JP2012151393A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池モジュールは長期間の屋外暴露によって、EVA等の封止樹脂が加水分解し、酢酸等の酸が発生しても、太陽電池素子が劣化することなく、長期間にわたって安定して正常に作動することが可能な太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】受光側の透光性基板6とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備えた太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の表面透明電極膜に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜5を用いた太陽電池モジュールである。
【選択図】図1
【解決手段】受光側の透光性基板6とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備えた太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の表面透明電極膜に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜5を用いた太陽電池モジュールである。
【選択図】図1
Description
本発明は、酢酸耐性に優れた表面透明電極膜を有する太陽電池モジュールに関する。
化石燃料の消費が大気中の二酸化炭素を増大させ、地球環境の悪化に大きく影響するのに対し、太陽電池は太陽光を利用するため半永久的で無公害なエネルギー供給源である。そのため、将来の重要なエネルギー供給源として期待され、様々な太陽電池の開発が試みられている。
特に、近年、太陽光発電システムは、クリーンエネルギーを利用する発電手段の一つとして、普及が進んでいる。
特に、近年、太陽光発電システムは、クリーンエネルギーを利用する発電手段の一つとして、普及が進んでいる。
太陽電池モジュールは、一般的には、受光側のガラス基板とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、内部の隙間に封止樹脂を充填した構造をとる(特許文献1参照)。封止樹脂やバックシ一トは、太陽電池素子を保護するために設けられている。封止樹脂としては、EVA(エチレンー酢酸ビニル共重合体)を用いるのが一般的である。
太陽電池素子に用いられている表面透明電極膜としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)に較べて、低コスト、太陽光の高透過性(可視領域、近赤外領域)および水素プラズマ耐性に優れる等の観点から、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)膜、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)膜、ホウ素ドープ酸化亜鉛(BZO)膜等に代表される酸化亜鉛系透明電極膜が主に用いられている。
太陽電池素子に用いられている表面透明電極膜としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)に較べて、低コスト、太陽光の高透過性(可視領域、近赤外領域)および水素プラズマ耐性に優れる等の観点から、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)膜、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)膜、ホウ素ドープ酸化亜鉛(BZO)膜等に代表される酸化亜鉛系透明電極膜が主に用いられている。
また、太陽電池モジュールは長期間にわたって屋外に曝されるため、EVAやバックシ一トには充分な耐久性も求められる。具体的には、カーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による250〜500時間の暴露が屋外暴露の1年に相当することから、SWMによる5000時間(10〜20年に相当)の暴露での強度低下が初期の半分以下に抑えられることが必要であった。
しかし、現状では、太陽電池モジュールは、長期間にわたって、屋外に暴露されることによって、EVAが加水分解し始め、すなわちEVAがエチレンー酢酸ビニル共重合体であり、エステル結合を有しており、そこが加水分解し始め、酢酸が発生する。酢酸が発生した際に、酸化亜鉛系透明電極膜以外の太陽電池素子の部材は、比較的、酢酸耐性に問題はないが、酸化亜鉛系透明電極膜が劣化し、そのため太陽電池素子が劣化し、正常に作動しなくなってしまう問題点があった。そのため、太陽電池モジュールの寿命が低下してしまう。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールは長期間の屋外暴露によって、EVA等の封止樹脂が加水分解し、酢酸等の酸が発生しても、太陽電池素子が劣化することなく、長期間にわたって安定して正常に作動することか可能な太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールを提供するものである。
本発明の太陽電池モジュールは、酢酸耐性に優れた低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜を太陽電池素子の表面透明電極膜として用いることにより、太陽電池の素子の劣化を防ぎ、長期間にわたって、安定に作動することに成功したものである。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)受光側の透光性基板とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備えた太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の表面透明電極膜に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜を用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
(2)前記封止樹脂が、エチレンー酢酸ビニル共重合体である前記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3)前記低原子価金属酸化物が、低原子価酸化チタン、低原子価酸化ニオブ、低原子価酸化タンタルおよび低原子価酸化モリブデンから選ばれる少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4)前記低原子価金属酸化物が、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(5)前記太陽電池素子が、薄膜シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感型太陽電池、および有機薄膜太陽電池からなる群より選ばれることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(1)受光側の透光性基板とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備えた太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の表面透明電極膜に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜を用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
(2)前記封止樹脂が、エチレンー酢酸ビニル共重合体である前記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3)前記低原子価金属酸化物が、低原子価酸化チタン、低原子価酸化ニオブ、低原子価酸化タンタルおよび低原子価酸化モリブデンから選ばれる少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4)前記低原子価金属酸化物が、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(5)前記太陽電池素子が、薄膜シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感型太陽電池、および有機薄膜太陽電池からなる群より選ばれることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子の劣化が大幅に改良され、長期間にわたって安定に作動することができ、そのため太陽電池モジュールの寿命が大幅に改善するという効果があり、産業上極めて有用な発明といえる。
本発明の太陽電池モジュールは、受光側の透光性基板とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備える。
(透光性基板)
受光側の透光性基板としては、赤外領域の吸収の少ない白板ガラス、ソーダライムガラスなどのガラス基板が挙げられる。ソーダライムガラスを使用する場合は、通常、厚みを3mm以下とする。透光性基板は、熱処理をした強化ガラスでもよく、熱処理無しのフロート板ガラスでもよい。また、ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングをしてもよい。
受光側の透光性基板としては、赤外領域の吸収の少ない白板ガラス、ソーダライムガラスなどのガラス基板が挙げられる。ソーダライムガラスを使用する場合は、通常、厚みを3mm以下とする。透光性基板は、熱処理をした強化ガラスでもよく、熱処理無しのフロート板ガラスでもよい。また、ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングをしてもよい。
(バックシート)
バックシートとしては、例えば、フッ素樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、アイオノマー樹脂シート、ガラス板、ポリフッ化ビニル(PVF)シリカ蒸着PETなどの透明性シート;鋼板、プラスチック板、ガラス繊維強化プラスチック板、アルミタイプなどの不透明シートが挙げられる。
