JP2012190975A - テクスチャー構造を有する太陽電池用透明導電性基板、その製造方法及び半導体素子 - Google Patents

テクスチャー構造を有する太陽電池用透明導電性基板、その製造方法及び半導体素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光電変換効率の太陽電池を得るための酸化亜鉛系透明導電膜、その製造方法および半導体素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の太陽電池用透明導電性基板は、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して2%超10%以下であり、かつチタン源として、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを用いた酸化物焼結体を用いて、チタンをドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜を基板上に形成し、前記透明導電膜を酸又はアルカリ溶液でエッチングすることにより前記透明導電膜の表面に凹凸が形成されたものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い光電変換効率を有する薄膜シリコン太陽電池の製造に用いられる酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜の表面に凹凸のあるテクスチャーを付与した太陽電池用透明導電性基板、その製造方法及び半導体素子に関する。
近年、化石エネルギーの枯渇問題に関する関心の高まりにより、その代替エネルギーである太陽光発電(太陽電池)が注目されている。
太陽電池市場は、技術開発の進んだシリコン系の太陽電池が古くから実用化されており、なかでも光電変換効率に優れた結晶シリコン太陽電池が広く用いられている。
しかし、結晶シリコン太陽電池は、製造上、薄膜化が困難であるため、原料のシリコンが多量に消費され、シリコンの供給不安が問題視されている。また、量産時に大面積化が出来ないため、生産コストがかかるといった問題も有している。
一方、これらの問題点を解決するものとしてアモルファスシリコンを光電変換層とした太陽電池が注目されている。
アモルファスシリコンは、CVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜されるため、膜厚を自在にコントロールでき、且つ生産においても大型化が可能であることにより、現在この技術開発が進んでいる。
アモルファスシリコン薄膜太陽電池では、光電変換層(i層)の膜厚を厚くするとダングリングボンド(膜中の欠陥)が増加し、光電変換効率の低下につながるため、その光電変換層の厚みを薄くする必要がある。
このようなアモルファスシリコン薄膜太陽電池から優れた光電変換効率を得るためには、入射した光を有効に利用する光閉じ込め技術の開発が必要となる。
光閉じ込め技術とは、光電変換層と透明導電膜の界面を凹凸のあるテクスチャー構造とし、その界面で光電変換層から透明導電膜へ向う光を光電変換層の界面で反射させることにより、光電変換層内での光路長を長くし、光電変換層での光の吸収量を大きくさせるものである。
また、アモルファスシリコン薄膜太陽電池は、スーパーストラクチャータイプの構造で作製される場合が多く、透明導電膜の上部にp型半導体層(以下、p層という場合がある)、i型半導体層(以下、i層という場合がある)、およびn型半導体層(以下、n層という場合がある)のアモルファスシリコン層がCVDによりこの順で成膜されるため、水素プラズマ耐性に優れた透明導電層膜である必要がある。
表面に凹凸を有する透明導電膜は、例えば、ガラス基板上に熱CVD法により酸化錫膜を形成することにより得られるが、この製法で製造される透明電極付きガラス基板のメーカーがは限られるため、供給に不安がある。
また、スパッタ法で水素プラズマ耐性に優れた酸化亜鉛膜をガラス基板上に成膜した後、酸またはアルカリを用いて酸化亜鉛膜の表面をエッチング処理して凹凸を形成させる方法も検討されている。
特許文献1には、基板上に酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成し、該透明導電膜を酸性またはアルカリ性水溶液でエッチングすることにより透明導電膜の表面に凹凸を形成する太陽電池用基板の製造方法が開示されている。
特許文献2には、基板上に酸化亜鉛からなる透明導電膜を形成し、酸性またはアルカリ性水溶液からなるエッチング液を用いて該透明導電膜を少なくとも2回にわたってエッチングを施すことにより透明導電膜の表面に凹凸を形成する太陽電池用基板の製造方法が開示されている。この特許文献2に開示された製造方法は、ウエットエッチングにて一度に大面積に凹凸を形成することが可能であるので、量産性に優れ、低コストにて製造することができる。
しかし、これらの技術で製造されている透明導電膜の表面に凹凸を形成した酸化亜鉛透明導電膜は、酸化亜鉛にガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)膜、酸化亜鉛にアルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)膜であり、酸、アルカリに対する溶解性が極めて速いため、凹凸の形状を最適に制御するのが困難であり、表面全体が不均一でムラのある凹凸構造となってしまう場合が多い。すなわち、安定的に再現性良く、均一に透明導電膜の表面全体に凹凸を形成することが困難であった。特に、太陽電池に用いられる透明導電膜は少なくとも1m×1m以上のサイズであるため、透明導電膜の表面に均一な凹凸構造を形成することが極めて困難であった。
特開平11−233800号公報 特開2004−119491号公報
