JP2012122422A - ガスタービンシステム及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は、高湿分空気利用ガスタービンプラントにおいて、加湿開始前後で、燃焼器のNOx生成及び火炎安定性の大きな条件変化に対して燃焼器を低NOxで、かつ安定に制御することにある。
【解決手段】
本発明は、燃焼部の各々に供給される燃料の流量比率を加湿装置における圧縮空気への加湿状態に応じて制御する際に、加湿水量、加湿後の空気温度を入力として燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて燃焼部に供給する燃料比率を制御するものである。
【選択図】図1
本発明の課題は、高湿分空気利用ガスタービンプラントにおいて、加湿開始前後で、燃焼器のNOx生成及び火炎安定性の大きな条件変化に対して燃焼器を低NOxで、かつ安定に制御することにある。
【解決手段】
本発明は、燃焼部の各々に供給される燃料の流量比率を加湿装置における圧縮空気への加湿状態に応じて制御する際に、加湿水量、加湿後の空気温度を入力として燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて燃焼部に供給する燃料比率を制御するものである。
【選択図】図1
Description
本発明はガスタービンシステム及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法に係り、特に、ガスタービン作動流体に高湿分空気を利用したものに好適なガスタービンシステム及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法に関する。
ガスタービン作動流体(空気)に湿分を添加して加湿し、この加湿空気によってガスタービン排ガスの持つ熱エネルギーを回収することで、出力及び発電効率の向上を図る高湿分空気を利用したガスタービン発電プラントにおいては、加湿開始の前後に、燃焼器の低NOx性能を確保しつつ火炎の安定性を維持可能なように燃料を制御する必要があり、この燃料を制御する手段が、特許文献1に開示されている。
一般に、ガスタービン起動時の回転数上昇時には、圧縮機の吸込み空気流量や回転体の振動特性が変化するため、定格回転数到達後に比べると外乱により系が不安定になりやすい傾向がある。特に、高湿分空気利用のガスタービンプラントにおいては、回転数上昇途中に加湿を開始すると、ガスタービンに対して外乱を与えることになるため、起動時の安定性を確保するためには、定格回転数到達後の部分負荷状態で加湿を開始する方が望ましい。
燃焼器で発生する窒素酸化物(NOx)は、天然ガスや灯油、軽油等の窒素含有量の少ない燃料を用いる場合、空気中の窒素が酸化されて発生するサーマルNOxが大部分である。サーマルNOxの生成は、温度依存性が高いため、一般には、これらの燃料を使用するガスタービンでは、火炎温度の低減が低NOx燃焼法の基本思想である。
この火炎温度を低減する方策として、燃料と空気を予め混合した後に燃焼させる予混合燃焼が知られている。また、高湿分空気利用のガスタービンプラントのように、再生器により燃焼空気が高温化されている場合には、燃料の自発火を防止しつつ火炎温度を適度に制御して低NOx化を図る必要があり、特許文献1に開示されている、燃料と空気を多数の小径の同軸噴流として燃焼室に噴出する方法が有効である。
このような低NOx燃焼器において、低NOx性能と火炎の安定性を両立させるためには、燃料流量と空気流量の比である燃空比を所定の範囲に調節することが肝要である。
特許文献2には、ガスタービンの運用にともなう圧縮機の入口案内弁の開度変化、大気温度変化、大気圧力変化に起因する空気流量の変化、燃料温度及び燃料発熱量変化に起因する燃料流量の変化を対象に、燃料流量と空気流量の比を調整する手段が開示されている。
特許文献3には、吸気噴霧によって圧縮機の吸込空気を冷却し圧縮動力を低減するガスタービンシステムにおいて、大気吸込空気の湿度及び吸気噴霧水量に応じて燃料流量を増減させる手段が開示されている。
高湿分空気利用のガスタービンプラントで加湿が開始されると、燃焼器においては、燃焼空気の湿分が増加するため、燃焼熱が湿分に奪われて火炎温度が低下し、NOx発生量は減少する。また、湿分の添加によって、タービン作動流体の流量が増加するため、回転数を一定に保持するために燃料流量が減少する。また、燃料流量の減少は火炎温度を低下させ,NOx発生量が減少する。さらに火炎温度が低下することで再生器での回収熱量が減少するため、燃焼空気温度が低下する。燃焼空気温度の低下は火炎温度を低下させ、NOx発生量が減少する。
このように加湿が開始されることよって、(1)湿分の増加、(2)燃料流量の減少、(3)空気温度の低下が同時に進行して火炎温度が低下するため、NOx発生量は減少するが,燃焼安定性は悪くなる。
予め加湿を考慮して燃焼空気流量を低めに設定すれば、高湿分条件で火炎の吹き消えが生じないようにすることができる。
しかしながら、燃焼器空気配分が設定された燃焼器では、加湿開始前には、上記とは逆に火炎温度が高くなるため、火炎の安定性は確保されるがNOx発生量は増加する傾向がある。
即ち、高湿分空気利用のガスタービンプラントにおいては、加湿開始前後で、燃焼器のNOx生成及び火炎安定性に対して大きな条件変化が生ずる。また、加湿開始後に弁制御やその系の体積等によって、ガスタービン増負荷時には、燃焼空気に実際に湿分が添加されるまでに遅れが生じると考えられる。ガスタービンの負荷を下げる時には、同様の理由によって、燃焼空気の湿度が低下するまでに遅れが生じると考えられる。このような条件変化に対しても燃焼器を低NOxで安定に燃焼する制御手段が求められる。
そこで、特許文献1に開示されているように、個別に燃料が供給される複数の燃焼部を備えた燃焼器の一部の燃焼部を、他の燃焼部よりも保炎性に優れた燃焼部(空気流に旋回成分を与える空気孔を備えた燃焼部)で構成し、加湿開始後の所定の間、保炎性に優れた燃焼部における燃焼温度が、加湿開始前の燃焼温度以上となるように、保炎性に優れた燃焼部に供給される燃料の比率を大きく設定して燃料を制御することによって、加湿後の燃焼安定性を確保することができる。
このような湿度の変化に対して、上述した特許文献2に開示されているような手段を適用して燃焼の安定性を確保する場合には、燃焼空気中の湿分を計測し、その値をもとに燃料流量割合を制御することが考えられる。
そこで、湿度センサーを用いて燃焼空気の湿分を計測することを考えてみる。燃料空気中の湿分を計測する際に、湿分の計測位置を考えると、第一には、加湿装置出口における湿分計測が考えられる。しかし、加湿装置出口の空気は、露点に近いため、湿度センサーによる計測では、測定精度が期待できないという課題がある。第二には、再生器の出口における湿分計測が考えられる。しかし、再生器出口の空気は、450℃以上と高温であるため、湿度センサーに高い耐熱性が要求される。
