JP2012114975A - モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】全節巻きリラクタンスモータの電磁気的特性は複雑であり、効果的に制御できるモータシステムとする。また、このモータの高効率化、小型化を実現する。
【解決手段】全節巻きリラクタンスモータにおいて、一つの相の一組のステータ磁極にだけ電磁気的に作用する一組の電流成分を想定し、3相各相の電流成分を制御することにより他の相との電磁気的相互作用の無い正確な電流制御を実現し、より正確なトルク制御、速度制御を行うことのできるモータシステムを実現する。また、前記の電流、電圧制御により制御回路の小型化と効果的な界磁手段を付加したモータ構成による高効率化を実現する。
【選択図】図16

Description

本発明は、自動車やトラック等に搭載されるモータに関する。また、産業用機器、家庭電化製品などへの適用も可能である。
図85のモータの横断面図に示すようなスイッチトリラクタンスモータが研究、開発されてきた。図85に示すモータ例は、ステータ86Kに6個のステータ磁極である歯861、862、863、864、865、866と、ロータに4個の突極状の磁極を持っている。これらはいずれも軟磁性体で構成する。
U相のステータ磁極861には、867と868および破線86Nで示すU相巻線を集中巻の巻線US1としている。864もU相のステータ磁極であり、86Dと86Eおよび破線86Pで示す集中巻の巻線US2としている。巻線US1とUS2は直列に接続していて、電流を通電すると86Mに示す磁束φuを励磁し、ロータの突極86Lと86Qに吸引力を発生し、矢印で示す反時計回転方向(CCW)のトルクを発生する。
863はV相のステータ磁極であり、V相の巻線86Bと86Cおよび破線で示すように集中巻の巻線VS1としている。866もV相のステータ磁極であり、86Hと86Jおよび破線で示す集中巻の巻線VS2としている。巻線VS1とVS2は直列に接続していて、電流を通電することにより、ロータの近接する突極に磁束φvを励磁し、その吸引力によりトルクを発生する。
865はW相のステータ磁極であり、W相の巻線86Fと86Gおよび破線で示すように集中巻の巻線WS1としている。862もW相のステータ磁極であり、869と86Aおよび破線で示す集中巻の巻線WS2としている。巻線WS1とWS2は直列に接続していて、電流を通電することにより、ロータの近接する突極に磁束φwを励磁し、その吸引力によりトルクを発生する。
図85に示すスイッチトリラクタンスモータは、ロータの回転に伴い、U相、V相、W相を順次励磁することにより連続的な回転トルクを生成することができる。このモータの特徴は、永久磁石を使用せず低コストであり、ステータの巻線は集中巻きで簡素な構成であり、ステータの突極とロータの突極とに作用する磁束は電磁鋼板の飽和磁束密度で作用するので高磁束密度の電磁気作用でのトルクを利用できる。また、ロータが堅牢なので高速回転が可能であることなどである。
特開平8−126273号公報(図13) 特許第3157162号公報(図4)
図85のスイッチトリラクタンスモータの問題点は、回転に伴ってステータとロータ間に作用するラジアル力が、円周方向に90°異なる位置へ変化するため、また、駆動電流がスイッチ的に作用させるため、特にステータのラジアル方向変形が大きく、振動、騒音が大きい問題がある。巻線の使用効率については、トルクを発生するために通電する電流が図85に図示する12個の巻線の内の4個の巻線に通電され、4/12=1/3の巻線使用効率であり使用効率が低く、結果として巻線の発熱であるジュール損が大きくなる問題がある。
他の従来モータの横断面図を図86に示す。スイッチトリラクタンスモータで、各相の巻線を全節巻きとしたモータである。M11とM14はA相巻線で、全節巻きで巻回している。M13とM16はB相巻線で、全節巻きで巻回している。M15とM12はC相巻線で、全節巻きで巻回している。
今、86Mで示す磁束をステータ磁極861と864へ生成させる場合、前記A相巻線M11、M14と前記C相巻線M15、M12の2組の巻線へ電流を通電して磁束86Mを励磁する。ステータ磁極863と866へ磁束を生成する場合、前記B相巻線M13、M16と前記A相巻線M11、M14との2組の巻線へ電流を通電して磁束を励磁する。ステータ磁極865と862磁束を生成する場合、前記C相巻線M15、M12と前記A相巻線M11、M14との2組の巻線へ電流を通電して磁束を励磁する。
図86に示すスイッチトリラクタンスモータは、図85に示したモータと比較して、各ステータ磁極を励磁する巻線がそれぞれ円周方向に隣接するステータ磁極の励磁にも共用できる構成となっているので、スロット内の巻線抵抗が約1/2となり小さい特徴がある。また、低速回転では前記説明のごとく、ステータ磁極でロータ突極を順次励磁することにより回転トルクを生成できる。しかし、低速回転から高速回転になると、前記のように磁束が複数の巻線に鎖交するので複雑な挙動を示し、電流の通電が難しく、低速回転以外ではトルク発生が難しいという問題がある。
また、図86に示すスイッチトリラクタンスモータは、全節巻き巻線のコイルエンド部が長くなるので、モータのロータ軸方向長が大きくなる問題、スロット部以外の巻線長が長くなるため巻線抵抗が大きくなる問題もある。また、図85に示すスイッチトリラクタンスモータの前記問題点についても、図86に示すスイッチトリラクタンスモータの共通の問題である。図86に示すスイッチトリラクタンスモータが実用化された例を、筆者らは知らない。
本発明の目的は、図86に示すスイッチトリラクタンスモータなどの諸問題を解決し、競争力の高いモータ技術を提案することである。モータと発電機の諸構成、および、それら構成に密接に関連した独特の方法で制御するモータシステムを提案する。
請求項1に記載の発明は、電気角360°の間に配置する(4×NN1+2)個のステータ磁極と、前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、電気角360°の間に配置する2以上の偶数の数のロータ突極と、前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA1とを備え、前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御するモータの構成である。ここで、NN1は1以上の整数である。
この構成によれば、複雑な電磁気的現象および各相の電流とトルクの関係を簡明な関係で制御できるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
請求項2に記載の発明は、電気角360°の間に配置する(8×NN2)個のステータ磁極と、前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、前記の全節巻き巻線の内、少なくとも1個の全節巻線へ正負両方向の電流を供給する電力変換器PA2と、その他の全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA3とを備え、前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御するモータの構成である。
この構成によれば、複雑な電磁気的現象および各相の電流とトルクの関係を簡明な関係で制御できるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、各相の電流を検出する電流検出手段ISと、各相の電流検出手段ISの出力である電流検出値Isから各ステータ磁極の前記電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令Voを作成する電圧成分合成手段VROとを備える構成のモータである。
この構成によれば、各相の電流成分を正確に制御することができるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、各相の電流検出値Isを検出する電流検出手段ISと、各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令Voを作成する電圧指令手段VOとを備える構成のモータである。
この構成によれば、各相の電流成分に基づいて、各相の相電流を正確に制御することができるので、制御を正確に行えるモータとすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、各相の電流を検出する電流検出手段ISと、各相の電流検出手段ISの電流検出値Isから各ステータ磁極の電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令V1oを作成する電圧指令手段V1Oと、各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令V2oを作成する電圧指令手段V2Oと、各相の電圧指令V1oと電圧指令V2oを合成して電圧複合指令V12oを作成する電圧複合指令手段V12Oとを備える構成のモータである。
この構成によれば、各相の電流成分と相電流との両方を制御することができるので、両制御法の特徴を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各相の電流検出値Isとロータ回転位置θrとからモータのトルク検出値Tsを作成するトルク検出手段TSと、トルク指令Toとトルク信号Tsからトルク補正指令TCoを作成するトルク補正手段TCOとを備える構成のモータである。
この構成によれば、トルクを正確に制御できるモータとすることができ、高精度化を図ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、ステータ磁極の円周方向幅を電気角でHtとし、ロータ磁極の円周方向幅を電気角でHmとして、HtとHmとの小さい方の角度をHnとする時、ロータの回転に伴って各相の巻線に通電する電流の通電角幅が電気角で2×Hnより大きくなるように制御する構成のモータである。
この構成によれば、各相のステータ磁極がトルクを発生するタイミングよりも早く該当する巻線の電流を増加させるので、高速回転においても十分なトルクを得ることのできるモータとすることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1に係る発明において、前記電力変換器PA1は、一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR1と、一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR2と、トランジスタTR1と巻線WW1の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、トランジスタTR2と巻線WW1の接続点にアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、前記の制御において必要とする電流と電圧を供給することができるモータ構成とすることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、正の電圧VPA4を供給する電力変換器PA4と、前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、負の電圧−VPA5を供給する電力変換器PA5とを備え、前記前記電圧VPA4が前記電圧VPA5より大きく、前記電力変換器PA4と電力変換器PA5とが一つの全節巻き巻線へ正と負の電圧を供給してその片方向電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に係る発明において、各相巻線へ負の電圧を供給する電力変換器PA8は、電流を通電することにより電圧降下を示す電圧降下手段である構成のモータである。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項11に記載の発明は、同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW2、WW3と、電力を供給する電源VS1と、一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR1と、一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR2と、トランジスタTR1と巻線WW2の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、トランジスタTR2と巻線WW2の接続点に巻線WW3の一端を接続し、巻線WW3の他端をアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項9に係る発明において、一つの相の巻線WW4と、電力を供給する電源VS3と、電源VS3に直列に接続した電源VS4と、一端を電源VS4の正側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR3と、一端を電源VS3の負側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR4と、トランジスタTR3と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の負側に接続したダイオードDD3と、トランジスタTR4と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の正側に接続したダイオードDD4とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、一つの相の巻線WW5と、電力を供給する電源VS5と、電源VS5に直列に接続した電源VS6と、一端を電源VS5の負側に接続し、他端を巻線WW5へ接続したトランジスタTR5と、トランジスタTR5と巻線WW5の接続点に接続点にアノードを接続しカソードを電源VS6の正側に接続したダイオードDD5とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW7、WW8と、電力を供給する電源VS7と、電源VS7に直列に接続した電源VS8と、一端を電源VS7の負側に接続し、他端を巻線WW7へ接続したトランジスタTR7と、トランジスタTR7と巻線WW7の接続点に接続点に巻線WW8を接続し、巻線WW8の他端にアノードを接続しカソードを電源VS8の正側に接続したダイオードDD7とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。また、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、電力を供給する電源VS11と、一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、電源VS11の正側と負側の間に巻線WW12と直列にダイオードDD11を備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、各相巻線は少し複雑になるものの、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。
請求項16に記載の発明は、請求項15に係る発明において、巻線WW11の巻き回数より巻線WW12の巻き回数の方が大きい構成のモータである。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項17に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、一つの相の巻線WW13へ負の電圧を供給する電力変換器PA13は、パルス幅変調などによりトランジスタ13のオンとオフとの電圧幅の比率を可変することにより電力変換器PA13の出力電圧の平均電圧を所定値VLVに制限して制御し、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、パルス幅変調などの電圧制御を回生側の電圧制御に適用することにより、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
請求項18に記載の発明は、請求項17に係る発明において、NN3個の相があり、NN3個の相の電流を制御し、これらのNN3個の電流誤差の中でより大きな電流誤差である相の電圧制御を優先して制御する構成のモータである。ここで、NN3は6以上の整数である。
この構成によれば、電流誤差の中でより大きな電流誤差優先して制御するので、誤差の少ない制御ができる。
請求項19に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、ステータ磁極の磁束を励磁する界磁電流成分IFCを全てのステータ磁極の電流として加えて制御する構成のモータである。
この構成によれば、励磁電流成分を全ステータ磁極へ通電しておくので、トルク応答性に優れたモータとすることができる。
請求項20に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、モータの各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御する構成のモータである。
この構成によれば、界磁巻線により界磁電流を通電して、界磁エネルギーをモータの中で内部循環させることができるので、各相電流の力率を改善でき、トルク応答性に優れたモータとすることができる。
請求項21に記載の発明は、請求項20に係る発明において、各ステータ磁極のそれぞれに集中巻きの界磁巻線を巻回し、各ステータ磁極に巻回した界磁巻線を直列に接続して界磁電流成分を制御する構成のモータである。
この構成によれば、全節巻きの相電流の巻線に対し、短節で集中巻きの界磁巻線として直列に接続するので巻線長の短い簡素な構成の界磁巻線とすることができる。
請求項22に記載の発明は、請求項20に係る発明において、直列に接続した前記界磁巻線に直列にダイオードを接続し、これらの両端を接続して閉回路とする構成のモータである。
この構成によれば、界磁巻線専用の制御回路が簡単になり、低コストなモータ構成とすることができる。
請求項23に記載の発明は、電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9と、各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御する構成のモータである。
この構成によれば、短節で集中巻きの各相の巻線と界磁巻線とを巻回し、力率の良いモータを実現することができる。
請求項24に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、ステータ磁極に永久磁石を備える構成のモータである。
この構成によれば、永久磁石により界磁磁束を得ることができるので力率の良いモータを得ることができる。また、通常運転では、永久磁石が減磁する方向には起磁力が作用しないので、磁石量を少なくできる。
請求項25に記載の発明は、請求項24に係る発明において、円周方向に電気角で180°離れた同一相の2個のステータ磁極の内、片方のステータ磁極に永久磁石を備える構成のモータである。
この構成によれば、永久磁石の数を少なくすることができるので、低コストなモータとすることができる。
請求項26に記載の発明は、請求項24に係る発明において、モータの極対数が2以上で、各相のステータ磁極の内、2個以上の同相のステータ磁極に永久磁石を備える構成のモータである。
この構成によれば、適度な量の永久磁石の磁束を活用でき、また、永久磁石な数を少なくすることができるので、モータ性能を適正化でき、また、低コストなモータとすることができる。
請求項27に記載の発明は、電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9と、ステータ磁極に配置した永久磁石を備える構成のモータである。ここで、NN4は2以上の整数である。
この構成によれば、集中巻きの各相の巻線をステータ磁極へ巻回し、永久磁石を付加し、力率の良いモータを実現することができる。
請求項28に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、トルク情報Toとロータ回転位置情報θsを使用して各相の前記電流成分指令IFoを求めて制御する構成のモータである。
この構成によれば、ステータ磁極の磁束密度を負にバイアスして使用するので、大きな磁束をステータ磁束へ通過させることができるようになり、モータのピークトルクを増加させることができる。
請求項29に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、トルク情報Toとロータ回転位置情報θsを使用して各相の前記電流成分指令IFoを求めて制御する構成のモータである。
この構成によれば、正確なトルク制御と電流制御を行うことができるので、高精度なモータとすることができる。
請求項30に記載の発明は、請求項29に係る発明において、界磁電流成分IFCを制御する構成のモータである。
この構成によれば、界磁電流成分IFCも制御できるので高精度なモータとすることができる。、
請求項31に記載の発明は、請求項29に係る発明において、回転角位置θrに応じて特定の相のステータ磁極の界磁磁束成分を低減する特定界磁低減手段を備え、特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御する構成のモータである。
この構成によれば、不要で有害な磁束を低減することができるので、巻線電圧のバランスを改良することができ、制御装置の小型化ができる。
請求項32に記載の発明は、請求項31に係る発明において、各相電流が増加あるいは減少するタイミングにおいて、特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御する構成のモータである。
この構成によれば、不要で有害な磁束を低減することができるので、巻線電圧のバランスを改良することができ、制御装置の小型化ができる。
請求項33に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、トルク情報Toとロータ回転位置情報θsに対応する各相巻線に鎖交する磁束の情報φdaを備え、この磁束情報φdaを使用して制御する構成のモータである。
この構成によれば、非線形ナインダクタンスを使用せず、磁束情報を使用してモータを制御するので、高精度化ができる。
請求項34に記載の発明は、請求項33に係る発明において、各ロータ回転数ωrに応じたトルク最大値の情報Tmaxを備え、このトルク最大値情報Tmaxを使用して制御する構成のモータである。
この構成によれば、モータへの要求トルクが大きくなる制御領域においても、モータのトルク最大値まで効果的に制御できるモータとすることができる。
請求項35に記載の発明は、請求項33に係る発明において、磁束情報φdaと回転角速度ωr情報を使用して各相巻線の電圧予測値VFFを求め、この電圧予測値VFFを使用して制御する構成のモータである。
この構成によれば、正確な電圧予測値VFFを使用して制御することができるので、より広範囲なトルク、回転数の領域を高精度に制御できるモータとすることができる。
請求項36に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、モータの外径側へ配置した第1のロータと、モータの内径側へ配置した第2のロータと、第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ同一位相のステータ磁極を配置した第2のステータと、径方向に隣接する第1のステータのスロットとその背面に配置した第2のステータのスロットとの間へ巻回した巻線とを備える構成のモータである。
この構成によれば、巻線の長さを短くできるので、ジュール損が小さく、高効率なモータを実現できる。また、モータの複合化により出力密度の高いモータとすることができる。
請求項37に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、モータの外径側へ配置した第1のロータと、モータの内径側へ配置した第2のロータと、第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ電気角で180°の位相差を持つステータ磁極を配置した第2のステータと、径方向に隣接する第1のステータのスロットおよび第2のステータのスロットとのいずれかのスロットの間へ巻回した巻線とを備える構成のモータである。
この構成によれば、ステータのバックヨークの不要なモータ、あるいは、ステータのバックヨークの小さな複合モータとすることができるので、トルクの向上ができる。
請求項38に記載の発明は、請求項36または37に係る発明において、第1のステータのスロットの円周方向位置と第2のステータのスロットの円周方向位置とが異なっている構成のモータである。
この構成によれば、ステータのバックヨーク寸法を小さくすることができるので、トルクの向上ができる。
請求項39に記載の発明は、請求項36、37、38のいずれか一つに係る発明において、界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備える構成のモータである。
この構成によれば、界磁巻線を備える複合モータなので、その各相巻線の電流、電圧の力率を改善することができる。
請求項40に記載の発明は、請求項36、37、38のいずれか一つに係る発明において、界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線Wfと、同一のスロットに巻回した該当する相の電流を通電する巻線Wabcとダイオードを直列に巻回していて磁気エネルギーを回生することのできる回生巻線Wreとを備える構成のモータである。
この構成によれば、界磁巻線Wfと回生巻線Wreとを備える構成とすることにより、その各相巻線の電流、電圧の力率を改善することができる。そして、制御回路を簡素化することができる。
請求項41に記載の発明は、請求項36、37、38のいずれか一つに係る発明において、モータのロータ軸方向両側に配置した軸受けと、モータの外周に配置し、前記両側の軸受けを支持するモータケースと、前記モータケースと接続部MCWで結合して固定するステータと、前記接続部MCWとはロータ軸方向とは反対側の接続部MRRで前記第1のロータと前記第2のロータとを接続するロータ接続部を備える構成のモータである。
この構成によれば、複合モータでありながら、ロータ軸剛性の高いモータ構成を実現できる。振動、騒音も低減できる。
請求項42に記載の発明は、請求項41に係る発明において、前記ステータに巻回した巻線のロータ軸方向端から前記接続部MCWへ、あるいは、その近傍へ効率良く熱を伝えることのできる熱伝達部材を備える構成のモータである。
この構成によれば、モータの発熱を熱伝導の大きい巻線を利用して伝達することにより冷却効率を改善し、モータ出力を向上できる。
請求項43に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各相のステータ磁極のロータに対向する形状がロータ軸方向に大小の形状となる台形形状であり、各ステータ磁極の前記台形形状が、円周方向に前記大小関係が交互に逆方向に並んでいる構成のモータである。
この構成によれば、ステータ磁極のロータに対向する形状を台形化することにより、各相巻線の長さを短縮することができ、高効率化を図ることができる。
請求項44に記載の発明は、請求項43に係る発明において、前記ステータ磁極のロータ方向位置が、交互にロータ軸方向の反対方向にずれた位置である構成のモータである。 この構成によれば、スロット開口部の漏れ磁束とトルク低下との背反関係を解消することができ、高トルク化と低トルクリップル化と巻線長の短縮とを実現できる。
請求項45に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、前記ロータ突極が円周方向の片方向に傾き、前記ステータ磁極がロータ突極の傾きとは反対方向に傾いている構成のモータである。
この構成によれば、片方向回転のトルクを向上することができる。
請求項46に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、電磁鋼板と非磁性体とがロータ軸方向に積層された構成のステータとロータを備える構成のモータである。 この構成によれば、ステータとロータとの間のエアギャップを等価的に短縮することができ、トルクの向上および部品製作容易化と組立の容易化とを実現できる。
請求項47に記載の発明は、請求項24に係る発明において、該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍でそのステータ磁極を励磁する電流成分を通電してステータ磁極に取り付けた永久磁石を着磁、あるいは、増磁する構成のモータである。
この構成によれば、永久磁石の着磁、あるいは、増磁することができる。
請求項48に記載の発明は、請求項24に係る発明において、該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍で、そのステータ磁極を通過する磁束に電気角的にほぼ90°の位相差を持っていてそのステータ磁極の磁束の方向とは反対方向に励磁できる巻線に通電して永久磁石を消磁、あるいは、減磁する構成のモータである。 この構成によれば、永久磁石を消磁、あるいは、減磁することができる。
請求項49に記載の発明は、請求項24に係る発明において、各ステータ磁極の永久磁石へ起磁力を印可する励磁巻線と、励磁巻線へ永久磁石が減磁する方向の電流を通電できる電流通電手段とを備え、ステータ磁極の永久磁石の消磁、あるいは、減磁を行う構成のモータである。
この構成によれば、永久磁石を消磁、あるいは、減磁することができる。また、各相巻線を使用して、永久磁石の着磁、あるいは、増磁することができる。
請求項50に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、電力を供給する電源VS11と、一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、トランジスタTR11に並列に接続したダイオード12と、電源VS11の正側へ巻線WW12を接続し、巻線WW12の他端とたと電源VS11の負側との間に配置したトランジスタTR12と、トランジスタTR12に並列に接続したダイオード11とを備え、他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御する構成のモータである。
この構成によれば、各スロットに負方向電流成分を通電することができるので、界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変などを行うことができる。
請求項51に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、片方向の電流を供給する前記電力変換器PA1、あるいは、前記電力変換器PA3とは逆方向の電流を通電する電力変換器PA10を備える構成の発電機である。
この構成によれば、各スロットに負方向電流成分を通電することができるので、界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変などを行うことができる。
請求項52に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、各ステータ磁極へ界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備え、前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器である構成のモータである。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
