JP2012125742A - 水浄化材 - Google Patents

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泰治 高木
Seiichi Higashi
聖一 東
Koji Mori
幸治 森
Yutaka Hayashi
豊 林
Kosuke Togashi
宏介 富樫
Takashi Taniguchi
敬 谷口
Michio Taniguchi
道夫 谷口
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Abstract

【課題】水浄化性能に優れる上に、使用中の破損を防止できる水浄化材を提供する。
【解決手段】本発明の水浄化材は、有機質糸状物に、導電性を有する炭素物質がバインダ樹脂を用いて接着されている。本発明の水浄化材においては、組紐状であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は水を浄化する際に用いられる水浄化材に関するものである。
河川、湖沼、海の水を浄化するために、または水質汚染の原因となる工場排水、温泉排水および家庭排水などの下水を処理するために、炭素繊維を利用した水浄化材を用いることが知られている。炭素繊維には、水を浄化する微生物が定着しやすいため、高い水浄化性能が得られる(特許文献1)。
炭素繊維を用いた水浄化材においては、炭素繊維を水中でばらけさせることで微生物との接触面積を増やせるため、直線型のものよりも、編物状、ふさ状、樹枝状、ほうき状、ちょうちん状のものや、輪奈を形成したものがよいとされている。
特開平8−290191号公報
しかしながら、炭素繊維はその長手方向の引張強度は強いが、長手方向に垂直な方向は脆く、折れやすい。そのため、炭素繊維を用いた水浄化材は、使用中に炭素繊維が折れやすいという問題を有する上に、表面積を増やすための構成を有するものほど、前記問題は発生しやすくなる傾向にある。
炭素繊維を糸状にすることで、長手方向に垂直な方向の強度を向上させることができる。しかし、炭素繊維を合撚した糸や、撚りを加えていない糸を用いた組紐、織物、編物では、繊維と繊維の交絡箇所で長手方向に対して垂直方向の力が加わるため、炭素繊維が折れる問題は充分に解決できていなかった。
また、炭素繊維は単糸1本の太さが数〜数十μmであり、また、炭素繊維の糸束におけるフィラメント数は48000本、24000本、12000本と多いため、これらがばらけた状態では、大きな表面積となると考えられていた。
しかしながら、炭素繊維を用いた水浄化材を実際に水中に浸漬した際には、殆どの部分で炭素繊維同士が微生物の付着によって集束するため、数万本の炭素繊維が、実質的に1本の糸束となっていた。そのため、表面積はあまり増加しておらず、水浄化性能を充分に向上させることができず、高価な炭素繊維が有効活用されていないのが実情であった。
本発明は、水浄化性能に優れる上に、使用中の破損を防止できる水浄化材を提供することを目的とする。
本発明の水浄化材は、有機質糸状物に、導電性を有する炭素物質がバインダ樹脂を用いて接着されていることを特徴とする。
導電性を有する炭素物質には、微生物が付着しやすいため、本発明の水浄化材は水浄化性能に優れる。また、有機質糸状物は折れにくく、バインダ樹脂を介して前記炭素物質が接着された状態でも折れにくい。したがって、本発明の水浄化材によれば、使用中の破損を防止できる
本発明の水浄化材においては、前記導電性を有する炭素物質が、カーボンブラック、燃焼灰、石炭、コークスからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒状物を含むことが好ましい。
前記導電性を有する炭素物質が、カーボンブラック、燃焼灰、石炭、コークスからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒状物を含めば、水浄化性能がより高くなる。
本発明の水浄化材においては、組紐状であることが好ましい。
有機質糸状物が織物や編物また網状である場合、水浄化処理時、水浄化材が水の流れに対して大きな抵抗となり、水浄化装置の大型化が必要になる。また、水浄化材と水の接触箇所では、水の流れが速すぎて水浄化材に微生物が付着しにくくなり、水浄化性能が低くなるおそれがある。水浄化材に微生物が付着した場合には、糸と糸の隙間が微生物で埋まり、水と水浄化材の接触機会が減少するため、水処理性能が向上しないおそれがある。
これに対し、組紐は水の抵抗が小さい上に、側面から輪奈等を形成して表面積を容易に増加させることができる。また、そのように表面積を増加させても、水の流れを大きく阻害することはないため、水処理性能をより高くできる。
