JP2012099369A - 非水電解質電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れる非水電解質電池用セパレータを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン微多孔質基材と、前記ポリオレフィン微多孔質基材の片面又は両面に設けられ耐熱性高分子を含む耐熱性多孔質層とを備え、前記ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンは、重量平均分子量が90万以上350万以下であり、分子量分布が式(1)〜式(3)のすべてを満たす、非水電解質電池用セパレータである。式(1):0.5≦P1≦5、式(2):1≦P2/P3≦5、式(3):0.2≦P4≦10。P1は分子量1万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P2は分子量1万超100万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P3は分子量100万超1000万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P4は分子量1000万超のポリオレフィンの質量比率である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質電池用セパレータ及び非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、携帯電話やノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及し、さらに、電気自動車やハイブリッドカーの主電源、夜間電気の蓄電システム等へと適用が広がっている。非水電解質二次電池の普及にともない、安定した電池特性と安全性を確保することが重要な課題となっている。
非水電解質二次電池の安全性確保においてセパレータの役割は重要であり、とりわけシャットダウン機能の観点から、現状ではポリオレフィン(特にポリエチレン)を主成分とした多孔膜が用いられている。非水電解質二次電池の技術分野において、シャットダウン機能とは、電池の温度が異常に上昇したときに、ポリオレフィンが溶融して多孔膜の空孔が閉塞し電流を遮断する機能を言い、電池の熱暴走を食い止める働きをする。
しかし、シャットダウン機能が作動した後に電池温度がさらに上昇した場合、ポリオレフィンの多孔膜全体が溶融(いわゆるメルトダウン)してしまう。この結果、電池内部で短絡が生じ、これに伴って大量の熱が発生して、電池の発煙・発火・爆発に至るおそれがある。このため、セパレータにはシャットダウン機能に加えて、シャットダウン機能が発現する温度より高い温度でもメルトダウンしないほどの耐熱性が要求される。
この要求に対して、従来、ポリオレフィン多孔膜の片面又は両面に、耐熱性高分子を含む多孔質層を被覆する提案や、耐熱性高分子の繊維からなる不織布を積層させる提案などがなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。これらの提案は、シャットダウン機能と耐熱性を両立させた点で、高温下での電池の安全性確保が期待できる。
特開2002−355938号公報 特開2005−209570号公報 特開2005−285385号公報 特開2000−030686号公報
さらに、電池には、繰返しの使用に耐えられるように、サイクル安定性をより一層高めることが求められている。電池のサイクル安定性を向上させるためには、セパレータの熱収縮率を低く抑えることが有効であるが、熱収縮率が低いセパレータはシャットダウン機能に劣る傾向があった。換言すると、セパレータにおいて、熱収縮率の低下とシャットダウン特性の向上とは、トレードオフの関係にあり、両立するのが難しかった。
上記に鑑み、本発明は、熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れる非水電解質電池用セパレータを提供することを目的とする。また、本発明は、前記非水電解質電池用セパレータを備えた、サイクル安定性に優れる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> ポリオレフィン微多孔質基材と、前記ポリオレフィン微多孔質基材の片面又は両面に設けられ耐熱性高分子を含む耐熱性多孔質層とを備え、前記ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンは、重量平均分子量が90万以上350万以下であり、分子量分布が下記式(1)〜式(3)のすべてを満たす、非水電解質電池用セパレータ。
・式(1) 0.5≦P1≦5
・式(2) 1≦P2/P3≦5
・式(3) 0.2≦P4≦10
式(1)中、P1は、分子量1万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(2)中、P2は、分子量1万超100万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P3は、分子量100万超1000万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(3)中、P4は、分子量1000万超のポリオレフィンの質量比率である。
<2> 前記耐熱性多孔質層は、空孔率が50%以上70%以下である<1>に記載の非水電解質電池用セパレータ。
<3> 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される<1>又は<2>に記載の非水電解質電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池。
本発明によれば、熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れる非水電解質電池用セパレータを提供することができる。また、本発明によれば、前記非水電解質電池用セパレータを備えた、サイクル安定性に優れる非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明において、ポリオレフィンの分子量分布及び重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCと略称することがある。)により測定され、分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算して表した分子量である。
<非水電解質電池用セパレータ>
本発明の非水電解質電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔質基材(以下「微多孔質基材」及び「基材」とも称する。)と、前記ポリオレフィン微多孔質基材の片面又は両面に設けられ耐熱性高分子を含む耐熱性多孔質層とを備える。かかる構成により、本発明の非水電解質電池用セパレータは、シャットダウン機能と耐熱性とを有する。
さらに、本発明の非水電解質電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンが重量平均分子量90万以上350万以下であり、前記ポリオレフィンの分子量分布が下記式(1)〜式(3)のすべてを満たす。
・式(1) 0.5≦P1≦5
・式(2) 1≦P2/P3≦5
・式(3) 0.2≦P4≦10
