JP2012109267A - 高圧放電ランプの点灯方法、高圧放電ランプの点灯装置、高圧放電ランプ装置、及び投射型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ランプの放電開始後、ランプ電流が4Aとなるように定電流制御を行い(S13)、ランプ電圧が50Vになると(S14:YES)、電力値200Wでの定電力制御に移行する(S14:YES、S15)。そして、ランプの放電開始から120秒経過すれば(S16:YES)、ランプ電流を定格電流まで増加させ(S17)、250Wでの定電力制御を行う。
【選択図】図11
Description
通常、係る高圧放電ランプの点灯方法としては、初期段階では一定の電流値で点灯させ、その後、所定の電力(定格電力)を供給する定電力制御に移行させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
その一つとして、電極の形状が挙げられる。具体的には、電極先端部の形状を略半球状のものから略円錐形状のものにすることである(例えば、特許文献2参照)。これにより電極間のアーク部から電極側へ向かって放射された光線が電極によって遮蔽される割合を低減でき、発光管から外部へ射出される光束が多くなって、前記照度の向上に寄与することができる。
一般に、高圧放電ランプユニットでは、ランプの電極間距離をできるだけ短くして(ショートアーク)点光源に近付け、これを反射鏡の光軸上の焦点位置に配することにより当該反射鏡による集光率を向上して照度を高めるように工夫されており、上述のようにアーク長が大きくなると点光源から遠ざかるため、それだけ集光率が低下し照度が十分に得られなくなるのである。
すなわち、先端部の形状が略円錐形状の電極を採用した場合においては、通常、電極の先端部にアークの起点(アークスポット)が形成され、当然にその先端部の温度が高温となっているが、その熱が逃げる経路について先端部の形状が略円錐形状の電極の場合、先細りしているために電極の径方向には熱が逃げにくく、その結果、電極の先端部の温度が過度に上昇したものと考えられる。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、高圧放電ランプにおいて照度の向上のため種々の改良が施され、その結果、仮に上記したように電極の先端部の温度が上昇しやすい条件を具備するに至ったとしても、その照度が必要以上低下することがないようにすることを目的とする。
すなわち、点灯開始後の定電流制御においてはその電流値が安定点灯時(定格電力による定電力制御時)の電流値よりも大きく、そのために定電流制御から定格電力による定電力制御に移行した際、電極の先端部の温度が安定点灯時の温度を大きく超えることがわかった(後述の図7参照)。
したがって、これらの場合も上記のような現象は生じていると考えられるが、その程度が極めて小さいため実用的には許容範囲内にあり、特に問題にならなかった。
以上のような知見を踏まえ、本発明者らは、定電流制御から定格電力による定電力制御に移行した際、電極の先端部の温度が安定点灯時の温度を大きく超えないように制御することを考えた。
また、本発明の別の高圧放電ランプの点灯装置は、内部に、発光物質として水銀が封入され、かつ一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプを点灯させる点灯装置であって、高圧放電ランプに電力を供給する電力供給手段と、点灯開始後から、あらかじめ定められた定格電力値Psによる定電力制御に移行するまでの初期点灯区間において、ランプ電力が、前記定格電力値Psよりも低い一定の電力値Paで点灯維持される低電力点灯区間が含まれ、かつ、点灯開始から所定の時間経過後に前記定格電力値Psによる定電力制御に移行するように前記電力供給手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る高圧放電ランプ装置は、高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプから発する光を反射する反射鏡と、上記した高圧放電ランプの点灯装置と、を備えることを特徴とする。
(参考例)
1.高圧放電ランプ
図1は、高圧放電ランプの一例としての、定格電力250Wの高圧水銀ランプ(以下、単に「ランプ」という場合がある。)100の構成を示す図であり、便宜上、電極が露出する部分での断面図で示している。
発光部101a内部の発光空間108内には、発光物質である水銀109及び始動補助用としてのアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスと、併せてヨウ素、臭素などのハロゲン物質が封入されている。この場合、水銀109の封入量は、発光管101の内容積あたり230〜650mg/cm3の範囲に、前記希ガスのランプ冷却時の封入圧力は、0.01MPa〜1MPaの範囲にそれぞれ設定されている。