上記のように、これまでに開示された技術では、酸化亜鉛透明導電膜のエッチング速度が速すぎるため、太陽電池に用いられる大面積の透明導電膜の表面に、安定的に再現性よく光閉じ込め効果に優れた凹凸を形成することができなかった。そのため、太陽電池内の場所によって光電変換効率が大きく異なり、太陽電池の光電変換効率向上の阻害要因となっていたため、酸、アルカリに対する溶解性を遅くした酸化亜鉛透明導電膜の開発が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高い光電変換効率の太陽電池を得るための酸化亜鉛系透明導電膜、その製造方法および半導体素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決すべく種々検討した結果、酸化亜鉛系透明導電膜としてチタンをドープした酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜は、GZO膜、AZO膜よりエッチング速度を遅くすることができ、太陽電池に用いられる大面積の透明導電膜の表面に、安定的に再現性よく、光閉じ込め効果に優れた凹凸を形成することができ、この透明導電膜を用いた太陽電池の光電変換効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明は、以下の構成からなる。
(1)基板と、この基板上に、表面に酸又はアルカリ溶液でのエッチングによる凹凸を有し、かつドーパントとしてTi原子をドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜とからなることを特徴とする太陽電池用透明導電性基板。
(2)酸化亜鉛を主成分とし、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して2%超10%以下であり、かつチタン源として、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを用いた酸化物焼結体を用いて形成された透明導電膜であることを特徴とする前記(1)記載の太陽電池用透明導電性基板。
(3)前記低原子価酸化チタンは、酸化チタン(TiO)および酸化チタン(Ti23)から選ばれる前記(2)に記載の太陽電池用透明導電性基板。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用透明導電性基板を製造方法であって、酸化亜鉛を主成分とし、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して2%超10%以下であり、かつチタン源として、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを用いた酸化物焼結体を用いてチタンをドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜を基板上に形成し、前記透明導電膜を酸又はアルカリ溶液でエッチングすることにより前記透明導電膜の表面に凹凸を形成することを特徴とする太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
(5)前記低原子価酸化チタンは、酸化チタン(TiO)および酸化チタン(Ti23)から選ばれる前記(4)に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
(6)前記酸溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸および蟻酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である前記(4)または(5)に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
(7)前記アルカリ溶液が、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である前記(4)または(5)に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
(8)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用透明導電性基板上に、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のp型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層がこの順で形成され、さらに前記n型半導体層上に導電層が積層されてなる半導体素子。
本発明によれば、基板と、表面に酸又はアルカリ溶液でのエッチングによる凹凸を有し、かつドーパントとしてTi原子をドープした酸化亜鉛からなる透明導電層膜とからなる太陽電池用透明導電性基板であるため、大面積の透明導電膜の表面全体が均一でムラの少ない凹凸構造で、光閉じこめ効果が高く、該太陽電池用透明導電性基板を備えた太陽電池は、太陽電池内のどの場所でも高い光電変換効率で安定しており、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
また、本発明の半導体素子によれば、上記本発明の太陽電池用透明導電性基板上にアモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のp層、i層及びn層が形成され、さらに該n層上に導電層が積層されてなるため、太陽電池の光電変換効率が向上した、良好な特性を有するとともに、信頼性の高い半導体素子を、簡便な製造方法、ひいては低い製造コストで提供することができる。
実施例1における薄膜太陽電池の層構成を示す概略説明図である。
本発明の太陽電池用透明導電性基板は、基板と、この基板上に、表面に凹凸を有し、かつドーパントとしてTi原子をドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜とからなる。
本発明の太陽電池用透明導電性基板に使用される基板としては、通常、ガラス基板、樹脂基板、金属膜であるのが好ましい。
ガラス基板としては、例えば、無アルカリガラス、アルカリガラス等が挙げられる。
樹脂基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリカーボネート(PC)基板、ポリイミド基板等の公知の透明樹脂基板などが挙げられる。
