JP2012159043A - 発電プラント、発電プラントにおける吸気冷却制御装置及び発電プラントの運転制御方法 - Google Patents

発電プラント、発電プラントにおける吸気冷却制御装置及び発電プラントの運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大気温度の変動に対応でき、送電端効率を高めるガスタービンを含む発電プラント、その発電プラントにおける吸気冷却制御装置及びその発電プラントの運転制御方法を提供する。
【解決手段】ガスタービン発電プラント1Aは、圧縮機3の吸気を冷却する吸気冷却装置100を備えている。吸気冷却装置100は、冷凍機23A〜23D、冷却水ポンプ35A,35B、吸気冷却器8、冷却水流量調整弁33、吸気冷却制御装置21等を含んでいる。吸気冷却制御装置21は、ガスタービン発電目標値と、大気温度TE5に基づいて、吸気冷却器8の作動の要否を判断し、その作動が必要と判断した場合に、ガスタービン発電目標値、大気温度TE5、圧縮機吸気温度TE1、冷却水温度TE3に基づいて、複数台の冷凍機23A〜23Dの運転台数の制御と、複数台の冷却水ポンプ35A,35Bの運転台数の制御と、吸気冷却器8への冷却水の流量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスタービンの圧縮機へ流入する吸入空気(吸気)を冷却するための吸気冷却装置を備えた発電プラント、その発電プラントにおける吸気冷却制御装置及びその発電プラントの運転制御方法に関する。
ガスタービン発電プラントやコンバインドサイクル発電プラントで一般に用いられる体積流量一定の定回転速度の圧縮機では、夏場等に大気温度が高くなって圧縮機への吸気の温度(吸気温度)が高くなった場合、空気密度が低下して吸気の質量流量が低下するため、それに合わせて圧縮機で圧縮された空気に燃焼器で混合する燃料の燃料流量も低減せざるを得ない。つまり、圧縮機の吸気温度が高ければガスタービンの出力は低下する。
この問題を解決する一手段として、圧縮機へ流入させる吸入空気を冷却するための吸気冷却装置を備えたガスタービン発電プラント、コンバインドサイクル発電プラントにおいて、圧縮機への吸気の温度(吸気温度)を低下させる技術として特許文献1に記載された技術がある。
特許文献1に記載された技術では、コンバインドサイクル発電プラントにおける排熱ボイラ出口とスタック間に設けられた排熱ボイラ出口の高温の排ガスから熱回収する排熱回収熱交換器を設け、その排熱回収交換器で熱回収を行った温水を熱源とする低温水吸収冷凍機と、を備え、更にその低温水吸収冷凍機により冷却された冷水により圧縮機への吸気を冷却する吸気冷却装置を備えた構成となっている(特許文献1の図1参照)。
更に、特許文献2には、冷媒を圧縮して断熱膨張させる冷凍機を1台配置することにより、圧縮機への吸気を冷却する技術(特許文献2の図1参照)が記載されている。
特開平8−158814号公報(図1、図3参照) 特開2007−270700号公報(図1参照)
しかしながら、特許文献1に記載された低温吸収冷凍機を用いた技術では、低温吸収冷凍機の構成やその制御が複雑となる課題がある。また、特許文献2に記載された冷媒を用いた冷凍機を1台備えて、ガスタービン発電プラント又はコンバインドサイクル発電プラントの圧縮機への吸気を冷却する方法では、大気温度の高低の変化に関係なく、夏場の最大定格発電量を賄うのに十分な冷却能力容量の冷凍機1台を設置して運転する必要がある。その場合、吸気冷却のために必要な冷凍機の能力が小さくて十分な大気温度のときにも、その冷却能力容量の大きい1台の冷凍機の運転に発電電力の一部が消費されるので、送電端効率が悪化するという課題があった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、大気温度の変動に柔軟に対応でき、送電端効率を高めることができるガスタービン発電プラント、又はコンバインドサイクル発電プラントである発電プラント、その発電プラントにおける吸気冷却制御装置及びその発電プラントの運転制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本願発明は、少なくともガスタービンを用いる発電プラントにおいて、圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却装置を備え、吸気冷却装置は、複数台の冷凍機と、複数台の冷却水ポンプと、圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却器と、吸気冷却器に供給する冷却水の流量を調整するとともに、バイパス配管を通じて過剰の冷却水を戻す冷却水流量調整弁と、配管と、吸気冷却制御装置と、を含んでいる。
そして、吸気冷却制御装置は、少なくとも、ガスタービンへの出力指令値と、第1吸気温度センサの検出する吸気冷却器の上流側における吸気流路の吸気の温度に基づいて、吸気冷却器の作動の要否を判断し、吸気冷却器の作動が必要と判断した場合に、少なくともガスタービンへの出力指令値と、第1吸気温度センサ及び第2吸気温度センサの検出する吸気冷却器の上流側及び下流側における夫々の吸気流路の吸気の温度と、吸気冷却器出口冷却水温度センサの検出する戻りの冷却水温度と、に基づいて、複数台の冷凍機の運転台数の制御と、複数台の冷却水ポンプの運転台数の制御と、冷却水流量調整弁が吸気冷却器へ供給する冷却水の流量を制御することを特徴とする。
そして、複数台の冷凍機は、その出口側の冷却水の温度を所定の一定値に冷却するように冷凍機制御装置により制御されることが好ましい。
更に、吸気冷却制御装置は、吸気冷却器の作動の要否を判断する吸気冷却作動判断手段と、吸気冷却器の下流側における吸気流路の吸気の目標温度を設定する圧縮機吸気温度設定手段と、吸気冷却器出口冷却水温度センサの検出する戻りの冷却水温度に対して上限値と下限値を設定する冷却水温度目標範囲設定手段と、複数台の冷凍機の運転台数を制御する冷凍機運転台数制御手段と、複数台数の冷却水ポンプの運転台数の制御をする冷却水ポンプ台数制御手段と、第2吸気温度センサの検出する吸気冷却器の下流側の吸気の温度が、圧縮機吸気温度設定手段により設定された吸気の目標温度になるように冷却水流量調整弁を制御する冷却水流量制御手段と、を有している。そして、冷凍機運転台数制御手段は、吸気冷却作動判断手段が吸気冷却器の作動を必要とすると判断した場合に、冷却水温度目標範囲設定手段により設定された戻りの冷却水温度に対する上限値を戻りの冷却水温度が超えたとき、冷凍機の運転台数を増加させ、冷却水温度目標範囲設定手段により設定された戻りの冷却水温度に対する下限値を戻りの冷却水温度が下回ったとき、冷凍機の運転台数を減少させ、冷却水ポンプ台数制御手段は、冷凍機運転台数制御手段が運転させている冷凍機の台数に基づいて冷却水ポンプの運転台数を制御することが好ましい。
また、本願発明は、少なくともガスタービンを用いる発電プラントにおいて、圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却装置を備えた発電プラントの運転制御方法を含む。
本発明によれば、少なくともガスタービンを用いる発電プラントにおいて、圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却装置を備え、その吸気冷却装置の構成として、複数台の冷凍機、複数台の冷凍機に冷却水を戻して循環させる複数台の冷却水ポンプ、圧縮機へ吸気を導く吸気流路に配置され吸気と熱交換して冷却する吸気冷却器、冷却水ポンプ及び冷凍機の運転台数を制御する吸気冷却制御装置を含んでいるので、吸気冷却器の上流側における吸気流路の吸気の温度(つまり、大気温度)又はガスタービンへの出力指令値の変動に応じて必要最小限の冷凍機及び冷却水ポンプの運転台数に柔軟に切り替え制御できる。
その結果、最大冷却能力が大容量の冷凍機を1台用いる場合、特に吸収式冷凍機を用いる場合と比較して、通常は冷凍機の最大冷却能力よりも低い能力で運転することが多いので、所内負荷が削減でき送電端効率が向上する。つまり、単位送電端出力に対する燃費が低減できる。
また、冷凍機等のメンテンナス、冷凍機の故障等の場合に、当該の冷凍機だけを運転から切離して対処することができるので、吸気冷却装置の能力を全喪失するということがなく、1台の大容量冷凍機の場合よりも、リスク分散の観点で有利となる。また、冷凍機として、例えば、コンパクトで一体型のターボ式冷凍機を用いることにより、冷凍機の起動と停止が容易になる。
更に、吸気冷却制御装置は、吸気冷却作動判断手段を含んでいるので吸気冷却器の作動を運転員の判断操作によらず自動的に行うことができる。更に、圧縮機吸気温度設定手段、冷却水温度目標範囲設定手段、冷凍機運転台数制御手段、冷却水ポンプ台数制御手段、冷却水流量制御手段を含んでいるので、ガスタービンへの出力指令値にガスタービン出力が追従可能なように運転員が介入操作することが不要となり、運転員の負担を軽減することが可能となる。
本発明によれば、大気温度の変動に柔軟に対応でき、送電端効率を高めることができるガスタービン発電プラント又はコンバインドサイクル発電プラントである発電プラント、その発電プラントにおける吸気冷却制御装置及びその発電プラントの運転制御方法を提供することができる。
吸気冷却装置を備えたガスタービン発電プラントの概略構成図である。 図1における発電機制御部と吸気冷却制御部の機能構成ブロック図である。 ガスタービン発電プラントにおける圧縮機吸気温度TE1とガスタービンによる最大発電出力QGmaxとの関係の概念的説明図である。 図1における冷却水流量制御弁の制御の流れを示すフローチャートである。 (a)は、三方弁である冷却水流量調整弁の周囲の概略構成の説明図、(b)は、冷却水流量調整弁の弁開度の説明図である。 大気温度TE5の変動に対応した冷凍機及び冷却水ポンプの運転台数の変化の推移の説明図であり、(a)は、大気温度TE5の時間推移の説明図、(b)は、冷却水温度TE3に基づく冷凍機の運転台数の時間変化の説明図、(c)は、冷却水ポンプの運転台数の時間変化の説明図である。 吸気冷却装置を備えたガスタービン発電プラントにおける大気温度TE5の変化に対する送電端出力QOut及び送電端効率ηOutの変化の関係の概念的な説明図である。 冷凍機の運転台数をパラメータにした送電端効率ηOutと最大の送電端出力QOutmaxの関係の概念的な説明図である。 吸気冷却装置を備えたコンバインドサイクル発電プラントの概略構成図である。 図9における発電機制御部と吸気冷却制御部の機能構成ブロック図である。 コンバインドサイクル発電プラントにおける圧縮機吸気温度TE1と発電機の最大発電出力QGmaxとの関係の概念的説明図である。 吸気冷却装置を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおける大気温度TE5の変化に対する送電端出力QOut及び送電端効率ηOutの変化の関係の概念的な説明図である。
