JP2012110962A - 金属材の抜き加工におけるカス上がり、カス詰まり防止ダイ - Google Patents
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Abstract
【課題】あらゆる材質、あらゆる厚さの金属材を、大小任意の形状において抜き加工した際に発生する、カス上がりとカス詰まりを防止し、また、ダイの製作が容易である構成を図る。
【解決手段】金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工する際、前記ダイ2は、ダイ上面10にダイ刃先5を有し、前記ダイ刃先5からダイ下面11に向かって、前記パンチ1へ向かう方向の傾斜角度12を有するダイ刃先側面13を形成させることで、抜きカス18のカス上がりを防止させる。また、前記ダイ刃先側面13より前記ダイ下面11に向かって、前記パンチ1から離れる方向の傾斜角度17を有する抜きカス排出部19を形成させることで、前記抜きカス18のカス詰まりを防止させる。
【選択図】図1b
【解決手段】金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工する際、前記ダイ2は、ダイ上面10にダイ刃先5を有し、前記ダイ刃先5からダイ下面11に向かって、前記パンチ1へ向かう方向の傾斜角度12を有するダイ刃先側面13を形成させることで、抜きカス18のカス上がりを防止させる。また、前記ダイ刃先側面13より前記ダイ下面11に向かって、前記パンチ1から離れる方向の傾斜角度17を有する抜きカス排出部19を形成させることで、前記抜きカス18のカス詰まりを防止させる。
【選択図】図1b
Description
本発明は、パンチとダイによって金属材を抜く、抜き加工に関するものである。
従来、抜き加工に関するカス上がり防止のために発明された構成がある。
特許文献1における、カス上がり防止の構成を図2に示す。
この構成は、金属材3aをパンチ1とダイ2によって穴形状に抜き加工した際に発生する抜きカス18を、ダイ2のダイ上面10のダイ刃先5よりダイ下面11に向かって、パンチ1へ向かう方向の傾斜角度12を有するテーパー付きダイ穴20を形成させることで、抜きカス18とテーパー付きダイ穴20との摩擦抵抗を増大させ、抜きカス18のカス上がりを防止させる構成である。
また、ダイ2のテーパー付きダイ穴20を、ダイ上面10とダイ下面11の双方に対照の構成で形成させることで、ダイ2の上下反転使いを可能とすることができる構成である。
特許文献2における、カス上がり防止の構成を図3に示す。
この構成は、APSフィルム3bをパンチ1とダイ2によって抜き加工した際に発生する抜きカス18を、ダイ2のダイ上面10のダイ刃先5よりダイ下面11に向かって、パンチ1へ向かう方向の傾斜角度12を有する内壁面23を形成させることで、抜きカス18と内壁面23との摩擦抵抗を増大させ、抜きカス18のカス上がりを防止させる構成である。
特許文献3における、カス上がり防止の構成を図4a及び図4bに示す。
この構成は、金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工した際に発生する抜きカス18を、ダイ2のダイ上面10のダイ刃先5よりダイ下面11に向かって、パンチ1へ向かう方向のテーパー角度26を有するテーパー部27と、テーパー部27よりダイ下面11に向かって、パンチ1より離れる方向の逆テーパー角度28を有する逆テーパー部29を、貫通孔30の一部、あるいは数箇所に形成させることで、抜きカス18とテーパー部27との摩擦抵抗を増大させ、抜きカス18のカス上がりを防止させる構成である。
ところが、図2に示す特許文献1では、金属材3aを任意の微細な形状や、極めて小径の穴形状に抜き加工する際、ダイ2のテーパー付きダイ穴20と平行穴21の距離に比例して増減する、パンチ1によって抜きカス18をダイ2に押し込む際の力がパンチ1の座屈限界強度を超え、パンチ1を破損22させる場合がある。
また、平行穴21の距離によっては、平行穴21と抜きカス18の摩擦抵抗が増大し、その結果カス詰まりを発生させ、パンチ1、あるいはダイ2を破損22させる場合がある。
図3に示す特許文献2では、金属材以外の抜き加工に関する構成であるため、金属材3aを抜き加工する際、テーパー部下端側24から大きく広げられて形成された開口部25に、金属材3aを任意の微細な形状や、極めて小径の丸穴形状に抜き加工した際に発生した抜きカス18が飛散してしまい、併せて、金属材3aを抜き加工する際、パンチ刃先4とダイ刃先5のそれぞれの磨耗を軽減させる目的等で用いられる、金属材3aに塗布される加工油等によって、飛散した抜きカス18が油着し堆積してしまうことでカス詰まりを発生させ、パンチ1、あるいはダイ2を破損22させる場合がある。
図4a及び図4bに示す特許文献3では、ダイ2の貫通孔30では抜きカス18を拘束させることが出来ない構成であり、テーパー部27の範囲でのみしか抜きカス18を拘束することが出来ないため、金属材3aの厚さ8が極めて薄い場合、その拘束出来る範囲の抜きカス18の断面から、抜きカス18に掛けられるダイ2への拘束力が軽微なものとなり、カス上がりを起こしてしまう場合がある。