次に、湿度センサーに求められる性能について考えてみる。空気中の湿分変化により燃焼状態は時々刻々と変化する。そのため、湿度センサーには、高い応答性で空気中の湿分を計測し、燃料流量割合を制御して安定燃焼を維持することが求められる。
このように、湿度センサーによって空気中の湿分を計測して燃焼制御し、安定燃焼させるには課題が多い。
特許文献3には、圧縮機の吸込空気を吸気噴霧装置によって冷却し、圧縮動力を低減するガスタービンシステムにおいて、大気湿度及び吸気噴霧水量の変化による燃焼空気湿度の変化に対して、安定燃焼させる手段が開示されている。
しかしながら、高湿分空気利用のガスタービンでは、圧縮機の下流に加湿装置を備えているため、圧縮機の吸気噴霧だけでなく、加湿装置の加湿量によって燃焼空気湿度が大きく変化する。また、吸気噴霧装置の作動条件によって圧縮機吐出空気の温度及び湿度が変化すると、それに合わせて加湿装置での加湿量も変化すると考えられる。
高湿分空気利用のガスタービン燃焼器で安定燃焼させるためには、圧縮機の吸気噴霧による湿分変化と加湿装置での湿分変化の両方を考えて燃料流量を制御する必要がある。
従って、高湿分空気利用のガスタービンプラントにおいては、加湿開始後に燃焼器のNOx生成及び燃焼安定性に大きな条件変化が生じる燃焼空気中の湿分変化に対して、低NOxと安定燃焼が両立する燃焼器の燃料流量制御手段の仕方が求められる。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、加湿開始前後の燃焼安定性を損なうことなく、信頼性の高いガスタービン及びガスタービン燃焼器の燃焼制御方法を提供することにある。
本発明のガスタービン燃焼器の燃料制御方法は、上記目的を達成するために、圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼器で燃焼させ、該燃焼器からの燃焼ガスによってタービンが駆動される際に、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気が加湿装置からの噴霧水で加湿されるものであって、前記燃焼器が個別に燃料が供給される複数の燃焼部を備え、該複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合が、前記加湿装置における圧縮空気への加湿状態に応じて制御されるガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、圧縮空気への加湿水量と加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御することを特徴とする。
また、本発明のガスタービンシステムは、空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて個別に燃料が供給されて燃焼させる複数の燃焼部を有する燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスによって駆動されるタービンと、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を噴霧水で加湿する加湿装置と、前記燃焼器の複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合を、前記加湿装置における圧縮空気へ加湿状態に応じて制御する制御装置とを備えたガスタービンシステムにおいて、前記制御装置は、圧縮空気への加湿水量と加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御する手段を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、加湿開始前後で燃焼安定性を損なうことなく、高い信頼性を備えて運用することができるガスタービンシステム及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法とすることができる。
(1)第1の実施の形態
以下、図面を用いて本発明の第1の実施の形態である高湿分空気利用ガスタービンシステムについて説明する。
以下、図面を用いて本発明の第1の実施の形態である高湿分空気利用ガスタービンシステムについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る高湿分空気利用ガスタービンシステムの全体構成を示すものである。
該図に示す如く、発電用の高湿分空気利用ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機1と、この圧縮機1で圧縮された圧縮空気を用いて燃焼させる燃焼器2と、燃焼器2からの燃焼ガスによって駆動されるタービン3と、前記圧縮機1で圧縮された圧縮空気を噴霧水で加湿する加湿装置4と、この加湿装置4で湿分を添加された加湿空気104とガスタービン排気ガス107(タービン出口低圧燃焼ガス)との熱交換により加熱し、加熱された高温高湿分空気105を燃焼器ケーシング6へと注入される再生器5とから概略構成され、タービン3の出力により発電機20を回転させ電力を得るものである。
燃焼器2は、燃焼器ケーシング6及び燃焼器カバー7内に格納され、燃焼器2の上流端中央には燃料ノズル8が設置され、その下流には、燃焼空気と燃焼ガスを隔てる概略円筒状の燃焼器ライナ9が設置されている。
圧縮機1の入口から吸気されたガスタービン吸込空気100(大気圧)は、圧縮機1で圧縮され、この圧縮された高圧空気102は、トランジションピース11とトランジションピースフロースリーブ12との間隙を流れてトランジションピース11を対流冷却し、加湿前高温空気103となる。加湿前高温空気103は、加湿装置4に供給されて湿分が添加され、加湿空気104となる。加湿装置4は、スプレイ水の噴霧により空気を加湿する。加湿装置4で加湿された加湿空気104は、蒸気飽和条件以下(相対湿度100%以下)である。
高湿分空気利用ガスタービンの運転状態を監視するために、加湿装置4の出口には、加湿装置出口温度を計測する温度計500を設置する。
加湿装置4で湿分を添加された加湿空気104は、再生器5に導かれ、ガスタービン排気ガス107(タービン出口低圧燃焼ガス)との熱交換により加熱される。加熱された加湿空気104は、高温高湿分空気105となって燃焼器ケーシング6へと注入される。燃焼器ケーシング6内での高温高湿分空気105は、燃焼器ライナ9の外側の概して環状の空間を通って燃焼器2の頭部へ向かって流れ、途中、燃焼器ライナ9の対流冷却に使用される。
