JP2012110864A - 排ガス浄化触媒用酸化物担体およびその製造方法、排ガス浄化触媒、ならびに排ガス浄化用構造体 - Google Patents

排ガス浄化触媒用酸化物担体およびその製造方法、排ガス浄化触媒、ならびに排ガス浄化用構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コストで比表面積の大きい酸化物担体を提供すること、並びに、酸化物イオン電導率の高い、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物を主成分として含み、実用性のある触媒用の酸化物担体を提供する。
【解決手段】
アルカリ土類金属を含む複合酸化物からなる排ガス浄化触媒用酸化物担体であって、緻密質の中心核と、前記中心核を覆う多孔質の表層と、を有し、前記中心核は、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含むことを特徴とする、排ガス浄化触媒用酸化物担体。
【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)および未燃炭化水素(HC)を低温から浄化することができる、排ガス浄化触媒用酸化物担体およびその製造方法、排ガス浄化触媒、ならびに排ガス浄化用構造体に関する。
自動車や自動二輪車等の内燃機関から排出される排ガス中にはCO、NOxおよびHCの有害ガスが含まれており、それらを二酸化炭素(CO)、窒素(N)、または水(HO)に変換してCO、NOxおよびHCの排出量を同時に低減させることが求められている。CO、NOxおよびHCの排出量を同時に低減させる触媒は三元触媒と呼ばれ、特定の酸化物にPt、Pd、Rh等の貴金属を担持させた触媒が広く使用されている。
近年、各国の排ガスに対する規制は年々強化されている。規制の多くは、冷間スタートからの特定走行パターン時のCO、NOxおよびHCの排出量で規定されているが、その多くが走行の初期の段階で排出されることから、触媒の早期活性化能力の向上が非常に重要となる。低温領域から高効率で排ガスに含まれるCO、NOxおよびHCを除去可能な触媒としては、CeOを含む酸化物を酸化物担体とする触媒が広く利用されている(特許文献1〜3)。セリウムは、雰囲気によって3価と4価の間で可変であるため、酸素の吸放出能力を有し、この特性を使うことで三元触媒向けの酸化物担体として利用されている。貴金属による触媒作用を助けることから、このような酸化物担体を助触媒と呼ぶこともある。
また、CeOの代わりにペロブスカイト含有複合酸化物を酸化物担体とする触媒も知られている(特許文献4〜6)。
この中で、特許文献6において、本発明者らは、酸化物イオン導電性を有するペロブスカイト含有複合酸化物を含み、複数の結晶相からなる複合酸化物が酸化物担体として有効であることを開示している。例えば、SrとFeを1:2のモル比で混合および固相反応させて得られる酸化物は、SrFeO3−δ、SrFe1022−δ、およびSrFe1219−δの3相からなる複合酸化物となる。SrFeO3−δは酸素イオン導電性が高く、低温での酸素吸放出能が高いという特徴を有し;SrFe1022−δは、酸化還元による体積変化が少なく構造が安定であるという特徴を有し;SrFe1219−δは、高温で酸素吸放出能が高いという特徴を有する。すなわち、特許文献6に開示する複数の結晶相からなる複合酸化物は、低温から高温に至る広い温度範囲で高い酸素吸放出能を有し、体積変化が少なく、熱的に安定な酸化物である。
特開昭52−116779号公報 特開昭54−159391号公報 特開2002−346389号公報 特開2006−36558号公報 特開2003−175337号公報 特開2009−142789号公報
従来の排ガス用触媒は、図2(a)に示すように、酸化物担体に担持された貴金属表面で、HC、COとOが直接接触して初めて排ガス浄化が進行する。このため、貴金属の分散度が触媒機能を左右する重要な要因となる。つまり、貴金属の触媒機能を高めるためには、貴金属の利用効率を高める必要があり;貴金属の利用効率を高めるためには、貴金属同士を凝集させることなく、かつ均一に分散させる必要がある。そこで、貴金属を高分散に担持させる開発が進められてきた。
貴金属を高分散に担持させるためには、酸化物担体の表面積が大きい程有利となる。また、酸化物担体の表面積が大きければ、酸化物担体の表面での酸素放出や酸素吸収が迅速に起こる。このような酸化物担体は、三元触媒に求められる酸化還元の同時進行を効率化する助触媒としても機能することになる。
しかしながら、単位重量当たりの表面積(比表面積)の大きい酸化物担体を得るためには、液相合成法などの特殊な合成法がとられることから、その製造コストは高くならざるを得ないという問題があった。
一方、本発明者らは、製造コストの低い固相合成法で得られる酸化物担体を見出した(特許文献6)。この酸化物担体は、比表面積が小さいにも関わらず、高い排ガス浄化効率を有する。これは、酸化物担体が、高い酸化物イオン電導率を有するためであると考えられる。すなわち、高い酸化物イオン電導率を有する酸化物担体を用いた場合では、図2(b)に示すように、HC、COとOが直接接触しなくても、排ガス浄化が進行し、さらに活性酸素が貴金属表面に供給されることで、排ガス浄化効率を高くできると考えている。
