JP2012182992A - 糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材 - Google Patents

糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材 Download PDF

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Abstract

【課題】
従来の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材は、カキ・ホタテ殻を直接干潟の砂の上に設置するものであり、養殖業者の過大な労力が必要であることや、葉状体の繁茂率が悪いものであったため、単位面積当たり効率的に養殖できる養殖基材がないという問題があった。
【解決手段】
糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材1は、養殖基材1の上面側に炭酸カルシウムを主成分とする複数の突起物11を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、カイガラアマノリに代表される糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材に関する。
海で養殖され、食用に供される海苔は、植物界海藻紅藻植物門紅藻綱ウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属に多くの種が存在している。アマノリ属に属する海苔は、そのライフサイクルの違いから大きく分けると2つに分けられる。一方は、代表的な養殖海苔であるスサビノリやアサクサノリ等であり、スサビノリ等のライフサイクルは、食用となる葉状体から、春先に果胞子を落下させる。この果胞子がカキ、アサリ等の二枚貝の貝殻上で発芽・穿孔して糸状体となり、穿孔した糸状体は貝殻内で生長する。海水温が低下する9月以降になると貝殻内で成長した糸状体の殻胞子嚢で作られた殻胞子が海水中に放出され、周囲の流木、海岸の岩や漁網に着生する。そして着生した殻胞子が発芽・生長し葉状体となる。
通常スサビノリ等の養殖では上記ライフサイクルの特性を利用し、人為的に養殖用の網に殻胞子を着生させることで集約的に養殖を行い大量の葉状体を得ることができる。また、殻胞子を岩に似せた育成器材に着生させて岩海苔として養殖させるものもある(特許文献1)。このため通常の海苔養殖では集約的に殻胞子を得る必要があり、糸状体をカキ殻等の貝殻に穿孔させ、大量に培養している。糸状体を穿孔させた貝殻は海苔養殖では一般に「種貝」と呼ばれている。「種貝」の培養は、通常、海苔葉状体から落下した果胞子、或いは果胞子を貝殻に穿孔させずにフラスコ等で管理培養された「フリー糸状体」と呼ばれる糸状体を細断し、貝殻上に播き、穿孔させる方法で行われる。「種貝」は一般的には室内水槽で培養され、人為的な管理により集約的に大量に培養する技術が確立されている(特許文献2)。前記のスサビノリに代表されるライフサイクルを有する海苔を以下、殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔と呼ぶ。
他方、カイガラアマノリに代表されるアマノリ属の種では、葉状体から果胞子を落下させ、落下した果胞子が二枚貝の貝殻上で発芽・穿孔し糸状体に生長するまでのライフサイクルは、スサビノリ等と同じであるが、カイガラアマノリは穿孔した糸状体から殻胞子を放出せず、貝殻に穿孔した糸状体の先端が貝殻表面に開口し、開口部分から直接発芽し食用となる葉状体を生ずるというカイガラアマノリの名前の由来ともなっている独自のライフサイクルを持つことが大きな特徴となっている。前記のカイガラアマノリに代表されるライフサイクルを有する海苔を以下、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔と呼ぶ。なお、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔で、現在、判明しているものはカイガラアマノリだけとされているが、今後発見される可能性はある。
殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔は、貝殻の内側の葉状層に好んで穿孔し、穿孔後も葉状層から水平的に生長・繁茂する。しかし、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の養殖基材は貝殻の穿孔面に選択性がなく貝殻表層でも葉状層でも良好に穿孔・生長する。また他の殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔に比べ水平的な生長に加え垂直的に深く穿孔し、穿孔開始面の反対側まで貫通到達する。
「種貝」を集約的に大量に培養する技術は確立されており、殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔と糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の「種貝」の培養技術はほぼ同一であるが、殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔の「種貝」はカキ、ホタテ等の比較的平滑な葉状層を持つ二枚貝しか使用できないのに対し糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の「種貝」は形状を選ばない。
殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属の海苔の養殖では「種貝」は殻胞子を生成させるための殻胞子培養基材であるのに対し、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の養殖では「種貝」は殻胞子を生成させる目的ではなく葉状体を採取する目的の養殖基材に該当する。よって糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔を養殖するためには「種貝」を直接、漁場に設置して養殖に使用することになっていた。
特開2006−34158号公報 特開2005−102615号公報
しかしながら、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材として、通常入手可能な「種貝」に用いられるカキ・ホタテ殻を使用すると、カキ・ホタテ殻に孔を開けて紐を通す等の方法で連結して、大量に海中や干潟に固定して養殖基材として使用するものであった。そして、この「種貝」に用いられるカキ・ホタテ殻は、1枚単位もしくは紐で10〜20枚に連結された状態で通常市場に流通しているため、カキ・ホタテ殻を養殖用として所定の面積に設置するためには多量のカキ・ホタテ殻が必要となり、養殖をする者にとっては多大な労力と時間を要する作業が伴うものとなっていた。
また殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔の「種貝」としてのカキ・ホタテ殻をそのまま使用しようとすると、殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔の「種貝」は殻胞子を得るためだけに室内水槽の中で吊るすことにより殻胞子を培養するために用いることを前提として考えられており、「種貝」のカキ・ホタテ殻の形状・大きさがそれぞれ異なった状態で連結されて市場に流通していた。糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔では、葉状体に成長する過程において光合成のための太陽光が必要であり、殻胞子が成長して葉状体となるアマノリ属に属する海苔用の「種貝」を干潟等の砂上に、水平方向に直置きして設置した場合では、大きな貝殻に合せて設置することになり、そのため小さな貝殻が埋まってしまう場合や、小さな貝殻は大きな貝殻の陰となって葉状体が発芽しない場合も多く、使用したカキ・ホタテ殻の夫々の全部に、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の葉状体を繁茂させることは困難であるという問題があった。
さらには糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔(特にカイガラアマノリ)では、カキ・ホタテ殻全体に糸状体が植付けられていても貝殻全体から発芽することはなく、貝殻の先端や周縁部から多く発芽するため、先端や周縁部以外の部分は発芽のためには有効に機能しないことが実験で確認されており、発芽により生じる食用等で利用される葉状体を得るためには、相当量のカキ・ホタテ殻が必要となることで、単位面積当たり効率的に糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材が存在しないという問題があった。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段が講じられている。
第1発明の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材は、糸状体を播きつけ直接葉状体まで成長させるための養殖基材において、前記養殖基材の上面側に炭酸カルシウムを主成分とする複数の突起を備えていることを特徴としている。
第2発明の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材は、請求項1記載の発明において、前記複数の突起は多孔質であることを特徴としている。
第3発明の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記複数の突起は炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石を加工したものであることを特徴としている。
第1発明によれば、養殖基材の上面側に炭酸カルシウムを主成分とする複数の突起を備えていることで、養殖基材を干潟等の砂上に設置した場合に太陽光を受けて光合成が行われるのに適した上面側に、糸状体が穿孔し易い炭酸カルシウムを主成分とし、表面積が増大すると同時に葉状体が発芽させ易い形状である複数の突起があり、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の葉状体が、養殖基材の上面側の全面に亘って発芽し易い形状とすることができる。
第2発明によれば、第1発明の効果に加え、突起が多孔質であるので、多孔質の突起に播かれた糸状体が突起の内部に容易に潜り込み易く、その後根付くことが容易であり、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の葉状体の、養殖基材での発芽する割合を増大させることができる。
