[実施形態]
<機械的な全体構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザプリンタ1を示す要部側断面図である。図1において、このレーザプリンタ1は、電子写真方式により画像を形成するレーザプリンタとして構成されており、本体ケーシング2内に、用紙3を給紙するためのフィーダ部4、および、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6の一端側端部に設けられる給紙機構部7と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板8と、給紙機構部7に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる第1搬送ローラ9および第2搬送ローラ10と、これら第1搬送ローラ9および第2搬送ローラ10に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ11とを備えている。以下、用紙3の搬送方向上流側または下流側を、単に、上流側または下流側という場合がある。
給紙トレイ6は、用紙3を積層状に収容し得る上面が開放されたボックス形状をなし、本体ケーシング2の底部に対して水平方向に着脱可能とされている。
給紙機構部7は、給紙ローラ12と、その給紙ローラ12に対向する分離パット13とを備えており、分離パット13の裏側には、ばね13aが配置され、そのばね13aの付勢力によって、分離パット13が給紙ローラ12に押圧されている。
用紙押圧板8は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ12に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部を上下方向に移動可能とし、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。
レジストローラ11は、1対のローラから構成されており、用紙3を所定のレジスト後に、転写位置(すなわち、感光ドラム23と転写ローラ25との接触位置)に送るようにしている。
画像形成部5は、スキャナ部17、プロセス部18、および、定着部19などを備えている。
スキャナ部17は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、回転駆動されるポリゴンミラー20、レンズ21a、21b、および、反射鏡21cなどを備えており、レーザ発光部からの発光される画像データに基づくレーザビームを、鎖線で示すように、ポリゴンミラー20、レンズ21a、反射鏡21c、レンズ21bの順に通過あるいは反射させて、後述するプロセス部18の感光ドラム23の表面上に高速走査にて照射させている。
プロセス部18は、スキャナ部17の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるように構成されている。このプロセス部18は、ドラムカートリッジ22内に、感光ドラム23と、現像カートリッジ24と、転写ローラ25と、スコロトロン型帯電器26とを備えている。本実施形態の現像カートリッジ24は、本発明の収容部の一例である。
現像カートリッジ24は、ドラムカートリッジ22に対して着脱自在に装着されるように構成されている。なお、現像カートリッジ24は、ドラムカートリッジ22が本体ケーシング2から離脱または装着されているいずれの時でも、ドラムカートリッジ22に対して装着可能である。
図2は、図1に示すレーザプリンタ1の現像カートリッジ24を示す要部側断面図である。図2に示すように、現像カートリッジ24の筐体27内には、現像剤としてのトナーが充填される充填室28と、現像室29とが区画形成されており、それら2つの室の間の隔壁にトナー供給口30が開口形成されている。
充填室28内には、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。図2および図3に示すように、トナーを撹拌して、そのトナーをトナー供給口30から現像室29に向かって供給するためのアジテータ31と、後述する透過窓32aを清掃するためのワイパー33と、これらアジテータ31およびワイパー33を支持する回転軸34とが、充填室28内に設けられている。本実施形態のアジテータ31は、本発明の攪拌部材の一例である。
トナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などの公知の重合方法によって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球形をなし、流動性が極めて良好である。なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤、およびワックスなどが配合され、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。そのトナーの粒子径は、約6〜10μm程度である。このような略球形のトナーを用いれば、効率よく流動して高画質の画像を形成することができる。
図3は、図1に示すレーザプリンタ1の現像カートリッジ24を示す要部背面断面図である。回転軸34は、図3に示すように、充填室28のほぼ中心において、充填室28の両側壁27aおよび27b間にわたって延び、その一端が充填室28の一方の側壁27aから突出されており、その突出した端部には、この回転軸34を回転駆動させるためのギヤ35が設けられている。
アジテータ31は、図2および図3に示すように、この回転軸34に、その長手方向にわたって設けられており、回転軸34から径方向外方に向かって延びる樹脂からなる支持部材36と、その支持部材36の遊端部に設けられるポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムからなる摺接部材37とを備えている。
