JP2012154271A - 回転機械のロータの熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents

回転機械のロータの熱処理装置及び熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した温度での熱処理を効率的に行うことができる回転機械のロータの熱処理装置及び熱処理方法を提供する。
【解決手段】母材5となるタービンロータ1に発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部6及び溶接金属7に対して熱処理を施す熱処理装置10において、熱影響部6に付与される熱量が溶接金属7に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部6及び溶接金属7を同時に加熱する加熱手段20を設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、母材となる回転機械のロータに発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施す回転機械のロータの熱処理装置及び熱処理方法に関するものである。
火力発電プラント、原子力発電プラントは蒸気タービン(回転機械)を用いて発電を行っている。この蒸気タービンにおけるタービンロータ(ロータ)は、湿った水蒸気が常に接触するため腐食され易い。その中で、乾燥、湿潤が交互に訪れる領域である乾湿交番域は、ボイラ水中の処理物質が濃縮するために特に腐食し易い環境となっている。
このような腐食し易い条件下で蒸気タービンを運転し続けていると、タービンロータの翼溝等の応力が集中する部分に、応力腐食割れ、腐食疲労による亀裂が発生する。この亀裂は、運転の継続によって大きくなり、そのまま放置しておくと翼がタービンロータから外れて他の部位を破壊することになる。したがって、発電プラントでは定期的に検査を行って、タービンロータ各部位の亀裂発生の有無を検査し、その成長状況を定期的に把握することとしている。
上記のように発生した亀裂に対しては必要に応じて適宜補修を行う。この補修で対応できない場合には、タービンロータを取替えるが、コストを考慮すると取替えに至る前に補修を行うことが望ましい。タービンロータの補修は、肉盛溶接にて行うことが一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。
ここで、ロータの径が小径(φ600mm以下)の場合、施工面の曲率が大きいため、サブマージアーク溶接可能な分量のフラックスを施工面に堆積させることができない。よって、サブマージアーク溶接を採用すれば溶接所要時間がTIG溶接に比べて短いという利点があるにもかかわらず、現状ではTIG溶接を採用して肉盛溶接を行っている。
この肉盛溶接後には、溶接の熱によりロータの母材の表面が変性することで熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)が形成され、この熱影響部上に溶接金属が形成された状態となる。これら熱影響部及び溶接金属に対しては、残留応力の緩和や熱影響部の軟化を図るべく熱処理を実施する必要がある。
この熱処理の方法として、熱影響部と溶接金属とを同一のヒータにより同条件で熱処理を施すことが一般的に行われている。
また、特許文献1には、ロータの表面に第一の層を肉盛溶接により形成して熱影響部を生ぜしめ、これら第一の層及び熱影響部に第一の熱処理を施した後、第二の層を肉盛溶接により形成し、この第二の層に対して第二の熱処理を施すといった二段階熱処理が提案されている。
特開2007−222931号公報 特開2006−51524号公報
ところで、上記熱処理によって熱影響部の所望の硬度(Hv350未満)と溶接金属の所望の強度(720MPa)を得るためには、熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した温度で熱処理を施す必要がある。即ち、熱影響部では硬度を低下させるべく比較的高い温度(例えば、溶接金属よりも10〜100℃程高い温度)で熱処理を施す一方、強度を低下させたくない溶接金属では、熱影響部よりも低い温度(例えば500〜650℃)で熱処理を施すことが好ましい。
しかしながら、上述のように熱影響部と溶接金属とを同一のヒータにより同一条件で熱処理を施した場合には、熱影響部・溶接金属のいずれかの特性を妥協せざるを得ない。また、熱影響部の硬度と溶接金属の強度との要求値を両立する熱処理条件の策定に時間がかかってしまう。
