JP2012162704A - 変性シロキサン重合体組成物、変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および封止材を含む電子デバイス - Google Patents

変性シロキサン重合体組成物、変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および封止材を含む電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】変性シロキサン重合体組成物、変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および封止材を含む電子デバイスを提供。
【解決手段】変性シロキサン重合体が、環構造であって、2以上のSi−O結合を有する環状シロキサン部分、前記環状シロキサン部分のSiに炭素数2〜10のアルキレン基で結合している置換されたもしくは非置換の線状シロキサン部分を含有する化合物と、両末端に二重結合部分を有するシロキサン重合体との反応により得られる組成物である。さらに、該組成物に、水素−ケイ素結合を有する硬化剤、ヒドロシリル化触媒を加え、硬化性組成物が得られ、得られた硬化物が封止材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性シロキサン重合体組成物、変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および封止材を含む電子デバイスに関する。
発光ダイオード(light emitting diode、LED)、有機発光ダイオードデバイス(organic light emitting diode device、OLED device)および光ルミネセンス(photoluminescence、PL)などの発光デバイスは、家庭用家電製品、照明装置、表示装置および各種の自動化機器などの多様な分野で応用されている。これら発光素子は、発光体を使用して青色、赤色および緑色のような発光物質固有の色を表示することができ、互いに異なる色を表示する発光体を組み合わせて白色を表示することもできる。このような発光素子は一般にパッケージング(packaging)または密封(encapsulation)された構造で製造される。このようなパッケージングまたは密封された構造は、発光体から放出した光が外部へ透過可能な透光性樹脂で作られた封止材からなっていてもよい。このような封止材は光が通過する位置にあるため、耐熱性および耐光性が重要である。そのために、耐熱性および耐光性が比較的弱いエポキシ系封止材の代わりにシロキサン重合体を用いた封止材が開発されている。
本発明の実施形態は、変性シロキサン重合体組成物、前記変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および前記封止材を含む電子デバイスを提供する。
本発明の実施形態は、変性シロキサン重合体および網状構造のシロキサン重合体を含み、前記変性シロキサン重合体は、環構造であって、2以上のSi−O結合を有する環状シロキサン部分、前記環状シロキサン部分のSiに炭素数2〜10のアルキレン基で結合している置換されたもしくは非置換の線状シロキサン部分、および末端に二重結合部分を有する、変性シロキサン重合体組成物を提供することにより理解される。
前記変性シロキサン重合体は、下記化学式1で表される化合物と下記化学式2で表される化合物との反応により得られる。
前記化学式1において、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R1〜R6のうちの少なくとも二つは水素原子であり、nは0〜約10の整数である。
前記化学式2において、LおよびL'は、それぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であり、R7〜R12は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、mは0〜約500の整数である。
前記化学式2において、LおよびL'は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基またはペンチレン基から選択されてもよい。
前記環状シロキサン部分は前記変性シロキサン重合体1分子に平均1つ以上含まれてもよい。
前記変性シロキサン重合体の数平均分子量は約500〜約30000であってもよい。
前記変性シロキサン重合体は、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対し約5〜約95質量%で含まれてもよい。
前記網状構造のシロキサン重合体は、下記化学式3で表される。
前記化学式3において、R13〜R18は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R16、R17、およびR18のうちの少なくとも一つはアルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0およびT+D+M=1である。
前記変性シロキサン重合体組成物は、2つ以上の水素−ケイ素結合を有する硬化剤をさらに含んでもよい。
前記変性シロキサン重合体組成物は、ヒドロシリル化触媒をさらに含んでもよい。
本発明の他の実施形態によれば、上述した実施形態の変性シロキサン重合体組成物を硬化して得られる封止材を提供する。
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記実施形態の封止材を含む電子デバイスを提供する。
2010年7月29日に韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10−2010−0073511号の「変性シロキサン重合体組成物、前記変性シロキサン重合体組成物から得られた封止材および前記封止材を含む電子デバイス」はその全体について本明細書中に参照として組み込まれる。
以下、本発明の実施例についてより詳しく説明する。しかしながら、本発明の実施例は本明細書に記載された実施例以外の形態においても実施されるものであり、これらに限定されない。
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、アルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数2〜16のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数1〜4のオキシアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアルキル基、炭素数3〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルケニル基、炭素数6〜15のシクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群から選択された置換基で置換されていることを意味する。
