JP2012178395A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光ガラスの光学的挙動を活かした発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1において、光源3と、母体に発光中心をなす希土類イオンが含まれ、光源3から発せられる光が入射する入射面7aと、波長変換された光を出射する出射面7bと、を有するガラス蛍光体7と、を備え、ガラス蛍光体7は、側面7cの少なくとも一部が、入射側から出射側へ向かって拡がるよう光軸7dに対して傾斜する傾斜面をなしている。
【選択図】図1A

Description

本発明は、発光装置に関する。
従来、LED素子等の発光素子を用いた発光装置として、蛍光体粒子を発光素子の封止材等のような透明材に含有させるものが知られている。しかし、樹脂、ガラス等に蛍光体粒子を含有させると、透明材と蛍光体粒子の比重が異なることから、蛍光体粒子を透明材に均一に分散させることは困難である。これにより、透明材から取り出される光に色むらが生じるという問題点があった。
この問題を解消するため、蛍光体粒子を用いることなく、発光中心として希土類イオンを含む蛍光ガラスを用いることが、本願発明者らにより提案されている(例えば、特許文献1参照)。この蛍光ガラスによれば、光の色むらを低減することができるし、蛍光体粒子と透明材の混合工程等が不要となることから製造コストを低減することができる。
国際公開第2010/055831号のパンフレット
ところで、特許文献1のような希土類イオンを発光中心とする蛍光ガラスについては、蛍光体粒子が分散された状態のガラスや、希土類イオンが含まれない透明なガラスとは光学的挙動が異なる。蛍光体粒子が分散された状態のガラスでは、蛍光体粒子とガラスとの界面で反射及び屈折するために、希土類イオンとガラス母体との間で反射及び屈折しない蛍光ガラスとは光学的挙動が全く異なる。また、希土類イオンが含まれない透明なガラスも、ガラス内の光は基本的に直進するために、ガラス内で希土類イオンにおける励起光の吸収及び波長変換光の等方的な放射が存在する蛍光ガラスとは光学的挙動が全く異なる。しかしながら、希土類イオンを含む蛍光ガラスの光学的挙動については明らかになっていない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蛍光ガラスの光学的挙動を活かした発光装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明では、光源と、母体に発光中心をなす希土類イオンが含まれ、前記光源から発せられる光が入射する入射面と、波長変換された光を出射する出射面と、を有するガラス蛍光体と、を備え、前記ガラス蛍光体は、側面の少なくとも一部が、入射側から出射側へ向かって拡がるよう光軸に対して傾斜する傾斜面をなす発光装置が提供される。
上記発光装置において、前記傾斜面の外側に隣接し、前記波長変換された光に対して透明な透明媒質が配置され、前記ガラス蛍光体内にて前記傾斜面へ入射する光は、前記ガラス蛍光体と前記透光材の屈折率の差により全反射してもよい。
上記発光装置において、前記傾斜面の傾斜角を光軸と平行な状態から増大させていくと、傾斜角が所定の臨界角度以下では光軸上の発光強度が最も高くなり、傾斜角が所定の臨界角度を超えると発光強度の最も高い位置が光軸から離れていってもよい。
上記発光装置において、前記傾斜面の傾斜角が、前記所定の臨界角度以下であってもよい。
上記発光装置において、前記傾斜面の傾斜角が、前記所定の臨界角度を超えていてもよい。
上記発光装置において、前記光源は、半導体発光素子であり、前記ガラス蛍光体は、前記半導体発光素子を封止してもよい。
上記発光装置において、前記ガラス蛍光体の発光中心は、Ybイオン及びNdイオンであってもよい。
本発明によれば、蛍光ガラスの光学的挙動を活かすことができる。