一方、上述した二段階熱処理では、熱影響部及び溶接金属に対して所望の温度で熱処理を施すことができるものの、工程数が多くなる分だけ時間と労力を要してしまうという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した温度での熱処理を効率的に行うことができる回転機械のロータの熱処理装置及び熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置は、母材となる回転機械のロータに発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施す回転機械のロータの熱処理装置であって、前記熱影響部に付与される熱量が前記溶接金属に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部及び溶接金属を同時に加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
このような特徴の回転機械のロータの熱処理装置によれば、熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができるため、硬度を低下させたい熱影響部に対する高温の熱処理と強度を低下させたくない溶接金属に対する低温の熱処理とを同時に行なうことができる。即ち、これら熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した温度での熱処理を一度に施すことができる。
また、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置において、前記加熱手段は、前記熱影響部に沿って前記ロータの周方向に延在する第一ヒータと、前記溶接金属に沿って前記ロータの周方向に延在し、前記第一ヒータよりも低温とされた第二ヒータとを備えることを特徴とする。
このような特徴の回転機械のロータの熱処理装置によれば、第一ヒータと第二ヒータとによって熱影響部及び溶接金属にそれぞれ適した温度での熱処理を施すことができる。
さらに、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置において、前前記加熱手段は、中心軸線が前記ロータの径方向に延在するコイル状の電熱線と、前記ロータの径方向に延在して前記電熱線を覆う筒体とを備えるものであってもよい。
電熱線から発生する熱が筒体を介して熱影響部及び溶接金属に伝達されることで、これら熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施すことができる。
また、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置において、前記電熱線の前記熱影響部に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数が、前記電熱線の前記溶接金属に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数よりも大きく設定されていることを特徴とする。
ヒータから発生する熱量は、単位長当たりのコイル巻数が大きい程増大する。よって、ヒータにおける熱影響部に対応する部分のコイル巻数を溶接金属に対応する部分のコイル巻数に比べて大きく設定することで、ロータの径方向の熱流速分布に勾配を形成することができ、熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができる。
また、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置においては、前記筒体の前記熱影響部に対応する部分の厚みが、前記筒体の前記溶接金属に対応する部分の厚みに比べて小さく設定されていることを特徴とする。
ヒータから発生する熱量は、当該ヒータを覆う筒体の厚みが小さい部分程、該筒体の外部に伝達され易くなる。よって、筒体における熱影響部に対応する部分の厚みが溶接金属に対応する部分の厚みよりも小さく設定されていることで、ロータの径方向の熱流速分布に勾配を形成することができ、熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができる。
また、本発明に係る回転機械のロータの熱処理装置においては、前記筒体の前記熱影響部に対応する部分の熱伝導率が、前記筒体の前記溶接金属に対応する部分の熱伝導率よりも大きく設定されていることを特徴とする。
ヒータから発生する熱量は、当該ヒータを覆う筒体の熱伝達率が大きい程、筒体の外部に伝達され易くなる。よって、筒体における熱影響部に対応する部分の熱伝達率が溶接金属に対応する部分の熱伝達率よりも大きく設定したことにより、ロータの径方向の熱流速分布に勾配を形成することができ、熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができる。
