JP2012120770A - 人工膝関節 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロールバック量及びロールバック率が、浅屈曲で小さく、深屈曲で大きい人工膝関節を提供する。
【解決手段】本発明の人工膝関節では、大腿骨コンポーネント20が、内側顆21、外側顆22、内側顆21と外側顆22と間に開口部23を残して後端接続する第1の摺動面24、及び第1の摺動面24上方の第2の摺動面25を備え、脛骨プレート30が、内側窩31、外側窩32、内側窩31と外側窩32との間から上方に突出して開口部23に挿入されるポスト部36、ポスト部36後面に第1の摺動面24が接触する第3の摺動面34、及びポスト部36後方に第2の摺動面25が接触する第4の摺動面35を備える。第1、第4の摺動面24、35は凸状曲面で、第4の摺動面35は第3の摺動面34より後方で、屈曲角度に応じて、第1、第3の摺動面24、34が接触する第1の摺動状態と、第2、第4の摺動面25、35が接触する第2の摺動状態とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、人工膝関節に関し、特に、膝関節の浅屈曲では、大腿骨コンポーネントのロールバック量が小さく、深屈曲ではロールバック量が大きくなることを特徴とする自然な膝関節の屈曲動作を持つ人工膝関節に関する。
変形性膝関節症や慢性関節リウマチなどにより膝関節が高度に変形した場合、正常な機能に回復させるために、人工膝関節への置換手術が行われている。
人工膝関節への置換後も自然な膝に近い動作ができるように、人工膝関節には様々な工夫がなされている。一例としては、浅屈曲時に脱臼しにくく、深屈曲時に外旋可能な人工股関節が知られている(例えば、特許文献1)。この人工膝関節では、大腿骨遠位端に固定される大腿骨コンポーネントは、内側顆と、外側顆と、内側顆と外側顆との間の開口と、内側顆と外側顆との後端を接続し、膝関節屈曲時に前記脛骨プレートに対して摺動する楕円球状摺動部とを備えている。また、脛骨近位端に固定される脛骨プレートは、内側顆を受容する内側窩と、外側顆を受容する外側窩と、開口内に挿入されるスパインと、スパインの後面を構成し、楕円球状摺動部を摺動可能に受容する凹状摺動面とを備えている。
特開2010−188051
自然な膝は、膝の屈曲角度に応じたロールバックが起こる。特に、自然な膝では、ロールバック量が、浅屈曲で小さく(例えば、0mm〜約10mm)、深屈曲で大きい(例えば、約10mm〜30mm)という第1の特徴と、ロールバック率(膝の屈曲角度に対するロールバック量)が、浅屈曲では低く(例えば、約+0.1mm/度)、ある角度以上の深屈曲になると急激に高くなる(例えば、約+0.35mm/度)という第2の特徴がある。
しかしながら、特許文献1の人工膝関節では、膝の屈曲によってロールバックは起こるものの、膝の屈曲角度に応じたロールバック率の変化が生じない。
また、深屈曲におけるロールバック量が十分に大きくないと、深屈曲したときに大腿骨コンポーネントが脛骨に接触する原因になるおそれがある。
そこで、本発明は、自然な膝と同じように、ロールバック量及びロールバック率が、浅屈曲で小さく、深屈曲で大きい人工膝関節を提供することを目的とする。
本発明は、大腿骨遠位部に固定される大腿骨コンポーネントと、脛骨近位部に固定される脛骨トレーと、前記脛骨トレー上に係合された脛骨プレートと、を備えた人工膝関節であって、前記大腿骨コンポーネントは、内側顆と、外側顆と、前記内側顆と前記外側顆と間に開口部を残しつつ後端を接続する第1の摺動面と、前記第1の摺動面の上方に位置している第2の摺動面と、を備え、前記脛骨プレートは、前記内側顆を受容する内側窩と、前記外側顆を受容する外側窩と、前記内側窩と前記外側窩との間から上方に突出し、前記開口部に挿入されるポスト部と、前記ポスト部の後面に形成され、前記第1の摺動面が回転摺動可能に接触する第3の摺動面と、前記ポスト部の後方に形成され、前記第2の摺動面が回転摺動可能に接触する第4の摺動面と、を備えており、前記第1の摺動面と前記第4の摺動面は、凸状の曲面であり、前記第4の摺動面は、前記第3の摺動面よりも後方に位置しており、屈曲角度に応じて、前記第1の摺動面と前記第3の摺動面とが接触する第1の摺動状態と、前記第2の摺動面と前記第4の摺動面とが接触する第2の摺動状態とを有することを特徴とする。
ここで、本発明の人工膝関節の動作を説明するために、本明細書で使用される用語を定義する。
「後顆」とは、大腿骨コンポーネントの内側顆及び外側顆のうち、後方にある領域を指す。側面図(図17)において、後顆(図では外側顆の後顆22P)は円Cで近似することができる。
「後顆中心」とは、後顆22Pを円Cで近似した場合の円の中心Oを指す。
「大腿骨コンポーネントの回転中心」とは、大腿骨コンポーネントが回転動作をする際に中心となる位置である。回転中心の位置は、屈曲角度によって移動する。通常は、回転中心は、大腿骨コンポーネントの領域内に位置している。
