JP2012144137A - 観測運用計画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空間航行体の性能を最大限に発揮しより多くの観測要求を満たす効率的な観測運用計画を生成する観測運用計画装置を提供する。
【解決手段】観測単位設定部で観測地点と観測方法を含む観測要求に航行体情報と観測方法に従い観測地点に観測可能な航行体の複数の軌道パスを指定し観測方法と観測制約条件に従い観測時刻設定可能範囲とノミナル観測時刻を求めた観測単位を設定し、運用計画生成・判定部で航行体毎に組合わせた観測単位に航行体の性能・観測制約条件に従い観測単位の観測時刻をノミナル観測時刻との差を小さくして設定した運用計画結果を生成しまた航行体の性能・観測制約条件に従い観測単位の組合せの観測可否を判定し、観測単位選択部で設定部の観測単位を航行体毎に組合わせて判定部に送りまた判定部からの観測可否判定と運用計画結果に従い観測要求を最大限満たす観測単位組合せを選択し判定部に送る。
【選択図】図1

Description

この発明は、1機あるいは複数の人工衛星等の空間航行体により地表面等の観測を行う観測システムのための観測運用計画を生成する、観測運用計画装置に関するものである。
航空機や人工衛星等の1機あるいは複数の空間航行体に搭載したセンサによって地表面等の観測を行う観測システムにおいて、多数の観測要求が与えられた場合に、より多くの要求を満たす効率的な観測運用計画を生成することが求められる。その際、1つの観測要求を満たすための手段、すなわち観測方法が1つではない場合に、最適な観測方法を設定する必要がある。例えば、空間航行体が観測地点付近を通過する際、センサの方向を変えることで観測地点通過前後のある一定区間内の任意のタイミングで観測が可能な場合、どのタイミングで観測を行うか、すなわち観測時刻を、観測運用計画全体の効率を考慮して最適に設定することが求められる。
従来の観測運用計画装置においては、観測時刻を決定する際、時間軸を離散化し、各時刻に対して観測要求への合致度合いである観測条件適合度を計算することで、最適な観測時刻を決定していた(例えば下記特許文献1参照)。
また、多くの観測要求が与えられた場合に、その全てを満たすことはできない場合もある。その場合は、多くの観測要求の中から、なるべく多くの観測要求を満たすために、観測要求の組合せを最適に選択することが求められる。
従来の観測運用計画装置においては、多数の観測要求の中から、採用する観測要求の組合せを選択する際、各観測要求に優先度を付与し、その優先度に従って観測要求の採否を判定していた(例えば下記特許文献2参照)。
さらに、一般にこのような空間航行体は、ある定められた軌道を繰り返し飛翔することが多い。例えば、高度数百km〜1000km程度の地球周回軌道を飛翔する観測衛星は、1日の間に地球の周りを10周以上まわり、その間の地球の自転により地表面上のあらゆる地点の上空付近を1回以上通過する。ある一定期間内、例えば1週間、1ヶ月といった期間内の観測運用計画を生成することを考えると、地表面上のある地点を観測したいとしても、その地点を観測可能な軌道をその期間内に何度も通るため、そのどの軌道部分(パスとよぶ)を利用して観測を行うか、多数の観測要求全体の効率を考慮して決定する必要があった。
特開2005−219619号公報(1頁、図1) 特開2004−272427号公報(1頁、図1)
久保、ペドロソ著、「メタヒューリスティクスの数理」、共立出版(2009)
上記特許文献1に示されるような従来の観測運用計画装置においては、観測要求が多数与えられた場合に、ある観測要求にて指定される観測地点に対して最適な観測時刻を設定してしまうと、他の観測要求にて指定される観測地点が観測できなくなる可能性があった。すなわち、同じ航行体の同じ軌道パスから地点Aと地点Bを観測しようとした場合、これら2地点の観測の間に航行体の姿勢や観測センサの向きを変更する必要があるが、地点Aの最適な観測時刻と地点Bの最適な観測時刻が近い場合、そのための十分な時間がとれず、結果的に片方の地点を観測できなくなる可能性があった。
また、上記特許文献2に示されるような従来の観測運用計画装置においては、多数の観測要求の中から、最大限要求を満たすための観測要求の組合せを選択する際、各観測要求の優先度のみに基づいて決めていたため、航行体の性能や制約の範囲内でなるべく多くの要求を満たすような観測運用計画の作成ができなかった。さらに、ある観測要求を満たす航行体の軌道パスが複数あるということを考慮して、最適なパスを選択するといったこともできなかった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、多数の観測要求に対して、航行体の性能や制約の範囲内でなるべく多くの要求を満たすような観測運用計画の生成を行うための観測運用計画装置を得ることを目的としている。
