JP2012119197A - 伝送ケーブル用絶縁電線及び伝送ケーブル - Google Patents

伝送ケーブル用絶縁電線及び伝送ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる絶縁電線及びケーブルを提供すること。
【解決手段】導体1と、導体1を被覆する絶縁層2とを備える絶縁電線5であって、絶縁層2が、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンと、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤とを含み、酸化防止剤が、ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で配合されていることを特徴とする絶縁電線5。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線及びケーブルに関する。
近年、GHz帯域の周波数を使用した電子機器の開発に伴い、機器間を接続するUSB3.0ケーブル、HDMIケーブル、インフィニバンドケーブル、マイクロUSBケーブルなどの高速伝送ケーブルなどに対して、GHz帯域において優れた誘電特性を有することが求められている。
このような伝送ケーブルとして、例えば下記特許文献1に記載されたケーブルが知られている。下記特許文献1では、導体を覆う絶縁層として、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂に、酸化防止剤としてヒンダードフェノール構造を有しないフェノール系の酸化防止剤を配合してなるものを用いることにより、優れた誘電特性を得ることが提案されている。
特開2009−81132号公報
しかし、上記特許文献1記載のケーブルは、絶縁層中にポリエチレンとともに酸化防止剤が配合されているため、優れた耐熱老化性を有するとともにポリエチレン自体の柔軟性に起因して良好な柔軟性も示すものの、高周波帯域での誘電特性については未だ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる絶縁電線及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、絶縁電線中のポリエチレンとして一般に使用されているものは、チーグラー・ナッタ触媒などの汎用触媒を用いて合成されたものであり、このようなポリエチレンは、分子量分布の幅が広く、低分子量のポリエチレンも多く含まれており、この低分子量のポリエチレンが高周波に対して分子振動しやすいために熱的損失を発生しやすく、それにより高周波における誘電正接を大きくするのではないかと考えた。そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、ポリエチレンを、メタロセン触媒を用いて合成されたものにするとともに、特定の構造を有する酸化防止剤をポリエチレンに対して所定の割合で配合することによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備える絶縁電線であって、前記絶縁層が、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンと、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤が、前記ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合されていることを特徴とする絶縁電線である。
この絶縁電線によれば、絶縁層中に含まれるポリエチレンが、メタロセン触媒を用いて合成することによって合成されたものであるため、チーグラー・ナッタ触媒などの汎用触媒を用いて合成されたポリエチレンに比べて分子量分布の幅を狭くすることが可能となる。このため、絶縁層中において、高周波に対して分子振動しやすいため誘電正接を大きくする要因となる低分子量のポリエチレンの割合を十分に低減させることができる。またポリエチレンは、導体との接触によって酸化劣化しやすくなり、分子が切断されやすい。その点、本発明では、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤が、ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合される。これにより、ポリエチレンの熱劣化を十分に抑制することができる。さらに絶縁層に含まれるベース樹脂がポリエチレンであるため、プロピレン系樹脂と比較して絶縁電線の柔軟性を高くすることができる。よって、本発明の絶縁電線によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる。
上記絶縁電線においては、前記絶縁層が、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する金属不活性化剤を更に含み、前記金属不活性化剤が、前記ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、絶縁電線の耐熱老化性がより向上する。
上記絶縁電線においては、前記酸化防止剤が、セミヒンダード系酸化防止剤又はレスヒンダード系酸化防止剤であることが好ましい。
この場合、セミヒンダード系酸化防止剤又はレスヒンダード系酸化防止剤以外の酸化防止剤を用いる場合に比べて、より十分な耐熱老化特性が得られると共に、より優れた誘電特性を得ることができる。
また上記絶縁電線においては、前記絶縁層は、電子線架橋されたものであることが好ましい。
この場合、絶縁層中に架橋のための添加物を配合する必要がなくなるため、誘電特性の低下を十分に抑制することができ、架橋することで、ポリエチレンの融点以上の環境下でも使用できる。
また本発明は、上述した絶縁電線を有するケーブルである。
