JP2024008257A - 人工膝関節インプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】メディアルピボット運動及びロールバック運動を再現できるとともに、高い安定性を担保できる人工膝関節インプラントを提供する。【解決手段】人工膝関節インプラントは、大腿骨コンポーネントと、脛骨コンポーネントと、を備える。大腿骨コンポーネントの大腿骨内側顆部は、内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角(θM)以下の場合に脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径(R11)で形成されるとともに、屈曲角が内側曲率変化角(θM)を超える場合に脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径(R11)よりも小さい第2の内側曲率半径(R12)で形成されており、屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が内側曲率変化角(θM)以下の場合と、内側曲率変化角を超える場合とで、脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ内側曲率半径(R13、R14)で形成されている。【選択図】図12

Description

本発明は、メディアルピボット型の人工膝関節インプラントに関する。
従来、変形性膝関節症や関節リウマチなどにより変形した膝関節を、人工膝関節に置換する全人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)が知られている。全人工膝関節置換術に用いられる人工膝関節インプラントは、大腿骨の遠位端に固定される大腿骨コンポーネントと、脛骨の近位端に固定される脛骨コンポーネントと、を備えている(例えば、特許文献1、2参照)。
大腿骨コンポーネントは、大腿骨の遠位端側の関節面を形成し、脛骨コンポーネントは、脛骨の近位端側の関節面を形成する。大腿骨コンポーネントと脛骨コンポーネントとが、摺動可能に当接することにより、膝関節としての機能が実現される。
ところで、膝関節は、荷重関節であるにも関わらず、6自由度を有する関節であり、本来なら非常に不安定で適合性が悪い関節である。この不安定な関節を安定させるために、膝関節では、骨と骨をつなぐ靱帯が重要な役割を果たし、また、関節の適合性をよくするために半月板が発達している。
具体的には、膝関節では、前十字靱帯(ACL:Anterior Cruciate Ligament)、後十字靱帯(PCL:Posterior Cruciate Ligament)、内側側副靱帯(MCL:Medial Collateral Ligament)、及び外側側副靱帯(LCL:Lateral Collateral Ligament)の4つの靱帯により、安定性が獲得されている。例えば、ACL及びPCLは、大腿骨に対して脛骨が前後にずれるのを制御している。また、PCLは、安定性の獲得だけでなく、屈曲に伴い緊張して大腿骨を後方に引っ張り、ロールバック運動(大腿骨が脛骨関節面を後方にすべりながら転がる運動)を誘発するという機能も有している。
人工膝関節置換術では、ACLを切除して、温存したPCLのみにより安定性を得るCR(Cruciate Retaining)型の人工膝関節インプラント、又は、ACL、PCLともに切除し、ポスト-カム機構等のインプラントデザインにより安定性を得るPS(Posterior Stabilized)型の人工膝関節インプラントが選択されることが多い。
CR型の人工膝関節インプラントは、温存したPCLにより後方安定性が担保されるために、中間屈曲位以降におけるロールバック運動の誘発も期待できる。また、ポスト-カム機構を利用したPS型の人工膝関節インプラントは、バランス調整の観点から手技が容易であり、機械的にロールバック運動を誘発するため深屈曲しやすいという利点がある(特許文献2参照)。
しかしながら、CR型人工膝関節インプラントを用いた人工膝関節では、安定化機構であるPCLが中間屈曲位以降でしか緊張しないため、屈曲運動に伴い大腿骨コンポーネントが前方に滑り、前後方向において不安定になる。同様に、PS型人工膝関節インプラントを用いた人工膝関節では、ポスト-カムが噛み合うまでは前後方向において不安定になる。
一方で、ポスト-カム機構ではなく、関節面の形状により拘束性を高めることで、膝関節の安定性を獲得する人工膝関節インプラントの開発も進められている。例えば、大腿骨コンポーネントの内側顆部の関節面をボール形状に形成し、脛骨コンポーネントの内側顆部の関節面を球面ソケット形状に形成した人工膝関節インプラントが提案されている。大腿骨内側顆部のボール形状と脛骨内側顆部の球面ソケット形状を同等の曲率半径で形成することにより、大腿骨内側顆部は脛骨内側顆部に拘束されるので、高い安定性を得ることができる。この種の人工膝関節インプラントは、健常な膝関節における内側顆を中心とする回旋運動(以下、「メディアルピボット運動」と称する)を再現できるので、「MP(Medial Pivot)型」と称される。このように、MP型人工膝関節インプラントは、メディアルピボット運動を再現でき、また、浅屈曲位においても前後安定性を獲得できる点で、CR型やPS型人工膝関節インプラントよりも優れている。
特開2016-77732号公報 特表2017-505214号公報
しかしながら、従来のMP型人工膝関節インプラントでは、屈曲運動における安定性を重視して、大腿骨コンポーネントにおける内側顆部の少なくとも屈曲0°(伸展0°)~屈曲90°にわたる関節面が単一の曲率半径で形成されている(図1参照)。一般的には、大腿骨コンポーネントの内側顆部は、伸展45°~屈曲90°にわたって単一の曲率半径のボール形状を有している。そのため、健常な膝関節で生じるロールバック運動が再現されず、深屈曲における関節可動域が小さくなるため、深屈曲時の曲がりにくさに患者が違和感を覚える虞がある。
ここで、「屈曲0°(伸展0°)」とは、大腿骨の機能軸と脛骨の機能軸が一致する直立状態であり、「屈曲90°」とは、膝関節を90°屈曲した状態である。同様に、本明細書では、膝関節を角度θだけ屈曲した状態を、「屈曲θ」と表記する。また、大腿骨コンポーネントの関節面における脛骨コンポーネントとの接触面の最下点を「コンタクトポイント」、屈曲時のコンタクトポイントの軌跡を「コンタクトライン」と称する。
本発明の目的は、メディアルピボット運動及びロールバック運動を再現できるとともに、高い安定性を担保できる人工膝関節インプラントを提供することである。
本発明に係る人工膝関節インプラントは、
大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
前記大腿骨内側顆部は、
内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角以下の場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記内側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の内側曲率半径よりも小さい第2の内側曲率半径で形成されており、
屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が前記内側曲率変化角以下の場合と、前記内側曲率変化角を超える場合とで、前記脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ内側曲率半径で形成されている。
本発明に係る人工膝関節インプラントは、
大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
前記大腿骨外側顆部は、
外側矢状断面では、前記屈曲角が外側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記外側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の外側曲率半径よりも小さい第2の外側曲率半径で形成されており、
屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が前記外側曲率変化角以下の場合と、前記外側曲率変化角を超える場合とで、前記脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ外側曲率半径で形成されている。
本発明に係る人工膝関節インプラントは、
大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
前記大腿骨内側顆部は、
内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記内側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の内側曲率半径よりも小さい第2の内側曲率半径で形成されており、
前記大腿骨外側顆部は、
外側矢状断面では、前記屈曲角が外側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記外側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の外側曲率半径よりも小さい第2の外側曲率半径で形成されており、
前記外側曲率変化角は、前記内側曲率変化角よりも小さい。
本発明に係る人工膝関節インプラントは、
大腿骨の遠位端に配置された大腿骨コンポーネントと、
脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨コンポーネントを受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
前記大腿骨コンポーネントは、
矢状断面では、屈曲角が曲率変化角を越えると、曲率半径がより小さくなるよう形成される一方、
屈伸軸を含むIFA断面では、前記曲率変化角前後で、曲率半径が同じになるように形成されている。
本発明に係る人工膝関節インプラントは、
大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨外側顆部及び大腿骨内側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨コンポーネントを受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
前記大腿骨外側顆部の外側曲率変化角は、前記大腿骨内側顆部の内側曲率変化角よりも小さく形成され、
屈曲角が大きくなると、屈伸軸の前記大腿骨外側顆部側が、前記大腿骨内側顆部側よりも先に、前記脛骨コンポーネントに近接し、前記大腿骨外側顆部と前記脛骨コンポーネントとの適合性が低下する。
本発明によれば、メディアルピボット運動及びロールバック運動を再現できるとともに、高い安定性を担保できる人工膝関節インプラントを提供することができる。
図1は、従来の大腿骨コンポーネントを模式的に示す図である。 図2A、図2Bは、実施の形態に係る人工膝関節インプラントの斜視図である。 図3A、図3Bは、実施の形態に係る人工膝関節インプラントの斜視図である。 図4は、大腿骨コンポーネントにおける大腿骨内側顆部の関節面を示す側面図である。 図5A、図5Bは、大腿骨内側顆及び大腿骨外側顆におけるコンタクトラインの解析結果を示す図である。 図6A~図6Hは、屈曲時における大腿骨内側顆部の動きを示す図である。 図7A~図7Hは、屈曲時における大腿骨外側顆部の動きを示す図である。 図8A~図8Cは、歩行時における屈伸軸の挙動を示す図である。 図9A~図9Cは、スクワット時における屈伸軸の挙動を示す図である。 図10A、図10Bは、第2の実施の形態に係る人工膝関節インプラントを示す図である。 図11A、図11Bは、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部の矢状断面を示す図である。 図12A、図12Bは、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部のIFA断面を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図2A、図2B、図3A及び図3Bは、実施の形態に係るMP型の人工膝関節インプラント1を示す斜視図である。また、図4は、大腿骨コンポーネント10の大腿骨内側顆部11の関節面111、112を示す側面図である。人工膝関節インプラント1は、患者の左膝関節用の人工膝関節である。
図2A、図2Bは、正面から見た斜視図であり、図3A、図3Bは、背面から見た斜視図である。また、図2A、図3Aは、大腿骨コンポーネント10と脛骨コンポーネント20を当接させた状態(実際の使用状態)を示し、図2B、図3Bは、大腿骨コンポーネント10と脛骨コンポーネント20を分解した状態を示している。
人工膝関節インプラント1は、変形性膝関節症や関節リウマチなどにより損傷した膝関節を、健常な膝関節と同等の機能が得られるように置換するための人工物であり、例えば、全人工膝関節置換術において用いられる。
図2A、図2B、図3A及び図3Bに示すように、人工膝関節インプラント1は、大腿骨コンポーネント10と、脛骨コンポーネント20と、で構成される。
大腿骨コンポーネント10は、大腿骨の遠位端に固定され、脛骨コンポーネント20は、脛骨の近位端に固定される。膝関節の屈伸運動に伴い、大腿骨コンポーネント10と脛骨コンポーネント20との間で、転がり運動及びすべり運動が行われることにより、大腿骨コンポーネント10及び脛骨コンポーネント20は、相対的に変位する。
大腿骨コンポーネント10は、生体親和性を有する硬質材料(例えば、コバルトクロム合金、チタン合金、又はセラミック)で形成される。大腿骨コンポーネント10は、側面視において、全体として略C字形状に形成されている。大腿骨コンポーネント10の関節面の形状(曲率半径等)は、上顆軸(SEA:Surgical Epicondylar Axis)を基準として、健常な大腿骨の関節面形状を解析することにより設定される。
大腿骨コンポーネント10は、大腿骨の内側顆に取り付けられる大腿骨内側顆部11と、外側顆に取り付けられる大腿骨外側顆部12と、を有する。大腿骨内側顆部11と大腿骨外側顆部12は、内外方向に並んで配置されている。大腿骨内側顆部11と大腿骨外側顆部12の前側の部分は、接続部13により滑らかに連結されている。大腿骨内側顆部11と大腿骨外側顆部12の後側の部分は、大腿骨の顆間窩が露出するように、互いに離間している。
