JP2012106958A - 複素環化合物 - Google Patents

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真一 今村
Kentaro Hashimoto
健太郎 橋本
Naoki Miyamoto
直樹 宮本
Daisuke Tomita
大介 冨田
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Abstract

【課題】強力なIAP拮抗活性を示す複素環誘導体を提供すること。
【解決手段】式
Figure 2012106958

[式中、各記号は本明細書中で定義した通りである。]
で表される化合物またはその塩。
【選択図】なし

Description

本発明は、アポトーシス抑制蛋白質(Inhibitors of apoptosis protein)(本明細書中、IAPと略記することがある)拮抗活性を有し、癌の予防または治療等に有用な複素環化合物ならびにその用途に関する。
(発明の背景)
アポトーシスもしくは管理、調節された細胞死(プログラムされた細胞死)は、生体の発達、恒常性維持に重要な役割を担っており、アポトーシス(細胞死)シグナルの破綻は癌、自己免疫疾患、神経変性疾患および炎症性疾患等、種々の疾患と深く関与している(非特許文献1)。アポトーシス(細胞死)における重要な因子は、セリンプロテアーゼであるカスパーゼであり、アポトーシスの実行因子として種々の蛋白質分解に関与している。多くの癌では、種々のシグナル分子を介してカスパーゼの機能を抑制することによりアポトーシス(細胞死)抵抗性を獲得し、生存、増殖している。
アポトーシス抑制蛋白質(IAP)は、カスパーゼと直接結合しその機能を抑制することによりアポトーシスを抑制している蛋白質群である。IAPは、共通構造としてBIRドメインを有する蛋白質として同定され、XIAP、cIAP−1、cIAP−2、ML−IAP、Survivin等が報告されている(非特許文献2)。
IAPは、多くの癌で発現亢進しており、癌の悪性化、予後不良と正相関することが報告されている。近年、種々の細胞死シグナルによりミトコンドリアより放出され、アポトーシス(細胞死)を誘導する蛋白質である、Smac(DIABLO)が、XIAPやcIAP等のIAP蛋白質の結合部位に結合しカスパーゼの抑制を解除することにより、強力なアポトーシス(細胞死)を誘導することが明らかとなった。また、Smacが、XIAPやcIAP等のIAP蛋白質へ結合することにより、IAP蛋白質の自己ユビキチン化を誘導し、IAP蛋白質の自己消化を介したアポトーシス誘導作用も報告されている。これらのことから、IAPとの結合に重要なSmacペプチド部位を模倣した低分子化合物であるIAP拮抗薬は、アポトーシス(細胞死)を誘導する有望な癌治療薬となり得る。
一方、複素環化合物としては、非特許文献3に報告されている化合物が知られているが、非特許文献3に報告されている化合物と本願化合物とは構造が異なる。
また、IAP拮抗剤として特許文献1〜3に報告されている化合物が知られているが、特許文献1〜3に報告されている化合物と本願化合物とは構造が異なる。
国際公開第2005/097791号パンフレット 国際公開第2006/017295号パンフレット 国際公開第2006/128455号パンフレット
Science 267 (1995) 1456-1462 J. Clin. Invest.115 (2005) 2673-2678 Tetrahedron 64 (2008) 10741-10753
薬効発現、薬物動態、溶解性、他の医薬品との相互作用、安全性(毒性)、安定性等の点で優れたIAP拮抗(阻害)薬は、治療上優れた効果を期待することができる。しかしながら、現状では、これらを十分に満足できるものが見いだされていない。従って、本発明の目的は、上記の点に優れた、医薬品として十分満足できる化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の式で示される化合物が優れたIAP拮抗(阻害)活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 式(I):
Figure 2012106958
[式中、
およびRは、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
は、置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
およびRは、同一または異なって、置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
環Aは、置換基を有していてもよい複素環を示す。]
で表される化合物またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」ということがある。);
[2] 上記[1]記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬;
[3] アポトーシス抑制蛋白質の拮抗薬である、上記[2]記載の医薬;
[4] 癌の予防または治療剤である、上記[2]記載の医薬;
[5] 哺乳動物に対し、上記[1]記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるアポトーシス抑制蛋白質の拮抗方法;
[6] 哺乳動物に対し、上記[1]記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする、該哺乳動物における癌の予防または治療方法;
[7] アポトーシス抑制蛋白質の拮抗薬を製造するための、上記[1]記載の化合物またはその塩の使用;
[8] 癌の予防または治療剤を製造するための、上記[1]記載の化合物またはその塩の使用。
本発明化合物は、IAPに対して優れた拮抗作用を示し、薬物動態、溶解性、他の医薬品との相互作用、毒性等の安全性、安定性の点でも優れているので、IAP関連疾患の臨床上有用な予防または治療剤(例えば、癌の予防または治療剤、癌の増殖阻害剤、癌の転移抑制剤、アポトーシス促進剤)を提供することができる。
(発明の詳細な説明)
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を示す。
本明細書中、「C1−6アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルケニル」としては、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルキニル」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル−カルボニル」としては、例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C3−8シクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3−8シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3−8シクロアルケニル」としては、例えば、シクロプロペニル(例、2−シクロプロペン−1−イル)、シクロブテニル(例、2−シクロブテン−1−イル)、シクロペンテニル(例、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル)、シクロヘキセニル(例、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられる。
本明細書中、「C6−10アリール」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが挙げられる。
本明細書中、「C6−10アレーン」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C7−13アラルキル」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルが挙げられる。
本明細書中、「複素環基」とは、芳香族複素環基および非芳香族複素環基を示す。
本明細書中、「芳香族複素環基」とは、単環式芳香族複素環基および縮合芳香族複素環基を示す。
該単環式芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、5乃至7員(好ましくは、5または6員)の単環式芳香族複素環基、例えば、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、チアジアゾリル(例、1,3,4−チアジアゾール−2−イル)、トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、トリアジニル(例、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル)が挙げられる。
該縮合芳香族複素環基としては、例えば、8乃至12員の縮合芳香族複素環基、具体的には、上記5乃至7員の単環式芳香族複素環基に対応する環とC6−10アレーンとが縮合して形成する縮合環から誘導される基;上記5乃至7員の単環式芳香族複素環基に対応する環同士が縮合して形成する縮合環から誘導される基;例えば、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、6−キノリル)、イソキノリル(例、3−イソキノリル)、キナゾリル(例、2−キナゾリル、4−キナゾリル)、キノキサリル(例、2−キノキサリル、6−キノキサリル)、ベンゾフラニル(例、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル)、ベンズオキサゾリル(例、2−ベンズオキサゾリル)、ベンズイソオキサゾリル(例、3−ベンズイソオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾイソチアゾリル(例、3−ベンゾイソチアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例、ベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、ベンズイミダゾール−5−イル)、ベンゾトリアゾリル(例、1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−2−イル、インドール−3−イル、インドール−5−イル)、インダゾリル(例、1H−インダゾール−3−イル)、ピロロピラジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−2−イル、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)、イミダゾピリジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2H−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)、チエノピリジニル(例、チエノ[2,3−b]ピリジン−3−イル)、イミダゾピラジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピラジン−2−イル)、ピラゾロピリジニル(例、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル)、ピラゾロチエニル(例、2H−ピラゾロ[3,4−b]チオフェン−2−イル)、ピラゾロトリアジニル(例、ピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−イル)が挙げられる。
本明細書中、「5乃至12員の芳香族複素環基」とは、上記5乃至7員の単環式芳香族複素環基および8乃至12員の縮合芳香族複素環基を示す。
本明細書中、「非芳香族複素環基」とは、単環式非芳香族複素環基および縮合非芳香族複素環基を示す。
該単環式非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子(該硫黄原子は酸化されていてもよい)および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、4乃至7員(好ましくは、5または6員)の単環式非芳香族複素環基、例えば、アゼチジニル(例、1−アゼチジニル、2−アゼチジニル)、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル)、ピペリジル(例、ピペリジノ、2−ピペリジル、3−ピペリジル)、モルホリニル(例、モルホリノ)、チオモルホリニル(例、チオモルホリノ)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、3−ピペラジニル)、オキサゾリジニル(例、オキサゾリジン−2−イル)、チアゾリジニル(例、チアゾリジン−2−イル)、イミダゾリジニル(例、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−3−イル)、オキサゾリニル(例、オキサゾリン−2−イル)、チアゾリニル(例、チアゾリン−2−イル)、イミダゾリニル(例、イミダゾリン−2−イル、イミダゾリン−3−イル)、ジオキソリル(例、1,3−ジオキソール−4−イル)、ジオキソラニル(例、1,3−ジオキソラン−4−イル)、ジヒドロオキサジアゾリル(例、4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、ピラニル(例、2−ピラニル、4−ピラニル)、テトラヒドロピラニル(例、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル)、チオピラニル(例、4−チオピラニル)、ジヒドロチオピラニル(例、ジヒドロチオピラン−3−イル、ジヒドロチオピラン−4−イル)、テトラヒドロチオピラニル(例、2−テトラヒドロチオピラニル、3−テトラヒドロチオピラニル、4−テトラヒドロチオピラニル)、1−オキシドテトラヒドロチオピラニル(例、1−オキシドテトラヒドロチオピラン−4−イル)、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラニル(例、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラン−4−イル)、テトラヒドロフリル(例、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロフラン−2−イル)、ピラゾリジニル(例、ピラゾリジン−1−イル、ピラゾリジン−3−イル)、ピラゾリニル(例、ピラゾリン−1−イル)、テトラヒドロピリミジニル(例、テトラヒドロピリミジン−1−イル)、ジヒドロトリアゾリル(例、2,3−ジヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)、テトラヒドロトリアゾリル(例、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)、アゼパニル(例、1−アゼパニル、2−アゼパニル、3−アゼパニル、4−アゼパニル)、ジヒドロピリジル(例、ジヒドロピリジン−1−イル、ジヒドロピリジン−2−イル、ジヒドロピリジン−3−イル、ジヒドロピリジン−4−イル)、テトラヒドロピリジル(例、テトラヒドロピリジン−1−イル、テトラヒドロピリジン−2−イル、テトラヒドロピリジン−3−イル、テトラヒドロピリジン−4−イル)が挙げられる。
該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、8乃至12員の縮合非芳香族複素環基、具体的には、上記4乃至7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環とC6−10アレーンとが縮合して形成する縮合環から誘導される基;上記4乃至7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環同士が縮合して形成する縮合環から誘導される基;上記4乃至7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環と上記5乃至7員の単環式芳香族複素環基に対応する環とが縮合して形成する縮合環から誘導される基;これらの基の部分飽和により得られる基;例えば、ジヒドロインドリル(例、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)、ジヒドロイソインドリル(例、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)、ジヒドロベンゾフラニル(例、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)、テトラヒドロベンゾフラニル(例、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル)、ジヒドロベンゾジオキシニル(例、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル)、ジヒドロベンゾジオキセピニル(例、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピニル)、クロメニル(例、4H−クロメン−2−イル、2H−クロメン−3−イル)、ジヒドロクロメニル(例、3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−2−イル)、ジヒドロキノリニル(例、1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)、テトラヒドロキノリニル(例、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)、ジヒドロイソキノリニル(例、1,2−ジヒドロイソキノリン−4−イル)、テトラヒドロイソキノリニル(例、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)、ジヒドロフタラジニル(例、1,4−ジヒドロフタラジン−4−イル)、アザビシクロヘキシル(例、2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−イル)、ジヒドロシクロペンタチアゾリル(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール−5−イル)が挙げられる。
本明細書中、「4乃至12員の非芳香族複素環基」とは、上記4乃至7員の単環式非芳香族複素環基および8乃至12員の縮合非芳香族複素環基を示す。
本明細書中、「置換基を有していてもよいC1−6アルキル」の「C1−6アルキル」が有していてもよい置換基としては、例えば、以下の置換基A群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
