JP2012153626A - 1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体を有効成分とするbaffの結合阻害剤 - Google Patents

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Tsutomu Takeuchi
勤 竹内
Keiko Yoshimoto
桂子 吉本
Takatsugu Hirokawa
貴次 広川
Hajime Yamada
肇 山田
Ayumi Okuda
歩 奥田
Naohiro Ito
尚浩 伊東
Tomohiro Sugano
知紘 菅野
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Abstract

【課題】BR3受容体に対するBAFFの結合を阻害し、後天性免疫不全症候群の予防及び治療効果に優れた薬剤を提供する。
【解決手段】次の一般式(1):
Figure 2012153626

[式中、R、Rは、アルキル基を、Arはアリール基を、Xは−O−又は−NR−を、Rは水素原子を、Rは水素原子又はアルキル基を示す。]で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体を有効成分とするBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤に関する。より詳細には、本発明は、1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体を有効成分とする後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療剤に関する。
生体における免疫作用は本来、細菌、ウイルスあるいは腫瘍などの異種抗原タンパクを認識して排除するための生体防御機構で、外来抗原に対する特異的な反応が起こり、特異的抗体の産生や細胞障害性T細胞の活性化を伴う。これら獲得免疫においてB細胞は液性免疫を介して中心的な役割を果たし、外来性抗原に対する特異的抗体を産生して異種抗原の排除に働く(非特許文献1)。しかしながら自己免疫疾患においては、自己抗原に対する過剰な反応が起こり、自己抗体の産生やT細胞の活性化を伴う。自己免疫反応を背景に有する関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis;RA)や全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus;SLE)などの自己免疫疾患においては、自己反応性B細胞及び自己抗体の産生が亢進しており、それゆえにB細胞の成熟、活性化並びに抗体産生を制御する機構の解明について多くの研究が行われている。
B細胞は骨髄造血幹細胞由来で、細胞表面に免疫グロブリンを発現する細胞群であり、末梢血リンパ球の約10〜30%を占め、脾臓においてB細胞受容体(B Cell Receptor;BCR)を介した抗原刺激あるいはT細胞からの活性化刺激を受けて、免疫グロブリン産生細胞(形質細胞)へと分化する。活性化されたB細胞はインターロイキン−6(IL−6)や腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−alpha)などの炎症性サイトカインを産生するとともに、細胞表面に発現するCD40などの共刺激分子を介してT細胞を活性化する。このようにB細胞は、自己抗体産生細胞としてのみならず、抗原提示細胞としての機能や、サイトカイン産生細胞、T細胞とのクロストークを介した自己免疫性疾患の病態形成に大きく関与していることが明らかにされている。さらにB細胞に特異的なCD抗原であるCD20に対するモノクローナル抗体(リツキシマブ、Rituxan, rituximab, 非特許文献2)はB細胞性非ホジキンリンパ腫、RAあるいはSLEの症状改善に有効であることが臨床において確認されつつあり、B細胞を標的とした自己免疫疾患の治療に大きな期待が持たれている。
近年、B細胞の生存及び成熟因子としてBAFF(B cell activating factor belonging to TNF superfamily)が発見された(非特許文献3、特許文献1)。BAFFは別名BLyS、TALL−1、THANK、zTNF4、TNFSF13B、又はKayリガンド(特許文献1参照)としても知られ、炎症性サイトカインであるTNF−alphaのスーパーファミリーのメンバーとして位置づけられている。BAFFは単球、マクロファージ、樹状細胞表面に前駆体タンパクとして存在し、インターフェロン−ガンマ(interferon-gamma、IFN-gamma)、LPS(lipopolysaccharide)あるいはインターロイキン−10(IL−10)などの刺激によりその発現が亢進される(非特許文献4)。BAFFはfurin型プロテアーゼのプロセッシングを受けて分泌型となり、この活性化されたBAFFタンパクはホモ三量体を形成して、同様に三量体としてB細胞表面に発現する受容体と結合する(非特許文献5)。BAFFのB細胞に対する主な作用は、アポトーシスに拮抗的に作用するBcl−2を誘導して、B細胞の生存延長や、免疫グロブリンであるIgM産生亢進などといったB細胞の活性化を誘導して自己抗体の過剰産生を亢進する(非特許文献6)。その細胞内シグナルは転写因子NF−kappaB2/p100がp52へプロセシングされることによる(非特許文献7)。BAFFトランスジェニックマウスはリンパ節あるいは脾臓の腫大と、組織中のB細胞の過形成、及び重篤な自己免疫疾患様の表現型が確認されている(非特許文献8、非特許文献9)。一方、BAFFノックアウトマウスについては、成熟B細胞がほとんど観察されず、液性免疫応答の欠如が報告されている(非特許文献10)。