大腿骨内側顆部11の表面11a及び大腿骨外側顆部12の表面12aが、それぞれ、脛骨コンポーネント20と当接する大腿骨内側関節面及び大腿骨外側関節面を形成する。具体的には、大腿骨内側顆部11の表面11aのうち、伸展0°~屈曲側最大角において脛骨コンポーネント20と接触する部分が、大腿骨内側関節面となる。また、大腿骨外側顆部12の表面12aのうち、伸展0°~屈曲側最大角において脛骨コンポーネント20と接触する部分が、大腿骨外側関節面となる。
大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12は、それぞれの関節面が、ボール形状の球面を呈するように形成されている。大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12は、ともに同一のインプラント屈伸軸(IFA:Implant Flexion Axis)を有しており、それぞれの矢状断面において、IFAを中心軸とした円弧の一部で形成される単一半径領域を有している。大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の矢状断面とは、伸展0°の姿勢にある大腿骨コンポーネント10において、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12のコンタクトポイントを通る矢状面である。以下において、大腿骨内側顆部11の矢状断面を「内側矢状断面」、大腿骨外側顆部12の矢状断面を「外側矢状断面」と称する。
大腿骨内側顆部11のボール形状は、IFAを通る前後軸の周りに大腿骨内側関節面の単一半径領域を回転させることにより形成される。同様に、大腿骨外側顆部12のボール形状は、IFAを通る前後軸の周りに大腿骨外側関節面の単一半径領域を回転させることにより形成される。つまり、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の単一半径領域を規定する曲率円の中心は、IFA上に位置する。
大腿骨外側関節面の外側曲率半径R2は、大腿骨内側関節面の内側曲率半径R1よりも小さく設定されている。これにより、内傾したジョイントライン(大腿骨内側関節面のコンタクトポイントと大腿骨外側関節面のコンタクトポイントを結ぶ線)を再現することができる。
大腿骨内側顆部11の裏面11b及び大腿骨外側顆部12の裏面12bは、それぞれ、大腿骨の内側顆及び外側顆に取り付けられる大腿骨取付面を形成する。大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の裏面11b、12bは、例えば、直線的な折れ線形状に形成されており、それぞれの形状に応じて、大腿骨の骨切りが行われる。
また、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の裏面11b、12bには、係合ピン14が立設されている。大腿骨に大腿骨コンポーネント10を取り付ける場合、係合ピン14が、大腿骨の骨切り面に設けられた係合孔に挿入される。そして、骨セメント、又は生体活性材料を含むコーティング剤などを用いて固定される。
脛骨コンポーネント20は、脛骨インサート20Aと、脛骨ベースプレート(脛骨トレイ)20Bと、を有する。脛骨インサート20Aは、ポリエチレン等の合成樹脂材料で形成される。脛骨ベースプレート20Bは、大腿骨コンポーネント10と同様に、生体親和性を有する硬質材料で形成される。
脛骨インサート20Aは、平板形状を有する。脛骨インサート20Aの表面(大腿骨コンポーネント10側の面)には、大腿骨コンポーネント10の大腿骨内側顆部11を受ける脛骨内側顆部21と、大腿骨外側顆部12を受ける脛骨外側顆部22とが、球面状に凹んで形成されている。脛骨内側顆部21及び脛骨外側顆部22は、それぞれ、大腿骨コンポーネント10と当接する脛骨内側関節面及び脛骨外側関節面である。
脛骨内側顆部21及び脛骨外側顆部22は、例えば、大腿骨コンポーネント10を屈伸軸周りに回動させたときの大腿骨内側関節面及び大腿骨外側関節面の三次元形状を元に形成される。
脛骨内側顆部21は、大腿骨内側関節面と同等の曲率半径で球面ソケット形状に形成される。具体的には、脛骨内側顆部21は、大腿骨内側関節面のうち、第1の内側関節面111(図4参照)と同等の曲率半径を有している。これにより、大腿骨内側顆部11は、脛骨内側顆部21に拘束されるので、屈曲時の安定性が向上する。一方、脛骨外側顆部22は、脛骨内側顆部21よりも大きい曲率半径で略平坦に形成されている。これにより、大腿骨外側顆部12の回旋及び前後移動が許容される。したがって、屈曲時に、大腿骨内側顆部11を中心に、メディアルピボット運動が行われる。
人工膝関節インプラント1は、大腿骨内側顆及び大腿骨外側顆からなる大腿骨顆部に存在する屈伸軸(例えば、SEA)に、大腿骨コンポーネント10のインプラント屈伸軸(IFA)が一致するように設置される。
さらに、本実施の形態では、大腿骨内側関節面は、第1の内側関節面111と第2の内側関節面112を有している(図4参照)。第1の内側関節面111は、第1の内側曲率半径R11で形成され、第2の内側関節面112は、第1の内側曲率半径R11よりも小さい第2の内側曲率半径R12で形成されている。第1の内側関節面111から第2の内側関節面112には、屈曲θで切り変わる。具体的には、大腿骨内側関節面の内側曲率半径R1は、内側矢状断面において、屈曲角がθのときに最下点となる点を境にして、第1の内側曲率半径R11から第2の内側曲率半径R12に切り替わる。すなわち、大腿骨コンポーネント10では、大腿骨後顆部に相当する部位が、より本来の解剖学的形状に近くなっている。
ここで、大腿骨内側顆部11の曲率半径が変化する屈曲角θ(以下、「内側曲率変化角θ」と称する)は、人工膝関節インプラント1を装着する患者の大腿骨の形状に応じて適宜設定することができる。内側曲率変化角θは、80°未満であればよく、典型的には、45~60°である。以下の説明では、内側曲率変化角θ=60°とした場合について説明する。
第2の内側曲率半径R12が第1の内側曲率半径R11よりも小さいため、屈曲角が内側曲率変化角θを超えると、膝関節の屈曲に伴いインプラント屈伸軸であるIFAが脛骨に近づく。上述したように、大腿骨コンポーネント10は、IFAとSEAが一致するように設置されているので、屈曲θ以降で、SEAの内側端に付着している内側側副靱帯の緊張度は低下することになる。したがって、屈曲θ以降では、内側側副靱帯の緊張度の緩和と脛骨側のソケット形状に対する適合性の低下の相乗効果によって、大腿骨内側顆部11の前後方向への可動性が向上し、ロールバック運動が行われやすくなる。
なお、第2の内側曲率半径R12は、単一半径でなくてもよい。本実施の形態では、第2の内側関節面112は、第1の内側関節面111から曲率半径が徐々に減少し、いわゆるアルキメデスカーブを描く領域112aと、単一半径の領域112bを含んでいる。これにより、大腿骨内側関節面を滑らかに形成することができる。