バックシートとしては、例えば、フッ素樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、アイオノマー樹脂シート、ガラス板、ポリフッ化ビニル(PVF)シリカ蒸着PETなどの透明性シート;鋼板、プラスチック板、ガラス繊維強化プラスチック板、アルミタイプなどの不透明シートが挙げられる。
(封止樹脂)
封止樹脂としては、例えば、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。
封止樹脂としては、例えば、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。
(太陽電池素子)
太陽電池素子は、透光性基板上にp型とn型の半導体を積層したスーパーストレート型構造であり、シリコン半導体を用いた太陽電池、化合物半導体を用いた薄膜系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池に大別される。もっとも多く使用されている太陽電池は、安全で資源量の豊富なシリコンを用いたものである。
太陽電池素子は、透光性基板上にp型とn型の半導体を積層したスーパーストレート型構造であり、シリコン半導体を用いた太陽電池、化合物半導体を用いた薄膜系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池に大別される。もっとも多く使用されている太陽電池は、安全で資源量の豊富なシリコンを用いたものである。
シリコン半導体を用いた太陽電池としては、例えば、薄膜シリコン系太陽電池が挙げられ、その種類もさらに多様化しており、光吸収層にアモルファスシリコンなどの非晶質薄膜を用いた非晶質シリコン薄膜太陽電池、アモルファスシリコンに微細な結晶シリコンが混在した微結晶薄膜を用いた微結晶質シリコン薄膜太陽電池、結晶シリコンからなる結晶質薄膜を用いた結晶質シリコン薄膜太陽電池、これらを積層した薄膜シリコンハイブリッド太陽電池などが挙げられる。
化合物半導体を用いた薄膜系太陽電池としては、例えば、CuInSe2、GaAs、CdTe、Cu2ZnSnSe4などの化合物半導体の薄膜を用いた化合物半導体系太陽電池などが挙げられる。
いずれのタイプの太陽電池素子でも、太陽光が入射する側の表面透明電極膜には酸化亜鉛系透明電極膜が不可欠であり、そこに本発明における低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛透明電極膜を適用する。
次に、化合物半導体系(化合物薄膜系)太陽電池について詳説する。図1は、化合物半導体系太陽電池の層構成の一例を示す概略説明図である。
化合物半導体系太陽電池の層構成は、例えば、図1に示すように、透光性基板6と、酸化亜鉛系透明電極膜5(表面透明電極膜)と、窓層4と、半導体の中間層3と、光吸収層2と、裏側金属電極層1とを順次積層したものなどが挙げられる。
化合物薄膜を用いた太陽電池は、通常は広いバンドギャップを持つ化合物半導体薄膜(n型半導体の中間層3)と、狭いバンドギャップを持つ化合物薄膜(p型半導体の光吸収層2)とのヘテロ接合とで構成されている。
半導体の中間層3としてn型半導体を、光吸収層2としてp型半導体を用いるのは、太陽電池の中間層に適した広いバンドギャップ(>2.4eV)を持つp型半導体薄膜があまり存在しないことや少数キャリアの拡散長が電子のほうが長いからである。
半導体の中間層3としてn型半導体を、光吸収層2としてp型半導体を用いるのは、太陽電池の中間層に適した広いバンドギャップ(>2.4eV)を持つp型半導体薄膜があまり存在しないことや少数キャリアの拡散長が電子のほうが長いからである。
光吸収層2のp型半導体としては、例えば、CuInSe2、CuInS2、CuGaSe2、CuGaS2およびこれらの固溶体やCdTeなどが利用可能である。
より高いエネルギー変換効率を得るために必要とされる条件は、より多くの光電流を得るための光学的な最適設計と、界面または特に光吸収層2においてキャリアの再結合のない高品質なヘテロ接合および薄膜を作ることである。
このような高品質なヘテロ界面は、半導体の中間層3と光吸収層2の組合せとの関係が深く、有用なヘテロ接合としては、例えば、CdS/CdTe系、CdS/CuInSe2系、CdS/Cu(In,Ga)Se2系などの組み合わせにおいて有用なヘテロ接合が得られている。なお、例えば、CdS/CdTe系とは、半導体の中間層3にCdS系化合物、光吸収層2にCdTe系化合物を用いた組み合わせを意味する。
このような高品質なヘテロ界面は、半導体の中間層3と光吸収層2の組合せとの関係が深く、有用なヘテロ接合としては、例えば、CdS/CdTe系、CdS/CuInSe2系、CdS/Cu(In,Ga)Se2系などの組み合わせにおいて有用なヘテロ接合が得られている。なお、例えば、CdS/CdTe系とは、半導体の中間層3にCdS系化合物、光吸収層2にCdTe系化合物を用いた組み合わせを意味する。
また、太陽電池の高効率化の観点から、より広いバンドギャップをもつ半導体、例えば、中間層3の半導体薄膜として、CdZnS等を用いてもよく、これにより太陽光の短波長光の感度を向上させることができる。
窓層4としては、半導体の中間層3よりもバンドギャップの大きな半導体であるのが好ましく、例えば、半導体の中間層3にCdSや(Cd,Zn)Sなどを用いる場合は、入射光側である窓層4には、それらの薄膜よりバンドギャップの大きな半導体、例えば、ZnOや(Zn,Mg)O薄膜などを窓層として配することにより、再現性の高い高性能な太陽電池とすることができる。
太陽光が入射する側の電極として機能する酸化亜鉛系透明電極膜5としては、後述する酸化亜鉛系透明電極膜を用いる。
裏側金属電極層1としては、例えば、モリブデン電極、銅/チタン電極などが挙げられる。
上記の薄膜シリコン系太陽電池について説明する。図2は、薄膜シリコン系太陽電池の層構成の一例を示す概略説明図である。
薄膜シリコン系太陽電池は、透光性基板上に順に積層された表面透明電極膜と、1つ以上の半導体薄膜光電変換ユニットと、裏面電極とを少なくとも含み、その具体例としては、図2に示すように、透光性基板13と、酸化亜鉛系透明電極膜12(表面透明電極膜)と、半導体薄膜光電変換ユニットとして非晶質p型シリコン層11(以下、単にp型層11という場合がある)、ノンドープ非晶質i型シリコン光電変換層10(以下、単にi型層10という場合がある)および非晶質n型シリコン層9(以下、単にn型層9という場合がある)と、裏面電極として裏面透明電極層8と、裏面反射電極層7とからなる薄膜シリコン系太陽電池などが挙げられる。1つの光電変換ユニットは、p型層、n型層とこれにサンドイッチされたi型層を含んでいる。
非晶質p型シリコン層11や非晶質n型シリコン層9は、光電変換ユニット内に内部電界を生じさせる機能を果たし、この内部電界の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1つである開放電圧(Voc)の値が左右される。
i型層10は実質的に真性の半導体層であって、光電変換ユニットの厚さの大部分を占め、光電変換作用は、主としてこのi型層内で生じる。このため、このi型層10は通常i型光電変換層または単に光電変換層と呼ばれる。
光電変換層は真性半導体層に限らず、ドープされた不純物(ドーパント)によって吸収される光の損失が問題にならない範囲で微量にp型またはn型にドープされた層であってもよい。
光電変換層は真性半導体層に限らず、ドープされた不純物(ドーパント)によって吸収される光の損失が問題にならない範囲で微量にp型またはn型にドープされた層であってもよい。
シリコン系薄膜を光電変換ユニット(光吸収層)に用いた薄膜シリコン系太陽電池としては、例えば、非晶質シリコン薄膜太陽電池、微結晶質シリコン薄膜太陽電池、結晶質シリコン薄膜太陽電池、これらを積層した薄膜シリコンハイブリッド太陽電池などが挙げられる。
ここで、光電変換ユニットまたは薄膜太陽電池は、前記の通り、その主要部を占める光電変換層が非晶質であるものは、非晶質ユニットまたは非晶質薄膜太陽電池と称され、その主要部を占める光電変換層が結晶質であるものは結晶質ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称され、その主要部を占める光電変換層が微結晶質であるものは微結晶質ユニットまたは微結晶質薄膜太陽電池と称されている。
ここで、光電変換ユニットまたは薄膜太陽電池は、前記の通り、その主要部を占める光電変換層が非晶質であるものは、非晶質ユニットまたは非晶質薄膜太陽電池と称され、その主要部を占める光電変換層が結晶質であるものは結晶質ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称され、その主要部を占める光電変換層が微結晶質であるものは微結晶質ユニットまたは微結晶質薄膜太陽電池と称されている。
また、近時、このような薄膜シリコン系太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型太陽電池にする方法がある。
このタンデム型太陽電池は、前述した光電変換ユニットにおいて、薄膜太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後方に順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。
このタンデム型太陽電池の中でも、特に非晶質光電変換ユニットに、結晶質または微結品質半導体薄膜光電変換ユニットを積層したハイブリッド太陽電池の代表的な構造を図3に例示する。
このタンデム型太陽電池は、前述した光電変換ユニットにおいて、薄膜太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後方に順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。
このタンデム型太陽電池の中でも、特に非晶質光電変換ユニットに、結晶質または微結品質半導体薄膜光電変換ユニットを積層したハイブリッド太陽電池の代表的な構造を図3に例示する。
すなわち、このハイブリッド太陽電池は、図3に示すように、透光性基板23と、酸化亜鉛系透明電極膜22(表面透明電極膜)と、前方ユニットとして非晶質p型シリコン層21(以下、単にp型層21という場合がある)、ノンドープ非晶質i型シリコン光電変換層20(以下、単にi型層20という場合がある)および非晶質n型シリコン層19(以下、単にn型層19という場合がある)と、後方ユニットとして結晶質p型シリコン層18(以下、単にp型層18という場合がある)、ノンドープ結晶質i型シリコン光電変換層17(以下、単にi型層17という場合がある)および結晶質n型シリコン層16(以下、単にn型層16という場合がある)と、裏面電極として裏面透明電極層15と、裏面反射電極層14とからなる。