これらBAFFトランスジェニックマウスやBAFFノックアウトマウスの表現型などから、B細胞の活性化を伴う自己免疫疾患への関わりが深いことが考察できる。各種自己免疫疾患治療への応用の可能性は、Matsushitaらの総説で示されており、SLE、シェーグレン症候群、RA、全身性強皮症(Systemic Sclerosis;SSc)、多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)、分類不能型免疫不全症(Common Variable Immunodeficiency:CVID)及び非ホジキンリンパ腫など抗腫瘍剤への応用について記載されている(非特許文献11)。また、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome; AIDS)患者では血中T細胞が減少するとともにB細胞の増加及び免疫グロブリン産生が亢進しており、このB細胞表面におけるBAFFタンパクの発現が亢進していることから、AIDSの病態増悪にBAFF及びその受容体が関与していることが示唆される(非特許文献12)。
BAFFの受容体としてはBCMA(B Cell Maturation Antigen、別名TNFRSF17、非特許文献13)、TACI(Transmembrane Activator and CAML-Interactor、別名TNFRSF13B、非特許文献14)、及びBR3(別名TNFSFR13C、BAFF Receptor、BAFF−Rと省略されることもある。非特許文献15)の3種類の膜貫通型タンパクが報告され、これら受容体はリガンドと同様にTNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。このうちBCMAとTACIにはTNFファミリーメンバーの1つであるAPRIL(A Proliferation Inducing Ligand)がリガンドとして結合する(非特許文献16)。これら3つの受容体のうち、BAFFのB細胞に対する作用は主にBR3を介していることが示唆されている(非特許文献15)。BR3ノックアウトマウスの表現型は、BAFF欠損マウスと同様に成熟型B細胞の欠失、免疫グロブリン産生能の低下などが観察され(非特許文献17)、さらに、BR3遺伝子に自然変異のあるA/WySnJマウスにおいても、末梢B細胞数の著しい低下が見られるなど、B細胞の成熟過程におけるBAFF及びBR3の重要性が示唆されている(非特許文献18)。
近年、RAをはじめとする自己免疫疾患の治療のために、標的タンパクの特異的抗体、あるいは標的タンパクの受容体を利用した可溶性受容体といった生物製剤の開発が行われ、例えば、炎症性サイトカインであるTNF−alphaの可溶性受容体タンパク製剤であるエンブレル(Enbrel、Etanercept、非特許文献19)はRA治療に用いられている。同様に、BAFFに対する特異的抗体あるいは、その受容体を利用した可溶性受容体タンパクの開発も進められており、自己免疫疾患及び他のB細胞が関わるとされている疾患の治療を目的として開発されている(非特許文献6)。例えば、抗ヒトBAFF抗体であるベリムマブ(Belimumab、Lymphostat)は、SLEに対して(非特許文献20)、TACI−Fc融合タンパクであるAtaciceptもBAFFの阻害を目的として、SLE患者での臨床試験を行っている(非特許文献21)。また、非ホジキンリンパ腫患者の生存率と血中BAFF濃度の関連も示唆されており(非特許文献22)、自己免疫疾患以外の疾患においてもBAFFを標的とした治療法の開発が期待される。さらに、可溶性受容体であるBR3−Fcの開発もB細胞活性化を制御する目的で進められている(非特許文献23)。
以上のようにBAFF及びその受容体を標的として、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、多発性硬化症、分類不能型免疫不全症などの自己免疫疾患、後天性免疫不全症候群及び非ホジキンリンパ腫などの抗腫瘍剤の治療として、抗BAFF抗体、BR3−Fcタンパクといった生物製剤での開発が進められているが、BAFFあるいはその受容体に作用して阻害作用を示す低分子化合物の報告はこれまでになく、僅かにBR3タンパクの部分ペプチドが報告されているのみである(非特許文献24、特許文献2)。また、前述したとおり、BAFFが結合する受容体は少なくとも3種類知られているが、そのうちBR3受容体は唯一BAFF特異的な受容体であり、BAFFシグナルを主に伝達すると考えられている。
一方、ビスフェニルピラゾール誘導体としては、例えば、ウイルス感染症治療剤(特許文献3、非特許文献25)、神経系疾患に有用なニューロキニン3受容体モジュレータ(特許文献4)、抗炎症剤(特許文献5、特許文献6、特許文献7、非特許文献26)、抗癌剤として有用なHDAC阻害剤(特許文献8)、糖尿病治療剤として有用なPPARアゴニスト(特許文献9)、神経保護剤として有用なナトリウムチャンネル阻害剤(特許文献10)、脳血管障害治療剤(特許文献11)、農薬(特許文献12、特許文献13、特許文献14)等の薬理作用が知られている。中でも、特許文献5には、ピラゾール誘導体が、自己免疫性疾患に有用であり、例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、ホジキン病などの治療に有用であることが記載されており、特許文献6及び特許文献7にも、炎症性疾患の一つとして関節リウマチに有用であることが記載されている。また、特許文献10には、ナトリウムチャンネル阻害による神経保護作用から多発性硬化症にも有用であることが記載されている。しかしながら、これらいずれの文献においても、BR3受容体に対するBAFFの結合阻害作用に関する記載や示唆はない。また、後天性免疫不全症候群に関する効果については記載も示唆もない。
