JP2012149615A - 容積形圧縮機 - Google Patents

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Kazuyuki Matsunaga
和行 松永
Tetsuya Tadokoro
哲也 田所
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仁美 酒井
Shuhei Niimura
修平 新村
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Abstract

【課題】弁体の開き遅れを防止し、効率の高い容積形圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】吸込逆止弁を閉じる際に付勢として利用するバネを使用せず、逆流してくる吐出ガス冷媒の流体力によって生じる圧力差で応答性良く浮上するように、吸込逆止弁側壁を切り欠き、逆流してくるガス冷媒を弁体内部に導く窓部を複数箇所形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は容積形圧縮機に係り、冷凍機や給湯機,空調機器等の冷凍サイクル装置用の圧縮機に関するものである。
本技術分野の背景技術として、特開2010−31677号公報(特許文献1)がある。この公報には、「吸込逆止弁は、吸込通路の長手方向に移動自在に設けられて吸込管の一端側の開口を閉塞するための皿状の弁体と、弁体を背面側から吸込管の開口に向かって付勢するバネを有し、ガイド部材を更に設けることにより弁体の傾倒を抑制できる」と記載されている。
特開2010−31677号公報
従来技術では吸込逆止弁が閉じる際に付勢する目的でバネを設置していたが、流量が多い運転条件で回されることが主流であったため、バネの抗力に対して十分大きな流体力を発生し易く、運転中は吸込逆止弁を完全に開いた状態に設計し易かった。バネの荷重設定値を大きくし過ぎると、吸込逆止弁が開き難くなり、吸込圧力損失が増大してしまう。逆に、小さくし過ぎると吸込逆止弁が閉じ難くなると共に、弁の作動が不安定となるので信頼性に悪い影響を及ぼしてしまう可能性がある。近年の環境問題の観点から二酸化炭素排出量削減を背景とし、電化製品の省エネ化のニーズがあり、高性能・高APF(Annual Performance Factor)が強く求められている。エアコンの運転も冷房中間条件,暖房中間条件と呼ばれるような低速・低負荷域での性能が重視されるようになり、吸込逆止弁開閉をバランス良く作動させるバネ荷重値の設定が大変難しくなっている。特に、運転中に吸込逆止弁が完全に開ききらず中途半端な位置にあることで、吸込口を塞いでしまい、圧力損失の要因となり、バネ自体が圧力損失や弁の開き遅れを招く抵抗力として捉えられるようになった。
本発明は、弁体の開き遅れを防止し、効率の高い容積形圧縮機を提供することを目的とする。
上記本発明の目的は、
停止時にガス冷媒の逆流を防止するための吸込逆止弁を備えた容積形圧縮機において、
前記吸込逆止弁は、複数の足部と、面部と、を備え、
前記ガス冷媒が前記吸込逆止弁の下側に導入されるように、前記各足部に隙間を設けたことを特徴とする容積形圧縮機
によって達成される。
また、上記本発明の目的は、
圧縮機外部より吸込口を介して導いた圧縮性流体を一時的に蓄える吸込室と、該吸込室より圧縮性流体を概略閉じた領域に導きその領域の容積を縮小させることによって該圧縮性流体を圧縮させる圧縮室と、該圧縮部より導いた圧縮性流体を外部に吐出させる吐出口と、該概略閉じた領域の容積を縮小させるための駆動源を有し、停止時等、該圧縮性流体の逆流を防止するために吸込口部に吸込管の開閉用の吸込逆止弁を備えた容積形圧縮機において、
吸込逆止弁が閉じる際に付勢となるバネを使用せず、逆流してくる該圧縮性流体の流体力によって生じる圧力差で浮上するように、逆止弁側壁を切り欠き、該圧縮性流体を弁体内部に導く窓部が複数箇所形成されていることを特徴とする容積形圧縮機
によって達成される。
本発明によれば、弁体の開き遅れを防止し、効率の高い容積形圧縮機を提供することができる。
実施例1を示す、代表的なスクロール圧縮機の縦断面図である。 固定スクロール吸込口と吸込逆止弁の組み付け拡大図である。 吸込逆止弁の詳細形状図である。
以下、本発明の第一の実施形態について図1,図2を用いて説明する。
図1は本実施形態を示すスクロール圧縮機の縦断面図、図2は固定スクロール吸込口と吸込逆止弁の断面拡大図を示している。
図1において、符号の1は密閉容器、2は圧縮機構部、3は旋回スクロール、3aは旋回スクロールの渦巻状のラップ、4は固定スクロール、4aは固定スクロールの渦巻状のラップ、5はクランク軸、6は固定スクロール4とクランク軸5を回転させる軸受を具備するフレーム、7は電動機部、8は可動スクロールの自転を阻止し旋回運動させるための自転阻止部材に係るオルダムリング、11は密閉容器の蓋体、12はターミナル、13はターミナルカバー取付け用ピンである。