「大腿骨コンポーネントの回転半径」とは、後顆中心Oと、大腿骨コンポーネントの回転中心との距離である。
「ロールバック量」とは、伸展時(屈曲角度0°)を基準としたときの「後顆中心」の前後方向(A−P方向)への移動量である。
「ロールバック率」とは、膝の屈曲角度1°あたりのロールバック量である。
以下に、図18を参照しながら本発明の人工膝関節の基本動作を説明する。
本発明の人工膝関節では、伸展時(屈曲角度0°)には、大腿骨コンポーネント20の内側顆21及び外側顆(図示せず)が、脛骨プレート30の内側窩31及び外側窩(図示せず)に接触している(図18(a))。これを「基準の摺動状態」と称する。そして、膝を屈曲していくと、例えば屈曲角度60°で、大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24が、脛骨プレート30の第3の摺動面34に接触して「第1の摺動状態」になる(図18(b))。次いで、例えば屈曲角度165°で、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25が、脛骨プレートの第4の摺動面35に接触して「第2の摺動状態」になる(図18(c))。
まず、各摺動状態における大腿骨コンポーネント20のロールバック量について検討する。
基準の摺動状態(図18(a))では、大腿骨コンポーネント20は実質的にロールバックしない。第1の摺動状態(図18(b))及び第2の摺動状態(図18(c))における大腿骨コンポーネント20のロールバック量は、大腿骨コンポーネント20が接触している脛骨プレートの接触位置CPに強く依存する。第1の摺動状態における大腿骨コンポーネントのロールバック量は、第3の摺動面34にある接触位置CP1に依存する。第2の摺動状態におけるロールバック量は、第4の摺動面35にある接触位置CP2に依存する。本発明の人工膝関節は、第4の摺動面35が第3の摺動面34よりも後方に位置しているので、接触位置CP2のほうが接触位置CP1よりも後方に位置することになる。その結果、第2の摺動状態のロールバック量は、第1の摺動状態のロールバック量より大きくなる。
すなわち、本発明の人工膝関節によれば、第4の摺動面35が、第3の摺動面34よりも後方に位置していることにより、浅屈曲ではロールバック量を小さく、深屈曲ではロールバック量を大きくすることができる。
本発明の人工膝関節は、第4の摺動面が第3の摺動面よりも後方に位置していることにより、ロールバック量が浅屈曲で小さく、深屈曲で大きくなり、そして、第1の摺動面と第4の摺動面とを凸状の曲面にすることにより、ロールバック率が浅屈曲で低く、深屈曲で高くなる。よって、本発明の人工膝関節は、従来の人工膝関節に比べて、自然な膝の動作により近い動作をすることができる。
図1は、実施の形態に係る人工膝関節の屈曲角度0°における斜視図である。 図2は、図1のX−X線における断面図である。 図3は、実施の形態1に係る人工膝関節の分解斜視図である。 図4は、実施の形態1に係る人工膝関節の屈曲角度90°における斜視図である。 図5は、図4のY−Y線における断面図である。 図6は、実施の形態1に係る人工膝関節の屈曲角度165°における斜視図である。 図7は、図6のZ−Z線における断面図である。 図8(a)〜(j)は、実施の形態1に係る人工膝関節の様々な屈曲角度における斜視図である。 図9(a)〜(j)は、実施の形態1に係る人工膝関節の様々な屈曲角度における部分断面斜視図である。 図10(a)〜(j)は、実施の形態1に係る人工膝関節の様々な屈曲角度における断面図である。 図11は、実施の形態1に係る人工膝関節の屈曲角度165°、回旋角度25°における斜視図である。 図12は、実施の形態1に係る人工膝関節の屈曲角度30°における断面図である。 図13は、自然な膝及び人工膝関節の後顆のロールバック量を、屈曲角度に対してプロットしたグラフである。図13(a)は自然な膝のグラフ、図13(b)は実施の形態1に係る人工膝関節のグラフ、図13(c)〜(d)は従来の人工膝関節のグラフである。 図14は、実施の形態2に係る脛骨プレートの下面図である。 図15は、実施の形態2に係る脛骨トレーの上面図である。 図16は、実施の形態2に係る人工膝関節の断面図である。 図17は、人工膝関節の大腿骨コンポーネントの後顆を円で近似する方法を示す断面図である。 図18(a)〜(c)は、本発明に係る人工膝関節の動作を説明するための断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及び、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
<実施の形態1>
本実施の形態では、左膝用の人工膝関節を例にとり、説明する。