ハイブリッド太陽電池では、例えば、i型非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長域は長波長側では800nm程度までであるが、i型結晶質または微結晶質シリコンはそれより長い約1150nm程度の波長までの光を光電変換することができる。
上記の薄膜シリコン系太陽電池において、酸化亜鉛系透明電極膜12、酸化亜鉛系透明電極膜22は、後述する酸化亜鉛系透明電極膜を用いる。
その他の層の材質は、薄膜シリコン系太陽電池に通常用いられる材質などを用いればよい。
(太陽電池モジュール)
太陽電池モジュールは、太陽電池素子を直列に繋いで、通常は、上述したような太陽電池素子を表面に備える透光性基板を、太陽電池素子側がバックシートと向かい合うようにし、この透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間を封止樹脂で封止してなる。さらに、積層において密着性が不充分である場合には、接着剤層を設けてもよい。
太陽電池モジュールは、太陽電池素子を直列に繋いで、通常は、上述したような太陽電池素子を表面に備える透光性基板を、太陽電池素子側がバックシートと向かい合うようにし、この透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間を封止樹脂で封止してなる。さらに、積層において密着性が不充分である場合には、接着剤層を設けてもよい。
(酸化亜鉛系透明電極膜)
本発明における酸化亜鉛系透明電極膜(表面透明電極膜)は、酸化亜鉛に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープしたものである。
該膜は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザ堆積法(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法にて成膜することができる。
本発明における酸化亜鉛系透明電極膜(表面透明電極膜)は、酸化亜鉛に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープしたものである。
該膜は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザ堆積法(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法にて成膜することができる。
低原子価金属酸化物としては、例えば、低原子価酸化チタン、低原子価酸化ニオブ、低原子価酸化タンタル、低原子価酸化モリブデンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
例えば、スパッタリング法では、原料であるスパッタリングターゲットとして低原子価金属酸化物をドーパントの原料として用いた酸化亜鉛系酸化物焼結体ターゲットを用い、スパッタリング装置内に透光性基板と前記ターゲットを配置し、酸素ガスを含むアルゴン不活性ガス雰囲気中で、前記透光性基板を所定の温度で加熱し、この透光性基板と前記ターゲットとの間に電界を印加してターゲット基板間にプラズマを発生させることによって、亜鉛の一部を低原子価金属で置換した酸化亜鉛系透明電極膜を透光性基板上に作製することができる。
一方、イオンプレーティング法では、原料であるイオンプレーティング用タブレットとして、低原子価金属を含む酸化亜鉛系酸化物焼結体タブレットを用い、イオンプレーティング装置内に透光性基板と、前記タブレットを銅ハース内に配置し、酸素ガスを含むアルゴン不活性ガス雰囲気中で、前記透光性基板を所定の温度で加熱し、前記銅ハースから電子銃を用いてタブレットを蒸発させ、基板付近でプラズマを発生させることによって、タブレット蒸気をイオン化し、亜鉛の一部を低原子価金属で置換した酸化亜鉛系透明電極膜を透光性基板上に作製することができる。
なお、上記ターゲットまたはタブレット中の低原子価金属の含有量を変えることにより、膜中の低原子価金属の含有量を変化させることができる。この時、作製される酸化亜鉛系透明電極膜の構造や結晶性は、膜中の低原子価金属の含有量、基板加熱温度、不活性ガス雰囲気中の酸素分圧、成膜速度等の成膜条件に依存する。
このような方法は一例であるが、こうして、酸化亜鉛を主成分として低原子価金属酸化物を含有する酸化亜鉛系透明電極膜を得ることができる。
低原子価金属酸化物をドーパントの原料として用いたターゲットまたはタブレットは、実質的に亜鉛と、低原子価金属を含む酸化亜鉛系酸化物焼結体である。
ここで、「実質的」とは、酸化物焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛、低原子価金属および酸素からなることを意味する。
ここで、「実質的」とは、酸化物焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛、低原子価金属および酸素からなることを意味する。
酸化物焼結体においては、低原子価金属の原子数が全金属原子数に対して2%以上10%以下の割合で含有されることが好ましく、さらに好ましくは、低原子価金属の原子数が全金属原子数に対して3%以上9%以下となる割合、より好ましくは3%以上6%以下となる割合で含有される。この低原子価金属の原子数の割合が2%未満となると、この酸化物焼結体をターゲットとして形成された膜の耐薬品性などの化学的耐久性が不充分となるおそれがある。一方、低原子価金属の原子数の割合が10%を超えると、低原子価金属が亜鉛サイトに十分置換固溶できなくなり、この酸化物焼結体をターゲットとして形成された膜の導電性や透明性が不充分となるおそれがある。
ここで、全金属原子数とは、酸化物焼結体を作製するために用いる原料粉末に含まれる全金属原子数であり、全金属原子数の約90〜98%を亜鉛が占める。そのため、ターゲットまたはタブレットにおいて、酸化亜鉛が主成分となる。低原子価金属は単成分である必要なく、低原子価金属の複数成分であっても構わない。
酸化物焼結体は、原子数比でX/(Zn+X)の値が0.02以上0.1以下(式中、Xは、チタン、ニオブ、タンタルおよびモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を示す)である、すなわち実質的に低原子価金属酸化物の結晶相を含有しない。原子数比でX/(Zn+X)の値が0.02未満である酸化物焼結体では、通常、低原子価金属が酸化亜鉛に完全に反応するため、酸化物焼結体中に低原子価金属酸化物の結晶相は生成されず、原子数比でX/(Zn+X)の値が0.1を超える酸化物焼結体では、一般に、低原子価金属が酸化亜鉛へ反応しきれないため、酸化物焼結体中に低原子価金属酸化物が生じやすくなる。しかし、酸化物焼結体に低原子価金属酸化物の結晶相が含まれていると、得られる膜が、比抵抗などの物性にムラがあり均一性に欠けるものとなるおそれがあるため、酸化物焼結体では、X/(Zn+X)の値を上記範囲内とするのが好ましく、実質的に低原子価金属酸化物の結晶相を含有しない。
ここで、低原子価金属酸化物の結晶相としては、例えば、酸化チタンの結晶相、酸化ニオブの結晶相、酸化タンタルの結晶相、酸化モリブデン結晶相などが挙げられる。
ここで、低原子価金属酸化物の結晶相としては、例えば、酸化チタンの結晶相、酸化ニオブの結晶相、酸化タンタルの結晶相、酸化モリブデン結晶相などが挙げられる。
酸化チタンの結晶相とは、具体的には、Ti2O3、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化ニオブの結晶相とは、具体的には、Nb2O5、NbO2、Nb2O3,NbOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化タンタルの結晶相とは、具体的には、Ta2O5、TaO2、Ta2O3、TaOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化モリブデンの結晶相とは、具体的には、MoO3、MoO2、Mo2O3のほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化ニオブの結晶相とは、具体的には、Nb2O5、NbO2、Nb2O3,NbOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化タンタルの結晶相とは、具体的には、Ta2O5、TaO2、Ta2O3、TaOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化モリブデンの結晶相とは、具体的には、MoO3、MoO2、Mo2O3のほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
酸化物焼結体は、ニオブ源として、原子価が2価、3価または4価である低原子価ニオブ元素の酸化物を用い、タンタル源として、原子価が2価、3価または4価である低原子価タンタル元素の酸化物を用い、チタン源として、各種原子価であればよく、好ましくは後述する低原子価チタン元素の酸化物を用い、モリブデン源として、原子価が3価または4価の低原子価モリブデン元素の酸化物を用い、例えば、これらの低原子価金属の酸化物粉末を酸化亜鉛粉末と混合しプレス成形されるのが好ましい。
具体的には、低原子価酸化チタンとは、TiO(II)、Ti2O3(III)のように、原子価が2価または3価の整数であるチタン元素の酸化物だけでなく、Ti3O5、Ti4O7、Ti6O11、Ti5O9、Ti8O15等をも含む一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される新規な低原子価酸化チタンをいう。この低原子価酸化チタンの粉末は、前記一般式で表される酸化チタンの1種を単独で用いてもよく、または2種以上の混合物を用いてもよい。なかでも、特にTi2O3(III)の粉末を用いるのが好ましい。これは、Ti2O3のイオン半径が0.67Åであり、亜鉛のイオン半径が0.74Åであるため、亜鉛のイオン半径と極めて近く固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。