本発明によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる絶縁電線及びケーブルが提供される。
本発明のケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 本発明のケーブルの他の実施形態を示す端面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図であり、電線を、ケーブルとしての同軸ケーブルに適用した例を示すものである。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1に示すように、ケーブル10は同軸ケーブルを示しており、絶縁電線5と、絶縁電線5を包囲する外部導体3と、外部導体3を被覆するシース4とを備えている。そして、絶縁電線5は、内部導体1と、内部導体1を被覆する絶縁層2とを有している。
ここで、絶縁層2は、ベース樹脂として、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンと、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤とを含んでいる。ここで、酸化防止剤は、ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で配合されている。
ケーブル10によれば、上記構成の絶縁層2を用いた絶縁電線5が使用されることで、GHz帯域において優れた誘電特性を実現することができる。このように絶縁電線5がGHz帯域において優れた誘電特性を実現できるのは、以下の理由によるものと本発明者は考えている。即ち、絶縁層2中に含まれるポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたものであるため、チーグラー・ナッタ触媒などの汎用触媒を用いて合成されたポリエチレンに比べて分子量分布の幅を狭くすることが可能となる。このため、絶縁層2中において、GHz帯域の高周波に対して分子振動しやすく誘電正接を大きくする要因と考えられる低分子量のポリエチレンの割合を十分に低減させることができる。このため、絶縁電線5によれば、上記のように優れた誘電特性を実現できるものと本発明者は考えている。
また絶縁層2は、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤を含んでおり、この酸化防止剤が、ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合される。これにより、内部導体1によるポリエチレンの熱劣化を十分に抑制することができるとともに絶縁層2の表面に酸化防止剤の粒子が浮き出るいわゆるブルーム現象を十分に抑制することができる。
さらに絶縁層2に含まれるベース樹脂がポリエチレンであるため、プロピレン系樹脂と比較して、絶縁電線5の柔軟性を高くすることができる。
このため、ケーブル10によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる。
次に、ケーブル10の製造方法について説明する。
まず絶縁電線5の製造方法について説明する。
<内部導体>
はじめに内部導体1を準備する。内部導体1としては、例えば銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなる金属線が挙げられる。これらの金属はそれぞれ単独で又は組み合わせて用いることもできる。また、上記金属線を本体部とし、その表面にスズや銀等からなるめっきを施してメッキ膜を形成したものを内部導体1として用いることもできる。また内部導体1としては、単線または撚線を用いることができる。
<絶縁層>
次に、内部導体1上に絶縁層2を形成する。
絶縁層2を形成するためには、ベース樹脂としてのポリエチレン、及び酸化防止剤を準備する。
(ベース樹脂)
ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンである。ポリエチレンとしては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどを用いることができる。
高密度ポリエチレンは通常、0.950〜0.965g/cmの密度を有する。中密度ポリエチレンは通常、0.930〜0.949g/cmの密度を有する。低密度ポリエチレンは通常、0.90〜0.929g/cmの密度を有する。
ポリエチレンの融点は117℃〜129℃であることが好ましい。ここで、融点とは、JIS-K7121の手法に従って測定される融点を言う。具体的には、DSC(パーキンエルマー Diamond(入力補償型))で、試料の量を約5mgとし、試料を、1) 200℃で10分等温保持し、 2) 200℃から−60℃に10℃/minで降温し、 3)−60℃で10分等温保持し、 4)−60℃から200℃に10℃/minで昇温 した場合に、4)の条件下で観察される融解熱ピーク部分の頂点として求められる融解熱ピーク温度を融点と言うものとする。ポリエチレンの融点が上記範囲内にあると、融点が117℃未満である場合に比べて、より十分な耐熱性を得ることができるとともに、結晶性が高くなるため、より優れた誘電特性を得ることができる。また融点が129℃を超える場合に比べて、柔軟性が優れ、ケミカルストレスクラックが生じにくいなどの利点が得られる。
ポリエチレンの融点はより好ましくは120〜128℃であり、更に好ましくは122〜127℃である。
ポリエチレンは、50〜64%の結晶化度を有することが好ましく、55〜63%の結晶化度を有することがより好ましい。ここで、結晶化度とは、下記式:
Xc=Hm/Hm0
(上記式中、Xcは結晶化度[%]を表し、Hmは融解熱[J/g]を表し、Hm0は100%結晶化熱[J/g]を表す。)
