JP2012183000A - 酵素合成グリコーゲンに対する抗体 - Google Patents

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洋樹 高田
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Abstract

【課題】酵素合成グリコーゲン(ESG)に対する特異的抗体、および該抗体を用いるグリコーゲンの定量法を提供する。
【解決手段】酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子ならびにその組成物。また、それらを用いて、サンプル中のグリコーゲンを検出または定量する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリコーゲンに対する抗体に関する。
グリコーゲンは、動物、真菌、酵母および細菌の主な貯蔵多糖である。グリコーゲンは、水に可溶性であり、乳白色の溶液となる。動物のグリコーゲンの分子構造はよく研究されている。天然グリコーゲンは、ブドウ糖(グルコース)のα−1,4−グルコシド結合を介して直鎖状に連結した糖鎖からα−1,6−グルコシド結合で枝分れし、さらにそれも枝分かれして網状構造を形成したホモグルカンである。天然グリコーゲンは、α−1,6−グルコシド結合によって連結された、平均重合度約10〜約14のα−1,4−グルコシド結合鎖から構成されている。天然グリコーゲンの分子量については、色々な説があるが、約10〜約10とされている。天然グリコーゲンは、分子量約10の粒子(β粒子)またはβ粒子の凝集により形成されたさらに大きな粒子(α粒子)として存在する。細菌のグリコーゲンの構造は、動物のグリコーゲンの構造と類似すると考えられる。ある種の植物(たとえばスイートコーン)にもグリコーゲンと類似した構造のグルカンが存在し、植物グリコーゲン(フィトグリコーゲン)と呼ばれる。
グリコーゲンには種々の生物学的機能が知られているが、その機能性を研究する上で、細胞内や生体内に存在するグリコーゲンを検出するシステムを構築することは非常に重要な手段であり、高感度にグリコーゲンを定量するためには抗体の利用が不可欠である。これまでに、グリコーゲンを認識するモノクローナル抗体(IV58B6)が1つ知られているが(非特許文献1)、その特性は調査されていない。
馬場麻人、口腔病学会雑誌、1993 No.2 p264−287
本発明は、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体およびその改変体(抗原結合性断片、結合分子等)を提供する。非特許文献1に記載の抗体をELISA法により詳細に調べたところ、グリコーゲンの構造や由来の違いにより、検出しやすいものと、しにくいものがあることが明らかとなった(図1)。具体的には、部分的にグリコーゲンを消化したモデル(RG)については非常に良く認識するが、酵素合成グリコーゲン(ESG)はあまり認識せず、天然由来のグリコーゲンに対しては、その由来ごとに検出感度がまちまちであった。そのため、この従来技術のIV58B6抗体を用いてグリコーゲンを定量することは困難であると考え、新たにグリコーゲンを認識するモノクローナル抗体の作製を試み、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対する抗体を作製したところ、グリコーゲンの種類を問わず一様に反応する抗体を得ることができた。
本発明は、上記抗体およびその改変体を提供することによって、グリコーゲンの種類に関係なく感度が一様である検出手段を提供することができる。したがって、例えば、本発明は以下を提供する。
一つの局面において、本発明は、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
別の局面において、本発明は、酵素合成グリコーゲン(ESG)および天然グリコーゲンに対して指向される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
別の局面において、本発明は、ESGとフロイント完全アジュバントをエマルジョンにしてマウスを免疫化して得られる脾臓細胞と、ミエローマ細胞とを融合して融合細胞を得ること、および該融合細胞をヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジンを含む培地で培養して得られたハイブリドーマを培養して抗体を生成させることによって得られる、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体と同一の重鎖および軽鎖の相補性決定部位(CDR)またはその保存的改変アミノ酸配列を含む、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一またはその保存的改変アミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一アミノ酸配列からなる抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
なお別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。
1つの実施形態において、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子では、ESGと天然グリコーゲンとに対する特異性の相違が2倍以内の範囲にあり、該特異性は、ELISAにおいて抗原濃度が0.00001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)によって測定される。
1つの実施形態において、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子では、ESGに対する結合特異性は、ELISAにおいて抗原濃度が0.0001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)が2以上の値を示す。
1つの実施形態において、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子では、前記ハイブリドーマは、受領番号NITE AP−1069として寄託されたものである。
別の局面において、本発明は、本発明の上記のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む、グリコーゲンを検出または定量するための組成物を提供する。
1つの実施形態において、前記抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、標識されたものである。
1つの実施形態において、前記検出または定量は細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清中で行われる。
1つの実施形態において、前記検出または定量は動物の組織または組織抽出物中で行われる。
別の局面において、本発明は、サンプル中のグリコーゲンを検出または定量する方法であって、該方法は、本発明の上記のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子と該サンプルとを、該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片とグリコーゲンとが結合する条件下で接触させる工程;および結合した該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を検出または定量する工程、を包含する方法を提供する。
1つの実施形態において、前記検出または定量は、標識を用いて行われる。
1つの実施形態において、前記サンプルは細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清である。
1つの実施形態において、前記サンプルは動物の組織または組織抽出物である。
別の局面において、本発明は、本発明の上記のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片、該抗原結合性断片を含む結合分子またはCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
これらのすべての局面において、本明細書に記載される各々の実施形態は、適用可能である限り、他の局面において適用されうることが理解される。
複数の実施形態が開示されるが、本発明の他の実施形態は、以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。明らかであるように、本発明は、すべて本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、種々の明白な態様において修飾が可能である。従って、図面および詳細な説明は、事実上例示的であると見なされ、制限的であるとは見なされない。
本発明は、グリコーゲンの種類を問わず一様に反応する抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。本発明は、グリコーゲンの種類に関係なく感度が一様である検出手段を提供することができる。
図1は、ELISA法による従来の抗体IV58B6の抗原特異性の確認した図を示す。図1Aは、IV58B6のESGとESG消化体モデルであるRGならびにでんぷんとの反応性を示している。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、抗原濃度を示す。黒三角はESG−7000を示し、黒丸はRGを示し、黒四角はでんぷん(starch)を示す。図1Bは、IV58B6の各種天然グリコーゲンとの反応性を示している。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、抗原濃度を示す。菱形はタイプIIIウサギ由来の天然グリコーゲン(Type III Rabbit)を示す。黒四角はタイプVIIムラサキイガイ由来の天然グリコーゲン(Type VII Mussel)を示す。黒三角はタイプVIIIフナガイ由来の天然グリコーゲン(Type VIII Slipper limp)を示す。白四角はウシ肝臓由来のタイプIXの天然グリコーゲン(Type IX Bovine Liver)を示す。白三角はカキ由来の天然グリコーゲン(Oyster)を示す。黒丸はフィトグリコーゲン(Phytoglycogen)を示す。 図2は、ELISA法による本発明の抗体ESG1A9mAbの抗原特異性の確認した図を示す。図2Aは、ESG1A9mAb抗体のESGとESG消化体モデルであるRGならびにでんぷんとの反応性を示している。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、抗原濃度を示す。黒三角はESG−7000を示し、黒丸はRGを示し、黒四角はでんぷん(starch)を示す。図2Bは、ESG1A9mAb抗体の各種天然グリコーゲンとの反応性を示している。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、抗原濃度を示す。菱形はタイプIIIウサギ由来の天然グリコーゲンを示す。黒四角はタイプVIIムラサキイガイ由来の天然グリコーゲンを示す。黒三角はタイプVIIIフナガイ由来の天然グリコーゲンを示す。白四角はウシ肝臓由来のタイプIXの天然グリコーゲンを示す。白三角はカキ由来の天然グリコーゲンを示す。黒丸はフィトグリコーゲンを示す。図2CはESG1A9mAb抗体のESG7000および天然グリコーゲンとの反応性を比較した結果である。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、抗原濃度を示す。黒三角はESG7000を示し、白丸はでんぷん(starch)を示し、黒四角はNSG1(カキ由来、ナカライテスク)天然グリコーゲンを示し、グレーの四角はNSG2(タイプVIIムラサキイガイ由来)天然グリコーゲンを示す。黒丸はNSG5(タイプVIIIフナガイ由来)天然グリコーゲンを示す。 図3は、ESG1A9mAb抗体を使ったグリコーゲン検出システムの検量線である。図3Aは、ESG7000(0.01 mg/ml)をELISAプレートにコーティングし競争ELISAを行っている。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、競合する抗原の濃度を示す。三角はESG7000をコーティングしたものに対するESG7000の競合(ESG−7000(ESG−7000coat))を示し。黒丸はESG7000をコーティングしたものに対するRGの競合(RG(ESG−7000coat))を示す。図3Bは、RG(0.01 mg/ml)をELISAプレートにコーティングし、競争ELISAを行っている。Y軸は450nmにおける吸光度(参照波長630nm)<O.D>(450/630)>を示し、X軸は、競合する抗原の濃度を示す。三角はRGをコーティングしたものに対するESG7000の競合(ESG−7000(RGcoat))を示し。黒丸はRGをコーティングしたものに対するRGの競合(RG(RGcoat))を示す。 図4は、Caco−2によるグリコーゲンの消化性を示す図である。ESG7000をそれぞれ、0mg/ml、2.5mg/ml、5mg/ml添加したときのグリコーゲンの量をRG量に換算(mg/ml)したものを示す。Aは、Apical側(腸管内)、BはBasolateral側(体内)のものを示す。分化Caco−2細胞を用いた小腸モデルを用いESGの代謝物の定量を抗体ESG1A9mAbを用いた競争ELISAにより行ったものである。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
本明細書では「グリコーゲン」とは、D−グルコースを構成単位とする糖であって、α−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グルコシド結合のみによって連結されており、一般に分子量が100万Da以上であるものをいう。
本明細書では「酵素合成グリコーゲン(ESG)」とは、酵素合成によって生成されるグリコーゲンを指し、例えば、本発明で用いられる代表例としては、50U/g基質のプルラナーゼを、以下の条件(日本国特許4086312号参照)で作用させた場合に得られる生成物をMALLS法によって分析した場合のMwが50万Da以上であり、かつ300U/g基質のα−アミラーゼを以下の条件(日本国特許4086312号を参照)で作用させた場合に得られる生成物をMALLS法によって分析した場合のMwが50万Da以上である糖が含まれる。
本明細書でいう酵素合成グリコーゲンはWO2006/035848号記載の酵素合成グリコーゲンを含む。すなわち、これは、グリコーゲンを合成する能力を有するブランチングエンザイムを溶液中で基質に作用させてグリコーゲンを生産する工程により製造されるものであり、該基質が主にα−1,4−グルコシド結合で連結された重合度4以上のα−グルカンであり、該基質が澱粉枝切り物、デキストリン枝切り物または酵素合成アミロースであり、該グリコーゲンの重量平均分子量が100万Da以上であり、該グリコーゲンに50U/g基質のプルラナーゼを60℃で30分作用させた場合に得られる生成物をMALLS法によって分析した場合の重量平均分子量が50万Da以上であり、かつ該グリコーゲンに300U/g基質のα−アミラーゼを37℃で30分作用させた場合に得られる生成物をMALLS法によって分析した場合の重量平均分子量が50万Da以上であるグリコーゲンである。
ESGと天然のグリコーゲンとを識別する方法としては、抵抗性でんぷん(Resistant Starch)を測定する手法がある。ESGは、Megazymes社のResistant Starchアッセイキットで定量した時、約20%程度の「Resistant Starch含量である」、と定量される。これは、ESGの分子コア部分に比較的大きな、αアミラーゼに耐性を示す部分があることによる。NSGの場合、そのような耐性のコア部分を持つ分子の割合が少ないため、本キットの定量値は非常に低くなることによって識別できる。