金属膜としては、通常電極として使用できる導電膜、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム等を使用することができる。
基板上に備えられる酸化亜鉛からなる透明導電膜は、チタンをドープした酸化亜鉛透明導電膜であり、後述するエッチングによる凹凸を有する。
凹凸の高さ、すなわち凹凸の頭頂部と底部との距離は、可視光領域の光の波長程度、0.1〜1.2μm程度であるのが好ましく、より好ましくは、0.1〜1.0μm程度、さらに好ましくは、可視光領域の光の波長の半分程度、0.1〜0.6μm程度であるのがよい。
また、凹凸のピッチ、すなわち隣接する凹凸の頭頂部同士の距離は、0.1〜10μmであるのが好ましい。
このような凹凸は、透明導電膜を太陽電池に用いた際に、透明導電膜の表面のどの場所でも高い安定した光電変換率とする観点から、形状均一性の低いランダムテクスチャよりも形状均一性の高いテクスチャであるのが好ましい。
また、太陽電池の製造の際、広く一般に行われているプラズマCVD法による半導体素子層の形成では、還元性の水素プラズマ気体にさらされるために、透明導電膜は耐プラズマ性を持つことが重要である。よって、耐プラズマ性という観点から、チタンをドープした酸化亜鉛透明導電膜は通常のAZO膜、GZO膜よりもさらに耐プラズマ性に優れることからより好ましい。
透明導電膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜2μm程度であるのがよい。
以下、太陽電池用透明導電性基板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の太陽電池用透明導電性基板の製造方法は、酸化亜鉛を主成分とし、低原子価酸化チタンを所定割合で含有する酸化物焼結体を用いて、基板上に透明導電膜を形成し、酸又はアルカリ溶液でエッチングすることにより透明導電膜の表面に凹凸を形成するものである。
本発明における透明導電膜は、例えば、酸化物焼結体を用いて、公知の方法、例えばスパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法等により形成することができるが、なかでもスパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられる酸化物焼結体は、加工してターゲットとするのが好ましい。なお、このような成膜の際に用いる固形材料のことを「タブレット」と称する場合もあるが、本明細書においては、ターゲットおよびタブレットを含め「酸化物焼結体」と称することがある。
加工方法は、特に制限されず、適宜公知の方法を採用すればよい。例えば、酸化物焼結体に平面研削等を施した後、所定の寸法に切断してから、支持台に貼着することにより、ターゲットを得ることができる。また、必要に応じて、複数枚の酸化物焼結体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲット)としてもよい。
本発明における酸化物焼結体を用いて形成された透明導電膜は、優れた導電性と化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)など)とを兼ね備えたものであるので、例えば、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ・無機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ・有機ELディスプレイ・電子ペーパーなどの透明電極、太陽電池の光電変換素子の窓電極、透明タッチパネル等の入力装置の電極、電磁シールドの電磁遮蔽膜等の用途に好適に用いられる。さらに、本発明における酸化物焼結体を用いて形成された透明導電膜は、透明電波吸収体、紫外線吸収体、さらには透明半導体デバイスとして、他の金属膜や金属酸化膜と組み合わせて活用することもできる。
(酸化物焼結体)
本発明における酸化物焼結体は、実質的に亜鉛、チタンおよび酸素からなるチタンドープ酸化亜鉛の焼結体である。ここで、「実質的」とは、酸化物焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛、チタンおよび酸素からなることを意味する。
本発明における酸化物焼結体においては、チタンが原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下となるよう含有されていることが重要である。このTi/(Zn+Ti)の値が0.02以下となるチタン含有量であると、この酸化物焼結体をターゲットとして形成された透明導電膜の耐薬品性などの化学的耐久性が不充分となり、しかも、酸化物焼結体中にチタン酸亜鉛化合物が形成されにくくなるため焼結体の強度が低下し、ターゲットへの加工が困難になる。一方、Ti/(Zn+Ti)の値が0.1を超えるチタン含有量であると、後述するように酸化物焼結体中に含まれないことが望まれる酸化チタン結晶相の形成が避けられなくなり、この酸化物焼結体をターゲットとして形成された透明導電膜の導電性や透明性が低下する。好ましくは、チタンの含有量は、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.03〜0.09となる量であり、より好ましくは、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.04〜0.08となる量である。
なお、酸化チタンの結晶相とは、具体的には、TiO2、Ti23、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
本発明における酸化物焼結体は、酸化亜鉛相とチタン酸亜鉛化合物相とから構成されるか、または、チタン酸亜鉛化合物相から構成されることが好ましい。このように酸化物焼結体中にチタン酸亜鉛化合物相が含まれていると、焼結体自体の強度が増すので、例えばターゲットとして過酷な条件(高電力など)で成膜してもクラックを生じることがない。