請求項53に記載の発明は、請求項1または2に係る発明において、ステータ磁極に配置した永久磁石を備え、前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器である構成の発電機である。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
請求項54に記載の発明は、請求項23または27に係る発明において、前記電力変換器PA9は整流器である構成の発電機である。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
本発明の実施形態である3相、全節巻、集中巻き、片方向電流のモータの、回転角位置θr=15°における横断面および磁束を例を示す図である。 図1の回転角位置をθr=30°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=45°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=52.5°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=60°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=67.5°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=75°に変えた例である。 図1の回転角位置をθr=90°に変えた例である。 図1の各巻線へ片方向電流を通電する制御回路の例である。 図1のモータの低速回転での通電電流の例である。 図85のモータの電磁気的構成を表す図である。 図1のモータの電磁気的構成を表す図である。 相電流の順変換と電流成分の電磁気的構成を表す図である。 軟磁性体の磁気特性を示す図である。 本発明モータの電流とトルクの関係を示す図の例である。 各ステータ磁極の電流成分とその構成を示す図である。 図16のモータ構成で、ロータ回転角位置θr=30°の図である。 各ステータ磁極の発生トルクの回転領域とそのトルク式を示す表である。 電気角360°の間に、ステータ磁極が10個で、ロータ突極が6個のモータの例である。 電気角360°の間に、ステータ磁極が10個で、ロータ突極が8個のモータの例である。 電気角360°の間に、ステータ磁極が6個で、ロータ突極が2個のモータの例である。 図21のモータ構成で、ロータ回転角位置θr=50°の図である。 図21のモータの各相電流と各相トルクの例である。 電気角360°の間に、ステータ磁極が8個で、ロータ突極が6個のモータの例である。 図24のモータの電流を通電する制御回路の例である。 本発明モータの電流と電圧を制御する全体の概略を示す図である。 各相の電流成分を制御してモータの電流と電圧を制御するブロックダイアグラムである。 各相の相電流を制御してモータの電流と電圧を制御するブロックダイアグラムである。 各相の電流成分と相電流との両方を制御してモータの電流と電圧を制御するブロックダイアグラムである。 図27の制御回路で図1のモータの電流を制御する例である。 図27の制御回路で図1のモータの電流を制御する例である。 トルク制御を示す図の例である。 図21のモータの電流と電圧の例である。 電圧の問題を示すタイムチャートである。 本発明モータの電圧制御を模式的に示す図である。 電圧の問題を低減する制御回路の例である。 電圧の問題を低減する巻線と制御回路の例である。 電圧の問題を低減する制御回路の例である。 各相の電流をそれぞれ1個のトランジスタで制御する制御回路の例である。 3相交流電圧、電流の制御回路と3相同期電動機の星形結線の巻線とを示す図である。 電圧の問題を低減する巻線と制御回路の例である。 各スロットに2個の巻線を配置する本発明モータの巻線とその電流と電圧を制御する制御回路を示す図である。 図35に各相の電圧、電流を制限する機能を付加した図である。 図27において、各相の電流誤差に応じて、相互に他の相の電圧、電流を制限する機能を付加した構成を示す図である。 界磁電流成分を各相の電流に付加した電流を示すタイムチャートである。 図1のモータ構成に界磁巻線を付加した構成のモータである。 界磁巻線とその電流を通電する回路を示す図である。 界磁巻線とその電流を通電する回路を示す図である。 図48の各界磁巻線の電圧を示すタイムチャートである。 界磁巻線とその電流を通電する回路を示す図である。 図1のモータ構成に、永久磁石を付加したモータの構成である。 各種の磁石配置の例である。 2個の同相のステータ磁極の片方に永久磁石を配置した構成の例である。 図1のモータを8極に多極化し、それらのステータ磁極の一部に永久磁石を配置した構成を示す図である。 図1のモータのスロット開口部の近傍に、各ステータ磁極の磁束方向とは反対の向きに永久磁石を配置した構成の例である。 各相の電流成分と界磁電流成分と各巻線の電圧とを計算するブロックダイアグラムである。 モータの電圧、電流、磁束鎖交数、インダクタンス、回転角速度、トルクの入出力関係を模式的に示す図である。 ロータの回転角位置θrと各相の電流値によって決まる磁束鎖交数等の情報を表にした構成を示す図である。 図58のデータの内、トルク情報と電流情報とを入れ替えた構成の表である。 一般的な定出力特性のモータの回転数と最大トルク、最大パワーの関係を示す図である。 本発明モータを外径側と内径側に、2個複合化したモータ構成の横断面図である。 外径側のモータと内径側のモータとの関係が、図61に示すモータに比較し、円周方向に電気角で180°位相が異なる構成のモータである。 図61の複合モータで内径側モータのスロット位置が、円周方向に1/2スロットピッチCCWへシフトした構成のモータである。 図61の複合モータで、バックヨーク部のロータ軸方向に軟磁性体を付加した構成のモータである。 図61の複合モータで、各相の巻線に加え、界磁巻線と回生電流用の巻線とを付加した構成のモータである。 図61の複合モータの縦断面の例である。 図61の複合モータで、ロータ軸剛性の高い構成のモータの縦断面の例である。 図67の複合モータで、モータの熱放散を効果的に行う例を示す図である。 図1のステータ磁極のロータに対向する面の円周方向形状を、直線状に展開した展開図である。 図69のステータ磁極形状を台形形状とし、円周方向に交互に向かい合う配置とした構成である。 図70のステータ磁極形状を、交互にロータ軸方向にシフトした構成である。 図71のステータ磁極形状の円周方向幅を広げた構成とし、各相巻線の配置関係を付加した図である。 図1のモータのステータ磁極とロータ突極を相互に逆方向の円周方向に傾けた構成を示す図である。 ステータ磁極とロータ突極との間のエアギャップを等価的に低減する方法を示す図である。 図51のモータの永久磁石を着磁、あるいは、増磁する方法の例を示すである。 図51のモータの永久磁石を消磁、あるいは、減磁する方法の例を示すである。 永久磁石を消磁、あるいは、減磁する制御回路と巻線の間系を示すである。 各ステータ磁極に巻回した巻線を直列に接続し、電流を通電して消磁、あるいは、減磁する方法の例を示すである。 各ステータ磁極に巻回した巻線を直列に接続し、電流を通電して着磁、あるいは、増磁する方法の例を示すである。 図1のモータの各スロットへ2個の巻線を並列に巻回し、2個の巻線へ相互に逆方向へトランジスタを接続し、このトランジスタで片方向電流を通電する構成を示す図である。 図1のモータの各相巻線へ各相電流を通電すると共に、負の界磁電流成分も通電できる構成の制御回路例を示す図である。 図46、図51などのモータを発電機として使用する場合の整流回路と各相巻線の接続関係の例を示す図である。 図24のモータへ界磁巻線あるいは永久磁石を付加して発電機として使用する場合の、整流回路と各相巻線の接続関係の例を示す図である。 図19のモータへ界磁巻線あるいは永久磁石を付加して発電機として使用する場合の、整流回路と各相巻線の接続関係の例を示す図である。 従来の集中巻線を巻回するスイッチトリラクタンスモータの構成を示す横断面図の例である。 従来の全節巻き巻線を巻回するスイッチトリラクタンスモータの構成を示す横断面図の例である。
本発明のモータ実施例の横断面を図1に示す。
このモータの構成は、各相の巻線を全節巻きとしたスイッチトリラクタンスモータ(以下、SRMと呼ぶ)である。A0DとA0Gは破線で示すコイルエンドA0Lで接続された全節巻線で、A相巻線Waである。A0FとA0Jは破線で示すコイルエンドA0Mで接続された全節巻線で、B相巻線Wbである。A0HとA0Eは破線で示すコイルエンドA0Nで接続された全節巻線で、C相巻線Wcである。これらのA相、B相、C相の巻線Wa、Wb、Wcへはそれぞれ片方向電流を通電する。図1の巻線シンボルで示すように、×マークの巻線の電流方向は、紙面で表側から裏側へ通電する。黒点マークの巻線の電流方向は、紙面で裏側から表側へ通電する。
A01とA04は、A相巻線とC相巻線に挟まれたAC相のステータ磁極である。A03とA06は、B相巻線とA相巻線に挟まれたBA相のステータ磁極である。A05とA02は、C相巻線とB相巻線に挟まれたCB相のステータ磁極である。
ロータは、4個のロータ突極を90°ごとに配置している。材質は軟磁性体で、電磁鋼板を積層して製作できる。A0Zはロータ軸である。ロータの回転位置はA相巻線の円周方向角度を基準としてロータ突極の反時計回転方向CCWの角部の回転角度を示し、図1に示す回転角度θrで示すことにする。図1では、θr=15°である。モータケース、軸受けなどは省略していて、記載していない。
なお、図1に示す全節巻きSRMの最小構成は、6個のステータ磁極と4個のロータ突極の構成である。本発明では、図1で示す機械角360°を電気角360°として表現する。そして、ロータ突極が4個なので紛らわしいが、図1に示すモータ構成を「2極の全節巻きSRM」と表現する。本発明では、表現の容易さのため図1などの2極のモータで説明する。実際の実用的なモータは、モータの大きさ、用途にもよるが、例えば図1のモータを4倍程度に多極化した8極構成などを想定する。
各ステータ磁極の円周方向幅は、ステータ磁極とロータ突極が対向するエアギャップ面の円周方向角度で表現して、電気角で30°の例を示している。各巻線を配置しているスロットA07、A08、A09、A0A、A0B、A0Cの円周方向幅も電気角で30°である。ロータ突極の円周方向幅も電気角で30°の例を示している。これらの円周方向幅は、小さくする、あるいは、大きくすることによりモータ特性を変えることができるので、モータの要求仕様により種々の円周方向幅の値を選択することができる。
また、A相、B相、C相の全節巻き巻線は、鼓状巻、波巻き、環状巻など電磁気的に等価な種々巻線方法を採用することができる。図8に環状巻線とした例を示す。B相巻線A0Fは破線F52と巻線F51に示すように、スロットA09からその外径側へ環状に巻線を巻回している。環状巻線A0Fと環状巻線A0Jを直列に接続すると、図1の全節巻線A0F、A0Jと電磁気的に同一の効果となる。図8に示す他の相の環状巻線についても同様である。
次に図9に、図1のモータに電流を通電する回路の例を示す。87Gは電源である。87DはA相巻線、87EはB相巻線、87FはC相巻線である。871と872はトランジスタで、両トランジスタをオンすることにより電源87Gの電圧を印加し、A相巻線87Dに流れるA相電流Iaを増加させる。両トランジスタをオフすると、ダイオード877、878を経由してA相電流Iaが流れ、A相電流Iaを減少させると共にA相巻線87Dの磁気エネルギーを電源へ回生する。両トランジスタ871、872の片方だけがオンすると、フライホイール電流を通電する状態となる。すなわち、トランジスタ871だけをオンすると、A相電流Iaはトランジスタ871と巻線87Dとダイオード877を通って一巡する電流となり、電源87Gとは分離した状態になる。このように、力行とフライホイールと回生の3種類の通電モードを選択してA相電流Iaの増減を制御することができる。
87EはB相巻線で、A相と同様に、トランジスタ873と874でB相電流Ibを制御する。879、87Aは回生用のダイオードである。87FはC相巻線で、A相と同様に、トランジスタ875と876でC相電流Icを制御する。87B、87Cは回生用のダイオードである。なお、電流通電用のトランジスタは、各種の半導体などが使用できる。例えば、IGBT、パワーMOSFET、サイリスタ、GTO、SiCを活用したトランジスタなどである。
次に、図1に示すモータの各回転位置θrにおけるトルクの発生に関し、静的なトルク特性について説明する。単純には、図10に示すようにA相電流Ia、B相電流Ib、C相電流Icを通電することができれば、各回転位置θrにおいてトルクを発生できる。順を追って説明する。
図1はθr=15°であり、巻線A0D、A0GへA相電流Iaを通電し、同時に、巻線A0H、A0EへA相電流Iaと同じ大きさのC相電流Icを通電する。B相電流Ibは零とする。この時、両電流Ia、Icにより、F01で示す磁束φacが誘起し、吸引力が生成され、矢印で示すCCWのトルクが発生する。破線の矢印方向のF03の磁束φcbは、アンペアの法則「磁界の強さをある閉路について周回積分した値は、その閉路に鎖交する電流値の合計となる」に従って、A相電流IaとC相電流Icとが同じ大きさで逆方向に鎖交することから鎖交する電流値の合計が零となり、磁束F03は零となる。BA相のステータ磁極A03からA06へ向かう磁束φbaも同じ関係なので零となる。図2はθr=30°であり、図1の動作が継続する。
図3はθr=45°であり、この回転位置まで来るとAC相ステータ磁極A01とA04では回転トルクを発生することはできない。両電流Ia、Icを零とすると同時に、B相電流IbとA相電流Iaとに同じ値の電流を通電する。この時、A相電流Iaは、結局、通電状態が継続することになる。両電流Ib、Iaにより、BA相ステータ磁極A03、A06へF21で示す磁束φacが誘起し、吸引力が生成され、矢印で示すCCWのトルクが発生する。他のAC相、CB相のステータ磁極の方向へは、アンペアの法則より磁束が発生しない。図4はθr=52.5°であり、図3の動作が継続する。図5はθr=60°であり、図4の動作が継続する。図6はθr=67.5°であり、図5の動作が継続する。
図7はθr=75°であり、この回転位置まで来るとBA相ステータ磁極A03とA06では回転トルクを発生することはできない。両電流Ib、Iaを零とすると同時に、C相電流IcとB相電流Ibとに同じ値の電流を通電する。この時、B相電流Ibは、結局、通電状態が継続することになる。両電流Ic、Ibにより、CB相ステータ磁極A05、A02へF41で示す磁束φcbが誘起し、吸引力が生成され、矢印で示すCCWのトルクが発生する。他のBA相、AC相のステータ磁極の方向へは、アンペアの法則より磁束が発生しない。図8はθr=90°であり、図7の動作が継続する。図8のロータ回転位置θr=90°からCCWへ15°進むとθr=105°となり、その状態は図1のロータ回転位置θr=15°と全く同じ状態となる。
以上示したように、モータの通電サイクルを一巡したことになり、図1から図8までの通電サイクルを繰り返すことにより連続的にCCWのトルクを生成することができることになる。しかし、A相巻線Wa、B相巻線Wb、C相巻線Wcは相互に複雑な磁気的な結合関係となっていて、前記の方法では回転速度が速くなると期待する電流を通電できないという問題がある。後にこの詳細な分析結果と解決策を示す。
次に、全節巻きSRMの特徴について考える。SRMの共通の特徴は、永久磁石を使用せずにモータを構成できるので低コストである。ロータが堅牢なので、高速回転が可能である。全節巻きSRMは、図85に示す集中巻きSRMに比較して、スロット内の巻線断面積を2倍にできるので巻線抵抗を約1/2に小さくでき、ジュール損の低減によりモータの小型化、低コスト化が可能である。
また、図1で示したように、モータのA相巻線Wa、B相巻線Wb、C相巻線Wcの内に2個の巻線に通電することによりトルクを発生する。この時、図9に示した回路のように、3個の巻線と回路が相互に独立している場合には、2個の巻線と回路から並列に給電できることになる。これは、図85に示す集中巻きSRMの場合に比較し、トランジスタの電流容量を1/2にできることを意味し、制御回路を1/2に小型化できることになる。永久磁石を使用するブラシレスモータを星形結線として6個のトランジスタで3相交流電流を通電する場合に比較しても、同様の理由で、制御回路を1/2に小型化できる可能性がある。要約すると、図1のモータを図9などの回路で効果的に制御することができれば、モータと制御回路の小型化、低コスト化の可能性がある。後に具体的なモータ構造を含む制御の方法などを示す。
次に、全節巻きSRMの問題点とその分析について、改めて、説明する。第1の問題点は、各相の巻線間に複雑に鎖交する磁束に起因する問題である。図85に示した従来の集中巻きSRMのU相の磁束φu、V相の磁束φv、W相の磁束φwは、それぞれが独立していて、相互に干渉することはない。具体的には、一つの相の磁束が他の相の巻線へ鎖交することはない。この磁気的関係は、定性的に、図11の様に表現できる。MK1はU相の磁気回路で、ステータ磁極861、864とステータのバックヨークとロータ突極86L、86Qとで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図85の磁束86Mが図11のU相磁束φuである。MK4はU相の巻線で、図85の巻線867、868と86E、86Dを直列に接続した巻線に相当する。
MK2はV相の磁気回路で、ステータ磁極863、866とステータのバックヨークとV相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。V相磁束φvについてもU相と同様である。MK5はV相の巻線で、図85の巻線86B、86Cと86J、86Hを直列に接続した巻線に相当する。
MK3はW相の磁気回路で、ステータ磁極865、862とステータのバックヨークとW相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。W相磁束φwについてもU相と同様である。MK6はW相の巻線で、図85の巻線86F、86Gと86A、869を直列に接続した巻線に相当する。
このような図11の磁気的関係は、各相の電流、磁束、電圧が相関で独立しているのでその制御的な困難さは少ない。各巻線のインダクタンスは自己インダクタンスである。
図85の集中巻きSRMに対し、図1に示す全節巻きSRMの磁気的な結合関係は複雑である。F01のAC相の磁束φacは、A0DとA0GのA相巻線WaのA相電流IaとA0HとA0EのC相巻線WcのC相電流Icによって励磁することができると説明した。しかし、この磁束φacは、A0FとA0JのB相巻線Wbとも鎖交しており、B相電流Ibの影響も受ける。逆に、AC相の磁束φacは各相巻線に鎖交しているので、A相巻線WaのA相電圧Va、B相巻線WbのB相電圧Vb、C相巻線WcのC相電圧Vcに影響する。この関係は、F02のBA相磁束φba、F03のCB相磁束φcbについても同様で、各相巻線との相互の複雑な鎖交関係である。3相で3線の相互インダクタンスの構成となっている。
集中巻きSRMの電磁気的モデルである図11に相当する図として、全節巻きSRMの電磁気的モデルを図12に示す。
MT1はAC相の磁気回路で、AC相ステータ磁極A01、A04とステータのバックヨークとAC相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F01が図12のAC相磁束φacである。
MT2はBA相の磁気回路で、BA相ステータ磁極A03、A06とステータのバックヨークとBA相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F02が図12のBA相磁束φbaである。
MT3はCB相の磁気回路で、CB相ステータ磁極A05、A02とステータのバックヨークとCB相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F03が図12のCB相磁束φcbである。
MT4はA相の巻線で、図1の巻線A0DとA0GのA相全節巻き巻線Waに相当する。MT5はB相の巻線で、図1の巻線A0FとA0JのB相全節巻き巻線Wbに相当する。MT6はC相の巻線で、図1の巻線A0HとA0EのC相全節巻き巻線Wcに相当する。各相巻線の巻き方向がそれぞれに異なっている。
図12に示すように、各磁気回路MT1、MT2、MT3に各3相巻線を巻回した構成で、3巻線の電流Ia、Ib、Icが3個の磁束φac、φbc、φcbに影響を与える。3巻線の相互インダクタンスが3個組み合わされている。逆に、3個の磁束φac、φbc、φcbが3巻線それぞれに鎖交しており、3巻線の電圧に影響を与える。例えば、AC磁束φacが発生する電圧(Nw×dφac/dt)は、正負の符号は異なるが同じ大きさの電圧が3巻線に発生することになる。
なお、図12では、各巻線の漏れ磁束と巻線抵抗は零として無視して説明した。また、図1において、例えば、ステータ磁極A06からステータ磁極A01へ向かう磁束成分は、F01のAC相磁束φacとF02のBA相磁束φbaに分解して考えることができ、表現できる。
全節巻きSRMの電磁気的モデルである図12は、集中巻きSRMの電磁気的モデルである図11に比較して、各相の相互関係が複雑な構成であることが良く解る。一見して類似しているようにも見える両モータは、全く異なる電磁気特性を示すことを明らかにした。このような図12の構成で、3個の電流Ia、Ib、Icにより3個の磁束φac、φbc、φcbを自在に制御することが可能であって、かつ、3個の巻線の制御回路および電源電圧の都合上を含めて3個の電流Ia、Ib、Icを自在に制御することが可能であれば、図1に示すモータの特長を生かしたモータシステムの実現が可能となる。
次に全節巻きSRMの第2の問題点は、軟磁性体の磁気的に非線形な領域の特性を電圧方程式として扱う技術的な方法の問題と全節巻きSRMの特性の数式化の問題である。
図14に軟磁性体の磁気特性の例を示す。横軸は磁界の強さHで、縦軸は磁束密度である。今、磁界の強さH=Ifoで磁束密度Bfoの動作点HB1を、磁気飽和と呼ぶことにする。変圧器などの磁気設計を行う場合などは、磁気飽和の70〜80%程度で設計することが多い。しかし、モータは小型化、軽量化、低コスト化の追求が進み、磁気飽和の点HB1を超えた磁気設計を行うことが少なくない。特にリラクタンスモータは磁気抵抗の差で力を発生するので、磁気飽和領域を使用することが多い。ただし、小さなモータであれば、最大電流を通電しても磁気飽和しない。
前記のように、軟磁性体の磁気飽和領域での動作を前提とするモータの特性式に、電流と磁束の比例定数であるインダクタンスLあるいは相互インダクタンスMを使用してモータ特性を論ずることに無理がある。また2個以上の多数の巻線に複数の磁束が鎖交する場合の表現方法としても難しさがある。非線形なインダクタンスLあるいは相互インダクタンスMを使用したモータの特性式では、その特性を把握することが難しい。また、何らかの改善策の立案に対して、その妥当性の評価が難しい。
次に、全節巻きSRMの第3の問題点は、相互インダクタンスに起因して各巻線間の電圧の相互作用があり、電流の具体的な制御回路における制約の問題がある。例えば、一つの巻線で電流を減少させている間には、他の相の巻線の電流を増加できないような制約関係が発生する。モータの改良、あるいは、電力変換器の改良、あるいは、電流制御アルゴリズムの改良が必要となる。
次に、全節巻きSRMの第4の問題点は、各相巻線の周辺で部分的に発生する漏れ磁束の問題と磁気飽和の問題である。多くのモータ用途では、連続出力トルクの数倍のピークトルクを必要とすることが多い。
図15にモータのトルク特性の例を示す。横軸はモータの電流Ixで縦軸はトルクTである。太線で示す特性Trmはモータ特性の例である。電流Ixの小さな領域からIx=A2の動作点Tnbまでは電流Ixの増加と共にほぼ比例的にトルクTが増加する特性である。動作点Tnbより動作点Tncにかけては、電流Ixの増加に対してトルク増加が少なく、いわゆるトルク飽和の領域となっている。このような特性で、動作点TnbのトルクT2がこのモータのピークトルクである。モータ特性として、ピークトルクを大きくできればモータの小型化、低コスト化が可能となり、重要な特性である。
図1に示す全節巻きSRMのスロットの巻線に電流を通電すると、スロットの開口部近傍には漏れ磁束が発生する。例えば、A0HのC相巻線にC相電流Icを通電すると、F01のAC相磁束φacなどの他に、ステータ磁極A04の先端近傍からステータ磁極A05にかけて、スロットA0Bの開口部近傍で磁束φyyが誘起する。この磁束φyyは漏れ磁束であり、ステータ磁極A04、A05を早め、図15で示したピークトルクT2を低下させてしまう。筆者らの有限要素法解析および試作モータの評価でも、全節巻きSRMの問題の一つであった。
次に、全節巻きSRMの第5の問題点は、各相巻線の抵抗値の問題である。全節巻きSRMのスロット内の巻線断面積Sffは、集中巻きSRMのスロット内の巻線断面積Sssに比較して2倍にできるので巻線抵抗を約1/2に小さくでき、ジュール損の低減によりモータの小型化、低コスト化が可能である。しかし、コイルエンド部が長くなるので、モータのロータ軸方向長が大きくなる問題、スロット部以外の巻線長が長くなるため巻線抵抗が大きくなる問題もある。
次に、全節巻きSRMの第6の問題点は、ステータ磁極とロータ突極の間のエアギャップ長と磁束を誘起する励磁電流負担との問題である。図15で示すように、電流の小さな領域、例えば、電流IxがA1以下の領域ではトルクが小さい。エアギャップ長が大きくなるとA1、Agの値も大きくなる傾向がある。エアギャップ長が小さくなると、モータの機械的精度を高くする必要が出てきて、ロータの遠心力に起因した膨張による外径寸法の増大も問題となる。なお、図15の特性Tgzは、ステータ磁極とロータ突極の間のエアギャップが零である場合の、トルクの理論的理想曲線である。特に、電流が小さい領域ではトルクが小さく、動作点Tna辺りまでの領域ではトルクが電流の二乗特性となる。理論的理想曲線とトルク特性Trmとの電流差はAgである。
以上、全節巻きSRMの各種の問題点を示したように、従来モータとは異なる面があり、本発明モータは前記の各問題を解決するため、モータの構造とその電流を通電する回路と電圧、電流の制御アルゴリズムとが密接に関わるモータシステムの構成を提案する。
次に、全節巻きSRMの問題点を解決する方法を示す。まず、図1、図12で示した各相巻線と各磁束との相互作用の問題について、相関の相互作用のない複数の非干渉電流成分に分解して表現し、制御する方法を考える。複数の非干渉電流成分を合成すると、則ち電流成分の逆変換により、図1、図12で示したA相電流Ia、B相電流Ib、C相電流Icとなる。また、電流成分の順変換の方法を明らかにする。複数の非干渉電流成分の電圧方程式を明らかにする。各相の電流と電圧の特性を一般式として明らかにする。モータのトルク、パワーを明らかにする。また、磁気的に非線形であることを前提とし、非線形なインダクタンスLあるいは非線形な相互インダクタンスMを使用しない表現とする。代わりに、磁気的に非線形な領域の特性を明らかにするため、磁束φあるいは磁束鎖交数Ψを用いる。なお、現代では、モータの特性解析に有限要素法などを用いることが多く、各ロータ回転位置での各相電流値における磁束データを容易に得ることができる。
従って、モータの各変数の組み合わせ条件における磁束データをテーブル化することは比較的容易である。この結果、物理原則に忠実な表現、制御を実現することになり、誤差の少ない表現、制御とすることができる。
具体的な非干渉電流成分の例を図16に示す。FD2とFD8は全節巻きの電流成分Iacであり、FD9とFD3は全節巻きの電流成分Icaであり、IacとIcaは同じ電流値とする。F06とFDFは全節巻きの電流成分Ibaであり、FD1とFD7は全節巻きの電流成分Iabであり、IbaとIabは同じ電流値とする。FDDとFD4は全節巻きの電流成分Icbであり、FD5とFDEは全節巻きの電流成分Ibcであり、IcbとIbcは同じ電流値とする。
Iac=Ica (1)
Iba=Iab (2)
Icb=Ibc (3)
A相の電流Ia、B相の電流Ib、C相の電流Icは、各スロットの電流の合計であり、次に示す電流成分の逆変換の式が成り立つ。
Ia=Iac+Iab (4)
Ib=Iba+Ibc (5)
Ic=Icb+Ica (6)
図16と(1)式から(6)式による電磁気的な特性について説明する。電流成分IacとIcaは同じ電流値なので、ステータ磁極A04からA01の方向のFDACで示すAC相磁束φacを励磁する起磁力HACacを、アンペアの法則に従って生成する。
HACac=Nw×(Iac+Ica)=2×Nw×Iac (7)
一方、これらの電流成分IacとIcaがFDBAのBA相磁束φbaを励磁する起磁力HBAacは、アンペアの法則でその経路に鎖交する電流が零となる。
また、これらの電流成分IacとIcaがFDCBのCB相磁束φcbを励磁する起磁力HCBacも、アンペアの法則でその経路に鎖交する電流が零となる。
HBAac=Nw×(Iac−Ica)=0 (8)
HCBac=Nw×(Ica−Iac)=0 (9)
従って、電流成分IacとIcaはAC相磁束φacを励磁するが他のBA相磁束φba、CB相磁束φcbには電磁気的に影響しない特性である。なお、図16には、各ステータ磁極の磁束φac、φba、φcbと各電流成分Iac、Iab、Iba、Ibc、Icb、Icaを分かり易いように付記している。
電流成分IbaとIabも同じ電流値なので、ステータ磁極A06からA03の方向のFDBAで示すBA相磁束φbaを励磁する起磁力HBAbaを、アンペアの法則に従って生成する。また、これらの電流成分IbaとIabがAC相磁束φacを励磁する起磁力HACbaとCB相磁束φcbを励磁する起磁力HCBbaは、アンペアの法則でその経路に鎖交する電流が零となる。
HBAba=Nw×(Iba+Iab)=2×Nw×Iba (10)
HACba=Nw×(Iab−Iba)=0 (11)
HCBba=Nw×(Iba−Iab)=0 (12)
電流成分IcbとIbcも同じ電流値なので、ステータ磁極A02からA05の方向のFDCBで示すBA相磁束φcbを励磁する起磁力HCBcbを、アンペアの法則に従って生成する。また、これらの電流成分IcbとIbcがAC相磁束φacを励磁する起磁力HACcbとBA相磁束φbaを励磁する起磁力HBAcbは、アンペアの法則でその経路に鎖交する電流が零となる。
HCBcb=Nw×(Icb+Ibc)=2×Nw×Icb (13)
HACcb=Nw×(Icb−Ibc)=0 (14)
HBAcb=Nw×(Ibc−Icb)=0 (15)
これらを合計して、φacを励磁する起磁力は(7)式と(11)式と(14)式により、次式となる。
HACac+HACba+HACcb=2×Nw×Iac (16)
同様に合計して、φbaを励磁する起磁力は(8)式と(10)式と(14)式により、次式となる。
HBAac+HBAba+HBAcb=2×Nw×Iba (17)
同様に合計して、φcbを励磁する起磁力は(9)式と(12)式と(13)式により、次式となる。
HCBac+HCBba+HCBcb=2×Nw×Icb (18)
以上、(16)式、(17)式、(18)式から、図16で示す磁束φac、φba、φcbは、電流成分Iac、Iba、Icbにより、それぞれ独立に制御できることが解る。これは、図12で示した各相の電流Ia、Ib、Icの複雑な相互作用を解消できることでもある。さらに、図12において、磁束φac、φba、φcbを同時に自在に制御できるので、図2の磁束F01、F02、F03を同時に自在にその大きさ制御でき、CCWのトルクとCWのトルクとの差分でモータを駆動することもできる。3相を交互に制御するだけでなく、3相を同時に連続的に制御することが容易となる。
また、各相の電流Ia、Ib、Icを各電流成分Iac、Iba、Icbへ変換する方法は、(1)式から(3)式と(4)式から(6)式の逆変換式を使用して、次式の各相電流の順変換式となる。
Iac=(Ia−Ib+Ic)/2 (19)
Iba=(Ia+Ib−Ic)/2 (20)
Icb=(−Ia+Ib+Ic)/2 (21)
従って、各相の電流とIa、Ib、Icと各電流成分Iac、Iba、Icbとの相互変換は、(4)式、(5)式、(6)式の逆変換式と(19)式、(20)式、(21)式の順変換式を使用して容易に行うことができる。