MALLS法とは、多角度光散乱検出器と、示差屈折計を検出器として併用したHPLCゲルろ過分析法であり、Takataら、J. Appl. Glycosci. 50巻, 15−20頁、2003年に記述されている。該グリコーゲンの重量平均分子量は、100万Daから1億Daであり、より好ましくは100万から5000万Daであり、より好ましくは200万から3000万Daであり、さらにより好ましくは300万から2000万でありうる。グリコーゲン合成に用いる、グリコーゲンを合成する能力を有するブランチングエンザイムはAquifex aeolicus、Aquifexpyrophilus、Rhodothermus obamensis、Rhodothermus marinus、Bacillus stearothermophilus、Bacilluscaldovelox、Bacillus thermocatenulatus、Bacillus caldolyticus、Bacillus flavothermus、Bacillusacidocaldarius、Bacillus caldotenax、Bacillus smithii、Thermosynechococcus elongatusおよびEscherichiacoliからなる群より選択される細菌に由来し得る。
本発明に用いることができる酵素合成グリコーゲンは、天然のグリコーゲンとほぼ同様の大きさと形状を持つ高分子である。さらに、本発明に用いる酵素合成グリコーゲンは、天然のグリコーゲンと比較して、電解質などの不純物含量が少なく、皮膚への安全性が高い。また、分岐結合の分子内での配置が若干異なることから、溶液の経時安定性が高く、酵素や微生物などの生物的分解への耐性が高く、化学的、物理的分解に対する耐性も高い。
本明細書において「重量平均分子量(Mw)」、および数平均分子量(Mn)は以下のように説明される。すなわち、グリコーゲンのような高分子は、一般に均一な分子ではなく、種々の大きさの分子の混合物であるため、その分子量は数平均分子量(Mn)もしくは重量平均分子量(Mw)で評価する。Mnは、その系の全質量を、その系に含まれる分子の個数で割ったものである。すなわち数分率による平均である。一方、Mwは重量分率による平均である。完全に均一な物質であれば、Mw=Mnとなるが、高分子は一般に分子量分布を有するためMw>Mnとなる。したがって、Mw/Mnが1より大きいほど、分子量の不均一度が大きい(分子量分布が広い)ということになる。本発明では、グリコーゲンについては、重量平均分子量をおもに使用する。したがって、本明細書においてESG(−)7000といったときは、重量平均分子量が7000kDa(有効数字2桁)のものを指すと理解される。
本明細書では「天然由来(の)グリコーゲン」または「天然グリコーゲン」(NSG)とは、天然に見出されるグリコーゲンであり、例えば、天然由来のグリコーゲンとしては、カキ由来のもの(ナカライテスク)、タイプVII ムラサキイガイ由来のもの、タイプIII ウサギ由来のもの、フィトグリコーゲン、タイプVIII フナガイ由来のもの、タイプIX ウシ肝臓由来のものなどを挙げることができる。
本発明に用いるかまたは検出もしくは定量の対象となるグリコーゲンは、動物の肝臓や骨格筋で貯蔵されることが知られているものを含み、特に限定はされない。その由来としては動物が挙げられるが、植物ないし微生物がグリコーゲンないしグリコーゲンと同様な構造を有する物質を産生することも知られており、これらはすべて本発明のグリコーゲンとして使用することができる。さらに本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子の作製に用いるグリコーゲンを、酵素を用いて合成することもできる。例えば、ショ糖およびプライマー分子(マルトオリゴ等やデキストリン)にスクロースホスホリラーゼ(EC2.4.1.7)とα−グルカンホスホリラーゼ(EC2.4.1.1)およびブランチングエンザイム(EC2.4.1.18)を作用させる方法、および短鎖のアミロースにブランチングエンザイム(EC2.4.1.18)を作用させる方法などがある。これらの方法で合成したグリコーゲンも、天然グリコーゲンと同様の化学的構造、および物理的構造を持つことが知られている。
本発明において用いられるグリコーゲンは、当業者に周知の分離方法、例えば、クロマト分離(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、HPLC)、膜分離等で適当な分子量分布を持つ画分に分離することができる。また、溶媒(例えば、メタノール、エタノール)を用いる沈澱等の方法を、単独で、あるいは組み合わせて用いて適当な分子量分布を持つ画分に分離することができる。
(抗体等に関する説明)
本明細書において「抗体」とは、免疫反応において、抗原の刺激によって生体内でつくられ、抗原と特異的に結合したり反応したりするタンパク質またはそれらと同じ配列を有するものを化学合成等で生産したものを総称していう。実体は免疫グロブリンであり、Abとも称する。通常は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖とからなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各々の軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変わる。各々の重鎖および軽鎖はまた、規則的に間隔の空いた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、次にいくつかの定常ドメインが続く。各々の軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一の定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列される。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間で界面を形成すると考えられる。
本明細書において抗体の「抗原結合性断片」とは、ある抗体について、その抗体の抗原と同じ抗原に対して結合性を有する断片をいう。そのような「抗原結合性断片」の範囲に入るかどうかは、本明細書に記載される親和性のアッセイによって評価することができる。本明細書中においては、そのような親和性は、抗体に対する標識グリコーゲン分子の結合量を50%阻害する濃度(IC50値)を指標として示すことができ、IC50値は、例えばlogistic曲線による回帰モデル(Rodbardら、Synposium on RIA and related procedures in medicine,P165,Int.Atomic Energy Agency,1974)で算出することができる。
本明細書において「抗グリコーゲン抗体」または「グリコーゲンに対して指向される抗体」とは、グリコーゲンに対して惹起されたか、あるいは、それと同等の結合能を有する抗体をいう。
本明細書において「抗酵素合成グリコーゲン(ESG)抗体」または「酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体」とは、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して惹起されたか、あるいは、それと同等の結合能を有する抗体をいう。ただし、この用語を用いる場合、他の抗原に対する反応性を排除するものではない。
本明細書において他の抗原に比べた特定の抗原に対する「特異性」とは、該他の抗原に比べて、該特定の抗原により親和性の高い性質をいう。特異性が少ないことは、抗原に対する反応性が一様であるということになる。
このような特異性は、1つの手法では、交差反応性の違いによって表現することができる。交差反応性は、(特定の抗原に対するIC50/比較対象の抗原に対するIC50)×100(%)の計算式で求められる。本明細書において抗原に対する反応が一様である、とはこの値が200%以下、好ましくは150%以下であることをいう。また、本明細書においてIC50とは、50%阻害濃度のことで、ある抗体と抗原の結合を50%阻害するのに必要な濃度をいう。IC50値はlogistic曲線による回帰モデル(Rodbardら、Synposium on RIA and related procedures in medicine,P165,Int.Atomic Energy Agency,1974)で算出することができる。
別の手法では、抗原に対する反応が一様であることは、ELISAの用量曲線において線形性を示す部分における濃度での反応性が一定比未満、例えば、5倍以内、4.5倍以内、4倍以内、3.5倍以内、3倍以内、2.5倍以内、2倍以内、1.9倍以内、1.8倍以内、1.7倍以内、1.6倍以内、1.5倍以内、1.4倍以内、1.3倍以内、1.25倍以内、1.2倍以内、1.1倍以内の範囲であることをいう。ここで、特異性は、ELISAにおいて抗原濃度が0.00001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)の吸光度比によって測定される。
本明細書において免疫グロブリン「重鎖可変ドメイン(VH)」および「軽鎖可変(VL)ドメイン」とは、当該分野において通常用いられる意味で用いられる。免疫グロブリンは、基本構造は同じで2本のL鎖(軽鎖、light chain)と2本のH鎖(重鎖、heavy chain)がS−S結合でつながり、H鎖はC末端側のFc(crystallizable fragment)とN末端側のFab(antigen binding fragment)の2断片がヒンジ部(蝶番部)で折れ曲ってつながり、全体としてY字形をとる。L鎖およびH鎖ともにN末端から約110個のアミノ酸(L鎖の約半分の長さ)の配列は、抗原特異性に応じて部分的に異なった配列の仕方をしている。この部分を可変部(可変領域、V部)とよび、抗原特異性の決定にはL鎖とH鎖の両方の可変部(VL、VH)が関係している.可変部以外の部分は各クラスあるいはサブクラスごとにほぼ一定であり、定常部(定常領域、C部)とよぶ。定常部は約110個のアミノ酸からなるポリペプチド単位(相同単位)がL鎖では一つ(CL)、H鎖では、IgG、IgA、IgDで3個(CH1、CH2、CH3)、IgM、IgEで4個つながっていて、各単位あるいは向かいあった部位と結合して生じた部域をドメイン(domain)という。
本明細書では、格別に他の意味であると指示しない限り、抗体などの任意のポリペプチド鎖は、N末端(N−terminal extremity)で開始しC末端(C−terminal extremity)で終結するアミノ酸配列を有するものとして記載する。抗原結合部位がVおよびVドメイン両方を含むとき、これらは同一ポリペプチド分子に位置し得るか、好ましくは、各ドメインは別の鎖に位置し得、この場合、Vドメインは免疫グロブリンすなわち抗体の重鎖またはその断片の一部であり、またVは免疫グロブリンすなわち抗体の軽鎖またはその断片の一部である。
本明細書では「可変」とは、可変ドメインの特定の部分が抗体間で広範囲にわたって配列が異なり、その特定の抗原に対する各々の特定の抗体の結合および特異性に使用されることをいう。しかし、抗体においてその可変性は、抗体の可変ドメインの全体にわたって均一に分布するものではない。可変性は、一般に、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方で相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのうちより高度に保存される部分は、フレームワーク(FR)領域と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々、4つのFR領域を含み、これらの領域は、大部分はβシート配置をとり、βシート構造に結合する(場合によってはβシート構造の一部分を形成する)ループを形成する3つのCDRによって結合される。各々の鎖におけるCDRは、他の鎖由来のCDRと共にFR領域によって近接して一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら(1991)NIH Publ.No.91−3242,Vol.I,647−669頁を参照のこと)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接的に関連しないが、種々のエフェクター機能(例えば、Fcレセプター(FcR)結合、抗体依存性の細胞の毒性における抗体の関与、オプソニン作用、補体依存性細胞毒性の惹起、および肥満細胞脱顆粒)を示す。
本明細書では「超可変領域」とは、本明細書中で使用される場合、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基をいう。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」に由来するアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、残基50〜56(L2)および残基89〜97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける残基31〜35(H1)、残基50〜65(H2)および残基95〜102(H3);Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、Public Health Service,National Institute of Health,Bethesda,MD))ならびに/あるいは「超可変ループ」に由来するアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、残基50〜52(L2)および残基91〜96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける残基 26〜32(H1)、残基53〜55(H2)および残基96〜101(H3);ClothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)を含む。
本明細書では「フレームワーク」または「FR」残基は、交換可能に使用され超可変領域残基以外の可変ドメイン残基をいう。
本明細書において「結合分子」とは、単独または他の分子と関連して、いずれかでグリコーゲンに結合し得る任意の分子をいう。したがって、グリコーゲン結合分子には定義上抗体および抗体の抗原性結合断片のほか、結合部分を含む他の分子が含まれることが理解される。このような結合反応は、抗体の親和性の試験と同様の試験で判定することができる。結合分子の代表例としては、抗原性結合断片を含む結合分子、あるいはCDRを含み、他の抗体以外に由来する物質とを含む分子を挙げることができる。他の抗体以外に由来する物質としては、例えば、ペプチド、糖、脂質、低分子、ポリマー、それらの複合分子などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「抗体または抗原結合性断片」の例には、B細胞またはハイブリドーマにより産生されるような抗体およびキメラ抗体、CDR移植抗体もしくはヒトの抗体またはその任意の断片、例えばF(ab’)およびFab断片、単鎖抗体および単一ドメイン抗体が含まれる。F(ab’)フラグメントは、2分子のFab’ユニットが2つのジスルフィド結合により連結された構造をもつものである。抗体をペプシン処理すると、蝶番部の−S−S−結合のC末端側で切断され、1つのF(ab’)と2つのpFc’が生じる。他方、パパイン処理したときの上の部分をFabといい、下部分をFcという。したがって、本明細書において使用される「結合分子」の例には、これらのB細胞またはハイブリドーマにより産生されるような抗体およびキメラ抗体、CDR移植抗体もしくはヒトの抗体またはその任意の断片、例えばF(ab’)およびFab断片、単鎖抗体および単一ドメイン抗体に他の分子が結合したものなどが含まれることが理解される。
単鎖抗体は、10から30アミノ酸、好ましくは15から25アミノ酸からなるペプチドリンカーにより共有結合する抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインからなる。そのため、その構造は重鎖および軽鎖の定常部分を含まず、小さなペプチドスペーサーは全定常部分よりも抗原性が低いと考えられている。「キメラ抗体」とは、重鎖もしくは軽鎖またはその両方の定常領域がヒト由来である一方、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは非ヒト由来(例えば、マウス)であるか、またはヒト由来であるが、別のヒト抗体から誘導される抗体を意味する。本発明では、CDRを含む結合分子も包含されるが、その中の代表例である「CDR移植抗体」とは、超可変部位領域(CDR)が、非ヒト(例えば、マウス)抗体または別のヒト抗体のようなドナー抗体から誘導される一方、免疫グロブリンの他の部分すべてまたは実質的にすべて、例えば定常領域および可変ドメインの高保存部分、すなわち、フレームワーク領域が、アクセプター抗体、例えば、ヒト由来の抗体から誘導される抗体を意味する。しかし、CDR移植抗体は、フレームワーク領域中、例えば超可変領域に隣接するフレームワーク領域の一部にドナー配列の数アミノ酸を含む。「ヒト化抗体」とは、重鎖および軽鎖両方の定常および可変領域がすべてヒト由来であるか実質的にヒト由来配列と同一であり、必ずしも同一抗体由来である必要はなく、そしてマウス免疫グロブリン可変部分および定常部分の遺伝子がヒト対応物、例えば欧州特許0546073B1、米国特許5545806等において一般の用語で記載されるようなものにより置換えられるマウス産生抗体が含まれる抗体を意味する。