なお、ここで、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
本発明における酸化物焼結体は、実質的に酸化チタンの結晶相を含有しないことが好ましい。酸化物焼結体に酸化チタンの結晶相が含まれていると、得られる膜が、比抵抗のなどの物性にムラがあり均一性に欠けるものとなるおそれがある。
本発明における酸化物焼結体は、上述したTi/(Zn+Ti)の値が0.1以下であるので、通常、チタンが酸化亜鉛に完全に反応し、酸化物焼結体中に酸化チタン結晶相は生成されにくい。
本発明における酸化物焼結体は、ガリウム、アルミニウム、錫、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、これらを「添加元素」と称することもある)をも含有することが好ましい。このような添加元素を含有することによって、この酸化物焼結体をターゲットとして形成される膜の比抵抗に加え、酸化物焼結体自体の比抵抗も低下させることができる。例えば直流スパッタリング時の成膜速度は、スパッタリングターゲットとする酸化物焼結体の比抵抗に依存し、酸化物焼結体自体の比抵抗を下げることにより、成膜時の生産性を向上させることができる。添加元素を含有する場合、その全含有量は、原子比で、酸化物焼結体を構成する全金属元素の総量に対して0.05%以下であることが好ましい。添加元素の含有量が前記範囲よりも多いと、酸化物焼結体をターゲットとして形成される膜の比抵抗が増大するおそれがある。
前記添加元素は、酸化物の形態で酸化物焼結体中に存在していてもよいし、前記酸化亜鉛相の亜鉛サイトに置換した(固溶した)形態で存在していてもよいし、前記チタン酸亜鉛化合物相のチタンサイトおよび/または亜鉛サイトに置換した(固溶した)形態で存在していてもよい。
本発明における酸化物焼結体は、必須元素である亜鉛およびチタンや前記添加元素のほかに、例えば、インジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムなどの他の元素を、不純物として含有していてもよい。不純物として含有される元素の合計含有量は、原子比で、酸化物焼結体を構成する全金属元素の総量に対して0.5%以下であることが好ましい。
本発明における酸化物焼結体の比抵抗は、5kΩ・cm以下であることが好ましい。例えば直流スパッタリング時の成膜速度は、スパッタリングターゲットとする酸化物焼結体の比抵抗に依存するので、酸化物焼結体の比抵抗が5kΩ・cmを超えると、直流スパッタで安定的な成膜を行えないおそれがある。成膜時の生産性を考慮すると、本発明における酸化物焼結体の比抵抗は低いほど好ましく、具体的には100Ω・cm以下であるのがよい。
以上のような本発明における酸化物焼結体は、後述する酸化物焼結体の製造方法によって好ましく得られるが、該製造方法により得られたものに限定されるわけではない。例えば、チタン金属と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉とを組み合わせたものや、酸化チタン粉と亜鉛金属とを組み合わせたものを原料粉末として得られたものであってもよい。通常、酸化物焼結体を還元雰囲気にて焼結した場合は、酸素欠損の導入により、酸化物焼結体の比抵抗は低くなり、酸化雰囲気にて焼結した場合は、比抵抗は高くなる。
(酸化物焼結体の製造方法)
酸化物焼結体の製造方法は、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉との混合粉、及び/もしくはチタン酸亜鉛化合物粉を含む原料粉末を成形した後、得られた成形体を焼結することにより、上述した本発明における酸化物焼結体を得る方法である。
前記原料粉末としては、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉との混合粉か、もしくはチタン酸亜鉛化合物粉を含むものであればよく、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉と、チタン酸亜鉛化合物粉との混合粉であってもよい。好ましくは、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉との混合粉を含むものがよい。上述したように、例えば、チタン金属と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉とを組み合わせたものや、酸化チタン粉と亜鉛金属とを組み合わせたものを原料粉末としても、本発明における酸化物焼結体は得られるが、その場合、酸化物焼結体中にチタンや亜鉛の金属粒が存在しやすくなり、これをターゲットとして成膜すると、成膜中にターゲット表面の金属粒が溶融してしまいターゲットから放出されず、得られる膜の組成とターゲットの組成とが大きく異なる傾向がある。
前記酸化チタン粉としては、3価のチタンからなる酸化チタン(Ti23)、2価のチタンからなる酸化チタン(TiO)等の粉末を用いることができ、特にTi23の粉末を用いるのが好ましい。なぜなら、Ti23の結晶構造は三方晶であり、これと混合する酸化亜鉛は六方晶のウルツ鉱であるため、結晶構造の対称性が一致し、固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。
さらに、本発明では、TiO(II)、Ti23(III)という整数の原子価を有するものばかりでなく、Ti35、Ti47、Ti611、Ti59、Ti815等も含む、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを使用するのが好ましい。この低原子価酸化チタンは、一般式TiO2-Xの化学式で表される新規な低原子価酸化チタンである。
この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X-Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析の結果によって確認することができる。
