JP2012128995A - 放電ランプ点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放電ランプと、給電装置とを具え、給電装置は、放電ランプに定格電力を供給する第1点灯モードと、放電ランプに定格電力より低い電力を供給する第2点灯モードとを切り替えて放電ランプを点灯する機能を有し、第1点灯モードから第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、第1点灯モードによる供給電力以下で第2点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から電力値P1より低い電力値P2に低下させ、電力値P2から当該電力値P2より高くかつ電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を含む条件で電力を制御するものである。
【選択図】図4
Description
而して、最近においては、使用環境の明るさや投影する画像の種類に応じて画面の明るさを調整することが可能な調光機能を有するプロジェクタ装置が開発され、かかるプロジェクタ装置に用いられる放電ランプ点灯装置としては、放電ランプに定格電力を供給する定格電力点灯モードと、放電ランプに定格電力より低い電力、例えば定格電力の80%の電力を供給する低電力点灯モードとを切り替えて放電ランプを点灯する給電装置を具えてなるものが知られている(特許文献1参照。)。
このように低電力点灯モードに切り替えたときに、当該低電力点灯モードにおいて放電ランプにフリッカが発生する理由は、以下のように考えられる。
そして、定格電力点灯モードから低電力点灯モードに切り替えるモード切替期間においては、図7(b)に示すように、放電ランプに供給される電力の値が低下するに伴って、電極90,91間に形成されたアークAの形状が細くなることにより、電極90,91の各々における突起p1の表面には、蒸発した電極物質がアークAの起点が位置する箇所に堆積するため、図7(c)に示すように、電極90,91の各々における突起p1の表面に微小突起p2が形成される。
然るに、放電ランプに供給される電力が低下するモード切替期間においては、電極90,91間に形成されたアークAの形状が急激に細くなるため、電極90,91間に形成されたアークAは、図7(d)に破線で示すように、起点が電極90,91の各々における突起p1の表面を移動することにより不安定な状態となる結果、図7(e)に示すように、電極90,91の各々における突起p1の表面には、複数の微小突起p2が形成されてしまう。
このように電極90,91の先端に複数の微小突起p2が形成された状態で、低電力点灯モードによって放電ランプを点灯させた場合には、アークAの起点が複数の微小突起p2間を移動する結果、当該放電ランプにフリッカが発生する。
前記給電装置は、前記放電ランプに定格電力を供給する第1点灯モードと、前記放電ランプに定格電力より低い電力を供給する第2点灯モードとを切り替えて前記放電ランプを点灯する機能を有し、前記第1点灯モードから前記第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記第1点灯モードによる供給電力以下で前記第2点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることを特徴とする。
このような放電ランプ点灯装置においては、前記給電装置は、前記第2点灯モードから前記第3点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を2回以上含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることが好ましい。
本発明の放電ランプ点灯装置は、例えば調光機能を有するプロジェクタ装置に内蔵されるものであって、放電ランプと、この放電ランプに交流電力を供給する給電装置とを具えてなるものである。
この放電ランプ10の発光管11は、内部に放電空間Sを形成する外形が略楕円球状の発光部12と、この発光部12の両端の各々に一体に連設された、管軸に沿って外方に伸びるロッド状の封止部13とを有し、この発光管11における発光部12内には、それぞれタングステンよりなる一対の電極14,15が互いに対向するよう配置されている。具体的に説明すると、一対の電極14,15の各々は、発光管11の管軸方向に沿って伸びる棒状の軸部14b,15bと、この軸部14b,15bの各々の先端に連続して形成された、先端に突起p1が形成された略球状の頭部14a,15aと、頭部14a,15aの後端部分および軸部14b,15bの先端部分に巻き回されたコイル部14c,15cとにより構成されており、それぞれの頭部14a,15aが互いに対向するよう配置されると共に、各軸部14b,15bの基端部分が封止部13の各々に埋設されることによって保持されている。
発光管10における封止部13の各々の内部には、モリブデンよりなる金属箔16,17が気密に埋設され、金属箔16,17の各々の一端には、一対の電極14,15の各々における軸部14b,15bの基端が溶接されて電気的に接続されており、一方、金属箔16,17の他端には、封止部13の外端から外方に突出する外部リード18,19が溶接されて電気的に接続されている。
発光部12内に封入される水銀は、必要な可視光波長、例えば波長360〜780nmの放射光を得るためのものであり、点灯時に例えば150気圧以上の高い水銀蒸気圧を確保するために、その封入量が0.15mg/mm3 以上とされており、この水銀の封入量を増加することにより、点灯時に200気圧以上、または300気圧以上の高い水銀蒸気圧を得ることができ、プロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