図5A~図5Cは、実際の大腿骨内側顆及び大腿骨外側顆におけるコンタクトラインCL1、CL2の解析結果(サンプル数:50)を示す図である。図5Aは、大腿骨後顆部におけるコンタクトラインCL1、CL2を示す。図5Bは、屈曲0°~屈曲140°の範囲におけるコンタクトラインCL1、CL2を、前額面に投影して示した図であり、縦軸は屈伸軸(ここでは、SEA)を基準とする上下方向の位置を示し、横軸は大腿骨の正中矢状面を基準とする内外方向の位置を示している。また、図5Cは、伸展60°(屈曲-60°)~屈曲140°のコンタクトラインCL1、CL2を、矢状面に投影した図であり、縦軸及び横軸は、それぞれ、屈伸軸を基準とする上下方向の位置及び前後方向の位置を示している。
図5A~図5Cに示すように、大腿骨外側顆のコンタクトラインCL2は、大腿骨内側顆のコンタクトラインCL1に比較して、屈曲角度が増大するに伴い大腿骨の正中側に変位しており、コンタクトラインCL1,CL2は、全体として「ハ」字形状を有している。
そこで、大腿骨コンポーネント10及び脛骨コンポーネント20は、大腿骨内側関節面及び大腿骨外側関節面におけるコンタクトラインが、全体として「ハ」字形状を有するように形成されることが好ましい。これにより、大腿骨コンポーネント10及び脛骨コンポーネント20の屈曲時の当接状態が、より本来の解剖学的状態に近くなるので、健常な膝関節と同様の挙動が得られやすくなる。
図6A~図6Hは、屈曲時における大腿骨内側顆部11の動きを示す図である。図7A~図7Hは、屈曲時における大腿骨外側顆部12の動きを示す図である。図6A~図6H及び図7A~図7Hは、それぞれ、屈曲0°~屈曲105°までの状態を、15°刻みで示している。
図7A~図7Hに示すように、大腿骨外側顆部12は、屈曲運動に伴い、屈伸軸SEAが後側に変位している。また、図6A~図6Hに示すように、大腿骨内側顆部11は、屈曲60°までは屈伸軸がほとんど変位せず(図6A~図6E参照)、屈曲60°以降において後側に変位している(図6F~図6H参照)。
つまり、人工膝関節インプラント1においては、屈曲60°くらいまでの中間屈曲位では、大腿骨内側顆部11が脛骨内側顆部21に拘束されてメディアルピボット運動が支配的となる。一方、屈曲60°以降の深屈曲位では、大腿骨内側顆部11の曲率半径が小さくなるので、脛骨内側顆部21による拘束が緩和され、ロールバック運動が行われる。
図8A、図9Aは、人工膝関節インプラント1を適用した人工膝関節の屈伸軸(ここでは、SEA)の挙動をシミュレーションした結果を示す図である。比較例として、従来のMP型の人工膝関節インプラントを適用した場合の屈伸軸の挙動を図8B及び図9Bに、健常膝の膝関節の屈伸軸の挙動を図8C及び図9Cに示す。図8A~図8Cは、歩行時の屈曲5°、40°、55°、75°、90°、100°における屈伸軸のシミュレーション結果であり、図9A~図9Cは、スクワット時の屈曲0°、30°、45°、60°、75°、90°における屈伸軸のシミュレーション結果である。
図8A~図8C及び図9A~図9Cに示すように、人工膝関節インプラント1を適用した人工膝関節の屈伸軸(SEA)は、健常な膝関節と同様の挙動を示すことが確認できる。特に、大腿骨内側関節面(第1の内側関節面111及び第2の内側関節面112)の曲率半径を制御することにより、屈伸軸の内側の挙動が、従来のMP型の人工膝関節インプラントに比較して大幅に改善されていることがわかる。
上述したように、第1の実施の形態に係る人工膝関節インプラント1は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
すなわち、人工膝関節インプラント1は、大腿骨の遠位端に固定される大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に固定される脛骨コンポーネント20と、を備えるメディアルピボット型の人工膝関節インプラントである。人工膝関節インプラント1において、大腿骨コンポーネント10は、ボール形状の大腿骨内側関節面と、ボール形状の大腿骨外側関節面と、を有する。また、脛骨コンポーネント20は、装着状態において、大腿骨内側関節面に対向する球面ソケット形状の脛骨内側顆部21と、大腿骨外側関節面に対向する脛骨外側顆部22と、を有する。大腿骨内側関節面は、脛骨内側顆部21と同等の第1の内側曲率半径R11で形成された第1の内側関節面111と、第1の内側関節面111よりも屈曲側に位置し、第1の内側曲率半径R11よりも小さい第2の内側曲率半径R12で形成された第2の内側関節面112と、を有する。
人工膝関節インプラント1において、第1の内側関節面111から第2の内側関節面112に切り替わる内側曲率変化角θは、80°未満である。
人工膝関節インプラント1において、第2の内側関節面112は、第1の内側曲率半径R11から曲率半径が徐々に減少する領域(アルキメデスカーブ)を含む。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨外側関節面の外側曲率半径R2は、第1の内側曲率半径R11よりも小さい。
人工膝関節インプラント1において、脛骨外側顆部22は、大腿骨外側顆部12の回旋及び前後移動を許容する形状を有する。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨外側顆部12におけるコンタクトラインは、大腿骨内側顆部11におけるコンタクトラインに比較して、屈曲角度が増大するに伴い大腿骨の正中側に変位する。
また、人工膝関節インプラント1は、大腿骨の遠位端に配置され、ボール形状の大腿骨関節面を有する大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨関節面を受容する球面ソケット形状の脛骨関節面を有する脛骨コンポーネント20と、を備え、大腿骨関節面は、脛骨コンポーネント20に対する大腿骨コンポーネント10のピボット運動を可能にする第1の内側関節面(第1の曲率の領域)と、脛骨コンポーネント20に対する大腿骨コンポーネント20のロールバック運動を可能にする第2の内側関節面12(第2の曲率の領域)と、を有する。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨関節面は、膝関節の屈曲角が内側曲率変化角θを超える場合に、脛骨コンポーネント20に対する大腿骨コンポーネント10のロールバック運動を可能にする曲率の領域(第2の内側関節面112)を有する。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨関節面は、曲率が異なる第1の内側関節面111及び第2の内側関節面112を有し、膝関節の屈曲角が内側曲率変化角θ以下であるときの関節面となる第1の内側関節面111の曲率よりも、膝関節の屈曲角が内側曲率変化角θを超えるときの関節面となる第2の内側関節面112の曲率の方が大きい。
人工膝関節インプラント1において、内側曲率変化角θは、80°未満である。好ましくは、内側曲率変化角θは、45°~60°の範囲である。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨コンポーネント10は、大腿骨内側関節面と大腿骨外側関節面とを有し、曲率が異なる第1の内側関節面111及び第2の内側関節面112は、大腿骨内側関節面上に存在する。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨外側関節面は、大腿骨内側関節面の曲率よりも大きい曲率で形成され、回旋及び前後移動可能である。