また、併せて筒対における熱影響部に対応する部分の厚みを小さくした場合には、筒体における溶接金属と熱影響部に対応する部分との間に温度勾配を形成することができるため、筒体における溶接金属に対応する部分の方が熱影響部に対応する部分に比べて温度が高くなる。すると、温度の高い筒体の溶接金属に対応する部分から温度の低い筒体の熱影響部に対応する部分へと熱が移動することにより、熱影響部に対してより多くの熱量を伝達させることが可能となる。これにより、より効果的に熱影響部の温度を向上させることができる。
本発明に係る回転機械のロータの熱処理方法は、母材となる回転機械のロータに発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施す回転機械のロータの熱処理方法であって、前記熱影響部に付与される熱量が前記溶接金属に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部及び溶接金属を同時に加熱することを特徴とする。
このような特徴の回転機械のロータの熱処理方法によれば、熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができるため、硬度を低下させたい熱影響部に対する高温の熱処理と強度を低下させたくない溶接金属に対する低温の熱処理とを同時に行なうことができる。よって、これら熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した熱処理を施すことができ、理想的な特性を得ることが可能となる。
本発明の回転機械のロータの熱処理方法及び熱処理装置によれば、一度の熱処理によって熱影響部に対して溶接金属よりも大きな熱量を付与することができるため、これら熱影響部及び溶接金属に対してそれぞれ適した温度での熱処理を効率的に施すことが可能となる。
溶接補修が施されるタービンロータの側面図である。 溶接補修工程の手順を示す図である。 第一実施形態に係る加熱手段を軸線方向から見た図である。 第二実施形態に係る加熱手段を軸線方向から見た図である 第二実施形態に係る加熱手段を軸線方向から見た図である
以下、本発明の回転機械のロータの熱処理装置10の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
熱処理装置10(図2及び図3参照)は、図1に示すように、蒸気タービン(回転機械)のタービンロータ1(ロータ)に対して溶接補修を行う際に使用される。
このタービンロータ1は、軸線O周りに回転可能とされた回転軸2と、該回転軸2の外周側に張り出すように同軸に固定された円盤状のディスク3とを備えており、ディスク3の外周面には、図示しない翼を固定するための翼溝4が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
蒸気タービンの駆動中には、回転軸2の回転による遠心力によってディスク3に固定された翼に対して径方向外側に向かっての張力が作用する。これによって翼を固定する翼溝4に高い応力が加わると、図1及び図2(a)に示すように応力腐食割れによる亀裂Kが発生することがある。
このようにタービンロータ1に亀裂Kが発生した場合には、以下のような溶接補修を施す。
即ち、図2(a)に示すように、ディスク3の翼溝4内に亀裂Kを発見した際には、まず図2(b)に示すように、当該亀裂Kを含む損傷部8を切削により除去する。ここで、複数の翼溝4には同様の応力が加わっているため、一部の翼溝4に亀裂Kが発見された場合には他の翼溝4にも亀裂Kが生じている可能性が高い。そのため、亀裂Kが存在する範囲を径方向範囲とするドーナツ状の領域を損傷部8として、当該損傷部8をディスク3の外周側から削取する。ディスク3から損傷部8を削取した残りの部分、即ち、本来のディスク3よりも一回り小径の円盤状部分は、肉盛溶接を行う際の母材5とされる。
次に、図2(c)に示すように、母材5の外周面全域に溶接金属7を環状に形成すべく、当該母材5の外周面全域に肉盛溶接を行う。この際、溶接金属7の外径は補修前のディスク3の外径と略同一とされる。
肉盛溶接としては、TIG溶接を適用することができる。TIG溶接は、Arガス雰囲気中でフラックス等を一切使用しないで溶接を行うため、溶接部の品質が高く、延性、靭性等の機械的特性が良好な溶接金属7を得ることができる。また、このTIG溶接に代えてサブマージアーク溶接を施してもよい。
また、上記溶接処理の後、母材5の外周面は溶接の熱によって熱影響部6に変性する。この熱影響部6は、母材5に比べて硬度が大きく、周方向全域にわたって環状に存在する。この熱影響部6の径方向の厚みは例えば10mm程とされる。
これによって、タービンロータ1には、径方向内側から外側に向かって、母材5、熱影響部6及び溶接金属7が順次連続して存在した状態となる。
このような肉盛溶接の後には、図2(d)に示すように、残留応力の緩和や熱影響部6の軟化を図るべく熱処理を行う。この熱処理は、詳細は後述する熱処理装置10によって施される。この熱処理装置10による熱処理後には、図2(e)に示すように、溶接金属7の外周側から切削加工を施すことによって複数の翼溝4を形成する。
