JP2012129117A - シンクロトロンのタイミング制御装置 - Google Patents

シンクロトロンのタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子ビームの電流値の瞬時値を測定しなくても、所要のバケットに電子ビームを追加入射して電子ビームの電流値を略一定に維持可能なシンクロトロンのタイミング制御装置を提案する。
【解決手段】タイミング制御装置5は、トリガ信号tを受け取ると電子ビームを出力する電子銃6と、ビーム許可信号eおよびバケット信号bを受け取るとバケット信号bが指定するバケット番号へ電子ビームを出力するよう電子銃6へトリガ信号tを出力するトリガ発生装置11と、を備えるシンクロトロン1に接続し、予め定める時間間隔毎にビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力する。
【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、シンクロトロンのタイミング制御装置に関する。
シンクロトロン放射光を発生するシンクロトロンは、蓄積リングを周回する電子ビームの電流値を維持するために電子ビームを追加入射している。
一般的に、蓄積リングを周回する電子ビームは、真空の蓄積リング中に残留するわずかな分子に衝突することなどによって徐々に減少する。そこで、シンクロトロンは、電子ビームの電流値を測定し、電流値が低下したところで電子ビームの追加入射を(例えば一日に約一回の頻度で)行う(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。近年、電子ビームの電流値の変動をさらに小さくするために、電子ビームの追加入射を数分程度の短い周期で繰り返し行う運転、所謂トップアップ運転を実施している。
他方、シンクロトロンの特定のバケットに電子ビームを追加入射する装置が知られている。この装置は、シンクロトロンの特定バケットに電子ビームを追加入射するために、シンクロトロン側の高周波加速装置の高周波信号を変調してライナックに印加し、シンクロトロンのバケットにライナックのビーム出力を同期する(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−124800号公報 特開平5−21200号公報
Y.Kawashima、「TIMING SYSTEM AT SPring−8」、13th Symposium on Accelerator Science and Technology、SP8−RF/01−1、AUGUST 2001
従来のシンクロトロンは、常に電子ビームの電流値を測定、監視し、この電流値の変動が小さくなるように電子ビームの追加入射を繰り返す。すなわち、従来のシンクロトロンは、電子ビームの電流値の測定値をもとに電子ビームの追加入射のタイミングを取るタイミング制御装置を必要とする。この従来のシンクロトロンのタイミング制御装置は、電子ビームの追加入射を要するバケットを特定するために、電子ビームの電流値の瞬時値を測定可能な静電誘導型電流モニタ(ESM)や、静電誘導型電流モニタが出力する高周波(例えば、約500MHz)の微弱な信号を扱う高性能な高周波信号回路を備える電流検出器を必要とする。
そこで、本発明は、電子ビームの電流値の瞬時値を測定しなくても、所要のバケットに電子ビームを追加入射して電子ビームの電流値を略一定に維持可能なシンクロトロンのタイミング制御装置を提供する。
前記の課題を解決するため本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置は、トリガ信号を受け取ると電子ビームを出力するビーム発生装置と、ビーム許可信号およびバケット信号を受け取ると前記バケット信号が指定するバケット番号へ前記電子ビームを出力するよう前記ビーム発生装置へ前記トリガ信号を出力するトリガ発生装置と、を備えるシンクロトロンに接続し、前記電子ビームを出力するタイミングを制御するシンクロトロンのタイミング制御装置において、予め定める時間間隔毎に前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力することを特徴とする。
また、本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置は、トリガ信号を受け取ると電子ビームを出力するビーム発生装置と、ビーム許可信号およびバケット信号を受け取ると前記バケット信号が指定するバケット番号へ前記電子ビームを出力するよう前記ビーム発生装置へ前記トリガ信号を出力するトリガ発生装置と、出力した電子ビームの平均電流を測定する平均電流測定部と、を備えるシンクロトロンに接続し、前記電子ビームを出力するタイミングを制御するシンクロトロンのタイミング制御装置において、前記平均電流測定部が測定する平均電流が予め定める追加入射電流値よりも小さくなると予め定める時間間隔毎に前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力することを特徴とする。