図1Aは、本発明の一実施形態を示す発光装置の模式断面図である。 図1Bは、変形例を示す発光装置の模式断面図である。 図1Cは、変形例を示す発光装置の模式断面図である。 図1Dは、変形例を示す発光装置の模式断面図である。 図2は、変形例を示す発光装置の模式断面図である。 図3は、変形例を示す発光装置の模式断面図である。 図4は、実施例を示す発光装置の模式断面図である。 図5は、比較例を示す発光装置の模式断面図である。 図6は、横軸をLED素子の電流とし、縦軸を発光装置から発せられた光の出力とした、実施例及び比較例の発光装置に関するグラフである。 図7は、横軸を光軸からの水平距離とし、縦軸を発光強度とした比較例及び実施例1〜3の発光装置に関するグラフである。 図8は、横軸を傾斜角とし、縦軸を発光強度とした発光装置に関するグラフである。 図9は、実施例を示す発光装置の模式断面図である。 図10は、横軸を光軸からの水平距離とし、縦軸を発光強度とし、側面に金属膜を形成した実施例1〜3の発光装置に関するグラフである。
図1Aは本発明の一実施形態を示す発光装置の模式断面図である。
図1Aに示すように、この発光装置1は、上方を開口した凹部2aが形成されたケース2を有し、当該凹部2a内にLED素子3がフリップチップ実装されている。凹部2aはLED素子3を包囲するリフレクタ部2bにより形成され、凹部2aの底部にはLED素子3への電力供給のための金属からなる第1リード4及び第2リード5が配置されている。また、凹部2aの下部には、LED素子3を封止する封止樹脂6が充填されている。さらに、凹部2a内の封止樹脂6の上側には、蛍光ガラス7が配置されている。
この発光装置1は、850nm〜1220nm程度の赤外光を発することができる。この波長領域は、生体の透過性が高いので、例えば、医療分野、生体観察分野等の光源として用いると好適である。特に、900nm〜1000nmの波長領域がカバーされるので、脂肪、水分等に起因する吸収スペクトルが存在し、農業・食品分野における光源として有用である。
ケース2は樹脂からなり、全体として略直方体状を呈し、各リード4,5が凹部2aの底面の一部をなすとともに、ケース2の樹脂が凹部2aの底面の他部をなしている。リフレクタ部2bの内周面は、上方へ向かって拡がるよう形成され、滑らかな曲面状となっている。本実施形態においては、リフレクタ部2bは、平面視にて円形に形成されている。
また、リフレクタ部2bの内周面には、金属膜8が形成されている。金属膜8は、例えばアルミニウムのような反射率が比較的高い金属からなる。金属膜8は、例えば蒸着等により形成されている。
第1リード4と第2リード5は、例えば、銀メッキが施された導電性の金属からなる。第1リード4及び第2リード5は、所定の厚さ寸法及び幅寸法で形成されており、長手方向端部がケース2の凹部2a内に位置している。また、第1リード4及び第2リード5は、ケース2の外側まで延び、図示しない外部接続端子と電気的に接続される。
LED素子3は、基板と、半導体層と、半導体層に接続されたp電極及びn電極とから構成される。p電極及びn電極は、各リード4,5にそれぞれ電気的に接続される。本実施形態においては、LED素子3はフリップチップ型であり、p電極が第1リード4に、n電極が第2リード5に接続される。
本実施形態においては、基板はサファイアからなり、半導体層はInAlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)の式で表される半導体からなる。LED素子3は、例えばピーク波長が585nmで、半値幅が50nmの光を発する。
封止樹脂6は、各リード4,5にLED素子3を実装した後、凹部2b内に充填される。封止樹脂6の材質は任意であり、例えば、シリコーン系の樹脂や、エポキシ系の樹脂が用いられる。
蛍光ガラス7は、封止樹脂6の上側に配置され、封止樹脂6を介してLED素子3の光が入射する入射面7aと、波長変換された光を出射する出射面7bと、を有している。本実施形態においては、入射面7aは平坦な円形に形成され、封止樹脂6の上面と接触している。また、出射面7bは平坦な円形に形成され、ケース2の上面と高さが合わせられている。入射面7a及び出射面7bは、平面視にて同心円をなし、蛍光ガラス7の光軸7dは、入射面7a及び出射面7bの中心をそれぞれ通る法線である。ここで、光軸7dとは、光学系において系全体を通過する光束の代表となる仮想的な光線を指す。多くの場合はレンズ、光学素子等の回転対称軸と一致し、例えば1枚のレンズでは前後2面の曲率中心を結ぶ直線となる。