また、本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、例えば、N、O、SおよびPからなる群から選択されたヘテロ原子を1〜3つ含有した環を意味する。
以下、本発明の一実施形態による変性シロキサン重合体組成物を説明する。
本発明の一実施形態による変性シロキサン重合体組成物は、変性シロキサン重合体と網状構造のシロキサン重合体とを含む。
前記変性シロキサン重合体は、2以上のSi−O結合が環状に連結されている環状シロキサン部分、前記環状シロキサン部分のSiに炭素数2〜10のアルキレン基で連結されている置換されたもしくは非置換の線状シロキサン部分、および複数の末端に位置する二重結合を有する。
前記変性シロキサン重合体は、下記の化学式1で表される化合物と下記の化学式2で表される化合物との反応により得られうる。
前記化学式1において、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R1〜R6のうちの少なくとも2つは水素原子であり、nは0〜約10の整数である。
前記化学式2において、LおよびL'は、それぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であり、R7〜R12は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、mは0〜約500の整数である。
前記化学式1で表される化合物は、ケイ素と酸素が連結して環状構造を形成している環状シロキサン化合物であり、例えばn=0の場合、*−Si−O−Si−O−*の四員環を形成し、n=1の場合、*−Si−O−Si−O−Si−O−*の六員環を形成する。
前記変性シロキサン重合体構造のうちの環状シロキサン部分は前記環状シロキサン化合物で形成され、前記環状シロキサン部分は前記変性シロキサン重合体分子当り平均1つ以上含まれてもよい。前記構造により変性シロキサン重合体組成物は、低い熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)および低い弾性率(modulus)を維持することができ、結果として耐亀裂性を改善することができる。
前記化学式2で表される化合物は、ケイ素と酸素が連結して線状構造を形成している線状シロキサン化合物であり、前記変性シロキサン重合体構造の中で、前記線状シロキサン部分は前記線状シロキサン化合物で形成されてもよい。
前記化学式1で表される化合物においてケイ素に結合されている水素原子と前記化学式2で表される化合物において末端の炭素−炭素二重結合とが反応することにより、前記化学式1で表される化合物のケイ素と前記化学式2で表される化合物のLまたはL'が連結される構造を有することができる。この時、前記化学式2で表される化合物で末端の炭素−炭素二重結合は反応によりエチレンに変わるため、前記環状シロキサン部分と線状シロキサン部分との間には化学式2のLまたはL'の炭素数よりも炭素数が多い炭素数2〜10のアルキレン基で結合されうる。
前記変性シロキサン重合体はその末端に炭素−炭素二重結合を有し、前記炭素−炭素二重結合は前記変性シロキサン重合体の末端と反応する。一実施形態では、下記の化学式aで表されるように、炭素−炭素二重結合がケイ素に直接結合している構造であることが好ましい。
前記化学式aにおいて、R17およびR18は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20シクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20アリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20アリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20ヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20ヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルコキシ基、ハロゲン、またはこれらの組み合わせである。
末端に炭素−炭素二重結合を有する前記変性シロキサン重合体は、後述する網状構造のシロキサン重合体と同等の程度または速度でヒドロシリル化反応を起こしてもよい。
前記変性シロキサン重合体のヒドロシリル化反応が網状構造のシロキサン重合体に比べてかなり速度が遅い場合、網状構造のシロキサン重合体が先に硬化し、熱膨張係数が低く、弾性率が高い部分が形成される。その後、前記変性シロキサン重合体が硬化することにより、最終生成物の耐亀裂性および界面接着性が悪くなることがある。しかし、本実施形態では前記変性シロキサン重合体は網状構造のシロキサン重合体と類似または同等の速度でヒドロシリル化反応し、耐亀裂性が悪くなることを防止することができる。
前記変性シロキサン重合体は、数平均分子量が約500〜約30000であってもよい。
前記変性シロキサン重合体は、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対して約5〜約95質量%で含まれてもよい。変性シロキサン重合体の量を前記範囲に維持することによって、変性シロキサン重合体組成物の硬化後の硬度を維持し、弾性率を適正範囲で維持し、耐亀裂性を改善することができる。
前記変性シロキサン重合体は、例えば、2つ以上の水素−ケイ素結合を有する環状シロキサン化合物と2つの炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物との反応を通じて得ることができる。
例えば、前記変性シロキサン重合体は、下記化学式bで表される2つ以上の水素−ケイ素結合を有する環状シロキサン化合物と下記化学式cで表される2つの炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物との反応を通じて得ることができる。