本発明によれば、電子ビームの電流値の瞬時値を測定しなくても、所要のバケットに電子ビームを追加入射して電子ビームの電流値を略一定に維持可能なシンクロトロンのタイミング制御装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るタイミング制御装置を適用するシンクロトロンを概略的に示したブロック図。 本発明の第1実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図。 本発明の第1実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置によるタイミング制御を示したフローチャート。 本発明の第2実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図。 本発明の第2実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御を示したフローチャート。 本発明の第3実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図。 本発明の第3実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御を示したフローチャート。
本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るタイミング制御装置を適用するシンクロトロンを概略的に示したブロック図である。
図1に示すようにシンクロトロン1は、電子ビームを出力する入射加速器2と、入射加速器2が出力する電子ビームを蓄積、加速する蓄積リング3と、入射加速器2が電子ビームを出力するタイミングを制御するタイミング制御装置5と、を備える。
入射加速器2は、シンクロトロン1よりも小さいシンクロトロンや、ライナックであり、蓄積リング3へビーム入射の観点ではいずれでも良い。入射加速器2は、電子ビームを出力するビーム発生装置としての電子銃6を備える。
蓄積リング3は、真空な空間を仕切る環状の管である。入射加速器2から蓄積リング3に入射した電子ビームは、バンチと呼ばれる塊になって蓄積リング3内の空間を周回する。このバンチの存在可能な場所をバケットと呼ぶ。蓄積リング3を周回するバンチは、複数存在するものであり、その最大個数は、蓄積リング3に加わる加速高周波周期に対する電子ビームの回転周期の比であるハーモニック数であり、蓄積リング3一周における安定位相の数であるバケットの個数である。換言すれば、蓄積リング3を周回するバケットに電子ビームが入っているとみなせる。
入射加速器2から蓄積リング3に入射する電子ビームがいずれのバンチに入射するのか、すなわちいずれのバケットに入るのかは、入射加速器2の電子銃6に与えるビームトリガ信号tのタイミングによる。
図2は、本発明の第1実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5は、入射加速器2の電子銃6に与えるビームトリガ信号tのタイミングを制御するものである。
ここで、先ず、シンクロトロン1は、トリガ信号tを受け取ると電子ビームを出力する電子銃6と、ビーム許可信号eおよびバケット信号bを受け取るとバケット信号bが指定するバケット番号へ電子ビームを出力するよう電子銃6へトリガ信号tを出力するトリガ発生装置11と、動作開始信号sを受け取るとトリガ発生装置11へ入射周期信号fを周期的に出力する入射周期信号発生装置12と、電子銃6が出力する電子ビームの強度を調整する信号を出力するビーム調整部13と、を備える。
入射周期信号発生装置12は、タイミング制御装置5が出力する動作開始信号s1を受け取ると動作を開始してトリガ発生装置11およびタイミング制御装置5へ周期的な入射周期信号f(例えば、約1Hz毎のパルス信号)を出力する。入射周期信号fは、トリガ発生装置11およびタイミング制御装置5の同期を取る信号であり、電子ビームの周回周期(すなわち、バンチあるいはバケットの周回周期)よりも長い周期毎に発生する信号である。また、入射周期信号発生装置12は、タイミング制御装置5が出力する動作停止信号s2を受け取ると動作を停止する。
トリガ発生装置11は、タイミング制御装置5が出力するビーム許可信号eおよびバケット信号bを受け取ると、バケット信号bが指定するバケット番号へ電子ビームを出力するよう電子銃6へトリガ信号tを出力する。トリガ発生装置11は、高周波加速の基準周波数と同一周期(例えば、約500MHz)の基準クロック信号cを出力するマスター信号発生器15と、基準クロック信号cを分周して電子ビームの周回周期信号rを発生する分周器16と、バケットカウンタ17と、フリップフロップ回路18と、AND回路19と、を備える。
バケットカウンタ17は、周回周期信号rを起点に基準クロック信号cをカウントしてバケット信号bが指定するバケット番号をカウントしてトリガ信号t’を発生する。
フリップフロップ回路18は、入射周期信号発生装置12が出力する入射周期信号fをセット信号Sとして受け取り、AND回路19回路が出力するトリガ信号tをリセット信号Rとして受け取るSR型のフリップフロップである。フリップフロップ回路18は出力信号QをAND回路19へ出力する。