このように、図2(b)に示される浄化機構を有する、酸化物イオン電導率の高い酸化物担体の比表面積を大きくすることができれば、さらに高い排ガス浄化特性が期待できる。しかしながら、酸化物イオン電導率の高い酸化物担体を液相合成法で製造すると、やはり製造コストが高くなるという問題があった。
また、高い酸化物イオン電導率を有する酸化物の代表として、アルカリ土類金属を含んだペロブスカイト含有複合酸化物がある。ペロブスカイト含有複合酸化物は、それ自体熱的な安定性は高いが、アルカリ土類金属を含んでいると水中での安定性が低いという問題があった。すなわち、酸化物担体を粉砕する工程や、酸化物担体に貴金属を担持させる工程などの、溶媒として水を必要とする工程において、ペロブスカイト含有複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属が水中へ溶出する。そのため、水溶液をアルカリに変化させて溶液の特性を変えてしまうだけでなく、アルカリ土類金属の溶出によって、得られる触媒の組成や構造を変化させてしまうといった問題が生じることがあった。このため、得られる触媒の性能も安定せず、広く実用化されるまでには至っていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低コストで比表面積の大きい酸化物担体を提供すること、並びに、酸化物イオン電導率の高い、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物を主成分として含む、実用性のある触媒用の酸化物担体を提供することを目的とする。これにより、排ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)及び未燃炭化水素(HC)を低温から浄化する触媒及び構造体を提供する。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、これまで実用化を阻んできた、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物におけるアルカリ土類金属の水への溶出現象を利用することで、比表面積の大きいペロブスカイト含有複合酸化物を容易に得ることができることを見出した。また、比表面積の大きいペロブスカイト含有複合酸化物の表面には、貴金属を高分散に担持させることができ;それにより、ペロブスカイト含有複合酸化物担体からのアルカリ土類金属の水への溶出が抑制されることを見出した。そして、このようにして得られる触媒は、低温活性に優れることが確認され、本発明を完成させるに至った。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、以下を要旨とするものである。
[1] アルカリ土類金属を含む複合酸化物からなる排ガス浄化触媒用酸化物担体であって、緻密質の中心核と、前記中心核を覆う多孔質の表層と、を有し、前記中心核は、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含むことを特徴とする、排ガス浄化触媒用酸化物担体。
[2] 前記酸化物担体の比表面積が15m/g以上であることを特徴とする、[1]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
[3] 前記表層の組成と前記中心核の組成とは異なっており、前記表層におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量は、前記中心核におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量よりも多いことを特徴とする、[1]または[2]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
[4] 前記表層の組成と前記中心核の組成とは異なっており、前記表層におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量は、前記中心核におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量よりも少ないことを特徴とする、[1]または[2]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
[5] 前記中心核を構成するアルカリ土類金属を含む複合酸化物が、M{Co1−x(Fe1−sTi(ここで、MはCa、SrおよびBaからなる群から選択される1種以上のアルカリ土類金属であり、0≦x≦1、0.6≦y≦2、0≦s≦0.3であり、zは電荷中性条件を満たすように決まる値である)で示されることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体と、前記排ガス浄化触媒用酸化物担体の表面に担持された、Pd、Pt、Rh、RuおよびAgからなる群から選択される1種以上の貴金属と、を有することを特徴とする、排ガス浄化触媒。
[7] 前記貴金属の、前記排ガス浄化触媒用酸化物担体に対する質量比が0.1%〜10%である、[6]に記載の排ガス浄化触媒。