したがって、好ましい抗体、その抗原結合性断片または結合分子は、重鎖および軽鎖の可変ドメインはヒト由来であり、例えば、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるものまたはその改変体(たとえば、1または数個のアミノ酸の置換・挿入、付加もしくは欠失を含むものが挙げられるがこれに限定されない。)において示される配列を有しうる。定常領域ドメインはまた、好ましくは、適当なヒト定常領域ドメイン、例えば、Kabat E.A. et al.,US Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institute of Healthに記載されているものが含まれる。可変領域のアミノ酸配列をKabatらにより作製された抗体のアミノ酸配列のデータベース(「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept.Health and Human Services,1983)にあてはめて、相同性を調べることによりCDR領域を見いだすことができる。CDR領域の配列は、本発明の所望する生物学的活性(たとえば、結合活性等)が保持される範囲内であれば、少なくとも1つの付加・挿入、置換または欠失による改変体も本発明に含まれる。また、各CDR領域との相同性が90〜100%の配列であるものが挙げられる。
本明細書において「抗体価(titer)」とは、血清反応において、抗血清の単位容量中に含まれている、抗原に対して結合する抗体量をいう。実際の測定は抗血清の希釈系列に対して一定量の抗原を加えて行い、測定値は反応の生じる終末点における希釈倍数であらわすことができる。
本明細書において「親和性(affinity)」とは抗体とその認識物質間の結合力をいう。本発明では、抗体と抗原などその認識物質の解離定数を指標として親和性(K)を示すことができる。親和性(K)の測定方法は、この分野の当業者にとって常識であり、たとえば、センサーチップを用いても求めることができる。
(改変体)
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも80%同一である場合、好ましくは少なくとも90%同一である場合、より好ましくは少なくとも95%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9(2004.5.12 発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。
本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子(例えば、本発明の抗体)に対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。したがって、ヒトの遺伝子に対応する遺伝子は、他の動物(マウス、ラット、ブタ、ウサギ、モルモット、ウシ、ヒツジなど)においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウサギ、モルモット、ウシ、ヒツジなど)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「フラグメント」または「断片」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。断片の長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用な断片の長さは、その断片の基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。したがって、本明細書では「抗体」の「断片」、「抗体断片」あるいは抗体の「抗原結合性断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。そのような断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片;二重特異性抗体;単鎖抗体(Zapataら(1995)Protein Eng.8(10):1057−1062);単鎖抗体分子;ならびに抗原結合性断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、各々単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片(「Fab」断片と呼ばれる)、および残りの「Fc」断片が生成される。ペプシン処理により、F(ab’)断片が得られ、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原と架橋結合し得る。
本明細書において「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。2本の鎖(two−chain)のFv種では、この領域は、固く非共有結合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。単鎖のFv種では、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとが、その軽鎖と重鎖とが2本の鎖(two−chain)のFv種における構造に類似する二量体構造に会合し得るように、フレキシブルなペプチドリンカーによって共有結合されうる。この構成において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、V−Vダイマーの表面における抗原結合部位を規定する。合わせて、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に 対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも、抗原を認識し結合する能力を有するが、完全な結合部位よりは親和性は低いとされる。
本明細書において「Fab」断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第一の定常ドメイン(C1)を含む。Fab断片は、抗体のヒンジ領域由来の1以上のシステインを含む重鎖C1ドメインのカルボキシ末端において、いくつかの残基が付加されている点でFab’断片と異なる。本明細書では、Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’を意味する。F(ab’)抗体断片は、歴史的に、それらの間にヒンジ領域を有するFab’断片の対として生成された。抗体の断片については、他の化学結合もまた知られておりこれらも本発明において使用される。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明らかに異なる型(カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる)の一方に割り当てられ得る。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンが異なるクラスに割り当てられ得る。ヒト免疫グロブリンの5つの主要なクラスが存在する:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、そしてこれらの中にはさらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分けられるものがある。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1アイソタイプおよびIgG3アイソタイプは、抗体依存性の細胞媒介性細胞毒性(ADCC)の活性を媒介する。
本明細書において、「改変体」、「改変配列」または「アナログ」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、80%以上の相同性、より好ましくは、90%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、アルキル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよいが、天然のアミノ酸が好ましい。
このようなポリペプチドをコードする核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加および/または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わること、または取り除かれることをいう。このような置換、付加および/または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。基準となる核酸分子またはポリペプチドにおけるこれらの変化は、目的とする機能(例えば、抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子においてはESGへの結合など)が保持される限り、この核酸分子の5’末端もしくは3’末端で生じ得るか、またはこのポリペプチドを示すアミノ酸配列のアミノ末端部位もしくはカルボキシ末端部位で生じ得るか、またはそれらの末端部位の間のどこにでも生じ得、基準配列中の残基間で個々に散在する。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、ESGへの結合など)が保持される限り、制限されない。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの5%以内、または25個以下などであり得る。
本明細書において「類似するアミノ酸」とは、保存的置換の関係にあるアミノ酸をいい、以下のアミノ酸が該当する。そして、本発明の抗体の特定の配列から、以下の置換が行われた改変体もまた、本発明の範囲内に入ることが理解される。
A:G,I,V,L
C:M(含Sアミノ酸)
D:N、QまたはE
E:N、QまたはD
F:Y、Aなど
G:A
H:Wなど
I:A,L,V,(G)
K:R
L:A,I,V,(G)
M:Sなど
N:E、DまたはQ
P:HyP
Q:N、EまたはD
R:K
S:T、Y
T:S,Y
V:I,L,A、(G)
W:H
Y:F、S,T
これらのアミノ酸の間の置換は、本明細書において「保存的置換」ともいう。
そして、本発明の「保存的改変(アミノ酸配列)」は、上記「保存的置換」によってアミノ酸が置換された配列、および/または機能に影響しない付加もしくは欠失がなされたアミノ酸配列をいう。
本明細書において「標識」とは、抗体、その抗原結合断片、または該抗原結合断片を含む結合分子に直接的または間接的に結合される検出可能な化合物または組成物をいう。標識は、それ自体で検出可能である(例えば、放射性同位体標識、化学発光標識もしくは蛍光標識等)か、または酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学的変化を触媒し得るものである。
本明細書において「交差反応性(cross reactivity)」は、免疫交差反応性のことをいう。ある抗原で免疫することにより得られた抗体が別の抗原(関連抗原)とも結合反応を示すときに、この反応を交差反応という。目的とする抗原とその抗体の反応量を基準とした場合に関連抗原とその抗体との反応量の程度を交差反応性として示すことができる。本明細書中においては代表的には1%、または2%、3%、あるいは0.5%、0.2%、0.1%などの親和性の相対値(%)で示すものであれば交差反応性が低いといえる。本発明の抗体は、グリコーゲン内での交差反応性は高くどのようなグリコーゲンでもほぼ一様認識するものであるが、グリコーゲン以外の物質に対する交差反応性は低いことが好ましい。値が低いほど交差反応性が低く、目的の抗原に対して特異性を有することを示す。主に目的抗原と関連抗原の構造が非常に類似しているために起こることが多い。
(抗体の作製)
本発明の抗体は、当該分野において周知の任意の方法を用いて生産することができる。そのような方法の例示は、実施例に記載されるがそれに限定されない。まず、抗原を用いて動物を免疫することによって、抗体が産生される。
ここで、抗原の調製は、ESGの合成物を精製してまたは精製しないで使用することなどが挙げられる。そのような方法は、実施例において例示されている。得られたESGは、アジュバントと混合し抗原として用いる。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント等が挙げられ、これらの何れのものを混合してもよい。
また、モノクローナル抗体は、それらの哺乳動物から脾臓またはリンパ節を採取し、それらから得られた抗体産生細胞を骨髄腫(ミエローマ)細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得ることができる。細胞融合の方法は既知の方法で行うことができ、例えば、Koehler&Milsteinの方法(Nature,256,495−497(1975))に従って作製することができる。目的タンパク質を認識する特異抗体を作製するために、上記に記載した方法に従って目的動物(たとえば、マウス)を免疫する。十分に血中抗体力価が上昇していることを確認し、採血または脾臓細胞を分離する。モノクローナル抗体、特に、C末端やリングを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、このようにして分離した脾臓細胞とミエローマ細胞を融合して作製し得る。脾臓細胞は免疫した動物、好ましくはマウス由来である。ミエローマ細胞は、哺乳類由来であり、好ましくはマウスミエローマ細胞である。細胞の融合にはポリエチレングリコールなどを用い得る。融合により得られたハイブリドーマをスクリーニングおよびクローニングすることにより、望ましいハイブリドーマを選択し得る。モノクローナル抗体を作製するには、得られたハイブリドーマをインビトロまたはインビボで培養する。好ましくは、インビボで培養する。例えば、マウスモノクローナルを含む腹水を産生させるために、マウスの腹腔内に前記ハイブリドーマを投与する。モノクローナル抗体は、産生された腹水から、当業者に公知の方法により容易に精製され得る。最終免疫後3〜10日目に免疫動物から脾臓細胞を採取することが好ましいがこれに限定されない。
得られた免疫細胞からハイブリドーマを得るには、例えば、「分子細胞生物学基礎実験法」(南江堂 堀江武一ら1994)等に記載されている方法により、継代培養可能な細胞とすることを目的として、例えば、センダイウイルス、ポリエチレングリコール存在下、形質細胞腫細胞と抗体を産生する免疫細胞とを融合させて、ハイブリドーマを得ることができる。ここで用いられる形質細胞腫細胞は、同じ恒温動物でも同種の恒温動物由来の形質細胞腫細胞を用いることが望ましく、例えばマウスを免疫動物として得られた脾臓細胞と融合させる場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。形質細胞腫細胞は公知のものを利用できる。
ハイブリドーマは、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)により選択し、コロニーが確認された段階で、培養上清に分泌される抗体と抗原との結合を調べる(スクリーニングする)ことにより目的の抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。
スクリーニングする方法としては、例えば、スポット法、凝集反応法、ウエスタンブロット法、ELISA法などの一般に抗体の検出に用いられている種々の方法が挙げられるが、好ましくは、例えば実施例に例示されるように、ハイブリドーマの培養上清について、ESGまたは他のグリコーゲンとの反応性を指標とするELISA法に従い実施される。このスクリーニングによって、ESGに反応する目的抗体産生株をスクリーニングすることができる。