置換基A群:
(1) ハロゲン原子;
(2) シアノ;
(3) ニトロ;
(4) ヒドロキシ;
(5) カルボキシ;
(6)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(d) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、および
(e) オキソ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル;
(7)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、および
(d) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC6−10アリール;
(8)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、および
(d) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい5乃至12員の芳香族複素環基;
(9)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(d) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、および
(e) オキソ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい4乃至12員の非芳香族複素環基;
(10)(a) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(b)(i) ハロゲン原子、および
(ii) C6−10アリール
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル−カルボニル、
(c)(i) ハロゲン原子、および
(ii) C6−10アリール
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル、
(d)(i) ハロゲン原子、および
(ii) C6−10アリール
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル)、
(e) C6−10アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル)、
(f) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルを1または2個有していてもよいカルバモイル、
(g)(i) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、および
(iv) ハロゲン原子
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい5乃至12員の芳香族複素環基、および
(h)(i) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、
(iv) ハロゲン原子、および
(v) オキソ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい4乃至12員の非芳香族複素環基
から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいアミノ;
(11) イミノ;
(12) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル−カルボニル;
(13)(a) ハロゲン原子、
(b) C1−6アルコキシ、
(c) C6−10アリール、
(d)(i) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、および
(iv) ハロゲン原子
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい5乃至12員の芳香族複素環基、および
(e)(i) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、
(iv) ハロゲン原子、および
(v) オキソ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい4乃至12員の非芳香族複素環基
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル;
(14) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル);
(15) C6−10アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル);
(16) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルを1または2個有していてもよいカルバモイル;
(17) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルを1または2個有していてもよいチオカルバモイル;
(18) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルを1または2個有していてもよいスルファモイル;
(19)(a) ハロゲン原子、
(b) カルボキシ、
(c) C1−6アルコキシ、
(d) 1乃至3個のC6−10アリールを有していてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル、
(e) C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシ−カルボニルから選ばれる置換基を1または2個有していてもよいアミノ、
(f) C3−8シクロアルキル、
(g)(i) ハロゲン原子、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
および
(iv) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい5乃至12員の芳香族複素環基、および
(h)(i) ハロゲン原子、
(ii) ヒドロキシ、
(iii) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(iv) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルコキシ、
および
(v) オキソ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい4乃至12員の非芳香族複素環基
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ;
(20) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC2−6アルケニルオキシ(例、エテニルオキシ);
(21)(a) ハロゲン原子、および
(b) C1−6アルコキシ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキルオキシ(例、シクロプロポキシ、シクロペンチルオキシ);
(22) C6−10アリールオキシ(例、フェニルオキシ、ナフチルオキシ);
(23) C7−13アラルキルオキシ(例、ベンジルオキシ);
(24) C1−6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセチルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ);
(25)(a) ハロゲン原子、
(b) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、
(c) C1−6アルコキシ、および
(d) C6−10アリール
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC6−10アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル);
(26)(a) ハロゲン原子、
(b) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、および
(c) シアノ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい5乃至12員(好ましくは、5乃至7員)の芳香族複素環−カルボニル(例、チエニルカルボニル、ピラゾリルカルボニル、ピラジニルカルボニル、イソキサゾリルカルボニル、ピリジルカルボニル、チアゾリルカルボニル、フリルカルボニル、ピリミジニルカルボニル、ベンゾチエニルカルボニル);
(27)(a) ハロゲン原子、および
(b) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよい4乃至12員(好ましくは、4乃至7員)の非芳香族複素環−カルボニル(例、ピロリジニルカルボニル、モルホリニルカルボニル);
(28) C7−13アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル);
(29) メルカプト;
(30)(a) ハロゲン原子、および
(b) C1−6アルコキシ−カルボニル
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルチオ(例、メチルチオ、エチルチオ);
(31) C7−13アラルキルチオ(例、ベンジルチオ);
(32) C6−10アリールチオ(例、フェニルチオ、ナフチルチオ);
(33) C1−3アルキレンオキシ(例、メチレンオキシ、エチレンオキシ);
(34) C1−3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ);および
(35) 1個のC6−10アリールを有していてもよいC2−6アルケニル−カルボニル(例、ビニルカルボニル、アリルカルボニル)。
本明細書中、「置換基を有していてもよい複素環」および「複素環」としては、前記「複素環基」に対応する環が挙げられる。
「置換基を有していてもよい複素環」が「置換基を有していてもよい芳香族複素環」の場合、該芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、例えば、以下の置換基B群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
置換基B群:
(1) 前記置換基A群から選択される置換基;
(2)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) カルボキシ、
(d) C1−6アルコキシ、
(e) C1−6アルコキシ−カルボニル、および
(f) C1−6アルキルを1または2個有していてもよいアミノ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル;
(3)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) カルボキシ、
(d) C1−6アルコキシ、
(e) C1−6アルコキシ−カルボニル、および
(f) C1−6アルキルを1または2個有していてもよいアミノ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC2−6アルケニル;および
(4)(a) ハロゲン原子、
(b) ヒドロキシ、
(c) 1乃至3個のハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキル、および
(d) C1−6アルコキシ
から選ばれる1乃至3個の置換基を有していてもよいC7−13アラルキル。
「置換基を有していてもよい複素環」が「置換基を有していてもよい非芳香族複素環」の場合、該非芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、例えば、以下の置換基C群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
置換基C群:
(1) 前記置換基B群から選択される置換基;および
(2) オキソ。
本明細書中、「置換基を有していてもよい環状基」の「環状基」とは、例えば、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基(例、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、C6−10アリール、芳香族複素環基、非芳香族複素環基を示す。
「置換基を有していてもよい環状基」が置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキルの場合、該C3−8シクロアルキルが有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換基C群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい環状基」が置換基を有していてもよい、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基の場合、該縮合環基が有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換基C群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の位置は、ベンゼン環部分でもC3−8シクロアルカン部分でも置換可能な位置であれば特に限定されない。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい環状基」が置換基を有していてもよいC6−10アリールの場合、該C6−10アリールが有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換基B群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい環状基」が置換基を有していてもよい芳香族複素環基の場合、該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換基B群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい環状基」が置換基を有していてもよい非芳香族複素環基の場合、該非芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、前記置換基C群から選ばれる置換基が挙げられる。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
以下、化合物(I)について説明する。
式(I)において、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを示す。
は、好ましくは、置換基を有していてもよいC1−6アルキル(例、メチル)である。
は、より好ましくは、C1−6アルキル(例、メチル)である。
式(I)において、Rは、置換基を有していてもよいC1−6アルキルを示す。
は、好ましくは、C1−6アルキル(例、メチル)である。
式(I)において、Rは、置換基を有していてもよいC1−6アルキルまたは置換基を有していてもよい環状基を示す。
は、好ましくは、置換基を有していてもよい環状基(好ましくは、C3−8シクロアルキル)である。
は、より好ましくは、C3−8シクロアルキル(例、シクロヘキシル)である。
式(I)において、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを示す。
は、好ましくは、水素原子である。
式(I)において、Rは、置換基を有していてもよいC1−6アルキルまたは置換基を有していてもよい環状基を示す。
は、好ましくは、置換基を有していてもよい環状基である。
は、より好ましくは、置換基を有していてもよい、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基(例、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、または置換基を有していてもよい非芳香族複素環基(例、ジヒドロクロメニル)である。
は、さらに好ましくは、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基(例、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、または非芳香族複素環基(例、ジヒドロクロメニル)である。
なかでも、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルおよびジヒドロクロメニルが好ましい。
式(I)において、環Aは、置換基を有していてもよい複素環を示す。
環Aは、好ましくは、置換基を有していてもよい4乃至7員の単環式非芳香族複素環(例、ピロリジン、ピペリジン)または置換基を有していてもよい8乃至12員の縮合非芳香族複素環(例、ジヒドロインドール、ジヒドロシクロペンタチアゾール(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール))である。
環Aは、好ましくは、
(a)C1−6アルキル(例、メチル)、
(b)ハロゲン原子(例、塩素原子)およびC1−6アルコキシ(例、メトキシ)から選択される1乃至5個の置換基を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)、および
(c)C7−13アラルキル(例、ベンジル)
から選択される1乃至5個の置換基をそれぞれ有していてもよい、4乃至7員の単環式非芳香族複素環(例、ピロリジン、ピペリジン)または8乃至12員の縮合非芳香族複素環(例、ジヒドロインドール、ジヒドロシクロペンタチアゾール(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール))である。
環Aは、より好ましくは、
(1)1乃至3個のハロゲン原子(例、塩素原子)を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)
を有していてもよい4乃至7員の単環式非芳香族複素環(例、ピロリジン、ピペリジン);または
(2)(a) C1−6アルキル(例、メチル)、
(b) 1乃至3個のC1−6アルコキシ(例、メトキシ)を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)、および
(c) C7−13アラルキル(例、ベンジル)