図1〜図3は本発明の人工膝関節1を示しており、大腿骨遠位部に固定される大腿骨コンポーネント20と、脛骨近位部に固定される脛骨トレー40と、脛骨トレー40の上に係合された脛骨プレート30と、を含んでいる。
大腿骨コンポーネント20は、内側顆21と、外側顆22と、内側顆21と外側顆22と間に開口部23を残しつつ後端を接続する第1の摺動面24と、第1の摺動面24の上方に位置している第2の摺動面と、を備えている。
大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24は、凸状の曲面にされている。
脛骨プレート30は、大腿骨コンポーネント20の内側顆21を受容する内側窩31と、大腿骨コンポーネント20の外側顆22を受容する外側窩32と、内側窩31と外側窩32との間から上方に突出し、大腿骨コンポーネント20の開口部23に挿入されるポスト部36と、ポスト部36の後面に形成され、第1の摺動面24が回転摺動可能に接触する受容する第3の摺動面34と、ポスト部36の後方に形成され、第2の摺動面25が回転摺動可能に接触する第4の摺動面35と、を備えている。第4の摺動面35は、第3の摺動面34よりも後方に位置している。
脛骨プレート30の第4の摺動面35は、凸状の曲面にされている。
図2に示した第3の摺動面34は、ほぼ鉛直方向に伸びる曲面である。第3の摺動面34と、その後方に位置する第4の摺動面35との間は、曲面(凹状の曲面)で連続している。これにより、第1の摺動状態から第2の摺動状態への移行がスムーズに進み、膝関節の違和感を軽減することができる。
脛骨トレー40は、下面40bから突出して、脛骨に挿入されるステム41を備えている。脛骨トレー40の上面40uに脛骨プレート30が載置される。
本発明の人工膝関節1は、3つの係合(第1の係合3、第2の係合4、及び第3の係合5)が形成できるようになっている。
(1)「第1の係合3」とは、大腿骨コンポーネント20の内側顆21と脛骨プレート30の内側窩31とによる内側係合3Mと、大腿骨コンポーネント20の外側顆22と脛骨プレート30の外側窩32とによる外側係合3Lとを含む(図1、図3)。第1の係合3は、通常は、屈曲角度0〜165°(場合によっては0°〜180°)の範囲で形成される。屈曲角度によって、第1の係合3のみが形成される場合(例えば屈曲角度0°〜45°)と、第1の係合3と第2の係合4とが共に形成される場合(例えば屈曲角度45°〜150°)とがある。さらに、第1の係合3と第3の係合5とが共に形成される場合もある(例えば屈曲角度150°〜180°)。
(2)「第2の係合4」は、大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24と、脛骨プレート30の第3の摺動面34との接触により形成されている(図4、図5)。第2の係合4は、通常は、屈曲角度45°〜150°の範囲で形成される。上述したように、第2の係合4は、第1の係合3と共に形成される。
(3)「第3の係合5」は、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25と脛骨プレート30の第4の摺動面35との接触により形成される(図6、図7)。第3の係合5は、通常は、屈曲角度150°〜180°の範囲で形成される。上述したように、第3の係合5は第1の係合3と共に形成されるか、又は第3の係合5のみが形成される。
本発明の人工膝関節1は、屈曲角度に応じて、図4〜図5のように第2の係合4が形成される状態(すなわち、第1の摺動面24と第3の摺動面34とが接触する状態であり、これを「第1の摺動状態」と称する)と、図6〜図7のように第3の係合5が形成される状態(すなわち、第2の摺動面25と第4の摺動面35とが接触する状態であり、「第2の摺動状態」と称する)とが生じる。屈曲角度が増加すると、第1の摺動状態から第2の摺動状態へと移行する。
次に、本発明の人工膝関節の基本動作を具体的に説明する。
基準の摺動状態(例えば、屈曲角度0°〜45°)では、大腿骨コンポーネント20の内側顆21及び外側顆22が、脛骨プレート30の内側窩31及び外側窩32に接触している(図1〜図2)。第1の摺動状態(例えば、屈曲角度45°〜150°)では、大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24が、脛骨プレート30の第3の摺動面34に接触している(図4〜図5)。そして、第2の摺動状態(例えば、屈曲角度150°〜180°)では、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25が、脛骨プレートの第4の摺動面35に接触している(図6〜図7)。
ここで、大腿骨コンポーネント20のロールバック量は、基準の摺動状態、第1の摺動状態及び第2の摺動状態で異なる。