この発明は、観測器を搭載した少なくとも1機の空間航行体により観測対象領域の観測を行う際の、入力された複数の観測要求をもとに観測運用計画を生成する観測運用計画装置であって、前記観測器を含む各空間航行体の性能・観測制約条件、軌道パスを含む航行体情報を格納した航行体情報記憶部と、少なくとも観測地点と観測方法を含む前記各観測要求に対し、前記航行体情報および観測方法に従って、観測地点に観測可能な空間航行体の複数の軌道パスを指定して、それぞれ観測方法および観測制約条件に従って観測時刻設定可能範囲、ノミナル観測時刻を求め、空間航行体、軌道パス、観測地点、観測方法、観測時刻設定可能範囲、ノミナル観測時刻からなる観測単位を設定する観測単位設定部と、前記空間航行体毎に組み合わせられた前記観測単位に対して、空間航行体の性能・観測制約条件に従いそれぞれの観測単位の観測時刻を、観測時刻とノミナル観測時刻との差が小さくなるように設定した運用計画結果を生成すると共に、空間航行体の性能・観測制約条件に基づき観測単位の組合せが観測可能か否かを判定する運用計画生成・判定部と、前記観測単位設定部からの観測単位を空間航行体毎に組み合わせて前記運用計画生成・判定部に送るとともに、前記運用計画生成・判定部から出力される観測可否判定結果と運用計画結果に従って、観測要求を最大限満たすように観測単位の組合せを選択し前記運用計画生成・判定部に送る観測単位選択部と、を備えたことを特徴とする観測運用計画装置にある。
この発明では、多くの観測要求が与えられた場合にも、複数の空間航行体の性能を最大限に発揮し、より多くの観測要求を満たす効率的な観測運用計画を生成できる。
この発明の実施の形態1による観測運用計画装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1の観測単位設定部における観測単位の設定方法を説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の観測単位設定部における観測時刻設定可能範囲およびノミナル観測時刻の設定方法を説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の観測単位設定部における観測時刻設定可能範囲およびノミナル観測時刻の設定方法を説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1の観測単位選択部にシミュレーテッドアニーリングを適用した場合の動作の一例を示す動作フローチャートである。 この発明の実施の形態1の運用計画生成・判定部の処理動作の一例を示す動作フローチャートである。 この発明の実施の形態1の運用計画生成・判定部における観測時刻の設定方法を説明するための模式図である。 この発明の実施の形態1による観測運用計画装置の変形例の構成を示すブロック図である。 この発明における空間航行体の一例を示す図である。 図8の変形例における空間航行体の状態の一例を示す図である。
以下、この発明による観測運用計画装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態による観測運用計画装置の構成を示すブロック図である。観測運用計画装置は、例えばメモリ等を含むコンピュータで構成され、コンピュータのプラグラムや内部メモリ等で構成される機能ブロックとして示された観測単位設定部1、観測単位選択部2、運用計画生成・判定部3と、メモリで構成された空間航行体に関する情報を予め格納した航行体情報記憶部4、コンピュータの入力装置からなる入力部5、コンピュータの表示装置またはプリンタからなる出力部6からなる。運用計画生成・判定部3はさらに空間航行体毎の航行体A運用計画生成・判定部3A,航行体B運用計画生成・判定部3B,…等の複数の航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B,…等からなる。なお、航行体情報記憶部4、入力部5、出力部6はコンピュータにネットワーク(図示省略)を介して接続されたそれぞれ、データベース、ネットワーク端末の入力装置、表示装置またはプリンタからなるものであってもよい。また、入力情報は別途用意した入力ファイルに記述し、入力部5は、それらファイルを入力装置から手動あるいは自動的に選択する機能を備えていても良い。出力部6においても、各航行体に与える観測運用計画指示をファイルとして出力するような構成であってもよい。なお、出力部6は、各航行体に観測運用計画指示を実際に出力する送信手段の機能を含むものであってもよい。
図1において入力部5から複数の観測要求が入力されると、観測単位設定部1において、それらの複数の観測要求と、航行体情報記憶部4に格納された航行体情報に含まれる観測システムを構成する観測器を搭載した人工衛星等の空間航行体の性能・観測制約条件等の情報をもとに、観測単位を設定する。観測単位選択部2では、観測単位設定部1で設定されたそれら観測単位を入力し、これらのうち、どれとどれを採用するか、といった複数の観測単位の組合せを選択する。選択手法については後で詳しく述べる。
観測単位選択部2において複数の観測単位の組合せを選択する際、仮に選ばれた観測単位の組合せが実際に実現可能であるかどうかを、観測単位の組合せを運用計画生成・判定部3に入力して判定させる。運用計画生成・判定部3は、航行体毎に用意された個別の航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B…に分けられ、それぞれ観測単位の組合せの中で担当する航行体に該当するものを抽出し、それら観測単位それぞれの観測時刻を航行体の性能・観測制約条件を元に設定し、航行体ごとの運用計画を作成し、観測単位選択部2へ出力する。もし、与えられた観測単位の組合せのうち、いずれかの観測単位について、制約の範囲で観測時刻を設定することが不可能であったり、生成された運用計画が制約を満たさないものである場合は、運用計画生成・判定部3は観測単位選択部2に対して観測不可能という判定結果を出力する。観測単位選択部2では、それら運用計画および観測可否判定結果をもとに、最適な観測単位の組合せを選択する。すなわち、観測単位選択部2における観測単位の選択処理の中で、運用計画生成・判定部3は何度も実行されることになる。
