JP2012102781A - タンデムアンギュラ型玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単一の保持器8dに設けた第一、第二各ポケットに、両列の玉7A、7Bを転動自在に保持する。この保持器8dの軸方向両端縁は、これら各玉7A、7Bよりも軸方向に突出させない。これら各玉の直径、同じくピッチ円直径、同じく接触角を適切に規制する事により、両列の玉の公転速度を互いに一致させる。
【選択図】図1
Description
(1) 両列の玉7a、7bの公転速度(単位時間当たりの公転数、公転角速度)の差を考慮していない為、前記保持器8cに過大な応力が加わって、この保持器8cに亀裂等の損傷が発生したり、前記各玉7a、7bの転動面と、両外輪軌道9a、9b及び両内輪軌道10a、10bとの各接触部に過大な滑りが発生する。又、この様な過大な滑りは、これら各接触部で油膜切れに基づく金属接触を発生する原因となり、タンデムアンギュラ型玉軸受の耐久性を著しく損なう原因となる。
(2) 前記保持器8cとして、軸方向両端部にそれぞれリム部13a、13bを備えたものを使用しており、これら両リム部13a、13bがそれぞれ、前記各玉7a、7bよりも軸方向に突出している。この為、これら両リム部13a、13bの分だけ、前記タンデムアンギュラ型玉軸受の軸方向寸法を短縮する面から不利になる。
このうちの外輪は、それぞれがアンギュラ型であって内径が互いに異なる2列の外輪軌道を内周面に、互いに同じ向きに設けている。
又、前記内輪は、それぞれがアンギュラ型であって外径が互いに異なる2列の内輪軌道を外周面に、互いに同じ向きに設け、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置している。
又、前記各玉は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、それぞれの列毎に複数個ずつ、両列同士の間で同じ方向の接触角を付与され、且つ、ピッチ円直径を互いに異ならせた状態で転動自在に設けている。
更に、前記保持器は、前記各玉を転動自在に保持している。
このうちの中央リム部は、前記両列に配置された玉同士の間部分に配置されたもので、円環状である。
又、前記各第一ポケットは、前記保持器の軸方向に関してこの中央リム部の片側に、円周方向に関して間欠的に設けている。
又、前記各第二ポケットは、前記保持器の軸方向に関してこの中央リム部の他側に、円周方向に関する位相を前記各第一ポケットとずらせた状態で、円周方向に関して間欠的に設けている。
そして、前記各第一ポケットと前記各第二ポケットとのうちの少なくとも一方のポケットは、前記中央リム部側部分と円周方向に関して両側部分との三方のみが囲まれていて、前記保持器の軸方向に関して前記中央リム部と反対側部分は開放されており、前記保持器の軸方向に関して一端縁は、前記少なくとも一方のポケットに保持された前記各玉よりも軸方向に突出していない。
即ち、内径が大きな前記外輪軌道と外径が大きな前記内輪軌道との間に配置された、大径列側の各玉の直径をDw1mmとし、同じくピッチ円直径をDpw1mmとし、同じく接触角をα1度とし、
内径が小さな前記外輪軌道と外径が小さな前記内輪軌道との間に配置された、小径列側の各玉の直径をDw2mmとし、同じくピッチ円直径をDpw2 mmとし、同じく接触角をα2度とし、
前記内輪の回転速度(単位時間当たりの自転数、自転角速度)をnimin-1とし、前記外輪の回転速度をnemin-1とした場合に、下記の(1) 式で表される、前記大径列側の各玉の公転速度n1min-1と、下記の(2) 式で表される前記小径列側の各玉の公転速度n2min-1との関係を、n1=n2としている。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、前記保持器の軸方向に関して前記中央リム部と反対側部分が開放されているポケットに対向する部分で、前記外輪の端部内周面と前記内輪の端部外周面との間に、これら外輪の内周面と内輪の外周面との間に存在して前記各玉を設置した空間の端部開口を塞ぐ塞ぎ板を設ける。
即ち、単一の保持器を使用して、複列に配置された玉を、円周方向に関して交互に配置している(千鳥配置している)為、これら各玉の直径を小さくせずに、両列の玉の列間ピッチを短縮できる。又、これら両列の玉の数を少なくする必要もない為、負荷容量の確保を図れる。
又、少なくとも何れか一方のポケットの側で、前記保持器が当該ポケットに保持された玉よりも軸方向に突出する事がない為、この保持器を含めて、タンデムアンギュラ型玉軸受の軸方向寸法を短くできる。
更に、前記両列の玉の公転速度を互いに等しくしている為、これら両列の玉の公転速度の相違に基づいて、前記保持器に無理な力が加わったり、前記各玉の転動面と両外輪軌道及び両内輪軌道との接触部に過大な滑りが発生する事はなく、各部の損傷を抑えて、十分な耐久性を確保できる。
図1〜2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のタンデムアンギュラ型玉軸受は、図1に示す様に、外輪5bと、内輪6bと、複数個の玉7A、7Bと、単一の保持器8dとを備える。
