JP2012123329A - 加熱定着装置 - Google Patents

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祥一郎 池上
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Abstract

【課題】 異物付きの記録時が使用された場合におけるフィルムの損傷を抑える。
【解決手段】 摺動部材の上流側端面と保持部材の面の間の隙間部に弾性体を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真記録方式或いは静電記録方式のプリンタや複写機等の画像形成装置に搭載される加熱定着装置に関する。
画像形成装置に搭載される加熱定着装置として、エンドレスフィルムと、この内面に接触するヒータと、ヒータを保持する溝部を有する保持部材と、エンドレスフィルムを介してヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有するフィルム加熱方式のものが実用化されている。
ところで、記録材に硬い異物、例えば、ステイプル針、砂粒、小石、埃などが付いた状態でプリントされる場合があり、これらの異物付きの記録材が定着ニップ部に入るとフィルムにダメージが発生することがある。例えば、異物によってフィルムに穴が空いたり、その穴を起点にフィルムに破れが生じる。異物付きの記録材の進入によるフィルムのダメージに関しては以下に述べる構造的な問題が考えられた。
フィルム加熱方式の定着装置において、ヒータは保持部材である断熱性ホルダに設けた溝部に嵌め込んで保持されており、部材の寸法精度、加熱過程に伴う熱膨張差起因の応力緩和等に対する観点から、ヒータ幅に対して断熱性ホルダの溝部の幅は大きく設計されている。また、ヒータはフィルムとの摺擦力により溝部内をフィルムの回転方向下流側に寄り移動することから、ヒータの下流側端面が溝部の下流側端面(壁面)に突き当たり受け止められた状態となって保持される。従って、ヒータの上流側端面とこの端面に対向するホルダの面(壁面)との間には必然的に隙間部が形成される。異物付きの記録材が定着ニップ部に進入した時点では、フィルムには回転に伴うテンションがかかった状態であり、異物がフィルムと接触した状態で隙間部に到達すると、フィルムの内面にはバックアップする部材が存在しないので、異物がフィルムを介して隙間部に押し込まれる。このような現象によりフィルムに穴が空くと考えられている。
この問題に対し、特許文献1のように、隙間部よりも上流側の断熱性ホルダに凸部を設けることにより、異物が隙間部に押し込まれないように、慣性でジャンプさせる事でダメージを軽減させる対策が提案されている。
特開2006−235550号公報
ところで、複写機やプリンタ等の画像形成装置は、プリントスピードや立上げの高速化、省エネルギー化といった様々な課題が求められている。このため、フィルムを薄肉化する開発も進んでいる。このような状況において、特許文献1に記載されている対策だけでは、異物の進入によるフィルムの損傷を防ぎきれないケースも考えられる。この課題は、保持部材の溝部にヒータを設けた装置の場合に顕著であるが、ヒータのような発熱部を別の位置に設け、保持部材の溝部にヒータ以外の摺動部材を設けた装置でも起こりうるものである。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、異物付き記録材、あるいは異物が付着した記録材が使用された場合においても、フィルムの損傷を低減できる加熱定着装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための本発明は、エンドレスフィルムと、前記エンドレスフィルムの内面に接触する摺動部材と、前記摺動部材を保持する溝部を有する保持部材と、前記エンドレスフィルムを介して前記摺動部材と共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有し、前記定着ニップ部で未定着画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ未定着画像を記録材に加熱定着する加熱定着装置において、記録材搬送方向に関して、前記摺動部材の上流側端面と、この端面に対向する前記保持部材の面の間の隙間部に弾性体を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、定着ニップ部に異物が進入した場合においても、フィルムの損傷を抑えることができる。