人工膝関節インプラント1において、大腿骨コンポーネント10は、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を含み、脛骨コンポーネント20は、脛骨内側顆部21及び脛骨外側顆部22を含み、大腿骨内側顆部11及び脛骨内側顆部21のコンタクトポイントと、大腿骨外側顆部12と脛骨外側顆部22のコンタクトポイントとの距離は、膝関節の屈曲角度が増大するに伴い大腿骨の正中側に変位して近接する。
人工膝関節インプラント1において、第2の内側曲率半径R12は、曲率が徐々に増大するアルキメデスカーブを描くよう設定される。
人工膝関節インプラント1によれば、メディアルピボット運動及びロールバック運動を再現できるとともに、高い安定性を担保できる人工膝関節インプラントを提供することができる。具体的には、内側曲率変化角θ(θは80°未満、典型的には45°~60°)程度までの第1の内側関節面111では、大腿骨内側顆部11と脛骨内側顆部21とがほぼ100%一致するので、日常生活で最も不安定感が生じやすい伸展位から中間屈曲位において、前後安定性が確保される。また、内側曲率変化角θ以降の第2の内側関節面112では、曲率半径が減少していることで、内側側副靱帯の緊張度の緩和と脛骨側のソケット形状に対する適合性の低下の相乗効果によって、大腿骨内側顆部11の前後方向への可動性が向上し、ロールバック運動が行われやすくなり、深屈曲に有利となる。なお、前後方向の不安定性は、脛骨内側顆部21の球面ソケット形状により、患者が違和感を覚える程度に過度に大きくなることはない。
[第2の実施の形態]
さて、第1の実施の形態では、MP型の人工膝関節インプラント1において、ロールバック運動を容易にする提案について説明した。具体的には、第1の実施の形態では、大腿骨コンポーネント10の大腿骨内側顆部11において、膝の屈曲角が内側曲率変化角θを超える場合に、脛骨コンポーネント20と接触する領域の曲率半径を小さく(曲率を大きく)している。これにより、膝関節の屈曲運動が容易になるが、耐久性が高く、挙動容易なインプラントを得るためには、その他にも種々の検討を要する。
実際の人体の膝関節における大腿骨及び脛骨の関節面は、それぞれ複雑な曲面形状を有しており、膝関節は、周囲の筋肉及び靱帯とも緊密に連動しつつ滑らかな屈曲を実現する。これに対して、人工のインプラントは、関節面の形状、筋肉・靱帯との相互作用のいずれにおいても、人体と同様に実現することは困難である。そこで、屈曲時に人体の膝関節と近似する挙動を示すように、インプラント自体の形状を定義しなければならない。
図10A、図10Bは、第2の実施の形態に係る人工膝関節インプラント2を示す図である。図10Aは、人工膝関節インプラント2を前側から見た正面図であり、図10Bは、外側から見た側面図である。なお、図10Bでは、脛骨コンポーネント20を省略している。
第2の実施の形態では、患者の右膝関節用の人工膝関節インプラント2を例に挙げて説明する。なお、人工膝関節インプラント2の基本構成は、第1の実施の形態で説明した人工膝関節インプラント1と同様であり、同一又は対応する構成要素については、同一の符号を用いて記載する。
図10A、図10Bに示すように、大腿骨コンポーネント10は、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を有する。大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12は、ボール形状を有する。脛骨コンポーネント20(脛骨インサート20A)は、脛骨内側顆部21及び脛骨外側顆部22を有する(図2B等参照)。
脛骨内側顆部21は、大腿骨内側顆部11のボール形状と適合する球面ソケット形状を有する。脛骨外側顆部22は、大腿骨外側顆部12の転動を許容するほぼ平坦な曲面形状を有する。大腿骨コンポーネント10の大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12は、それぞれ、脛骨インサート20Aの脛骨内側顆部21及び脛骨外側顆部22に、関節面が面接触する状態で収容される。
図11Aは、図10AのA-A切断面を示す内側矢状断面図であり、図11Bは、図10AのB-B切断面を示す外側矢状断面図である。
図11Aに示すように、大腿骨内側顆部11の内側矢状断面において、屈曲角がθ~内側曲率変化角θの場合に脛骨内側顆部21と接触する第1の内側関節面111は、第1の内側曲率半径R11で形成された単一半径領域である。屈曲角が内側曲率変化角θを超える場合に脛骨内側顆部21と接触する第2の内側関節面112の第2の内側曲率半径R12は、単一半径領域の第1の内側曲率半径R11よりも小さい(R12<R11)。内側曲率変化角θは、例えば、80°以下である。θは、例えば、-45°である。
また、図11Bに示すように、大腿骨外側顆部12の外側矢状断面において、屈曲角が0°~外側曲率変化角θの場合に脛骨外側顆部22と接触する第1の外側関節面121は、第1の外側曲率半径R21で形成された単一半径領域である。屈曲角が外側曲率変化角θを超える場合に脛骨外側顆部22と接触する第2の外側関節面122の第2の外側曲率半径R22は、単一半径領域第1の第1の外側曲率半径R21よりも小さい(R22<R21)。
脛骨内側顆部21の曲率半径は、大腿骨内側顆部11の第1の内側曲率半径R11と同等である。したがって、屈曲角がθから内側曲率変化角θの場合は、脛骨内側顆部21のソケット形状と大腿骨内側顆部11のボール形状とが適合し、脛骨内側顆部21は、大腿骨内側顆部11を面接触して収容する。これにより、大きな接触面積を獲得することができ、脛骨内側顆部21の摩耗を低減しつつ、膝関節の屈曲を滑らかに且つ安定的に行うことができる。
一方、脛骨外側顆部22の曲率半径は、大腿骨外側顆部12の第1の外側関節面121の第1の曲率半径R21よりも大きく、ほぼ平坦である。すなわち、大腿骨外側顆部12及び脛骨外側顆部22は、それぞれ、膝関節の屈曲運動に伴う大腿骨外側顆部12の前後方向への大きな移動を許容する形状となっている。これにより、大腿骨コンポーネント10と脛骨コンポーネント20間における水平面上の相対的な回旋運動(メディアルピボット運動)が許容され、より大きな屈曲角度を獲得することができる。
また、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12において、第1の外側曲率半径R21は、第1の内側曲率半径R11よりも小さく設定されており(R21<R11)、第2の外側曲率半径R22は、第1の外側曲率半径R21よりも小さく設定されている(R22<R21)。これにより、正常な膝運動で生じる、大きな屈曲角度を獲得するために必要な大腿骨外側顆部12のロールバック運動を、容易に再現することができる。
さらに、大腿骨外側顆部12の外側矢状断面における外側曲率変化角θは、大腿骨内側顆部11の内側矢状断面における内側曲率変化角θと異なる。具体的には、外側曲率変化角θは、内側曲率変化角θより小さく設定されている(θ<θ)。例えば、内側曲率変化角θは、78~80°であり、外側曲率変化角θは、65°である。
この場合、大腿骨内側顆部11では、膝関節が屈曲して屈曲角が外側曲率変化角θを超えても、しばらくは単一半径領域である第1の内側関節面111が脛骨内側顆部21と接触する。そのため、大腿骨内側顆部11と脛骨内側顆部21との間でボールソケット結合が維持され、大腿骨内側顆部11の前後方向への移動は起こりえない。