で定義されるものである。ここで、Hmは、上述したプロピレン系共重合体の融点の測定に際して観察される融解熱ピークの融解熱であり、融解熱としてはJIS-K7122の手法で求めた値が使用される。Hm0としては、277.5J/gの値が使用される。ここで、Hm0の値は、J. Brandup and E. M. Innergut: Polymer Handbook, Interscience New York (1965)から引用したものである。
この場合、ポリエチレンの結晶化度が上記範囲内にあると、上記50%未満の場合に比べて、高周波帯域で分子振動を受けやすいアモルファス成分の割合がより低減される結果、誘電正接をより十分に低下させることができる。またポリエチレンの結晶化度が64%を超える場合に比べて、より適切な柔軟性が得られる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、内部導体1との接触によるベース樹脂の劣化を防止するためのものであればいかなるものであってもよい。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有するフェノール系の酸化防止剤が用いられる。
ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有するフェノール系の酸化防止剤としては、セミヒンダードフェノール系の酸化防止剤やレスヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられる。
セミヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−80)、エチレンビス(オキシエチエレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](例えば、BASF社のイルガノックス245)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−70)が挙げられる。
レスヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、大内新興化学工業社のノクラック300)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−30)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−40)が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、周波数による影響を比較的受け難く、GHz帯域における誘電特性をより良好にすることができる。
酸化防止剤は、上記ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で添加される。この場合、酸化防止剤を、1.5質量部以上の割合で配合する場合に比べて、内部導体1によるポリエチレンの熱劣化を十分に抑制することができるとともに絶縁層2の表面に酸化防止剤の粒子が浮き出るいわゆるブルーム現象を十分に抑制することができる。酸化防止剤は、ベース樹脂100質量部に対して1質量部以下の割合で配合することがより好ましい。但し、酸化防止剤による耐熱老化特性を向上させる観点からは、ベース樹脂100質量部に対して0.05質量部以上の割合で配合する。
上記絶縁層2は、ベース樹脂であるポリエチレンと、酸化防止剤と、必要に応じて金属不活性化剤とを押出機に投入し押出機中の樹脂組成物を溶融混練して押し出し、この押出物で内部導体1を被覆することにより得られる。
絶縁層2の外径は、40mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが特に好ましい。
さらに絶縁層2の厚さは、特に制限されるものではないが、非常に優れた柔軟性が得られることから、0.3mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。但し、絶縁層2の厚さは通常は、0.1mm以上である。
もっとも、絶縁層2の厚さは、0.3mmより大きくてもよい。この場合でも、ケーブル10は高い柔軟性を有するため、曲げを頻繁に行う必要がある用途、例えば固定配線材などに有用である。但し、敷設時の作業性(重量)が悪くなることや使用銅量を不必要に増量することも好ましくないという理由から、絶縁層2の厚さは通常は、6mm以下である。
絶縁電線5においては、絶縁層2は非発泡体でも発泡体でもよいが、非発泡体であることが好ましい。絶縁層2が非発泡体である場合、発泡体の場合に比べて製造が容易である。このため、絶縁層2の外径変動などによるスキューの悪化、VSWRの悪化およびそれに伴う減衰量の増大が起こりにくくなる。このことは、特に絶縁層2が細径化されるほど、具体的には絶縁層2の外径が0.7mm以下になると、顕著になる。なお、絶縁層2が発泡体である場合にはその発泡度は30〜60%であるのが好ましい。ここで、発泡度は、以下の式に基づいて算出されるものである。
Figure 2012119197
この場合、GHz帯域で使用されるケーブル用の電線として、絶縁層2にポリエチレンを使用したものを用いても発泡セルが粗大化するのを抑制でき、微細且つ均一な発泡セルを有する発泡状態の絶縁層2を得ることができる。また絶縁電線5を使用したケーブル10は、外径変動が小さく、絶縁層2を薄くしても潰れの問題が少なく、減衰量の劣化等のバラツキが十分に抑制される。
絶縁層2を発泡絶縁層とする場合、発泡絶縁層は、樹脂組成物中に化学発泡剤などの発泡剤を配合することで得ることができる。
また絶縁層2と内部導体1との間に、未発泡樹脂からなる薄層、いわゆる内層を介在させることが好ましい。これにより絶縁層2と内部導体1との密着性を向上させることができる。特に未発泡樹脂がポリエチレンからなる場合、さらに絶縁層2と内部導体1との密着性を向上させることができる。なお、内層の厚さは例えば0.01〜0.1mmとすればよい。