[8] ハニカム状のメタル担体またはハニカム状のセラミックス担体と、前記メタル担体または前記セラミックス担体に形成された、[6]または[7]に記載の排ガス浄化触媒を含む触媒層と、を有することを特徴とする、排ガス浄化用構造体。
[9] 前記触媒層の重量は、前記メタル担体あるいは前記セラミックス担体の容積に対して30g/L〜300g/Lの範囲であることを特徴とする、[8]に記載の排ガス浄化用構造体。
[10] アルカリ土類金属を含み、かつペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含む複合酸化物を水に浸漬して、前記複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属を水へ溶出させるステップと、前記アルカリ土類金属を溶出させた水溶液から水分を蒸発除去した後、得られる固形物を熱処理するステップと、を有することを特徴とする、[3]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
[11] アルカリ土類金属を含み、かつペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含む複合酸化物を水に浸漬して、前記複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属を水へ溶出させるステップと、前記アルカリ土類金属を溶出させた粉末を含む水溶液をろ過した後、得られる固形物を乾燥させるステップと、を有することを特徴とする、[4]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
[12] 前記アルカリ土類金属を水へ溶出させる前の、前記複合酸化物の比表面積は4m/g以下であることを特徴とする、[10]または[11]に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
本発明の排ガス浄化触媒用酸化物担体は、比表面積を大きくするための特殊な合成法が不要で、簡便な方法で比表面積を大きくすることができる。このため、安価で高性能な排ガス浄化触媒用酸化物担体を提供できるという顕著な効果を奏する。
また、前記排ガス浄化触媒用酸化物担体の表面に貴金属を担持させることで、触媒の利用率を高めることができるため、効率的に触媒作用が進行する。このため、貴金属の担持量を削減することができ、低コストの排ガス浄化触媒を得ることができるという顕著な効果を奏する。また、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物からなる酸化物担体であっても、その表面に貴金属を高分散に担持させることで、酸化物担体からのアルカリ土類金属の水への溶出を抑制でき、高い酸化物イオン電導率を利用できるという顕著な効果を奏する。
さらに、本発明の排ガス浄化用構造体は上記の触媒を含むため、低温活性に優れ、かつ安価な排ガス浄化用構造体を提供できるという顕著な効果を奏する。
本発明の排ガス浄化触媒用担体の形態の一例を示す模式図である。 触媒の排ガス浄化機構を説明する模式図である。
(第1の実施形態)
本願第1の発明に係る排ガス浄化触媒用酸化物担体は、アルカリ土類金属を含む複合酸化物であって、緻密質の中心核と、その表面を覆う多孔質の表層と、を有する。
図1は、本願第1の発明に係る排ガス浄化触媒用酸化物担体の形態を模式的に示す図である。図1に示されるように、排ガス浄化触媒用酸化物担体10は、緻密質の中心核12と、その表面を覆う多孔質な表層14とを有する。つまり、排ガス浄化触媒用酸化物担体は、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物粒子の表面を多孔質化したものである。ペロブスカイト含有複合酸化物とは、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含む複合酸化物である。
表層14の比表面積は、浄化性能を向上させるために、15m/g以上であることが好ましく、20m/g以上であることがさらに好ましい。表層14の比表面積は、窒素吸着法により測定することができる。
中心核12を構成するアルカリ土類金属を含む複合酸化物は、ペロブスカイト含有複合酸化物である。中心核12を構成するアルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物は、以下の組成式(1)で示されることが好ましい。
組成式(1): M{Co1−x(Fe1−sTi
組成式(1)において、MはCa、SrおよびBaからなる群から選択される1種以上のアルカリ土類金属である。x、y、sはそれぞれ、0≦x≦1、0.6≦y≦2、0≦s≦0.3である。zは、電荷中性条件を満たすように決まる値である。
組成式(1)において、xは、好ましくは0.2〜1.0の範囲であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲である。これは、Feの割合が増えるほど触媒活性が高まり、酸化物自体の耐久性も高まる傾向にあるからである。
Tiによる置換割合sが増加するほど、酸化物自体の耐熱性が向上する。Tiによる置換割合sが大きくなりすぎると触媒性能が低下する傾向にあるので、置換割合sの上限を0.3とする。耐熱性と触媒性能の観点から、sの値は、より好ましくは0.01〜0.15であり、更に好ましくは0.02〜0.1である。