から選択される1乃至5個の置換基を有していてもよい8乃至12員の縮合非芳香族複素環(例、ジヒドロインドール、ジヒドロシクロペンタチアゾール(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール))である。
化合物(I)の好適な具体例としては、以下が挙げられる。
化合物(A)
式(I)において、
が、C1−6アルキル(例、メチル)であり;
が、C1−6アルキル(例、メチル)であり;
が、C3−8シクロアルキル(例、シクロヘキシル)であり;
が、水素原子であり;
が、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基(例、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、または非芳香族複素環基(例、ジヒドロクロメニル)であり;
環Aが、
(a)C1−6アルキル(例、メチル)、
(b)ハロゲン原子(例、塩素原子)およびC1−6アルコキシ(例、メトキシ)から選択される1乃至5個の置換基を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)、および
(c)C7−13アラルキル(例、ベンジル)
から選択される1乃至5個の置換基をそれぞれ有していてもよい、4乃至7員の単環式非芳香族複素環(例、ピロリジン、ピペリジン)または8乃至12員の縮合非芳香族複素環(例、ジヒドロインドール、ジヒドロシクロペンタチアゾール(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール))
である、化合物またはその塩。
化合物(B)
式(I)において、
が、C1−6アルキル(例、メチル)であり;
が、C1−6アルキル(例、メチル)であり;
が、C3−8シクロアルキル(例、シクロヘキシル)であり;
が、水素原子であり;
が、C3−8シクロアルカンとベンゼン環とが縮合して形成する縮合環から誘導される1価の縮合環基(例、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、または非芳香族複素環基(例、ジヒドロクロメニル)であり;
環Aが、
(1)1乃至3個のハロゲン原子(例、塩素原子)を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)
を有していてもよい4乃至7員の単環式非芳香族複素環(例、ピロリジン、ピペリジン);または
(2)(a) C1−6アルキル(例、メチル)、
(b) 1乃至3個のC1−6アルコキシ(例、メトキシ)を有していてもよいC6−10アリール(例、フェニル)、および
(c) C7−13アラルキル(例、ベンジル)
から選択される1乃至5個の置換基を有していてもよい8乃至12員の縮合非芳香族複素環(例、ジヒドロインドール、ジヒドロシクロペンタチアゾール(例、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d][1,3]チアゾール))である、化合物またはその塩。
化合物(I)が塩である場合、そのような塩としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩が挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩が挙げられる。
このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物(I)が酸性官能基を有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩)等の無機塩、アンモニウム塩が、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;および酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
次に、化合物(I)の製造方法について述べる。
化合物(I)は、自体公知の方法、例えば、以下に詳述する方法、あるいはこれに準ずる方法に従って製造することができる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノールが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるエーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテルが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるエステル類としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるハロゲン化炭化水素類としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレンが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられる炭化水素類としては、例えば、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるアミド類としては、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。
以下の反応において、反応溶媒として用いられるスルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
以下の反応において、塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属C1−6アルコキシド;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類;メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機リチウム類;リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド類が挙げられる。
以下の反応において、酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等のスルホン酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられる。
以下の反応において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムが挙げられる。
以下の反応において、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが挙げられる。
以下の反応において、水酸化アルカリ金属としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムが挙げられる。
以下の反応において、水酸化アルカリ土類金属としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
以下の反応において、原料化合物や製造中間体は、塩であってもよい。このような塩としては、前述の化合物(I)が塩である場合において例示された塩と同様のものが挙げられる。
また、各工程で得られた化合物は、反応液のままあるいは粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法(例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の分離手段)に従って反応混合物から単離してもよい。
化合物(I)は、例えば、以下の反応式1で示される方法またはこれに準じた方法によって製造することができる。
反応式1
Figure 2012106958
[式中、PGはアミノの保護基を示す。その他の各記号は前記と同意義を示す。]
PGで示されるアミノの保護基としては、例えば、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニル、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニル)、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル)、ベンジル、トリチル、フタロイル、N,N−ジメチルアミノメチレン、置換シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル(例、1−アリル)が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルコキシおよびニトロから選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい。
化合物(5)は、化合物(6)と化合物(7)とを反応させることにより製造することができる。
化合物(7)の使用量は、化合物(6)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
該反応は、縮合剤の存在下に行うことが望ましい。
該縮合剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド、N,N’−ジエチルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド;2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド等のトリアジン類;N,N’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾ−ル);亜リン酸トリアルキル;ポリリン酸エチル、ポリリン酸イソプロピル等のポリリン酸エステル;オキシ塩化リン;ジフェニルホスホリルアジド;塩化チオニル;塩化オキサリル;クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のハロギ酸低級アルキル;トリフェニルホスフィン;1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ(4,5−b)ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HATU);N−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾ−ル;N,N’−ジメチルホルムアミドと、塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、オキシ塩化リン等との反応によって調製した、いわゆるビルスマイヤ−試薬、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
該縮合剤の使用量は、化合物(6)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、所望により塩基の存在下で行ってもよい。
塩基の使用量は、化合物(6)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
本反応の反応温度は、通常、−78℃〜200℃である。反応時間は、通常、0.5〜100時間である。
また、本反応では、化合物(7)の混合酸無水物を用いてもよく、化合物(7)の混合酸無水物を化合物(6)と反応させることにより化合物(5)を製造することができる。
化合物(7)の混合酸無水物は、例えば、化合物(7)とクロロ炭酸アルキル(例、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)を塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。
クロロ炭酸アルキルの使用量は、化合物(7)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
塩基の使用量は、化合物(7)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
本反応の反応温度は、通常、−78℃〜200℃である。反応時間は、通常、0.5〜100時間である。
化合物(7)は市販のものを使用するか、または自体公知の方法(例えば、J. Heterocyclic Chem., 1991, 28, 1715-1720; WO2008/85302; J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 9375-9376; J. Med. Chem., 1993, 36, 2300-2310; Tetrahedron: Asymmetry, 2001, 12, 2421-2425; WO2009/005677; WO2006/069063; US2003/0216325等に記載の方法; Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons編 (1980)に記載の方法による保護基の導入、除去)によって合成することができる。
化合物(6)は、自体公知の方法(例えば、後述の反応式2に記載の方法)によって合成することができる。
化合物(4)は、化合物(5)のPGを除去することにより製造することができる。
PGで表される保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons編 (1980)に記載の方法に従って行うことができる。具体的には、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)等を使用する方法や還元法等を用いて行なうことができる。
化合物(2)は、化合物(3)と化合物(4)とを反応させることにより製造することができる。
化合物(3)の使用量は、化合物(4)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
該反応は、縮合剤の存在下に行うことが望ましい。
該縮合剤としては、例えば、化合物(6)と化合物(7)との反応において縮合剤として例示されたものが挙げられる。
縮合剤の使用量は、化合物(4)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、所望により塩基の存在下で行ってもよい。
塩基の使用量は、化合物(4)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
本反応の反応温度は、通常、−78℃〜200℃である。反応時間は、通常、0.5〜100時間である。
また、本反応では、化合物(3)の混合酸無水物を用いてもよく、化合物(3)の混合酸無水物を化合物(4)と反応させることによって化合物(2)を製造することができる。
化合物(3)の混合酸無水物は、例えば、化合物(3)とクロロ炭酸アルキル(例、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)を塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。
クロロ炭酸アルキルの使用量は、化合物(3)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
塩基の使用量は、化合物(3)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応の反応温度は、通常、−78℃〜200℃である。反応時間は、通常、0.5〜100時間である。
化合物(3)は市販のものを使用するか、または自体公知の方法(例えば、J. Heterocyclic Chem., 1991, 28, 1715-1720; WO2008/85302; J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 9375-9376; J. Med. Chem., 1993, 36, 2300-2310; Tetrahedron: Asymmetry, 2001, 12, 2421-2425; WO2009/005677; WO2006/069063; US2003/0216325等に記載の方法; Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons編 (1980)に記載の方法による保護基の導入、除去)によって合成することができる。
化合物(I)は、化合物(2)のPGを除去することにより製造することができる。
PGで表される保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons編 (1980)に記載の方法等に従って行うことができる。具体的には、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)等を使用する方法や還元法等を用いることにより行なうことができる。
反応式1における原料化合物である化合物(6)は、例えば、以下の反応式2で示される方法またはこれに準じた方法によって製造することができる。
反応式2
Figure 2012106958
[式中、LGは脱離基を示す。その他の各記号は前記と同意義を示す。]
LGで示される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、式−O−S(O)aaで表される基、または式−ORaaで表される基[式中、kは0、1または2の整数を示し;Raaは、C1−4アルキル(例、メチル、エチル、プロピル)、ベンジルまたはC6−10アリール(例、フェニル、トリル)を示す。]が挙げられる。
化合物(6)は、化合物(8)と化合物(9)とを反応させることにより製造することができる。
化合物(8)の使用量は、化合物(9)1当量に対して、通常0.5〜1000当量、好ましくは0.5〜20当量である。
本反応は、所望により塩基の存在下で行ってもよい。
塩基の使用量は、化合物(9)1当量に対して、通常1〜1000当量、好ましくは1〜20当量である。
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
本反応の反応温度は、通常、−78℃〜200℃である。反応時間は、通常、0.5〜100時間である。
化合物(8)は、市販のものを使用するか、自体公知の方法(例えば、US6407096;Tetrahedron 2004, 60, 5595-5602.等に記載の方法)によって合成することができる。
化合物(9)は、市販のものを使用するか、または自体公知の方法(例えば、WO2008/012010等に記載の方法)によって合成することができる。
さらに、化合物(I)に、自体公知の手段を適用してさらに置換基変換(置換基の導入や官能基変換)を行い、本発明の範囲に含まれる化合物を製造することもできる。