支持部材36には、攪拌時におけるトナーの抵抗を低減するための開口部38が支持部材36における長手方向において、所定の間隔ごとに複数形成されている。
ワイパー33は、回転軸34の長手方向両側部において、アジテータ31に対して回転軸34の周りに180°の間隔を隔てて設けられている。ワイパー33は、回転軸34の長手方向にわたって延びる略L字状の樹脂からなる支持部材39と、その支持部材39の両側端部に設けられるウレタンゴムなどからなるクリーナ部材40とを備えている。
図4に示すメインモータ97からの動力がギヤ35に伝達される。回転軸34が回転駆動されると、アジテータ31は、充填室28内で回転して、その摺接部材37が、略円筒形状に形成される充填室28の底面に撓んだ状態で摺接される。この摺接によって、トナーが押し上げられて、その押し上げられたトナーがトナー供給口30から現像室29に放出される。
このトナーの放出と同時に、ワイパー33が、充填室28内で回転して、各クリーナ部材40が後述する透過窓32a、32bに接触され、それら透過窓32a、32bに付着するトナーが拭き取られる。
1つの回転軸34にアジテータ31およびワイパー33を支持させると、後述する透過窓32a、32bは、アジテータ31の回転速度にかかわらず、常に、アジテータ31の回転周期ごとに、ワイパー33によって清掃される。そのため、後述するトナーセンサ81(図4参照)によるトナーの残量状態の検知精度を向上させることができる。
現像室29内には、図2に示すように、現像ローラ41、層厚規制ブレード42および供給ローラ43が設けられている。
供給ローラ43は、トナー供給口30の下方において、矢印方向(時計方向)に回転可能に配設されている。この供給ローラ43は、金属製のローラ軸に、導電性のスポンジ材料からなるローラが被覆されて構成されている。
現像ローラ41は、供給ローラ43の側方において、矢印方向(時計方向)に回転可能に配設されている。この現像ローラ43は、金属製のローラ軸に、導電性の弾性材料からなるローラが被覆されて構成されている。より具体的には、現像ローラ41の被覆されるローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラの表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されて構成されている。また、現像ローラ41には、感光ドラム23に対して現像バイアスが印加されている。これら供給ローラ34と現像ローラ41とは、それぞれがある程度圧縮されるような状態で互いに当接している。なお、メインモータ97(図4参照)からの動力が現像ローラ41に伝達されるように構成されている。
現像ローラ41の近傍には、層厚規制ブレード42が配設されている。この層厚規制ブレード42は、現像ローラ41の上方において、その現像ローラ41の軸方向に沿って現像ローラ41に対向した状態で配置されている。この層厚規制ブレード42は、板ばね部材44と、板ばね部材44の先端部に設けられ、現像ローラ41と接触される絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部45とを備えている。そして、この層厚規制ブレード42では、板ばね部材44の弾性力によって、押圧部45が現像ローラ41上に圧接している。
充填室28内のトナーは、アジテータ31の矢印方向(反時計方向)への回転により、攪拌されて、トナー供給口30から現像室29に搬送される。
トナー供給口30から現像室29に搬送されるトナーは、供給ローラ43の回転により、現像ローラ41に供給される。トナーが現像ローラ41に供給された時、トナーは供給ローラ43と現像ローラ41との間で正に摩擦帯電され、次に、現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像ローラ41の回転に伴って、層厚規制ブレード42の押圧部45と現像ローラ41との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ41上に担持される。
感光ドラム23は、図1に示すように、現像ローラ41の側方位置において、その現像ローラ41と対向するような状態で矢印方向(反時計方向)に回転可能に配設されている。この感光ドラム23のドラム本体が接地されるとともに、その表面部分がポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。
スコロトロン型帯電器26は、感光ドラム23の上方に、感光ドラム23に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。このスコロトロン型帯電器26は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム23の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
感光ドラム23の表面は、その感光ドラム23の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器26により一様に正帯電された後、スキャナ部17からのレーザビームの高速走査により露光され、画像データに基づく静電潜像が形成される。
現像ローラ41の回転により、現像ローラ41上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光ドラム23に対向して接触する。トナーが感光ドラム23に接触する時に、正帯電されているトナーが、感光ドラム23の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム23の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。トナーが選択的に担持されることによって静電線像が可視像化され、これによって反転現像が達成される。