AND回路19は、フリップフロップ回路18が出力する出力信号Qと、バケットカウンタ17が出力するトリガ信号t’と、タイミング制御装置5が出力するビーム許可信号eとの論理積を演算し、3つの信号Q、t’、eが揃えば電子銃6へトリガ信号tを出力する。
ビーム調整部13は、電子ビームの追加入射一回当たりの電流値が適正値になるよう電子銃6の出力を変更する。
次いで、タイミング制御装置5について説明する。
タイミング制御装置5は、予め定める時間間隔毎にビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力するものである。タイミング制御装置5は、動作データ作成部21と、補助記憶装置22と、運転操作部23と、主記憶装置25と、カウンタ26と、を備える。
動作データ作成部21は、電子ビームを蓄積リング3へ入射するタイミングを指定する動作データを作成する。動作データは、カウント値とバケット番号とを対応付けて順次に並べたデータ構造を有する。動作データは、1つのカウント値と1つのバケット番号とを対にして1ワードの1つのデータとし、このデータが順次にリスト状に並ぶ。
補助記憶装置22は、動作データ作成部21が作成する動作データを記憶する。
運転操作部23は、電子ビームの入射運転操作を行うものである。運転操作部23は、入射周期信号発生装置12へ動作開始信号s1を出力して電子ビームの入射開始操作を行い、入射周期信号発生装置12へ動作停止信号s2を出力して電子ビームの入射停止操作を行う。また、運転操作部23は、補助記憶装置22が記憶する動作データを読み込んで主記憶装置25に書き込む。
主記憶装置25は、補助記憶装置22が記憶する動作データを一時的に記憶する。主記憶装置25は、補助記憶装置22よりも高速に読み込み可能なメモリである。
カウンタ26は、電子ビームの周回周期よりも長い周期毎に計数する計数値とカウント値とが一致すると、予め定める時間間隔の経過と判断してビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力する。カウンタ26は、主記憶装置25から1つのカウント値と1つのバケット番号とを読み込む毎に、順次に次のデータにアドレスを進め、最終のデータ対に達したら先頭のデータに戻る。また、カウンタ26は、「電子ビームの周回周期よりも長い周期」を計数するための信号として、入射周期信号fを周期的に受け取る。カウンタ26は、カウント値と入射周期信号fの計数値とを比較して、予め定める時間間隔が経過しているか否かを判断する。ところで、カウント値は、予め電子ビームの減少の状況を測定しておき、電子ビームの追加入射によって電子ビームの電流値を略一定に維持できる時間間隔を入射周期信号fの周期で割った値になるよう設定する。
次に、タイミング制御装置5による電子ビームの入射タイミングの制御について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置によるタイミング制御を示したフローチャートである。
図3に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5は、先ず、ステップS1において、シンクロトロン1の運転開始を待機する。タイミング制御装置5は、シンクロトロン1が運転を開始している場合にはステップS2に進み、その他の場合には待機を継続する。
次に、タイミング制御装置5のカウンタ26は、ステップS2において、動作データから読み込むデータを指定するためのアドレス指定変数Iを0にリセットする。
次に、カウンタ26は、ステップS3において、動作データの先頭から順次に読み込み行うために、アドレス指定変数Iをインクリメントする。なお、カウンタ26は、ステップS2を行った後にステップS3を処理すると、動作データの先頭データを指定することになる。
次に、カウンタ26は、ステップS4において、アドレス指定変数Iが指定する順位のデータを読み込み、カウント値変数C(I)にカウント値を代入し、バケット値変数B(I)にバケット番号を代入する。
次に、カウンタ26は、ステップS5において、「電子ビームの周回周期よりも長い周期」を計数するための計数値を0にリセットする。
次に、タイミング制御装置5は、ステップS6において、シンクロトロン1が運転を停止しているか否かを判断する。タイミング制御装置5は、シンクロトロン1が停止している場合にはステップS1に戻り、その他の場合にはステップS7に進む。
次に、カウンタ26は、ステップS7において、入射周期信号fの受け取りを待機する。カウンタ26は、入射周期信号fの受け取ればステップS8に進み、その他の場合にはステップS6に戻って制御を継続する。
次に、カウンタ26は、ステップS8において、計数値をインクリメントしてステップS9に移行する。
次に、カウンタ26は、ステップS9において、予め定める時間間隔が経過しているか否かを判断するために、カウント値を代入してあるカウント値変数C(I)と入射周期信号fの計数値とが一致しているか否かを判断する。カウンタ26は、カウント値変数C(I)と計数値とが一致する場合には予め定める時間間隔が経過していると判断してステップS10に進み、その他の場合にはステップS6に戻り制御を継続する。