置換基変換は公知の一般的方法が用いられるが、例えば、エステルの加水分解によるカルボキシへの変換、カルボキシのアミド化によるカルバモイルへの変換、カルボキシの還元によるヒドロキシメチルへの変換、カルボニルの還元やカルボニルへのアルキルの付加反応によるアルコール体への変換、カルボニルの還元的アミノ化、カルボニルのオキシム化、アミノのアシル化、アミノのウレア化、アミノのスルホニル化、アミノのアルキル化、アミンによる活性ハロゲンの置換またはアミノ化、ヒドロキシのアルキル化、ヒドロキシの置換またはアミノ化が用いられる。
この置換基変換を行うに際し、目的以外の反応が起きる反応性部位が存在する場合は、必要に応じて自体公知の手段によりその反応性部位に事前に保護基を導入し、目的の反応を行った後にその保護基をやはり自体公知の手段により除去して、本発明の範囲に含まれる化合物を製造することもできる。
例えば、原料化合物や中間体が、置換基としてアミノ、カルボキシまたはヒドロキシを有する場合、これらの基は、ペプチド化学等で一般的に用いられるような保護基で保護されていてもよい。この場合、反応後に、必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
アミノの保護基としては、例えば、上記でPGとして例示したものが挙げられる。
カルボキシの保護基としては、例えば、C1−6アルキル、C7−11アラルキル(例、ベンジル)、フェニル、トリチル、置換シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル(例、1−アリル)が挙げられる。
ヒドロキシの保護基としては、例えば、C1−6アルキル、フェニル、トリチル、C7−10アラルキル(例、ベンジル)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニル)、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、置換シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル(例、1−アリル)が挙げられる。
上記した保護基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはニトロから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよい。
上記した保護基の除去方法としては、自体公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons 編(1980)に記載の方法が挙げられる。具体的には、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)等を使用する方法や還元法等により保護基の除去を行うことができる。
また、原料化合物の置換基の種類によっては、上記製造法によって製造された化合物を原料として、上記置換基変換によって置換基が異なる原料化合物を製造することができる。
本反応における生成物である化合物(I)は単一の化合物として、または混合物として製造されてもよい。
かくして得られた化合物(I)は、自体公知の分離手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーにより単離、精製することができる。
化合物(I)が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または、目的とする他の塩に変換することができる。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)によりそれぞれを単品として得ることができる。
化合物(I)は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
また、化合物(I)は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的性質(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性および安定性)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
化合物(I)は、水和物であっても、非水和物であっても、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよい。
化合物(I)はまた、同位元素(例、H,14C,35S,125I,11C,18F)等で標識された化合物であってもよい。
さらに、化合物(I)は、重水素変換体であってもよい。
化合物(I)は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物(本明細書中、「化合物(I)のプロドラッグ」と称する場合がある)、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物であってもよい。化合物(I)のプロドラッグの例としては、化合物(I)のアミノがアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例、化合物(I)のアミノがエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物);化合物(I)のヒドロキシがアシル化、アルキル化、リン酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)のヒドロキシがアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物);化合物(I)のカルボキシがエステル化、アミド化された化合物(例、化合物(I)のカルボキシがエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
化合物(I)またはそのプロドラッグ(本明細書中、「本発明化合物」と略記することがある)は、IAP拮抗(阻害)活性を有し、癌の予防または治療剤、癌の増殖阻害剤、癌の転移抑制剤、アポトーシス促進剤等として有用である。
また、本発明化合物は、哺乳動物において、後述するIAP関連疾患の予防または治療に用いることができる。
本発明化合物は膜透過性に優れており、生体内において、低投与量で薬効(癌の予防または治療効果、癌の増殖阻害、癌の転移抑制)を発揮する。
本発明化合物は、IAP、特に、XIAP(X chromosome linked Inhibitor of Apoptosis Protein)、cIAP1(cellular Inhibitor of Apoptosis Protein 1)、cIAP2(cellular Inhibitor of Apoptosis Protein 2)等に対し強い拮抗活性を示す。
また、本発明化合物は、薬効発現、薬物動態(吸収性、分布、代謝、排泄等)、溶解性(水溶性等)、他の医薬品との相互作用、安全性(急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心臓毒性、癌原性等の毒性が低い)、安定性(化学的安定性、酵素に対する安定性等)等の点でも優れているので、医薬として有用である。
従って、本発明化合物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト)に対して、安全に投与することができる。
本発明化合物は、IAP関連疾患、例えば、癌[例えば、大腸癌(例、家族性大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍)、肺癌(例、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性中皮腫)、中皮腫、膵臓癌(例、膵管癌)、胃癌(例、乳頭腺癌、粘液性腺癌、腺扁平上皮癌)、乳癌(例、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌)、卵巣癌(例、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、前立腺癌(例、ホルモン依存性前立腺癌、ホルモン非依存性前立腺癌)、肝臓癌(例、原発性肝癌、肝外胆管癌)、甲状腺癌(例、甲状腺髄様癌)、腎臓癌(例、腎細胞癌、腎盂と尿管の移行上皮癌)、子宮癌、脳腫瘍(例、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫)、黒色腫(例、メラノーマ)、肉腫、膀胱癌、血液癌(例、多発性骨髄腫)]の予防または治療剤;癌の増殖阻害剤;癌の転移抑制剤;アポトーシス促進剤;等の医薬として用いられる。
特に、本発明化合物は、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、肺癌、血液癌等に対して有効である。
本発明化合物は、そのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、医薬(本明細書中、「本発明の医薬」と称することがある)として、経口的または非経口的に投与することができる。
本発明化合物を経口投与する場合の本発明の医薬の剤形としては、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、バッカル錠、口腔内速崩錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、フィルム剤(例、口腔粘膜貼付フィルム)の経口剤が挙げられる。また、本発明化合物を非経口投与する場合の本発明の医薬の剤形としては、例えば、注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤、経皮剤(イオントフォレシス経皮剤を含む)が挙げられる。また、本発明化合物を適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル)と組み合わせて徐放性製剤とすることも有効である。
本発明化合物を上記の剤形に製造する方法としては、製剤技術分野で一般的に用いられている公知の製造方法(例えば、日本薬局方に記載の方法)を適用することができる。また、上記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形に製造する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等の添加剤を適宜、適量用いることができる。
例えば、錠剤を製造する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を用いることができ、丸剤及び顆粒剤を製造する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を用いることができる。また、散剤及びカプセル剤を製造する場合には賦形剤等を、シロップ剤を製造する場合には甘味剤等を、乳剤または懸濁剤を製造する場合には懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を用いることができる。
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムが挙げられる。
結合剤の例としては、5乃至10重量%デンプンのり液、10乃至20重量%アラビアゴム液またはゼラチン液、1乃至5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリンが挙げられる。
崩壊剤の例としては、デンプン、炭酸カルシウムが挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクが挙げられる。
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップが挙げられる。
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイトが挙げられる。
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80が挙げられる。
更に、本発明化合物を上記の剤形に製造する場合には、所望により、製剤分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適宜、適量用いることができる。
前記注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等が含まれる。
かかる注射剤は、自体公知の方法、すなわち、本発明化合物を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。ここで、水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム)等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール)等と配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填される。
本発明の医薬(具体的には前記した各種剤形)中の本発明化合物の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約0.01乃至99重量%、好ましくは約2乃至85重量%、さらに好ましくは約5乃至70重量%である。
本発明の医薬中の薬理学的に許容される担体(例えば、前記した添加剤)の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約1乃至99.9重量%、好ましくは約10乃至90重量%である。
本発明化合物は、哺乳動物に対し、安定かつ低毒性で安全に投与することができる。その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、癌治療目的で患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は、有効成分(本発明化合物)として約1乃至2000mg、好ましくは約3乃至1000mg、さらに好ましくは約10乃至250mgであり、これらを1回または2乃至3回に分けて投与することができる。
本発明化合物を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例えば、注射剤)の形で投与する。その1回投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法等によっても異なるが、例えば、注射剤の形にして、通常体重1kgあたり約0.01乃至約40mg、好ましくは約0.05乃至約20mg、より好ましくは約0.1乃至約5mgを静脈注射または点滴により投与するのが好都合である。
本発明化合物は、他の薬物と併用して用いることができる。具体的には、本発明化合物は、ホルモン療法剤、化学療法剤、免疫療法剤または細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤等の薬物と併用して用いることができる。以下、本発明化合物と併用し得る薬物を「併用薬物」と略記する。
「ホルモン療法剤」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリン)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)、5α−レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリド)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロン)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾール)、甲状腺ホルモン、およびそれらのDDS(Drug Delivery System)製剤が用いられる。
「化学療法剤」としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤が用いられる。
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン、およびそれらのDDS(Drug Delivery System)製剤が用いられる。
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、ペメトレキセド、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフール、カペシタビン)、アミノプテリン、ネルザラビン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン、ベンダムスチン、およびそれらのDDS製剤が用いられる。
「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン、およびそれらのDDS製剤が用いられる。
「植物由来抗癌剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビン、およびそれらのDDS製剤が用いられる。
「免疫療法剤」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール、抗CTLA4抗体が用いられる。