発光部12内に封入される希ガスは、点灯始動性を改善するためのものであり、その封入圧は、静圧で例えば10〜26kPaである。また、希ガスとしては、アルゴンガスを好適に用いることができる。
発光部12内に封入されるハロゲンは、発光部12内においてハロゲンサイクルを形成すると共に、これにより、電極物質であるタングステンが発光部12の内壁に付着することを抑制するためのものであり、水銀その他の金属との化合物の形態で封入される。ハロゲンの封入量は、例えば1×10-6〜1×10-2μmol/mm3 である。また、ハロゲンとしては、沃素、臭素、塩素などを用いることができる。
また、発光部12内には、更に他の放電媒体としてハロゲン化金属を封入することもできる。
また、放電ランプ10においては、その点灯中に発光管11における発光部12内の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上となり、また、放電ランプ点灯装置が内蔵されるプロジェクタ装置においては、装置全体の小型化が図られる一方、高い光量が要求されることから、放電ランプ10の発光管11における発光部12内の熱的条件は極めて厳しいものであり、例えばランプの管壁負荷値は0.8〜3.0W/mm2 、より具体的には2.0W/mm2 である。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することにより、プロジェクタ装置の光源として用いられる場合に演色性の良好な放射光を得ることができる。
ここで、第2点灯モードにおいて放電ランプ10に供給される電力の値は、定格電力の値より低いものであれば特に制限されないが、通常、定格電力の40〜80%の範囲で選択される。
電力値P3は、電力値P2より高くかつ電力値P1より低い値であればよいが、電力値P3と電力値P2との差(P3−P2)が電力値P1と電力値P2との差(P1−P2)の2〜50%程度であることが好ましい。
また、放電ランプ10に供給される電力を電力値P2から電力値P3に上昇する際に、その平均電力変化率は、0.1〜10 W/sであることが好ましい。
先ず、点灯モードが第1点灯モードに選択された状態で給電装置が駆動されると、給電装置から放電ランプ10には、第1点灯モードによる電力、具体的には放電ランプ10の定格電力に相当する電力値の交流電力が供給され、これにより、放電ランプ10が点灯される。次いで、第1点灯モードによる放電ランプ10の点灯を開始してから時間T1が経過したときに、給電装置において点灯モードが第1点灯モードから第2点灯モードに変更されると、第1点灯モードから第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、第1点灯モードによる供給電力以下で第2点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を行いながら、放電ランプ10に供給される電力が低下し、点灯モードが第1点灯モードから第2点灯モードが変更されてから時間T2が経過すると、放電ランプ10に供給される交流電力の電力値が第2点灯モードによる電力の電力値に達し、第2点灯モードによる放電ランプ10の点灯が開始する。
放電ランプ10に供給される交流電力の電流波形の一例を図3に示す。この図において、縦軸は放電ランプ10に供給される電力の電流値を示し、横軸は放電ランプ10の点灯時間を示す。この電流波形においては、基本周波数成分F1中に、当該基本周波数成分より低い周波数の低周波数成分F2が周期的にされている。
基本周波数成分F1の周波数は、例えば60〜1000Hzの範囲から選択される。一方、低周波数成分F2の周波数は、基本周波数成分F1の周波数より低い周波数であって、例えば5〜200Hzの範囲から選択される。
また、低周波数成分は、半サイクルの長さのものであってもよく、低周波数成分の挿入間隔(或る低周波数成分が挿入されてから次の低周波数成分が挿入されるまでの時間の間隔)は、120秒間以下が好ましく、より好ましくは0.01〜120秒間である。
基本周波数成分F1および低周波数成分F2の具体的な周波数、低周波数成分F2の挿入間隔、低周波数成分F2の振幅は、用いられる放電ランプ10の設計、特に電極14,15の熱的な設計との関係や、各点灯モードによる電力の値などを考慮して適宜選定される。
電流波形の具体的な一例を示すと、基本周波数成分F1の周波数370Hz、一の基本周波数成分F1の長さが37.5サイクル、低周波数成分F2の周波数が90Hzで、一の低周波数成分F2の長さが1サイクルである。
そして、第1点灯モードから第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、放電ランプ10に供給される電力を、電力値P1から電力値P2に低下させたときには、図4(b)に示すように、電極14,15間に形成されたアークAの形状が細くなるため、電極14,15の各々における突起p1の表面には、ハロゲンサイクルによって、蒸発した電極物質がアークAの起点が位置する箇所に堆積し、これにより、図4(c)に示すように、電極14,15の各々における突起p1の表面に微小突起p2が形成される。このとき、電極14,15間に形成されたアークAの形状が急激に細くなるため、電極14,15間に形成されたアークAは、図4(d)に破線で示すように、起点が電極14,15の各々における突起p1の表面を移動することにより不安定な状態となる結果、図4(e)に示すように、電極14,15の各々における突起p1の表面には、複数の微小突起p2が形成される。而して、放電ランプ10に供給される電力を、電力値P2から電力値P3に上昇させたときには、図4(f)に示すように、電極14,15間に形成されたアークAの形状が太くなると共に、複数の微小突起p2が溶融し、これにより、図4(g)に示すように、微小突起p2が1つに収斂する。