次に、カウンタ26は、ステップS10において、ビーム許可信号eと、バケット値変数B(I)から読み出すバケット番号に対応するバケット信号bとをトリガ発生装置11へ出力する。
次に、カウンタ26は、ステップS11において、アドレス指定変数Iが動作データのデータ個数に達したか否かを判断する。カウンタ26は、アドレス指定変数Iと動作データのデータ個数とが一致する場合にはステップS2に戻って動作データの先頭から制御を継続し、その他の場合にはステップS3に戻って制御を継続する。
このように構成された本実施形態に係るシンクロトロン1のタイミング制御装置5は、電子ビームを追加入射するタイミングと、追加入射の対象であるバケット番号を一連の動作データにして、予め定める時間間隔によって電子ビームを追加入射するタイミングを調整し、所要のバケットに電子ビームを追加入射できる。
また、本実施形態に係るシンクロトロン1のタイミング制御装置5は、電子ビームを追加入射するタイミングを取るために、電子ビームの電流値の瞬時値を測定する必要が無く、静電誘導型電流モニタ(ESM)や、静電誘導型電流モニタが出力する高周波の微弱な信号を扱う高性能な高周波信号回路を必要としない。
[第2の実施形態]
本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置の第2実施形態について、図4から図5を参照して説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図である。
本実施形態に係るタイミング制御装置5Aにおいて第1実施形態のタイミング制御装置5と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5Aは、入射加速器2の電子銃6に与えるビームトリガ信号tのタイミングを制御するものであり、予め定める時間間隔毎にビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力するものである。タイミング制御装置5Aは、動作データ作成部21Aと、補助記憶装置22Aと、運転操作部23Aと、主記憶装置25Aと、カウンタ26Aと、を備える。
動作データ作成部21Aは、電子ビームを蓄積リング3へ入射するタイミングを指定する動作データを作成する。動作データは、カウント値とバケット番号の増加量とを対応付けるデータ構造を有する。動作データは、1つのカウント値と1つのバケット番号の増加量とを対にする1ワードの1つのデータである。
補助記憶装置22Aは、動作データ作成部21Aが作成する動作データを記憶する。
運転操作部23Aは、電子ビームの入射運転操作を行うものである。運転操作部23Aは、入射周期信号発生装置12へ動作開始信号s1を出力して電子ビームの入射開始操作を行い、入射周期信号発生装置12へ動作停止信号s2を出力して電子ビームの入射停止操作を行う。また、運転操作部23Aは、補助記憶装置22Aが記憶する動作データを読み込んで主記憶装置25Aに書き込む。
主記憶装置25Aは、補助記憶装置22Aが記憶する動作データを一時的に記憶する。主記憶装置25Aは、補助記憶装置22Aよりも高速に読み込み可能なメモリである。
カウンタ26Aは、電子ビームの周回周期よりも長い周期毎に計数する計数値とカウント値とが一致すると、予め定める時間間隔の経過と判断してビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力するとともにバケット信号bが指定するバケット番号を増加量分増加する。カウンタ26Aは、主記憶装置25Aからカウント値とバケット番号の増加量とを読み込む。また、カウンタ26Aは、「電子ビームの周回周期よりも長い周期」を計数するための信号として、入射周期信号fを周期的に受け取る。カウンタ26Aは、カウント値と入射周期信号fの計数値とを比較して、予め定める時間間隔が経過しているか否かを判断する。ところで、カウント値は、予め電子ビームの減少の状況を測定しておき、電子ビームの追加入射によって電子ビームの電流値を略一定に維持できる時間間隔を入射周期信号fの周期で割った値になるよう設定する。
次に、タイミング制御装置5Aによる電子ビームの入射タイミングの制御について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御を示したフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5Aは、先ず、ステップS21において、シンクロトロン1の運転開始を待機する。タイミング制御装置5Aは、シンクロトロン1が運転を開始している場合にはステップS22に進み、その他の場合には待機を継続する。
次に、タイミング制御装置5Aのカウンタ26Aは、ステップS22において、主記憶装置25Aから動作データを読み込み、カウント値変数Cにカウント値を代入し、バケット増量値変数Dにバケット番号の増加量を代入する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS23において、電子ビームを追加入射する対象と成るバケット番号を代入するバケット値変数Bを0にリセットする。