また、織物(特に炭素繊維の織物)を、海や川、排水処理場で用いると水の力で揉まれ、繊維が織物組織から抜けて、バラバラになり、10日も経たないうちに消失してしまう。その対策として、織物の端部を縫製して筒状や袋状等にすることが考えられるが、このような形状にしても縫製部の繊維が直ぐに抜けてしまい、その部分から解れて織物全体がバラバラになる。
これに対し、組紐にすれば、糸抜けを抑制でき、水浄化材としての形状を長期にわたって維持できる。そのため、水浄化材を長寿命化できる。
本発明の水浄化材においては、前記組紐が芯材として炭素繊維を備えることが好ましい。組紐が炭素繊維の芯材を備えると、微生物の付着量が増加するため、水浄化性能がより高くなる。
本発明の水浄化材は、水浄化性能に優れる上に、使用中の破損を防止できる。また、本発明の水浄化材は、炭素繊維を使用しないか、使用しても少量であるため、安価である。
実施例1の水浄化材を示す写真である。 実施例2の水浄化材を示す写真である。 実施例3の水浄化材を示す写真である。 実施例4の水浄化材を示す写真である。 実施例5の水浄化材を示す写真である。
以下、本発明の実施形態に係る水浄化材について説明する。
本発明の水浄化材は、有機質糸状物(以下、「糸状物」という。)に、導電性を有する炭素物質(以下、「導電性炭素物質」という。)がバインダ樹脂を用いて接着されているものである。
糸状物は、繊維単体または繊維の集合体であり、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、及びこれらを用いて製造されたロープ、組紐等が挙げられる。
糸状物を構成する繊維としては、柔軟性を有している繊維が使用され、例えば、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、綿、麻、絹、羊毛、レーヨン、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維などの繊維が挙げられる。また、糸状物はこれらの繊維を複数併用してもよい。
上記の繊維の中でも、柔軟性、強度、耐久性、微生物の繊維への親和性など浄化性能の観点からは、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維が含まれることが好ましい。
糸状物は、そのまま使用してもよいし、織物、編物、組紐の形状としてもよく、中でも、組紐が好ましい。組紐であれば、水の抵抗が小さく、また、組紐を構成する繊維の一部を組紐の側面から突出して輪奈を形成するなどして、水浄化材の表面積を増加させることができ、微生物付着量を増やすことができる。また、そのように表面積を増加させても、水の流れを大きく阻害することはないため、水浄化性能がより向上する。さらに、輪奈の先端等を切断した場合には、水の抵抗が減少し、また、糸状物をより広げることができる。
導電性炭素物質において、「導電性」とは、導電性炭素物質を、バインダ樹脂を用いて糸状物に接着させた際に、表面抵抗率が1×10Ω/□以下のことである。糸状物の表面抵抗率が1×10Ω/□以下であると、糸状物の表面に微生物が付着しやすくなる。また、表面抵抗率は、1×10Ω/□以下が好ましく、1×10Ω/□以下がより好ましい。なお、表面抵抗率は、三菱化学株式会社製のLoresta−EP(MCP−T360)を用いて測定した値である。
具体的な導電性炭素物質としては、炭素粒子、カーボンブラック、燃焼灰、石炭、コークス、木炭などの粒状物が挙げられる。微生物の付着のしやすさの観点からは、カーボンブラック、燃焼灰、石炭、コークスからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒状物を含むことが好ましく、カーボンブラック、燃焼灰がより好ましい。
カーボンブラックは、天然ガス、石油などの不完全燃焼または熱分解によって得られる粒状物であり、炭素成分が多く、高い導電性を有する。
燃焼灰は、重油、石炭、コークスなどをボイラー等で燃焼させた後の炭素成分を40〜80%程度含む粒状物であり、一般的に流通しているカーボンブラックに比べて導電性は低い。しかし、燃焼灰を使用すれば、廃棄物を有効活用できる。また、燃焼灰の粒状物は、コークスや石炭に比べてカドが取れており、糸状物への接着性の観点からも好ましい。
本発明において、導電性炭素物質として石炭、コークスを使用する場合、粒子径が小さいものが好適に使用される。