以下に、本発明の実施形態に係る発電プラントルについて図を参照しながら詳細に説明する。
《第1の実施形態》
先ず、図1から図8を参照して第1の実施形態に係る発電プラントであるガスタービン発電プラント1Aについて説明する。
《ガスタービン発電プラント1Aの全体概要》
図1は、吸気冷却装置を備えたガスタービン発電プラントの概略構成図である。図2は、図1における発電機制御部と吸気冷却制御部の機能構成ブロック図である。
ガスタービン発電プラント1Aは、主に、圧縮機3、燃焼器4、ガスタービン5、発電機6、吸気冷却装置100を含んで構成されている。
圧縮機3は、空気(大気)を吸入して圧縮する。燃焼器4は、圧縮機3で圧縮された空気と燃料供給配管9から供給される燃料とを混合燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する。そして、燃焼器4で生成された高温高圧の燃焼ガスによりガスタービン5が回転させられ回転駆動力を得る。
吸気冷却装置100については詳細に後記する。
また、ガスタービン発電プラント1Aは、外部の、例えば、給電指令所からのガスタービン発電プラント1Aへの給電要求指令値C1に従って、ガスタービン発電プラント1Aを統括制御する発電機制御部20Aと、前記した吸気冷却装置100の中に含まれる制御対象を制御する吸気冷却制御部(吸気冷却制御装置)21を備えている。この制御対象は、例えば、後記する冷凍機23A〜23D、冷却水流量調整弁33、冷却水ポンプ35A,35Dである。
つまり、吸気冷却制御部21は、発電機制御部20Aとの間で相互に通信可能に接続され、発電機制御部20Aの制御指令に従って吸気冷却装置100全体の運転を統括制御する。
発電機制御部20Aは、例えば、筺体に収容された制御盤の形態をして構成され、CPU,ROM,RAM等を備えた演算回路ボードや、センサ等からの入力信号を演算回路ボードへ入力するためにA/D変換したり、フィルタリング処理したり、演算回路ボードからの出力信号を出力するように処理したりする周辺回路を搭載した入出力インタフェースボードを含んでいる。発電機制御部20Aが制御する制御対象に、例えば、電動弁が含まれる場合には、更に、その電動弁のモータに電力を供給するモータコントローラをその筺体内に含んでいても良い。
発電機6の出力端には、電力センサ58が設けられ、発電端出力QGm(図2参照)が計測されて発電端出力QGmを示す信号が発電機制御部20Aに入力される。発電機6の出力の一部は、所内負荷に用いられ、図示しない変電装置を介して所定の送電電圧に昇圧され送電される。所定の送電電圧に昇圧された送電端には電力センサ59が設けられ、送電端出力QOut(図2参照)が計測され、送電端出力QOutを示す信号が発電機制御部20Aに入力される。
ちなみに、発電機制御部20Aは、給電要求指令値C1に対し、送電端出力QOutを追従させるようにガスタービン発電目標値(ガスタービンへの出力指令値)QT(図2参照)を生成し、それに基づいて燃焼器4に供給される燃料の流量調整をする燃料流量調整弁10の弁開度を、燃料供給配管9に設けられた燃料流量センサ71からの信号の示す燃料流量や発電端出力QGmや、後記する圧縮機吸気温度TE1等に基づいて制御する。また、ガスタービン発電目標値QTを後記する吸気冷却制御部21に入力する。
発電機制御部20Aの機能については、図2の説明の中で詳しく説明する。
圧縮機3の吸入側には空気を吸入する流路として吸気流路7が設けられ、その中に冷水と吸入される大気との間で熱交換する吸気冷却器8が格納されている。そして、吸気冷却器8は、吸気流路7の入口から吸入された大気である吸気冷却器入口側吸気62A(以下「吸気大気」と称する)を必要に応じ冷却して、吸気冷却器出口側吸気62B(以下、「圧縮機吸気」と称する)の圧縮機吸気温度TE1を大気温度TE5よりも所要温度だけ低下させることができる。
吸気流路7の吸気冷却器入口側吸気流路7aには、吸気大気62Aの温度を検出する吸気温度センサ(第1吸気温度センサ)57が設けられ、大気温度TE5を示す信号が吸気冷却制御部21に入力されるとともに、吸気流路7の吸気冷却器出口側吸気流路7bには、圧縮機吸気62Bの温度を検出する吸気温度センサ(第2吸気温度センサ)51が設けられ、圧縮機吸気温度TE1を示す信号が吸気冷却制御部21に入力される。
ここで、吸気冷却器入口側吸気流路7a、吸気冷却器出口側吸気流路7bが、夫々、特許請求の範囲に記載の「吸気冷却器の上流側及び下流側における夫々の前記吸気流路」に対応する。
《吸気冷却装置100》
本実施形態におけるガスタービン発電プラント1Aは、前記した吸気冷却器8、吸気温度センサ51、吸気温度センサ57を含む吸気冷却装置100を備えている。以下に、吸気冷却装置100の詳細な構成を説明する。
吸気冷却装置100は、図1に示すように前記した吸気冷却器8、吸気冷却制御部21、4台の冷凍機23(図1では符号23A〜23Dで表示)、冷却水流量調整弁33、2台の冷却水ポンプ35A,35B、吸気温度センサ51,57、冷却水温度センサ52、冷却水温度センサ(吸気冷却器出口冷却水温度センサ)53、配管等を含んで構成されている。
(冷凍機23)
4台の冷凍機23(図1では符号23A〜23Dで表示)は、夫々同じ構成であり、その冷却能力も同一であるので、代表的に冷凍機23Aを例にその詳細な構成を説明する。
冷凍機23Aは、冷媒を圧縮して断熱膨張させたときに冷媒側が冷却水と熱交換して冷却水から吸熱して、冷却水の温度を低下させる型式の冷凍機であり、例えば、モータ駆動のターボ式冷凍機である。冷凍機23Aは、冷凍機本体24A、冷凍機本体24Aで冷却された冷却水を吐出する冷却水出口配管27A、冷凍機本体24Aに冷却されるべき冷却水を供給する冷却水戻り配管28A、冷却水出口配管27Aに設けられて冷凍機本体24Aで冷却された冷却水の温度である冷凍機出口側の冷却水温度TE4Aを検出する温度センサ54A、冷凍機本体24Aの運転をオン/オフ制御したりする冷凍機制御装置25Aを含んで構成されている。
冷凍機制御装置25Aは、吸気冷却制御部21から運転指令を受けたとき冷凍機本体24Aを起動し、図示しないターボ式冷凍機のモータの回転速度を制御したり、冷媒の流量を制御したりして、温度センサ54Aの検出する冷凍機出口側の冷却水温度TE4Aを予め設定された目標の冷却水温度に一定に制御する機能を有している。
そのため、冷凍機制御装置25Aは、ターボ式冷凍機のモータの回転速度を制御するCPU等を含む制御回路の他に、発電機6の発電端から電力を給電されて、所要の電力をターボ式冷凍機のモータに供給する、例えば、インバータ等の電源回路を含んでいる。
ちなみに、冷凍機制御装置25Aは、前記した目標の冷却水温度を入力して設定する入力手段、例えば、タッチパネル等の表示手段と入力手段を兼ねたものを含んでいる。
冷凍機制御装置25Aは、吸気冷却制御部21から冷凍機本体24Aが運転中に運転停止指令を受けたときは、冷凍機本体24Aを停止する。
なお、冷凍機23Aは、冷凍機本体24Aが運転時には、全開状態とし、冷凍機本体24Aが停止時には全閉状態とする図示しない例えば電磁弁である冷却水遮断弁を有し、冷凍機制御装置25Aによって制御される。この冷却水遮断弁は、冷凍機本体24Aの内部の冷却水配管に設けられていても良いし、前記した冷却水出口配管27A又は冷却水戻り配管28Aのいずれかに設けても良い。
このように冷凍機23A〜23Dに冷却水遮断弁を設けるのは、冷凍機23A〜23Dうちで停止しているものがある場合に、冷却水が停止している冷凍機23を通水されて、吸気冷却器8に供給される冷却水の温度が所定の目標値に達しないことを防止するためである。
冷凍機23A〜23Dは、公知の冷凍機であり、これ以上の詳細な構成は省略する。
(配管、冷却水流量調整弁33、冷却水ポンプ35A,35B)
冷凍機23A〜23D夫々の冷却水出口配管27A〜27Dは、冷却水供給配管29Aに接続され、冷凍機23A〜23Dから供給された冷却された冷却水は夫々冷却水供給配管29Aに集められる。冷却水供給配管29Aは、三方弁である冷却水流量調整弁33の弁入口33aに接続されている。冷却水流量調整弁33の第1の弁出口33bには、冷却水供給配管29Bの一端が接続され、冷却水供給配管29Bの他端は吸気冷却器8の冷却水入口8aに接続されている。吸気冷却器8の冷却水出口8bには冷却水戻り配管30Aの一端が接続され、冷却水戻り配管30Aの他端はT字接続部30aに接続している。
冷却水流量調整弁33の第2の弁出口33cには、バイパス配管31の一端が接続し、バイパス配管31の他端はT字接続部30aに接続する。T字接続部30aには、冷却水戻り配管30Bの一端が更に接続し、冷却水戻り配管30Bの他端側は、2本の冷却水戻り配管34A,34Bに分岐し、夫々冷却水ポンプ35A,35Bの吸込み側に接続している。
図1に示した本実施形態では、例えば、吸気冷却器8に供給された冷却水は吸気の流れ方向に沿った水平方向に配設された図示しない多数本の細管内を流れる構成であり、吸気と同方向の冷却水の流れとしているが、それに限定されるものではない。吸気の流れ方向と細管内の冷却水の流れ方向は対向流とする構成でも良い。
また、吸気冷却器8内の前記多数本の細管は、水平又は垂直方向であって、吸気の流れ方向に対して直角方向に配されて吸気を冷却する構成でも良い。
冷却水ポンプ35A,35Bの吐出側に夫々接続した符号省略の冷却水戻り配管は、ヘッダ管である冷却水戻り配管36に接続し、冷却水戻り配管36に前記した冷凍機23A〜23Dの冷却水戻り配管28A〜28Dが夫々接続している。
冷却水ポンプ35A,35Bは、図示しないモータにより回転駆動され、その電力は発電機6の発電端側から供給される。そして、冷却水ポンプ35A,35Bは、吸気冷却制御部21により運転/停止が制御される。
なお、冷却水ポンプ35A,35Bの吐出側には、図示しない逆止弁が設けられ、運転時には吐出圧で開状態になり、停止時には閉状態になる。