また、任意の微細な形状や、極めて小径の丸穴形状に抜き加工する際、切刃角度31を有するダイ刃先5並びに貫通孔30を形成させると共に、テーパー角度26を有するテーパー部27と、逆テーパー角度28を有する逆テーパー部29とを形成させる範囲を確保することが困難であり、カス上がり防止の構成を図ることが困難であることと併せて、ダイ2の製作が容易ではない。
更に、図4cに示すパンチ1とダイ2によって抜き加工された、生産物32の厚さ8が極めて薄い場合、その切断面33に、図4bに示す抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8から考慮した適正な抜きクリアランス9aより大きい、テーパー部27を含んだ抜きクリアランス9bで抜き加工されたことから生じる抜きバリ34が発生する場合があり、前記抜きバリ34を嫌う、厚さ8が極めて薄い生産物32では取り入れられない場合がある。
そこで本発明は、あらゆる材質、あらゆる厚さの金属材を、大小任意の形状において抜き加工した際に発生する、カス上がりとカス詰まりを防止し、また、ダイの製作が容易である構成を図る。
上記課題を解決するために、請求項1に記載のものは、金属材をパンチとダイによって抜き加工する際、前記ダイは、ダイ上面にダイ刃先を有し、前記ダイ刃先からダイ下面に向かって、前記パンチへ向かう方向の傾斜角度を有するダイ刃先側面を形成させる。
従って、請求項1に記載の発明によれば、前記金属材を前記パンチと前記ダイによって抜き加工した際に発生する抜きカスは、前記ダイに形成された前記パンチへ向かう方向の傾斜角度を有する前記ダイ刃先側面に、前記パンチの圧縮作用によって拘束され、これにより前記抜きカスのカス上がりを防止させる。
請求項2に記載のものは、前記ダイ刃先側面より前記ダイ下面に向かって、前記パンチから離れる方向の傾斜角度を有する抜きカス排出部を形成させる。
従って、請求項2に記載の発明によれば、前記金属材を前記パンチと前記ダイによって抜き加工した際に発生した前記抜きカスは、前記ダイに形成された前記パンチから離れる方向の傾斜角度を有する前記抜きカス排出部に、前記パンチの圧縮作用によって押し出された際、前記抜きカス排出部が有する傾斜角度によって、不要な摩擦抵抗を受けることなく、且つ、飛散等を生じることなく、前記抜きカスを適切な状態で排出することを可能とし、これにより前記抜きカスのカス詰まりを防止させる。
請求項1に記載の発明によれば、金属材をパンチとダイによって抜き加工した際に発生する抜きカスは、ダイに形成されたパンチへ向かう方向の傾斜角度を有するダイ刃先側面に、パンチの圧縮作用によって拘束され、これにより抜きカスのカス上がりを、容易な構成で防止させることを可能とする。
請求項2に記載の発明によれば、金属材をパンチとダイによって抜き加工した際に発生した抜きカスは、ダイに形成されたパンチから離れる方向の傾斜角度を有する抜きカス排出部に、パンチの圧縮作用によって押し出された際、抜きカス排出部が有する傾斜角度によって、不要な摩擦抵抗を受けることなく、且つ、飛散等を生じることなく、抜きカスを適切な状態で排出することを可能とし、これにより抜きカスのカス詰まりを、容易な構成で防止させることを可能とする。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1a及び図1bは、金属材3aがパンチ1とダイ2によって抜き加工される状態を示す。
パンチ1とダイ2には、それぞれ金属材3aを抜き加工するためのパンチ刃先4とダイ刃先5を有し、ダイ刃先寸法6はパンチ刃先寸法7より、抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8から考慮した抜きクリアランス9aを足した値で形成させる。
また、ダイ上面10のダイ刃先5よりダイ下面11に向かって、パンチ1へ向かう方向の傾斜角度12を有するダイ刃先側面13を形成させる。
金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工した際に発生する抜きカス18は、ダイ2に形成された傾斜角度12を有するダイ刃先側面13に、パンチ1の圧縮作用によって拘束され、これにより抜きカス18のカス上がりを防止させる。
本実施形態において、ダイ刃先側面13の傾斜角度12は、0度5分から0度30分と設定するが、抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8、パンチ1の座屈強度などから考慮されればよく、これに限定されることはない。
また、ダイ刃先側面寸法14は、パンチ刃先寸法7に対し、パンチ1の破損防止を考慮し、ダイ刃先側面寸法14≧パンチ刃先寸法7となる様形成させる。
本実施形態において、ダイ刃先側面寸法14は、パンチ刃先寸法7に0.002mmから0.1mmを足した値と設定するが、抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8、パンチ1の座屈強度などから考慮されればよく、これに限定されることはない。