さらに絶縁層2と外部導体3との間に、薄層、いわゆる外層を介在させることが好ましい。伝送ケーブルでは色付が必要な場合が多い。この場合、薄層として未発泡樹脂を用いると、顔料によって色付けを行う場合に比べて、電気特性を悪化させることなく容易に色付けを行うことができる。また、発泡樹脂からなる薄層を、絶縁層2と外部導体3との間に介在させると、電線5の外観が改善される。即ち電線5の外径変動が小さくなり、スキューやVSWRが向上し、また、耐つぶれ性が向上し、電線5の外径を小さくすることもできる。なお、外層の厚さは例えば0.02〜0.2mmとすればよい。
さらに絶縁層2は、樹脂組成物を溶融混練して内部導体1に押出被覆した後、その押出物に架橋処理を行って得られるものでもよい。この場合、架橋処理は、例えば電子線照射によって行うことができるが、樹脂組成物が有機過酸化物や硫黄などの架橋剤を含む場合には加熱することによっても行うことができる。但し、電気特性の向上の点からは、電子線照射によって行う方が好ましい。
<外部導体>
次に、上記のようにして得られた絶縁電線5を包囲するように外部導体3を形成する。外部導体3としては、従来より使用されている公知のものを使用することができる。例えば外部導体3は、導線や、導電シートを樹脂シートの間に挟んで構成したテープなどを絶縁層2の外周に沿って巻くことなどによって形成することができる。また、外部導体3は、コルゲート加工、即ち波形成形した金属管で構成することもできる。
<シース>
最後にシース4を形成する。シース4は、外部導体3を物理的又は化学的な損傷から保護するものであり、シース4を構成する材料としては、例えばフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂が挙げられるが、環境性等の観点からポリエチレン樹脂等のハロゲンフリー材料が好ましく用いられる。
以上のようにしてケーブル10が得られる。
図3は、上記絶縁電線5を有するTwinaxタイプのケーブルを示す断面図である。図3に示すように、Twinaxタイプのケーブル20は、2本の絶縁電線5と、ドレインワイヤ6と、ラミネートテープ7と、2本の電力線8と、アルミテープ層及び編粗層からなる積層体層9と、シース4とを備えている。ここで、2本の絶縁電線5は互いに平行に配置されており、これらは信号線として使用される。またラミネートテープ7は絶縁電線5及びドレインワイヤ6を巻回しており、シース4は積層体層9を包囲するように積層体層9上に形成されている。ラミネートテープ7は例えばアルミニウム箔とポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体で構成され、シース4は、例えばリケンテクノス社製のANA9897N等のオレフィン系ノンハロ材などで構成される。なお、絶縁電線5及び絶縁層2は上記実施形態と同様のものである。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、絶縁電線5が、ケーブルとしての同軸ケーブルやTwinaxタイプのケーブルに適用された例が示されているが、絶縁電線5は、USB3.0ケーブル、HDMIケーブル、インフィニバンドケーブル、マイクロUSBケーブルなどの高速ケーブルなどにも適用可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずベース樹脂として、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンである140HK(融点:126℃、密度:0.937g/cm)を用意した。
そして、押出機(製品名:ラボプラストミル4C150、二軸セグメント押出機2D30W2、スクリュー径(D):直径25mm、有効スクリュー長(L):750mm、東洋精機製作所社製)にベース樹脂、酸化防止剤を投入し、溶融混練して押出成形を行った。このとき、表1に示す酸化防止剤の配合量は、100質量部のベース樹脂に対して配合される量(単位は質量部)であり、溶融混練温度は170℃とした。
そして、押出機(スクリュー径(D):直径25mm、有効スクリュー長(L):800mm、聖製作所社製)にて、温度は170℃とし、押出物をチューブ状に押し出し、このチューブ状の押出物で、直径0.172mmの錫めっき銅線を被覆した。こうして、導体と、導体を被覆する絶縁層とからなる絶縁電線を作製した。このとき、押出物は、絶縁層の外径が0.6mm、厚さが0.215mmとなるように押し出した。
こうして得られた絶縁電線を、アルミニウム層とポリエチレンテレフタレート層との積層体からなる厚さ25μmのラミネートテープで巻回した。次に、これを、厚さ0.4mmのPVC(ポリ塩化ビニル)からなるシースで被覆した。こうして、非発泡および非架橋で、インピーダンスが50Ωである同軸ケーブルを作製した。
(実施例2〜20及び比較例1〜6)
表1に示すベース樹脂100質量部に対して表1に示す酸化防止剤及び金属不活性化剤を、表1に示す割合(単位は質量部)で配合したこと以外は実施例1と同様にして同軸ケーブルを作製した。
(比較例7)
温度を200℃とした押出機(スクリュー径(D):直径25mm、有効スクリュー長(L):800mm、聖製作所社製)に、表1に示すベース樹脂を投入し、押出物をチューブ状に押し出し、このチューブ状の押出物で、直径0.172mmの錫めっき銅線を被覆した。こうして、導体と、導体を被覆する絶縁層とからなる絶縁電線を作製した。このとき、押出物は、絶縁層の外径が0.6mm、厚さ0.215mmとなるように押し出した。
こうして得られた絶縁電線を用い、実施例1と同様にして同軸ケーブルを作製した。
なお、表1に示されているベース樹脂、酸化防止剤および金属不活性化剤としては具体的には以下のものを用いた。
(1)ベース樹脂
(1-1)140HK(ユメリット、宇部丸善ポリエチレン社製)
m−LLDPE