WO99/12964号パンフレット WO2005/005462号パンフレット WO2006/033995号パンフレット WO2005/061462号パンフレット 特開平03−141261号公報 特表平09−505830号公報 特表2005−530728号公報 WO2009/055917号パンフレット WO2004/043951号パンフレット WO2001/057024号パンフレット 特開平01−226815号公報 特開平06−001769号公報 特表平07−507781号公報 WO2003/076409号パンフレット
Roit Iら, IMMUNOLOGY. Fifth Edition(1998), Mosby International Ltd Eisenberg Rら, Arthritis Res. Ther., 5: 157-159(2003) Moore PAら, Science, 285: 260-263(1999) Nardelli Bら, Blood, 97: 198-204(2001) Schneider Pら, J. Exp. Med., 189: 1747-1756(1999) Kalled SLら, Expert Opin. Ther. Targets, 7: 115-123(2003) Kayagaki Nら, Immunity, 10: 515-524(2002) Khare SDら, Proc. Natl. Acad. Sci., 97: 3370-3375(2000) Mackay Fら, J.Exp.Med., 190: 1697-1710(1999) Schiemann Bら, Science, 293: 2111-2114(2001) Matsushita Tら, Jpn. J. Clin. Immunol., 28: 333-342(2005) Moir Sら, J. Exp. Med., 200: 587-599(2004) Laabi Yら, Nucleic Acids Res., 22: 1147-1154(1994) von Bulow GUら, Science, 278: 138-141(1997) Thompson JSら, Science, 293: 2108-2111(2001) Lopez-Fraga Mら, EMBO Rep., 2: 945-951(2001) Shulga-Morskaya Sら, J. Immunol., 173: 2331-2341(2004) Amanna IJら, J.Immunol., 170: 4593-4600(2003) Lovell DJら, N. Eng. J. Med., 342: 763-769(2000) Furie Rら, Arthritis Res. Ther., 10: R109(2008) Dall’Era Mら, Arthritis Rheum. 56: 4142-4150(2007) Novak AJら, Blood, 104: 2247-2253(2004) Vugmeyster Yら, Am. J. Pathol., 168: 476-489(2006) Gordon NCら, Biochemistry, 42: 5977-5983(2003) Farghaly ARら, ARKIVOC, 11: 76-90(2006) Baraldi PGら, Journal of Medicinal Chemistry, 48: 5001-5008 (2005)
本発明の目的は、BR3受容体に対するBAFFの結合を阻害し、後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療効果に優れた薬剤を提供することにある。
以上のように、BAFFの結合阻害剤は、抗BAFF抗体、BR3−Fc受容体などの生物製剤での開発が進められているが、低分子化合物の報告はこれまでされていない。また前述したとおり、BAFFが結合する受容体は少なくとも3種類知られているが、そのうちBR3受容体が最も重要であることも示唆されている。そこで、このBAFF−BR3結合を阻害する低分子化合物の創生を目指したスクリーニングを行うこととし、BR3発現細胞の作製及びそれを用いたリガンド−受容体結合アッセイ系を構築してスクリーニングを行った結果、まったく意外にも1,3−ジアリール置換ピラゾールカルボン酸誘導体がこのBAFF−BR3結合を阻害することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、次の一般式(1):
Figure 2012153626
[式中、
、Rは、互いに同一又は異なっていてもよく、C1−10アルキル基を示し、
Arは置換基を有してもよいC6−18アリール基を示し、
Xは−O−又は−NR−を示し、
は水素原子を示し、
は水素原子又はC1−10アルキル基を示す。]
で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤に関する。また、前記一般式(1)に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物、及び製薬上許容される担体を含有してなる医薬組成物に関する。
さらに詳細には、本発明は、
3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸、
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、
3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−(2,4−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、
N−(sec−ブチル)−1−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、及び、