式(1)中、P1は、分子量1万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(2)中、P2は、分子量1万超100万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P3は、分子量100万超1000万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(3)中、P4は、分子量1000万超のポリオレフィンの質量比率である。
かかる構成により、本発明の非水電解質電池用セパレータは、熱収縮率とシャットダウン特性とのバランスがよく、熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れる。したがって、本発明の非水電解質電池用セパレータを備えた電池は、サイクル安定性に優れ、また、耐短絡性も良好である。
本発明において、ポリオレフィン微多孔質基材は、含まれるポリオレフィンが、重量平均分子量90万以上350万以下であり、前記式(1)〜式(3)のすべてを満たすことにより、製造時の製膜性と延伸性が良好であり、また、製造時の破損や傷つきが少ない。かかるポリオレフィン微多孔質基材を備える本発明の非水電解質電池用セパレータは、使用時の安全性が高い。
本発明において、ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンは、重量平均分子量が90万〜350万である。重量平均分子量が90万〜350万の範囲外であると、シャットダウン機能や耐熱性などの特性が十分でない場合がある。また、基材及びセパレータの機械的特性が満たされない場合がある。
特に、重量平均分子量が90万未満であると、フィルムの強度が低く、伸びによる塑性変形や、工程搬送中の破断やピンホールを生じ易くなるので好ましくない。また、電池内においてシャットダウン機能を発現する温度付近で強度低下が生じる場合があるため短絡のおそれがあり好ましくない。他方、重量平均分子量が350万超であると、ポリオレフィン溶液の粘度が高まり、基材の製造時に問題が発生し、セパレータのシャットダウン特性及び耐短絡性が実用レベルに達しない場合がある。また、融点付近のポリオレフィンの流動性が小さいため、シャットダウンの際の孔の閉塞が十分ではない場合がある。即ち抵抗値の上昇が小さく十分なシャットダウン機能が得られない場合があり好ましくない。
さらに、重量平均分子量が90万以上であると、基材の熱延伸の際のメルトテンションを高く維持し良好な製膜性を確保することができ、加えて、ポリオレフィン樹脂に十分な絡み合いを付与し基材の強度を高めることができる。重量平均分子量が350万以下であると、均一なポリオレフィン溶液の作製を可能にし、基材の成形時の均一性の向上、特に厚み安定性を向上させることができる。
重量平均分子量は、上記の観点から、より好ましくは95万〜300万であり、更に好ましくは100万〜250万である。
本発明において、ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンに占める分子量1万以下のポリオレフィンの質量比率(質量%)P1は、0.5〜5である。P1が0.5〜5の範囲外であると、セパレータとした時に熱収縮率が高い場合があり、また、基材の製膜性及び延伸性と、基材及びセパレータの機械的特性とを両立できない場合がある。
特に、P1が0.5未満であると、ポリオレフィンの粘度が高く混練に斑が生じるため延伸時に斑またはピンホール、破断を生じ易く好ましくない。他方、P1が5超であると、基材及びセパレータの強度が充分でない場合がある。
上記の観点から、P1はより好ましくは1〜5である。
本発明において、ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンに占める分子量1万超100万以下のポリオレフィンの質量比率(質量%)P2と、
ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンに占める分子量100万超1000万以下のポリオレフィンの質量比率(質量%)P3とは、
P2をP3で除した値(P2/P3)が1〜5である。P2/P3が1〜5の範囲外であると、シャットダウン特性に劣る場合、基材の製膜性と延伸性がよくない場合、セパレータとした時に熱収縮率が高い場合がある。
特に、P2/P3が1未満であると、即ちP2がP3よりも少ないと、シャットダウン特性に劣る場合がある。他方、P2/P3が5超であると、セパレータとした時に熱収縮率が高い場合がある。
P2/P3が1以上であると、伸びによる塑性変形や、工程搬送中の破断やピンホールが生じ難くなり好ましい。また、融点付近のポリオレフィンの流動性が小さいためシャットダウンの際の孔の閉塞が十分であり、即ち抵抗値の上昇が小さく十分なシャットダウン機能が得られるため好ましい。P2/P3が5以下であると、電池内においてシャットダウン機能を発現する温度付近で強度低下が生じ難く好ましい。
上記の観点から、P2/P3はより好ましくは1〜4.5であり、更に好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3.5である。
P2の範囲は、延伸性、シャットダウン特性などの観点から、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜60質量%である。
P3の範囲は、延伸性、シャットダウン特性などの観点から、好ましくは5〜75質量%であり、より好ましくは10〜60質量%である。
本発明において、ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンに占める分子量1000万超のポリオレフィンの質量比率(質量%)P4は、0.2〜10である。P4が0.2〜10の範囲外であると、シャットダウン機能や耐熱性などの特性が十分でない場合がある。また、基材の製膜性及び延伸性と、基材及びセパレータの機械的特性が両立できない場合がある。
特に、P4が0.2未満であると、電池内においてシャットダウン機能を発現する温度付近で強度低下が生じる場合があるため短絡のおそれがあり好ましくない。また、基材及びセパレータの強度が充分でない場合がある。他方、P4が10超であると、伸びによる塑性変形や、工程搬送中の破断やピンホールを生じ易くなるので好ましくない。また、融点付近のポリオレフィンの流動性が小さいため、シャットダウンの際の孔の閉塞が十分ではない場合がある。即ち抵抗値の上昇が小さく十分なシャットダウン機能が得られない場合があり好ましくない。また、ポリオレフィン溶液の粘度が高まり、製造時に問題が発生する場合がある。
上記の観点から、P4はより好ましくは0.2〜9である。
(ポリオレフィン微多孔質基材)
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材は、130〜155℃の温度範囲で軟化し、多孔質の空隙が閉塞されシャットダウン機能を発現し、かつ非水電解質二次電池の電解液に溶解しない基材が好ましい。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の厚みは、5μm〜25μmが好ましく、さらに好ましくは5μm〜20μmである。厚みが5μm以上であると、シャットダウン機能が良好である。他方、厚みが25μm以下であると、耐熱性多孔質層も加えた非水電解質電池用セパレータの厚みとして適当であり、高電気容量化が達成できる。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の孔径は、後述する比表面積法により測定される孔径で、10nm〜150nmであることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmである。孔径が10nm以上であると、イオン伝導性が確保され好ましい。他方、孔径が150nm以下であると、微多孔質基材中の電解液の保持性が良好となるため有利である。また、孔径が150nm以下であると、シャットダウン応答性が良好である。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の空孔率は、透過性、機械強度及びハンドリング性の観点から、30〜80%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。空孔率が30%以上であると、透過性、電解液の保持量が適当である。他方、空孔率が80%以下であると、機械強度が良好である。