隙間部に弾性体を設けた加熱定着装置の要部断面図。 加熱定着装置とヒータの断面図、及び加熱定着装置の分解図。 ヒータと保持部材の嵌合状態を表す図。 定着ニップ部への異物噛み込み状態を表した図。 評価に用いたステイプル針付き記録材を表した図。 シート状の弾性体の配置を表した図。 隙間部周辺、及び弾性体充填領域の説明図。 実施例2と比較用の比較図。
(実施例1)
図2(a)〜(c)は加熱定着装置とヒータ11の断面図、及び加熱定着装置の分解図である。加熱定着装置は、定着アセンブリ10と加圧ローラ20で定着ニップ部Nを形成するフィルム加熱方式の加熱定着装置である。図2の断面図(a)と斜視図(c)で示すように、定着アセンブリ10は、主に定着フィルム(エンドレスフィルム)13と、加熱体(ヒータ)11と、ヒータを保持する保持部材12、および加圧バネ15より加圧力を受けて保持部材12を加圧ローラ20に押圧する金属ステー14から構成される。
定着フィルム13は、クイックスタートを可能にするために、総厚200μm以下の厚みの耐熱性フィルムである。ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂や、ステンレス、ニッケル等の金属フィルムを基層として形成されている。このうち、前者の耐熱性樹脂に関しては熱伝導性を向上させるために、BN、アルミナ、Al等の高熱伝導性粉末を混入してあっても良い。一方、定着フィルム13として、充分な強度を持ち、耐久性を確保するには、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって定着フィルム13の総厚としては20μm以上、200μm以下が最適である。さらにトナーのオフセット防止や記録材の分離性を確保するために、表層としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆して離型性層を形成してある。被覆の方法としては、定着フィルム13の外面をエッチング処理した後に離型性層をディッピングするか、粉体スプレー等の塗布であってもよい。あるいは、チューブ状に形成された樹脂を定着フィルム13の表面に被せる方式であっても良い。または、定着フィルム13の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、離型性層を被覆する方法であっても良いし、離型性に優れた材料から成型した単層構成であっても良い。本例では、基層がポリイミド製で厚み45μm、その上に接着層を設け、表層は導電材を付与したPFAを厚み10μmでコーティングし、総厚は60μm、直径は18mmとし、基層には高熱伝導性粉末を混入することにより高熱伝導化をはかっている。
加圧ローラ20は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金21の外側にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムで形成した弾性ソリッドゴム層、あるいはより断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成した弾性スポンジゴム層、あるいはシリコーンゴム層内に中空のフィラー(マイクロバルーン等)を分散させ、硬化物内に気体部分を持たせて断熱効果を高めた弾性気泡ゴム層等の弾性層22からなる弾性ローラである。この上にPFA、PTFE等の離型性層を形成してあってもよい。本件では、シリコーンバルーンゴム層を厚み3.5mm、直径18mm、表層はPFAで厚み30μm、製品硬度はアスカーC硬度で40度となっている。