観測要求、航行体情報、観測単位等に含まれ得る情報項目を以下に示す。
観測要求: 観測地点(観測目標位置座標)、観測方法(観測方向、観測時刻帯、航行体−観測地点距離、画像分解能、ステレオ画像取得(取得方法、取得回数含む)、同期条件、定期観測、等)、ノミナル観測時刻、
航行体情報: 航行体、航行体の性能・観測制約条件(仕様,各種駆動機能,観測可能領域等,搭載観測器の性能・観測制約条件(仕様,各種駆動機能,視線方向の駆動可能領域、画像分解能、データレコーダ容量等)、軌道(位置座標の時系列データ)および軌道パス、
観測単位: 航行体、軌道パス、観測地点、観測時刻(ノミナル観測時刻)、観測方法(観測方向、観測可能時刻帯、航行体−観測地点距離等)、観測時刻設定可能範囲、ORフラグ、ANDフラグ、優先度
なお、軌道パスとは航行体の軌道を適当な時刻で区切ったもので、軌道全体は複数の軌道パスを合わせたものとなる。
次に、観測単位設定部1における観測単位の設定について説明する。観測単位とは、個々の観測目標位置座標(観測地点)、観測方法、観測を行う空間航行体とその軌道パス、観測時刻設定可能範囲、何も他との競合や制約がない場合に設定すべき観測時刻(ノミナル観測時刻)を指定したもので、1つの観測要求に対して、一般には複数の観測単位が生成される。すなわち、観測要求において指定された観測地点を観測可能な航行体は一般には複数の候補が考えられ、また、各航行体においても、その観測地点を観測可能な軌道パスは複数通りが考えられ、さらには後述するように観測要求によっては一つの観測地点を複数回観測することが求められる場合も考えられるため、それら複数の観測地点−航行体−軌道パス−観測の組合せをそれぞれ個別の観測単位として設定する。例えば、図2に模式的に示した状況においては、航行体Aの軌道パスaと航行体Bの軌道パスbがあり、それぞれの観測可能領域内に観測要求にて指定される観測地点が含まれているため、観測単位としては、2通りが生成される。観測要求において指定される観測地点がその観測可能領域内に含まれるような空間航行体および軌道パスの全ての組合せについて、個別に観測単位を設定してもよい。
なお、それら複数の観測単位は全て実行されるべきものではなく、それらのうちいずれか1つが実行されれば対応する観測要求は満たされることになる。すなわち、図2に示された状況においては、航行体Aの軌道パスaからの観測と航行体Bの軌道パスbからの観測のいずれか一方が実行されればよい。そこで、これらのようないずれか1つが選択されればよいという関係にある観測単位には、そのような条件を示すフラグを付けておき、観測単位選択部2における観測単位の選択処理の中で考慮する。なお、以下では説明の簡単化のために、そのようなフラグを「ORフラグ」と呼ぶことにする。
観測単位設定部1で、観測要求がノミナル観測時刻または観測方向の要求を含む場合には観測要求における指定にもとづいて各観測単位のノミナル観測時刻を設定し、観測要求がノミナル観測時刻を含まない場合には、各観測単位のノミナル観測時刻を空間航行体が観測地点に最も近づく時刻とし、各観測単位の観測時刻設定可能範囲を、ノミナル観測時刻の前後の、空間航行体の性能・観測制約条件、および観測要求を満たすような範囲に設定する。
観測地点(観測目標位置座標)と航行体、および軌道パスを指定すると、航行体搭載の観測器の視線方向の駆動可能領域等の制約や、観測要求として与えられている条件(観測方法:望ましい観測方向の指定、望ましい観測時刻帯等)をもとに、その観測地点を観測可能な時刻の範囲(観測時刻設定可能範囲)が、軌道パスと観測地点との幾何学的関係や、軌道パスの各位置を通過する通過時刻情報(タイムスケジュール)等から求められる。
例えば、指定された軌道パスにおいて、指定された観測地点に最も近づく時刻(観測地点通過時刻と呼ぶ)は、曲線(地球周回軌道)と点の距離が最小となる位置として、幾何学的関係から簡単に求められる。観測要求として、航行体から観測地点までの距離がある値以下となるように指定されていた場合には、前記観測地点通過時刻前後のある範囲を観測時刻設定可能範囲として設定し、観測地点通過時刻をノミナル観測時刻として設定する。
また、別の例を図3を用いて説明する。図3は航行体の軌道パスと観測地点との関係を示す模式図であり、航行体の進行方向真横から見た図である。軌道パス上の各位置と時刻は1対1に対応するため、軌道パス上の位置と時刻を同一視して説明する。観測要求として、観測方法において観測地点を前方視的(航行体からの前方視野で)に観測したいということを指定される場合がある。その場合には、観測地点通過時刻より手前のある範囲に、観測時刻設定可能範囲およびノミナル観測時刻を設定する。図3の例では、前方視要求として指定されたある角度以上の見込み角で観測を行いたいという場合を想定し、そのある角度に対応した時刻をノミナル観測時刻とし、それよりも前で、観測器視線方向の制約(視線方向を傾けられる最大の角度)に対応した時刻までを観測時刻設定可能範囲として設定している。