転写ローラ25は、感光ドラム23の下方において、この感光ドラム23に対向するように配置され、ドラムカートリッジ22に回転可能に支持されている。この転写ローラ25は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されて構成されている。転写時には、感光ドラム23に対して転写バイアスが転写ローラ25に印加されるように構成されている。そのため、感光ドラム23の表面上に担持されたトナー像は、用紙3が感光ドラム23と転写ローラ25との間を通る間に用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、搬送ベルト46を介して、定着部19に搬送される。
定着部19は、プロセス部18の側方下流側に配設され、加熱ローラ47、加熱ローラ47を押圧する押圧ローラ48、および、これら加熱ローラ47および押圧ローラ48の下流側に設けられる搬送ローラ49を備えている。
加熱ローラ47は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、プロセス部18において用紙3上に転写されたトナー像を、用紙3が加熱ローラ47と押圧ローラ48との間を通過する間に熱定着させている。その熱定着の後、用紙3は、定着部19の搬送ローラ49によって、本体ケーシング2に設けられる搬送ローラ50に搬送される。搬送ローラ50に搬送された用紙3は、排紙ローラ51に搬送された後、排紙ローラ51によって排紙トレイ52上に排紙される。
このレーザプリンタ1では、転写ローラ25によって用紙3に転写された後に感光ドラム23の表面上に残存する残存トナーを現像ローラ41によって回収する、いわゆるクリーナレス現像方式によって残存トナーを回収している。
このレーザプリンタ1は、用紙3の両面に画像を形成するための再搬送ユニット61を備えている。この再搬送ユニット61は、反転機構部62と、再搬送トレイ63とを含む公知の構成を有している。
反転機構部62は、本体ケーシング2の後壁に外付けされ、略断面矩形状のケーシング64に、反転ローラ66および再搬送ローラ67を備え、上端部から反転ガイドプレート68を上方に向かって突出させている。
搬送ローラ49の下流側には、フラッパ65が設けられている。フラッパ65は、一方の面に画像が形成され搬送ローラ49によって搬送されてきた用紙3を、搬送ローラ50に向かう方向(実線の状態)と、反転ローラ66に向かう方向(仮想線の状態)とに選択的に切り換える。このフラッパ65は、本体ケーシング2の後部において回動可能に支持されており、搬送ローラ49の下流側近傍に配置され、図示しないソレノイドの励磁または非励磁により、一方の面に画像が形成され搬送ローラ49によって搬送されてきた用紙3を、搬送ローラ50に向かう方向(実線の状態)と、反転ローラ66に向かう方向(仮想線の状態)とに選択的に切り換えることができるように揺動可能に設けられている。
再搬送トレイ63は、用紙3が供給される用紙供給部69、トレイ本体70および斜行ローラ71を備えている。
トレイ本体70の上流側端部が、用紙案内部材72に連結されるとともに、その下流側端部が、第2搬送ローラ10の上流側の用紙搬送経路に接続されている再搬送経路73の上流側端部に連結されている。
また、トレイ本体70の用紙3の搬送方向途中には、用紙3を、図示しない基準板に当接させながら搬送するための斜行ローラ71が、用紙3の搬送方向において所定間隔を隔てて2つ配置されている。
各斜行ローラ71は、その軸線が用紙3の搬送方向と略直交する方向に配置される斜行駆動ローラ74と、その斜行駆動ローラ74と用紙3を挟んで対向し、その軸線が、用紙3の搬送方向と略直交する方向から、用紙3の送り方向が基準面に向かう方向に傾斜する方向に配置される斜行従動ローラ75とを備えている。
用紙供給部69からトレイ本体70に送り出された用紙3は、斜行ローラ71によって、その用紙3の幅方向一端縁が基準板に当接されながら、再搬送経路73を介して、再び、表裏が反転された状態で、転写位置に向けて搬送される。そして、転写位置に搬送された用紙3は、その裏面で感光ドラム23と対向接触し、トナー像が転写された後、定着部19において定着され、両面に画像が形成された状態で、排紙トレイ52上に排紙される。
このレーザプリンタ1では、本体ケーシング2の上部カバー53が開閉自在に構成されている。この上部カバー53の開放により、現像カートリッジ24などを着脱できるように構成されている。上部カバー53が開閉されると、カバーセンサ54が上部カバー53の開閉を検知する。カバーセンサ54としては、たとえば、インターロックスイッチが用いられている。本実施形態の上部カバー53は、本発明の開閉カバーの一例である。本実施形態のカバーセンサ54は、本発明の閉検知部の一例である。
このレーザプリンタ1では、現像カートリッジ24の充填室28内に充填されているトナーの残量状態を検知するための残量検知部としてのトナーセンサ81が設けられている。このトナーセンサ81は、図3に示すように、発光素子を備えた発光部82と、受光素子を備えた受光部83とを備える光センサから構成されている。
すなわち、図3において、充填室28の両側壁27a、27bには、充填室28の中心から下方において、トナーセンサ81の光を透過させるための透過窓32a、32bが、それぞれ互いに対向するように設けられている。
発光部82および受光部83は、これら透過窓32a、32bにそれぞれ対向する本体ケーシング2のフレーム84a、84bに取り付けられている。
より具体的には、一方の透過窓32aに対向するフレーム84aには、レンズ85aが埋設されている。そのレンズ85aの外方対向位置には、支持基板86aがホルダ部材87aを介して支持されている。発光部82は、その支持基板86a上に、発光素子がレンズ85aに向かうようにして設けられている。