この電極102,103の先端部124,134の形状は略円錐形状である。形状を例えば略半球形状とすると半球の膨らみ部分が当該方向に放射された光を遮るため、外部に射出される光束が若干低下するおそれがあるので、本参考例では略円錐形状としている。
モリブデン箔104,105は、封止部101b,101cの端面から発光管101の外部に導出された外部リード線106,107と接続されている。
なお、前記ハロゲン物質としては、1×10-10〜1×10-4mol/cm3の範囲内で臭素が用いられており、これはいわゆるハロゲンサイクル作用により電極102,103から蒸発したタングステンを電極に戻して発光部101aの内面が黒化するのを抑制し、かつ、電極の先端部が後退してアーク長が増大するのを防止するために封入されるものである。ハロゲンサイクル作用を最も効果的に機能させるための臭素の封入量としては、特に1×10-9mol/cm3以上1×10-5mol/cm3以下の範囲内であることが好ましい。
図2は、上記ランプ100を組み込んだランプユニット200の構成を示す一部切り欠き斜視図である。
同図に示すように、ランプユニット200は、ランプ100の発光管101片方の管端部に口金201が装着され、スペーサ202を介して反射ミラー203に、その放電アークの位置が反射ミラー203の光軸と一致するように調整された状態で取り付けられて構成される。
反射ミラー203の貫通孔207には、金属製のスリーブ209を介して小型の赤外線カメラ208が埋設されており、ランプ100の電極102の先端部124(もしくは電極103の先端部134)を撮影するように小型赤外線カメラ208の方向とレンズ208aのフォーカスが設定されている。この際、赤外線カメラ208の撮像方向と電極102軸とは直交するように設定されることが望ましい。
なお、このランプユニット200を画像表示装置等に取り付ける際には、赤外線カメラ208が、ランプ100の上方に来ない位置、望ましくはランプ100の真下に来る位置で装置本体に取着することが望ましい。
いずれにしろ、赤外線カメラ208は高価なので、ランプユニット200の交換時には取り外して、新しいランプユニット200にも利用できるようにすることが望ましい。
図3は、上記ランプ100を点灯させる電子安定器300の構成を示す図である。
同図に示すように電子安定器300は、DC/DCコンバータ302、DC/ACインバータ303、管電流検出部304、管電圧検出部305、制御回路306、高圧パルス発生部308を有する。
DC/DCコンバータ302は、所定の大きさの直流をDC/ACインバータ303に供給する。
DC/ACインバータ303は、制御回路306から送出された制御信号に基づいて、所定の周波数の矩形波交流電流を生成する。
制御回路306は、DC/DCコンバータ302、DC/ACインバータ303等を統括的に制御し、電力演算回路306a、PWM制御回路306b、タイマー306c、比較器306d、温度算出部306eを有する。
PWM制御回路306bは、パルス幅変調により電流などを制御する。
タイマー306cは、点灯開始からの時間を計測する。
温度算出部306eは、赤外線カメラ208で撮像した電極先端部124の映像を分析して、その温度分布を求め先端の温度を取得する。
この電極先端部124の画像を処理して輪郭線124aを抽出し、検出された温度分布のうちその先端Pにおける温度を読み出すことにより先端部の温度が取得される。
なお、本参考例では、実際に検出された先端PよりもX方向に所定の距離D1(例えば0.1mm)だけ内側にある点の温度を取得するようにしている。理想的には、電極先端部124のまさに先端での温度を測定すべきだが、ごくわずかにその位置が外側にずれると、大きく測定誤差が生じるので、確実に電極先端部での温度を検出するために少しX軸方向に内側の位置の温度を取得するようにしているのである。ここで設定した「0.1mm」は微小であるので、ほぼ先端の温度と同視でき、制御上問題はない。
4.点灯方法
既述のように、本願発明者らの検討によれば、点灯開始後において、定格電力による定電力制御に移行する際に、電極の先端温度が安定点灯時の温度を大きく超える場合があることが判明している。
本願発明者の実験によれば、t>1.1Tとなると、電極の先端部の消失や損傷が実用上許容できない大きさになることが確認されており、このため、t≦1.1Tの範囲内に収まるように温度制御することが好ましい。
まず、ランプ100に対して高圧パルス発生部308により高電圧を発生して電極102,103間に印加して絶縁破壊し、放電を開始させると共に(ステップS1)、時間計測を開始させる(ステップS2)。