ポリオレフィン微多孔質基材の孔径及び空孔率を制御する方法に特に限定はないが、具体的には、原料に用いるポリオレフィンの分子量分布や分岐構造、ポリオレフィンと可塑剤の比率、延伸条件、アニール条件などの制御により達成できる。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材のガーレ値(JIS・P8117)は、セパレータ部材としての機械強度と膜抵抗をバランスよく得るという観点から、50〜500sec/100ccであることが好ましい。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の膜抵抗は、非水電解質二次電池の負荷特性の観点から、0.5〜5ohm・cmであることが好ましい。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の突刺強度は250g以上であることが好ましく、300g以上がより好ましい。突刺強度が250g以上であると、非水電解質二次電池を作製した場合、電極の凹凸や衝撃等でセパレータにピンホール等が発生しにくく、非水電解質二次電池が短絡する可能性が低い。
本発明においてポリオレフィン微多孔質基材の引張強度は、10N以上であることが好ましい。引張強度が10N以上であると、非水電解質二次電池を作製する時にセパレータを捲回する際に、セパレータが破損しにくい。
[ポリオレフィン]
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等のモノマーを重合して得られる重合体(ホモ重合体、共重合体、多段重合体等)が挙げられる。
かかるポリオレフィン樹脂としては、例えば、密度が0.93g/cmより低い低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cmの程度の中密度ポリエチレン、密度が0.94g/cmを超える高密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン(以下メタロセンポリエチレンとも称する。)、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。例えば、耐熱性に注目して、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物にすることが可能である。膜成形性、耐熱性及び透過性の向上の観点からは、ポリプロピレンを含むことが好ましい。シャットダウン機能の応答性の観点からは、ポリエチレンを含むことが好ましい。
[ポリオレフィン微多孔質基材の製造方法]
本発明のポリオレフィン微多孔質基材の製造方法に特に制限はないが、具体的には下記(1)〜(6)の工程を経て製造することが好ましい。原料に用いるポリオレフィンについては既述のとおりである。
(1)ポリオレフィン溶液の調整
ポリオレフィンを溶剤に溶解させたポリオレフィン溶液を調製する。この時、溶剤を混合してポリオレフィン溶液を作製しても構わない。溶剤としては、例えばパラフィン、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレングリコール、グリセリン、デカリン、トルエン、キシレン、ジエチルトリアミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシド、ヘキサン等が挙げられる。
このとき、ポリオレフィンの重量平均分子量が90万以上350万以下で、且つ前記式(1)〜式(3)のすべてを満たすように、ポリオレフィン溶液を調製する。これは、重量平均分子量が低めのポリオレフィン(例えば、10万超50万以下程度)、重量平均分子量が高めのポリオレフィン(例えば、50万超100万以下程度)、重量平均分子量がより高めのポリオレフィン(例えば、100万超程度)を混合することで実現可能である。
ポリオレフィン溶液の濃度は1〜35質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。ポリオレフィン溶液の濃度が1質量%以上であると、冷却ゲル化して得られるゲル状成形物が溶媒で高度に膨潤しないように維持できるため変形しにくく、取扱い性が良好である。他方、ポリオレフィン溶液の濃度が35質量%以下であると、押し出しの際の圧力が抑えられるため吐出量を維持することが可能で生産性に優れる。また、押し出し工程での配向が進みにくく、延伸性や均一性を確保するのに有利である。
ポリオレフィン溶液は、異物除去のため、濾過することが好ましい。濾過装置、フィルターの形状、様式などは特に制限はなく、従来公知の装置、様式を使用することができる。フィルターの穴径は、濾過性と生産性の観点から1μm〜50μmであることが好ましい。
(2)ポリオレフィン溶液の押出
調製したポリオレフィン溶液を一軸押出機若しくは二軸押出機で混練し、融点以上かつ融点+60℃以下の温度でTダイ若しくはIダイで押し出す。この時、好ましくは二軸押出機を用いる。
そして、押し出したポリオレフィン溶液をチルロール又は冷却浴に通過させて、ゲル状形成物を形成する。この際、ゲル化温度以下に急冷しゲル化することが好ましい。特に、溶媒として揮発性溶媒と不揮発性溶媒を組み合せて用いた場合、結晶パラメータを制御するという観点では、ゲル状形成物の冷却速度は30℃/分以上であることが好ましい。
(3)脱溶媒処理
次いで、ゲル状形成物から溶媒を除去する。揮発性溶剤を使用する場合、予熱工程も兼ねて加熱等により蒸発させゲル状形成物から溶媒を除くこともできる。また、不揮発性溶媒の場合は圧力をかけて絞り出すなどして溶媒を除くことができる。なお、溶媒は完全に除く必要はない。
(4)ゲル状形成物の延伸
脱溶媒処理に次いで、ゲル状形成物を延伸する。ここで、延伸処理の前に弛緩処理を行ってもよい。延伸処理は、ゲル状形成物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、圧延法若しくはこれらの方法の組合せによって所定の倍率で2軸延伸する。2軸延伸は、同時又は逐次のどちらであってもよい。また、縦多段延伸や3乃至4段延伸とすることもできる。延伸後、必要に応じて熱固定を行い、熱寸法安定性を持たせる。
延伸温度は、延伸性等の観点から、90℃以上、成膜に使用するポリオレフィンの融点未満であることが好ましく、更に好ましくは100〜120℃である。加熱温度が融点未満であると、ゲル状形成物が溶解しにくいために延伸を良好に行える。また、加熱温度が90℃以上であると、ゲル状形成物の軟化が十分で延伸において破膜せずに高倍率の延伸が可能である。
延伸倍率は、原反の厚さによって異なるが、1軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは4〜20倍で行なうことが好ましい。特に、結晶パラメータを制御するという観点から、延伸倍率が機械方向(MD方向)に4〜10倍、機械方向の垂直方向(TD方向)に6〜15倍であることが好ましい。
(5)溶剤の抽出・除去