高温高湿分空気105の一部の空気は、燃焼器ライナ9に設けられた冷却孔(図示せず)から燃焼器ライナ9内へ流入し、燃焼器ライナ9のフィルム冷却に使用される。残りの高温高湿分空気105(図2(b)の空気噴流36に相当)は、後述する空気孔32から燃焼器ライナ9内に流入し、燃料ノズル31から噴出される燃料とともに燃焼に使用され、高温の燃焼ガス106となってタービン3へと送られる。タービン3を出たタービン出口低圧燃焼ガス107は、再生器5で熱回収されて再生器出口低圧燃焼ガス108となって、排気塔22から排気ガス109として排気する。
タービン3で得られた駆動力は、シャフト21を通じて圧縮機1及び発電機20に伝えられ、駆動力の一部は、圧縮機1における空気の圧縮動力となり、残りの駆動力は発電機20で電力に変換される。
高湿分空気利用ガスタービン発電プラントの出力である発電量MWは、燃料流量調整弁211〜214の開閉により制御され、加湿装置4で空気を加湿するための水量は、加湿装置噴霧水量制御弁311で制御される。これらは、後述するが、いずれも制御装置600からの指令を受けて開閉制御されるものである。
図2(a)は、本実施例で用いる燃料ノズル8の構造を示したものである。該図に示す如く、燃焼器カバー7の燃料ノズルヘッダ30に多数の燃料ノズル31が取り付けられており、その1本1本に対応した空気孔32を備えた空気孔プレート33が、サポート34を介して燃焼器カバー7に取り付けられた構造となっている。
そして、一対の燃料ノズル31と空気孔32はほぼ同心状に配設されており、図2(b)に示すように、中央に燃料噴流35、その周囲に空気噴流36の同軸噴流が多数形成される。この同軸噴流構造によって、空気孔32内では、燃料と空気は未混合であるため、高湿分空気利用ガスタービンのように、燃焼空気が高温であっても、燃料の自発火は発生せず、空気孔プレート33が溶損するようなことはなく、信頼性の高い燃焼器とすることができる。
また、このような小さな同軸噴流を多数形成することにより、燃料と空気の界面が増加し混合が促進するため,NOxの発生量を抑制することができる。
図3(a)は、空気孔プレート33を燃焼器下流側(図2(a)の右方向)から見た図である。
該図に示す如く、本実施例においては、多数の空気孔(及び図示しないが空気孔と対を成す燃料ノズル)は、同心状に8列配置されている。また、中心から4列(第1列〜第4列)が第1群(F1)、第5列が第2群(F2)、その外側の2列(第6,7列)が第3群(F3)、最外周(第8列)が第4群(F4)と群分けされており、図2(a)に示したように、第1群(F1)〜第4群(F4)それぞれの群ごとに、燃料ノズルヘッダ30に設けたフランジ51〜54を通して燃料が供給される。
このような燃料系統の群分け構造によって、ガスタービンの燃料流量変化に対し燃料供給する燃料ノズルの本数を段階的に変化させる燃料ステージングが可能となり、ガスタービン部分負荷運転時の燃焼安定性の確保と低NOx化が可能となる。
更に、中央の4列(F1)の空気孔は、ピッチ円接線方向に角度(図3(b)中のα°)を持った斜め穴とすることで、空気流全体に旋回をかけ、生じる循環流によって火炎を安定化させている。F1の周囲のF2〜F4は、中央のF1バーナの燃焼熱によって火炎を安定化する。
高湿分空気利用ガスタービンにおいて加湿が開始され、燃焼空気の湿分が増加する際には、F1バーナに供給する燃料流量を増加させ、局所的に高温な部分を設けることで、F1火炎の燃焼安定性が向上する。F1燃料の増加分だけF2以降のバーナの燃料流量は減少するが、これらの火炎は、F1バーナの燃焼熱によって火炎が安定化されているため、バーナ全体としては燃焼安定性が確保される。
この燃焼器の運転方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4の横軸は起動開始からの時刻、縦軸は上から回転数、発電量、空気流量、加湿装置噴霧水量501、加湿装置出口湿度,加湿装置出口温度500を示したものである。また、図5の横軸は図4に同じく起動開始からの時刻、縦軸は上から燃焼温度、燃料流量、F1〜F4各系統の個別燃料流量を示したものである。
両図において、期間aは、起動から定格回転数に達するまでの回転数昇速期間、期間bは、ガスタービン起動中の増負荷期間、期間cは、起動終了後の負荷追従運転期間を示す。増負荷期間bは、無加湿期間b1、加湿量変化期間b2、加湿量一定期間b3に分かれる。
まず、燃料流量が比較的少ない着火及び昇速時は、中央のF1のみで運転(即ち、燃料系統201のみに燃料を供給)し、定格回転数無負荷条件付近まで昇速する。このF1単独燃焼を今後の説明では1/4モードと呼ぶ。
次に、それ以降の負荷上昇過程(期間b)では、 F1の外周のF2に燃料を投入して、F1+F2で運転する。即ち、燃料系統201及び202に燃料を供給し,流量制御弁211および212により各燃料流量を制御する。このときを2/4モードと呼ぶ。
次に,F2の周囲の燃料系統203に燃料を供給し、F3に着火した状態を3/4モードと呼ぶ。
ここまでの過程では、加湿装置4において、空気に湿分は添加されていない(期間b1)。この間の燃料流量増加は、ガスタービンの起動計画に定められた負荷上昇率に従ってガスタービン発電量が増加するように、制御装置600からの指令に基づき流量制御弁211、212及び213によって燃料流量が制御される。また、F1、F2、F3の各系統の燃料流量配分は、燃焼が安定し、かつ生成するNOx発生量が最小となるように定められた比率で供給する。
本実施例においては、この3/4モードで、加湿装置4においての空気の加湿を開始する。制御装置600からの加湿開始指令により、加湿装置噴霧水量制御弁311が開き、開度に応じた流量の給水が加湿装置4へと注水され(期間b2)、水量が所定の値となるよう調整される(期間b2〜b3)。
このとき、ガスタービンの起動計画に定められた負荷上昇率に従ってガスタービン発電量が増加するように、燃料流量が制御される。そのうちのF1燃料は、燃焼安定性の確保に重要な役割を担うため、加湿開始後は、全燃料流量に対するF1流量の比率を加湿開始前に対して高く設定する。
燃焼安定性の確保に最適なF1流量の比率の決定には、F1燃焼温度による判断が有効である。燃焼温度は、燃焼空気温度、燃焼空気湿度(燃焼空気湿度は、加湿装置出口湿度Hmh,exit)、燃料流量と空気流量の比(燃空比)から計算できる。
燃焼温度の計算に必要なこれらの諸量のうち、燃焼空気湿度は、前述のように、湿度センサーによるリアルタイム直接計測が難しいという課題がある。
そこで、加湿装置噴霧水量Gwh,spから加湿装置出口湿度Hmh,exitを評価することを考える。