また、蛍光ガラス7は、側面7cが入射側から出射側へ向かって拡がるように、光軸7dに対して傾斜する傾斜面をなしている。希土類イオンが発光中心の蛍光ガラス7では、傾斜面の傾斜角を光軸7dと平行な状態から増大させていくと、傾斜角が所定の臨界角度以下では光軸7d上の発光強度が最も高くなり、傾斜角が所定の臨界角度を超えると発光強度の最も高い位置が光軸7dから離れていく。本実施形態においては、側面7cの傾斜角は臨界角度以下に設定されている。尚、臨界角度は蛍光ガラス7の屈折率等の条件によって変化する。本実施形態においては、臨界角度を考慮して側面7cの傾斜角が30度とされている。
また、側面7cは、リフレクタ部2b表面の金属膜8と、上下にわたって一定の間隔で離隔するよう形成されている。すなわち、蛍光体ガラス7の側面7cと、リフレクタ部2bの間には、空隙9が形成されている。空隙9には、透明媒質としての空気が充填されている。空気の屈折率は、蛍光ガラス7の屈折率よりも低い。
蛍光ガラス7は、ガラスからなる母体と、この母体に含まれる発光中心を有している。ここでいう「発光中心」とは、母体材料中に存在し発光を示す構造であるが、母体材料とは実質的に1つの材料を構成しているものをいい、樹脂、ガラス等からなる透明材中に含有された蛍光体粒子とは異なるものである。すなわち、樹脂、ガラス等からなる透明材中に蛍光体粒子を含有させた場合、樹脂、ガラス等からなる透明材と蛍光体粒子とは、材料として別個のものであり、1つの材料を構成しているとはいえない。
具体的に、蛍光ガラス7の母体はBi−B系ガラスからなり、発光中心はYb3+及びNd3+となっている。蛍光ガラス7は、LED素子3から発せられた光により励起されると、900nm〜1100nmの赤外光を発する。蛍光ガラス7は、Yb粉末と、Nd粉末と、Bi粉末と、HBO粉末と、を混合して溶融した後、冷却することにより作製される。ここで、1000℃を超えるとBi3+が還元されるため、1000℃超に加熱して溶融する場合は、さらにSb粉末を添加して、Bi3+の還元作用を抑制してもよい。尚、Ybの濃度が4.0mol%以下、かつ、Ndの濃度が5.0mol%以下であれば、1000℃で蛍光ガラス7が溶融することが確認されている。
この蛍光ガラス7は、450nmから800nmにわたって励起される。従って、LED素子3は、450nmから800nmの波長域で発光するものであれば、蛍光ガラス7を励起することができる。また、この蛍光ガラス7の励起スペクトルは、複数のピークを有しており、特に530nm付近、585nm付近、685nm付近、750nm付近の励起効率が優れている。この中でも、585nm付近の励起効率が最も優れており、本実施形態のLED素子3のピーク波長が585nmであることから、励起効率の良いLED素子3と蛍光ガラス7の組合せとなっている。
以上のように構成された発光装置1は、各リード4,5に電圧を印加すると、LED素子3からピーク波長が585nmで半値幅が50nmの黄色光が発せられる。LED素子3から発せられた光は、封止樹脂6を介して入射面7aから蛍光ガラス7へ入射する。蛍光ガラス7へ入射した黄色光は、蛍光ガラス7内で赤外光に波長変換された後、出射面7bから出射される。赤外光は、例えばピーク波長が1020nmで半値幅が100nmである。
ここで、蛍光ガラス7の内部では発光中心をなす希土類イオンが母体のガラス中に均一に含まれており、蛍光体のみからなるガラス内部の全領域で同様に波長変換が行われる。すなわち、蛍光体を粒子とし透明材に含有させた従来の発光装置のように、粒子の分布状態に応じて色むらが生じるようなことはない。
また、蛍光ガラス7内で希土類イオンへ励起光が入射すると、励起光が希土類イオンに吸収されて、希土類イオンから放射状に波長変換光が放射される。これは、従来のように蛍光体を粒子として透明材に含有させたものや、希土類イオンが含まれない透明なガラスと全く異質な光学的挙動である。すなわち、蛍光体粒子が分散していると、蛍光体粒子と透明材との界面で反射及び屈折するため、波長変換作用の他に光の拡散作用が生じてしまう。また、希土類イオンが含まれない場合は、ガラス内の光は基本的には直進する。