スクリーニングの結果得た目的抗体産生株のクローニングは、通常の限界希釈法、軟寒天法などにより実施できる。クローニングされたハイブリドーマは、必要に応じて、血清培地または無血清培地で大量培養することができる。この培養によれば、比較的高純度の所望抗体を培養上清として得ることができる。また、ハイブリドーマと適合性のある哺乳動物、例えばマウスなどの腹腔に、ハイブリドーマを接種して、所望抗体をマウス腹水として大量に回収することもできる。本発明の抗体産生ハイブリドーマの培養上清およびマウスなどの腹水は、そのまま粗製抗体液として用いることができる。またこれらは常法に従って、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー法などにより精製して、精製抗体とすることができる。
ポリクローナル抗体は、例えば免疫原で免疫した哺乳動物から採血することにより得られる。該方法において、免疫原で免疫される哺乳動物としては、一般には、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラットなどが用いられる。
免疫方法は一般的方法により、例えば免疫原を哺乳動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内注射などにより投与することにより行い得る。より具体的には、例えば免疫原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水などで適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバントと併用して、供試動物に2〜3週間間隔で数回投与する。マウスを用いる場合は、一回の投与量を一匹あたり50〜100μg程度とする。ここで前記アジュバントとは抗原と共に投与したとき、非特異的に抗原に対する免疫反応を増強する物質をいう。通常用いられるアジュバントとしては、百日咳ワクチン、フロインドアジュバントなどを例示できる。最終免疫後3〜10日目に哺乳動物の採血を行うことによって、抗血清を得ることができる。抗血清についてはそのままでも、また精製してポリクローナル抗体としても使用できる。
ポリクローナル抗体の精製方法としては非特異的精製法と特異的精製法が挙げられる。非特異的精製法とは塩析法やイオン交換クロマトグラフィー法などにより主にイムノグロブリン画分を取得することを目的とする。特異的精製法としては固定化抗原によるアフィニティークロマトグラフィー法などが挙げられる。
本明細書において抗体を作製するときに使用される「免疫原」とは、本明細書で使用される場合、生物において免疫応答を生じる、または引き起こす能力を有する物質を表す。本発明の抗体の製造に用いられる免疫原は、活性化ハプテンとキャリアタンパク質を用いて、Antibodies:A Laboratory Manual,(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等に記載されている活性エステル法により作製することができる。またAntibodies:A Laboratory Manual,(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等に記載のその他の方法、例えば、カルボジイミド法やグルタルアルデヒド法やジアゾ法によっても作製できる。
本明細書において抗体を作製するときに使用される「キャリアタンパク質」には、抗原性を高めることが知られている各種のタンパク質をいずれも使用できる。その例としては、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、ウシチオグロブリン(BTG)、カギアナカサガイのヘモシアニン(KLH)などの高分子物質のほかに合成ポリペプチドなどを例示できる。
本明細書において抗体を作製するときに使用される「ハプテン」とは、部分的な、または不完全な抗原である。ハプテンは主として低分子量の物質であり、単独では抗体の産生を刺激する能力はないが、化学的方法や架橋剤によりキャリアタンパク質と結合させて人工抗原として免疫するとハプテンに対する抗体を得ることができる。本発明においてはグリコーゲンの一部で抗体を産生することは難しいと考えられることから通常は異種のタンパク質や合成ポリペプチドなどのキャリアタンパク質との複合体を調製して免疫原に用いた。
当業者はまた、公知の技術を用いて例えばCDRグラフティング法(例えば、欧州特許公開公報239400)により、ヒト化抗体を作製することができる。
本発明の抗体は、中和抗体としても用いられる。
なお、中和活性は、抗体依存性細胞傷害活性を指標に測定することができる。
抗体依存性細胞傷害活性は以下のようにして測定することができる。すなわち、クロミウム遊離試験による抗体依存性細胞傷害活性を解析することができる。例えば、ヒト末梢血単核球(Human peripheral mononuclear cell、PBMC)は、健常者の末梢血からFicoll‐paque PLUS(GE Healthcare社製)を用いて添付文書に従って分離する。分離したPBMCは、4×10個/mlになるように10%FCSを含むDMEMを加える。
例示的な実施形態として、適宜の細胞を含むDMEMに、51Cr(PerkinElner社製)を含む生理食塩水を加え、37℃で1時間反応させた。その後、DMEMで適宜洗浄し、規定化された量(たとえば、5×10個/ml)になるようにDMEMを加える。この細胞に本発明の抗体またはマウスIgG2a(SIGMA−ALDRICH社製)を加え、37℃で1時間反応させ、適量(たとえば、100μl/ウェル)になるように9ウェルv底プレートに加える。その後、適量、たとえば100μlのPBMCを加え、37℃で2時間反応させる。その後、plateを5分間、500×g、室温で遠心し、100μlの上清のγ線を測定器(たとえば、ARC‐7001(アロカ社製))にて測定する。抗体特異的な細胞傷害活性(cytotoxicity,%)は、次の計算式を用いる。
細胞傷害活性(cytotoxicity,%)=(実験値−自然遊離)/(最大遊離−自然遊離)×100。
(好ましい実施形態)
本発明の好ましい実施形態を、以下に掲げる。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子)
1つの局面において、本発明は、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。本発明は、ESGのみならず、天然グリコーゲンを含めグリコーゲン全般に対して一様に(すなわち、グリコーゲンの種類間の特異性の相違が低い)反応性を有し、グリコーゲン全般の検出等に使用することができる抗体である。したがって、本発明は、1つの実施形態において、天然グリコーゲンおよび酵素合成グリコーゲン(ESG)の両方に対して指向される。本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、グリコーゲンの種類(例えば、各種天然グリコーゲンおよび酵素合成グリコーゲンなど)の特異性の相違が低いが、他方で、それ以外の分子、例えば、同じ糖類に属するでんぷんに対しては特異性が低く、グリコーゲン全般に特異的であるといえることも見いだされた。従来、WO2008/081834に記載されるように、ムラサキイガイやスイートコーンなどの天然グリコーゲンは速やかに分解されるが、酵素合成グリコーゲン(ESGA、ESGB、ESG(7000kDa))は、分子量が分解前の5〜40%を維持するとされており、生物的な反応性は異なるとされていたところ、予想外に抗原抗体反応については一様な反応を有することが明らかとなった。理論に束縛されることを望まないが、本発明の抗体は、グリコーゲン全般に共通する抗体結合領域に特異的に反応するものであることがその理由であると考えられる。すなわち、理論に束縛されることを望まないが、天然グリコーゲン(NSG)においては、分岐結合(α−1,6−結合)の分布が一様でなく、分岐の密な部分、疎な部分がランダムに分布しているとされている。一方酵素合成グリコーゲン(ESG)においては、分岐結合が一様に分布しており、特に分子内部に集中しているとされている。また、NSGは、さまざまな分子(特に分岐結合の分布に関して)の混合物であると考えられるところ、本発明の抗体は、NSGおよびESGに共通する構造を認識するものであると考えられる。NSGでは特に分子表面付近の構造(分岐構造分布)が一様でなく、このために、従来の抗体は、サンプルにより反応性にバラツキがあったものと理解される。したがって、本発明の抗体と抗原結合部位(代表的にはCDR)が共通する他の抗体、その抗原結合断片、該抗原結合断片を含む結合分子もまた、本発明の範囲内に入ることが理解され、本発明において効果が実証された抗体と同様の結合特異性を有することが理解される。
1つの実施形態では、本発明抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、ESGと天然グリコーゲンとに対する特異性の相違は少ないことが特徴であり、例えば、特異性の相違は、5倍以内、4.5倍以内、4倍以内、3.5倍以内、3倍以内、2.5倍以内、2倍以内、1.9倍以内、1.8倍以内、1.7倍以内、1.6倍以内、1.5倍以内、1.4倍以内、1.3倍以内、1.25倍以内、1.2倍以内、1.1倍以内の範囲であり得る。ここで、本発明において、特異性は抗原(例えば、ESG、天然グリコーゲン等)濃度が0.0001mg/mlのときの、ELISAにおいてOD450(参照波長630nm)を比較することによって判断することができる。
1つの実施形態では、一様性について着目したとき、本願発明は、天然グリコーゲンについて、例えば、2種類以上、3種類以上、4種類以上、5種類以上、6種類以上測定したときに、特異性の相違は、それらすべてについて、5倍以内、4.5倍以内、4倍以内、3.5倍以内、3倍以内、2.5倍以内、2倍以内、1.9倍以内、1.8倍以内、1.7倍以内、1.6倍以内、1.5倍以内、1.4倍以内、1.3倍以内、1.25倍以内、1.2倍以内、1.1倍以内の範囲である。ここで、そのような天然グリコーゲンに含まれるものとしては、貝類(カキ、ムラサキイガイ、フナガイ等)由来のもののほか、哺乳動物(例えば、ウシ、ウサギ等)由来、植物由来のものなどを含めることができ、好ましくは、そのうち2種類以上、好ましくは3種類以上において上記特異性の相違の値をとりうる。
1つの実施形態では、本発明の抗体のESGに対する結合特異性は、ELISAにおいて、抗原濃度が0.0001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)が例えば、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、2.6以上、あるいはプラトーの値を示す。この結合特異性は、他のグリコーゲン(例えば、天然グリコーゲン)でも同様の高い値を示すが、他方、でんぷん、オリゴ−D−グルコースなどのオリゴ糖に対しては、低い値しか示さず、この点でも、本願発明は、グリコーゲン特異的でかつ、グリコーゲンの種類を問わず検出をすることができるツールを提供することができるといえその有用性は高い。理論に束縛されることは望まないが、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片が結合する抗体結合部分は、ESGと天然グリコーゲンとに共通するものであり得、またでんぷんにもオリゴグルコースにも見出されないかまたは極めて少量含まれる亜種に含まれるものでありうる。
別の局面では、本発明は、ESGとフロイント完全アジュバントをエマルジョンにしてマウスを免疫化して得られる脾臓細胞と、ミエローマ細胞とを融合して融合細胞を得ること、および該融合細胞をヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジンを含む培地で培養して得られたハイブリドーマを培養して抗体を生成させることによって得られる、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。このような方法で入手することができる限り、本発明は、特定の方法によって得られる抗体に限定されるものではなく、結合特性の点で等価なものであれば、合成によって得られたものであっても、この局面の一部を構成することが理解される。ここで抗体を製造する方法は、本明細書において他の場所において記載したものまたは当該分野で公知の他の方法を当業者は適宜利用することができることが理解される。また、いったん抗体が作製されると、その抗原結合性断片は、ESGまたは天然グリコーゲン等を用いて同定することができ、したがって、それを含む結合分子も製造することができることが理解される。ここで抗原結合性断片または該抗原結合性断片を製造する方法もまた、本明細書において他の場所において記載したものまたは当該分野で公知の他の方法を当業者は適宜利用することができることが理解される。
1つの実施形態では、本発明の抗体を生産するハイブリドーマは、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に平成23年2月24日に受領番号NITE AP−1069として寄託されたものである。
1つの特定の実施形態では、本発明の抗体については、実施例に例示した方法で作製した新規抗ESGモノクローナル抗体をESG1A9mAb抗体と命名し、これを産生するハイブリドーマ(ESG1A9mAb)を平成23年2月24日にNITEに寄託した(受領番号:NITE AP−1069)。このモノクローナル抗体をELISA法でその性質を調べた。その結果、図2に示したように、ESG1A9mAb抗体は非特許文献1に記載される従来公知の抗体(IV58B6)では検出するのが困難であったESGおよび天然由来のグリコーゲンについても一様に認識することが明らかとなった。また、この抗体を使った競争ELISA法によりグリコーゲンを定量するシステムを開発した。このシステムで検量線を作成したところ、検量線の直線性がとても高く、なおかつ非常に広範囲の濃度域での検出が可能であることがわかった(図3)。この定量システムを使ってCaco2細胞によるグリコーゲンの消化性を調べたところ、図4のように高感度で検出することができ、細胞系および動物実験でのグリコーゲン定量にも利用可能であることが理解される。
別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体と同一の重鎖および軽鎖の相補性決定部位(CDR)またはその保存的改変アミノ酸配列を含む、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。重鎖および軽鎖の相補性決定部位(CDR)の決定は、抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を決定し、Kabatらの文献に記載される情報を元に対比・アラインメント等によりフレームワークとCDRとを判定することができる。また、保存的改変アミノ酸配列等の改変体もまた、本明細書に記載されるかあるいは別当該分野において公知の技法を用いて変異を導入し活性(特に結合活性)を測定することによって、作製することができる。この場合もまた、抗原結合性断片および該抗原結合性断片を含む結合分子は、本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて製造することができ、その際の結合活性の判定もまた本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて実施することができる。
別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一またはその保存的改変アミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。抗体、断片および結合分子全体についても、保存的改変アミノ酸配列等の改変体もまた、本明細書に記載されるかあるいは別当該分野において公知の技法を用いて変異を導入し活性(特に結合活性)を測定することによって、作製することができる。この場合もまた、抗原結合性断片および該抗原結合性断片を含む結合分子は、本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて製造することができ、その際の結合活性の判定もまた本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて実施することができる。
別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一アミノ酸配列からなる抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。同一アミノ酸配列からなる抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、いったん対象となる抗体のアミノ酸配列が決定されれば、当該分野において公知の任意の手法を用いて製造することができる。この場合もまた、抗原結合性断片および該抗原結合性断片を含む結合分子は、本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて製造することができ、その際の結合活性の判定もまた本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて実施することができる。