基準の摺動状態(図2)では、大腿骨コンポーネント20と脛骨プレート30との間に、大腿骨コンポーネント20の前後方向の動きを規制するような接触が存在しないためである。よって、大腿骨コンポーネント20は、脛骨プレート30に対して前後方向に移動しない(すなわち、大腿骨コンポーネント20は実質的にロールバックしない)。
第1の摺動状態(図5)では、大腿骨コンポーネント20(第1の摺動面24)は、第3の摺動面34の接触位置CP1において脛骨プレート30と接触する。図5からわかるように、大腿骨コンポーネント20は、脛骨プレート30(第3の摺動面34)によって前方向への移動を制限されている。
第2の摺動状態(図7)では、大腿骨コンポーネント20(第2の摺動面25)は、第4の摺動面35の接触位置CP2において脛骨プレート30と接触する。図7からわかるように、大腿骨コンポーネント20は、脛骨プレート30(第4の摺動面35)によって前方向への移動を制限されている。
本発明の人工膝関節1では、第4の摺動面35が第3の摺動面34よりも後方に位置しているので、接触位置CP2は接触位置CP1よりも後方に位置する(図5、図7)。接触位置CP1、CP2は、大腿骨コンポーネント20の後方位置を決定するファクターであるので、接触位置CP2で規定される(第2の摺動状態の)大腿骨コンポーネント20の位置は、接触位置CP1で規定される(第1の摺動状態の)大腿骨コンポーネント20の位置よりも後方になる。よって、第2の摺動状態のロールバック量は、第1の摺動状態のロールバック量より大きくなる。
なお、図10(c)〜(h)に示すように、接触位置CP1の位置は、屈曲角度の増加に伴って、第3の摺動面34の面上を後方に移動する。図10(c)〜(e)は第1の摺動状態、図10(f)〜(h)は第1摺動状態から第2摺動状態への移行状態、及び図10(i)〜(j)は第2の摺動状態を示している。移行状態でも屈曲角度が大きいほど、ロールバック量が大きくなる。第3の摺動面34と第4の摺動面35との間は、曲面(凹状の曲面)で連続しているので、第2の係合4から第3の係合5へスムーズに移行する。
なお、移行状態は、大腿骨コンポーネントの屈曲角度が75°〜155°で発生させることが望ましい。
このように、本発明の人工膝関節1によれば、第4の摺動面35が、第3の摺動面34よりも後方に位置していることにより、浅屈曲ではロールバック量を小さく、深屈曲ではロールバック量を大きくすることができる。
また、大腿骨コンポーネント20のロールバック率も、基準の摺動状態、第1の摺動状態及び第2の摺動状態で異なる。ロールバック率は、(ロールバック量)/(屈曲角度)として規定される。所定角度におけるロールバック量は、伸展時(屈曲角度0°)を基準としたときの所定角度における「後顆中心」の前後方向(A−P方向)への移動量である。
大腿骨コンポーネント20の回転運動を詳細に検討すると、以下のことがわかった。基準の摺動状態では、回転中心は、後顆中心O(O)の近傍に位置している(図10(a)、(b))。
基準の摺動状態では、大腿骨コンポーネント20が脛骨プレート30の上ですべってしまい、ロールバックが起こらない。そのため、回転中心が後顆中心O(O)とほぼ一致する結果になる。よって、大腿骨コンポーネント20のロールバック量はほぼ0である。一方、第1の摺動状態及び第2の摺動状態は、大腿骨コンポーネント20と脛骨プレート30とが接触位置CP1、CP2で接触しているため、大腿骨コンポーネント20は、後方への移動を強要される。よって、大腿骨コンポーネント20は、ロールバックして後方に移動する。第1の摺動状態では、大腿骨コンポーネント20が屈曲するに従って、CP1は第3の摺動面34を移動し、ロールバックする(図10(c)〜(h))。第2の摺動状態では、大腿骨コンポーネント20の屈曲に伴って、CP2は第4の摺動面35を移動するが、CP2はCP1より後方にあるために、大腿骨コンポーネント20のロールバック量は第1の摺動状態よりが大きくなる(図10(h)〜(j))。
本明細書では、(ロールバック率)=(ロールバック量)/(屈曲角度)で定義されている。基準の摺動状態では、ロールバック量はほぼ0であることから、ロールバック率もほぼ0であることがわかる。第1の摺動状態の中で図10(d)〜(e)間でのロールバック率を検討すると、大腿骨コンポーネント20の屈曲角度の変化は30度であり、ロールバック量は図10(d)の後顆中心Oと図10(e)の後顆中心Oの距離である。第2の摺動状態の中で図10(h)〜(i)間でのロールバック率を検討すると、大腿骨コンポーネント20の屈曲角度の変化は15度であり、ロールバック量は図10(h)の後顆中心Oと図10(i)の後顆中心Oの距離である。第2の摺動状態でのロールバック量は第1の摺動状態より大きく、第2の摺動状態での角度の変化は小さいので、第2の摺動状態のロールバック率は、第1の摺動状態のロールバック率より高いことがわかる。
上述のように、本発明の人工膝関節1によれば、自然な膝と同じように、ロールバック量及びロールバック率が、浅屈曲で小さく、深屈曲で大きくすることができる効果が得られる。