そして、蛍光ガラス7の側面7cを光軸7dに対して傾斜させたので、蛍光ガラス7の出射面7bから発せられる出射光の強度を向上させることができる。これは、希土類イオンを発光中心とする蛍光ガラス7の特有の光学的挙動に基づいており、光学的挙動を活かした発光装置1となっている。
尚、側面7cが臨界角度までであれば光軸7d上の発光強度が最も大きくなるが、側面7cを光軸7dに対して臨界角度を超えて傾斜させると、発光強度のピークは光軸7dから離隔していく。従って、光軸7dの直上の発光強度の大きさを重視するなら臨界角度以下が好適であるが、光軸7dから離隔した位置においても十分な強度が得られるような、より均一な配光特性を得るならば臨界角度を超えた方が好適である。従って、側面7dを光軸7dに対して臨界角度を超えるよう傾斜させても、蛍光ガラス7の光学的挙動を活かすことができる。
また、本実施形態の発光装置1によれば、側面7cの傾斜角によって、簡単容易に光学的な設計を行うことができる。従来のように、蛍光体粒子を透明材に分散させた場合は、透明材の形状に加えて、蛍光体粒子の分散状態によっても光学的挙動が変化するため、設計が容易でないし、製造される発光装置のよって光学特性がばらついてしまう。
さらに、側面7cの外側に空隙9を設け、傾斜面の外側に隣接して屈折率の低い透明媒質としての空気が配置されるようにしたので、ガラス蛍光体7内にて側面7cへ入射する光は、ガラス蛍光体7と空気の屈折率の差により全反射する。これにより、例えば側面7cに直接的に金属膜を形成する場合と比べて、光の取り出し効率を高くすることができる。
さらにまた、リフレクタ部2bの表面に金属膜8を形成したので、ガラス蛍光体7から空隙9へ漏れた光については、金属膜8を利用して反射してガラス蛍光体7へ再入射させることができる。これにより、光の取り出し効率をさらに高くすることができる。
尚、前記実施形態においては、側面7cの全てを傾斜面としたものを示したが、少なくとも一部が傾斜面であれば光の取り出し効率を向上させることができる。また、側面7cの傾斜を光軸7dに対して30度としたものを示したが、傾斜角は任意である。尚、傾斜による光の取り出し効率の向上は、前記の各材料の組み合わせであれば、15度以上で顕著となる。
また、前記実施形態においては、蛍光ガラス7の側面7cと、ケース2のリフレクタ部2bの表面とが同じ角度に傾斜しているものを図示しているが、側面7cとリフレクタ部2bの表面の傾斜角度は任意である。また、リフレクタ部2bは光軸に対して傾斜せずに平行であってもよい。
さらに、前記実施形態においては、蛍光ガラス7の側面7cと、ケース2のリフレクタ部2bとが比較的近接している状態を図示しているが、両者が大きく離隔した状態であっても差し支えない。両者の距離を十分に確保することで、空隙9へ漏れた光につき、発光装置1から取り出されるまでのリフレクタ部2bの表面での反射回数を減らすことができる。
また、前記実施形態においては、入射面7aが平坦なものを示したが、例えば図1Bに示すように湾曲していてもよい。図1Bにおいては、LED素子3を包囲する半楕円状に形成されている。
さらに、例えば図1Cに示すように、入射面7aが複数の平坦面からなっていてもよい。図1Cにおいては、入射面7aは下方を開口し、ケース2の凹部2aの底部とともに正六面体をなしている。
さらにまた、例えば図1Dに示すように、LED素子3が蛍光ガラス7により直接的に封止されていてもよい。この場合、入射面7aは、蛍光ガラス7におけるLED素子3との接触面となる。
また、前記実施形態においては、ガラス蛍光体7の出射面7bが平坦面であるものを示したが、湾曲面としてもよいことは勿論である。例えば、ガラス蛍光体7は、入射面7a及び出射面7bが共に湾曲形成されたレンズであってもよい。
また、リフレクタ部2bの表面に金属膜8を形成したものを示したが、例えば図2に示すように金属膜8を形成せずともよい。この場合は、リフレクタ部2bの表面にて光を反射させることとなる。
また、前記実施形態においては、蛍光ガラス7の側面7に隣接する透明媒質が空気であるものを示したが、気体以外の透明媒質が隣接するものであってもよい。例えば図3に示すように、透明樹脂9aが側面7に隣接していてもよい。要は、ガラス蛍光体7よりも低い屈折率の透明媒質が配置されていればよいのである。