前記一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンは、単成分を作製するのは難しく、混合物として得られる。通常、酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気等の還元雰囲気にて、還元剤としてカーボン等を用いて、加熱することにより作製することができる。水素濃度、還元剤としてカーボン量、加熱温度を調製することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
低原子価酸化ニオブとしては、例えば、酸化ニオブ(II)、酸化ニオブ(III)、酸化ニオブ(IV)などが挙げられ、それぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
低原子価タンタルとしては、例えば、酸化タンタル(II)、酸化タンタル(III)、酸化タンタル(IV)などが挙げられ、それぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
低原子価酸化モリブデンとしては、例えば、酸化モリブデン(III)、酸化モリブデン(IV)などが挙げられ、それぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記低原子価酸化金属の構造は、X線回折装置(X-Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析によって確認することができる。
低原子価タンタルとしては、例えば、酸化タンタル(II)、酸化タンタル(III)、酸化タンタル(IV)などが挙げられ、それぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
低原子価酸化モリブデンとしては、例えば、酸化モリブデン(III)、酸化モリブデン(IV)などが挙げられ、それぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記低原子価酸化金属の構造は、X線回折装置(X-Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析によって確認することができる。
以上のような酸化物焼結体は、後述する酸化亜鉛系酸化物焼結体の製造方法によって好ましく得られるが、該製造方法により得られたものに限定されるわけではない。通常、酸化物焼結体を還元雰囲気にて焼結した場合は、酸素欠損の導入により、得られる酸化物焼結体の比抵抗は低くなり、酸化雰囲気にて焼結した場合は、比抵抗は高くなる。
酸化物焼結体は、酸化物焼結体の相対密度が93%以上、好ましくは95〜100%であるのがよい。ここで、相対密度とは、酸化物焼結体の密度を理論密度で除し、100を掛けたものと定義する。相対密度が93%未満であると、焼結体の特徴である、成膜速度が速い、安定な成膜が可能という特徴を損なわれるおそれがある。
(酸化亜鉛系酸化物焼結体の製造方法)
酸化亜鉛系酸化物焼結体の製造方法は、下記(A)および(B)のうち少なくとも1種を含む原料粉末を成形した後、得られた成形体を焼結することにより、上述した酸化物焼結体を得る方法である。
(A)低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉(以下、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉を「酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)」という場合がある)との混合粉
(B)亜鉛と低原子価金属酸化物化合物粉(低原子価金属酸化物と酸化亜鉛が固相反応によって生成する複合酸化物粉)
前記原料粉末の具体例としては、前記した低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)との混合粉か、または亜鉛と低原子価金属酸化物化合物粉を含むものであればよい。
酸化亜鉛系酸化物焼結体の製造方法は、下記(A)および(B)のうち少なくとも1種を含む原料粉末を成形した後、得られた成形体を焼結することにより、上述した酸化物焼結体を得る方法である。
(A)低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉(以下、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉を「酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)」という場合がある)との混合粉
(B)亜鉛と低原子価金属酸化物化合物粉(低原子価金属酸化物と酸化亜鉛が固相反応によって生成する複合酸化物粉)
前記原料粉末の具体例としては、前記した低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)との混合粉か、または亜鉛と低原子価金属酸化物化合物粉を含むものであればよい。
前記酸化亜鉛粉としては、通常、ウルツ鉱構造のZnO等の粉末が用いられ、さらにこのZnOを予め還元雰囲気で焼成して酸素欠損を含有させたものを用いてもよい。
前記水酸化亜鉛粉としては、アモルファスもしくは結晶構造のいずれであってもよい。
前記水酸化亜鉛粉としては、アモルファスもしくは結晶構造のいずれであってもよい。
低原子価金属酸化物粉としては、例えば、低原子価酸化チタン粉、低原子価酸化ニオブ粉、低原子価酸化タンタル粉、低原子価酸化モリブデン粉、低原子価金属酸化物化合物粉などが挙げられ、なかでも低原子価酸化チタン粉、低原子価酸化ニオブ粉、低原子価酸化タンタル粉および低原子価酸化モリブデン粉から選ばれるのが好ましい。
前記低原子価酸化モリブデン粉としては、例えば、MoO2、Mo2O3等の粉末を用いることができ、特に、Mo2O3の粉末を用いるのが好ましい。なぜなら、Mo2O3のイオン半径が0.69Åであり、亜鉛のイオン半径が0.74Åであるので、亜鉛のイオン半径と極めて近く固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。これら粉末はそれぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低原子価酸化ニオブ粉としては、例えば、NbO2、NbO、Nb2O3等の粉末を用いることができ、特に、Nb2O3の粉末を用いるのが好ましい。なぜなら、Nb2O3のイオン半径は0.72Åであり、亜鉛のイオン半径は0.74Åであるので、亜鉛のイオン半径と極めて近く固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。これら粉末はそれぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低原子価酸化タンタル粉としては、例えば、TaO2、TaO、Ta2O3等の粉末を用いることができ、特に、Ta2O3の粉末を用いるのが好ましい。なぜなら、Ta2O3のイオン半径が0.72Åであり、亜鉛のイオン半径が0.74Åであるので、亜鉛のイオン半径と極めて近く固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。これら粉末はそれぞれ単独で用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低原子価酸化チタン粉とは、TiO(II)、Ti2O3(III)のように、原子価が2価または3価の整数であるチタン元素の酸化物だけでなく、Ti3O5、Ti4O7、Ti6O11、Ti5O9、Ti8O15等をも含む一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される新規な低原子価酸化チタンの粉末をいう。この低原子価酸化チタンの粉末は、前記一般式で表される酸化チタンの1種を単独で用いてもよく、または2種以上の混合物を用いてもよい。なかでも、特にTi2O3(III)の粉末を用いるのが好ましい。これは、Ti2O3のイオン半径が0.67Åであり、亜鉛のイオン半径が0.74Åであるため、亜鉛のイオン半径と極めて近く固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。
前記一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタン粉は、単成分を作製するのは難しく、混合物として得られる。通常、酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気などの還元雰囲気にて、還元剤としてカーボンなどを用いて、加熱することにより作製することができる。水素濃度、還元剤としてカーボン量、加熱温度を調製することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
なお、前記低原子価酸化金属の構造は、X線回折装置(X−Ray Diffraction、 XRD)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy、 XPS)などの機器分析によって確認することができる。
低原子価金属酸化物化合物粉(低原子価金属酸化物と酸化亜鉛が固相反応によって生成する複合酸化物粉)の具体例としては、ニオブ酸亜鉛化合物粉、タンタル酸亜鉛化合物粉、モリブデン酸亜鉛化合物粉などが挙げられる。
前記ニオブ酸亜鉛化合物粉としては、例えば、Zn3Nb2O8、ZnNb2O6、Zn4Nb2O9等の粉末を用いることができ、特に、Zn3Nb2O8の粉末を用いるのが好ましい。
前記タンタル酸亜鉛化合物粉としては、例えば、ZnTa2O6、Zn3Ta2O8、Zn4Ta2O9等の粉末を用いることができ、特に、Zn3Ta2O8の粉末を用いるのが好ましい。
前記モリブデン酸亜鉛化合物粉(酸化亜鉛と低原子価酸化モリブデンとの固相反応による複合酸化物)としては、例えば、ZnMoO4、Zn2Mo3O8、Zn3Mo2O9、ZnMo2O7、ZnMoO3、ZnMoO4、Zn3Mo3O8、ZnMo8O10、ZnMoO3等の粉末を用いることができ、特に、ZnMoO3の粉末を用いるのが好ましい。
前記ニオブ酸亜鉛化合物粉としては、例えば、Zn3Nb2O8、ZnNb2O6、Zn4Nb2O9等の粉末を用いることができ、特に、Zn3Nb2O8の粉末を用いるのが好ましい。
前記タンタル酸亜鉛化合物粉としては、例えば、ZnTa2O6、Zn3Ta2O8、Zn4Ta2O9等の粉末を用いることができ、特に、Zn3Ta2O8の粉末を用いるのが好ましい。