別の局面において、本発明は、受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を提供する。この場合もまた、抗原結合性断片および該抗原結合性断片を含む結合分子は、本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて製造することができ、その際の結合活性の判定もまた本明細書に記載の任意の手法または他の公知の手法を用いて実施することができる。
フレームワークは、任意の種類のフレームワーク領域に関連し得るが、好ましくはヒト由来のものである。適当なフレームワーク領域は、Kabat E.A.らの文献を参照すれば選択できる。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワークであり、例えば、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるものにおいて示される抗ESG抗体のフレームワークである。それは、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるものに示す配列から、上記文献を参照して決定することができ、FR1、FR2、FR3およびFR4領域の配列からなる。同様の方法で、抗ESG軽鎖フレームワークについては、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるものに示す配列から、上記文献を参照して決定することができ、FR1’、FR2’、FR3’およびFR4’領域の配列からなる。
好ましい実施形態では、本発明はまた、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体のフレームワークと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第1のドメイン、または、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体のフレームワークと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第2のドメイン、のいずれかを含む少なくとも1つの抗原結合部位を含むグリコーゲン結合分子を提供する。
すべてのヒトに天然に見られるタンパク質に対し生ずるモノクローナル抗体は、典型的に、非ヒト系、例えばマウスで生産することができる。この直接の結果として、ヒトに投与されたとき、ハイブリドーマにより産生されるような異種個体抗体は、異種個体免疫グロブリンの定常部分により優勢的に仲介される望ましくない免疫応答を顕在化する。これは、長期間にわたり投与できないような抗体の使用を明らかに制限する。そのため、単一鎖、単一ドメイン、キメラ、CDR移植、または特に、ヒトに投与したときに実質的なアレルギー応答を示さないと予測されるヒトの抗体の使用が特に好ましい。
本発明のより好ましい抗ESG抗体、その抗原結合性断片、または該抗原結合性断片を含む結合分子は、少なくともa)(i)配列中に超可変部位、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1、CDR2、およびCDR3はそれぞれ、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)またはその断片および(ii)ヒト重鎖の定常部分またはその断片、そしてb)(i)配列中に超可変部位、CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、この場合、CDR1’、CDR2’、およびCDR3’は受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変ドメインまたはその断片および(ii)ヒト軽鎖の定常部分またはその断片、ならびにそれらの直接の等価物を含む抗体から選択される。
あるいは、本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、a)配列中に超可変領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、当該超可変領域は、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるアミノ酸配列を有する、第1のドメイン、b)配列中に超可変部位、CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、この場合、当該超可変領域は、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれるアミノ酸配列を有する、第2のドメイン、c)第1のドメインのN終末端および第2のドメインのC終末端に、または第1のドメインのC末端および第2のドメインのN末端に、いずれかに結合するペプチドリンカーおよびそれらの直接の等価物を含む抗原結合部位を含む単一鎖結合分子から選択され得る。
周知のように、1アミノ酸もしくは複数のアミノ酸の欠失、付加、挿入または置換のような改変によって、実質的に同一性を有するもとのタンパク質に対応するタンパク質を生産することができる。
本明細書において上記「直接の等価物」は、抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子であって、(i)超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3は、全体として、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる超可変領域に対し、少なくとも80%以上の相同性、好ましくは少なくとも90%以上の相同性、より好ましくは少なくとも95%以上の相同性がある、任意の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子であって、(i)超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’は、全体として、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる超可変領域に対し、少なくとも80%以上の相同性、好ましくは少なくとも90%以上の相同性、より好ましくは少なくとも95%以上の相同性がある分子のいずれかを意味する。本明細書では、複数のアミノ酸配列には、当該配列を最適に並べると同様な位置で少なくとも80%以上(または他の数値の)同一アミノ酸残基を有する場合、互いに対し少なくとも80%以上(または他の数値の)相同性があり、この場合、アミノ酸配列中のギャップまたは挿入が非同一残基として数えられる。
ヒト重鎖の定常部分は、γ、γ、γ、γ、μ、α、α、δまたはεタイプ、好ましくはγタイプ、より好ましくはγタイプであり得、一方、ヒト軽鎖の定常部分は、κまたはλタイプ(λ、λおよびλサブタイプを含む)であり得るが、好ましくはκタイプである。すべてこれら定常部分のアミノ酸配列は、Kabatらより提供される。
従って、本発明の1つの実施形態では、(i)本発明の単一ドメイン該抗原結合性断片を含む結合分子、本発明の単鎖該抗原結合性断片を含む結合分子、本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子の重鎖もしくは軽鎖またはその断片もしくはCDRをコードするDNA分子(ii)組換え手段による本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子の産生のための本発明のDNA分子の使用が提供される。
本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、以下の配列を参考にして、その配列の情報を採用することができる。たとえば、好ましくは、本発明の抗体において使用される好ましいフレームワーク配列は、重鎖可変領域(V)では、FRH1、FRH2、FRH3およびFHR4に対応する配列であり、軽鎖可変領域(V)では、FRL1、FRL2、FRL3およびFRL4に対応する配列である。CDRの配列は、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる配列であり、本明細書において別の箇所においても詳述されている。Vとしては、FRH1−CDRH1−FRH2−CDRH2−FRH3−CDRH3−FRH4から構成されることができ、Vは、FRL1−CDRL1−FRL2−CDRL2−FRL3−CDRL3−FRL4から構成されることができる。
他の局面では、本発明は、本発明の任意の抗体、その抗原結合性断片、該抗原結合性断片を含む結合分子またはCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。なお、結合分子が天然アミノ酸以外の物質を含む場合は、その部分はこの核酸分子がコードするヌクレオチド配列から除外されることが理解される。特定のヌクレオチド配列を含む核酸分子の製造および使用については、当該分野で公知の任意の手法を用いることができ、これらのいくつかは本明細書において例示されていることが理解されるべきである。
本発明は、以下に記載のような抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子の産生のための第1および第2のDNA構成物を含む。
第1のDNA構成物は、重鎖またはその断片をコードし、a)フレームワークおよび超可変領域を含み、この場合、超可変領域は、CDR1、CDR2およびCDR3の配列であり、そのアミノ酸配列が受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる配列である、可変ドメインをコードするVH領域、;このVH領域は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そしてb)重鎖の定常領域の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常領域またはその断片の最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる重鎖定常領域またはその断片、その後に続くストップコドンを含む。
たとえば、この第1のDNA構成物は、上述のVH領域と、ヒト重鎖の定常領域、より好ましくはヒトγ1鎖の定常領域をコードする。この定常領域は、ゲノム由来のDNA断片(イントロンを含む)またはcDNA断片(イントロンを伴わない)であり得る。
第2のDNA構成物は、軽鎖またはその断片をコードし、a)フレームワークおよび超可変領域を含み、この場合、超可変領域は、CDR1’、CDR2’、CDR3’であり、そのアミノ酸配列が受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる配列である、可変ドメインをコードするVL領域、;このVL領域は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そしてb)軽鎖の定常領域の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常領域またはその断片の最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる軽鎖定常領域またはその断片、その後に続くストップコドンを含む。好ましくは、定常領域は、ヒト軽鎖の定常領域、より好ましくは、ヒトκ鎖の定常領域をコードする。
本発明はまた、CDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR2’またはCDR3’のうちの1つ以上の残基が、例えば、変異、例えば対応するDNA配列の部位特異的変異誘発により、受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる配列にある残基から誘導された抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む。本発明は、その変化した抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子をコードするDNA配列を含む。特に、本発明は、CDR1’またはCDR2’の1つ以上の残基が受領番号NITE AP−1069によって特定されるハイブリドーマが産生する抗体に含まれる配列にある残基から変化した抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む。
第1および第2のDNA構成物では、第1および第2の部分は、イントロンで分離され得、エンハンサーは、通常、第1および第2の部分の間のイントロン中に位置し得る。転写されるが翻訳されないエンハンサーの存在は、効果的な転写を補助し得る。特定の実施態様では、第1および第2のDNA構成物は、有利にはヒト起源の重鎖遺伝子のエンハンサーを含む。
本発明の抗体は、キメラ抗体として作製することができ、そのようなキメラ抗体の発現ベクターは、H鎖V領域をコードするDNA断片がクローニングされれば、これらのマウスV領域をコードするDNAを、ヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結して発現させることによってキメラ抗ヒト抗体が得られる。キメラ抗体を作製するための基本的な方法は、クローン化されたcDNAに存在するリーダー配列およびV領域配列を、哺乳類細胞の発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体C領域をコードする配列に連結することを含んでなる。あるいは、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列およびV領域配列をヒト抗体C領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結することを包含する。
ヒト抗体C領域の断片は、任意のヒト抗体のH鎖C領域およびヒト抗体のL鎖C領域のものとすることができ、例えばヒトH鎖のものについてはCγ1、Cγ2、Cγ3またはCγ4、およびL鎖のものについてはCλまたはCκを各々挙げることができる。
各DNA構成物は、適当な制御配列の制御下、特に適当なプロモーターの制御下に置かれる。任意の種類のプロモーターが使用され得るが、ただし、それは、DNA構成物が発現のため移される宿主生物に適用されるものである。キメラ抗体の製造のためには、エンハンサー/プロモーター系のような発現制御領域のもとでマウスH鎖V領域およびヒトH鎖C領域をコードするDNAを含む発現ベクター、ならびにエンハンサー/プロモーター系のような発現制御領域による制御のもとでマウスL鎖V領域およびヒトL鎖C領域をコードするDNAを含む単一の発現ベクター(例えば、WO94/11523参照)を作製する。次に、この発現ベクターにより哺乳類細胞のような宿主細胞を同時形質転換し、そして形質転換された細胞をインビトロまたはインビボで培養してキメラ抗体を製造する(例えば、WO91/16928参照)。
望ましい抗体が細胞培養中またはトランスジェニック動物で産生され得る。適当なトランスジェニック動物は、適当な制御配列の下に置かれる第1および第2のDNA構成物を卵にマイクロインジェクションし、調製された卵を適当な偽妊娠の雌に移し、そして望ましい抗体を発現する子孫を選択することを含む標準的方法に従い得られ得る。
抗体鎖が細胞培養中で産生されるとき、当該DNA構成物は、最初に、単一の発現ベクター中にまたは2つ別々であるが適合性の発現ベクター中に挿入されなければならないが、後者の場合のほうが好ましい。
従って、本発明はまた、上記のうちの少なくとも1つのDNA構成物を含む原核細胞系または真核細胞系で複製できる発現ベクターを提供する。
次いで、DNA構成物を含む各発現ベクターは、適当な宿主生物に移される。DNA構成物が2つの発現ベクターに別々に挿入されるとき、それらは、別々に、すなわち、細胞あたりの1つの型のベクターで移入され得るか、共に移入され得る(co-transfer)。適当な宿主生物は、微生物、酵母、または哺乳類細胞系であり、後者が好ましい。より好ましくは、哺乳類細胞系は、リンパ球由来、例えば、骨髄腫、ハイブリドーマまたは通常の不死化B細胞であり、それらは、通常、任意の内因的抗体重鎖または軽鎖を発現しない。