第3発明によれば、第1の発明または第2の発明の効果に加え、複数の突起は炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石を加工したものであることで、生物の骨格や化石には成長の過程によって生じる、微細な孔や隙間が生物の骨格や化石の全部分に亘って形成されているので、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の特徴である貝殻の先端・周縁部の形状のような、炭酸カルシウムを主成分とする多孔質の突起形状を、養殖基材の上面側の全面に亘って容易に作ることができ、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の葉状体の発芽する割合を増大させた養殖基材を容易に製造することができる。
本発明に係る糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材の概略説明図である。 本発明に係る実施例の基台の概略説明図である。 本発明に係る別の実施例の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材の概略説明図である。 本発明に係る別の実施例の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材の概略説明図である。 本発明に係る基台の別の実施例の概略説明図である。
発明を実施するための形態について図1乃至図5に基づき具体的に説明する。
(概略の構成)
本発明の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材(以下、養殖基材と略して説明する。)について、図1を用いて説明する。なお、図1の(a)は上面側を見た図であり、図1の(b)は(a)のA−Aでの断面図である。養殖基材1は、基台21の上面側に、複数の突起物11が突起物固定材31で固定されている。養殖基材1の概略の大きさは、干潟等の足場の悪い場所に養殖業者が一人で設置が容易に行えるようにするため、10キログラム程度以下の質量になるようにしており、この質量で製作可能な程度の大きさとなっている。なお、機械化が可能な場合では、質量を重くしても問題がないので、設置作業の効率化を図るため大きくしても良い。
養殖基材1の全体的な外観については、養殖を集約して行えるようにするため、所定の干潟等に隙間なく設置ができるようにするために厚さ方向が薄い略直方体となっている。図1(a)の上面図のように、養殖基材1の上方から見た形状は、長辺と短辺の比が略2対1である長方形となっている。なお、方形(正方形、長方形)であれば、隙間なく設置が可能であるが、長辺と短辺の比が略2対1である長方形としたのは、直角方向に向きを変え組み合わせて設置が可能となることや、正方形に比較して持ち運びが容易である等の理由による。
図1(b)のA−A断面図のように養殖基材1の厚みは、ほぼ均一な厚みとなっており、養殖基材1の強度や、干潟の砂に埋もれてしまわないようにするための所定の厚みを有している。例えば、突起物固定材31の上面から、基台21の底面まで約20ミリメートル程度である。なお、養殖基材1の設置方法でも記載するが、干潟の砂に埋もれてしまわないようにするために建築用コンクリートブロックを土台として上部に養殖基材1を置いても良いので、養殖基材1の厚みは運搬や設置時の強度を満たすものとすれば良い。
(基台)
基台21は、養殖基材1の全体的な形状を決め、葉状体の繁茂する複数の突起物11を突起物固定材31で一つの集合物として固定する台となるものである。基台21は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂で一体に成型したものである。合成樹脂性としているのは、所定の肉厚で成型して必要な強度を持たせた場合に、他の材料に比較して廉価であり、質量も軽く、使用環境で求められる、耐紫外線性や耐塩水性もある程度は有しているためである。
基台21は断面H状(図1(b)を参照)の、上面方向及び底面方向に開口部を有する箱状となっている。これを図2で説明する。図2は基台21の形状を分かり易くするために前側右の角を切り取ったものである。基台21は中央部の底板23の上方に四面の枠板22a、22b、22c、22dを立ち上げて箱状としたものである。底板23の上面側は突起物固定材31との密着性が向上するように、突起物固定材31の接着性の種類に合わせて、表面を滑らかに成型する場合と、小さいくぼみ等を設けて表面を荒らす場合がある。
枠板22a、22b、22c、22dが設けてあるのは、基台21の上面側に突起物11と突起物固定材31が容易に載置することができるようにするためである。また、底板23は下方に四面の脚板24a、24b、24c、24dが伸びている。脚板24a、24b、24c、24dが設けてあるのは、基台21に載置された突起物11が干潟の砂に埋もれてしまわないために所定の高さを確保するためである。なお、前述のように建築用コンクリートブロックを土台として養殖基材1を設置する場合には脚板24a、24b、24c、24dがないものでも良い。
また脚板24a、24b、24c、24dと底板23とが合わさる角隅となる部分には空気抜きの孔25が各面に2個ずつ、計8個設けてある。底板23の下側に空気が溜まり、養殖基材1が海水中に水没した場合に浮力により、養殖基材1が波の影響で移動しやすくなることを防止するためである。なお、脚板24a、24b、24c、24dの下部中央部をアーチ状に切り欠く場合や、脚板24a、24b、24c、24dを板状とせずに、柱状とする場合には、空気抜きの孔25が不要となる。
(突起物)