例えば給電装置は、上記の第2点灯モードと、放電ランプに第2点灯モードによる供給電力より低い電力を供給する第3点灯モードとを切り替えて放電ランプを点灯する機能を有するものであってもよい。
このような放電ランプ点灯装置においては、給電装置は、第2点灯モードから第3点灯モードに切り替えるモード切替期間において、第2点灯モードによる供給電力以下で前記第3点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を含む条件で、放電ランプに供給する電力を制御するものであることが好ましい。
また、放電ランプに第2点灯モードによる供給電力より低い電力を供給する第3点灯モードとを切り換えて放電ランプを点灯する機能を有するものである場合には、第2点灯モードから第3点灯モードに切り替えるモード切替期間において、電力値P1から電力値P2に低下させ、この電力値P2を維持した後、電力値P2から電力値P3に上昇させてもよい。
図1に示す構成に従い、下記の仕様の放電ランプ(A)を作製した。
・発光管は石英ガラス製で、発光部の最大外径が10mm、発光部の内容積が65mm3 である。
・電極の各々はタングステン製で、電極間距離が1.0mmである。
・発光管内には、0.3mg/mm3 の水銀、静圧で13kPaのアルゴンガス、および4.0×10-4μmol/mm3 のハロゲン(Br)が封入されている。
・放電ランプ(A)の定格電力は230W、定格電圧は80V、管壁負荷値は2.5W/mm2 である。
放電ランプ(A)に定格電力値の75%の電力(172.5W)の交流電力(370Hzの基本周波数成分37.5サイクル毎に90Hzの低周波数成分が1サイクル挿入されたもの)を供給して点灯させ、当該放電ランプ(A)に供給する電力を、4秒間で定格電力の7%(16.1W)低下させ(平均電力変化率4.025W/s)、その後、1秒間で定格電力の2%(4.6W)上昇させる(平均電力変化率4.6W/s)電力変化(5秒間のサイクルで定格電力の5%(11.5W)低下させる電力変化)を3回繰り返すことによって、定格電力値の60%(132W)に低下させた。実験例1における放電ランプに供給される電力の値の変化のグラフを図6に示す。
そして、放電ランプ(A)に供給される電力を定格電力値の60%(132W)に維持した状態で、放電ランプ(A)から放射される光を目視で観察したところ、フリッカの発生は認められなかった。
放電ランプ(A)に定格電力値の75%の電力(172.5W)の交流電力(370Hzの基本周波数成分37.5サイクル毎に90Hzの低周波数成分が1サイクル挿入されたもの)を供給して点灯させ、当該放電ランプ(A)に供給する電力を、30秒間で定格電力の15%(34.5W)低下させる(平均電力変化率2.3W/s)ことによって、定格電力値の60%(132W)に低下させ、この状態で、放電ランプ(A)から放射される光を目視で観察したところ、フリッカが発生していることが認められた。
11 発光管
12 発光部
13 封止部
14,15 電極
14a,15a 頭部
14b,15b 軸部
14c,15c コイル部
16,17 金属箔
18,19 外部リード
90,91 電極
A アーク
p1 突起
p2 微小突起
S 放電空間
Claims (4)
- それぞれ先端に突起が形成された一対の電極を有する放電ランプと、この放電ランプに交流電力を供給する給電装置とを具えてなる放電ランプ点灯装置において、
前記給電装置は、前記放電ランプに定格電力を供給する第1点灯モードと、前記放電ランプに定格電力より低い電力を供給する第2点灯モードとを切り替えて前記放電ランプを点灯する機能を有し、前記第1点灯モードから前記第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記第1点灯モードによる供給電力以下で前記第2点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることを特徴とする放電ランプ点灯装置。 - 前記給電装置は、前記第1点灯モードから前記第2点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を2回以上含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
- 前記給電装置は、前記第2点灯モードと、前記放電ランプに前記第2点灯モードによる供給電力より低い電力を供給する第3点灯モードとを切り替えて前記放電ランプを点灯する機能を有し、前記第2点灯モードから前記第3点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記第2点灯モードによる供給電力以下で前記第3点灯モードによる供給電力以上である任意の電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電ランプ点灯装置。
- 前記給電装置は、前記第2点灯モードから前記第3点灯モードに切り替えるモード切替期間において、前記電力値P1から当該電力値P1より低い電力値P2に低下させた後、この電力値P2から当該電力値P2より高くかつ前記電力値P1より低い電力値P3に上昇させる電力変化を2回以上含む条件で、前記放電ランプに供給する電力を制御するものであることを特徴とする請求項3に記載の放電ランプ点灯装置。
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