一方、大腿骨外側顆部12では、屈曲角が外側曲率変化角θを超えると、曲率半径が小さい第2の外側関節面122が脛骨外側顆部22と接触する。そのため、第1の外側関節面121が接触しているときに比較して脛骨外側顆部22との適合性が低下する。さらに、大腿骨コンポーネント10は、IFAとSEAが一致するように設置されているので、屈曲θ以降で、SEAの外側端に付着している外側側副靱帯の緊張度は低下することになる。したがって、屈曲θ以降では、外側側副靱帯の緊張度の緩和と脛骨側に対する適合性の低下の相乗効果によって、大腿骨外側顆部12の前後方向の移動がし易くなる。
すなわち、内側曲率変化角θ及び外側曲率変化角θの角度設定をθ>θとすることにより、大腿骨外側顆部12の水平面における回旋運動が生じやすくなり、大きな屈曲角度を獲得することができる。
また、内側矢状断面における第1の内側関節面111の角度範囲(θ~内側曲率変化角θ)は、外側矢状断面における第1の外側関節面121の角度範囲(0°~外側曲率変化角θ)よりも広く設定されている。具体的には、大腿骨内側顆部11では、屈曲角が0°以下の場合に脛骨内側顆部21と接触する伸展領域(図11Aのθ~0°)においても、一定の第1の内側曲率半径R11のボール形状となっている。これにより、伸展位(屈曲0°)から屈曲90°付近まで、大腿骨内側顆部11及び脛骨内側顆部21は確実にボールソケット結合を形成し、充分な面接触を獲得することができ、安定性が向上する。一方、外側顆においてはボールソケット結合が不要であるため、外側矢状断面における第1の外側関節面121の角度範囲は小さくてよい。
次いで、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12のIFA断面における関節面形状について説明する。IFA断面とは、インプラント屈伸軸を含む平面で大腿骨コンポーネント10を切断したときの断面であり、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の関節面形状の細部は、屈曲角に応じて変化する。
図12A、図12Bは、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12のIFA断面を示す図である。図12Aは、屈曲角が0°のときのIFA断面(図10BのC-C矢視断面)を示し、図12Bは、屈曲角が内側曲率変化角θよりも大きいときのIFA断面(図10BのD-D矢視断面)を示す。
大腿骨内側顆部11は、屈曲角が0°~内側曲率変化角θである場合に、第1の内側関節面111で脛骨内側顆部21と接触する。また、大腿骨外側顆部12は、屈曲角が0°~外側曲率変化角θ(<θ)である場合に、第1の外側関節面121で脛骨外側顆部22と接触する。したがって、図12Aに示すように、屈曲角が0°のときのIFA断面では、大腿骨内側顆部11は、第1の内側関節面111で脛骨内側顆部21と接触し、大腿骨外側顆部12は、第1の外側関節面121で脛骨外側顆部22と接触する。
第1の内側関節面111は、ボール形状である必要があるため、IFA断面における第3の内側曲率半径R13は、内側矢状断面における第1の内側曲率半径R11と同じである(R13=R11)。
一方、第1の外側関節面121は、ボール形状である必要はないので、IFA断面における第3の外側曲率半径R23は、外側矢状断面における第1の外側曲率半径R21と同一でなくてもよい。本実施の形態では、第1の外側関節面121のIFA断面における第3の外側曲率半径R23は、外側矢状断面における第2の曲率半径R22より大きく(R23>R22)、さらには、第1の内側関節面111のIFA断面における第3の内側曲率半径R13以上に設定されている(R23≧R13(=R11))。これにより、大腿骨外側顆部12と脛骨外側顆部22との間で大きな接触面積を獲得することができ、安定性が向上するとともに、脛骨コンポーネント20(脛骨インサート20A)に生じうる摩耗を抑制することができる。
大腿骨内側顆部11は、屈曲角が内側曲率変化角θを超えるである場合に、第2の内側関節面112で脛骨内側顆部21と接触する。また、大腿骨外側顆部12は、屈曲角が外側曲率変化角θ(<θ)を超える場合に、第2の外側関節面122で脛骨内側顆部21と接触する。したがって、図12Bに示すように、屈曲角が内側曲率変化角θを超えるときのIFA断面では、大腿骨内側顆部11は、第2の内側関節面112で脛骨内側顆部21と接触し、大腿骨外側顆部12は、第2の外側関節面122で脛骨外側顆部22と接触する。
第2の内側関節面112は、ボール形状である必要はないので、IFA断面における第4の内側曲率半径R14は、内側矢状断面における曲率半径R12と同じでなくてもよい。本実施の形態では、第2の内側関節面112のIFA断面における第4の内側曲率半径R14は、内側矢状断面における第2の内側曲率半径R12より大きく、第1の内側関節面111のIFA断面における第3の曲率半径R13と同じに設定されている(R14=R13>R12)。つまり、IFA断面では、屈曲角にかかわらず、第1の内側関節面111及び第2の内側関節面112は、一定の内側曲率半径R13、R14で形成されている。
同様に、第2の外側関節面122は、ボール形状である必要はないので、IFA断面における第4の外側曲率半径R24は、外側矢状断面における第2の外側曲率半径R22と同じでなくてもよい。本実施の形態では、第2の外側関節面122のIFA断面における第4の外側曲率半径R24は、外側矢状断面における第2の外側曲率半径R22より大きく、第1の外側関節面121のIFA断面における第3の外側曲率半径R23と同じに設定されている(R24=R23>R22)。つまり、IFA断面では、屈曲角にかかわらず、第1の外側関節面121及び第2の外側関節面122は、一定の外側曲率半径R23、R24で形成されている。第1の外側関節面121のIFA断面における第3の外側曲率半径R23は、第1の内側関節面111のIFA断面における第3の曲率半径R13以上に設定されている(R23≧R13=R24)ので、第4の外側曲率半径R24は、第4の内側曲率半径R14以上となる(R24≧R14)となる。
このように、大腿骨内側顆部11は、内側矢状断面において、内側曲率変化角θを境に曲率半径が第1の内側曲率半径R11から第2の内側曲率半径R12(<R11)に変化する一方、IFA断面においては、内側曲率変化角θの前後で曲率半径は変化しない(R13=R14)。これにより、屈曲角が内側曲率変化角θを超えて、大腿骨内側顆部11と脛骨内側顆部21とのボールソケット結合が解除される場合でも、接触面積が著しく減少することはなく、大きな接触面積を獲得できる。したがって、安定性が向上するとともに、脛骨コンポーネント20(脛骨インサート20A)に生じうる摩耗を抑制することができる。
同様に、大腿骨外側顆部12は、外側矢状断面において、外側曲率変化角θを境に曲率半径が第1の外側曲率半径R21から第2の外側曲率半径R22(<R21)に変化する一方、IFA断面においては、外側曲率変化角θの前後で曲率半径は変化しない(R23=24)。これにより、屈曲角に関わらず、大きな接触面積を獲得することができ、安定性が向上するとともに、脛骨コンポーネント20(脛骨インサート20A)に生じうる摩耗を抑制することができる。