湿度センサーによる湿度計測に比して、加湿装置噴霧水量Gwh,spの計測は、高速、かつ高精度の計測が容易である。従って、加湿装置噴霧水量Gwh,spから加湿装置出口湿度Hmh,exitが一対一で評価できれば、加湿装置出口湿度Hmh,exitのリアルタイム評価が可能となる。
加湿装置4の滞留時間が十分に確保される場合、加湿装置噴霧水量Gwh,spが少量の間は、空気は、水蒸気飽和条件から離れているため加湿されやすいが、噴霧水量Gwh,spが多量になると、水蒸気飽和状態に近づくため空気は加湿されにくくなると考えられる。
つまり、噴霧水量Gwh,spを無限大とすると、加湿装置出口湿度Hmh,exitは、加湿装置出口最大湿度Hmh,maxに漸近すると考えられる。理想的な条件下では、加湿装置出口最大湿度Hmh,maxは、加湿装置出口温度500における飽和湿度Hmh,satである。
この加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口湿度Hmh,exitの関係を示したのが図6である。図6に示した関係は、データベース化した実測値あるいは加湿を模擬した計算式によって求めることができる。
図6では、加湿装置噴霧水量Gwh,spに対して加湿装置出口湿度Hmh,exitが連続となっている。図7のように、数点について加湿装置噴霧水量Gwh,spに対する加湿装置出口湿度Hmh,exitの値を求めて、それらを直線で結んで近似することもできる。
図6又は図7の燃焼空気湿度を使えば、燃焼空気温度、燃空比から燃焼温度が計算できる。保炎性を強化したF1について燃焼温度を計算し、安定燃焼に必要なF1燃焼温度を比較すれば、安定燃焼に必要なF1流量が求まる。
本実施例の湿度算出方法は、加湿装置噴霧水量301が一定量である期間(図4の期間b3)だけでなく、加湿装置給水量301が変化する期間(図4の期間b2)においても有効である。従って、加湿装置噴霧水量301の変化による燃焼空気の過渡的な湿度変化に対しても、適切なF1流量設定によって燃焼安定性を確保できる。
発電量又はタービン排ガス温度が所定の量に達した時点で、高湿分空気利用ガスタービンの起動が完了し、その後は、負荷の増減に合わせて燃料流量が増減することで負荷追従する(期間c)。
高負荷運転時においては、主として最外周のF4の燃料流量を増減させて対応する。このときF4燃料と空気の混合気は、F1〜F3までの燃焼ガスと混合して高温になるため、燃料の酸化反応が緩慢に進行し、高い燃焼効率を得ることができる。また、燃焼完結後の温度を、NOx生成が顕著となる温度以下になるよう空気配分が設定されているため、F4からのNOx発生をほとんどゼロとする燃焼が可能となる。また、投入したF4燃料がごくわずかでも反応が完結するため、連続的な燃料切り換えが可能となり、運用性が向上する。
本実施例に用いられる制御装置600の制御図の一例を図8に示す。該図に示す如く、予め定められた発電量増加率に従うように与えられた負荷指令MWDと実際の発電量MWの差を減算器401で求め、燃料流量制御器402で燃料流量指令値410を演算する。燃料流量指令値410は、燃料流量比率設定器403の入力となる。
一方、加湿装置出口湿度演算器404は、加湿装置出口温度500を入力として、加湿装置最大湿度演算器408において演算する加湿装置出口最大湿度Hmh,maxと、加湿装置噴霧水量Gwh,spから加湿装置出口湿度Hmh,exitを演算する。加湿装置出口湿度Hmh,exitは、F1 バイアス演算器405の入力となる。F1バイアス演算器405は、加湿装置出口湿度Hmh,exitを基に、燃焼安定性の確保に必要なF1バイアス415を演算する。
燃焼安定性を維持するには、以下の方法がある。第一には、加湿装置出口湿度Hmh,exitの増加に対して、F1バイアス415を増加させることである。湿度増加量にF1バイアス増加量を追随させることで、安定燃焼させることができる。第二には、加湿装置出口湿度Hmh,exitの変化に対して、F1燃焼温度が一定となるように、F1バイアス415を増加させることである。湿度変化によらず、F1の燃焼温度が同等となるように、湿度増加量に合わせてF1燃料流量を増加させるように、F1バイアス量を設定することで、安定燃焼と低NOx燃焼の両立が可能となる。第三には、加湿装置出口湿度Hmh,exitの増加に対して、F1燃焼温度が高くなるようにF1バイアス415を増加させることである。燃焼条件によっては、湿度が増加すると燃焼安定性が低下すると考えられる。湿度増加に合わせて、F1燃焼温度が上昇するようにF1バイアス量を設定することで、湿度変化に対して燃焼安定性を高めることができて、信頼性がさらに向上する。
燃料流量比率設定器403は、燃料流量指令値410を入力値として、F1バイアス415の値を参照しながらF1〜F4の各燃料流量比率(411〜414)を求める。
実燃料流量制御器406では、F1〜F4の各燃料流量比率(411〜414)及び燃料流量指令値410から、F1〜F4各燃料系統の流量又は弁開度を出力して、燃料流量制御弁211〜214を制御する。
かくして、図8に示した構成の燃料制御装置によって、図5の実線で示したF1バイアス量が実現できる。尚、図5において、点線は、本実施例によるF1バイアス量を適用しない場合の流量である。
また、弁制御や系が保有する体積によって、加湿開始後に実際に燃焼空気に湿分が添加されるまでには、時間遅れが生ずると考えられる。その時は、燃焼空気湿度に対して、一次遅れを考慮して実際の燃焼空気湿度を推算すれば、低NOx化と安定燃焼を両立できる。ガスタービン降負荷時には、配管等の系が保有する体積によって、燃焼空気湿度が加湿装置4での加湿装置供噴霧水量301に追従するまでに遅れが生じると考えられ,特に有効である。
更に、何らかの事情によって噴霧装置4への噴霧水供給量が急に減少あるいは噴霧水供給が停止した場合には、燃焼空気湿度が急激に低下するためF1燃焼温度が高くなりすぎる可能性がある。
しかし、本実施例によれば、燃焼空気湿度の変動を検知できるため、F1燃焼温度の急上昇を回避できてガスタービンの信頼性が向上する。
(2)第2の実施の形態
図9は、本発明の第2の実施の形態について示した図であり、第1の実施例における図4に相当する。高湿分ガスタービンシステムの構成は、本発明の第1の実施の形態について示した図1と同じである。
(2)第2の実施の形態
図9は、本発明の第2の実施の形態について示した図であり、第1の実施例における図4に相当する。高湿分ガスタービンシステムの構成は、本発明の第1の実施の形態について示した図1と同じである。