また、前記実施形態においては、蛍光ガラス7の母体として、Sb2O3−B2O3系の硼酸系ガラスを用いたものを示したが、リン酸系ガラスやフッ化物ガラスを用いてもよい。具体的には、Bi−GeO系ガラス、ZnO−B系ガラス、CaO−B系ガラス、CaO−P系ガラス等の低融点ガラスを例示することができる。
さらに、前記実施形態の蛍光ガラス7の発光中心として、Ybイオン及びNdイオンを例示したが、例えばTmイオン、Erイオン、Dyイオン、Prイオン等の希土類イオンを用いることができる。希土類イオンはそれぞれ発光波長が異なることから、発光装置1の用途に応じて希土類イオンを選択すればよい。
さらに、LED素子3の配光特性を勘案し、発光装置1における所望の配光特性が実現できるように、希土類イオン濃度や母体ガラスの組成を適宜変化させることが可能である。
また、前記実施形態では、光源としてLED素子を用いたものを示したが、例えばLD素子のような他の発光素子を用いてもよいし、例えば蛍光体とLED素子が一体化した白色LEDを用いてもよく、その他、具体的な細部構成は適宜に変更可能である。
以下、図4から図10を参照して本発明の実施例及び比較例を説明する。図4は実施例を示す発光装置の模式断面図であり、図5は比較例を示す発光装置の模式断面図である。
図4に示すように、実施例1の発光装置101として、光源としての白色LED103と、白色LED103から発せられる光が入射する入射面107a及び波長変換された光を出射する出射面107bを有するガラス蛍光体107と、を備えたものを作製した。入射面107a及び出射面107bは、それぞれ平坦な円形であり、互いに平行である。すなわち、この蛍光ガラス107の光軸107dは、入射面107a及び出射面107bの円の中心を通る法線である。また、ガラス蛍光体107の側面107cは、全面にわたって光軸に対して30度傾斜している。蛍光ガラス107の母体はBi−B系ガラスからなり、発光中心はYb3+及びNd3+となっている。尚、白色LED103と蛍光ガラス107との間には、透明樹脂106を充填した。
また、図5に示すように、比較例の発光装置201として、実施例1の発光装置101と形状が異なる蛍光ガラス207を備えたものを作製した。この蛍光ガラス207は、出射面207bの形状は実施例1と同じだが、入射面207aが出射面207bと同形状に形成され、側面207cは光軸207dに対して傾斜していない。その他の構成は実施例1と同様である。
ここで、実施例1の発光装置101も比較例の発光装置201も、蛍光体ガラス107は、Ybを1.0mol%、Ndを4.0mol%、Biを47.0mol%、Bを47.0mol%、Sbを1.0mol%として作製した。
図6は、横軸をLED素子の電流とし、縦軸を発光装置から発せられた光の出力とした、実施例及び比較例の発光装置に関するグラフである。当該光の出力は、1020nmの波長で測定した。尚、測定にあたり、実施例1及び比較例の発光装置を開口を有する金属ケース内に固定し、光が金属ケースから外部へ漏れないようにして光量を測定した。尚、光量の測定は、光軸を中心とした所定範囲で行った。
図6に示すように、実施例1の発光装置101は、比較例の発光装置201よりも発光強度が大きくなった。具体的には、電流の大きさによらず、発光強度が約1.8倍となっている。これにより、蛍光ガラスの側面は光軸に対して傾斜させると発光強度が向上することが理解される。
さらに、実施例1の蛍光ガラス107及び比較例の蛍光ガラス207に加え、側面の傾斜角を15度とした実施例2の蛍光ガラスと、45度とした実施例3の蛍光ガラスを作成した。そして、蛍光ガラス単体で、実施例1〜3及び比較例の蛍光ガラスの入射面に光を入射して発光強度の測定を行った。入射面には、蛍光ガラスと十分に離隔させたLED素子から発せられる光を、蛍光ガラスの直前に配置された金属製の板状部材に形成された円形孔を通じて入射させた。