(1-2)3540N(ユメリット、宇部丸善ポリエチレン社製)
m−LLDPE(融点:123℃、密度:0.931g/cm
(1-3)B028(「UBEポリエチレン(登録商標)B028」、宇部丸善ポリエチレン社製)
低密度ポリエチレン(融点113℃、密度:0.928g/cm
(1-4)DGDN3364(日本ユニカー社製)
中密度ポリエチレン(融点:126℃、密度:0.945g/cm
(1-5)2070(宇部丸善ポリエチレン社製)
高密度ポリエチレン(融点:134℃、密度:0.962g/cm
(2)酸化防止剤
(2-1)セミヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)AO−80(アデカスタブAO−80、ADEKA社製)
3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
b)AO−70(アデカスタブAO−70、ADEKA社製)
トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオネート]
(2-2)レスヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)AO−40(アデカスタブAO−40、ADEKA社製)
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール
b)AO−30(アデカスタブAO−30、ADEKA社製)
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェ
ニル)ブタン
c)Noc300(ノクラック300)
4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール)(大内新興化学工業社製)
(2-3)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)Ir3114(イルガノックス3114、BASF社製)
1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−
1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
b)Ir1330(イルガノックス1330、BASF社製)
3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(
メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール
(3)金属不活性化剤
(3-1)非ヒンダードフェノール系金属不活性化剤
a)CDA−1(アデカスタブCDA−1、ADEKA社製)
3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
b)CDA−6(アデカスタブCDA−6、ADEKA社製)
デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド
(3-2)ヒンダードフェノール系金属不活性化剤
a)IrMD1024(イルガノックスMD1024、BASF社製)
2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]プロピオノヒドラジド
[特性評価]
実施例1〜20及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて、以下の特性を評価した。
(1)誘電特性(tanδ)
誘電特性は誘電正接(tanδ)を測定することにより調べた。ここで、誘電正接(tanδ)は、実施例1〜20及び比較例1〜7の同軸ケーブルのうち絶縁層の製造に使用した樹脂組成物を、直径2mm、長さ10cmの棒状に成形し、このシートについて、サムテック社製SUM-TM0m0の測定プログラムを用いたマイクロ波測定システムにて、測定周波数3.0GHz、6.9GHz、10.7GHzおよび14.6GHzの各周波数にて測定した。結果を表2に示す。各周波数ごとのtanδの合格基準は以下の通りである。

3.0GHz・・・・1.90×10−4以下
6.9GHz・・・・2.10×10−4以下
10.7GHz・・・2.30×10−4以下
14.6GHz・・・2.50×10−4以下
(2)減衰量
実施例1〜20及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて、ネットワークアナライザー(8722ES アジレントテクノロジー社製)を用いて、周波数が3.0GHz、6.9GHz、10.7GHzおよび14.6GHzの場合のそれぞれについて減衰量を測定した。結果を表2に示す。
(3)耐熱性
実施例1〜20及び比較例1〜7の同軸ケーブルのうち、絶縁電線を30mmの長さで切断して試験片を作製した。この試験片について、加熱変形試験(東洋精機製作所株式会社製の「三個掛加熱変形試験機型番W−3」)を用い、試験片は直径9mmの試料台の中央にのせ、荷重250g重、荷重時間1時間、121℃における変形量を測定した。この変形量からつぶれ率(加熱変形率)を算出し、このつぶれ率を耐熱性の指標とした。結果を表2に示す。
(4)柔軟性
柔軟性は、実施例1〜20及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて以下のようにして評価した。
即ち同軸ケーブルの柔軟性は、絶縁層を形成するために用いた樹脂組成物をシート化し、この樹脂シートの柔軟性を評価することによって行った。このとき、樹脂シートの柔軟性は、指標として硬度(ショアD硬度)を用いて評価した。硬度はJIS規格K7215に準じて測定した(荷重保持時間5秒)。またこのとき、硬度の測定は、ASTMD2240規格によって作製した樹脂シートに対して行った。結果を表2に示す。なお、柔軟性は下記の基準によって評価し、「○」及び「◎」は合格とし、「×」は不合格とした。