粒状物の粒子径は、糸状物から脱落しにくくなるため、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。また、粒状物の粒子径は、取り扱い時の粉塵を防止でき、バインダ樹脂への粒状物の添加量が少量であっても導電性を発現できるため、10nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。なお、粒状物の粒子径は、電子顕微鏡を用いて無作為に複数個の粒状物を選択し、その最長対角線の長さを測定し、その測定値を平均して求めた値である。
粒状物の形状は特に限定されず、球状、柱状、針状、燐片状等のいずれであってもよいが、導電性の観点からは、鱗片状が好ましい。
導電性炭素物質を糸状物に接着するためのバインダ樹脂としては、柔軟性を有するものが好ましく、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂は、柔軟性を維持する範囲で架橋剤や硬化剤で架橋されていてもよい。
バインダ樹脂と導電性炭素物質との割合は、バインダ樹脂100質量部に対し、導電性炭素物質が10〜300質量部であることが好ましい。導電性炭素物質の量が10質量部以上であれば、より高い導電性が得られ、微生物がより付着しやすくなり、300質量部以下であれば、導電性炭素物質が糸状物の表面から脱落しにくくなる。
水浄化材の形状は、線状物、織物、編物、不織布等いかなる形状であってもよいが、線状物が好ましく、組紐がより好ましい。水浄化材が組紐であれば、水の抵抗が小さくなり、経時的な水浄化性能の低下を抑制することができる。
水浄化材が組紐である場合には、組紐の本線部の側面から組紐を構成する糸状物を突出して輪奈等の枝線部を形成させることにより表面積を増加させることができる。また、そのように表面積を増加させても、水の流れを大きく阻害することはないため、水処理性能を向上させることができる。
枝線部は輪奈状であってもよいし、輪奈の先端を切断したものであってもよい。輪奈の先端を切断した枝線部では、微生物の付着性をより向上させることができる。
織物(特に炭素繊維の織物)を、海や川、排水処理場で用いると水の力で揉まれ、繊維が織物組織から抜けて、バラバラになり、10日も経たないうちに消失してしまう。その対策として、織物の端部を縫製して筒状や袋状等にすることが考えられるが、このような形状にしても縫製部の繊維が直ぐに抜けてしまい、その部分から解れて織物全体がバラバラになる。
しかし、水浄化材を組紐にすれば、糸抜けを抑制でき、その形状を長期にわたって維持できる。
枝線部の、本線部の側面からの長さは、1cm〜20cmであることが好ましく、3cm〜10cmであることがより好ましい。枝線部の長さが1cm以上であれば、水浄化の効果がより大きくなり、20cm以下であれば、微生物の付着による糸状物同士の集束を抑制しやすくなり、水浄化材の表面積の低下を防ぐことができる。
また、水浄化材は、糸状物に導電性炭素物質がバインダ樹脂により接着したもののみで構成する必要はない。すなわち、導電性炭素物質が付着していない糸状物を複合化してもよい。導電性炭素物質が付着していない糸状物は、上記の糸状物と同様のものである。
導電性炭素物質を接着した糸状物と、導電性炭素物質を接着しない糸状物とを複合化する場合には、組紐にすることが好ましい。
組紐においては、芯材として炭素繊維を備えることが好ましい。組紐に炭素繊維の芯材を備えると、微生物がより付着しやすくなり、水浄化性能がさらに向上する。なお、炭素繊維を芯材として用いる場合には、炭素繊維は直線状のままにできるため、折れにくい。
炭素繊維のフィラメント数は特に制限されない。例えば、炭素繊維は、フィラメント数が48000本以上のラージトウであってもよいし、24000本以下のレギュラートウであってもよい。レギュラートウは、例えば、24000本のトウ、12000本のトウ、6000本のトウ、3000本のトウ、1000本のトウ等のいずれであってもよい。また、これらの糸束を数本用いてもよい。
水浄化材の長さは特に限定されるものではなく、水処理する場所に応じて、数cm〜数十kmの長さの範囲で調整される。
水浄化材の水中での固定方法については特に制限はない。例えば、水浄化材の一端のみを、棒、ロープ、金属線等の固定部材に取り付け、前記固定部材を水面上に配置し、水浄化材を水中に向けて吊り下げてもよい。また、水浄化材の両端を前記固定部材に取り付け、一方の固定部材を水面上に配置し、他方の固定部材を水中に配置してもよい。また、水浄化材の両端を枠体に鉛直方向または水平方向に取り付け、その枠体ごと、水中に浸漬してもよい。
その際、水浄化材の本数は1本である必要はなく、水浄化性能をより高めるためには、複数本であることが好ましい。
水浄化材を使用中、糸状物が1本ずつばらける必要はなく、広がった形態になれば、微生物の付着量が多くなり、優れた水浄化性能を得ることができる。