図2(b)のヒータ断面図に示すように、加熱体(ヒータ)11は、定着フィルム13の内面に接触することにより定着ニップ部Nの加熱を行う。ヒータ11は低熱容量のプレート状であり、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性セラミック基板11aの表面に、長手方向に沿って、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaN等の通電発熱抵抗層11bが、厚み約10μm、幅約1〜5mm程度でスクリーン印刷等により形成されている。この加熱体11が定着フィルム13と接する面には、熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗層を保護する保護層11cを設ける。保護層の厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が望ましく、ガラスやフッ素樹脂コート等を施す。本例では基板には厚み1mmのアルミナを採用し、銀パラジウムの発熱体を形成した上に、保護層として厚み60μmのガラスをコートしている。
保持部材(断熱性ホルダ)12は加熱体11等を保持する部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成さる。熱伝導率が低いほど加圧ローラ20への熱伝導が良くなるので、樹脂層中にガラスバルーンやシリカバルーン等のフィラーを内包してあっても良い。保持部材12は定着フィルム13の回転を案内する役目も持つ。
保持部材12には溝穴(溝部)が設けられており、その溝穴に加熱体11を嵌合させることにより保持する構成である。加熱体11は加熱に伴い熱膨張が起こり、保持部材12も昇温に伴い熱膨張するが、両者の間には熱膨張差が発生する。また、製造上の寸法精度等も考慮する必要があり、嵌合に際して必然的に保持部材12の溝穴の幅は加熱体11の幅よりも広く設計されている。加熱体11及び保持部材12の嵌合詳細に関しては後述する。14は金属ステーであり、保持部材12と接触し、定着アセンブリ全体の撓みや捩れを抑制する。
定着アセンブリ10は次のような構成により加圧ローラ20の弾性に抗して押圧され、定着ニップ部Nを形成する。すなわち、図2(c)に示すように、金属ステー14は、その長手方向の両端が保持部材12から突き出ていて、ステー両端部にあるバネ受け部14aがバネ受け部材を介してコイルバネ15によって加圧される。荷重はステー足部14bを介して保持部材12の長手方向に渡って均一に伝達される。定着ニップ部Nでは、加圧力によって定着フィルム13が加熱体11と加圧ローラ20の間に挟まれることで撓み、加熱体11の加熱面に密着した状態になる。
加圧ローラ20は芯金21の端部に設けられた不図示の駆動ギアにより、図2(a)の矢印の方向に回転する駆動力を得る。駆動力は制御手段を統制する不図示のCPUからの指令に従い、不図示のモータより伝達される。この加圧ローラの回転駆動に伴って、定着フィルム13は加圧ローラ20との摩擦力により従動回転する。定着フィルム13と加熱ヒータ11との間には、フッ素系やシリコーン系の耐熱性グリース等の潤滑材を介在させることにより、摩擦抵抗を低く抑え、滑らかに定着フィルム13が回転可能となる。また、図2(c)に示すように、導電ゴム輪16を介し定着フィルム13の電位は不図示のバイアス印加回路により、適正値に制御される。
また、加熱ヒータの温度制御はセラミック基板の背面に設けた不図示のサーミスタ等の温度検知素子の信号に応じて、CPUが通電発熱抵抗層に供給する電力のデューティー比を決定し適切に制御することで、定着ニップ内の温度を所望の定着設定温度に保つ。未定着トナー画像を担持した記録材Pは所定のタイミングで定着ニップ内に搬送され、定着ニップ部で挟持搬送されつつ加熱定着が行われる。定着ニップより排出された記録材Pは不図示の排紙ガイドに案内されて、加熱定着装置が搭載されている画像形成装置の外に排出される。
