JP2012182259A - サーミスタ素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チップ状のサーミスタ用金属酸化物焼結体2と、該サーミスタ用金属酸化物焼結体2に形成された一対の電極膜3と、一対の電極膜3に接合された一対の電極線4とを備え、一対の電極線4が、少なくとも先端部に板状に拡がった板状部4aを有し、該板状部4aの中央部で電極膜3と溶接されている。
【選択図】 図1
Description
すなわち、薄膜サーミスタ技術を用いる場合、サーミスタ薄膜や電極のパターン形成などが必要であり、製造工程が煩雑になってしまう不都合がある。このため、単純にサーミスタフレーク上に電極膜を形成して端子電極とし、電極膜とその上に配した電極線とを、直接レーザ光を照射して溶接する方法が望まれている。しかしながら、図8の(a)〜(c)に示すように、サーミスタ部102と両面で隣り合わせの電極膜3に直接レーザ光Lを照射して電極線104を溶接すると、図8の(d)に示すように、電極線材料が熔融してサーミスタ部102へ溶け込むためにサーミスタの電気特性が悪化してしまう問題があった。すなわち、従来、丸棒状の電極線104が通常用いられるが、この電極線104と電極膜3とをレーザ溶接で熔融させる際に、レーザ光Lのエネルギーの大部分は、電極膜3へ伝わる前に電極線104に吸収されてしまい、図8の(d)に示すように、溶接部分の大部分の電極線104が熔融されて大きな球状となる。このとき、最大熔融部(以下、ナゲットNと称す)がレーザ光Lの照射方向を長軸とした断面楕円状となり、溶接強度を増加させるには、ナゲットNの大きさを増やす必要がある。しかしながら、レーザ光強度を増やすとナゲットNの長軸(深さ)が増加するので、電極膜3の厚さを増加させないと熔融部Mがサーミスタ部102へ到達しまい電極部分のクラックの原因となってしまう不都合があった。特に、溶接部は急昇温および急冷却されるため、クラックが発生し易い。また、単純に熱影響を回避するために電極膜3を厚くするなどの対策は有効であるが、熱影響を回避するために電極膜を一様に厚くした場合には、コストの増大を招くと共に、フレーク素子などに加工する際に切断工程で電極がはがれるおそれもあり、歩留まりが低下する可能性がある。
また、本発明のサーミスタ素子の製造方法は、上記本発明のサーミスタ素子の製造方法であって、一対の電極膜が形成されたチップ状のサーミスタ用金属酸化物焼結体の前記電極膜に一対の電極線を接合する電極線接合工程を有し、一対の前記電極線が、少なくとも先端部に板状に拡がった板状部を有し、前記電極線接合工程において、前記板状部の中央部で前記電極膜と溶接することを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子では、板状部が、電極膜と略同形状とされているので、電極膜全体に効率的に溶接時の熱エネルギーを伝えることができ、より良好な溶接状態を得ることができる。
また、本発明のサーミスタ素子の製造方法は、前記板状部の外縁部近傍の少なくとも1箇所を前記電極膜に押さえ付けた状態で前記溶接を行うことを特徴とする。
従来の丸棒状の電極線を溶接する場合、先端を固定することができずに電極線に反りが生じてしまう場合があるが、本発明のサーミスタ素子の製造方法では、板状部の外縁部近傍の少なくとも1箇所を電極膜に押さえ付けた状態で溶接を行うので、電極線の反りが抑制され、安定した溶接が可能になる。
すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、金属薄板をレーザ切断加工して、前記電極線を作製するので、金属薄板から様々な形状の板状部を有する電極線を高精度に形成可能である。なお、前述したようにレーザ切断加工により電極線を作製することが好ましいが、金属薄板を打ち抜き加工して電極線を作製しても構わない。なお、板状部の中央部で溶接するので、レーザ切断加工による切断部の酸化の影響を回避することができ、安定した溶接が可能である。また、打ち抜き加工によって切断部にバリが生じた場合、電極膜と電極線との間に僅かな隙間が生じてレーザ熔融熱が均等に伝わらないおそれもあるが、レーザ切断加工は蒸発切断であるので、この問題を回避できる。
すなわち、本発明に係るサーミスタ素子およびその製造方法によれば、電極線が、少なくとも先端部に板状に拡がった板状部を有し、板状部の中央部で電極膜と溶接されるので、簡易な製造工程で作製可能であると共に薄い電極膜でも電極線溶接のサーミスタへの影響を抑制でき、所望のサーミスタ特性を得ることができる。
このサーミスタ用金属酸化物焼結体2は、(La,Ca)(Cr,Mn)O3+Y2O3であり、一般式:(1−z)(La1−yCay)(Cr1−xMnx)O3+zY2O3(ただし、0.0≦x≦1.0、0.0≦y≦0.5、0<z≦0.8)で示されるものが採用される。例えば、サーミスタ用金属酸化物焼結体2は、(La0.9Ca0.1)(Cr0.5Mn0.5)O3を50mol%とY2O3を50mol%とを混合焼結したものである。
上記板状部4aは、レーザスポット径よりも十分広い面積で形成され、本実施形態では電極膜3と略同形状の長方形状とされている。
上記電極膜3は、例えばPt電極層が採用される。