ショアD硬度が55未満・・・・・・・・・◎
ショアD硬度が55以上65未満・・○
ショアD硬度が65以上・・・・・・・・・×
(5)耐熱老化特性
耐熱老化特性は以下のようにして評価した。即ちまず、実施例1〜20及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて引張試験を行い、引張強度および伸び残率を測定した。以下、それぞれ「初期引張強度」及び「初期伸び残率」という。次に、同軸ケーブルを恒温槽にて110℃で放置し、定期的に取り出して引張試験を行い、引張強度および伸び残率を測定した。そして、この引張強度が初期引張強度の50%となるか、または伸び残率が初期伸び残率の50%となった年数を、比較例7の年数を100とした場合の相対値で算出した。結果を表2に示す。なお、耐熱老化特性は、上記年数の相対値が110を超えるものであれば合格とし、110以下であれば不合格とした。
(6)ブルーム(ブルーミング)
ブルームは、長さ3mに切断した同軸ケーブルからシース及びラミネートテープを取り除き、50℃、3ヶ月放置し露出した絶縁層の表面を観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。

◎・・・マイクロスコープにて100倍で拡大し、表面に異物が全く確認できない
○・・・マイクロスコープにて100倍で拡大し、表面に異物が確認できる。
△・・・マイクロスコープにて25倍で拡大し、表面に異物が確認できる
×・・・目視で表面に明確に異物が確認できる

Figure 2012119197

Figure 2012119197
表1及び2に示す結果より、実施例1〜20はいずれも、誘電正接が低く、併せて減衰量も小さく、耐熱老化性を表す相対年数も高く、柔軟性も良好であり、誘電特性、耐熱老化特性及び柔軟性の全てについて合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜7は、誘電特性、耐熱老化特性及び柔軟性のうち少なくとも1つの点で合格基準に達しなかった。
以上より、本発明の絶縁電線によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できることが確認された。
1…内部導体(導体)、2…絶縁層、5…絶縁電線、10,20…ケーブル。
本発明は、伝送ケーブル用絶縁電線及び伝送ケーブルに関する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる伝送ケーブル用絶縁電線及び伝送ケーブルを提供することを目的とする。
即ち本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備える伝送ケーブル用絶縁電線であって、前記絶縁層が、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンと、セミヒンダードフェノール系酸化防止剤又はレスヒンダードフェノール系酸化防止剤と、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する金属不活性化剤とを含み、前記酸化防止剤が、前記ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合されており、前記金属不活性化剤が、前記ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で配合されていることを特徴とする伝送ケーブル用絶縁電線である。
この伝送ケーブル用絶縁電線によれば、絶縁層中に含まれるポリエチレンが、メタロセン触媒を用いて合成することによって合成されたものであるため、チーグラー・ナッタ触媒などの汎用触媒を用いて合成されたポリエチレンに比べて分子量分布の幅を狭くすることが可能となる。このため、絶縁層中において、高周波に対して分子振動しやすいため誘電正接を大きくする要因となる低分子量のポリエチレンの割合を十分に低減させることができる。またポリエチレンは、導体との接触によって酸化劣化しやすくなり、分子が切断されやすい。その点、本発明では、セミヒンダードフェノール系酸化防止剤又はレスヒンダードフェノール系酸化防止剤が、ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合される。これにより、ポリエチレンの熱劣化を十分に抑制することができる。さらに、本発明では、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する金属不活性化剤が、ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で1.5質量部未満の割合で配合される。これにより、絶縁電線の耐熱老化性がより向上する。さらに絶縁層に含まれるベース樹脂がポリエチレンであるため、プロピレン系樹脂と比較して絶縁電線の柔軟性を高くすることができる。よって、本発明の伝送ケーブル用絶縁電線によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる。
また本発明は、上述した伝送ケーブル用絶縁電線を有する伝送ケーブルである。
本発明によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できる伝送ケーブル用絶縁電線及び伝送ケーブルが提供される。
本発明の伝送ケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 本発明の伝送ケーブルの他の実施形態を示す端面図である。
ポリエチレンは、50〜64%の結晶化度を有することが好ましく、55〜63%の結晶化度を有することがより好ましい。ここで、結晶化度とは、下記式:
Xc=Hm/Hm0
(上記式中、Xcは結晶化度[%]を表し、Hmは融解熱[J/g]を表し、Hm0は100%結晶化熱[J/g]を表す。)