また、観測要求において、観測方向が完全に指定されるような場合も想定される。そのような例を、図4を用いて説明する。図4は、図3と同様の模式図であるが、航行体の真上から地表面方向を見た図となっている。図4では、観測地点に対して、真北から東方向に45度の方向から観測を行いたいという要求が与えられている。その場合、1つの軌道パスにおいて、その方向から観測が可能な時刻は1点であるから、ノミナル観測時刻をその時刻とし、観測時刻設定可能範囲もその時刻1点とする(範囲の上限と下限を同じ値とする)。
その他にも、観測時の入射角に対する要求、可視観測器(可視センサ)による画像を取得する場合の画像分解能に対する要求など、様々な要求や制約を満たすように、ノミナル観測時刻および観測時刻設定可能範囲を設定することができる。
また、観測要求として、ある地点のステレオ画像を取得することが要求される場合もある。すなわち、ある1つの観測地点を前方視および後方視でそれぞれ指定された回数観測することが求められる場合がある。例えば前方視、後方視でそれぞれ1回ずつ観測するような場合、前方視に対応する観測単位を1つ、後方視に対応する観測単位を1つ生成し、それぞれノミナル観測時刻や観測時刻設定可能範囲を適切に設定する。
さらに、観測要求として、同じ航行体および軌道パスからステレオ画像を取得することが求められていれば、これら生成した2つの観測単位は常に同時に選択されるようなフラグを付けておき、観測単位選択部2において考慮すればよい。以下では、説明の簡単化のために、そのような、同時に選択されるべき複数の観測単位に付けられたフラグを「ANDフラグ」と呼ぶことにする。「ANDフラグ」を付ける観測要求としては、上述のステレオ画像の他に、観測器の観測幅よりも広い領域を複数回に分けて、かつ、それら分割した全ての観測地点を、同じ航行体の同じ軌道パスから観測するような場合なども考えられる。あるいは、別々の観測地点であっても、ほぼ同じ時期に合わせて観測を行いたい場合なども想定され、そのような場合も、この「ANDフラグ」を用いることで考慮可能である。
また、各観測単位には、個別に優先度を設定することもできる。例えば、観測要求として与えられた優先度の他に、観測時の気象条件が良好であることが予想されている観測単位にはより高い優先度を設定することや、あるいは、なるべく早く観測したい場合には、より早い時刻に観測可能な航行体、軌道パスによる観測単位の優先度を上げるなどといったことが可能である。これら設定した優先度は、観測単位選択部2における観測単位の組合せ選択において考慮し、より望ましい条件での観測が可能となる観測単位がなるべく多く選択されるようにするといったことが可能となる。
さらには、同じ地点を定期的に観測するといった観測要求があった場合にも、観測単位設定部1において適切に観測単位を設定することで、そのような条件を考慮可能である。すなわち、そのような場合、要求された観測頻度に応じて複数の観測単位をそれぞれ別のものとして設定すればよい。
このように、観測単位設定部1においては、個々の観測要求から、観測が可能な航行体や軌道パスごとに別々の観測単位を設定し、それぞれについてノミナル観測時刻と観測時刻設定可能範囲を観測要求や航行体の性能・観測制約条件に応じて適切に設定し、さらには観測単位ごとの「優先度」や、「ORフラグ」、「ANDフラグ」といった設定を付加することで、様々な観測要求に柔軟に対応することができ、かつ、観測に最適な航行体や軌道パスの選択まで含めた効率的な観測運用計画の生成が容易となる。
次に、観測単位選択部2における観測単位の選択方法について説明する。観測単位選択部2においては、観測単位設定部1において設定された多数の観測単位の中から、なるべく多くの観測要求を満たすように、最適な組合せを選択する。これは、個々の観測単位について、それを採用するか否かという決定を、全ての観測単位について行うことになり、一般には組合せ最適化問題と呼ばれる部類の最適化問題となっている。組合せ最適化問題に対しては、古くから様々な研究がなされており、一般によく知られている効率的なアルゴリズムが種々存在する。観測単位選択部2における観測単位の組合せ選択においては、そういった組合せ最適化問題のアルゴリズムを容易に適用することができる。その一例として、シミュレーテッドアニーリングと呼ばれるアルゴリズムを観測単位選択部2に適用した場合の観測単位選択部2の動作について説明する。なお、以下では最適化問題の評価指標は値が小さいほど良い解である(最小化問題)として説明する。
シミュレーテッドアニーリングは、組合せ最適化問題の最適解の候補を少しずつ変化させ、解の変化に対して評価指標値が減少(改善)する場合にはその変化を採用し、評価指標値が増加(悪化)する場合にもその増加量に応じた確率でその変化を採用するという手法である。その採用確率を決めるパラメータを「温度」Tと呼び、Tを大きな値(評価指標値が増加する場合にも解を採用する確率が高い)から徐々に小さな値(評価指標値が増加する場合に解を採用する確率が低い)へと変化させる。一般的なシミュレーテッドアニーリングについては、例えば上記非特許文献に詳しい説明がある。
図5は、観測単位選択部2にシミュレーテッドアニーリングを適用した場合の動作の一例を示す動作フローチャートであり、以下これに従って動作を説明する。観測単位設定部1で設定された全ての観測単位が観測単位選択部2に入力されると、まず、ステップST201では、各種初期設定を行う。すなわち、シミュレーテッドアニーリングのパラメータである温度Tを適当に大きな値に設定する。また、観測単位の組合せXを初期設定し、対応する評価指標の値Lを計算する。ここで、観測単位の組合せ初期設定としては、例えば観測単位を1つも採用しない(観測を全く行わない)という設定でもよい。また、最適な組合せを初期設定としてXopt=X、対応する評価指標値をLopt=Lとしておく。