組成式(1)において、yが大きいほど、酸化物の高温での酸素吸放出能に優れ、小さいほど低温での酸素吸放出能に優れる傾向がある。そこで、yは0.6〜2.0の範囲で用途によって適宜選択される。yが0.6より小さいと酸素吸放出能が小さくなり、優れた排ガス浄化能が得られない。一方、yが2.0を越えると低温での酸素吸放出能の低下が顕著になるので、それによって優れた排ガス浄化能が得られない。
M{Co1−x(Fe1−sTiで示される酸化物は、上記範囲の組成を有することで、高い酸化物イオン電導率を維持することができる。これにより、触媒の酸化物担体として有効に機能する。
表層14を構成するアルカリ土類金属を含む複合酸化物も、高い酸化物イオン電導率を示すために、ペロブスカイト含有複合酸化物であることが好ましい。ペロブスカイト含有複合酸化物からなる表層を得るためには、後述するように、表層を形成する際の熱処理条件(温度および雰囲気)を調整すればよい。
表層14は、前述の通り、ペロブスカイト含有複合酸化物で構成されうるが、その組成は、緻密質の中心核12の組成と異なっている。表層14の組成は、その形成方法によって異なる。つまり、形成方法によって、表層14におけるアルカリ土類金属の含有量が、緻密質の中心核12におけるアルカリ土類金属の含有量よりも多かったり;緻密質の中心核12におけるアルカリ土類金属の含有量よりも少なかったりする。
酸化物担体の平均粒子径は、0.5〜5.0μm程度であることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。
このような構造を有する酸化物担体は、例えば以下のようにして製造することができる。
1)まず、原料としてのアルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物粉末を準備する。そして、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物粉末を水の中に浸漬して、ペロブスカイト含有複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属を水中に溶出させる。
2)そして、アルカリ土類金属を溶出させた粉末を含む水溶液から、水溶媒を蒸発除去して、得られる固形物を熱処理するか(堆積法);またはアルカリ土類金属を溶出させた粉末を含む水溶液をろ過して、得られる固形物を乾燥させる(ろ過法)。それにより、緻密質の中心核を覆う表層を有する酸化物が得られる。
原料としてのアルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物粉末は、低コストであることなどから、固相合成法で焼結させたものであることが好ましい。このため、原料としてのアルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物の比表面積は、4m/g以下であることが好ましい。すなわち、通常の粉末を使った固相合成法では焼成温度が高いことから、粉末の比表面積は、一般的に4m/g以下となる。
前記1)の工程における、ペロブスカイト含有複合酸化物粉末からのアルカリ土類金属の溶出量は、水に浸漬する前のペロブスカイト含有複合酸化物に対する体積比で10%以上とすることが好ましい。
ペロブスカイト含有複合酸化物粉末からのアルカリ土類金属の溶出量は、当該粉末を分散させる水の量、温度およびpHなどによって制御することができる。これらの各パラメータは、組成式ごとに適宜決められる。
前記1)の工程において、原料としてのアルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物粉末を水の中に浸漬し、水中へアルカリ土類金属を溶出させる際には、周囲の雰囲気を減圧にすることが好ましい。前記酸化物粉末にわずかに残っているミクロポアの内部まで水を浸透させて、より効果的にアルカリ土類金属を水へ溶出させるためである。後述するエバポレータによる水分除去においても、雰囲気が減圧されるので、アルカリ土類金属の水への溶出を促進できる。また、アルカリ土類金属の溶出を加速できるという点で、溶媒である水を酸性にしてもよい。
前記2)の工程においては、多孔質の表層を形成する。表層の形成方法には、前述の通り、堆積法とろ過法とがある。表層の構造や組成は、その形成方法とその条件によって制御される。
すなわち、原料であるペロブスカイト含有複合酸化物粉末の組成によっては、前記1)の工程で、アルカリ土類金属の溶出に伴って、ペロブスカイト構造が不安定になり、ペロブスカイトのBサイトを形成していた金属(Bサイト金属)も溶出することがある。特にアルカリ土類金属の溶出により、水溶液自体が強いアルカリ性に変化するので、アルカリ溶液中で高い溶解度を有するBサイト金属は、溶出が促進されやすい。その場合には、前記2)の工程では、堆積法により表層を形成することが好ましい。M{Co1−x(Fe1−sTiで示される酸化物におけるBサイト金属とは、Co、FeおよびTiである。
堆積法では、エバポレータなどで水分を次第に除去することで、水分を蒸発除去させる。水分を蒸発除去していくと、水溶液に溶出していたアルカリ土類金属の水酸化物およびBサイト金属の水酸化物は、それらの飽和溶解度を超えたときに、粉末表面に再堆積する。