前記モリブデン酸亜鉛化合物粉(酸化亜鉛と低原子価酸化モリブデンとの固相反応による複合酸化物)としては、例えば、ZnMoO4、Zn2Mo3O8、Zn3Mo2O9、ZnMo2O7、ZnMoO3、ZnMoO4、Zn3Mo3O8、ZnMo8O10、ZnMoO3等の粉末を用いることができ、特に、ZnMoO3の粉末を用いるのが好ましい。
(原料粉末)
前記原料粉末の具体例としては、低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とからなる粉末か、または金属亜鉛粉と低原子価金属酸化物化合物粉を含む粉末であればよい。
前記原料粉末の具体例としては、低原子価金属酸化物粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とからなる粉末か、または金属亜鉛粉と低原子価金属酸化物化合物粉を含む粉末であればよい。
原料粉末において、低原子価金属の原子数が酸化亜鉛の原子数に対して2%以上10%以下の割合で含有されることが好ましく、さらに好ましくは低原子価金属の原子数が酸化亜鉛の原子数に対して3%以上9%以下となる割合、より好ましくは3%以上6%以下となる割合で含有される。この低原子価金属の原子数の割合が2%未満となると、得られる酸化物焼結体もしくはターゲットまたはタブレット(以下、単にターゲットという場合がある)を用いて形成された膜の耐薬品性などの化学的耐久性が不充分となるおそれがある。一方、低原子価金属の原子数の割合が10%を超えると、低原子価金属が亜鉛サイトに十分置換固溶できなくなり、得られる酸化物焼結体またはターゲットを用いて形成された膜の導電性や透明性が不充分となるおそれがある。
原料粉末に含まれる全金属原子数の約90〜98%を亜鉛が占めるため、原料粉末において酸化亜鉛が主成分となる。低原子価金属は単成分である必要はなく、低原子価金属の複数成分であっても構わない。
原料粉末に含まれる全金属原子数の約90〜98%を亜鉛が占めるため、原料粉末において酸化亜鉛が主成分となる。低原子価金属は単成分である必要はなく、低原子価金属の複数成分であっても構わない。
原料粉末は、ガリウム、アルミニウム、錫、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、およびハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、これらを「添加元素」と称することもある)を含有してもよい。これによって、得られる酸化物焼結体またはターゲットを用いて形成される膜の比抵抗に加え、得られる酸化物焼結体またはターゲット自体の比抵抗も低下させることができる。添加元素の全含有量は、原子比で、原料粉末に含まれる全金属元素の総量に対して0.05%以下であることが好ましい。添加元素の含有量が前記範囲よりも多いと、得られる酸化物焼結体またはターゲットを用いて形成される膜の比抵抗が増大するおそれがある。
さらに、原料粉末は、例えば、インジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムなどの他の元素を、不純物として含有していてもよい。不純物として含有される元素の合計含有量は、原子比で、原料粉末に含まれる全金属元素の総量に対して0.1%以下であることが好ましい。
さらに、原料粉末は、例えば、インジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムなどの他の元素を、不純物として含有していてもよい。不純物として含有される元素の合計含有量は、原子比で、原料粉末に含まれる全金属元素の総量に対して0.1%以下であることが好ましい。
原料粉末として各々用いる化合物(粉)の平均粒径は、それぞれ1μm以下であることが好ましい。
酸化物焼結体が酸化亜鉛と酸化モリブデンとを含む場合、すなわち前記原料粉末として低原子価酸化モリブデン粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)との混合粉を用いる場合、または低原子価酸化モリブデン粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とモリブデン酸亜鉛化合物粉との混合粉を用いる場合の各粉の混合割合は、各々用いる化合物(粉)の種類に応じて、最終的に得られる酸化物焼結体において原子数比で上記X/(Zn+X)、すなわちMo/(Zn+Mo)の値が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。その際、亜鉛はモリブデンに比べて蒸気圧が高く焼結した際に揮散しやすいことを考慮して、所望する酸化物焼結体の目的組成(ZnとMoとの原子数比)よりも、予め亜鉛の量が多くなるように混合割合を設定しておくことが好ましい。
酸化物焼結体が酸化亜鉛と酸化ニオブと酸化タンタルとを含む場合、すなわち前記原料粉末が、低原子価酸化ニオブ粉と低原子価酸化タンタル粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とからなる原料粉末である場合、もしくは低原子価酸化ニオブ粉および/または低原子価酸化タンタル粉と、酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)と、ニオブ酸亜鉛化合物粉および/またはタンタル酸亜鉛化合物粉とからなる原料粉末である場合(低原子価酸化ニオブ粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とニオブ酸亜鉛化合物粉とからなる原料粉末である場合、および低原子価酸化タンタル粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とタンタル酸亜鉛化合物粉とからなる原料粉末である場合を除く)の各原料粉末の混合割合は、各々用いる化合物(粉)の種類に応じて、最終的に得られる酸化物焼結体において原子数比で上記X/(Zn+X)の値、すなわち(Nb+Ta)/(Zn+Nb+Ta)の値が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。その際、亜鉛はニオブに比べて蒸気圧が高く焼結した際に揮散しやすいことを考慮して、所望する酸化物焼結体の目的組成(ZnとNbおよびTaとの原子数比)よりも、予め亜鉛の量が多くなるように混合割合を設定しておくことが好ましい。
前記原料粉末として低原子価酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)との混合粉を用いる場合、または低原子価酸化チタン粉と酸化亜鉛粉(水酸化亜鉛粉)とチタン酸亜鉛化合物粉との混合粉を用いる場合の各粉の混合割合は、各々用いる化合物(粉)の種類に応じて、最終的に得られる酸化物焼結体において原子数比で上記X/(Zn+X)の値、Ti/(Zn+Ti)の値が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。その際、亜鉛はチタンに比べて蒸気圧が高く焼結した際に揮散しやすいことを考慮して、所望する酸化物焼結体の目的組成(ZnとTiとの原子数比)よりも、予め亜鉛の量が多くなるように混合割合を設定しておくことが好ましい。
低原子価金属酸化物を大気雰囲気中でのアニール処理を施すと、酸化されて主原子価(ニオブは5価、タンタルは5価、モリブデンは6価、チタンは4価)になってしまう。そのため、不活性雰囲気、還元雰囲気で焼結されるのが好ましい(大気雰囲気焼結その後、還元アニールも含める)。具体的には、亜鉛の揮散のしやすさは、焼結する際の雰囲気によって異なり、例えば、酸化亜鉛粉を用いた場合、大気雰囲気や酸化雰囲気では酸化亜鉛粉自体の揮散しか起こらないが、不活性雰囲気、還元雰囲気で焼結すると、酸化亜鉛が還元されて、酸化亜鉛よりもさらに揮散しやすい金属亜鉛となるので、亜鉛の消失量が増すことになる(ただし、後述のように、一旦焼結した後、還元雰囲気中でアニール処理を施す場合には、アニール処理を施す時点で既に複合酸化物となっているので、亜鉛が揮散しにくい)。したがって、目的組成に対してどの程度亜鉛の量を増やしておくかについては、焼結の雰囲気などを考慮して設定すればよく、例えば、大気雰囲気や酸化雰囲気で焼結する場合には所望する原子数比となる量の1.0〜1.05倍程度、不活性雰囲気、還元雰囲気で焼結する場合には所望する原子数比となる量の1.1〜1.3倍程度とすればよい。なお、原料粉末として各々用いる化合物(粉)は、それぞれ1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記原料粉末は成形される前に、粉砕処理が施されてもよい。粉砕処理が施されることで、原料粉末は幅の狭い粒度分布に整えられ、後述する焼結において、均一に固相焼結させることができ、密度の高い酸化物焼結体を得ることができる。
粉砕処理する方法としては、特に限定されず、例えば、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられる。
粉砕処理する方法としては、特に限定されず、例えば、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられる。
前記原料粉末を成形する際の方法は、特に制限されるものではないが、例えば、原料粉末と水系溶媒とを混合し、得られたスラリーを充分に湿式混合により混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、得られた造粒物を成形すればよい。
湿式混合は、例えば、硬質ZrO2ボール等を用いた湿式ボールミルや振動ミルにより行なえばよく、湿式ボールミルや振動ミルを用いた場合の混合時間は、12〜78時間程度が好ましい。なお、原料粉末をそのまま乾式混合してもよいが、湿式混合の方がより好ましい。
固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
湿式混合は、例えば、硬質ZrO2ボール等を用いた湿式ボールミルや振動ミルにより行なえばよく、湿式ボールミルや振動ミルを用いた場合の混合時間は、12〜78時間程度が好ましい。なお、原料粉末をそのまま乾式混合してもよいが、湿式混合の方がより好ましい。
固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
得られた造粒物を成形する際には、例えば、造粒物を型枠に入れ、冷間プレスや冷間静水圧プレスなどの冷間成形機を用いて1ton/cm2以上の圧力をかけて成形することができる。このとき、ホットプレスなどを用いて熱間で成形を行うと、製造コストの面で不利となるとともに、大型焼結体が得にくくなる。なお、成形体として造粒物を得る際には、乾燥後、公知の方法で造粒すればよいのであるが、その場合、原料粉末とともにバインダーも混合することが好ましい。バインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル等を用いることができる。