水浄化材は、糸状物に、導電性炭素物質とバインダ樹脂を含む付着用溶液を付着させ、乾燥し、必要に応じ、熱処理することで得られる。得られた糸状物はそのまま水浄化材として用いてもよいが、糸状物を用いて組紐、織物、編物、不織布などの形態にすることもできる。
付着用溶液には、導電性炭素物質とバインダ樹脂の他に、架橋剤、溶媒、顔料、触媒、酸化防止剤、親水化剤、撥水剤などが含まれてもよい。
架橋剤としては、イシシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、イミン系架橋剤、カルボジイミト系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等が挙げられる。
溶媒としては、水、メチルエチルケトン、トルエン、キリレン、ジメチルホルムアミド、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
付着用溶液の糸状物への付着方法は、付着用溶液に糸状物を浸漬した後、ニップロールにて余剰の付着用溶液を除去する方法、刷毛やスプレーにより付着用溶液を糸状物に塗布する方法が挙げられる。
乾燥温度は、糸状物に用いられた繊維等の特性に応じた温度にすればよく、通常は、10〜180℃の範囲内である。
また、水浄化材の他の製造方法としては、糸状物を、組紐等の線状物、織物、編物、不織布等の形状とした後、好ましくは組紐とした後、これに、導電性炭素物質およびバインダ樹脂を含む付着用溶液を付与し、乾燥、必要に応じて熱処理する方法が挙げられる。
上記水浄化材は、導電性炭素物質を備え、微生物が付着しやすくなっているため、水浄化性能に優れる。炭素物質が接着された有機質糸状物は柔軟性を有し、折れにくいため、本発明の水浄化材によれば、使用中の破損を防止できる。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明する。
なお、各種の測定は以下の方法にておこなった。
(表面抵抗率) 三菱化学株式会社製のLoresta−EP(MCP−T360)を用いて測定した値である。四深針法。測定箇所は水浄化材の表面とした。なお、ポリエステル繊維、アクリル繊維の未加工品の表面抵抗率は1×1010Ω/□超であり測定範囲を超えていた。
(粒子径) 電子顕微鏡を用いて無作為に10個の粒状物を選択し、その粒状物の最長対角線の長さを測定し、その測定値を平均して粒子径を求めた。
(BOD) JIS K0102 21、JIS K 0102 32.3 隔膜電極法
(SS) 昭和46年環告第59号付表8 ろ過重量法
なお、以下に用いた各繊維は以下のものを用いた。
炭素繊維:PAN系炭素繊維、12000本(12K)
アクリル繊維(スパン):17番手
ポリエステル繊維:450デシテックス
麻:商品名「コンバイン バインダー ひも ジュート」、早瀬工業株式会社製
(実施例1)
ポリエステル繊維を用いて作製した組紐を糸状物として用い、下記の付着用溶液に浸漬した後、ニップロールにより絞り、60℃にて7日間乾燥して、線状物を得た。
付着用溶液
エステル系ウレタン樹脂 30質量部
カーボネート系ウレタン樹脂 7.5質量部
カーボンブラック(燐片状、30μm) 7.5質量部
燃焼灰の粒状物(粒子径5μm、炭素分69質量%)40質量部
メチルエチルケトン 159質量部
ジメチルホルムアミド 53質量部
トルエン 3質量部
次に、上記アクリル繊維を用いた本線部11と、本線部11の側面から上記線状物およびアクリル繊維の一部を突出して本線部11の側面に設けた枝線部12(輪奈を切断したもの、本線部からの長さは5cm)とを有し、本線部11の長手方向に沿った炭素繊維およびアクリル繊維の芯材を備える組紐状の水浄化材を作製した(図1参照)。
なお、枝線部における線状物とアクリル繊維との質量比率は、線状物:アクリル繊維=55:28とした。枝線部のアクリル繊維と本線部のアクリル繊維と芯材の炭素繊維と芯材のアクリル繊維との質量比率は、枝線部のアクリル繊維:本線部のアクリル繊維:芯材の炭素繊維:芯材のアクリル繊維=28:2:3:2とした。
(実施例2)
ポリエステル繊維を用いて作製した組紐を糸状物として用い、下記の付着用溶液に浸漬した後、ニップロールにより絞り、60℃にて7日間乾燥して、線状物を得た。
付着用溶液
エステル系ウレタン樹脂 30質量部
燃焼灰(炭素分69%) 40質量部
メチルエチルケトン 135質量部
ジメチルホルムアミド 35質量部
次に、アクリル繊維を用いた本線部11と、本線部11の側面から突出した上記線状物からなる輪奈状の枝線部12とを有し、本線部11の長手方向に沿った炭素繊維およびアクリル繊維の芯材を備える組紐状の水浄化材を作製した(図2参照)。