先ず、前述の様に、前記大径列側の各玉7A、7Aの直径をDw1mm、同じくピッチ円直径をDpw1mm、同じく接触角をα1度、前記小径列側の各玉7B、7Bの直径をDw2mm、同じくピッチ円直径をDpw2mm、同じく接触角をα2度とする。
この条件で、前記内輪6bの回転速度(単位時間当たりの自転数、自転角速度)をnimin-1とし、前記外輪5bの回転速度をnemin-1とした場合に、下記の(1) 式で表される、前記大径列側の各玉7A、7Aの公転速度n1min-1と、下記の(2) 式で表される前記小径列側の各玉7B、7Bの公転速度n2min-1との関係を、n1=n2としている。
即ち、本例の構造の場合には、前記単一の保持器8dを使用して、複列に配置された前記各玉7A、7Bを保持する為の、前記第一、第二各ポケット15、16を円周方向に関して交互に配置している。しかも本例の構造の場合には、これら第一、第二各ポケット15、16の奥部同士を円周方向に関して互いに重畳させている。この為、前記各玉7A、7Bの直径Dw1、Dw2を小さくせずに、両列の各玉7A、7Bの列間ピッチpを短縮できる。又、これら両列の各玉7A、7Bの数を特に少なくする必要もない為、負荷容量の確保を図れる。
図3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、外輪5bの両端部内周面と内輪6bの両端部外周面との間に、これら外輪5bの内周面と内輪6bの外周面との間に存在して各玉7A、7Bを設置した空間17の両端部開口を塞ぐ塞ぎ板18a、18bを設けている。本例の場合には、これら両塞ぎ板18a、18bとして、シールド板と呼ばれる非接触型のものを使用している。そして、これら両塞ぎ板18a、18bの内周縁を、それぞれ前記内輪6bの両端部外周面に係止すると共に、それぞれの外周縁を前記外輪5bの両端部内周面に近接対向させて、当該部分にラビリンスシールを構成している。
図4は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。上述の図3に示した実施の形態の第2例の場合には、空間17の両端開口を、1対の塞ぎ板18a、18bにより塞ぐ構成を採用しているが、本例の場合には、空間17の大径列側(図4の右側)の端部開口のみを、塞ぎ板18aにより塞ぐ構成を採用している。又、本例の場合には、前記空間17の小径列側(図4の左側)の端部開口に組み付ける塞ぎ板を省略した事に伴い、外輪5c及び内輪6cの小径列側の軸方向寸法を、上述した実施の形態の第2例の場合よりも短くして、タンデムアンギュラ型玉軸受の軸方向寸法の更なる短縮化を図っている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例又は第2例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図5は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。前述の図3に示した実施の形態の第2例の場合には、空間17の両端開口を、1対の塞ぎ板18a、18bにより塞ぐ構成を採用しているが、本例の場合には、空間17の小径列側(図5の左側)の端部開口のみを、塞ぎ板18bにより塞ぐ構成を採用している。又、本例の場合には、前記空間17の大径列側(図5の右側)の端部開口に組み付ける塞ぎ板を省略した事に伴い、外輪5d及び内輪6dの小径列側の軸方向寸法を、前述した実施の形態の第2例の場合よりも短くして、タンデムアンギュラ型玉軸受の軸方向寸法の更なる短縮化を図っている。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例又は第2例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図6〜7は、請求項1にのみ対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、保持器8eの大径側端縁部に大径側リム部19を、全周に亙り連続する状態で形成している。この為、大径列側の玉7A、7Aを保持する各第一ポケット15a、15aは全周を囲まれた円形となる。従って、これら各玉7A、7Aはこれら各第一ポケット15a、15a内に、前記保持器8eの径方向の開口部から組み込む。
この様な本例の構造の場合、前述した実施の形態の第1例の場合に比べれば保持器8eの軸方向寸法が嵩むが、前述の特許文献4に記載された従来構造に比べれば、軸方向寸法を短縮できる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図8は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、外輪5bの小径側端部内周面と内輪6bの小径側端部外周面との間に、空間17の小径側端部開口を塞ぐ塞ぎ板18bを設けて、タンデムアンギュラ型玉軸受の内部を流通する潤滑油の量を適正に規制可能としている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第5例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図9〜10は、請求項1にのみ対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、保持器8fの小径側端縁部に小径側リム部20を、全周に亙り連続する状態で形成している。この為、小径列側の玉7B、7Bを保持する各第二ポケット16a、16aは全周を囲まれた円形となる。従って、これら各玉7B、7Bはこれら各第二ポケット16a、16a内に、前記保持器8fの径方向の開口部から組み込む。