本実施例が第1の実施の形態と異なる点は、加湿装置出口湿度を直接評価するのではなく、まず加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitを求め、そして、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitから燃焼空気湿度を計算する。加湿装置出口湿度を加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitから評価することによって、高精度に加湿装置出口湿度Hmh,exitを評価できる。
図10は、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitとの関係を示したものである。
本発明の第1の実施の形態では、加湿装置噴霧水量Gwh,spが増加すると、加湿装置出口湿度Hmh,exitは、加湿装置出口最大湿度Hmh,maxに漸近した。同じように、本実施例では、加湿装置噴霧水量Gwh,spが増加すると、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxに漸近すると考える。ここで、理想的な条件での加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxは、加湿装置出口流量及び温度に対する飽和水蒸気量Gvh,satとなる。
例えば、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxに比例し、単位量と、加湿装置噴霧水量Gwh,spと負の比例定数を乗じた値を変数とする指数関数値との差に比例するような関数で与えられる。具体的には、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitとの関係は、式(1)のような形で表される。
Gvh,exit=Gvh,max(1−exp(−C・Gwh,sp)) ・・・(1)
ここで、Cは定数である。
ここで、Cは定数である。
図11は,本実施例の制御装置600の一例である。該図に示す如く、加湿装置出口水蒸気量演算器407は、加湿装置出口温度500を入力として、加湿装置最大水蒸気量演算器409において演算する加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxと、加湿装置噴霧水量Gwh,spから加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitを演算する。演算した加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、加湿装置出口湿度演算器404の入力となる。他は,本発明の第1の実施の形態である図8と同じである。
かくして、本発明の第1の実施例と同じく、時々刻々と変化する燃焼空気湿度に対して、安定燃焼に必要なF1バイアス量を求めることができ、また、本発明の第1の実施の形態に対して、より精度良く燃焼器に流入する燃焼空気の湿度を評価することができるため、本発明の第1の実施の形態に対し、より正確に低NOxと安定燃焼を両立する信頼性の高い運用が実現できる。
(3)第3の実施の形態
図12は、本発明の第3の実施の形態について示した図であり、第1の実施例における図1に対応する。
(3)第3の実施の形態
図12は、本発明の第3の実施の形態について示した図であり、第1の実施例における図1に対応する。
本実施例が第1の実施の形態と異なる点は、ガスタービン吸込空気100に対して、吸気噴霧装置23で水を噴霧して水噴霧後の吸込空気101として圧縮機1で圧縮することである。吸込空気に吸気噴霧装置23で水を噴霧することによって、圧縮機1の圧縮動力を大幅に低減できる。
本実施例で、加湿前高温空気103は、第1の実施の形態と違って吸気噴霧装置23で加湿された状態で加湿装置4に流入する。従って、加湿前高温空気103が既に加湿されている場合において、加湿装置噴霧水301の流量に対して、加湿空気104の湿度がどのように変化するかを捉える必要がある。
図12に示した高湿分空気利用ガスタービンシステムの燃焼器の運転方法について図13及び図14を参照しながら説明する。
図13の横軸は、図4と同じく起動開始からの時刻、縦軸は上から回転数、発電量、空気流量、水量(加湿装置噴霧水量301と圧縮機吸気噴霧水量300)、加湿装置出口湿度、加湿装置出口温度500を示したものである。また、図13の横軸は、図4に同じく起動開始からの時刻、縦軸は上から燃焼温度、燃料流量、F1〜F4各系統の個別燃料流量を示したものである。
図13及び図14において、期間aは起動から定格回転数に達するまでの回転数昇速期間、期間bはガスタービン起動中の増負荷期間、期間cは起動終了後の負荷追従運転期間を示す。増負荷期間bは無加湿期間b1、加湿装置4加湿量変化期間b2、加湿装置4加湿量一定期間b3、吸気噴霧装置23の噴霧水量変化期間b4、吸気噴霧装置23の噴霧水量一定期間b5に分かれる。
加湿装置4で加湿を開始して加湿量が一定となるまでの期間(図4の期間b1〜b3)は、本発明の第1の実施の形態に同じである。
本実施例では、加湿装置4での加湿量が一定となった後、吸気噴霧装置23において吸気噴霧を開始する。制御装置600からの吸気噴霧開始指令により吸気噴霧水量制御弁310が開き、開度に応じた流量の給水が吸気噴霧装置23に供給されて吸気噴霧水量は段階的に増加し(期間b4)、噴霧水量が所定の値となるよう調整される(期間b4〜b5)。
湿度変化に対して、F1流量の比率を高めてF1燃焼温度を高くし安定燃焼させる方式は本発明の第1の実施の形態に同じである。
本実施例でも、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口湿度Hmh,exitとの間には、本発明の第1の実施の形態と同じく、図6と類似の関係が成立する。
本実施例における加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口湿度Hmh,exitとの関係を図15の点線で示す。図15での実線は、本発明の第1の実施の形態に係る図6と同じである。
本実施例は、吸気噴霧装置23によって加湿前高温空気103が加湿されているため、加湿装置噴霧水量Gwh,sp=0のとき、図15の点線で示すように、加湿装置出口湿度Hmh,exitはゼロとならない。即ち、加湿装置噴霧水量Gwh,sp=0のときの加湿装置出口湿度Hmh,exitは、圧縮機出口湿度Hmc,exitに等しい。ここで、圧縮機出口湿度Hmc,exitは、吸気噴霧装置23を含めた圧縮機1吸気部から圧縮機1吐出部までの加湿による湿度変化である。
図15の関係は、図6と同じように、データベース化した実測値あるいは加湿を模擬した計算式によって求めることができる。