これは、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの一方だけが運転状態のときに、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの停止している他方から冷却水が逆流するのを防止するためである。
冷却水供給配管29Aには、冷却水温度を検出する冷却水温度センサ52が設けられ、冷却水供給配管29Aを流れる冷却水の冷却水温度TE2を示す信号が吸気冷却制御部21に入力される。冷却水戻り配管30Bの冷却水戻り配管34A,34Bに分岐する前の上流側にも、冷却水戻り配管30Bを流れる冷却水の冷却水温度(戻りの冷却水温度)TE3を検出する冷却水温度センサ53が設けられ、冷却水温度TE3を示す信号が吸気冷却制御部21に入力される。
(発電機制御部20A)
次に、図2を参照しながら発電機制御部20Aの機能構成を説明する。発電機制御部20Aは、例えば、専用回線で発電会社の給電指令所と接続している。発電機制御部20Aは、機能部として、給電要求指令値受信部101、ガスタービン発電目標値設定部102、燃料供給量制御部105を含んで構成されている。これらの機能部は、発電機制御部20Aの前記した演算回路ボードに設けられたROM内に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。その際、ROM内に格納されたマップデータが適宜用いられる。
給電要求指令値受信部101は、給電指令所からの給電要求指令値C1を受付け、それをそのまま送電端出力目標値QTOutとしてガスタービン発電目標値設定部102に入力する。
ガスタービン発電目標値設定部102は、目標値フィードバック補正部102aを有している。ガスタービン発電目標値設定部102は、給電要求指令値受信部101から入力された送電端出力目標値QTOutに対し、予め設定されROM内に格納された図示しない所内負荷マップに基づいて所内負荷を推定し、送電端出力目標値QTOutに推定した所内負荷を加算してガスタービン発電目標値(ガスタービンへの出力指令値)QTを推定算出する。推定算出された仮のガスタービン発電目標値QTとして燃料供給量制御部105及び、吸気冷却制御部21に入力する。その後、目標値フィードバック補正部102aで送電端出力目標値QTOutと送電端出力QOutとの送電端出力偏差ΔQOutと、現在の発電端出力QGmとに基づいて、目標値フィードバック補正部102aで演算補正したガスタービン発電目標値QTを燃料供給量制御部105及び吸気冷却制御部21に入力する。
なお、前記した所内負荷マップには、ガスタービン発電目標値QTを設定するためのパラメータとして、例えば、送電端出力目標値QTOut、圧縮機吸気温度TE1、大気温度TE5が用いられ、所内負荷分の電力を推定演算できるようになっている。
ちなみに、圧縮機吸気温度TE1、大気温度TE5のデータは、吸気冷却制御部21からの通信回線で発電機制御部20Aに入力される。
燃料供給量制御部105は、予め設定された燃料供給量マップに基づいて、例えば、ガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度TE1に基づいて目標燃料流量を設定し、燃料流量センサ71の示す燃料流量が目標燃料流量になるように燃料流量調整弁10の弁開度を制御する。
なお、現在の発電端出力QGmがガスタービン発電目標値QTになるように燃料流量調整弁10の弁開度を補正制御しても良い。
(吸気冷却制御部21)
次に、図2を参照しながら適宜、図3から図6を参照して、吸気冷却制御部21の機能構成を説明する。吸気冷却制御部21は、専用通信線で発電機制御部20Aと接続している。吸気冷却制御部21は、機能部として、大気温度下ガスタービン最大発電量算出部(吸気冷却作動判断手段)201、吸気冷却作動要否判断部(吸気冷却作動判断手段)202、圧縮機吸気温度目標値設定部(圧縮機吸気温度設定手段)203、冷凍機運転台数制御部(冷凍機運転台数制御手段)204、冷却水流量制御部(冷却水流量制御手段)205、冷却水ポンプ運転制御部(冷却水ポンプ台数制御手段)206を含んで構成されている。
これらの機能部は、吸気冷却制御部21の後記する演算回路ボードに設けられたROM内に格納されたプログラムやマップデータをCPUが実行することで実現される。
吸気冷却制御部21は、例えば、筺体に収容された制御盤の形態をして構成され、CPU,ROM,RAM等を備えた演算回路ボードや、センサ等からの入力信号を演算回路ボードへ入力するためにA/D変換したり、フィルタリング処理したり、演算回路ボードからの出力信号を出力するように処理したりする周辺回路を搭載した入出力インタフェースボードを含んでいる。吸気冷却制御部21が制御する制御対象に、電動弁(例えば、冷却水流量調整弁33)や電動ポンプ(例えば、冷却水ポンプ35A,35B)が含まれる場合には、更に、その電動弁や電動ポンプのモータに電力を供給するモータコントローラをその筺体内に含んでいても良いし、電動弁や電動ポンプのモータに電力を供給するのは、電動弁や電動ポンプの設置場所近くに配置された夫々の図示しない制御盤から発電端から分岐された電力を供給する構成でも良い。
本実施形態では、吸気冷却制御部21は、電動弁や電動ポンプのモータに電力を供給するモータコントローラは、図示しない現場制御盤として配置されているとして説明する。
(大気温度下ガスタービン最大発電量算出部201)
先ず、図3を参照しながら大気温度下ガスタービン最大発電量算出部201(図2参照)について説明する。図3は、ガスタービン発電プラントにおける圧縮機吸気温度TE1とガスタービンによる最大発電出力QGmaxとの関係の概念的説明図である。横軸は圧縮機吸気温度(冷却器の下流側の吸気流路における吸気の温度)TE1(℃単位)を示し、縦軸はガスタービン5(図1参照)による発電端出力である最大発電出力QGmaxを示している。このマップデータは、前記した吸気冷却制御部21のROMに格納されている。
ちなみに、図3に示すように圧縮機吸気温度−最大発電出力の特性曲線X1は略直線的に圧縮機吸気温度TE1の増加に対し最大発電出力QGmaxは略直線的に減少する。従って、図3に示すように特性曲線X1上で、例えば、S1からS2のポイントに圧縮機吸気温度TE1を低下させると、最大発電出力QGmaxは増加させることができる。
ちなみに前記したマップデータの代わりに、関数やテーブルを用いても良い。
大気温度下ガスタービン最大発電量算出部201は、吸気温度センサ57が検出した大気温度TE5に基づき、図3において横軸を大気温度TE5として読み替え、大気温度下でのガスタービン5による最大発電出力QGmaxを算出し、吸気冷却作動要否判断部202に入力する。
この大気温度下での発電機6の最大発電出力QGmaxは、圧縮機吸気温度TE1が吸気冷却器8(図1参照)で冷却されること無く、そのまま圧縮機3(図1参照)に吸気された場合の可能な最大発電出力QGmaxである。
(吸気冷却作動要否判断部202)
吸気冷却作動要否判断部202(図2参照)は、大気温度下ガスタービン最大発電量算出部201から入力された最大発電出力QGmaxと、発電機制御部20Aのガスタービン発電目標値設定部102から入力されたガスタービン発電目標値QTを比較し、ガスタービン発電目標値QTが最大発電出力QGmaxを上回り、かつ、吸気温度センサ57が検出した大気温度TE5が吸気冷却装置運転開始仕様点(吸気冷却装置運転開始仕様温度)TE5thを超える条件を満たしたときに吸気冷却器8の作動が必要と判断する。そして、図2に示すように吸気冷却作動指令C2を圧縮機吸気温度目標値設定部203、冷凍機運転台数制御部204、冷却水流量制御部205に出力する。
前記した条件を満足しないときは、吸気冷却器8の作動は不要と判断し、吸気冷却作動指令C2を圧縮機吸気温度目標値設定部203、冷凍機運転台数制御部204、冷却水流量制御部205に出力しない。
このような例として、ガスタービン発電目標値QTが最大発電出力QGmaxを上回っていても、大気温度TE5が吸気冷却装置運転開始仕様点TE5th以下のときが考えられる。そのようなときは、大気温度TE5が低く、吸気を吸気冷却器8で冷却しても圧縮機吸気温度TE1を十分下げる効果が低く、発電機6の発電出力の増加が余り期待できない。その結果、冷凍機23A〜23Dの運転のために無駄な所内負荷が増大し、送電端出力QOutが逆に低下する可能性があるため、吸気冷却作動要否判断部202は吸気冷却作動指令C2を出力しない。
(圧縮機吸気温度目標値設定部203)
圧縮機吸気温度目標値設定部203(図2参照)は、吸気冷却作動要否判断部202から吸気冷却作動指令C2を受けている状態のとき、ガスタービン発電目標値設定部102から入力されたガスタービン発電目標値QTを図3のマップデータにおける縦軸上の最大発電量QGmaxとして、それに対応する圧縮機吸気温度TE1を圧縮機吸気温度目標値TE1として設定し、冷却水流量制御部205、冷却水ポンプ運転制御部206に出力する。
(冷凍機運転台数制御部204)
冷凍機運転台数制御部204(図2参照)は、戻りの冷却水温度上下限設定部(冷却水温度目標範囲設定手段)204aを有している。そして、戻りの冷却水温度上下限設定部204aは、予め実験的に設定又はシミュレーション解析で設定されたデータマップを参照し、例えば、ガスタービン発電目標値設定部102から入力されたガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度目標値TE1、大気温度TE5に基づいて、冷却水温度TE3の上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowを設定する(図6の(b)参照)。
このため、冷却水温度上下限設定部204aで用いられる前記上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowを求めるための前記データマップは、パラメータとして、ガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度目標値TE1、大気温度TE5を用いた多次元マップである。同じ大気温度TE5でも、圧縮機吸気温度目標値TE1が低いほど上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowは、低く設定される。また、同じ大気温度TE5でも、ガスタービン発電目標値QTが高いほど上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowは、低く設定される。