次に、カウンタ26Aは、ステップS24において、「電子ビームの周回周期よりも長い周期」を計数するための計数値を0にリセットする。
次に、タイミング制御装置5Aは、ステップS25において、シンクロトロン1が運転を停止しているか否かを判断する。タイミング制御装置5Aは、シンクロトロン1が停止している場合にはステップS21に戻り、その他の場合にはステップS26に進む。
次に、カウンタ26Aは、ステップS26において、入射周期信号fの受け取りを待機する。カウンタ26Aは、入射周期信号fの受け取ればステップS27に進み、その他の場合にはステップS25に戻って制御を継続する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS27において、計数値をインクリメントしてステップS28に移行する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS28において、予め定める時間間隔が経過しているか否かを判断するために、カウント値を代入してあるカウント値変数Cと入射周期信号fの計数値とが一致しているか否かを判断する。カウンタ26Aは、カウント値変数Cと計数値とが一致する場合には予め定める時間間隔が経過していると判断してステップS29に進み、その他の場合にはステップS25に戻り制御を継続する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS29において、ビーム許可信号eと、バケット値変数Bから読み出すバケット番号に対応するバケット信号bとをトリガ発生装置11へ出力する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS30において、バケット値変数Bとバケット増量値変数Dとの和を算出して新しいバケット番号とし、この新しいバケット番号をバケット値変数Bに代入する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS31において、バケット値変数Bがバケットの総数(すなわち、ハーモニック数)以上か否かを判断する。カウンタ26Aは、バケット値変数Bがバケットの総数以上になっている場合にはステップS23に戻って制御を継続し、その他の場合にはステップS25に戻って制御を継続する。
タイミング制御装置5Aは、例えば、ハーモニック数=バケットの総数=10、バケット番号の増加量=2、とすれば、入射周期信号fの計数量がカウント値に達する度、バケット値変数B=0、2、4、6、8、0、2、4、6、8、0、………、のように偶数バケットに順番に電子ビームの追加入射を行う。また、例えば、タイミング制御装置5Aは、バケット番号の増加量=3とすれば、バケット値変数B=0、3、6、9、0、3、6、9、0、………、のように3バケット毎に電子ビームの追加入射を行う。
このように構成された本実施形態に係るシンクロトロン1のタイミング制御装置5Aは、電子ビームを追加入射するタイミングと、追加入射の対象であるバケット番号を指定する増加量を動作データにして、予め定める時間間隔によって電子ビームを追加入射するタイミングを調整し、所要のバケットに電子ビームを追加入射できる。
また、本実施形態に係るシンクロトロン1のタイミング制御装置5Aは、電子ビームを追加入射するタイミングを取るために、電子ビームの電流値の瞬時値を測定する必要が無く、静電誘導型電流モニタ(ESM)や、静電誘導型電流モニタが出力する高周波の微弱な信号を扱う高性能な高周波信号回路を必要としない。
[第3の実施形態]
本発明に係るシンクロトロンのタイミング制御装置の第3実施形態について、図6から図7を参照して説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御装置を示したブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5Bは、入射加速器2の電子銃6に与えるビームトリガ信号tのタイミングを制御するものである。
ここで、先ず、シンクロトロン1Bは、電子銃6と、トリガ発生装置11と、入射周期信号発生装置12と、ビーム調整部13と、蓄積リング3を周回する電子ビームの電流値を測定する平均電流測定部28と、を備える。
平均電流測定部28は、所謂DCCT(DC Current Transformer)であり、静電誘導型電流モニタ(ESM)とは異なり、電子ビームが周りに作る磁場を利用して電子ビームの電流値を測定する。平均電流測定部28が測定する電子ビームの電流値を平均電流値と呼ぶ。なお、一般に、DCCTは、静電誘導型電流モニタ(ESM)よりも安価な装置である。
次いで、タイミング制御装置5Bは、平均電流測定部28が測定する電子ビームの平均電流値が予め定める追加入射電流値よりも小さくなるとビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力するものである。タイミング制御装置5Bは、動作データ作成部21Bと、補助記憶装置22Bと、運転操作部23Bと、主記憶装置25Bと、カウンタ26Bと、平均電流入力部29と、を備える。
