JP2012114975A - モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全節巻きリラクタンスモータにおいて、一つの相の一組のステータ磁極にだけ電磁気的に作用する一組の電流成分を想定し、3相各相の電流成分を制御することにより他の相との電磁気的相互作用の無い正確な電流制御を実現し、より正確なトルク制御、速度制御を行うことのできるモータシステムを実現する。また、前記の電流、電圧制御により制御回路の小型化と効果的な界磁手段を付加したモータ構成による高効率化を実現する。
【選択図】図16
Description
U相のステータ磁極861には、867と868および破線86Nで示すU相巻線を集中巻の巻線US1としている。864もU相のステータ磁極であり、86Dと86Eおよび破線86Pで示す集中巻の巻線US2としている。巻線US1とUS2は直列に接続していて、電流を通電すると86Mに示す磁束φuを励磁し、ロータの突極86Lと86Qに吸引力を発生し、矢印で示す反時計回転方向(CCW)のトルクを発生する。
865はW相のステータ磁極であり、W相の巻線86Fと86Gおよび破線で示すように集中巻の巻線WS1としている。862もW相のステータ磁極であり、869と86Aおよび破線で示す集中巻の巻線WS2としている。巻線WS1とWS2は直列に接続していて、電流を通電することにより、ロータの近接する突極に磁束φwを励磁し、その吸引力によりトルクを発生する。
今、86Mで示す磁束をステータ磁極861と864へ生成させる場合、前記A相巻線M11、M14と前記C相巻線M15、M12の2組の巻線へ電流を通電して磁束86Mを励磁する。ステータ磁極863と866へ磁束を生成する場合、前記B相巻線M13、M16と前記A相巻線M11、M14との2組の巻線へ電流を通電して磁束を励磁する。ステータ磁極865と862磁束を生成する場合、前記C相巻線M15、M12と前記A相巻線M11、M14との2組の巻線へ電流を通電して磁束を励磁する。
本発明の目的は、図86に示すスイッチトリラクタンスモータなどの諸問題を解決し、競争力の高いモータ技術を提案することである。モータと発電機の諸構成、および、それら構成に密接に関連した独特の方法で制御するモータシステムを提案する。
この構成によれば、複雑な電磁気的現象および各相の電流とトルクの関係を簡明な関係で制御できるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
この構成によれば、複雑な電磁気的現象および各相の電流とトルクの関係を簡明な関係で制御できるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
この構成によれば、各相の電流成分を正確に制御することができるので、正確に制御を行えるモータとすることができる。
この構成によれば、各相の電流成分に基づいて、各相の相電流を正確に制御することができるので、制御を正確に行えるモータとすることができる。
この構成によれば、各相の電流成分と相電流との両方を制御することができるので、両制御法の特徴を得ることができる。
この構成によれば、トルクを正確に制御できるモータとすることができ、高精度化を図ることができる。
この構成によれば、各相のステータ磁極がトルクを発生するタイミングよりも早く該当する巻線の電流を増加させるので、高速回転においても十分なトルクを得ることのできるモータとすることができる。
この構成によれば、前記の制御において必要とする電流と電圧を供給することができるモータ構成とすることができる。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。
この構成によれば、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。また、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、各相巻線は少し複雑になるものの、各相電流の通電は1個のトランジスタで行うことができるので、制御回路を簡素な構成とすることができる。
この構成によれば、モータの各巻線に鎖交する磁束の関係が大変複雑であるが、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、パルス幅変調などの電圧制御を回生側の電圧制御に適用することにより、モータの磁気エネルギーの回生すなわち無効電流分に制約されることなく、トルクを発生する巻線へ電流を供給することができ、所望のモータトルクを得ることができる。
この構成によれば、電流誤差の中でより大きな電流誤差優先して制御するので、誤差の少ない制御ができる。
この構成によれば、励磁電流成分を全ステータ磁極へ通電しておくので、トルク応答性に優れたモータとすることができる。
この構成によれば、界磁巻線により界磁電流を通電して、界磁エネルギーをモータの中で内部循環させることができるので、各相電流の力率を改善でき、トルク応答性に優れたモータとすることができる。
この構成によれば、全節巻きの相電流の巻線に対し、短節で集中巻きの界磁巻線として直列に接続するので巻線長の短い簡素な構成の界磁巻線とすることができる。
この構成によれば、界磁巻線専用の制御回路が簡単になり、低コストなモータ構成とすることができる。
この構成によれば、短節で集中巻きの各相の巻線と界磁巻線とを巻回し、力率の良いモータを実現することができる。
この構成によれば、永久磁石により界磁磁束を得ることができるので力率の良いモータを得ることができる。また、通常運転では、永久磁石が減磁する方向には起磁力が作用しないので、磁石量を少なくできる。
この構成によれば、永久磁石の数を少なくすることができるので、低コストなモータとすることができる。
この構成によれば、適度な量の永久磁石の磁束を活用でき、また、永久磁石な数を少なくすることができるので、モータ性能を適正化でき、また、低コストなモータとすることができる。
この構成によれば、集中巻きの各相の巻線をステータ磁極へ巻回し、永久磁石を付加し、力率の良いモータを実現することができる。
この構成によれば、ステータ磁極の磁束密度を負にバイアスして使用するので、大きな磁束をステータ磁束へ通過させることができるようになり、モータのピークトルクを増加させることができる。
この構成によれば、正確なトルク制御と電流制御を行うことができるので、高精度なモータとすることができる。
この構成によれば、界磁電流成分IFCも制御できるので高精度なモータとすることができる。、
この構成によれば、不要で有害な磁束を低減することができるので、巻線電圧のバランスを改良することができ、制御装置の小型化ができる。
この構成によれば、不要で有害な磁束を低減することができるので、巻線電圧のバランスを改良することができ、制御装置の小型化ができる。
この構成によれば、非線形ナインダクタンスを使用せず、磁束情報を使用してモータを制御するので、高精度化ができる。
この構成によれば、モータへの要求トルクが大きくなる制御領域においても、モータのトルク最大値まで効果的に制御できるモータとすることができる。
この構成によれば、正確な電圧予測値VFFを使用して制御することができるので、より広範囲なトルク、回転数の領域を高精度に制御できるモータとすることができる。
この構成によれば、巻線の長さを短くできるので、ジュール損が小さく、高効率なモータを実現できる。また、モータの複合化により出力密度の高いモータとすることができる。
この構成によれば、ステータのバックヨークの不要なモータ、あるいは、ステータのバックヨークの小さな複合モータとすることができるので、トルクの向上ができる。
この構成によれば、ステータのバックヨーク寸法を小さくすることができるので、トルクの向上ができる。
この構成によれば、界磁巻線を備える複合モータなので、その各相巻線の電流、電圧の力率を改善することができる。
この構成によれば、界磁巻線Wfと回生巻線Wreとを備える構成とすることにより、その各相巻線の電流、電圧の力率を改善することができる。そして、制御回路を簡素化することができる。
この構成によれば、複合モータでありながら、ロータ軸剛性の高いモータ構成を実現できる。振動、騒音も低減できる。
この構成によれば、モータの発熱を熱伝導の大きい巻線を利用して伝達することにより冷却効率を改善し、モータ出力を向上できる。
この構成によれば、ステータ磁極のロータに対向する形状を台形化することにより、各相巻線の長さを短縮することができ、高効率化を図ることができる。
この構成によれば、片方向回転のトルクを向上することができる。
この構成によれば、永久磁石の着磁、あるいは、増磁することができる。
この構成によれば、永久磁石を消磁、あるいは、減磁することができる。また、各相巻線を使用して、永久磁石の着磁、あるいは、増磁することができる。
この構成によれば、各スロットに負方向電流成分を通電することができるので、界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変などを行うことができる。
この構成によれば、各スロットに負方向電流成分を通電することができるので、界磁弱め作用、トルクの向上、永久磁石の可変などを行うことができる。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
この構成によれば、従来の同期発電機のようなスリップリングは不要で、ロータが堅牢なので高速回転まで使用でき、簡単な回路構成で実現できる発電機を実現することができる。高信頼、高出力、低コストである。
このモータの構成は、各相の巻線を全節巻きとしたスイッチトリラクタンスモータ(以下、SRMと呼ぶ)である。A0DとA0Gは破線で示すコイルエンドA0Lで接続された全節巻線で、A相巻線Waである。A0FとA0Jは破線で示すコイルエンドA0Mで接続された全節巻線で、B相巻線Wbである。A0HとA0Eは破線で示すコイルエンドA0Nで接続された全節巻線で、C相巻線Wcである。これらのA相、B相、C相の巻線Wa、Wb、Wcへはそれぞれ片方向電流を通電する。図1の巻線シンボルで示すように、×マークの巻線の電流方向は、紙面で表側から裏側へ通電する。黒点マークの巻線の電流方向は、紙面で裏側から表側へ通電する。
A01とA04は、A相巻線とC相巻線に挟まれたAC相のステータ磁極である。A03とA06は、B相巻線とA相巻線に挟まれたBA相のステータ磁極である。A05とA02は、C相巻線とB相巻線に挟まれたCB相のステータ磁極である。
なお、図1に示す全節巻きSRMの最小構成は、6個のステータ磁極と4個のロータ突極の構成である。本発明では、図1で示す機械角360°を電気角360°として表現する。そして、ロータ突極が4個なので紛らわしいが、図1に示すモータ構成を「2極の全節巻きSRM」と表現する。本発明では、表現の容易さのため図1などの2極のモータで説明する。実際の実用的なモータは、モータの大きさ、用途にもよるが、例えば図1のモータを4倍程度に多極化した8極構成などを想定する。
また、A相、B相、C相の全節巻き巻線は、鼓状巻、波巻き、環状巻など電磁気的に等価な種々巻線方法を採用することができる。図8に環状巻線とした例を示す。B相巻線A0Fは破線F52と巻線F51に示すように、スロットA09からその外径側へ環状に巻線を巻回している。環状巻線A0Fと環状巻線A0Jを直列に接続すると、図1の全節巻線A0F、A0Jと電磁気的に同一の効果となる。図8に示す他の相の環状巻線についても同様である。
図1はθr=15°であり、巻線A0D、A0GへA相電流Iaを通電し、同時に、巻線A0H、A0EへA相電流Iaと同じ大きさのC相電流Icを通電する。B相電流Ibは零とする。この時、両電流Ia、Icにより、F01で示す磁束φacが誘起し、吸引力が生成され、矢印で示すCCWのトルクが発生する。破線の矢印方向のF03の磁束φcbは、アンペアの法則「磁界の強さをある閉路について周回積分した値は、その閉路に鎖交する電流値の合計となる」に従って、A相電流IaとC相電流Icとが同じ大きさで逆方向に鎖交することから鎖交する電流値の合計が零となり、磁束F03は零となる。BA相のステータ磁極A03からA06へ向かう磁束φbaも同じ関係なので零となる。図2はθr=30°であり、図1の動作が継続する。
MK3はW相の磁気回路で、ステータ磁極865、862とステータのバックヨークとW相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。W相磁束φwについてもU相と同様である。MK6はW相の巻線で、図85の巻線86F、86Gと86A、869を直列に接続した巻線に相当する。
このような図11の磁気的関係は、各相の電流、磁束、電圧が相関で独立しているのでその制御的な困難さは少ない。各巻線のインダクタンスは自己インダクタンスである。
MT1はAC相の磁気回路で、AC相ステータ磁極A01、A04とステータのバックヨークとAC相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F01が図12のAC相磁束φacである。
MT2はBA相の磁気回路で、BA相ステータ磁極A03、A06とステータのバックヨークとBA相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F02が図12のBA相磁束φbaである。
MT3はCB相の磁気回路で、CB相ステータ磁極A05、A02とステータのバックヨークとCB相のステータ磁極に対向するロータ突極とで構成される磁気的な閉回路をイメージしている。図1の磁束F03が図12のCB相磁束φcbである。
MT4はA相の巻線で、図1の巻線A0DとA0GのA相全節巻き巻線Waに相当する。MT5はB相の巻線で、図1の巻線A0FとA0JのB相全節巻き巻線Wbに相当する。MT6はC相の巻線で、図1の巻線A0HとA0EのC相全節巻き巻線Wcに相当する。各相巻線の巻き方向がそれぞれに異なっている。
なお、図12では、各巻線の漏れ磁束と巻線抵抗は零として無視して説明した。また、図1において、例えば、ステータ磁極A06からステータ磁極A01へ向かう磁束成分は、F01のAC相磁束φacとF02のBA相磁束φbaに分解して考えることができ、表現できる。
図14に軟磁性体の磁気特性の例を示す。横軸は磁界の強さHで、縦軸は磁束密度である。今、磁界の強さH=Ifoで磁束密度Bfoの動作点HB1を、磁気飽和と呼ぶことにする。変圧器などの磁気設計を行う場合などは、磁気飽和の70〜80%程度で設計することが多い。しかし、モータは小型化、軽量化、低コスト化の追求が進み、磁気飽和の点HB1を超えた磁気設計を行うことが少なくない。特にリラクタンスモータは磁気抵抗の差で力を発生するので、磁気飽和領域を使用することが多い。ただし、小さなモータであれば、最大電流を通電しても磁気飽和しない。
図15にモータのトルク特性の例を示す。横軸はモータの電流Ixで縦軸はトルクTである。太線で示す特性Trmはモータ特性の例である。電流Ixの小さな領域からIx=A2の動作点Tnbまでは電流Ixの増加と共にほぼ比例的にトルクTが増加する特性である。動作点Tnbより動作点Tncにかけては、電流Ixの増加に対してトルク増加が少なく、いわゆるトルク飽和の領域となっている。このような特性で、動作点TnbのトルクT2がこのモータのピークトルクである。モータ特性として、ピークトルクを大きくできればモータの小型化、低コスト化が可能となり、重要な特性である。
以上、全節巻きSRMの各種の問題点を示したように、従来モータとは異なる面があり、本発明モータは前記の各問題を解決するため、モータの構造とその電流を通電する回路と電圧、電流の制御アルゴリズムとが密接に関わるモータシステムの構成を提案する。