また、他方の透過窓32bに対向するフレーム84bにも、レンズ85bが埋設されている。そのレンズ85bの外方対向位置には、支持基板86bがホルダ部材87bを介して支持されている。受光部83は、その支持基板86b上に、受光素子がレンズ85bに向かうようにして設けられている。
図3には、ドラムカートリッジ22のケース部分88が、現像カートリッジ24の筐体27の下側を囲むように略凹状に現れているが、透過窓32a、32bにそれぞれ対向するケース部分88の両側壁にも、開口窓89a、89bが形成されている。
発光部82、レンズ85a、開口窓89aおよび透過窓32aと、受光部83、レンズ85b、開口窓89bおよび透過窓32bとは、充填室28を挟んで一直線状に配置されている。この一直線状の配置によって、発光部82から発光される指向性の強い光は、レンズ85a、開口窓89aおよび透過窓32aを介して、充填室28内を通過し、透過窓32b、開口窓89bおよびレンズ85bを介して、受光部83において受光される。
受光部83においては、受光された光量に応じて、受光素子から出力される電圧が変化する。つまり、受光量が無い場合には、出力電圧が高く(たとえば、5V)、また、受光量が多い場合には、出力電圧が低く(たとえば、0V)変化するので、この出力電圧の変化を検知することで、充填室28内を通過する光が、残存するトナーによって遮られるか否かを検知し、それによって、トナーの残量状態を検知することができる。
すなわち、このトナーセンサ81によれば、トナーが充填室28内に十分に残存している後述する「フル状態」である場合には、発光部82と受光部83との間を結ぶ光が、トナーによって遮光される。一方、トナーが充填室28内に残存していない後述する「エンプティ状態」である場合には、発光部82と受光部83との間を結ぶ光が、トナーによって遮光されずに透過される。トナーの残量状態の判別は、所定期間における遮光された期間の割合である遮光割合によって判別される。
<制御系の構成>
図4は、図1に示すレーザプリンタ1のトナーの残量状態を検知、判別または表示するための制御系のブロック図である。
図4において、この制御系では、制御部としてのCPU91に、駆動回路92、トナーセンサ81、表示パネル93が接続されている。本実施形態の表示パネル93は、本発明の報知部の一例である。
CPU91は、ROM94、RAM95およびNVRAM96を備えている。CPU91は、ROM94に格納されている各種プログラムを実行し、RAM95又はNVRAM96に各数値を記憶させている。ROM94は、このレーザプリンタ1において画像形成動作を行なうための各種制御プログラムを格納している。RAM95は、各種制御プログラムにおいて設定される数値などを一時的に記憶する。また、NVRAM96は、トナーセンサ81によって検知されCPU91によって判別されたトナーの残量状態などを記憶する。なお、NVRAM96は、バックアップ電源によって、レーザプリンタ1の電源が切られても、数値の記憶が継続できるように構成されている。
RAM95は、図4に示すように、期間メモリ領域AR1、および、期間設定メモリ領域AR2を備える。期間メモリ領域AR1は、短期間メモリ領域AR11、および、長期間メモリ領域AR12を有する。短期間メモリ領域AR11は、トナーの残量状態を検知する残量検知期間として、たとえば、トナーを攪拌するアジテータ31が1回転する回転期間(たとえば1.7秒間)を記憶する。長期間メモリ領域AR12は、残量検知期間として、たとえば、トナーを攪拌するアジテータ31が2回転する回転期間(たとえば3.4秒間)を記憶する。期間設定メモリ領域AR2は、トナーの残量状態を検知する期間が、短期間又は長期間に設定されていることを示す値を記憶する。
NVRAM96は、図4に示すように、残量メモリ領域BR1を備える。残量メモリ領域BR1は、トナーの残量状態の判別結果として、「フル状態」、「ロウ状態」、又は、「エンプティ状態」のいずれかを記憶する。
ROM94は、図4に示すように、プログラムメモリ領域として、取得領域PR1、判別領域PR2、設定領域PR3、および、検知領域PR4を備える。取得領域PR1は、受光データ取得プログラムを記憶する。判別領域PR2は、残量判別プログラムを記憶する。設定領域PR3は、長期間設定プログラムおよび短期間設定プログラムを記憶する。検知領域PR4は、残量検知プログラムを記憶する。
受光データ取得プログラムは、設定されている残量検知期間におけるトナーセンサ81の受光部83から出力される出力信号のデータを取得するためのプログラムである。期間設定メモリ領域AR2に記憶されている値が参照されて、トナーの残量検知期間が短期間に設定されている場合、短期間メモリ領域AR11に記憶された期間が使用され、トナーの残量検知期間が長期間に設定されている場合、長期間メモリ領域AR11に記憶された期間が使用される。
残量判別プログラムは、受光データ取得プログラムにより取得された受光部83から出力される出力信号のデータからトナーの残量状態が「フル状態」、「ロウ状態」、又は、「エンプティ状態」のいずれかであるかを判別するためのプログラムである。出力信号のデータから遮光割合を求め、その遮光割合が第1の所定量以上である場合、「フル状態」であると判別される。遮光割合が第2の所定量以下である場合、「エンプティ状態」であると判別される。遮光割合が「フル状態」より少なく「エンプティ状態」より多い場合、「ロウ状態」であると判別される。判別結果は、残量メモリ領域BR1に記憶される。
短期間設定プログラムは、トナーの残量検知期間を短期間に設定するためのプログラムである。短期間設定プログラムが実行されると、短期間メモリ領域AR11に記憶された期間で残量検知が行われる。長期間設定プログラムは、トナーの残量検知期間を長期間に設定するためのプログラムである。長期間設定プログラムが実行されると、長期間メモリ領域AR12に記憶された期間で残量検知が行われる。
残量検知プログラムは、トナーの残量状態を検知するためのプログラムである。残量検知プログラムが実行されると、受光データ取得プログラム、および、残量判別プログラムが実行されて、適宜短期間設定プログラム又は長期間設定プログラムが実行される。