動作データ作成部21Bは、電子ビームを蓄積リング3へ入射するタイミングを指定する動作データを作成する。動作データは、追加入射電流値とバケット番号の増加量とを対応付けるデータ構造を有する。動作データは、1つの追加入射電流値と1つのバケット番号の増加量とを対にする1ワードの1つのデータである。
補助記憶装置22Bは、動作データ作成部21Bが作成する動作データを記憶する。
運転操作部23Bは、電子ビームの入射運転操作を行うものである。運転操作部23Bは、入射周期信号発生装置12へ動作開始信号s1を出力して電子ビームの入射開始操作を行い、入射周期信号発生装置12へ動作停止信号s2を出力して電子ビームの入射停止操作を行う。また、運転操作部23Bは、補助記憶装置22Bが記憶する動作データを読み込んで主記憶装置25Bに書き込む。
主記憶装置25Bは、補助記憶装置22Bが記憶する動作データを一時的に記憶する。主記憶装置25Bは、補助記憶装置22Bよりも高速に読み込み可能なメモリである。
カウンタ26Bは、入射周期信号fを受け取ると予め定める時間間隔の経過と判断して平均電流測定部28が測定する平均電流値と動作データとを参照し、平均電流値が予め定める追加入射電流値よりも小さくなると、ビーム許可信号eおよびバケット信号bをトリガ発生装置11へ出力するとともにバケット信号bが指定するバケット番号を増加量分増加する。カウンタ26Bは、主記憶装置25Bから追加入射電流値とバケット番号の増加量とを読み込む。ところで、追加入射電流値は、予め電子ビームの減少の状況を測定しておき、電子ビームの追加入射によって電子ビームの電流値を略一定に維持できる範囲に設定する。
平均電流入力部29は、平均電流測定部28が測定する平均電流値をカウンタ26Bへ渡すインタフェースである。
次に、タイミング制御装置5Bによる電子ビームの入射タイミングの制御について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係るシンクロトロンのタイミング制御を示したフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係るタイミング制御装置5Bは、先ず、ステップS41において、シンクロトロン1Bの運転開始を待機する。タイミング制御装置5Bは、シンクロトロン1Bが運転を開始している場合にはステップS42に進み、その他の場合には待機を継続する。
次に、カウンタ26Bは、ステップS42において、主記憶装置25Bから動作データを読み込み、追加入射電流値変数Lに追加入射電流値を代入し、バケット増量値変数Dにバケット番号の増加量を代入する。
次に、カウンタ26Bは、ステップS43において、電子ビームを追加入射する対象と成るバケット番号を代入するバケット値変数Bを0にリセットする。
次に、カウンタ26Aは、ステップS44において、平均電流測定部28が測定する平均電流値を取得する。
次に、タイミング制御装置5Bは、ステップS45において、シンクロトロン1が運転を停止しているか否かを判断する。タイミング制御装置5Bは、シンクロトロン1が停止している場合にはステップS41に戻り、その他の場合にはステップS46に進む。
次に、カウンタ26Bは、ステップS46において、平均電流値が追加入射電流値変数Lよりも小さくなったか否かを判断する。カウンタ26Bは、平均電流値が追加入射電流値変数Lよりも小さい場合にはステップS47に進み、その他の場合にはステップS44に戻り制御を継続する。
次に、カウンタ26Bは、ステップS47において、入射周期信号fの受け取りを待機する。カウンタ26Bは、入射周期信号fを受け取ると予め定める時間間隔が経過していると判断してステップS48に進み、その他の場合にはステップS47を繰り返す。
次に、カウンタ26Bは、ステップS48において、ビーム許可信号eと、バケット値変数Bから読み出すバケット番号に対応するバケット信号bとをトリガ発生装置11へ出力する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS49において、バケット値変数Bとバケット増量値変数Dとの和を算出して新しいバケット番号とし、この新しいバケット番号をバケット値変数Bに代入する。
次に、カウンタ26Aは、ステップS50において、バケット値変数Bがバケットの総数(すなわち、ハーモニック数)以上か否かを判断する。カウンタ26Aは、バケット値変数Bがバケットの総数以上になっている場合にはステップS43に戻って制御を継続し、その他の場合にはステップS47に戻って制御を継続する。
タイミング制御装置5Bは、例えば、ハーモニック数=バケットの総数=10、バケット番号の増加量=2、とすれば、平均電流値が追加入射電流値Lよりも小さくなる度、バケット値変数B=0、2、4、6、8、0、2、4、6、8、0、………、のように偶数バケットに順番に電子ビームの追加入射を行う。また、例えば、タイミング制御装置5Bは、バケット番号の増加量=3とすれば、平均電流値が追加入射電流値Lよりも小さくなる度、バケット値変数B=0、3、6、9、0、3、6、9、0、………、のように3バケット毎に電子ビームの追加入射を行う。
本実施形態に係るタイミング制御装置5Bは、電子ビームの減少をDCCTである平均電流測定部28で測定する平均電流値により判定する。これは、通常、各バケットにおける電子ビームの電流値は、ほとんどの場合、略均等に減少することを利用している。