従って、モータの各変数の組み合わせ条件における磁束データをテーブル化することは比較的容易である。この結果、物理原則に忠実な表現、制御を実現することになり、誤差の少ない表現、制御とすることができる。
Iac=Ica (1)
Iba=Iab (2)
Icb=Ibc (3)
Ia=Iac+Iab (4)
Ib=Iba+Ibc (5)
Ic=Icb+Ica (6)
図16と(1)式から(6)式による電磁気的な特性について説明する。電流成分IacとIcaは同じ電流値なので、ステータ磁極A04からA01の方向のFDACで示すAC相磁束φacを励磁する起磁力HACacを、アンペアの法則に従って生成する。
HACac=Nw×(Iac+Ica)=2×Nw×Iac (7)
また、これらの電流成分IacとIcaがFDCBのCB相磁束φcbを励磁する起磁力HCBacも、アンペアの法則でその経路に鎖交する電流が零となる。
HBAac=Nw×(Iac−Ica)=0 (8)
HCBac=Nw×(Ica−Iac)=0 (9)
従って、電流成分IacとIcaはAC相磁束φacを励磁するが他のBA相磁束φba、CB相磁束φcbには電磁気的に影響しない特性である。なお、図16には、各ステータ磁極の磁束φac、φba、φcbと各電流成分Iac、Iab、Iba、Ibc、Icb、Icaを分かり易いように付記している。
HBAba=Nw×(Iba+Iab)=2×Nw×Iba (10)
HACba=Nw×(Iab−Iba)=0 (11)
HCBba=Nw×(Iba−Iab)=0 (12)
HCBcb=Nw×(Icb+Ibc)=2×Nw×Icb (13)
HACcb=Nw×(Icb−Ibc)=0 (14)
HBAcb=Nw×(Ibc−Icb)=0 (15)
HACac+HACba+HACcb=2×Nw×Iac (16)
同様に合計して、φbaを励磁する起磁力は(8)式と(10)式と(14)式により、次式となる。
HBAac+HBAba+HBAcb=2×Nw×Iba (17)
同様に合計して、φcbを励磁する起磁力は(9)式と(12)式と(13)式により、次式となる。
HCBac+HCBba+HCBcb=2×Nw×Icb (18)
また、各相の電流Ia、Ib、Icを各電流成分Iac、Iba、Icbへ変換する方法は、(1)式から(3)式と(4)式から(6)式の逆変換式を使用して、次式の各相電流の順変換式となる。
Iac=(Ia−Ib+Ic)/2 (19)
Iba=(Ia+Ib−Ic)/2 (20)
Icb=(−Ia+Ib+Ic)/2 (21)
図1と図16および前記逆変換式、順変換式の関係は、図12の電磁気的な複雑な関係を図13に示す簡素な関係に置き換えたと考えることができる。MF1は電流の座標を変換する電流座標変換器であり、具体的な機能は(4)式、(5)式、(6)式で示す電流値の逆変換と(19)式、(20)式、(21)式で示す電流値の順変換である。MF2は仮想の巻線WacとWcaを直列に接続した巻線で、電流Iacを通電する。MF3は仮想の巻線WbaとWabを直列に接続した巻線で、電流Ibaを通電する。MF4は仮想の巻線WcbとWbcを直列に接続した巻線で、電流Icbを通電する。各相の磁束φac、φba、φcbを同時に自在に制御できる。各電流成分Iac、Iba、Icbは、図13のような構成が可能な電流値と定義して求める値である。
V2ac=Vac+ Vca
=2×(Nw×dφac/dt+Iac×Rac) (22)
ここで、Racは仮想の全節巻線の抵抗値である。
BA相、CB相も同様の関係となっており、次式となる。
V2ba=Vba+Vab
=2×(Nw×dφba/dt+Iba×Rba) (23)
V2cb=Vcb+Vbc
=2×(Nw×dφcb/dt+Icb×Rcb) (24)
ここで、Rba、Rcbは仮想の全節巻線の抵抗値である。
Pin=V2ac×Iac+V2ba×Iba+V2cb×Icb (25)
=2×(Nw×Iac×dφac/dt+Iac2×Rac)
+2×(Nw×Iba×dφba/dt+Iba2×Rba)
+2×(Nw×Icb×dφcb/dt+Icb2×Rcb) (26)
ここで、各磁束φac、φba、φcbについては後に示す。
次に、トルクTはモータのパワーを回転角速度ωrで徐すれば良いので、次式となる。 T=Pin/ωr (27)
[ 入力パワーPin] =T×ωr+[ モータ内磁気エネルギーの時間変化分]
+[ ジュール損] +[ 鉄損] +[ その他機械損等] (28)
また、ここでは定性的な関係を示しており、空隙部の漏れ磁束、軟磁性体の非線形性などに起因する誤差も発生する。より正確な制御は、後に示すように、モータの有限要素法などの解析により容易に得られる各電流条件における磁束データ等をデータベースとして持ち、その磁束データを各式に当てはめることなどにより実現することができる。
モータモデルは、図1のモータを図16の電流成分に変換したモデルである。モータパラメータは、ステータ磁極とロータ突極が対向する部分のエアギャップ長をLgap、ステータおよびロータのロータ軸方向長さをtc、ロータ半径をR、真空透磁率μo=4π×10-7とする。今、モータのバックヨーク、ステータ磁極、ロータ突極など軟磁性体部の比透磁率は十分に大きく、磁気抵抗は零であると仮定する。
2×Lgap×Hac=Nw×(Iac+Ica)=2×Nw×Iac (29)
Bac=μo×Hac
=μo×Nw×Iac/Lgap (30)
φac=Bac×Sac
=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(θr−θoff) (31)
ここで、SacはAC相のステータ磁極とロータ突極が対向する部分の面積であり、(θr−θoff)はAC相のステータ磁極とロータ突極とが対向する部分の円周方向回転角の幅である。θoffはAC相固有の回転位置のオフセット量であり、図1の場合はθoff=15°である。そして、この(31)式は(θr−θoff)が0°から30°の間で成り立つ式である。すなわち、θrが15°から45°の間ではCCWのトルクを発生することが可能である。
Lac×Iac=2×Nw×φac=Ψac (32)
Lac=2×Nw×φac/Iac (33)
=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (34)
ここで、インダクタンスLacはロータの回転位置θrに依存して大きく変化するので、電流制御においては回転位置θrに応じて電流制御のパラメータを適正に可変することが好ましい。また、このインダクタンスLacは電流Iacが小さく、軟磁性体が磁気飽和しない領域で成り立つ式である。
V2ac=2×Nw×dφac/dt (35)
=2×Nw×d{μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(θr−θoff)}/dt (36)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×d{Iac×(θr−θoff)}/dt (37)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt} (38)
もし(38)式で、AC相のステータ磁極の電流成分Iacが一定である期間については、微分式の第1項が零となり、電圧Vacが簡略化できて、回転角速度ωrに比例する次式となる。電圧成分が軽減できる。
V2ac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×d(θr−θoff)/dt (39)
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac×ωr (40)
なお、軟磁性体が磁気的に線形な領域であり、また、図1においてθrが15°から45°の間で成り立つ。
Pac=V2ac×Iac
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt} (41)
Tac=Pac/ωr
=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(θr−θoff)
+Iac×d(θr−θoff)/dt}/ωr (42)
ここで、損失分等は無視しており、正確には(28)式の関係である。
以上、AC相のθrが15°から45°の範囲における磁束密度Bac、磁束φac、仮想巻線の電圧V2acパワーPac、トルクTacの具体的な値を求めた。なお、この範囲ではAC相ステータ磁極はCCWトルクを発生することができる。
Bba=μo×Nw×Iba/Lgap (49)
φba=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iba×(θr−θoff) (50)
Lba=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (51)
V2ba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt} (52)
Pba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt} (53)
Tba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(θr−θoff)
+Iba×d(θr−θoff)/dt}/ωr (54)
Bcb=μo×Nw×Icb/Lgap (56)
φcb=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Icb×(θr−θoff) (57)
Lcb=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap×(θr−θoff) (58)
V2cb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt} (59)
Pcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt} (60)
Tcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(θr−θoff)
+Icb×d(θr−θoff)/dt}/ωr (61)
Bac=μo×Nw×Iac/Lgap (63)
φac=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iac×(90°−θr−θoff) (64)
Lac=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (65)
V2ac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt} (66)
Pac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt} (67)
Tac=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iac
×{(dIac/dt×(90°−θr−θoff)
+Iac×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (68)
=2×Nw×Iba (69)
Bba=μo×Nw×Iba/Lgap (70)
φba=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Iba×(90°−θr−θoff) (71)
Lba=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (72)
V2ba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt} (73)
Pba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt} (74)
Tba=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Iba
×{(dIba/dt×(90°−θr−θoff)
+Iba×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (75)
=2×Nw×Icb (76)
Bba=μo×Nw×Icb/Lgap (77)
φcb=μo×Nw×tc×R/Lgap
×Icb×(90°−θr−θoff) (78)
Lcb=2×μo×Nw2 ×tc×R/Lgap
×(90°−θr−θoff) (79)
V2cb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt} (80)
Pcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt} (81)
Tcb=2×μo×Nw2 ×R×tc/Lgap×Icb
×{(dIcb/dt×(90°−θr−θoff)
+Icb×d(90°−θr−θoff)/dt}/ωr (82)
AC相について磁束密度Bac、磁束φac、平均インダクタンスLac、仮想巻線の電圧V2ac、パワーPac、トルクTacを求める。モータモデルは、図1、図16のモータで、AC相固有の回転位置のオフセット量はθoff=15°となる。ロータ回転位置θrが15°から45°の範囲における各値である。AC相のステータ磁極は、この回転範囲ではCCWトルクを発生することができる。
Bac=Bmax (83)
φac=Bac×Sac
=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (84)
インダクタンスLacは次式となる。
Lac=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Iac (85)
ただし、このインダクタンスLacは平均インダクタンスであって、動作点における(微小磁束増加/微小電流増加)はほとんど零に近く、動作点の微少範囲におけるインダクタンスは零である。
V2ac=2×Nw×dφac/dt (86)
=2×Nw×d(Bmax×R×(θr−θoff)×tc)/dt
=2×Nw×d(Bmax×R×(θr−θoff)×tc)/dθr
×dθr/dt
=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (87)
AC相ステータ磁極へ電流成分Iacを通電する場合、その入力パワーPin、発生するトルクTacは、次の通りである。
Pin=V2ac×Iac (88)
Tac=Pin/ωr
=V2ac×Iac/ωr
=2×Nw×Bmax×R×tc×Iac (89)
ここでは、巻線抵抗、鉄損、機械損等は無視している。
H×Lgap=Nw×Ag
Bmax=μo×H=μo×Nw×Ag/Lgap
Ag=Bmax×Lgap/(μo×Nw) (90)
そして、(89)式のトルクは、正確には、Iacの代わりに(Iac−Ag)と置き換える必要がある。以降に示す非線形領域のトルク式についても同様である。
Bba=Bmax (91)
φba=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (92)
Lba=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Iba (93)
V2ba=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (94)
Pin=V2ba×Iba (95)
Tba=2×Nw×Bmax×R×tc×Iba (96)
Bcb=Bmax (97)