Ti35、Ti47、Ti611、Ti59、Ti815等をも含む一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)は単成分を作製するのは難しく、混合物として得られる。通常、酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気等の還元雰囲気にて、還元剤としてカーボン等を用いて、加熱することにより作製することができる。水素濃度、還元剤としてカーボン量、加熱温度を調製することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
前記酸化亜鉛粉としては、通常、ウルツ鉱構造のZnO等の粉末が用いられ、さらにこのZnOを予め還元雰囲気で焼成して酸素欠損を含有させたものを用いてもよい。
前記水酸化亜鉛粉としては、アモルファスもしくは結晶構造のいずれであってもよい。
前記チタン酸亜鉛化合物としては、ZnTiO3、Zn2TiO4等の粉末を用いることができ、特に、Zn2TiO4の粉末を用いるのが好ましい。
原料粉末として各々用いる化合物(粉)の平均粒径は、それぞれ5μm以下であることが好ましい。
前記原料粉末として、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉との混合粉を用いる場合、もしくは酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉または水酸化亜鉛粉と、チタン酸亜鉛化合物粉との混合粉を用いる場合の各粉の混合割合は、各々用いる化合物(粉)の種類に応じて、最終的に得られる酸化物焼結体において原子数比でTi/(Zn+Ti)の値が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。その際、亜鉛はチタンに比べて蒸気圧が高く焼結した際に揮散しやすいことを考慮して、所望する酸化物焼結体の目的組成(ZnとTiとの原子数比)よりも、予め亜鉛の量が多くなるように混合割合を設定しておくことが好ましい。具体的には、亜鉛の揮散のしやすさは、焼結する際の雰囲気によって異なり、例えば、酸化亜鉛粉を用いた場合、大気雰囲気や酸化雰囲気では酸化亜鉛粉自体の揮散しか起こらないが、還元雰囲気で焼結すると、酸化亜鉛が還元されて、酸化亜鉛よりもさらに揮散しやすい金属亜鉛となるので、亜鉛の消失量が増すことになるのである(ただし、後述のように、一旦焼結した後、還元雰囲気中でアニール処理を施す場合には、アニール処理を施す時点で既に複合酸化物となっているので、亜鉛が揮散しにくい)。したがって、目的組成に対してどの程度亜鉛の量を増やしておくかについては、焼結の雰囲気などを考慮して設定すればよく、例えば、大気雰囲気や酸化雰囲気で焼結する場合には所望する原子数比となる量の1.0〜1.05倍程度、還元雰囲気で焼結する場合には所望する原子数比となる量の1.1〜1.3倍程度とすればよい。なお、原料粉末として各々用いる化合物(粉)は、それぞれ1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記原料粉末は成形される前に、粉砕処理が施されてもよい。粉砕処理が施されることで、原料粉末は幅の狭い粒度分布に整えられ、後述する焼結において、均一に固相焼結させることができ、密度の高い酸化物焼結体を得ることができる。
粉砕処理する方法としては、特に限定されず、例えば、メディアを使用する場合、ビーズミル、ボールミル、遊星ミル、サンドグラインダー、振動ミルまたはアトライター等の装置を備えた粉砕機による方法、メディアを使用しないジェットミル、ナノマイザー、スターバースト等の湿式超高圧微粒化装置による方法などが挙げられる。
前記原料粉末を成形する際の方法は、特に制限されるものではないが、例えば、原料粉末と水系溶媒とを混合し、得られたスラリーを充分に湿式混合により混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、得られた造粒物を成形すればよい。
水系溶媒は、水を主成分とし、水単独であってもよいし、水とメタノール、エタノールなどのアルコールなどとの混合物であってもよい。
湿式混合は、例えば、硬質ZrO2ボール等を用いた湿式ボールミルや振動ミルにより行なえばよく、湿式ボールミルや振動ミルを用いた場合の混合時間は、12〜78時間程度が好ましい。なお、原料粉末をそのまま乾式混合してもよいが、湿式混合の方がより好ましい。
固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
得られた造粒物を成形する際には、例えば、造粒物を型枠に入れ、冷間プレスや冷間静水圧プレスなどの冷間成形機を用いて1ton/cm2以上の圧力をかけて成形することができる。このとき、ホットプレスなどを用いて熱間で成形を行うと、製造コストの面で不利となるとともに、大型焼結体が得にくくなる。なお、成形体として造粒物を得る際には、乾燥後、公知の方法で造粒すればよいのであるが、その場合、原料粉末とともにバインダーも混合することが好ましい。バインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル等を用いることができる。
得られた成形体の焼結は、大気雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空、水素等)および酸化雰囲気(大気よりも酸素濃度が高い雰囲気)のいずれかの雰囲気中、600〜1500℃で行なう。
そして、大気雰囲気または酸化雰囲気中で焼結した場合には、その後さらに還元雰囲気中でアニール処理を施すようにする。この大気雰囲気中または酸化雰囲気中で焼結した後に施す還元雰囲気中でのアニール処理は、酸化物焼結体に酸素欠損を生じさせ、比抵抗を低下させるために行なうものである。したがって、大気雰囲気中または還元雰囲気中で焼結した際にも、さらなる比抵抗の低下を所望する場合には、焼結後、前記アニール処理を施すのが好ましいことは言うまでもない。