すなわち、赤外線カメラ208でモニターしている電極102の先端部124の温度t≦1.1Tならば(ステップS4:YES)、4Aの定電流制御を継続し(ステップS5)、ランプ電圧が62.5V以上となると、温度制御ループを終了して、定格電力値Ps(本例では250(=62.5(V)×4(A))W)の定電力制御に移行し(ステップS7:YES、ステップS9)、点灯終了までこの制御を続行させる(ステップS10)。
そして、計測時間が120秒になるのを待って、定格電力値Ps(250W)による定電力制御に移行し(ステップS8:YES、ステップS9)、点灯終了までこの制御を続行させる(ステップS10)。
第1の電流値I1、第2の電流値I2は、I1>I2の関係にあり、かつ、両電流値間に電極先端温度tが1.1Tを超えないように抑制できる程度の差があれば、必ずしも4Aと2.5Aの値には限らない。もっとも、第1の電流値I1が小さ過ぎると光束立ち上がり時間が長くなるので、経験的には、3A≦I1≦5Aの範囲にあることが望ましく、また、第2の電流値I2については、これが小さ過ぎると安定点灯に移行したときの照度との差が大きくなり、違和感があるので、ステップS6に移行する際において、定格電力値の70%から90%の範囲内のランプ電力となるような適当な電流値が設定されるのが望ましい。
また、ステップS8における計測時間の閾値も後述するように120秒に限定されず、他の適当な値であってもよい。
以上のように本変形例に係る高圧放電ランプの点灯方法によれば、点灯開始後から定格電力に到達するまでの区間において、電極102の先端部124の温度を監視し、電極の先端温度t(℃)に応じて流す電流の値を変更することで、同区間における電極の先端温度t(℃)は、安定点灯時の先端温度T(℃)と比べてt≦1.1Tの範囲内に制御される。このため、点灯立ち上げにおいて、電極の先端温度が過度に上昇してしまうことを防ぐことが可能となり、アーク長の増大による照度の低下を抑制できる。
上述したランプユニット200は、投射型画像表示装置に組み込んで用いることができる。
図19は、投射型画像表示装置の一例として液晶プロジェクタ400の構成を示す概略図である。
電源ユニット401は、商用AC入力(100V)を所定の直流電圧に変換して、制御ユニット402に供給する。
ランプユニット200から射出された光は、集光レンズ403で集光され、光路途中に配されたカラー液晶表示板404を透過し、レンズユニット405を介して当該液晶表示板404に形成された画像を図外のスクリーン上に投影させる。
(実施の形態)
上記参考例を参考にしつつ、以下、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態において点灯対象となるランプは、参考例において図1を用いて説明したものと同様であるため説明を省略する。
図6は、本実施の形態に係る電子安定器310の構成を示す図である。図6においては、図3と同様のブロックには同じ符号を付している。
同図6に示すように電子安定器310は、DC/DCコンバータ302、DC/ACインバータ303、管電流検出部304、管電圧検出部305、制御回路306、高圧パルス発生部308を有する。
DC/DCコンバータ302は、所定の大きさの直流をDC/ACインバータ303に供給する。
DC/ACインバータ303は、制御回路306から送出された制御信号に基づいて、所定の周波数の矩形波交流電流を生成する。
制御回路306は、DC/DCコンバータ302、DC/ACインバータ303等を統括的に制御し、電力演算回路306a、PWM制御回路306b、タイマー306cを有する。
PWM制御回路306bは、パルス幅変調により電流などを制御する。
タイマー306cは、点灯開始からの時間を計測する。
2.点灯方法
以下、本実施の形態の点灯方法について説明する。
従来の点灯方法は、点灯開始から4Aの定電流制御を行い、電力が250W(定格電力)に到達すると定電力制御に切り換えるものである。
図8は、点灯時間と電極102,103の先端近傍の850[nm]波長強度との関係を示すグラフである。図7と同様、従来の点灯方法による軌跡を点線で示し、本実施の形態の点灯方法による軌跡を実線で示している。
具体的な測定方法は、本実施の形態においては、ランプ100を反射鏡203を付けずに前述の画像表示装置に、その投射レンズの光軸とランプ100の管軸とが直交する状態で装着して、点灯させ、その電極をスクリーン上に投影させるようにし、当該投影された電極像の先端から実際の電極の0.1mmの位置に相当する箇所に赤外分光器を配置し、当該位置における上記波長の強度を検出することにより行った。もっとも、電極先端部の波長測定はこれに限らず他の公知の方法を用いてもよい。