突起物11は、炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石の一つであるサンゴを所定の大きさ(25ミリメートル程度)に破砕したものである。25ミリメートル程度に破砕したサンゴは、円柱形状や円錐形状になるものが多く、図1においては、表現の簡略化のため破砕したサンゴを円柱形状の突起物11として表している。
突起物11のサンゴとは、サンゴ虫の骨格であり、一般に水槽の水の浄化に使用する目的で流通している。サンゴ虫の骨格は、石灰質であることから、主成分が炭酸カルシウムであり、生物由来であるため、成長の過程によって生じる微細な孔や隙間を、突起物11の全部の部分に有している。なお、実施例においては、突起物11をサンゴとして説明しているが、炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石に該当する貝殻、石灰石、方解石等を、適当な大きさに破砕して用いても良い。貝殻、石灰石、方解石等についても、生物由来であるため、成長の過程によって生じる微細な孔や隙間をサンゴ同様に有している。
(突起物固定材)
突起物固定材31は、基台21の上面に突起物11を満遍なく配置して固定させるものであり、セメント、石膏や接着剤等である。突起物固定材31は空気中に放置することで硬化し、複数の突起物11を一枚の板状にさせると同時に、基台21とも接着させる。突起物固定材31は、その性状により液体であれば、基台21の底板23の上面側に塗り、セメント等の流動体の糊状で所定の厚みが必要となるものは、基台21の底板23の上面側に突起物11の表面積の半分以上が外部に露出するような量で突起物固定材31を使用する。なお、突起物固定材31に水酸化マグネシウムとカルシウムの化合物に細砂を混合して水を加え、練り上げたものを使用する場合には、空気中のみならず、水中であっても硬化し、接着能力も有するので、必要に応じては水中で突起部固定材31を用いて基台21の上面に突起物11を固定させても良い。
(製造方法)
養殖基材1の製造方法は、基台21の底板23の上面側に満遍なく、突起物固定材31をその性状により液体であれば、基台21の底板23の上面側に塗り、セメント等の流動体であれば流し込む。突起物固定材31が塗りまたは流し込まれた基台21に、突起物11を基台21の底板23の上面側の全てが覆われてしまうように満遍なく配置させる。複数の突起物11が突出する割合は100平方センチメートル当たり10〜50個程度となる。突起物固定材31の硬化が終了するまでの時間を待ち(養生し)、養殖基材1が完成する。
(使用方法)
養殖基材1の使用方法は、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔のフリー糸状体をミキサーで細断した状態のもの、または葉状体から落下させた果胞子を、海水を満たした水槽内に浸された養殖基材1の上面側に播き、1〜10ヶ月程度の時間をかけ、糸状体を突起物11の内部に穿孔させて育成した後、干潮時には干潟となる砂や、岩の上に設置する。この場合、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔は成長するためには、太陽光を受け光合成が行われる必要があるので、養殖基材1の上面が太陽光を受けやすい方向に置く必要がある。また、養殖基材1の設置場所が砂や泥が多く、海流の流等の関係で砂等が動き易い場所では、建築用コンクリートブロックを下に置いて設置することや、養殖基材1にアンカー杭を打つなど移動しないように設置する。また、岩場で設置場所が不安定な場合は、建築用コンクリートブロックを土台として養殖基材1が安定するように設置する。その後、突起物11の外面から糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔が発芽し、2〜3ヶ月程度設置したままの状態にすると、糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔の葉状体が、突起物11の外面全体に繁茂する。
(概略の構成)
実施例2の養殖基材2は実施例1の養殖基材1の突起物11を突起物12に換えたものであり、同じものには同じ符号を付けて説明を省略する。養殖基材2について図3を用いて説明する。なお、図3の(a)は上面側を見た図であり、図3の(b)は(a)のA−Aでの断面図である。図3(a)の上面図のように、養殖基材2は、基台21の上面側に、複数の突起物12が突起物固定材31で固定されている。図3(b)のA−A断面図のように基台21が実施例1と同じものであるので、養殖基材2の大きさもほぼ同一のものとなる。
(突起物)
突起物12は、サンゴを所定の大きさ(10ミリメートル程度以下)に破砕したものである。10ミリメートル程度以下に破砕したサンゴは、ほぼ粒状になるので、図3においては、表現の簡略化のため破砕したサンゴを球状の突起物12として表している。突起物12のサンゴとは、サンゴ虫の骨格であり、一般に水槽の水の浄化に使用する目的で流通している。サンゴ虫の骨格は、石灰質であることから、主成分が炭酸カルシウムであり、生物由来の炭酸カルシウムであれば、微細な孔や隙間を有している。なお、実施例においては、突起物12をサンゴとして説明しているが、炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石に該当する貝殻、石灰石、方解石等を、適当な大きさに破砕して用いても良い。貝殻、石灰石、方解石等についても、生物由来であるため、成長の過程によって生じる微細な孔や隙間をサンゴ同様に有している。
製造方法及び使用方法については実施例1と同様であるので、説明を省略する。なお、突起物12が粒状となるため、複数の突起物12が突出する割合は100平方センチメートル当たり50〜2500個程度となる。