いずれの雰囲気中で焼結する際も、焼結温度は600〜1500℃、好ましくは1000〜1300℃とする。焼結温度が600℃未満であると、焼結が充分に進行しないので、ターゲット密度が低くなり、一方、1500℃を超えると、酸化亜鉛自体が分解して消失してしまうこととなる。なお、成形体を前記焼結温度まで昇温する際には、昇温速度を、600℃までは5〜10℃/分とし、1000℃を超え1500℃までは1〜4℃/分とすることが、焼結密度を均一にするうえで好ましい。
いずれの雰囲気中で焼結する際も、焼結時間(すなわち、焼結温度での保持時間)は、3〜15時間とすることが好ましい。焼結時間が3時間未満であると、焼結密度が不充分となりやすく、得られる酸化物焼結体の強度が低下する傾向があり、一方、15時間を超えると、焼結体の結晶粒成長が著しくなるとともに、空孔の粗大化、ひいては最大空孔径の増大化を招く傾向があり、その結果、焼結密度が低下するおそれがある。
焼結を行なう際の方法は、特に制限されるものではなく、常圧焼成法、ホットプレス法、熱間等方圧加圧(HIP)法、冷間等方圧加圧(CIP)法、マイクロ波焼結法、ミリ波焼結法など公知の方法を採用することができる。
前記アニール処理を施す際の還元雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空および水素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる雰囲気が挙げられる。
前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。
前記アニール処理を施すに際し、アニール温度(加熱温度)は、1000〜1400℃とするのが好ましく、より好ましくは1100〜1300℃とするのがよい。アニール時間(加熱時間)は、7〜15時間とするのが好ましく、より好ましくは8〜12時間とするのがよい。アニール温度が1000℃未満であると、アニール処理による酸素欠損の導入が不充分になるおそれがあり、一方、1400℃を超えると、亜鉛が揮散しやすくなり、得られる酸化物焼結体の組成(ZnとTiとの原子数比)が所望の比率と異なってしまうおそれがある。
次いで、この透明導電膜を酸又はアルカリ溶液でエッチングすることにより表面に凹凸を形成する。本発明における透明導電膜は、通常のAZO膜、GZO膜よりも後述する酸、アルカリに対する溶解性が遅いため、エッチングの際に凹凸の形状を制御するのが容易であり、表面全体が均一でムラの少ない凹凸構造とすることができる。さらに、パルスレーザーを用いたレーザー加工法などの大規模な設備を必要とせず、短時間で所望の凹凸を形成することができるため、生産性に優れる。
この際に使用することができる酸溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、蟻酸等からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられ、なかでも塩酸、酢酸が好ましい。
また、アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましい。
これら酸溶液は、例えば0.05重量%〜10重量%程度の濃度で使用することができ、特にこれらのうち比較的弱い酸の場合には、1重量%〜10重量%程度の濃度であることが好ましい。アルカリ溶液は、1重量%〜15重量%程度の濃度であることが好ましい。
エッチングの処理方法として、特に限定されず、例えば、ディップ方式、スプレー方式、スピンエッチング方式などが挙げられる。
ディップ方式で行なう場合は、上述した酸又はアルカリ溶液に、少なくとも太陽電池用透明導電性基板における透明導電膜を所定時間含浸させた後、取り出し、すぐに流水してエッチング反応を停止させることで、凹凸を透明導電膜の表面に形成することができる。
含浸時間は、酸又はアルカリ溶液の濃度に応じて調整すればよく、具体的には、濃度が1〜10重量%である酸又はアルカリ溶液に、少なくとも太陽電池用透明導電性基板における透明導電膜を含浸させてから10〜500秒間含浸させればよい。
本発明の半導体素子は、上記のようにして得られた太陽電池用透明導電性基板における透明導電膜の表面上に、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のp層、i層及びn層、導電層がこの順に積層されてなる。
なお、透明導電膜とアモルファスシリコン合金の積層層におけるp層との界面に、金属による電極層やその他の導電層等を形成してもよい。また、アモルファスシリコン合金の積層層を構成する各層の間にはシリコンによるバッファ層や中間層等を形成してもよい。さらに、アモルファスシリコン合金と導電層との間にも本発明における透明導電膜やその他の導電層を形成してもよい。
上述のアモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金の積層層を構成する各層は、公知の方法、例えばCVD法等の方法により通常の膜厚、通常の不純物種、不純物濃度で形成することができる。
上記半導体素子の具体的な構成としては、例えば、ガラス基板上に透明導電膜が形成された本発明の太陽電池用透明導電性基板の表面上に、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のp層、i層及びn層をこの順で形成し、さらにこの上に透明導電層及び金属膜からなる電極層を形成した半導体素子;金属基板または樹脂基板上に金属膜が形成されて構成された基板上に透明導電膜が形成された本発明の太陽電池用透明導電性基板の上に、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のn層、i層及びp層をこの順に形成し、さらにこの上に透明電極層からなる電極層を形成した半導体素子等が挙げられる。
ここで、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金上に形成する透明導電層としては、ZnOのほか、SnO2、ITO等を使用することができる。これらの膜厚は、半導体素子の使用態様に応じて適宜選択することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、得られた酸化亜鉛透明導電膜および薄膜太陽電池の評価は以下の方法で行なった。