1−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−N−ヘキシル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有してなる医薬組成物、又はBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするBR3受容体に対するBAFFの過剰な結合に関連する疾患の予防及び/又は治療剤に関する。より詳細には、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする自己免疫性疾患の予防及び/又は治療剤に関する。さらに詳細には、前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療剤に関する。
また、本発明は、BR3受容体に対するBAFFの過剰な結合が関連する疾患、例えば、自己免疫性疾患や後天性免疫不全症候群などの予防及び/又は治療剤の製造のための、前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用に関する。また、本発明は、BR3受容体に対するBAFFの過剰な結合に関連する疾患、例えば、自己免疫性疾患や後天性免疫不全症候群などの予防及び/又は治療のための医薬組成物に用いるための前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を患者に投与することを特徴とする、BR3受容体に対するBAFFの過剰な結合に関連する疾患、例えば、自己免疫性疾患や後天性免疫不全症候群などの予防及び/又は治療方法に関する。
本発明のBAFF結合阻害剤の有効成分である、一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、低分子化合物であることから、従来のBAFF受容体の可溶性タンパク等と異なり経口投与が可能であり、BR3受容体に対するBAFFの過剰な結合に関連する疾患、例えば、自己免疫性疾患、後天性免疫不全症候群、非ホジキンリンパ腫などの予防及び/又は治療剤として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における用語の定義は以下のとおりである。
本明細書中で使用するとき、非ホジキンリンパ腫とは、悪性リンパ腫の中で、ホジキンリンパ腫以外の悪性リンパ腫であり、例えば、Revised European American Lymphoma (REAL)分類などにより既に細分化、体系化されている(例えば、Harris et al., Blood, 84 (5), 1361-1392 (1994)、溝口ら, 別冊医学のあゆみ, 血液疾患Ver.2, 医歯薬出版, 303-307(1998)等を参照)。本発明の非ホジキンリンパ腫としては、例えば、B細胞リンパ腫(前駆B細胞リンパ芽球性リンパ腫(precursor B-lymphoblastic leukemia)、慢性Bリンパ球性白血病(B-cell chronic lymphocytic leukemia)、前駆細胞性白血病(B-cell prolymphocytic leukemia)、小リンパ球性リンパ腫(B-cell small lymphocytic lymphoma)、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytoid lymphoma)、免疫細胞腫(immunocytoma)、マントル細胞リンパ腫 (Mantle cell lymphoma)、濾胞性リンパ腫(follicle center lymphoma)、辺縁リンパ腫(Marginal zone B-cell lymphoma)、ヘアリー細胞白血病(Hairy cell leukemia)、形質細胞腫(Plasmacytoma)、形質細胞性骨髄腫(plasma cell myeloma)、びまん性大細胞型リンパ腫(Diffuse Large B-cell lymphoma)、バーキットリンパ腫(Burkitt's lymphoma)等)、T細胞リンパ腫又はNK細胞リンパ腫(慢性Tリンパ球性白血病(T-cell chronic lymphocytic leukernia)、前駆リンパ球性白血病(T-cell prolymphocytic leukemia)、大顆粒Tリンパ球性白血病(T-cell Large granular lymphocyte leukemia)、大顆粒NK細胞性白血病(NK-cell Large granular lymphocyte leukemia)、菌状息肉腫(Mycosis fungoides)、セザリー症候群(Sezary syndrome)、末梢T細胞リンパ腫(Peripheral T-cell lymphomas)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(Angioimmunoblastic T-cell lymphoma)、血管中枢性リンパ腫(Angiocentric lymphoma)、腸管T細胞リンパ腫(Intestinal T-cell lymphoma)、成人T細胞リンパ腫(Adult T-cell lymphoma)、未分化大細胞リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma)等)等が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「アルキル基」としては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状の炭化水素基である。「アルキル基」は飽和炭化水素基であることが好ましい。「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
本明細書中で使用するとき、「アリール基」としては、炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜10の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式のアリール基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