なお、本実施形態のサーミスタ素子1は、電極線4が接合された状態でサーミスタ用金属酸化物焼結体2がガラス材(図示略)で封止されている。
次に、図4に示すように、サーミスタ用金属酸化物焼結体2の電極膜3に一対の電極線4を接合する(電極線接合工程)。この電極線接合工程では、板状部4aの中央部で電極膜3とレーザ溶接または抵抗溶接により溶接する。なお、本実施形態では、グリーンレーザを用いたレーザ溶接(レーザ光によるスポット溶接)で接合させている。そのため、金属薄板の材料として、グリーンレーザを吸収することができるステンレス薄板(例えば、SUS310S)を用いている。その主旨から、金属薄板は、グリーンレーザを吸収することができるインコネル板やFe−Cr系金属板等を用いても構わない。
この後、サーミスタ用金属酸化物焼結体2全体を板状部4aと共にガラス材(図示略)で封止して、サーミスタ素子1が作製される。
さらに、板状部4aの外縁部近傍の少なくとも1箇所を電極膜3に押さえ付けた状態で溶接を行うので、溶接時における電極線4の反りが抑制され、安定した溶接が可能になる。また、レーザ切断加工後や打ち抜き加工後に電極線4を取り出す際、僅かな反りが発生するが、この反りも矯正して溶接することができる。
なお、上記実施形態では、リード部4bは細く延びる棒状に形成しているが、図5の(a)に示すように、リード部24bも板状部24aと同じ幅にして延ばし長板状にした電極線24でも構わない。
本発明の実施例としてサーミスタ用金属酸化物焼結体2のチップサイズは、0.5mm×0.5mmの平面視正方形状で厚さ0.5mmとし、電極膜3を厚さ30μmのPt膜とした。また、電極線4は、厚さ0.15mmのSUS310S製板からグリーンレーザ光によるレーザ切断加工で切り出したものであり、板状部4aのサイズを0.45mm×0.45mmの正方形状とし、リード部4bのサイズを長さ5mmで幅0.15mmとした。
例えば、上記実施形態および実施例では、レーザ溶接を採用しているが、抵抗溶接により溶接しても構わない。特に、電極線の溶接部分が板状であるため、抵抗溶接が容易となる。すなわち、圧力を加えながら電気を流すため、溶接ヘッドの形状は通常、面状であり、溶接ヘッドと板状部とを面接触させることができるため、効果的に電流を流すことができる。その結果、効果的に熱が加わって安定した溶接が可能である。
Claims (6)
- チップ状のサーミスタ用金属酸化物焼結体と、
該サーミスタ用金属酸化物焼結体に形成された一対の電極膜と、
一対の前記電極膜に接合された一対の電極線とを備え、
一対の前記電極線が、少なくとも先端部に板状に拡がった板状部を有し、該板状部の中央部で前記電極膜と溶接されていることを特徴とするサーミスタ素子。 - 請求項1に記載のサーミスタ素子において、
前記板状部が、前記電極膜と略同形状とされていることを特徴とするサーミスタ素子。 - 請求項1または2に記載のサーミスタ素子を作製する方法であって、
一対の電極膜が形成されたチップ状のサーミスタ用金属酸化物焼結体の前記電極膜に一対の電極線を接合する電極線接合工程を有し、
一対の前記電極線が、少なくとも先端部に板状に拡がった板状部を有し、
前記電極線接合工程において、前記板状部の中央部で前記電極膜と溶接することを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。 - 請求項3に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
前記溶接が、レーザ溶接または抵抗溶接であることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。 - 請求項3または4に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
前記板状部の外縁部近傍の少なくとも1箇所を前記電極膜に押さえ付けた状態で前記溶接を行うことを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。 - 請求項3から5のいずれか一項に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
金属薄板をレーザ切断加工して、前記電極線を作製することを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2011043402A JP2012182259A (ja) | 2011-02-28 | 2011-02-28 | サーミスタ素子及びその製造方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59182902U (ja) * | 1983-05-24 | 1984-12-06 | 株式会社 大泉製作所 | サ−ミスタ |
JPS63182503U (ja) * | 1987-05-18 | 1988-11-24 |
-
2011
- 2011-02-28 JP JP2011043402A patent/JP2012182259A/ja active Pending
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