図1に示す本実施形態のスクロール圧縮機は、密閉容器1内に、圧縮機構部2と電動機部7とがクランク軸5を介して連結して収納されるものである。圧縮機構部2は、渦巻状ラップ4a,3aをそれぞれ互いに噛み合せて圧縮室9を形成する。さらに、旋回スクロール3の自転阻止部材であるオルダムリング8と、固定スクロール4と結合されたフレーム6により構成されている。
次に、スクロール圧縮機の圧縮作用について説明する。
ロータ15はステータ16が発生する回転磁界により回転力を与えられ、ロータ15に固定されたクランク軸5はロータ16の回転に伴い回転動作を行い、旋回スクロール3はオルダムリング8の作用により自転することなく偏心回動(公転)する。旋回スクロール3の偏心回動により、吸込管14を介して吸込まれたガス冷媒は吸込室10から圧縮室9で徐々に圧縮され、吐出口4cから密閉容器1の中に放出される。放出されたガス冷媒は電動機部7を冷却して吐出管17から外部の冷凍サイクルへ供給される。
図2を用いて固定スクロール吸込口4bと吸込逆止弁18の構造について説明する。図2の(a)に従来技術を、図2の(b)に本発明の実施例の構成を示している。
先ず従来技術である(a)の機構について説明を行う。スクロール圧縮機運転時から停止状態に入る際、圧縮機構部2から吸込口4bを介して冷媒がサイクル側に逆流する現象が起こる。ガス冷媒は圧縮機構部2で圧縮されていたため吸込圧力よりも圧力が高くなっているためである。圧縮機構部2内の圧縮室9は中心に行くほど圧力が高いため、ここから圧縮室9内のガス冷媒が、圧力の低い、つまりエネルギーの低い吸込側に戻ろうとして、圧縮室9の容積を減じるようにクランク軸5及びロータ15を逆回転させる。この逆回転を防止するため、吸込逆止弁18を吸込管14部に設置し、吸込管14を閉じるような機構を採用している。
従来技術では圧縮室9内にあったガス冷媒だけでなく、密閉容器1内の吐出圧ガス冷媒が一斉に逆流し始めると、大きな負荷が吸込逆止弁18に掛かるため、スプリング19の付勢を利用して吸込逆止弁18の開閉の応答性を良くしていた。
次に本発明の実施例である(b)の機構について説明を行う。上記(a)の機構に対して、吸込逆止弁18ではスプリング19を使用せずに流体力によって生じる圧力差で開閉の応答性を良くすることができる。この原理は次のようである。先ず逆流が起こると、吸込逆止弁18の上をガス冷媒が通る。するとベルヌーイの定理により、吸込逆止弁18の上の圧力が下がることになる。すると吸込逆止弁18には、図中上向きの力が作用することになる。この状態で吸込逆止弁18の下側に流入したガス冷媒が、吸込逆止弁18に図中上向きの力を生じさせる。従って、吸込逆止弁18は図中上向きに動作することとなる。
なお、通常運転時に吸込逆止弁18を鎮座することとなる台座20の形状を工夫している。台座20は吸込逆止弁18の全てを支える訳ではなく、その一部のみを支えるように、台座20の端部は吸込逆止弁18の足部18aよりも吸込逆止弁18の中心側に位置させている。台座20の高さは、吸込みの際、つまり順流の際のことを考慮するとなるべく低くすることが好ましく、逆流防止の観点からはなるべく高くすることが好ましい。従って、台座20の高さは、足部18aの高さHaから吸込逆止弁18の高さH0の間で設定することとする。
また、吸込逆止弁18の下側にガス冷媒が導入されやすいように、吸込逆止弁18の形状を工夫している。図3に本発明の実施例における吸込逆止弁18の詳細な形状を示す。吸込逆止弁18は、足部18aと、面部18bとからなる。足部18aは複数設けられており、互いに隙間が空けられている。この隙間は別の見方をすれば、側壁の切欠き或いは窓部と見ることもできる。吸込逆止弁18の側壁部切欠きを3箇所設け、スクロール圧縮機の停止状態に入る際、逆流してくる吐出ガス冷媒を切欠いた窓部から吸込逆止弁18内に導入することにより、吸込逆止弁18周りに圧力差が生じ、吸込逆止弁18を吸込管14の方へ浮上させるので、スプリング19を使用せずとも閉じ遅れを防止することが可能となる。
以上、本実施例によれば、バネを使用していないため、吸込圧力の損失低減ができ、冬季の暖房運転始動時などのエアコンサイクル全体が冷却されている状態で起こり易い吸込圧力の低下による弁体の開き遅れの防止が図れ、高効率かつ信頼性の高い容積形圧縮機を提供することができる。
1 密閉容器
2 圧縮機構部
3 旋回スクロール
3a 旋回スクロールの渦巻状ラップ
3b 旋回スクロール鏡板
4 固定スクロール
4a 固定スクロールの渦巻状ラップ
4b 固定スクロール吸込口
4c 固定スクロール吐出口
5 クランク軸
5a クランク軸油孔
6 固定スクロール4とクランク軸5を回転させる軸受を具備するフレーム
7 電動機部
8 旋回スクロールの自転を阻止し旋回運動させるための自転阻止部材に係るオルダムリング
9 圧縮室
10 吸込室
11 密閉容器の蓋体
12 ターミナル
13 ターミナルカバー取付け用ピン
14 吸込管
15 ロータ
16 ステータ
17 吐出管
18 吸込逆止弁
18a 足部
18b 面部
19 スプリング
20 台座