図1と図16および前記逆変換式、順変換式の関係は、図12の電磁気的な複雑な関係を図13に示す簡素な関係に置き換えたと考えることができる。MF1は電流の座標を変換する電流座標変換器であり、具体的な機能は(4)式、(5)式、(6)式で示す電流値の逆変換と(19)式、(20)式、(21)式で示す電流値の順変換である。MF2は仮想の巻線WacとWcaを直列に接続した巻線で、電流Iacを通電する。MF3は仮想の巻線WbaとWabを直列に接続した巻線で、電流Ibaを通電する。MF4は仮想の巻線WcbとWbcを直列に接続した巻線で、電流Icbを通電する。各相の磁束φac、φba、φcbを同時に自在に制御できる。各電流成分Iac、Iba、Icbは、図13のような構成が可能な電流値と定義して求める値である。
次に、各電流成分Iac、Ica、Iba、Iab、Icb、Ibcとこれらの電流を通電する巻線があるとした時のそれぞれの電圧Vac、Vca、Vba、Vab、Vcb、Vbcについて説明する。電流成分Iacを通電する巻線WacとIcaを通電する巻線Wcaが存在すると仮定してそれぞれの電圧VacとVcaする。電圧Vacは、図16において巻線FD2とFD8を全節巻きとした巻線の電圧であり、磁束φac、φba、φcbと鎖交していて複雑である。電圧Vcaは、図16において巻線FD9とFD3を全節巻きとした巻線の電圧であり、磁束φac、φba、φcbと鎖交していて、この値も複雑である。しかし、これらの全節巻線WacとWcaを2個直列に接続すると、磁束φba、φcbはキャンセルされて鎖交しない構成である。
今、これらの全節巻線を2個直列に接続した巻線の両端間電圧をV2acとすると、磁束φacに鎖交する次式となる。
V2ac=Vac+ Vca
=2×(Nw×dφac/dt+Iac×Rac) (22)
ここで、Racは仮想の全節巻線の抵抗値である。
BA相、CB相も同様の関係となっており、次式となる。
V2ba=Vba+Vab
=2×(Nw×dφba/dt+Iba×Rba) (23)
V2cb=Vcb+Vbc
=2×(Nw×dφcb/dt+Icb×Rcb) (24)
ここで、Rba、Rcbは仮想の全節巻線の抵抗値である。
次に、入力パワーPinは3相の電圧と電流の積和であり、次式となる。
Pin=V2ac×Iac+V2ba×Iba+V2cb×Icb (25)
=2×(Nw×Iac×dφac/dt+Iac2×Rac)
+2×(Nw×Iba×dφba/dt+Iba2×Rba)
+2×(Nw×Icb×dφcb/dt+Icb2×Rcb) (26)
ここで、各磁束φac、φba、φcbについては後に示す。
次に、トルクTはモータのパワーを回転角速度ωrで徐すれば良いので、次式となる。 T=Pin/ωr (27)
但し、ここでは、巻線抵抗、鉄損、機械損は無視している。また、モータ内の磁気エネルギーについても、各巻線電流が十分に大きい領域であることを想定し、無視している。正確には次式の関係である。
[ 入力パワーPin] =T×ωr+[ モータ内磁気エネルギーの時間変化分]
+[ ジュール損] +[ 鉄損] +[ その他機械損等] (28)
また、ここでは定性的な関係を示しており、空隙部の漏れ磁束、軟磁性体の非線形性などに起因する誤差も発生する。より正確な制御は、後に示すように、モータの有限要素法などの解析により容易に得られる各電流条件における磁束データ等をデータベースとして持ち、その磁束データを各式に当てはめることなどにより実現することができる。
次に、AC相の磁束φac、AC相の全節巻線WacとWcaを2個直列に接続した仮想巻線のインダクタンスLac、この仮想巻線の電圧V2ac、AC相のパワーPac、AC相のトルクTacについてその具体的な値を求める。
モータモデルは、図1のモータを図16の電流成分に変換したモデルである。モータパラメータは、ステータ磁極とロータ突極が対向する部分のエアギャップ長をLgap、ステータおよびロータのロータ軸方向長さをtc、ロータ半径をR、真空透磁率μo=4π×10-7とする。今、モータのバックヨーク、ステータ磁極、ロータ突極など軟磁性体部の比透磁率は十分に大きく、磁気抵抗は零であると仮定する。
まず最初に、電流の大きさの条件として各相の電流値は小さく、各軟磁性体の磁束密度は比較的小さいので、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について各値を求める。AC相のエアギャップ部の磁界の強さHacと磁束密度Bacと磁束φacは次式となる。
2×Lgap×Hac=Nw×(Iac+Ica)=2×Nw×Iac (29)
Bac=μo×Hac
=μo×Nw×Iac/Lgap (30)
φac=Bac×Sac
=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(θr−θoff) (31)
ここで、SacはAC相のステータ磁極とロータ突極が対向する部分の面積であり、(θr−θoff)はAC相のステータ磁極とロータ突極とが対向する部分の円周方向回転角の幅である。θoffはAC相固有の回転位置のオフセット量であり、図1の場合はθoff=15°である。そして、この(31)式は(θr−θoff)が0°から30°の間で成り立つ式である。すなわち、θrが15°から45°の間ではCCWのトルクを発生することが可能である。
次に、AC相の全節巻線WacとWcaを2個直列に接続した仮想巻線のインダクタンスLacを求めるために、AC相の磁束鎖交数Ψacを(31)式を使用して求める。
Lac×Iac=2×Nw×φac=Ψac (32)
Lac=2×Nw×φac/Iac (33)
=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (34)
ここで、インダクタンスLacはロータの回転位置θrに依存して大きく変化するので、電流制御においては回転位置θrに応じて電流制御のパラメータを適正に可変することが好ましい。また、このインダクタンスLacは電流Iacが小さく、軟磁性体が磁気飽和しない領域で成り立つ式である。
次に、AC相ステータ磁極の巻線WacとWcaの直列電圧V2ac=Vac+Vcaは、(31)式を使用して次式となる。
V2ac=2×Nw×dφac/dt (35)
=2×Nw×d{μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(θr−θoff)}/dt (36)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×d{Iac×(θr−θoff)}/dt (37)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt} (38)
もし(38)式で、AC相のステータ磁極の電流成分Iacが一定である期間については、微分式の第1項が零となり、電圧Vacが簡略化できて、回転角速度ωrに比例する次式となる。電圧成分が軽減できる。
V2ac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×d(θr−θoff)/dt (39)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac×ωr (40)
次に、AC相のパワー入力PacとAC相のトルクTacを求める。
なお、軟磁性体が磁気的に線形な領域であり、また、図1においてθrが15°から45°の間で成り立つ。
Pac=V2ac×Iac
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt} (41)
Tac=Pac/ωr
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt}/ωr (42)
ここで、損失分等は無視しており、正確には(28)式の関係である。
以上、AC相のθrが15°から45°の範囲における磁束密度Bac、磁束φac、仮想巻線の電圧V2acパワーPac、トルクTacの具体的な値を求めた。なお、この範囲ではAC相ステータ磁極はCCWトルクを発生することができる。
次に、前記AC相と同様に、BA相について磁界の強さHba、磁束密度Bba、磁束φba、インダクタンスLba、仮想巻線の電圧V2ba、パワーPba、トルクTbaを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、BA相固有の回転位置のオフセット量はθoff=45°となる。ロータ回転位置θrが45°から75°の範囲における各値である。BA相のステータ磁極は、この回転範囲ではCCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値は小さく、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について求める。
2×Lgap×Hba=Nw×(Iba+Iab)=2×Nw×Iba (48)
Bba=μo×Nw×Iba/Lgap (49)
φba=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iba×(θr−θoff) (50)
Lba=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (51)
V2ba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt} (52)
Pba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt} (53)
Tba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt}/ωr (54)
次に、同様に、CB相について磁界の強さHcb、磁束密度Bcb、磁束φcb、インダクタンスLcb、仮想巻線の電圧V2cb、パワーPcb、トルクTcbを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、CB相固有の回転位置のオフセット量はθoff=75°となる。ロータ回転位置θrが75°から105°の範囲における各値である。CB相のステータ磁極は、この回転範囲ではCCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値は小さく、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について求める。
2×Lgap×Hcb=Nw×(Icb+Ibc)=2×Nw×Icb (55)
Bcb=μo×Nw×Icb/Lgap (56)
φcb=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Icb×(θr−θoff) (57)
Lcb=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (58)
V2cb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt} (59)
Pcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt} (60)
Tcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt}/ωr (61)
次に、CWのトルクを発生するロータ回転位置θrの領域についての特性を示す。AC相について磁界の強さHac、磁束密度Bac、磁束φac、インダクタンスLac、仮想巻線の電圧V2ac、パワーPac、トルクTacを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、AC相固有の回転位置のオフセット量はθoff=15°となる。ロータ回転位置θrが45°から75°の範囲における各値である。AC相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値は小さく、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について求める。
2×Lgap×Hac=Nw×(Iac+Ica)=2×Nw×Iac (62)
Bac=μo×Nw×Iac/Lgap (63)
φac=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(90°−θr−θoff) (64)
Lac=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (65)
V2ac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt} (66)
Pac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt} (67)
Tac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (68)
次に、BA相について、CWのトルクを発生するロータ回転位置θrの領域の磁界の強さHac、磁束密度Bba、磁束φba、インダクタンスLba、仮想巻線の電圧V2ba、パワーPba、トルクTbaを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、BA相固有の回転位置のオフセット量はθoff=45°となる。ロータ回転位置θrが75°から105°の範囲における各値である。BA相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値は小さく、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について求める。
2×Lgap×Hba=Nw×(Iba+Iab)
=2×Nw×Iba (69)
Bba=μo×Nw×Iba/Lgap (70)
φba=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iba×(90°−θr−θoff) (71)
Lba=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (72)
V2ba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt} (73)
Pba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt} (74)
Tba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (75)
次に、CB相について、CWのトルクを発生するロータ回転位置θrの領域の磁界の強さHcb、磁束密度Bcb、磁束φcb、インダクタンスLcb、仮想巻線の電圧V2cb、パワーPcb、トルクTcbを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、CB相固有の回転位置のオフセット量はθoff=75°となる。ロータ回転位置θrが105°から135°の範囲における各値である。CB相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値は小さく、軟磁性体が磁気的にほぼ線形である動作領域について求める。
2×Lgap×Hba=Nw×(Icb+Ibc)
=2×Nw×Icb (76)
Bba=μo×Nw×Icb/Lgap (77)
φcb=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Icb×(90°−θr−θoff) (78)
Lcb=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (79)
V2cb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt} (80)
Pcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt} (81)
Tcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (82)
次に、電流の大きさの条件として、各相の電流値が大きく、各軟磁性体が磁気飽和する程度の大きな磁束密度となっていて、軟磁性体が磁気的に非線形である動作領域について、各値を求める。例えば、図14において、軟磁性体の動作点がHB1より右側に位置するような動作点である。但し、磁気飽和はステータ磁極の先端部とロータ突極の先端部のみであり、バックヨーク、ステータ磁極の磁路、ロータ突極の磁路などは軟磁性体部の比透磁率は十分に大きく、磁気抵抗は零であると仮定する。近似式として求める。
AC相について磁束密度Bac、磁束φac、平均インダクタンスLac、仮想巻線の電圧V2ac、パワーPac、トルクTacを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、AC相固有の回転位置のオフセット量はθoff=15°となる。ロータ回転位置θrが15°から45°の範囲における各値である。AC相のステータ磁極は、この回転範囲ではCCWトルクを発生することができる。
軟磁性体の最大磁束密度をBmaxとするとAC相磁束φacは次式となる。
Bac=Bmax (83)
φac=Bac×Sac
=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (84)
インダクタンスLacは次式となる。
Lac=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Iac (85)
ただし、このインダクタンスLacは平均インダクタンスであって、動作点における(微小磁束増加/微小電流増加)はほとんど零に近く、動作点の微少範囲におけるインダクタンスは零である。
AC相ステータ磁極の仮想巻線WacとWcaの直列電圧V2ac=Vac+Vcaは次式となる。
V2ac=2×Nw×dφac/dt (86)
=2×Nw×d(Bmax×R×(θr−θoff)×tc)/dt
=2×Nw×d(Bmax×R×(θr−θoff)×tc)/dθr
×dθr/dt
=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (87)
AC相ステータ磁極へ電流成分Iacを通電する場合、その入力パワーPin、発生するトルクTacは、次の通りである。
Pin=V2ac×Iac (88)
Tac=Pin/ωr
=V2ac×Iac/ωr
=2×Nw×Bmax×R×tc×Iac (89)
ここでは、巻線抵抗、鉄損、機械損等は無視している。
なお、(89)式では電流Iacが大きいことを想定し、ステータ磁極とロータ突極の間の磁気抵抗を無視した。しかし、図15の電流値Agに示したように、特にリラクタンスモータでは無視できない値である。Agは図15で示す電流値Agで、エアギャップ部の磁束を励磁する励磁電流である。このAgの値は、エアギャップ長Lgapの間の磁束を励磁する起磁力なので、概略、次式となる。
H×Lgap=Nw×Ag
Bmax=μo×H=μo×Nw×Ag/Lgap
Ag=Bmax×Lgap/(μo×Nw) (90)
そして、(89)式のトルクは、正確には、Iacの代わりに(Iac−Ag)と置き換える必要がある。以降に示す非線形領域のトルク式についても同様である。
次に、前記AC相と同様に、BA相について磁束密度Bba、磁束φba、平均インダクタンスLba、仮想巻線の電圧V2ba、パワーPba、トルクTbaを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、BA相固有の回転位置のオフセット量はθoff=45°となる。ロータ回転位置θrが45°から75°の範囲における各値である。BA相のステータ磁極は、この回転範囲ではCCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値Ibaが大きく、軟磁性体が磁気的に非線形である動作領域について求める。
Bba=Bmax (91)
φba=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (92)
Lba=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Iba (93)
V2ba=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (94)
Pin=V2ba×Iba (95)
Tba=2×Nw×Bmax×R×tc×Iba (96)
同様に、CB相について磁束密度Bcb、磁束φcb、平均インダクタンスLcb、仮想巻線の電圧V2cb、パワーPcb、トルクTcbを求める。ロータ回転位置θrが75°から105°の範囲における各値である。
Bcb=Bmax (97)
φcb=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (98)
Lcb=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Icb (99)
V2cb=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (100)
Pin=V2cb×Icb (101)
Tcb=2×Nw×Bmax×R×tc×Icb (102)
次に、CWのトルクを発生するロータ回転位置θrの領域についての特性を示す。AC相について磁界の強さHac、磁束密度Bac、磁束φac、インダクタンスLac、仮想巻線の電圧V2ac、パワーPac、トルクTacを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、AC相固有の回転位置のオフセット量はθoff=15°となる。ロータ回転位置θrが45°から75°の範囲における各値である。AC相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。電流の大きさの条件は、電流値Ibaが大きく、軟磁性体が磁気的に非線形である動作領域について求める。
Bac=Bmax (103)
φac=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (104)
Lac=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Iac (105)
V2ac=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (106)
Pin=−V2ac×Iac (107)
Tac=−2×Nw×Bmax×R×tc×Iac (108)
同様に、BA相については次式となる。BA相固有の回転位置のオフセット量はθoff=45°となる。ロータ回転位置θrが75°から105°の範囲における各値である。BA相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。
Bba=Bmax (109)
φba=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (110)
Lba=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Iba (111)
V2ba=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (112)
Pin=−V2ba×Iba (113)
Tba=−2×Nw×Bmax×R×tc×Iba (114)
同様に、CB相については次式となる。CB相固有の回転位置のオフセット量はθoff=45°となる。ロータ回転位置θrが105°から135°の範囲における各値である。CB相のステータ磁極は、この回転範囲ではCWトルクを発生することができる。
Bcb=Bmax (115)
φcb=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (116)
Lcb=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Icb (117)
V2cb=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (118)
Pin=−V2ba×Icb (119)
Tcb=−2×Nw×Bmax×R×tc×Icb (120)
以上、図1、図16に示したモータの各相ステータ磁極が発生するトルク特性について説明した。まとめると、図18に各ステータ磁極が発生するトルクとその制御可能な回転角範囲と該当するトルク式を示す。各行列に2個の式を記載していて、左側の式が軟磁性体が線形である領域のトルク式、右側の式が軟磁性体が磁気飽和していて非線形である領域のトルク式である。例えば、CCWトルクの行で、AC相の列では、(42)式が磁気的に線形な領域の式で、(89)式が磁束密度が高く非線形な領域の式である。
図18で「零トルク」と示したそれぞれのステータ磁極がトルクを発生できない領域もある。例えば、図17のロータ回転位置θrでは、MU1はBA相磁束φbaであるが、ロータ突極との間に広い空隙があるため磁束密度は小さくなる。従って、電流成分Ibaを通電してもBA相磁束φbaは小さく、その発生するトルクはほとんど零である。
図18に示す各式は、(4)式、(5)式、(6)式の逆変換の式、(19)式、(20)式、(21)式の順変換の式で示す電流成分Iac、Iba、Icbを用いて制御する方法であり、これらの仮想上の電流成分でモータの発生トルクなどのモータ特性を十分に表現できること、そしてその妥当性を示した。特に各電流成分の値とモータトルクとの関係が明確である点に意味がある。
また、この方法に拠れば、必要に応じて複数のステータ磁極に磁束を発生させて、同時に複数のトルク成分を発生させることも可能である。例えば、図1の状態において、磁束F01、F02、F03のそれぞれを同時に並行して、任意の磁界の強さで磁束を励磁して制御することができる。
次に、図1に示したモータのA相巻線の電圧Va、B相巻線の電圧Vb、C相巻線の電圧Vcを求める。
Va=Nw×(dφac/dt+dφba/dt−dφcb/dt) (121)
=(V2ac+V2ba−V2cb)/2 (122)
Vb=Nw×(−dφac/dt+dφba/dt+dφcb/dt)(123)
=(−V2ac+V2ba+V2cb)/2 (124)
Vc=Nw×(dφac/dt−dφba/dt+dφcb/dt) (125)
=(V2ac−V2ba+V2cb)/2
(122)式、(124)式は電圧の逆変換の式である。電圧の順変換の式は次式となる。
V2ac=Va+Vc (126)
V2ba=Vb+Va (127)
V2cb=Vc+Vb (128)
図1に示したモータの3相電圧Va、Vb、Vcと3相電流Ia、Ib、Icで表す入力電力Pin、トルクTは次式となる。
Pin=Va×Ia+Vb×Ib+Vc×Ic (129)
T=Pin/ωr (130)
ただし、各相の巻線抵抗を無視する。Ra=Rb=Rc=0である。(121)式から(130)式の各変数φac、φba、φcbなどには、これまでに求めた各変数の式を代入すれば、具体的な値を求めることができる。
以上により、図1、図16の両電流座標による電流、磁束、電圧、パワー、トルクの各値を示した。両電流座標の各値は相互に変換可能で、物理的、数学的に同じ意味を示している。
(実施例1)
次に、請求項1について具体的に説明する。
対象とするモータ構成は、ステータ磁極の数が(4×NN1+2)個のモータである。図1のモータは、整数NN1=1でステータ磁極の数が6の場合である。整数NN1=2でステータ磁極の数が10の場合の例を図19、図20に示す。整数NN1を3以上の整数とすることもできる。各ステータ磁極に挟まれたスロットには、巻線のピッチが電気角で180°の全節巻き巻線を巻回する。
この条件に合うモータ構成は、ステータ磁極間のスロットに通電する片方向電流の向きを、円周方向に正方向と負方向と、交互に全周に配置することができる。
同時に、各ステータ磁極の磁束の方向は、電気角で180°円周方向に異なるステータ磁極の磁束の方向と逆方向にすることができる。例えば、図1で既に説明したように、ロータ回転位置θrに応じて、A相巻線WaへA相電流Ia、B相巻線WbへB相電流Ib、C相巻線WcへC相電流Icを通電することにより、磁束F01、F02、F03のように、片方向のステータ磁極から反対方向のステータ磁極へ磁束を通すことができる。
ロータには2以上の偶数の数の突極があり、図1の場合は4個の突極である。ロータ突極の数は種々の値を採ることができる。ロータ突極の数により、モータの特性は変わるが、ステータの基本機能である起磁力の発生機能と磁束の通過機能は同じである。
各巻線へ片方向電流を通電できる電力変換器が必要である。図9、図42などの構成であり、後に説明する。モータの各巻線がその円周方向の両隣に位置する2個のステータ磁極に共用できる構成であることから、図9、図42の複数経路から並列に電力供給ができることになる。その結果、3相交流電圧、電流で駆動する3相交流モータの場合に比較して、図9、図42の各トランジスタの電流容量を大幅に低減することが可能である。
そして、この構成のモータの電圧、電流特性は図12の等価モデルで説明したように大変複雑であり、特に低速回転以外では制御が難解である。しかし、(1)式から(130)式に示したように、各相の電流を各ステータ磁極の両隣に流れる正の電流成分と負の電流成分とに分解し、すなわち、電流座標を変換して各ステータ磁極にだけ作用する電流成分を制御することにより、明快な制御が可能となる。
図1の3相の全節巻きSRMについて詳細に示したが、図19はステータ磁極の数が10個でA、B、C、D、E相の5相のモータである。BF1、BF6はAD相のステータ磁極、BF3、BF8はBE相のステータ磁極、BF5、BFAはCA相のステータ磁極、BF7、BF2はDB相のステータ磁極、BF9、BF4はEC相のステータ磁極である。ステータ磁極の間のスロットには、A相の全節巻き巻線BFM、BFS、B相の全節巻き巻線BFP、BFU、C相の全節巻き巻線BFR、BFW、D相の全節巻き巻線BFT、BFN、E相の全節巻き巻線BFV、BFQ、を配置している。そして、各相巻線に通電する電流は図のシンボルに示すように片方向の電流である。B61、B62などのロータ突極の数は6である。
この図19の5相のモータについても、図1の3相のモータと同様の方法で、各ステータ磁極の電流成分、磁束密度、磁束、電圧、パワー、トルクを求めることができる。電流の順変換式、逆変換式、および、電圧の順変換式、逆変換式も同様に求めることができる。ロータの突極の数により、各相の式における回転位置のオフセット量θoffの値が変わり、各相ごとにその相のステータ磁極とロータ突極が対向するロータ回転位置θrにより決める必要がある。
図20は、図19のモータにおいてロータ突極の数を8個とした例である。図20のB71、B73がロータ突極である。図19の場合と同様に、各相の式におけるにおける回転位置のオフセット量θoffの値を、各相ごとにその相のステータ磁極とロータ突極が対向するロータ回転位置θrにより決める必要がある。
次に、図21に示すモータは、ステータ磁極の数が6で、ロータ突極MJEの数が2個のモータである。MJ7とMJAはAC相のステータ磁極で磁束φacが通過し、MJ9とMJCはBA相のステータ磁極で磁束φbaが通過し、MJBとMJ8はCB相のステータ磁極で磁束φcbが通過する。各ステータ磁極に挟まれた各スロットには、破線で示すようなコイルエンドで接続する全節巻きの各相巻線を配置している。MJ1とMJ4はA相電流Iaを通電するA相巻線、MJ3とMJ6はB相電流Ibを通電するB相巻線、MJ5とMJ2はC相電流Icを通電するC相巻線である。各ステータ磁極のピッチは円周角でHM=60°で、ステータ磁極の内周部の円周方向幅Ht、スロット開口部の円周方向幅はHsである。図21では、Ht=40°、Hs=20°の例を示している。ロータ突極の数が2個なので、図1に比較してステータ磁極の幅Htを大きくしている。