駆動回路92には、メインモータ97が接続されている。メインモータ97は、このレーザプリンタ1における、たとえば、給紙ローラ12、感光ドラム23、現像ローラ41、および加熱ローラ47などの駆動部材と接続されている。CPU91の制御によって、駆動回路92を介して、メインモータ97が駆動され、これによって各駆動部材が駆動される。
この駆動回路92には、図示しないクラッチ機構などが接続されている。駆動回路92は、CPU91の制御によって、画像形成時において駆動部材を適切に駆動する他、後述するウォームアップ時において、現像カートリッジ24の駆動部材、つまり、回転軸34に設けられるアジテータ31およびワイパー33と、現像ローラ41とを、画像形成を行なうことなく回転駆動するように構成されている。
表示パネル93は、各種の設定を表示するためのLEDなどを備えており、たとえば、後述するように、トナーの残量状態として、「フル状態」、「ロウ状態」または「エンプティ状態」を選択的に表示する。
このレーザプリンタ1の制御系において、CPU91は、受光部83から出力される電圧の変化を出力信号として認識して、設定されている残量検知期間におけるこの出力信号の受光量からトナー残量状態を検知するように構成されている。
図5は、図1に示すレーザプリンタ1のトナーセンサ81により検知されるトナーの残量状態の検知状態を説明するための説明図である。より具体的には、たとえば、図5に示すように、発光部83から発光された光が、充填室28内において遮られずに、受光部82により受光された場合には、受光部82から出力される電圧が低くなる。CPU91は、この低い電圧を、「LOW」レベル(0V)の出力信号として認識する。一方、発光部82から発光された光が、充填室28内において遮られた場合には、受光部83から出力される電圧が高くなる。CPU91は、この高い電圧を、「HIGH」レベル(5V)の出力信号として認識する。
また、発光部82から発光された光は、アジテータ31の回転によって周期的に遮られるので、トナーがない状態では、アジテータ31の回転に同期して、「HIGH」レベルと「LOW」レベルとの出力信号が、図5(c)に示すように、周期的に交互に連続するようになる。一方、トナーが十分にある状態では、発光部82から発光された光は、トナーによって遮光される期間が多くなるので、図5(a)に示すように、「HIGH」レベルの出力信号が出力される期間が長くなる。
画像形成動作が進むにつれて、トナーの残量が少なくなっていくと、アジテータ31の回転によって、充填室28内に残存するトナーが押し上げられた時にのみ、発光部82から発光された光が遮られるので、「HIGH」レベルと「LOW」レベルとの出力信号が、トナーの残量に応じた遮光割合において周期的に交互に連続するようになる。この時、押し上げられたトナーの残量が多い場合には、より長い時間、光が遮られて、図5(b)に示すように、「LOW」レベルに対する「HIGH」レベルの割合が大きい。しかし、さらに画像形成動作が進み、トナーの残量がほとんどなくなると、光が遮られる時間がほとんどなくなり、図5(c)に示すように、「LOW」レベルに対する「HIGH」レベルの割合が非常に小さくなる。
そのため、このCPU91は、発光部83から発光された光が、透過された場合の「LOW」レベルの電圧(0V)と、遮光された場合の「HIGH」レベルの電圧(5V)との間の中間電圧(たとえば、3V)を基準として、受光部83の出力電圧が、設定されている残量検知期間に、その基準電圧を上回った期間Tを計測する。この計測された期間Tに従って、CPU91は、トナーの残量状態を、残量のレベルに応じて3段階で判別することによって、残量状態の判別を簡易に実行している。
より具体的には、このCPU91は、たとえば、設定されている残量検知期間(3.4秒間)に、受光部83の出力電圧の遮光割合をモニタして、基準電圧(3V)を上回った期間Tが98%以上の場合には、トナーの残量が十分にある状態である「フル状態」と判別する(図5(a)に示す状態)。CPU91は、基準電圧(3V)を上回った期間Tが71%以上98%未満の場合には、トナーの残量が減少している状態である「ロウ状態」と判別し(図5(b)に示す状態)、さらに、基準電圧(3V)を上回った期間Tが70%以下の場合には、トナーの残量があまりない状態である「エンプティ状態」と判別する(図5(c)に示す状態)。
なお、このレーザプリンタ1では、「エンプティ状態」と判別された場合には、CPU91は、メインモータ97の駆動を停止するようにしている。そして表示パネル93にエラーの表示が行われる。
このようなトナーの残量状態の検知方法によれば、CPU91が、発光部82から発光された光が受光部83から出力される出力信号の変化割合受光部83、トナーの残量状態を精確に検知することができる。
CPU91は、トナーの残量が多い方から順に、「フル状態」、「ロウ状態」または「エンプティ状態」のいずれかを判別し、判別されたいずれかの状態を表示パネル93に選択的に表示させるので、トナーの残量を各状態に応じて、的確に表示させることができる。
ところが、このレーザプリンタ1では、長期間(たとえば、1週間程度)使用していない場合には、電源投入後、画像形成動作前に、アジテータ31および現像ローラ41を駆動する印字準備動作時に、たとえば、本来、「ロウ状態」と表示されるべきところが、「エンプティ状態」と表示されたり、あるいは、「フル状態」と表示されるべきところが、「ロウ状態」と表示される。
すなわち、レーザプリンタ1を長期間放置すると、充填室28内のトナーが沈み込んでしまい、嵩が低くなり、印字準備動作時には、その嵩が定常状態程度の嵩に戻らずに、その結果、所定時間あたりに、発光部82から発光される発光量に対して受光部83で受光される受光量が、通常の定常状態に比べてより多くなる場合がある。