また、本実施形態において、ダイ刃先側面13のダイ上面10からの有効範囲寸法15は、0.3mmから4mmと設定するが、抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8、パンチ1の座屈強度と併せて、ダイ刃先5の磨耗時のダイ上面10の再研削量、並びにパンチ1がダイ2に入り込むパンチ食込み量16などから考慮されればよく、これに限定されることはない。
また、ダイ刃先側面13よりダイ下面11に向かって、パンチ1から離れる方向の傾斜角度17を有する抜きカス18を排出するための抜きカス排出部19を形成させる。
金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工した際に発生した抜きカス18は、ダイ2に形成された傾斜角度17を有する抜きカス排出部19に、パンチ1の圧縮作用によって押し出された際、抜きカス排出部19が有する傾斜角度17によって、不要な摩擦抵抗を受けることなく、且つ、飛散等を生じることなく、抜きカス18を適切な状態で排出することを可能とし、これにより抜きカス18のカス詰まりを防止させる。
本実施形態において、抜きカス排出部19の傾斜角度17は、0度10分から2度0分と設定するが、抜き加工する金属材3aの材質、厚さ8、パンチ1の座屈強度などから考慮されればよく、これに限定されることはない。
なお、抜き加工の工程によっては、図5a及び図5bに示す金属材3aをパンチ1とダイ2によって抜き加工した際に発生する抜きカス18と生産物32が、反対に入れ替わる場合がある。
また、抜き加工の工程によっては、図6に示すダイ2を、請求項1及び請求項2に記載の発明を有する構成で、分割35構成とする場合がある。
また、抜き加工の工程によっては、図7に示すダイ2を、請求項1及び請求項2に記載の発明を有する構成で、外形形状36を円柱形状とする場合があるが、これに限定されることはなく、任意の外形形状36としてよい。
また、抜き加工の工程によっては、図8に示す抜き加工装置上側37にパンチ1が備えられ、ダイ2を、請求項1及び請求項2に記載の発明を有する構成で、抜き加工装置下側38と一体構成とする場合がある。
1…パンチ、2…ダイ、3a…金属材、3b…APSフィルム、4…パンチ刃先、5…ダイ刃先、6…ダイ刃先寸法、7…パンチ刃先寸法、8…厚さ、9a…抜きクリアランス、9b…テーパー部27を含んだ抜きクリアランス、10…ダイ上面、11…ダイ下面、12…傾斜角度、13…ダイ刃先側面、14…ダイ刃先側面寸法、15…有効範囲寸法、16…パンチ食込み量、17…抜きカス排出部19の傾斜角度、18…抜きカス、19…抜きカス排出部、20…テーパー付きダイ穴、21…平行穴、22…破損、23…内壁面、24…テーパー部下端側、25…開口部、26…テーパー角度、27…テーパー部、28…逆テーパー角度、29…逆テーパー部、30…貫通孔、31…切刃角度、32…生産物、33…切断面、34…抜きバリ、35…分割、36…外形形状、37…抜き加工装置上側、38…抜き加工装置下側
Claims (2)
- 金属材をパンチとダイによって抜き加工する際、前記ダイは、ダイ上面にダイ刃先を有し、前記ダイ刃先からダイ下面に向かって、前記パンチへ向かう方向の傾斜角度を有するダイ刃先側面を形成させたことを特徴とするカス上がり防止ダイ。
- 請求項1記載の前記ダイ刃先側面より前記ダイ下面に向かって、前記パンチから離れる方向の傾斜角度を有する抜きカス排出部を形成させたことを特徴とするカス詰まり防止ダイ。
Priority Applications (1)
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JP2010277447A JP2012110962A (ja) | 2010-11-25 | 2010-11-25 | 金属材の抜き加工におけるカス上がり、カス詰まり防止ダイ |
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Cited By (3)
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CN102941276A (zh) * | 2012-11-19 | 2013-02-27 | 华一精密机械(昆山)有限公司 | 异形冲头式废料防跳模具 |
CN107962103A (zh) * | 2016-10-19 | 2018-04-27 | 无锡威唐工业技术股份有限公司 | 凹模刀口防废料回弹装置 |
CN114505400A (zh) * | 2022-02-24 | 2022-05-17 | 漳州锐腾电器有限公司 | 一种减少双层分切薄料叠片毛刺的模具及冲裁工艺 |
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2010
- 2010-11-25 JP JP2010277447A patent/JP2012110962A/ja active Pending
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CN114505400A (zh) * | 2022-02-24 | 2022-05-17 | 漳州锐腾电器有限公司 | 一种减少双层分切薄料叠片毛刺的模具及冲裁工艺 |
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