この図21のモータのCCWの低速回転数でのほぼ静的なトルク発生は、図23のタイムチャートに示すように、ロータ回転位置θr=10°の位置では、A相巻線とC相巻線に同じ大きさの電流Ia=Icを通電し、B相電流を零とすることにより、CCWのトルクTacを発生することができる。ロータ回転位置θr=70°の位置では、C相巻線とB相巻線に同じ大きさの電流Ic=Ibを通電し、A相電流を零とすることにより、CCWのトルクTcbを発生することができる。ロータ回転位置θr=130°の位置では、B相巻線とA相巻線に同じ大きさの電流Ib=Iaを通電し、C相電流を零とすることにより、CCWのトルクTbaを発生することができる。
上記のように、ロータのCCWの回転に伴って同期して、CCW方向のステータ磁極を、順次励磁することによりこのロータをCCW方向へ回転させることができる。合計のトルクTmは、スロット開口部でのトルクが減少することから、トルクリップルを含む特性となる。
CWのトルクを発生する場合は、同様に、図21の状態でB相巻線とA相巻線に同じ大きさの電流Ib=Iaを通電し、C相電流を零とする。そして、ロータのCWの回転に伴って同期して、CW方向のステータ磁極を、順次励磁することによりこのロータをCW方向へ回転させることができる。
図21のモータは電気角360°の範囲においてロータ突極の数が2であり、図1のモータに比較して、ロータの回転に伴う電流の通電方法が簡素である。各相の電流の通電各幅は約120°で図1のモータに比較して約2倍の角度幅となり、周波数は1/2となる。構造的な差異として、図1に示した全節巻きSRMと比較すると、図21のモータはロータの円周方向幅を電気角で60°以上に大きくすることが可能である。これは、高速回転において、負トルクを発生させずに通電電流を減少させることのできる時間幅を大きくできるので、高速回転でのトルク発生上重要な特性である。
図21の静的なトルクは前記の様に発生させることができ、また、図21のロータ突極の数は2個であり簡素である。しかし、ロータ突極は2個のステータ磁極に対向しており、各ステータ磁極の磁束が図12に示した様に3個の全節巻き巻線に鎖交していることに変わりはない。3個の巻線が鎖交する複雑な電磁気作用となっている。
ロータの磁極幅が60度を超えると、3相の磁束φac、φba、φcbが同時に存在する回転位置も出てくる。従って、(1)式から(130)式に示した方法でより正確に制御する必要がある。
図21のモータの問題点は、図22に示すロータ回転位置θr=50°の近辺でCCWのトルク生成が小さくなることである。図23の合計トルクTmが示すスロット開口部でのトルクリップル特性である。このトルクリップルを低減させるためには、スロット開口部の幅Hsを小さくすればよいことになるが、同時に、スロット開口部の漏れ磁束が増加する問題が発生する。この問題は、低トルクの範囲は目立たないが、電流が大きくなるとステータ磁極の磁気飽和が発生し、モータのピークトルクが著しく低下する問題となる。トルクリップルとピークトルクが背反関係となっている。なお、この背反関係を解消する一つの方法を、後に図72に示し、説明する。
なお、図21のモータは従来の3相交流電圧、3相交流電流の同期電動機と類似したトルク発生順である。しかし、図21の各巻線電流が片方向電流であるという点は、明らかに異なる。例えば、図9の制御回路のトランジスタ電流容量を低減することができる。後に、図39、図42などに示すように、制御回路のさらなる簡素化の可能性もある。各ステータ磁極の磁束方向は一方向であり、ステータの軟磁性体のヒステリシス損失を1/4に低減することができる。
なお、図1、図19、図20、図21などのモータは多極化することもできる。図1のモータを2倍に多極化したモータは、例えば、ステータ磁極の数が12でロータ突極の数が8の構成である。図21のモータを2倍に多極化したモータは、ステータ磁極の数が12でロータ突極の数が4の構成である。さらに、3倍、4倍と多極化することができる。このように多極化したモータ構成も本発明に含むものである。
(実施例2)
次に、請求項2について具体的に説明する。
対象とするモータ構成は、ステータ磁極の数が(8×NN2)個のモータである。
図24のモータは、整数NN2=1でステータ磁極の数が8の場合である。整数NN2=2でステータ磁極の数が16とするなど、正の整数のNN2を選択することができる。各ステータ磁極に挟まれたスロットには、巻線のピッチが電気角で180°の全節巻き巻線を巻回する。この条件に合うモータ構成は、ステータ磁極間のスロットに通電する片方向電流の向きを、円周方向に正方向と負方向と、交互に通電して各ステータ磁極がトルクを発生する。同時に、各ステータ磁極の磁束の方向は、電気角で180°円周方向に異なるステータ磁極の磁束の方向と逆方向にして、磁束を2個のロータ突極を通過させてトルクを発生する。
しかし、図24に示すモータのD相のB8Q、B8Lの巻線へは、ロータ回転位置θrによって正の電流と負の電流とを通電する必要がある。
図24において、B8HとB8MはA相巻線Waで片方向電流であるA相電流Iaを通電し、B8NとB8JはB相巻線Wbで片方向電流であるB相電流Ibを通電し、B8KとB8PはC相巻線Wcで片方向電流であるC相電流Icを通電する。前記のように、B8LとB8Qで構成するD相巻線Wdへは、ロータ回転位置θrによって正の電流と負の電流とを通電する。
B81とB85はAB相のステータ磁極で、A相電流IaとB相電流Ibにより励磁することができる。B86とB82はBC相のステータ磁極で、B相電流IbとC相電流Icにより励磁することができる。B83とB87はCD相のステータ磁極で、C相電流IcとD相電流Idにより励磁することができる。この時、D相電流Idは、図24においてB8Qが紙面の表側から裏側の方向の電流で、B8Lが紙面の裏側から表側の方向の電流である必要がある。B84とB88はDA相のステータ磁極で、D相電流IdとA相電流Iaにより励磁することができる。この時、D相電流Idは、図24においてB8Qが紙面の裏側から表側の方向の電流で、B8Lが紙面の表側から裏側の方向の電流である必要がある。このように、D相電流Idは、CD相ステータ磁極を励磁する時とDA相のステータ磁極を励磁する時とでは電流方向を逆方向とする必要がある。
図25に具体的な制御回路の例を示す。
FJ9はA相巻線、FJAはB相巻線、FJBはC相巻線で、先に説明した図9と同じ構成である。FJCはD相巻線で、トランジスタFJ1とFJ4をオンすることによりD相巻線へ正の電流を通電し、トランジスタFJ7とFJ2をオンすることによりD相巻線へ負の電流を通電することができる。FJ5、FJ6、FJ7、FJ8は逆方向電流を通電するダイオードである。このように、D相電流Idを正あるいは負の両方向の電流を通電することができる構成として、図24に示すモータのトルクを連続的に発生することができる。
ロータ突極の数は2個以上の種々の値を採ることができる。ロータ突極の数により、モータの特性は変わるが、ステータの基本機能である起磁力の発生機能と磁束の通過機能は同じである。図25の回路においても、複数経路からの電力供給が可能であり、トランジスタの電流容量を低減することが可能である。図25以外の電流制御回路の構成も可能である。なお、整数NN2が大きく、ステータ磁極の数が大きい方が相対的に両方向電流を制御する回路負担が小さくなる。ただし、素子数が増えると複雑化する面もある。
図9に示す構成のモータの電圧、電流特性についても、図12の等価モデルで説明したように大変複雑であり、特に低速回転以外では制御が難解である。しかし、(1)式から(130)式に示したように、各相の電流を各ステータ磁極の両隣に流れる正の電流成分と負の電流成分とに分解し、すなわち、電流座標を変換して各ステータ磁極にだけ作用する電流成分を制御することにより、明快な制御が可能となる。ただし、4相の巻線電流の制御に変形する必要がある。
(実施例3)
次に、請求項3について具体的に説明する。
図26はモータとその制御回路の概略構成の例を示す図であり、図1に示すモータとその制御回路の例である。A69はモータを表していて、A6AはA相巻線でA68はA相電流Iaの検出手段であり、A6FはA相電流検出値Iasである。A6BはB相巻線でA67はB相電流Ibの検出手段であり、A6GはB相電流検出値Ibsである。A6CはC相巻線でA66はC相電流Icの検出手段であり、A6HはC相電流検出値Icsである。A6Dはロータの回転位置θrを検出する位置検出手段で、A6Eはそのインターフェイスで、A6Mはロータ回転位置θr、A6Nは回転角速度ωrである。A60は速度指令ωoで、A61は速度誤差Ereを検出する加算器である。A62は速度誤差Ereを入力とし、トルクに関する指令情報A6Jを出力するトルク制御手段である。
A63は、トルクの指令情報A6Jを入力とし、電流に関する指令情報を出力する電流制御手段である。この電流制御手段A63は、ロータ回転位置θr、回転角速度ωr、および、モータに関するDATAのデータ情報A6Lも入力とする。
A64は電流の指令情報を入力とし、モータの電圧に関する指令情報を出力する電圧制御手段である。この電圧制御手段A64は、モータのA相電流検出値Ias、B相電流検出値Ibs、C相電流検出値Ics、および、ロータ回転位置θr、回転角速度ωr、各種モータ情報A6Kを入力とする。
A65は3相の電圧と電流を制御する電力変換器である。入力信号によりパルス幅変調などを行なうことによりトランジスタでのオン、オフ制御により平均電圧を供給できるように変調し、トランジスタなどの電力素子で電力をモータの各相巻線へ与える。
前記変調は種々の変調方式を使用することができる。電力素子の部分は主にトランジスタとダイオードで構成できて、図9、図EP、図42、図80、図81などの種々の構成とすることができる。また、図1に示すモータの特性を(1)式から(130)式に例として示したが、実際のモータ特性は空隙部の漏れ磁束、磁気飽和などの磁気的非線形性など、あるいは、永久磁石を使用する場合にはその非線形性に起因して、非線形なモータ特性となることが多い。その意味でより精密な制御とするためには、モータモデルを有限要素法などで解析した磁束データ、あるいは、磁束鎖交数データ、あるいは、非線形なインダクタンスデータなどを基礎データDATAとして備え活用して、(1)式から(130)式などに適宜当てはめて制御する方法が高精度化のために有効である。
図27は、図26の電流制御手段A63と電圧制御手段A64を具体化した構成の例を示す図である。MNQは、トルクの指令情報A6Jを入力として、AC相電流成分指令Iaco、BA相電流成分指令Ibao、CB相電流成分指令Icboを求める。
AE5は、(19)式、(20)式、(21)式で計算する電流の順変換手段である。その出力MNKはAC相電流成分検出値Iacs、MNLはBA相電流成分検出値Ibas、MNMはCB相電流成分検出値Icbsである。
MNAはAC相電流成分指令IacoとAC相電流成分検出値Iacsとの差分を求め、補償器MN1でAC相電圧成分指令VFaco求める。
MNBはBA相電流成分指令IbaoとBA相電流成分検出値Ibasとの差分を求め、補償器MN2でBA相電圧成分指令VFbao求める。
MNCはCB相電流成分指令IcboとCB相電流成分検出値Icbsとの差分を求め、補償器MN3でCB相電圧成分指令VFcbo求める。破線MN4で示す範囲は、電流成分Iac、Iba、Icbで制御する範囲を示している。
MNDはAC相電圧成分指令VFacoとBA相電圧成分指令VFbaoとを加え、CB相電圧成分指令VFcboを減じ、補償器MN5でA相巻線WaのA相電圧指令Vaoを求める。MNEはBA相電圧成分指令VFbaoとCB相電圧成分指令VFcboとを加え、AC相電圧成分指令VFacoを減じ、補償器MN6でB相巻線WbのB相電圧指令Vboを求める。MNFはCB相電圧成分指令VFcboとAC相電圧成分指令VFacoとを加え、BA相電圧成分指令VFbaoを減じ、補償器MN7でC相巻線WcのC相電圧指令Vcoを求める。これらは、(121)式、(123)式、(125)式に基づいた構成としている。破線MN8で示す範囲は、各電圧成分を合成して各相の電圧指令を作る制御範囲を示している。電圧の逆変換でもある。
なお、各補償器は、比例成分、積分成分、微分成分などを求め加算する、いわゆる、PID補償器などであり、リミッターなどを加えた種々形態の補償器を使用することができる。特に本発明モータでは、ステータ磁極とロータ突極とが対向する面積によりインダクタンスが大幅に変化する特性であり、回転位置θrに応じて補償器のパラメータを可変することが有効である。また、回転数ωrが大きい高速回転数では補償器の積分効果が変化するので、高速回転では積分動作を行わないなど、回転数ωrに応じて補償器のパラメータを可変することが有効である。
また、A8Aは各巻線の電圧を求める電圧フィードフォワード手段であり、A8RはA相巻線のフィードフォワード電圧、A8SはB相巻線のフィードフォワード電圧、A8TはC相巻線のフィードフォワード電圧である。
MNG、MNH、MNJは各相のフィードフォワード電圧をそれぞれに加える加算器である。特に、モータの回転数ωrが高速になると、電流のフィードバック制御による電流制御の精度が保てなくなり、電流制御誤差が大きくなる。前記電圧フィードフォワード手段A8Aにおいて、(1)式から(130)式に記載した電圧に関わる式、および、前記基礎データDATAを使用して各相巻線の電圧予想値をフィードフォワード電圧として与えることにより正確な電流制御が可能となる。また、A65は、各相の巻線の電圧指令を入力とし、電圧増幅する前記電力変換器である。
図27の構成で制御を行うとにより、各相巻線の電流Ia、Ib、Icを直接制御するのではなく、AC相ステータ磁極、BA相ステータ磁極、CB相ステータ磁極の電流成分Iac、Iba、Icbをフィードバックして制御するので、各ステータ磁極にかかる起磁力、磁束密度、磁束を直接的に制御することになる。また、MN1、MN2、MN3の各補償器は各ステータ磁極に作用する電流成分の誤差について補償制御することになるので、各ステータ磁極の電磁気的作用をより正確に制御することができる。その結果、モータのより正確なトルク制御、速度制御を実現できる。これは、図12に示すような各相巻線の複雑な電磁気的な関係を解消し、簡潔に制御することが可能になるとも言える。
(実施例4)
次に、請求項4について具体的に説明する。
図28は、図26の電流制御手段A63と電圧制御手段A64を具体化した構成の例を示す図である。図27の構成とは、電流の制御方法が異なる。
A73、A74、A75はAC相、BA相、CB相の電流成分指令手段であり、図27のMNQを詳しく記述した例で、同じ機能である。電流成分指令手段A73は、トルクの指令情報A6Jを入力として、A6Mのロータ回転位置θrに基づき、AC相ステータ磁極の電流成分IacとIcaを求める。具体的には、電流成分Iac、Icaの電流パターンと電流の大きさを求める。なお、Iac=Icaである。これらの値は、A6Lに示すように、前記基礎データDATAを使用してより正確に求めることができる。A6Nのロータ回転数ωrの値によって、前記の電流パターンと電流の大きさを修正することもできる。
A74はBA相の電流成分指令手段であり、A73と同様の機能である。
A75はCB相の電流成分指令手段であり、A73と同様の機能である。
A76は、AC相電流成分指令IacとBA相電流指令Iabとを加えてA相電流Iaを作成する(4)式の電流逆変換機能である。
A77は、BA相電流指令IbaとCB相電流成分指令Ibcとを加えてB相電流Ibを作成する(5)式の電流逆変換機能である。
A78は、CB相電流成分指令IcbとAC相電流指令Icaとを加えてC相電流Icを作成する(6)式の電流の逆変換機能である。
A81はA相電流IaへA6FのA相電流検出値Iasを減算し、フィードバックしてA相電流誤差を求め、補償器A84でA相電圧指令Vaoを作る。
A82はB相電流IbへA6GのB相電流検出値Ibsを減算し、フィードバックしてB相電流誤差を求め、補償器A85でB相電圧指令Vboを作る。
A83はC相電流IcへA6HのC相電流検出値Icsを減算し、フィードバックしてC相電流誤差を求め、補償器A86でC相電圧指令Vcoを作る。
A87は加算器で、前記A相電圧指令Vaoと前記A相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
A88は加算器で、前記B相電圧指令Vboと前記B相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
A89は加算器で、前記C相電圧指令Vcoと前記C相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
図28の構成で制御を行うとにより、所望のトルクを得るためのAC相、BA相、CB相の電流成分Iac、Iba、Icbを求め、これら電流成分から逆変換してA相、B相、C相の電流値Ia、Ib、Icを求める。そして、これらの電流値Ia、Ib、Icをそれぞれフィードバック制御して通電する。これらの制御の結果として、各ステータ磁極にかかる起磁力、磁束密度、磁束を制御できることになる。そして、モータのより正確なトルク制御、速度制御を実現できる。これは、図12に示すような各相巻線の複雑な電磁気的な関係を解消し、簡潔に制御することが可能になるとも言える。
図28の制御と図27の制御との差異は、各相の電流成分でフィードバックして制御するか、各相の電流でフィードバックして制御するかの違いである。勿論、目的とすることは同じであるが、補償器の配置と作用の違いで、特徴が出てくる。モータの要求仕様で使い分けることになる。
(実施例5)
次に、請求項5について具体的に説明する。
図29は、図26の電流制御手段A63と電圧制御手段A64を具体化した構成の例を示す図である。そして、図29は、図27の構成と図28の構成とを複合化した構成である。図29の加算器MNA、MNB、MNC、MND、MNE、MNF、および、補償器MN5、MN6、MN7は図27の同一符号の加算器、補償器と同一配置、同一機能である。また、図29の加算器A76、A77、A78、A81、A82、A83、および、補償器A84、A85、A86は、図28の同一符号の加算器、補償器と同一配置、同一機能である。
図29の加算器MMGは、補償器MN5の出力であるA相電圧指令Vao成分と補償器A84の出力であるA相電圧指令Vao成分とA相巻線のフィードフォワード電圧A8Rとを加算し、A相電圧指令Vaoとして前記電力変換器A65へ出力する。
加算器MMHは、補償器MN6の出力であるB相電圧指令Vbo成分と補償器A85の出力であるB相電圧指令Vbo成分とB相巻線のフィードフォワード電圧A8Sとを加算し、B相電圧指令Vboとして前記電力変換器A65へ出力する。
加算器MMJは、補償器MN7の出力であるC相電圧指令Vco成分と補償器A86の出力であるC相電圧指令Vco成分とC相巻線のフィードフォワード電圧A8Tとを加算し、C相電圧指令Vcoとして前記電力変換器A65へ出力する。
図29の構成で制御を行うとにより、図27の構成と図28の構成とを複合化した構成であることから、両方の特徴を持った構成とすることができる。また、各補償器のパラメータの設定次第で、図27の構成に近い特性、あるいは、図28の構成に近い特性とすることもできる。モータの要求仕様により特性を選択できる。いずれの方法においても、各ステータ磁極にかかる起磁力、磁束密度、磁束をより容易に制御できることになる。そして、モータのより正確なトルク制御、速度制御を実現できる。これは、図12に示すような各相巻線の複雑な電磁気的な関係を解消し、簡潔に制御することが可能になるとも言える。
なお、図28の制御と図27の制御および図29の制御は、相数により各構成を拡張して実現することができる。前記の(1)式から(130)式についても、相数により各構成を拡張して実現することができる。例えば図19のように、ステータ磁極の数が10個の場合にはステータが5相であり、5相の式、5相の制御構成とする必要がある。また、前記の各式、各制御構成は変形、応用が可能であり、それらについても本発明の主旨の範囲で本発明に含むものである。
次に、図28、図27、図29の制御における具体的な電流値の例を図30に示す。
図30の横軸はロータ回転角θrで、縦軸は各電流の電流の大きさである。図1のモータについて、図16に示す電流成分を想定し、CCWに一定トルクで回転する動作について考える。図1の各相電流Ia、Ib、Icと図16の各電流成分Iac、Iba、Icbとの関係は、(1)式から(6)式および(19)式、(20)式、(21)式に示した関係である。各相電流と各電流成分との間の順変換および逆変換は容易にできる。
まず、図1、図2のθr=15°から45°の間で比較的小さなトルクを発生する場合は、電流IacとIcaを通電することにより(42)式のトルクが発生する。AC相のステータ磁極A01とロータ突極A0Kの間でF01で示す磁束φacが発生し、CCWのトルクが生成する。
次に、図3、図4、図5、図6のθr=45°から75°の間は、電流IbaとIabを通電することにより(54)式のトルクが発生する。BA相のステータ磁極とロータ突極との間で磁束φbaが発生し、CCWのトルクが生成する。ここで、電流IacとIcaは、図2に示す近傍のθr=20°の辺りから45°の間において通電しても、BA相ステータ磁極の周辺は空隙となっているので、負トルクを発生するなどの害はない。それで、ある程度の高速回転を想定し、θr=20°の辺りから45°の間で電流IbaとIabを事前に通電しておくことにする。結局、電流IbaとIabはθr=20°から75°の間で通電することになる。
次に、図7、図8のθr=75°から105°の間は、電流IcbとIbcを通電することにより(61)式のトルクが発生する。CB相のステータ磁極とロータ突極の間で磁束φcbが発生し、CCWのトルクが生成する。ここで、電流IcbとIbcは図56に示す近傍のθr=50°の辺りから図5、図6とθr=75°までの間において通電しても、BA相ステータ磁極の周辺は空隙となっているので、負トルクを発生するなどの害はない。それで、あるていどの高速回転を想定し、θr=50°の辺りから75°の間で電流IcbとIbcを事前に通電しておくことにする。結局、電流IcbとIbcはθr=50°から105°の間で通電することになる。
また、このような事前に通電する電流成分については、電流Iacについても同様である。θr=−10°の辺りから15°の間で電流IacとIcaを事前に進み電流IFPとして通電しておくことにする。結局、電流IacとIcaはθr=−10°から45°の間で通電することになる。
同様に、θr=105°以降も各電流成分Iac、Iba、Icbを図30に示すように通電することによりほぼ均一のトルク発生してCCWへ連続的に回転することができる。この時、図1の各相の巻線に通電する電流Ia、Ib、Icは(4)式、(5)式、(6)式で示され、図30に示す電流Ia、Ib、Icの値となる。各電流共にほとんどの期間で電流を通電し、一部の期間で電流の値が大きくなっている。
このような波形の電流であっても、各ステータ磁極が全区間において負のトルク、すなわち、CWのトルクを発生することはない。しかも、高速回転における電流増加に対する余裕も持っている。例えばCCWのトルクを生成するときに、図4、図5、図6などに示すθr=55°から67.5°の範囲においては、A相電流Iaを通電しているときにC相電流Icを通電するとAC相ステータ磁極がCWのトルク成分を発生するようにも思える。しかし、前記の本発明制御では図30に示したように、θr=55°から67.5°の範囲において、A相電流IaとC相電流Icとの両方を通電しているが、この間でAC相ステータ磁極がCWのトルクを発生することはない。
なお、先に説明した、事前に通電する電流成分である進み電流IFPについては、各電流の立ち上がりの遅れを防ぐためだけではなく、2種類の電圧成分の重なりを避ける意味もある。例えば、AC相のステータ磁極について(38)式の電圧V2acは、微分式の第1項と微分式の第2項の和として表される。微分式の第1項は電流Iacの増加に伴う電圧成分で、微分式の第2項はロータ回転位置θrの時間変化率、すなわち、回転数ωrに比例する電圧成分である。もし、電流Iacをθr=−10°の辺りから増加して、θr=15°の近傍では電流Iacが一定であれば、(38)式の電圧V2acはθr=15°の近傍で(40)式に低減することができる。
なお、現実には、各相の電流が大きくなった場合、各ステータ磁極間のスロット開口部などの漏れ磁束が無視できないほど大きな値になり、その電圧成分が(38)式の微分式の第1項に加わることになる。この微分式の第1項は電流制御上、無視できない電圧成分である。また、進み電流IFPは、ステータ磁極とロータ突極が対向する前に通電するのでその時点でトルクを発生しない。しかし、(131)式で示すこの磁気エネルギーELIは、その後、ステータ磁極とロータ突極が対向する時に有効に活用されトルクに変換される。
ELI=(進み電流×漏れ磁束などの鎖交磁束
×磁束が鎖交する巻き回数)/2 (131)
この進み電流IFPとその電圧は、トルク発生に有効なエネルギーであって、無駄なエネルギーではない。むしろ、図10の通電方法では使用していない時間帯を活用して、進み電流IFPを通電し、電源からモータへ磁気エネルギーELIを供給しており、図9などの制御回路のエネルギー伝達効率を増加していると見ることができる。例えば、図5から図6の状態において、CB相のステータ磁極A05、A02をCB相電流成分Icb、Ibcへ進み電流IFPを通電して励磁することは、この回転位置θrでCB相のステータ磁極A05、A02を磁気エネルギーを溜めることができるチョークコイルとして活用していると言うこともできる。
図10に示した低速回転での電流通電方法では、トルクの発生開始のタイミングと電流増加のタイミングが一致している。例えば、AC相のステータ磁極について、電圧V2acを示す(38)式は、微分式の第1項と微分式の第2項とが同じタイミングで大きな値を示すことになる。従って、回転数ωrが大きくなるにつれ各相巻線Wa、Wb、Wcの各相電圧Va、Vb、Vcが大きくなり、電流の増加が制限されるのでトルクが減少することになる。
また、図10に示した電流通電方法では、回転数が上昇すると、ごく短時間にある相の電流を減少させながら他相の電流を増加させる必要があり、ある回転数以上では困難である。また、ステータ磁極の幅を30°より広くすると、負トルクの発生する角度範囲が増加するなどモータの構造的な制約も発生する。
本発明の方法では、必要な相の電流成分のみをある許容時間範囲で増減することが可能となり、前記の時間的な不都合を解消できる。また、本発明の方法では、必要な相の電流成分のみを必要な回転角で通電することを前提とするので、ステータ磁極幅を広くすることあるいはロータ突極幅を広くすることなどが可能となり、モータ設計上の構造的制約を大幅に低減することができる。その結果、電流を増加する回転角範囲、電流を減少するための回転角範囲をそれぞれに確保できるようになり、トルクの増加、制御装置の電流容量の低減も可能となる。
また、事前に通電する進み電流IFPは、回転数が小さいときにはその角度幅を小さくすることが巻線抵抗でのジュール損低減の上で効果的である。さらに極低速回転においては(38)式の微分式の第1項で示される電圧成分が小さいので、事前に通電する各相の進み電流IFPは不要である。図10に示すような電流で連続的トルクを発生することができる。
次に、図28、図27、図29の制御における具体的な電流値の他の例を図31に示す。図31は、図30に比較して発生するトルクが大きい電流領域で、各相の電流によって励磁する磁束の磁束密度が飽和磁束密度となるような電流領域での動作の例である。
最初に、AC相ステータ磁極の電流成分Iac、Icaについて考える。
図7はロータ回転位置θr=75°であるが、そのロータ突極のCW側隣のロータ突極にとってはθr=−15°である。そのロータ回転位置からCCWのθr=−10°辺りからAC相のステータ磁極A01の周辺は空隙となり、負トルクを発生するなどの害はない。それで、あるていどの高速回転を想定し、θr=−10°の辺りから15°の間で電流IacとIcaを進み電流IFPとして通電しておくことにする。この電流の大きさはIF1で、AC相ステータ磁極がロータ突極と対向する時に磁束密度が軟磁性体の飽和磁束密度となる程度の電流とする。電流値IF1は界磁電流と考えることもできる。
図1、図2のθr=15°から45°の間ではAC相ステータ磁極がロータ突極と対向し、電流IacとIcaとして図示するIF2電流を通電することにより(89)式のトルクが発生する。AC相のステータ磁極A01とロータ突極A0Kの間でF01で示す磁束φacが発生し、CCWのトルクが生成する。
BA相のステータ磁極の電流IbaとIabについても、AC相と同様の動作を行い、AC相に対して位相が30°遅れた図31の電流Iba、Iabとなる。
CB相のステータ磁極の電流IcbとIbcについても、BA相と同様の動作を行い、BA相に対して位相が30°遅れた図31の電流Icb、Ibcとなる。この時、図31の各相の巻線に通電する電流Ia、Ib、Icは、(4)式、(5)式、(6)式で示され、図31に示す電流Ia、Ib、Icの値となる。各電流共にほとんどの期間で電流を通電し、一部の期間で電流の値が大きくなっている。
このような波形の電流であっても、各ステータ磁極が全区間において負のトルク、すなわち、CWのトルクを発生することはない。しかも、高速回転における電流増加に対する余裕も持っている。なお、前記電流値IF1の通電開始位相と電流の大きさは、モータ固有の特性とトルクの大きさおよび回転数ωrによってより適切に設定することができる。 A相巻線Waの電圧Vaは(122)式で表され、単純ではないが、おおよそ図31の電圧Vaとなる。B相巻線Wbの電圧Vbは(124)式で表され、C相巻線Wcの電圧Vcは(122)式で表され、おおよそ図31の電圧Vb、Vcとなる。
以上説明したように、図28、図27、図29などのように制御することにより、全節巻きSRMの複雑な電磁気関係に関する前記第1の問題点、磁気非線形に関する前記第2の問題点を改善することができる。
(実施例6)
次に、請求項6について具体的に説明する。
図32は、図26に示すトルク制御手段A62の出力であるA6Jのトルク指令Toを、より正確に制御するための補償制御の一例である。
AE4は、AC相の電流成分検出値Iacs、BA相の電流成分検出値Ibas、CB相の電流成分検出値Icbsとロータ回転位置θrの情報からモータのトルク推定値ML3を計算するトルク検出手段TSである。例えば、ロータ回転位置θrに応じて、(42)式、(54)式、(61)式、あるいは、(68)式、(75)式、(82)式、あるいは、(89)式、(96)式、(102)式、あるいは、(108)式、(114)式、(120)式により求めることができる。より正確にモータトルクを推測する方法として、ロータ回転位置θrと各相電流あるいは各相電流成分の組み合わせに関するデータベースを有限要素法等により表形式で作成しておき、検出したロータ回転位置θrと各相の電流成分検出値Iacs、Ibas、Icbsに応じてたトルクを有限量のデータベースの値から内挿計算して求める方法である。
AE1はA6Jのトルク指令情報からトルク推定値ML3を減算してトルク誤差を求める。AE3は補償器でトルク誤差補償値を求め、AE2はトルク指令情報A6Jにトルク誤差補償値を加え、新たなトルク指令値を電流制御手段A63へ出力し、その電流制御手段A63より3相の電流指令値ML1、ML2、ML3が出力される。このようにモータのトルク値を推定し、トルク誤差を補償して制御することにより、電流、電圧、トルクの非線形な特性を補償して制御することが可能である。特に、回転数が高い領域では、電流の制約条件などによりトルクリップルが増加する傾向にあり、図32の様なトルクの補償制御の構成が効果的である。
次に、図21に示すロータ突極が電気角360°の範囲に2個のモータ構成の場合について、図33に例を示し説明する。低速回転数の時には図23に示す電流で制御できるが、回転数が大きくなる場合には各相の電流成分Iac、Icb、Ibaを図33のようにする。例えば、図21のMJ7で示すAC相ステータ磁極にロータ突極MJEが対向し始めるθr=10°より電気角で40°程度早いタイミングでAC相電流成分Iacの通電を開始し、電流増加の割合を小さくしている。他の相の電流成分Icb、Ibaも電気角で60°の位相差があるが、同様の電流である。このとき、各相の電流Ia、Ic、Ibは図33に示すような電流となる。ある程度回転数が上昇しても、電圧的に無理なく通電することができる。図23の通電方法では、回転数が上昇すると、電圧的な負担が大きくなり、電流の制限が発生する。