前記したアリール基における置換基としては、ハロゲン原子、C1−10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1−10アルキル基、C1−10アルコキシ基、水酸基などが挙げられる。これら置換基として具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。これらの置換基の数は、好ましくは0〜3個、より好ましくは0〜2個である。置換基の位置としては、特に制限はないが、1個の置換基はパラ位に置換しているのが好ましい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子やC1−10アルキル基が挙げられ、例えば、塩素原子、メチル基、エチル基などが挙げられる。
一般式(1)における−CO−X−R基は、ピラゾール環の4位又は5位のいずれの位置に存在していてもよい。
一般式(1)におけるXは、酸素原子又は窒素原子であり、窒素原子の場合には当該窒素原子にRが結合していてもよい。
一般式(1)中のR、RはC1−10アルキル基であり、好ましくはC1−6アルキル基、より好ましくはC1−4アルキル基である。R、Rは、例えば、それぞれ独立してメチル基、エチル基などが好ましい。また、−OR基の結合位置としては、ピラゾール環との結合位置に対して、オルト位が好ましい。
一般式(1)におけるArとしては、フェニル基が好ましい。好ましい置換基としてはハロゲン原子及びC1−10アルキル基が挙げられる。好ましいArとしては、フェニル基、1個若しくは2個のハロゲン原子が置換したフェニル基、又は1個若しくは2個のアルキル基が置換したフェニル基などが挙げられる。
一般式(1)におけるXが−NR−である場合のRとしては、C1−10アルキル基が好ましく、C1−6アルキル基がより好ましい。当該C1−6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、sec−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基などが挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体の具体例として、下記化合物を挙げることができる。
Figure 2012153626
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明の1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、及びこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体として許容される塩としては、具体的には、化合物を塩基性化合物として扱う場合は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との酸付加塩等が挙げられる。また、該化合物を酸性化合物として扱う場合には、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体やその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物等)が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体は、公知の方法、例えば、Journal of Heterocyclic Chemistry, 41, 405-408 (2004)、Journal of Medicinal Chemistry, 48, 5001-5008 (2005)、Synlett, 2299-2302 (2004)、Synlett, 1341-1344 (2008)等を参考に製造することができる。ここでは、Journal of Medicinal Chemistry, 48, 5001-5008 (2005)に記載の方法を参考とした製造方法を下記反応工程図に示すが、1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体の製造方法はこれに限定されるものではない。また、必要に応じて官能基を保護して各反応を行ってもよい。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
Figure 2012153626
[式中、Ar、R、R、Rは、前記定義と同じものを示す。]
[工程1]置換基を有してもよいアリールヒドラジン誘導体(I)とアセトフェノン誘導体(II)とを溶媒中で脱水縮合反応することにより、アリールヒドラゾン誘導体(III)を製造することができる。本工程で用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類;ジメチルスルホキシド、スルホランのようなスルホキシド類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。本工程における反応温度は、使用する原料、溶媒によって異なるが、通常、室温〜120℃、好ましくは50℃〜100℃であり、反応時間は、通常、1時間〜3日間、好ましくは3時間〜24時間である。
[工程2]アリールヒドラゾン誘導体(III)をN,N−ジメチルホルムアミド及びオキシ塩化リンを用いた反応に付すことにより、ピラゾールアルデヒド誘導体(IV)を製造することができる。本工程で用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。また、反応試薬であるN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いても構わない。本工程における反応温度は、使用する原料によって異なるが、通常、室温〜150℃、好ましくは100℃〜150℃であり、反応時間は、通常、30分〜24時間、好ましくは4〜16時間である。