次に、加熱体11と保持部材12の嵌合状態の例を図3に示す。加熱体11の幅W、保持部材12に設けた溝穴幅WにおいてW<Wの関係となる。加熱体11の幅Wは5.83mmに対し、W−W=0.4mmに設定されている。この理由として熱膨張を考慮した隙間の確保があげられる。加熱時における各部材の熱膨張差、とりわけ常温からの昇温過程において加熱体11が先行して熱膨張することから十分な隙間を設けておかないと緩衝による応力が発生し、加熱体のアルミナ基板11aが脆性特性であることから割れが引き起こされてしまう。更に、加熱体11と保持部材12の製造における寸法精度の上下限を考慮した上で安定して加熱体11を保持部材12に嵌合せしめるよう設計する必要がある。
ここで、加熱体11は保持部材12に設けられた溝穴に嵌合配置していることから、定着フィルム13が回転移動するに伴い発生する摺擦力によって加熱体11の下流側端面が保持部材12の溝穴下流側端面(壁面)に突き当たる位置まで移動し定常位置となる。つまり、定着ニップの上流部、加熱体11の上流側端面と溝穴の上流側端面(壁面)との間には隙間部(空隙)W(=W−W)が形成される。
次に、図4を用いて定着ニップ部への異物噛み込よって引き起こされる定着フィルム損傷を説明する。先述の通り、定着ニップ部の上流部において隙間部Wが形成されており、図4(a)に示す状況となっている。記録材P上に例えばステイプル針、砂粒、小石など硬い異物Iが付着した状態で定着ニップ部へ挿入されると図4(b)に示すように、定着フィルム13は異物Iの存在により局所的に高負荷がかかり損傷に至る。損傷のメカニズムに関して以下説明する。
加熱定着装置の駆動時において、定着フィルム13はテンションが張られた状態となる。定着ニップ部において、定着フィルム13は加圧ローラ20より加えられる圧力と、それに対して保持部材12ないしは加熱体11より抗力を受ける。これらは釣り合いの関係となるが、定着ニップ上流部における隙間部Wにおいてはバックアップ部材が存在しないことから加圧ローラ側からの圧力を定着フィルム13が受け止める状態となる。更に、異物Iが噛み込んだ状態においては異物の存在により局所的に応力が高くなり、隙間部Wにおいては定着フィルム13が隙間に押し込まれるかたちとなる。この局所変形が、定着フィルム13の許容変形領域を超えると損傷に至り、小さな穴や破れの発生となる。
また、加熱体11に用いているセラミック基板11aのエッジは研磨処理などを施さない限りは比較的鋭利な状態で存在し、応力集中の要因となる。定着ニップ上流部に隙間部Wがあいている場合、定着フィルム13に対して、この加熱体エッジが露わな状態になる。異物Iが定着ニップに噛み込んだ際、先の説明の通り隙間部Wに定着フィルムが押し込まれるが、その押し込みに伴う局所変形が定着フィルム13の損傷に対する許容変形領域であれば、この変形による損傷には至らない。しかし、この場合において、定着フィルム13が加熱体11のエッジ部に押し当たり、回転移動に伴い剪断応力が発生し、応力集中することによって損傷に至る事がある。
つまり、定着ニップの上流部において隙間部Wが形成されている場合、異物Iの挿入に伴う定着フィルム13の局所的な変形に起因して損傷が引き起こされ、穴あきや破れの発生に繋がる。
本実施例を代表する弾性体18の配置特徴を図1に示す。先に説明の通り、嵌合と熱膨張を考慮すると加熱体11と保持部材12の間に隙間は必要であり、隙間部Wがあいていると異物Iの噛み込みの際には定着フィルム13に損傷が引き起こされる。これらの問題を解決するために、加熱体11と保持部材12を嵌合させ、加熱体11を下流側に突き当て配置した状態、すなわち記録材搬送方向に関して、ヒータ(摺動部材)の上流側端面と、この端面に対向する保持部材の面の間に発生する隙間部Wに弾性体18を配置する。
本実施例では弾性体18としてはシリコーンゴムを用い、注入塗布器によって隙間部Wにシリコーンゴムを充填・硬化させた。加熱過程・異常加熱時における熱膨張差の発生時においても弾性変形により応力の発生を緩衝し、隙間部を埋めることにより異物Iが噛み込んだ際に定着フィルム13が押し込み変形することを抑える。これにより、加熱体11および定着フィルム13の損傷を抑制し、シビアな使用環境下において薄肉低強度の定着フィルムであっても安定した印刷品質と信頼性が達成される。