延伸後のゲル状形成物を抽出溶剤に浸漬して、溶媒を抽出する。抽出溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン、テトラリン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、メチレンクロライド等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の易揮発性のものを用いることができる。これらの溶剤はポリオレフィン樹脂の溶解に用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独若しくは混合して用いることができる。溶媒の抽出は、微多孔膜中の溶媒を1質量%未満に迄除去する。
(6)微多孔質基材のアニール
微多孔質基材をアニールにより熱セットする。アニール温度は、80〜150℃で実施することが好ましい。アニール時間は、微多孔質基材の熱収縮率の低減の観点から、1分以上とすることが好ましく、1分〜1時間とすることができる。微多孔質基材の変形を抑制する観点からは、長時間のアニールが好ましい。微多孔質基材の熱収縮をより低減させるために、アニール時間を1時間から5時間程度まで延長することも可能である。
(耐熱性多孔質層)
本発明において、耐熱性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった層を意味する。
本発明において、耐熱性多孔質層はポリオレフィン微多孔質基材の少なくとも片面に形成すればよいが、セパレータのハンドリング性、耐久性及び熱収縮の抑制効果の観点から、ポリオレフィン微多孔質基材の両面に形成された態様が好ましい。
本発明において、耐熱性多孔質層がポリオレフィン微多孔質基材の両面に形成されている場合は、耐熱性多孔質層の厚みの合計が3μm〜12μmであることが好ましく、耐熱性多孔質層がポリオレフィン微多孔質基材の片面にのみ形成されている場合は、耐熱性多孔質層の厚みが3μm〜12μmであることが好ましい。このような厚みの範囲は、ハンドリング性、耐久性、機械的強度、熱収縮の抑制効果、及び液枯れしにくい点で好ましい。
本発明において、耐熱性多孔質層の孔径は、後述する比表面積法により測定される孔径で、50nm〜250nmが好ましく、より好ましくは80nm〜200nmである。耐熱性多孔質層の孔径が50nm以上であると、透過性、電解液の保持量が適当である。他方、耐熱性多孔質層の孔径が250nm以下であると、シャットダウン応答性がよく、耐短絡性も良好である。
本発明において、耐熱性多孔質層の空孔率は、30〜90%が好ましく、より好ましくは30〜70%、更に好ましくは50〜70%である。耐熱性多孔質層の空孔率が30%以上であると、透過性、電解液の保持量が適当である。他方、耐熱性多孔質層の空孔率が90%以下であると、機械強度が良好である。さらに、空孔率が50〜70%であると、セパレータの熱収縮率が低く抑えられる。
耐熱性多孔質層の孔径及び空孔率を制御する方法に特に限定はないが、具体的には、原料に用いる耐熱性高分子の分子量分布や含有量、湿式塗工法により形成する場合の塗工用スラリーの凝固条件やスラリー組成などの制御により達成できる。
(比表面積法による孔径の測定)
耐熱性多孔質層及びポリオレフィン微多孔質基材の細孔の孔径は、細孔の構造が全て円柱状であると仮定し、細孔容積と表面積の測定結果から算出する。以下、これらの算出法について詳述する。
−比表面積の測定法−
以下のガス吸着法による比表面積の測定法(JIS Z 8830に準じた方法、いわゆるBET法)により、非水電解質電池用セパレータの比表面積Stと、基材であるポリオレフィン微多孔質基材の比表面積Ssと、無機フィラーの比表面積Sfを求める。
比表面積Sは、吸着質にNを用いて各サンプルのN吸着量を求め、得られたN吸着量から下記式(P−1)で示されるBET式を用いて求める。
・式(P−1)… 1/[W・{(P/P)−1}]={(C−1)/(Wm・C)}(P/P)(1/(Wm・C)
ここで、式(P−1)中、Pは吸着平衡における吸着質の気体の圧力、Pは吸着平衡における吸着質の飽和蒸気圧、Wは吸着平衡圧Pにおける吸着量、Wmは単分子吸着量、CはBET定数を表す。x軸を相対圧力P/Pとし、y軸を1/[W・{(P/P)−1}]とすると、線形のプロット(いわゆるBETプロット)が得られる。このプロットにおける傾きをA、切片をBとすると、単分子吸着量Wmは下記式(P−2)のようになる。
・式(P−2)… Wm=1/(A+B)
次いで、比表面積Sは下記式(P−3)により求まる。
・式(P−3)… S=(Wm・N・Acs・M)/w
ここで、Nはアボガドロ数、Mは分子量、Acsは吸着断面積、wはサンプル質量である。なお、Nの場合、吸着断面積Acsは0.16nmである。
−ポリオレフィン微多孔質基材の孔径−
ポリオレフィン微多孔質基材の細孔の孔径は、ポリオレフィン微多孔質基材の細孔容積と表面積から、細孔が円柱状であると仮定して下記方法で算出する。
・式(P−4)… Vs=π(Rs/2)Ls
・式(P−5)… Vs=εs(Ws/ds+Vs)
・式(P−6)… Ss・Ws=π・Rs・Ls
但し、Vsは細孔容積、Rsは細孔の孔径すなわち円柱の直径、Lsは円柱の長さ、Wsはポリオレフィン樹脂の質量、dsはポリオレフィン樹脂の密度、εsはポリオレフィン樹脂層の空孔率とする。
これら式(P−4)〜(P−6)からポリオレフィン微多孔質基材の細孔の孔径Rsを求めることができる。
−耐熱性多孔質層の孔径−
耐熱性多孔質層の細孔の孔径は、前述のポリオレフィン微多孔質基材の細孔の孔径と同様に、該耐熱性多孔質層の細孔容積と表面積から、細孔が円柱状であると仮定して下記方法で算出する。
全細孔容積をVt、円柱状細孔の直径をRt、円柱状細孔の全長をLtとすると、以下の式(P−7)〜(P−9)が成立する。
・式(P−7)… St・(Wa+Wf+Ws)−Ss・Ws=π・Rt・Lt
・式(P−8)… Vt=π(Rt/2)・Lt
・式(P−9)… Vt=εt・(Wa/da+Wf/df+Vt)
ここで、Waは耐熱性樹脂の質量、daは耐熱性樹脂の密度、Wfは無機フィラーの質量、dfは無機フィラーの密度、εtは耐熱性樹脂層の空孔率である。式(P−7)〜(P−9)から、耐熱性多孔質層の細孔の孔径Rtを求めることができる。
[耐熱性高分子]
本発明において、耐熱性多孔質層を構成する耐熱性高分子としては、融点200℃以上の結晶性高分子、あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上の高分子が好ましく、例えば、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
かかる高分子(以下「耐熱性樹脂」とも言う。)は、ホモポリマーであってもよく、さらに柔軟性の発揮など、所望の目的により若干の共重合成分を含有することも可能である。即ち、例えば全芳香族ポリアミドにおいては、例えば少量の脂肪族成分を共重合することも可能である。
さらにかかる耐熱性樹脂は、電解質溶液に対し不溶性であり、耐久性が高いことにより全芳香族ポリアミドが好適であり、多孔質層を形成しやすく耐酸化還元性に優れるという観点から、メタ型全芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミドがさらに好適である。
本発明においては、かかる耐熱性樹脂の分子量範囲を特定範囲とすることが好ましい。前記分子量範囲は樹脂の種類、とりわけ繰返し単位自体の分子量に依存して若干異なるが、該樹脂の融液あるいは濃厚溶液において高分子の絡み合いが観測される程度の平均重合度(以下単に「重合度」と略記することがある。)あるいはそれより若干高い重合度とすることが好ましい。具体的には、数平均分子量(Mn)が0.1万〜10万の比較的低い重合度であることが好ましい。全芳香族ポリアミドの場合は、数平均分子量(Mn)が0.2万〜8万が好ましく、より好ましくは0.2万〜7万、さらに好ましくは0.3万〜5万である。