Claims (4)

  1. 停止時にガス冷媒の逆流を防止するための吸込逆止弁を備えた容積形圧縮機において、
    前記吸込逆止弁は、複数の足部と、面部と、を備え、
    前記ガス冷媒が前記吸込逆止弁の下側に導入されるように、前記各足部に隙間を設けたことを特徴とする容積形圧縮機。
  2. 圧縮機外部より吸込口を介して導いた圧縮性流体を一時的に蓄える吸込室と、該吸込室より圧縮性流体を概略閉じた領域に導きその領域の容積を縮小させることによって該圧縮性流体を圧縮させる圧縮室と、該圧縮部より導いた圧縮性流体を外部に吐出させる吐出口と、該概略閉じた領域の容積を縮小させるための駆動源を有し、停止時等、該圧縮性流体の逆流を防止するために吸込口部に吸込管の開閉用の吸込逆止弁を備えた容積形圧縮機において、
    吸込逆止弁が閉じる際に付勢となるバネを使用せず、逆流してくる該圧縮性流体の流体力によって生じる圧力差で浮上するように、逆止弁側壁を切り欠き、該圧縮性流体を弁体内部に導く窓部が複数箇所形成されていることを特徴とする容積形圧縮機。
  3. 請求項2において、
    密閉容器内の圧縮機構部に、該固定スクロールおよび可動スクロールのそれぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、該渦巻状ラップを互いに噛合わせて圧縮室を形成する固定スクロールおよび可動スクロールを有し、該可動スクロールが該固定スクロールに対して見かけ上自転しないように旋回運動し、圧縮機外部より吸込口を介して導いたガス冷媒を一時的に蓄える吸込室と、該圧縮室より導いたガス冷媒を外部に吐出させる吐出口と、概略閉じた領域の容積を縮小させるための駆動源を有し、停止時等、該圧縮性流体の逆流を防止するために吸込口部に吸込管の開閉用の吸込逆止弁を備えたスクロール圧縮機。
  4. 請求項2において、
    密閉容器内の圧縮機構部に、該固定スクロールおよび可動スクロールのそれぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、該渦巻状ラップを互いに噛合わせて圧縮室を形成する固定スクロールおよび可動スクロールを有し、該可動スクロールが該固定スクロールに対して見かけ上自転しないように旋回運動し、圧縮機外部より吸込口を介して導いたガス冷媒を一時的に蓄える吸込室と、該圧縮室より導いたガス冷媒を外部に吐出させる吐出口と、概略閉じた領域の容積を縮小させるための駆動源を有し、停止時等、該圧縮性流体の逆流を防止するために吸込口部に吸込管の開閉用の吸込逆止弁を備え、吸込口から吸込室への流路が真っ直ぐな形状となっていないスクロール圧縮機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015052305A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 株式会社日本自動車部品総合研究所 圧縮機
JP2015078608A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 日立アプライアンス株式会社 スクロール圧縮機およびそれを備える冷凍サイクル装置

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