そして、これらの再堆積した水酸化物を熱処理すると、アルカリ土類金属の水酸化物とBサイト金属の水酸化物とがそれぞれ脱水反応する。それにより、アルカリ土類金属の酸化物とBサイト金属の酸化物の混合物;またはアルカリ土類金属とBサイト金属の複合酸化物を含む表層が形成される。つまり、堆積法により形成される表層は、緻密質の中心核よりもアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量が多い。
熱処理は気相雰囲気中で行えばよく、空気中で行ってもよく、酸素、二酸化炭素の存在下で行ってもよい。たとえば、水酸化物が再堆積した粉末を、二酸化炭素を含む酸素雰囲気下で熱処理すると、炭酸塩を含む酸化物からなる表層が形成される。熱処理温度は、特に制限されないが、600〜1100℃程度としうる。
このように、堆積法によって得られる表層の組成や構造は、再堆積後の熱処理条件;即ち温度と雰囲気によって制御することができる。前述の通り、表層は、緻密質の中心核と同様に高い酸化物イオン電導率を有することが好ましい。このため、熱処理条件を、得られる表層の結晶構造が(アルカリ土類金属が溶出する前の)ペロブスカイト構造となるように設定することが好ましい。そのためには、酸素雰囲気で、構造形成温度以上で熱処理することが望ましい。構造形成温度とは、アルカリ土類金属とBサイト元素が、ペロブスカイト構造を形成する温度をいう。堆積法のように、アルカリ土類金属とBサイト元素が原子レベルで混合されている場合には、600℃の低温であっても、ペロブスカイト構造が形成される。
一方、原料であるペロブスカイト含有複合酸化物粉末の組成によっては、前記1)の工程で、アルカリ土類金属が溶出した後でも、Bサイト金属が溶出しないことがある。その場合には、前記2)の工程では、ろ過法により表層を形成することが好ましい。
ろ過法では、アルカリ土類金属を溶出させた酸化物粉末を含む水溶液をろ過することにより、溶出したアルカリ土類金属を含む水分を、酸化物粉末から分離および除去する。そして、得られた固形物を乾燥させる。これにより、緻密質の中心核の表面に、アルカリ土類金属が少ないか、またはアルカリ土類金属を含まない金属酸化物からなる表層が残される。つまり、ろ過法により形成される表層は、緻密質の中心核よりもアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量が少ないと考えられる。
(第2の実施形態)
本願第2の発明に係る排ガス浄化触媒は、本願第1の発明に係る排ガス浄化触媒用酸化物担体の表面に、触媒活性点となる貴金属が担持されたものである。
貴金属は、Pd、Pt、Rh、RuおよびAgからなる群から選択される1種以上でありうる。
担持の方法は、いかなる方法であってもよい。但し、貴金属が酸化物担体の表面に高分散に担持されるように、貴金属を溶媒中に溶解させた状態で、上記排ガス浄化触媒用酸化物担体を共存させた後、溶媒除去、乾燥および熱処理の工程を経て担持させることが望ましい。
このとき、上記排ガス浄化触媒用酸化物担体に対する貴金属の質量比は、0.1%〜10%となるように調整することが好ましい。前記質量比が0.1%より少ないと、貴金属を起点とする活性点が少なすぎて、大量の排ガスが供給されたときに浄化しきれない場合がある。一方、前記質量比が10%を超えると、貴金属の凝集が起き始めるため、浄化性能の向上が担持量に比例して改善しないので、経済的ではない。さらに、排ガス浄化触媒用酸化物担体に対する貴金属の質量比としては、0.2%〜5%が望ましく、更に0.6%〜3%とするのがより望ましい。
貴金属を酸化物担体に担持させるために用いられる溶媒は、水溶液でも有機溶媒でも構わない。有機溶媒を用いる場合には、酸化物担体の表層が再溶出しにくくなる。このため、本願第1の発明である排ガス浄化触媒用酸化物担体の構造(緻密質な中心核と、それを覆う多孔質な表層がある構造)が維持される。それにより、多孔質な表層に貴金属が高分散に担持された貴金属担持触媒を得ることができる。
一方、水溶液を用いる場合には、酸化物担体の表層の再溶出・再析出が起きることがある。このため、本願第1の発明である排ガス浄化触媒用酸化物担体の構造(緻密質な中心核と、それを覆う多孔質な表層がある構造)が一部変化するものの、最終的に貴金属が担持された構造は、本願第1の発明である排ガス浄化触媒用酸化物担体の構造を反映したものとなる。このため、表面積の大きい表層に貴金属が高分散に担持された貴金属担持触媒を得ることができる。
このように本発明では、貴金属を、比表面積の大きい表層に担持させることで、貴金属同士を凝集させることなく、かつ均一に分散させることができる。このため、貴金属の利用率を高めることができる。また、酸化物担体の表面積が大きいため、担体表面での酸素放出や酸素吸収が迅速に起こる。これらにより、従来と同じ貴金属の担持量であっても、より高い触媒活性を有する触媒を提供することができる。
(第3の実施形態)
本願第3の発明は、前記触媒を含む触媒層をハニカム担体に形成する排ガス浄化用構造体に係る。
前記排ガス浄化触媒を、バインダーとしてのアルミナ粉末とともに水に分散してスラリー状態とする。ここで、水中での排ガス浄化触媒の凝集を防ぐための分散剤や、泡立ちを防ぐための消包剤が添加されてもよい。