本線部のアクリル繊維と枝線部の線状物と芯材の炭素繊維と芯材のアクリル繊維との質量比率は、本線部のアクリル繊維:枝線部の上記線状物:芯材の炭素繊維:芯材のアクリル繊維=2:58:3:2とした。
(実施例3)
実施例2の水浄化材において、輪奈を切断したものを枝線部12(本線部11からの長さは5cm)としたこと以外は実施例2と同様にして水浄化材を得た(図3参照)。
(実施例4)
麻繊維を有機質糸状物として用いて、本線部と該本線部の側面から麻繊維の一部が突出した枝線部(輪奈の先端を切断しもの。本線部の側面からの長さ5cm)とを有する組紐を作製した。その組紐を、下記の付着用溶液に浸漬した後、ニップロールにより絞り、60℃で7日間乾燥して、水浄化材を得た(図4参照)。
付着用溶液
カーボネート系ウレタン樹脂 12.5質量部
カーボンブラック(燐片状、30μm)12.5質量部
メチルエチルケトン 153質量部
ジメチルホルムアミド 40質量部
トルエン 7質量部
(実施例5)
組紐状で、アクリル繊維を用いた本線部と、本線部の側面からアクリル繊維の一部を突出して本線部11の側面に設けた輪奈状の枝線部12とを有し、本線部の長手方向に沿った炭素繊維およびアクリル繊維の芯材を備える繊維構造物を作製した。その繊維構造物を、下記の付着用溶液に浸漬した後、ニップロールにより絞り、60℃で7日間乾燥して、水浄化材を得た(図5参照)。
付着用溶液
エステル系ウレタン樹脂 30質量部
カーボネート系ウレタン樹脂 12.5質量部
カーボンブラック(燐片状、30μm) 12.5質量部
コークスの粒状物(粒子径10μm、炭素分69%) 40質量部
メチルエチルケトン 150質量部
ジメチルホルムアミド 80質量部
(試験1)
タテ2.5m、ヨコ1.2m、高さ2mの槽に、小松精練株式会社から排出される水処理前の排水6mを入れ、その中に長さ1mの水浄化材200本、1.8mの水浄化材を200本吊り下げた。その水浄化材の上下は紐を用いて固定した。
次いで、小松精練株式会社において水処理に用いている微生物(種菌:MLSS14000mg/L)を10リットル/日投入して、水処理を開始した。水処理の際には、水中の溶存酸素が2〜3mg/Lとなるように曝気した。
水処理開始から10日後、水浄化材においては、枝線部の、微生物の付着による集束が抑制され、開繊性が高くなっていた。そのため、枝線部が広がった状態で微生物Aが付着しており、微生物Aの付着量が多かった。
(試験2)
試験1の後、処理した水を取り除き、再度、前記の槽に小松精練株式会社から排出される水処理前の排水を連続供給した。排水の供給量は0.5m/hとし、これに合わせて微生物(種菌:MLSS14000mg/L)も連続投入(1リットル/日)して、水処理を施した。水処理の際には、試験1と同様に水中の溶存酸素が2〜3mg/Lとなるように曝気した。また、槽内の滞留時間はおよそ12時間とした。
水処理後のBOD、SSを表1に示す。
(試験3:メンテナンス性)
試験2の後の微生物が付着した実施例1〜5の水浄化材に家庭用散水ホースを用いて水をかけて、微生物を除去させた。その際の、微生物の除去のしやすさにより、メンテナンス性を評価した。
この結果、実施例1〜5では、微生物を除去することができた。対比のため、水浄化材を構成する繊維が炭素繊維のみからなり、付着用溶液による処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様に水浄化材を作製し、その水浄化材を用いて排水処理した後、メンテナンス性を評価したところ、微生物の除去は困難であった。
本発明の水浄化材は、優れた水の浄化能力を有するため、滞留しやすい湖沼水の処理や、工場などから排出される排水の連続処理を行うこともできる。また、破損しにくいため、流れが強い部分に配置することもできる。
11 本線部
12 枝線部

Claims (4)

  1. 有機質糸状物に、導電性を有する炭素物質がバインダ樹脂を用いて接着されていることを特徴とする水浄化材。
  2. 前記導電性を有する炭素物質が、カーボンブラック、燃焼灰、石炭、コークスからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒状物を含むことを特徴とする請求項1に記載の水浄化材。
  3. 組紐状であることを特徴とする請求項1または2に記載の水浄化材。
  4. 前記組紐が芯材として炭素繊維を備えることを特徴とする請求項3に記載の水浄化材。
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