さらに、本発明の人工膝関節1は、大腿骨コンポーネント20の前方向(A方向)への脱臼を抑制する効果も期待される。
本発明の人工膝関節1では、脛骨プレート30のポスト部36が、大腿骨コンポーネント20の開口部23内に配置されている。この開口部23の後部は第1の摺動面24で閉じられている。よって、大腿骨コンポーネント20を脛骨プレート30に対して前方向(A方向)に平行移動させた時に、ポスト部36の先端が、第1の摺動面24と干渉しやすい。よって、大腿骨コンポーネント20が前方に移動して脛骨プレート30から脱臼するのを抑制する効果が期待できる。
また、本発明の人工膝関節1は、膝裏側の軟組織(血管や神経)への影響を低減できると期待できる。
大腿骨コンポーネント20の後顆の形状は、膝関節を深屈曲したときの回転運動及び回旋運動を制御するために、様々な工夫がされている。特に、特許文献1では、適正な回旋運動を実現するために、大腿骨コンポーネント20の後顆の後方に突出する球状突起を設けている。
本発明の人工膝関節1では、大腿骨コンポーネント20の後顆に球状曲面を設ける代わりに、脛骨プレート30に凸状曲面の第4の摺動面35を設けることにより、深屈曲時の回旋運動を可能にしている。そのため、大腿骨コンポーネント20の後方の突出が小さくなり、膝裏側の軟組織への影響(特に、伸展時の影響)を小さくできる効果が期待できる。
さらに、本発明の人工膝関節1は、第1の係合3の安定性が向上すると期待される。
脛骨プレート30には、第3の摺動面34と第4の摺動面35とが形成されている。第4の摺動面35は、第1の摺動状態(例えば、屈曲角度45°〜150°)の間は機能しない。よって、第4の摺動面35の前後方向(A−P方向)の寸法(長さ)と上下方向の寸法(高さ)は、屈曲角度150°になるまで接触しないように、小寸法にするのが好ましい。そのため、脛骨プレート30の内側窩31及び外側窩32を形成する面積を広く確保することができる。よって、第1の係合3の安定性を向上させる効果が期待できる。
本発明の人工膝関節1では、自然な膝関節と同様に、浅屈曲のロールバック率が低く、深屈曲のロールバック率が高い。特に、自然な膝関節では、ロールバック率の低い屈曲角度の範囲(ゾーン1)から、ロールバック率の高い屈曲角度の範囲(ゾーン2)へと移行する境界が、通常は75°〜155°の範囲内にある。よって、本発明の人工膝関節も、ゾーン1からゾーン2へと移行する境界が、75°〜155°の範囲内にあるのが好ましい。屈曲角度に対するロールバック量をプロットしたグラフ(例えば、図13)では、ロールバック率は、グラフの傾きに相当する。よって、大腿骨コンポーネント1のロールバック量の増加量の傾き(ロールバック率)が変化する屈曲角度が、75°〜155°の範囲にあるのが好ましいと言い換えることができる。
「傾きが変化する屈曲角度」は、グラフ中で、ゾーン1とゾーン2をそれぞれ直線で近似して、それらの直線の交点の位置から求めることができる。
脛骨プレート30の第3の摺動面34は、大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24と対応する形状にするのが好ましい。具体的には、第1の摺動面24が凸状曲面なので、第3の摺動面34は凹状曲面にする。これにより、第2の係合4が形成されるときに、第1の摺動面24と第3の摺動面34との接触面積が増加するので、第1の摺動面24と第3の摺動面34(特に、第3の摺動面34)の摩耗を低減することができる。
第1の摺動面24及び第3の摺動面34の組合せの例としては、大腿骨コンポーネント20の第1の摺動面24を、内側−外側方向(M−L方向)に軸を有する円筒体に形成し、第3の摺動面34を、円筒体を受けるような曲面にする。この例では、第2の係合4(例えば、屈曲角度45°〜150°)が形成されている間の回旋運動が制限されるので、膝の腱を切除した患者や、膝の腱が弱っている高齢者のように、膝関節の安定性に不安のある患者に好適である。
なお、第1の摺動面24及び第3の摺動面34の形状は、これに限定されず、第1の摺動状態を適切に実現できれば、どのような形状でも採用できる。
また、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25は、脛骨プレート30の第4の摺動面35と対応する形状にするのが好ましい。具体的には、第4の摺動面35が凸状曲面なので、第2の摺動面25は凹状曲面にする。これにより、第3の係合5が形成されるときに、第2の摺動面25と第4の摺動面35との接触面積が増加するので、第2の摺動面25と第4の摺動面35(特に、第4の摺動面35)の摩耗を低減することができる。
特に、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25が、球面状の凹状曲面を有し、