このとき、前記排ガス浄化触媒の酸化物担体からアルカリ土類金属は溶出しにくい。貴金属を担持されることで、酸化物担体が水中で安定化したものと考えられる。このため、前記排ガス浄化触媒の構造を保ったまま、ハニカム担体に触媒層を形成することができる。
得られたスラリーを、ハニカム担体にコートして、例えば、600℃で1時間焼き付けることで、密着性の高い強固な触媒層をハニカム担体内壁に形成できる。コートの方法の例には、ハニカム内部へスラリーを供給し;しかる後に、余分なスラリーを吹き飛ばしながら均一にコートする方法がある。スラリーの供給は、ハニカム担体の一方の端部からスラリーを滴下、あるいはハニカム担体をスラリー中に浸漬、あるいはハニカム担体をスラリー中に浸漬しながら他方の端部を減圧するなどして行う。ただし、コートの方法は、これに限定するものではなく、均一に所定量のコートができる方法であれば、いかなる方法も適用することができる。
ハニカム担体は、メタル製でもセラミックス製でもよい。メタル製のハニカム担体としては、ステンレスハニカム等を例示することができ、セラミックス製のハニカム担体としては、コージエライトハニカムおよび炭化珪素ハニカム等を例示することができるが、本発明では特に限定するものではない。
こうして形成される触媒層の重量は、ハニカム状のメタル担体あるいはハニカム状のセラミックス担体の容積に対して30g/L〜300g/Lの範囲であることが好ましい。上記範囲を外れてコートする場合、まず、触媒層の重量が30g/L未満では、コート量が少なすぎて、均一にコートすることができず、ハニカム全体を有効利用することができない場合がある。また、貴金属を多めにコートする場合には、酸化物担体に対する貴金属の質量比が10%を超える場合があり、浄化性能が使用量ほどには改善しないので好ましくない。一方、触媒層の重量が300g/Lを超える場合には、触媒層の厚さが大きくなりすぎて、排ガスの通気抵抗が上昇しすぎたり、触媒層の下層のほうまで排ガスが行き渡らなかったりする。このため、触媒層の下層に存在する貴金属の活性点が有効に利用できないといった弊害が生ずる場合がある。
一般的には、前記酸化物担体に対する貴金属の質量比と、ハニカム担体に担持させる前記貴金属の全重量との関係から触媒層の重量が決定される。例えば、ハニカム担体に担持させる貴金属の全重量を1.0g/Lとする場合、酸化物担体に対する貴金属の質量比が1.0%で、アルミナとの混合割合が1:1であれば、触媒層の重量が200g/Lとなるようにコートすればよい。
浄化性能評価1(実施例1〜10、比較例1〜3)
(実施例1)
原料として、炭酸ストロンチウムおよび酸化鉄を、SrFeの組成となるように秤量および混合し、1000℃で5時間焼成した。得られた酸化物粉末は、X線回折測定によって、ペロブスカイト構造を含む、複数の結晶相からなっていることを確認した。得られた酸化物粉末の平均粒子径は、1.9μmであった。また、得られた酸化物粉末の比表面積(多孔質の表層形成前の比表面積)を、窒素吸着法により測定したところ、1.7m/gであった。比表面積は、日本ベル製 ベルソープミニを用いて、77Kにて窒素吸着量の測定結果から算出した。
得られた酸化物粉末40gを水400ccの中に入れて混合後、エバポレータにより、80℃に加温しながら真空引きを行い、2時間程度かけて水分を蒸発させた。水分がなくなった後、乾燥器にて更に180℃で30分間乾燥させた。しかる後、容器内壁に固着した混合物をアルミナの容器に移し替え、空気中600℃で1時間焼成した。これにより、緻密質の中心核の表面に、多孔質の表層が形成された酸化物担体を得た。得られた酸化物担体の比表面積(表層形成後の比表面積)を、窒素吸着法により測定したところ、20.9m/gであった。
次に、得られた酸化物担体20gを水に分散させた。その後、硝酸パラジウム溶液をパラジウムの重量で0.4g(酸化物担体に対して質量比で2%)となるように秤量し、上記酸化物担体が分散された水の中に混合した。これを、エバポレータを用いて水分を蒸発させ、水分がなくなった後、乾燥器にて更に180℃で30分間乾燥させた。しかる後、容器内壁に固着した混合物を、アルミナの容器に移し替え、600℃で1時間焼成した。これにより、パラジウムを担持した触媒粉末を得た。
得られた触媒粉末の比表面積を窒素吸着法により測定したところ、17.4m/gであった。パラジウムを担持させる前の酸化物担体の比表面積と比較すると、若干比表面積が低下したことがわかる。これは、パラジウムを担持させるとき、多孔質の表層の再溶出・再析出がわずかに起きたことが原因と考えられる。しかしながら、前述の通り、触媒粉末の比表面積は、原料の酸化物粉末の比表面積(1.7m/g)の約10倍に増大している。本願第1の発明の触媒用酸化物担体の効果を確認することができる。
また、得られた触媒粉末の浄化性能を評価するために、以下の実験を行った。すなわち、得られた触媒粉末を石英ウールで挟み込んだものを、石英ガラス製の反応容器に充填した。この反応容器を電気炉内にセットして、室温から500℃まで徐々に昇温、その後徐々に冷却した。その間、反応容器の入口から表1に示されるリッチ組成のガスを導入し、反応容器の出口から排出される排出ガスの組成を分析計によって分析した。
次に、同じ温度パターンで、ストイキ組成のガス、およびリーン組成のガスを反応容器の入口から導入して、同様の分析を行った。
Figure 2012110864