ただし、図33の通電方法では、各相の電流Ia、Ic、Ibの電流最大値が大きくなる問題がある。この対応として、通電電流が通電可能な最大電流に近づくと、トランジスタの電流負担が解消されるように修正することも可能である。例えば、電流Ia、Ic、Ibの電流最大値が大きくなる部分では、2個の電流成分のそれぞれを少しづつ減少する、あるいは、電流位相を修正するなどである。
(実施例7)
次に、請求項7について具体的に説明する。
図30と図31の例に示したように、図1等に示す全節巻きSRMでは、各相の電流Ia、Ib、Icの通電幅は電気角で約85°であり、電流を通電していない区間の幅は約5°である。従来の各相電流の通電角の幅より大きく、逆に、通電していない区間は狭い。これは、ステータ磁極の円周方向幅を電気角でHtとし、ロータ磁極の円周方向幅を電気角でHmとして、HtとHmとの小さい方の角度をHnとする時、ロータの回転に伴って各相の巻線に通電する電流の通電角幅が電気角で2×Hnより大きい関係であるとも言える。図21に示したモータの図33の電流特性も同様に、ロータの磁極幅が電気角で約60°であるのに対して相電流Ia、Ib、Icオンである通電幅は電気角で約160°で、相電流がオフの区間は電気角で約20°である。
このように、各相の電流は片方向電流の電流で制御し、吸引力でトルクを発生する構造でありながら、大半の時間において各相の電圧Va、Vb、Vcと電流Ia、Ib、icを有効に活用してトルクを発生させている。図30、図31、図33において、各相のステータ磁極はCCWのトルクだけを発生し、CWのトルクを発生する区間は無い。特に、極低速回転数から回転数が上昇するにつれ、各相電流Ia、Ib、Icの通電幅を広くし有効に活用することができる。
既に説明したように、進み電流IFPを通電し、電源からモータへ磁気エネルギーELIを供給しており、図9などの制御回路のエネルギー伝達効率を増加していると見ることができる。以上のことから、トルク発生に該当するステータ磁極とロータ突極とが対向し始めるタイミングより早い時間にこれらが吸引する電流成分を通電することは、電流の増加時間を確保できること、巻線電圧の電流増加成分と回転角速度成分とが重ならないようにして制御回路の電圧負担を軽減できること、電源側からモータ側へのエネルギー供給を増加できることの観点で有効である。なお、前記吸引力とは、例えば永久磁石のN極とN極とが反発する反発力ではなく、N極とS極が引き合う吸引力との意味である。
(実施例8)
次に、請求項8について説明する。
図9は、NN1が1で、ステータ磁極の数が電気角360°の間に6個である図1、図16などのモータの電流を制御する制御回路の例である。図9の動作については、先に説明したように、87DのA相巻線Waへトランジスタ871と872をオンすることにより電圧を印加し、A相電流Iaを増加させる。トランジスタ871と872のどちらか片方だけがオンの状態では、A相巻線Waとオンしているトランジスタとダイオードとで閉回路を成し、通電状態が継続する。そして、両トランジスタがオフの状態では、ダイオード877と878を介して電源87Gへ逆方向に電流通電し、A相巻線Waの磁気エネルギーが電源側へ回生し、A相電流Iaが減少する。このようにしてA相電流Iaの増減、エネルギーの供給と回生を行うことができる。
B相電流IbとC相電流Icについても同様に制御できる。また、NN1が2以上の5相、7相などにおいても、同様に制御回路の相数を増加することにより実現できる。
これらの各相の電流Ia、Ib、icは、(4)式、(5)式、(6)式で求められる各相電流であって、各電流成分Iac、Iba、icbを通電するための手段として通電されるものである。また、各相の電流は、図13に示した複雑な電磁気的な関係であるが、図9に示すように電気的には分離している。従って、電気的に、3相の電流を並行して、かつ独立に通電することができる。また、図9で通電する電流は片方向電流である。これらは、従来の3相交流モータを星形結線等で制御する3相交流電流、電圧とは異なる動作である。
次に、図34において、図10に示した極低速回転などでの通電方法である場合などに発生し易い、制御電圧の飽和の問題点例について示し、説明する。特に、大きな電流、大きな電流で高速回転を行うときに発生し易い。図34はロータ回転位置θrが20°から70°の範囲を拡大して示していて、図1および図16のモータがCCWの一定トルクを発生しながら、CCWへ一定回転数で回転している状態を想定している。ここでは、AC相ステータ磁極のトルクとBA相ステータ磁極のトルクとが重複できるようなモータモデルとして、各相ステータ磁極の円周方向幅Ht=35°で、各ロータ突極の円周方向幅Hm=35°のモータモデルについて説明する。
図10のθrが20°から70°の間の電流成分は、図34に示す電流成分Iac、Iba、Icbである。Iacは42.5°から47.5°にかけて減少し、Ibaは42.5°から47.5°にかけて増加し、Icbはこの間で零である。この時、ロータの回転位置は、図1、図2、図3、図4で示す回転位置である。F01で示すAC相磁束φacは図34に示すように、θrが12.5°から42.5度まで、ステータ磁極とロータ突極とが対向する面積が増加するにつれて増加し、42.5°からAC相電流Iacが減少するとφacもほぼ比例して減少する。F02で示すBA相磁束φbaは図34に示すように、θrが42.5°から72.5度まで、ステータ磁極とロータ突極とが対向する面積が増加するにつれて増加し、72.5°からBA相電流Ibaが減少するとφbaもほぼ比例して減少する。CB相磁束φcbはθrが図34のタイムチャートで示す20°から70°の範囲では零である。
今、図9に示す制御回路で各相巻線の電圧、電流を供給することにする。Vsは電源87Gの直流電圧の値である。前記の回転動作の時、87DのA相巻線Waの電圧Vaは図34のVa、87EのB相巻線Wbの電圧Vbは図34のVb、87FのC相巻線Wcの電圧Vcは図34のVcの電圧波形になる。図9の制御回路はパルス幅変調(PWM)などにより、各トランジスタのオンとオフとにより時間幅が制御された矩形状の細かなパルス電圧が与えられるが、図34ではPWM電圧の平均値を示すことにする。
図34の電圧Vaは、回転位置θrが20°から42.5°の間では、V1Rとなる。このVaの誘起電圧成分Vraは(121)式で与えられるが、図34に示したようにこの範囲ではAC相磁束φacだけが存在するという条件とする。
そして、(84)式が代入できる。
Vra=Nw×dφac/dt (132)
=Nw×d{Bmax×R×(θr−θoff)×tc}/dt
=Nw×Bmax×R×tc×ωr (133)
このVraの値は、モータ誘起電圧であり、回転角速度ωrに比例する値となる。
今、トランジスタ871、872およびダイオード877、878の平均的な電圧降下を概略値としてVTDとし、巻線抵抗をRaとする。そして、(133)式の電圧を含め、前記トランジスタのオンデューティが丁度50%で運転できていると仮定する。この時、A相電圧V1Rは次式となる。
Vs/2=Nw×dφac/dt+VTD+Ia×Ra (134)
Va=V1R=Nw×dφac/dt+Ia×Ra
=Vs/2−VTD (135)
この間の回転位置θrが20°から42.5°では、C相電流IcがA相電流と同じで、ほぼ同一条件なので、次式となる。
Vc=V1R=Vs/2−VTD (136)
この時、B相巻線には電流が流れておらず、B相電圧Vbは次式となる。
Vb=−V2R=−Nw×dφac/dt
=−(Vs/2−VTD−Ia×Ra) (137)
以上のように、図34で回転位置θrが20°から42.5°の間では、A相電圧Va、C相電圧Vcは(135)式、(136)式であり、B相電圧Vbは(137)式であり、いずれも電源電圧Vsの近傍なので、図9の制御回路で電流の増減が自在に可能である。電流の制御性に問題はない。ただし、B相電圧Vbは、正負の符号だけでなく、電圧振幅もVa、Vcとは少し異なることに注意を要する。
次に、図34でθrが42.5°から47.5°の間の各相の電圧について同様に考えてみる。ステータ磁極幅が35°とすると図2の状態はθr=47.5°であり、その近傍の動作である。この間では、AC相電流Iacを急激に減少させ、並行して、BA電流成分Ibaを増加させようとしている。低速回転でモータの誘起電圧が小さい範囲では問題ないが、誘起電圧が大きくなってくると、図9の電源電圧Vsの制約があるため、電源電圧の飽和の問題が発生し、複雑な電圧挙動となる。
例えば、今、AC相磁束φacを急激に低減するためにIaとIcを低減し、トランジスタ871と872および875と876をオフとし、φbaとφcbが零であるとすると、A相巻線電圧Va、C相電圧Vcは次式となる。
Vs=−(Nw×dφac/dt+VTD+Ia×Ra) (138)
Va=−V3R
=−(Nw×dφac/dt+Ia×Ra)
=Vs+VTD (139)
Vc=Vs+VTD (140)
この時、B相電圧Vbは(138)式を代入し、次式となる。
Vb=V4R
=−Nw×dφac/dt
=Vs+VTD+Ia×Ra (141)
(141)式に示すように、θr=42.5の近傍でB相電流Ibを増加しようとするタイミングで、B相の電圧Vbは電源電圧Vsを超えていて、トランジスタ873、874をオンしてもB相電流Ibを通電できない状況となる。特に、通電電流が大きく、高速回転で、巻線抵抗Ra、Rb、Rcが大きい場合はこの電圧飽和の現象が顕著となり、問題である。
また、図9の制御回路で、例えば、トランジスタ871、872をオンし、A相電流Iaを単純に増加するタイミングでは、他相の巻線に与える電圧Vraは次式となり、
Vra=Vs−VTD−Ia×Ra (142)
電源電圧を超えることはない。特に、抵抗電圧降下(Ia×Ra)が大きければ、他相へ与える影響はその分だけ小さい。(141)式に示すように、電流を急速に減少させるときに他相の巻線へ与える電圧影響が大きい。図30、図31、図33などに示すような電流制御を行う場合には、各相の電流の増加の位相と各相の電流の減少の位相とが異なるようにするなどの工夫が必要となる。
(実施例9)
次に、請求項9について説明する。
図35は、図26の電力変換器A65の構成を示す図である。FE4は図26の電圧制御手段A64であり、FE5はA相電圧指令Vao、FE6はB相電圧指令Vbo、FE7はC相電圧指令Vcoである。87DはA相巻線Wa、87EはB相巻線Wb、87FはC相巻線Wcである。FE8はA相の正の電圧を作成する電力変換部で、FE9はA相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEAで合成されA相巻線87Dへ電圧を供給し、A相電流Iaを通電する。FECはB相の正の電圧を作成する電力変換部で、FEDはB相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEEで合成されB相巻線87Eへ電圧を供給し、B相電流Ibを通電する。FEGはC相の正の電圧を作成する電力変換部で、FEHはC相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEJで合成されC相巻線87Fへ電圧を供給し、C相電流Icを通電する。
ここで、破線で示すFEBはA相の電力変換器であり、例えば、図8のトランジスタ871、872とダイオード877、878を示している。モータ構成と制御回路がより密接な関係の構成では、FEBにモータの巻線構成も含む場合もある。破線で示すFEFとFEKは、A相と同様に、B相とC相の電力変換部であ。
このような構成において、正の電圧を作成する電力変換部FE8、FEC、FEGの最大電圧が、負の電圧を作成する電力変換部FE9、FED、FEHの電圧振幅よりも大きい構成とする。正の電圧を作成する電力変換部の電圧の方が大きければ、(141)式で示したような電力変換器A65内での電圧飽和の問題を軽減することができる。
(実施例10)
次に、請求項10について具体的に説明する。
図36では、図35の正の電圧を作成する電力変換部FE8、FEC、FEGがトランジスタFK7、FK8、FK9である。図35の負の電圧を作成する電力変換部FE9、FED、FEHに相当するA相の電力変換部は、ダイオードFKDと抵抗FK4、ツェナーダイオードFKG、トランジスタFKAなどの組み合わせである。トランジスタFK7がオフした時にA相巻線87Dに流れているA相電流Iaをこれらの素子FK4、FKG、FKAへ通電し、A相巻線87Dの磁気エネルギーを消費し、A相電流Iaを減少させる。この時、抵抗FK4の両端に発生する電圧が電源87Gの電圧よりも小さくなるように、抵抗FK4の抵抗値、ツェナーダイオードFKGの電圧などを設定する。
B相巻線87Eについても同様に、負の電圧を作成する電力変換部をダイオードFKEと抵抗FK5、ツェナーダイオードFKH、トランジスタFKBで構成する。C相巻線87Fについても同様に、負の電圧を作成する電力変換部をダイオードFKFと抵抗FK6、ツェナーダイオードFKJ、トランジスタFKCで構成する。
図36の様な構成は、ファンなどの小型モータ用途で片方向回転で使用する場合などに効果的である。特に、後に述べる界磁巻線を付加した構成では、モータ内の界磁エネルギーが界磁巻線を介してモータ内で循環するので、図36の回路内で消費するエネルギーを小さくすることができ、効果的である。
(実施例11)
次に、請求項11について具体的に説明する。
図37の構成では、A相巻線を同一スロットに2個巻回し、それらの巻線FL1とFL4を直列に接続している。模式的には、図16のような巻線配置である。同一スロットの2巻線は、できるだけ鎖交磁束が共通になるように、2巻線を並行して巻回するいわゆるバイファイラ巻きとしても良い。図37では、図35のA相の正の電圧を作成する電力変換部FE8がトランジスタFLA、FLBである。両トランジスタをオンすることにより電源87Gの電圧Vsを巻線FL1に印加する。
負の電圧を作成する電力変換部FE9は、図37では、トランジスタFLA、FLBのオフ動作とダイオードFLG、FLHおよび、巻線FL1とFL4による電圧分割である。両トランジスタをオフすることにより、巻線FL1ととFL4が逆方向に電源87Gの電圧Vsに制限される。
両トランジスタをオンするときにA相巻線に鎖交する磁束が増加する変化率FFDより、両トランジスタをオフするときにA相巻線に鎖交する磁束が減少する変化率FBDの方が小さくなるように設定したことになる。その比率は次式となる。 FBD/FFD=(巻線FL1の巻き回数)/(巻線FL1とFL4の合計巻き回数) このことから、A相巻線の電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成であると言える。
B相巻線FL2、FL5についても同様であり、トランジスタFLC、FLDにより正の電圧を与え、両トランジスタのオフによりダイオードFLJ、FLKを介して磁気エネルギーを電源87Gへ回生する。C相巻線FL3、FL6についても同様であり、トランジスタFLE、FLFにより正の電圧を与え、両トランジスタのオフによりダイオードFLL、FLMを介して磁気エネルギーを電源87Gへ回生する。
(実施例12)
次に、請求項12について具体的に説明する。
図38は、図9で示した制御回路に電源84Dを追加し、トランジスタ871、873、875のコレクタの接続先を電源84Dの正側に変更しており。この構成により、各相巻線の電流を増加するときの電圧VFDの方が各相巻線の電流を減少するときの電圧VBDより、電源84Dの電圧だけ大きくできることになる。従って、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成であると言える。
(実施例13)
次に、請求項13について具体的に説明する。
図39は、3相の各相巻線の電圧、電流を3個のトランジスタ564、565、566と3個のダイオード567、568、569で制御する構成である。56Cは回生される磁気エネルギーを充電して溜めるコンデンサである。トランジスタ56AとチョークコイルLDccとダイオード56Bはコンデンサ56Cの電荷を電源87Gへ移動させる。破線で囲うFP1は、DC−DCコンバータの構成となっている。破線FP1は一つの電源の機能でもあり、図38の電源84Dのように、バッテリなどの電源に置き換えることもできる。
87DのA相巻線にトランジスタ564で電圧を印加し、A相電流Iaを増加させることができる。トランジスタ564をオフすることによりダイオード567を介してA相巻線87Dに負の電圧を印加し、A相電流Iaを減少させることができる。
87EのB相巻線についても、トランジスタ565とダイオード568によりその電流Ibを、Iaと同様に、増減して制御することができる。87FのC相巻線についても、トランジスタ566とダイオード569によりその電流Ibを、Iaと同様に、増減して制御することができる。なお、各トランジスタに負の電圧が印加されないように保護用のダイオード56Dを付加しても良い。
次に、図39の制御回路構成は、従来システムに比較し、原理的にその全体の電流容量を小さくできること、小型化できること、効率を上げることができることの可能性について説明する。今、図39の直流電源87Gの電圧が200Vで、各トランジスタの電流容量が10Aであると仮定する。例えば、図2に示すモータのロータがある回転数ωrで回転していて、図2に示す回転位置θr=30°にさしかかった回転位置であり、AC相の磁束φacだけが発生しているとすると、(84)式、(87)式からA相巻線の電圧VaとC相巻線の電圧Vcは次式となる。
Va=Vc=Nw×Bmax×R×tc×ωr (143)
ここで、(143)式で表される電圧が丁度200Vであると仮定する。この時、インバータの出力であり、モータの入力出もある電力P1は、次式となる。
P1=(200V)×(10A)×(2巻線)
=4000[ W ] (144)
一方、図40に従来のブラシレスモータなどの3相交流モータを星形結線した巻線834、835、836と6個のトランジスタ841、842、843、844、845、846と6個のダイオード847、848、849、84A、84B、84Cとで構成する3相交流電圧、電流の制御回路を示す。この場合にも、直流電源87Gの電圧が200Vで、各トランジスタの電流容量が10Aであるとする。例えば、U相巻線834からV相巻線835へ200Vを印加し、最大電流10Aを通電したと仮定すると、その時の出力P2は次式となる。
P2=(200V)×(10A)
=2000[ W ] (145)
なお、U相巻線834からV相巻線835とW相巻線836とへ半分づつ通電する場合もおおよそ同程度の電力供給である。すなわち、図40のシステムにおいて、モータ巻線の誘起電圧が直流電源87Gに近い値の時で、使用しているトランジスタの最大電流と3相正弦波電流のピーク電流とが同じになる程度に3相正弦波電流を通電すると、3相電流の位相に関わらず、おおよそ同程度のモータ出力が得られる。
図2のモータと図39の制御回路の組み合わせと図40の通常の3相交流モータと制御回路とを比較すると、3個のトランジスタで4000Wの出力と6個のトランジスタで2000Wの出力であり、トランジスタ1個あたりの出力を比較すると、4倍となる。同一出力の条件で比較すると、図2のモータと図39の制御回路は、半分のトランジスタ数の3個で済み、かつ、トランジスタの電流容量は半分の5Aで、同一出力の2000Wを出力できることになる。
なおここで、図39の構成では、トランジスタ56Aなどで構成するDC−DCコンバータが必要であり、トランジスタ564、565、566の耐電圧は200Vより大きな値が必要であることには注意を要する。
説明したように、図39などのモータ各相の電流が片方向電流なので、それぞれについて、1個のトランジスタと1個のダイオードという簡素な構成で電流を増減することが可能である。そして、図39などのモータの各ステータ磁極が隣接する2個の巻線によって同時に励磁できる点が大きな特徴である。2個の巻線から電力の供給が可能な構成となっている。そして、各巻線がそれぞれ円周方向両隣のステータ磁極の励磁に兼用して使用することができ、3巻線で3組のステータ磁極を励磁している。その結果、3相交流用の制御回路のトランジスタの総電流容量に比較して、図2のモータと図39の制御回路のトランジスタの総電流容量は、1/4にできる可能性がある。
なお、図39の制御回路構成ではトランジスタの素子数が少ないが、図40および図9に比較して、各トランジスタの電圧負担が増加することになる。しかし、IGBTなどの一般的な傾向として、耐電圧の増加に対するコスト的な負担は小さい傾向があり、電圧負担の増加によるコスト負担は小さい。そして、技術的な傾向として高耐圧化の技術が充実してきている。一方、電気自動車、ハイブリッド自動車におけるバッテリの電圧は、その製作性、安全性、共通化などの都合により、バッテリの電圧を自在に変えることが難しくなっている。その様な背景が、図39のような制御回路構成の妥当性の理由の一つとなっている。
また、図9の構成のトランジスタの総電流容量は、同様に比較、計算して、従来の図40の1/2にできる可能性がある。そして、図9の構成における各トランジスタの電圧負担は、図39の構成に比較して約1/2である。
また、図39の構成で、破線で示すDC−DCコンバータFP1の電圧を電源87Gの電圧より小さくすることにより、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成とすることができる。
(実施例14)
次に、請求項14について具体的に説明する。
図41は、電源87Gと電源FNEの2個の電源があり、電源FNEの電圧VSS2を電源87Gの電圧VSS1より小さくできない場合の例である。図41では、図37の場合と同様に、A相巻線を同一スロットに2個巻回し、それらの巻線FN1とFN2を直列に接続している。
トランジスタFNAをオンすることにより電源87Gの電圧Vsを巻線FN1に印加する。トランジスタFNAをオフすることにより、巻線FN1とFN2がダイオードFN7を介して逆方向に電源FNEの電圧VSS2に制限される。
トランジスタFNAをオンするときにA相巻線に鎖交する磁束が増加する変化率FFDより、トランジスタFNAをオフするときにA相巻線に鎖交する磁束が減少する変化率FBDの方が小さくなるように設定するためには、次式の関係式とすればよい。
VSS1>VSS2×
(FN1の巻き回数)/(FN1とFN2の総巻き回数) (146)
B相巻線FN3、FN4についても同様であり、トランジスタFNBにより正の電圧を与え、トランジスタFNBのオフによりダイオードFN8を介して磁気エネルギーを電源FNEへ回生する。C相巻線FN5、FN6についても同様であり、トランジスタFNCにより正の電圧を与え、トランジスタFNCのオフによりダイオードFN9を介して磁気エネルギーを電源FNEへ回生する。図41の構成は、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成であると言える。
(実施例15)
次に、請求項15、16について具体的に説明する。
図42は、制御回路の構成をより簡素化できる構成である。図1のモータ構成において、A0DのA相巻線Waを同一スロットで並行に巻回する2巻線に分離する。他の相も同様である。模式的には、図16のA相巻線FD1、FD2のような構成である。図16の前記説明では電流成分を表現するための仮想の巻線として表現したが、図42の制御回路との組み合わせとする場合は並行して巻回する実体の巻線である。なお、同一スロットの2巻線は、できるだけ鎖交磁束が共通になるように、2巻線を並行して巻回するいわゆるバイファイラ巻きとしても良い。
図42の531と532はA相巻線で、巻始めの点で示すシンボルのように、これらの両巻線は磁束の鎖交する方向が逆方向となるように配置している。
トランジスタ537をオンすることにより巻線531に電源87Gの電圧が印加され、A相電流Iaが増加する。トランジスタ537をオフすることにより電流Iaが遮断され、同時に、巻線531と532に鎖交する磁束φzの磁気エネルギーはダイオード53Bを介して電源87Gへ電流I2aが流れる。この時、磁束φzが鎖交する電流がI2aだけである場合には、次式となる。
Vs=−Nw×dφz−VDz−Ia×R2a (147)
ここで、Vsは電源87Gの電圧、VDzはダイオード53Bの順方向電圧降下、R2aは巻線532の抵抗値である。
同様に、533と534はB相巻線で、538は駆動用のトランジスタ、53Cは回生用のダイオードである。535と536はC相巻線で、539は駆動用のトランジスタ、53Dは回生用のダイオードである。
図42に示す制御回路構成は、図9に示した制御回路構成に比較して、トランジスタとダイオードの数が半分であり、大幅な素子数の削減である。また、図39の場合と同様に、2組の巻線から並行して電力を供給できるので、制御回路のトランジスタの総電流容量は、1/4にできる可能性がある。また、各相電流を通電するときに、各巻線に直列に接続している半導体は1個であり、図40、図9などでは各巻線に直列に接続している半導体は2個であることに比較し、半導体損失が小さく制御回路の効率が良く、モータシステム全体としての効率も改善する。このように、図40に示すような、従来の3相交流電圧、電流のモータシステムに比較しても、簡素化、高効率化、低コスト化、小型化の可能性がある。
なお、図1、図16などに示すモータはリラクタンスモータであり、界磁磁束を励磁するための励磁電流成分の負担があるが、後に記述する界磁巻線の活用、永久磁石の活用などにより、界磁磁束の負担を軽減する方法もある。また、図42では各スロットの巻線を2個に分割するので、各巻線の抵抗値が大きくなる問題はある。また、図42の各トランジスタに印加される電圧は図9、図40の場合に比較して大きくなる問題はある。また、各相電流の制御において、各相電流をフライホイール電流として、電源87Gから切り離した状態とすることはできないという問題がある。しかし、これらの問題点については、それぞれにその問題を軽減する方法がある。
また、図42において、各相の1次側の巻線531、533、535の巻き回数より2次側の巻線532、534、536の巻き回数を小さくすることにより、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成とすることもできる。
なお、図42の各巻線対は、各鎖交磁束が完全に両巻線に鎖交しているわけではなく、両巻線にはそれぞれ各巻線個別にわずかな漏れ磁束成分なども発生する。従って、各トランジスタがオフするときに、各トランジスタに瞬時過電圧がかかる場合がある。各トランジスタに印加する前記瞬時過電圧を吸収する目的で、例えば、ダイオード541、542、543とツェナーダイオード544を付加しても良い。これらに流れる電流は小さく、ノイズフィルターのような機能である。また、図42では、巻線が3対の場合について説明したが、4相、5相などの多相の場合についても、図42の制御回路を相数に応じて拡張して、同様に実現することができる。
(実施例16)
次に、請求項17について具体的に説明する。図43は、図35において一部の機能を追加している。FS1はA相電圧を制限するA相電圧制限信号VAL1であり、FS4はA相電圧制限手段で、FE5のA相電圧指令Vaoを制限する。
FS2はB相電圧を制限するB相電圧制限信号VBL1であり、FS5はB相電圧制限手段で、FE6のB相電圧指令Vboを制限する。FS3はC相電圧を制限するC相電圧制限信号VCL1であり、FS6はC相電圧制限手段で、FE7のC相電圧指令Vcoを制限する。このように、各相の巻線を励磁する電圧を、各相電流の変化の状態、各相巻線の電圧印加状況、ロータ回転位置θr、ロータ回転角速度ωrなどに応じて制限する機能を持つ。このことにより、各相の電圧制御が、電圧飽和の問題で各相相互に阻害することなく電圧制御を実現する。
例えば、図6においてCCWへ大きな平均トルク、かつ、高速で回転している場合について考えてみる。この回転位置θrでは、B相電流IbとA相電流Iaでトルクを発生している。次の動作としては、この回転位置θr辺りでF21のBA相磁束φbaを減少させ、A02、A05のCB相ステータ磁極の励磁を開始してCB相の電流成分Icbを通電し、トルク発生の準備が必要である。
具体的には、もしこの二つの動作が重なった場合、A0DのA相電流Iaを減少し、同時にAOHのC相電流Icを増加する必要がある。BA相磁束φbaが減少すると、AOHのC相巻線には、正の誘起電圧Vcが発生する。
もし、BA相磁束φbaの減少が急激であれば、正の誘起電圧Vcが大きくなり、C相電流Icを増加することが困難になるという問題が発生する。この電圧飽和の問題が発生しないようにする一つの方法は、BA相磁束φbaの減少とC相電流Icの増加とが異なる時間帯で動作すればよい。他の方法は、両動作が並行して進む場合に、BA相磁束φbaの減少とC相電流Icの増加との両方が、片方に偏らず、バランス良く行う方法である。図43および図44は、後者のバランス良く行う方法を示している。
(実施例17)
次に、請求項18について具体的に説明する。
図44は、図27、図28、図29などの各相の電圧司令部において、各相の電圧をバランス良く保つ機能を追加した図である。FR1はA相の電圧指令成分であり、A相電流Iaの制御誤差に基づいて作られている。FR2はB相の電圧指令成分であり、B相電流Ibの制御誤差に基づいて作られている。FR3はC相の電圧指令成分であり、C相電流Icの制御誤差に基づいて作られている。これらの情報と回転位置θrと回転角速度ωrをFR4の電圧制限論理部へ入力し、FR5のA相電圧制限信号VAL2、FR6のB相電圧制限信号VBL2、FR7のC相電圧制限信号VCL2を出力する。
FR8はA相電圧制限手段で、A相電圧指令成分FR1に電圧制約を加える。
FR9はB相電圧制限手段で、B相電圧指令成分FR2に電圧制約を加える。
FRAはC相電圧制限手段で、C相電圧指令成分FR3に電圧制約を加える。
FRCは新たなA相電圧指令、FRDは新たなB相電圧指令、FREは新たなC相電圧指令である。
図44の構成により、一つの相の磁束φbaの減少と他の相の電流Icの増加との両方が、片方に偏らず、バランス良く行うことができる。このような電圧制限機能は、図27、図28、図29などの種々の制御回路構成に適用できる。また、有限要素法などによりモータの磁束データを活用することにより、(121)式から(125)式へ適用してより正確に各巻線の電圧を推測計算することができる。具体的には、例えば式中のdφac/dtは、(φacの微小磁束変化)/(微小時間)として計算し、代入すればよい。
また、各相の電流はロータの回転と共に繰り返し通電するので、電圧飽和などの問題が発生するときに、その次の電流サイクルで各相の電流成分の通電位相を変えて、より通電しやすい電流サイクルに修正して制御することもできる。
(実施例18)
次に、請求項19について具体的に説明する。
図45は、図30に示した各相の電流成分Iac、Iba、Icbへ各ステータ磁極の磁束を励磁する界磁励磁電流成分IFCを付加した図である。結果として、各相の電流Ia、Ib、Icへも(IFC×2)の界磁励磁電流成分が付加されることになる。
軟磁性体の磁界の強さと磁束密度の関係は一般的に図14のような特性を示している。従って、例えば、ロータが停止している状態では、界磁励磁電流成分を通電した後の電流増加に伴う電圧は、比較的小さい。
そして、小型モータ以外では、連続定格電流に対して界磁励磁電流成分は小さいので、常時、界磁励磁電流成分を通電しても大きな負担ではない。それで、図14に示すように、界磁励磁電流成分を常時通電することにより、トルク発生のために電流を増加するときの電圧負担を軽減することができる。(38)式、(52)式、(59)式などに示した各巻線の電圧は、回転に伴う電圧成分が主となり、(87)式、(94)式、(100)式などの電流の増減に左右されない電圧となる。なお、これらの式はモデル的な単純式であり、実際にはスロット開口部の漏れ磁束に起因する電圧成分などが無視できない程度に加わることになり、それらの成分については別途、モータの状態に応じて勘案する必要はある。
(実施例19)
次に、請求項20、21について具体的に説明する。