[工程3]ピラゾールアルデヒド誘導体(IV)を溶媒中、塩基の存在下、酸化剤を用いて反応することにより、前記一般式(1)の−XRが水酸基である1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸(1a)を製造することができる。本工程で用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類;ジメチルスルホキシド、スルホランのようなスルホキシド類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。塩基としては特に制限はないが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミンのような有機塩基類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような無機塩基類等が挙げられる。酸化剤としては特に制限はないが、クロム酸塩、過マンガン酸塩、酸化銀、硝酸銀、亜塩素酸塩、四塩化ルテニウム等が挙げられる。また、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中で、ピリジニウムジクロメートを用いる方法でも、1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸(1a)を製造することができる。本工程における反応温度は、使用する原料、溶媒によって異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは0℃〜50℃であり、反応時間は、通常、30分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間である。
[工程4]1−アリール−3−フェニルピラゾール誘導体(1a)とアミン誘導体(V)とを、溶媒中、縮合剤を用いて反応することにより、−NR−Rがモノアルキルアミノ基である1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体(1b)を製造することができる。なお、本工程では反応を加速する目的で、縮合剤の他に塩基や縮合促進剤を共存させてもよい。本工程で用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類等が挙げられる。縮合剤としては特に制限はないが、例えば、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)等が挙げられる。塩基としては特に制限はないが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミンのような有機塩基類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような無機塩基類等が挙げられる。縮合促進剤としては特に制限はないが、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HODhbt)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(HONB)、ペンタフルオロフェノール(HOPfp)、N−ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)等が挙げられる。本工程における反応温度は、使用する原料、溶媒によって異なるが、通常、0〜100℃であり、反応時間は、通常、1時間〜24時間である。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。例えば、ラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明のBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤、又は自己免疫性疾患の予防及び/又は治療剤は、一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が、安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸ナトリウム)、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
坐剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に公知の坐剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜1000mg、より好ましくは1mg〜500mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1] BAFFとBR3受容体の結合阻害試験
1)BR3発現細胞の樹立
ヒトBR3遺伝子は、GenBank Accession No.AF373846に記載の配列を参考にしてヒトB細胞培養株であるRaji細胞由来RNAからRT−PCR法により全長を取得しクローニングベクターであるpBlueScript IIベクター(Stratagen社)へサブクローニングした。引き続き同遺伝子を哺乳細胞発現用ベクターであるpEAK10ベクター(EdgeBio社)に挿入し、大腸菌株DH5α(TOYOBO社)を形質転換してクローンを取得し、プラスミドDNAを大量調製後、リポフェクション法によりハムスター卵巣上皮由来細胞株であるCHO−K1細胞にトランスフェクションした。CHO−K1細胞は10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むNutrient Mixture Ham's F-12培地(Sigma社)を用いて継代培養した。ピューロマイシン薬剤耐性細胞クローンを得た後、マウス抗ヒトBR3抗体(Abcam社)及びFITC標識抗マウスIgG抗体(Prozyme社)によるフローサイトメトリー法によりBR3タンパクの発現を確認した。