したがって、本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、(i)上記のような発現ベクターで形質転換される生物を培養すること、および(ii)当該培養物から抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を回収すること、によって作製することができる。
DNAの精製および塩基配列の決定のために、以下の方法を用いることができる。PCR産物について、公知手法に従ってアガロースゲル電気泳動を行い、目的とするDNA断片を切り出した後、DNAの回収および精製を行い、ベクターDNAに連結する。DNAの精製は、フェノールおよびクロロホルムで抽出するか(J.Sambrook,et al.「Molecular Cloning」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、市販のキット(例えばGENECLEAN II;BI0101)を用いて行われる。DNA断片を保持するためのベクターDNAには公知のもの(例えばpUC19、Bluescript等)を用いることができる。
このようなDNAとベクターDNAとを、公知のライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結させ、組換えベクターを得る。次に、得られる組換えベクターを大腸菌JM109コンピテントセル(ニッポンジーン)等に導入した後アンピシリン耐性コロニーを選抜し、公知方法に基づいてベクターDNAを調製する(J.Sambrook,et al.「Molecular Cloning」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)。目的とするDNAの塩基配列は、上記ベクターDNAを制限酵素で消化した後、公知方法(例えばジデオキシ法)により決定する(J.Sambrook,et al.「Molecular Cloning」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)。本発明では、自動塩基配列決定装置(たとえば、DNA Sequencer 373A,Applied Biosystems)を用いることができる。
本発明は、ヒト化抗体としても提供されうる。そのようなヒト化抗体の作製のためにまず、ヒト抗体との相同性検索を行う。
すなわち、マウスモノクローナル抗体のCDRがヒト抗体に移植されているヒト化抗体を作製するためには、マウスモノクローナル抗体のFRとヒト抗体のFRとの間に高い相同性が存在することが望ましい。従って、マウス抗ヒトTFモノクローナル抗体のH鎖およびL鎖のV領域を、データベースを用いて構造が解明されているすべての既知抗体のV領域と比較する。また、同時にKabatらにより、抗体のFRの長さ、アミノ酸の相同性等によって分類されたヒト抗体のサブグループ(HSG:Human subgroup)(Kabat,E.A.ら、US Dep.Health and Human Services,US Government Printing Offices,1991)との比較を行う。ヒトH鎖V領域の場合は、KabatらによるHSG分類により、HSGI〜IIIに分類することができる。一方、ヒトL鎖κ鎖V領域は、KabatらによるHSG分類により、HSGI〜IVに分類することができ、このような情報を参酌することができる。
1つの実施形態において、本発明は、中和抗体でありうる。中和抗体かどうかの判断は、本明細書において例示的に記載されるような公知の手法を用いておこなうことができる。
(検出または定量のための組成物)
他の局面において、本発明は、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む、グリコーゲンを検出または定量するための組成物を提供する。本発明の組成物において用いられる本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、本明細書に記載される任意の本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子でありうることが理解される。本発明の組成物において使用される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、目的を達成することができる限りにおいて、本明細書の(抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子)、(検出または定量方法)および(診断)等の項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの実施形態では、本発明の組成物において使用される本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子では、標識されたものでありうる。標識は、本明細書中他の箇所において記載されているもの、または他の公知のものであってよく、例えば、放射性標識、蛍光標識、化学標識、化学発光標識等でありうるがこれに限定されない。
別の実施形態では、本発明が目的とする検出または定量は、細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清中で行われる。このような細胞としては、例えば、グリコーゲンを含むと予想されるCaco−2細胞などの培養細胞系のほか、生体から単離した細胞、初代培養細胞等を用いることができる。細胞を検出または定量のためのサンプルとして使用する場合は、細胞をそのまま使用してもよいが、検出または定量のため適宜処理を行ってから使用してもよく、細胞抽出物(液体または固体あるいはその混合物等でありうる)としたものをサンプルとして使用してもよい。細胞抽出物は検出または定量を目的とする細胞から当該分野で公知の任意の手法で抽出したものであれば、目的とする検出または定量が行える限りどのようなものでもよい。細胞の培養上清もまた、検出または定量を目的とする細胞から当該分野で公知の任意の手法で培養したものの上清であれば、目的とする検出または定量が行える限りどのようなものでもよい。細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清中でグリコーゲンを検出または定量することが抗体はこれまで本発明者の知るところではなく、インビボでの検出または定量、ひいては診断等に使用することができる点は注目に値するというべきである。
あるいは別の実施形態では、本発明が目的とする検出または定量は、生物(動物、植物等)の組織または組織抽出物中で行われる。そのような動物組織としては、肝組織、筋肉組織、骨形成部位、軟骨、皮膚、脳、眼球、毛髪、毛包、腎臓、胃、肺、心臓、すい臓、膀胱、精巣、卵巣、生殖器、子宮、血管、血液などを挙げることができる。また、組織を検出または定量のためのサンプルとして使用する場合は、組織をそのまま使用してもよいが、検出または定量のため適宜処理を行ってから使用してもよく、組織抽出物(液体または固体あるいはその混合物等でありうる)としたものをサンプルとして使用してもよい。組織抽出物は検出または定量を目的とする組織(臓器を含む)から当該分野で公知の任意の手法で抽出したものであれば、目的とする検出または定量が行える限りどのようなものでもよい。
(検出または定量方法)
別の局面では、本発明は、サンプル中のグリコーゲンを検出または定量する方法を提供する。ここでこの検出または定量の方法は、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子と該サンプルとを、該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片とグリコーゲンとが結合する条件下で接触させる工程;および結合した該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を検出または定量する工程、を包含する。本発明の方法において使用される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子およびサンプルは、目的を達成することができる限りにおいて、本明細書の(抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子)および(診断)等の項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解され、使用されうる技法は、本明細書の(検出または定量のための組成物)および(診断)等の項において記載される任意の実施形態を採用しうることが理解される。また、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片とグリコーゲンとが結合する条件は、使用する抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片の種類等と、対象となるサンプル(例えば、生物(例えば、ヒト等の動物)の細胞、細胞抽出物、細胞の培養上清、組織、組織抽出物、血漿、血清、血液、尿)の種類等とに応じて、本明細書の記載および当該分野の技術常識を参酌して当業者が適宜適切な条件を設定することができることが理解される。
1つの実施形態では、本発明の抗体およびその断片には、安定性や抗体価を向上させるために、修飾剤が結合された修飾抗体でありうる。この修飾剤としては、例えば、糖鎖、ポリエチレングリコール(PEG)等の高分子などが挙げられる。
1つの実施形態ではまた、抗体、抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、標識されうる。この場合、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ(たとえば、ELISA)、蛍光イムノアッセイなどの標識イムノアッセイで使用されうる。標識イムノアッセイは、バイオアッセイと比較して、一度に数多くの被検サンプルを分析できるうえに、分析に要する時間と労力が少なくてすみ、しかも、分析が高精度であるという特徴がある。一般に診断用に用いる抗体は、マウス、ウサギ、ヤギなどのヒト以外の動物を免疫して作製される。
1つの実施形態では、本発明の検出または定量のための方法に用いる抗体としては、安定的に供給しうるモノクローナル抗体が望ましいがそれに限定されず、任意の分子を用いることができる。以下、モノクローナル抗体を用いて例示する。抗体(第1のモノクローナル抗体)を固相に固定し、抗原を含むサンプルと共にインキュベートする工程、さらに標識した第2のモノクローナル抗体を加えて、得られた混合物をインキュベートする工程、および混合物中の生成した標識された抗原抗体複合体を検出する工程を包含するサンドイッチ免疫学的測定法が例示される。また、本発明の免疫学的測定法では、サンプルと、固相化した第1のモノクローナル抗体および標識した第2のモノクローナル抗体とを同時にインキュベートしてもよい。サンドイッチ免疫学的測定法としては、その検出方法により、サンドイッチ放射免疫測定法(RIA法)、サンドイッチ酵素免疫測定法(EIA法)、サンドイッチ蛍光免疫測定法(FIA法)、サンドイッチ発光免疫測定法(CLIA法)、サンドイッチ発光酵素免疫測定法(CLEIA法)、サンドイッチ法に基づく免疫クロマトグラフ法などの全てのサンドイッチ免疫測定法が応用しうる。定量のためには、RIA法、EIA法が好ましい。
本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、マイクロタイタープレート、ビーズ、チューブ、メンブレン、濾紙、プラスチック性カップなどの担体に固相することができ、特に、ポリエチレンビーズが好適に用いられる。測定するサンプルは、動物(例えば、ヒト)の細胞、細胞抽出物、細胞の培養上清、組織、組織抽出物、血漿、血清、血液、尿など動物(例えば、ヒト)のグリコーゲンを含むサンプルであり得る。本発明の抗ESG抗体、その抗原結合性断片または抗原結合性断片を含む結合分子は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、または目視判定可能な官位測定法などでは金コロイドや着色ラテックスなどにより標識され得る。標識に用いられる放射性同位元素としては、14C、3H、32P、125I、131Iなどであり、特に、125Iが好適に用いられる。これらは、クロラミンT法、ペルオキシダーゼ法、Iodogen法、ボルトハンター法などにより、モノクローナル抗体に結合され得る。標識に用い得る酵素としては、例えば、βガラクトシダーゼ(βGAL)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などを含む。これらは、過ヨウ素酸架橋法(仲根法)、石川らの方法(医学書院;酵素免疫測定法,第3版,75−127,(1987).)などによりモノクローナル抗体に結合され得る。標識に用いる蛍光物質としては、フルオレセイン、フルオレサミン、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどがある。標識に用いる発光物質としては、ルシフェリン、ルミノール誘導体、アクリジニウムエステルなどがある。簡易測定法などでは、金コロイドや着色ラテックスを用いてもよい。
本発明の抗体、抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、グリコーゲンに関連する状態、障害または疾患の診断のためまたは患者における疾患の進行をモニターするためのマーカーとして使用され得る。1つの実施態様において、患者の疾患は、患者から得られる生物学的サンプルを、グリコーゲンレベルについて、あらかじめ決定されたカットオフ値と比較して評価することにより診断され得る。本明細書中で使用される適切な生物学的サンプルとしては、細胞、細胞抽出物、細胞の培養上清、動物の組織、組織抽出物、血液、血清、尿および/または疾患組織分泌物が挙げられる。
診断の一態様として、サンプル中のマーカーを検出するための結合パートナーを使用することに関して、当業者に公知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。ある実施態様において、アッセイは、サンプルのアリコート由来の目的成分に結合し、そしてそれを除去するための固相支持体上に固定された結合パートナーの使用を含む。次いで、結合した目的成分は、レポーター基を含む第2の結合パートナーを使用して検出され得る。適切な第2の結合パートナーは、結合パートナー/目的成分複合体に結合する抗体を含む。あるいは、競合アッセイが利用され得、ここでは、目的成分は、レポーター基で標識され、そして結合パートナーとサンプルとのインキュベーション後に固定された結合パートナーに結合し得る。サンプルの成分が標識された目的成分の結合パートナーへの結合を阻害する程度は、サンプルと固定された結合パートナーとの反応性の指標である。
固相支持体は、抗原が固定され得る、当業者に公知の任意の物質であり得る。例えば、固相支持体は、マイクロタイタープレートの試験ウェルまたはニトロセルロースもしくは他の適切な膜であり得る。あるいは、支持体は、ビーズまたはディスク(例えば、ガラス、ファイバーガラス、ラテックス、またはポリスチレンもしくはポリ塩化ビニルのようなプラスチック物質)であり得る。支持体はまた、例えば米国特許第5,359,681号に開示されるような磁性粒子または光ファイバーセンサーであり得る。結合因子は、当業者に公知の種々の技術(これは、本発明で明示した特許および科学文献あるいは他の文献において十分に記載されている)を使用して、固相支持体上に固定され得る。本発明の状況において、用語「固定」は、非共有結合的な会合(例えば、吸着)および共有結合的な付着(これは抗原と支持体上の官能基との間の直接の結合であり得るか、または架橋剤を介する結合であり得る)の両方をいう。吸着によるマイクロタイタープレート中のウェルへのまたは膜への固定を用いてもよい。このような場合、吸着は、結合因子を、適切な緩衝液中で固相支持体と適切な時間量の間で接触させることにより達成され得る。接触時間は温度とともに変化するが、代表的には約1時間〜約1日の間である。一般に、プラスチック製のマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)のウェルと、約10ng〜約10μg、そして好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子との接触は、適切な量の結合因子を固定するのに十分である。
