはそれぞれ、ビッカース圧痕の対角長および四隅から発生するクラックの長さ(圧子の痕を含む対称な2つのクラックの全長)である。
c/a=0.0056B2/3 P1/6 (2)
本発明の板ガラスの密度ρは2.41g/cm3以下であることが好ましい。2.41g/cm3超では耐擦傷性が低下するおそれがある。なお、密度は典型的には23℃程度の室温で測定される。
本発明の板ガラスの粘度ηが100dPa・s(logη=2)となる温度は好ましくは1800℃以下、より好ましくは1680℃以下である。
本発明の板ガラスは、溶融性を相当に備えるため、各種の製造方法が適用できる。たとえば、常法にしたがって目標組成になるように各原料を調合し、これを1450〜1650℃に加熱してガラス化する。次いでこの熔融ガラスを清澄した後、所定の形状に成形され、徐冷され、板ガラスとなる。
表1のSiO2からK2Oまでに欄に質量百分率表示で本発明の板ガラスの実施例(例1)と比較例(例2)とを示す。原料を調合した粉体200gを白金製の坩堝に投入後、1450〜1650℃の大気中にて4時間撹拌しながら加熱熔解した。均一に熔解した各組成のガラスは、カーボンの型に流し込んで約10cm角で厚さ5mmの板に成形、冷却した。得られたガラスは490〜570℃において徐冷し歪みを除去した後、切断、研磨し、2cm角で厚さ4mmの試料とした。
表1には、同ガラスの密度ρ(単位:g/cm3)、脆さ指標値B(単位:m−1/2)、摩耗深さD(単位:μm)、熔融性の指標としての、粘度が100dPa・sとなる温度T2(単位:℃)および10000dPa・sとなる温度T4(単位:℃)を示す。
脆さ指標値Bは次のように測定した。すなわち、研磨して鏡面を出した試料について、研磨による表面残留応力を除去するためにガラスの歪点温度より50℃上の温度に加熱(100℃/hr)し、3hr保持後、徐冷(60℃/hr)する。こうして表面の熱歪みおよび加工歪みをほぼ完全に除去した状態にてその脆さを測定する。脆さの測定にはビッカース硬さ試験機を使用した。同試験機により、ガラス表面に10個の圧痕を打ち込み、その圧痕の四隅から発生するクラックの平均の長さとビッカース圧子の押し込み荷重により前記式(1)、式(2)を用いて、脆さ指標値Bを算出した。押し込み荷重は5kgfとした。
密度ρは23℃で試料の乾燥質量と水中での質量からアルキメデス法により算出した。測定には1μgまで測定できる高精度の秤を使用し、有効数字5桁まで計算したのち最後の桁を四捨五入して4桁とした。
摩耗深さDは、まず板ガラスの直径2cmの円形領域に、圧力1kgf/cm2で2分間のサンドブラストを行い、板ガラスの質量減少から摩耗深さを換算して求めた。
表に記載した本発明の実施例においては、化学強化処理後の破壊靱性値KCも大きくなっており、外力により発生するクラックの進展が抑制されていることが分かる。
また、例1の板ガラスを強化した板ガラスにビッカース圧子を押し込んだときの亀裂発生荷重(荷重を徐々に増していくときに、はじめて圧痕の四隅からクラックが発生する荷重)は10000gfであった。通常の強化したソーダライムガラスでは同一の方法で求めた亀裂発生荷重は2000gf(未強化時の脆さ指標値Bは6800m−1/2程度)なので、脆さを改善することにより亀裂発生荷重を5倍まで高められたことになる
これらガラスについて次のような化学強化処理を行った。すなわち、このガラスを400℃の硝酸カリウム溶融塩にそれぞれ10時間浸漬し、化学強化処理を行った。各ガラスについて、折原製作所社製表面応力計FSM−6000にて表面圧縮応力S(単位:MPa)および圧縮応力層の厚みt(単位:μm)を測定した。例1の耐擦傷性ガラスは例2の通常のソーダライムガラスよりも、応力層深さで4倍となっており、一方、表面圧縮応力値は600MPa以下と適切な値となっていることがわかった。さらに、強化後のKCも大きいことが明らかである。なお、KCはビッカース圧子の押し込んだときの圧痕の大きさと痕の四隅から発生するクラックの長さを用いて、前記式(1)、式(2)式より求めた。
これらガラスについて次のような化学強化処理を行った。すなわち、このガラスを400℃の硝酸カリウム溶融塩にそれぞれ10時間浸漬し、化学強化処理を行った。各ガラスについて、折原製作所社製表面応力計FSM−6000にて表面圧縮応力S(単位:MPa)および圧縮応力層の厚みt(単位:μm)を測定した。例1の耐擦傷性ガラスは例2の通常のソーダライムガラスよりも、応力層深さで4倍となっており、一方、表面圧縮応力値は600MPa以下と適切な値となっていることがわかった。さらに、強化後のKCも大きいことが明らかである。なお、KCはビッカース圧子の押し込んだときの圧痕の大きさと痕の四隅から発生するクラックの長さを用いて、前記式(1)、式(2)式より求めた。
ディスプレイ装置のカバーガラスなどに利用できる。
Claims (6)
- 下記酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2を75.5〜85.5%、MgOを1〜8%、CaOを0〜7%、Al2O3を0〜5%、Na2Oを10〜22.5%を含有し、MgOの含有量がCaOの含有量より多く、MgOおよびCaOの含有量の合計(MgO+CaO)が8%以下、MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計が24.5%以下、(MgO+CaO)をNa2O含有量で除して得られた比が0.45以下である化学強化用板ガラス。
- K2OまたはLi2Oを含有し、Na2O、K2OおよびLi2Oの含有量の合計(Na2O+K2O+Li2O)が23.5%以下、(MgO+CaO)+(Na2O+K2O+Li2O)が24.5%以下、(MgO+CaO)/(Na2O+K2O+Li2O)が0.45以下である請求項1の化学強化用板ガラス。
- ビッカース硬さHvを破壊靱性値Kcで除して得られた比である脆さ指標値Bが6000m−1/2以下である請求項1または2の化学強化用板ガラス。
- 密度が2.41g/cm3以下である請求項1、2または3の化学強化用板ガラス。
- 粘度が100dPa・sとなる温度が1800℃以下である請求項1、2、3または4の化学強化用板ガラス。
- 請求項1〜5のいずれかの化学強化用板ガラスを化学強化して得られたディスプレイ装置用ガラス板。
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