[無機フィラー]
本発明において、耐熱性多孔質層には無機フィラーが含まれていることが好ましい。無機フィラーとしては、特に限定はないが、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア等の金属酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が好適に用いられる。このような無機フィラーは、不純物の溶出や耐久性の観点から結晶性の高いものが好ましい。
無機フィラーとしては、200〜400℃において吸熱反応を生じるものが好ましい。非水電解質二次電池では、正極の分解に伴う発熱が最も危険と考えられており、この分解は300℃近傍で起こる。このため、吸熱反応の発生温度が200〜400℃の範囲であれば、非水電解質二次電池の発熱を防ぐ上で有効である。
200〜400℃において吸熱反応を生じる無機フィラーとして、金属水酸化物、硼素塩化合物又は粘土鉱物等からなる無機フィラーが挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム、ドーソナイト、硼酸亜鉛等が挙げられる。水酸化アルミニウムやドーソナイト、アルミン酸カルシウムは200〜300℃の範囲において脱水反応が起こり、また、水酸化マグネシウムや硼酸亜鉛は300〜400℃の範囲において脱水反応が起こるため、これらの無機フィラーのうち少なくともいずれか一種を用いることが好ましい。中でも、難燃性の向上効果、ハンドリング性、除電効果、電池の耐久性改善効果の観点から、金属水酸化物が好ましく、特に、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムが好ましい。
上記無機フィラーは単独若しくは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの難燃性の無機フィラーには、アルミナやジルコニア、シリカ、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属炭酸塩等の他の無機フィラーを適宜混合して用いることもできる。
本発明において、無機フィラーの平均粒子径は、高温時の耐短絡性や成形性等の観点から、0.1μm〜2μmが好ましい。耐熱性多孔質層における無機フィラーの含有量は、耐熱性向上効果、透過性及びハンドリング性の観点から、50〜95質量%であることが好ましい。
なお、耐熱性多孔質層中の無機フィラーは、耐熱性多孔質層が微多孔膜状である場合は耐熱性樹脂に捕捉された状態で存在し、耐熱性多孔質層が不織布等の場合は構成繊維中に存在するか、樹脂等のバインダーにより不織布表面等に固定されていればよい。
[耐熱性多孔質層の形成方法]
本発明において、耐熱性多孔質層の形成方法に特に制限はない。例えば、耐熱性多孔質層を塗工法により基材上に直接形成する方法、別途製造した耐熱性多孔質層のシートを基材上に接着剤を用いて接着する手法または熱融着や圧着する手法を採用することができる。本発明においては、例えば下記(1)〜(5)の工程を経て形成することが可能であり、好ましい。
(1)塗工用スラリーの作製
耐熱性樹脂を溶剤に溶かし、塗工用スラリーを作製する。溶剤は耐熱性樹脂を溶解するものであればよく、特に限定はないが、極性溶剤が好ましく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、当該溶剤は、極性溶剤に加えて耐熱性樹脂に対して貧溶剤となる溶剤も加えることができる。このような貧溶剤を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性多孔質層を形成する上で多孔化が容易となる。貧溶剤としては、アルコール類が好適であり、特にグリコールのような多価アルコールが好適である。
塗工用スラリー中の耐熱性樹脂の濃度は4〜9質量%が好ましい。また必要に応じ、これに無機フィラーを分散させて塗工用スラリーとする。塗工用スラリー中に無機フィラーを分散させるに当たって、無機フィラーの分散性が好ましくないときは、無機フィラーをシランカップリング剤等で表面処理し、分散性を改善する手法も適用可能である。
(2)スラリーの塗工
スラリーをポリオレフィン微多孔質基材の少なくとも一方の表面に塗工する。ポリオレフィン微多孔質基材の両面に耐熱性多孔質層を形成する場合は、基材の両面に同時に塗工することが、工程の短縮という観点で好ましい。塗工用スラリーを塗工する方法としては、ナイフコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法、リバースロールコーター法、ロールコーター法、マイヤーバー法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法等が挙げられる。塗膜を均一に形成するという観点において、リバースロールコーター法が好適である。ポリオレフィン微多孔質基材の両面に同時に塗工する場合は、例えば、ポリオレフィン微多孔質基材を一対のマイヤーバーの間に通すことで両面に過剰な塗工用スラリーを塗布し、これを一対のリバースロールコーターの間に通して過剰なスラリーを掻き落すことで精密計量するという方法を採用できる。
塗工用スラリーは、微細異物除去のため、塗工に先立ち濾過することが好ましい。濾過装置、フィルターの形状、設置位置は特に制限はなく、従来公知の装置、フィルターを所定の位置に設置して使用することができる。フィルターの穴径は、濾過性と生産性の観点から、1μm以上100μm以下が好ましい。
(3)スラリーの凝固
ポリオレフィン微多孔質基材に塗工用スラリーを塗工したものを、耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液で処理することにより、耐熱性樹脂を凝固させて、耐熱性多孔質層を形成する。処理方法としては、塗工用スラリーを塗工した面に凝固液をスプレーで吹き付ける方法や、塗工用スラリーを塗工したポリオレフィン微多孔質基材を凝固液の入った浴(凝固浴)中に浸漬する方法などが挙げられる。ここで、凝固浴を設置する場合は、塗工装置の下方に設置することが好ましい。
凝固液としては、耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に限定されないが、水、又は、スラリーに用いた溶剤に水を適当量混合させたものが好ましい。ここで、水の混合量は、凝固効率や多孔化の観点から、凝固液に対して40〜80質量%が好ましい。
(4)凝固液の除去
スラリーの凝固に用いた凝固液を、水洗することによって、除去する。
(5)乾燥
ポリオレフィン微多孔質基材に耐熱性樹脂の塗工層を形成したシートから、水を乾燥により除去する。乾燥方法は特に限定はないが、乾燥温度は50〜80℃が好適であり、高い乾燥温度を適用する場合は熱収縮による寸法変化が起こらないようにするためにロールに接触させる方法を適用することが好ましい。
(セパレータの諸特性)
本発明の非水電解質電池用セパレータは、非水電解質二次電池を作製した場合の電池のエネルギー密度の観点から、全体の膜厚が30μm以下であることが好ましい。
本発明の非水電解質電池用セパレータの空孔率は、透過性、機械強度及びハンドリング性の観点から、30〜70%であることが好ましく、40〜60%であることがより好ましい。
本発明の非水電解質電池用セパレータのガーレ値(JIS・P8117)は、機械強度と膜抵抗のバランスがよい点で、100〜500sec/100ccであることが好ましい。
本発明の非水電解質電池用セパレータの膜抵抗は、非水電解質二次電池の負荷特性の観点から、1.5〜10ohm・cmであることが好ましい。