効果を確認する為に、実験による検証を行った。A4プリントスピード19ppm、温調温度180℃、定着フィルム13は前述のように総厚60μmの高熱伝導樹脂フィルムを具備したモノクロレーザービームプリンタを用い、加熱体11および保持部材12に関しては隙間部に弾性体18を充填配置した。充填配置の高さ度合いに関しては図1に示すように、平均して加熱体基板11aの面高さ程度を狙い、通常使用時において定着フィルム13と接触しないようにした。加熱体11はセラミック基板上に発熱体を配置しガラス保護層を設けたセラミックヒータ、保持部材12は液晶ポリマーを母材にガラス繊維、ガラスバルーンを添加した耐熱断熱性部材であり、弾性体18は定着ニップ上流部の隙間部に長手方向全域に充填配置し表面硬化処理を施した。
異物が噛み込んだ場合の定着フィルム損傷に関する抑止効果を確認する為、前述の本実施例を適用した実験機と弾性体を充填配置せず隙間部のある比較例を適用している実験機を用意し、異物を付着させた記録材Pを通紙させることによる比較検証実験を行った。
ここで、比較検証を行う際に使用する異物を付着させた記録材Pについて図5を用いて説明する。この記録材Pは意図的に記録材の先端部付近及び後端部付近に異物としてステイプルを施し、記録材にステイプル針が付いた状態のままのものである。記録材搬送方向に対し、垂直・並行・±45度傾斜と取り付け方を組み合わせて配置した。取り付け配置状況を図6(a)に示す。ステイプル針背側が紙裏面側に位置し、突き出て曲げられた先端が表側から見えている様子を表している。通紙に際してはステイプル針背側が加圧ローラ側になり、定着フィルム側にステイプル針の凸側が当たり応力が高くなるようにするものとした。ステイプル針に関しては図6(b)に示す。これにより、定着ニップへの噛み込みにおいて、ステイプルの姿勢変動の違いを含め様々な状況を評価することができる。ステイプル針は10号サイズ、記録材Pは坪量75gのレターサイズ紙を用いた。
実験方法は、前述のステイプル針を付けた記録材を非印字で10枚通紙した後に、普通紙を用いて高印字率の画像(ハーフトーン画像)を1枚出力する。定着フィルム13に穴があくなど損傷が発生すると高印字率画像において、損傷部位において画像の乱れが確認出来る。画像の乱れが見られるまで同様の手順を繰り返し、画像の乱れが見られた場合には分解し、定着フィルム13の状況を確認する。この一連の手順を定着フィルム13に損傷発生が確認されるまで繰り返すものとした。比較検証実験の結果を表1に記す。
比較例ではステイプル針付きの記録材を20枚通紙した後の高印字率画像出力において黒点状の画像乱れが発生し、定着フィルム13を確認したところ穴があいていた。ステイプルの取り付けに関しては記録材搬送方向に垂直な向きの部位にて損傷が顕著であり、隙間部へ嵌り込みやすい状態であるほど損傷しやすい傾向が見られた。本実施例においてはステイプル針付きの記録材を通算200枚通紙したが、異物噛み込みにおける定着フィルム13の隙間部への押し込みを弾性体18により受け止めることにより、局所変形を抑制する作用によって、穴や破れといった損傷は発生しなかった。従って、本実施例の有効性が実験的に確認できた。
次に、熱膨張差による加熱体11の割れ抑制に対する効果を確認する為、本実施例を適用した実験機に加え、弾性体18を充填配置せず隙間部のある比較例1、加熱体幅と保持部材に設けた溝穴幅がほぼ等しく隙間部の無い比較例2の3種類を用意し、比較検証実験を行った。不意の異常昇温発生時を想定し、非回転状態において外部電源より加熱体11に強制通電・昇温させ、加熱体の損傷・安全装置の動作タイミングを測定している。評価判定基準は、加熱体の損傷に至る前に安全装置(温度ヒューズ)が動作し通電回路を遮断することである。比較検証実験の結果を表2に記す。