図46は、図1に示したモータ構成に界磁磁束を励磁する界磁電流Iffを通電する巻線を付加した構成である。A相巻線A0D、B相巻線A0F、C相巻線A0Hはそれぞれ全節巻線である。界磁巻線は、各ステータ磁極に集中的に巻回していて、いわゆる集中巻線の形態とした例である。
A01のAC相ステータ磁極には巻線FZ1とFZ2と破線FZ3で示す集中巻きとし、電流の方向は電流のシンボルを図示するように、A相電流Ia、C相電流Icとそれぞれ同一方向である。同様に、A04のAC相ステータ磁極には巻線FZ9とFZAとで示す集中巻きとする。
A03のBA相ステータ磁極には巻線FZCとFZBとで示す集中巻きとし、A06のBA相ステータ磁極には巻線FZ5とFZ6とで示す集中巻きとする。
A05のCB相ステータ磁極には巻線FZ8とFZ7とで示す集中巻きとし、A02のBA相ステータ磁極には巻線FZDとFZ4とで示す集中巻きとする。
FZEとFZFとFZGとFZHおよびFZJは各集中巻き巻線の繋ぎの線であり、電流方向を合わせて直列に接続している。FZKとFZLは界磁巻線の端子である。
界磁巻線は全てのステータ磁極に巻回し、電流の方向は各相電流Ia、Ib、Icと同一方向で、各界磁巻線を直列に接続する。従って、巻き方は特に限定されず、全節巻きでも集中巻きでも良い。また、環状巻、波巻き、鼓状巻などの巻き方も限定されず、どの巻き方でも良い。
各相巻線Wa、Wb、Wcは通電電流の方向と大きさが限定されるが界磁巻線は限定が少ない。特に、図46に示した、各ステータ磁極に集中巻き巻線を巻回した構成は、トータルでの巻線長を短くでき、コイルエンドのロータ軸方向の突き出しも小さく、各集中巻き巻線の間の接続も容易で巻線の製作性の点でも優れている。
次に、界磁電流Iffを通電する具体的な回路の例を図47に示す。L11とL14はAC相の界磁巻線、L13とl16はBA相の界磁巻線、L15とL12はCB相の界磁巻線である。トランジスタL17で制御して界磁電流Iffを制御する。L18はフライホイールダイオードである。
図48は他の界磁電流制御回路である。トランジスタL21とL22の両方をオンすることにより界磁巻線へ電圧を印加し、どちらかのトランジスタだけがオンの時はフライホイールモードとなり、この両動作は図47の制御回路とほぼ同じである。両トランジスタがオフの時にはダイオードL23とL24を介して逆方向の電圧すなわち負の電圧がかかるので、界磁電流Iffを急激に減少させることができる。モータの制御において、界磁電流Iffを急激に減少させる必要がある場合は、図48の方が適している。
次に、この界磁巻線の電磁気的な動作について説明する。図49は、図46において、直列に接続した界磁巻線に一定の界磁電流を通電して、各相の巻線A0D、A0F、A0Hの電流は零とした時の界磁巻線の電圧関係を示している。ステータ磁極周辺の漏れ磁束は零とするなど、理想化したモデルにおける電圧関係である。
(Vf1+Vf4)は、図48に示すAC相ステータ磁極の2個の界磁巻線L11の電圧Vf1と界磁巻線L14の電圧Vf4の和である。
(Vf3+Vf6)は、図48に示すBA相ステータ磁極の2個の界磁巻線L13の電圧Vf3と界磁巻線L16の電圧Vf6の和である。
(Vf5+Vf2)は、図48に示すCB相ステータ磁極の2個の界磁巻線L15の電圧Vf5と界磁巻線L12の電圧Vf2の和である。
一定の界磁電流を通電しているので、各界磁巻線のパワー入出力は、常に何れかの巻線のパワーが負で何れかの巻線が正であって、各界磁巻線間で界磁エネルギーが循環していることになる。全巻線両端の電圧は図49のVallで、全巻線の抵抗と界磁電流の積であり、抵抗電圧降下分である。このように、界磁エネルギーがモータ内で循環すれば、図9などの制御回路で各相の巻線A0D、A0F、A0Hの電流を制御する場合、それらの電流Ia、Ib、Icの無効電流分を低減できるので、図9などの制御回路の電流を低減でき、電圧負担も低減できる。低コスト化も可能となる。
なお、界磁電流Iffの値は、制御方法により種々の値を採ることができる。各ステータ磁極へ印加される起磁力は、後に示すように、各相の電流Ia、Ib、Icと界磁電流Iffの合成値が与えられることになる。
例えば、低速回転で出力トルクが大きいときには、界磁電流Iffにより各相電流Ia、Ib、Icの電流負担を軽減できるので、効果的である。中速回転では、界磁電流Iffにより3相巻線の誘起電圧に偏り現象を引き起こすので、問題もある。高速回転においては、界磁電流Iffにより、各相電流Ia、Ib、Icの無効電流成分を低減できるので効果的である。このような事情で、回転数ωr、負荷トルクの大きさにより界磁電流Iffの大きさを可変制御する。
(実施例20)
次に、請求項22について具体的に説明する。
図50は、図48の全界磁巻線をダイオードL18を介して閉回路とした構成である。各界磁巻線には並列に各相の巻線を巻回しているので、界磁エネルギーは各相の巻線側から供給することができる。シャント抵抗器による界磁電流の値を検出するなどの何らかの方法での界磁電流成分を検出することができる。あるいは、磁束の大きさをホール素子などで検出する、あるいは、巻線の誘起電圧検出で磁束を認識することができる。この界磁電流成分などの大小に応じて、各相の電流Ia、Ib、Icにより界磁エネルギーを界磁巻線へ供給することが可能である。このように界磁巻線へ界磁エネルギーを間接的に供給することができる。この場合は、図50に示すように、界磁電流駆動にトランジスタが不要になり、簡素化、低コスト化を実現できる。
(実施例21)
次に、請求項23について具体的に説明する。
図85に示したスイッチトリラクタンスモータへ図46に示すような界磁巻線を付加した構成である。このような構成とすることにより、モータの界磁電流負担を界磁巻線で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の電流負担および電圧負担を軽減できる。
(実施例22)
次に、請求項24について具体的に説明する。
図51は、図1の各ステータ磁極へ同一極性方向の永久磁石を追加した構成である。図46で示した界磁巻線が作用する起磁力の方向と同じ方向である。永久磁石B17、B18、B19、B1A、B1B、B1C、B1D、B1E、B1F、B1G、B1H、B1Jを各ステータ磁極に配置している。このような構成とすることにより、ロータ突極が近接すると磁束が発生する。従って、前記の界磁巻線の作用を発生することになる。
図1に示したモータの各相電流Ia、Ib、Icの界磁電流負担を永久磁石で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の各相電流負担および電圧負担を軽減できる。また、各相電流成分Iac、Iba、Icbを制御することにより、各ステータ磁極の磁束φca、φba、φcbの強めおよび弱めも行うことができる。
永久磁石の配置の方法は、図52の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に例を示すように種々の構成が実現できる。これらはステータ磁極B11の先端部近傍を拡大して示した図である。L41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48、L49、L4Aは永久磁石である。ステータ磁極の表面に永久磁石を貼り付けることもできる。図51の構成は、比較的大きな磁束が得られる構成である。永久磁石の配置構成により、永久磁石特性とリラクタンス特性との比率を選択することができる。CCWのトルクとCWのトルクとが対象ではない特性とすることもできる。
なお、各相電流が零の時に、各ロータ突極に永久磁石の作用で発生するトルクは、CCWとCWのトルクがバランスしているので、おおよそ零である。ラジアル方向の力も、従来のモータと同様にキャンセルする構成である。また、永久磁石の種類は、ネオジム系の永久磁石、サマリウム系の永久磁石、フェライト磁石、鋳造磁石などの種々永久磁石を使用することができる。
図1、図51などのモータでは、トルク発生には吸引力を使用して作っている。そして、永久磁石のN極同士は反発する力が発生するが、その様な反発力は使用せずにモータトルクを発生することができる。これは、モータ電流を適正に制御すれば、永久磁石を減磁させるような起磁力がかからないことを意味している。従来のブラシレスモータでは、永久磁石が減磁しないようにモータ構造、磁石厚みなどを設計している。
図51のモータでは、減磁の心配が不要なので、永久磁石の厚みを限界まで薄くできることになる。磁石の保持力を大きくするためにデスプロシウム、テレビウムなどが使用されていて、資源問題が顕在化しているが、それらの問題も軽減できる。このように、使用する永久磁石の量を少なくすることができ、コスト的に有利である。
また、永久磁石の厚みを薄くできるので、万が一、永久磁石が減磁した場合においても比較的容易に着磁することができる。モータの制御装置で通常の電流を通電することによる着磁も可能である。さらには、後で述べるように、永久磁石の磁気特性を可変制御し、ステータ磁極の磁束の大きさを可変制御することも可能である。
低速回転では永久磁石を強め、高速回転では磁石を弱めることにより、定出力特性を示すモータ運転が容易となる。なお、永久磁石と界磁巻線とを併用して、両方の特徴を発揮することも可能である。
(実施例23)
次に、請求項25について具体的に説明する。
図53は、AC相のステータ磁極B17とB1Aの片側B17にだけ永久磁石B11を配置している。永久磁石B11が発生する磁束はB18、B1Bのステータ磁極へも通過することになるが、磁石個数を低減することができる。BA相ステータ磁極B19、B1Cについても同様である。CB相ステータ磁極B1B、B18についても同様である。
(実施例24)
次に、請求項26について具体的に説明する。
図54は、図1のモータを8極にし、一部のステータ磁極へS極永久磁石とN極永久磁石を追加した図である。全周は電気角で360°×4=1440°である。ステータ磁極の数は24個でロータ突極L77の数は16個である。L7C、L7E、L7H、L7Lは電気角で360°ピッチのステータ磁極で、いずれもAC相ステータ磁極である。L7Aの内径側はS極磁石で、L7Bの内径側はN極磁石で、いずれも、AC相ステータ磁極L7C、L7Dに取り付けている。同様に、L7JのS極磁石とL7GのN極磁石をBA相のステータ磁極に取り付けている。同様に、L7KのS極磁石とL7MのN極磁石をCB相のステータ磁極に取り付けている。
このように、永久磁石をステータ磁極の一部に取り付けることにより、永久磁石特性とリラクタンス特性との比率を選択して設計することができる。磁石の個数を少なくすることができるので、コストを低減する効果もある。なお、図54の場合には、永久磁石を付加したステータ磁極と永久磁石を付加していないステータ磁極の両方について、ロータが磁気的な中心となるようにバランスを取った配置としている。このような構成とすることにより、部分的な磁石付加であっても、ステータ磁極の各相関の干渉の少ない特性としている。
(実施例25)
次に、請求項27について具体的に説明する。
図85は、各ステータ磁極へ集中巻線を施した構成のモータであり、このようなモータへ図51、図52に示すような永久磁石を付加することができる。永久磁石により、モータの界磁電流負担を界磁巻線で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の電流負担および電圧負担を軽減できる。
(実施例26)
次に、請求項28について具体的に説明する。
図55は、図1のモータに比較し、各スロットの開口部へ永久磁石L8D、L8E、L8F、L8G、L8H、L8Jを付加している。各ステータ磁極の磁束の方向は2重線の矢印で示す方向であり、破線の矢印で示す各永久磁石の磁束の方向とはステータ磁極の部分で反対向きとなるように配置している。従って、モータの電流が流れていない状態では、各ステータ磁極はそれぞれに磁束密度は逆方向にバイアスされている。そして、2重線で示す磁束をより多く通すことが可能となる。
図15においてモータのトルク特性を示したが、動作点Tnbの辺りでステータ磁極が磁気飽和の状態となり、トルクの上昇率が低下している。図55のように永久磁石を付加した場合、ステータ磁極を通過できる2重線で示す磁束を増加することができるので、図15のトルク特性が破線で示すように拡大し、動作点Tndまでトルクを発生できるようになる。このようにモータのピークトルクを増大させることができるので、モータの小型化、軽量化が可能となる。なお、図55での永久磁石の形状が磁極の方向に長い形状となっているが、8極程度に多極化したモータではスロット開口部が狭いので、その側面形状は、図55の形状より正方形に近い形状となる。また、スロット開口部近傍では電流通電時に漏れ磁束も発生するが、この永久磁石の磁束の方向は漏れ磁束とは反対向きなので、漏れ磁束を低減する効果もある。
(実施例27)
次に、請求項29について具体的に説明する。
図56は、図26における電流制御手段A63の例をより具体的に示す図である。また、図27に示す電圧フィードフォワード手段A8Aも付加して示している。図56では、図26のA60で示す速度指令ωoとロータ速度ωrの値からトルク制御手段A62で作られたA6Jのトルク指令情報Toを入力とし、具体的な各相の電流成分の指令値Iaco、Ibao、Icboを出力する。また、界磁電流成分の制御と各相の電圧フィードフォワード値についても示している。
FQ1はトルク変換手段で、まず、A6Mのロータ回転位置θrにより各相の電流制御領域を認識する。そして、A6Jのトルク指令情報Toに基づいて、(42)式、(54)式、(61)式、(68)式、(75)式、(82)式、(90)式、(96)式、(102)式、(108)式、(114)式、(120)式を選択して通電すべき電流成分とその大きさを決定する。1個の電流成分だけで駆動する方法、複数の電流成分を並行して通電する方法があり、回転角位置θrによっても変化する。電流の応答性および応答遅れ時間があるのでロータ回転角速度ωrを考慮する必要もある。トルク変換手段FQ1の出力FQ4はAC相の電流成分Iacj、BA相の電流成分Ibaj、CB相の電流成分Icbjである。
具体的には、例えば、図5に示すθr=60°の回転位置で、CCWへωrで回転し、CCWのトルク指令Toは比較的小さく軟磁性体の磁気的成形領域のトルクであるとする。電流は図16に示す各相の電流成分Iac、Iba、Icbで表現する。
図5の磁束F21がCCWトルクを発生できるので、電流成分Ibaを流せばよい。(54)式にトルクTbaと電流成分Ibaの関係が示されているので、電流成分Ibaの値を計算できる。もしこの時、AC相の電流成分Iacが流れていればA22の磁束により負トルク(−Tnac)を発生しているので、この負トルクを相殺するために、BA相トルクTbaにトルクTnacを加えて(54)式で計算すればよい。
また、ロータ回転角速度ωrが大きければ、次のサイクルではCB相のステータ磁極A02、A05でトルクを発生する必要があるので、この回転位置θr=60°で事前に電流成分Icbを通電しておく。なお、この回転位置では、CB相のステータ磁極A02、A05がロータ突極と対向していないので、電流成分Icbはトルクを発生しない。この時点での電流成分Icbの大きさは、トルク予測値などから決定すればよい。
前記のように、各相の電流成分Iacj、Ibaj、Icbjを決定し、出力する。これらの電流値の例を、図30の回転角位置θr=60°に示す。実際に、電力変換器A65で通電する電流、モータの巻線へ通電する電流は、既に説明したように、図30の相電流Ia、Ib、Icである。
このように、トルク指令情報Toに応じて各相の電流指令値を決定することができる。回転角位置θrによって、計算する内容が変化していく。図1に示すモータの場合、その制御周期は電気角で90°であり、また、AC相とBA相とCB相は電気角で30°の位相差を持っているが同じ作用である。
また、後に示すように、トルク指令情報Toと回転角位置θrに応じた各相電流情報を、前記のような方法で求め、メモリ上に記憶させておき、メモリ情報を使用して各相電流指令を出力しても良い。なお、メモリ上の情報は、データ量の制約で離散的なデータとなるが、離散データの間の値は内挿計算により求めることにより、近似的に連続的な値として使用することができる。
(実施例28)
次に、請求項30について具体的に説明する。
図56のFQEは界磁制御情報Foで、FQ2は界磁制御手段である。界磁制御手段FQ2の出力は、各相の界磁の励磁に関する電流成分で、FQ7はAC相の界磁電流成分Iack、FQ8はBA相の界磁電流成分Ibak、FQ9はCB相の界磁電流成分Icbkである。また、FQDは界磁電流指令である。
例えば、図1のモータにおいて、全ステータ磁極に一定の界磁電流成分IFCを通電する場合には、Iack=Ibak=Icbk=IFCとして、電流合成手段FQ3へ出力する。
電流合成手段FQ3では、前記電流成分Iacj、Ibaj、Icbjと界磁電流成分とを加算し、FQA、FQB、FQCの電流成分指令Iaco、Ibao、Icboとして出力する。
Iaco=Iacj+Iack (148)
Ibao=Ibaj+Ibak (149)
Icbo=Icbj+Icbk (150)
また、いずれかの相のステータ磁極の界磁電流成分を通電する場合は、(148)式、(149)式、(150)式にその値を設定すればよい。例えば、図5において、CB相ステータ磁極A02、A05はθr=75°になるとステータ磁極とロータ磁極が対向し始めるので、図5のθr=60°でCB相の界磁電流成分を事前に通電する場合に(150)式のIcbkの値を設定する。
界磁電流成分を早めに通電することは、(38)式等の各相の電圧成分の式、および、(121)式から(125)式に示す各巻線電圧の式から重要である。例えば、(59)式のCB相の電圧式では、微分項の第1項と第2項が重ならないようにすることが制御回路の電圧負担の上で効果がある。微分項の第1項は、物理的には電流の微分式(dIcb/dt)は電流の変化に伴う磁束の時間変化率(dφcb/dt)を意味している。従って、図14の磁気飽和の非線形な関係から、界磁電流成分だけでも早めに通電することは電圧負担の上で効果的である。
なお、界磁電流成分の大きさおよび通電タイミングは、モータの発生トルクおよび回転数の条件により変えることができる。例えば、低速回転で高トルクの場合には、界磁電流が必要な相にだけ大きな界磁電流成分を通電し、他の相には界磁電流を通電せず、ジュール損を低減する方がよい。中速回転では早めの位相で界磁電流成分を通電する必要がある。高速回転では、全ての相に常時、適度な大きさの界磁電流成分を与えるのも一方法である。
次に、図46に示すような界磁巻線を巻回している構成のモータでは、モータの発生トルクおよび回転数の条件により、FQDの界磁電流成分指令Iffを出力する。この電流は、図47、図48、図50、図77などの制御回路で制御することができる。
(実施例29)
次に、請求項31について具体的に説明する。
図46などのように各ステータ磁極に界磁巻線を巻回して界磁電流を通電する構成、あるいは、図51、図52などのようにステータ磁極の永久磁石を配置する構成は、界磁磁束を励磁する起磁力分を負担できるので効果的であるが、不都合な面もある。それは、電圧の偏りの問題である。
例えば、図46のモータ構成で、図5のロータ回転位置θr=60°で、あるトルクを発生して、CCWへある回転速度で回転している状態を想定する。
界磁電流Iffは、図5のAC相のステータ磁極とロータ突極が対向している部分では、軟磁性体の最大磁束密度をBmaxの約50%の磁束密度に励磁する大きさであると仮定する。A相巻線A0D、A0GとB相巻線A0F、A0Jへは、BA相のステータ磁極とロータ突極が対向している部分で軟磁性体の最大磁束密度Bmaxとなる程度の同じ大きさの電流が流れていると仮定する。
図5の破線MR1で示すCB相の磁束φcbは零であると仮定し、(122)式、(124)式からA相電圧Va、B相電圧Vbは次式となる。
Va=(V2ac+V2ba)/2 (151)
Vb=(−V2ac+V2ba)/2 (152)
もし、界磁電流Iffが零であれば、図5の磁束A22は零であり、V2ACも零なので、A相電圧VaとB相電圧Vbは等しい電圧となる。いま、その電圧が例えば100Vであると仮定する。磁束A22のステータ磁極とロータ突極が対向する部分の磁束密度が、界磁電流Iffにより(Bmax/2)となる場合には、(151)式、(152)式からA相電圧Vaは150VでB相電圧Vbは50Vということになる。このように、A相電圧Vaが50V増加し、B相電圧Vbが50V減少し、両電圧に偏りが発生する。この現象は、エネルギー的には、A22のAC相磁束φacに関わって、A相巻線Waが次式のパワーPacxを磁束φacに対して出力し、B相巻線Wbが次式のパワーPacxを磁束φacに対して回生していると考えることのできる現象である。
Pacx=dφac/dt×Nw×Iba (153)
この現象は、界磁電流Iffによる磁束密度が最大磁束密度Bmaxに比較して小さければ問題は小さい。しかし、軟磁性体の最大磁束密度Bmaxに比較して無視できない大きさとなる場合には、A相巻線WaとB相巻線Wbの両巻線からモータへ電力を並行してバランス良く供給するためには、制御装置の電圧および電流容量に関わって問題となる。 この問題を解決するためには、図5の状態において、A22のAC相磁束φacを無くすか、あるいは、減少させれば良い。各ロータ回転位置において、トルク発生に不要で有害な磁束を無くすか、あるいは、減少させればよい。図5の状態では、図56におけるBA相の界磁電流成分である前記Ibakを負の値として、界磁電流IffによるA22のAC相磁束φacを無くすか、あるいは、減少させればよい。
前記のように、図5のモータに図46に示すような界磁巻線が付加されていて、界磁電流Iff通電している場合には、2個の巻線に電圧偏りを発生させるため、特定の界磁磁束が有害である。図5の状態では、A22のAC相磁束φacが不要である。なお、F21のAB相磁束φabはCCWトルクを発生させるために有効である。特定のステータ磁極の不要な磁束を低減する二つの方法がある。
第1の特定ステータ磁極の界磁弱め方法は、片方向電流である各相電流Ia、Ib、Icにより負の電流成分を作り出す方法である。図5の状態では、A0FのB相電流Ibを通電すれば、A22のAC相磁束φacを弱めることができる。ただしこの時、F21のBA相磁束φbaとMR1のCB相磁束が強められることには注意を要する。
今、界磁巻線による各ステータ磁極の界磁起磁力が電流成分で5A(5アンペア)である場合の例について考えてみる。それは、IacとIcaの界磁電流成分が5Aであることと等価であり、Ib=10AとすることによりAC相ステータ磁極の起磁力をキャンセルできる。この状態、すなわち、
Ia=0A (154)
Ib=10A
Ic=0A
を(19)式、(20)式、(21)式で電流成分に順変換すると、
Iac=−5A (155)
Iba=5A
Icb=5A
となる。AC相が弱められ、BA相、CB相が強められていることが確認できる。
この状態では、A22のφacが零となるようにキャンセルしているので、AC相ステータ磁極が発生するトルクは零である。MR1のCB相磁束φcbは空間が多いので小さく、CB相ステータ磁極の発生するトルクもほぼ零である。F21のφbaは界磁励磁成分の5Aと計算したIba=5Aとが加わっており、磁束が発生していて、BA相ステータ磁極はIba=10Aに相当するトルクが発生している。そして、この時、(151)式、(152)式で示した前記の電圧偏りの問題は、φacが零となるのでキャンセルしている。
さらにCCWトルクを増加させる場合は、BA相電流成分Ibaを増加させれば良い。例えばIbaを10A追加する場合は、
Iac=−5A (156)
Iba=5+10=15A
Icb=5A
であり、(4)式、(5)式、(6)式で各相の電流に逆変換すると、次の値式となる。 Ia=10A (157)
Ib=20A
Ic=0A
なお、前記の説明は、(157)式などの値である各相の電流Ia、Ib、Icで設定しても、(156)式などの値である電流成分Iac、Iba、Icbで設定しても、これらの値は相互変換できるので、同じことである。各相の電流成分で設定する場合は、「弱め界磁に該当するステータ磁極の電流成分を負の値としてそのステータ磁極の界磁磁束を弱める」と考えることができる。図5に示す各相の電流Ia、Ib、Icで設定する場合は、「弱めたい磁束を逆方向に励磁できる巻線に電流を通電する」と言える。これらの両表現は、同じ内容である。また、トルクを増加する場合には、さらに、該当する電流成分Iac、Iba、Icbを増加すればよい。
次に、該当する特定のステータ磁極の電流成分だけを負とする場合について考える。例えば、AC相ステータ磁極の界磁を弱めたいので、次のように設定する。
Iac=−10A (158)
Iba=0A
Icb=0A
(4)式、(5)式、(6)式で各相の電流に逆変換すると、次の値式となる。
Ia=−10A (159)
Ib=0A
Ic=−10A
A相電流IaとC相電流Icは負の値となり、片方向電流という考え方に反することになり、負の電流を通電できない。このように、モータトルクが小さい一部の領域では、小さいトルクの発生と電圧の偏り低減とが両立し難い領域がある。しかし、この領域は、回転数が中速回転から高速回転にかける低トルク領域なので、ある程度トルクリップルが発生する通電方法により、モータの平均トルクを得ることができ、実害は少ない。
また、トルクリップルが問題となる場合は、ロータ軸に慣性体を付加するなどの他の改善策もある。
次に、第2の特定ステータ磁極の界磁弱め方法は、後に示す図80、図81などにより、(159)式などの負の相電流を回路追加により通電する方法である。なお、この追加回路の機能は界磁電流成分を打ち消すことなので、電流容量は小さく、制御回路のコストアップの程度、大型化の程度は小さい。
以上、図5のモータに界磁巻線が付加された構成について、トルクを発生する電流を通電する2個の巻線の電圧の偏りの低減する方法について説明した。この電圧の偏りを低減する方法は、図51、図52などのようにステータ磁極の永久磁石を配置する構成の場合についても同様であり、適用することができる。また、前記の「第1の特定ステータ磁極の界磁弱め方法」と「第2の特定ステータ磁極の界磁弱め方法」とを併用することもできる。
(実施例30)
次に、請求項32について具体的に説明する。
前記2個の巻線の電圧の偏りの問題は、(121)式から(125)式の各相の電圧Va、Vb、Vcが電源電圧近くまで大きくなるときに問題となる。その観点では、(38)式などの各電流成分の電圧V2ac、V2ba、V2cbの電圧がどのような特性であるかと言うことと関係がある。(38)式では、微分の第1項の(dIac/dt)が問題である。また、(dIac/dt)に伴って、スロットの開口部に漏れ磁束が発生することから、(38)式では記載していない各相電流の増減に伴う電圧成分も無視できない。これらの電圧負担の問題を軽減する方法として、(154)式、(155)式などで示した電圧偏りの低減を各相電流の増減のタイミングに行う実用的で、効果的である。この方法により、電源電圧の負担を軽減することができる。
(実施例31)
次に、請求項33について具体的に説明する。
まず、基本に戻って、モータの電流と電圧と磁束と回転数およびトルクについて考えてみる。図11のMK1に示すような単純な磁気回路の場合は、モータの巻線の電圧Vと電流Iと巻回数Nwと磁束φとは次式の関係である。
V=L×(dI/dt)=Nw×(dφ/dt) (160)
L×I=Nw×φ=Ψ (161)
Ψは磁束鎖交数である。
また、モータはモデル的表現として図57のように表現できる。モータの入力は電圧Vと電流Iで、モータ内部は電圧Vと電流Iと磁束鎖交数Ψと回転速度ωrであり、モータ出力はトルクTと回転速度ωrである。ここで、(161)式の様に電流Iと磁束鎖交数Ψとの係数としてのインダクタンスLを使用しているが、磁気的に非線形であれば比例定数としての意味はほとんど無い。
ここで、磁束鎖交数Ψは、モータの非線形有限要素法などによる磁場解析(FEM)でトルクを計算するときに、計算内部の情報として比較的容易に得られる情報である。また近年では、FEMなどでモータ特性を評価して開発することは常識化している。
コンピュータで計算する磁束鎖交数の具体的な構成例を図58の表に示す。表の列はロータ回転角位置θrで有限な数の値を選んでいる。表の行は電流情報で、例えばI2は、各相の電流Ia、Ib、Icの一つの組み合わせである。例えば、θr=θ2、I=I2の条件では、Ψ22のデータが該当し、その内容は各相の巻線Wa、Wb、Wcの磁束鎖交数Ψa、Ψb、Ψcおよびそのトルクなどの関連情報XABCである。これらの変数θr、Ia、Ib、Icの組み合わせの数は、各変数を10個の離散的な数とすると、10000個の組み合わせの数となる。Ψ22などのデータの数が5個とし、各データ長が2バイトであるとすると、図58の総データ量は100kバイトとなる。実際には前記の各変数の組み合わせは数分の一とすることもできるが、100kバイトであったとしても、そのメモリ容量は現代の高集積エレクトロニクス技術では問題とならない。
これらのことから、(161)式のインダクタンスLは非線形なので使用せず、モータを図57に示すように、電圧Vと電流Iと磁束鎖交数Ψと回転角周波数ωrで表現することの合理性が理解できる。また、図58に示したようなデータが非線形有限要素法で比較的容易に得られ、後に説明する図59の表データに変換できるので、モータ開発からモータ制御までの一貫した開発が可能である。
また、磁束鎖交数Ψを用いた本発明の制御方法の妥当性については、電気学会論文誌D、産業応用部門誌、IEEJ Trans. IA、Vol.127、No.2、2007、158ページから166ページに「シンクロナスリラクタンスモータの磁束鎖交数を用いたインダクタンス算定法とモデル化の提案」と題し、発明者らが報告している。従来の同期モータの例ではあるが、磁気飽和領域の非線形な領域においても磁束鎖交数から正確なトルクが算出可能であること、永久磁石をロータ内に内蔵したモータにおいても永久磁石を意識することなく磁束鎖交数を用いて正確なトルクが算出可能であること、磁束鎖交数から各巻線の電圧が算出できること等を示している。
次に、図58で説明したモータの各変数θr、Ia、Ib、Icなどに対する各磁束鎖交数、トルクなどを示す表は、図59の表に作り変えることができる。表の列は、図58と同じで、ロータ回転角位置θrで有限な数の値を選んでいる。表の行はモータトルクで、例えば、図26、図56などのA6Jのトルク指令Toに相当する。例えば、行列の情報P22は、各相の巻線Wa、Wb、Wcの該当する電流値Ia、Ib、Icと磁束鎖交数Ψa、Ψb、Ψcなどである。図59の表は、図58の表における電流情報とトルク情報を入れ替えた構成である。図59を使用すれば、トルク指令Toに対応して通電すべき各相の電流値が分かる。
図56などの説明においては、(42)式などのトルクと電流から各相の電流を決定する方法について説明した。図59の表を使用する制御方法は、同一の内容の制御を図56に示すDATAのメモリ上へ記憶することにより単純化する方法である。モータ制御を行うときには前記の計算などは行わず、計算の結果だけを、あるいは、実測の結果だけをDATAのメモリ上へ記憶する方法である。図59に示したように、トルク指令Toとロータ回転角位置θrに対応する各相の電流値をメモリ上に記憶させればよい。これらの各相の電流値は、有限個数の離散的な値であっても内挿計算を行うことにより、誤差の少ない制御を行うことができる。また、トルク指令Toとロータ回転角位置θrとロータ回転角周波数ωrに対応する各相の電圧情報を付加することもできる。
また、ロータ回転角周波数ωrに対応して、制御各部の動作遅れを考慮した位相進み制御を付加することもできる。このように図27、図56などで示した制御の結果を記憶して制御することが可能である。これらの方法についても本発明に含むものである。
また、磁束の情報としては、鎖交磁束φの回転変化率(dφ/dθ)をデータのメモリへ記憶する方法でも良い。巻線の電圧Vは次式となるので、鎖交磁束φの代わりに鎖交磁束の回転変化率(dφ/dθ)を使用することができる。
V=Nw×dφ/dt
=Nw×dφ/dθ×dθ/dt
=Nw×dφ/dθ×ωr
同様に、(Nw×dφ/dθ)などの電圧に比例した情報などをデータのメモリへ記憶する方法でも良い。後に示す、電圧フィードフォワードとして使用することができる。これらの磁束の情報を使用した方法についても本発明に含むものである。