本発明の非水電解質電池用セパレータの突刺強度は、250g〜1000gであることが好ましい。突刺強度が250g以上であると、非水電解質二次電池を作製した場合、セパレータにピンホール等が発生しにくく、非水電解質二次電池の短絡発生を抑制できる。
本発明の非水電解質電池用セパレータの引張強度は、10N以上であることが好ましい。引張強度が10N以上であると、非水電解質二次電池を作製する時にセパレータを捲回する際に、セパレータが破損しにくい。
本発明の非水電解質電池用セパレータの105℃における熱収縮率は、0.5〜10%であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲にあると、セパレータの形状安定性とシャットダウン特性のバランスがよい。より好ましくは0.5〜5%、更に好ましくは0.5%以上3%未満である。
本発明の非水電解質電池用セパレータのシャットダウン温度は、130〜155℃であることが好ましい。シャットダウン温度が130℃以上であると、低温でメルトダウンすることがなく安全性が高い。他方、シャットダウン温度が155℃以下であると、電池の各種素材が高温に曝されることがない。シャットダウン温度は、好ましくは135〜150℃である。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池であって、正極と、負極と、既述の構成の非水電解質電池用セパレータを備える。非水電解質二次電池は、負極と正極がセパレータを介して対向している電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造を有する。
本発明の非水電解質二次電池は、既述の構成の非水電解質電池用セパレータを備えることにより、サイクル安定性に優れ、耐短絡性も良好である。
負極は、負極活物質、導電助剤及びバインダーからなる負極合剤が、集電体上に成形された構造である。負極活物質としては、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料が挙げられ、例えば炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズ、ウッド合金等が挙げられる。負極活物質は、セパレータが液枯れしにくい点では、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が3%以上のものが好ましい。かかる負極活物質としては、例えばSn、SnSb、AgSn、人造黒鉛、グラファイト、Si、SiO、V等が挙げられる。導電助剤は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。集電体には銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔等を用いることが可能である。
正極は、正極活物質、導電助剤及びバインダーからなる正極合剤が、集電体上に成形された構造である。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn0.5Ni0.5、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiMn、LiFePO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。正極活物質は、セパレータが液枯れしにくい点では、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が1%以上のものが好ましい。かかる正極活物質としては、例えばLiMn、LiCoO、LiNiO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。導電助剤はアセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。集電体にはアルミ箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることが可能である。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート等が挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
外装材は、金属缶又はアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本発明の非水電解質電池用セパレータは、いずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の実施例及び比較例で適用した測定方法は、以下のとおりである。
(1)ポリオレフィンの分子量の分析
ポリオレフィンの重量平均分子量及び分子量分布(質量%)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
試料15mgに、GPC測定用移動相20mlを加え、145℃で完全に溶解し、ステンレス製焼結フィルター(孔径1.0μm)で濾過した。濾液400μlを装置に注入して測定に供し、試料の重量平均分子量、分子量分布を求めた。
・装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters製)
・カラム:東ソー(株)製、TSKgel GMH6−HT×2+TSKgel GMH6−HT×2
・カラム温度:140℃、
・移動相:o−ジクロロベンゼン
・検出器:示差屈折計(RI)
・分子量較正:東ソー(株)製、単分散ポリスチレン
(2)膜厚
ポリオレフィン微多孔質基材及び非水電解質電池用セパレータの膜厚は、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで、接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。
(3)空孔率
ポリオレフィン微多孔質基材及び耐熱性多孔質層の空孔率は、下記の算出方法に従って求めた。
構成材料がa、b、c、・・・、nからなり、構成材料の質量がWa、Wb、Wc、・・・、Wn(g/cm)であり、それぞれの真密度がxa、xb、xc、・・・、xn(g/cm)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求められる。
ε={1−(Wa/xa+Wb/xb+Wc/xc+・・・+Wn/xn)/t}×100
(4)ガーレ値
ポリオレフィン微多孔質基材及び非水電解質電池用セパレータのガーレ値は、JIS P8117に従って求めた。
(5)突刺強度
ポリオレフィン微多孔質基材の突刺強度は、KES−G5ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重(g)を測定して突刺強度とした。ここでサンプルはΦ11.3mmの穴があいた金枠(試料ホルダー)にシリコンゴム製のパッキンも一緒に挟み固定した。
(6)熱収縮率
非水電解質電池用セパレータの熱収縮率は、サンプルを105℃で1時間加熱してMD方向とTD方向の収縮率を平均して求めた。
(7)シャットダウン特性
非水電解質電池用セパレータを直径19mmの円形に打ち抜き、非イオン性界面活性剤(花王社製エマルゲン210P)を3質量%の濃度に溶解したメタノール溶液(メタノール:和光純薬工業社製)に浸漬し、風乾した。このサンプルを、厚み0.4mm、直径15.5mmの2枚のSUS板の電極に挟み、電解液である1MのLiBF/[プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(質量比1/1)]溶液(キシダ化学社製)を含浸させた。これを2032型コインセルに封入しコイン型電池とした。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で、コイン型電池内部の温度を200℃まで昇温させ、同時に交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて電極間に電圧をかけて、コイン型電池の抵抗値(ohm・cm)を測定した。抵抗値が10ohm・cmに達した時をシャットダウンとみなし、その時点の温度をシャットダウン温度とした。