φcb=Bmax×R×(θr−θoff)×tc (98)
Lcb=Nw×Bmax×R×(θr−θoff)×tc/Icb (99)
V2cb=2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (100)
Pin=V2cb×Icb (101)
Tcb=2×Nw×Bmax×R×tc×Icb (102)
Bac=Bmax (103)
φac=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (104)
Lac=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Iac (105)
V2ac=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (106)
Pin=−V2ac×Iac (107)
Tac=−2×Nw×Bmax×R×tc×Iac (108)
Bba=Bmax (109)
φba=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (110)
Lba=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Iba (111)
V2ba=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (112)
Pin=−V2ba×Iba (113)
Tba=−2×Nw×Bmax×R×tc×Iba (114)
Bcb=Bmax (115)
φcb=Bmax×R×(90°−θr−θoff)×tc (116)
Lcb=Nw×Bmax×R
×(90°−θr−θoff)×tc/Icb (117)
V2cb=−2×Nw×Bmax×R×tc×ωr (118)
Pin=−V2ba×Icb (119)
Tcb=−2×Nw×Bmax×R×tc×Icb (120)
図18で「零トルク」と示したそれぞれのステータ磁極がトルクを発生できない領域もある。例えば、図17のロータ回転位置θrでは、MU1はBA相磁束φbaであるが、ロータ突極との間に広い空隙があるため磁束密度は小さくなる。従って、電流成分Ibaを通電してもBA相磁束φbaは小さく、その発生するトルクはほとんど零である。
また、この方法に拠れば、必要に応じて複数のステータ磁極に磁束を発生させて、同時に複数のトルク成分を発生させることも可能である。例えば、図1の状態において、磁束F01、F02、F03のそれぞれを同時に並行して、任意の磁界の強さで磁束を励磁して制御することができる。
Va=Nw×(dφac/dt+dφba/dt−dφcb/dt) (121)
=(V2ac+V2ba−V2cb)/2 (122)
Vb=Nw×(−dφac/dt+dφba/dt+dφcb/dt)(123)
=(−V2ac+V2ba+V2cb)/2 (124)
Vc=Nw×(dφac/dt−dφba/dt+dφcb/dt) (125)
=(V2ac−V2ba+V2cb)/2
(122)式、(124)式は電圧の逆変換の式である。電圧の順変換の式は次式となる。
V2ac=Va+Vc (126)
V2ba=Vb+Va (127)
V2cb=Vc+Vb (128)
Pin=Va×Ia+Vb×Ib+Vc×Ic (129)
T=Pin/ωr (130)
ただし、各相の巻線抵抗を無視する。Ra=Rb=Rc=0である。(121)式から(130)式の各変数φac、φba、φcbなどには、これまでに求めた各変数の式を代入すれば、具体的な値を求めることができる。
以上により、図1、図16の両電流座標による電流、磁束、電圧、パワー、トルクの各値を示した。両電流座標の各値は相互に変換可能で、物理的、数学的に同じ意味を示している。
次に、請求項1について具体的に説明する。
対象とするモータ構成は、ステータ磁極の数が(4×NN1+2)個のモータである。図1のモータは、整数NN1=1でステータ磁極の数が6の場合である。整数NN1=2でステータ磁極の数が10の場合の例を図19、図20に示す。整数NN1を3以上の整数とすることもできる。各ステータ磁極に挟まれたスロットには、巻線のピッチが電気角で180°の全節巻き巻線を巻回する。
この条件に合うモータ構成は、ステータ磁極間のスロットに通電する片方向電流の向きを、円周方向に正方向と負方向と、交互に全周に配置することができる。
ロータには2以上の偶数の数の突極があり、図1の場合は4個の突極である。ロータ突極の数は種々の値を採ることができる。ロータ突極の数により、モータの特性は変わるが、ステータの基本機能である起磁力の発生機能と磁束の通過機能は同じである。
そして、この構成のモータの電圧、電流特性は図12の等価モデルで説明したように大変複雑であり、特に低速回転以外では制御が難解である。しかし、(1)式から(130)式に示したように、各相の電流を各ステータ磁極の両隣に流れる正の電流成分と負の電流成分とに分解し、すなわち、電流座標を変換して各ステータ磁極にだけ作用する電流成分を制御することにより、明快な制御が可能となる。
図20は、図19のモータにおいてロータ突極の数を8個とした例である。図20のB71、B73がロータ突極である。図19の場合と同様に、各相の式におけるにおける回転位置のオフセット量θoffの値を、各相ごとにその相のステータ磁極とロータ突極が対向するロータ回転位置θrにより決める必要がある。
CWのトルクを発生する場合は、同様に、図21の状態でB相巻線とA相巻線に同じ大きさの電流Ib=Iaを通電し、C相電流を零とする。そして、ロータのCWの回転に伴って同期して、CW方向のステータ磁極を、順次励磁することによりこのロータをCW方向へ回転させることができる。
ロータの磁極幅が60度を超えると、3相の磁束φac、φba、φcbが同時に存在する回転位置も出てくる。従って、(1)式から(130)式に示した方法でより正確に制御する必要がある。
なお、図1、図19、図20、図21などのモータは多極化することもできる。図1のモータを2倍に多極化したモータは、例えば、ステータ磁極の数が12でロータ突極の数が8の構成である。図21のモータを2倍に多極化したモータは、ステータ磁極の数が12でロータ突極の数が4の構成である。さらに、3倍、4倍と多極化することができる。このように多極化したモータ構成も本発明に含むものである。
次に、請求項2について具体的に説明する。
対象とするモータ構成は、ステータ磁極の数が(8×NN2)個のモータである。
図24のモータは、整数NN2=1でステータ磁極の数が8の場合である。整数NN2=2でステータ磁極の数が16とするなど、正の整数のNN2を選択することができる。各ステータ磁極に挟まれたスロットには、巻線のピッチが電気角で180°の全節巻き巻線を巻回する。この条件に合うモータ構成は、ステータ磁極間のスロットに通電する片方向電流の向きを、円周方向に正方向と負方向と、交互に通電して各ステータ磁極がトルクを発生する。同時に、各ステータ磁極の磁束の方向は、電気角で180°円周方向に異なるステータ磁極の磁束の方向と逆方向にして、磁束を2個のロータ突極を通過させてトルクを発生する。
図24において、B8HとB8MはA相巻線Waで片方向電流であるA相電流Iaを通電し、B8NとB8JはB相巻線Wbで片方向電流であるB相電流Ibを通電し、B8KとB8PはC相巻線Wcで片方向電流であるC相電流Icを通電する。前記のように、B8LとB8Qで構成するD相巻線Wdへは、ロータ回転位置θrによって正の電流と負の電流とを通電する。
FJ9はA相巻線、FJAはB相巻線、FJBはC相巻線で、先に説明した図9と同じ構成である。FJCはD相巻線で、トランジスタFJ1とFJ4をオンすることによりD相巻線へ正の電流を通電し、トランジスタFJ7とFJ2をオンすることによりD相巻線へ負の電流を通電することができる。FJ5、FJ6、FJ7、FJ8は逆方向電流を通電するダイオードである。このように、D相電流Idを正あるいは負の両方向の電流を通電することができる構成として、図24に示すモータのトルクを連続的に発生することができる。
次に、請求項3について具体的に説明する。
図26はモータとその制御回路の概略構成の例を示す図であり、図1に示すモータとその制御回路の例である。A69はモータを表していて、A6AはA相巻線でA68はA相電流Iaの検出手段であり、A6FはA相電流検出値Iasである。A6BはB相巻線でA67はB相電流Ibの検出手段であり、A6GはB相電流検出値Ibsである。A6CはC相巻線でA66はC相電流Icの検出手段であり、A6HはC相電流検出値Icsである。A6Dはロータの回転位置θrを検出する位置検出手段で、A6Eはそのインターフェイスで、A6Mはロータ回転位置θr、A6Nは回転角速度ωrである。A60は速度指令ωoで、A61は速度誤差Ereを検出する加算器である。A62は速度誤差Ereを入力とし、トルクに関する指令情報A6Jを出力するトルク制御手段である。
A64は電流の指令情報を入力とし、モータの電圧に関する指令情報を出力する電圧制御手段である。この電圧制御手段A64は、モータのA相電流検出値Ias、B相電流検出値Ibs、C相電流検出値Ics、および、ロータ回転位置θr、回転角速度ωr、各種モータ情報A6Kを入力とする。
A65は3相の電圧と電流を制御する電力変換器である。入力信号によりパルス幅変調などを行なうことによりトランジスタでのオン、オフ制御により平均電圧を供給できるように変調し、トランジスタなどの電力素子で電力をモータの各相巻線へ与える。
AE5は、(19)式、(20)式、(21)式で計算する電流の順変換手段である。その出力MNKはAC相電流成分検出値Iacs、MNLはBA相電流成分検出値Ibas、MNMはCB相電流成分検出値Icbsである。
MNAはAC相電流成分指令IacoとAC相電流成分検出値Iacsとの差分を求め、補償器MN1でAC相電圧成分指令VFaco求める。
MNBはBA相電流成分指令IbaoとBA相電流成分検出値Ibasとの差分を求め、補償器MN2でBA相電圧成分指令VFbao求める。
MNCはCB相電流成分指令IcboとCB相電流成分検出値Icbsとの差分を求め、補償器MN3でCB相電圧成分指令VFcbo求める。破線MN4で示す範囲は、電流成分Iac、Iba、Icbで制御する範囲を示している。
MNG、MNH、MNJは各相のフィードフォワード電圧をそれぞれに加える加算器である。特に、モータの回転数ωrが高速になると、電流のフィードバック制御による電流制御の精度が保てなくなり、電流制御誤差が大きくなる。前記電圧フィードフォワード手段A8Aにおいて、(1)式から(130)式に記載した電圧に関わる式、および、前記基礎データDATAを使用して各相巻線の電圧予想値をフィードフォワード電圧として与えることにより正確な電流制御が可能となる。また、A65は、各相の巻線の電圧指令を入力とし、電圧増幅する前記電力変換器である。
次に、請求項4について具体的に説明する。
図28は、図26の電流制御手段A63と電圧制御手段A64を具体化した構成の例を示す図である。図27の構成とは、電流の制御方法が異なる。
A73、A74、A75はAC相、BA相、CB相の電流成分指令手段であり、図27のMNQを詳しく記述した例で、同じ機能である。電流成分指令手段A73は、トルクの指令情報A6Jを入力として、A6Mのロータ回転位置θrに基づき、AC相ステータ磁極の電流成分IacとIcaを求める。具体的には、電流成分Iac、Icaの電流パターンと電流の大きさを求める。なお、Iac=Icaである。これらの値は、A6Lに示すように、前記基礎データDATAを使用してより正確に求めることができる。A6Nのロータ回転数ωrの値によって、前記の電流パターンと電流の大きさを修正することもできる。
A75はCB相の電流成分指令手段であり、A73と同様の機能である。
A76は、AC相電流成分指令IacとBA相電流指令Iabとを加えてA相電流Iaを作成する(4)式の電流逆変換機能である。
A77は、BA相電流指令IbaとCB相電流成分指令Ibcとを加えてB相電流Ibを作成する(5)式の電流逆変換機能である。
A78は、CB相電流成分指令IcbとAC相電流指令Icaとを加えてC相電流Icを作成する(6)式の電流の逆変換機能である。
A82はB相電流IbへA6GのB相電流検出値Ibsを減算し、フィードバックしてB相電流誤差を求め、補償器A85でB相電圧指令Vboを作る。
A83はC相電流IcへA6HのC相電流検出値Icsを減算し、フィードバックしてC相電流誤差を求め、補償器A86でC相電圧指令Vcoを作る。
A87は加算器で、前記A相電圧指令Vaoと前記A相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
A88は加算器で、前記B相電圧指令Vboと前記B相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
A89は加算器で、前記C相電圧指令Vcoと前記C相フィードフォワード電圧とを加算し、前記電力変換器A65へ出力する。
図28の制御と図27の制御との差異は、各相の電流成分でフィードバックして制御するか、各相の電流でフィードバックして制御するかの違いである。勿論、目的とすることは同じであるが、補償器の配置と作用の違いで、特徴が出てくる。モータの要求仕様で使い分けることになる。
次に、請求項5について具体的に説明する。
図29は、図26の電流制御手段A63と電圧制御手段A64を具体化した構成の例を示す図である。そして、図29は、図27の構成と図28の構成とを複合化した構成である。図29の加算器MNA、MNB、MNC、MND、MNE、MNF、および、補償器MN5、MN6、MN7は図27の同一符号の加算器、補償器と同一配置、同一機能である。また、図29の加算器A76、A77、A78、A81、A82、A83、および、補償器A84、A85、A86は、図28の同一符号の加算器、補償器と同一配置、同一機能である。
加算器MMHは、補償器MN6の出力であるB相電圧指令Vbo成分と補償器A85の出力であるB相電圧指令Vbo成分とB相巻線のフィードフォワード電圧A8Sとを加算し、B相電圧指令Vboとして前記電力変換器A65へ出力する。
加算器MMJは、補償器MN7の出力であるC相電圧指令Vco成分と補償器A86の出力であるC相電圧指令Vco成分とC相巻線のフィードフォワード電圧A8Tとを加算し、C相電圧指令Vcoとして前記電力変換器A65へ出力する。
図30の横軸はロータ回転角θrで、縦軸は各電流の電流の大きさである。図1のモータについて、図16に示す電流成分を想定し、CCWに一定トルクで回転する動作について考える。図1の各相電流Ia、Ib、Icと図16の各電流成分Iac、Iba、Icbとの関係は、(1)式から(6)式および(19)式、(20)式、(21)式に示した関係である。各相電流と各電流成分との間の順変換および逆変換は容易にできる。
まず、図1、図2のθr=15°から45°の間で比較的小さなトルクを発生する場合は、電流IacとIcaを通電することにより(42)式のトルクが発生する。AC相のステータ磁極A01とロータ突極A0Kの間でF01で示す磁束φacが発生し、CCWのトルクが生成する。
同様に、θr=105°以降も各電流成分Iac、Iba、Icbを図30に示すように通電することによりほぼ均一のトルク発生してCCWへ連続的に回転することができる。この時、図1の各相の巻線に通電する電流Ia、Ib、Icは(4)式、(5)式、(6)式で示され、図30に示す電流Ia、Ib、Icの値となる。各電流共にほとんどの期間で電流を通電し、一部の期間で電流の値が大きくなっている。
ELI=(進み電流×漏れ磁束などの鎖交磁束
×磁束が鎖交する巻き回数)/2 (131)