本実施例は上記表に記載の通り、比較例1とほぼ同等の結果であり、異常昇温における発熱体割れに関して問題はみられなかった。これは弾性体18が変形することにより発熱体11に加わる応力を緩衝する作用によるものである。一方、隙間部を意図的になくした比較例2は早期に発熱体損傷が発生し、安全装置動作まで至らなかった。昇温に伴う加熱体11の急速な熱膨張に対し、保持部材12が緩衝したことから早期に加熱体基板損傷に至っている。
上記の比較検証実験結果より、本実施例は定着ニップ上流の隙間部に弾性体18を充填配置することにより、急速な昇温過程において熱膨張差が起こる局面でも弾性体18の変形によって応力の発生を抑制する効果があることが見て取れる。従って、本実施例は熱膨張差による加熱体11の割れ抑制に対する効果を持つことが実験的に確認できた。
以上のように、本実施例は異物噛み込みに対して定着フィルム13の損傷を抑制でき、組み立てにおける嵌合および加熱過程での熱膨張差による加熱体11の損傷問題も防ぐ事が出来る。また、本実施例では弾性体18はシリコーンゴムを注入・充填・硬化させることで形成したが、これに限ったものではない。例えば、定着ニップ上流の隙間部に弾性体18を配置するにあたっては、シート状の弾性体を用い、それを加熱体11と保持部材12の間に挟み込む事によって隙間部を弾性体で満たしても良い。この場合、弾性体18は図6(a)のように隙間部を満たし加熱体11の2面で接触・押し当てられ固定される構成でもよいし、図6(b)のように隙間部を満たし加熱体11の3面で接触・押し当てられ固定される構成でもよいし、図6(c)のように隙間部を満たし加熱体11の1面とのみ接触する構成でもよい。これにより、昇温時の熱膨張差による加熱体11の割れを防ぐと共に、定着フィルム13が隙間部へ押し込まれる事により引き起こされる損傷を防ぐことが出来る。また、弾性体18の乾燥・硬化を行う必要がないことから製造時の組み立て効率を向上させることが可能となる。
(実施例2)
本実施例を代表する弾性体18の配置特徴に関して図7を用いて説明する。本実施例は、定着ニップ上流の隙間部に弾性体18を配置するにあたり、隙間部の両端に位置する加熱体11の定着ニップ面側のエッジ部と保持部材12のエッジ部を結んだ面を超えない範囲において弾性体18を配置することを特徴とする。横断面図においては加熱体11のエッジ部および保持部材12のエッジ部はそれぞれのエッジ部E、Eに相当し、図7中に示す通りである。このエッジを結ぶ平面Πを超えない範囲の領域Vにおいて弾性体18を配置する。これにより、弾性体18は通常、定着フィルム13に触らず、異物Iが噛み込んだ場合にのみ触れることになる。異物噛み込み等における定着フィルム13の隙間部への押し込み応力の発生時においては弾性体18の存在により、侵入を抑制し、損傷の発生を防止する。弾性体18が定着フィルム13と常時接触する場合、摺動抵抗増大によって定着フィルムの従動回転が滞るスリップ現象や回転軌道の乱れに起因する画像不良の発生などが弊害として考えられる。本実施例では、通常時は弾性体18と定着フィルム13が触れず、異物噛み込み時にのみ触れることから、前述の弊害を発生することなく、異物噛み込みに対して定着フィルム13の損傷発生を抑制させることが可能である。
本実施例の効果を確認する為に、実験による検証を行った。本実施例に従い弾性体18を配置した実験機と、前述のエッジを結んで形成される面を超える状態で弾性体18を配置した比較事例を2水準作成した。図8にそれぞれの横断面概略図を示す。図8(a)が本実施例であり、これは実施例1と同じである。図8(b)は弾性体18を前記面Πを超える領域まで配置した比較例3であり、弾性体18の最高点が保持部材と同じ高さに達し、通常時においても定着フィルム13と若干接触する。図8(c)は弾性体18を更に大きく前記面を超える領域まで配置した比較例4であり、弾性体18の最高点は保持部材の高さを超え、通常時においても定着フィルム13と確実に強く押し当たる状態である。