本実施例の制御装置600の一例を図16に示す。制御装置の構成は、本発明の第1の実施の形態の図8と基本的に同じであるので、以下では、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。
吸気噴霧装置23を圧縮機1の上流に備える高湿分ガスタービンシステムでは、吸気噴霧装置23の運転状態、即ち吸気噴霧水量Gwc,wacによって圧縮機出口湿度Hmc,exitが変化する。本実施例において、加湿装置出口湿度演算器404は、加湿装置出口温度500から加湿装置最大湿度演算器408において演算する加湿装置出口最大湿度Hmh,maxと、加湿装置噴霧水量Gwh,spと吸気噴霧装置噴霧水量Gwc,wacから加湿装置出口湿度Hmh,exitを演算することで,この圧縮機出口湿度Hmc,exitの変動に対応する。
このように、加湿装置噴霧水量Gwh,spだけでなく、吸気噴霧装置噴霧水量Gwc,spも考慮して加湿装置出口湿度Hmh,exitを演算することで、より高精度に燃焼空気湿度を評価することができる。
かくして、本発明の第1〜第2の実施例に同じく、時々刻々と変化する燃焼空気湿度に対して、安定燃焼に必要なF1バイアス量を求めることができるので、低NOxと安定燃焼を両立する信頼性の高い運用が実現できる。
本実施例では、図13に示すように、加湿装置4での加湿量を一定量としてから吸気噴霧装置23での吸気噴霧を開始しているが、吸気噴霧を開始して吸気噴霧水量を一定量としてから加湿装置4での加湿を開始することもできる。その場合でも、本実施例と同じ燃料制御方法が適用できる。大気温度が上昇する夏季は、吸気噴霧による圧縮動力の低減が特に有効である。
(4)第4の実施の形態
図17は本発明の第4の実施の形態について示したものであり、第3の実施例における図13に対応するものである。高湿分ガスタービンシステムは、本発明の第3の実施の形態について示した図12と同じである。
(4)第4の実施の形態
図17は本発明の第4の実施の形態について示したものであり、第3の実施例における図13に対応するものである。高湿分ガスタービンシステムは、本発明の第3の実施の形態について示した図12と同じである。
本実施例が第3の実施の形態と異なる点は、本発明の第2の実施の形態と同じく、加湿装置出口湿度を直接評価するのではなく、まず加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitを求め、そして、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitから燃焼空気湿度Hmh,exitを計算する。本発明の第2の実施の形態と同じく、湿度を加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitから評価することによって、高精度に加湿装置出口湿度Hmh,exitを評価できる。
図18における点線は、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitとの関係を示したものである。また、図18における実線は、本発明の第2の実施の形態に係る図10と同じである。
本実施例でも、本発明の第2の実施の形態に同じく加湿装置噴霧水量Gwh,spが増加すると、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxに漸近する。また、理想的な条件では加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxは、加湿装置出口流量及び温度500に対する飽和水蒸気量Gvh,satである。
本実施例は、本発明の第3の実施の形態と同じく、吸気噴霧装置23によって加湿前高温空気103が加湿されているために、加湿装置噴霧水量Gwh,sp=0のとき、図15の点線で示すように、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitはゼロとならない。即ち、加湿装置噴霧水量Gwh,sp=0のときの加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、圧縮機出口水蒸気量Gvc,exitに等しい。ここで、圧縮機出口水蒸気量Gvc,exitは、吸気噴霧装置23を含めた圧縮機1吸気部から圧縮機1吐出部までの加湿による水蒸気量である。
例えば、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitは、加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxに比例し、単位量と、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置噴霧水量補正量Gwh,sp_corとの和に負の比例定数を乗じた値を変数とする指数関数値との差に比例するような関数で与えられる。具体的には、加湿装置噴霧水量Gwh,spと加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitとの関係は、式(2)のような形で表される。
Gvh,exit=Gvh,max(1−exp(−C・(Gwh,sp+Gwh,sp_cor))) ・・・(2)
ここで、Cは定数,Gwh,sp_corは、吸気噴霧装置23での加湿量を考慮する補正項である。つまり、圧縮機出口水蒸気量Gvc,exitに相当する加湿量を、加湿装置で実現する場合に必要な加湿装置噴霧水量が、加湿装置噴霧水量補正量Gwh,sp_corである。
ここで、Cは定数,Gwh,sp_corは、吸気噴霧装置23での加湿量を考慮する補正項である。つまり、圧縮機出口水蒸気量Gvc,exitに相当する加湿量を、加湿装置で実現する場合に必要な加湿装置噴霧水量が、加湿装置噴霧水量補正量Gwh,sp_corである。
本実施例の制御装置600の一例を図19に示す。制御装置の構成は、本発明の第2の実施の形態に基本的に同じであるので、以下では第2の実施の形態と異なる部分を説明する。
本実施例では、吸気噴霧装置噴霧水量Gwc,wacから加湿装置噴霧水量補正量演算器400において加湿装置噴霧水量補正量Gwh,sp_corを演算する。加湿装置出口水蒸気量演算器407は、加湿装置噴霧水量Gwh,spと、加湿装置噴霧水量補正量演算器400の出力と、温度500を入力として加湿装置最大湿度演算器408において演算する加湿装置出口最大水蒸気量Gvh,maxから加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitを演算する。
このように、加湿装置噴霧水量Gwh,spだけでなく、吸気噴霧装置噴霧水量Gwc,spから求めた加湿装置噴霧水量補正量Gwh,sp_corから、加湿装置出口水蒸気量Gvh,exitを演算し、加湿装置出口湿度Hmh,exitを求めることで、より高精度に燃焼空気湿度を評価することができる。