シャットダウン温度から200℃までの温度範囲で、抵抗値が10ohm・cm以上に維持されていた場合、合格(○)と判定した。シャットダウンしない(抵抗値が10ohm・cmに達しない)場合、シャットダウン温度から200℃までの温度範囲で抵抗値が10ohm・cm未満に低下した場合、又はシャットダウン温度が152℃を超えた場合を不合格(×)と判定した。
(8)サイクル特性
−試験用電池の作製−
〜正極の作製〜
コバルト酸リチウム(LiCoO、日本化学工業社製)の粉末と、アセチレンブラックと、濃度6質量%のPVdFのN−メチル−2−ピロリドン溶液とを用意した。質量比(LiCoO:アセチレンブラック:PVdF[乾燥質量])が89.5:4.5:6となるように混合溶液を調製し、これを正極剤ペーストとした。正極剤ペーストを厚さ20μmのアルミ箔上に塗布し、乾燥後プレスして、厚さ97μmの正極を得た。
〜負極の作製〜
負極活物質としてメソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB、大阪瓦斯化学社製)の粉末と、アセチレンブラックと、濃度6質量%のPVdFのN−メチル−2−ピロリドン溶液とを用意した。質量比(MCMB:アセチレンブラック:PVdF[乾燥質量])が87:3:10となるように混合溶液を調製し、これを負極剤ペーストとした。負極剤ペーストを厚さ18μmの銅箔上に塗布し、乾燥後プレスして、厚さ90μmの負極を得た。
〜ボタン電池の作製〜
セパレータと、上記の正極及び負極を用いて、初期容量が4.5mAh程度のボタン電池(CR2032)を作製した。電解液には1MのLiPF/[エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/エチルメチルカーボネート(質量比1/2/1)]溶液を用いた。
−評価方法−
ボタン電池について、充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vで充放電を繰返し、100サイクル目の放電容量を初期容量で除して得られた数値を容量保持率とし、下記の評価基準に従って、サイクル特性を評価した。
〜評価基準〜
○:ボタン電池10個の容量保持率の平均値が85%以上。この場合、実用上問題なく、合格(○)と判定した。
×:ボタン電池10個の容量保持率の平均値が85%未満。この場合、実用上問題があり、不合格(×)と判定した。
<原料ポリエチレンの用意>
本発明の実施例及び比較例で使用したポリオレフィン微多孔質基材の原料として、以下の方法で製造したPE−1〜PE−7のポリエチレンを用いた。
(合成例1)
[ポリエチレンPE−1の製造]
<固体触媒成分の調製>
窒素ガスで充分に置換され、撹拌機を具備した容量2lの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム100g及びテトライソプロポキシチタン130mlを装入して懸濁状態とし、130℃で6時間撹拌しながら処理した。次いで90℃まで冷却後、90℃に予め加熱したトルエン800mlを加え、1時間撹拌することにより均一な溶液を得た。この溶液90mlを、撹拌機を具備した500mlの丸底フラスコに装入した0℃のn−ヘプタン150ml及び四塩化ケイ素50ml中に、系内の温度を0℃に保ちつつ、撹拌数500rpmで撹拌しつつ1時間かけて添加した。その後、1時間かけて55℃まで昇温し、1時間反応させることにより白色の微粒状固体組成物を得た。次いで、上澄み液を除去した後、トルエン40mlを加えてスラリー状とした。この中に、ソルビタンジステアレート0.5gを予め溶解させた室温の四塩化チタン20mlを撹拌しながら添加し、さらにジ−n−ブチルフタレートを1.5ml添加後、3時間かけて110℃まで昇温し、2時間処理を行なった。最後に、室温のn−ヘプタン100mlで7回洗浄することにより約10gの固体触媒成分を得た。
<重合>
エチレンガスで完全に置換された内容積1500mlの撹拌装置付きステンレス製オートクレーブにn−ヘプタン700mlを装入し、20℃においてエチレンガス雰囲気下に保ちつつトリエチルアルミニウム0.70mmolを装入した。次いで70℃に昇温後、前記固体触媒成分をチタン原子として 0.006mmol装入し、系内の圧力が5kg/cm・Gになるようにエチレンを供給しつつ10時間重合を行なった。濾別後、減圧乾燥し、ポリエチレンパウダー(PE−1)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は600万以上であった。
(合成例2)
[ポリエチレンPE−2の製造]
合成例1の重合において、固体触媒成分をチタン原子として 0.0052mmol装入し、系内の圧力を3.8kg/cm・G、重合時間を3時間にしたこと以外は合成例1と同様にしてポリエチレンパウダー(PE−2)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は204万であった。
(合成例3)
[ポリエチレンPE−3の製造]
シリカ(W.Rグレースアンドカンパニ製グレード952)に1.0質量%の三酸化クロムを担持し、800℃で焼成して固体触媒を得た。この固体触媒を重合器(反応容積170L)に入れ、メタノールとアルミニウムトリヘキシルとをモル比0.92:1で反応させて得た有機アルミニウム化合物を、該化合物の重合器中の濃度が0.08mmol/lになるように0.7g/hrの速度で供給した。次いで、重合器に精製ヘキサンを60L/hrの速度で供給し、またエチレンを12kg/hrの速度で供給し、分子量調節剤として水素を気相濃度が2.5mol%になるように供給し、重合を行った。重合器内のポリマーは乾燥工程、造粒工程を経た後ペレットとして得た。得られたポリマー(PE−3)の重量平均分子量(Mw)は42万であった。
(合成例4)
[ポリエチレンPE−4の製造]
水素の気相濃度が4.0mol%になるように調整した以外は合成例3と同様にしてポリエチレン(PE−4)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は5万であった。
(合成例5)
[ポリエチレンPE−5の製造]
合成例1の重合において、系内の圧力3.0kg/cm・Gで2時間重合した後、圧力を5.0kg/cm・Gに上げて7時間重合したこと以外は合成例1と同様にしてポリエチレンパウダー(PE−5)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は500万であった。
(合成例6)
[ポリエチレンPE−6の製造]
合成例1の重合において、固体触媒成分をチタン原子として 0.0048mmol装入し、系内の圧力を4kg/cm・G、重合時間を1.5時間にしたこと以外は合成例1と同様にしてポリエチレンパウダー(PE−6)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は81万であった。
(合成例7)
[ポリエチレンPE−7の製造]
水素の気相濃度が2.8mol%になるように調整した以外は合成例3と同様にしてポリエチレン(PE−7)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は29万であった。