得られた成形体の焼結は、大気雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空、水素等)および酸化雰囲気(大気よりも酸素濃度が高い雰囲気)のいずれかの雰囲気中、600〜1500℃で行なう。そして、大気雰囲気または酸化雰囲気中で焼結した場合には、その後さらに還元雰囲気中でアニール処理を施すようにする。この大気雰囲気中または酸化雰囲気中で焼結した後に施す還元雰囲気中でのアニール処理は、酸化物焼結体に酸素欠損を生じさせ、比抵抗を低下させるために行なうものである。したがって、大気雰囲気中または還元雰囲気中で焼結した際にも、さらなる比抵抗の低下を所望する場合には、焼結後、前記アニール処理を施すのが好ましいことは言うまでもない。
いずれの雰囲気中で焼結する際も、焼結温度は600〜1500℃、好ましくは1000〜1300℃とする。焼結温度が600℃未満であると、焼結が充分に進行しないので、ターゲット密度が低くなり、一方、1500℃を超えると、酸化亜鉛自体が分解して消失してしまうこととなる。なお、成形体を前記焼結温度まで昇温する際には、昇温速度を、1000℃までは5〜10℃/分とし、1000℃を超え1500℃までは1〜4℃/分とすることが、焼結密度を均一にするうえで好ましい。
いずれの雰囲気中で焼結する際も、焼結時間(すなわち、焼結温度での保持時間)は、3〜15時間とすることが好ましい。焼結時間が3時間未満であると、焼結密度が不充分となりやすく、得られる酸化物焼結体の強度が低下する傾向があり、一方、15時間を超えると、焼結体の結晶粒成長が著しくなるとともに、空孔の粗大化、ひいては最大空孔径の増大化を招く傾向があり、その結果、焼結密度が低下するおそれがある。
焼結を行なう際の方法は、特に制限されるものではなく、常圧焼成法、ホットプレス法、熱間等方圧加圧法(HIP法)、冷間等方圧加圧法(CIP法)、マイクロ波焼結法、ミリ波焼結法等を採用することができる。
前記アニール処理を施す際の還元雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空および水素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる雰囲気が挙げられる。前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。
前記アニール処理を施す際の還元雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空および水素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる雰囲気が挙げられる。前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。
前記アニール処理を施すに際し、アニール温度(加熱温度)は、1000〜1400℃とするのが好ましく、より好ましくは1100〜1300℃とするのがよい。アニール時間(加熱時間)は、7〜15時間とするのが好ましく、より好ましくは8〜12時間とするのがよい。アニール温度が1000℃未満であると、アニール処理による酸素欠損の導入が不充分になるおそれがあり、一方、1400℃を超えると、亜鉛が揮散しやすくなり、得られる酸化物焼結体の組成(Znと金属との原子数比)が所望の比率と異なってしまうおそれがある。
前記アニール処理を施す際の不活性雰囲気、還元雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空および水素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる雰囲気が挙げられる。
前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。
前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。
(ターゲット)
本発明におけるターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられるターゲットである。
本発明におけるターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられるターゲットである。
ターゲットは、上述した酸化亜鉛系酸化物焼結体を加工してなる。加工方法は、特に制限されず、適宜公知の方法を採用すればよい。例えば、酸化亜鉛系酸化物焼結体に平面研削等を施した後、所定の寸法に切断してから、支持台に貼着することにより、ターゲットを得ることができる。また、必要に応じて、複数枚の酸化物焼結体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲット)としてもよい。
本発明における酸化亜鉛系透明電極膜の形成方法は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法により成膜を行うものであるが、その際の具体的手法や条件などについては、上述したターゲットを用いること以外、特に制限はなく、公知のスパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法の手法や条件を適宜採用すればよい。
以上のようにして、本発明の太陽電池モジュールに用いる酸化亜鉛系透明電極膜が形成される。
本発明における酸化亜鉛系透明電極膜の膜厚は、用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、好ましくは50〜600nm、より好ましくは100〜500nmである。50nm未満であると、充分な比抵抗が確保できないおそれがあり、一方、600nmを超えると膜に着色が生じてしまうおそれがある。
上記特性を有する膜は、近赤外領域での透過率が極めて高く、低抵抗であるため太陽電池の透明電極として有用である。
本発明における酸化亜鉛系透明電極膜の膜厚は、用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、好ましくは50〜600nm、より好ましくは100〜500nmである。50nm未満であると、充分な比抵抗が確保できないおそれがあり、一方、600nmを超えると膜に着色が生じてしまうおそれがある。
上記特性を有する膜は、近赤外領域での透過率が極めて高く、低抵抗であるため太陽電池の透明電極として有用である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
なお、得られた酸化亜鉛系透明電極膜の評価は以下の方法で行なった。
なお、得られた酸化亜鉛系透明電極膜の評価は以下の方法で行なった。
<比抵抗>
比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP、MCP−T610」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<表面抵抗>
表面抵抗(Ω/□)は、比抵抗(Ω・cm)を膜厚(cm)で除することにより算出した。
<透過率>
透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。
比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP、MCP−T610」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<表面抵抗>
表面抵抗(Ω/□)は、比抵抗(Ω・cm)を膜厚(cm)で除することにより算出した。
<透過率>
透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。
(参考例1)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO(II);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。
次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(0.1013MPa)のアルゴン雰囲気下、1000℃で4時間アニールして、酸化物焼結体(1)を得た。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO(II);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。
次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(0.1013MPa)のアルゴン雰囲気下、1000℃で4時間アニールして、酸化物焼結体(1)を得た。
得られた酸化物焼結体(1)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。この酸化物焼結体(1)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
得られた酸化物焼結体を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。
得られたスパッタリングターゲットを用い、スパッタリングにより透光性基板に成膜を行った。スパッタ条件は以下のとおりであり、厚さ500nmの薄膜を得た。
ターゲット寸法 :50.8mmφ×3mm厚
スパッタリング装置:キャノンアネルバ製 「E-200S」
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタリング
到達真空度 :2.0×10-4Pa
Ar圧力 :0.5Pa
透光性基板温度 :200℃
スパッタ電力 :45W
透光性基板 :ソーダライムガラス(50.8mm×50.8mm×0.5mm)
得られた酸化物焼結体を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。
得られたスパッタリングターゲットを用い、スパッタリングにより透光性基板に成膜を行った。スパッタ条件は以下のとおりであり、厚さ500nmの薄膜を得た。
ターゲット寸法 :50.8mmφ×3mm厚
スパッタリング装置:キャノンアネルバ製 「E-200S」
スパッタ方式 :DCマグネトロンスパッタリング