かくして、本発明の第1〜第3の実施例に同じく、時々刻々と変化する燃焼空気湿度に対して、安定燃焼に必要なF1バイアス量を求めることができ、また、本発明の第3の実施の形態に対してより精度良く、燃焼器に流入する燃焼空気の湿度を評価することができるため、本発明の第3の実施の形態に対し、より正確に低NOxと安定燃焼を両立する信頼性の高い運用が実現できる。
1・・・圧縮機、2・・・燃焼器、3・・・タービン、4・・・加湿装置、5・・・再生器、6・・・燃焼器ケーシング、7・・・燃焼器カバー、8・・・燃料ノズル、9・・・燃焼器ライナ、10・・・ライナフロースリーブ、11・・・トランジションピース、12・・・トランジションピースフロースリーブ、20・・・発電機、21・・・シャフト、22・・・排気塔、23・・・吸気噴霧装置、30・・・燃料ノズルヘッダ、31・・・燃料ノズル、32・・・空気孔、33・・・空気孔プレート、35・・・燃料噴流、36・・・空気噴流、51・・・F1燃料フランジ、52・・・F2燃料フランジ、53・・・F3燃料フランジ、54・・・F4燃料フランジ、100・・・ガスタービン吸込空気(大気圧)、101・・・水噴霧後の吸込空気(大気圧)、102・・・圧縮空気、103・・・加湿前高温空気、104・・・加湿空気、105・・・高温高湿分空気、106・・・高温燃焼ガス、107・・・タービン出口低圧燃焼ガス、108・・・再生器出口低圧燃焼ガス、109・・・排気筒排気ガス、200・・・燃料、201・・・F1燃料、202・・・F2燃料、203・・・F3燃料、204・・・F4燃料、210・・・燃料遮断弁、211・・・F1燃料制御弁、212・・・F2燃料制御弁、213・・・F3燃料制御弁、214・・・F4燃料制御弁、300・・・圧縮機吸気噴霧水、301・・・加湿装置噴霧水、310・・・圧縮機吸気噴霧水量制御弁、311・・・加湿装置噴霧水量制御弁、320・・・吸気噴霧装置ドレン、321・・・圧縮機内部ドレン、322・・・加湿装置ドレン、400・・・加湿装置噴霧水量補正量演算器、401・・・減算器、402・・・燃料流量制御器、403・・・燃料流量比率設定器、404・・・加湿装置出口湿度演算器、405・・・F1バイアス設定器、406・・・実燃料流量制御器、407・・・加湿装置出口水蒸気量演算器、408・・・加湿装置出口最大湿度演算器、409・・・加湿装置出口最大水蒸気量演算器、410・・・燃料流量指令値、411・・・F1燃料比率、412・・・F2燃料比率、413・・・F3燃料比率、414・・・F4燃料比率、500・・・温度計、600・・・制御装置。
Claims (17)
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼器で燃焼させ、該燃焼器からの燃焼ガスによってタービンが駆動される際に、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気が加湿装置からの噴霧水で加湿されるものであって、
前記燃焼器が個別に燃料が供給される複数の燃焼部を備え、該複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合が、前記加湿装置における圧縮空気への加湿状態に応じて制御されるガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
圧縮空気への加湿水量と加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記複数の燃焼部の一部が、空気流に旋回成分を与える空気孔を備えて他の部分よりも保炎性に優れた燃焼部であり、この保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を、前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項2に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
燃焼空気の湿分増加に対して,前記保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率が増加することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項2に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
燃焼空気の湿分増加に対して、前記保炎性に優れた燃焼部の温度が一定となるように、前記保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を増加することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項2に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
燃焼空気の湿分増加に対して、前記保炎性に優れた燃焼部の温度が上昇するように、前記保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を増加することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
圧縮空気への加湿水量に対して燃焼空気の湿分量は単調増加であって、かつ、加湿水量の増加にともなって燃焼空気の湿分上限量に燃焼空気の湿分量が漸近することから燃焼空気の湿分を評価し、前記燃焼部に供給する燃料比率を制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記燃焼空気の湿分の評価は、前記加湿装置出口最大湿度と加湿装置噴霧水量から加湿装置出口湿度を演算して評価するものであることを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記燃焼空気の湿分の評価は、前記加湿装置出口水蒸気量を求め、この加湿装置出口水蒸気量から燃焼空気湿度を演算し、該燃焼空気湿度を前記加湿装置出口水蒸気量から評価するものであることを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 吸気噴霧装置で水噴霧された空気を圧縮機で圧縮し、該圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼器で燃焼させ、該燃焼器からの燃焼ガスによってタービンが駆動される際に、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気が加湿装置からの噴霧水で加湿されるものであって、