図7は、横軸を光軸からの水平距離とし、縦軸を発光強度とした比較例及び実施例1〜3の発光装置に関するグラフである。図7に示すように、蛍光ガラスの側面の傾斜角が0度(比較例)、15度(実施例2)及び30度(実施例1)の場合、光軸上に発光強度のピークがある。しかし、45度(実施例3)の場合、光軸上が最大強度とはならず、光軸から離れた位置に発光強度のピークが現れた。
図8は、横軸を傾斜角とし、縦軸を発光強度とした発光装置に関するグラフである。前述の実施例1〜3(30度、15度、45度)及び比較例(0度)を含んで、0度から45度まで5度刻みで発光強度を調べた。尚、光量の測定は、光軸を中心とした所定範囲で行った。
図8に示すように、この蛍光ガラスでは、傾斜角が15度以上で発光強度の向上が顕著であり、特に30度以上35度以下で発光強度が極めて大きくなることが判明した。また、5度刻みのデータなので正確な臨界角度は不明であるが、30度を超えて35度からは発光強度が低下しており、30度と35度の間に臨界角度が存在するものと推察される。そして、臨界角度を超えた領域では、図7に示すように発光強度のピークが光軸上から離隔していくものと推察される。
次に、図9に示すように、実施例1〜3の発光装置101における蛍光ガラス107の側面107cに金属膜109を蒸着に形成し、金属膜109の有無で光強度がどの程度変化するのか調べた。ここで、金属膜109の材質はアルミニウムとした。図10は、実施例1と実施例4の発光装置で測定されたLED素子の電流と発光装置から発せられた光の出力のグラフである。光の出力は、1020nmの波長で測定した。
図10に示すように、金属109を形成すると、形成しない場合と比べて発光強度が低下することが判明した。これは、金属膜109の表面を利用した反射であると、屈折率差を利用した全反射と比較して損失が大きいためである。従って、傾斜面が形成された蛍光ガラスでは、屈折率差を利用した全反射の方が好ましい。
1 発光装置
2 ケース
2a 凹部
2b リフレクタ部
3 LED素子
4 第1リード
5 第2リード
6 封止樹脂
7 蛍光ガラス
7a 入射面
7b 出射面
7c 側面
7d 光軸
8 金属膜
9 空隙
9a 透明樹脂
101 発光装置
103 LED素子
106 封止樹脂
107 蛍光ガラス
107a 入射面
107b 出射面
107c 側面
107d 光軸
201 発光装置
103 LED素子
106 封止樹脂
109 金属膜
207 蛍光ガラス
207a 入射面
207b 出射面
207c 側面
207d 光軸

Claims (7)

  1. 光源と、
    母体に発光中心をなす希土類イオンが含まれ、前記光源から発せられる光が入射する入射面と、波長変換された光を出射する出射面と、を有するガラス蛍光体と、を備え、
    前記ガラス蛍光体は、側面の少なくとも一部が、入射側から出射側へ向かって拡がるよう光軸に対して傾斜する傾斜面をなす発光装置。
  2. 前記傾斜面の外側に隣接し、前記波長変換された光に対して透明な透明媒質が配置され、
    前記ガラス蛍光体内にて前記傾斜面へ入射する光は、前記ガラス蛍光体と前記透光材の屈折率の差により全反射する請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記傾斜面の傾斜角を光軸と平行な状態から増大させていくと、傾斜角が所定の臨界角度以下では光軸上の発光強度が最も高くなり、傾斜角が所定の臨界角度を超えると発光強度の最も高い位置が光軸から離れていく請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記傾斜面の傾斜角が、前記所定の臨界角度以下である請求項3に記載の発光装置。
  5. 前記傾斜面の傾斜角が、前記所定の臨界角度を超えている請求項3に記載の発光装置。
  6. 前記光源は、半導体発光素子であり、
    前記ガラス蛍光体は、前記半導体発光素子を封止する請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 前記ガラス蛍光体の発光中心は、Ybイオン及びNdイオンである請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
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