とりわけ、このレーザプリンタ1では、略球形のトナーが用いられていることから、トナーが充填室28内に沈み込みやすく、また、トナーセンサ81が光センサからなるので、そのような沈み込みに起因して、所定時間あたりの受光部83での受光量が、定常状態における受光量よりも多くなることがある。その結果、定常状態において本来検知されるべき検知結果よりも少ない残量状態の検知結果となる場合が生じて、トナーの残量状態を精確に判別できない場合がある。
<制御動作>
次に、レーザプリンタ1で実行される制御について説明する。CPU91は、電源投入時に、ROM94に記憶されたプログラムに基づいて図6に示すような処理を実行する。図6は、図1に示すレーザプリンタ1のメイン動作を示すフローチャートである。図7は、残量検知プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
(電源投入時の制御動作)
レーザプリンタ1のメイン動作について図6に示すフローチャートを用いて説明する。前提条件として、トナーの残量状態が「フル状態」である新品の現像カートリッジ24が装着されている状態でレーザプリンタ1の電源が投入されたとする。
レーザプリンタ1の電源が投入されると、S101では、トナーの残量状態を検知するための回転期間が短期間に設定される。具体的には、短期間設定プログラムが実行され、期間設定メモリ領域AR2にトナーの残量検知期間が短期間に設定されていることを示す値が記憶され、短期間メモリ領域AR11に記憶された期間を使用して残量検知が行われる。
S102では、残量検知プログラムが実行され、トナーの残量状態が検知される。残量検知プログラムが実行されると、図7に示すような処理が実行される。S201では、トナーの残量検知期間が、長期間に設定されているか否かが判別される。長期間に設定されているか否かは、期間設定メモリ領域AR2にトナーの残量検知期間が長期間に設定されていることを示す値が記憶されているか否かにより判別される。電源が投入された時にS101でトナーの残量検知期間が、短期間に設定されているため、長期間に設定されていないと判別され(S201:No)、処理はS202に進む。
S202では、現像カートリッジ24が交換されてから所定枚数(たとえば2700枚)以上印字されたか否かが判別される。所定枚数以上印字されたか否かは、たとえば、現像カートリッジ24が交換されてから印字した枚数をRAM95に記憶させ、ROM94に予め記憶されている所定枚数と比較することにより判別される。前提条件で新品の現像カートリッジ24が装着されたため、所定枚数以上印字されていないと判別され(S202:No)、処理はS203に進む。
S203では、レーザプリンタ1が印字中であるか否かが判別される。印字中であるか否かは、印字中でないと判別され(S203:No)、処理はS204に進む。S204では、受光データ取得プログラムが実行され、短期間でトナーの残量状態が検知される。短期間メモリ領域AR11に記憶された期間だけ、トナーの残量状態が検知される。残量状態を検知している期間は、アジテータ31を回転させるためにメインモータ97を駆動する。短期間でトナーの残量状態を検知する場合、たとえば、アジテータ31が1回転する1.7秒間だけトナーの残量状態を検知する。
S205では、残量判別プログラムが実行され、トナーの残量状態が、「フル状態」であるか否かが判別される。新品の現像カートリッジ24が装着されているため、「フル状態」であると判別され(S205:Yes)、残量検知プログラムが終了する。
残量検知プログラムが終了すると、処理は図6に示す本フローチャートにおけるS103に進む。
S103では、レーザプリンタ1が印字準備動作中であるか否かが判別される。印字準備動作中であるか否かは、たとえば、印字開始指令が受け付けられたか否かにより判別される。印字準備動作中であると判別された場合(S103:Yes)、S102の残量検知プログラムによってトナーの残量状態が検知される。印字準備動作中でないと判別された場合(S103:No)、処理はS104に進む。本実施形態のCPU91、および、S103の処理は、本発明の受付部の一例である。
S104では、印字中であるか否かが判別される。印字準備動作が完了すると、印字が開始される。印字中であるか否かは、たとえば、感光ドラム23にレーザ光を照射して露光が開始されたか否かにより判別される。印字中であると判別された場合(S104:Yes)、S102の残量検知プログラムによってトナーの残量状態が検知される。印字中でないと判別された場合(S104:No)、処理はS105に進む。本実施形態のCPU91、および、S104の処理は、本発明の印刷中判別部の一例である。
S105では、上部カバー53の閉動作が検知されたか否かが判別される。上部カバー53の閉動作が検知されたか否かは、たとえば、カバーセンサ54の出力信号により判別される。具体的には、S105の判別処理は、上部カバー53が開いた状態においてカバーセンサ54から出力される信号から上部カバー53が閉められた状態においてカバーセンサ54から出力される信号に変化したか否かにより判別される。上部カバー53の閉動作が検知されたと判別された場合(S105:Yes)、S101の処理が実行される。上部カバー53の閉動作が検知されなかったと判別された場合(S105:No)、処理はS103の処理に戻り、S103からS105の処理が繰り返される。S103、S104、および、S105の処理がNoで繰り返されている間、レーザプリンタ1は、印字開始指令を受け付ける待機状態となる。
(印字準備動作の実行)
次に印字開始指令が受け付けられて印字準備動作が開始される動作について説明する。印字開始指令を受け付ける待機状態である時に、印字開始指令がレーザプリンタ1に入力されると、印字準備動作が開始される。印字準備動作が開始されると、印字準備動作中であると判別され(S103:Yes)、S102の残量検知プログラムによってトナーの残量状態が検知される。