触媒性能に影響を与える空間速度SV(Space Velocity)は10000h−1とした。空間速度SVとは、導入ガスの全流量m/hを触媒粉末体積mで除して得られる数値である。空間速度SVが大きくなるほど触媒粉末と導入ガスとの接触時間が短くなり、浄化が進行しづらくなることを意味する。
得られた結果をもとに、リッチ組成の導入ガスにおけるNOの浄化率が50%となる温度(導入ガスに含まれるNO量の半分が浄化される温度)、およびストイキ組成の導入ガスにおけるCOおよびHCの浄化率が50%となる温度(導入ガスに含まれるCOおよびHC量の半分が浄化される温度)を算出した。表2には、この温度をT50として表記した。T50が低温であるほど、触媒活性が高いと判断される。
(実施例2〜10)
原料としての酸化物粉末の組成を表2に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にして触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を行った。
(比較例1)
原料としての酸化物粉末をそのまま酸化物担体として用いた以外は、実施例1と同様にして触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を行った。
(比較例2)
原料としての酸化物粉末をそのまま酸化物担体として用いた以外は、実施例3と同様にして触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を行った。
(比較例3)
原料としての酸化物粉末をそのまま酸化物担体として用いた以外は、実施例5と同様にして触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を行った。
実施例1〜10および比較例1〜3で得られた触媒粉末の浄化性能を、浄化性能として目安となるT50で整理した結果を表2に示す。
Figure 2012110864
表2に示されるように、実施例1〜10の触媒粉末は、いずれもT50が160℃以下であり、低温での触媒活性が高いことがわかる。一方、比較例1〜3の触媒粉末は、いずれもT50が160℃を超えており、低温での触媒活性が低いことがわかる。特に、「実施例1と比較例1」、「実施例3と比較例2」、「実施例5と比較例3」を比較すると、同一組成の酸化物担体を用いているにも係わらず、それぞれ実施例の方が、T50が顕著に低下している。
(実施例11〜15)
酸化物担体に対する貴金属の質量比を表3に示されるように変更した以外は、実施例4と同様にしてパラジウムを担持した触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を、実施例4と同様にして行った。
(実施例16〜22)
酸化物担体に担持させる貴金属の種類を表3に示されるように変更した以外は、実施例4と同様にして触媒粉末を得た。得られた触媒粉末の浄化性能評価1を、実施例4と同様にして行った。
これらの結果を表3に示す。表3中、例えば、触媒No.P−18の「Pd,Pt(1:1)、質量比2%」とは、PdとPtの質量比が1:1であり、両者を合計した質量が酸化物担体の質量に対して2%であることを意味する。
Figure 2012110864
浄化性能評価2(実施例23〜32、比較例4〜6)
上記実施例1〜10および比較例1〜3で焼成した触媒粉末を使い、ハニカム状のメタル担体へコートし、浄化性能を評価した。
(実施例23〜32)
蒸留水20gに対して、実施例1〜10で得られた上記触媒粉末とアルミナ粉末を各20gずつ分散させたスラリーを調製した。このスラリーを、直径が25mm、高さが60mm、セル密度300セル/1インチ(25.4mm)四方のハニカム状メタル担体に滴下した。余分なスラリーをエアーブローにより吹き飛ばしてから、180℃で30分間乾燥した。この操作を4〜6回繰り返し、触媒層のコート量を50g/Lとし、最終的な貴金属の総重量を0.5g/Lとした。上記のようにしてスラリーをコートした後、大気中600℃で1時間熱処理することによって、メタルハニカムに触媒層を形成して、排ガス浄化用構造体を得た。
得られた排ガス浄化用構造体は、ハニカムを挿入できる比較的大きなステンレス製配管で構成された流通型反応装置を使って評価した。すなわち、排ガス浄化用構造体を、流通型反応装置のステンレス製配管内に充填し、排ガス浄化反応部とした。次いで、外部ヒーターにて加熱した導入ガスを排ガス浄化反応部に供給することで、排ガス浄化反応部を加熱した。導入ガスの加熱温度を100℃から450℃まで昇温させて、出口側(触媒部分通過後)の排出ガスの組成を分析した。そして、CO、HCおよびNO濃度の変化率(浄化率)を求めることにより、浄化特性を評価した。空間速度(SV)は50000h−1とした。
本評価においては、導入ガス組成を切り替えてから100秒後に排出ガス組成の測定を行い、導入ガス組成を切り替えてから180秒後に別の導入ガス組成に切り替える操作を繰り返した。得られた結果をもとに、リッチ組成の導入ガスにおけるNOの浄化率が50%となる温度(導入ガスに含まれるNO量の半分が浄化される温度)、およびストイキ組成の導入ガスにおけるCOおよびHCの浄化率が50%となる温度(導入ガスに含まれるCOおよびHC量の半分が浄化される温度)を算出した。
(比較例4〜6)