なお、図58、図59で説明した磁束鎖交数Ψは、(161)式の関係であるから、鎖交磁束φの値を代わりに使用しても良い。また、インダクタンスLは非線形であるが、電流値Iが決まればその動作点の平均インダクタンスLはΨ/Iなので、各電流値における平均インダクタンスを磁束鎖交数Ψの代わりに図58、図59のデータとしても、等価に使用することができる。これらも本発明に含むものである。
(実施例32)
次に、請求項34について具体的に説明する。
図60は、モータの各回転数における最大トルクM72と最大パワーM71の例を示す図である。横軸はロータ回転角周波数ωrで、縦軸はパワーおよびトルクである。図60は典型的な定出力特性で、基底回転数ωr2より大きな回転数では次第に最大トルクが低下する特性となっている。このような場合、図26、図56の制御において、A6Jのトルク指令Toは速度誤差に基づいて計算されるが、高速回転では最大トルクが図60のように制限されているので、電流の制御が可能であるかどうかを検証する必要がある。
上記の問題を解決する方法として、図56のトルク変換手段FQ1および界磁制御手段FQ2において、トルク指令Toを図60に示すような最大トルクの特性と比較し、トルク指令Toが最大トルクの値を超えている場合には最大トルク値に置き換えて制御する必要がある。このようなトルク指令Toの置き換えにより、電圧、電流の制御において、矛盾のない制御を行うことができる。なお、図60の特性は、制御プログラム上の式、あるいは、図59のような表などの形態で記憶することができる。
(実施例33)
次に、請求項35について具体的に説明する。
A相巻線Waについて考えると、図59の表でトルク指令に対応するA相電流Iaは分かるが、A相電圧Vaは分からない。A相電圧Vaは(38)式、(122)式などに示すように複雑な値である。特に、リラクタンスモータは電流値により軟磁性体部の磁束密度が変化するので、複雑な電圧値となる傾向がある。電流制御において、電流値のフィードバックだけで電流を制御するとその電流応答遅れが問題となることがある。特に回転数が大きくなると電流応答の遅れ時間がモータトルク特性に大きく影響し、期待するトルクが出ないなどの問題となる。
この問題の対応として、図27、図56などに示す電圧フィードフォワード手段A8Aが有効である。先に述べたように、図59には、ロータ回転角位置θrとトルク値に対応する各相の巻線Wa、Wb、Wcの磁束鎖交数Ψa、Ψb、Ψcも記憶することができる。この磁束鎖交数を使用して各相巻線の電圧Va、Vb、Vcを求める。今、コンピュータにより、サンプル時間Δtで各巻線の電流、電圧を制御するものとする。先回の制御した時点t1における各相巻線Wa、Wb、Wcの鎖交磁束をΨa1、Ψb1、Ψc1とし、今回の制御する動作点での磁束鎖交数がΨa2、Ψb2、Ψc2であるとすると各相巻線の電圧は次式となる。
Va=Nw×dφa/dt
≒(Ψa2−Ψa1)/Δt (162)
Vb≒(Ψb2−Ψb1)/Δt
Vc≒(Ψc2−Ψc1)/Δt
これらの値を図27、図56などに示す各相の電圧フィードフォワード量Vaf、Vbf、Vcfとして制御することにより、より正確で、高応答な電流制御を実現することができる。そして、より正確で、高応答なモータのトルクを得ることができる。
なお、各相の電流Ia、Ib、Icは電流成分Iac、Iba、Icbと相互変換できるので、トルク変換手段FQ1および界磁制御手段FQ2においては、どちらの値で計算しても良い。また、各相巻線の電圧についても電流成分に関する電圧V2ac、V2ba、V2cbで計算しても良い。また、(162)式などをさらに高精度化するため、(22)式、(23)式、(24)式に示すような抵抗電圧降下、および、漏れ磁束の電圧成分を付加することもできる。
(実施例34)
次に、請求項36について具体的に説明する。
図61は、外径側と内径側とに2個のモータを組み込んだ複合構造のモータである。図61は8極のモータで、図1に示すモータを8極にし、最も外径側にロータR1を配置し、その内側にロータR1に対応するステータS1を配置し、ステータS1の内径側にステータS2を配置し、ステータS2の内径側にステータS2と作用するロータR2を配置している。すなわち、図1のモータを8極に多極化し、外形と内径に2個のモータを複合化して配置したモータである。なお、巻線は図1のロータ構成あるいは、その他のモータでも同様に実現できる。
図61の構成では、外径側のステータS1と内径側のステータS2とがステータバックヨークを中心に背中合わせに配置することになる。背中合わせの外径側スロットと内径側のスロットの電流が丁度正負が逆の電流となるように設計すれば、各相の巻線は背中合わせのスロット同士に巻回することが可能となり、巻線が簡素化し、コイルエンド長の短縮も期待できる。ステータS1のステータ磁極とステータS2のステータ磁極とは、背中合わせに、同相のステータ磁極となる。巻線形状は、いわゆるトロイダル巻線となる。前記の全節巻きSRMの第5の問題点を解消できることになる。
461、462、463、464、465などはロータR1の突極である。46A、46B、46C、46DなどはロータR2の突極である。
巻線46K、46N、46R、46U、46XはA相の巻線であり、電流の向きは巻線シンボルの方向で、片方向電流を通電する。A相の各巻線は円周方向に電気角で180°ピッチで配置している。各A相巻線は電流方向を合わせて直列に巻回することができる。 また、それぞれの巻線を独立にして電流を通電することもできる。その場合、トランジスタの素子数が増加することになるが、電源電圧に合わせて巻き回数を適正化すれば、全トランジスタの総電流容量は同じ値にすることもできる。
巻線46M、46Q、46T、46WはB相の巻線である。位相は異なるが、A相巻線と同様である。巻線46L、46P、46S、46V、はC相の巻線である。位相は異なるが、A相巻線と同様である。また、AC相の磁束の一部を4AXと4AYの矢印線に図示する。同一相の外径側モータの磁束と内径側モータの磁束とが、ステータのバックヨーク部で並行して通ることになる。
また、外径側のモータと内径側のモータでは径が異なるため電磁気的な条件が異なり、両モータの電磁気的最適化を図ると両モータの電流が異なる値となり、前記巻線では不都合が発生する問題がある。具体的には、外径側のステータS1のスロット断面積が相対的に大きくなる。この問題を解決するため、図1のA0L、A0M、A0Nで示したような全節巻きの巻線を追加して電磁気的なバランスを取ることも可能である。図61に示す4A2、46ZはA相巻線、4A3、4A5はB相巻線、4A4、4A6はC相巻線である。これらの追加した巻線は、外径側のモータの電磁気的な作用に寄与し、両モータの電磁気的な適正化を図ることにより、高出力化、小型化、低コスト化を実現できる。
(実施例35)
次に、請求項37について具体的に説明する。
図62のモータは、図61のモータに比較して、外径側のステータ磁極と、バックヨークを中心に背中合わせに配置する内径側のステータ磁極との位相差が電気角で180°異なるステータ磁極の配置である。
巻線LAB、LA5はA相の巻線である。巻線LA3、LA6はB相の巻線である。巻線LA1、LA4、LA7はC相の巻線である。各相の巻線ピッチは電気角で180°の全節巻きである。
LAA、LADはAC相ステータ磁極である。LAC、LAFはBA相ステータ磁極である。LAB、LAEはCB相ステータ磁極である。図62にAC相の磁束の一部をLAXとLAYの矢印線で図示する。外径側ステータ磁極と内径側ステータ磁極が逆相となるので、図示するように、磁束が外径側モータから内径側モータへ通ることになる。従って、両ステータのバックヨークが必要なくなり、図62に図示するようなステータの磁路形状となる。ただし、各ステータ磁極は非磁性体で固定する必要がある。
この図62のモータ構成はステータのバックヨークが無くなるので、外径側のロータR1の内径DR1と内径側ロータR2の外径DR2との差を、図61の構成に比較して小さくすることができる。その点ではモータのトルクを大きくすることができる。しかし、巻線のコイルエンド部が長くなるので、図61の構成に比較して巻線抵抗は増加する。
前記DR1とDR2との差に起因して、外径のモータと内径のモータとでは磁束の大きさの差が発生しやすい。この対応として、破線で示すLAU、LAV、LAWなどのように、両ステータのバックヨークを少し設け、前記の磁束の大きさの差を解消することもできる。モータ全体の磁気的な適正化を図れるので、トルクを増加することができる。また、ステータの各ステータ磁極を軟磁性体で結合できるので、ステータ製作の容易化を図ることができ、ステータの剛性も改善できる。
(実施例36)
次に、請求項38について具体的に説明する。
図63は、図61のモータに比較して、内径側のステータS2の円周方向位置をCCWへスロットピッチの1/2シフトしている。そして、スロットの奥の形状を半円形に変形している。46U、46RはA相巻線、46Q、46TはB相巻線、46S、46PはC相巻線である。このような形状に変形することにより、両ステータのバックヨーク磁路を広くすることができる。その結果、内径側のロータR2の外径を大きくすることができている。そして、前記のように、モータ全体のトルクを改善することができる。なお、スロットの形状は、バックヨークの磁路断面積が増加するように、台形など他の種々形状としても良い。
また、図64の(a)に図61の断面AA−AAを、図64の(b)に図61の断面BB−BBを示す。図61のモータのロータ軸方向側面で、巻線のコイルエンド部の円周方向側面に軟磁性体LG1を付加することにより、両ステータのバックヨーク部の磁路断面積を拡大した構成としている。LG2、LG3、LG4は巻線で、LG5はステータの積層電磁鋼板等の軟磁性体である。この構成の結果、両ステータのバックヨークの径方向寸法を縮小することができ、内径側ロータR2の外形寸法を大きくできる。そして、モータ全体のトルクを改善することができる。
(実施例37)
次に、請求項39、40について具体的に説明する。
図65では、図61に比較して、界磁巻線LDH、LD2、LD5、LD9、LDB、LDEを追加している。これらの界磁巻線はシンボルで示す電流方向を合わせて直列に巻回する。図46で示した界磁巻線と同様の作用を行うことができる。界磁巻線の電流は、図47、図48、図50などの回路で通電することができる。
さらに、回生巻線LDG、LD1、LD4、LD7、LDA、LDDなどを追加することができる。これらの回生巻線は図42における回線巻線532、534、536に相当する巻線である。図42に示す制御回路により電流を通電することができる。
これらの界磁巻線、回生巻線はどちらか片方を設けること、あるいは、両方を設けることが可能である。単純モデル的には、各相巻線を直列に接続した界磁巻線も回生動作が可能である。しかし、各巻線の漏れインダクタンス成分などもあるため、相互インダクタンス成分だけでなく自己インダクタンス成分もあるので、界磁巻線と回生巻線とが回生時に異なる作用を行う。
(実施例38)
次に、請求項41について具体的に説明する。
図66は、図61に示す複合モータの縦断面の例である。LE2は外径側のステータS1と内径側のステータS2とを構成する軟磁性体である。LE4はステータの巻線である。MA5は両ステータを支持し、固定するステータ固定部材である。MA9は機械本体などの固定部である。ステータ固定部材MA5は、ボルトなどにより固定部MA9へ固定する。LE1は外径側のロータR1で、LE3は内径側のロータR2である。R1とR2はロータ出力軸LEBと一体となった回転部材で支持され、ステータ固定部材MA5が軸受けMA7とMA8とで回転部材を支持している。
図66の構成は、扁平なモータ形状である場合には、比較的、簡素な構成を実現できる。しかし、ロータ出力軸に剛性が必要な場合、あるいは、ロータ軸が高速回転で使用される場合は、ロータ剛性が不足し、振動、騒音などの問題を発生することがある。図66の複合モータでは構造が複雑となるため、ロータの支持が片持ち構成となり、ステータの支持側とロータ出力軸が反対側であることが原因である。
この問題の対策として、図67に示すような構成とする。LEAは機械本体などの固定部である。LE5はモータケースで、ステータコアLE2を支持すると共に、固定部LEAへ固定している。ロータ出力軸LEEとロータ軸の後端LE7は、それぞれ、軸受けLBC、LBDでモータケースLE5で支持されている。
その結果、ロータ軸をロータ軸方向の両端で支持することにより支持剛性を向上することができる。そして、ロータの振動も低減することができる。また、モータの固定側とロータ出力軸の方向を同一方向としている。複合モータは内部構造が複雑になるが、このような構成とすることにより、精密用途にも使用でき、低騒音化を図ることができる。
(実施例39)
次に、請求項42について具体的に説明する。
図68は図67を部分的に拡大して示す図である。巻線LE4の発熱QWは大きく、熱をどのように放熱するかが大きな課題である。
巻線LE4は銅あるいはまれにアルミであり、いずれも熱伝導性に優れている。巻線LE4にLF4を密着し、LF4をモータケースLE5へ密着する。LF4は熱抵抗が小さい熱伝導部材で、粘土状の物質、ワニス、薄い電気絶縁体などである。モータケースLE5の熱は、ステータ固定部材LEAの方へ、矢印LF2で示すように伝達する。
巻線の発熱QWと軟磁性体の鉄損などの発熱QFを熱伝導性の良い巻線を積極的に利用して熱伝達することにより、効率の良い放熱が可能となる。特に、ステータのロータ軸方向厚みの小さい、薄形のモータでは、巻線を熱伝導体として効果的に活用できる。また、ステータ固定部材LEAを冷却能力の高い構成とし、モータケースLE5が部分的に穴が明いた形状とし、ステータ固定部材LEAと熱伝導部材LF4とが直接接触する構成とすることにより、さらに熱伝達特性を改良することもできる。
また、ステータ固定部材LEAとモータケースLE5の材質、形状は特に限定しないが、熱伝達効率の良い構成が望ましい。また、液冷技術、ヒートパイプなども使用できる。また、ヒートシンクLF1を取り付け、LF3で示す放熱経路のように放熱することもできる。
(実施例40)
次に、請求項43について具体的に説明する。
図21は、電気角で360°の間にステータ磁極が6個で、ロータ突極が2個の構成の例である。この構成の問題点の一つは、ステータの開口部にロータ突極が差し掛かるときにトルクが低下することと、ステータ開口部を小さくするとその部分での漏れ磁束が増加することである。このトルク低下と漏れ磁束増加が、開口部の大きさに関して背反関係となっている。開口部を大きくすると漏れ磁束は減少するがその部分でのトルクが低下する関係である。
図69は、図21のステータの内周面形状を直線展開した図である。紙面の横方向はロータ円周方向で、縦方向はロータ軸方向である。LH1とLH4はAC相ステータ磁極、LH3とLH6はBA相ステータ磁極、LH5とLH2はCB相ステータ磁極である。図69では、各ステータ磁極にスキューを加え、トルクリップルを低減している。段スキューとすることもできる。このようなスキューは、漏れ磁束を増加させずにトルクリップルを低減する一つの方法である。
図70は、各ステータ磁極の形状を台形形状としている。LJ1とLJ4はAC相ステータ磁極、LJ3とLJ6はBA相ステータ磁極、LJ5とLJ2はCB相ステータ磁極である。LJ7はA相巻線Wa、LJ8はB相巻線、LJ9はC相巻線である。このような形状の軟磁性体を作る方法については課題が残るが、電磁気的には図69と同じトルクリップル低減効果がある。さらに、図69のモータに比較して、巻線の配置構成が容易であるという特徴がある。台形形状に添った巻線形状とでき、巻線長を短縮できる。
(実施例41)
次に、請求項44について具体的に説明する。
図71は、図70に示すステータ磁極の配置に対して、ステータ開口部が大きくなる方向に、ステータ磁極を交互にロータ軸方向にずらした構成である。この形状から分かるように、原理的にトルクの大きさは変えず、開口部の漏れ磁束を低減することができる構成である。
次に、図72の構成は、図70のステータ開口部の大きさと同程度に各ステータ磁極の円周方向幅を広げた構成である。従って、図69、図70の構成と同程度のスロット開口部の漏れ磁束でありながら、トルクリップルを低減できる構成である。前記の背反関係を解消できる構成である。同時に、ステータ磁極の円周方向幅を広げているので、平均トルクも増加している。また、AC相ステータ磁極であるLJ1とLJ4とがロータ軸方向に対称な配置となっているので、ロータ軸方向の力もキャンセルすることができる。
また、各相の巻線が交差する部分は、巻線の処理上、スペースが必要であるが、丁度、ステータ磁極の台形形状の短辺側になり、スペースが確保できているので、製作性が良く、コイルエンドのロータ軸方向長の短縮も可能である。
図21の構成のモータを、図70の様なステータの配置構成、巻線の配置構成とすることにより、トルクリップルが小さく、スロット開口部の漏れ磁束が過大ではないのでステータ磁極の磁気飽和問題を軽減し、巻線の長さを低減できるので巻線抵抗を小さくし、巻線の製作性に優れたモータを実現することができる。
(実施例42)
次に、請求項45について具体的に説明する。
図73は、ステータ磁極LL2とロータ突極LL4を部分的に拡大して示した図で、円周方向に相互に反対方向に傾けた構成としている。LL1はステータのバックヨーク、LL3はロータのバックヨークである。このような構成とすることにより、矢印LL5、LL6に示す部分の漏れ磁束を低減することができる。
この部分の漏れ磁束はトルク発生にも少しは寄与しているが、減少すればトルクが低下するものでもない。漏れ磁束を低減することにより、ステータ磁極とロータ突極の磁気飽和を低減することができる。その結果、ピークトルクの増加、トルクが大きいときのトルクリップルの低減が可能となる。ただし、この効果はCCWのトルクにだけ有効な構成で、CW方向トルクは逆効果である。片方向トルクを優先したモータ構成である。しかし、片方向回転の用途は、ブロワー、コンプレッサー、発電機、さらには、電気自動車の駆動用モータなど多くの用途があり、いずれも効率が求められ、重要である。
(実施例43)
次に、請求項46について具体的に説明する。
図74の(a)は、ステータとロータとが対向する部分を部分的に拡大した図である。D51はステータ磁極の電磁鋼板などの軟磁性体で、D53は樹脂、空間などの非磁性体である。D52はロータ突極の電磁鋼板などの軟磁性体で、D54は樹脂、空間などの非磁性体である。D55はエアギャップ部である。
リラクタンスモータのトルクは、(29)式、(30)式、(31)式、(42)式などに示したように、前記のエアギャップ長Lgapを小さくするとトルクを増加できる。これは、エアギャップ部D55の磁気的な抵抗を小さくすればトルクを増加できるとも言える。図74の(a)の構成は、ステータ磁極とロータ突極が対向する磁路断面積を広げることにより磁気抵抗を小さくしている。等価的にエアギャップ長Lgapを小さくしたと言い換えることもできる。図15のトルク特性において、電流成分Agの値を小さくした効果でもある。
一方、エアギャップ長Lgapを、例えば0.2mmなどに小さくする技術は、ロータ強度の問題、ゴミなどの異物混入対策上の問題、部品加工精度および組立の問題などがある。前記のような構成により、等価的にエアギャップ長Lgapを小さくすることは効果的である。ただし、ステータとロータの磁性体の体積は増加するので、総合的配慮が必要である。
図74の(b)は(a)に比較して、ステータ磁極の先端部形状を変形し、ロータ突極の先端部形状も変形している。エアギャップ部D58を除く空間部を樹脂などで充填しても良い。D56、D59、D5Bはステータ磁極の軟磁性体である。D57、D5A、D5Cはロータ突極の軟磁性体である。図74の(b)は(a)と同様の効果を得る構成例である。
(実施例44)
次に、請求項47について具体的に説明する。
図75は、図51と同じ構成のモータで、AC相ステータ磁極の永久磁石B17、B18、B1D、B1Eを着磁あるいは増磁する方法を示す図である。ロータ回転角位置θr=30°の位置でA0DのA相電流IaとA0HのC相電流Icに同じ値の電流を通電することにより、LN1の破線の矢印線で示す起磁力を生成し、AC相ステータ磁極の前記永久磁石を着磁あるいは増磁することができる。増磁の場合には、電流の大きさを増磁の程度に応じて適正な大きさとする必要がある。この適正の大きさの電流値は、一般的に永久磁石の種類、磁化の履歴により変わる。
この着磁の時、BA相の方向の起磁力LN2およびCB相の方向の起磁力LN3は零であり、それらの永久磁石への磁気的な影響はない。また、AC相ステータ磁極の磁石の着磁、増磁は、θr=120°、210°、300°の位置でも、ロータは同じ関係になるので、同様の動作を行うことができる。
なお、先に説明したように、本発明モータの磁石は、トルク発生時に減磁することがないので、必要な磁束を生成する最小限の薄磁石で構成することができる。従って、磁石の着磁、減磁を比較的容易に行うことができるので、モータのトルクを発生する制御装置で着磁、減磁も可能である。
次に、BA相のステータ磁極の永久磁石B1B、B1C、B1H、B1Jの着磁あるいは増磁は、θr=45°の位置で、A相電流IaとB相電流Ibに同じ値の電流を通電することにより、AC相の場合と同様に行うことができる。CB相のステータ磁極の永久磁石B1F、B1G、B19、B1Aの着磁あるいは増磁は、θr=90°の位置で、C相電流IcとB相電流Ibに同じ値の電流を通電することにより、AC相の場合と同様に行うことができる。
また、着磁と増磁は、ロータの回転中に全相の電流Ia、Ib、Icを流し続けて行うこともできる。この方法は、図60の回転数−トルク特性において、回転角周波数がωr2からωr4の領域でモータを運転する場合、界磁磁束の可変が効果的である。ただし、その場合には、特定のロータ位置で2個の巻線を使用して励磁する場合の1/2の起磁力が各永久磁石に作用することになり、起磁力は低下する。
(実施例45)
次に、請求項48、49について具体的に説明する。
図76は、図75と同様の構成のモータで、AC相ステータ磁極の永久磁石B17、B18、B1D、B1Eを消磁あるいは減磁する方法を示す図である。ロータ回転角位置θr=30°の位置でAOFのB相電流Ibを通電することにより、LP1の破線の矢印線で示す起磁力を生成し、AC相ステータ磁極の前記永久磁石を消磁あるいは減磁することができる。減磁の場合には、電流の大きさを減磁の程度に応じて適正な大きさとする必要がある。この時、LP2、LP3で示す起磁力も同じ値となるが、ロータ突極がBA相ステータ磁極およびCB相ステータ磁極の方向へは向いていないので、これらの永久磁石に作用する磁界の強さは小さい。従って、BA相とCB相の永久磁石は増磁しない構成とすることができる。
次に、BA相のステータ磁極の永久磁石B1B、B1C、B1H、B1Jの消磁あるいは減磁は、θr=45°の位置で、C相電流Icを通電することにより、AC相の場合と同様に行うことができる。CB相のステータ磁極の永久磁石B1F、B1G、B19、B1Aの着磁あるいは増磁は、θr=90°の位置で、A相電流Iaを通電することにより、AC相の場合と同様に行うことができる。
以上のように、モータのトルクを発生する制御装置と巻線を使用して、各ステータ磁極の永久磁石を消磁、あるいは、減磁することができる。ただし、これらの動作は、ロータの特定回転位置で行う必要があり、その点には注意を要する。
図76の永久磁石の消磁、減磁は励磁巻線を付加して行うこともできる。図77の巻線M91、M92、M93、M94、M95、M96は図48などに示した界磁巻線と同じ配置の励磁用の巻線である。トランジスタM99とM98をオンすることにより各ステータ磁極の永久磁石を減磁する方向の励磁電流を通電して、各ステータ磁極の永久磁石を消磁あるいは減磁することができる。ロータの回転中に励磁電流を通電すれば、一斉に消磁あるいは減磁することができる。図78に、図51の永久磁石を備えるモータへ図77の励磁巻線を図46の界磁巻線と同様に取り付けたモータの断面図を示す。
永久磁石を減磁する方向の励磁電流は図の電流シンボルで示すように、各相の電流Ia、Ib、Icとは逆向きの電流方向となる。そして、この励磁電流による起磁力の方向は、図78の中央部近傍に示す3個の太い破線矢印の方向である。
各ステータ磁極の永久磁石を回転中に着磁あるいは増磁する場合は、図75の説明で述べたように、各相の電流Ia、Ib、Icを通電すればよい。このように、高速回転中においても永久磁石の強さを可変できる。
図60の回転数−トルク特性において、回転角周波数がωr2からωr4の領域でモータを運転する場合、界磁磁束の可変が効果的である。このようにモータを高速で回転中に永久磁石の磁束量を可変する場合には、この永久磁石の可変機能が優れている。
一般的に、界磁電流などによる界磁磁束の制御では、界磁の強め、弱めに関わる電流を流し続ける必要があり、界磁の損失が無視できない。この点、永久磁石の可変機能があれば、界磁損失を大幅に低減することが可能となる。
なお、着磁、減磁は短時間で行えるで、各巻線は細い巻線で構成できる。各トランジスタの放熱の熱設計についてもその負担は小さく、冷却部等の小型化が可能である。また、各ステータ磁極の永久磁石の磁束を弱めて運転したい場合に、前記励磁電流を通電することもできる。
また、界磁電流程度の大きさの小容量のトランジスタM97とM9E(図77参照)を追加して、両トランジスタをオンすることにより永久磁石の磁束方向、すなわち、各ステータ磁極の磁束方向に通電して励磁して界磁磁束を強めることも可能である。さらには、トランジスタM97とM9Eの電流容量を大きくして各永久磁石の着磁あるいは増磁をさせることもできる。その場合には、図77の回路と巻線で消磁、減磁だけでなく、着磁、減磁も行うことになる。特に、各相電流Ia、Ib、Icよりも永久磁石の消磁、着磁の電流が大きくなる場合には、図77の回路と巻線を界磁用永久磁石の可変回路として使用できる。その励磁電流による起磁力の方向は、図79の中央部近傍に示す3個の太い破線矢印の方向である。
(実施例46)
次に、請求項50について具体的に説明する。
図80は、図42の構成にトランジスタMP1、MP2、MP3とダイオードMP4、MP5、MP6を追加した図である。なお、図42に示される瞬時過電圧を吸収する目的のダイオード541、542、543とツェナーダイオード544は省略している。
図80の531と532はA相巻線で、巻始めの点で示すシンボルのように、これらの両巻線は磁束の鎖交する方向が逆方向となるように配置している。トランジスタ537をオンすることにより巻線531に電源87Gの電圧が印加され、A相電流Iaが増加する。トランジスタ537をオフすることにより電流Iaが遮断され、同時に、巻線531と532に鎖交する磁束φzの磁気エネルギーはダイオード53Bを介して電源87Gへ電流I2aが流れる。この動作は、図42の場合と同じである。
図80ではトランジスタMP1とダイオードMP4を対称の構成に追加しており、A相巻線のスロットへ負の電流成分Inaも通電することができる。この負の電流成分Inaにより、次に説明する界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変などの機能として作用させることができる。なお、図80においても、各トランジスタが積極的に通電する電流は片方向電流である。
前記の負の電流成分Inaによる界磁弱め作用とは、図46のように界磁巻線を付加したモータ、あるいは、図51のようにステータ磁極へ永久磁石を付加したモータにおいて、不要で有害な磁束を低減する作用である。(151)式、(152)式で説明した電圧偏りの問題を低減する方法を界磁弱め作用と称している。図80の構成では、各相の負の電流を追加した各トランジスタで自在に通電できるので界磁弱め作用を実現できる。
例えば、図5の回転位置θr=60°で、CWしていて、CWトルクを発生する場合を仮定する。BA相磁束はCWトルクを発生するために必要であって、BA相の電流成分Ibaは20Aであると仮定する。AC相の磁束は図51のような永久磁石によって作られていて、この磁束成分は不要であるので−5AのAC相電流成分Iacは−5Aとする。CB相の磁束は次のトルク発生サイクルで使用するので界磁巻線の起磁力はそのままとする。各電流成分は次式の値となる。
Iac=−5A (163)
Iba=20A
Icb=0
(4)式、(5)式、(6)式の逆変換式で各相電流を求めると次式の値となる。
Ia=15A (164)
Ib=20A
Ic=−5A
(164)式などの電流を図80の制御回路で通電することにより、前記の電圧偏りの問題を低減することができる。なお、B相の負の電流成分についても、A相の場合と同様に、トランジスタMP2により通電することができる。C相の負の電流成分についても、A相の場合と同様に、トランジスタMP3により通電することができる。
また一般的に、界磁電流Iffは連続トルク電流の1/3程度であることが多く、また、ピークトルクは連続トルクの3倍程度とすると、界磁電流成分はトルク電流成分の1/9となる。このような構成の場合、追加するトランジスタMP1、MP2、MP3の電流容量は、トルク電流用トランジスタ537、538、539の1/9程度の電流容量となり、相対的に小さなトランジスタなので、追加のコストアップの比率は小さい。
仮に、連続トルク電流が界磁電流Iffの3/2程度で、かつ、ピークトルクが連続トルク3/2程度のモータであるとすると、2/3×2/3=4/9となる。このように界磁負担の大きいモータの場合であっても、負の界磁電流成分を通電する追加回路の電流容量は相電流Ia、Ib、Icの1/2以下である。
次に、図80の回路構成によるトルク向上の方法について説明する。例えば、図5の状態においてCWトルクはA相電流IaとB相電流Ibによって得ることができるが、この状態で負のC相電流を通電することによりトルクを向上することができる。その状態では3個の巻線全てがトルク発生に寄与しており、モータ効率を向上することができる。
次に、図80の回路構成による永久磁石の強さの可変、すなわち、着磁、消磁などについて説明する。各相のスロットに負の電流を通電することができるので、図77、図78で示したように、各ステータ磁極に各相のステータ磁極の磁束方向とは逆方向の起磁力を発生させ、各永久磁石を消磁あるいは減磁することが可能である。トランジスタMP1、MP2、MP3により負の電流成分を通電する。
また、各永久磁石の着磁あるいは増磁は、トランジスタ537、538、539により各相へ正の電流を通電することにより実現することができる。これらの永久磁石の強さの可変は、3相全相の電流を並行して制御することができるので、高速回転で回転中にも行うことができる。
(実施例47)
次に、請求項51について具体的に説明する。図81は3個の巻線の電流を制御するために12個のトランジスタを作用させる制御回路構成である。MSXはA相巻線である。トランジスタMS1とMS4をオンすることによりA相電流Iaを通電する。
負のA相電流を通電する場合は、トランジスタMS3とMS2をオンして通電する。MSYはB相巻線である。トランジスタMS5とMS8をオンすることによりB相電流Ibを通電する。負のB相電流を通電する場合は、トランジスタMS7とMS6をオンして通電する。MSZはC相巻線である。トランジスタMS9とMSCをオンすることによりC相電流Icを通電する。負のC相電流を通電する場合は、トランジスタMSBとMSAをオンして通電する。
図81の制御回路では、各相の巻線へ正の電流と負の電流を通電することができ、定性的には図80と同じ動作を行うことができる。すなわち、界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変を行うことができる。図81の制御回路の構成では、各相のスロットに巻回する巻線を、図81のように2組に分割する必要がない。従って、図80の構成に比較して、図81の構成の場合は各相巻線の抵抗を小さくすることができる。モータの効率を改善することができる。
図81の構成で界磁弱め作用を行う場合は、図80の制御回路の場合と同様に、トランジスタMS3、MS2、MS7、MS6、MSP、MSAの電流容量は小さくすることができる。その制御回路構成は、図9の制御回路構成に比較して、1/10から1/2程度の回路付加となる。しかし、制御回路が複雑になることは否めない。
(実施例48)
次に、請求項52、53、54について具体的に説明する。