到達真空度 :2.0×10-4Pa
Ar圧力 :0.5Pa
透光性基板温度 :200℃
スパッタ電力 :45W
透光性基板 :ソーダライムガラス(50.8mm×50.8mm×0.5mm)
形成した透明電極膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。また、この透明電極膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明電極膜の比抵抗は4.2×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は8.4Ω/□であった。なお、透光性基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均89%、赤外領域(780nm〜1500nm)で平均89%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板上の透明電極膜の比抵抗は4.2×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は8.4Ω/□であった。なお、透光性基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均89%、赤外領域(780nm〜1500nm)で平均89%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
よって、このような酸化亜鉛系透明電極膜を、太陽電池の受光部側の表面透明電極膜および/またはpn接合部の裏側の裏面透明電極膜に用いると、赤外線領域の太陽エネルギーを有効に電気エネルギーに変換することができる。
(参考例2)
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末97.7重量部と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)粉末2.3重量部とを、ポリエチレン製ポットに入れ、乾式ボールミルを用いて72時間混合し、原料粉末の混合物を得た。得られた混合物を金型に入れ、成形圧300kg/cm2の圧力でプレスを行い、成形体を得た。この成形体に3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を施した後、以下の条件で焼結して、アルミニウムドープ酸化亜鉛の酸化物焼結体を得た。
焼結温度 :1500℃
昇温速度 :50℃/時間
保持時間 :5時間
焼結雰囲気:大気中
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末97.7重量部と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)粉末2.3重量部とを、ポリエチレン製ポットに入れ、乾式ボールミルを用いて72時間混合し、原料粉末の混合物を得た。得られた混合物を金型に入れ、成形圧300kg/cm2の圧力でプレスを行い、成形体を得た。この成形体に3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を施した後、以下の条件で焼結して、アルミニウムドープ酸化亜鉛の酸化物焼結体を得た。
焼結温度 :1500℃
昇温速度 :50℃/時間
保持時間 :5時間
焼結雰囲気:大気中
得られた酸化物焼結体は、X線回折で分析したところ、ZnOとZnAl2O4との2相の混合組織であった。
次に、得られた酸化物焼結体を4インチφ、6mmtの形状に加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅製バッキングプレートにボンディングすることにより、ターゲットを作製した。そして、このターゲットを用いて、以下の条件でスパッタリング法による成膜を行い、透光性基材(石英ガラス基板)上に膜厚600nmの透明電極膜を形成し、透明導電性基板を得た。形成した膜中のAl含有量は2.3重量%であった。
スパッタリング装置 :キャノンアネルバ製 「E−200S」
スパッタ方法 :DCマグネトロンスパッタ装置
磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
透光性基板温度 :200℃
到達真空度 :2.0×10-4Pa
スパッタリングガス :Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
DCパワー :45W
次に、得られた酸化物焼結体を4インチφ、6mmtの形状に加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅製バッキングプレートにボンディングすることにより、ターゲットを作製した。そして、このターゲットを用いて、以下の条件でスパッタリング法による成膜を行い、透光性基材(石英ガラス基板)上に膜厚600nmの透明電極膜を形成し、透明導電性基板を得た。形成した膜中のAl含有量は2.3重量%であった。
スパッタリング装置 :キャノンアネルバ製 「E−200S」
スパッタ方法 :DCマグネトロンスパッタ装置
磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
透光性基板温度 :200℃
到達真空度 :2.0×10-4Pa
スパッタリングガス :Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
DCパワー :45W
得られた透明導電性基板上の透明電極膜の比抵抗は4.0×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は6.7Ω/□であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均89%、赤外領域(780nm〜1500nm)で平均70%であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均89%、赤外領域(780nm〜1500nm)で平均70%であった。
参考例1、2で得られた透明導電性基板を温度20℃、各々酢酸0.1mol/L、1.0mol/Lに浸漬し、エッチング時間とエッチング量の関係について調べた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、参考例1の低原子価酸化チタンであるTiO(II)をドーパントとして用いた透明電極膜は、参考例2の酸化アルミニウムをドーパントとして用いた透明電極膜より、エッチング量が大幅に改善されていることがわかった。
このことから、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛透明電極膜は酸化アルミニウムドープ酸化亜鉛透明電極膜に較べて、酢酸耐性が大幅に優れていることがわかった。
図4に示すように、参考例1の低原子価酸化チタンであるTiO(II)をドーパントとして用いた透明電極膜は、参考例2の酸化アルミニウムをドーパントとして用いた透明電極膜より、エッチング量が大幅に改善されていることがわかった。
このことから、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛透明電極膜は酸化アルミニウムドープ酸化亜鉛透明電極膜に較べて、酢酸耐性が大幅に優れていることがわかった。
(実施例1)
<アモルファスシリコン太陽電池素子の作製>
参考例1で作製した透明電極基板上に図2に示す層構成になるように、下記に示す手順でアモルファスシリコン太陽電池素子を作製した。
<アモルファスシリコン太陽電池素子の作製>
参考例1で作製した透明電極基板上に図2に示す層構成になるように、下記に示す手順でアモルファスシリコン太陽電池素子を作製した。
(非晶質p型シリコン層形成)
試料1(参考例1で得た透明導電性基板)をp型シリコン製膜室に輸送した後、シラン(SiH4)、水素(H2)、ジボラン(B2H6)、メタン(CH4)等の高純度半導体ガスをp型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、圧力0.5Torrに保った後、放電を開始し、1分間の製膜で厚さ10nmのボロンドープa−Si合金膜を得た。その後、同室で上記条件のジボラン(B2H6)ガスの導入のみを停止して、ノンドープa−SiC合金膜を太陽電池バッファー層として厚さ5nmの製膜を行い、試料2を得た。製膜が終了した後、再び高真空に排気した。
試料1(参考例1で得た透明導電性基板)をp型シリコン製膜室に輸送した後、シラン(SiH4)、水素(H2)、ジボラン(B2H6)、メタン(CH4)等の高純度半導体ガスをp型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、圧力0.5Torrに保った後、放電を開始し、1分間の製膜で厚さ10nmのボロンドープa−Si合金膜を得た。その後、同室で上記条件のジボラン(B2H6)ガスの導入のみを停止して、ノンドープa−SiC合金膜を太陽電池バッファー層として厚さ5nmの製膜を行い、試料2を得た。製膜が終了した後、再び高真空に排気した。
(ノンドープ非晶質i型シリコン光電変換層形成)
次に、得られた試料2をi型シリコン製膜室に輸送した後、SiH4とH2をi型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、高圧力1.0Torrに保った後、放電を開始し、25分間の製膜で厚さ0.35μmのノンドープa−Siを形成した試料3を得た。製膜が終了した後、再び高真空に排気した。
次に、得られた試料2をi型シリコン製膜室に輸送した後、SiH4とH2をi型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、高圧力1.0Torrに保った後、放電を開始し、25分間の製膜で厚さ0.35μmのノンドープa−Siを形成した試料3を得た。製膜が終了した後、再び高真空に排気した。
(非晶質n型シリコン層形成)
次に、得られた試料3をn型シリコン製膜室に輸送し、SiH4、H2、フォスフィン(PH3)をn型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、圧力0.2Torrに保った。放電を開始し、6分間の製膜で厚さ30nmのリンドープa−Siを形成した試料4を得た。製膜が終了した後再び高真空に排気した。