「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」としては、例えば、EGF阻害剤、TGFα阻害剤、ハーレギュリン阻害剤、インシュリン阻害剤、IGF阻害剤、FGF阻害剤、KGF阻害剤、CSF阻害剤、EPO阻害剤、IL−2阻害剤、NGF阻害剤、PDGF阻害剤、TGFβ阻害剤、HGF阻害剤、VEGF阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、EGF受容体阻害剤、HER2阻害剤、HER4阻害剤、インシュリン受容体阻害剤、IGF−1受容体阻害剤、IGF−2受容体阻害剤、FGF受容体−1阻害剤、FGF受容体−2阻害剤、FGF受容体−3阻害剤、FGF受容体−4阻害剤、VEGF受容体阻害剤、Tie−2阻害剤、PDGF受容体阻害剤、Abl阻害剤、Raf阻害剤、FLT3阻害剤、c−Kit阻害剤、Src阻害剤、PKC阻害剤、Trk阻害剤、Ret阻害剤、mTOR阻害剤、Aurora阻害剤、PLK阻害剤、MEK(MEK1/2)阻害剤、MET阻害剤、CDK阻害剤、Akt阻害剤、ERK阻害剤等が用いられる。このような薬剤としては、より具体的には、抗VEGF抗体(例、Bevacizumab)、抗HER2抗体(例、Trastuzumab、Pertuzumab)、抗EGFR抗体(例、Cetuximab、Panitumumab、Matuzumab、Nimotuzumab)、抗VEGFR抗体、抗HGF抗体、Imatinib mesylate、Erlotinib、Gefitinib、Sorafenib、Sunitinib、Dasatinib、Lapatinib、Vatalanib、4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-[3-(1-ピロリジニル)プロポキシ]キナゾリン(AZD-2171)、Lestaurtinib、Pazopanib、Canertinib、Tandutinib、3-(4-ブロモ-2,6-ジフルオロベンジルオキシ)-5-[3-[4-(1-ピロリジニル)ブチル]ウレイド]イソチアゾール-4-カルボキサミド(CP-547632)、Axitinib、N-(3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)-2-(ピリジン-4-イルメチルアミノ)ピリジン-3-カルボキサミド(AMG-706)、Nilotinib、6-[4-(4-エチルピペラジン-1-イルメチル)フェニル]-N-[1(R)-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(AEE-788)、Vandetanib、Temsirolimus、Everolimus、Enzastaurin、N-[4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-2-イルスルファニル]フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(VX-680)、リン酸 2-[N-[3-[4-[5-[N-(3-フルオロフェニル)カルバモイルメチル]-1H-ピラゾール-3-イルアミノ]キナゾリン-7-イルオキシ]プロピル]-N-エチルアミノ]エチル エステル(AZD-1152)、4-[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンズアゼピン-2-イルアミノ]安息香酸(MLN-8054)、N-[2-メトキシ-5-[(E)-2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)ビニルスルホニルメチル]フェニル]グリシン ナトリウム塩(ON-1910Na)、4-[8-シクロペンチル-7(R)-エチル-5-メチル-6-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロプテリジン-2-イルアミノ]-3-メトキシ-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンズアミド(BI-2536)、5-(4-ブロモ-2-クロロフェニルアミノ)-4-フルオロ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボヒドロキサム酸 2-ヒドロキシエチルエステル(AZD-6244)、N-[2(R),3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)ベンズアミド(PD-0325901)、エベロリムス(RAD001)が用いられる。
上記の薬剤の他に、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン・ナトリウム、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカン)、トポイソメラーゼII阻害薬(例、ソブゾキサン)、分化誘導剤(例、レチノイド、ビタミンD類)、他の血管新生阻害薬(例、フマギリン、さめ抽出物、COX−2阻害薬)、α−ブロッカー(例、塩酸タムスロシン)、ビスホスホン酸(例、パミドロネート、ゾレドロネート)、サリドマイド、5−アザシチジン、デシタビン、プロテアソーム阻害薬(例、ボルテゾミブ)、アポトーシス誘導剤(例、TRAIL受容体作動薬、抗TRAIL抗体、Bcl-2阻害薬)、抗腫瘍性抗体(例、抗CD20抗体)、毒素標識抗体等も併用薬物として用いることができる。
本発明化合物と併用薬物とを組み合わせることにより、
(1) 本発明化合物または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる;
(2) 患者の症状(軽症、重症等)に応じて、本発明化合物と併用する薬物を選択することができる;
(3) 治療期間を長く設定することができる;
(4) 治療効果の持続を図ることができる;
(5) 本発明化合物と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる;等の優れた効果を得ることができる。
本発明化合物と併用薬物を併用する場合、本発明化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明化合物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分ないし3日以内、好ましくは10分ないし1日以内、より好ましくは15分ないし1時間以内に本発明化合物を投与する方法が挙げられる。本発明化合物を先に投与する場合、本発明化合物を投与した後、1分ないし1日以内、好ましくは10分ないし6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明化合物と併用薬物を併用する場合の投与形態としては、
(1) 本発明化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与;
(2) 本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与;
(3) 本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与;
(4) 本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与;
(5) 本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物、次いで併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与);
等が挙げられる。
併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬物を0.01乃至100重量部用いればよい。
さらに、本発明化合物は、非薬剤療法と併用して用いることができる。具体的には、本発明化合物は、例えば、(1)手術;(2)アンジオテンシンII等を用いる昇圧化学療法;(3)遺伝子療法;(4)温熱療法;(5)凍結療法;(6)レーザー焼灼法;(7)放射線療法;等の非薬剤療法と組み合わせることもできる。
例えば、本発明化合物を前記した非薬剤療法の前または後に使用することによって、耐性発現の阻止、無病期(Disease-Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑制、延命等の効果が得られる。
また、本発明化合物による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例、パンスポリン等のβ−ラクタム系、クラリスロマイシン等のマクロライド系)の投与;(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与;(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与;(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱等のような副作用を改善する薬剤の投与;および(v)癌の多剤耐性を抑制するための薬剤の投与;等〕を組み合わせることもできる。
前記した非薬剤療法の前または後に、本発明化合物を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(ボーラス(bolus)、輸液(infusion)、包接体を含む)、皮下投与および筋肉注射(ボーラス(bolus)、輸液(infusion)、徐放性を含む)、経皮投与、腫瘍内投与、近位投与等によって投与するのが好ましい。
前記した非薬剤療法の前に本発明化合物を投与する場合、例えば、前記した非薬剤療法の約30分乃至24時間前に1回投与することもできるし、あるいは前記した非薬剤療法の約3ヶ月乃至6ヶ月前に1乃至3サイクルに分けて投与することもできる。このように、前記した非薬剤療法の前に本発明化合物または本発明の併用剤を投与することにより、例えば、癌組織を縮小させることができるので、前記した非薬剤療法がしやすくなる。
前記した非薬剤療法の後に本発明化合物を投与する場合、前記した非薬剤療法の約30分乃至24時間後に、例えば、数週間乃至3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、前記した非薬剤療法の後に本発明化合物を投与することにより、前記した非薬剤療法の効果を高めることができる。
以下に、実施例、製剤例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合は、アミノプロピルシラン結合シリカゲルを用いた。HPLC(高速液体クロマトグラフィー) において、C18と記載した場合は、オクタデシル結合シリカゲルを用いた。
混合溶媒の比は、特に断らない限り容量比を示す。
以下の実施例および試験例中の略号は、本技術分野で現在通常用いられている用例に従うものであり、例えば、次のような意味である。
NMR: プロトン核磁気共鳴スペクトル
MS:マススペクトル
ESI: エレクトロスプレーイオン化
1H NMR はフーリエ変換型NMRで測定した。解析にはACD/SpecManager(商品名)等を用いた。水酸基やアミノ基等のプロトンが非常に緩やかなピークについては記載していない。
MS は、LC/MS により測定した。イオン化法としては、ESI 法、または、APCI法を用いた。データは実測値(found)を記載した。通常、分子イオンピークが観測されるが、tert-ブトキシカルボニル基(-Boc)を有する化合物の場合、フラグメントイオンとして、tert-ブトキシカルボニル基あるいはtert-ブチル基が脱離したピークが観測されることもある。また、水酸基(-OH)を有する化合物の場合、フラグメントイオンとして、H2Oが脱離したピークが観測されることもある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
元素分析値(Anal.)は、計算値(Calcd)と実測値(Found)を記載した。
実施例1
N-{(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) エチル 2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-カルボキシラートの製造
メチル 3-ブロモ-4-オキソシクロペンタンカルボキシラート(2.20 g)、ベンゼンカルボチオアミド(1.91 g)のエタノール(50 mL)溶液を加熱還流下、終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(1.56 g)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+274.1
MS(ESI+), found: 274.1
B) ベンジル (2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)カルバマートの製造
エチル 2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-カルボキシラート(1.56 g)、水酸化リチウム一水和物(479 mg)のテトラヒドロフラン/水(5:1)混合溶液(136 mL)を加熱還流下、終夜撹拌した。反応混合物を0℃に冷却後、2M塩酸で中和し、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣とトリエチルアミン(2.24 mL)のトルエン(30 mL)溶液にジフェニルリン酸アジド(2.07 mL)を加え、40℃で一時間撹拌した。反応混合物にベンジルアルコール(1.33 mL)を加え、90℃で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンで再沈殿して標題化合物(1.12 g)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+351.1
MS(ESI+), found: 351.1
C) 2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-アミンの製造
ベンジル (2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)カルバマート(1.10 g)と5M塩酸(20 mL)の混合物を加熱還流下、1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、ジエチルエーテルで洗浄し、2M水酸化ナトリウム水溶液でpH12に調整した後に酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮し、標題化合物(650 mg)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+217.1
MS(ESI+), found: 217.0
D) N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)グリシンアミドの製造
2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-アミン(645 mg)、2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(449 mg)、炭酸カリウム(549 mg)のアセトニトリル(30 mL)溶液を加熱還流下、終夜撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後にシリカゲルろ過(酢酸エチル/メタノール)した。ろ液を減圧下濃縮し、標題化合物(547 mg)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+406.2
MS(ESI+), found: 406.1
E) tert-ブチル {(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}カルバマートの製造
N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)グリシンアミド(300 mg)、(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(228 mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(120 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(3.0 mL)溶液にN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド(172 mg)を氷冷下加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に氷冷下、(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(228 mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(120 mg)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド(172 mg)をさらに加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(393 mg)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+645.3
MS(ESI+), found: 645.3
F) tert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマートの製造
tert-ブチル {(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}カルバマート(266 mg)、4M塩化水素−シクロペンチルメチルエーテル溶液(3.0 mL)の酢酸エチル/メタノール(1:1)混合溶液(2.0 mL)を1時間室温で撹拌後、減圧下濃縮した。残渣とN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(126 mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(84 mg)、ジイソプルピルエチルアミン(0.216 mL)のN,N-ジメチルホルムアミド(3.0 mL)溶液に氷冷下、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド(128 mg)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(229 mg)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+730.4
MS(ESI+), found: 730.4
G) N-{(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミドの製造
tert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-1-シクロヘキシル-2-[{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}(2-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(229 mg)、4M塩化水素−酢酸エチル溶液(2.0 mL)の酢酸エチル/メタノール(1:1)混合溶液(2.0 mL)を1時間室温で撹拌後、減圧下濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチル/テトラヒドロフラン(1:1)混合溶媒で2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して標題化合物(129 mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 0.76-1.35 (8H, m), 1.49-2.45 (11H, m), 2.69 -3.47 (6H, m), 3.65-4.36 (4H, m), 4.40-5.06 (2H, m), 5.12-5.78 (1H, m), 6.61-6.94 (2H, m), 6.97-7.32 (2H, m), 7.35-7.61 (3H, m), 7.74-7.96 (2H, m), 7.96-8.73 (2H, m).