<シート抵抗>
シート抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP、MCP−T610」)を用いて、四端子四探針法により比抵抗を測定し、比抵抗(Ω・cm)を膜厚(cm)で除することにより算出した。
四端子四探針法による比抵抗の測定は、詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<ヘイズ率>
ヘイズ率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて直線透過率、拡散透過率を測定し、計算により求めた。
ヘイズ率(%)=100×(拡散透過率−直線透過率)/(拡散透過率)
<透光性>
透光性は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。
<電流−電圧特性>
AM1.5(100mW/cm2)照射条件下における電流−電圧特性を太陽電池評価装置(英弘精機(株)製「HP−160」)により評価した。
(実施例1)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が92:8となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。
次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径80mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(101.325kPa)のアルゴン雰囲気下、1000℃で3時間アニールして、酸化物焼結体(1)を得た。
次に、得られた酸化物焼結体(1)を50mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製した。
次に、図1に示したように、透光性絶縁性基板1として厚さ1〜4mm程度の石英ガラス(東ソー・クォーツ株式会社製「ESL−1」)を使用し、この透光性絶縁性基板1上に、チタンをドープした酸化亜鉛透明導電膜2を、得られたターゲットを用いてスパッタリング法により、膜厚1000nmに成膜し、透明導電性基板を得た。
スパッタリングの成膜方法は、スパッタリング装置(キャノンアネルバエンジニアリング(株)製「E−200」)内に、上記ターゲットと透光性絶縁性基材1(石英ガラス基板)とをそれぞれ設置し、Arガス(純度99.9995%以上、Ar純ガス=5N)を12sccmで導入して、圧力0.5Pa、電力75W、基板温度250℃の条件下でスパッタリングを行った。
成膜された、チタンをドープした酸化亜鉛透明導電膜2のシート抵抗は8.0Ωであり、可視光領域での酸化亜鉛透明導電膜2の透光性は80%以上であった。
次いで、25℃に液温を保持した3重量%の塩酸に得られた透明導電性基板を浸した後、浸漬してから60秒間水溶液に静置した。その後、水溶液から取り出し、透明導電性基板を流水に浸し、エッチング反応を停止させた。
このエッチングにより、1000nmであった酸化亜鉛透明導電膜2の膜厚がエッチングによって平均膜厚700nmに減少し、シート抵抗が14.5Ωとなった。エッチングレートは5.0nm/秒で遅かった。この際の酸化亜鉛透明導電膜2の膜表面を走査電子顕微鏡で詳細に観察すると、エッチング速度が遅いため、酸化亜鉛透明導電膜2の表面全体に均一に直径300nm〜400nmの円形の穴が無数に存在し、凹凸形状が形成されていることが確認された。また、この酸化亜鉛透明導電膜2における波長600nmの光に対するヘイズ率を測定すると、80%であった。
このようにして得られた透明導電性基板の酸化亜鉛透明導電膜2上に、プラズマCVD法により、アモルファスシリコン層3を成膜した。このアモルファスシリコン層3は、膜厚12nmのp型非晶質シリコンカーボン膜、膜厚15nmの非晶質シリコンカーボン膜のバッファ層、膜厚450nmのi型非晶質シリコン膜及び膜厚30nmのn型非晶質シリコン膜をこの順に酸化亜鉛透明導電膜2上に積層することにより形成した。各膜を成膜した際のスパッタリングチャンバー内の雰囲気およびRFパワーを表1に示す。
Figure 2012190975
続いて、得られたアモルファスシリコン層3におけるn型非晶質シリコン膜上に、スパッタリング法により、裏面電極4として膜厚60nmの酸化インジウム錫層および膜厚500nmの銀膜を、この順に形成し、薄膜太陽電池を作製した。
得られた薄膜太陽電池を、それぞれ、AM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価したところ、酸化亜鉛透明導電膜2の表面全体に均一に適切な凹凸構造を有するので、薄膜太陽電池の表面全体で均一に高い光電変換効率にて安定していた。
(比較例1)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化ガリウム粉末(Ga23;住友化学(株)製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Gaの原子数比が96:4となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径80mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(101.325kPa)の大気雰囲気下、1300℃で3時間アニールして、酸化物焼結体(A)を得た。
次に、得られた酸化物焼結体(A)を50mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製した。
次に、実施例1と同様の透光性絶縁性基板を使用し、この透光性絶縁性基板上に、ガリウムをドープした酸化亜鉛透明導電膜(GZO)を実施例1と同様にしてスパッタリング法により、膜厚1000nm程度を成膜し、透明導電性基板を得た。
成膜された、ガリウムをドープした酸化亜鉛透明導電膜のシート抵抗は4.2Ωで、可視光領域での酸化亜鉛透明導電膜の透光性は80%以上であった。