また、図10に示した電流通電方法では、回転数が上昇すると、ごく短時間にある相の電流を減少させながら他相の電流を増加させる必要があり、ある回転数以上では困難である。また、ステータ磁極の幅を30°より広くすると、負トルクの発生する角度範囲が増加するなどモータの構造的な制約も発生する。
また、事前に通電する進み電流IFPは、回転数が小さいときにはその角度幅を小さくすることが巻線抵抗でのジュール損低減の上で効果的である。さらに極低速回転においては(38)式の微分式の第1項で示される電圧成分が小さいので、事前に通電する各相の進み電流IFPは不要である。図10に示すような電流で連続的トルクを発生することができる。
最初に、AC相ステータ磁極の電流成分Iac、Icaについて考える。
図7はロータ回転位置θr=75°であるが、そのロータ突極のCW側隣のロータ突極にとってはθr=−15°である。そのロータ回転位置からCCWのθr=−10°辺りからAC相のステータ磁極A01の周辺は空隙となり、負トルクを発生するなどの害はない。それで、あるていどの高速回転を想定し、θr=−10°の辺りから15°の間で電流IacとIcaを進み電流IFPとして通電しておくことにする。この電流の大きさはIF1で、AC相ステータ磁極がロータ突極と対向する時に磁束密度が軟磁性体の飽和磁束密度となる程度の電流とする。電流値IF1は界磁電流と考えることもできる。
BA相のステータ磁極の電流IbaとIabについても、AC相と同様の動作を行い、AC相に対して位相が30°遅れた図31の電流Iba、Iabとなる。
CB相のステータ磁極の電流IcbとIbcについても、BA相と同様の動作を行い、BA相に対して位相が30°遅れた図31の電流Icb、Ibcとなる。この時、図31の各相の巻線に通電する電流Ia、Ib、Icは、(4)式、(5)式、(6)式で示され、図31に示す電流Ia、Ib、Icの値となる。各電流共にほとんどの期間で電流を通電し、一部の期間で電流の値が大きくなっている。
以上説明したように、図28、図27、図29などのように制御することにより、全節巻きSRMの複雑な電磁気関係に関する前記第1の問題点、磁気非線形に関する前記第2の問題点を改善することができる。
次に、請求項6について具体的に説明する。
図32は、図26に示すトルク制御手段A62の出力であるA6Jのトルク指令Toを、より正確に制御するための補償制御の一例である。
AE4は、AC相の電流成分検出値Iacs、BA相の電流成分検出値Ibas、CB相の電流成分検出値Icbsとロータ回転位置θrの情報からモータのトルク推定値ML3を計算するトルク検出手段TSである。例えば、ロータ回転位置θrに応じて、(42)式、(54)式、(61)式、あるいは、(68)式、(75)式、(82)式、あるいは、(89)式、(96)式、(102)式、あるいは、(108)式、(114)式、(120)式により求めることができる。より正確にモータトルクを推測する方法として、ロータ回転位置θrと各相電流あるいは各相電流成分の組み合わせに関するデータベースを有限要素法等により表形式で作成しておき、検出したロータ回転位置θrと各相の電流成分検出値Iacs、Ibas、Icbsに応じてたトルクを有限量のデータベースの値から内挿計算して求める方法である。
次に、請求項7について具体的に説明する。
図30と図31の例に示したように、図1等に示す全節巻きSRMでは、各相の電流Ia、Ib、Icの通電幅は電気角で約85°であり、電流を通電していない区間の幅は約5°である。従来の各相電流の通電角の幅より大きく、逆に、通電していない区間は狭い。これは、ステータ磁極の円周方向幅を電気角でHtとし、ロータ磁極の円周方向幅を電気角でHmとして、HtとHmとの小さい方の角度をHnとする時、ロータの回転に伴って各相の巻線に通電する電流の通電角幅が電気角で2×Hnより大きい関係であるとも言える。図21に示したモータの図33の電流特性も同様に、ロータの磁極幅が電気角で約60°であるのに対して相電流Ia、Ib、Icオンである通電幅は電気角で約160°で、相電流がオフの区間は電気角で約20°である。
次に、請求項8について説明する。
図9は、NN1が1で、ステータ磁極の数が電気角360°の間に6個である図1、図16などのモータの電流を制御する制御回路の例である。図9の動作については、先に説明したように、87DのA相巻線Waへトランジスタ871と872をオンすることにより電圧を印加し、A相電流Iaを増加させる。トランジスタ871と872のどちらか片方だけがオンの状態では、A相巻線Waとオンしているトランジスタとダイオードとで閉回路を成し、通電状態が継続する。そして、両トランジスタがオフの状態では、ダイオード877と878を介して電源87Gへ逆方向に電流通電し、A相巻線Waの磁気エネルギーが電源側へ回生し、A相電流Iaが減少する。このようにしてA相電流Iaの増減、エネルギーの供給と回生を行うことができる。
これらの各相の電流Ia、Ib、icは、(4)式、(5)式、(6)式で求められる各相電流であって、各電流成分Iac、Iba、icbを通電するための手段として通電されるものである。また、各相の電流は、図13に示した複雑な電磁気的な関係であるが、図9に示すように電気的には分離している。従って、電気的に、3相の電流を並行して、かつ独立に通電することができる。また、図9で通電する電流は片方向電流である。これらは、従来の3相交流モータを星形結線等で制御する3相交流電流、電圧とは異なる動作である。
図34の電圧Vaは、回転位置θrが20°から42.5°の間では、V1Rとなる。このVaの誘起電圧成分Vraは(121)式で与えられるが、図34に示したようにこの範囲ではAC相磁束φacだけが存在するという条件とする。
Vra=Nw×dφac/dt (132)
=Nw×d{Bmax×R×(θr−θoff)×tc}/dt
=Nw×Bmax×R×tc×ωr (133)
このVraの値は、モータ誘起電圧であり、回転角速度ωrに比例する値となる。
今、トランジスタ871、872およびダイオード877、878の平均的な電圧降下を概略値としてVTDとし、巻線抵抗をRaとする。そして、(133)式の電圧を含め、前記トランジスタのオンデューティが丁度50%で運転できていると仮定する。この時、A相電圧V1Rは次式となる。
Vs/2=Nw×dφac/dt+VTD+Ia×Ra (134)
Va=V1R=Nw×dφac/dt+Ia×Ra
=Vs/2−VTD (135)
Vc=V1R=Vs/2−VTD (136)
この時、B相巻線には電流が流れておらず、B相電圧Vbは次式となる。
Vb=−V2R=−Nw×dφac/dt
=−(Vs/2−VTD−Ia×Ra) (137)
以上のように、図34で回転位置θrが20°から42.5°の間では、A相電圧Va、C相電圧Vcは(135)式、(136)式であり、B相電圧Vbは(137)式であり、いずれも電源電圧Vsの近傍なので、図9の制御回路で電流の増減が自在に可能である。電流の制御性に問題はない。ただし、B相電圧Vbは、正負の符号だけでなく、電圧振幅もVa、Vcとは少し異なることに注意を要する。
Vs=−(Nw×dφac/dt+VTD+Ia×Ra) (138)
Va=−V3R
=−(Nw×dφac/dt+Ia×Ra)
=Vs+VTD (139)
Vc=Vs+VTD (140)
この時、B相電圧Vbは(138)式を代入し、次式となる。
Vb=V4R
=−Nw×dφac/dt
=Vs+VTD+Ia×Ra (141)
また、図9の制御回路で、例えば、トランジスタ871、872をオンし、A相電流Iaを単純に増加するタイミングでは、他相の巻線に与える電圧Vraは次式となり、
Vra=Vs−VTD−Ia×Ra (142)
電源電圧を超えることはない。特に、抵抗電圧降下(Ia×Ra)が大きければ、他相へ与える影響はその分だけ小さい。(141)式に示すように、電流を急速に減少させるときに他相の巻線へ与える電圧影響が大きい。図30、図31、図33などに示すような電流制御を行う場合には、各相の電流の増加の位相と各相の電流の減少の位相とが異なるようにするなどの工夫が必要となる。
次に、請求項9について説明する。
図35は、図26の電力変換器A65の構成を示す図である。FE4は図26の電圧制御手段A64であり、FE5はA相電圧指令Vao、FE6はB相電圧指令Vbo、FE7はC相電圧指令Vcoである。87DはA相巻線Wa、87EはB相巻線Wb、87FはC相巻線Wcである。FE8はA相の正の電圧を作成する電力変換部で、FE9はA相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEAで合成されA相巻線87Dへ電圧を供給し、A相電流Iaを通電する。FECはB相の正の電圧を作成する電力変換部で、FEDはB相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEEで合成されB相巻線87Eへ電圧を供給し、B相電流Ibを通電する。FEGはC相の正の電圧を作成する電力変換部で、FEHはC相の負の電圧を作成する電力変換部であり、加算部FEJで合成されC相巻線87Fへ電圧を供給し、C相電流Icを通電する。
このような構成において、正の電圧を作成する電力変換部FE8、FEC、FEGの最大電圧が、負の電圧を作成する電力変換部FE9、FED、FEHの電圧振幅よりも大きい構成とする。正の電圧を作成する電力変換部の電圧の方が大きければ、(141)式で示したような電力変換器A65内での電圧飽和の問題を軽減することができる。
次に、請求項10について具体的に説明する。
図36では、図35の正の電圧を作成する電力変換部FE8、FEC、FEGがトランジスタFK7、FK8、FK9である。図35の負の電圧を作成する電力変換部FE9、FED、FEHに相当するA相の電力変換部は、ダイオードFKDと抵抗FK4、ツェナーダイオードFKG、トランジスタFKAなどの組み合わせである。トランジスタFK7がオフした時にA相巻線87Dに流れているA相電流Iaをこれらの素子FK4、FKG、FKAへ通電し、A相巻線87Dの磁気エネルギーを消費し、A相電流Iaを減少させる。この時、抵抗FK4の両端に発生する電圧が電源87Gの電圧よりも小さくなるように、抵抗FK4の抵抗値、ツェナーダイオードFKGの電圧などを設定する。
図36の様な構成は、ファンなどの小型モータ用途で片方向回転で使用する場合などに効果的である。特に、後に述べる界磁巻線を付加した構成では、モータ内の界磁エネルギーが界磁巻線を介してモータ内で循環するので、図36の回路内で消費するエネルギーを小さくすることができ、効果的である。
次に、請求項11について具体的に説明する。
図37の構成では、A相巻線を同一スロットに2個巻回し、それらの巻線FL1とFL4を直列に接続している。模式的には、図16のような巻線配置である。同一スロットの2巻線は、できるだけ鎖交磁束が共通になるように、2巻線を並行して巻回するいわゆるバイファイラ巻きとしても良い。図37では、図35のA相の正の電圧を作成する電力変換部FE8がトランジスタFLA、FLBである。両トランジスタをオンすることにより電源87Gの電圧Vsを巻線FL1に印加する。
負の電圧を作成する電力変換部FE9は、図37では、トランジスタFLA、FLBのオフ動作とダイオードFLG、FLHおよび、巻線FL1とFL4による電圧分割である。両トランジスタをオフすることにより、巻線FL1ととFL4が逆方向に電源87Gの電圧Vsに制限される。
B相巻線FL2、FL5についても同様であり、トランジスタFLC、FLDにより正の電圧を与え、両トランジスタのオフによりダイオードFLJ、FLKを介して磁気エネルギーを電源87Gへ回生する。C相巻線FL3、FL6についても同様であり、トランジスタFLE、FLFにより正の電圧を与え、両トランジスタのオフによりダイオードFLL、FLMを介して磁気エネルギーを電源87Gへ回生する。
次に、請求項12について具体的に説明する。
図38は、図9で示した制御回路に電源84Dを追加し、トランジスタ871、873、875のコレクタの接続先を電源84Dの正側に変更しており。この構成により、各相巻線の電流を増加するときの電圧VFDの方が各相巻線の電流を減少するときの電圧VBDより、電源84Dの電圧だけ大きくできることになる。従って、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成であると言える。
次に、請求項13について具体的に説明する。
図39は、3相の各相巻線の電圧、電流を3個のトランジスタ564、565、566と3個のダイオード567、568、569で制御する構成である。56Cは回生される磁気エネルギーを充電して溜めるコンデンサである。トランジスタ56AとチョークコイルLDccとダイオード56Bはコンデンサ56Cの電荷を電源87Gへ移動させる。破線で囲うFP1は、DC−DCコンバータの構成となっている。破線FP1は一つの電源の機能でもあり、図38の電源84Dのように、バッテリなどの電源に置き換えることもできる。
87EのB相巻線についても、トランジスタ565とダイオード568によりその電流Ibを、Iaと同様に、増減して制御することができる。87FのC相巻線についても、トランジスタ566とダイオード569によりその電流Ibを、Iaと同様に、増減して制御することができる。なお、各トランジスタに負の電圧が印加されないように保護用のダイオード56Dを付加しても良い。
Va=Vc=Nw×Bmax×R×tc×ωr (143)
P1=(200V)×(10A)×(2巻線)
=4000[ W ] (144)
一方、図40に従来のブラシレスモータなどの3相交流モータを星形結線した巻線834、835、836と6個のトランジスタ841、842、843、844、845、846と6個のダイオード847、848、849、84A、84B、84Cとで構成する3相交流電圧、電流の制御回路を示す。この場合にも、直流電源87Gの電圧が200Vで、各トランジスタの電流容量が10Aであるとする。例えば、U相巻線834からV相巻線835へ200Vを印加し、最大電流10Aを通電したと仮定すると、その時の出力P2は次式となる。
P2=(200V)×(10A)
=2000[ W ] (145)
図2のモータと図39の制御回路の組み合わせと図40の通常の3相交流モータと制御回路とを比較すると、3個のトランジスタで4000Wの出力と6個のトランジスタで2000Wの出力であり、トランジスタ1個あたりの出力を比較すると、4倍となる。同一出力の条件で比較すると、図2のモータと図39の制御回路は、半分のトランジスタ数の3個で済み、かつ、トランジスタの電流容量は半分の5Aで、同一出力の2000Wを出力できることになる。
説明したように、図39などのモータ各相の電流が片方向電流なので、それぞれについて、1個のトランジスタと1個のダイオードという簡素な構成で電流を増減することが可能である。そして、図39などのモータの各ステータ磁極が隣接する2個の巻線によって同時に励磁できる点が大きな特徴である。2個の巻線から電力の供給が可能な構成となっている。そして、各巻線がそれぞれ円周方向両隣のステータ磁極の励磁に兼用して使用することができ、3巻線で3組のステータ磁極を励磁している。その結果、3相交流用の制御回路のトランジスタの総電流容量に比較して、図2のモータと図39の制御回路のトランジスタの総電流容量は、1/4にできる可能性がある。
また、図39の構成で、破線で示すDC−DCコンバータFP1の電圧を電源87Gの電圧より小さくすることにより、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成とすることができる。
次に、請求項14について具体的に説明する。