で定義されるものである。ここで、Hmは、上述したポリエチレンの融点の測定に際して観察される融解熱ピークの融解熱であり、融解熱としてはJIS-K7122の手法で求めた値が使用される。Hm0としては、277.5J/gの値が使用される。ここで、Hm0の値は、J. Brandup and E. M. Innergut: Polymer Handbook, Interscience New York (1965)から引用したものである。
セミヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−80)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](例えば、BASF社のイルガノックス245)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(例えば、ADEKA社のアデカスタブAO−70)が挙げられる。
もっとも、絶縁層2の厚さは、0.3mmより大きくてもよい。この場合でも、ケーブル10は高い柔軟性を有するため、曲げを頻繁に行う必要がある用途に有用である。但し、敷設時の作業性(重量)が悪くなることや使用銅量を不必要に増量することも好ましくないという理由から、絶縁層2の厚さは通常は、6mm以下である。
なお、表1に示されているベース樹脂、酸化防止剤および金属不活性化剤としては具体的には以下のものを用いた。
(1)ベース樹脂
(1-1)140HK(ユメリット、宇部丸善ポリエチレン社製)
m−LLDPE
(1-2)3540N(ユメリット、宇部丸善ポリエチレン社製)
m−LLDPE(融点:123℃、密度:0.931g/cm
(1-3)B028(「UBEポリエチレン(登録商標)B028」、宇部丸善ポリエチレン社製)
低密度ポリエチレン(融点113℃、密度:0.928g/cm
(1-4)DGDN3364(日本ユニカー社製)
中密度ポリエチレン(融点:126℃、密度:0.945g/cm
(1-5)2070(宇部丸善ポリエチレン社製)
高密度ポリエチレン(融点:134℃、密度:0.962g/cm
(2)酸化防止剤
(2-1)セミヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)AO−80(アデカスタブAO−80、ADEKA社製)
3,9−ビス[2−{3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
b)AO−70(アデカスタブAO−70、ADEKA社製)
トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオネート]
(2-2)レスヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)AO−40(アデカスタブAO−40、ADEKA社製)
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチル)フェノール
b)AO−30(アデカスタブAO−30、ADEKA社製)
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェ
ニル)ブタン
c)Noc300(ノクラック300)
4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(大内新興化学工業社製)
(2-3)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
a)Ir3114(イルガノックス3114、BASF社製)
1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−
1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
b)Ir1330(イルガノックス1330、BASF社製)
3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(
メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール
(3)金属不活性化剤
(3-1)非ヒンダードフェノール系金属不活性化剤
a)CDA−1(アデカスタブCDA−1、ADEKA社製)
3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
b)CDA−6(アデカスタブCDA−6、ADEKA社製)
デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド
(3-2)ヒンダードフェノール系金属不活性化剤
a)IrMD1024(イルガノックスMD1024、BASF社製)
2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]プロピオノヒドラジド
以上より、本発明の伝送ケーブル用絶縁電線によれば、GHz帯域における優れた誘電特性と、優れた耐熱老化特性と、優れた柔軟性とを両立できることが確認された。
参考例1)
まずベース樹脂として、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンである140HK(融点:126℃、密度:0.937g/cm)を用意した。
参考例2〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜6)
表1に示すベース樹脂100質量部に対して表1に示す酸化防止剤及び金属不活性化剤を、表1に示す割合(単位は質量部)で配合したこと以外は参考例1と同様にして同軸ケーブルを作製した。
こうして得られた絶縁電線を用い、参考例1と同様にして同軸ケーブルを作製した。
[特性評価]