このように構成された本実施形態に係るシンクロトロン1Bのタイミング制御装置5Bは、電子ビームの減少状況を反映する追加入射電流値と、追加入射の対象であるバケット番号を指定する増加量を動作データにして、予め定める時間間隔によって電子ビームを追加入射するタイミングを調整し、所要のバケットに電子ビームを追加入射できる。
また、本実施形態に係るシンクロトロン1Bのタイミング制御装置5Bは、電子ビームを追加入射するタイミングを取るために、電子ビームの電流値の瞬時値を測定する必要が無く、静電誘導型電流モニタ(ESM)や、静電誘導型電流モニタが出力する高周波の微弱な信号を扱う高性能な高周波信号回路を必要としない。タイミング制御装置5Bは、一般的なシンクロトロンが備えるDCCTを活用して電子ビームの追加入射のタイミングを制御できる。
したがって、本実施形態に係るシンクロトロン1、1Bのタイミング制御装置5、5A、5Bによれば、電子ビームの電流値の瞬時値を測定しなくても、所要のバケットに電子ビームを追加入射して電子ビームの電流値を略一定に維持できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1、1B シンクロトロン
2 入射加速器
3 蓄積リング
5、5A、5B タイミング制御装置
6 電子銃
11 トリガ発生装置
12 入射周期信号発生装置
13 ビーム調整部
15 マスター信号発生器
16 分周器
17 バケットカウンタ
18 フリップフロップ回路
19 AND回路
21、21A、21B 動作データ作成部
22、22A、22B 補助記憶装置
23 運転操作部
25、25A、25B 主記憶装置
26、26A、26B カウンタ
28 平均電流測定部
29 平均電流入力部

Claims (5)

  1. トリガ信号を受け取ると電子ビームを出力するビーム発生装置と、ビーム許可信号およびバケット信号を受け取ると前記バケット信号が指定するバケット番号へ前記電子ビームを出力するよう前記ビーム発生装置へ前記トリガ信号を出力するトリガ発生装置と、を備えるシンクロトロンに接続し、前記電子ビームを出力するタイミングを制御するシンクロトロンのタイミング制御装置において、
    予め定める時間間隔毎に前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力することを特徴とするシンクロトロンのタイミング制御装置。
  2. カウント値と前記バケット番号とを対応付けて複数有する動作データを記憶する記憶部と、
    前記電子ビームの周回周期よりも長い周期毎に計数する計数値と前記カウント値とが一致すると、前記予め定める時間間隔の経過と判断して前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力するカウンタと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシンクロトロンのタイミング制御装置。
  3. カウント値と前記バケット番号の増加量とを対応付ける動作データを記憶する記憶部と、
    前記電子ビームの周回周期よりも長い周期毎に計数する計数値と前記カウント値とが一致すると、前記予め定める時間間隔の経過と判断して前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力するとともに前記バケット信号が指定する前記バケット番号を増加量分増加するカウンタと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシンクロトロンのタイミング制御装置。
  4. トリガ信号を受け取ると電子ビームを出力するビーム発生装置と、ビーム許可信号およびバケット信号を受け取ると前記バケット信号が指定するバケット番号へ前記電子ビームを出力するよう前記ビーム発生装置へ前記トリガ信号を出力するトリガ発生装置と、出力した電子ビームの平均電流を測定する平均電流測定部と、を備えるシンクロトロンに接続し、前記電子ビームを出力するタイミングを制御するシンクロトロンのタイミング制御装置において、
    前記平均電流測定部が測定する平均電流が予め定める追加入射電流値よりも小さくなると予め定める時間間隔毎に前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力することを特徴とするシンクロトロンのタイミング制御装置。
  5. 前記予め定める追加入射電流値と前記バケット番号の増加量とを対応付ける動作データを記憶する記憶部と、
    前記平均電流測定部が測定する平均電流と前記動作データとを参照するとともに前記平均電流測定部が測定する平均電流が前記予め定める追加入射電流値よりも小さくなると、前記ビーム許可信号および前記バケット信号を前記トリガ発生装置へ出力するとともに前記バケット信号が指定する前記バケット番号を増加量分増加するカウンタと、を備えることを特徴とする請求項4に記載のシンクロトロンのタイミング制御装置。
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