また、図9は、2時間オン、15分オフを繰り返した累積点灯時間に伴うランプ電圧の推移を示すグラフである。軌跡aは、従来の点灯方法によるものであり、軌跡b,c(サンプル数2本)は本実施の形態の点灯方法によるものである。
また、図9の軌跡aによれば、従来の点灯方法においては経時的にランプ電圧が上昇する傾向にあり、特に丸囲みで示すように、点灯立ち上げに対応する時間毎にランプ電圧が急上昇している。ランプ電圧の上昇は、電極間距離が増大していることを意味し、これにより点光源から逸脱して、照度の低下を招くこととなる。
まず、45秒経過時(図8の丸囲みB参照)においては電力200W(電流4A)と従来のピーク時(図8の丸囲みA参照)より負荷が小さいために電極102,103の温度の過度な上昇が抑制されたと言える。
120秒経過後の電力切り換え(200W→250W)においては、電流値が2.5Aから3.13Aへと増加するが、ここで先端温度tがオーバーシュートしていないのは、本実施の形態の120秒後において電極先端部に衝突する電子の運動エネルギーは、オーバーシュートした従来の点灯方法による55秒付近における電子の運動エネルギーより小さい(電子の温度が低い)からであると考えられる。
しかし、点灯開始から120秒後においては、図10(b)に示すように、アルゴンガスの圧力が上がっているため、電子がアルゴンガスに衝突する確率が高くなり、衝突により電子の運動エネルギーがアルゴンガス粒子へ伝達され、陽極102に到達するときには低い運動エネルギーになっていると考えられる。
(制御例1)
図11は、本点灯方法における制御例1の内容を示すフローチャートである。係る制御は上述の電子安定器310の制御回路306(図6)により実行される。
まず、高圧パルス発生部308により高電圧を発生させ、ランプ100の電極102,103間に印加して絶縁破壊し、放電を開始させると共に(ステップS11)、時間計測をスタートさせる(ステップS12)。
ランプ電圧が50Vになると(ステップS14:YES)、ステップS12で計測した時間が120秒経過するまで定格電力Ps(250W)よりも低い電力値Pa(200W)の定電力制御を実行する(ステップS15、S16)。
以上説明したように、本実施の形態に係る高圧放電ランプの点灯方法によれば、ランプ電力を直ちには定格電力Ps(250W)まで増加させずに、定格電力より低い電力Pa(例えば200W)で定電力制御を行い、一旦電極102,103の先端部の温度を安定させ、その後に電力を定格電力まで増加させる。このため、点灯立ち上げにおいて、従来のように電極の温度がオーバーシュートして安定点灯時の電極の温度を大幅に超えることがなくなる。
ランプの絶縁破壊後、まず、4Aでの定電流制御を行い(C1)、ランプ電圧が50Vになると200Wでの定電力制御(低電力点灯区間)に切り換える(C2)。そして、点灯開始後120秒経過後、250Wでの定電力制御に切り換え(C3)、以後250Wの定電力制御を継続する(C4)。
図13(a)に示すように点灯開始後の4Aの定電流制御によりランプ電力が次第に増大し、これが200Wになると定電力制御を行い、点灯開始後120経過すると250Wの定電力制御に切り換える。図13(b)はこの制御をランプ電流との関係で示しているが、80Vのランプを使用しているので、120秒経過後の250Wでの定電力制御においては、ランプ電流が3.125Aと一定している。
そこで、例えば、電子安定器310に時定数を持たせることで、200Wから250Wへと電力をなだらかに増加させるようにしてもよい。この場合の例を図14(a)(b)に示す。
なお、本制御例1においては、高圧放電ランプ100自体において、その特性上ランプ電圧が80Vを超えない、すなわち最高電圧値として80V(固有値)となるように設計されたランプを用いて説明したが、厳密にランプ電圧の最高値を80Vとするのは製造工程の管理に過度の負担を生じ、生産性が低下するので、実際には、若干の製造上のばらつきを考慮し、設計上ランプ電圧の中心値を80Vとし、62.5V(下限)以上95V(上限)以下(このようにランプの特性として設定されたランプ電圧の範囲を以下「規定電圧範囲」という。)に収まるように電極間距離Deの中心値をおよびこの中心値からの電極間距離のばらつきの許容範囲を設定して製造管理が行われている。この場合、電極間距離Deは、具体的に1.0mmを中心値とし、そのばらつきとして±0.2mmを許容範囲としている。
上記制御例1では、(1)4Aでの定電流制御→(2)200Wでの定電力制御→(3)250Wでの定電力制御と3段階に推移させたが、本制御例でも、ランプの特性として規定電圧範囲が設定されており、その上限のランプ電圧をVbとした場合に、Ib・Vbが定格電力Ps未満となるような一定の電流値Ibを供給するように制御し、初期点灯区間において、定格電力Psよる定電力制御の前に、より低い電力での制御区間(低電力点灯区間)を介在させるようにしている点に特徴がある。