結合因子の固相支持体への共有結合的な付着は、一般に、支持体および結合因子上の官能基(例えば、ヒドロキシルまたはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬と支持体を最初に反応させることにより達成され得る。例えば、結合因子は、ベンゾキノンを使用するかまたは支持体上のアルデヒド基と結合パートナー上のアミンおよび活性水素との縮合により、適切なポリマーコーティングを有する支持体に共有結合され得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook,1991 A12−A13を参照のこと)。
本発明の特定の実施態様において、アッセイは2抗体サンドイッチアッセイである。このアッセイは、固相支持体(通常、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定された抗体とサンプルとを最初に接触させ、それによりサンプル中の抗原を固定された抗体に結合させることにより行われ得る。次いで、非結合のサンプルを固定された抗原−抗体複合体から除去し、そして当該抗原上の異なる部位に結合し得る第2の抗体(レポーター基を含む)が添加される。次いで、固相支持体に結合して留まる第2の抗体の量が、特定のレポーター基に適切な方法を使用して決定される。
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定されると、支持体上の残存する当該抗原の結合部位は、代表的にはブロックされる。当業者に公知の任意の適切なブロッキング試薬は、例えばウシ血清アルブミンまたはTween 20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)である。次いで、固定された抗体はサンプルとともにインキュベートされ、そして抗原は抗体に結合され得る。サンプルは、インキュベーション前に、例えばリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)のような適切な希釈剤で希釈され得る。一般に、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、グリコーゲンを測定したい個体から得られたサンプル中のグリコーゲンの存在を検出するのに十分な時間の期間である。好ましくは、接触時間は、抗原と非抗原との間の平衡において達成されるレベルの少なくとも約95%である結合のレベルを達成するのに十分である。当業者は、平衡に達するのに必要な時間が、ある時間に渡って生じる結合のレベルをアッセイすることにより容易に決定され得ることを認識する。室温において、約30分のインキュベーション時間は、一般に十分である。
次いで、非結合サンプルは、固相支持体を適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween 20TMを含むPBS)で洗浄することにより除去され得る。次いで、レポーター基を含む第2の抗体が固相支持体に添加され得る。例示的なレポーター基は、酵素、(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、基質、補因子、インヒビター、色素、放射性核種、発光基、蛍光基およびビチオンを含む。抗体のレポーター基への結合は、当業者に公知の標準的な方法を使用して達成され得る。
次いで、第2の抗体は、固定された抗体−抗原複合体とともに、グリコーゲンを検出するのに十分な時間量の間、インキュベートされる。適切な時間量は一般に、ある時間に渡って生じる結合のレベルをアッセイすることにより決定され得る。次いで、非結合の第2の抗体は除去され、そして結合した第2の抗体がレポーター基を使用することにより検出される。レポーター基を検出するために用いられる方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基については、シンチレーションカウンティング法またはオートラジオグラフ法が一般に適切である。分光学的な方法は、色素、発光基、および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(通常は、放射性基もしくは蛍光基または酵素)と結合したアビジンを使用して検出され得る。酵素のレポーター基は一般に、基質の添加(一般に、特定の時間の間)、それに続く反応産物の分光学的分析または他の分析により検出され得る。
疾患の存在または非存在を決定するために、固相支持体に結合して留まるレポーター基から検出されるシグナルは、一般に、あらかじめ決定されたカットオフ値に対応するシグナルと比較される。1つの実施態様において、カットオフ値は、固定された抗体が疾患を有さない患者からのサンプルとともにインキュベートされた場合に得られるシグナルの平均値である。一般に、あらかじめ決定されたカットオフ値を上回る3つの標準偏差であるシグナルを生じるサンプルは、疾患について陽性であると考えられる。別の実施態様において、カットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106−7頁の方法によるReceiver Operator Curveを使用して決定される。簡潔には、この実施態様において、カットオフ値は、診断試験結果のそれぞれの可能なカットオフ値に対応する真の陽性の割合(すなわち、感受性)および偽陽性の割合(100%−特異性)の組のプロットから決定され得る。上部左隅に最も近いプロット上のカットオフ値(すなわち、最大領域を含む値)は最も正確なカットオフ値であり、そして本発明の方法により決定されるカットオフ値より高いシグナルを生じるサンプルは陽性であると考えられ得る。あるいは、カットオフ値は、プロットに沿って、偽陽性の割合を最小にするために左にシフトし得るか、または偽陰性の割合を最小にするために右にシフトし得る。一般に、本方法により決定されるカットオフ値より高いシグナルを生じるサンプルは、その疾患について陽性であるとされる。
関連する実施態様において、アッセイは、フロースルーまたはストリップ試験形式において実施され、ここで抗体は、膜上(例えば、ニトロセルロース)に固定化されている。フロースルー試験において、サンプルが膜を通過する際にサンプル内の当該抗原は固定化抗体に結合する。次いで、第2の抗体を含む液体が膜を通過する際に、第2の標識抗体は、抗体−抗原複合体に結合する。次いで、結合された第2の抗体の検出は、上記のように実施され得る。ストリップ試験形式において、抗体が結合している膜の一端はサンプルを含む溶液に浸される。第2の抗体を含む領域を通る膜に沿ってそして固定化抗体の領域にまでサンプルが移動する。固定化抗体の領域における第2の抗体の濃度は、目的物の存在を示す。代表的には、この部位における第2の抗体の濃度は、パターン(例えば、線)を形成し、これは、視覚的に読まれ得る。このようなパターンの非存在は、陰性の結果を示す。一般に、膜上の固定化抗体の量は、上記の形式において2抗体サンドイッチアッセイにおける陽性シグナルを生成するのに十分なレベルの当該抗原を生物学的サンプルが含む場合、視覚的に認識し得るパターンを生成するように選択される。好ましくは、膜上の固定化抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngである。このような試験は代表的には、非常に少量の生物学的サンプルと共に実施され得る。
例示的な別の実施態様によれば、サンドイッチRIA法が行われ得る。サンドイッチRIA法は、具体的には、標準溶液またはサンプルに、第1のモノクローナル抗体を固相したビーズを加えて混和し、4℃から45℃、好ましくは25℃から37℃で、1から4時間、好ましくは2時間インキュベートする(第1反応)。洗浄後、例えば125Iで標識した第2のモノクローナル抗体を含む溶液を加え、4℃〜45℃、好ましくは25℃から37℃で、1から4時間好ましくは2時間インキュベートし、ビーズ上に抗体/抗体複合体を形成する(第2反応)。洗浄後、ビーズに結合した抗原抗体複合体の放射活性をガンマーカウンターなどで検出することによりの量を測定し得る。他の好ましい実施態様によれば、サンドイッチEIA法が行われ得る。サンドイッチEIA法は、具体的には、標準溶液またはサンプルに、第1のモノクローナル抗体を固定したビーズを加えて混和し、4℃から45℃、好ましくは25℃から37℃で、1から4時間、好ましくは2時間インキュベートする(第1反応)。洗浄後、酵素標識、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した第2のモノクローナル抗体を含む溶液を加え、4℃〜45℃、好ましくは25℃〜37℃で、1〜4時間好ましくは2時間インキュベートし、ビーズ上に抗体−抗体からなる免疫複合体を形成する(第2反応)。ビーズ上の酵素活性を、酵素に特異的な基質、例えば、標識酵素がHRPであればテトラメチルベンジジン(TMB)を介して比色法により測定し、それによりビーズ上の捕獲された量を測定し得る。比色定量は、通常の分光光度計などで行われ得る。
抗原結合能の測定は、次のようにして測定することができる。抗原結合測定のためのCell ELISAプレートでは、次のようにして調製する。細胞を、細胞培養用96穴プレートの60穴に1×10個の細胞数で播き込む。これをCOインキュベーターで1日培養し(例えば、10%のウシ胎児血清(GIBCO)を含むRPMI1640培地)、細胞を接着させる。培養液を捨て、300μlのPBSで各穴を2回洗浄する。4%のパラホルムアルデヒドを含むPBS(以下、PFA/PBSと称す)を各穴に100μl加え、氷上で10分間静置し、細胞を固相化する。PFA/PBSを捨て、300μlのPBSで各穴を2回洗浄後、250μlのブロッキング溶液でブロッキングする。ESG抗体100μlを各穴に加え、室温にて2時間インキュベートしブロッキング溶液で洗浄後、ブロッキング溶液で1000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ結合第2抗体100μlを加える。室温にて1時間インキュベートしブロッキング溶液で洗浄ののち、基質溶液を加え、次に450nm(参照波長630nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(Bio−Rad)で測定する。
もちろん、本発明の抗体または抗体との使用に適切な多数の他のアッセイプロトコルが存在する。上記は、単なる例示であることが意図される。
(診断)
1つの局面において、本発明は、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を用いる診断法、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む診断剤、あるいは抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む診断キットを提供する。本発明の診断法、診断剤または診断キットにおいて含まれる抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、上述した本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子の任意の実施形態でありうることが理解される。使用されうる技法は、本明細書の(検出または定量のための組成物)、(検出または定量方法)の項において記載される任意の実施形態を採用しうることが理解される。
本発明の診断は、例えば、血液中に漏出したグリコーゲンの量、疾患部位におけるグリコーゲンの量や存在状態、検査対象部におけるグリコーゲンの量や局在箇所等のグリコーゲンに関する状態、障害、疾患の有無、レベル等を対象とすることができる。
(その他)
本発明はまた、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子、組成物を製造するシステム、装置、キットにも関する。そのようなシステム、装置、キットの構成要件は、当該分野において公知のものを利用することができ、当業者は適宜設計することができることが理解される。
本発明はまた、本発明の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子、組成物を使用するシステム、装置、キットにも関する。そのようなシステム、装置、キットの構成要件は、当該分野において公知のものを利用することができ、当業者は適宜設計することができることが理解される。
(本明細書において用いられる一般的技術)
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、細胞科学、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。抗体関係の技術では、Koehler&Milsteinの方法(Nature,256,495−497(1975))、Antibodies:A Laboratory Manual,(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等が参照される。分子生物学分野の技術が必要な場合、J.Sambrook,et al.「Molecular Cloning」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001が使用されうる。本発明で使用される培養方法は、例えば、動物培養細胞マニュアル、瀬野ら編著、共立出版、1993年などに記載され支持されており、本明細書においてこのすべての記載を援用する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記実施形態にも下記実施例にも限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。以下に示した実施例において使用した試薬、樹脂等は、特に言及しない限り和光純薬、Sigma−Aldrich、フナコシ、キシダ化学、コスモバイオ、ナカライテクス等から得ることができる。
(調製実施例)
実施例で使用した酵素合成グリコーゲンは、以下のように製造した。
(7000kDaの酵素合成グリコーゲン(ESG)の製造)
デキストリン(MAX1000、松谷化学工業製)を8.5重量%になるように、100mLの0.01重量%の塩化カルシウム水溶液に溶解し、Flavobacteriu由来イソアミラーゼ(合同酒精株式会社)を、基質1gあたり5000単位添加した。50℃で4時間反応を行い、短鎖アミロースに分解した後、温度を65℃に上げ、5mLの1Mクエン酸緩衝液(pH6.7)、Aquifex aeolicus由来ブランチングエンザイム(5000単位/g基質)およびThermus aquaticus由来アミロマルターゼ(2単位/g基質)を添加し、64時間反応させた。反応液のpHを塩酸で約3.5に調製し、100℃15分加熱することによって反応を停止した。この反応液に、100mLのエタノールを添加し、約10,000×gで5分遠心分離することによって、沈殿を回収し、さらに100mLの50%エタノールにより沈殿を3回洗浄した。沈殿を50mLの蒸留水に溶解し、凍結乾燥することにより粉末の酵素合成グリコーゲン(7000kDa)を得た。
(試験実施例)
天然グリコーゲンの構造は、その由来、および調製方法によって、ある一定の変動がありうる。したがって、本明細書において使用するグリコーゲンについて、その構造を分析した。
分子量はMALLS法によって分析した。平均鎖長は、フェノール硫酸法によって決定した全糖量を、迅速スミス分解法によって決定した非還元末端量で除することにより算出した。平均外部鎖長は、以下の式により算出した。
平均外部鎖長=平均鎖長×βアミラーゼ分解限度+2
なお、βアミラーゼ分解限度は、グリコーゲンをβアミラーゼで分解後、還元糖量を決定することにより決定した。
平均内部鎖長は以下の式により算出した。
平均内部鎖長=平均鎖長−平均外部鎖長−1
これらの方法の詳細については、Takataら、Carbohydr. Res. 344巻, 654−659頁、2009年に記述されている。
これらのパラメータは、平均重合度約10〜約14のα−1,4−グルコシド結合鎖から構成されている。天然グリコーゲンの分子量については、色々な説があるが、約10〜約10とされている。天然グリコーゲンは、分子量約10の粒子(β粒子)またはβ粒子の凝集により形成されたさらに大きな粒子(α粒子)として存在するとの一般的な範囲内にあるといえる。したがって、分析結果の通り上述の天然グリコーゲンは、概ね本明細書において前述の構造パラメータの範囲内にあった。
他方、本明細書において使用される代表例であるESG7000およびRGについての構造パラメータは、以下のとおりであった。
(実施例1:抗体の作製)
本実施例では、酵素合成グリコーゲン(ESG)に対する抗体を作製した。
(抗体の作製)