弾性体18の配置状況以外は共通の設定にし、定着器のモータ負荷を測定するトルク評価と、実施例1で説明したモノクロレーザービームプリンタを用いて印刷画像を評価する画質評価の2項目に関して比較評価を行った。トルク評価は気温23℃湿度55%の環境下において、非加熱状態で駆動を開始した際に回転軸にかかるトルク値[N・m]を測定した。画質評価は気温23℃湿度55%の環境下において、坪量75gのレターサイズ紙にハーフトーン画像の全面印刷を10枚行うことにより主として画像均一性を評価した。比較評価実験の結果を表3に記す。
トルク値は弾性体18を配置しない比較例では5.0[N・m]以下であり、それを超えると摺動抵抗が高すぎることから実用上は記録材搬送性不良などが起こることがわかっている。従って、トルク値が5.0[N・m]以下であれば問題なく、それ以上であれば弊害発生の可能性が考えられ不可と評価する。画質評価に関しては、問題無ければ○、軽微な問題が確認されれば△、明らかな問題があれば×とした。
トルク値、画質ともに実施例では問題が起こらなかったのに対し、比較例3および比較例4と弾性体を過剰に配置するにつれ、弊害の発生が確認された。弊害の要因としては弾性体18と定着フィルム13が接触することにより、定着フィルム13の摺動抵抗が増大し、回転軌道が不均一にばらつく事が挙げられる。これにより、トルク値は高くなり、画質に関しては不規則な画像乱れが発生した。特に比較例4において顕著な弊害が見られたが、形状が不安定な弾性体18と定着フィルム13が押し当たる事で横縞状の濃度変化が起こり、定着フィルム13が安定して従動しないことから未定着画像を擦るかたちとなり引き起こされる画像不良も見られた。
以上の比較評価実験結果からもわかるように、弾性体18は本提案手法に従って配置することによって、トルク値の増大およびそれに起因する搬送性・画像問題などを起こすことなく、異物噛み込みに対して強い加熱定着装置を提供することが可能となる。
(実施例3)
本実施例を代表する弾性体18の特徴を以下に示す。定着ニップ上流における隙間部に弾性体18を配置するにあたり、前記弾性体は異物噛み込み時において、加圧ローラ20により加圧され、異物・定着フィルムを介し、外力を受ける事となる。ここで、弾性体の弾性係数は、加圧ローラ20の弾性層22の弾性係数以上であることを特徴とする。
異物の噛み込み時において、定着フィルム13が押し込まれることを抑制することが、損傷を防ぐ為に重要である。定着フィルム13が押し込まれる過程において、隙間部に配置された弾性体18によって定着フィルム13の侵入を防ぐわけであるが、その為には加圧力を付与する加圧ローラ20の弾性係数に対して隙間部に配置された弾性体18の弾性係数を高くしておけば良い。定着フィルム13とその上に噛み込んだ異物Iに関して、局所的に弾性体18と加圧ローラ20の押しあいとなるが、弾性係数の低い方が変形し、押し返されることになる。従って、隙間部に配置される弾性体18の弾性係数は、加圧ローラ20の弾性係数以上である必要がある。ここで、加圧ローラ20の弾性係数は加圧ローラ弾性層22の弾性係数とする。
本実施例の効果を確認する為に、実験による検証を行った。実施例1、実施例2にて弾性体18として用いたシリコーンゴムの弾性係数は15MPaであり、加圧ローラ弾性層22の弾性係数は9MPa、保持部材12の弾性係数は15GPaである。本実施例においても提案事例としては、引き続き同じ物を用いた。比較の為に、弾性係数4MPaの加圧ローラ弾性層22よりも弾性係数の低いシリコーンゴムを用いて隙間部を埋めた加熱定着装置を用意し、比較例5とした。これら弾性体18の隙間部への配置に関しては実施例2にて述べた提案手法を満たし、弾性係数以外は同じ条件にそろえた。ステイプル針を付けた記録材を用意し、実施例1で行った比較実験と同じ要領で検証を行った。結果を表4に示す。
本実施例ではステイプル針付きの記録材を200枚通紙しても定着フィルム13に穴や破れなどの損傷は起こらなかった。一方、加圧ローラ弾性層22よりも弾性係数の低いシリコーンゴムを用いた比較例5においては、ステイプル針付きの記録材を30枚通紙した時点で定着フィルム13の一部に小さな穴が見られた。隙間部に弾性体18を配置しているものの、弾性係数が低い為、外力によって変形し、結果として定着フィルム13に損傷が引き起こされたと言える。以上より、本実施例の効果が実験的に示された。