図41は、電源87Gと電源FNEの2個の電源があり、電源FNEの電圧VSS2を電源87Gの電圧VSS1より小さくできない場合の例である。図41では、図37の場合と同様に、A相巻線を同一スロットに2個巻回し、それらの巻線FN1とFN2を直列に接続している。
トランジスタFNAをオンすることにより電源87Gの電圧Vsを巻線FN1に印加する。トランジスタFNAをオフすることにより、巻線FN1とFN2がダイオードFN7を介して逆方向に電源FNEの電圧VSS2に制限される。
VSS1>VSS2×
(FN1の巻き回数)/(FN1とFN2の総巻き回数) (146)
B相巻線FN3、FN4についても同様であり、トランジスタFNBにより正の電圧を与え、トランジスタFNBのオフによりダイオードFN8を介して磁気エネルギーを電源FNEへ回生する。C相巻線FN5、FN6についても同様であり、トランジスタFNCにより正の電圧を与え、トランジスタFNCのオフによりダイオードFN9を介して磁気エネルギーを電源FNEへ回生する。図41の構成は、電流を減少させるときに他相に与える電圧影響を低減した構成であると言える。
次に、請求項15、16について具体的に説明する。
図42は、制御回路の構成をより簡素化できる構成である。図1のモータ構成において、A0DのA相巻線Waを同一スロットで並行に巻回する2巻線に分離する。他の相も同様である。模式的には、図16のA相巻線FD1、FD2のような構成である。図16の前記説明では電流成分を表現するための仮想の巻線として表現したが、図42の制御回路との組み合わせとする場合は並行して巻回する実体の巻線である。なお、同一スロットの2巻線は、できるだけ鎖交磁束が共通になるように、2巻線を並行して巻回するいわゆるバイファイラ巻きとしても良い。
図42の531と532はA相巻線で、巻始めの点で示すシンボルのように、これらの両巻線は磁束の鎖交する方向が逆方向となるように配置している。
Vs=−Nw×dφz−VDz−Ia×R2a (147)
ここで、Vsは電源87Gの電圧、VDzはダイオード53Bの順方向電圧降下、R2aは巻線532の抵抗値である。
同様に、533と534はB相巻線で、538は駆動用のトランジスタ、53Cは回生用のダイオードである。535と536はC相巻線で、539は駆動用のトランジスタ、53Dは回生用のダイオードである。
なお、図42の各巻線対は、各鎖交磁束が完全に両巻線に鎖交しているわけではなく、両巻線にはそれぞれ各巻線個別にわずかな漏れ磁束成分なども発生する。従って、各トランジスタがオフするときに、各トランジスタに瞬時過電圧がかかる場合がある。各トランジスタに印加する前記瞬時過電圧を吸収する目的で、例えば、ダイオード541、542、543とツェナーダイオード544を付加しても良い。これらに流れる電流は小さく、ノイズフィルターのような機能である。また、図42では、巻線が3対の場合について説明したが、4相、5相などの多相の場合についても、図42の制御回路を相数に応じて拡張して、同様に実現することができる。
次に、請求項17について具体的に説明する。図43は、図35において一部の機能を追加している。FS1はA相電圧を制限するA相電圧制限信号VAL1であり、FS4はA相電圧制限手段で、FE5のA相電圧指令Vaoを制限する。
FS2はB相電圧を制限するB相電圧制限信号VBL1であり、FS5はB相電圧制限手段で、FE6のB相電圧指令Vboを制限する。FS3はC相電圧を制限するC相電圧制限信号VCL1であり、FS6はC相電圧制限手段で、FE7のC相電圧指令Vcoを制限する。このように、各相の巻線を励磁する電圧を、各相電流の変化の状態、各相巻線の電圧印加状況、ロータ回転位置θr、ロータ回転角速度ωrなどに応じて制限する機能を持つ。このことにより、各相の電圧制御が、電圧飽和の問題で各相相互に阻害することなく電圧制御を実現する。
具体的には、もしこの二つの動作が重なった場合、A0DのA相電流Iaを減少し、同時にAOHのC相電流Icを増加する必要がある。BA相磁束φbaが減少すると、AOHのC相巻線には、正の誘起電圧Vcが発生する。
次に、請求項18について具体的に説明する。
図44は、図27、図28、図29などの各相の電圧司令部において、各相の電圧をバランス良く保つ機能を追加した図である。FR1はA相の電圧指令成分であり、A相電流Iaの制御誤差に基づいて作られている。FR2はB相の電圧指令成分であり、B相電流Ibの制御誤差に基づいて作られている。FR3はC相の電圧指令成分であり、C相電流Icの制御誤差に基づいて作られている。これらの情報と回転位置θrと回転角速度ωrをFR4の電圧制限論理部へ入力し、FR5のA相電圧制限信号VAL2、FR6のB相電圧制限信号VBL2、FR7のC相電圧制限信号VCL2を出力する。
FR8はA相電圧制限手段で、A相電圧指令成分FR1に電圧制約を加える。
FR9はB相電圧制限手段で、B相電圧指令成分FR2に電圧制約を加える。
FRAはC相電圧制限手段で、C相電圧指令成分FR3に電圧制約を加える。
FRCは新たなA相電圧指令、FRDは新たなB相電圧指令、FREは新たなC相電圧指令である。
また、各相の電流はロータの回転と共に繰り返し通電するので、電圧飽和などの問題が発生するときに、その次の電流サイクルで各相の電流成分の通電位相を変えて、より通電しやすい電流サイクルに修正して制御することもできる。
次に、請求項19について具体的に説明する。
図45は、図30に示した各相の電流成分Iac、Iba、Icbへ各ステータ磁極の磁束を励磁する界磁励磁電流成分IFCを付加した図である。結果として、各相の電流Ia、Ib、Icへも(IFC×2)の界磁励磁電流成分が付加されることになる。
軟磁性体の磁界の強さと磁束密度の関係は一般的に図14のような特性を示している。従って、例えば、ロータが停止している状態では、界磁励磁電流成分を通電した後の電流増加に伴う電圧は、比較的小さい。
次に、請求項20、21について具体的に説明する。
図46は、図1に示したモータ構成に界磁磁束を励磁する界磁電流Iffを通電する巻線を付加した構成である。A相巻線A0D、B相巻線A0F、C相巻線A0Hはそれぞれ全節巻線である。界磁巻線は、各ステータ磁極に集中的に巻回していて、いわゆる集中巻線の形態とした例である。
A01のAC相ステータ磁極には巻線FZ1とFZ2と破線FZ3で示す集中巻きとし、電流の方向は電流のシンボルを図示するように、A相電流Ia、C相電流Icとそれぞれ同一方向である。同様に、A04のAC相ステータ磁極には巻線FZ9とFZAとで示す集中巻きとする。
A05のCB相ステータ磁極には巻線FZ8とFZ7とで示す集中巻きとし、A02のBA相ステータ磁極には巻線FZDとFZ4とで示す集中巻きとする。
FZEとFZFとFZGとFZHおよびFZJは各集中巻き巻線の繋ぎの線であり、電流方向を合わせて直列に接続している。FZKとFZLは界磁巻線の端子である。
界磁巻線は全てのステータ磁極に巻回し、電流の方向は各相電流Ia、Ib、Icと同一方向で、各界磁巻線を直列に接続する。従って、巻き方は特に限定されず、全節巻きでも集中巻きでも良い。また、環状巻、波巻き、鼓状巻などの巻き方も限定されず、どの巻き方でも良い。
次に、界磁電流Iffを通電する具体的な回路の例を図47に示す。L11とL14はAC相の界磁巻線、L13とl16はBA相の界磁巻線、L15とL12はCB相の界磁巻線である。トランジスタL17で制御して界磁電流Iffを制御する。L18はフライホイールダイオードである。
(Vf1+Vf4)は、図48に示すAC相ステータ磁極の2個の界磁巻線L11の電圧Vf1と界磁巻線L14の電圧Vf4の和である。
(Vf3+Vf6)は、図48に示すBA相ステータ磁極の2個の界磁巻線L13の電圧Vf3と界磁巻線L16の電圧Vf6の和である。
(Vf5+Vf2)は、図48に示すCB相ステータ磁極の2個の界磁巻線L15の電圧Vf5と界磁巻線L12の電圧Vf2の和である。
例えば、低速回転で出力トルクが大きいときには、界磁電流Iffにより各相電流Ia、Ib、Icの電流負担を軽減できるので、効果的である。中速回転では、界磁電流Iffにより3相巻線の誘起電圧に偏り現象を引き起こすので、問題もある。高速回転においては、界磁電流Iffにより、各相電流Ia、Ib、Icの無効電流成分を低減できるので効果的である。このような事情で、回転数ωr、負荷トルクの大きさにより界磁電流Iffの大きさを可変制御する。
次に、請求項22について具体的に説明する。
図50は、図48の全界磁巻線をダイオードL18を介して閉回路とした構成である。各界磁巻線には並列に各相の巻線を巻回しているので、界磁エネルギーは各相の巻線側から供給することができる。シャント抵抗器による界磁電流の値を検出するなどの何らかの方法での界磁電流成分を検出することができる。あるいは、磁束の大きさをホール素子などで検出する、あるいは、巻線の誘起電圧検出で磁束を認識することができる。この界磁電流成分などの大小に応じて、各相の電流Ia、Ib、Icにより界磁エネルギーを界磁巻線へ供給することが可能である。このように界磁巻線へ界磁エネルギーを間接的に供給することができる。この場合は、図50に示すように、界磁電流駆動にトランジスタが不要になり、簡素化、低コスト化を実現できる。
次に、請求項23について具体的に説明する。
図85に示したスイッチトリラクタンスモータへ図46に示すような界磁巻線を付加した構成である。このような構成とすることにより、モータの界磁電流負担を界磁巻線で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の電流負担および電圧負担を軽減できる。
次に、請求項24について具体的に説明する。
図51は、図1の各ステータ磁極へ同一極性方向の永久磁石を追加した構成である。図46で示した界磁巻線が作用する起磁力の方向と同じ方向である。永久磁石B17、B18、B19、B1A、B1B、B1C、B1D、B1E、B1F、B1G、B1H、B1Jを各ステータ磁極に配置している。このような構成とすることにより、ロータ突極が近接すると磁束が発生する。従って、前記の界磁巻線の作用を発生することになる。
図1に示したモータの各相電流Ia、Ib、Icの界磁電流負担を永久磁石で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の各相電流負担および電圧負担を軽減できる。また、各相電流成分Iac、Iba、Icbを制御することにより、各ステータ磁極の磁束φca、φba、φcbの強めおよび弱めも行うことができる。
なお、各相電流が零の時に、各ロータ突極に永久磁石の作用で発生するトルクは、CCWとCWのトルクがバランスしているので、おおよそ零である。ラジアル方向の力も、従来のモータと同様にキャンセルする構成である。また、永久磁石の種類は、ネオジム系の永久磁石、サマリウム系の永久磁石、フェライト磁石、鋳造磁石などの種々永久磁石を使用することができる。
図51のモータでは、減磁の心配が不要なので、永久磁石の厚みを限界まで薄くできることになる。磁石の保持力を大きくするためにデスプロシウム、テレビウムなどが使用されていて、資源問題が顕在化しているが、それらの問題も軽減できる。このように、使用する永久磁石の量を少なくすることができ、コスト的に有利である。
低速回転では永久磁石を強め、高速回転では磁石を弱めることにより、定出力特性を示すモータ運転が容易となる。なお、永久磁石と界磁巻線とを併用して、両方の特徴を発揮することも可能である。
次に、請求項25について具体的に説明する。
図53は、AC相のステータ磁極B17とB1Aの片側B17にだけ永久磁石B11を配置している。永久磁石B11が発生する磁束はB18、B1Bのステータ磁極へも通過することになるが、磁石個数を低減することができる。BA相ステータ磁極B19、B1Cについても同様である。CB相ステータ磁極B1B、B18についても同様である。
次に、請求項26について具体的に説明する。
図54は、図1のモータを8極にし、一部のステータ磁極へS極永久磁石とN極永久磁石を追加した図である。全周は電気角で360°×4=1440°である。ステータ磁極の数は24個でロータ突極L77の数は16個である。L7C、L7E、L7H、L7Lは電気角で360°ピッチのステータ磁極で、いずれもAC相ステータ磁極である。L7Aの内径側はS極磁石で、L7Bの内径側はN極磁石で、いずれも、AC相ステータ磁極L7C、L7Dに取り付けている。同様に、L7JのS極磁石とL7GのN極磁石をBA相のステータ磁極に取り付けている。同様に、L7KのS極磁石とL7MのN極磁石をCB相のステータ磁極に取り付けている。
次に、請求項27について具体的に説明する。
図85は、各ステータ磁極へ集中巻線を施した構成のモータであり、このようなモータへ図51、図52に示すような永久磁石を付加することができる。永久磁石により、モータの界磁電流負担を界磁巻線で受け持つことができ、前記と同様に、各相巻線の電流負担および電圧負担を軽減できる。
次に、請求項28について具体的に説明する。
図55は、図1のモータに比較し、各スロットの開口部へ永久磁石L8D、L8E、L8F、L8G、L8H、L8Jを付加している。各ステータ磁極の磁束の方向は2重線の矢印で示す方向であり、破線の矢印で示す各永久磁石の磁束の方向とはステータ磁極の部分で反対向きとなるように配置している。従って、モータの電流が流れていない状態では、各ステータ磁極はそれぞれに磁束密度は逆方向にバイアスされている。そして、2重線で示す磁束をより多く通すことが可能となる。
次に、請求項29について具体的に説明する。
図56は、図26における電流制御手段A63の例をより具体的に示す図である。また、図27に示す電圧フィードフォワード手段A8Aも付加して示している。図56では、図26のA60で示す速度指令ωoとロータ速度ωrの値からトルク制御手段A62で作られたA6Jのトルク指令情報Toを入力とし、具体的な各相の電流成分の指令値Iaco、Ibao、Icboを出力する。また、界磁電流成分の制御と各相の電圧フィードフォワード値についても示している。
図5の磁束F21がCCWトルクを発生できるので、電流成分Ibaを流せばよい。(54)式にトルクTbaと電流成分Ibaの関係が示されているので、電流成分Ibaの値を計算できる。もしこの時、AC相の電流成分Iacが流れていればA22の磁束により負トルク(−Tnac)を発生しているので、この負トルクを相殺するために、BA相トルクTbaにトルクTnacを加えて(54)式で計算すればよい。
前記のように、各相の電流成分Iacj、Ibaj、Icbjを決定し、出力する。これらの電流値の例を、図30の回転角位置θr=60°に示す。実際に、電力変換器A65で通電する電流、モータの巻線へ通電する電流は、既に説明したように、図30の相電流Ia、Ib、Icである。
また、後に示すように、トルク指令情報Toと回転角位置θrに応じた各相電流情報を、前記のような方法で求め、メモリ上に記憶させておき、メモリ情報を使用して各相電流指令を出力しても良い。なお、メモリ上の情報は、データ量の制約で離散的なデータとなるが、離散データの間の値は内挿計算により求めることにより、近似的に連続的な値として使用することができる。
次に、請求項30について具体的に説明する。
図56のFQEは界磁制御情報Foで、FQ2は界磁制御手段である。界磁制御手段FQ2の出力は、各相の界磁の励磁に関する電流成分で、FQ7はAC相の界磁電流成分Iack、FQ8はBA相の界磁電流成分Ibak、FQ9はCB相の界磁電流成分Icbkである。また、FQDは界磁電流指令である。
例えば、図1のモータにおいて、全ステータ磁極に一定の界磁電流成分IFCを通電する場合には、Iack=Ibak=Icbk=IFCとして、電流合成手段FQ3へ出力する。
Iaco=Iacj+Iack (148)
Ibao=Ibaj+Ibak (149)
Icbo=Icbj+Icbk (150)