次にステップST202では、観測単位の組合せXを少し変化させた新たな組合せXtryを生成する。ここで、XtryはXを元に予め決められたルールに従って生成する。その生成方法は様々な手法が考えられるが、例えば、Xに含まれていない観測単位yをランダムに1つ選択し、それをXに含めたものをXtryとする。その際、追加される観測単位yに対応した「ANDフラグ」が付けられている観測単位が他にある場合、それらも同時にXtryに含める。また、元の組合せXの中で、追加される観測単位yに対応した「ORフラグ」が付けられている観測単位がある場合、Xtryからは、その観測単位を除いておく。
ステップST203では、ステップST202において生成された観測単位の組合せXtryを運用計画生成・判定部3に入力し、運用計画の作成(観測単位の組合せが観測可能か否かの判定を含む)を行わせる。
ステップST204では、運用計画生成・判定部3の各航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B,…等からの出力を受けて、いずれかの観測可否判定結果が「観測不可能」であった場合は、ステップST202へ戻り、観測可能であった場合は次のステップST205へ進む。
ステップST205では、観測単位の組合せXtryについて、評価指標値Ltryを計算する。評価指標値LtryはXtryおよびその運用計画結果に基づいて計算されるものであり、その値が小さいほど観測要求をより多く満たし、より効率的な観測計画となるように設定する。例えば、各観測単位に与えられた優先度の総和と、運用計画生成・判定部3により設定された各観測単位の観測時刻と観測単位設定部1において設定されていたノミナル観測時刻との差の絶対値の総和、各観測単位の観測時における観測器視線方向の傾け角絶対値に、それぞれ重み係数をかけて足し合わせたものを評価指標値Ltryとする。
次に、ステップST206において観測単位の組合せXtryを実際に採用するかどうかを、評価指標値Ltryと元の組合せXに対応した評価指標値Lとを用いて決定する。具体的には、LtryがLよりも小さければ(改善していれば)、Xtryを採用する。また、LtryがLよりも大きい場合も、その増加量dL=Ltry−Lに応じて以下の手順で採否を決定する。
(1) 0から1の間の一様乱数r(疑似乱数)を生成する。
(2) r≦exp(−dL/T)であれば、Xtryを採用する。ここで、expは指数関数である。
ステップST206において不採用の判定となった場合は、ステップST202へ戻る。採用の判定となった場合は次のステップST207に進む。
ステップST207では、元の組合せXおよび対応する評価指標値Lを採用された組合せXtryおよび対応する評価指標値Ltryに入れ替える。すなわち、X=Xtry、L=Ltryとする。
ステップST208では、ステップST207までで得られたXが、それまでに得られている最適な組合せXoptよりも評価指標値が小さい、より良い組合せかどうかを判定する。すなわち、L<Loptかどうかを判定する。L<Loptであった場合は、次のステップST209に進み、最適な組合せを今回得られた組合せに更新する。すなわち、Xopt=X、Lopt=Lとする。L<Loptでない場合は、ステップST209はとばしてステップST210へ進む。
ステップST210では、シミュレーテッドアニーリングのパラメータである温度Tを小さくする。その更新則としては一般に様々なものが知られているが、そのいずれを用いても、あるいはまた別の方法を用いても良い。一般的に知られている「幾何冷却」と呼ばれる手法では、温度Tに1より小さいある定数値κをかけて、温度Tを小さくする。ここで、κとしては0.9、0.99等の1に近い値を与えることが多い。
最後にステップST211において、計算を終了すべきかどうかを判定する。その判定条件としては、例えばTが予め定められた所定の小さな値以下となった場合や、計算のステップ数がある閾値を超えた場合、あるいは、ステップST206における採否判定で、連続して所定回数以上不採用が続いた場合などといった条件が用いられる。計算終了の条件を満たさない場合は、ステップST202へ戻って計算を続ける。終了条件を満たす場合には計算を終了し、最適な観測単位の組合せXoptおよび対応する運用計画結果を出力部6から出力させる。
なお、その際、最適な観測単位の組合せXoptのみではなく、それに準ずる性能を有する組合せをいくつか計算の途中でコンピュータの内蔵メモリ(図示省略)に保存しておいて、それら全てを出力することも可能である。例えば、ステップST208において、評価指標値Lの値がそれまでに得られている値の中で小さいものから10番目以内に入る場合には、最適な観測単位の組合せXoptに加えてそれらも保存しておけばよい。
以上、観測単位選択部2における観測単位の選択手法として、シミュレーテッドアニーリングを適用した場合を説明したが、シミュレーテッドアニーリング以外にも様々な組み合わせ最適化手法が適用できることは既に述べた通りである。