このように、上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowを設定することによって、吸気冷却器8に要求されるよる吸気の冷却能力の増大に対応した冷凍機23A〜23Dの運転台数の制御が柔軟にでき、冷却水流量調整弁33による吸気冷却器8への冷却水流量の調整能力が高まる。
この上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowの差であるヒステリシスΔTE3(図6の(b)参照)は、大気温度TE5の変化により冷凍機23A〜23Dの運転台数が頻繁に変化することの無いように十分な差を持たせた所定の固定値としても良いし、前記したガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度目標値TE1、大気温度TE5の少なくともいずれかをパラメータとして、十分な差を持たせた上での可変としても良い。
なお、簡便な上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowの設定方法として、前記したガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度目標値TE1、大気温度TE5のパラメータの値に関係なく予め決められた一定値に固定しても良い。
上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowを前記したいずれの方法で設定するにしても、上限値TE3 Hi、下限値TE3 Lowの値は、冷凍機23(図2では23A〜23Dで表示)を冷凍機出口側の冷却水温度TE4(図2ではTE4A〜TE4Dで表示)一定の制御で運転できる範囲の値である。
そして、冷凍機運転台数制御部204は、吸気冷却作動要否判断部202から吸気冷却作動指令C2を受けている状態のとき、戻りの冷却水温度上下限設定部204aで設定された上限値TE3 Hi及び下限値TE3 Lowと、冷却水温度TE3と、に応じて、冷凍機23A〜23Dのうちのどの冷凍機を運転するか、運転中のどの冷凍機を停止するかを決め、個々の冷凍機23A〜23Dの運転と決められた当該の冷凍機23(冷凍機23A〜23Dのうちの当該機)の冷凍機制御装置25(冷凍機制御装置25A〜25Dのうちの当該冷凍機制御装置)に運転/停止指令を出力する。この詳細な制御の説明は、図6の説明の中で後記する。
冷凍機制御装置25A〜25Dは、冷凍機23A〜23Dが運転状態か、停止状態かを示す情報(図2中、「運転/停止状態」と表示)を冷凍機運転台数制御部204に入力する。それに基づいて冷凍機運転台数制御部204は、冷凍機制御装置25A〜25Dに運転/停止指令を出力する。
(冷却水流量制御部205)
次に、図4、図5を参照しながら適宜、図2を参照して冷却水流量制御部205(図2参照)の機能について説明する。図4は、図1における冷却水流量制御弁の制御の流れを示すフローチャート、図5の(a)は、三方弁である冷却水流量調整弁の周囲の概略構成の説明図、図5の(b)は、冷却水流量調整弁の弁開度の説明図である。
冷却水流量制御部205(図2参照)は、吸気温度センサ51(図2参照)が検出した圧縮機吸気温度TE1が圧縮機吸気温度目標値設定部203(図2参照)で設定した圧縮機吸気温度目標値TE1になるように冷却水流量調整弁33の弁開度を制御する。この制御は、繰り返し制御である。
ステップS01では、冷却水流量制御部205は、圧縮機吸気温度目標値TE1を読み込む。ステップS02では、圧縮機吸気温度TE1を読み込む。そして、ステップS03では、圧縮機吸気温度TE1と圧縮機吸気温度目標値TE1との差分(TE1−TE1)が正の値の所定の閾値ε以上か否かをチェックする(「TE1−TE1≧ε?」)。圧縮機吸気温度TE1が圧縮機吸気温度目標値TE1よりε以上大きい場合は(Yes)、ステップS04へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS05へ進む。
ステップS04では、冷却水流量制御部205は、所定弁開度だけ吸気冷却器8への通水側の弁開度を増加し、逆にバイパス配管31への弁開度を同じ所定弁開度だけ減ずる(「吸気冷却器通水側の弁開度を増加し、逆にバイパス側の弁開度を減ずる」)。
ステップS05では、圧縮機吸気温度TE1と圧縮機吸気温度目標値TE1との差分(TE1−TE1)が所定の閾値−ε以下か否かをチェックする(「TE1−TE1≦ε?」)。圧縮機吸気温度TE1が圧縮機吸気温度目標値TE1より−ε以上小さい場合は(Yes)、ステップS06へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS01へ戻る(図4では「エンド」へ進むと表示)。
ステップS06では、冷却水流量制御部205は、所定弁開度だけ吸気冷却器8への通水側の弁開度を減じ、逆にバイパス配管31への弁開度を同じ所定弁開度だけ増加する(「吸気冷却器通水側の弁開度を減じ、逆にバイパス側の弁開度を増加する」)。
なお、図5の(b)示すように三方弁である冷却水流量調整弁33の弁開度は、吸気冷却器通水側の弁開度(%)と、バイパス側の弁開度(%)の合計が常に100%になるように設定され、冷却水流量調整弁33が流路抵抗とならないように構成されている。
また、前記した冷却水流量調整弁33の弁開度の調整において、ステップS04,S06では、所定の弁開度だけ弁開度調整するとし、TE1−TE1の差分の大小によらず一定弁開度の弁開度調整としたのは、冷却水供給配管29Aを流れる冷却水流量や、圧力は冷却水ポンプ35A,35Bの運転台数により依存するので、冷却水流量調整弁33の弁開度制御を単純にするためである。
もし、TE1−TE1の差分に応じて冷却水流量調整弁33の弁開度の調整量を決める場合は、冷却水供給配管29Aに、例えば、更に流量センサや圧力センサを設け、その流量センサの示す冷却水流量、圧力センサの示す冷却水圧力、冷却水温度TE2パラメータとしてTE1−TE1の差分に応じた冷却水流量調整弁33の弁開度の調整量を演算することが望ましい。しかし、大気温度TE5の変化や圧縮機吸気温度目標値TE1の変化の時間的度合いは緩やかであり、前記した冷却水流量調整弁33の所定弁開度の調整量による繰り返し制御で十分対応可能である。
なお、冷却水流量制御部205は、吸気冷却器8を作動させていない場合、つまり、吸気冷却作動指令C2を吸気冷却作動要否判断部202から受けていない場合は、冷却水流量調整弁33は、バイパス側の弁開度を100%に固定する。これは、冷凍機23の運転が必要と思われる場合に、前もって最低でも1台の冷凍機23を待機運転させて、冷却水を冷却水供給配管29A、バイパス配管31、冷却水戻り配管30B、冷却水ポンプ35の一台、待機運転中の冷凍機23と循環させて待機運転させる場合に備えるためである。
この待機運転は、吸気冷却制御部21において自動で行わせても良いし、運転員が図示しないコンソールの操作をして吸気冷却制御部21に指令が出せるようにしても良い。
(冷却水ポンプ運転制御部206)
次に、図2、図6を参照しながら冷却水ポンプ運転制御部206について説明する。図6は、大気温度TE5の変動に対応した冷凍機及び冷却水ポンプの運転台数の変化の推移の説明図であり、(a)は、大気温度TE5の時間推移の説明図、(b)は、冷却水温度TE3に基づく冷凍機の運転台数の時間変化の説明図、(c)は、冷却水ポンプの運転台数の時間変化の説明図である。図6は、便宜的に送電端出力目標値QTOutが一定であった場合に、大気温度TE5の変動、及び冷却水温度TE3の変化に伴い、冷凍機23A〜23D及び冷却水ポンプ35A,35Bが起動・停止する時間推移を示している。
図2に示すように、冷却水ポンプ運転制御部206は、冷凍機運転台数制御部204から冷凍機運転台数を示す冷凍機運転台数情報C3と、吸気温度センサ57からの大気温度TE5を示す信号を受けて、大気温度TE5が上昇する過程では、冷凍機23A〜23Dのうち1台の冷凍機23が運転の状態のときは、例えば、冷却水ポンプ35Aの1台だけの運転とし、冷凍機23A〜23Dのうち2台以上の冷凍機が運転の状態ときは冷却水ポンプ35A,35Bの2台運転とする。そして、大気温度TE5が降下する過程では、冷凍機23A〜23Dのうち3台以上の冷凍機が運転の状態のときは冷却水ポンプ35A,35Bの2台運転とし、冷凍機23A〜23Dのうち2台以下の冷凍機23が運転の状態のときは冷却水ポンプ35Bのみの1台運転とする。
図6の(a)に示すように大気温度TE5が上昇し、吸気冷却装置運転開始仕様点TE5thを超えると、冷凍機運転台数制御部204は、吸気冷却作動要否判断部202からの吸気冷却作動指令C2を受けて、図6の(b)に示すように時刻t1において冷凍機23Aを1台目に運転する冷凍機23として起動する(「吸気冷却装置起動」)。すると、冷凍機23Aの冷却能力は、冷凍機制御装置24Aによる冷却水温度TEAを一定の目標値に維持する運転により急速に増大され、冷却水温度TE3も低下し始めるともに、冷却水流量調整弁33が冷却水流量制御部205によって制御され、冷却器通水側の弁開度を開く。冷却器通水側の弁開度が増大した分バイパス側弁開度を減じて、吸気冷却器8による圧縮機吸気の冷却が開始される。それに伴い冷却水温度TE3も増加する傾向があるが、それ以上に冷凍機23Aの冷却能力が増大されているので、戻りの冷却水温度上下限設定部204aが設定した上限値TE3 Hiを下回るようになる。こうして、冷却水流量制御部205は、冷却水流量調整弁33をバイパス配管31側にも通水して冷却水温度TE3が低下し、圧縮機吸気温度TE1に応じた弁開度の調整代が確保できるとともに、運転中の冷凍機23(図2では、符号23A〜23Dで表示)に対する冷凍機出口側の冷却水温度TE4(図2では、TE4A,TE4B,TE4C,TE4D)一定制御が確保できる。
しかし、更に大気温度TE5が上昇し続けると、圧縮機吸気温度TE1が上昇するとともに吸気冷却器8の出口側の冷却水温が上昇し、冷却水流量調整弁33によるバイパス配管31への流量をどんどん減じ、吸気冷却器8への流量を増大させる。それに伴い、冷却水温度TE3は増加し始め、上限値TE3 Hiを時刻t2において超える。このとき、冷凍機運転台数制御部204は、冷凍機23Bを2台目に運転する冷凍機23として起動する。このように大気温度TE5が上昇を続け、給電要求指令値C1に対応した圧縮機吸気温度目標値TE1が大気温度TE5よりも十分下回って場合は、冷凍機23の運転台数が増加する毎に上限値TE3 Hiを一時的に下回るが、再び上限値TE3 Hiを超える。最終的に冷凍機運転台数制御部204は、冷凍機23C,23Dを3台目、4台目と冷却水温度TE3が上限値TE3 Hiを超える時刻t3,t4に起動する。