また、いずれかの相のステータ磁極の界磁電流成分を通電する場合は、(148)式、(149)式、(150)式にその値を設定すればよい。例えば、図5において、CB相ステータ磁極A02、A05はθr=75°になるとステータ磁極とロータ磁極が対向し始めるので、図5のθr=60°でCB相の界磁電流成分を事前に通電する場合に(150)式のIcbkの値を設定する。
次に、図46に示すような界磁巻線を巻回している構成のモータでは、モータの発生トルクおよび回転数の条件により、FQDの界磁電流成分指令Iffを出力する。この電流は、図47、図48、図50、図77などの制御回路で制御することができる。
次に、請求項31について具体的に説明する。
図46などのように各ステータ磁極に界磁巻線を巻回して界磁電流を通電する構成、あるいは、図51、図52などのようにステータ磁極の永久磁石を配置する構成は、界磁磁束を励磁する起磁力分を負担できるので効果的であるが、不都合な面もある。それは、電圧の偏りの問題である。
例えば、図46のモータ構成で、図5のロータ回転位置θr=60°で、あるトルクを発生して、CCWへある回転速度で回転している状態を想定する。
図5の破線MR1で示すCB相の磁束φcbは零であると仮定し、(122)式、(124)式からA相電圧Va、B相電圧Vbは次式となる。
Va=(V2ac+V2ba)/2 (151)
Vb=(−V2ac+V2ba)/2 (152)
Pacx=dφac/dt×Nw×Iba (153)
第1の特定ステータ磁極の界磁弱め方法は、片方向電流である各相電流Ia、Ib、Icにより負の電流成分を作り出す方法である。図5の状態では、A0FのB相電流Ibを通電すれば、A22のAC相磁束φacを弱めることができる。ただしこの時、F21のBA相磁束φbaとMR1のCB相磁束が強められることには注意を要する。
Ia=0A (154)
Ib=10A
Ic=0A
を(19)式、(20)式、(21)式で電流成分に順変換すると、
Iac=−5A (155)
Iba=5A
Icb=5A
となる。AC相が弱められ、BA相、CB相が強められていることが確認できる。
Iac=−5A (156)
Iba=5+10=15A
Icb=5A
であり、(4)式、(5)式、(6)式で各相の電流に逆変換すると、次の値式となる。 Ia=10A (157)
Ib=20A
Ic=0A
Iac=−10A (158)
Iba=0A
Icb=0A
(4)式、(5)式、(6)式で各相の電流に逆変換すると、次の値式となる。
Ia=−10A (159)
Ib=0A
Ic=−10A
また、トルクリップルが問題となる場合は、ロータ軸に慣性体を付加するなどの他の改善策もある。
以上、図5のモータに界磁巻線が付加された構成について、トルクを発生する電流を通電する2個の巻線の電圧の偏りの低減する方法について説明した。この電圧の偏りを低減する方法は、図51、図52などのようにステータ磁極の永久磁石を配置する構成の場合についても同様であり、適用することができる。また、前記の「第1の特定ステータ磁極の界磁弱め方法」と「第2の特定ステータ磁極の界磁弱め方法」とを併用することもできる。
次に、請求項32について具体的に説明する。
前記2個の巻線の電圧の偏りの問題は、(121)式から(125)式の各相の電圧Va、Vb、Vcが電源電圧近くまで大きくなるときに問題となる。その観点では、(38)式などの各電流成分の電圧V2ac、V2ba、V2cbの電圧がどのような特性であるかと言うことと関係がある。(38)式では、微分の第1項の(dIac/dt)が問題である。また、(dIac/dt)に伴って、スロットの開口部に漏れ磁束が発生することから、(38)式では記載していない各相電流の増減に伴う電圧成分も無視できない。これらの電圧負担の問題を軽減する方法として、(154)式、(155)式などで示した電圧偏りの低減を各相電流の増減のタイミングに行う実用的で、効果的である。この方法により、電源電圧の負担を軽減することができる。
次に、請求項33について具体的に説明する。
まず、基本に戻って、モータの電流と電圧と磁束と回転数およびトルクについて考えてみる。図11のMK1に示すような単純な磁気回路の場合は、モータの巻線の電圧Vと電流Iと巻回数Nwと磁束φとは次式の関係である。
V=L×(dI/dt)=Nw×(dφ/dt) (160)
L×I=Nw×φ=Ψ (161)
Ψは磁束鎖交数である。
ここで、磁束鎖交数Ψは、モータの非線形有限要素法などによる磁場解析(FEM)でトルクを計算するときに、計算内部の情報として比較的容易に得られる情報である。また近年では、FEMなどでモータ特性を評価して開発することは常識化している。
また、磁束の情報としては、鎖交磁束φの回転変化率(dφ/dθ)をデータのメモリへ記憶する方法でも良い。巻線の電圧Vは次式となるので、鎖交磁束φの代わりに鎖交磁束の回転変化率(dφ/dθ)を使用することができる。
V=Nw×dφ/dt
=Nw×dφ/dθ×dθ/dt
=Nw×dφ/dθ×ωr
なお、図58、図59で説明した磁束鎖交数Ψは、(161)式の関係であるから、鎖交磁束φの値を代わりに使用しても良い。また、インダクタンスLは非線形であるが、電流値Iが決まればその動作点の平均インダクタンスLはΨ/Iなので、各電流値における平均インダクタンスを磁束鎖交数Ψの代わりに図58、図59のデータとしても、等価に使用することができる。これらも本発明に含むものである。
次に、請求項34について具体的に説明する。
図60は、モータの各回転数における最大トルクM72と最大パワーM71の例を示す図である。横軸はロータ回転角周波数ωrで、縦軸はパワーおよびトルクである。図60は典型的な定出力特性で、基底回転数ωr2より大きな回転数では次第に最大トルクが低下する特性となっている。このような場合、図26、図56の制御において、A6Jのトルク指令Toは速度誤差に基づいて計算されるが、高速回転では最大トルクが図60のように制限されているので、電流の制御が可能であるかどうかを検証する必要がある。
次に、請求項35について具体的に説明する。
A相巻線Waについて考えると、図59の表でトルク指令に対応するA相電流Iaは分かるが、A相電圧Vaは分からない。A相電圧Vaは(38)式、(122)式などに示すように複雑な値である。特に、リラクタンスモータは電流値により軟磁性体部の磁束密度が変化するので、複雑な電圧値となる傾向がある。電流制御において、電流値のフィードバックだけで電流を制御するとその電流応答遅れが問題となることがある。特に回転数が大きくなると電流応答の遅れ時間がモータトルク特性に大きく影響し、期待するトルクが出ないなどの問題となる。
Va=Nw×dφa/dt
≒(Ψa2−Ψa1)/Δt (162)
Vb≒(Ψb2−Ψb1)/Δt
Vc≒(Ψc2−Ψc1)/Δt
なお、各相の電流Ia、Ib、Icは電流成分Iac、Iba、Icbと相互変換できるので、トルク変換手段FQ1および界磁制御手段FQ2においては、どちらの値で計算しても良い。また、各相巻線の電圧についても電流成分に関する電圧V2ac、V2ba、V2cbで計算しても良い。また、(162)式などをさらに高精度化するため、(22)式、(23)式、(24)式に示すような抵抗電圧降下、および、漏れ磁束の電圧成分を付加することもできる。
次に、請求項36について具体的に説明する。
図61は、外径側と内径側とに2個のモータを組み込んだ複合構造のモータである。図61は8極のモータで、図1に示すモータを8極にし、最も外径側にロータR1を配置し、その内側にロータR1に対応するステータS1を配置し、ステータS1の内径側にステータS2を配置し、ステータS2の内径側にステータS2と作用するロータR2を配置している。すなわち、図1のモータを8極に多極化し、外形と内径に2個のモータを複合化して配置したモータである。なお、巻線は図1のロータ構成あるいは、その他のモータでも同様に実現できる。
461、462、463、464、465などはロータR1の突極である。46A、46B、46C、46DなどはロータR2の突極である。
巻線46M、46Q、46T、46WはB相の巻線である。位相は異なるが、A相巻線と同様である。巻線46L、46P、46S、46V、はC相の巻線である。位相は異なるが、A相巻線と同様である。また、AC相の磁束の一部を4AXと4AYの矢印線に図示する。同一相の外径側モータの磁束と内径側モータの磁束とが、ステータのバックヨーク部で並行して通ることになる。
次に、請求項37について具体的に説明する。
図62のモータは、図61のモータに比較して、外径側のステータ磁極と、バックヨークを中心に背中合わせに配置する内径側のステータ磁極との位相差が電気角で180°異なるステータ磁極の配置である。
巻線LAB、LA5はA相の巻線である。巻線LA3、LA6はB相の巻線である。巻線LA1、LA4、LA7はC相の巻線である。各相の巻線ピッチは電気角で180°の全節巻きである。
前記DR1とDR2との差に起因して、外径のモータと内径のモータとでは磁束の大きさの差が発生しやすい。この対応として、破線で示すLAU、LAV、LAWなどのように、両ステータのバックヨークを少し設け、前記の磁束の大きさの差を解消することもできる。モータ全体の磁気的な適正化を図れるので、トルクを増加することができる。また、ステータの各ステータ磁極を軟磁性体で結合できるので、ステータ製作の容易化を図ることができ、ステータの剛性も改善できる。
次に、請求項38について具体的に説明する。
図63は、図61のモータに比較して、内径側のステータS2の円周方向位置をCCWへスロットピッチの1/2シフトしている。そして、スロットの奥の形状を半円形に変形している。46U、46RはA相巻線、46Q、46TはB相巻線、46S、46PはC相巻線である。このような形状に変形することにより、両ステータのバックヨーク磁路を広くすることができる。その結果、内径側のロータR2の外径を大きくすることができている。そして、前記のように、モータ全体のトルクを改善することができる。なお、スロットの形状は、バックヨークの磁路断面積が増加するように、台形など他の種々形状としても良い。
次に、請求項39、40について具体的に説明する。
図65では、図61に比較して、界磁巻線LDH、LD2、LD5、LD9、LDB、LDEを追加している。これらの界磁巻線はシンボルで示す電流方向を合わせて直列に巻回する。図46で示した界磁巻線と同様の作用を行うことができる。界磁巻線の電流は、図47、図48、図50などの回路で通電することができる。
さらに、回生巻線LDG、LD1、LD4、LD7、LDA、LDDなどを追加することができる。これらの回生巻線は図42における回線巻線532、534、536に相当する巻線である。図42に示す制御回路により電流を通電することができる。
これらの界磁巻線、回生巻線はどちらか片方を設けること、あるいは、両方を設けることが可能である。単純モデル的には、各相巻線を直列に接続した界磁巻線も回生動作が可能である。しかし、各巻線の漏れインダクタンス成分などもあるため、相互インダクタンス成分だけでなく自己インダクタンス成分もあるので、界磁巻線と回生巻線とが回生時に異なる作用を行う。
次に、請求項41について具体的に説明する。
図66は、図61に示す複合モータの縦断面の例である。LE2は外径側のステータS1と内径側のステータS2とを構成する軟磁性体である。LE4はステータの巻線である。MA5は両ステータを支持し、固定するステータ固定部材である。MA9は機械本体などの固定部である。ステータ固定部材MA5は、ボルトなどにより固定部MA9へ固定する。LE1は外径側のロータR1で、LE3は内径側のロータR2である。R1とR2はロータ出力軸LEBと一体となった回転部材で支持され、ステータ固定部材MA5が軸受けMA7とMA8とで回転部材を支持している。
その結果、ロータ軸をロータ軸方向の両端で支持することにより支持剛性を向上することができる。そして、ロータの振動も低減することができる。また、モータの固定側とロータ出力軸の方向を同一方向としている。複合モータは内部構造が複雑になるが、このような構成とすることにより、精密用途にも使用でき、低騒音化を図ることができる。
次に、請求項42について具体的に説明する。
図68は図67を部分的に拡大して示す図である。巻線LE4の発熱QWは大きく、熱をどのように放熱するかが大きな課題である。
巻線LE4は銅あるいはまれにアルミであり、いずれも熱伝導性に優れている。巻線LE4にLF4を密着し、LF4をモータケースLE5へ密着する。LF4は熱抵抗が小さい熱伝導部材で、粘土状の物質、ワニス、薄い電気絶縁体などである。モータケースLE5の熱は、ステータ固定部材LEAの方へ、矢印LF2で示すように伝達する。
また、ステータ固定部材LEAとモータケースLE5の材質、形状は特に限定しないが、熱伝達効率の良い構成が望ましい。また、液冷技術、ヒートパイプなども使用できる。また、ヒートシンクLF1を取り付け、LF3で示す放熱経路のように放熱することもできる。
次に、請求項43について具体的に説明する。
図21は、電気角で360°の間にステータ磁極が6個で、ロータ突極が2個の構成の例である。この構成の問題点の一つは、ステータの開口部にロータ突極が差し掛かるときにトルクが低下することと、ステータ開口部を小さくするとその部分での漏れ磁束が増加することである。このトルク低下と漏れ磁束増加が、開口部の大きさに関して背反関係となっている。開口部を大きくすると漏れ磁束は減少するがその部分でのトルクが低下する関係である。
次に、請求項44について具体的に説明する。
図71は、図70に示すステータ磁極の配置に対して、ステータ開口部が大きくなる方向に、ステータ磁極を交互にロータ軸方向にずらした構成である。この形状から分かるように、原理的にトルクの大きさは変えず、開口部の漏れ磁束を低減することができる構成である。
次に、図72の構成は、図70のステータ開口部の大きさと同程度に各ステータ磁極の円周方向幅を広げた構成である。従って、図69、図70の構成と同程度のスロット開口部の漏れ磁束でありながら、トルクリップルを低減できる構成である。前記の背反関係を解消できる構成である。同時に、ステータ磁極の円周方向幅を広げているので、平均トルクも増加している。また、AC相ステータ磁極であるLJ1とLJ4とがロータ軸方向に対称な配置となっているので、ロータ軸方向の力もキャンセルすることができる。
図21の構成のモータを、図70の様なステータの配置構成、巻線の配置構成とすることにより、トルクリップルが小さく、スロット開口部の漏れ磁束が過大ではないのでステータ磁極の磁気飽和問題を軽減し、巻線の長さを低減できるので巻線抵抗を小さくし、巻線の製作性に優れたモータを実現することができる。
次に、請求項45について具体的に説明する。
図73は、ステータ磁極LL2とロータ突極LL4を部分的に拡大して示した図で、円周方向に相互に反対方向に傾けた構成としている。LL1はステータのバックヨーク、LL3はロータのバックヨークである。このような構成とすることにより、矢印LL5、LL6に示す部分の漏れ磁束を低減することができる。
この部分の漏れ磁束はトルク発生にも少しは寄与しているが、減少すればトルクが低下するものでもない。漏れ磁束を低減することにより、ステータ磁極とロータ突極の磁気飽和を低減することができる。その結果、ピークトルクの増加、トルクが大きいときのトルクリップルの低減が可能となる。ただし、この効果はCCWのトルクにだけ有効な構成で、CW方向トルクは逆効果である。片方向トルクを優先したモータ構成である。しかし、片方向回転の用途は、ブロワー、コンプレッサー、発電機、さらには、電気自動車の駆動用モータなど多くの用途があり、いずれも効率が求められ、重要である。
次に、請求項46について具体的に説明する。