前記化学式bにおいて、Ra〜Rfは、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20シクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20アリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20アリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20ヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20ヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、Ra〜Rfのうちの少なくとも2つは水素原子である。
前記化学式cにおいて、Rk〜Rpは、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20シクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20アリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20アリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20ヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20ヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、nは、0〜約500の整数である。
前記化学式bで表される環状シロキサン化合物と前記化学式cで表されるシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応を通じて、前記変性シロキサン重合体を得ることができる。
網状構造のシロキサン重合体は、下記化学式3で表現される重合体であってもよい。
前記化学式3において、R13〜R18は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20シクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20アリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20アリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20ヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20ヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20アルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10アルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R16、R17およびR18のうちの少なくとも一つは、例えば、ビニル基のようなアルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0およびT+D+M=1である。
前記網状構造のシロキサン重合体は、ハイブリッドシロキサン重合体組成物が硬化する時、硬度を決定する成分である。
前記網状構造のシロキサン重合体は、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対して約1〜90質量%で含まれてもよい。前記網状構造のシロキサン重合体が前記範囲で含まれることによって、前記変性シロキサン重合体組成物が硬化した後、硬度を適切に維持され得る。
前記変性シロキサン重合体組成物は、硬化剤をさらに含んでもよい。硬化剤は、複数の末端に水素−ケイ素結合を有する化合物であってもよい。
硬化剤の前記水素−ケイ素結合は、前記変性シロキサン重合体および前記網状構造のシロキサン重合体に含まれている二重結合1モルに対して約0.5〜2モルの比率で含まれてもよい。硬化剤の水素−ケイ素結合が前記範囲で含まれることによって、前記変性シロキサン重合体組成物の硬化時に十分な硬化度が確保されると同時に、未反応の水素−ケイ素結合が多いことにより硬化物が酸化されたり変色したりすることを防止することができる。
前記硬化剤は、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対して約5〜60質量%で含まれてもよい。前記硬化剤が前記範囲で含まれることによって、前記変性シロキサン重合体組成物の硬化後、硬度を適切に維持することができる。
前記変性シロキサン重合体組成物は、例えば、ヒドロシリル化触媒のようなヒドロシリル化反応の触媒をさらに含んでもよい。
前記ヒドロシリル化触媒は、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムまたはこれらの組み合わせを中心金属として含む触媒であってもよい。例えば、塩化白金酸と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメトキシシロキサンの反応により調製されるカーステッド(Karstedt)触媒であってもよい。
ヒドロシリル化触媒は、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対して約0.1ppm〜約1000ppmで含まれてもよい。
前記変性シロキサン重合体組成物は、硬化して電子デバイスの封止材(encapsulant)として使用され得る。ここで電子デバイスは、例えば、発光ダイオード、有機発光装置、光ルミネセンス装置および/または太陽電池を含んでもよいが、これに限定されない。
前記変性シロキサン重合体組成物から調製されたまたは得られた封止材は、耐熱性および耐光性を確保して高透過率および高屈折率を示すことができると同時に、熱膨張係数を低くして耐亀裂性および接着性を改善することができる。また、変性シロキサン重合体組成物の製造過程で低分子量のオリゴマーの発生を減少させて封止材の表面の粘着性を減少させることができ、作業性を同時に改善することができる。
以下、実施例を通じて前述の本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。さらに、比較例はある実施例の特定の特性の比較のために示されており、本発明の範囲を実施例での実施に限定するものでも、本発明の範囲外にあるすべてものを必然的に排除するものでもない。
[合成例]
[合成例1:環状シロキサン化合物の合成]