PBSで懸濁した酵素合成グリコーゲン(ESG, 0.3 mg/mL)と同量のフロイントの完全アジュバント(Freund’s complete adjuvant)を混合し、エマルジョンにしたもの250μLをBalb/cマウス腹腔に接種した。2週間後、ESG(0.3 mg/mL)と同量のフロイントの不完全アジュバント(Freund’s incomplete adjuvant)を混合し、250 μLのエマルジョンを接種した。これを2週間ごとに行い、抗体反応性が増加しなくなったところで、最終免疫として100 μLのESG(0.3 mg/mL)を静脈内に接種した。最終免疫した3日後にマウスを屠殺し脾臓を採取した。脾臓細胞はポリエチレングリコールを用いてミエローマ細胞と融合し、ヒポキサン/アミノプテリン/チミジン(hypoxanthine/aminopterin/thymidine)を含む培地で培養することでハイブリドーマを選択し、抗ESG抗体を得た。
この抗体は、ESG1A9mAb抗体と命名し、これを生産するハイブリドーマ(整理番号名称:ESG1A9mAb)はNITEに2011年2月24日に寄託した(受領番号:NITE AP−1069)。
(実施例2:ELISA法(直接吸着法))
本実施例では、実施例1で生産した本発明の抗体を用いて直接吸着法によりELISA試験を行った。以下説明する。
(材料)
ESGは調製実施例で製造したものを用いた。
RG;アミラーゼ部分分解したグリコーゲン
RGは以下のようにして調製した:ESG7000を10%(w/v)となるように20mMのトリス緩衝液(pH7.0)で溶解した。そこに400U/gのαアミラーゼ(Sigma)を添加し、37℃で24時間反応させることでESG7000を分解した。反応液をウルトラフィルトレーション膜で処理することで低分子を除去し、スプレードライヤーで乾燥させることでRGを調製した。
天然グリコーゲンとしては、以下を用いた。
NSG1:カキ由来のもの(ナカライテスク)
NSG2:タイプVII (Sigma、ムラサキイガイ由来)
NSG3:タイプIII (Sigma、ウサギ由来)
NSG4:フィトグリコーゲン (キューピー)
NSG5:タイプVIII (Sigma、フナガイ由来)
NSG6:タイプIX (Sigma、ウシ肝臓由来)。
でんぷんとしては、可溶性でんぷん(とうもろこし由来;和光純薬)を用いた。
(方法)
96穴プレート(Nunc社製)に、PBSにより希釈したESGおよび各種糖質(1.0×10−7〜1.0mg/mL、)を50μLずつ分注し、37℃で2時間コーティングした。次に、各ウェルを200μLの0.05%Tween20入りPBS(TPBS)で3回洗浄し、Blocking One(ナカライテスク社製)を200μLずつ加え37℃で1時間ブロッキングした。TPBSで3回洗浄後、実施例1で作製した抗ESG抗体を100μL添加し、37℃で2時間保温した。TPBSで3回洗浄後、TPBSで5000倍希釈したHRP標識抗マウスIgG+IgA+IgM抗体(KPL社製)を100μLずつ加え、37℃で1時間保温した。TPBSで3回洗浄後、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(DAKO社製)を100μLずつ加えた後、適度な発色が認められてから、1N HSOを100μLずつ加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Wallac 1420 ARVO Sx 1420、Wallac社製)により吸光度(450nm/630nm)を測定した。
次にESGと天然グリコーゲンとの反応性の相違がないことを同一の系で確認するために、ESG7000、Starch、NSG1、NSG2、NSG5に対する実施例1で作製したESG1A9mAb抗体の反応性を調査した。試験方法は他の抗原を用いた場合と同様である。
(結果)
結果を図1および2に示す。
図1は、従来の抗グリコーゲンモノクローナル抗体IV58B6の抗原特異性を示す。図1Aは、RG(アミラーゼ部分分解したグリコーゲン)、ESG7000およびでんぷんの結果を示す。図1Bは、各種天然グリコーゲン(NSG)を示す。
図2A〜Cは、本発明の抗ESG抗体であるESG1A9mAbモノクローナル抗体の抗原特異性を示す。図2Aは、RG(アミラーゼ部分分解したグリコーゲン)、ESG7000およびでんぷんの結果を示す。図2Bは各種天然グリコーゲン(NSG)を示す。図2Cは、ESG7000、Starch、NSG1、NSG2、NSG5に対するESG1A9mAbの反応性を単一系で調べた結果を示す。
本実施例で使用したRGはアミラーゼで部分分解したグリコーゲンである。Starchはでんぷんを示す。NSGは天然由来のグリコーゲンを示す。NSG1は、Oyster由来のもの(ナカライテスク)、NSG2は、Type VII ムラサキイガイ由来のもの、NSG3は、Type III ウサギ由来のもの、NSG4は、フィトグリコーゲン、NSG5は、Type VIII フナガイ由来のもの、およびNSG6は、Type IX ウシ肝臓由来のものである。
図1Aは、IV58B6のESGとESG消化体モデルであるRGならびにでんぷんとの反応性を示している。RGと強く反応し、ESG7000とも反応はするがRGよりは弱かった。また、でんぷんとは全く反応しなかった。図1Bは、IV58B6の各種天然グリコーゲンとの反応性を示している。植物性のグリコーゲンとは反応性が弱く、動物由来の各種天然グリコーゲンとの反応性にも差異が見られた。この反応性の差は、大きい場合10倍以上であった。
図2Aは、ESG1A9mAb抗体のESGとESG消化体モデルであるRGならびにでんぷんとの反応性を示している。ESG1A9mAb抗体はIV58B6の場合とは異なり、ESG7000ともRGとも同程度強く結合した。でんぷんともESG7000とRGに比較するとかなり弱いが、結合がみられた。図2Bは、ESG1A9mAb抗体の各種天然グリコーゲンとの反応性を示している。IV58B6とは異なり、植物性のものとも各種動物由来のものとも一様に強い反応性を示した。図2CはESG1A9mAb抗体のESG7000および天然グリコーゲンとの反応性を比較した結果である。ESG1A9mAb抗体はESG7000、各種天然グリコーゲンとほぼ同様に、強く結合することが明らかとなった。反応性の差はいずれの基質濃度においても1.25倍以下であり、高い一様性が示され、種類を問わずグリコーゲンの定量に使用されうることが示された。
図の結果から、従来の抗体では、部分分解したグリコーゲンに対する反応が良好でありESGに対する反応は落ちること、および天然由来のグリコーゲンに対する反応性はまちまちであり、反応性に乏しいものもあることが分かった。他方、本発明の抗体は、ESGのみならず種々の天然のグリコーゲンに対しても一様に反応していることが分かった。また本発明の抗体は、でんぷんに対してはほとんど反応せず、グリコーゲン全般に特異的であることが明らかになった。
このように、図2Bで既に示したように、ESG7000とでんぷん(Starch)は、高濃度(0.1−1 mg/ml)では反応性に差が見られないが、それ以下の濃度ではESG7000の方がStarchより反応性が高いことが判明した。また、図2Cからも明らかなように、各種天然グリコーゲン(NSG1、NSG2、NSG5)に対しても、ESG7000とほぼ同様の反応性を示す、ということが明らかとなった。
(実施例3:ELISA法(競争法))
本実施例では、実施例1で生産した本発明の抗体を用いて競争法によりELISA試験を行った。以下説明する。
(方法)
96穴プレート(Nunc社製)に、PBSにより希釈した調製実施例で調製したESG(0.01 mg/mL)を50μLずつ分注し、37℃で2時間コーティングした。次に、各ウェルを200μLのTPBSで3回洗浄し、Blocking One(ナカライテスク社製)を200μLずつ加え37℃で1時間ブロッキングした。TPBSで3回洗浄後、競争物質としてESGおよび各種糖質を用い、抗ESG抗体と1:1で混ぜ合わせたものを100μL添加し、37℃で2時間保温した。TPBSで3回洗浄後、TPBSで5000倍希釈したHRP標識抗マウスIgG+IgA+IgM抗体(KPL社製)を100μLずつ加え、以下は実施例2に記載の直接吸着法と同様な操作を行った。
(結果)
結果を、図3に示す。
図3Aは、ESG7000(0.01 mg/ml)をELISAプレートにコーティングし、競争物質としてESG7000およびRGを用い、競争ELISAを行い、検量線を描いた。この系でESG7000およびRGを定量可能であることが示唆された。
図3Bは、RG(0.01 mg/ml)をELISAプレートにコーティングし、競争物質としてESG7000およびRGを用い、競争ELISAを行い、検量線を描いた。この系においてもESG7000とRGを定量可能であることが示唆された。
図の結果から、本発明の抗体は、グリコーゲンの全般的な検出のみならず、種類を問わずに反応することから、グリコーゲン全体の定量に使用することができることも明らかになった。
(実施例4: Caco−2細胞によるESG消化の検討)
本実施例では、サンプルとして生きた細胞を用いて生体実験が可能であるかの可能性を実証した。
(方法)
定法にしたがい、トランズウェル(Falcon社製)中でCaco−2細胞(理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を培養(10%ウシ胎児血清を含むSigma社製MEM培地)し、Caco−2は分化促進因子などを加えず、細胞密度が上がることで自然分化することから、格別に分化因子をくわえずに、この培地での培養により2、3日おきに培地の交換を行いながら、2〜3週間培養し続け、小腸上皮細胞様に分化させた。細胞分化の確認は両極培地間の電気抵抗値を測定することにより行った。。分化したCaco−2細胞の腸管側の培地にESGを0、2.5あるいは5mg/mlで添加し24時間後に培地を回収し、グリコーゲン代謝物を定量した。定量線として図3に示すものを使用した。
ELISAプレートにESG7000(0.01 mg/ml)をELISAプレートにコーティングし、回収培地とESG1A9mAb抗体をTPBSで希釈した液を混合したものを反応させ、競争ELISAを行った。
(結果)
結果を図4に示す。
分化Caco−2細胞を用いた小腸モデルを用いた実験により、既に、合成グリコーゲン(ESG7000)がグリコーゲン消化体モデルRG様の分子に代謝され、体内には吸収されず腸管側に留まることが明らかとなっている。ESG1A9mAb抗体を用いたELISAによるRG定量法を用いた結果、その結果と一致する結果が得られ、ESG7000を5.0 mg/mlの濃度で処理した場合、RGが4.1 mg/ml、ESG7000を2.5 mg/mlの濃度で処理した場合、RGが0.2 mg/ml検出され、定量することができた。
(実施例5: 動物組織内でのグリコーゲンの検出および定量)
次に、本発明の抗体を用いて動物組織内でのグリコーゲンの定量・検出を行う。
(方法および材料)
マウスから肝臓を摘出し、ホルマリンで固定する。固定した肝臓をパラフィンに包埋し、4μmの厚さで切片を作成し、スライドガラス上に貼り付けてサンプルを調整した。ESG1A9mAbを1次抗体として用いて、定法に従い免疫染色をすることで、肝臓中のグリコーゲンを検出する。
上記実験から、ESG1A9mAbを使った免疫染色により、肝臓中のグリコーゲンを高感度かつ鮮明に染色することができ、PAS染色の結果と比較して、よりグリコーゲンを特異的に染色できることが示すことができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、グリコーゲンに対して一様に反応する抗体、その抗原結合断片、および該抗原結合断片を含む結合分子を提供する。このような抗体等は、グリコーゲンをインビボで検出、定量することに使用することができ、診断等への応用が期待される。
(受領番号)NITE AP−1069

Claims (18)

  1. 酵素合成グリコーゲン(ESG)に対して指向される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  2. ESGと天然グリコーゲンとに対する特異性の相違が2倍以内の範囲にあり、該特異性は、ELISAにおいて抗原濃度が0.00001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)によって測定される、請求項1に記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  3. ESGに対する結合特異性は、ELISAにおいて抗原濃度が0.0001mg/mlのとき、OD450(参照波長630nm)が2以上の値を示す、請求項1に記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  4. ESGとフロイント完全アジュバントをエマルジョンにしてマウスを免疫化して得られる脾臓細胞と、ミエローマ細胞とを融合して融合細胞を得ること、および該融合細胞をヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジンを含む培地で培養して得られたハイブリドーマを培養して抗体を生成させることによって得られる、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  5. 前記ハイブリドーマは、受領番号NITE AP−1069として寄託されたものである、請求項4に記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  6. 受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体と同一の重鎖および軽鎖の相補性決定部位(CDR)またはその保存的改変アミノ酸配列を含む、抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  7. 受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一またはその保存的改変アミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  8. 受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体のアミノ酸配列と同一アミノ酸配列からなる抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  9. 受領番号NITE AP−1069として寄託されたハイブリドーマによって生成される抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子を含む、グリコーゲンを検出または定量するための組成物。
  11. 前記抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子は、標識されたものである、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記検出または定量は細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清中で行われる、請求項10に記載の組成物。
  13. 前記検出または定量は動物の組織または組織抽出物中で行われる、請求項10に記載の組成物。
  14. サンプル中のグリコーゲンを検出または定量する方法であって、該方法は、
    請求項1〜10のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を含む結合分子と該サンプルとを、該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片とグリコーゲンとが結合する条件下で接触させる工程;および
    結合した該抗体、その抗原結合性断片または該抗原結合性断片を検出または定量する工程、
    を包含する方法。
  15. 前記検出または定量は、標識を用いて行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記サンプルは細胞、細胞抽出物または細胞の培養上清である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記サンプルは動物の組織または組織抽出物である、請求項14に記載の方法。
  18. 請求項1〜9のいずれかに記載の抗体、その抗原結合性断片、該抗原結合性断片を含む結合分子またはCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
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