2)結合試験
リガンド−受容体結合試験は以下の通り行った。蛍光標識BAFFについては、組換えヒトBAFF(PeproTech社)をFMAT Blue標識キット(Applied Biosystems社)を用いて蛍光標識したものを用いた。BR3発現CHO−K1細胞を96 well black clearマイクロタイタープレートに1.0×10で播き、COインキュベータ中で1晩培養した。培地を除去後、20mM Hepes緩衝(pH7.4)、Hank's Balanced Salt Solution(Sigma社)(0.1%BSA、0.1%NaN、0.08%CHAPSを含む)を反応液として、被検化合物、標識BAFFの順で加えた後、25℃、暗所にて6時間静置後の蛍光標識BAFFと発現細胞のBR3受容体の親和性を蛍光検出器FMAT8200CDS(Applied Biosystems社)を用いて検出した。蛍光標識BAFFのみの最大反応を100%として、各被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を測定した。なお、化合物1〜5は、前記した公知の方法により製造することができる。また、Enamine社及びAMRI社より入手可能であり、本試験においては同社より購入したものをそのまま用いた。EC50値は、統計解析プログラム、SAS前臨床パッケージVer5.0(SAS institute Japan Co., 東京)を用いて算出した。
3)結果
化合物1は26μM、化合物2は20μM、化合物4は4.9μMのIC50値を示した。また、化合物3及び5も、25μMで40%以上の阻害活性を有していた。以上より、本発明の化合物は強いBAFFとBR3受容体の結合阻害作用を有していることが確認された。
したがって、本発明の一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体は、BR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤として、BR3受容体に対するBAFFの過剰な結合に関連する疾患、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、多発性硬化症、分類不能型免疫不全症などの自己免疫疾患、後天性免疫不全症候群及び非ホジキンリンパ腫などの抗腫瘍剤の予防剤や治療剤の有効成分として有用であることがわかった。
本発明は、一般式(1)で表される1,3−ジ置換ピラゾールカルボン酸誘導体若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、優れたBAFFとBR3受容体の結合阻害作用を有していることを初めて見出し、経口投与可能な低分子性の後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療剤を提供するものである。本発明は、低分子性の新たな後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。

Claims (3)

  1. 次の一般式(1):
    Figure 2012153626
    [式中、
    、Rは、互いに同一又は異なっていてもよく、C1−10アルキル基を示し、
    Arは置換基を有してもよいC6−18アリール基を示し、
    Xは−O−又は−NR−を示し、
    は水素原子を示し、
    は水素原子又はC1−10アルキル基を示す。]
    で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするBR3受容体に対するBAFFの結合阻害剤。
  2. 一般式(1)で表される化合物が、
    3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸、
    1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、
    3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−(2,4−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、
    N−(sec−ブチル)−1−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、及び、
    1−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−N−ヘキシル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
    からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載のBAFFの結合阻害剤。
  3. 次の一般式(1):
    Figure 2012153626
    [式中、
    、Rは、互いに同一又は異なっていてもよく、C1−10アルキル基を示し、
    Arは置換基を有してもよいC6−18アリール基を示し、
    Xは−O−又は−NR−を示し、
    は水素原子を示し、
    は水素原子又はC1−10アルキル基を示す。]
    で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする後天性免疫不全症候群の予防及び/又は治療剤。
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