これにより、亀裂Kが生じる前のディスク3が復元され、新たな翼溝4に翼が固定されることで蒸気タービンとしての運転が可能となる。
次に、上記の補修工程における熱処理に用いられる熱処理装置10の詳細について、図3を参照して説明する。
この熱処理装置10は、第一ヒータ21と第二ヒータ22とを備えている。
第一ヒータ21は、熱影響部6の端面、即ち、熱影響部6における軸線O方向を向く端面において当該熱影響部6に沿って周方向に延在するように配置されている。即ち、この第一ヒータ21は、熱影響部6と同様の曲率で湾曲する円弧状に延びており、図示しない固定手段を用いて熱影響部6の端面に固定されている。
なお、図3においては、第一ヒータ21が熱影響部6端面における周方向一部に2つ設けられた例を示しているが、熱影響部6の周方向全域にわたって設けられていることが好ましい。また、熱影響部6の径方向の厚みに応じて、第一ヒータ21が径方向に隣接して複数が設けられていてもよい。
第二ヒータ22は、溶接金属7の端面、即ち、溶接金属7における軸線O方向を向く端面において当該溶接金属7に沿って周方向に延在するように配置されている。即ち、この第二ヒータ22は、溶接金属7と同様の曲率で湾曲する円弧状に延びており、第一ヒータ21と同様、図示しない固定手段を用いて溶接金属7の端面に固定されている。
なお、図3においては、第二ヒータ22が溶接金属7の端面における周方向一部に2つ設けられた例を示しているが、溶接金属7の周方向全域にわたって設けられていることが好ましい。また、第二ヒータ22は、径方向に二つが隣接するように設けられているが、溶接金属7の径方向の厚みに応じて、当該径方向に単一の第二ヒータ22が設けられていてもよいし、径方向に隣接して3つ以上の複数の第二ヒータ22が設けられていてもよい。
これら第一ヒータ21及び第二ヒータ22としては、例えば電流を通電することで発熱する電熱線を採用することができ、該電流の通電量に対応した熱量を発生することができるようになっている。なお、当該電熱線を覆うカバーが設けられていてもよい。
本実施形態においては、例えば図示しない電流制御手段によって第一ヒータ21の通電量の方が第二ヒータ22の通電量よりも大きくなるように制御されている。これにより、第一ヒータ21の発熱量の方が第二ヒータ22の発熱量よりも大きくなるように設定されている。
このような熱処理装置10を用いてタービンロータ1に熱処理を施す際には、母材5の外周面に肉盛溶接を行った後、第一ヒータ21及び第二ヒータ22を上記のように固定する。次いで、例えば図示しない熱電対等の温度測定手段をディスク3の両端面に固定し、熱影響部6及び溶接金属7表面の温度を測定可能な状態とする。その後、タービンロータ1全域を第一ヒータ21及び第二ヒータ22ごと、断熱材によって覆う。これによって、熱処理の準備が完了する。
そして、この状態において第一ヒータ21及び第二ヒータ22に通電することにより、これら第一ヒータ21及び第二ヒータ22を発熱させる。これにより、温度測定手段による温度を監視しながら、溶接金属7の温度が500〜650℃の範囲になるように、また、熱影響部6の温度が溶接金属の温度よりも10〜100℃の範囲で高くなるように第一ヒータ21及び第二ヒータ22への通電量を電流制御手段が制御する。即ち、加熱手段によって、熱影響部に付与される熱量が前記溶接金属に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部及び溶接金属が同時に加熱される。
ここで、上記のような熱処理には、肉盛溶接後の残留応力を緩和させる目的の他、硬度の高い熱影響部6を軟化させる目的がある。そのためには、熱影響部6に対しては比較的高温での熱処理を施すことが好ましい。一方で、熱影響部6よりも硬度の低い溶接金属7に対して熱影響部6と同様の温度での熱処理を施してしまえば、溶接金属7の強度を低下させてしまうことになる。したがって、溶接金属7は熱影響部6よりも低い温度での熱処理を施すことが好ましい。
これに対して、本実施形態の熱処理装置10及び熱処理方法によれば、第一ヒータ21と第二ヒータ22とによって熱影響部6及び及び溶接金属7をそれぞれ加熱することにより、熱影響部6に対して溶接金属7よりも大きな熱量を付与する加熱処理を行うことができる。
即ち、タービンロータ1の半径方向の熱流速に勾配を持たせて熱処理を行うことができるため、硬度を低下させたい熱影響部6に対する比較的高温の熱処理と強度を低下させたくない溶接金属7に対する比較的低温の熱処理とを同時に行なうことができる。
これによって、熱影響部6及び溶接金属7の熱処理の温度条件を満たすことで、熱影響部6を所望の硬度まで低下させることができるとともに溶接金属7を所望の強度に維持することができ、熱影響部6と溶接金属7との理想的な特性を得ることができる。