さらに、上記説明のように観測単位選択部2における観測単位の選択は、初期の設定さえすれば後は全てコンピュータ等に自動で行わせることができるが、運用者が手動で観測単位の選択を変更することも容易である。すなわち、運用者の操作する入力部5が表示画面(図示省略:出力部6と兼用でも可)も有する場合には(タッチパネル付表示画面等)、表示画面に選択可能な観測単位を表示し、運用者がタッチパネルまたはマウスによるクリックなどで観測単位を選択し、選択された観測単位の組合せを運用計画生成・判定部3に入力して観測可否判定と運用計画の生成を実行する。実行の結果やそれに対する評価指標値を再び端末画面等からなる出力部6に表示して、それを元に運用者が観測単位を追加あるいは削除していくような構成も容易に実現可能である。
以上のように、観測単位選択部2においては、観測運用計画の生成を、観測単位の組合せを選択するという組み合わせ最適化問題の形に定式化したことで、一般的な組合せ最適化問題に対するアルゴリズムを適用でき、従来から数多くの研究がなされてきたそれらアルゴリズムにおける工夫や効率化の成果を利用して、効率的に観測運用計画を生成できる。さらに、観測単位の組合せに対する運用計画生成・判定部3における観測可否判定および観測運用計画結果を元に、組合せ選択のための評価指標を設定したことで、観測単位の選択において航行体の性能、観測制約条件を考慮することができ、最大限に航行体の性能を発揮させることができる。これにより、最大限観測要求を満たすような効率的な観測運用計画を生成できる。
次に、運用計画生成・判定部3における処理について説明する。図1に示すように、運用計画生成・判定部3は航行体ごとに用意された複数の航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B,…(航行体A運用計画生成・判定部3A,航行体B運用計画生成・判定部3B,…)に分けられる。すなわち、観測システムを構成する空間航行体が航行体A、航行体Bとあった場合は、航行体A運用計画生成・判定部3A、航行体B運用計画生成・判定部3Bに分けられる。
図6に運用計画生成・判定部3の処理動作の一例を示す動作フローチャートを示し、以下これに従って処理動作を説明する。なお、航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B,…は、全て同じ処理フローを用いても良いし、航行体ごとの特性に合わせて処理フローを変えても良い。また、同じ処理フローを用いた場合においても、各航行体毎運用計画生成・判定部3A,3B,…において考慮される航行体の性能や観測制約条件については、当然ながらそれぞれの航行体に対する値を用いる。
航行体A運用計画生成・判定部3Aに、N個の観測単位が与えられたとする。以下、個々の観測単位を、観測時刻の順に符号iにより表す(i=1,…,N)。図6において、観測単位選択部2から観測単位(i=1,…,N)の組み合わせが入力されると、ステップST301では、各観測単位iの観測時刻t(i)を設定する。その設定方法については後述する。
次に、ステップST302において、観測時刻順に、隣り合う観測単位間の観測時刻の差(観測時刻間隔)を計算し、観測単位iと観測単位i+1の間の観測時刻間隔をT(i)と表す。すなわち、T(i)=t(i+1)−t(i)(i=1,…,N−1)である。
次に、ステップST303において、観測単位iとi+1の間で必要な遷移時間の最小値(最短所要遷移時間)Tmin(i)(i=1、・・・、N−1)を計算する。
Tmin(i)としては、観測単位iの観測時間(1回の観測を開始してから終了するまでの所要時間)のうちの観測時刻t(i)以降の部分の時間と、観測単位i+1の観測時間のうちの観測時刻t(i+1)以前の部分の時間と、観測単位iの観測から観測単位i+1の観測の間に観測器の視線方向を変えるために、図9に示す観測器OBの視線方向DOBおよび観測器OBを搭載した航行体SAの姿勢PSAを駆動しなければならない場合には、その駆動のための最短の所要時間、さらには、観測と観測の間で観測器等の電源を入れるあるいは切るといった手順が必要な場合はその所要時間等、観測単位iの観測時刻から観測単位i+1の観測時刻までの間に必要な様々な所要時間が含まれる。
例えば、航行体の姿勢を駆動するための時間は、観測単位iの観測時の姿勢と、観測単位i+1の観測時の姿勢、さらには航行体Aの姿勢駆動能力等から求めることができる。各観測時の姿勢は観測時刻および航行体情報記憶部4の軌道パスと観測地点との幾何学的関係より求まる。航行体Aの姿勢駆動能力は、航行体情報記憶部4の航行体の性能として、姿勢遷移速度(例えば角速度(度/秒))を格納しておけばよい。さらに航行体情報記憶部4の航行体の性能の中の搭載観測器の性能として、視線遷移速度(例えば角速度(度/秒))を格納しておいてもよい。または、これらをまとめて航行体の性能として航行体観測視線遷移速度(例えば角速度(度/秒))として格納しておいてもよい。さらに、より詳細に、姿勢条件に応じた航行体Aの姿勢駆動方式アルゴリズムを航行体情報記憶部4に格納しておき、当該アルゴリズムに従って姿勢駆動を行う場合の所要時間を求めても良い。観測器のオンオフ時間は、航行体情報記憶部4の航行体の性能の中の搭載観測器の性能として、格納しておけばよい。