(概略の構成)
実施例3の養殖基材3は実施例1の養殖基材1の突起物11と突起物固定材31とを一体化して、突起物付板13に換えたものである。実施例1と同じものには同じ符号を付けて説明を省略する。養殖基材3について図4を用いて説明する。なお、図4の(a)は上面側を見た図であり、図4の(b)は(a)のA−Aでの断面図である。図4(a)の上面図のように、養殖基材3は、基台21の上面側に、複数の突起が成型された一枚の突起物付板13が載せられている。図4(b)の養殖基材3のA−A断面図のように基台21が実施例1と同じものであるので、養殖基材3の大きさもほぼ同一のものとなる。
(突起物板)
突起物付板13は、炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石であるサンゴ、貝殻、石灰石、方解石等を粉状または粒状にしたものに粘結材を加えて固め、これを成型させたものである。サンゴ、貝殻、石灰石、方解石等を粉状または粒状のしたものにセメントや石膏等を粘結材として適量混ぜたものに水を加えて練り、糊状にする。突起形状を形成させるへこみが設けられており、基台21の底板23の上側の面積と等しいかやや小さい雌型を用意し、この雌型にサンゴ等の混合物を糊状にしたものを流し込むことにより成型する。この雌型から突起物付板13を抜くことで、上面側の長手方向に複数の稜13aと複数の谷13bが長手方向に直行するような突起が設けられた板状の突起物付板13が成型される。
この成型された突起物付板13を、基台21の底板23の上側に載せることで、養殖基材3は完成する。もし、突起物付板13と基台21を接着する必要がある場合には、基台21の上面側に突起物固定材31が塗られたまたは流し込まれたものの上に載せる。なお、突起物付板13の他の成型方法としては、サンゴ等を粉状または粒状にしたものに、セメント等を粘結材として適量混ぜたものに水を加えて練り糊状にして、直接基台21の底板23の上面側に流し込み、ある程度硬化した状態で突起物付板13の上面側に、複数の稜13aと複数の谷13bが突起物付板13の長手方向に直行するようにヘラ等を用いて成型させても良い。なお、実施例においては、突起物付板13の突起形状を波状または折れ線状に成形した例を示しているが、複数の突起を設けることが目的であり、実施例2のようなブツブツ状の突起や、線状や格子状の突起に成形しても良い。
製造方法については突起物付板13の製造方法がほとんどであるので説明を省略する。また、使用方法については実施例1と同様であるので、説明を省略する。なお、突起物付板13についてはそれ自体が板状となるため、基台21を用いないで、干潮時には干潟となる砂や、岩の上に直接設置することや、建築用コンクリートブロックを下に置いて設置することが可能であり、このような使用方法により使用しても良い。
(基台のその他の実施方法について)
基台21の材質については、合成樹脂性としているが、耐久性を考慮して、耐塩水性を有するステンレスやチタン鋼等の金属製や、シリカ系の粘土を成型して焼成させたものとしても良い。
基台21の別の実施形態として、図5の基台21aを用いて説明する。基台21aの立ち上がり枠板22a、22b、22c、22dと脚板24a、24b、24c、24dの外面側には、干潟の砂に設置した場合に波等で移動しないようにするための、アンカー杭を差し込むことが可能となるアンカー取り付け部26を適当な箇所に4か所設けられている。
さらには、基台21aの立ち上がり枠板22a、22b、22c、22dと脚板24a、24b、24c、24dの外面側には、複数の養殖基材を連結できるようにするため、前側面(22a、24a)と左側面(22c、24c)には上部が広くなる凸状の凸連結部27が設けられており、後側面(22b、24b)と右側面(22d、24d)には上側が狭くなる凹状の凹連結部28が設けられている。これにより凹連結部28に凸連結部27を嵌め込み複数養殖基材を縦方向や横方向に連結することができる。
1、2、3:養殖基材
11、12、:突起物
13:突起物付板
13a:稜
13b:谷
21、21a:基台
22a、22b、22c、22d:立ち上がり枠板
23:底板
24a、24b、24c、24d:脚板
25:空気抜き孔
26:アンカー取り付け部
27:凸連結部
28:凹連結部
31:突起物固定材

Claims (3)

  1. 糸状体を播きつけ直接葉状体まで成長させるための養殖基材において、前記養殖基材の上面側に炭酸カルシウムを主成分とする複数の突起を備えていることを特徴とする糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材。
  2. 前記複数の突起は多孔質であることを特徴とする請求項1記載の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材。
  3. 前記複数の突起は炭酸カルシウムを主成分とする生物の骨格や化石を加工したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の糸状体から直接葉状体を生じるアマノリ属に属する海苔用の養殖基材。
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CN115462298A (zh) * 2022-09-19 2022-12-13 集美大学 一种产壳孢子海藻丝状体生长基质及其制备方法

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