残量検知プログラムが実行されると、図7に示すような処理が実行される。トナーの残量状態が「フル状態」である新品の現像カートリッジ24が装着されているため、S201で長期間に設定されていないと判別される(S201:No)。S202で所定枚数以上印字されていないと判別される(S202:No)。S203で印字中でないと判別される(S203:No)。
S204では、受光データ取得プログラムが実行され、短期間でトナーの残量状態が検知される。S205で「フル状態」であると判別される(S205:Yes)。S206でトナーの残量検知期間が短期間に設定されて、残量検知プログラムの処理が終了する。
(印字動作の実行)
次に印字準備動作が終了して印字動作が開始される動作を説明する。印字準備動作が終了すると、印字動作が開始され、印字中であると判別されて(S104:Yes)、S102で残量検知プログラムが実行される。
トナーの残量検知期間が短期間に設定されているため、S201で長期間に設定されていないと判別される(S201:No)。S202で所定枚数以上印字されていないと判別される(S202:No)。
S203で印字中であると判別されると(S203:Yes)、処理はS304に進む。S304では、トナーの残量検知期間が長期間に設定される。S301では、長期間でトナーの残量状態が検知される。S302では、残量判別プログラムが実行され、トナーの残量状態が、「フル状態」であるか否かが判別される。「フル状態」であると判別された場合(S302:Yes)、処理はS206に進む。S206では、短期間設定プログラムが実行され、トナーの残量状態が検知される期間が短期間に設定されて、残量検知プログラムが終了する。残量検知プログラムが終了すると、レーザプリンタ1は印字開始指令を受け付ける待機状態となる。本実施形態のCPU91、S101とS206との処理、短期間設定プログラム、および、短期間メモリ領域AR11は、本発明の短期間設定部の一例である。
(「ロウ状態」の動作)
印字動作が繰り返されると、現像カートリッジ24の中にあるトナーの残量状態が少なくなる。次に、トナーの残量状態が少なくなり、トナーの残量状態が「ロウ状態」になった時の動作を説明する。
印字準備動作が終了すると、印字動作が開始され、S104で印字中であると判別されて(S104:Yes)、S102の残量検知プログラムが実行される。
トナーの残量検知期間が短期間に設定されているため、S201で長期間に設定されていないと判別される(S201:No)。S202で所定枚数以上印字されていないと判別される(S202:No)。S203で印字中であると判別される(S203:Yes)。
S304では、トナーの残量検知期間が長期間に設定される。具体的には、長期間設定プログラムが実行され、トナーの残量検知期間が長期間メモリ領域AR12に記憶された期間に設定されて、処理はS301に進む。本実施形態のCPU91、S304の処理、長期間設定プログラム、および、長期間メモリ領域AR12は、本発明の長期間設定部の一例である。
S301では、長期間でトナーの残量状態が検知される。長期間でトナーの残量状態が検知されても、トナーの残量状態が「ロウ状態」になっているので、S302では、「フル状態」でないと判別され(S302:No)、処理はS303に進む。
S303では、トナーの残量状態が「エンプティ状態」であるか否かが判別される。トナーの残量状態が「ロウ状態」になっているので、S303では、トナーの残量状態が「エンプティ状態」でないと判別され(S303:No)、残量検知プログラムが終了する。
(「エンプティ状態」の動作)
次に、印字中に、トナーの残量状態が「ロウ状態」から「エンプティ状態」になった時の動作について説明をする。印字準備動作が終了すると、印字動作が開始され、S104で印字中であると判別されて(S104:Yes)、S102で残量検知プログラムが実行される。
トナーの残量状態が「ロウ状態」になった時に、トナーの残量検知期間が長期間に設定されたので、S201で長期間に設定されていると判別される(S201:Yes)。S301で、長期間でトナーの残量状態が検知される。
トナーの残量状態が「ロウ状態」から「エンプティ状態」になったので、S302で「フル状態」でないと判別される(S302:No)。S303では、「エンプティ状態」であると判別され(S303:Yes)、処理はS305に進む。
S305では、表示パネル93に残量エラーが表示される。トナーの残量状態が「エンプティ状態」であるので、印字が中断される。残量エラーが表示されると、新しい現像カートリッジ24に交換することが使用者に報知される。
(新品カートリッジ交換時の動作)
トナーの残量状態が「エンプティ状態」になったので新品の現像カートリッジ24に交換した時の動作を説明する。印字が中断されたので、使用者は上部カバー53を開けて現像カートリッジ24を新品の現像カートリッジ24に交換する。新品の現像カートリッジ24が装着されて、上部カバー53が閉められた時、S105で上部カバー53の閉動作が検知されたと判別され(S105:Yes)、処理はS101が実行される。
S101でトナーの残量検知期間が短期間に設定され、S102で残量検知プログラムが実行される。S102の残量状態検知では、短期間でトナーの残量状態が検知され(S204)、「フル状態」であると判別され(S205:Yes)、残量検知プログラムが終了する。
現像カートリッジ24の交換で印字が中断されていたので、印字中であると判別されて(S104:Yes)、S102の残量検知プログラムが実行される。印字中は、S203で印字中であると判別され(S203:Yes)、S304で長期間に設定され、長期間でトナーの残量状態が検知され(S301)、「フル状態」であると判別され(S302:Yes)、トナーの残量検知期間が短期間に設定される(S206)。
上部カバー53が閉められた時に、S101の処理が実行されるのは、以上のように新品の現像カートリッジ24が交換された可能性があるからである。
(印字が行われない状態が長い時間続いた場合の動作)