ステップST303において全ての観測単位間での最短所要遷移時間Tmin(i)(i=1,…,N−1)が計算されると、ステップST304において、ステップST302において求めた観測時刻間隔T(i)と比較する。いずれかの観測単位間においてT(i)<Tmin(i)となっていた場合は、その観測時刻設定では最短所要遷移時間Tmin(i)が観測時刻間隔T(i)を満たせないということであるから、ステップST301に戻って観測時刻設定をやり直す。全ての観測単位間(i=1,…,N−1)でT(i)≧Tmin(i)が成り立っていた場合は、次のステップST305へ進む。
ステップST305では、観測時刻設定や最短所要遷移時間以外の様々な制約条件について、満たしているかどうかを確認する。そのような制約条件としては、例えば観測される画像の分解能が許容範囲であるかどうかや、観測データを蓄積する航行体搭載のデータレコーダの容量をオーバーしていないかどうか、等、航行体単独での運用計画が実行可能であることを確認するものであれば何でも良い。これらは航行体情報記憶部4に航行体の性能・観測制約条件として格納されている。ステップST305において設定しておいたいずれかの制約が満たされない場合には、運用計画生成・判定部3は観測不可能の判定結果を出力する。全ての制約を満たし、観測時刻が適切に設定された場合は、運用計画生成・判定部3は観測可能の判定とともに、各観測単位の観測時刻等を含んだ運用計画結果を出力する。
次に、ステップST301における観測時刻設定について、図7を用いて説明する。図7では、2つの観測単位iとi+1についてのみ示している。まず、図7の(a)に示すように、観測単位iについては前方視の要求があり、ノミナル観測時刻と観測時刻設定可能範囲が観測地点通過時刻よりも前に設定されている。観測単位i+1についてはノミナル観測時刻が観測地点通過時刻に設定されている。
まず、初期設定として、各観測単位の観測時刻t(i)およびt(i+1)をそれぞれのノミナル観測時刻に設定したとする。そのときに、図7の(a)に示すように、ステップST302において求められる観測時刻間隔T(i)が、ステップST303において求められる最短所要遷移時間Tmin(i)よりも小さかったとすると、ステップST304においてステップST301へ戻ることが選択され、観測時刻を再設定することになる。
その場合、図7の(b)に示すように、各観測時刻t(i)およびt(i+1)は、各々のノミナル観測時刻との差がなるべく小さくなるように、かつ、その観測時刻間隔T(i)がTmin(i)以上となるように、それぞれノミナル観測時刻よりも前後にずらした時刻に設定される。
ステップST303において求められる最短所要遷移時間Tmin(i)が観測時刻t(i)およびt(i+1)に依存して決まる場合は、このように設定した観測時刻t(i)およびt(i+1)に対して最短所要遷移時間Tmin(i)を求めると、再度観測時刻間隔T(i)よりも大きくなり、再びステップST301へ戻る可能性があるが、そのような場合にも、上記手順によりステップST301からステップST304までを繰り返し計算することで、全ての観測時刻間隔が最短所要遷移時間よりも長くなるような観測時刻設定が得られる。
あるいは別の可能性として、ステップST301において観測時刻設定可能範囲での観測時刻設定が不可能となることもある。すなわち、ステップST303において求められたTmin(i)が、観測単位iの観測時刻設定可能範囲下限から観測単位i+1の観測時刻設定可能範囲上限までの時間よりも大きい場合にそのようなことが起こる。そのような場合には、ステップST301において計算ループを抜けて、運用計画生成・判定部3は観測不可能という結果を出力する。
なお、図7を用いた上記説明においては、簡単のために2つの観測単位iとi+1のみがある場合について示したが、3つ以上の観測単位がある場合についても、上記と同様に、各観測時刻t(i)(i=1,…,N)は、各々のノミナル観測時刻との差がなるべく小さくなるように、かつ、観測時刻間隔T(i)(i=1,…,N−1)がTmin(i)以上となるように、設定すればよい。
以上のように、運用計画生成・判定部3では、航行体の性能や観測制約条件を考慮した最短所要遷移時間に応じて、観測単位設定部1において設定されたノミナル観測時刻と観測時刻設定可能範囲に基づいて観測時刻を設定することで、航行体の性能や制約を考慮しつつ、最大限観測要求を満たすような運用計画が生成できる。
なお、上記実施の形態では、複数の航行体からなる観測システムを、地上におけるコンピュータシステム等を用いて運用しており、観測要求は観測データを利用する個人や公的機関、民間企業等から入力部5により与えられる場合を想定していた。しかしながらこの発明はこれに限らず、例えば図10に示すように複数の航行体SA1,SA2が互いに無線通信を行い、図8に示すように、(無線)通信装置からなる入力部5aにより無線通信により航行体SA1,SA2から得られる航行体搭載の観測器からの観測データ及び航行体・観測器状態データ、観測要求生成用情報記憶部8に予め格納された観測要求生成用情報をもとに、観測要求生成部7が少なくとも観測地点と観測方法を含む観測要求を自動的に生成するような、自律的な観測システムであってもよい。
観測要求生成部7は例えば、観測器からの観測データの閾値比較の結果等から観測地点を定め、航行体・観測器状態データ(航行体の位置及び姿勢データ、観測器の視線方向データ等:航行体情報記憶部4の情報も使用可)から該観測地点の観測目標位置座標を求め、また、観測要求生成用情報記憶部8に格納された、例えば観測目標位置座標から観測方法を指定する規定等から各観測地点での観測方法を設定する。