まず、ランプ100に高電圧を印加して絶縁破壊させると共に(ステップS21)、時間計測をスタートさせる(ステップS22)。
この間、徐々にランプ電圧が上昇し、80Vになるとそれ以上上昇しないので、その時点からステップS22で計測を開始した時間が120秒になるまで、実質上200Wの定電力制御が実行されることになる。
図16(a)は、本制御例に係る点灯制御を点灯開始後の経過時間(s)とランプ電力(W)との関係を示し、図16(b)は、点灯開始後の経過時間(s)とランプ電流(A)との関係で示している。
図16(b)はこの制御をランプ電流との関係で示しているが、上述の通り最高電圧値Vcが80Vのランプを使用しているので、120秒経過後の250Wでの定電力制御においては、ランプ電流が3.125Aと一定している。
両図に示すように200Wから250Wへの定電力制御の間に漸増区間141、142が介在し、急激なランプ電力の変化が抑制され、これにより電極先端部における温度のオーバシュートがより一層防止される。
図18は、本制御例2においてランプの特性上規定された規定電圧範囲の上限の95Vが、最高電圧値Vcであるランプを使用した場合のランプ電圧とランプ電流との関係を示すグラフであり、一点鎖線が本制御例、実線が従来の制御例に該当する。
(1)電極先端の形状について
実施の形態においては、先端部124,134の形状が略円錐形状の電極102,103を用いている。このように形状が略円錐形状の場合、上述したように電極102,103の過度な温度上昇が顕在化するので、本実施の形態に係る点灯方法を適用することは極めて有効である。しかし、先端部形状が略円錐形状に限らず、略半球形状や略球状を有する電極に適用することも可能である。また、これらのような先端部に溶融部を有する電極のみに限らず、削り出し電極等にも適用可能である。
実施の形態では、200Wに到達すると定電力制御に移行させるとしたが、この定格電力より低い電力の上限は、電極温度がオーバーシュートする直前の値に設定することが好ましい。また、下限は、あまりに低く設定すると電極温度を安定させている間に十分な光束が得られないため、安定点灯時と比べて目立った光束低下が観察されない程度の値に設定することが好ましい。具体的には、70%以上90%以下の範囲内にあることが好ましい。
上記実施の形態では、200W→250Wと低い電力から定格電力へと直接切り換えたが、例えばタイマー値などを設定することにより、点灯開始から120秒後に、200W→225Wと切り換え、その20秒後に225W→250Wと切り換えるなど段階的に変化させるようにしても構わない。このようにすれば、より電極先端部の温度のオーバーシュートを抑制することができる。
上記実施の形態においては、定格電力が250Wの高圧水銀ランプを例にして説明したが、従来の点灯制御における照度低下の問題は、その発生原因(初期点灯区間における定電流制御から定格電力による定電力制御への切り換え時における電極先端部の温度のオーバーシュート)からも分かるように、高圧水銀ランプのみならず水銀を含む他の高圧放電ランプ一般について生じ得るものであり、また、その定格電力も上記250Wの定格電力のランプに限られないことは明らかであり、本発明はそれら全てのランプに適用することができるものである。
上記実施の形態においては、点灯開始から120秒経過したときに250Wの定格電力に切り換えるように制御した(以下では、この点灯開始から定格電力による定電力制御までの時間を「定格切換時間」という。)。
しかし、この「120秒」は、定格切換時間の一例に過ぎない。上述のように従来の点灯方法において、電極先端部の温度のオーバーシュートが生じたのは、発光管内の封入ガスの原子が十分活性化しないうちに定格電力制御に移行するため、電子が直接電極先端部に衝突することに起因するのであり、その封入ガスの活性化の状態は、点灯開始直後の定電流制御における電流値、定格電流よりも低い電力での定電力制御における当該電力の値などによって異なってくるし、また、定格電力が低いものにあっては、定格電力による定電力制御への切換時の電流の負荷もそれだけ低くなるので、定格切換時間を120秒まで取らなくとも、90秒程度でも電極間距離に影響を与えるようなオーバーシュートの発生を抑制できるからである。
この際、特に、定格電力による定電流制御までにランプに投入された電力の積分値(総エネルギー)などが有効なパラメータとなり得るであろう。
200 ランプユニット(高圧放電ランプ装置)
208 カメラ
300,301 電子安定器(点灯装置)
302 DC/DCコンバータ
303 DC/ACインバータ