即ち、本実施形態の熱処理装置10によれば、一度の熱処理によって熱影響部6に対して溶接金属7よりも大きな熱量を付与することができるため、これら熱影響部6及び溶接金属7に対してそれぞれ適した温度での熱処理を効率的に施すことが可能となる。
また、この結果、熱影響部6と溶接金属7との要求特性を両立させる条件策定を容易に行うことができるため、施工期間の短縮及びコストの低減を図ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、第一ヒータ21及び第二ヒータ22の位置を任意に定められるため、タービンロータ1の母材5を避けてこれら第一ヒータ21及び第二ヒータ22を設置することができ、当該母材5の強度低下の抑制を図ることもできる。
次に第二実施形態の熱処理装置10及び熱処理方法について図4及び図5を参照して説明する。なお、第二実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態の加熱手段20は、図4に示すように、母材5、熱影響部6及び溶接金属7の端面に沿って径方向に延在する複数のヒータ30によって構成されている。これらヒータ30は、それぞれ 周方向に間隔あけて複数配置されており、図示しない固定手段によってタービンロータ1に固定されている。なお、図4においては、周方向の一部分にのみヒータ30が設けられているが、周方向全域にこれらヒータ30が設けられていることが好ましい。
加熱手段20を構成するヒータ30は、図5に示すように、電熱線31と筒体32とから構成されている。
電熱線31は、その中心軸線がタービンロータ1の径方向に延在するコイル状をなしており、電流が通電されることによって発熱するようになっている。
また、筒体32は、セラミックスからなる筒状をなしており、タービンロータ1の径方向に延在して電熱線31を覆うように配置されている。
ここで、本実施形態における電熱線31は、単位長当たりのコイル巻数が、熱影響部6に対応する部分において他の部分よりも大きく設定されている。即ち、電熱線31の熱影響部6に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数が、電熱線31の溶接金属7及び母材5に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数よりも大きく設定されている。
また、本実施形態における筒体32の内周面には、タービンロータ1の径方向のうち熱影響部6に対応する部分に、筒体32の径方向外側に向かって凹む環状溝33が形成されている。これによって、筒体32の熱影響部6に対応する部分の厚みが、筒体32の溶接金属7に対応する部分の厚みに比べて小さく設定されている。
さらに、本実施形態における筒体32は、延在方向の一部分であるタービンロータ1に固定された状態における熱影響部6に対応する部分のみが他の部分、即ち、母材5及び溶接金属7に対応する部分に比べて熱伝導率が高く設定されている。即ち、本実施形態の筒体32は、熱伝導率の高いセラミックスと熱伝導率が低いセラミックスとが互いに接合されることによって構成されている。熱伝導率の高いセラミックスとしては、例えば窒化アルミニウムや炭化ケイ素を主体としたセラミックスが挙げられる。一方、熱伝導率の低いセラミックスとしては、例えばジルコニウムを主体としたセラミックスが挙げられる。
このような熱処理装置10を用いてタービンロータ1に熱処理を施す際には、母材5の外周面に肉盛溶接を行った後、複数のヒータ30を上記のように固定する。その後、タービンロータ1全域を第一ヒータ21及び第二ヒータ22ごと、断熱材によって覆う。これによって、熱処理の準備が完了する。
そして、この状態においてヒータ30に通電することにより、該ヒータ30を発熱させる。ここで、電熱線31は単位長当たりのコイル巻数が大きい方が発熱量が大きくなるため、電熱線31における熱影響部6に対応する部分の温度は該電熱線31の溶接金属7に対応する温度よりも大きくなる。
また、電熱線31の熱は筒体32を介して熱影響部6及び溶接金属7に伝達されるため、筒体32の厚みの小さい部分、即ち、筒体32の熱影響部6に対応する部分の方が他の部分に比べて電熱線31の熱を筒体32外の部に伝達し易くなる。
さらに、電熱線31から発生する熱量は、当該ヒータ30を覆う筒体32の熱伝達率が大きい程、筒体32の外部に伝達され易くなる。
したがって、本実施形態のヒータ30では、電熱線31のコイル巻数が多く、また、筒体32の厚みの小さく、さらに筒体32の熱伝導率が大きい部分に対応する熱影響部6の方が溶接金属7よりも多くの熱量が伝達されるため、当該熱影響部6の温度は溶接金属7の温度よりも高くなる。
即ち、電熱線31のコイル巻数、筒体32の厚み及び該筒体32の熱伝導率をタービンロータ1の半径方向に変化させたため、該タービンロータ1の半径方向の熱流速に勾配を持たせて熱処理を行うことができる。したがって、硬度を低下させたい熱影響部6に対する比較的高温の熱処理と強度を低下させたくない溶接金属7に対する比較的低温の熱処理とを同時に行なうことができ、熱影響部6と溶接金属7との理想的な特性を得ることが可能となる。