この様な本例の構造の場合、前述した実施の形態の第1例の場合に比べれば保持器8fの軸方向寸法が嵩むが、前述の特許文献4に記載された従来構造に比べれば、軸方向寸法を短縮できる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図11は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、外輪5bの大径側端部内周面と内輪6bの大径側端部外周面との間に、空間17の大径側端部開口を塞ぐ塞ぎ板18aを設けて、タンデムアンギュラ型玉軸受の内部を流通する潤滑油の量を適正に規制可能としている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第7例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
2 玉軸受
3 ピニオン軸
4 ピニオンギヤ
5、5a、5b、5c、5d 外輪
6、6a、6b、6c、6d 内輪
7a、7b、7A、7B 玉
8a、8b、8c、8d、8e、8f 保持器
9a、9b、9A、9B 外輪軌道
10a、10b、10A、10B 内輪軌道
11 支持部
12 支持孔
13a、13b リム部
14 中央リム部
15、15a 第一ポケット
16、16a 第二ポケット
17 空間
18a、18b 塞ぎ板
19 大径側リム部
20 小径側リム部
Claims (3)
- それぞれがアンギュラ型であって内径が互いに異なる2列の外輪軌道を内周面に、互いに同じ向きに設けた外輪と、それぞれがアンギュラ型であって外径が互いに異なる2列の内輪軌道を外周面に、互いに同じ向きに設け、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置された内輪と、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、それぞれの列毎に複数個ずつ、両列同士の間で同じ方向の接触角を付与され、且つ、ピッチ円直径を互いに異ならせた状態で転動自在に設けられた玉と、これら各玉を転動自在に保持した単一の保持器とを備えたタンデムアンギュラ型玉軸受に於いて、
前記保持器は、前記両列に配置された玉同士の間部分に配置された、円環状の中央リム部と、この保持器の軸方向に関してこの中央リム部の片側に、円周方向に関して間欠的に設けられた複数の第一ポケットと、同じく他側に、円周方向に関する位相をこれら各第一ポケットとずらせた状態で、円周方向に関して間欠的に設けられた複数の第二ポケットとを備えたものであり、
前記各第一ポケットと前記各第二ポケットとのうちの少なくとも一方のポケットは、前記中央リム部側部分と円周方向に関して両側部分との三方のみが囲まれていて、前記保持器の軸方向に関して前記中央リム部と反対側部分は開放されており、前記保持器の軸方向に関して一端縁は、前記少なくとも一方のポケットに保持された前記各玉よりも軸方向に突出しておらず、
内径が大きな前記外輪軌道と外径が大きな前記内輪軌道との間に配置された、大径列側の各玉の直径をDw1mmとし、同じくピッチ円直径をDpw1mmとし、同じく接触角をα1度とし、
内径が小さな前記外輪軌道と外径が小さな前記内輪軌道との間に配置された、小径列側の各玉の直径をDw2mmとし、同じくピッチ円直径をDpw2mmとし、同じく接触角をα2度とし、
前記内輪の回転速度をnimin-1とし、前記外輪の回転速度をnemin-1とした場合に、下記の(1) 式で表される、前記大径列側の各玉の公転速度n1min-1と、下記の(2) 式で表される前記小径列側の各玉の公転速度n2min-1との関係を、n1=n2とした
事を特徴とするタンデムアンギュラ型玉軸受。
- 前記第一、第二各ポケットの両方のポケットに関し、前記保持器の軸方向に関して前記中央リム部と反対側部分は開放されており、前記保持器の軸方向両端縁が、前記第一、第二各ポケットに保持された前記各玉よりも軸方向に突出していない、請求項1に記載したタンデムアンギュラ型玉軸受。
- 前記保持器の軸方向に関して前記中央リム部と反対側部分が開放されているポケットに対向する部分で、前記外輪の端部内周面と前記内輪の端部外周面との間に、これら外輪の内周面と内輪の外周面との間に存在して前記各玉を設置した空間の端部開口を塞ぐ塞ぎ板を設けた、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したタンデムアンギュラ型玉軸受。
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