304 管電流検出部
305 管電圧検出部
306 制御回路
306a 電力演算回路
306b PWM制御回路
306c タイマー
306d 比較器
306e 温度算出部
308 高圧パルス発生部
400 液晶プロジェクタ
Claims (10)
- 内部に、発光物質として水銀が封入され、かつ一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプを点灯させる点灯方法であって、
点灯開始後から、あらかじめ定められた定格電力値Psによる定電力制御に移行するまでの初期点灯区間において、
ランプ電力が、前記定格電力値Psよりも低い一定の電力値Paで点灯維持される低電力点灯区間が含まれ、かつ、
点灯開始から所定の時間経過後に前記定格電力値Psによる定電力制御に移行するように制御することを特徴とする高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記初期点灯区間において、所定の電流値Iaにより定電流制御する第1の制御と、ランプ電圧が所定値Vaに到達したときに電力値Paで定電力制御する第2の制御と、点灯開始から所定の時間経過後に、定格電力値Psによる定電力制御に移行する第3の制御とを含み、
前記第2の制御の区間が前記低電力点灯区間に該当することを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記高圧放電ランプは、その特性としてランプ電圧の範囲が規定されており、その規定された電圧範囲の上限の電圧値をVbとした場合に、
前記初期点灯区間において、Ib・Vb<Psとなる一定の電流値Ibを供給するように制御され、
ランプ電圧が、当該規定された電圧範囲内の所定値Vcに到達した後、前記所定時間が経過するまでの区間が、前記低電力点灯区間に該当することを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプの点灯方法。 - 前記低電力点灯区間における電力値Paは、前記定格電力値Psに対して70%以上90%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高圧放電ランプの点灯方法。
- 内部に、発光物質として水銀が封入され、かつ一対の電極が配置されている発光管を有する高圧放電ランプを点灯させる点灯装置であって、
高圧放電ランプに電力を供給する電力供給手段と、
点灯開始後から、あらかじめ定められた定格電力値Psによる定電力制御に移行するまでの初期点灯区間において、
ランプ電力が、前記定格電力値Psよりも低い一定の電力値Paで点灯維持される低電力点灯区間が含まれ、かつ、
点灯開始から所定の時間経過後に前記定格電力値Psによる定電力制御に移行するように前記電力供給手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする高圧放電ランプの点灯装置。 - 前記制御手段による電力供給手段の制御は、
前記初期点灯区間において、所定の電流値Iaにより定電流制御する第1の制御と、ランプ電圧が所定値Vaに到達したときに電力値Paで定電力制御する第2の制御と、点灯開始から所定の時間経過後に、定格電力値Psによる定電力制御に移行する第3の制御とを含み、
前記第2の制御の区間が前記低電力点灯区間に該当することを特徴とする請求項5に記載の高圧放電ランプの点灯装置。 - 前記高圧放電ランプは、その特性としてランプ電圧の範囲が規定されており、
前記制御手段は、
前記規定された電圧範囲の上限の電圧値をVbとした場合に、前記初期点灯区間において、点灯開始後、Ib・Vb<Psとなる一定の電流値Ibを供給し、
点灯開始から所定の時間経過後に前記定格電力値Psによる定電力制御に移行するように前記電力供給手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の高圧放電ランプの点灯装置。 - 前記低電力点灯区間における電力値Paは、前記定格電力値Psに対して70%以上9
0%以下の範囲内であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の高圧放電ランプの点灯装置。 - 高圧放電ランプと、当該高圧放電ランプから発する光を反射する反射鏡と、前記高圧放電ランプを点灯させる請求項5から8のいずれか1項に記載の高圧放電ランプの点灯装置とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ装置。
- 請求項9に記載の高圧放電ランプ装置を備えることを特徴とする投射型画像表示装置。
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