比較例1〜3で得られた触媒粉末を用いた以外は実施例23と同様にしてメタルハニカムに触媒層を形成し、浄化性能評価2を行った。
触媒層が形成された実施例23〜32および比較例4〜6のメタルハニカムの浄化性能を、浄化性能の目安となるT50で整理した結果を表4に示す。
Figure 2012110864
表4に示されるように、本発明の実施例23〜32の排ガス浄化用構造体ではT50のほとんどが320℃以下であり、低温での触媒活性が高いことがわかる。一方、比較例4〜6の排ガス浄化用構造体ではT50のほとんどが320℃を超えており、低温での触媒活性が低いことが確認された。
本発明によれば、低コストで比表面積の大きい酸化物担体を提供すること、並びに、酸化物イオン電導率の高い、アルカリ土類金属を含むペロブスカイト含有複合酸化物を主成分として含み、実用性のある触媒用の酸化物担体を提供することができる。
10 排ガス浄化触媒用酸化物担体
12 中心核
14 表層

Claims (12)

  1. アルカリ土類金属を含む複合酸化物からなる排ガス浄化触媒用酸化物担体であって、
    緻密質の中心核と、前記中心核を覆う多孔質の表層と、を有し、
    前記中心核は、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含むことを特徴とする、排ガス浄化触媒用酸化物担体。
  2. 前記酸化物担体の比表面積が15m/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
  3. 前記表層の組成と前記中心核の組成とは異なっており、
    前記表層におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量は、前記中心核におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量よりも多いことを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
  4. 前記表層の組成と前記中心核の組成とは異なっており、
    前記表層におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量は、前記中心核におけるアルカリ土類金属の単位質量当たりの含有量よりも少ないことを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
  5. 前記中心核を構成するアルカリ土類金属を含む複合酸化物が、M{Co1−x(Fe1−sTi(ここで、MはCa、SrおよびBaからなる群から選択される1種以上のアルカリ土類金属であり、0≦x≦1、0.6≦y≦2、0≦s≦0.3であり、zは電荷中性条件を満たすように決まる値である)で示されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体と、
    前記排ガス浄化触媒用酸化物担体の表面に担持された、Pd、Pt、Rh、RuおよびAgからなる群から選択される1種以上の貴金属と、
    を有することを特徴とする、排ガス浄化触媒。
  7. 前記貴金属の、前記排ガス浄化触媒用酸化物担体に対する質量比が0.1%〜10%である、請求項6に記載の排ガス浄化触媒。
  8. ハニカム状のメタル担体またはハニカム状のセラミックス担体と、
    前記メタル担体または前記セラミックス担体に形成された、請求項6または7に記載の排ガス浄化触媒を含む触媒層と、
    を有することを特徴とする、排ガス浄化用構造体。
  9. 前記触媒層の重量は、前記メタル担体あるいは前記セラミックス担体の容積に対して30g/L〜300g/Lの範囲であることを特徴とする、請求項8に記載の排ガス浄化用構造体。
  10. アルカリ土類金属を含み、かつペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含む複合酸化物を水に浸漬して、前記複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属を水へ溶出させるステップと、
    前記アルカリ土類金属を溶出させた水溶液から水分を蒸発除去した後、得られる固形物を熱処理するステップと、
    を有することを特徴とする、請求項3に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
  11. アルカリ土類金属を含み、かつペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含む複合酸化物を水に浸漬して、前記複合酸化物に含まれるアルカリ土類金属を水へ溶出させるステップと、
    前記アルカリ土類金属を溶出させた粉末を含む水溶液をろ過した後、得られる固形物を乾燥させるステップと、
    を有することを特徴とする、請求項4に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
  12. 前記アルカリ土類金属を水へ溶出させる前の、前記複合酸化物の比表面積は4m/g以下であることを特徴とする、請求項10または11に記載の排ガス浄化触媒用酸化物担体の製造方法。
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