上述したように、単一半径領域である第1の内側関節面111及び第1の外側関節面121における曲率半径R11、R13、R21、R23の大小関係は、R21<R11=R13≦R23となっている。また、第2の内側関節面112及び第2の外側関節面122における曲率半径R12、R14、R22、R24の大小関係は、R22<R12<R14≦R24となっている。
このような関係を満たすように大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12の形状を設定することにより、膝関節の屈曲角に関わらず、大腿骨コンポーネント10と脛骨コンポーネント20との間で所定以上の接触面積を獲得することができるので、膝関節の屈曲時に人工膝関節インプラント2は円滑に挙動する。
上述したように、第2の実施の形態に係る人工膝関節インプラント2は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
すなわち、人工膝関節インプラント2は、大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を含む大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を受容する脛骨コンポーネント20と、を備える。大腿骨内側顆部11は、内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角θ以下の場合に脛骨コンポーネント20と接触する第1の内側関節面111が第1の内側曲率半径R11で形成されるとともに、屈曲角が内側曲率変化角θを超える場合に脛骨コンポーネント20と接触する第2の内側関節面112が第1の内側曲率半径R11よりも小さい第2の内側曲率半径R12で形成されている(図11A参照)。また、大腿骨内側顆部11は、インプラント屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が内側曲率変化角θ以下の場合と、内側曲率変化角θを超える場合とで、脛骨コンポーネント20と接触する領域が同じ内側曲率半径R13、R14で形成されている。つまり、大腿骨内側顆部11のIFA断面における内側曲率半径R13、R14は、屈曲角にかかわらず、一定である。
人工膝関節インプラント2において、IFA断面における大腿骨内側顆部11の第3の内側曲率半径R13及び第4の内側曲率半径R14は、第1の内側曲率半径R11と同じである。
人工膝関節インプラント2において、大腿骨外側顆部12は、外側矢状断面では、屈曲角が外側曲率変化角θ以下である場合に脛骨コンポーネント20と接触する第1の外側関節面121が曲率半径R21で形成されるとともに、屈曲角が外側曲率変化角θを超える場合に脛骨コンポーネント20と接触する第2の外側関節面122が曲率半径R21よりも小さい曲率半径R22で形成されている(図11B参照)。また、大腿骨外側顆部12は、インプラント屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が外側曲率変化角θ以下の場合と、外側曲率変化角θを超える場合とで、脛骨コンポーネント20と接触する領域が同じ外側曲率半径R23、R24で形成されている。つまり、大腿骨外側顆部12のIFA断面における外側曲率半径R23、R24は、屈曲角にかかわらず、一定である。
人工膝関節インプラント2において、IFA断面における大腿骨外側顆部12の外側曲率半径R23、R24は、大腿骨内側顆部11の内側曲率半径R13、R14以上である。
人工膝関節インプラント2において、外側曲率変化角θは、内側曲率変化角θよりも小さい。
人工膝関節インプラント2において、大腿骨外側顆部12の第1の外側曲率半径R21は、大腿骨内側顆部11の第1の内側曲率半径R11よりも小さい。
人工膝関節インプラント2は、大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を含む大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を受容する脛骨コンポーネント20と、を備え、大腿骨外側顆部12は、外側矢状断面では、屈曲角が外側曲率変化角θ以下である場合に脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径R21で形成されるとともに、屈曲角が外側曲率変化角θを超える場合に脛骨コンポーネント20と接触する領域が第1の外側曲率半径R21よりも小さい第2の外側曲率半径R22で形成されている。また、屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が外側曲率変化角θ以下の場合と、外側曲率変化角θを超える場合とで、脛骨コンポーネント20と接触する領域が同じ外側曲率半径R23、R24で形成されている。
人工膝関節インプラント2は、大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を含む大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨内側顆部11及び大腿骨外側顆部12を受容する脛骨コンポーネント20と、を備え、大腿骨内側顆部11は、内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角θ以下である場合に脛骨コンポーネント20と接触する領域が第1の内側曲率半径R11で形成されるとともに、屈曲角が内側曲率変化角θを超える場合に脛骨コンポーネント20と接触する領域が第1の内側曲率半径R11よりも小さい第2の内側曲率半径R12で形成されている。また、大腿骨外側顆部12は、外側矢状断面では、屈曲角が外側曲率変化角θ以下である場合に脛骨コンポーネント20と接触する領域が第1の外側曲率半径R21で形成されるとともに、屈曲角が外側曲率変化角θを超える場合に脛骨コンポーネント20と接触する領域が第1の外側曲率半径R21よりも小さい第2の外側曲率半径R22で形成されている。そして、外側曲率変化角θは、内側曲率変化角θよりも小さい。
人工膝関節インプラント2は、大腿骨の遠位端に配置された大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨コンポーネント10を受容する脛骨コンポーネント20と、を備え、大腿骨コンポーネント10は、矢状断面では、屈曲角が曲率変化角を越えると、曲率半径がより小さくなるよう形成される一方、屈伸軸を含むIFA断面では、曲率変化角θ前後で、曲率半径が同じになるよう形成されている。
人工膝関節インプラント2は、大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨外側顆部11及び大腿骨内側顆部12を含む大腿骨コンポーネント10と、脛骨の近位端に配置され、大腿骨コンポーネント10を受容する脛骨コンポーネント20と、を備え、大腿骨外側顆部12の外側曲率変化角θは、大腿骨内側顆部11の内側曲率変化角θよりも小さく形成され、屈曲角が大きくなると、インプラント屈伸軸の大腿骨外側顆部12側が、大腿骨内側顆部11側よりも先に、脛骨コンポーネント20に近接し、大腿骨外側顆部12と脛骨コンポーネント20との適合性が低下する。