次いで、実施例1と同様にしてエッチングを行なった。
このエッチングにより、1000nmであった酸化亜鉛透明導電膜の膜厚がエッチングによって平均膜厚200nmに減少し、シート抵抗が21Ωとなった。エッチングレートは13.33nm/秒で非常に速かった。この際の酸化亜鉛透明導電膜の膜表面を走査電子顕微鏡で詳細に観察すると、エッチング速度が速すぎるため、酸化亜鉛透明導電膜の表面全体に均一に凹凸が形成されておらず、酸化亜鉛透明導電膜の表面の場所によって、円形の穴のサイズがバラバラの凹凸形状が形成されていることが確認された。また、この酸化亜鉛透明導電膜における波長600nmの光に対するヘイズ率を測定すると、80%であった。
このようにして得られた透明導電性基板を用いて、実施例1と同様にして、薄膜太陽電池を作製した。
得られた薄膜太陽電池を、それぞれ、AM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価したところ、酸化亜鉛透明導電膜の表面全体が不均一な凹凸構造を有するので、光電変換効率は薄膜太陽電池の表面の場所によって不均一であり、薄膜太陽電池内に大きく分布があった。
(実施例2)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が94:6となる割合で混合し、実施例1と同様にして、透明導電性基板を得た。
成膜された、チタンをドープした酸化亜鉛透明導電膜のシート抵抗は5.0Ωで、可視光領域での酸化亜鉛透明導電膜の透光性は80%以上であった。
次いで、実施例1と同様にしてエッチングを行なった。
このエッチングにより、1000nmであった酸化亜鉛透明導電膜の膜厚がエッチングによって平均膜厚500nmに減少し、シート抵抗が10Ωとなった。エッチングレートは8.33nm/秒で遅かった。この際の酸化亜鉛透明導電膜の膜表面を走査電子顕微鏡で詳細に観察すると、エッチング速度が遅いため、酸化亜鉛透明導電膜の表面全体に均一に直径300nm〜400nmの円形の穴が無数に存在し、凹凸形状が形成されていることが確認された。また、この酸化亜鉛透明導電膜における波長600nmの光に対するヘイズ率を測定すると、80%であった。
このようにして得られた透明導電性基板を用いて、実施例1と同様にして、薄膜太陽電池を作製した。
得られた薄膜太陽電池を、それぞれ、AM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価したところ、酸化亜鉛透明導電膜の表面全体が均一に適切な凹凸構造を有するので、薄膜太陽電池の表面全体で均一に高い光電変換効率にて安定していた。
1・・・透光性絶縁性基板
2・・・透明導電膜
2a・・凹凸形状
3・・・アモルファスシリコン層
4・・・裏面電極

Claims (8)

  1. 基板と、この基板上に、表面に酸又はアルカリ溶液でのエッチングによる凹凸を有し、かつドーパントとしてTi原子をドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜とからなることを特徴とする太陽電池用透明導電性基板。
  2. 酸化亜鉛を主成分とし、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して2%超10%以下であり、かつチタン源として、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを用いた酸化物焼結体を用いて形成された透明導電膜であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用透明導電性基板。
  3. 前記低原子価酸化チタンは、酸化チタン(TiO)および酸化チタン(Ti23)から選ばれる請求項2に記載の太陽電池用透明導電性基板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用透明導電性基板を製造方法であって、
    酸化亜鉛を主成分とし、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して2%超10%以下であり、かつチタン源として、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンを用いた酸化物焼結体を用いてチタンをドープした酸化亜鉛からなる透明導電膜を基板上に形成し、前記透明導電膜を酸又はアルカリ溶液でエッチングすることにより前記透明導電膜の表面に凹凸を形成することを特徴とする太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
  5. 前記低原子価酸化チタンは、酸化チタン(TiO)および酸化チタン(Ti23)から選ばれる請求項4に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
  6. 前記酸溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸および蟻酸からなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項4または5に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
  7. 前記アルカリ溶液が、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項4または5に記載の太陽電池用透明導電性基板の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用透明導電性基板上に、アモルファスシリコン又はアモルファスシリコン合金のp型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層がこの順で形成され、さらに前記n型半導体層上に導電層が積層されてなる半導体素子。
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