実施例2
N-{(1S)-1-シクロヘキシル-2-[(2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル){2-オキソ-2-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルアミノ]エチル}アミノ]-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) ベンジル (2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)カルバマートの製造
メチル 3-ブロモ-4-オキソシクロペンタンカルボキシラート(2.20g)、エタンチオアミド(1.05g)のエタノール(50mL)溶液を加熱還流下、終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して薄茶色油状物質(1.22g)を得た。この油状物質(660mg)をテトラヒドロフラン/水(5:1)混合溶媒(68mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(262mg)を加え、加熱還流下、3時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却後、2M塩酸で中和し、酢酸エチル/テトラヒドロフラン(1:1)混合溶媒で4回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣とトリエチルアミン(1.79mL)のトルエン(20mL)溶液にジフェニルリン酸アジド(1.66mL)を加え、40℃で1時間撹拌した。反応混合物にベンジルアルコール(1.07mL)を加え、90℃で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(320 mg)を得た。
MS(ESI+): [M+H]+289.1
MS(ESI+), found: 289.1
B) tert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-1-シクロヘキシル-2-[(2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル){2-オキソ-2-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルアミノ]エチル}アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマートの製造
ベンジル (2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル)カルバマート(314 mg)と5M塩酸(10.9 mL)及び水(5 mL)の混合液を加熱還流下、4時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで洗浄し、水層を2M水酸化ナトリウムで塩基性とした後、酢酸エチルで二回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後に、溶媒を減圧下留去して残渣(164 mg)を得た。得られた残渣(164 mg)と炭酸カリウム(196 mg)、2-クロロ-N-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル]アセトアミド(159 mg)をアセトニトリル(10 mL)中で混合し、80℃で16時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出後、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、目的物を含む画分を濃縮して残渣(103 mg)を得た。
得られた残渣(100 mg)と(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(113 mg)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(167 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.10 mL)をN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 mL)中に混合し、室温で18時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後に、溶媒を減圧下留去して残渣(153 mg)を得た。
得られた残渣と4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(1.0 mL)のメタノール(1.0 mL)溶液を室温で1時間撹拌した後に、溶媒を減圧下留去した。
得られた残渣をN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(89 mg)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(335 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.23 mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)中で混合し、室温で16時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(52 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 666.4.
MS (ESI+), found: 666.4.
C) N-{(1S)-1-シクロヘキシル-2-[(2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル){2-オキソ-2-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルアミノ]エチル}アミノ]-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミドの製造
tert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-1-シクロヘキシル-2-[(2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル){2-オキソ-2-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルアミノ]エチル}アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(50 mg)のメタノール(0.5mL)/酢酸エチル(0.5 mL)混合溶液に4M塩化水素−酢酸エチル溶液(1.0 mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧下留去した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルとテトラヒドロフランの混合溶液で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(21 mg)をアモルファス粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.69-1.42 (7H, m), 1.42-2.10 (17H, m), 2.15 (2H, s),2.24-2.50 (1H, m), 2.50-2.83 (4H, m), 2.83-3.61 (3H, m),3.61-3.94 (1H, m),3.94-4.42 (1H, m), 4.44-5.65 (2H, m), 6.73-7.24 (4H, m), 7.44-7.72 (1H, m).
実施例3
N-[(1S)-2-([1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) tert-ブチル [1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]カルバマートの製造
tert-ブチル ピペリジン-4-イルカルバマート(1.3 g)を、1-クロロ-2-ヨードベンゼン(3.22 g)、ヨウ化銅(124 mg)、L-プロリン(374 mg)、炭酸カルシウム(897 mg)とジメチルスルホキシド(10 mL)中で混合し、90℃で44時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(220 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 311.1.
MS (ESI+), found: 311.1.
B) N-2-[1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミドの製造
tert-ブチル [1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]カルバマート(210 mg)と4M塩化水素−酢酸エチル溶液(2.0 mL)のメタノール(0.5 mL)/酢酸エチル(0.5 mL)溶液を室温で16時間撹拌した。反応混合物に2M水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性とした後に、酢酸エチルで二回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マクネシウムで乾燥させた後に、溶媒を減圧下留去して残渣(129 mg)を得た。得られた残渣(129 mg)、炭酸カリウム(121 mg)、2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(99 mg)のアセトニトリル(5 mL)溶液を60℃で16時間撹拌した。反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(225 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 400.2.
MS (ESI+), found: 400.2.
C) tert-ブチル[(1S)-2-{[(1S)-2-([1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマートの製造
(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(85 mg)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(146 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.089 mL)のN,N-ジメチルホルムアミド(8 mL)溶液に、N-2-[1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミド(102 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)溶液を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去して残渣(182 mg)を得た。
得られた残渣と4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(2.0 mL)のメタノール(0.5 mL)/酢酸エチル(0.5 mL)溶液を室温で3時間撹拌した後に、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(52 mg)と 、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド(81 mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(46 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.114 mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)中で混合し、室温で16時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(141 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 724.4.
MS (ESI+), found: 724.4.
D) N-[(1S)-2-([1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミドの製造
tert-ブチル [(1S)-2-{[(1S)-2-([1-(2-クロロフェニル)ピペリジン-4-イル]{2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(141 mg)のメタノール(0.5 mL)/酢酸エチル(0.5 mL)混合溶液に4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(2.0 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧下留去した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルとテトラヒドロフランの混合溶液で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後に、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液を加え、生じた沈殿物をろ過によって回収した。回収した沈殿物を減圧下乾燥し、標題化合物(68 mg)をアモルファス粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.68-1.35 (10H, m), 1.35-1.54 (2H, m), 1.54-2.30 (13H, m), 2.30-2.45 (1H, m), 2.45-3.09 (3H, m), 3.25-3.65 (2H, m), 3.82-4.37 (4H, m), 4.37-4.73 (1H, m), 4.94-5.42 (1H, m), 6.63-6.90 (2H, m), 6.90-7.05 (2H, m) 7.05-7.27 (3H, m), 7.27-7.46 (1H, m), 7.46-7.78 (1H, m).
実施例4
N-[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) エチル 2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-カルボキシラートの製造
メチル 3-ブロモ-4-オキソシクロペンタンカルボキシラート(1.32 g)と2-メトキシベンゼンカルボチオアミド(1.10 g)のエタノール(20 mL)溶液を加熱還流下、24時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧下留去した後に、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、先の抽出液と混合し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(1.91 g)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 304.1.
MS (ESI+), found: 304.1.
B) ベンジル [2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]カルバマートの製造
エチル2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-カルボキシラート(1.18 g)と水酸化リチウム一水和物(0.327 g)のテトラヒドロフラン(78 mL)と 水(15 mL)混合溶液を加熱還流下、終夜撹拌した。反応混合物が中性になるまで反応混合物に2M塩酸を氷冷下に加え、酢酸エチルで二回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マクネシウムで乾燥させた後に、溶媒を減圧下留去し、残渣(756 mg)を得た。得られた残渣(756 mg)とトリエチルアミン(0.957 mL)のトルエン(30 mL)溶液にジフェニルリン酸アジド(1.13 g)を加え、40℃で1時間撹拌した。反応混合物にベンジルアルコール(729 mg)を加え、90℃で終夜撹拌した後、溶媒を減圧下留去した。残渣に酢酸エチルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(821 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 381.1.
MS (ESI+), found: 381.1.