図74の(a)は、ステータとロータとが対向する部分を部分的に拡大した図である。D51はステータ磁極の電磁鋼板などの軟磁性体で、D53は樹脂、空間などの非磁性体である。D52はロータ突極の電磁鋼板などの軟磁性体で、D54は樹脂、空間などの非磁性体である。D55はエアギャップ部である。
リラクタンスモータのトルクは、(29)式、(30)式、(31)式、(42)式などに示したように、前記のエアギャップ長Lgapを小さくするとトルクを増加できる。これは、エアギャップ部D55の磁気的な抵抗を小さくすればトルクを増加できるとも言える。図74の(a)の構成は、ステータ磁極とロータ突極が対向する磁路断面積を広げることにより磁気抵抗を小さくしている。等価的にエアギャップ長Lgapを小さくしたと言い換えることもできる。図15のトルク特性において、電流成分Agの値を小さくした効果でもある。
図74の(b)は(a)に比較して、ステータ磁極の先端部形状を変形し、ロータ突極の先端部形状も変形している。エアギャップ部D58を除く空間部を樹脂などで充填しても良い。D56、D59、D5Bはステータ磁極の軟磁性体である。D57、D5A、D5Cはロータ突極の軟磁性体である。図74の(b)は(a)と同様の効果を得る構成例である。
次に、請求項47について具体的に説明する。
図75は、図51と同じ構成のモータで、AC相ステータ磁極の永久磁石B17、B18、B1D、B1Eを着磁あるいは増磁する方法を示す図である。ロータ回転角位置θr=30°の位置でA0DのA相電流IaとA0HのC相電流Icに同じ値の電流を通電することにより、LN1の破線の矢印線で示す起磁力を生成し、AC相ステータ磁極の前記永久磁石を着磁あるいは増磁することができる。増磁の場合には、電流の大きさを増磁の程度に応じて適正な大きさとする必要がある。この適正の大きさの電流値は、一般的に永久磁石の種類、磁化の履歴により変わる。
なお、先に説明したように、本発明モータの磁石は、トルク発生時に減磁することがないので、必要な磁束を生成する最小限の薄磁石で構成することができる。従って、磁石の着磁、減磁を比較的容易に行うことができるので、モータのトルクを発生する制御装置で着磁、減磁も可能である。
また、着磁と増磁は、ロータの回転中に全相の電流Ia、Ib、Icを流し続けて行うこともできる。この方法は、図60の回転数−トルク特性において、回転角周波数がωr2からωr4の領域でモータを運転する場合、界磁磁束の可変が効果的である。ただし、その場合には、特定のロータ位置で2個の巻線を使用して励磁する場合の1/2の起磁力が各永久磁石に作用することになり、起磁力は低下する。
次に、請求項48、49について具体的に説明する。
図76は、図75と同様の構成のモータで、AC相ステータ磁極の永久磁石B17、B18、B1D、B1Eを消磁あるいは減磁する方法を示す図である。ロータ回転角位置θr=30°の位置でAOFのB相電流Ibを通電することにより、LP1の破線の矢印線で示す起磁力を生成し、AC相ステータ磁極の前記永久磁石を消磁あるいは減磁することができる。減磁の場合には、電流の大きさを減磁の程度に応じて適正な大きさとする必要がある。この時、LP2、LP3で示す起磁力も同じ値となるが、ロータ突極がBA相ステータ磁極およびCB相ステータ磁極の方向へは向いていないので、これらの永久磁石に作用する磁界の強さは小さい。従って、BA相とCB相の永久磁石は増磁しない構成とすることができる。
以上のように、モータのトルクを発生する制御装置と巻線を使用して、各ステータ磁極の永久磁石を消磁、あるいは、減磁することができる。ただし、これらの動作は、ロータの特定回転位置で行う必要があり、その点には注意を要する。
各ステータ磁極の永久磁石を回転中に着磁あるいは増磁する場合は、図75の説明で述べたように、各相の電流Ia、Ib、Icを通電すればよい。このように、高速回転中においても永久磁石の強さを可変できる。
一般的に、界磁電流などによる界磁磁束の制御では、界磁の強め、弱めに関わる電流を流し続ける必要があり、界磁の損失が無視できない。この点、永久磁石の可変機能があれば、界磁損失を大幅に低減することが可能となる。
なお、着磁、減磁は短時間で行えるで、各巻線は細い巻線で構成できる。各トランジスタの放熱の熱設計についてもその負担は小さく、冷却部等の小型化が可能である。また、各ステータ磁極の永久磁石の磁束を弱めて運転したい場合に、前記励磁電流を通電することもできる。
次に、請求項50について具体的に説明する。
図80は、図42の構成にトランジスタMP1、MP2、MP3とダイオードMP4、MP5、MP6を追加した図である。なお、図42に示される瞬時過電圧を吸収する目的のダイオード541、542、543とツェナーダイオード544は省略している。
図80の531と532はA相巻線で、巻始めの点で示すシンボルのように、これらの両巻線は磁束の鎖交する方向が逆方向となるように配置している。トランジスタ537をオンすることにより巻線531に電源87Gの電圧が印加され、A相電流Iaが増加する。トランジスタ537をオフすることにより電流Iaが遮断され、同時に、巻線531と532に鎖交する磁束φzの磁気エネルギーはダイオード53Bを介して電源87Gへ電流I2aが流れる。この動作は、図42の場合と同じである。
前記の負の電流成分Inaによる界磁弱め作用とは、図46のように界磁巻線を付加したモータ、あるいは、図51のようにステータ磁極へ永久磁石を付加したモータにおいて、不要で有害な磁束を低減する作用である。(151)式、(152)式で説明した電圧偏りの問題を低減する方法を界磁弱め作用と称している。図80の構成では、各相の負の電流を追加した各トランジスタで自在に通電できるので界磁弱め作用を実現できる。
Iac=−5A (163)
Iba=20A
Icb=0
(4)式、(5)式、(6)式の逆変換式で各相電流を求めると次式の値となる。
Ia=15A (164)
Ib=20A
Ic=−5A
また一般的に、界磁電流Iffは連続トルク電流の1/3程度であることが多く、また、ピークトルクは連続トルクの3倍程度とすると、界磁電流成分はトルク電流成分の1/9となる。このような構成の場合、追加するトランジスタMP1、MP2、MP3の電流容量は、トルク電流用トランジスタ537、538、539の1/9程度の電流容量となり、相対的に小さなトランジスタなので、追加のコストアップの比率は小さい。
次に、図80の回路構成によるトルク向上の方法について説明する。例えば、図5の状態においてCWトルクはA相電流IaとB相電流Ibによって得ることができるが、この状態で負のC相電流を通電することによりトルクを向上することができる。その状態では3個の巻線全てがトルク発生に寄与しており、モータ効率を向上することができる。
また、各永久磁石の着磁あるいは増磁は、トランジスタ537、538、539により各相へ正の電流を通電することにより実現することができる。これらの永久磁石の強さの可変は、3相全相の電流を並行して制御することができるので、高速回転で回転中にも行うことができる。
次に、請求項51について具体的に説明する。図81は3個の巻線の電流を制御するために12個のトランジスタを作用させる制御回路構成である。MSXはA相巻線である。トランジスタMS1とMS4をオンすることによりA相電流Iaを通電する。
負のA相電流を通電する場合は、トランジスタMS3とMS2をオンして通電する。MSYはB相巻線である。トランジスタMS5とMS8をオンすることによりB相電流Ibを通電する。負のB相電流を通電する場合は、トランジスタMS7とMS6をオンして通電する。MSZはC相巻線である。トランジスタMS9とMSCをオンすることによりC相電流Icを通電する。負のC相電流を通電する場合は、トランジスタMSBとMSAをオンして通電する。
図81の構成で界磁弱め作用を行う場合は、図80の制御回路の場合と同様に、トランジスタMS3、MS2、MS7、MS6、MSP、MSAの電流容量は小さくすることができる。その制御回路構成は、図9の制御回路構成に比較して、1/10から1/2程度の回路付加となる。しかし、制御回路が複雑になることは否めない。
次に、請求項52、53、54について具体的に説明する。
図82は、図46などの界磁巻線を備えたモータ、あるいは、図51などの永久磁石を備えるモータを使用して発電する場合の回路構成である。LU1はA相巻線Wa、LU2はB相巻線Wb、LU3はC相巻線Wcで、それぞれへダイオードLU4、LU5、LU6を取り付け、直流に整流している。LU7は出力電圧を安定するコンデンサである。整流器の出力側へは、コンデンサLU7を取り付けず、電圧を安定化するDC−DCコンバータなどを取り付けても良い。
図51などの永久磁石を備えたモータを使用する場合は、界磁電流の負担が無く、効率の良い運転ができる。発電動作では、負荷電流が流れることにより界磁磁束が強められるので、少量の永久磁石でも発電を行うことができる。
また、図46、図51の各相巻線Wa、Wb、Wcを図85の様な集中巻き構成とすることもできる。また、いずれの構成の場合にも、振動および騒音を低減するための対策が必要な場合もある。多極構成のモータの場合、一部のステータ磁極、あるいは、ロータ突極を円周方向にシフトすることにより、発電の位相を変え、作用する力の分散を図ることができる。その場合、各位相の電圧ごとに整流回路を設け、平均化を図ることもできる。
図84は、図19のモータに永久磁石を付加した構成のモータと出力側の整流回路の例である。同図の(a)に示すBF1、BF2、BF3、BF4、BF5、BF6、BF7、BF8、BF9、BFAは永久磁石である。同図の(b)に示すLY1はA相巻線、LY2はB相巻線、LY3はC相巻線、LY4はD相巻線、LY5はE相巻線である。LY6、LY7、LY8、LY9、LYAは整流用のダイオードである。なお、図83あるいは図84のモータ構成は、動作周波数の素数が大きくなり、さらに多極化することにより、振動、騒音の低減に有利である。
これらの間で、等価的には図85のモータの電流Iu、Iv、Iwは、(1)式、(2)式、(3)式から次式のように置き換えることもできる。
Iu=Iac=Ica (165)
Iv=Iba=Iab (166)
Iw=Icb=Ibc (167)
Vu=V2ac (168)
Vv=V2ba (169)
Vw=V2cb (170)
このように、(165)式、(166)式、(167)式、(168)式、(169)式、(170)式のように置き換えて、図1などのモータの電圧Va、Vb、Vcおよび電流Ia、Ib、Icを制御することも可能である。このような方法も本発明の技術であり、本発明に含むものとする。
また、一つのステータ磁極の先端部を多歯化することによるトルク向上、あるいは、ロータ突極の先端部を多歯化することによるトルク向上なども可能である。また、アウターロータモータ、アキシャルギャップ型モータ、リニアモータ、各種モータの複合化されたモータ等への応用が可能である。これらの種々変形したモータのついても、本発明モータの主旨の変形技術は本発明に含むものである。
これらの特徴から、競争力の高いモータ技術とすることができ、電気自動車の駆動用モータ、産業用モータ、家電用モータ等へ幅広く使用することができる。
A03、A06 BA相のステータ磁極
A05、AO2 CB相のステータ磁極
FDAC AC相の磁束φac
FDBA BA相の磁束φba
FDCB CB相の磁束φcb
FD2、FD8 AC相の電流成分Iac
FD9、FD3 AC相の電流成分Ica
FD6、FDF BA相の電流成分Iba
FD1、FD8 BA相の電流成分Iab
FDD、FD4 CB相の電流成分Icb
FD5、FDE CB相の電流成分Ibc
AOL ロータの突極
θr ロータの回転角位置
ωr ロータの回転角周波数
Claims (54)
- 電気角360°の間に配置する(4×NN1+2)個のステータ磁極と、
前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、
電気角360°の間に配置する2以上の偶数の数のロータ突極と、
前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA1とを備え、
前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。
ここで、NN1は1以上の整数である。 - 電気角360°の間に配置する(8×NN2)個のステータ磁極と、
前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
前記各ステータ磁極の間のスロットに配置する各相の全節巻き巻線と、
電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
前記の全節巻き巻線の内、少なくとも1個の全節巻線へ正負両方向の電流を供給する電力変換器PA2と、
その他の全節巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA3とを備え、
前記の各ステータ磁極について、その円周方向両隣に位置する2個の全節巻き巻線に通電すべき2個の電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。
ここで、NN2は1以上の整数である。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
各相の電流を検出する電流検出手段ISと、
各相の電流検出手段ISの出力である電流検出値Isから各ステータ磁極の前記電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、
各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令Voを作成する電圧成分合成手段VROとを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、
各相の電流検出値Isを検出する電流検出手段ISと、
各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令Voを作成する電圧指令手段VOとを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
各相の電流成分指令IFoを作成する電流成分指令手段IFOと、
各相の電流を検出する電流検出手段ISと、
各相の電流検出手段ISの電流検出値Isから各ステータ磁極の電流成分検出値IFsを作成する電流成分検出手段IFSと、
各相の電流成分指令IFoと電流成分検出値IFsから電圧指令V1oを作成する電圧指令手段V1Oと、
各相の電流成分指令IFoを合成して各相の電流指令Ioを作成する電流成分合成手段IROと、
各相の電流指令Ioと電流検出値Isとから電圧指令V2oを作成する電圧指令手段V2Oと、
各相の電圧指令V1oと電圧指令V2oを合成して電圧複合指令V12oを作成する電圧複合指令手段V12Oとを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
各相の電流検出値Isとロータ回転位置θrとからモータのトルク検出値Tsを作成するトルク検出手段TSと、
トルク指令Toとトルク信号Tsからトルク補正指令TCoを作成するトルク補正手段TCOとを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
ステータ磁極の円周方向幅を電気角でHtとし、ロータ磁極の円周方向幅を電気角でHmとして、HtとHmとの小さい方の角度をHnとする時、ロータの回転に伴って各相の巻線に通電する電流の通電角幅が電気角で2×Hnより大きいことを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載したモータにおいて、