また、この弾性体18は、その弾性作用により加熱体の保持部材への嵌合および加熱過程における熱膨張差から引き起こされる応力を緩和するにあたって弾性係数が高すぎると弊害の発生が予想される。とりわけ、昇温における発熱体基板11aの割れに至らないことが要求されるが、弾性体18の弾性係数を変えることにより実験的に条件を満たす上限値を弾性係数100MPaに設定した。
異なる弾性係数の弾性体3種類を用意し、比較検証実験を行った。弾性係数15MPaのシリコーンゴムを注入した場合、弾性係数100MPaの耐熱ゴムを注入した場合、弾性係数420MPaのPTFEを注入した場合の3通りで比較実験を行った。実験条件としては、不意の異常昇温発生時を想定し、非回転状態において外部電源より加熱体11に強制通電・昇温させ、加熱体の損傷・安全装置の動作タイミングを測定している。評価判定基準は、加熱体の損傷に至る前に安全装置(温度ヒューズ)が動作し通電回路を遮断することである。比較実験の結果を表5に記す。
隙間部に配置する弾性体18の弾性係数が高くなると、異常昇温における加熱体基板11aの損傷に至る時間が短くなる傾向がみられた。弾性係数420MPaのPTFEを弾性体として用いた場合は安全装置動作前に加熱体基板が損傷したことから不適といえる。弾性係数100MPaのゴムを用いた場合は加熱体の損傷に至る前に安全装置が動作しており、その差分時間は縮まっているが許容範囲内と言える。従って、弾性体18の弾性係数に関して上限値は100MPa以下が妥当であることが上記比較実験結果よりいえる。
以上、実施例1から実施例3での説明において、定着フィルム13の基層がポリイミド、保持部材12により嵌合保持される対象が加熱体11の場合を事例として挙げたが、言うまでもなく、先述の実施例の構成に限定されるものではない。定着フィルム13の基層と表層の間にシリコーンゴム等による100μm〜400μm程度の薄層の弾性層がある場合や、基層が金属の場合においても同様の効果が得られる。また、保持部材12により嵌合保持される対象として加熱体(ヒータ)の代わりに、ヒータ部を持たない単なる摺動部材(摺動板)を用い、ニップ部N以外の場所で例えば誘導加熱などにより加熱された定着フィルム13を介して摺動部材と加圧ローラを押し当てニップ部Nを形成するような構成においても本発明は同様の効果が得られる。
10 定着アセンブリ
11 ヒータ
12 保持部材
18 弾性体
20 加圧ローラ

Claims (4)

  1. エンドレスフィルムと、前記エンドレスフィルムの内面に接触する摺動部材と、前記摺動部材を保持する溝部を有する保持部材と、前記エンドレスフィルムを介して前記摺動部材と共に定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有し、前記定着ニップ部で未定着画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ未定着画像を記録材に加熱定着する加熱定着装置において、
    記録材搬送方向に関して、前記摺動部材の上流側端面と、この端面に対向する前記保持部材の面の間の隙間部に弾性体を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
  2. 前記摺動部材がセラミックヒータであることを特徴とする請求項1に記載の加熱定着装置。
  3. 前記弾性体は、前記隙間部を形成する前記摺動部材の前記定着ニップ面側のエッジと前記保持部材のエッジを結んだ面を超えない範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱定着装置。
  4. 前記弾性体の弾性係数は、前記加圧ローラの弾性層の弾性係数以上、且つ100MPa以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加熱定着装置。
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