脛骨プレート30の第4の摺動面35が、球面状の凸状曲面を有しているのが好ましい。これにより、第3の係合5が形成されたときに、膝関節を回旋させることができる。
ここで、「球面状の凹状曲面」とは、矢状断面・水平断面のいずれでも凹状になる曲面のことを指しており、例えば真球の内表面、楕円球の内表面など様々な曲面を含む。また、「球面状の凸状曲面」とは、矢状断面・水平断面のいずれでも凸状になる曲面のことを指しており、例えば真球の外表面、楕円球の外表面など様々な曲面を含む。
次に、屈曲角度の変化に伴う人工膝関節1の変化を、図8〜図10を参照しながら詳細に説明する。
(1)伸展時〜浅屈曲(屈曲角度0°〜45°、図8〜図10の(a)〜(c))
第1の係合3(大腿骨コンポーネント20の内側顆21と脛骨プレート30の内側窩31とによる内側係合3Mと、大腿骨コンポーネント20の外側顆22と脛骨プレート30の外側窩32とによる外側係合3L)が形成されている。
(2)第1の状態(屈曲角度45°〜150°、図8〜図10の(c)〜(h))
上記の第1の係合3と、第2の係合4(大腿骨コンポーネント20の第1凸状曲面部24と、脛骨プレート30の第2凹状曲面部34とから成る)とが、共に形成されている。第2の係合4では、大腿骨コンポーネント20の第1凸状曲面部24が、脛骨プレート30の第2凹状曲面部34と接触しているので、大腿骨コンポーネント20は前方Aへ脱臼するのが抑制される。
なお、第1の摺動状態を屈曲角度45°〜150°の間維持すると、人工膝関節の動きが、自然な膝関節に近づけることができるので好ましい。
(3)第2の状態(屈曲角度150°〜180°、図8〜図10の(h)〜(j))
第2の係合4から、第3の係合5(大腿骨コンポーネント20の第1凹状曲面部25と脛骨プレート30の第2凸状曲面部35とから成る)へと移行する。また、大腿骨コンポーネント20は後方Pにオフセットされると、第1の係合3も解消される。しかしながら、人工膝関節1が回旋すると、第1の係合3のうち内側係合3M又は外側係合3Lのいずれか一方が再度形成される。
なお、第2の摺動状態を屈曲角度150°〜180°の間維持すると、人工膝関節の動きが、自然な膝関節に近づけることができるので好ましい。
図11は、屈曲角度165°、回旋角度25°における人工膝関節1を示している。脛骨プレート30を基準として、大腿骨コンポーネント20が矢印Rに沿って外旋する。これにより、第2の状態において、内側顆21と内側窩31との間の内側係合3Mが形成される。このように、第2の状態では、大腿骨コンポーネント20のオフセットと大腿骨コンポーネント20の回旋との相乗効果により、内側係合3M(内側顆21と内側窩31との係合)と、外側係合3L(外側顆22と外側窩32との係合)のいずれか一方が接触(残り他方が非接触)になるのが好ましい。これにより、第2の状態での回旋自由度を維持しながら、回旋後の膝関節を安定させることができる。
自然な膝関節の動きを再現する為には、より浅い屈曲角度でポストとカムを係合させ、ロールバック量をコントロールできることが望ましい。また、歩行時の際に膝関節が荷重を受ける屈曲角度は約30°程度であり、30°付近にて脱臼抵抗性が高いことが望まれる。図12に示すように、屈曲角度30°において、第1凸状曲面部24の下端24bが、ポスト部36の上端36tより下側に位置すると、屈曲角度30°のときにジャンピング・ディスタンスJDが正にすることができる。
ここで「ジャンピング・ディスタンス」とは、大腿骨コンポーネント20が前方向に脱臼する際に乗り越えなくてはならない障害の「高さ」のことである。本発明の人工膝関節1では、ジャンピング・ディスタンスは、第1凸状曲面部24の下端24bと、ポスト部36の上端36tとの高さの差に相当する。
図12のように、ポスト部36の上端36tの位置が、第1凸状曲面部24の下端24bの位置より高い場合は、大腿骨コンポーネント20が脱臼する際に乗り越えなくてはならない障害が存在する。障害がある場合に、ジャンピング・ディスタンスJDを正の値(JD>0)とする(これを「正のジャンピング・ディスタンスと称する」)。
よって、図12のように、ジャンピング・ディスタンスJPを正にすることにより、30°における大腿骨コンポーネント20の前方脱臼を抑制することができる。
上述のように、本発明の人工膝関節1では、脛骨プレート30のポスト部36が、大腿骨コンポーネント20の開口部23内に配置されていることにより、大腿骨コンポーネント20が前方に移動して脛骨プレート30から脱臼するのを抑制する効果が期待できる。ただし、図10からも分かるように、深屈曲ではジャンピング・ディスタンスJPが大きいため、脱臼抑制効果が大きい。一方、浅屈曲(特に屈曲角度0°)では、ジャンピング・ディスタンスJPが小さい(又は場合によってはジャンピング・ディスタンスJPが負になる)ので、脱臼抑制効果が小さい(又は効果がない)。