図82は、図46などの界磁巻線を備えたモータ、あるいは、図51などの永久磁石を備えるモータを使用して発電する場合の回路構成である。LU1はA相巻線Wa、LU2はB相巻線Wb、LU3はC相巻線Wcで、それぞれへダイオードLU4、LU5、LU6を取り付け、直流に整流している。LU7は出力電圧を安定するコンデンサである。整流器の出力側へは、コンデンサLU7を取り付けず、電圧を安定化するDC−DCコンバータなどを取り付けても良い。
図46などの界磁巻線を備えた構成の場合には、界磁回路として図47、図48などの界磁回路で界磁電流を制御できる。界磁回路は、回転数と負荷電流に応じて界磁電流を制御することにより、出力電圧の安定化を図ることができる。また、発電機の場合、最初の起動時にバッテリなどで界磁巻線へ短時間だけ界磁電流を与えるだけで、その後は発電電力を使用して自己励磁により運転を継続することができる。
図51などの永久磁石を備えたモータを使用する場合は、界磁電流の負担が無く、効率の良い運転ができる。発電動作では、負荷電流が流れることにより界磁磁束が強められるので、少量の永久磁石でも発電を行うことができる。
また、図50の界磁回路を付加することにより、より安定化と高出力化を図ることもできる。図50の界磁回路では界磁エネルギーがモータ内で循環するので、電圧と出力電流の安定化を図ることができる。
また、図46、図51の各相巻線Wa、Wb、Wcを図85の様な集中巻き構成とすることもできる。また、いずれの構成の場合にも、振動および騒音を低減するための対策が必要な場合もある。多極構成のモータの場合、一部のステータ磁極、あるいは、ロータ突極を円周方向にシフトすることにより、発電の位相を変え、作用する力の分散を図ることができる。その場合、各位相の電圧ごとに整流回路を設け、平均化を図ることもできる。
図83は、図24のモータに界磁巻線あるいは永久磁石を付加した構成のモータの出力側の整流回路の例である。LV1はA相巻線、LV2はB相巻線、LV3はC相巻線、LV4はD相巻線である。LV5、LV6、LV7、LV8、LV9、LVA、LVBは整流用のダイオードである。
図84は、図19のモータに永久磁石を付加した構成のモータと出力側の整流回路の例である。同図の(a)に示すBF1、BF2、BF3、BF4、BF5、BF6、BF7、BF8、BF9、BFAは永久磁石である。同図の(b)に示すLY1はA相巻線、LY2はB相巻線、LY3はC相巻線、LY4はD相巻線、LY5はE相巻線である。LY6、LY7、LY8、LY9、LYAは整流用のダイオードである。なお、図83あるいは図84のモータ構成は、動作周波数の素数が大きくなり、さらに多極化することにより、振動、騒音の低減に有利である。
以上、本発明の種々形態について説明した。最初に、全節巻きスイッチトリラクタンスモータの問題点として第1から第6までの問題点をあげた。第1と第3の磁束の複雑な鎖交関係と相互インダクタンスについては、電流成分で考える新しい手法を提案した。第2の問題点である軟磁性体の非線形性については、有限要素法などで得られる磁束情報を活用した制御法を提案した。第4の漏れ磁束と磁気飽和の問題については、図72などに示すステータ磁極の配置方法、図73の漏れ磁束を低減するステータ磁極とロータ突極の形状などを提案した。第5の巻線抵抗の問題については、図61などの巻線長を短くする複合モータの構成を提案した。第6のステータ磁極とロータ突極の間のエアギャップ長と磁束の問題については、図74のエアギャップを等価的に低減する方法、界磁巻線を設ける方法、永久磁石を使用する方法などを提案した。
前記の本発明モータの説明では、図1のモータ断面図に示すような、電気角360°の間に6個のステータ磁極を円周方向に等分に配置し、4個のロータ突極を円周方向に等分に配置した構成について主に説明した。これらのモータは多極化することができ、他の相数のモータを同じ構成技術で製作することもできる。また、ロータに対向するステータ磁極先端部の円周方向幅は電気角で30°の例を示したが、30°以下の磁極幅とすることも30度以上の磁極幅とすることもできる。ロータ突極の円周方向突極幅についても、30°以下の磁極幅とすることも30度以上の磁極幅とすることもできる。また、特に多極のモータの場合、各ステータ磁極の円周方向配置を、トルクリップル低減のために、等分ではない配置とすることもできる。
また、図16に示した本発明の電流成分のモータモデルは、磁束との関係を図13のように模式的に表せることを示した。ここで、この図13の右側部分のMF2の電流成分IacとAC相の磁束φacとの関係などは、図85の集中巻きモータを模式的に表した図11のMK4の電流IuとU相磁束φuとの関係などと類似している部分がある。図1モータと図85のモータとでは、全節巻きと集中巻きなので、巻線の接続関係が異なる。
これらの間で、等価的には図85のモータの電流Iu、Iv、Iwは、(1)式、(2)式、(3)式から次式のように置き換えることもできる。
Iu=Iac=Ica (165)
Iv=Iba=Iab (166)
Iw=Icb=Ibc (167)
なお、図85のU相巻線は、巻線867、868と巻線86E、86Dとを磁束方向を合わせて直列に接続し、その電流をIuとしている。V相巻線、W相巻線も同様である。 そしてそれらの巻線電圧をVu、Vv、Vwとすると、(22)式、(23)式、(24)式より次の電圧式のように置き換えることもできる。
Vu=V2ac (168)
Vv=V2ba (169)
Vw=V2cb (170)
このように、(165)式、(166)式、(167)式、(168)式、(169)式、(170)式のように置き換えて、図1などのモータの電圧Va、Vb、Vcおよび電流Ia、Ib、Icを制御することも可能である。このような方法も本発明の技術であり、本発明に含むものとする。
また、全節巻きスイッチトリラクタンスモータにおいて、各ステータ磁極を励磁する電流成分を基本とした種々技術について記載したが、この方法を実現する具体化手段には種々の方法がある。本発明で示した理論式を忠実にソフトウェアで構成する方法、ハードウェアで構成する方法、ソフトウェアとハードウェアを混在する方法、使用するモータ固有のデータをメモリマップに記憶させる方法、等価な機能を制御アルゴリズムとメモリ上のデータに置き換える方法などである。これらの種々変形したモータのついても、本発明モータの主旨の変形技術は本発明に含むものである。
本発明モータは、従来の3相交流電圧、電流のモータとは異なり、断続的なトルクとなりがちである。その特性から、低速回転での制御法、中速回転での制御法、高速回転で断続的な制御法などをつなぎ合わせて制御することもできる。また、回転位置θrによって巻線インダクタンスが大きく変化すること、および、回転数によって制御周波数が上昇することから、状態に応じて制御パラメータを可変して制御することもできる。
また、一つのステータ磁極の先端部を多歯化することによるトルク向上、あるいは、ロータ突極の先端部を多歯化することによるトルク向上なども可能である。また、アウターロータモータ、アキシャルギャップ型モータ、リニアモータ、各種モータの複合化されたモータ等への応用が可能である。これらの種々変形したモータのついても、本発明モータの主旨の変形技術は本発明に含むものである。
本発明では、片方向電流を通電する全節巻きのスイッチトリラクタンスモータなどの諸問題を解決することができる。その結果、従来は困難であった高速回転、高トルクでの運転が可能となる。また、従来のスイッチングリラクタンスモータに比較してモータの巻線抵抗を小さできるので、モータの効率を改善することができ、モータの小型化、低コスト化ができる。また、電流容量の小さな制御回路で駆動することができるので、その小型化、低コスト化ができる。また、永久磁石を使用しないか、あるいは、使用量の低減が可能であり、希土類金属の資源問題を軽減することもできる。
これらの特徴から、競争力の高いモータ技術とすることができ、電気自動車の駆動用モータ、産業用モータ、家電用モータ等へ幅広く使用することができる。
A01、A04 AC相のステータ磁極
A03、A06 BA相のステータ磁極
A05、AO2 CB相のステータ磁極
FDAC AC相の磁束φac
FDBA BA相の磁束φba
FDCB CB相の磁束φcb
FD2、FD8 AC相の電流成分Iac
FD9、FD3 AC相の電流成分Ica
FD6、FDF BA相の電流成分Iba
FD1、FD8 BA相の電流成分Iab
FDD、FD4 CB相の電流成分Icb
FD5、FDE CB相の電流成分Ibc
AOL ロータの突極
θr ロータの回転角位置
ωr ロータの回転角周波数

Claims (54)

  1. 電気角360°の間に配置する(4×NN1+2)個のステータ磁極と、
    前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
    前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、
    電気角360°の間に配置する2以上の偶数の数のロータ突極と、
    前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA1とを備え、
    前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。
    ここで、NN1は1以上の整数である。
  2. 電気角360°の間に配置する(8×NN2)個のステータ磁極と、
    前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
    前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、
    電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
    前記の全節巻き巻線の内、少なくとも1個の全節巻線へ正負両方向の電流を供給する電力変換器PA2と、
    その他の全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA3とを備え、
    前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。
    ここで、NN2は1以上の整数である。
  3. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
    各相の電流を検出する電流検出手段ISと、
    各相の電流検出手段ISの出力である電流検出値Isから各ステータ磁極の前記電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、
    各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令Voを作成する電圧成分合成手段VROとを備えることを特徴とするモータ。
  4. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
    各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、
    各相の電流検出値Isを検出する電流検出手段ISと、
    各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令Voを作成する電圧指令手段VOとを備えることを特徴とするモータ。
  5. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
    各相の電流を検出する電流検出手段ISと、
    各相の電流検出手段ISの電流検出値Isから各ステータ磁極の電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、
    各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令V1oを作成する電圧指令手段V1Oと、
    各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、
    各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令V2oを作成する電圧指令手段V2Oと、
    各相の電圧指令V1oと電圧指令V2oを合成して電圧複合指令V12oを作成する電圧複合指令手段V12Oとを備えることを特徴とするモータ。
  6. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    各相の電流検出値Isとロータ回転位置θrとからモータのトルク検出値Tsを作成するトルク検出手段TSと、
    トルク指令Toとトルク信号Tsからトルク補正指令TCoを作成するトルク補正手段TCOとを備えることを特徴とするモータ。
  7. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    ステータ磁極の円周方向幅を電気角でHtとし、ロータ磁極の円周方向幅を電気角でHmとして、HtとHmとの小さい方の角度をHnとする時、ロータの回転に伴って各相の巻線に通電する電流の通電角幅が電気角で2×Hnより大きいことを特徴とするモータ。
  8. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記電力変換器PA1は、一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR1と、
    一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR2と、
    トランジスタTR1と巻線WW1の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、
    トランジスタTR2と巻線WW1の接続点にアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  9. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、正の電圧VPA4を供給する電力変換器PA4と、
    前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、負の電圧−VPA5を供給する電力変換器PA5とを備え、
    前記前記電圧VPA4が前記電圧VPA5より大きく、
    前記電力変換器PA4と電力変換器PA5とが一つの全節巻き巻線へ正と負の電圧を供給してその片方向電流を制御することを特徴とするモータ。
  10. 請求項9に記載したモータにおいて、
    各相巻線へ負の電圧を供給する電力変換器PA8は、電流を通電することにより電圧降下を示す電圧降下手段であることを特徴とするモータ。
  11. 請求項9に記載したモータにおいて、
    同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW2、WW3と、
    電力を供給する電源VS1と、
    一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR1と、
    一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR2と、
    トランジスタTR1と巻線WW2の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、
    トランジスタTR2と巻線WW2の接続点に巻線WW3の一端を接続し、巻線WW3の他端をアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  12. 請求項9に記載したモータにおいて、
    一つの相の巻線WW4と、
    電力を供給する電源VS3と、
    電源VS3に直列に接続した電源VS4と、
    一端を電源VS4の正側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR3と、
    一端を電源VS3の負側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR4と、
    トランジスタTR3と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の負側に接続したダイオードDD3と、
    トランジスタTR4と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の正側に接続したダイオードDD4とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  13. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    一つの相の巻線WW5と、
    電力を供給する電源VS5と、
    電源VS5に直列に接続した電源VS6と、
    一端を電源VS5の負側に接続し、他端を巻線WW5へ接続したトランジスタTR5と、
    トランジスタTR5と巻線WW5の接続点に接続点にアノードを接続しカソードを電源VS6の正側に接続したダイオードDD5とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  14. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW7、WW8と、
    電力を供給する電源VS7と、
    電源VS7に直列に接続した電源VS8と、
    一端を電源VS7の負側に接続し、他端を巻線WW7へ接続したトランジスタTR7と、
    トランジスタTR7と巻線WW7の接続点に接続点に巻線WW8を接続し、巻線WW8の他端にアノードを接続しカソードを電源VS8の正側に接続したダイオードDD7とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  15. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、
    電力を供給する電源VS11と、
    一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、
    電源VS11の正側と負側の間に巻線WW12と直列にダイオードDD11を備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  16. 請求項15に記載したモータにおいて、
    巻線WW11の巻き回数より巻線WW12の巻き回数の方が大きいことを特徴とするモータ。
  17. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    一つの相の巻線WW13へ負の電圧を供給する電力変換器PA13は、パルス幅変調などによりトランジスタ13のオンとオフとの電圧幅の比率を可変することにより電力変換器PA13の出力電圧の平均電圧を所定値VLVに制限して制御し、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  18. 請求項17に記載したモータにおいて、
    NN3個の相があり、NN3個の相の電流を制御し、これらのNN3個の電流誤差の中でより大きな電流誤差である相の電圧制御を優先して制御することを特徴とするモータ。 ここで、NN3は6以上の整数である。
  19. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    ステータ磁極の磁束を励磁する界磁電流成分IFCを全てのステータ磁極の電流として加えて制御することを特徴とするモータ。
  20. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    モータの各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。
  21. 請求項20に記載したモータにおいて、
    各ステータ磁極のそれぞれに集中巻きの界磁巻線を巻回し、
    各ステータ磁極に巻回した界磁巻線を直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。
  22. 請求項20に記載したモータにおいて、
    直列に接続した前記界磁巻線に直列にダイオードを接続し、これらの両端を接続して閉回路とすることを特徴とするモータ。
  23. 電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、
    前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
    前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、
    電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
    前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9とを備え、
    各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。
    ここで、NN4は2以上の整数である。
  24. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    ステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。
  25. 請求項24に記載したモータにおいて、
    円周方向に電気角で180°離れた同一相の2個のステータ磁極の内、片方のステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。
  26. 請求項24に記載したモータにおいて、
    モータの極対数が2以上で、
    各相のステータ磁極の内、2個以上の同相のステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。
  27. 電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、
    前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
    前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、
    電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
    前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9と、
    ステータ磁極に配置した永久磁石とを備えることを特徴とするモータ。
    ここで、NN4は2以上の整数である。
  28. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    ステータ磁極間に配置した永久磁石を備えることを特徴とするモータ。
  29. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    トルク情報Toとロータ回転位置情報θsを使用して各相の前記電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。
  30. 請求項29に記載したモータにおいて、
    界磁電流成分IFCを制御することを特徴とするモータ。
  31. 請求項29に記載したモータにおいて、
    回転角位置θrに応じて特定の相のステータ磁極の界磁磁束成分を低減する特定界磁低減手段を備え、
    特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御することを特徴とするモータ。
  32. 請求項31に記載したモータにおいて、
    各相電流が増加あるいは減少するタイミングにおいて特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御することを特徴とするモータ。
  33. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    トルク情報Toとロータ回転位置情報θsに対応する各相巻線に鎖交する磁束の情報φdaを備え、この磁束情報φdaを使用して制御することを特徴とするモータ。
  34. 請求項33に記載したモータにおいて、
    各ロータ回転数ωrに応じたトルク最大値の情報Tmaxを備え、このトルク最大値情報Tmaxを使用して制御することを特徴とするモータ。
  35. 請求項33に記載したモータにおいて、
    磁束情報φdaと回転角速度ωr情報を使用して各相巻線の電圧予測値VFFを求め、この電圧予測値VFFを使用して制御することを特徴とするモータ。
  36. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    モータの外径側へ配置した第1のロータと、
    モータの内径側へ配置した第2のロータと、
    第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ同一位相のステータ磁極を配置した第2のステータと、
    径方向に隣接する第1のステータのスロットとその背面に配置した第2のステータのスロットとの間へ巻回した巻線とを備えることを特徴とするモータ。
  37. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    モータの外径側へ配置した第1のロータと、
    モータの内径側へ配置した第2のロータと、
    第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ電気角で180°の位相差を持つステータ磁極を配置した第2のステータと、
    径方向に隣接する第1のステータのスロットおよび第2のステータのスロットとのいずれかのスロットの間へ巻回した巻線とを備えることを特徴とするモータ。
  38. 請求項36または37に記載したモータにおいて、
    第1のステータのスロットの円周方向位置と第2のステータのスロットの円周方向位置とが異なっていることを特徴とするモータ。
  39. 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
    界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備えることを特徴とするモータ。
  40. 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
    界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線Wfと、
    同一のスロットに巻回した該当する相の電流を通電する巻線Wabcとダイオードを直列に巻回していて磁気エネルギーを回生することのできる回生巻線Wreとを備えることを特徴とするモータ。
  41. 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
    モータのロータ軸方向両側に配置した軸受けと
    モータの外周に配置し、前記両側の軸受けを支持するモータケースと、
    前記モータケースと接続部MCWで結合して固定するステータと、
    前記接続部MCWとはロータ軸方向とは反対側の接続部MRRで前記第1のロータと前記第2のロータとを接続するロータ接続部を備えることを特徴とするモータ。
  42. 請求項41に記載したモータにおいて、
    前記ステータに巻回した巻線のロータ軸方向端から前記接続部MCWへ、あるいは、その近傍へ効率良く熱を伝えることのできる熱伝達部材を備えることを特徴とするモータ。
  43. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    各相のステータ磁極のロータに対向する形状がロータ軸方向に大小の形状となる台形形状であり、各ステータ磁極の前記台形形状が、円周方向に前記大小関係が交互に逆方向に並んでいることを特徴とするモータ。
  44. 請求項43に記載したモータにおいて、
    前記ステータ磁極のロータ方向位置が、交互にロータ軸方向の反対方向にずれた位置であることを特徴とするモータ。
  45. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    前記ロータ突極が円周方向の片方向に傾き、前記ステータ磁極がロータ突極の傾きとは反対方向に傾いていることを特徴とするモータ。
  46. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    電磁鋼板と非磁性体とがロータ軸方向に積層された構成のステータとロータを備えることを特徴とするモータ。
  47. 請求項24に記載したモータにおいて、
    該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍でそのステータ磁極を励磁する電流成分を通電してステータ磁極に取り付けた永久磁石を着磁、あるいは、増磁することを特徴とするモータ。
  48. 請求項24に記載したモータにおいて、
    該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍で、そのステータ磁極を通過する磁束に電気角的にほぼ90°の位相差を持っていてそのステータ磁極の磁束の方向とは反対方向に励磁できる巻線に通電して永久磁石を消磁、あるいは、減磁することを特徴とするモータ。
  49. 請求項24に記載したモータにおいて、
    各ステータ磁極の永久磁石へ起磁力を印可する励磁巻線と、
    励磁巻線へ永久磁石が減磁する方向の電流を通電できる電流通電手段とを備え、
    ステータ磁極の永久磁石の消磁、あるいは、減磁を行うことを特徴とするモータ。
  50. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、
    電力を供給する電源VS11と、
    一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、
    トランジスタTR11に並列に接続したダイオード12と、
    電源VS11の正側へ巻線WW12を接続し、巻線WW12の他端とたと電源VS11の負側との間に配置したトランジスタTR12と、
    トランジスタTR12に並列に接続したダイオード11とを備え、
    他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。
  51. 請求項1または2に記載したモータにおいて、
    片方向の電流を供給する前記電力変換器PA1、あるいは、前記電力変換器PA3とは逆方向の電流を通電する電力変換器PA10を備えることを特徴とするモータ。
  52. 請求項1または2に係る発明において、
    各ステータ磁極へ界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備え、
    前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器であることを特徴とする発電機。
  53. 請求項1または2に係る発明において、
    ステータ磁極に配置した永久磁石を備え、
    前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器であることを特徴とする発電機。
  54. 請求項23または27に記載したモータにおいて、
    前記電力変換器PA9は整流器であることを特徴とするモータ。
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