従って、冷凍機23A,23Bの起動に伴って、図6の(c)に示すように時刻t1で1台目の冷凍機23Aが起動したタイミングに冷却水ポンプ35Aが起動し、時刻t2で2台目の冷凍機23Bが起動したタイミングに冷却水ポンプ35Bも起動する。
図6の(a)に示すように大気温度TE5がピークを過ぎて降下を開始すると、冷却水流量調整弁33によるバイパス配管31への流量がどんどん増加するとともに冷却水温度TE3は、図6の(b)に示すように時刻t5において戻りの冷却水温度上下限設定部204aが設定した下限値TE3 Lowを下回るようになる。このとき、冷凍機運転台数制御部204は、1台目に起動した冷凍機23Aを先ず停止する。冷凍機23Aの停止により、冷却水流量調整弁33によるバイパス配管31への流量を減ずることができ、冷却水温度TE3は増加に転じて下限値TE3 Lowを上回るようになる。このように大気温度TE5が下降を続け、給電要求指令値C1に対応した圧縮機吸気温度目標値TE1が大気温度TE5に接近すると、冷凍機23B,23Cの2台目、3台目の冷凍機23を、冷却水温度TE3が下限値TE3 Lowを下回る時刻t6,t7に停止する。
最終的に冷凍機運転台数制御部204は、冷凍機23Dの4台目の冷凍機を冷却水温度TE3が下限値TE3 Lowを下回った時刻t8に停止し、吸気冷却を停止する(「吸気冷却装置停止」)。
従って、図6の(c)に示すように、時刻t6で2台目の冷凍機23Bが停止したタイミングで、冷凍機23C,23Dは運転継続中であるが、冷却水ポンプ35Aは停止し、時刻t8で3台目、4台目の冷凍機23C,23Dも停止したタイミングに冷却水ポンプ35Bも停止する。
このように、大気温度TE5が上昇する過程と大気温度TE5が降下する過程との間で、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの1台だけでの運転条件を変えるのは、以下の理由による。
大気温度TE5が上昇する過程では、吸気冷却装置100には、より急速な圧縮機吸気の冷却能力の増加が要求されるので、運転を開始していない冷凍機23を事前に待機状態においておく必要があるためである。これに対し、大気温度TE5が降下する過程では、圧縮機吸気の冷却能力の減少の速度は緩やかであり、吸気冷却装置100には、運転していない状態の冷凍機23の能力に余裕を持たせて待機させる必要が無いためである。
また、吸気冷却器8を作動させるときには、冷却水ポンプ35A,35Bの2台のうち、冷却水ポンプ35Aを最初に起動し、吸気冷却器8の冷却能力を低下させても良い場合には、先に起動した冷却水ポンプ35Aを停止して、次に後から起動した冷却水ポンプ35Bを停止させる。このような運転方法を採用することにより、吸気冷却装置100の冷却水ポンプ35A,35B間で夫々の運転時間を略均等化させ、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの一方の運転時間が極端に長くなって、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの一方の劣化が急速に進むのを低減できる。
同様に、図6の(b)に示すように、冷凍機運転台数制御部204は、起動するときには冷凍機23A,23B,23C,23Dの順に起動し、そして運転している冷凍機23A,23B,23C,23Dを停止させるときは、先に運転を開始した冷凍機23A,23B,23C,23Dの順に停止をさせる制御をする。従って、吸気冷却装置100の冷凍機23A〜23D間の夫々の運転時間を略均等化させ、冷凍機23A〜23Dの特定の1台の運転時間が極端に長くなって、冷凍機23A〜23Dのうちの1台の劣化が急速に進むのを低減できる。
なお、冷凍機運転台数制御部204は、冷凍機制御装置25A〜25Dから運転/停止状態を示す信号を受信しているので、夫々の冷凍機23A〜23Dの累積運転時間を記憶して、累積運転時間の短い冷凍機から起動するように起動の順番を設定して、冷凍機23A〜23Dの4台間の夫々の累積運転時間において、特定の冷凍機23の累積運転時間が短くならないように累積運転時間を均等化するように制御しても良い。
図7は、吸気冷却装置を備えたガスタービン発電プラントにおける大気温度TE5の変化に対する送電端出力QOut及び送電端効率ηOutの変化の関係の概念的な説明図である。
ガスタービン5(図1参照)は、大気温度TE5が上昇すると発電出力が低下する特性を持つため、吸気冷却装置運転開始仕様点TE5thを超えても吸気冷却器8を作動させない場合(吸気冷却装置100を不使用時)、大気温度TE5の上昇に伴い発電端出力QGmは減少する。従って、破線の曲線X2Aで示す送電端出力QOutも大気温度TE5の上昇に伴い減少する。
一方、吸気冷却装置100を使用時の発電端出力QGmは、冷凍機23A〜23Bや冷却水ポンプ35A,35Bの運転による所内負荷の増大以上に発電端出力QGmを増大させることができ、実線の曲線X2Bで示す送電端出力QOutも大気温度TE5の上昇に対し、減少することなく維持できる。
なお、ガスタービン発電プラント1Aは、大気温度TE5の上昇時の送電端出力QOutの低下を抑制できるが、発電した電力の一部を冷凍機23A〜23D(4台使用が前提ベース)、冷却水ポンプ35A,35B(2台使用が前提ベース)等の所内負荷の動力として使用することになる。従って、吸気冷却装置100を不使用時の破線の曲線Y2Aで示した送電端効率ηOutよりも吸気冷却装置100を使用時の実線の曲線Y2Bで示した送電端効率ηOutの方が低下する。
ちなみに、大気温度上昇時の送電端出力QOutの低下を抑制の効果を矢印αで示すように、大気温度TE5が大きいほど大きくなるが、送電端効率ηOut(%)の低下の最大値βは、吸気冷却装置運転開始仕様点TE5thで生じる。
図8は、冷凍機の運転台数をパラメータにした送電端効率ηOutと最大の送電端出力QOutmaxの関係の概念的説明図である。
定格の送電端出力QOutR以下では、吸気冷却装置100を不使用時の送電端効率ηOutを示す曲線Y3が常に最大を示す。冷凍機23の運転台数が増加することにより最大の送電端出力QOutmaxを増大させることができるが、冷凍機23の運転台数が1台ずつ増加するにつれ曲線Y3,Y3,Y3,Y3と送電端効率ηOut(%)は低下する。その故に吸気冷却装置100は、給電要求指令値C1が吸気冷却装置100不使用時の定格の送電端出力QOutRを超える場合に使用した方が有効であり、吸気冷却装置100不使用時の定格の送電端出力QOutRを超えない場合には、吸気冷却装置100を不使用とすることが経済的に有効となる。
この吸気冷却装置100不使用時の定格の送電端出力QOutRは、大気温度TE5が吸気冷却装置運転開始仕様点(吸気冷却装置運転開始仕様温度)TE5thを示したときの大気温度下ガスタービン最大発電量算出部201(図2参照)において算出される最大発電出力QGmaxと対応している。
本実施形態によれば、給電要求指令値C1が吸気冷却装置100の不使用時の大気温度TE5に応じた最大の送電端出力QOutmax以上であった場合に、吸気冷却作動要否判断部202(図2参照)において吸気冷却器8の作動が必要と判断するので、吸気冷却装置100の使用の要否を自動で判定することが可能である。
また、冷凍機23A〜23Dの運転台数増加により最大の送電端出力QOutmaxが増加する反面、送電端効率ηOutは低下するため、給電要求指令値C1を満足する範囲で、冷凍機23A〜23Dのうちの運転台数、冷却水ポンプ35A,35Bの運転台数を最小にした自動運転ができる構成としており、給電要求指令値C1に送電端出力QOutを自動追従させつつ、送電端効率ηOutの低下の抑制に有効である。
また、吸気冷却装置100の不使用、使用の判断を吸気冷却制御部21において自動的に行い、吸気冷却装置100の使用時の吸気冷却器8の冷却能力の制御、つまり、圧縮機吸気温度目標値TE1の設定とそれに圧縮機吸気温度TE1を追従させる制御が運転員の介入が無く自動で行えるので、運転員の負担を大幅に軽減することが可能となる。
また、冷却水ポンプ35A,35Bの2台、冷凍機23A〜23Dの4台としているので、冷却水ポンプ35A,35Bのうちの1台の故障や定期的メンテナンス、冷凍機23A〜23Dのうちの一部台数の故障や定期的メンテナンスに対しても、一定の吸気冷却器8による圧縮機吸気温度TE1の冷却能力が維持できるので、吸気冷却全喪失のリスク低減にも寄与できる。
なお、本実施形態では、冷却水ポンプ運転制御部206は、大気温度TE5が昇温過程か降温過程かの判定と、冷凍機運転台数情報C3によって冷却水ポンプ35A,35Bの運転台数を決定することとしたが、それに限定されることは無く、冷凍機23の運転台数が3台までの場合は、冷却水流量調整弁33のバイパス側弁開度が、所定の範囲、例えば、20〜50%範囲内に収まるように回転速度制御を行い、冷却水ポンプ35A,35Bの所要負荷を低減して送電端効率ηOutの低下の抑制を更に図るようにしても良い。
《第2の実施形態》
次に、図1から図12を参照して第2の実施形態に係る発電プラントであるコンバインドサイクル発電プラント1Bについて説明する。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
《コンバインドサイクル発電プラント1Bの全体概要》
図9は、吸気冷却装置を備えたコンバインドサイクル発電プラントの概略構成図である。図10は、図9における発電機制御部と吸気冷却制御部の機能構成ブロック図である。
コンバインドサイクル発電プラント1Bは、主に、圧縮機3、燃焼器4、ガスタービン5、高圧タービン16Aと低圧タービン16B、発電機6、排熱回収ボイラ13、吸気冷却装置100を含んで構成されている。
本実施形態では、ガスタービン5の駆動力は、駆動軸5aを介して圧縮機3に伝え圧縮機3を回転駆動するとともに、更に圧縮機3の吸気側の回転軸から延伸された駆動軸5bが高圧タービン16Aと低圧タービン16Bのロータ軸16a,16bと接続し、それらを介してガスタービン5の回転駆動力と高圧タービン16Aと低圧タービン16Bで発生した回転駆動力が発電機6に伝えられ、発電機6を回転駆動して発電する。