前記電力変換器PA1は、一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR1と、
一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW1へ接続したトランジスタTR2と、
トランジスタTR1と巻線WW1の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、
トランジスタTR2と巻線WW1の接続点にアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、正の電圧VPA4を供給する電力変換器PA4と、
前記の各全節巻き巻線へ片方向の電流であって、負の電圧−VPA5を供給する電力変換器PA5とを備え、
前記前記電圧VPA4が前記電圧VPA5より大きく、
前記電力変換器PA4と電力変換器PA5とが一つの全節巻き巻線へ正と負の電圧を供給してその片方向電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項9に記載したモータにおいて、
各相巻線へ負の電圧を供給する電力変換器PA8は、電流を通電することにより電圧降下を示す電圧降下手段であることを特徴とするモータ。 - 請求項9に記載したモータにおいて、
同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW2、WW3と、
電力を供給する電源VS1と、
一端を電源VS1の正側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR1と、
一端を電源VS1の負側に接続し、他端を巻線WW2へ接続したトランジスタTR2と、
トランジスタTR1と巻線WW2の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS1の負側に接続したダイオードDD1と、
トランジスタTR2と巻線WW2の接続点に巻線WW3の一端を接続し、巻線WW3の他端をアノードを接続し、他端のカソードを電源VS1の正側に接続したダイオードDD2とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項9に記載したモータにおいて、
一つの相の巻線WW4と、
電力を供給する電源VS3と、
電源VS3に直列に接続した電源VS4と、
一端を電源VS4の正側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR3と、
一端を電源VS3の負側に接続し、他端を巻線WW4へ接続したトランジスタTR4と、
トランジスタTR3と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の負側に接続したダイオードDD3と、
トランジスタTR4と巻線WW4の接続点にカソードを接続し、他端のアノードを電源VS3の正側に接続したダイオードDD4とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
一つの相の巻線WW5と、
電力を供給する電源VS5と、
電源VS5に直列に接続した電源VS6と、
一端を電源VS5の負側に接続し、他端を巻線WW5へ接続したトランジスタTR5と、
トランジスタTR5と巻線WW5の接続点に接続点にアノードを接続しカソードを電源VS6の正側に接続したダイオードDD5とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW7、WW8と、
電力を供給する電源VS7と、
電源VS7に直列に接続した電源VS8と、
一端を電源VS7の負側に接続し、他端を巻線WW7へ接続したトランジスタTR7と、
トランジスタTR7と巻線WW7の接続点に接続点に巻線WW8を接続し、巻線WW8の他端にアノードを接続しカソードを電源VS8の正側に接続したダイオードDD7とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、
電力を供給する電源VS11と、
一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、
電源VS11の正側と負側の間に巻線WW12と直列にダイオードDD11を備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項15に記載したモータにおいて、
巻線WW11の巻き回数より巻線WW12の巻き回数の方が大きいことを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
一つの相の巻線WW13へ負の電圧を供給する電力変換器PA13は、パルス幅変調などによりトランジスタ13のオンとオフとの電圧幅の比率を可変することにより電力変換器PA13の出力電圧の平均電圧を所定値VLVに制限して制御し、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項17に記載したモータにおいて、
NN3個の相があり、NN3個の相の電流を制御し、これらのNN3個の電流誤差の中でより大きな電流誤差である相の電圧制御を優先して制御することを特徴とするモータ。 ここで、NN3は6以上の整数である。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
ステータ磁極の磁束を励磁する界磁電流成分IFCを全てのステータ磁極の電流として加えて制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
モータの各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項20に記載したモータにおいて、
各ステータ磁極のそれぞれに集中巻きの界磁巻線を巻回し、
各ステータ磁極に巻回した界磁巻線を直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項20に記載したモータにおいて、
直列に接続した前記界磁巻線に直列にダイオードを接続し、これらの両端を接続して閉回路とすることを特徴とするモータ。 - 電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、
前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、
電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9とを備え、
各ステータ磁極の界磁電流成分を通電する界磁巻線を全て直列に接続して界磁電流成分を制御することを特徴とするモータ。
ここで、NN4は2以上の整数である。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
ステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項24に記載したモータにおいて、
円周方向に電気角で180°離れた同一相の2個のステータ磁極の内、片方のステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項24に記載したモータにおいて、
モータの極対数が2以上で、
各相のステータ磁極の内、2個以上の同相のステータ磁極に永久磁石を備えることを特徴とするモータ。 - 電気角360°の間に配置する(2×NN4)個のステータ磁極と、
前記各ステータ磁極を磁気的に連結するバックヨークと、
前記各ステータ磁極に集中巻きした各相の集中巻き巻線と、
電気角360°の間に配置する2個以上のロータ突極と、
前記の各集中巻き巻線へ片方向の電流を供給する電力変換器PA9と、
ステータ磁極に配置した永久磁石とを備えることを特徴とするモータ。
ここで、NN4は2以上の整数である。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
ステータ磁極間に配置した永久磁石を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
トルク情報Toとロータ回転位置情報θsを使用して各相の前記電流成分指令IFoを求めて制御することを特徴とするモータ。 - 請求項29に記載したモータにおいて、
界磁電流成分IFCを制御することを特徴とするモータ。 - 請求項29に記載したモータにおいて、
回転角位置θrに応じて特定の相のステータ磁極の界磁磁束成分を低減する特定界磁低減手段を備え、
特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御することを特徴とするモータ。 - 請求項31に記載したモータにおいて、
各相電流が増加あるいは減少するタイミングにおいて特定のステータ磁極の界磁磁束を低減して制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
トルク情報Toとロータ回転位置情報θsに対応する各相巻線に鎖交する磁束の情報φdaを備え、この磁束情報φdaを使用して制御することを特徴とするモータ。 - 請求項33に記載したモータにおいて、
各ロータ回転数ωrに応じたトルク最大値の情報Tmaxを備え、このトルク最大値情報Tmaxを使用して制御することを特徴とするモータ。 - 請求項33に記載したモータにおいて、
磁束情報φdaと回転角速度ωr情報を使用して各相巻線の電圧予測値VFFを求め、この電圧予測値VFFを使用して制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
モータの外径側へ配置した第1のロータと、
モータの内径側へ配置した第2のロータと、
第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ同一位相のステータ磁極を配置した第2のステータと、
径方向に隣接する第1のステータのスロットとその背面に配置した第2のステータのスロットとの間へ巻回した巻線とを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
モータの外径側へ配置した第1のロータと、
モータの内径側へ配置した第2のロータと、
第1のロータと第2のロータとの径方向の中間であって、その外径側へ配置した第1のステータとその内径側へ電気角で180°の位相差を持つステータ磁極を配置した第2のステータと、
径方向に隣接する第1のステータのスロットおよび第2のステータのスロットとのいずれかのスロットの間へ巻回した巻線とを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項36または37に記載したモータにおいて、
第1のステータのスロットの円周方向位置と第2のステータのスロットの円周方向位置とが異なっていることを特徴とするモータ。 - 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線Wfと、
同一のスロットに巻回した該当する相の電流を通電する巻線Wabcとダイオードを直列に巻回していて磁気エネルギーを回生することのできる回生巻線Wreとを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項36、37、38のいずれか一つに記載したモータにおいて、
モータのロータ軸方向両側に配置した軸受けと
モータの外周に配置し、前記両側の軸受けを支持するモータケースと、
前記モータケースと接続部MCWで結合して固定するステータと、
前記接続部MCWとはロータ軸方向とは反対側の接続部MRRで前記第1のロータと前記第2のロータとを接続するロータ接続部を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項41に記載したモータにおいて、
前記ステータに巻回した巻線のロータ軸方向端から前記接続部MCWへ、あるいは、その近傍へ効率良く熱を伝えることのできる熱伝達部材を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
各相のステータ磁極のロータに対向する形状がロータ軸方向に大小の形状となる台形形状であり、各ステータ磁極の前記台形形状が、円周方向に前記大小関係が交互に逆方向に並んでいることを特徴とするモータ。 - 請求項43に記載したモータにおいて、
前記ステータ磁極のロータ方向位置が、交互にロータ軸方向の反対方向にずれた位置であることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
前記ロータ突極が円周方向の片方向に傾き、前記ステータ磁極がロータ突極の傾きとは反対方向に傾いていることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
電磁鋼板と非磁性体とがロータ軸方向に積層された構成のステータとロータを備えることを特徴とするモータ。 - 請求項24に記載したモータにおいて、
該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍でそのステータ磁極を励磁する電流成分を通電してステータ磁極に取り付けた永久磁石を着磁、あるいは、増磁することを特徴とするモータ。 - 請求項24に記載したモータにおいて、
該当するステータ磁極がロータ突極と対向するロータ回転位置θrの近傍で、そのステータ磁極を通過する磁束に電気角的にほぼ90°の位相差を持っていてそのステータ磁極の磁束の方向とは反対方向に励磁できる巻線に通電して永久磁石を消磁、あるいは、減磁することを特徴とするモータ。 - 請求項24に記載したモータにおいて、
各ステータ磁極の永久磁石へ起磁力を印可する励磁巻線と、
励磁巻線へ永久磁石が減磁する方向の電流を通電できる電流通電手段とを備え、
ステータ磁極の永久磁石の消磁、あるいは、減磁を行うことを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
同一のスロットに巻回した2個の同一相の巻線WW11、WW12と、
電力を供給する電源VS11と、
一端を電源VS11の負側に接続し、他端を巻線WW11へ接続したトランジスタTR11と、
トランジスタTR11に並列に接続したダイオード12と、
電源VS11の正側へ巻線WW12を接続し、巻線WW12の他端とたと電源VS11の負側との間に配置したトランジスタTR12と、
トランジスタTR12に並列に接続したダイオード11とを備え、
他の相の巻線についても同様の構成とし、各相の巻線の電圧および電流を制御することを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に記載したモータにおいて、
片方向の電流を供給する前記電力変換器PA1、あるいは、前記電力変換器PA3とは逆方向の電流を通電する電力変換器PA10を備えることを特徴とするモータ。 - 請求項1または2に係る発明において、
各ステータ磁極へ界磁電流成分を通電することのできる界磁巻線を備え、
前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器であることを特徴とする発電機。 - 請求項1または2に係る発明において、
ステータ磁極に配置した永久磁石を備え、
前記電力変換器PA1、あるいは、電力変換器PA2と電力変換器PA3は整流器であることを特徴とする発電機。 - 請求項23または27に記載したモータにおいて、
前記電力変換器PA9は整流器であることを特徴とするモータ。
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