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながらジフェニルシランジオール54.08g(0.25モル)を1,2−ジメトキシエタン500gに添加し、溶解した。ここにピリジン43.51g(1.10モル)を添加して反応温度を5℃まで冷却した後、2時間にわたってメチルジクロロシラン115.07g(1.0モル)を滴下した。反応温度を室温まで上げた後、24時間攪拌した。生成した白色固体をろ過し、減圧下で溶媒と未反応のメチルジクロロシラン化合物を除去した。未精製の化合物を1,2−ジメトキシエタン500gに溶解し、ピリジン43.51gを添加した後、反応溶液の温度を5℃まで下げた。ジフェニルシランジオール54.08gを溶解したテトラヒドロフラン150gの溶液を4時間にわたって前記溶液に滴下した後、溶液の温度を室温まで昇温して24時間攪拌した。白色固体の沈殿物をろ過して除去した後、減圧下で溶媒を留去した。真空度を0.02Torrに維持しながら昇温して約150℃で2,2,6,6−テトラフェニル−4,8−ジメチルシクロテトラシロキサン80gを蒸留した。
[合成例2:変性シロキサン重合体の合成(1)]
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、下記化学式4で表される末端にビニル基を有するポリフェニルメチルシロキサン(PMV−9925、米国Gelest社製、300MHz 1H−NMRにより測定したビニル基の含量は1g当り0.45mmol)88.5gに前記合成例1で得られた環状シロキサン化合物5.16gを添加して温度を90℃に昇温した。
(前記化学式4において、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、nは42である。)
続いて、PS−CS−1.8CS(Unicore社製)を反応溶液中のPt濃度が20ppmとなるように添加した後、反応溶液を厚さ5cmのシリカゲルカラムを通過させて、Pt錯体を除去した。溶媒を減圧蒸留で留去し、数平均分子量7000の変性シロキサン重合体を得た。変性シロキサン重合体をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で分析したところ、分子量500以下の低分子量オリゴマーは全く存在しなかった。
[合成例3:変性シロキサン重合体の合成(2)]
前記環状シロキサン化合物を7.74g使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で変性シロキサン重合体を得た。合成例2と同様に、変性シロキサン重合体GPCで分析した結果、分子量500以下の低分子量オリゴマーは全く存在しなかった。
[シロキサン重合体組成物の製造]
[実施例1]
合成例2で得られた変性シロキサン重合体2.56g、下記化学式3aで表される網状構造のシロキサン重合体5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1gおよびPS−CS−1.8CS(Unicore社製)(PS−CS−1.8CSを反応溶液中のPt濃度が3ppmとなるように添加)を混合し、当該混合物を完全に溶解して変性シロキサン重合体組成物を得た。
前記変性シロキサン重合体組成物中の水素原子/ビニル基の比率(H/Vi)は1.1:1であった。
[実施例2]
合成例2で得られた変性シロキサン重合体1.11g、前記化学式3aで表される網状構造のシロキサン重合体5.3g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1gとPS−CS−1.8CS(Unicore社製)(PS−CS−1.8CSを反応溶液中のPt濃度が3ppmとなるように添加)を混合し、当該混合物を完全に溶解して変性シロキサン重合体組成物を得た。
前記変性シロキサン重合体組成物中の水素原子/ビニル基の比率は1.1:1であった。
[実施例3]
合成例3で得られた変性シロキサン重合体3.11g、前記化学式3aで表される網状構造のシロキサン重合体5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1gとPS−CS−1.8CS(Unicore社製)(PS−CS−1.8CSを反応溶液中のPt濃度が3ppmとなるように添加)を混合し、当該混合物を完全に溶解して変性シロキサン重合体組成物を得た。
前記変性シロキサン重合体組成物中の水素原子/ビニル基の比率(H/Vi)は1.1:1であった。
[実施例4]
合成例3で得られた変性シロキサン重合体1.34g、前記化学式3aで表される網状構造のシロキサン重合体5.3g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1gとPS−CS−1.8CS(Unicore社製)(PS−CS−1.8CSを反応溶液中のPt濃度が3ppmとなるように添加)を混合し、当該混合物を完全に溶解して変性シロキサン重合体組成物を得た。
前記変性シロキサン重合体組成物中の水素原子/ビニル基の比率(H/Vi)は1.1:1であった。
[比較例]
前記化学式4で表される末端がビニル基であるポリフェニルメチルシロキサン(PMV−9925)1.60g、前記化学式3aで表される網状構造のシロキサン重合体5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1gとPS−CS−1.8CS(Unicore社製)(PS−CS−1.8CSを反応溶液中のPt濃度が3ppmとなるように添加)を混合し、当該混合物を完全に溶解してシロキサン重合体組成物を得た。
前記シロキサン重合体組成物中の水素原子/ビニル基の比率(H/Vi)は1.1:1であった。
[評価−1]
実施例1〜4による変性シロキサン重合体組成物と比較例によるシロキサン重合体組成物をそれぞれ150℃のオーブンで1時間加熱して硬化した後、450nmにおける初期透過度を測定した。また、タックメータ(Tack meter)を使用して前記硬化樹脂がカラムを通過する時間を測定した。カラムを通過する時間は粘着性を測定する尺度となり、カラムを通過する時間が短いほど粘着性が低いことを意味する。
前記硬化した樹脂をそれぞれ250℃のオーブン内に1000時間放置した後、再び450nmでの透過度を測定した。初期透過度と熱処理後透過度との差が小さいほど耐熱性および耐光性に優れていることを意味する。
その結果は表1〜3のとおりである。
なお、表1において、熱膨張係数(CTE)は熱機械分析(thermal mechanical analysis,TMA)法で測定し、粘着性はTOPTAC−2000A(CHEMILAB社製)を用いて測定した。
表1および2から分かるように、実施例1〜4の変性シロキサン重合体組成物は、比較例のシロキサン重合体組成物と類似する屈折率を有しているが、粘着性が低く、熱処理後透過度の減少は小さいことが分かる。
[評価−2]