次に、得られた試料3をn型シリコン製膜室に輸送し、SiH4、H2、フォスフィン(PH3)をn型シリコン製膜室へ一定流量で導入し、基板温度150℃、圧力0.2Torrに保った。放電を開始し、6分間の製膜で厚さ30nmのリンドープa−Siを形成した試料4を得た。製膜が終了した後再び高真空に排気した。
(裏面透明電極層および裏面反射電極層形成)
以上のp型層−i型層−n型層の3層光電変換ユニットを製膜後、試料4を室温まで冷却し、大気中に取り出した後、試料4を再びスパッタ真空装置に設置し、次の手順で裏面透明電極層および裏面反射電極層(以下、纏めて裏面電極という場合がある)を形成した試料5を得た。
試料5を室温でガリウム添加酸化亜鉛層20nm、銀層200nm、およびガリウム添加酸化亜鉛層20nmを順に積層し、試料6を得た。試料6を真空装置から取り出した後、裏面電極のパターニングにより面積0.25cm2の太陽電池素子を得た。その後150℃のポストアニーリングを2時間行った。
以上のp型層−i型層−n型層の3層光電変換ユニットを製膜後、試料4を室温まで冷却し、大気中に取り出した後、試料4を再びスパッタ真空装置に設置し、次の手順で裏面透明電極層および裏面反射電極層(以下、纏めて裏面電極という場合がある)を形成した試料5を得た。
試料5を室温でガリウム添加酸化亜鉛層20nm、銀層200nm、およびガリウム添加酸化亜鉛層20nmを順に積層し、試料6を得た。試料6を真空装置から取り出した後、裏面電極のパターニングにより面積0.25cm2の太陽電池素子を得た。その後150℃のポストアニーリングを2時間行った。
以上の工程により図2に示す層構成のアモルファスシリコン太陽電池素子を作製した。アモルファスシリコン太陽電池素子を直列に繋ぎ、この太陽電池素子を備えた透光性基板(ソーダライムガラス基板)を、太陽電池素子側がバックシートと向かい合うようにし、この透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間をEVA樹脂で封止し、太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールの化学的耐久性の評価を行うために、85℃、湿度85%の雰囲気に1000時間暴露の試験を行ってもEVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はわずかしか発生せず、試験前の光電変換効率と較べて変化なく、長期信頼性を有していた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はわずかしか発生せず、試験前と較べて光電変換効率は変化なく、長期信頼性を有していた。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はわずかしか発生せず、試験前と較べて光電変換効率は変化なく、長期信頼性を有していた。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
(実施例2)
<化合物半導体系太陽電池素子の作製>
参考例1で作製した透明電極基板上に図1に示す層構成となるように、下記の手順で化合物半導体系太陽電池素子を作製した。
<化合物半導体系太陽電池素子の作製>
参考例1で作製した透明電極基板上に図1に示す層構成となるように、下記の手順で化合物半導体系太陽電池素子を作製した。
参考例1で得た透明導電性基板の上に、直流マグネトロンスパッタ法で、ZnOターゲットを使用し、スパッタガスとしてArを用い、窓層4としてZnO薄膜を膜厚150nm程度の厚さに形成した。
その上に、ヘテロpn接合を形成するため、半導体の中間層3としてCdS薄膜を溶液析出法で、CdI2、NH4Cl2、NH3、チオ尿素の混合溶液を用いて、50nm程度の厚さに形成した。
その上に、p型半導体の光吸収層2としてCuInGaSe2薄膜を真空蒸着法で2〜3μmの厚さに形成した。
その上に、裏側金属電極層1としてAu膜を真空蒸着法で1μm程度の厚さに形成した。
その上に、ヘテロpn接合を形成するため、半導体の中間層3としてCdS薄膜を溶液析出法で、CdI2、NH4Cl2、NH3、チオ尿素の混合溶液を用いて、50nm程度の厚さに形成した。
その上に、p型半導体の光吸収層2としてCuInGaSe2薄膜を真空蒸着法で2〜3μmの厚さに形成した。
その上に、裏側金属電極層1としてAu膜を真空蒸着法で1μm程度の厚さに形成した。
この化合物半導体系太陽電池素子を直列に繋ぎ、この太陽電池素子を備えた透光性基板(ガラス基板)を、太陽電池素子側がバックシートと向かい合うようにし、この透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間をEVA樹脂で封止し、太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールの化学的耐久性の評価を行うために、85℃、湿度85%の雰囲気に1000時間暴露の試験を行ってもEVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はわずかしか発生せず、試験前の光電変換効率と較べて変化はなく、劣化もせず、長期信頼性を有していた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はほとんどなく試験前の光電変換効率と較べて変化はなく、長期信頼性を有していた。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVA樹脂の加水分解により発生した酢酸による透明電極膜の劣化はほとんどなく試験前の光電変換効率と較べて変化はなく、長期信頼性を有していた。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
(比較例1)
<アモルファスシリコン太陽電池素子の作製>
参考例2で得られた透明導電性基板を用いた他は、実施例1と同様して、図2に示す層構成のアモルファスシリコン太陽電池素子を作製し、この太陽電池素子を用いて太陽電池モジュールを作製した。
<アモルファスシリコン太陽電池素子の作製>
参考例2で得られた透明導電性基板を用いた他は、実施例1と同様して、図2に示す層構成のアモルファスシリコン太陽電池素子を作製し、この太陽電池素子を用いて太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールの化学的耐久性の評価を行うために、85℃、湿度85%の雰囲気に1000時間暴露の試験を行うと、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
(比較例2)
<化合物半導体系太陽電池素子の作製>
参考例2で得られた透明導電性基板を用いた他は、実施例2と同様して、図1に示す層構成の化合物半導体系太陽電池素子を作製し、この太陽電池素子を用いて太陽電池モジュールを作製した。
<化合物半導体系太陽電池素子の作製>
参考例2で得られた透明導電性基板を用いた他は、実施例2と同様して、図1に示す層構成の化合物半導体系太陽電池素子を作製し、この太陽電池素子を用いて太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールの化学的耐久性の評価を行うために、85℃、湿度85%の雰囲気に1000時間暴露の試験を行うと、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
また、作製した太陽電池モジュールをカーボンアーク型サンシャインウェザーメーター(SWM)による500時間(屋外暴露1〜2年相当)の暴露試験を行ったところ、EVAが加水分解し、発生した酢酸による透明電極膜の劣化が激しく、試験前の光電変換効率に較べて著しく低下した。
なお、光電変換効率は太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)の照射光を酸化亜鉛系透明電極膜側から太陽電池モジュールに照射して特性を調べた。
本実験より、本発明における透明電極膜を適用した太陽電池は、酢酸耐性に優れることから、本発明における表面透明電極膜を用いた太陽電池モジュールは長期的に信頼性に優れていることは自明である。
1 裏側金属電極層
2 光吸収層
3 半導体の中間層
4 窓層
5、12、22 酸化亜鉛系透明電極膜
6、13、23 透光性基板
7、14 裏面反射電極層
8、15 裏面透明電極層
9、19 非晶質n型シリコン層
10、20 ノンドープ非晶質i型シリコン光電変換層
11、21 非晶質p型シリコン層
16 結晶質n型シリコン層
17 ノンドープ結晶質i型シリコン光電変換層
18 結晶質p型シリコン層
2 光吸収層
3 半導体の中間層
4 窓層
5、12、22 酸化亜鉛系透明電極膜
6、13、23 透光性基板
7、14 裏面反射電極層
8、15 裏面透明電極層
9、19 非晶質n型シリコン層
10、20 ノンドープ非晶質i型シリコン光電変換層
11、21 非晶質p型シリコン層
16 結晶質n型シリコン層
17 ノンドープ結晶質i型シリコン光電変換層
18 結晶質p型シリコン層
Claims (5)
- 受光側の透光性基板とバックシートとの間に複数の板状太陽電池素子を挟み、透光性基板とバックシートとで挟まれた内部の隙間に封止樹脂を充填した構造を備えた太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の表面透明電極膜に、ドーパントとして低原子価金属酸化物をドープした酸化亜鉛系透明電極膜を用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 前記封止樹脂が、エチレンー酢酸ビニル共重合体である請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記低原子価金属酸化物が、低原子価酸化チタン、低原子価酸化ニオブ、低原子価酸化タンタルおよび低原子価酸化モリブデンから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記低原子価金属酸化物が、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 前記太陽電池素子が、薄膜シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感型太陽電池、および有機薄膜太陽電池からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
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