PE−1〜PE−7についてのGPC分析結果を表1に示す。PE−1〜PE−7のいずれのポリエチレンも、単独では本発明の分子量分布の条件を満たすことができない。
Figure 2012099369
<ポリオレフィン微多孔質基材の製造>
(製造例1)
PE−1とPE−2とPE−3とPE−6を0.2/25/64/10.8(質量部)の割合で混合した。このポリエチレン混合物についてGPC分析を行い、分子量分布を調べた。その結果を表2に示す。
このポリエチレン混合物を使用して、ポリエチレン濃度が30質量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製スモイルP−350P、沸点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。このポリエチレン溶液の組成は、ポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(質量比)であった。
このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。このベーステープを60℃で8分、95℃で15分乾燥した。次いで、縦延伸と横延伸とを逐次行う2軸延伸にてベーステープを延伸し、横延伸の後に125℃で熱固定を行って、シートを得た。ここで、縦延伸は、延伸倍率5.5倍、延伸温度90℃とし、横延伸は、延伸倍率11.0倍、延伸温度105℃とした。
次に、上記で得たシートを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出除去した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理し、ポリオレフィン微多孔質基材を得た。延伸斑は観察されなかった。以下、このポリオレフィン微多孔質基材をPO1と略称することがある。
(製造例2〜製造例6、比較製造例1〜比較製造例11)
PE−1〜PE−7の混合比を表2及び表3に示すとおりに換えた以外は製造例1と同様にして、ポリオレフィン微多孔質基材PO2〜PO6及び比較PO1〜比較PO11を得た。PO2〜PO6及び比較PO1、4〜10には、延伸斑は観察されなかった。比較PO2、3、11には、乾燥後、部分的に延伸斑が観察された。
各ポリオレフィン微多孔質基材の製造に供したポリエチレン混合物の組成比及びGPC分析結果、並びに各ポリオレフィン微多孔質基材の特性を表2及び表3に示す。
Figure 2012099369
Figure 2012099369
<耐熱性樹脂の製造>
(重合例1)
[ポリメタフェニレンイソフタルアミドの重合]
温度計、撹拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン753gを入れ、N−メチル−2−ピロリドン中にメタフェニレンジアミン86gを添加し、0℃に冷却した。冷却したジアミン溶液にイソフタル酸クロライド161.5gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。1時間熟成した後、水酸化リチウム粉末を37.75g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、水中で再沈殿させ、数平均分子量2.14万のポリメタフェニレンイソフタルアミドを184.0g得た。以下、このポリメタフェニレンイソフタルアミドをPMIA(1)と略称することがある。
<非水電解質電池用セパレータの製造>
(実施例1)
−耐熱性多孔質層の塗工用スラリーの作製−
前記重合例1のPMIA(1)と、無機フィラーとして平均粒子径0.8μmの水酸化マグネシウム(協和化学製キスマ5)とを用意した。両者の混合比(PMIA(1):水酸化マグネシウム)が25:75(質量比)で、PMIA(1)の濃度が5.5質量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)との混合溶媒(DMAc:TPG=50:50[質量比])に混合し、塗工用スラリーを作製した。
−耐熱性多孔質層の形成−
25μmのクリアランスで対峙させた一対のマイヤーバー(番手#6)に、上記塗工用スラリーを適量のせ、ポリオレフィン微多孔質基材PO1をマイヤーバー間に通して、PO1の両面に塗工用スラリーを塗工した。これを、40℃の凝固液(水:DMAc:TPG=50:25:25[質量比])に浸漬した。次いで、水洗と乾燥を行い、PO1の両面に耐熱性多孔質層(両面各3μm)を設けた非水電解質電池用セパレータを得た。
(実施例2〜実施例6)
ポリオレフィン微多孔質基材を表4に示すとおりに換えた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池用セパレータを得た。
(実施例7)
塗工用スラリーの作製において、DMAcとTPGの混合溶媒の混合比をDMAc:TPG=90:10(質量比)に換えた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池用セパレータを得た。
(実施例8)
塗工用スラリーの作製において、DMAcとTPGの混合溶媒の混合比をDMAc:TPG=30:70(質量比)に換えた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池用セパレータを得た。
(比較例1〜比較例11)
ポリオレフィン微多孔質基材を表5に示すとおりに換えた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池用セパレータを得た。
各非水電解質電池用セパレータの特性と、各非水電解質電池用セパレータを備えた電池の性能を表4及び表5に示す。
Figure 2012099369
Figure 2012099369
表4と表5から容易に理解されるように、本発明である実施例1〜実施例8のセパレータは、熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れる。
本発明の非水電解質電池用セパレータは、熱収縮率が低く且つシャットダウン特性に優れ、リチウム電池用途に好適である。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン微多孔質基材と、前記ポリオレフィン微多孔質基材の片面又は両面に設けられ耐熱性高分子を含む耐熱性多孔質層とを備え、
    前記ポリオレフィン微多孔質基材に含まれるポリオレフィンは、重量平均分子量が90万以上350万以下であり、分子量分布が下記式(1)〜式(3)のすべてを満たす、非水電解質電池用セパレータ。
    ・式(1) 0.5≦P1≦5
    ・式(2) 1≦P2/P3≦5
    ・式(3) 0.2≦P4≦10
    [式(1)中、P1は、分子量1万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(2)中、P2は、分子量1万超100万以下のポリオレフィンの質量比率であり、P3は、分子量100万超1000万以下のポリオレフィンの質量比率である。式(3)中、P4は、分子量1000万超のポリオレフィンの質量比率である。]
  2. 前記耐熱性多孔質層は、空孔率が50%以上70%以下である請求項1に記載の非水電解質電池用セパレータ。
  3. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される請求項1又は請求項2に記載の非水電解質電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池。
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