一般的には、屈曲角度0°では、大腿骨コンポーネント20を前方向に動かす力がかからないため、通常の患者であればそれほど問題ではない。しかしながら、高齢者などの膝関節周りの筋肉が弱い患者の場合には、図1に示すように、屈曲角度0°において、第1凸状曲面部24の下端24bが、ポスト部36の上端36tより下側に位置するのが好ましい。これにより、屈曲角度0°においても、大腿骨コンポーネント20の前方への脱臼を抑制することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、第3の係合5における膝関節の回旋自由度を高めるために、大腿骨コンポーネント20の第2の摺動面25を球面状の凹状曲面とし、脛骨プレート30の第4の摺動面35を、球面状の凸状曲面としていた。
実施の形態2では、別の形態によって、膝関節の回旋自由度を高めている点で、実施の形態1と異なっている。
実施の形態2では、脛骨プレート30は、脛骨トレー40の上に、回旋可能に係合されている。具体的には、図14のように、脛骨プレート30の下面30bに円筒状の凸部39が形成されており、図15のように、脛骨トレー40の上面40uに、凸部39を受容するための凹部49が形成されている。このような凸部39と凹部49との係合を「回旋係合6」と称する。脛骨プレート30は、脛骨トレー40に対して凸部39の軸中心39Cを中心として回転することができる。その結果、脛骨プレート30の上側に位置する大腿骨コンポーネント20も、脛骨トレー40に対して回転することができる。このようにして、回旋係合6を形成することにより、人工膝関節1を回旋させることができる。
なお、円筒状の凸部39は、図16のように、下に向かって縮径したテーパー状の凸部39にすることもできる。
人工膝関節1が回旋係合6を含んでいる場合、第3の係合5自体に回旋能を有していなくてもよい。よって、脛骨プレート30の第2凸状曲面部35を、内側−外側方向(M−L方向)に軸を有する円筒体に形成し、大腿骨コンポーネント20の第1凹状曲面部25を、円筒体を受けるような曲面にすることができる。
回旋係合6は、第1の係合3、第2の係合4及び第3の係合5のいずれにおいても回旋可能である。しかし、自然な膝と同様に深屈曲(例えば150°〜180°)での回旋性が高いのが好ましい。例えば、回旋結合部6をより後方に形成することにより、深屈曲での回旋性を高めることができる。
回旋結合部6が回旋すると、脛骨プレート30の後方部分及び大腿骨コンポーネント20の後方部分は、脛骨トレー40に対して内側方向に移動する。この内側方向への移動量が大きすぎると膝関節が不自然な動きになるので好ましくない。この内側方向への移動量は、回旋結合部6を後方に形成するほど大きくなる。
深屈曲時における回旋性と、回旋時の内側方向への移動量とを考慮すると、回旋結合部6は、脛骨トレーを前後方向に3等分(図14の前側領域30A、中央領域30C、後側領域30P)にしたときの中央領域30Cに位置することが好ましい。より具体的には、脛骨プレート30の凸部39の軸中心39Cが、中央領域30Cの範囲内に位置するのが好ましい。
なお、中央領域30Cの領域内において、軸中心39Cの位置を前寄りにすると、回旋結合部6の回旋能が抑制されて、脛骨トレー40に対する大腿骨コンポーネント20の回旋方向の動作が安定する。例えば、膝関節まわりの筋肉が弱っている患者(例えば高齢者)に適用する場合には、軸中心39Cの位置を前寄りにすることもできる。
図13に、自然な膝及び人工膝関節のロールバック量をシミュレーションして、膝の屈曲角度に対してプロットしたグラフを示す。
ロールバック量の符号は、後顆中心Oが後方に移動した場合を正(+)、前方に移動した場合を負(−)とする。
膝の屈曲角度を増加したときに、ロールバック量が増加(つまり、後顆中心Oが後方に移動)したときは、ロールバック率の符号は正(+)である。反対に、膝の屈曲角度を増加したときに、ロールバック量が減少(つまり、後顆中心Oが前方に移動)したときは、ロールバック率の符号は負(−)である。ロールバック率は、屈曲角度に対してロールバック量をプロットしたときに、グラフの接線の傾きに一致する。
図13(a)は、自然な膝のロールバック量を示すグラフであり、30°〜90°ではほぼ水平であり、90°〜120°ではわずかに正に傾いており、120°〜180°では大きく正に傾いている。このグラフから見積もられるゾーン1とゾーン2との境界は、110°である。
図13(b)は、実施の形態1の人工膝関節1のロールバック量を示すグラフである。自然な膝のグラフ(図13(a))とよく似ており、0°〜90°ではほぼ水平であり、90°〜120°ではわずかに正に傾いており、120°〜180°では大きく正に傾いている。このグラフから見積もられるゾーン1とゾーン2との境界は、自然な膝と同じく、110°である。
図13(c)〜(d)は従来の人工膝関節のグラフである。図13(c)では、0°〜70°では、緩やかに負に傾いており、70°〜175°では、緩やかに正に傾いている。グラフの変曲点は、70°である。