C) N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]グリシンアミドの製造
ベンジル[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]カルバマート(810 mg)と5M塩酸(21.2 mL)および水(10 mL)の混合液を加熱還流下、16時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで洗浄し、水層を2M水酸化ナトリウムで塩基性とした後、酢酸エチルで二回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後に、溶媒を減圧下留去し、残渣(435 mg)を得た。得られた残渣(435 mg)と炭酸カリウム(488 mg)、2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(259 mg)をアセトニトリル(10 mL)中で混合し、80℃で16時間撹拌した後に、反応混合物に2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(259 mg)を加え、さらに80℃で12時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出後、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(227 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 436.2.
MS (ESI+), found: 436.2.
D) tert-ブチル[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]カルバマートの製造
(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(134 mg)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(297 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.18 mL)のN,N-ジメチルホルムアミド(4.0 mL)溶液に、N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]グリシンアミド(227 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.0 mL)溶液を加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(286 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 675.3.
MS (ESI+), found: 675.3.
E) tert-ブチル[(1S)-2-{[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマートの製造
tert-ブチル [(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]カルバマート(286 mg)と4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(1.5 mL)のメタノール(0.5 mL)/酢酸エチル(0.5 mL)溶液を室温で2時間撹拌した後に、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(89 mg)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(335 mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.23 mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)中で混合し、室温で16時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(279 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 760.4.
MS (ESI+), found: 760.4.
F) N-[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミドの製造
tert-ブチル [(1S)-2-{[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[2-(2-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d][1,3]チアゾール-5-イル]アミノ)-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(279 mg)のメタノール(0.5 mL)/酢酸エチル(0.5 mL)混合溶液に4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(2.0 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧下留去した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルとテトラヒドロフランの混合溶液で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後に、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液を加え、生じた沈殿物をろ過によって回収した。回収した沈殿物を減圧下乾燥し、標題化合物(68 mg)をアモルファス粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.60-1.56 (12H, m), 1.56-1.95 (5H, m), 2.07-2.22 (4H, m), 2.22-2.56 (1H, m), 2.65-3.69 (4H, m), 3.75-3.94 (1H, m), 3.94-4.08 (3H, m), 4.08-4.44 (3H, m), 4.44-4.78 (1H, m), 5.20 (1H, q, J = 6.6 Hz), 5.35-5.87 (1H, m), 6.58-6.95 (2H, m), 6.95-7.24 (4H, m), 7.28-7.82 (2H, m), 8.14-8.41 (1H, m).
実施例5
N-[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]グリシンアミドの製造
tert-ブチル (3S)-ピロリジン-3-イルカルバマート(2000 mg)、ヨードベンゼン(3286 mg)、ヨウ化銅(205 mg)、L-プロリン(247 mg)、炭酸カルシウム(2226 mg)のジメチルスルホキシド(30 mL)溶液を90℃で加熱還流下、15時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で二回洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルパッド(酢酸エチル)でろ過し、ろ液を回収して、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣(2330 mg)を酢酸エチル(10 mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル溶液(10.0 mL)を加えて室温で3時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、沈降した残渣と溶媒を取り分けた。残渣を減圧下で乾燥した後に、炭酸カリウム(2206 mg)、2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(960 mg)とアセトニトリル(25 mL)中で混合し、加熱還流下、18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。水層を酢酸エチルで二回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(420 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 352.2.
MS (ESI+), found: 352.2.
B) tert-ブチル [(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]カルバマートの製造
(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(369 mg)とN-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-N-2-[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]グリシンアミド(420 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(420 mg)と ジイソプロピルエチルアミン(0.624 mL)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで昇温し、18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(650 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 591.4.
MS (ESI+), found: 591.4.
C) tert-ブチル [(1S)-2-{[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマートの製造
tert-ブチル [(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]カルバマート(650 mg)を酢酸エチル(5 mL)に溶解し、4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(5.0 mL)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧下留去した後に、残渣にトルエンを加えて、再度減圧下留去した。得られた残渣とN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(305 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(628 mg)とジイソプロピルエチルアミン(0.958 mL)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで昇温し、18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して標題化合物(610 mg)を得た。
MS (ESI+): [M+H]+ 676.4.
MS (ESI+), found: 676.5.
D) N-[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]-N-2-メチル-L-アラニンアミドの製造
tert-ブチル [(1S)-2-{[(1S)-1-シクロヘキシル-2-({2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}[(3S)-1-フェニルピロリジン-3-イル]アミノ)-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(610 mg)の酢酸エチル(5 mL)溶液に、4M塩化水素−シクロペンチルエーテル溶液(5.0 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸で希釈し、水で抽出した。水層に1M水酸化ナトリウム水溶液(21 mL)を加えて塩基性にした後に、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(430 mg)をアモルファス粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 0.77-1.29 (8H, m), 1.70 (6H, br s), 1.82-2.32 (8H, m), 2.82-3.03 (1H, m), 3.10-3.26 (2H, m), 3.34-3.46 (2H, m), 3.74-5.17 (7H, m), 6.43-6.88 (5H, m), 7.03-7.29 (4H, m), 7.77-8.64 (2H, m).
実施例6
N-{(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミド
A) tert-ブチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1-カルボキシラートの製造
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-カルボン酸(2.40 g)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.91 mL)のジメトキシエタン(25 mL)溶液に、ジフェニルリン酸アジド(2.46 mL)を室温で加え、窒素雰囲気下、80℃で20分間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、ベンジルアルコール(1.90 mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルで希釈し、有機層を分離した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(2.91 g)を無色油状物質として得た。
MS(ESI+):[M+H]+ 369.2
MS (ESI+), found: 269.1. (-Boc)
B) ベンジル 2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルカルバマート塩酸塩の製造
tert-ブチル3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1-カルボキシラート(2.85 g)のメタノール(10mL)溶液に4M塩化水素−シクロペンチルメチルエーテル溶液(20 mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテル(5 mL)で洗浄して標題化合物(2.08 g)を無色アモルファス粉末として得た。この化合物はこれ以上の精製操作を行なわず、次の反応に用いた。
MS(ESI+):[M+H]+ 269.1
MS (ESI+), found: 269.1.
C) ベンジル (1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)カルバマートの製造
ベンジル 2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イルカルバマート塩酸塩(2.08 g)と炭酸カリウム(2.83 g)のメタノール(25 mL)溶液に塩化ベンジル(1.08 g)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下、60℃で15時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水、及び酢酸エチルで希釈し有機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後にろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(1.12 g)を淡黄色アモルファス固体として得た。
MS(ESI+):[M+H]+ 359.2
MS (ESI+), found: 359.2.
D) N-2-(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミドの製造
ベンジル (1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)カルバマート(1.00g)を酢酸エチル(3 mL)/メタノール(3 mL)に溶解させ、10%パラジウム−炭素(100 mg、10wt%)を加え、室温中、水素雰囲気下(1 atm)で3時間撹拌した。不溶物をセライトろ過でろ別し、メタノールで洗浄した。ろ液を減圧下濃縮し1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-アミン(590 mg)を無色油状物として得た。1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-アミン(590 mg)を、2-クロロ-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]アセトアミド(890 mg)、臭化テトラブチルアンモニウム(85 mg)及び炭酸カリウム(545 mg)のアセトニトリル溶液に加え、反応混合物を80℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水、及び酢酸エチルで希釈し有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後にろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して標題化合物(415 mg)を無色油状物質として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.67-2.12 (2H, m), 2.61 (1H, brs), 2.94-3.11 (1H, m), 3.18 (2H, s), 3.33-3.43 (1H, m), 3.88-4.42 (5H, m), 4.74-5.16 (1H, m), 6.49-6.70 (2H, m), 6.71-6.94 (2H, m), 6.95-7.46 (9H, m), 7.99-8.34 (1H, m).
E) tert-ブチル {(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}カルバマートの製造
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.43 mL)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(931 mg)、(2S)-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ](シクロヘキシル)エタン酸(277 mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液を0℃に冷却した後、N-2-(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミド(405 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)溶液を加え、反応混合物を室温まで昇温した後に15時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで希釈した。有機層を水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(540 mg)を無色油状物質として得た。
MS(ESI+):[M+H]+ 653.4
MS (ESI+), found: 653.4.
F) N-2-[(2S)-2-アミノ-2-シクロヘキシルアセチル]-N-2-(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミドの製造
tert-ブチル {(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}カルバマート(540 mg)をトリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解させ、混合物を室温で15時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後にろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、標題化合物(390 mg)を得た。この化合物はこれ以上の精製操作を行なわず、次の反応に用いた。
MS(ESI+):[M+H]+ 553.3
MS (ESI+), found: 553.4.
G) N-{(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}-N-2-メチル-L-アラニンアミド
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.25 mL)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(537mg)、N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチル-L-アラニン(147mg)からなるN,N-ジメチルホルムアミド溶液(3 mL)を0℃に冷却した後、N-2-[(2S)-2-アミノ-2-シクロヘキシルアセチル]-N-2-(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル)-N-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]グリシンアミド(390 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(3 mL)を加え、室温まで昇温した後に1時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、tert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(382 mg)を淡黄色油状物質として得た。得られたtert-ブチル [(1S)-2-({(1S)-2-[(1-ベンジル-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル){2-[(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イルアミノ]-2-オキソエチル}アミノ]-1-シクロヘキシル-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]メチルカルバマート(382 mg)をトリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解させ、反応液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(43 mg)を無色アモルファス固体として得た。不純物を含む一部の目的画分は、減圧下溶媒を留去して、残渣をHPLC(L-column2 ODS、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系)にて分取し、得られた目的画分のアセトニトリルを減圧下留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮し、標題化合物を得た(55 mg)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.80-1.39 (8H, m), 1.42-1.91 (9H, m), 1.92-2.57 (6H, m), 2.83-3.96 (3H, m), 3.96-4.83 (6H, m), 4.85-5.17 (1H, m), 5.63-6.26 (1H, m), 6.38-7.91 (13H, m).