その場合、この発明による観測運用計画装置を構成する観測単位設定部1、観測単位選択部2、運用計画生成・判定部3、航行体情報記憶部4、入力部5a、出力部6a、観測要求生成部7、観測要求生成用情報記憶部8は図9に100で示すように航行体SA1,SA2のうちの1つに搭載されるか、あるいは図10に示すように複数の航行体SA1,SA2に分散して搭載されることになるが、構成や機能はそのまま適用可能である。また複数の航行体SA1,SA2に分散して搭載される場合、出力部6aは、各航行体に観測運用計画の指示を実際に無線通信により出力する(無線)通信装置となる。なお、観測領域は地表に限定されるものではない。
この発明では、多くの観測要求が与えられた場合にも、複数の空間航行体の性能を最大限に発揮し、より多くの観測要求を満たす効率的な観測運用計画を生成できる。また、与えられた観測単位の組合せに対して、航行体の性能を最大限に発揮するような観測時刻設定が可能となり、ひいては、観測単位の組合せごとの観測可能性が増すことで、より多くの観測要求を満たす効率的な観測運用計画の生成が可能となる。また、観測単位の選択において航行体の性能や制約を考慮することができ、航行体の性能を最大限に発揮させ、観測要求を多く満たすような効率的な観測運用計画を生成できる。また、観測に最適な航行体や軌道パスの選択まで含めた効率的な観測運用計画の生成が容易になる。そして運用計画部において、観測要求や航行体の性能、制約を考慮した観測時刻設定が容易となる。
1 観測単位設定部、2 観測単位選択部、3 運用計画生成・判定部、3A,3B 航行体毎運用計画生成・判定部、4 航行体情報記憶部、5,5a 入力部、6,6a 出力部、7 観測要求生成部、8 観測要求生成用情報記憶部、OB 観測器、SA,SA1,SA2 空間航行体。

Claims (5)

  1. 観測器を搭載した少なくとも1機の空間航行体により観測対象領域の観測を行う際の、入力された複数の観測要求をもとに観測運用計画を生成する観測運用計画装置であって、
    前記観測器を含む各空間航行体の性能・観測制約条件、軌道パスを含む航行体情報を格納した航行体情報記憶部と、
    少なくとも観測地点と観測方法を含む前記各観測要求に対し、前記航行体情報および観測方法に従って、観測地点に観測可能な空間航行体の複数の軌道パスを指定して、それぞれ観測方法および観測制約条件に従って観測時刻設定可能範囲、ノミナル観測時刻を求め、空間航行体、軌道パス、観測地点、観測方法、観測時刻設定可能範囲、ノミナル観測時刻からなる観測単位を設定する観測単位設定部と、
    前記空間航行体毎に組み合わせられた前記観測単位に対して、空間航行体の性能・観測制約条件に従いそれぞれの観測単位の観測時刻を、観測時刻とノミナル観測時刻との差が小さくなるように設定した運用計画結果を生成すると共に、空間航行体の性能・観測制約条件に基づき観測単位の組合せが観測可能か否かを判定する運用計画生成・判定部と、
    前記観測単位設定部からの観測単位を空間航行体毎に組み合わせて前記運用計画生成・判定部に送るとともに、前記運用計画生成・判定部から出力される観測可否判定結果と運用計画結果に従って、観測要求を最大限満たすように観測単位の組合せを選択し前記運用計画生成・判定部に送る観測単位選択部と、
    を備えたことを特徴とする観測運用計画装置。
  2. 運用計画生成・判定部が、
    個々の観測単位の観測時刻と空間航行体の性能・観測制約条件に応じて、観測順が隣り合う観測単位間での最短所要遷移時間を計算する手段と、
    各観測時刻間隔が各々の前記最短所要遷移時間以上となり、かつ、個々の観測時刻とノミナル観測時刻との差がより小さくなるように個々の観測時刻を観測時刻設定可能範囲の中で設定する手段と、
    を含み、
    前記観測時刻の初期値を前記ノミナル観測時刻とし前記最短所要遷移時間の計算と前記観測時刻の設定を交互に繰り返すことで、観測時刻を設定することを特徴とする請求項1に記載の観測運用計画装置。
  3. 観測単位選択部が、複数の観測単位の組合せを運用計画生成・判定部に入力し、前記運用計画生成・判定部から出力される観測可否判定結果および運用計画結果に従って計算される評価指標値をもとに、観測要求を最大限満たす観測単位の組合せを選択することを特徴とする請求項1に記載の観測運用計画装置。
  4. 観測単位設定部が、観測要求において指定される観測地点がその観測可能領域に含まれるような空間航行体および軌道パスの全ての組合せについて、個別に観測単位を設定することを特徴とする請求項1に記載の観測運用計画装置。
  5. 観測単位設定部が、観測要求がノミナル観測時刻または観測方向の要求を含む場合には観測要求における指定にもとづいて各観測単位のノミナル観測時刻を設定し、観測要求がノミナル観測時刻を含まない場合には、各観測単位のノミナル観測時刻を空間航行体が観測地点に最も近づく時刻とし、各観測単位の観測時刻設定可能範囲を、ノミナル観測時刻の前後の、空間航行体の性能・観測制約条件、および観測要求を満たすような範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の観測運用計画装置。
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