人工膝関節インプラント2によれば、メディアルピボット運動及びロールバック運動を再現できるとともに、高い安定性を担保することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、2 人工膝関節インプラント
10 大腿骨コンポーネント
11 大腿骨内側顆部
111 第1の内側関節面
112 第2の内側関節面
12 大腿骨外側顆部
121 第1の外側関節面
122 第2の外側関節面
20 脛骨コンポーネント
21 脛骨内側顆部
22 脛骨外側顆部
R11、R12 矢状断面における内側曲率半径
R13、R14 IFA断面における内側曲率半径
R21、R22 矢状断面における外側曲率半径
R23、R24 IFA断面における外側曲率半径

Claims (10)

  1. 大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
    脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
    前記大腿骨内側顆部は、
    内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角以下の場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記内側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の内側曲率半径よりも小さい第2の内側曲率半径で形成されており、
    屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が前記内側曲率変化角以下の場合と、前記内側曲率変化角を超える場合とで、前記脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ内側曲率半径で形成されている、
    人工膝関節インプラント。
  2. 前記IFA断面における前記大腿骨内側顆部の前記内側曲率半径は、第1の内側曲率半径と同じである、
    請求項1に記載の人工膝関節インプラント。
  3. 前記大腿骨外側顆部は、
    外側矢状断面では、前記屈曲角が外側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記外側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の外側曲率半径よりも小さい第2の外側曲率半径で形成されており、
    屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が前記外側曲率変化角以下の場合と、前記外側曲率変化角を超える場合とで、前記脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ外側曲率半径で形成されている、
    請求項1又は2に記載の人工膝関節インプラント。
  4. 前記IFA断面における前記大腿骨外側顆部の前記外側曲率半径は、前記大腿骨内側顆部の前記内側曲率半径以上である、
    請求項3に記載の人工膝関節インプラント。
  5. 前記外側曲率変化角は、前記内側曲率変化角よりも小さい、
    請求項3に記載の人工膝関節インプラント。
  6. 前記第1の外側曲率半径は、前記第1の内側曲率半径よりも小さい、
    請求項3に記載の人工膝関節インプラント。
  7. 大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
    脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
    前記大腿骨外側顆部は、
    外側矢状断面では、前記屈曲角が外側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記外側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の外側曲率半径よりも小さい第2の外側曲率半径で形成されており、
    屈伸軸を含むIFA断面では、屈曲角が前記外側曲率変化角以下の場合と、前記外側曲率変化角を超える場合とで、前記脛骨コンポーネントと接触する領域が同じ外側曲率半径で形成されている、
    人工膝関節インプラント。
  8. 大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨内側顆部及び大腿骨外側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
    脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨内側顆部及び前記大腿骨外側顆部を受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
    前記大腿骨内側顆部は、
    内側矢状断面では、屈曲角が内側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の内側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記内側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の内側曲率半径よりも小さい第2の内側曲率半径で形成されており、
    前記大腿骨外側顆部は、
    外側矢状断面では、前記屈曲角が外側曲率変化角以下である場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が第1の外側曲率半径で形成されるとともに、前記屈曲角が前記外側曲率変化角を超える場合に前記脛骨コンポーネントと接触する領域が前記第1の外側曲率半径よりも小さい第2の外側曲率半径で形成されており、
    前記外側曲率変化角は、前記内側曲率変化角よりも小さい、
    人工膝関節インプラント。
  9. 大腿骨の遠位端に配置された大腿骨コンポーネントと、
    脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨コンポーネントを受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
    前記大腿骨コンポーネントは、
    矢状断面では、屈曲角が曲率変化角を越えると、曲率半径がより小さくなるよう形成される一方、
    屈伸軸を含むIFA断面では、前記曲率変化角前後で、曲率半径が同じになるように形成されている、
    人工膝関節インプラント。
  10. 大腿骨の遠位端に配置され、大腿骨外側顆部及び大腿骨内側顆部を含む大腿骨コンポーネントと、
    脛骨の近位端に配置され、前記大腿骨コンポーネントを受容する脛骨コンポーネントと、を備え、
    前記大腿骨外側顆部の外側曲率変化角は、前記大腿骨内側顆部の内側曲率変化角よりも小さく形成され、
    屈曲角が大きくなると、屈伸軸の前記大腿骨外側顆部側が、前記大腿骨内側顆部側よりも先に、前記脛骨コンポーネントに近接し、前記大腿骨外側顆部と前記脛骨コンポーネントとの適合性が低下する、
    人工膝関節インプラント。
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