実施例1〜6に記載された化合物の構造式を以下に示す。
Figure 2012106958
製剤例1
本発明化合物を有効成分として含有する医薬は、例えば、次のような処方によって製造することができる。
1.カプセル剤
(1)実施例2で得られた化合物 40mg
(2)ラクトース 70mg
(3)微結晶セルロース 9mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 1mg
1カプセル 120mg
(1)、(2)、(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
2.錠剤
(1)実施例2で得られた化合物 40mg
(2)ラクトース 58mg
(3)コーンスターチ 18mg
(4)微結晶セルロース 3.5mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
1錠 120mg
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
製剤例2
日局注射用蒸留水50mLに実施例2で得られた化合物50mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mLとする。この溶液を滅菌条件下でろ過し、次にこの溶液1mLずつを取り、滅菌条件下、注射用バイアルに充填し、凍結乾燥して密閉する。
以下に記載の遺伝子操作法は、成書(Maniatisら、モレキュラー・クローニング、ColdSpring Harbor Laboratory、1989年)に記載されている方法もしくは試薬の添付プロトコールに記載されている方法に従った。
試験例1:ヒトcIAP1(250-350)発現ベクターの構築
His X 6と、ヒトcIAPの250番乃至350番アミノ酸からなる部分ペプチド(本明細書中、ヒトcIAP(250-350)またはhcIAP(250-350)と称することがある)とが結合した部分ペプチド(本明細書中、His-hcIAP1(250-350)と称することがある)をコードするHis-hcIAP1(250-350) 発現 Plasmid は以下のように構築した。まずヒト Brain cDNA Library(タカラバイオ)を鋳型として、GenBank accession No. NM_001166 に記載の塩基配列を参照して設計した2 種類の Primer(5’-TATTATGGATCCTTGGAAAATTCTCTAGAAACTCTGAGGTTT-3’(配列番号:1) 及び 5’-TATTATGCGGCCGCTTAAACTTGAATCTCATCAACAAACTCTTG-3’(配列番号:2))、ならびに Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ)を用いて PCR を行なった。得られた DNA 断片を制限酵素 Bam HI 及び Not I(タカラバイオ)で切断し、pET21a(Novagen)の Nde I-Not I 部位に 開始コドン、His X 6 及び Bam HI 認識配列(CATATGCATCATCATCATCATCACGGATCC(配列番号:3))とともにその下流に挿入してクローニングし、His-hcIAP1 (250-350) 発現 Plasmid(本明細書中、pET21HH/His-hcIAP1(250-350)と称することがある) を構築した。
試験例2:ヒトcIAP1(250-350)の発現および精製
pET21HH/His-hcIAP1 (250-350)を大腸菌BL21 (DE3)細胞(株式会社ニッポンジーン)に導入し、形質転換体を得た。該形質転換体を、50 mg/L ampicillin 入りLB培地(1 % trypton, 0.5 % yeast extract, and 0.5 % NaCl)中で37℃条件下に培養した後、IPTGを添加(最終濃度1mM)して、さらに6時間培養することによりHis-hcIAP(250-350)発現菌体を得た。His-hcIAP1(250-350)発現菌体を遠心操作(6000 rpm, 10 min.)で回収し、-80℃で凍結し、凍結菌体を得た。
凍結菌体を氷上で融解し、lysis buffer (50 mM Tris-HCl (pH 8) , 300 mM NaCl , 10% Glycerol ,20 mM imidazole , 1mM DTT , Complete, EDTA-free (Roche Diagnostics))中で凍結菌体を懸濁して、懸濁液を得た。該懸濁液に1 mg/mLリゾチームを添加後、4℃、1時間静置した。得られた溶液に対し超音波処理(INSONATOR 201M (KUBOTA)を用いて出力170Wで30 秒ずつON、OFF を5回繰り返す)を行い、抽出液を得た。該抽出液を遠心操作(40000 rpm, 1hr, 4℃)に供した後、上清を回収した。得られた上清を0.22μmのフィルターでろ過して得られた溶液を、buffer A(50 mM Tris-HCl (pH 8) , 300 mM NaCl , 10 % Glycerol ,20 mM imidazole , 1mM DTT)で平衡化したNi-NTA Superflow resin カラム(QIAGEN Inc.)にアプライした。上記溶液をアプライしたNi-NTA Superflow resinカラムをBuffer Aで洗浄後、Buffer B(50 mM Tris-HCl (pH 8) , 300 mM NaCl , 10 % Glycerol ,200 mM imidazole , 1mM DTT)で溶出された画分を得た。該画分をAmicon Ultra 15 (3K MWCO, Millipore)により濃縮した濃縮液を、buffer C(50 mM Tris-HCl (pH 8) , 300 mM NaCl , 10 % Glycerol , 1mM DTT)で平衡化したHiLoad 16/60 Superdex200pg (GE Healthcare)にアプライした。His-hcIAP1(250-350)を含む溶出画分を集めて濃縮し、-80℃で凍結保存した。
試験例3:XIAPおよびcIAP1結合阻害活性の測定
ヒトXIAPおよびヒトcIAP1結合阻害活性は、市販のヒトXIAP_BIR3ドメイン精製蛋白質(R&D)および試験例2で調製したHis-hcIAP1(250-350)をそれぞれ用い、常法によりC末端をビオチン化したSmac N末端ペプチド(AVPIAQK(配列番号:4))(以下「b-Smac」と称する;株式会社ペプチド研究所)をリガンドとして、HTRF法で測定した。
HTRF法について以下に詳述する。
ヒトXIAP_BIR3ドメイン精製蛋白質、またはHis-hcIAP1(250-350)を、それぞれ40nM、8nMとなるように反応Buffer(100 mM NaCl、 0.1%脂肪酸不含BSA、0.1% triton X-100 を含む25 mM HEPES Buffer、pH 7.5)で希釈してサンプル希釈液を得た後、該サンプル希釈液を384-well 白色浅底プレート(Greiner 784075)に5μL/wellで添加した。続いて、反応Bufferで希釈した被験化合物を5μL/wellで上記白色浅底プレートに添加した。反応BufferでXIAP結合阻害活性の測定には20nMに、cIAP1結合阻害活性の測定には80nMに希釈したb-Smacと、HTRF detection buffer(cisbio)で100倍に希釈したAnti-6HIS-Cryptate(Eu3+ Cryptate-conjugated mousemonoclonal antibody anti-6 Histidine;cisbio)、ならびにStreptavidin-XLent!(Highgrade XL665-conjugated streptavidin;cisbio)を2:1:1の容量で混合した溶液を10μL/wellで上記白色浅底プレートに添加した。
上記白色浅底プレートを1000 rpm で5分間遠心した後、該白色浅底プレートを暗所室温で4時間以上放置した。放置後の白色浅底プレートをEnVision(パーキンエルマー)による蛍光強度の測定(励起波長:320nm、蛍光波長:665nmならびに615nm)に供した。
結合阻害率(%)は、被験化合物非存在下でのHTRF ratio (665nmの蛍光強度/615nmの蛍光強度)に対する被験化合物存在下のHTRF ratio から算出した。
XIAP結合阻害率を表2に、試験時にHis-hcIAP1(250-350)を用いて測定したcIAP1結合阻害活性を表3に示す。
Figure 2012106958
Figure 2012106958
以上の結果により、本発明化合物は優れたIAP(例、XIAP、cIAP1)拮抗(結合阻害)活性を有することが示された。
試験例4 MDA-MB-231細胞の増殖阻害活性の測定
ヒト乳癌細胞株であるMDA-MB-231細胞(アメリカン・テッシュ・カルチャー・コレクション)を、10%非働化ウシ胎児血清(モレゲートバイオテック)、100単位/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシン(インビトロジェン)を含むリーボリッツ培地(インビトロジェン)(本明細書中、培養培地と称することがある。)に懸濁し、3×103cells/100μL/ウェルで96ウェルプレート(コーニング)に播種し37℃のインキュベーターで培養した。培養24時間後の96ウェルプレートに培養培地で希釈した被験化合物を100μL/ウェルで添加した。細胞を68-72時間培養後、培地を除き、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(プロメガ)を96ウェルプレートに50μL/ウェル添加し、1-2分静置後、残存ATP量に相当する化学発光量をEnVisionで測定した。MDA-MB-231の増殖阻害率(%)(本明細書中、MB231細胞増殖阻害率(%)と称することがある)は、細胞非存在下、化合物非存在下での化学発光量を100%、細胞存在下、化合物非存在下での化学発光量を0%として算出した。
MB231細胞増殖阻害率(%)を表4に示す。
Figure 2012106958
以上の結果より、本発明化合物は、優れた癌(例、乳癌)の治療効果を有することが示された。
本発明化合物は、IAPに対して優れた拮抗(結合阻害)作用を示すので、IAP関連疾患(例、癌)の予防または治療剤として有用である。また、本発明化合物は、薬効発現、薬物動態、溶解性、他の医薬品との相互作用、毒性等の安全性、安定性の点でも優れているので、医薬として有用である。

Claims (8)

  1. 式:
    Figure 2012106958
    [式中、
    およびRは、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
    は、置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
    およびRは、同一または異なって、置換基を有していてもよい環状基または置換基を有していてもよいC1−6アルキルを;
    環Aは、置換基を有していてもよい複素環を示す。]
    で表される化合物またはその塩。
  2. 請求項1記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  3. アポトーシス抑制蛋白質の拮抗薬である、請求項2記載の医薬。
  4. 癌の予防または治療剤である、請求項2記載の医薬。
  5. 哺乳動物に対し、請求項1記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるアポトーシス抑制蛋白質の拮抗方法。
  6. 哺乳動物に対し、請求項1記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする、該哺乳動物における癌の予防または治療方法。
  7. アポトーシス抑制蛋白質の拮抗薬を製造するための、請求項1記載の化合物またはその塩の使用。
  8. 癌の予防または治療剤を製造するための、請求項1記載の化合物またはその塩の使用。
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