実施例1〜3による変性シロキサン重合体組成物と比較例によるシロキサン重合体組成物をそれぞれ150℃のオーブンで1時間加熱して硬化した後、TMA法を利用して硬化物の弾性率および線または熱膨脹係数(CTE)を測定した。
表2から分かるように、実施例1〜3による変性シロキサン重合体組成物は比較例によるシロキサン重合体組成物に比べて熱による線膨脹係数が小さく、弾性率が小さいことが分かる。
[評価−3]
実施例1〜4による変性シロキサン重合体組成物と比較例によるシロキサン重合体組成物をそれぞれ直径1cm、高さ1cmのプラスチックカップに注入した後、150℃のオーブンで1時間加熱して硬化した。この硬化した樹脂を−30℃の冷媒槽と150℃のオーブンで交互にそれぞれ30分間放置することによって、熱衝撃を与えた。これを20回繰り返した後にプラスチックカップおよび硬化した樹脂の亀裂の有無を確認した。
その結果は表3のとおりであり、表中、×は亀裂がないことを示し、◎は亀裂が観察されたことを示す。
表3から分かるように、実施例1〜4の変性シロキサン重合体組成物は亀裂が見られなかったのに対し、比較例のシロキサン重合体組成物は多量の亀裂が見られた。これは実施例1〜4の変性シロキサン重合体組成物の弾性率および熱膨張係数が比較例のシロキサン重合体組成物のそれらに比べて大きく低下したことに起因したものと判断される。
以上から実施例1〜4の変性シロキサン重合体組成物は、屈折率が良好であり、耐熱性および耐光性に優れていると共に、低い熱膨張係数および粘着性を示すことが分かる。
以上、本発明のシロキサン重合体は、耐熱性および耐光性が比較的弱いエポキシ系封止材よりも望ましい。しかしながら、特定のシロキサン重合体は硬化後に高い熱膨張係数を有するため、割れやすく、界面粘着性が低い。さらに、特定のシロキサン共重合体封止材は高い表面の粘着性のため作業性に劣っていた。
前記実施例は、耐亀裂性の向上(それにより発光素子の安定性を確保できる)および粘着性の低下(耐熱性および耐光性を維持するとともに、作業性を改善できる)を示す変性シロキサン重合体組成物を提供する。
本発明を特定の範囲において説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、発明の本質および記述によって解釈される。例えば、図面、特徴および/または特定の実施例との関連で記載されている要素は、特に明示されている場合を除き、本出願時において当業者に明確な図面、特徴、および/または他の実施例との関連で記載されている要素と個別にまたは結びつけて使用されこともある。したがって、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の精神および範囲から乖離することなく解されるであろう。

Claims (12)

  1. 変性シロキサン重合体および網状構造のシロキサン重合体を含み、
    前記変性シロキサン重合体が、
    環構造であって、2以上のSi−O結合を有する環状シロキサン部分、
    前記環状シロキサン部分のSiに炭素数2〜10のアルキレン基で結合している置換されたもしくは非置換の線状シロキサン部分、および
    末端に二重結合部分を有する、変性シロキサン重合体組成物。
  2. 前記変性シロキサン重合体は、下記化学式1で表される化合物と下記化学式2で表される化合物との反応によって得られる、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物:
    前記化学式1において、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R1〜R6のうちの少なくとも2つは水素原子であり、nは0〜10の整数である、
    前記化学式2において、LおよびL'はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であり、R7〜R12は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、mは0〜500の整数である。
  3. 前記化学式2で表される化合物の前記LおよびL'が、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基またはペンチレン基から選択される、請求項2に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  4. 前記環状シロキサン部分が、前記変性シロキサン重合体1分子に平均1つ以上含まれる、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  5. 前記変性シロキサン重合体の数平均分子量が、約500〜30000である、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  6. 前記変性シロキサン重合体が、前記変性シロキサン重合体組成物の総質量に対し約5〜95質量%含まれる、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  7. 前記網状構造のシロキサン重合体は、下記化学式3で表される、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物:
    前記化学式3において、R13〜R18は、それぞれ独立して、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換されたもしくは非置換の炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換されたもしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲンまたはこれらの組み合わせであり、R16、R17、およびR18のうちの少なくとも一つはアルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0およびT+D+M=1である。
  8. 2つ以上の水素−ケイ素結合を有する硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  9. ヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物。
  10. 請求項1に記載の変性シロキサン重合体組成物を硬化して得られる封止材。
  11. 請求項10に記載の封止材を含む電子デバイス。
  12. 封止材によって封止された発光ダイオード、有機発光デバイス、光ルミネセンスおよび太陽電池を含む、請求項11に記載の電子デバイス。
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