ガスタービン5から排出されるガスタービン排ガス63(図9中、「GT排ガス63」と表示)は、排気ダクト11Aに接続して配置された排熱回収ボイラ13を通過し、前記した高圧タービン16Aと低圧タービン16Bを駆動する蒸気を発生させた後、排気ダクト11Bから図示しないスタックを経て排気される。
コンバインドサイクル発電プラント1Bは、ガスタービン5の高温のガスタービン排ガス63を利用して排熱回収ボイラ13で給水を加熱し、発生した蒸気を蒸気タービン駆動蒸気として利用することにより、ガスタービ発電プラント1Aよりも高いプラント効率を実現する。
本コンバインドサイクル発電プラント1Bでは、蒸気タービンとして高圧タービン16Aと低圧タービン16Bを備え、低圧タービン16Bの排気蒸気が復水器18にダンプされて水に戻され、復水器18の水は給水ポンプ19により給水配管14を経て排熱回収ボイラ13に給水される。排熱回収ボイラ13内には、図示しないが、ガスタービン排ガス63の水平方向の流れに対して直角水平方向及びガスタービン排ガス63の水平方向の流れ方向に多数の加熱管が林立されて配置されている。そして、それらの多数の加熱管は、ガスタービン排ガス63の流れの下流方向側から上流側に向かって、多段の加熱管群に分けられ、1つの加熱管群に含まれる加熱管の下端と上段は夫々共通の下部ヘッダ、上部ヘッダに接続されている。
本コンバインドサイクル発電プラント1Bの排熱回収ボイラ13では、前記した複数段に分けられた加熱管群は、例えば、予熱段、低圧蒸気発生段、再加熱段、高圧蒸気発生段の順にガスタービン排ガス63の下流側から上流側に向かって各段の加熱管群が配置され、予熱段の下部ヘッダに給水配管14が接続され、予熱段の上部ヘッダは、低圧蒸気発生段の下部ヘッダに図示しない配管で接続されている。そして、低圧蒸気発生段の上部ヘッダ(以下、「低圧蒸気ヘッダ」と称する)では気水分離機能を有して気水分離がなされ、その蒸気相部分が低圧主蒸気管15Aに接続されるとともに、高圧蒸気発生段の下部ヘッダに図示しない配管で接続されている。低圧蒸気ヘッダで気水分離された液相部分は図示しない配管で再び低圧蒸気発生段の下部ヘッダに戻り自然循環するように構成されている。
ちなみに、低圧蒸気ヘッダには、図示しない水位センサが設けられ、後記する発電機制御部20Bにその信号が入力されている。
前記した再加熱段の下部ヘッダ(以下、「低温再加熱蒸気ヘッダ」と称する)に、低温再加熱蒸気管15Cが接続され、再加熱段の上部ヘッダ(以下「高温再加熱蒸気ヘッダ」と称する)に、高温再加熱蒸気管15Dが接続されている。
前記した高圧蒸気発生段の加熱管群の上部ヘッダ(以下、「高圧蒸気ヘッダ」と称する)は、高圧主蒸気管15Bに接続されている。
そして、本コンバインドサイクル発電プラント1Bの排熱回収ボイラ13では、前記した低圧蒸気ヘッダから低圧主蒸気が低圧主蒸気管15Aを経て、低圧タービン16Bの中途段の蒸気入口に供給される。
低圧蒸気ヘッダにおいて収集された蒸気の一部は、ガスタービン排ガス63の流れの最上流側の高圧蒸気発生段の加熱管群の下部ヘッダに供給され、加熱されて高圧蒸気となり高圧蒸気ヘッダから高圧主蒸気管15Bを経て、高圧タービン16Aの蒸気入口へ供給される。
高圧タービン16Aの排気蒸気は、低温再加熱蒸気管15Cを経て、排熱回収ボイラ13の前記した低温再加熱蒸気ヘッダに入り、再加熱段の加熱管群を通過中に再加熱され、高温再加熱蒸気ヘッダから高温再加熱蒸気管15Dを経て、低圧タービン16Bの最上流段の蒸気入口へ供給される。
なお、本実施形態では蒸気タービンとして高圧タービン16Aと低圧タービン16Bを有し、その蒸気タービンの回転軸が、ガスタービン軸と駆動軸5a、圧縮機軸及び駆動軸5bを介して接続した一軸形式のコンバインドサイクル発電プラント1Bとしたが、蒸気タービンとして低中圧タービンを1台だけ有するものでも良い。また、排熱回収ボイラ13の構成も前記したものに限定されるものではない。
また、コンバインドサイクル発電プラント1Bは、外部の、例えば、給電指令所からのコンバインドサイクル発電プラント1Bへの給電要求指令値C1に従って、コンバインドサイクル発電プラント1Bを統括制御する発電機制御部20Bと、前記した吸気冷却装置100の中に含まれる制御対象を制御する吸気冷却制御部(吸気冷却制御装置)21を備えている。この制御対象は、例えば、後記する冷凍機23A〜23D、冷却水流量調整弁33、冷却水ポンプ35A,35Dである。
つまり、吸気冷却制御部21は、発電機制御部20Bとの間で相互に通信可能に接続され、発電機制御部20Bの制御指令に従って吸気冷却装置100全体の運転を統括制御する。
発電機制御部20Bは、第1の実施形態における発電機制御部20Aと機能が一部異なるだけで、制御盤としての構成は基本的に同様であり重複する説明は省略する。
発電機6の出力端には、電力センサ58が設けられ、発電端出力QGm(図10参照)が計測されて発電端出力QGmを示す信号が発電機制御部20Bに入力される。発電機6の出力の一部は、所内負荷に用いられ、図示しない変電装置を介して所定の送電電圧に昇圧され送電される。所定の送電電圧に昇圧された送電端には電力センサ59が設けられ、送電端出力QOut(図10参照)が計測され、送電端出力QOutを示す信号が発電機制御部20Bに入力される。
また、排気ダクト11Aには、例えば、ガスタービン排ガス63の温度(以下、「ガスタービン排ガス温度TE6」と称する)を検出する温度センサ73と、ガスタービン排ガス63の流量(以下、「ガスタービン排ガス流量」と称する)を検出する排ガス流量センサ75が設けられ、それらからの信号が発電機制御部20Bに入力される。
ちなみに、発電機制御部20Bは、給電要求指令値C1に対し、送電端出力QOutを追従させるようにガスタービン発電目標値(ガスタービンへの出力指令値)QT(図10参照)を生成し、それに基づいて燃焼器4に供給される燃料の流量調整をする燃料流量調整弁10の弁開度を、燃料供給配管9に設けられた燃料流量センサ71からの信号の示す燃料流量や発電端出力QGmや、後記する圧縮機吸気温度TE1等に基づいて制御する。
その際、ガスタービン排ガス温度TE6とガスタービン排ガス流量に基づいて、蒸気タービン(高圧タービン16A、低圧タービン16B)で発電する発電量を推定算出して、その分だけ減じてガスタービン発電目標値QTを生成する。そして、ガスタービン発電目標値QTを吸気冷却制御部21に入力する。
発電機制御部20Bの機能については、図10の説明の中で詳しく説明する。
(発電機制御部20B)
次に、図10を参照しながら発電機制御部20Bの機能構成を説明する。発電機制御部20Bは、例えば、専用回線で発電会社の給電指令所と接続している。発電機制御部20Bは、機能部として、給電要求指令値受信部101、ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103、排熱回収ボイラ・蒸気タービン制御部104、燃料供給量制御部105を含んで構成されている。これらの機能部は、発電機制御部20Bの前記した演算回路ボードに設けられたROM内に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。その際、ROM内に格納されたマップデータが適宜用いられる。
給電要求指令値受信部101は、給電指令所からの給電要求指令値C1を受付け、それをそのまま送電端出力目標値QTOutとしてガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103に入力する。
ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103は、目標値フィードバック補正部103aを有している。ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103は、給電要求指令値受信部101から入力された送電端出力目標値QTOutに対し、温度センサ73からのガスタービン排ガス温度TE6、排ガス流量センサ75からのガスタービン排ガス流量及び大気温度TE5に基づいて、予め設定されROM内に格納された図示しない蒸気タービン出力マップを参照して蒸気タービン発電目標値QTを推定算出する。
そして、ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103は、予め設定されROM内に格納された所内負荷マップに基づいて所内負荷を推定する。更に、ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103は、送電端出力目標値QTOutから推定算出した蒸気タービン発電目標値QTを減算し、更に推定した所内負荷を加算してガスタービン発電目標値(ガスタービンへの出力指令値)QTを推定算出する。
ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103は、推定算出したガスタービン発電目標値QTを燃料供給量制御部105及び吸気冷却制御部21に入力する。その後、目標値フィードバック補正部103aで送電端出力目標値QTOutと送電端出力QOutとの送電端出力偏差ΔQOutと、現在の発電端出力QGmとに基づいて、目標値フィードバック補正部103aで演算補正したガスタービン発電目標値QTを燃料供給量制御部105及び、吸気冷却制御部21に入力する。
なお、前記した所内負荷マップには、ガスタービン発電目標値QTを設定するためのパラメータとして、例えば、送電端出力目標値QTOut、圧縮機吸気温度TE1、大気温度TE5、蒸気タービン発電目標値QTが用いられ、所内負荷分の電力を推定演算できるようになっている。
なお、本実施形態における所内負荷分の電力には、第1の実施形態における所内負荷として例示されたものの他に、蒸気タービン(高圧タービン16A、低圧タービン16B)による発電のための給水ポンプ19の動力分が加算されている。
ちなみに、圧縮機吸気温度TE1、大気温度TE5のデータは、吸気冷却制御部21からの通信回線で発電機制御部20Bに入力される。
なお、ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103において蒸気タービン発電目標値QTを前記した蒸気タービン出力マップを参照して、ガスタービン排ガス温度TE6、ガスタービン排ガス流量及び大気温度TE5から算出する方法に限定される必要は無く、低圧主蒸気管15A、高圧主蒸気管15B及び高温再加熱蒸気管15Dに蒸気流量センサと蒸気圧センサ、蒸気温度センサをそれぞれ設置し、低圧主蒸気管15A、高圧主蒸気管15B及び高温再加熱蒸気管15Dから供給される蒸気温度及び蒸気流量、大気温度TE5に基づき、予めROMに格納された蒸気タービン効率マップを参照して蒸気タービン発電目標値QTを推定算出しても良い。