よって、本実施形態の熱処理装置10によっても、第一実施形態と同様、一度の熱処理によって熱影響部6に対して溶接金属7よりも大きな熱量を付与することができるため、これら熱影響部6及び溶接金属7に対してそれぞれ適した温度での熱処理を効率的に施すことが可能となる。特に本実施形態においては第一実施形態のようにタービンロータ1の径方向に複数の第一ヒータ21及び第二ヒータ22を設ける必要がないため、加熱手段20の設置作業を容易に行うことができる。
また、筒体32の厚み及び該筒体32の熱伝導率がタービンロータ1の半径方向に変化しているため、筒体32における溶接金属7と熱影響部6に対応する部分との間に温度勾配が生じ、即ち、筒体32においては、溶接金属7に対応する部分の方が熱影響部6に対応する部分に比べて温度が高くなる。すると、温度の高い筒体32の溶接金属7に対応する部分から温度の低い筒体32の熱影響部6に対応する部分へと熱が移動することにより、熱影響部6に対してより多くの熱量を伝達させることができ、より効果的に熱影響部6の温度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、第二実施形態では、電熱線31の一部のコイル巻数を多くするとともに筒体32の一部の厚みを小さくし、さらに、筒体32の一部の熱伝導率を小さくした3つの特徴を有するヒータ30について説明したが、これら三つの特徴のうちの一つを備えるヒータ30であってもよいし、選択した二つの特徴を備えるヒータ30であってもよい。これによっても、熱影響部6に付与する熱量を溶接金属7に付与する熱量よりも大きくすることができる加熱手段20を構成することができる。
また、実施形態では、熱処理装置10を蒸気タービンのタービンロータ1に適用した例について説明したが、他の回転機械のロータの溶接補修に適用してもよい。
1 タービンロータ
2 回転軸
3 ディスク
4 翼溝
5 母材
6 熱影響部
7 溶接金属
10 熱処理装置
20 加熱手段
21 第一ヒータ
22 第二ヒータ
30 ヒータ
31 電熱線
32 筒体
33 環状溝
K 亀裂
O 軸線

Claims (7)

  1. 母材となる回転機械のロータに発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施す回転機械のロータの熱処理装置であって、
    前記熱影響部に付与される熱量が前記溶接金属に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部及び溶接金属を同時に加熱する加熱手段を備えることを特徴とする回転機械のロータの熱処理装置。
  2. 前記加熱手段は、
    前記熱影響部に沿って前記ロータの周方向に延在する第一ヒータと、
    前記溶接金属に沿って前記ロータの周方向に延在し、前記第一ヒータよりも低温とされた第二ヒータとを備えることを特徴とする請求項1に記載の回転機械のロータの熱処理装置。
  3. 前記加熱手段は、
    中心軸線が前記ロータの径方向に延在するコイル状の電熱線と、
    前記ロータの径方向に延在して前記電熱線を覆う筒体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の回転機械のロータの熱処理装置。
  4. 前記電熱線の前記熱影響部に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数が、前前記電熱線の記溶接金属に対応する部分における単位長当たりのコイル巻数よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の回転機械のロータの熱処理装置。
  5. 前記筒体の前記熱影響部に対応する部分の厚みが、前記筒体の前記溶接金属に対応する部分の厚みに比べて小さく設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の回転機械のロータの熱処理装置。
  6. 前記筒体の前記熱影響部に対応する部分の熱伝導率が、前記筒体の前記溶接金属に対応する部分の熱伝導率よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の回転機械のロータの熱処理装置。
  7. 母材となる回転機械のロータに発生した損傷部に対して溶接補修を施した後に、該溶接補修により形成された熱影響部及び溶接金属に対して熱処理を施す回転機械のロータの熱処理方法であって、
    前記熱影響部に付与される熱量が前記溶接金属に付与される熱量よりも大きくなるように、これら熱影響部及び溶接金属を同時に加熱することを特徴とする回転機械のロータの熱処理方法。
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