一方、図13(d)では、0°〜30°では、緩やかに負に傾いており、30°〜180°では、緩やかに正に傾いている。グラフの変曲点は、30°である。
図13から明らかなように、本発明の人工膝関節(図13(b))は、自然な膝関節(図13(a))とは、グラフの傾き、ゾーン1とゾーン2との境界角度などの点で類似している。よって、本発明の人工膝関節1は、従来の人工膝関節に比べて自然な膝関節の動きを再現することができることがわかる。
1 人工膝関節
3 第1の係合
3M 内側係合
3L 外側係合
4 第2の係合
5 第3の係合
6 回旋係合
20 大腿骨コンポーネント
21 内側顆
21P 内側顆の後顆
22 外側顆
23 開口部
24 第1の摺動面
24b 第1の摺動面の下端
25 第2の摺動面
30 脛骨プレート
30b 下面
31 内側窩
32 外側窩
34 第3の摺動面
35 第4の摺動面
36 ポスト部
36t ポスト部の上端
39 凸部
40 脛骨トレー
40u 脛骨トレーの上面
40b 脛骨トレーの下面
41 ステム
49 凹部
JD ジャンピング・ディスタンス
C 後顆の近似円
CP 大腿骨コンポーネントと脛骨プレートとの接触位置
O 後顆中心
A 前方
P 後方
M 内側
L 外側
R 回旋

Claims (10)

  1. 大腿骨遠位部に固定される大腿骨コンポーネントと、
    脛骨近位部に固定される脛骨トレーと、
    前記脛骨トレー上に係合された脛骨プレートと、を備えた人工膝関節であって、
    前記大腿骨コンポーネントは、
    内側顆と、
    外側顆と、
    前記内側顆と前記外側顆と間に開口部を残しつつ後端を接続する第1の摺動面と、
    前記第1の摺動面の上方に位置している第2の摺動面と、を備え、
    前記脛骨プレートは、
    前記内側顆を受容する内側窩と、
    前記外側顆を受容する外側窩と、
    前記内側窩と前記外側窩との間から上方に突出し、前記開口部に挿入されるポスト部と、
    前記ポスト部の後面に形成され、前記第1の摺動面が回転摺動可能に接触する第3の摺動面と、
    前記ポスト部の後方に形成され、前記第2の摺動面が回転摺動可能に接触する第4の摺動面と、を備えており、
    前記第1の摺動面と前記第4の摺動面は、凸状の曲面であり、
    前記第4の摺動面は、前記第3の摺動面よりも後方に位置しており、
    屈曲角度に応じて、前記第1の摺動面と前記第3の摺動面とが接触する第1の摺動状態と、前記第2の摺動面と前記第4の摺動面とが接触する第2の摺動状態とを有することを特徴とする人工膝関節。
  2. 前記第1の摺動状態から前記第2の摺動状態へと移行する屈曲角度が、75°〜155°の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の人工膝関節。
  3. 前記第2の摺動面は、凹状の曲面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工膝関節。
  4. 前記第2の摺動面が、球面状の凹状曲面を有し、
    前記第4の摺動面が、球面状の凸状曲面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工膝関節。
  5. 前記第3の摺動面は、凹状の曲面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の人工膝関節。
  6. 前記脛骨プレートが、前記脛骨トレー上で回旋可能に係合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工膝関節。
  7. 屈曲角度45°〜150°では前記第1の摺動状態にあり、
    屈曲角度150°〜180°では前記第2の摺動状態にある特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の人工膝関節。
  8. 前記第2の状態では、前記内側顆と前記内側窩との間及び前記外側顆と前記外側窩との間が非接触であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
  9. 屈曲角度30°において、前記第1の摺動面の下端が、前記ポスト部の上端より下側に位置することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の人工膝関節。
  10. 屈曲角度0°において、前記第1凸状曲面部の下端が、前記ポスト部の上端より下側に位置することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の人工膝関節。
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