排熱回収ボイラ・蒸気タービン制御部104は、蒸気タービン発電目標値QTに基づいて、給水ポンプ19(図9参照)の回転速度を制御する。
そして、排熱回収ボイラ・蒸気タービン制御部104は、蒸気タービン発電目標値QTに基づく給水ポンプ19の回転速度制御の補正として、前記した低圧蒸気ヘッダの水位が予め設定された目標水位となるように公知の技術で水位一定優先の給水ポンプ19の回転速度制御を行う。
ちなみに、前記した蒸気タービン発電目標値QTに推定誤差があっても、目標値フィードバック補正部103aにおいて送電端出力QOutが送電端出力目標値QTOutになるようにガスタービン発電目標値QTを補正するので、蒸気タービン(高圧タービン16A、低圧タービン16B)による実際の発電量に応じてガスタービン発電目標値QTが補正される。
燃料供給量制御部105は、予め設定された燃料供給量マップに基づいて、例えば、ガスタービン発電目標値QT、圧縮機吸気温度TE1に基づいて目標燃料流量を設定し、燃料流量センサ71の示す燃料流量が目標燃料流量になるように燃料流量調整弁10の弁開度を制御する。
なお、現在の発電端出力QGmがガスタービン発電目標値QTになるように燃料流量調整弁10の弁開度を補正制御しても良い。
図11は、コンバインドサイクル発電プラントにおける圧縮機吸気温度TE1と発電機の最大発電出力QGmaxとの関係の概念的説明図である。横軸は圧縮機吸気温度TE1(℃単位)を示し、縦軸はガスタービン5(図9参照)、高圧タービン16A(図9参照)及び低圧タービン16B(図9参照)による最大発電出力QGmaxを示している。
コンバインドサイクル発電プラント1Bの場合、大気温度TE5の上昇に伴うガスタービン5の出力低下に加え、大気温度TE5の上昇に伴う復水器18(図9参照)の真空度低下による蒸気タービンの出力低下も加味される。
図11は、コンバインドサイクル発電プラント1Bの最大発電出力QGmaxの圧縮機吸気温度TE1の関係を模式的に示した例である。
なお、図11において大気温度TE5の値をA、B,C,Dとパラメータにし、略直線の曲線X3A,X3B,X3C,X3Dで、コンバインドサイクル発電プラント1Bの発電端出力である最大発電出力QGmax−圧縮機吸気温度TE1の特性曲線を示している。ここで大気温度TE5の値は、A<B<C<Dの順に大気温度TE5が高い状態を示している。
コンバインドサイクル発電プラント1Bの場合、大気温度TE5の上昇による復水器真空度の低下により、蒸気タービン(高圧タービン16A及び低圧タービン16B)の出力が低下する為、吸気冷却装置100により圧縮機吸気温度TE1を一定値に制御した場合でも、大気温度TE5の上昇によりコンバインドサイクル発電プラント1Bとしての最大発電出力QGmaxは低下する。
大気温度TE5の値がD℃の曲線X3Dにおいて、圧縮機吸気温度TE1をT1℃に設定すると、Q1MWを発電することができる(ポイントS3)。大気温度TE5がD℃の曲線X3Dにおいて発電出力をQ2MWに出力変化させる場合、圧縮機吸気温度TE1をT2℃に設定することによって実行できる(ポイントS4)。更に大気温度TE5がB℃の曲線X3Cに変化した状態において発電出力をQ3MWに出力変化させる場合、圧縮機吸気温度TE1をT3℃に設定することによって実行できる(ポイントS5)。
そこで、前記したようにガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部103において、蒸気タービン発電目標値QTを推定算出するとともにガスタービン発電目標値QTを推定算出し、その後、目標値フィードバック補正部103aで送電端出力目標値QTOutと送電端出力QOutとの送電端出力偏差ΔQOutと、現在の発電端出力QGmとに基づいて、ガスタービン発電目標値QTを補正算出し、その上で、第1の実施形態と同様に吸気冷却作動要否判断部202で吸気冷却器8による圧縮機吸気62Bの冷却の要否を判断し、必要と判断したとき吸気冷却作動指令C2を圧縮機吸気温度目標値設定部203、冷凍機運転台数制御部204、冷却水流量制御部205に出力する。
そして、圧縮機吸気温度目標値設定部203(図10参照)は、吸気冷却作動要否判断部202から吸気冷却作動指令C2を受けている状態のとき、ガスタービン発電目標値設定部102から入力されたガスタービン発電目標値QTを図3のマップデータにおける縦軸上の最大発電量QGmaxとして、それに対応する圧縮機吸気温度TE1を圧縮機吸気温度目標値TE1として設定し、冷却水流量制御部205、冷却水ポンプ運転制御部206に出力する。
そして、第1の実施形態と同様に冷却水流量制御部205が冷却水流量調整弁33(図9参照)の弁開度を制御するとともに、圧縮機吸気温度TE1を圧縮機吸気温度目標値TE1に維持できるように、冷凍機運転台数制御部204が冷凍機23A〜23Dの運転を制御し、冷却水ポンプ運転制御部206が冷却水ポンプ35A,35Dの運転を制御するので、大気温度TE5の変化による蒸気タービン(高圧タービン16A及び低圧タービン16B)の出力低下を、ガスタービン発電目標値QTを変更することで補償でき、また、給電要求指令値C1の変更にも容易に追随できる。
ちなみに、蒸気タービン(高圧タービン16A、低圧タービン16B)の実際の発電出力に応じてガスタービン発電目標値QTは補正されている。
図12は、吸気冷却装置を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおける大気温度TE5の変化に対する送電端出力QOut及び送電端効率ηOutの変化の関係の概念的な説明図である。
ガスタービン5(図9参照)は、大気温度TE5が上昇すると発電出力が低下する特性を持つため、吸気冷却装置運転開始仕様点TE5thを超えても吸気冷却器8を作動させない場合(吸気冷却装置100を不使用時)、大気温度TE5の上昇に伴い発電端出力QGmは減少する。従って、破線の曲線X4Aで示す送電端出力QOutも大気温度TE5の上昇に伴い減少する。このとき、大気温度TE5の上昇に伴う復水器真空度の低下により、蒸気タービン(高圧タービン16A及び低圧タービン16B)の出力も低下するので、ガスタービン発電プラント1Aの場合よりも発電端出力QGmの減少度合いは急になる。
一方、吸気冷却装置100を使用時の発電端出力QGmは、冷凍機23A〜23Bや冷却水ポンプ35A,35Bの運転による所内負荷の増大以上に発電端出力QGmを増大させることができ、実線の曲線X4Bで示す送電端出力QOutは大気温度TE5の上昇に対し、蒸気タービン(高圧タービン16A及び低圧タービン16B)の出力低下が寄与して若干減少するが、緩やかな減少に留まる。参考のために細い一点鎖線で示した水平の直線X4Cと曲線X4Bとの差が、復水器真空度低下による蒸気タービンの出力低下分を示している。
なお、コンバインドサイクル発電プラント1Bは、大気温度上昇時の送電端出力QOutの低下を略抑制できるが、発電した電力の一部を冷凍機23A〜23D(4台使用が前提ベース)、冷却水ポンプ35A,35B(2台使用が前提ベース)等の所内負荷の動力として使用することになる。従って、吸気冷却装置100を不使用時の破線の曲線Y4Aで示した送電端効率ηOutよりも吸気冷却装置100を使用時の実線の曲線Y4Bで示した送電端効率ηOutの方が低下する。
ちなみに、大気温度上昇時の送電端出力QOutの低下を抑制の効果矢印γで示すように、大気温度TE5が大きいほど大きくなるが、送電端効率ηOut(%)の低下の最大値δは、吸気冷却装置運転開始仕様点TE5thで生じる。
本実施形態のコンバインドサイクル発電プラント1Bは、ガスタービン5が圧縮機3を駆動するとともに、高圧タービン16A、低圧タービン16Bと一軸で接続され発電機6を駆動する構成としたがそれに限定されるものではない。
図示は省略するが、ガスタービン5が圧縮機3を駆動するとともに第1の発電機を駆動し、高圧タービン16A及び低圧タービン16Bは、第2の発電機を駆動する構成でも本実施形態と同様に容易に吸気冷却装置100を適用できる。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態の吸気冷却装置100において、冷凍機23は、冷凍機23A〜23Dの4台とし、冷却水ポンプ35は、冷却水ポンプ35A,35Bの2台とする構成としたがそれに限定されるものではない。
冷凍機23を6台とし、冷却水ポンプ35は、冷却水ポンプ35A,35Bの2台とする構成としても良いし、冷凍機23を6台とし、冷却水ポンプ35は、3台とする構成としても良く、適宜、ガスタービンの容量に合わせて少なくとも複数台である冷凍機23の台数、少なくとも複数台である冷却水ポンプ35の台数を決めるものである。
更に、第1の実施形態及び第2の実施形態では、複数の冷凍機23(冷凍機23A〜23D)は、全て同じ冷却能力としたがそれに限定されるものではない。
1A ガスタービン発電プラント(発電プラント)
1B コンバインドサイクル発電プラント(発電プラント)
3 圧縮機
4 燃焼器
5 ガスタービン
6 発電機
7 吸気流路
7a 吸気流路(吸気冷却器の上流側における吸気流路)
7b 吸気流路(吸気冷却器の下流側における吸気流路)
8 吸気冷却器
9 燃料供給配管
10 燃料流量調整弁
11,11A,11B 排気ダクト
13 排熱回収ボイラ
14 給水配管
15A 低圧主蒸気管
15B 高圧主蒸気管
15C 低温再加熱蒸気管
15D 高温再加熱蒸気管
16A 高圧タービン(蒸気タービン)
16B 低圧タービン(蒸気タービン)
16a,16b 駆動軸
18 復水器
19 給水ポンプ
20A,20B 発電機制御部(発電機制御装置)
21 吸気冷却制御部(吸気冷却制御装置)
23A,23B,23C,23D 冷凍機
24A,24B,24C,24D 冷凍機本体
25A,25B,25C,25D 冷凍機制御装置
27A,27B,27C,27D 冷却水出口配管
28A,28B,28C,28D 冷却水戻り配管
29A,29B 冷却水供給配管
30A,30B 冷却水戻り配管
31 バイパス配管
33 冷却水流量調整弁
34A,34B,36 冷却水戻り配管
35A,35B 冷却水ポンプ
51 吸気温度センサ(第2吸気センサ)
52 冷却水温度センサ
53 冷却水温度センサ(吸気冷却器出口冷却水温度センサ)
54A,54B,54C,54D 温度センサ
57 吸気温度センサ(第1吸気温度センサ)