次に、印字開始指令を受け付ける待機状態になり、印字が行われない状態が長い時間続いた場合について説明する。印字が行われない状態が長い時間続くと、トナーの残量状態が「フル状態」であるのに、「ロウ状態」であると誤って判別されてしまう場合がある。前提条件として、トナーの残量状態は「フル状態」であるが、限りなく「ロウ状態」に近いものとする。
印字開始指令が受け付けられると、S103で印字準備動作中であると判別され(S103:Yes)、S102の残量検知プログラムが実行される。トナーの残量状態が限りなく「ロウ状態」に近いが、「フル状態」である現像カートリッジ24が装着されているため、前回の残量検知で短期間に設定され、S201で長期間に設定されていないと判別される(S201:No)。
次にS202で所定枚数以上印字されていないと判別される(S202:No)。次にS203で印字中でないと判別される(S203:No)。S204では、短期間で残量状態が検知される。印字が行われない状態が長い時間続いたため、トナーが沈み込んでしまい、残量検知時に発光部82からの光を受光部83が多く受光してしまう。トナーの沈み込みに起因して、多くの光が充填室28内を通過するため、S205では、「フル状態」ではないと判別される。S304では、トナーの残量検知期間が長期間に設定される。
S301では、S204の残量検知に連続して長期間での残量検知が実行される。S204とS301との残量状態の検知が連続して行われる。長期間で残量状態が検知されるため、トナーが攪拌され、トナーが沈み込んだ状態が解消される。したがって、S301の残量検知では、トナーの残量状態が「フル状態」であると検知され、S302で「フル状態」であると判別される(S302:Yes)。
S206でトナーの残量検知期間が短期間に設定されて、S102の残量検知プログラムが終了する。トナーの残量状態が「フル状態」であるが、限りなく「ロウ状態」に近い場合に、長い時間トナーの攪拌が行われないと、トナーの残量状態が「フル状態」ではないと判別されてしまう。しかし、短期間での残量状態検知に連続してトナーの残量状態が長期間で検知されるため、トナーの残量状態が「フル状態」であると精確に判別できる。
(所定枚数以上の印字時の動作)
現像カートリッジ24が新品に交換されてから所定枚数以上印字された場合について説明する。低い印字率で印字されるとトナーの消費が抑えられ、印字品質を保証している枚数を超えても、トナーの残量状態が「フル状態」である場合がある。トナーの残量状態が「フル状態」であっても、現像カートリッジ24が新品に交換されてから所定枚数以上印字されるとトナーが劣化し、精確なトナーの残量検知ができなくなる可能性がある。そのため、現像カートリッジ24のトナーの残量状態を精確に検知するために、残量検知の期間を長期間に設定する。S202では、現像カートリッジ24が交換されてから所定枚数(たとえば2700枚)以上印字されたか否かが判別される。所定枚数以上印字されたと判別された場合(S202:Yes)、処理はS304に進む。
本実施形態のS102、S201、S204、S205、S206、S301、S302、S303、および、S304の処理、トナーセンサ81、CPU91、受光データ取得プログラム、残量判別プログラム、長期間設定プログラム、短期間設定プログラム、残量検知プログラム、短期間メモリ領域AR11、および、長期間メモリ領域AR12は、本発明の残量検知部の一例である。
本実施形態のCPU91、S201、S203、S204、S205、S206、S301、S302、および、S304の処理は、本発明の制御部の一例である。
本実施形態のCPU91、S205、S302、S303、および、残量判別プログラムは、本発明の残量判別部の一例である。
<効果>
以上より、残量検知の期間が長期間より短い短期間に設定されると、残量検知にかかる期間が短くなるため、トナーを攪拌する期間が短くなる。したがって、トナー残量検知の精確さを維持しながら、トナーの劣化を抑制できる。
画像形成装置の電源が投入された時から、トナーの残量状態が第1の所定量より少ないと判別されるまでの期間、トナーの劣化を抑制できる。
トナーの残量状態が「フル状態」である間、残量検知期間が短期間に設定されて残量状態が検知される。したがって、トナーの残量状態が「フル状態」である間、トナーの劣化を抑制できる。
長期間に設定される期間、アジテータ31が2回転以上回転して残量状態が検知されるため、精確な残量検知ができる。
短期間に設定される期間、アジテータ31が1回転して残量状態が検知されるため、長期間の攪拌と比較して攪拌回数が1回転以上減る。したがって、短期間で残量検知が行われる毎に、攪拌回数を1回転以上減らすことができ、トナーの劣化を抑制することができる。
画像形成開始指令が受け付けられる時に、トナーが長期間より短い短期間だけ攪拌されて残量状態が検知される。したがって、画像形成開始の際に、より効果的にトナーの劣化を抑制できる。
印字中も残量状態を精確に検知することができる。
トナーの残量が「エンプティ状態」である旨をより確実に報知できる。
カバーセンサ54により上部カバー53が閉じられたことが検知された時から、トナーの残量状態が「フル状態」より少ないと判別されるまでの期間、トナーの劣化を抑制できる。
トナーが長い時間放置されることによりトナーの沈み込みが発生し、トナーの残量状態が実際に検知されるべき残量状態より少なく検知されてしまう場合がある。このような場合でも、連続して残量状態を検知することで、トナーが攪拌されてトナーの沈み込みが解消される。したがって、残量検知の誤検知を防止できる。
[変形例]
本発明は、本実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
本実施形態では、S301がS204の短期間での残量検知に連続して長期間での残量検知が実行されたが、たとえば、検知する期間をS204とS301とを合わせて長期間になるように設定してもよい。