前記燃焼器が個別に燃料が供給される複数の燃焼部を備え、該複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合が、前記加湿装置における圧縮空気への加湿状態に応じて制御されるガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記吸気噴霧装置での加湿水量、圧縮空気への加湿水量及び加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項9に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記複数の燃焼部の一部が、空気流に旋回成分を与える空気孔を備えて他の部分よりも保炎性に優れた燃焼部であり、この保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を、前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 請求項9に記載のガスタービン燃焼器の燃料制御方法において、
前記燃焼空気の湿分の評価は、前記加湿装置出口水蒸気量を求め、この加湿装置出口水蒸気量から燃焼空気湿度を演算し、該燃焼空気湿度を前記加湿装置出口水蒸気量から評価するものであることを特徴とするガスタービン燃焼器の燃料制御方法。 - 空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて個別に燃料が供給されて燃焼させる複数の燃焼部を有する燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスによって駆動されるタービンと、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を噴霧水で加湿する加湿装置と、前記燃焼器の複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合を、前記加湿装置における圧縮空気へ加湿状態に応じて制御する制御装置とを備えたガスタービンシステムにおいて、
前記制御装置は、圧縮空気への加湿水量と加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御する手段を備えていることを特徴とするガスタービンシステム。 - 請求項12に記載のガスタービンシステムにおいて、
前記複数の燃焼部の一部が、空気流に旋回成分を与える空気孔を備えて他の部分よりも保炎性に優れた燃焼部であり、この保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を、前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御する手段を備えていることを特徴とするガスタービンシステム。 - 請求項12又は13に記載のガスタービンシステムにおいて、
前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御する手段は、予め定められた発電量増加率に従うように与えられた負荷指令と実際の発電量の差を求める減算器と、該減算器で求められた差に基づき燃料流量指令値を演算する燃料流量制御器と、加湿装置出口温度を入力として加湿装置出口最大湿度を演算する加湿装置出口最大湿度演算器と、該加湿装置出口最大湿度演算器で演算された加湿装置出口最大湿度と加湿装置噴霧量から加湿装置出口湿度を演算する加湿装置出口湿度演算装置と、前記加湿装置出口湿度を基に燃焼安定性確保に必要なF1バイアスを演算するF1バイアス演算器と、前記燃料流量制御器を入力値として、前記F1バイアス演算器からのF1バイアスを参照しながら各燃料流量比率を求める燃料流量比率設定器と、該燃料流量比率設定器で求めた各燃料流量比率及び前記成燃料流量制御器からの燃料流量指令値から各燃料系統の流量又は弁開度を制御して燃料流量制御弁とから成ることを特徴とするガスタービンシステム。 - 圧縮機と、該圧縮機の吸気部で吸込空気に水噴霧する吸気噴霧装置と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて個別に燃料が供給されて燃焼させる複数の燃焼部を有する燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスによって駆動されるタービンと、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を噴霧水で加湿する加湿装置と、前記燃焼器の複数の燃焼部の各々に供給される燃料の流量割合を、前記加湿装置における圧縮空気へ加湿状態に応じて制御する制御装置とを備えたガスタービンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記吸気噴霧装置での加湿水量、圧縮空気への加湿水量及び加湿後の空気温度から燃焼空気の湿分を評価し、この評価に基づいて前記燃焼部に供給する燃料比率を制御する手段を備えていることを特徴とするガスタービンシステム。 - 請求項15に記載のガスタービンシステムにおいて、
前記複数の燃焼部の一部が、空気流に旋回成分を与える空気孔を備えて他の部分よりも保炎性に優れた燃焼部であり、この保炎性に優れた燃焼部に供給する燃料比率を、前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御する手段を備えていることを特徴とするガスタービンシステム。 - 請求項15又は16に記載のガスタービンシステムにおいて、
前記燃焼空気の湿分の評価に基づいて制御する手段は、予め定められた発電量増加率に従うように与えられた負荷指令と実際の発電量の差を求める減算器と、該減算器で求められた差に基づき燃料流量指令値を演算する燃料流量制御器と、加湿装置出口温度を入力として加湿装置出口最大湿度を演算する加湿装置出口最大湿度演算器と、該加湿装置出口最大湿度演算器で演算された加湿装置出口最大湿度と加湿装置噴霧量及び吸気噴霧装置噴霧水量から加湿装置出口湿度を演算する加湿装置出口湿度演算装置と、前記加湿装置出口湿度を基に燃焼安定性確保に必要なF1バイアスを演算するF1バイアス演算器と、前記燃料流量制御器を入力値として、前記F1バイアス演算器からのF1バイアスを参照しながら各燃料流量比率を求める燃料流量比率設定器と、該燃料流量比率設定器で求めた各燃料流量比率及び前記成燃料流量制御器からの燃料流量指令値から各燃料系統の流量又は弁開度を制御して燃料流量制御弁とから成ることを特徴とするガスタービンシステム。
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