参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて、以下の特性を評価した。
(1)誘電特性(tanδ)
誘電特性は誘電正接(tanδ)を測定することにより調べた。ここで、誘電正接(tanδ)は、参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7の同軸ケーブルのうち絶縁層の製造に使用した樹脂組成物を、直径2mm、長さ10cmの棒状に成形し、このシートについて、サムテック社製SUM-TM0m0の測定プログラムを用いたマイクロ波測定システムにて、測定周波数3.0GHz、6.9GHz、10.7GHzおよび14.6GHzの各周波数にて測定した。結果を表2に示す。各周波数ごとのtanδの合格基準は以下の通りである。

3.0GHz・・・・1.90×10−4以下
6.9GHz・・・・2.10×10−4以下
10.7GHz・・・2.30×10−4以下
14.6GHz・・・2.50×10−4以下
(2)減衰量
参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて、ネットワークアナライザー(8722ES アジレントテクノロジー社製)を用いて、周波数が3.0GHz、6.9GHz、10.7GHzおよび14.6GHzの場合のそれぞれについて減衰量を測定した。結果を表2に示す。
(3)耐熱性
参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7の同軸ケーブルのうち、絶縁電線を30mmの長さで切断して試験片を作製した。この試験片について、加熱変形試験(東洋精機製作所株式会社製の「三個掛加熱変形試験機型番W−3」)を用い、試験片は直径9mmの試料台の中央にのせ、荷重250g重、荷重時間1時間、121℃における変形量を測定した。この変形量からつぶれ率(加熱変形率)を算出し、このつぶれ率を耐熱性の指標とした。結果を表2に示す。
(4)柔軟性
柔軟性は、参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて以下のようにして評価した。
(5)耐熱老化特性
耐熱老化特性は以下のようにして評価した。即ちまず、参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11及び比較例1〜7で得られた同軸ケーブルについて引張試験を行い、引張強度および伸び残率を測定した。以下、それぞれ「初期引張強度」及び「初期伸び残率」という。次に、同軸ケーブルを恒温槽にて110℃で放置し、定期的に取り出して引張試験を行い、引張強度および伸び残率を測定した。そして、この引張強度が初期引張強度の50%となるか、または伸び残率が初期伸び残率の50%となった年数を、比較例7の年数を100とした場合の相対値で算出した。結果を表2に示す。なお、耐熱老化特性は、上記年数の相対値が110を超えるものであれば合格とし、110以下であれば不合格とした。
(6)ブルーム(ブルーミング)
ブルームは、長さ3mに切断した同軸ケーブルからシース及びラミネートテープを取り除き、50℃、3ヶ月放置し露出した絶縁層の表面を観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。

◎・・・マイクロスコープにて100倍で拡大し、表面に異物が全く確認できない
○・・・マイクロスコープにて100倍で拡大し、表面に異物が確認できる。
△・・・マイクロスコープにて25倍で拡大し、表面に異物が確認できる
×・・・目視で表面に明確に異物が確認できる

Figure 2012119197

Figure 2012119197

表1及び2に示す結果より、参考例1〜9、実施例1〜9、参考例10〜11はいずれも、誘電正接が低く、併せて減衰量も小さく、耐熱老化性を表す相対年数も高く、柔軟性も良好であり、誘電特性、耐熱老化特性及び柔軟性の全てについて合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜7は、誘電特性、耐熱老化特性及び柔軟性のうち少なくとも1つの点で合格基準に達しなかった。

Claims (5)

  1. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層とを備える絶縁電線であって、
    前記絶縁層が、メタロセン触媒を用いて合成することによって得られたポリエチレンと、
    ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する酸化防止剤とを含み、
    前記酸化防止剤が、前記ポリエチレン100質量部に対し0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で配合されていること、
    を特徴とする絶縁電線。
  2. 前記絶縁層が、ヒンダードフェノール構造と異なる化学構造を有する金属不活性化剤を更に含み、
    前記金属不活性化剤が、前記ポリエチレン100質量部に対して0.01質量部以上で且つ1.5質量部未満の割合で配合されている、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記酸化防止剤が、セミヒンダード系酸化防止剤又はレスヒンダード系酸化防止剤である、請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記絶縁層が、電子線によって架橋されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁電線。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の絶縁電線を有するケーブル。
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