58,59 電力センサ
62A 吸気大気
62B 圧縮機吸気
63 ガスタービン排ガス
71 燃料流量センサ
73 温度センサ
75 排ガス流量センサ
100 吸気冷却装置
101 給電要求指令値受信部
102 ガスタービン発電目標値設定部
102a 目標値フィードバック補正部
103 ガスタービン・蒸気タービン発電目標値設定部
103a 目標値フィードバック補正部
104 排熱回収ボイラ・蒸気タービン制御部
105 燃料供給量制御部
201 大気温度下ガスタービン最大発電量算出部
202 吸気冷却作動要否判断部(吸気冷却作動判断手段)
203 圧縮機吸気温度目標値設定部(圧縮機吸気温度設定手段)
204 冷凍機運転台数制御部(冷凍機運転台数制御手段)
204a 戻りの冷却水温度上下限設定部(冷却水温度目標範囲設定手段)
205 冷却水流量制御部(冷却水流量制御手段)
206 冷却水ポンプ運転制御部(冷却水ポンプ台数制御手段)
C1 給電要求指令値
C2 吸気冷却作動指令
C3 冷凍機運転台数情報
TE1 圧縮機吸気温度(冷却器の下流側の吸気流路における吸気の温度)
TE2 冷却水温度
TE3 冷却水温度(戻りの冷却水温度)
TE4A,TE4B,TE4C,TE4D 冷却水温度
TE5 大気温度(冷却器の上流側の吸気流路における吸気の温度)
TE6 ガスタービン排ガス温度
TE1 圧縮機吸気温度目標値
QGmax 最大発電出力
Gm 発電端出力
Out 送電端出力
QT ガスタービン発電目標値(ガスタービンへの出力指令値)
QT 蒸気タービン発電目標値
QTOut 送電端出力目標値

Claims (5)

  1. 圧縮機と、該圧縮機からの圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスにより回転駆動されるガスタービンと、を備え、該ガスタービンが前記圧縮機を回転駆動するとともに発電機を駆動する発電プラントにおいて、
    前記圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却装置を備え、
    該吸気冷却装置は、
    複数台の冷凍機と、
    前記複数台の冷凍機に冷却水を戻して循環させる複数台の冷却水ポンプと、
    前記圧縮機へ吸気を導く吸気流路に配置され、前記吸気と熱交換して冷却する吸気冷却器と、
    前記複数台の冷凍機から供給される冷却水を集合させて前記吸気冷却器に供給する冷却水供給配管と、
    前記吸気冷却器からの戻り冷却水を前記複数台の冷却水ポンプに戻す冷却水戻り配管と、
    前記冷却水供給配管から前記冷却水戻り配管にバイパス配管を介して流す分岐部分に設けられ、前記吸気冷却器に供給する前記冷却水の流量を調整するとともに、前記バイパス配管を通じて過剰の前記冷却水を前記冷却水戻り配管に流す冷却水流量調整弁と、
    前記吸気冷却器の上流及び下流側における夫々の前記吸気流路の前記吸気の温度を測定する第1吸気温度センサ及び第2吸気温度センサと、
    前記吸気冷却器からの戻りの冷却水温度を検出する吸気冷却器出口冷却水温度センサと、
    前記複数台の冷凍機と、前記複数台の冷却水ポンプと、前記冷却水流量調整弁と、を制御する吸気冷却制御装置と、
    を含み、
    前記吸気冷却制御装置は、
    少なくとも、前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側における前記吸気流路の前記吸気の温度に基づいて、前記吸気冷却器の作動の要否を判断し、
    前記吸気冷却器の作動が必要と判断した場合に、少なくとも前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサ及び第2吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側及び下流側における夫々の前記吸気流路の前記吸気の温度と、前記吸気冷却器出口冷却水温度センサの検出する前記戻りの冷却水温度と、に基づいて、前記複数台の冷凍機の運転台数の制御と、前記複数台の冷却水ポンプの運転台数の制御と、前記冷却水流量調整弁が前記吸気冷却器へ供給する前記冷却水の流量を制御することを特徴とする発電プラント。
  2. 圧縮機と、該圧縮機からの圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスにより回転駆動されるガスタービンと、該ガスタービンを回転駆動した後排出された排気ガスの熱で蒸気を生成する排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラで生成された蒸気により回転駆動される蒸気タービンと、該蒸気タービンを回転駆動させた蒸気を凝縮させる復水器と、を備え、
    前記ガスタービンが前記圧縮機を回転駆動するとともに第1の発電機を回転駆動し、更に前記蒸気タービンも前記第1の発電機を駆動する発電プラント、もしくは、前記ガスタービンが前記圧縮機を回転駆動するとともに前記第1の発電機を回転駆動し、更に前記蒸気タービンが第2の発電機を駆動する発電プラントにおいて、
    前記圧縮機の吸気を冷却する吸気冷却装置を備え、
    該吸気冷却装置は、
    複数台の冷凍機と、
    前記複数台の冷凍機に冷却水を戻して循環させる複数台の冷却水ポンプと、
    前記圧縮機へ吸気を導く吸気流路に配置され、前記吸気と熱交換して冷却する吸気冷却器と、
    前記複数台の冷凍機から供給される冷却水を集合させて前記吸気冷却器に供給する冷却水供給配管と、
    前記吸気冷却器からの戻り冷却水を前記複数台の冷却水ポンプに戻す冷却水戻り配管と、
    前記冷却水供給配管から前記冷却水戻り配管にバイパス配管を介して流す分岐部分に設けられ、前記吸気冷却器に供給する前記冷却水の流量を調整するとともに、前記バイパス配管を通じて過剰の前記冷却水を前記冷却水戻り配管に流す冷却水流量調整弁と、
    前記吸気冷却器の上流及び下流側における夫々の前記吸気流路の前記吸気の温度を測定する第1吸気温度センサ及び第2吸気温度センサと、
    前記吸気冷却器からの戻りの冷却水温度を検出する吸気冷却器出口冷却水温度センサと、
    前記複数台の冷凍機と、前記複数台の冷却水ポンプと、前記冷却水流量調整弁と、を制御する吸気冷却制御装置と、
    を含み、
    前記吸気冷却制御装置は、
    少なくとも、前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側における前記吸気流路の前記吸気の温度に基づいて、前記吸気冷却器の作動の要否を判断し、
    前記吸気冷却器の作動が必要と判断した場合に、少なくとも前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサ及び第2吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側及び下流側における夫々の前記吸気流路の前記吸気の温度と、前記吸気冷却器出口冷却水温度センサの検出する前記戻りの冷却水温度と、に基づいて、前記複数台の冷凍機の運転台数の制御と、前記複数台の冷却水ポンプの運転台数の制御と、前記冷却水流量調整弁が前記吸気冷却器へ供給する前記冷却水の流量を制御することを特徴とする発電プラント。
  3. 前記複数台の冷凍機は、その出口側の前記冷却水の温度を所定の一定値に冷却するように冷凍機制御装置により制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電プラント。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電プラントにおける前記吸気冷却制御装置であって、
    少なくとも前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側における前記吸気流路の前記吸気の温度に基づいて吸気冷却器の作動の要否を判断する吸気冷却作動判断手段と、
    少なくとも前記ガスタービンへの出力指令値と、前記第1吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の上流側の前記吸気の温度に基づいて前記吸気冷却器の下流側における前記吸気流路の前記吸気の目標温度を設定する圧縮機吸気温度設定手段と、
    前記吸気冷却器出口冷却水温度センサの検出する前記戻りの冷却水温度に対して上限値と下限値を設定する冷却水温度目標範囲設定手段と、
    前記複数台の冷凍機の運転台数を制御する冷凍機運転台数制御手段と、
    前記複数台数の冷却水ポンプの運転台数の制御をする冷却水ポンプ台数制御手段と、
    前記第2吸気温度センサの検出する前記吸気冷却器の下流側の前記吸気の温度が、前記圧縮機吸気温度設定手段により設定された前記吸気の目標温度になるように前記冷却水流量調整弁を制御する冷却水流量制御手段と、
    を有し、
    前記冷凍機運転台数制御手段は、前記吸気冷却作動判断手段が前記吸気冷却器の作動を必要とすると判断した場合に、
    前記冷却水温度目標範囲設定手段により設定された前記戻りの冷却水温度に対する前記上限値を前記戻りの冷却水温度が超えたとき、前記冷凍機の運転台数を増加させ、
    前記冷却水温度目標範囲設定手段により設定された前記戻りの冷却水温度に対する前記下限値を前記戻りの冷却水温度が下回ったとき、前記冷凍機の運転台数を減少させ、
    前記冷却水ポンプ台数制御手段は、前記冷凍機運転台数制御手段が運転させている前記冷凍機の台数に基づいて前記冷却水ポンプの運転台数を制御することを特徴とする発電プラントにおける吸気冷却制御装置。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電プラントにおける発電プラントの運転制御方法であって、
    前記吸気冷却制御装置は、前記ガスタービンへの出力指令値に基づいて前記吸気冷却器の下流側における前記吸気の目標温度を設定する圧縮機吸気温度設定手段を有し、
    前記第2吸気温度センサが検出する吸気温度が、前記吸気の目標温度になるように、少なくとも前記吸気冷却器出口冷却水温度センサが検出した前記戻りの冷却水温度に基づき前記冷凍機の運転台数と前記冷却水ポンプの運転台数を制御することを特徴とする発電プラントの運転制御方法。
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